Portfolio
Architectural Blueprint in the Cinematic Diary 2020-2022
Taira Otake
Artworks
1
2
0.
Taira Otake
1. 1-1.
大竹 平
1-2.
11 歳の時、父の仕事の都合でドイツへ。
2.
4 年間の海外生活の中で、さまざまな国へと足を運び、
カサ・ミラ
数多くの建築に魅せられた。空間に対する影響力は然る事ながら、
( スペイン , バルセロナ )
5.
の時間への影響力の大きさ、その感動は今でも覚えている。 場を生み出し、時を紡いでゆく、そんなヒューマンスケールを 優に飛び越えたものづくりを、いつか自らの手でしてみたいと願う。 ローシュ川沿旧市街
( フランス , コルマール )
History
Award
2000.07
2021.05
第 52 回毎日・DAS 学生デザイン賞 大学生の部「金の卵賞」 空間デザイン部門
2021.11
第 1 回 近畿学生住宅大賞
2022.01
VERTICAL REVIEW 2
2022.03
第 1 回アート建工学生・住宅アイデアコンペティション
2012.04 |
ドイツミュンヘンで 4 年間過ごす
2016.03 2019.03
愛知県立刈谷高校卒業
2019.04
京都大学工学部建築学科入学
2021.02
竹中工務店にてアルバイト勤務
3. 4.
改修を加え 100 年前から絶えず人々が生活を営む「カサ・ミラ」
愛知県生まれ
0.
ミラノ大聖堂
( イタリア , ミラノ )
入選
近畿 20 選 / 前川建設㈱賞 10 選 1
0. 1.
"It is only with the heart that one can see rightly. What is essential is invisible to the eye."
1-1.
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。かんじんなことは、目に見えないんだ」
1-2.
―サン=テグジュペリ『星の王子さま』
2. 3.
設計に行き詰まるたび、この有名な一文が脳裏をよぎる。
4. 5.
自分は、常に高く出力することを心掛けている。 推敲を重ねるコンセプト・ダイアグラム、細部まで詳細に記す図面、心が惹かれるようなパース、小さな建築と遜色ない模型- それらはきっと、「目に見えないかんじんなこと」を見えるようにするための手段だと自分は思う。 本書は、その「目に見えないかんじんなこと」を追い求め形にしようと奔走した 3 年を振り返り、 これからの取り組みの基盤となるよう、もう一度丁寧に記し直した作品の日記のようなものである。
それでも、現時点の自分の力では、このポートフォリオを手にとるあなたに 「目に見えないかんじんなこと」を真に伝えることはできないだろう。 ただ、その輪郭を正確に描こうと抗う様と、その中で伝えたい本質の片鱗が伝われば幸いである。
2
0.
Contents 0.
1.
Introduction
1-1.
1
1-2.
1.
Housing 1-1. 「アイマイモコなイエ」 1-2. 「Kaleido」
1
-1
5
2.
8
3.
34
4.
2.
Urban Context 「風の香るまち角」
62
3.
Museum 「Water Wander WUNDER」
78
4.
Culture Complex 「Ubiquitous Phases」
106
5.
Other Artworks
130
Dwellimg
1
-2
HousingComplex
2
Urban Context
3
Museum
4
5.
CultureComplex 3
Diagram of Diagram
0.
私の作品に一貫的な思想を問うのであれば、それは「かかわり」の具現化ではないかと考える。
1.
関係性のあるところに空間は生まれ、それを距離感として形づける為に建築を設計する。
1-1.
B
設計する上で核となる人物、オブジェクト、プログラム、周辺地域の場所性などの事象を仮に ABCD としよう。
1-2. 2. 3. 4.
A
5.
C
D
ABCD の間に生まれる人間関係、因果関係、相関関係― 目には見えない「かかわり」をすくい上げ、丁寧に形にしてゆく。 その様相は、自然現象に見出せるかもしれないし、日常の一コマに潜んでいるかもしれない。 建築ではない日々の何気ない発想や興味を大切にして、「かかわり」を建築に落とし込む。 4
0. 1.
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
1.
Housing
5
0. 1.
B
D
1-1. 1-2. 2. 3.
d
4. 5.
C
c
A= 自分
A
b
B,C,D= 家族 , お隣さん , あるいは他者
How long are these psychological distances "b", "c" and "d"?
6
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
住宅。
3.
それは、社会生活とは一線を画した安らぎをあるための空間であり、
4.
同時に他者と最も長い時間とあらゆる状況を共有する空間でもある。
5.
私たちは、自分と他者の間に数値としては計ることのできない、 心理的な距離があることを意識に関わらず把握している。 時間経過の中での他者との関係性の変化や、状況ごとの自身の心情によって、 その心の距離は、絶え間なく揺れ動く。 「刹那的に形成される距離感を互いに適切に取り合うこと」 それが住宅において最も大切なことではないだろうか。
7
0. 1. 1-1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
1-1.
Dwelling
「アイマイモコなイエ」 2 回生前前期設計 第 1 回近畿住宅学生大賞
8
第二課題
近畿 20 選 / 前川建設㈱賞
0. 1.
白 川 疎 水
1-1. 1-2. 2.
第二課題
3.
住宅
4.
まず、これまで持ってきた「家族」の概念を忘れ去るところからはじめてほしい。 住居とは何か。それはともかくも、雨風や外敵から身を守り、寝起きするためのシェルターである。祖先は、ときに樹上、ときに洞窟の中、ときに 身近な素材をブリコラージュした簡素な小屋の中にそうした住処を見出してきた。しかしここで重要なもう一つの点は、人がそこで集団生活を営ん できたことである。住居とはある共同体のための場所であり、その共同体は、「家族」と呼ばれてきた。一口に家族と言っても、周知のように時代 や社会形態によってその様態は様々である。とはいえ、どの場合においても家族というものに具体的な形態を与えるのは住居という場所だったので ある。つまりここで、住居をつくることは家族の概念をつくることと表裏一体である。人はなぜ共同で暮らすのか。一言でいうなら、それは生きる ためである。あるいは生き残るためであると言ってもいい。生きるためのより良い条件をつくるために相互依存することが必要だった。しかし 20 世紀以降私たちの周りで起こっているのは、家族というしがらみが、ばらばらの粒子状の個人に解体され、こうした相互依存がもはや必要ない「か のような」事態である。しかし本当にそうだろうか。人がより良く生きていくためには、何らかの相互依存が必要なのである。それは家族にとどま らない様々な共同性を含意している。しかしどのような住居に誰と住むか、ということは根本的でありつづけるだろう。20 世紀的な意味での「家族」 が解体されつつあるのだとしても、自分たちにとってリアルな、新しい「家族」を再構築していくべきなのではないだろうか。ここでの住居の設計 は、まさにそのような再構築の作業であってほしい。
5.
この課題では具体的な 5 人の住まい手を想定する。血縁の有無によらない家族の姿、職住一体の暮らし方など、住まい手それぞれの相互依存的な関 係性をできるだけ具体的に想定すること。新しい時代をになうリアルな想像力から浮かび上がる、楽しい住居の提案を期待している。
30000
Site :京都市左京区北白川伊織町 64 Period :2020.5.22-2020.7.3
駒井家住宅
28000
9
site plan 1/250
アイマイモコなイエ
10
0. 1. 1-1. 1-2.
その日その時その住人の心情によって変化する曖昧な空間
2.
調理の為のキッチン、入浴の為のバスルーム、移動の為の廊下、団らんと安らぎの為のリビング―
3.
住居という一つの空間を、実生活を想定した多様な部屋として細分化すること、
4.
時としてそれは壁が空間の役割の違いを可視化し、空間を固定化してしまう原因となる。
5.
