常携するカメラで撮影された写真の特性に関する研究 ~カメラの一般化によって生まれたフォトジェニックな空間について~
宮城大学事業構想学部デザイン情報学科 空間デザインコース 4 年 平岡善浩研究室 21322082 早坂涼
常携するカメラで撮影された写真の特性に関する研究 ~カメラの一般化によって生まれたフォトジェニックな空間について~
宮城大学事業構想学部デザイン情報学科 空間デザインコース 4 年 平岡善浩研究室 21322082 早坂涼
1. 背景 ・ 目的 p03 - p06 - 研究の背景 ・ 目的 2. 写真集 p07 - p62 - 分析の対象 ・ 方法 - 回収した写真 ・ データ集 3. 分析データ p63 - p76 - 被写体の分類 - 各種データのマトリクス表 4. 結論 ・ 課題 p77 - p78 - 研究結果と課題、 今後の展望 - 分析結果をもとに作成した写真 5. 付録 p79 - p92 - 発表スライド - 梗概データ - 参考文献 ・ 既往研究
001 背景 ・ 目的
- 研究の背景 ・ 目的 本研究は写真という媒介を用いて、 撮影者の空間認知と感情の関連を明らか にすることを目的としている。 携帯 ・ スマートフォンが一般に普及して久しい 現代において、 情報通信端末に付属するカメラ機能が所有者の空間認知に 関する情報を持つものとして、 その実情を明らかにする。 総務省の調査では、 「平成 26 年における情報通信端末世帯保有率は、 携 帯電話または PHS が 94.6%、 スマートフォンが 64.2%に達した。」 とされて いる。 高性能な情報通信端末の普及により、 写真を撮る機会は増加し、 撮影者の
また、 写真専用のソーシャルネットワーキングサービスである Instagram や Facebook の発展により他者の写真を閲覧する機会が増加し、 写真による企 業広報や一般写真家の作品発表の場として SNS が活用されている。 そこで、 人々が写真によって空間をどのように捉え、 感じているのか分析を行 う必要がある。
03
空間認知の情報を容易に得られるようになった。
120.0
情報通信端末の世帯保有率の推移 (出典) 総務省 「平成26 年通信利用動向調査」 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html 2016年 7 月 15 日アクセス
100.0
80.0
04
60.0
40.0
20.0
0.0 平成12年末 (n=4,278)
平成13年末 平成11年末 (n=3,845) (n=3,657)
平成14年末 平成12年末 (n=3,673) (n=4,278)
平成15年末 平成13年末 (n=3,354) (n=3,845)
平成16年末 平成14年末 (n=3,673) (n=3,695)
平成17年末 平成15年末 (n=3,354) (n=3,982)
平成18年末 平成16年末 (n=4,999) (n=3,695)
平成19年末 平成17年末 (n=3,640) (n=3,982)
平成20年末 平成18年末 (n=4,515) (n=4,999)
平成21年末 平成19年末 (n=4,547) (n=3,640)
平成22年末 平成20年末 (n=22,271) (n=4,515)
平成23年末 平成21年末 (n=16,530) (n=4,547)
平成24年末 平成22年末 (n=20,418) (n=22,271)
平成25年末 平成23年末 (n=15,599) (n=16,530)
平成26年 平成24年末 (n=16,529) (n=20,418) (単位:%)
固定電話
固定電話
FAX
携帯情報端末
携帯情報端末
(再掲)スマートフォン
(再掲)スマートフォン
パソコン
カー・ナビゲーション・システム
インターネットに接続できるテレビ インターネットに接続できるテレビ ETC車載器
ETC車載器
(再掲)ワンセグ放送対応携帯電話(再掲)ワンセグ放送対応携帯電話
インターネットに接続できる携帯型音楽プレイヤー インターネットに接続できる携帯型音楽プレイヤー 携帯電話またはPHS
携帯電話またはPHS
インターネットに接続できる家庭用テレビゲーム機 インターネットに接続できる家庭用テレビゲーム機
その他インターネットに接続できる家電(情報家電)等 その他インターネットに接続できる家電(情報家電)等 タブレット型端末
FAX
タブレット型端末
パソコン
ウェアラブル端末
ウェアラブル端末
カー・ナビゲーション・システム
平成25年末 (n=15,599)
平成26年 (n=16,529) (単位:%)
カメラが人間の生活に、 身体に、 密着していくにつれて、 私達は心の機微に 対応した写真を撮ることが多くなった。 つまり、 カメラの一般化により、 私たちが日常風景をどのように捉え、 感じて
05
いるのか、 写真から情報を得ることが可能となったのだ。
かつて、 写真は成人式や旅行などイベント時に利用される、 フォーマルな物 であった。 しかし、 安価なデジカメや現代のスマートフォンの普及によって、 写真が一般 的な物となっていった。
ハレ
ケ
06
これは写真の役割に、 ハレとケの概念が生まれたと言うこともできる。
- 写真集 本研究では写真投稿とアンケート調査を行うための、 宮城大学学生向けの専 用の掲示板を作成し 「なんとなく撮った日常の写真」 をアップロードしてもらう 形で写真を収集した。 情報端末を日常的に携帯し、 SNS 利用率が高い 20 代以下の学生は、 カメラ機能の使用頻度が高く写真データが得られやすいと
002 写真集
考え、 対象に選定した。 写真投稿の際には、 以下の 4 項目のアンケートにも回答してもらった。 1. 性別 2. 年齢 3. 職業 (学科)
また、 以下の 5 項目を写真から抽出し、 要素として扱った。 5. 被写体 (3 つ) 6. 色彩 (色彩の面積が多いものをメインカラー、 サブカラー①、 サブカラー ②として 3 つ抽出) 7. 各色彩の彩度 8. 明度 9. 写真内の消失点の有無
07
4. 感情 (喜び、 悲しみ、 好奇心、 愛しさ、 リラックス、 シェア、 感動の計 7 種)
写真と感情を投稿することができる掲示板を作成 し、 「なんとなく撮った写真」 をアップロードしても らう形で写真とアンケートを回収した。 調査期間は 2016 年 6 月 25 日~ 7 月 9 日まで の 2 週間とした。
08
写真の収集方法
(URL) 『専用掲示板』 http://www.kikuya-rental.com/bbs/?owner_name=photothesis 2016年 7 月15日アクセス
SNSの年代別利用率
主な調査対象は、 携帯端末を日常的に持ち歩きS
【20代以下】 利用率
NS利用率が高く、 写真データの回収が行いやす
70.0
