2019年 OECD 経済審査報告書 日本 人口高齢化と高水準の政府債務がもたらす 課題への対応 2019年4月15日 東京
www.oecd.org/eco/surveys/economic-survey-japan.htm
OECD Economics OECD
経済成長は強化されたが重要な課題は残されている 日本は過去6年間でより力強い経済成長を実現してきた。 o 一人当たり実質GDP成長率はOECD平均付近にまで高まった。 o 雇用は女性を中心に力強く推移してきた。
日本は急速な人口高齢化と高水準の政府債務という相互に関連する 課題に直面している。 o 労働力人口の縮小が労働力不足を引き起こしている。 o 高齢者人口の増大が公的支出の増大圧力となっている。 o 政府の財政収支は赤字が続いている。 o 労働生産性や一人当たり所得はOECD上位国をかなり下回っている。 2
一人当たり産出の成長は加速した 1.8 1.6
Japan
OECD
1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0
1997-2012
備考: 一人当たり実質GDPの年率平均成長率。 出典: OECD 経済見通しデータベース。
2012-18 3
2050年の日本の人口は、依然としてOECD加盟国の中 で最も高齢化が進行していることが見込まれる Per cent 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 KOR
2017
USA
CAN OECD GBR
備考:65歳以上人口の20-64歳人口に対する比率。 出典:OECD 人口統計データベース。
2050
FRA
DEU
ITA
JPN 4
労働力人口は減少する見通し Millions 70
Millions 70
65
65
60
60
55
55
50 45 40
Observed Constant entry/exit rates Delayed retirement Closing the gender gap Delayed retirement and closing the gender gap 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050
50 45 40
備考:ベースラインは性別・5歳階級別の労働市場への参入・退出率が一定と仮定。「定年延長シナリオ」では、男女ともに55歳から74歳 までの5歳階級それぞれについて、労働市場からの退出率が10%低下することを仮定。「格差是正シナリオ」では女性の各年齢階級の労働 力参加率が男性と同等の水準に収れんすることを仮定。
出典:OECD人口・労働力見通しデータベースに基づくOECDの試算。
5
高齢化に関わる支出は更に増加する見通し Per cent of GDP 25
Per cent of population 50
Elderly-related social spending (left scale) Share of the population age 65 and older (right scale) 20
40
15
30
10
20
5
10
0
2020
2025
2030
2035
2040
2045
2050
出典:Cabinet Secretariat et al. (2018)、 Fiscal System Council (2018)、 総務省、OECDによる試算。
2055
2060
0 6
粗政府債務残高比率はOECD加盟国で最高水準 g
Per cent of GDP 250 Japan 200
United States
Greece
OECD
150 100 50 0 1990
1995
2000
2005
備考: 粗政府債務残高対GDP比(パーセント)。2018年はOECDによる推計値。 出典:OECD 経済見通しデータベース。
2010
2015 7
日本銀行は多額の国債を保有 As a per cent of GDP, at the end of 2018¹ 100 80 60 40
0
LUX LVA LTU SWE IRL USA SVK FIN NLD AUT DEU BEL SVN FRA PRT GBR ITA ESP JPN
20
1. 日本については2019年3月、米国については2019年1月、スウェーデンについては2018年11月の値。 出典:OECD 経済見通しデータベース。
8
政府債務比率を安定化させるためには 2025年以降の財政健全化が必要 Per cent of GDP
Per cent of GDP
600
600 No improvement in the fiscal balance Primary balance is achieved in 2025 but no further consolidation follows Primary balance is achieved in 2025 and further consolidation of 5.0% of GDP over 2026-35
500
500
400
400
300
300
200
200
100
100
0
2015
2020
2025
2030
2035
2040
2045
2050
2055
2060
0
出典:OECDによる試算。2020年までは OECD 経済見通し第104号、2027年までは内閣府の試算2020(2020年代前半の経済成長率を実質で 2%以上、名目で3%以上とする「成長実現ケース」を用いている)、2060年までは政府による経済成長、歳出、利子率の仮定に基づく。
9
所得水準や生産性はOECD上位国を かなり下回る 日本とOECD上位半数との比較¹ Top half of OECD = 100 120