対して、家族の距離感は体調や気分、日常の何気ない一コマによって常に変化する。 各部屋の多様な役割と雰囲気を一つの大きな階段の中に内包する。 家族は規定の生活から曖昧な境界の大きな一本の流れの中へと解放され、自らの居場所を見つけてゆく。 住人の心の持ちようと空間の捉えようによって空間が変わる。 昨日上った階段で、今日はコーヒー片手に腰かけて談笑し、明日はのんびり座って本を読む、そんな住宅。
11
A
1. 1-1.
父 自宅で建築模型士として事 務所を開く。趣味は読書。
1-2. 2.
5.
共 を 法 手 解 助
の
題
う
問
長男 京大理学部 2 回生。父と仲 が良く、暇なとき模型の手 伝いをする。
考
に
る
え
最
も
関
係
が 軽 他 薄な 人 悩
み
学
に 先 つい 輩 て と 語 後 り 輩 合
う
種
D
て け 助 徒 に 時 生 な 生と 悪 険 先
と
母
A,B,C,D=家族
What is the true nature of the family connection?
う
ら
も
長女 高校 3 年生。母と仲が良く、家庭菜 園の手伝いをよくする。京大志望。
12
C
の
反抗期の理解者 友人・相談相手
大
母 主婦の傍ら講師として自宅で 教室を設け塾を開いている。 趣味は家庭菜園。
見る 倒を徒 の面 勉強先生と生
4.
親という役割を担わない時 恋人
遣 も気 で最 受験 親子
よく 仕 上司事を手伝 と部 下 う
3.
B
家族という組織を運営する時 ビジネスパートナー
家庭 趣味菜園を 友達 する
Diagram of ABCD
共に
0.
次男 中学 1 年生。反抗期で両 親と若干距離感がある。
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
この設計は、具体的な 5 人の家族像を決めるところから始まる。
3.
しかし、細部まで詰めようとするほど、家族の関わり合いは無数に広がり、その概形はぼやけてしまう。
4.
時に、友人のように、時に上司と部下のように、時に先輩後輩のように、時に恋人のように―
5.
「家族」は生活のシーンごとに、多様な関係性として出没する、まさに百面相。 むしろ、この曖昧な様相を住空間に反映させるべきではないだろうか。 それに対し、現行の住宅は、実生活を想定し必要な各機能の部屋を集積したようである。 集積された箱は生活の行動をある種強制し、家族はその間合いの中で生活を強いられる。 じんわりと広がる関係性と凝固した空間の集積、この相反する二つを捉え直す。 Family? Teacher
Firend
Lover
13
25
20
15
10
5
0
3 階のダイニングと 2 階のリビングを結ぶ階段。
14
「階段」に着目した。
0.
A 地点と B 地点を立体につなぐ動線の空間は、小さな段差が奏でるリズムに身を任せること
1.
で流動の空間となり、小さな段差に身を屈め、同じ視界を共有することで停留の空間ともなる。
1-1.
自らの心ひとつで、空間の在り方が大きく変わる。一本の流れの中で、自身が家族と空間に
1-2.
対する適切な距離を取がとられた居場所を見出す。
2.
段差が空間の尺のように距離感を計る。
3. 4. 5.
階段下に広がるは、まさに反転世界。 誰の距離感にも干渉されない自分だけの空間と時間。
15
0.
Diagram
1.
各部屋に付属する階段ではなく、部屋を大きな階段の踊り場や段に内包する。
1-1.
階段は、状況ごとに変化する空間と家族に対する認識と思考の余地として部屋
1-2.
の間に現れ、間取りを解きほぐす。
2. 30000
3. 4. 5.
28000
1/500
12000 10000
12000 10000
3000
3000
西側にあるせせらぎが心地よい白川疎水の散策道から一 16
本メイン動線を通す。斜辺のラインを東側の高さ制限ま でのばすことで、住宅街に対して大きなファサードが現 れる。
段々と削られたボリュームが各階ごとの独立性を弱める。 西側は散策道の雰囲気を壊さない小さなファサード、東 側は住宅街の中で存在感を放つ大きなファサードとなり、 周囲にスケールが調和する。
階段
蹴上や踏板に変化をつけ、収納機能を備え付けることで、椅子や机としての用途を持たせた一つ
0.
の居座れる空間とする。各用途の空間のつなぎ目となり、空間全体のグラデーションを形成する。
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
12000 10000
3000
階段を配置して上下の空間をつなげる。斜線に沿って階 をまたぎ縦と横にのびる大きな空間、奥に行くにつれ 各々の小さな部屋、その裏には高さのある別空間が共存 する。
玄関、リビング、ダイニング、キッチン、ロフトとあ らゆる共有空間が凝縮された大階段。状況ごとに変化 する空間に対しての認識や思考を反映させる余地とな
り、その瞬間の家族とっての最適な空間へと昇華する。
共有スペース(リビング、ダイニング他)
個人スペース(自室、客間他)
仕事スペース(作業部屋他)
17
18
19
0. 1.
❶
1-1. 1-2. 2.
❷
❸
❺
❻
❹
3. 4. 5.
1F Plan 1/150 ❶
家庭用玄関
❷
バスルーム
❸
ゲストルーム
❹
模型作業室兼事務所
❺
階段
❻
書斎
❼
父自室
❽
教室
❾
エントランス 20
❼
A
❽
❾
Aʼ
0. 1. 1-1. 1-2.
❶
❸
❷
2.
❹
3. 4. 5.
❺ 2F Plan 1/150 ❶
リビングルーム
❷
階段
❸
長女自室
❹
長男
❺
階段
❻
リビングルーム
❼
次男自室
❽
母自室
❻ A
❼
❽ Aʼ
21
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
❶
3.
❷
❸
❹
❺
4. 5.
3F Plan 1/150 ❶
リビングルーム
❷
階段
❸
長女自室
❹
長男
❺
階段
❻
リビングルーム
❼
次男自室
❽
母自室 22
A
❻
Aʼ
0. 1. 1-1.
❶
1-2.
❷
2. 3. 4. 5.
4F Plan 1/150 ❶
屋上菜園
❷
ベランダ
❸
階段
❹
和風ロフト
❸
A
❹
Aʼ
23
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
24
個室は斜面から奥に突出した先にある。1 階の玄関や、同じ 2 階のリビングスペースからは見えにくい。天井 高が最も高い二階から続くこの空間は、最も天井高が低い。それがより一層の内包的な空間を演出する。
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
住宅街に面する東側ファサードと白川疎水に面する西側ファサード。
25
玄関
26
ロフト
ベランダ
ダイニング
リビング
長女の自室
洗面所
母の自室 オフィス エントランス
父の自室
母の教室
トイレ ▼GL A-Aʼ Section 1/100
27
28
29
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
30
2 階リビングスペース
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
2 階リビングスペース
31
1 階書斎
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
32
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
階段という一本の大きな流れの中で身を任せ、 近づいたり離れたりしながらお互いに最適な間合いで営む。 家族の存在を常に流れの先にあるいは後方に感じ、 一人であっても独りではないことを教えてくれる。 どこからでも、 「おはよう」から「ただいま」までの声が届く。
33
0. 1. 1-1. 1-2. 1-2. 2. 3. 4. 5.
1-2.
Housing Complex
「Kaleido」 3 回生後前期設計
第七課題
VERTICUL REVIEW 2
34
選出作品
0. 1. 1-1. 1-2.
49500
2.
第七課題
3.
集合住宅
4.