いと考えられる 20 代以下の学生とした。
60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0
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mixi
LINE
(出典) 総務省 「社会課題解決のための新たな ICT サービス ・ 技術へ の人々の意識に関する調査研究」 (平成 27 年) 2016年 7 月15日アクセス
【30代】 利用率
【50代】 利用率
50.0
35.0
45.0 35.0
25.0
30.0
20.0
25.0 20.0
15.0
15.0
10.0
10.0
5.0
5.0 0.0
09
30.0
40.0
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LINE
0.0
【40代】 利用率
Twi�er
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LINE
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【60代以上】 利用率
45.0
25.0
40.0 20.0
35.0 30.0
15.0
25.0 20.0
10.0
15.0 10.0
5.0
5.0 0.0
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0.0
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性別 年齢 職業 (学科) 被写体① 被写体② 被写体③ 感情 photo
メインカラー RGB
10
写真内の消失点の有無 彩度 明度 サブカラー①RGB 彩度 明度 サブカラー②RGB 彩度 明度 一言
サブ メイン サブ カラー カラー カラー ① ②
女 22 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 構築物 喜び 160,160,192 17% 75% 128,128,160 20% 63% 128,128,128 0% 50% 1 階茶の間から外に出て撮影 自宅
11
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築物 建築要素 好奇心 128,128,128 0% 50% 160,160,160 0% 63% 128,128,96 25% 50% じっと見ていたい、 吸い込まれる感覚。 空間の中に自分が居るという実感。 青森皆んなで行った時
12
あり
女 22 歳 デザイン情報 構築物 空 ・ 天体 植物 好奇心 32,32,32 0% 13% 224,224,224 0% 88% 192,192,224 14% 88% 今日もかっこいいなぁ 鶴ヶ谷あたりの電波塔
13
あり
女 22 歳 デザイン情報 建築要素
好奇心 32,32,32 0% 13% 96,96,96 0% 38% 64,64,32 50% 25% いつも通る道がかっこよくて綺麗に見える 大学
14
あり
女 22 歳 デザイン情報 構築物 空 ・ 天体 建築物 リラックス 128,160,192 33% 75% 160,160,192 17% 75% 192,192,224 14% 88% 面白い信号だなぁ なんかスッキリしないダサさが田舎っぽくてかわいい 吉岡商店街あたり
15
なし
女 22 歳 デザイン情報 構築物 空 ・ 天体 喜び 0,0,0 0% 0% 32,32,32 0% 13% 32,32,0 100% 13% 月が綺麗ですね 帰宅後玄関から家に入る前に撮影
16
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 植物 リラックス 0,0,0 0% 0% 32,32,32 0% 13% 32,32,0 100% 13% 月が綺麗ですね 帰宅後玄関から家に入る前に撮影
17
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築要素
好奇心 64,64,32 50% 25% 64,64,64 0% 25% 96,64,64 33% 38% 照明おもしろい まるかんでぱーと アイス食べるために注文待ちの時
18
なし
男 21 歳 デザイン情報 空 ・ 天体
リラックス 32,64,96 67% 38% 64,64,96 33% 38% 128,128,160 240% 63% 気持ち良いな~と
19
なし
男 21 歳 デザイン情報 建築物 建築要素 雑貨類 好奇心 64,64,64 0% 25% 96,96,96 0% 38% 96,64,64 33% 38% 昭和の夜風景を想像して、 行ってみたいなと
20
あり
男 23 歳 デザイン情報 空 ・ 天体 植物 リラックス 250,250,250 0% 98% 224,224,224 0% 88% 192,192,192 0% 75% ビルとビルの隙間に自生してて、 入ってくる光が綺麗であたたかそうだったから
21
なし
男 21 歳 デザイン情報 空 ・ 天体 水面 雑貨類 リラックス 192,224,240 20% 94% 192,224,224 14% 88% 192,192,224 14% 88% 釣りしてて電波が圏外で本当に何もすることなくて 手持ち無沙汰で撮った 題名 「雑魚しか釣れねぇ」
22
なし
女 22 歳 デザイン情報 空 ・ 天体 構築物 植物 好奇心 96,160,224 57% 88% 96,160,192 50% 75% 128,192,224 43% 88% 綺麗だぁ風立ちぬみたい アルバイトに行く途中、 車から撮影
23
あり
女 22 歳 看護 飲食物
感動 224,224,224 0% 88% 96,32,0 100% 38% 224,224,192 14% 88% 旅行中お腹が空いてるときに 1 時間くらい並んで このカツを食べました 目の前に来た時は感動し、 写真を撮ったらおいしそうに撮れてまた更に感動した1枚です
24
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 構築物 悲しみ 224,224,224 0% 88% 192,192,192 0% 75% 64,64,64 0% 25% 東京→仙台の高速バスの中 東京は暴風雨やったのにわたしはハッピーで、 東京離れてわたしはゲキ泣きなのに晴れてきてムカついた。
25
なし
女 23 歳 事業構想研究科 建築物 空 ・ 天体 植物 シェア 160,192,224 29% 88% 224,224,240 7% 94% 32,32,32 0% 13% 雨上がりの晴天
26
なし