Top half of OECD = 100 120
Labour inputs
110
110
100
100
90
90 Per capita income
80
80
Labour productivity 70
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
1. 2010年価格及び購買力平価に基づく一人当たりGDP。労働生産性は労働投入1時間当たりのGDP。 出典:OECD経済見通しデータベース。
2014
2016
70 10
急速な人口高齢化の中で労働投入を維持する
11
日本の雇用慣行の抜本的な改革が必要 • 約80%の企業が定年年齢を60歳に設定している:企業が定年年齢を設定する権利 を廃止すべき。 • 賃金が年功と密接に関係している: 賃金設定における職位や成果の重要性を高め るべき。 • 終身(又は長期)雇用が依然として支配的である:職歴の中途段階における流動性 を促進すべき。 要するに、年齢よりも成果に基づく柔軟な雇用・賃金体系への移行により、女性や高 齢者も含めた人的資本の活用の改善が可能となると考えられる。
12
大半の企業が60歳定年制を維持している 企業における定年年齢tの設定 Per cent 100
Per cent 100
80
80
60
60
61 to 64
60
65 and over
40
40
20
20
0
0
2005
2006
2007
2008
2009
出典:厚生労働省「平成29年就労条件総合調査」。
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
13
日本の賃金体系は年功との密接な関係を維持している 終身雇用下の男性の賃金プロファイル、20-24歳 = 100 B. Medium firms
C. Small firms
300
280
280
260
260
260
240
240
240
220
220
220
200
200
200
180
180
180
160
160
160
140
140
140
120
120
120
100
100
100
2006
2016
20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 50-54 55-59 60-64
20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64
300
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(平成18年、平成28年)」。
300 280
20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64
A. Large firms
14
年金支給開始年齢の引上げは年金給付を増加させ、 高齢者の貧困を減少させると考えられる Per cent
退職前の所得に対する将来の年金給付額
100
Per cent 100 80
60
60
40
40
20
20
0
0
GBR MEX POL AUS CHL IRL JPN SVN DEU USA KOR NZL CAN CHE NOR CZE BEL LVA EST OECD GRC SWE FIN HUN FRA SVK ISR ISL TUR ESP PRT LUX AUT ITA DNK NLD
80
備考: 現行法の下で平均的な労働者が加入期間を満了した場合の数値。 出典:OECD (2017), Pensions at a Glance 2017: OECD and G20 Indicators.
15
高齢労働者の技能は若年労働者の技能よりも相当低い 読解能力指数(30-34歳 = 100)
Index 105
Japan
Germany
OECD
United States
Index 105
United Kingdom
100
100
95
95
90
90
85
85
30-34
35-39
40-44
出典:OECD (2018), Working Better with Age.
45-49
50-54
55-59
60-65
16
0 SWE FIN NOR LVA ISL ISR EST CAN DNK PRT BEL FRA LUX SVN DEU CHE NLD NZL GBR AUT AUS USA IRL ESP POL SVK CZE HUN JPN OECD ITA KOR CHL GRC MEX TUR
男女の就業率の格差はOECD平均並みである
Percentage points
男性の就業率と女性の就業率の差、2018年
40
35
30
25
20
15
10
5
出典: OECD 男女データベース。 17
0
LUX BEL GRC SVN ITA DNK TUR NOR NZL HUN POL FRA ISL IRL MEX ESP LTU SWE OECD NLD AUS PRT CHE SVK DEU CZE AUT FIN GBR CAN USA ISR CHL LVA JPN EST KOR
男女の賃金格差はOECD加盟国の中で3番目に大きい フルタイム労働者の中位賃金の男女差の男性の中位賃金に対する比率
Per cent 35
30
25
20
15
10
5
出典: OECD 男女データベース。 18
日本において、指導的地位や特定の職業に占める 女性の割合は低い Per cent 50
A. Female share of managerial employment All ages, 2019