なぜ人は集まって住むのでしょうか? 20 世紀には、集まって働くことに対して、集まって住むことの効率化がうたわれ、女性の社会進出も相まって、皆がより利便性の高い場所を求めま した。その結果、可住面積はどんどん小さくなり、住まいとしての環境は、むしろ損なわれてきたように思います。 21 世紀、インターネットとスマートフォンの出現で、集まって働く意味が疑問視され始め、コロナによってオンラインアクティビティが一気に一般 的な物へとなりました。そして、働くことと住むことを対比させるという考え方自体に疑問が呈され始めています。 社会に占める単身者世帯数が最も多く、地方と都市を行き来する暮らし方も見られる現在、都市に集まって住むことは、より積極的な意味が求めら れています。敷地は阪急京都線西院駅から徒歩 10 分。かつては町工場の多い下町的な土地柄でしたが、地下鉄東西線の開通によって交通の要所と しての利便性が高まり、マンション建設が進んだエリアです。例えば自治会の加入など、これまでこの地域を守ってきたシステムも問題が現れ始め ています。 これまでの核家族をメインタ-ゲットとした住まいではなく、こどもの立場から、高齢者の立場から、働く女性の立場から、シェア居住の立場から など、視点を多様化して「集まって住むことの豊かさ」について考察し、30~40 戸の集合住宅を提案してください。
京 福 嵐 山 本 線
Site :京都市中京区壬生淵田町 8-1( 約 1950 ㎡ ) Period :2021.10.5-2021.11.16
37500
5.
京福電鉄鉄道部
35
site plan 1/400
Kaleido Veil the Residences, unVeil the Relations.
36
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
心の写し鏡となる生活空間
4.
私たちは、他者との心の距離をふるまいという体の距離で具現する。
5.
心の安寧は、独立したシェルターが守護することで得られるものではなく、 相関する体の距離を互いに適切にとることで生まれる。 「カーテンをめくる」という営みの中の些細なふるまいに注目し、間取りを構築する。 生活の中で「隠す」 「現す」が顕在し、間取りを描く境界線に住人の意思が宿る。 開閉を通じて心は体、そして体の先の住空間と写し鏡のように連動する。 住人は相補的に間を取り合い心と体を安寧へと導く。
37
0.
Introduction
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
本設計課題に取り組み始めた 10 月に 畑友洋さんの下鴨の家の内覧会に参加 した。空や中庭、鴨川、大文字山など の外の世界を緻密に設計された窓が切 り取り、室内を彩る。壁は設計者や住 人の意思を宿し、有機的に空間に干渉 する。境界線や間取りのあるべき姿を 示唆されたようだった。
38
Location
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
かつては町工場の多い下町。鉄道の開通によって交通の要所としての利便性が高まり、マンション建設が進んだエリア。 スタイリッシュな都会の街並みとはまた別の、人のふるまいや生活感が外へ染み出し、良い意味で人間臭い魅力のある町。 生活行為や個々人の意思が町に、周囲に溢れることを許容してくれそうな雰囲気を感じる。
39
0.
Diagram of ABCD
1.
Ex1)SNS
1-1. 1-2.
Secret Account 裏アカウント
A
2. 3. 4. 5.
「Favorites」 「親しい友達」
c
Ex2)ファッション
Perfume 香水
A
D
d Accessories アクセサリー
Makeup 化粧
C
B b
Follow フォロー
C
B b
40
Follower フォロワー
c
Dress 服装
D
d A= 自分
B,C,D= 他者
We realize these psychological distances "b", "c" and "d" in physical distances by using everything in everyday life.
0.
「他者」と生活を共有する集合住宅。
1. 1-1.
私たちは「他者」と生活のあらゆるものを媒体として、心の距離をふるまいという体の距離へと置換する。
1-2.
その行為の本質は「隠す」ことにある。
2.
衣服に身を包み自らの身体を隠す。
3.
SNS を用いてリアルとバーチャルを切り離し、非公開設定をもって本心を隠す。
4.
それは同時に、意思をもって他者に自らを「現す」行為でもある。
5.
選別された「隠す」「現す」は距離感を計る指標となる。 現行の住まいは硬い壁とスラブが無機的に空間を切り分け、他者との距離を強制する。 規定された体の距離感と心の距離感の間には齟齬が生じる。 常に変化する心の在り様に連動し、「隠す」「現す」を繰り返す中で、他者との境界は有機的に変化する。
401 402 403 404 301 302 303 304 b
201 202 203 204 101 102 103 104 d c 部屋番号に左右される集合住宅の住人たちの立ち位置。 (
身体距離と心的距離の齟齬)
c
d
b
41
自らの意思をもって境界を引く。 空間は心の写し鏡のように。
0.
Plan of Private Room
内壁
1. 1-1. 1-2. 2. 書斎
3. 4. 5. ピアノルーム
3300
キッチン・ダイニング
寝室
リビング
バスルーム
収納スペース
3300 42
個室平面図
1:50
外壁+カーテン 建物全体に不十分な形の外壁を巻き付
「カーテンをめくる」 という営みの中の些細な 「隠す」 ふるまいに注目する。
ける。内側のカーテンの開閉により外壁
カーテンと壁を組み合わせることで構造とプライバシーの保全役割が二分
は街に対して様々な表情を見せる。街と
される。 最低限度の外壁と柱で外気から身を守り空間を支えつつ、 30人の
緩やかに境を分ける。
住まいをカーテンによって区切る。 一辺3300の正方形ワンルームにプライバ シーが要求される機能を備え、 他の要素は重なるカーテンの層の間に配置 する。一つの壁に囲われたシェルターではなく、 何層もの弱いフィルターを 纏う住まいとなる。 境界は構造的所以から解放され、 カーテンの 「隠す」 「現
外壁
外壁+窓
外壁+手すり
す」 の繰り返しの中で公私の領域が表れ、 住人の意思が空間へ伝播する。
カーテン レースカーテン
♬
♪ ♫
人々の談笑、料理の香り、動き回る人影などの日常の一コマを内から外 へ滲み出し、公私が融ける。 お互いに五感で他者の存在を意識しながら 自らの空間を構成する。用いるカーテンの種類によっても空間における自
個人スペース
身の立ち位置を外部に伝える。 カーテンは、囁き、語り掛けるような境界と 周辺に音や香りがこぼれることを容認 →「周囲とつながりを持ちたい」
して私たちの住まいを包む。
遮音・遮光カーテン
仮に同じ空間を同じ分け方でカーテンを引いたとしても、 その種類によっ
公共スペース
カーテンの持つ軽さは、住人へ気軽な開閉を促す。 心の微小な変化に、 フレキシブルに対応する。
て住人の空間に対する捉え方、 他者に対する間の大きさが変わってくる。 周囲に音や香りがこぼれることを拒否 → 「周囲と距離を置きたい」
43
0.
Layout Diagram
1.
カーテンの開閉が高純度で他者とのかかわり、 空間構成へと反映されるような個室の配置を試行する。
1-1.
疎
1-2. 2.
密
3.
密
4. 5.
疎 1.正方形ボリュームは各面から 等価に空間が広がる。
44
4. 核を少しずらし、 その合間を侵食し合うような 独特な曲線のスラブとカーテンレールを描く。 水平方向において、 カーテンの開閉が近づいたり、 離れたりがより強く空間に現れる。
2.2つのボリュームを傾け配置することで、 空間の重なりに段階が生まれる。
3.一辺6000の正方形と正三角形で構成したグリッドに 沿って個室を配置する。正方形の個室が等間隔で配 置され、 敷地内にどこまでも等価な空間が広がる。
5. スラブを半フロアずつ高さを加える。 半フロア分の自分の体が外部に介入し、半フロア分の他者の体が自らの領域に侵入する。 鉛直方向において、 カーテンの開閉がお互いの領域への干渉を大きく促す。
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
どこまでが自分の領域で、 どこまでが相手の領域か。
4.
カーテンを 「めくる」 ・ 「閉める」 ことを頼りに今日の領域を囲ってゆく。
5.