男 23 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 乗り物 感動 64,32,32 50% 25% 32,32,32 0% 13% 64,64,64 0% 25% 夜更かしして遊んだ日の出が美しくて、 心打たれた
27
あり
男 23 歳 デザイン情報 建築物 建築要素 雑貨類 好奇心 32,0,0 100% 13% 64,32,32 50% 25% 32,32,32 0% 13% どこかに吸い込まれそう
28
あり
男 23 歳 デザイン情報 構築物 建築要素 雑貨類 悲しみ 32,32,32 0% 13% 96,96,96 0% 38% 64,64,64 0% 25% どこにも行けない
29
あり
男 23 歳 デザイン情報 建築物 建築要素 構築物 リラックス 32,32,32 0% 13% 0,0,0 0% 0% 96,96,64 33% 38% 静かでひとりぼっちな気分
30
あり
男 23 歳 デザイン情報 雑貨類
好奇心 32,32,32 0% 13% 64,32,32 50% 25% 64,64,32 50% 25% ここだけ時間に取り残されたようだ
31
なし
女 20 歳 デザイン情報 空 ・ 天体 植物 水面 感動 224,192,192 14% 88% 160,160,192 17% 75% 192,192,192 0% 75% 宮城大学の池の前で撮りました。 ふと見たときに出会った景色です!
32
あり
女 20 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 構築物 感動 32,0,0 100% 13% 0,0,0 0% 0% 160,192,192 17% 75% 徹夜明けの朝日
33
なし
女 20 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 植物 リラックス 128,96,64 50% 50% 96,64,32 67% 38% 160,128,128 20% 63% 松島の桜
34
なし
女 22 歳 デザイン情報 飲食物 雑貨類 喜び 128,96,64 50% 50% 160,128,96 40% 63% 160,128,128 20% 60% 生ハムがお皿にびっしり張り付いているのが 面白くて思わず撮ってしまった写真です
35
なし
女 21 歳 デザイン情報 空 ・ 天体 乗り物 感動 160,160,192 17% 75% 0,32,64 100% 25% 32,64,128 75% 50%
36
なし
女 22 歳 デザイン情報 水面 人 感動 32,128,128 75% 50% 0,96,96 100% 38% 32,96,128 75% 50% 21 世紀美術館のスイミングプールを下から見た時に、 水の動きが写っているのがすごく綺麗だったので撮りました
37
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築物 建築要素 雑貨類 好奇心 192,192,192 0% 75% 64,64,64 0% 25% 128,128,128 0% 50% シンガポールのショッピングモールが たくさん並んでる通りにオブジェが置いてあって おもしろいと思って撮りました
38
なし
女 21 歳 デザイン情報 建築物 人 植物 喜び 0,0,0 0% 0% 128,160,96 40% 63% 128,128,96 25% 50%
39
なし
女 21 歳 デザイン情報 飲食物
喜び 192,224,224 14% 88% 32,64,64 50% 25% 32,32,32 0% 13%
40
なし
女 21 歳 デザイン情報 建築要素 人 建築物 感動 0,0,32 100% 13% 32,32,64 50% 25% 0,0,0 0% 0%
41
なし
女 21 歳 デザイン情報 動物 空 ・ 天体 植物 喜び 192,224,224 14% 88% 64,32,32 50% 25% 160,128,64 60% 63%
42
なし
女 21 歳 デザイン情報 建築物 その他 好奇心 64,64,64 0% 25% 96,96,96 0% 38% 96,96,64 33% 38% どこかの建物の壁。 石がゴツゴツしてて、 触りたくなる感じ。
43
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築物 建築要素 乗り物 愛しさ 32,32,32 0% 13% 64,64,64 0% 25% 32,32,0 100% 13% 思い出の場所です
44
あり
女 20 歳 デザイン情報 飲食物
感動 0,0,0 0% 0% 32,32,0 100% 13% 32,32,32 0% 13% 1 個 100 円の卵で作ったたまごかけごはん
45
なし
女 20 歳 デザイン情報 飲食物 建築要素 雑貨類 愛しさ 192,160,128 33% 75% 160,128,64 60% 63% 32,32,32 0% 13% 新潟の弥彦神社近くの昔ながらのお店の前で ラムネが冷やされてました 、 緑がかわいい
46
なし
女 20 歳 デザイン情報 飲食物 雑貨類 愛しさ 0,0,0 0% 0% 64,64,64 0% 25% 32,32,32 0% 13% 母の実家が商店なので昔からタダでアイスを食べてました
47
なし
女 21 歳 デザイン情報 建築要素
感動 160,96,64 60% 63% 128,64,32 75% 50% 192,128,96 50% 75% 床の木のタイルがオシャレ 、 と思って撮りました。
48
なし
男 21 歳 デザイン情報 雑貨類
好奇心 224,224,192 14% 88% 32,32,32 0% 13% 64,64,64 0% 25% 靴下を選択したらめっちゃ縮みました
49
なし
女 20 歳 デザイン情報 構築物 人 その他 リラックス 192,192,160 17% 75% 160,160,160 0% 63% 160,160,128 20% 63% チャリ乗ったら影がいい感じだったので
50
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築要素 人 シェア 0,0,0 0% 0% 32,32,32 0% 13% 0,0,32 100% 13% 最高ありがとうスリップノット
51
あり
女 21 歳 デザイン情報 雑貨類
シェア 128,96,96 25% 50% 96,96,96 0% 38% 96,64,64 33% 38% 恋人たちの狂気を感じた
52
なし
女 22 歳 デザイン情報 空 ・ 天体 植物 人 感動 64,128,32 75% 50% 32,96,32 67% 38% 32,96,0 100% 38% 緑と青が画面に大きく半分ずつ、 広大できれい!