B. The share of doctors who are women in Japan is the lowest in the OECD 2017 or latest year available
Per cent 80
45
70
40
60
35 30
50
25
40
20
30
15
20
10
10
出典: OECD 男女データベース。
JPN KOR USA LUX TUR ISL AUS CHL CHE ISR BEL ITA CAN GRC IRL MEX NZL FRA DEU AUT GBR OECD SWE NOR DNK NLD ESP CZE PRT HUN POL SVK FIN SVN LTU EST LVA
0
KOR JPN TUR LUX CZE CHL DNK NLD ITA DEU GRC FIN ESP AUT ISL OECD FRA SVK BEL ISR PRT CHE CAN IRL GBR AUS MEX EST NOR HUN LTU SWE NZL POL SVN USA LVA
5
0
19
日本の女性は、家事に費やす時間が 男性よりもはるかに多い 対価を伴わない労働に従事する時間の男女差、女性-男性、 15-64歳 Difference in minutes spent Difference in minutes spent 250 250
200
150
150
100
100
50
50
0
0
SWE DNK NOR CAN FIN BEL EST FRA DEU USA GBR SVN NLD NZL LVA POL OECD AUT AUS HUN ESP GRC IRL ITA KOR JPN TUR PRT MEX
200
出典: OECD 男女データベース。
20
非正規雇用は女性に集中している 100
B. Per cent of women aged 15 and above
A. Per cent of men aged 15 and above 100
90
90
80
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
20
20
10
10
0
0
15-24
25-34
35-44
45-54
55-64
出典: 総務省「労働力調査(基本集計)2017年」。
65 and above
Regular Non-regular Self-employed and other
15-24
25-34
35-44
45-54
55-64
65 and above 21
日本は外国人労働者を一層活用することが必要 % of total population 50
外国で出生した人口の比率
40 30 20 10 0
出典: OECD (2018), Education Policy in Japan: Building Bridges towards 2030.
22
日本の人的資源を最大限に活用するための政策提言 •
企業が定年年齢を設定する権利を廃止するとともに、年齢差別を禁じる立法措置を強化すべきである。
•
解雇に関する透明性の高いルールの設定も含め、正規労働者の雇用保護を緩和するための包括的な戦略や、被用者社 会保険の加入対象の拡大、非正規労働者の訓練機会の拡充を通じて労働市場の二重性を打破すべきである。
•
働き方改革における同一労働同一賃金の適用を通じ、年功序列の賃金カーブを平坦化させるべきである。
•
年金支給開始年齢を65歳以上に引き上げるとともに高齢者の雇用機会を拡大し、高齢者の貧困を減少させるべきであ る。
•
生涯学習を改善して、高齢労働者も含めてより身近なものとするとともに、生涯学習への参加に対する時間的・金銭 的制約の問題対処すべきである。
•
新たな年間360時間の残業規制を厳格に適用するとともに、違反事業者に対する罰則を強化し、仕事と生活の調和の改 善を行うべきである。
•
保育所の待機児童の解消に焦点を当て、子供を持つ女性が労働市場からの退出を余儀なくされることが無いようにす べきである。
•
教育と雇用における女性差別を防止する措置を強化すべきである。
•
税制及び給付制度を改革し、就労に対する経済的誘因が両親にとって概ね等しくなるようにすべきである。
•
教育も含め、外国人が日本に順応することを支援するプログラムを提供すべきである。 23
人口減少と高齢化に直面する中で 財政の持続可能性を確保するための政策 24
現行政策の下では、基礎的財政収支赤字は 2025年まで継続する見通し Per cent of GDP 1.0
Per cent of GDP 1.0 Baseline (around 1½ per cent annual nominal growth rate) 0.5 High growth (more than 3% annual nominal growth rate)
0.5
0.0
0.0
-0.5
-0.5
-1.0
-1.0
-1.5
-1.5
-2.0
-2.0
-2.5
-2.5
-3.0
-3.0
-3.5
-3.5
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2024
2025
2026
2027
2028
備考: 2019年1月時点での政府試算。2019年に予定通り消費税率が8%から10%へと引き上げられることを前提としている。基礎的財政収 支は財政年度ベースの国及び地方の対GDP比の数値。 出典: Cabinet Office (2019)。
25
医療・介護費は増加している Trillion yen 16 14 12 10
Health and long-term care spending increase between FY 2000 and FY 2016
14
Total
12
Ageing
10
8 6 4