カーテンとそこからこぼれだす音や香りを頼りに相手の状況を推し量る。 ちっぽけで些細な生活行為が生活空間に大きく影響する。
45
A
A
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
46
Aʼ
1F plan 1/300
Aʼ
2F plan 1/300
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
東側のファサード。壁の向こうから、カーテンの向こうから生活がこぼれ出る。
47
A
A
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
48
Aʼ
3F plan 1/300
Aʼ
4F plan 1/300
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
カーテンをめくり、ダイニングを開放。一緒に食事を楽しむ。
49
A
A
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
50
Aʼ
5F plan 1/300
Aʼ
6F plan 1/300
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
北側のメインエントランス。各階の部屋が面し、皆のよりどころとなる。
51
52
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
向こう側から、楽しそうな声が聞こえてくる。 カーテンをめくり自室をパーティー会場に。
53
カーテンを閉めて洗濯物を干す。
54
東立面図
▼
1:100
GL 55
56
AAʼ断面図
▼
1:100
GL 57
58
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
カーテンをめくったその刹那、 自分の部屋は共用空間へ、 共用空間は誰かの部屋へ、 誰かの部屋は自分の部屋へ、 変幻自在に立ち替わる。
Kaleido 語源:Kalos( 美しい ) + Eldos( 形態 ) 【ギリシア語】 意味: 「変幻の極まりがない」・「二度と同じ形にはできない」 59
60
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
カーテンの軽さがその変化に柔軟に対応し、
4.
カーテンの薄さが生活行為を染み出させ空間に意思を伝播させる。
5.
互いが互いを五感で常に感じ取ることで、相補的に適切な間を繰り返し構築し続ける。 そのようにして、境界は意思をくみ取り変幻し、空間は常に様相と姿形を変える。 空間が変われば、動線が変わり、偶然の出会いや経験が生まれる。 数々の偶然が日々のルーティンから開放し暮らしを更新させる。 相補性と偶然性こそが、集まって住むことの豊かさである。
61
0.
0.
1.
1.
1-1. 1-1. 1-2. 1-2. 1-3.
2.
3.
2.
4.
3.
5.
2.
Urban Context
「風の香るまち角」 2回生後前期設計
62
第三課題
0. 1. 1-1.
新町通り
1-2. 2.
第三課題
3.
都市計画
4.
「都市」という概念は複雑である。ときに抽象化され象徴的な概念として、ときに極めて具体的な現実記述として、様々に扱われる。その必ずしも 定まらない語り口のいずれにあろうと、物理的空間として人が存在する場としての都市を考えるには、鋭い観察と、柔軟な視点からの分析と、身体 的な納得の獲得とが基盤になる。まずは、ふんわり眺めるのではなく、凝視し「都市」の実在をまじまじと捉えよう。対象地域は、京都市の都心部 の南北約 3km 四条通り~今出川通りにわたる、室町通り・新町通りの間と沿道とする。過去一度も市街地として途絶しなかった、本来の京都の都 市の中心軸的なエリア。両側町で構成される方形街区が並び、路地奥の繊細な空間が潜む。両側町はそこに住む人々が都市を営んでいることの証明 かつ継続の方法でもある。職と住が分かちがたく共存する京都という都市にあって、都心居住のあり方論争は常に飛び交い、地域社会の流転と不変 (普遍)が輻輳するあり方を誰もが考えながら居続けてきた。この流転と不変をそれぞれの視点で読み取ってほしい。古代・中世の息吹から現代の 悩みまでが都市に潜む。この中で、数百年をひきついで暮らす人、学びのために数年を過ごす人、数週間の短期を過ごす人、様々な人が都市を営む。 そうした人々が、それぞれの意図で共存して使うことのできる場、比較的小規模な Urban Common Space を設計しよう。都市 Context のどこにそ うした都市を営む姿を互いに知ることができるだろう? 住宅課題と小学校課題の中間にあって、都市のどのような Context を見て取るか、さらに、 その Context で異なる人の居合わせる場をどのように空間化するか、の2つの関係を扱うことが、今回の課題の主旨である。次の条件を踏まえて、 よりいきいきと構想を展開してもらいたい。
5.
Site :四条通り - 今出川通り × 室町通り - 新町通りの範囲の京都市内 Period :2020.10.05-2020.11.09
四条通り 63
site plan 1/500
風の香るまち角
64
0. 1. 1-1. 1-2.
都市スケールの食卓を囲む
2.
COVID-19 に伴い、 テイクアウト・デリバリーなどの新たな食事形態が都市や過程に浸透し始めた 2020 年。
3. 4.
その中でも観光・商業・生活と多方面で核を担う京都御池―四条間は、その影響がより顕著に現れた。
5.
同時に、敷地調査を行う中で 「旅行者はテイクアウトしたものをまちのどこで食べるのだろうか?」 「地域住民がデリバリー料理を自宅で食べてしまうと、まちの接点が薄まるのではないだろうか?」 と新たな食事形態の確立の過渡期だからこその疑問や問題点が顕在した。 そこで、まちの中に配達網のターミナル機能を備えた食卓のような空間を設ける。 まちのお店や旅行者、地元住民を巻き込み、食卓を囲うように同じ時と場を共有する。 まちで出会った食をまちで食べる、このサイクルの中で食を通じて人々と店舗と配達業を結びつける。
65
1.
敷地図
室町通
Field Work 新町通
0.
1.テイクアウト・デリバリー対応店の増加
1:5000 御池通
1-1.
敷地散策を行う中で、まず目に付いたのがテイクアウト・デリバリーの対応店舗の多さである。 新型コロナウイルスの影響により、テイクアウトやデリバリーが普及し食事形態の手段の一つ
1-2.
として街に浸透し始めている。今回の対象地域においても例外では無く、 特に御池ー四条間は、
2.
チェーン店、 老舗、カフェ、 バーなど問わず、対応店は多岐に渡り、
3.
最も変化が顕著に見られた。左の御池ー四条間の敷地図の着色部分が
4.
テイクアウト・デリバリー対応の飲食店を表している。
5.
66
四条通
2.残地にみられる街の緑
0.
敷地に対する別視点の見解を得る為、建築学科ではない友人2人を
1.
誘い散策をした。「公園が窮屈に感じる」、様々な意見が飛び交う
1-1.
中この意見は三人とも一致した。本敷地にはいくつかの公園が点在 するものの、そのどれもが歪な敷地で周囲は成人男性の身長以上の 高さのフェンスやコンクリートの擁壁に囲われている。
歴史を持つ老舗の齋造酢店やマンション建設などの都市開発による 残地に計画されたと考えられる。更に、防災や動線の面で2方向で の出入口を確保しようした結果、歪な敷地に拍車をかけている。 もう1つが夷川児童公園。こちらは1955年に計画された。土地区画の 整理がされないまま、マンションが建設され圧迫感を高めている。 周囲とちぐはくな関係にあり、時代に取り残された意味での残地の ように思える。 訳ありの敷地に申し訳程度の遊具が配備された公園を誰も愛すること はできない。そこに人が集まりたくなるような、そこでテイクアウト した人々が食べたくなるような、今の周囲に調和した街の緑が必要な のではないだろうか。 site:夷川児童公園
2. 3. 4.
1つが本能公園。1999年に完成した本公園は、向かいの200年以上の
site:本能公園
1-2.
67
5.
0.
3.自転車社会
1.
本敷地は、四条通りや御池通りなどの大通り、そこから垂直に伸びる幅一車線分の道、
1-1.
更にそこから垂直に派生する昔ながらの細道、この三種の道が張り巡る。
1-2.
大通りは自動車が頻繁に通るものの、ほとんどの道を人々は自転車で通り抜けている。
2.
家族連れから年配の方々まで自転車を漕ぐ地域住民であふれる中に、自転車で運送・
3.
配達を行う配達員やレンタサイクルで自転車旅を楽しむ学生が見受けられた。
4.
四条-御池間は、大通りから一歩足を踏み入れると自転車社会が広がる。テイクアウトや
5.
デリバリーサービスが顕著に増えた要因として、この自転車の交通網が起因してるのでは ないだろうか。
68
敷地調査より得られた3つの場所の特性を踏まえ、 「自宅やお店を超えて、まちの食をまちの中で、家族も地元住民も旅行者も皆がまちの中の食卓を囲むことで、つながりを育む」 をテーマとした、まちの飲食店のテイクアウト・デリバリーの交通網のターミナル的要素をもち、都市スケールの食卓となるような、 地域住民に愛されつつも、旅行者の一息つける憩いの場となる公園を設計する。
69
SITE
××時、Siteに〇〇を一つ
0.