53
なし
女 23 歳 事業構想研究科 動物 雑貨類 シェア 32,32,32 0% 13% 64,64,32 50% 25% 128,96,64 50% 50% 2 段ベッド
54
なし
女 23 歳 事業構想研究科 建築物 建築要素 雑貨類 シェア 32,32,32 0% 13% 64,64,32 50% 25% 64,64,64 0% 25%
55
なし
男 21 歳 デザイン情報 植物 構築物 リラックス 96,96,96 0% 38% 32,32,32 0% 13% 96,96,64 33% 38% 緊張する〜
56
あり
女 21 歳 デザイン情報 水面 空 ・ 天体 植物 感動 32,32,32 0% 25% 64,64,64 0% 25% 96,96,96 0% 38%
57
なし
男 22 歳 デザイン情報 建築物 構築物 空 ・ 天体 好奇心 64,64,64 0% 25% 32,32,32 0% 13% 224,224,224 0% 88% 何かのお店だったのかな。
58
なし
男 22 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 構築物 好奇心 64,128,128 50% 50% 160,240,240 33% 94% 160,224,240 33% 94% スカイパンション。
59
なし
女 22 歳 デザイン情報 建築要素 雑貨類 愛しさ 128,96,96 25% 50% 96,96,64 33% 38% 96,64,64 33% 38% いつも見てた天井
60
なし
女 21 歳 デザイン情報 飲食物
喜び 224,96,64 71% 88% 160,32,32 80% 63% 192,32,32 83% 75% ジャムを作る準備が整った嬉しさ
61
なし
女 21 歳 デザイン情報 構築物 植物 好奇心 64,64,64 0% 25% 64,96,64 33% 38% 96,96,64 33% 38% スロープと階段の境界が面白いな〜と思って撮りました。
62
なし
- 分析データ 分析は、 写真投稿と共に記述してもらった 1. 性別 2. 年齢 3. 職業 (学科) 4. 感情 (喜び、 悲しみ、 好奇心、 愛しさ、 リラックス、 シェア、 感動の計 7 種) の 4 項目 写真から抽出した 5. 被写体 (3 つ)
7. 各色彩の彩度 8. 明度 9. 写真内の消失点の有無 の 5 項目 計 9 つの情報について分析を行った。 7 種の感情は吉川らによる 「表情による感情メッセージの伝達」 で用いられた 表情を形成する 5 つの感情を参考に、 写真撮影特有の感情としてシェア、 感動という項目を追加し決定した。 これら各種項目のマトリクス表を作成し、 各データ間の関連の強さについて分 析を行った。
63
②として 3 つ抽出)
分析データ
6. 色彩 (色彩の面積が多いものをメインカラー、 サブカラー①、 サブカラー
収集した写真には 73 種の被写体要素を確認することができた。 これらの要 素を KJ 法によってグルーピングした結果、 「構築物、 建築物、 乗り物、 建 築要素、 雑貨類、 人、 飲食物、 動物、 植物、 水面、 空 ・ 天体、 その他」 の 12 種類の被写体群に分類することができた。
KJ法による被写体要素のグルーピング(被写体群の抽出) No.
構築物
建築物
乗り物
建築要素
雑貨類
人
飲食物
動物
植物
水面
空・天体
その他
高架
体育館
飛行機
階段
テーブル
足
アイス
犬
桜
海
雲
影
2
電柱
建物
バイク
天井
時計
人
ケーキ
馬
草原
池
空
岩
3
電波塔
店舗
車
床
本
手
いちご
森
プール
虹
4
道路
民家
自転車
壁
ポスター
飲み物
植栽
水
太陽
5
信号機
蛇口
バケツ
ラムネ
木
水槽
月
6
フェンス
窓
エアコン
ごはん
草むら
7
ガードレール
廊下
タオル
たまご
田んぼ
8
照明
靴下
とんかつ
校庭
9
照明器具
椅子
生ハム
10
冷凍庫
11
釣竿
12
南京錠
13
カラーコーン
14
オブジェ
15
提灯
64
1
計
人を中心としたスケール感
73種
被写体群の割合 No.
被写体群
数
各要素の数は、 空 ・ 天体、 建築物、 建具類の
割合
1
構築物
13
11%
順に多く、 これらの要素は被写体となりやすく、 フォ
2
建築物
19
16%
トジェニックであることがわかった。
3
乗り物
3
3%
4
建築要素
16
13%
5
雑貨類
13
11%
6
人
6
5%
7
飲食物
7
6%
8
動物
2
2%
9
植物
13
11%
10
水面
5
4%
21
18%
2
2%
11
空・天体
12
その他
120
65
総数
被写体群の割合 2% 18%
構築物
11%
建築物 16%
4%
乗り物 建築要素 雑貨類
3%
11% 2% 6%
13% 5%
11%
人 飲食物 動物 植物
写真を撮影する際の感情に着目すると、 好奇心、 感情情報の割合 No.