Total Increase in cost per person
2 0 -2 -4
Trillion yen 16
Revision in medical fees Healthcare 出典: 厚生労働省、総務省、OECDによる試算。
8 6
Increase in recipients
4
Increase in cost per recipient
0
2
-2 Long-term care
-4
26
医療費には縮減の余地がある 2017年又は利用可能な最新年
一人当たり年間 受診回数
外来診療にお ける自己負担 割合(%)
平均在院日数 (合計)1
平均在院日数 (急性期 医療)1
病床数 (合計)2
病床数 (急性期)2,3
病床数 (療養)2,3
介護施設にお ける介護 ベッド数2
12.8
16.9
28.5
16.3
13.1
7.8
2.7
6.5
OECD平均
7.4
31.7
8.4
6.6
4.9
3.7
0.7
7.6
加盟国中の最大値
17.0
59.7
28.5
16.3
13.1
7.8
4.8
12.9
加盟国中の最小値
2.8
12.4
3.8
4.0
1.5
1.5
0.0
0.7
日
本
1. 日数。 2. 1,000人当たりの数値。 3. 病院に設置された病床数。 出典: OECD 保健統計データベース。
27
過剰病床は入院費用の増嵩につながる 都道府県別の一人当たり入院費用、2016年¹ Thousand yen 12.4
Thousand yen 12.4
12.2
12.2
12.0
12.0
11.8
11.8
11.6
11.6
11.4
11.4
-20
-10
0
10
20
30 40 50 Hospital beds in excess of FY 2025 benchmark (%)
1. 縦軸は1,000円単位の数値を自然対数で表示。1単位は100%の差に相当。
出典: 厚生労働省、総務省、OECDによる試算。
28
後発医薬品の使用割合は低い Share of generics in 2017 or latest year available in volume terms1
Per cent of the total phamaceutical market 90
Per cent of the total pharmaceutical market 90
1. 非耐久性医療財を含む。 2. 償還医薬品市場。 3. 地域薬局市場。 出典: OECD 保健統計データベース。
GBR²
CHL³
USA³
DEU²
NZL²
CAN
LVA
NLD
SVK
CZE
TUR
0
DNK³
0
AUT²
10
OECD
10
SVN³
20
NOR
20
ESP²
30
PRT
30
FIN
40
IRL²
40
JPN
50
EST³
50
BEL²
60
FRA²
60
GRC²
70
CHE
70
ITA
80
LUX²
80
29
日本の社会資本ストックは急速に老朽化している Years 25
Years 25
20
20
15
15
10
10
5
1970
1975
1980
1985
備考: 水道、治水、農業等の18部門の加重平均。 出典: 内閣府、総務省、OECDによる試算。
1990
1995
2000
2005
2010
2014
5
30
社会資本の維持管理費には大きな地域差がある In FY 2014
Per capita maintenance cost, thousand yen 3.5
Per capita maintenance cost, thousand yen 3.5
3.0
3.0
2.5
2.5
2.0
2.0
1.5
1.5
1.0
1.0
8.2
8.4
8.6
出典:内閣府、総務省、OECDによる試算。
8.8
9.0
9.2
9.4 9.6 9.8 Per capita public capital stock, million yen
31
40 40
30 30
20 20
10 10
0 0
MEX CHL IRL TUR KOR USA AUS CHE LTU LVA JPN NZL CAN ISR SVK EST GBR ESP POL OECD PRT CZE SVN DEU ISL HUN NOR LUX NLD GRC AUT ITA FIN SWE BEL DNK FRA
税・社会保険料負担は相対的に低い
Per cent 50
税及び社会保険料収入のGDP比、2017年又は利用可能な最新年
出典: OECD 歳入統計データベース。
Per cent 50
32
租税収入における消費税と個人所得税の 割合は相対的に低い 税及び社会保険料収入に対する比率、2017年又は利用可能な最新年 Per cent
Per cent 60
60
50
50 JPN
40
30
OECD OECD
20
JPN
30
OECD
20
JPN JPN OECD
10
0
40
Consumption tax
Personal income tax
出典: OECD 歳入統計データベース。
Social security contribution
Corporate income tax
JPN OECD Property tax
10
0 33
日本の消費税はOECD加盟国の中で 最も低い部類に属する Per cent 30
標準税率、2018年
Per cent 30 25
20
20
15
15
10
10
5
5
0
0
CAN¹ CHE JPN AUS KOR NZL MEX ISR LUX TUR CHL DEU OECD AUT EST FRA SVK GBR BEL CZE LVA NLD ESP ITA SVN IRL POL PRT FIN GRC ISL DNK NOR SWE HUN
25