Diagram of ABCD
1. 1-1. 1-2.
Mobile Order
A
Delivery CASE1
RESTAURANT
D
2. 3. 4. 5.
CASE2
B
C
MEAL
Take Out
D
MEAL
××時、Siteに〇〇を一つ
CASE3
70
B
SHOP
D
CAFE
Mobile Order
A
Delivery
MEAL
A= 旅行者
C
B=地域住民
Discover Each Other
C=配達員
D=飲食店
New dining styles connect travelers, locals and restaurants.
B
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
まちの中に食卓のような「食べる」ふるまい自体のスポットを用意することで、
4.
旅行プランに合わせて移動途中にデリバリーを頼む旅行者(CASE1)
5.
途中でテイクアウトをしそのまま外出を続ける地域住民(CASE2) 配達員を介してまちの飲食店が一堂に会する。 食卓を囲うように場所を共有して食事をする中で、 旅行者と地域住民が輪を広げ、お互いのオススメのお店を紹介し、追加注文をとる。 (CASE3) 人間関係に化学反応が生じ、まちを巻き込み交流が広がる。
71
西側にマンションが並立し、 地元の生活と密接する 「町」 的側面の新町通り、 観光客が足を運び様々な人で賑わう 「街」的側の四条通り、
0.
地元の飲食店が並び 「下町」 の雰囲気をもつ裏路地、 この3 つの独立した特性を持つ道路に面した場所を敷地とする。
Site Plan
それぞれの道路から派生するように草原のスロープをのばし、 道のような公園のような緑の空間を生み出す。 三面から自転車動線を引き、 地上階はデリバリーサービスのターミナの機能を持つ。
1. 1-1.
細道・裏路地
1-2. 2. 3. 4. 5.
自転車用道路が配備されている。
新町通り
新町通りと裏路地の交差点。
個人経営店が並ぶ裏路地。
マンションが並立する新町通り。
毎年夏に催される祇園祭がみられる。
72
四条通り
West Slope Plan
East Slope Plan
1:300
1:300 0.
移動販売車
地域住民向け公園
1. 1-1.
イートインスペース
1-2. 2. 3. 4.
駐輪場
Site Plan
5.
トイレ
1:800
ターミナル
ターミナル
駐輪場
73
▼
GL
West Elevation 1:200
74
地上フロアでデリバリーを待つ人々。
住宅街エリアの道路には小さな公園が面する。
四条通りから伸びる緑のスロープ。
75
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
76
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
77
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
78
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
79
205Ⅹ年、京都。
80
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
新型コロナウイルスが流行して 30 年後の京都、
4.
テイクアウト・デリバリーは内食、外食に次ぐ第三の食事形態として確立した。
5.
対応店は数を増やし、それを種に公園が根を生やすようにまちの広がる。 公園に沿うように配達員がまち中に食事を運ぶ。 まちに人々の談笑とおいしそうな食の香りをのせた風が吹く。 テイクアウト・デリバリーの最大の醍醐味、 「自分の好きな食べ物を、自分名好きな場所で」 を体現する、食を味わい、人と触れ、まちを知る、そんなひと工夫の提案。
81
0.
0.
1.
1.
1-1. 1-1. 1-2. 1-2. 2. 1-3. 2.
3.
4.
3.
5.
3.
Museum
「Water Wander WUNDER」 3 回生前前期設計
82
第五課題
0.
30000
1. 1-1. 1-2. 2.
28800
京 都 大 学 総 合 博 物 館 旧 館
第五課題
3.
博物館
4.
現代のヴンターカンマー 京都大学総合博物館建て替え計画 ヴンターカンマー、すなわち驚異の部屋とは、15 世紀から 18 世紀の間にヨーロッパの貴族の館に作られた、世界中の珍しいものを集めて陳列した 部屋である。空間全体にさまざまなものが所狭しと並べられた様子は、それ自体が人々の驚きや好奇心を掻き立てる空間で あり、Museum の原型となったとも言われる。 本課題では京都大学総合博物館を対象とし、「現代のヴンターカンマー」をテーマに建て替えるものとする。大学総合博物館は、学術標本を収蔵・ 管理し、研究に活用するための場として大学設立当初から構想された。1914 年 ( 大正 3 年 ) に文科大学 ( のちの文学部 ) の陳列館としてその歴史を スタートした後、理学部・農学部・教養部・工学部などの学術標本資料を含めた総合博物館として発展してきた。文化史、自然史、技術史における、 多種多様なコレクションは他に類を見ないものである。また、大学内の博物館であることから、コレクションを見せるためだけのミュージアムでは なく、博物館自体が多様な研究者を抱える研究機関であることも特徴である。分野の異なる資料や研究が混在している博物館だからこそ、それぞれ の分野では当たり前のことが、他分野では新鮮な発見へとつながる。そうした多様な出会いの場において、知的好奇心による驚きの交換や共有を、 空間化することは可能だろうか。私たちの生きるこの時代における「驚異の部屋」とはどのよう空間になり得るか。 「もの」 「こと」 「人」が交差する、 新しい大学博物館のあり方を提案してほしい。
Site :京都大学吉田キャンパス Period :2021.4.12-2021.5.31
5.
京都大学総合博物館新館
48400
83
site plan 1/300
Water Wander WUNDER 京都大学総合博物館建て替え計画
84
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
展示物から広がるネットワークの世界を彷徨う
3.
1 つの展示物の背景には、10 の標本、100 の仮説、1000 の実験、10000 の資料が潜む。
4.
無数の資料が持つ断片的な情報を研究を通してつなぎ合わせ一つの結論 ( 展示物 ) に導く。
5.
そして観覧はその流れを遡ることで、魅了された展示物のコンテクストを得る。 集約し咀嚼しやすいように手を施す研究の流れと、 巡るごとに知識を蓄えより噛み応えのある真理を追い求める観覧の流れ。 展示物に集約されてゆく壮大な世界と、展示物から拡散する複雑な世界。 展示物が持つネットワークの世界のあるがままを氷柱の様相に見立て空間化する。 氷柱を巡るごとに研究室や分野を超えて融合した展示空間へと足を運び、その原理と本質を出会う。 具現された展示物の世界の壮大さと複雑さに驚愕し、世界の真理を探求するような体験をしてほしい。
85
D
D
D
Diagram of ABCD D D
D
D
D
D
D
D
D
D
D D
D
D
D
D
D
D
C C
C
B
C
C
B
C
C
B
A
A A= 展示物
86
B=標本
C
B
C
C
C
B
B
A C=仮説 , 実験 , フィールドワーク
C
C
D= 資料
C C
B
A
Exhibits (A) interacts with countless example (B), hypothesis (C), and date (D) to create a magnificent and complex world.
B
D
0. 1. 1-1. 1-2.
展示物には 2 つの関係性が潜む。
2.
1つは、展示物と研究の背景関係。
3.
1 つの展示物の後ろには、派生する 10 の標本、定説された 100 の仮説、
4.
裏付ける 1000 の実験・研究、関連した 10000 の資料・データがある。
5.