感情
数
感動、 リラックスの順で多く、 情報通信端末のカ
割合
喜び
5
10%
2
悲しみ
2
4%
3
好奇心
15
29%
4
愛しさ
4
8%
5
リラックス
10
19%
6
シェア
5
10%
7
感動
11
21%
総数
52
メラ機能は好奇心を抱いた際に利用されることが 多いことがわかった。
66
1
感情情報の割合
21%
10% 喜び
4%
悲しみ 好奇心 愛しさ
10%
29%
リラックス シェア
19%
感動 8%
感情と被写体のマトリクス表を作成した結果、 建築物と好奇心の組み合わせ が最も多く、 次いで構築物と好奇心、 建具類と好奇心、 空・天体とリラックス、 空 ・ 天体と感動の組み合わせが同数で二番目に多かった。 これらの結果から、 建築物は人に好奇心の感情を与え、 写真撮影を促すこと がわかった。 被写体群と感情情報のマトリクス表(数) 悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
構築物
1
2
5
0
4
0
1
建築物
1
1
8
1
4
2
2
乗り物
0
0
0
1
0
0
2
建築要素
0
1
7
3
1
2
2
雑貨類
1
1
4
3
1
3
0
人
0
0
0
0
2
1
3
飲食物
3
0
0
2
0
0
2
動物
1
0
0
0
0
1
0
植物
1
0
3
0
5
1
3
水面
0
0
0
0
1
0
4
空・天体
2
1
5
0
6
1
6
その他
0
0
1
0
1
0
0
総数
120
67
喜び
感情と被写体のマトリクス表を割合で分析した結果、 空 ・ 天体がリラックス、 感動といった感情との関連が強いことがわかった。 また、 愛しさ、 シェアの 感情は比較的人間的スケールに近いもの (建築要素 ・ 雑貨類 ・ 飲食物) と の関連が強いことがうかがえる。
被写体群と感情情報のマトリクス表(割合) 悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
構築物
20%
100%
33%
0%
40%
0%
9%
建築物
20%
50%
53%
25%
40%
40%
18%
乗り物
0%
0%
0%
25%
0%
0%
18%
建築要素
0%
50%
47%
75%
10%
40%
18%
20%
50%
27%
75%
10%
60%
0%
雑貨類 人
0%
0%
0%
0%
20%
20%
27%
飲食物
60%
0%
0%
50%
0%
0%
18%
動物
20%
0%
0%
0%
0%
20%
0%
植物
20%
0%
20%
0%
50%
20%
27%
水面 空・天体 その他
0%
0%
0%
0%
10%
0%
36%
40%
50%
33%
0%
60%
20%
55%
0%
0%
7%
0%
10%
0%
0%
総数
120
68
喜び
抽出した写真の色彩を日本色研配色体系 (PCCS) によって定義された 12 色相環と無彩色 3 色の計 15 色に分類し、 感情情報とのマトリクス表 (数) を作成し関連の調査を行った結果、 赤と黄などの暖色と好奇心 ・ リラックスの 感情の関連、 黒色と好奇心 ・ 感動との関連が見られた。 色彩情報と感情情報のマトリクス表(数) R
G
B
喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
1
FF0000
255
0
0
3
0
0
1
2
1
4
2
FF8000
255
128
0
1
0
7
3
7
2
2
3
FFFF00
255
255
0
0
0
0
0
1
0
0
4
80FF00
128
255
0
0
0
1
0
0
0
3
5
00FF00
0
255
0
0
0
0
0
0
0
0
6
00FF80
0
255
128
3
0
2
0
1
0
3
7
00FFFF
0
255
255
0
0
5
0
2
1
2
8
0080FF
0
128
255
2
0
3
0
3
2
5
9
0000FF
0
0
255
0
0
0
0
0
0
0
10
8000FF
128
0
255
0
0
0
0
0
0
0
11
FF00FF
255
0
255
0
0
0
0
0
0
0
12
FF0080
255
0
128
0
0
0
0
0
0
0 10
13
000000
0
0
0
2
3
16
6
8
6
14
808080
128
128
128
3
1
8
2
3
3
1
15
FFFFFF
255
255
255
1
2
3
0
3
0
3
総数
156
69
カラーコード
写真が持つ色彩と感情データのマトリクス表 (割合) を作成し関連の調査を行っ た結果、 黒色は多くの感情との関連を持つ、 感情の喚起されやすい色であ るとわかったが、 特に悲しみ ・ 愛しさ ・ シェアとの強い関連が見られた。 また、 白色は悲しみとの関連があることがわかった。 色彩情報と感情情報のマトリクス表(割合) R
G
B
喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
1
FF0000
255
0
0
20%
0%
0%
8%
7%
7%
12%
2
FF8000
255
128
0
7%
0%
16%
25%
23%
13%
6%
3
FFFF00
255
255
0
0%
0%
0%
0%
3%
0%
0%
4
80FF00
128
255
0
0%
0%
2%
0%
0%
0%
9%
5
00FF00
0
255
0
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
6
00FF80
0
255
128
20%
0%
4%
0%
3%
0%
9%
7
00FFFF