1. カナダでは、連邦税率に対して州が上乗せの課税を行うことができるため、日本の8%を超える水準の課税が行われている。 出典: OECD Consumption Tax Trends 2018。
34
環境に関する税を引き上げる余地がある
3.5
Energy
3.0
Per cent of GDP 4.0
In 2016
Per cent of GDP 4.0 Motor vehicles
3.5
Other
3.0
出典: OECD (2018), Taxing Energy Use。
DNK
SVN
LVA
ITA
NLD
TUR
FIN
EST
AUT
HUN
PRT
GBR
NOR
SWE
BEL
CZE
POL
SVK
LTU
ISL
DEU
0.0
ESP
0.0
AUS
0.5 LUX
0.5 OECD
1.0
MEX
1.0
CHE
1.5
IRL
1.5
JPN
2.0
NZL
2.0
CHL
2.5
USA
2.5
35
財政の持続可能性を確保するための政策提言 •
具体的な歳出削減策と、更なる漸進的な消費税率の引上げを含めた税収増加策とを備えた包括的な財政健全化計画を策定し、財政の 持続可能性を確保すべきである。
•
長期在院療養を縮減し、在宅ケアへと重点を移すべきである。
•
予防的ケアについて、有効性のあるプログラムに重点を置くとともに、要介護度の低い受給者に対する不要なサービスを対象から外 すことにより、介護保険の給付対象を縮減すべきである。
•
後発医薬品を医療保険の償還基準とし、一層の使用促進を行うべきである。
•
所得と資産を評価する有効なシステムを通じて応能負担原則を確立し、高齢者の自己負担率を引き上げるべきである。
•
健康診断や保健指導の有効性を改善し、健康寿命を延伸すべきである。
•
公共サービスや社会資本の行政区域を越えた共同運営やコンパクトシティの形成を推進すべきである。
•
高齢者の雇用機会を拡大する措置を講じつつ、年金支給開始年齢を65歳以上に引き上げて十分高い水準の所得代替率を維持すべきで ある。
•
歳入構造を転換して、社会保険料の割合を低下させる一方、消費税と個人所得税の割合を高めるべきである。
•
配偶者控除等、労働力参加意欲を減退させる税制及び社会給付制度のゆがみを取り除くべきである。
•
被用者社会保険の対象を拡大するとともに、公的年金制度における法令遵守の改善を確保すべきである。
•
マクロ経済及び財政状況の見通しの評価や財政計画の実行状況の監視を、規範的な政策形成に対する責任から隔離するための措置を 講ずることを含め、財政政策の枠組みを改善すべきである。
36
OECD上位国との生産性格差を 縮小させる 37
大企業と中小企業の間の生産性格差は拡大している Million yen 15
Large enterprises in manufacturing
Million yen 15
12
12
9
9 SMEs in manufacturing
6
6
3
3
0
0
2003
2005
出典:財務省「法人企業統計」。
2007
2009
2011
2013
2015
2017 FY
38
日本における企業の参入率は上昇しているが、 依然として他の主要国よりも低い Rate
Rate 20
20 Japan United States Germany
18 16
France United Kingdom
18 16
14
14
12
12
10
10
8
8
6
6
4
4
2001
2002
2003
2004
2005
2006
出典: 中小企業庁「平成29年度中小企業白書」。
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
39
複数の独立社外取締役を選任する企業の割合は 顕著に増加 東京証券取引所1部上場企業における比率
Per cent 100
Per cent 100
90
90
80
80
70
70
60
60
50
50
40
40
30
30
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20
10
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2010
2011
出典: 日本取引所グループ。
2012
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コーポレートガバナンスの改善は 企業の現金保有の減少に寄与しうる 手元流動性の保有に関する企業と投資家の見解
Per cent
90 80 70
Companies
60
Investors
50 40 30 20 10 0
Levels are excessive 出典: 日本取引所グループ。
Levels are appropriate
Levels are insufficient
No answer 41
より詳しい情報は…
www.oecd.org/eco/surveys/economic-survey-japan.htm OECD Economics OECD 免責事項:イスラエルに関する統計は、関係するイスラエル当局により、その責任の下で提供されたものです。これら統計をOECDが使用することは、国際法の諸規定の下でのゴラン高原、東 イェルサレム、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地域の地位に関して、いかなる先入観を持つものではありません。本文書及び本文書に含まれる地図は、いかなる領域の地位・主権、国際的な 国境及び境界、領域、都市又は地域の名称を毀損するものではありません。
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