展示物として成立するまでの過程に比べ、私たちが目の前にする展示物はほんの一片に過ぎない。
もう1つは、展示物同士の相互関係。 展示物は、各々ショーケースに覆われて独立した存在ではない。 一方の展示物の理解が他の展示物の更なる理解と新鮮な発見を引き出す。 例えば、古生物学展示物の化石が、示相・示準化石として地質学の深い理解を促すように。 各展示物が持つ情報や本質は互いに重複し、作用し合う。
87
Introduction
大学の研究機関の側面を持つ本博物館。 「研究者」 と 「観覧者」 の両者から見る展示物の立ち位置を捉え直す。
古生物学 88
鉱物学
植物学
昆虫学
資料(収蔵庫)
研究者 無数の素材・資料が持つ断片的な情報を実験、 議論を経てつなぎ合わせ一 実験 フィールドワーク
つの結論へと導く。 またさらにいくつもの結論を重ね、新たな結論を見出す。 研究者にとって展示物とは、 「最新の結論」 である。 情報の集約を繰り返す中で結論ごとに特徴が生まれる。 それは分野として、 展 示空間に立ち現れる。 分野ごとに展開する展示空間は、 その源泉たる情報と本 質は互いに重複し、 作用し合う。
標本
観覧者 観覧者にとって展示物とは、 「ガイドポスト」 のようなものである。 各学問の概要を簡潔かつ分かりやすく表し、 自身の興味が惹かれる分野が いづれであるのかを示す。 導かれた観覧者は、 その分野の詳細な展示や、 実 展示物
験などの背景の情報を追い求める。結論を述べ、 その理由と詳細を示し、 事 例を語るという論理の筋道の通った展示空間を展開していくことで、観覧者 は深い理解を得られる。 89
0. 1. 1-1.
根源から少しずつ集約し分岐する研究から展示物へのネットワークをあるがままに空間にしていく。
1-2.
それは氷柱のような概形になるのではないだろうか。軒下や岩場という単一の基盤から水が垂れて凍
2. 3. 4. 5.
り、その繰り返しの中で水筋がいくつかに収束して、無数の氷の柱として現れる。観覧者には無数の 小さな先端から徐々に大きくなり重なり合う空間として映る。始まりは興味のある分野からでいい。 その展示物から広がる背景を追い求める中で、研究者が相互につなぎ合わせた他分野に触れる。
電子顕微鏡室
・暗室 ・シクロトーム 生物資料冷凍保存室
収蔵庫
・冷凍室
地理作業室 ・電算機室
・工作室
・画像解析情報処理室
DNA 分析機器室
・分析機器室
植物・昆虫標本 古昆虫学
今回は、その中でも植物学・昆虫学・古生物学・地質
示相化石 示準化石
樹幹標本
液浸標本
骨格・剥離標本
地質標本
建て替えを行う新館は、主に自然史を展示している。
岩石標本
学・鉱物学の 5 つに分類して設計を行う。分野間の関 係性から、建て替え前から存在する研究室・作業室の
90
植物学
昆虫学
古生物学
地質学
鉱物学
立ち位置を導き出し配置する。
内外の誘導 関連した展示物を見つける。誘われるがまま
Diagram
0.
に、人々はその氷柱の中に足を踏み入れる。
1. 氷柱内部
氷柱外部
展示物が所狭しと詰め込まれる。
有機的な壁にパネルが掛けられ
自分と展示物だけの空間で
博物館全体から興味のある分野へ、
1-1.
学問を探求する。
広告塔のような役割をもつ。
1-2. 2. 3.
興味のある分野から他の分野へ。
4. 5.
2F ~5F 内々に魅力が凝縮された展示室・研究室 展示空間が氷柱内部に移る。興味のある分野 の展示空間に入り込み、閉鎖された空間の中
高低の誘導
で更に深く学術的な展示と対峙する。
惹かれる分野を見つける。 人々は論理の筋道たるその氷柱を駆け上る。 1F ~2F 緩やかに展開する展示スペース 氷柱は柱として空間に存在し柱を起点に緩や かに展示空間を広げる。分野の枠を超え、展 示物が仕切りのない空間に融け込み、自らの 興味の湧く内容を探す。
91
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
京 都 大 学 総 合 博 物 館 旧 館
EV
EV 機能室
D
E1
P1
C
G1 B
M1
ミュージアムカフェ
D´
P1 A
1F Plan 1:500 M1 鉱物学展示スペース G1 地質学展示スペース P1 古生物学展示スペース E1 昆虫学展示スペース
92
C´
エントランス
風除室
48400
B´
受付 事務室 館長室
運搬室
A´
0. 1.
京 都 大 学 総 合 博 物 館 旧 館
1-1. 1-2.
D
E2
2.
P2
3. 4.
G2
C
B
テラス席
ワークショップ スペース
5.
M2
P2
D´
A
C´
B2
2F Plan 1:300
B´ 企画展示
M2 鉱物学展示スペース G2 地質学展示スペース P2 古生物学展示室・スペース E2 昆虫学展示室 B2 植物学屋外展示スペース
A´
93
M: 鉱物学 (Mineralogy)
G: 地質学 (Geology)
P: 古生物学 (Paleontology)
E: 昆虫学 (Entomology)
B: 植物学 (Botany)
D
E4
0.
C
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
P4 G4
情報記録資料室
4F Plan 1:500 M4 鉱物標本資料作成室 G4 地質標本資料作成室 P4 生物試料冷凍保存室 DNA 分析機器室 E4 昆虫標本資料作成室
B
D´
EB4
A
PB4
C´
助教授室
PB4 古植物学展示室 (古生物学 × 植物学) EB4 昆虫生態学展示室(昆虫学 × 植物学)
C 3F Plan 1:500
94
B A
会議室
助教授室
D
M3 鉱物学展示室 G3 地質学展示室 P3-1 化石標本資料作成室 P3-2 骨格・剥離標本資料作成室 E3-1 昆虫学展示室 E3-2 液浸標本資料作成室 B3-1 植物学展示室 B3-2 植物標本資料作成室
M4
E3-2
A´
P3-1
⇐旧館
G3 E3-1
B´
M3
P3-2 B3-1
D´ C´
B3-2 セミナールーム
B´ A´
D
PEB
0.
C 6F Plan 1:500 M6 G6 P6 E6 B6
鉱物学資料収蔵庫 地質学資料収蔵庫 古生物学資料収蔵庫 昆虫学資料収蔵庫 植物学資料収蔵庫
PEB6
1.
G6
B
1-1.
E6
A
P6
B6
M6
3. 4.
B´
5.
A´
PE5
C 5F Plan 1:500
地理作業室 電算機室 画像解析情報処理室
2.
C´
電子顕微鏡室 暗室 シクロトーム室
D
M5
1-2.
D´
M5
B
EB5
A
GPB
D´ C´
GPB5 地史古生物学展示室 (地質学 × 古生物学 × 植物学) PE5 古昆虫学展示室(古生物学 × 昆虫学) EB5 昆虫生態学展示室(昆虫学 × 植物学) M: 鉱物学 (Mineralogy)
教授室
助手室
B´ A´
G: 地質学 (Geology)
P: 古生物学 (Paleontology)
E: 昆虫学 (Entomology)
95 B: 植物学 (Botany)
▼ 西立面図
96
GL 1:300
▼
GL
東立面図
1:300
97
昆虫学資料収蔵庫
植物学資料収蔵庫
昆虫生態学展示室
植物学展示室
古生物学資料収蔵庫 地史古生物学 展示室 植物標本資料作成室
風除室・受付
鉱物学資料収蔵庫 教授室
助手室
助教授室 セミナールーム
運搬室
▼ GL
A-A´ Section 1/300
昆虫学資料収蔵庫
古生物学資料収蔵庫
昆虫生態学展示室 昆虫学展示室 テラス席
ワークショップスペース ミュージアムカフェ
地史古生物学 展示室 骨格・剥離標本資料作成室 古生物学展示スペース 運搬室
B-B´ Section 1/300 98
▼ GL
古生物学資料収蔵庫 地史古生物学 展示室 液浸標本資料作成室
▼ GL C-C´ Section 1/300
シクロトーム室 古昆虫学展示室 職員用通路
昆虫標本資料作成室
職員用通路
液浸標本資料作成室
古生物学資料収蔵庫 地史古生物学展示室 地質標本資料作成室
地理作業室 鉱物学標本資料作成室
地質学展示室 地質学展示室
昆虫学展示室
鉱物学資料収蔵庫
地質学展示スペース
鉱物学展示室 鉱物学展示スペース
▼ GL
D-D´ Section 1/300 99
1 階展示スペース。分野を跨ぎ数多くの展示物が空間に広がる。 100
自らの興味のある分野と出会う。
氷柱に絡みつく 2 階の動線。 凝視していた展示物を俯瞰してみることで、新たな発見を得る。 101
分野が融合した 4 階展示室。氷柱内部に凝縮することで 102
情報の密度を上げ、入ったときの驚愕を高める。
6 階に広がるビジブル・ストレージ。 上へとめぐる館内では自然と頭が上へと向き、まだ見ぬ資料の多さを知覚する。 103
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
104
氷柱に絡みつくように館内をめぐる。
1 階展示スペース
植物学と昆虫学の融合した展示スペース
105
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
106
1 階の展示物から大きく伸びる氷柱。その世界の沖差に驚愕する。
氷柱を介して、展示スペースが交錯する。
隙間を縫うように巡る 5 階。探求心が駆り立てられる。
107
108
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4.