0
255
255
0%
0%
11%
0%
7%
7%
6% 15%
8
0080FF
0
128
255
13%
0%
7%
0%
10%
13%
9
0000FF
0
0
255
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
10
8000FF
128
0
255
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
11
FF00FF
255
0
255
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
12
FF0080
255
0
128
0%
0%
0%
0%
0%
0%
0%
13
000000
0
0
0
13%
50%
36%
50%
27%
40%
30%
14
808080
128
128
128
20%
17%
18%
17%
10%
20%
3%
15
FFFFFF
255
255
255
7%
33%
7%
0%
10%
0%
9%
総数
156
70
カラーコード
メインカラーと感情データのマトリクス表 (数) を作成し関連の調査を行った結 果、 メインカラー以外も含めた分析結果と同様に、 黒色と好奇心の関連が強 くみられた。
メインカラーの色彩情報と感情情報のマトリクス表(数) R
G
B
喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
1
FF0000
255
0
0
2
0
0
1
1
0
1
2
FF8000
255
128
0
0
0
2
0
1
0
0
3
FFFF00
255
255
0
0
0
0
0
0
0
0
4
80FF00
128
255
0
0
0
0
0
0
0
1
5
00FF00
0
255
0
0
0
0
0
0
0
0
6
00FF80
0
255
128
2
0
1
0
0
0
1
7
00FFFF
0
255
255
0
0
2
0
2
1
0
8
0080FF
0
128
255
1
0
0
0
0
0
2
9
0000FF
0
0
255
0
0
0
0
0
0
0
10
8000FF
128
0
255
0
0
0
0
0
0
0
11
FF00FF
255
0
255
0
0
0
0
0
0
0
12
FF0080
255
0
128
0
0
0
0
0
0
0
13
000000
0
0
0
0
1
8
2
4
3
4
14
808080
128
128
128
0
0
1
1
1
1
0
15
FFFFFF
255
255
255
0
1
1
0
1
0
2
総数
52
71
カラーコード
分析の結果、 写真の感情情報は一般に色に対して抱く感情とは異なる傾向を みせることがわかった。 これは写真の場合、 色彩以外の情報が人々に感情を 喚起させているためだと考えられる。 色彩と感情の関係性
属性種別
色の例
感情の例
暖かい
赤
激情・怒り・歓喜・活力的・興奮
積極的
赤・黄
喜び・はしゃぎ・活発さ・元気
活動的
黄
快活・明朗・愉快・活動的・元気
中庸
緑
安らぎ・寛ぎ・平静・若々しさ
中性色 平静
紫
厳粛・優婉・神秘・不安・やさしさ
冷たい
青・緑
安息・涼しさ・憂鬱
消極的
青・緑
落ち着き・淋しさ・悲哀・深遠・沈静
沈静的
青・紫
神秘・崇高・孤独
明
陽気・明朗
白
純粋・清々しさ
中
落ち着き
灰
落ち着き・抑鬱
暗
陰気・明朗
黒
陰鬱・不安・厳めしい
高
新鮮・はつらつ 朱
熱烈・激しさ・情熱
中
寛ぎ・温和
愛らしさ・やさしさ
低
渋み・落ち着き 茶
暖色
色相
感情の性質
寒色
明度
彩度
ピンク
落ち着き
72
平凡
彩度と感情のマトリクス表を数で分析した結果、 ほとんどの写真が彩度の低い 色彩を持っていることがわかった。 特に、 好奇心、 リラックスの感情は彩度 0% ~ 10% 程度の彩度の低い色彩との関連が強いことがわかった。
彩度と感情情報のマトリクス表(数) 喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
1
0%~10%
0
2
9
2
6
3
3
2
11%~20%
3
0
1
0
2
0
2
3
21%~30%
0
0
0
1
0
2
0
4
31%~40%
0
0
1
1
0
0
0
5
41%~50%
1
0
2
0
1
0
1
6
51%~60%
0
0
1
0
0
0
1
7
61%~70%
0
0
0
0
1
0
0
8
71%~80%
1
0
0
0
0
0
2
9
81%~90%
0
0
0
0
0
0
0
10
91%~100%
0
0
1
0
0
0
2
総数
52
73
彩度
明度と感情のマトリクス表を数で分析した結果、 彩度に比べるとデータのばら つきが見られたが、 特に好奇心の感情と明度 11% ~ 30% 程度の色彩の関 連が強くみられた。 また、 リラックス、 感動の感情も 0% ~ 20% の明度の低 い色彩との関連が見られたが、 喜びの感情は明度 81% ~ 90% の明度の高 い色彩との関連が見られた。
明度と感情情報のマトリクス表(数) 喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
1
0%~10%
0
0
0
1
3
1
1
2
11%~20%
0
1
4
1
1
2
3
3
21%~30%
0
0
5
0
0
0
1
4
31%~40%
0
0
0
0
2
0
0
5
41%~50%
0
0
0
0
0
0
0
6
51%~60%
1
0
2
1
1
1
2
7
61%~70%
0
0
0
0
0
0
1
8
71%~80%
1
0
2
1
1
0
1
9
81%~90%