研究から展示までの在り様を氷柱として捉えたとき、
5.
「研究」とは、人間にはとても難解で、冷淡で、氷のように触れることさえ 躊躇われる「真理」を少しずつ削り、融解する行為のように思える。 そうであれば、 「展示物」はその魅力的な氷の破片や氷解け水のようなものだろうか。 私たちは水を飲み、体内に巡らせ、生物としての自己を成立するように、 解釈した「展示物」を血肉化し、文化人としての自己を形成する。
109
0.
0.
1.
1.
1-1. 1-1. 1-2. 1-2. 2. 1-3. 3.
2.
3.
4.
5.
4.
Culture Complex
「Ubiquitous Phases」 3 回生後後期設計
110
第八課題
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
270
00
第八課題
文化複合施設
3. 3. 4.
128000
5.
47000
都市と建築とランドスケープが溶け合う場-茶屋町メディアコンプレックス 本課題の趣旨は、都市とランドスケープが溶け合う場としての建築を設計することである。建築とは極言すれば人々の集まる場所を作ることである。 しかしながら現代において人々の文化的志向性は多様化し、断片化しているように見える。しかしながら現代においてメディアの発達に伴って、人々 のつながりはますます実空間上の場所を介さないものになってきている。とはいえ、そのような時代だからこそ、異なる傾向を持った人同士が偶発 的に出会い、様々な形で同じ時を過ごせる場所をつくることの重要性は高まっているのではないだろうか。大阪の茶屋町は、劇場、映画館などの文 化施設や大小さまざまなスケールの店舗が共存する魅力的な町である。本課題は、茶屋町の只中にあって、周囲と一体になりながら立体的に展開す る文化交流施設を設計するものである。人々の集まる場として、小劇場、シネマ、アートブックを中心としたライブラリー、ギャラリー、スタジオ、 研修室などをもつメディアコンプレックスをデザインする。敷地は梅田芸術劇場、阪急電車の線路などに隣接する。界隈に漂う茶屋町という都市の 有り様や、種々のランドスケープが敷地内に溶け込み、一体のなった何かとして建築が立ち現れるよう、志向と工夫を凝らすこと。人々の多様な集 まりを受け入れ、さらに活気が湧き上がるような、生き生きとした提案を期待している。
Site :大阪府大阪市北区茶屋町 ( 約 10000 ㎡ ) Period :2021.11.16-2022.1.11
0
00
45
111
site plan 1/600
Ubiquitous Phases 茶屋町メディアコンプレックス計画
Phase を紡いでゆく果てしない文化体験物語
112
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
Phase を紡いでゆく果てしない文化体験物語
3.
プログラムの領域を何重にも立体に重ね合わせる。
3. 4.
一つの文化世界の中に、異世界が魅力的に、また暴力的に立ち現れ干渉する。
5.
目的のプログラムに訪れ、楽しみ、街へ還るという一連の物語の中に、 別の物語へと力強く引き込む分岐が生じる。 時にその魅力に踏みとどまり、時に心惹かれるままに行き来し、物語は展開をみせる。 動線の中に現れる数々の段階・局面 (phase) を重ねることで、 人々は自らの意思や本来の目的という枠を超え、関わるはずのなかった異文化と人に触れる。 動線の上を流れる物語は互いに干渉し絡み、紆余曲折しながら描かれる。 至る所に現れる些細な phase を紡ぎ、物語ははてしなく続く。
113
0.
Location
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
114
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
魅力的店舗や施設が大小問わず所狭しと詰め込まれている梅田茶屋町。
3. 4.
それぞれの魅力に惹かれ、さまざまな人々が足を運び、街に溢れかえる。
5.
しかし、魅力的な世界は、規定されたファサードを通り、階層を縦に進んだ先にある。 この空間において道は点在する世界を最短で結ぶ線に過ぎない。 簡略化された線の上を彼らは歩く。彼らが交わることは決してない。 訪れ、楽しみ、そして街へ還る。 彼らの文化体験の物語は常に平行線で、話を彩る登場人物も展開も現れない。 プロローグからテンプレートの本編へと展開し、約束されたエピローグへと結末を迎える。
115
0.
Diagram of ABCD
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
A,B,C,D= 店舗、施設プログラム Overlapping areas make our space and flow lines colorful. 116
0. 1.
未知を敬遠し、極力慣れ親しんだことにだけしがみつき、安心感に浸る。
1-1.
しかし、大概ただの食わず嫌いに過ぎないことが多い。
1-2.
距離やファサード、階層は未知に対する最初の一歩のハードルを大きくする。
2.
そこでプログラム間の距離をマイナス方向へと延ばし、空間の領域を重ね合わせる。
3.
適切な距離の調和の中で成立したこれまでの作品とは一転、暴力的に関わり合う空間が生まれる。
3. 4. 5.
動線に干渉し、シーンが変わる一歩手前まで背中を押してくれるある種の強制力が生まれる。 そこに軽い気持ちと踏み出す一歩が加わることで、目的と想像の枠を超えた未知の文化体験を得る。 プログラムが仕向けるアプローチに惹き込まれたり踏みとどまったり、小さな段階 (phase) を重ねる。 そんな物語に新展開が連続するような体験をする空間をデザインする。
ギャラリー
ライブラリー
シアター 実際の動線 ( 物語 )
自分
本来の動線 ( 物語 )
シネマ
カフェテリア
117
0.
Diagram
1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
各店舗の魅力は箱の中に閉じ込められ、道には溶けださない。 垂直水平でただ点と点を結ぶ最短の動線を通り店舗から店舗へ向かう。 道は交わることなく、簡素で完結した物語が平行する。
118
Study Model
立体に配置されたプログラムの中を巡りながら次の目的地へと向かう。 訪れる過程に目的外の空間が立ち現れる。その魅力に時に惹かれるがまま に、時に振り切り、紆余曲折しながら進んでゆく。
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 3. 4. 5.
周辺敷地の人々の流れを読み取り、そのまま延長しシームレスに引き込むよう にして、全体に大きな三次曲面 ( シェル ) をかける。人々はファサードと 階層から解放され、街のあらゆる場所から動線を描く。無数の動線とその 上を歩む人々が交錯し、分岐を生み、展開が生まれる。
シェルとメインハード、そしてサブハードが互いに領域を重ね合わせる。 内外の反転を繰り返す何重もの領域とシェルが、あらゆる方向から外部の人々を取り 込む。動線に目的外のプログラムと、それを享受する人々が重なり彩られる。
119
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3.
CARRY IN
4. PARKING AREA
OBSERVA
TION DEC K
ERY
SH
LL
OP
OU
LIC
PUB
A RG
O TDO
THEATER
ERY
LL
GA
DIO
STU
BLEACHERS
FE
CA
MAIN ENTRANCE
5.
RESTAURANT OP SH
RK WO
RY
A EM
LLE
GA
CIN
OR DO A T OU INEM C OUTDOOR STAGE
DIO
STU
ERY L L GA Y ER L L GA
OPEN SPACE
120
配置図
1:600
等高線+400
0. 1. 1-1.
⓯
1-2.
⓮
2. 3. 3. 4.
A
B
Aʼ
⓭ ❸
❶
❹
⓫
5.