3
1
2
0
0
1
2
10
91%~100%
0
0
0
0
2
0
0
総数
52
74
明度
写真内の消失点の有無と感情情報のマトリクス表を分析した結果、 好奇心の 感情と消失点がないことに関連が見られた。 また、 感動の感情と消失点がな いことにも関連が見られた。
消失点の有無と感情情報のマトリクス表
なし
ありの割合 なしの割合
喜び
0
5
0%
10%
悲しみ
1
1
2%
2%
好奇心
5
10
10%
19%
愛しさ
1
3
2%
6%
リラックス
3
7
6%
13%
シェア
1
4
2%
8%
感動
2
9
4%
17%
総数
52
75
あり
写真内の消失点の有無と被写体群のマトリクス表を分析した結果、 多くの被 写体群が消失点なしの方が割合的に多かったが、 建築要素と乗り物に関して は消失点あり、 もしくはありとなしが同数程度存在することがわかった。
消失点の有無と被写体群のマトリクス表
なし
ありの割合 なしの割合
構築物
4
9
31%
69%
建築物
7
12
37%
63%
乗り物
2
1
67%
33%
建築要素
8
8
50%
50%
雑貨類
2
11
15%
85%
人
2
4
33%
67%
飲食物
0
7
0%
100%
動物
0
2
0%
100%
植物
4
9
31%
69%
水面
1
4
20%
80%
空・天体
3
18
14%
86%
その他
0
2
0%
100%
総数
120
76
あり
- 結論 ・ 課題 当初は、 スマートフォンで撮影された写真独自の情報として、 位置情報に関 する調査も必要であると考えたが、 実際に写真を集めてみると位置情報機能 をオフにして撮影された写真が多く、 スマートフォンの GPS 機能は使用率が 低いことがわかった。 写真撮影は、 写真には写らない周辺状況にも大きな影響を受けると考えられ るため、GPS情報だけでなく天気や時間帯などさらに詳細な写真が持つ情報に ついて分析する必要がある。 また、 今回の調査は調査対象が限定的であることに注意し、 今後は他の年 代の調査も行う必要がある。 今回はアンケートサイトを作成する形で行ったが、 既往研究にあるように SNS タについて分析することが可能となる。 より多くに人々の写真データを拐取する
77
を用いたデータの回収方法も考えられ、 SNS を用いることで膨大な量のデー ため、SNSの利用についても検討する必要性がある。
デジタルネイティブと言われる平成生まれの世代、 特に 94 年生まれ以降の 若者は、 高校入学とスマートフォンの登場がほぼ同時期であり、 初めての情 報通信端末がスマートフォンだという人も少なくない。 SNS に写真を投稿した経験がある人も多いのではないかと思われる。 SNS 上では、 一般の写真に混ざって写真による企業広告なども数多く行われ、 デ ジタルマーケティングの手法としても写真が注目されている。 そこで今回の研究結果を応用して、 フォトジェニックな空間を意図的に生み出 すことで、 建築物にフォトジェニックという経済的な価値を付加することも可能 であると考えられる。 これにより、 これまでの床本位制とは違った視点で建築 を捉えることが可能になるかもしれない。
004 結論 ・ 課題
Instagram や Facebook など、SNS の普及は私達に写真撮影を促している。
男 22 歳 デザイン情報 建築物 空 ・ 天体 建築要素 好奇心 32,32,32 0% 13% 64,64,64 0% 25% 96,96,96 0% 38% これは分析結果を元に作成した最もフォトジェニックな写真である。 好奇心を喚起する建築物、 空 ・ 天体、 建築要素の被写体群を用 いて一点透視のパースペクティブを描いた。 色彩は黒を中心にブレーキランプや繁華街のネオンに赤を用いた。 最もフォトジェニックな空間は、 私たちの身近に潜んでいた。
78
あり
- 付録 研究発表の際に提出した梗概データ、 発表用スライドを付録として添付した。 ・ 発表スライド 計 10 枚 ・ 梗概データ 計 2 ページ (両面印刷) デザイン情報研究発表会 (空間デザインコース) 会場 403 講義室 発表 4 分
005 付録
79
質疑応答 4 分
発表スライド①
80
写真の被写体と色彩情報に見る感情情報の関連の研究 ~日常携帯するカメラで撮影された写真の感情について~
事業構想学部デザイン情報学科 空間デザインコース 年 平岡善浩研究室 早坂涼
発表スライド②
情報通信端末の普及によるカメラ利用の変化 カメラの一般化による、写真におけるハレとケの概念の誕生 総務省の調査では、「平成
、
%に達した。」
とされており、カメラ機能が広く一般に普及している。
研究背景と目的
が
81
スマートフォンが
年における情報通信端末世帯保有率は、携帯電話または
発表スライド③
研究の目的 写真を通じて人々が空間をどのように捉え、感じているのか明らかにする
82
カメラの一般化によって、私たちは心の機微に対応した写真を撮影することが多くなった
研究背景と目的
発表スライド④
研究の対象と方法 宮城大学学生向けのアンケート掲示板の作成 「なんとなく撮った日常の写真」のアップロードとアンケート調査(回答数︓延べ
人)
・性別
・年齢
・職業(学科)
・感情(喜び、悲しみ、好奇心、愛しさ、リラックス、シェア、感動の計 種) 写真から抽出した項目 ・被写体( つ)
・色彩(メインカラー、サブカラー①、サブカラー②)
・各色彩の彩度
・各色彩の明度
・写真内の消失点の有無
出典:<http://www.kikuyaーrental.com/bbs/?owner_name=photothesis>2016年7月
研究の対象と方法
83
アンケート項目
発表スライド⑤
84
回収した写真の例