⓬
Bʼ
❿ ❷
❺
❶ ❷ ❸ ❹ ❺ ❻ ❼ ❽
パブリックスペース兼貸し会議室 閲覧室 自習室 キッズライブラリー 貸し小シアター 貸し大シアター アトリエ チケットコーナー兼オフィス
地下一階・一階平面図 等高線+400
❾ ギャラリー ❿ 図書室 ⓫ 倉庫 ⓬ インフォメーションセンター 兼オフィス ⓭ 搬入 ⓮ 図書室 ⓯ 閉架図書
❻
❾ ❼ ❽
1:600 121
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4.
A
5.
Aʼ
⓭ ❶
❸
B
⓬ ⓫
❹
❿
❷
❺ ❻ ❶ ❷ ❸ ❹ ❺ ❻ ❼ ❽
ショップ カフェテリア 屋外ギャラリー ギャラリー スタジオ スタジオ スタジオ 屋外ステージ兼通路
二階平面図 等高線+400
122
1:600
❾ ギャラリー ❿ 劇場 ⓫ 楽屋 ⓬ 待機スペース ⓭ バックヤード
❾ ❼
❽
Bʼ
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 3. 4.
A
❽
❷
B
Aʼ
5.
Bʼ
❶ ❼
❹
❶ ❷ ❸ ❹ ❺ ❻ ❼ ❽
カフェ ギャラリー ギャラリー ワークショップ 屋外ステージ兼通路 屋外シアター レストラン 展望スペース
三階平面図 等高線+400
❸
❻ ❺
1:600 123
124
▼
北側立面図
南側立面図
GL
1:300
▼
125
GL
1:300
GALLERY
BLEACHERS
STUDIO
GALLERY
THEATER
GALLERY
OFFICE
KIDS LIBRARY
LIBRARY
GALLERY STUDIO
LIBRARY
RESTAURANT
THEATER
INFORMATION
126
OUTDOOR
LIBRARY
OPEN GALLERY CINEMA STACK
GALLERY
OPEN
CAFE SHOP
R GALLERY
N LIBRARY
OPEN LIBRARY
PUBLIC
▼
GL
AAʼ断面図
1:300
CAFE WORKSHOP
▼
GL
BBʼ断面図
1:300 127
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 4. 5.
南側ファサード。交差点に面する大きな広場に人々が集う。
128
一面に広がる図書館にギャラリーやシネマが侵食する。利用者の動線が交差する。
0. 1. 1-1. 1-2. 2. 3. 3. 4. 5.
ギャラリーから出てくる人々、ワークショップに参加する人、街から流れ込む人がシェルの上で出会う。
129
茶屋町のビル群を背景に広がるシアター。
それぞれのプログラムがシェルを伝いファサード、階層を超えて、繋がる。 130
北側の道路から伸びるシェル。施設に引き込み、また融け出す。 131
132
0. 1. 1-1. 1-2. 2.
空間を構成する何らかの差異が phase を生み出す。
3.
大通りの横手に現れた裏路地に少し恐怖心と冒険心がくすぐられる感じ。 (明暗の差異)
3. 4.
隣のクラスに入った時の、若干の親しみと新鮮さが入り混じる感じ。 (文化の差異)
5.
慣れ親しんだ町を真夜中に散歩する時の、地に足が着いてないようなふわふわした感じ。 (時間の差異) phase は、日常のさまざまなシーンに潜む。 ほんの少しの強制力、あるいはそれに向かう小さな一歩で空間は大きく彩られる。 phase は、少しの心地良さを失う代わりに、魅力的な違和感を与えてくれる。 あらゆる文化が混在する空間は、その分だけ差異と違和感が存在するだろう。 それらに気後れし描く動線を制限するのではなく、その差異に魅力を見出し動線に彩りを加える。 文化体験物語は新たな phase を紡ぎ果てしなく続く。
133
0.
0.
1.
1.
1-1.
1-1.
1-2.
1-2.
2.
1-3.
3.
2.
4.
3.
4.
5.
5.
134
Other Artworks
「銀の箱庭」
第一課題 : Garden
2回生前前期設計
入選 第52回毎日・DAS学生デザイン賞大学生の部 「金の卵賞」 空間デザイン部門
卒業設計のお手伝いの合間の休憩時間︑ 窓越し映る中庭を一望した︒ 忙しなく動き 回る棟内とは対極に︑ 山中のキャンパス特有の漆黒の夜空の中︑ ほんのりとグランドライトに照らされて︑ 静寂に包まれた中庭に神域の安らぎ を感じた︒
135
Crystal-rize
2回生後後期設計
第四課題 : School
白線の上だけを歩く、 特定の色のタイルの上を跳んで渡る、幼い頃に誰もがそう遊んだと思う。 周囲のありふれたものに必要以上の空間的意味を見出し、 自らの領域や動線として形成する。
なぜなら、子供は近視眼的に空間をとらえるからである。
フラクタルな空間構成の小学校を設計する。 小学校という子供にとっては大き過ぎる空間の中に、全体と同じ形が再現された小さな空間が現れる。 小さな空間の身の回りの柱、回廊、教室、 落とし込まれる影、 そんなありふれたものに自らの居場所を見出す。 同時に、四方に連続して立ち現れる同様の空間に自らの居場所のような親近感を得る。 どこまでが自分の居場所なのか分からない、 むしろどこまでも自分の居場所ではないかと感じる。 居場所は伸縮し、 クラスや学年を超えて居場所が重なり新たなコロニーを晶出する。
136
3回生前後期設計
第六課題 : Music Hall
千紫万紅 の町に紛れる
GL+600 GL±0
GL+500
GL+200
碁盤の目の街区に各時代の様式を遵守した建築と、 それに調和するよう景観条例に沿った建物が広がる三条。 そこから一歩奥 地へ進むと、住人の人柄や住人像が感じられる感性豊かな緑が広がるもう一つの町並みが存在する。内々の緑の先に植物園 を設け、覆われた緑の中に音楽堂を展開する。 聴覚、 嗅覚、 視覚など本能的な部分を刺激する町に紛れた別世界を生み出す。
GL+600
GL±0
1st Floor Plan 1:1000
137
モノをつくると心が疲れる、心が癒されるとモノをつくりたくなる、 そんな3年間だった。 一心不乱に向き合ってきた各課題を俯瞰して現れた 「かかわりの具現化」 という一貫した軸。 本書では、 各課題ごとに 「Diagram of ABCD」 として表した。 「ABCD」 、 訳して 「いろは」 、 つまりは 「基礎・初歩」 。 これから先の設計が、 住宅であろうと、公共施設であろうと、 都市計画であろうと、 この根底を大切に挑んでいきたい。
138
言葉にすることは簡単だけれど、大事な感情を全部拾 い切れているわけではない。 相手に理解できるように 型にはめて加工するのが言葉である以上、 自分のオリ ジナルの想いは、 伝える為に簡略化すればするほど、 抜け落ちてしまう。 しかし、 言葉にしなければ始まらな い。 そのジレンマに踊らされる日々です。
139
しかし同時に、 言葉を介さずともその真意を感じ取れ てしまう瞬間を自分は知っている。圧倒的な自然や芸 術と対峙したとき、心臓の刻む律動が秒針の速度を追 い越してもっと先へ進もう、 と体が突き動かされる。 無 意識のうちに苦しくなり、一呼吸付くことで、 ようやく我 140
に返る。
本書を手に取るあなたは、 綴られた文章から自分の意 図を汲み取ることはできただろうか。 めくるごとに展開 が広がるページから、 想いは伝わったであろうか。 想 いは、 触れた熱だけが確かに伝えている。 未来の自身 の作品が、 エントロピーを凌駕して、 自分の思考領域 以上の解釈と感想を与えてくれるよう願っている。
141
142
作品を作り上げる中でお世話になった先生方、 先輩方、 後輩たち、 家族、 そして同期の皆に感謝して。
143
144