研究の対象と方法
発表スライド⑥
被写体群と感情情報のマトリクス表 建築物と好奇心に関連が見られる 人は建築物・建築要素を見て好奇心を感じ、写真撮影を行うことが多い。また、空・天体を見てリラックスし、 喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス
シェア
感動
構築物
1
2
5
0
4
0
1
建築物
1
1
8
1
4
2
2
乗り物
0
0
0
1
0
0
2
建築要素
0
1
7
3
1
2
2
雑貨類
1
1
4
3
1
3
0
人
0
0
0
0
2
1
3
飲食物
3
0
0
2
0
0
2
動物
1
0
0
0
0
1
0
植物
1
0
3
0
5
1
3
水面
0
0
0
0
1
0
4
空・天体
2
1
5
0
6
1
6
その他
0
0
1
0
1
0
総数
研究結果
0
120
85
感動する。
発表スライド⑦
感情情報と色彩情報のマトリクス表 黒色・オレンジ色と好奇心・リラックスの感情は関連がある 黒色と好奇心・感動・リラックスに関連が見られる オレンジ色と好奇心・リラックスにも関連が見られる
1
カラーコード
R
G
B
FF0000
255
0
0
喜び
悲しみ 3
好奇心 0
愛しさ 0
リラックス 1
シェア
2
感動 1
4
2
FF8000
255
128
0
1
0
7
3
7
2
2
3
FFFF00
255
255
0
0
0
0
0
1
0
0
4
80FF00
128
255
0
0
0
1
0
0
0
3
5
00FF00
0
255
0
0
0
0
0
0
0
0
6
00FF80
0
255
128
3
0
2
0
1
0
3
7
00FFFF
0
255
255
0
0
5
0
2
1
2
8
0080FF
0
128
255
2
0
3
0
3
2
5
9
0000FF
0
0
255
0
0
0
0
0
0
0
10
8000FF
128
0
255
0
0
0
0
0
0
0
11
FF00FF
255
0
255
0
0
0
0
0
0
0
12
FF0080
255
0
128
0
0
0
0
0
0
0
13
000000
0
0
0
2
3
16
6
8
6
10
14
808080
128
128
128
3
1
8
2
3
3
1
15
FFFFFF
255
255
255
1
2
3
0
3
0
3
総数
86
青色・紫色・ピンク色が大きな面積を占める写真とはなかった
156
出典:PCCSとは、財団法人日本色彩研究所が1964年に発表し た日本色研配色体系カラーシステムのことである。
研究結果
発表スライド⑧
「新編色彩科学ハンドブック」(
)による色彩と感情の関係との相違点
写真における色彩情報は一般的な色彩に対する感情と異なる傾向を示す 一般には黒色(無彩色)に陰鬱や不安を感じるのに対し、写真では好奇心・リラックス・感動の感情を抱く 一般にはオレンジ色(暖色)に喜び・元気・快活を感じるのに対し、写真では好奇心・リラックスの感情を抱 属性種別
色の例
感情の例
赤
激情・怒り・歓喜・活力的・興奮
積極的
赤・黄
喜び・はしゃぎ・活発さ・元気
活動的
黄
快活・明朗・愉快・活動的・元気
中庸
緑
安らぎ・寛ぎ・平静・若々しさ
中性色 平静
紫
厳粛・優婉・神秘・不安・やさしさ
冷たい
青・緑
安息・涼しさ・憂鬱
消極的
青・緑
落ち着き・淋しさ・悲哀・深遠・沈静
沈静的
青・紫
神秘・崇高・孤独
明
陽気・明朗
白
純粋・清々しさ
中
落ち着き
灰
落ち着き・抑鬱
暗
陰気・明朗
黒
陰鬱・不安・厳めしい
高
新鮮・はつらつ 朱
熱烈・激しさ・情熱
中
寛ぎ・温和
愛らしさ・やさしさ
低
渋み・落ち着き 茶
暖色
色相
感情の性質 暖かい
87
く
平凡 寒色
明度
彩度
ピンク
落ち着き
研究結果
出典:日本色彩学会編『新編色彩科学ハンド ブック』東京大学出版会1980年
発表スライド⑨
研究結果から作成したフォトジェニックな風景 抽出した各要素を組み合わせた写真を作成した 被写体︓建築物、空・天体、建築要素 感情︓好奇心
写真内の消失点︓あり
彩度︓
88
メインカラー︓ 明度︓
サブカラー①︓ 彩度︓
明度︓
サブカラー②︓ 彩度︓
明度︓
研究結果
発表スライド⑩
結論と今後の課題・展望 これからの研究に向けて 結論 建築物・建築要素・空・天体が被写体として撮影されやすい
傾向にある
89
写真における色彩は、一般に色に抱く感情とは異なる傾向を 示す 課題・展望 写真に付随した位置情報・撮影日時に関する分析を行う必要がある 写真は、撮影前後の状況にも影響を受ける 年代的により広い範囲の調査が必要である 上の膨大なデータを分析する必要がある 今後の課題・展望
梗概データ①
写真の被写体と色彩情報に見る感情情報の関連の研究 ~日常携帯するカメラで撮影された写真の感情について~ 学籍番号 21322082 氏 名 早坂
また、石塚等*3 による SNS を利用した写真感
本研究は日常携帯するカメラで撮影された写
情データベースの提案では、Twitter 上の写真付
真と撮影時の感情の関連を明らかにすることを
き投稿テキストの文構造を解析することによっ
目的としている。
て、写真と感情の分析が行われたが、被写体に
本報では、携帯・スマートフォンが一般に普 及して久しい現代において、情報通信端末に付
関しての分析は行われていない。 3. 分析の対象と方法
属するカメラ機能が所有者の感情に関する情報
本研究では写真投稿とアンケート調査を行う
を持つものとして、その実情を明らかにする。
ための、宮城大学学生向けの専用の掲示板*4 を
総務省の調査では、 「平成 26 年における情報
作成し「なんとなく撮った日常の写真」をアッ
通信端末世帯保有率は、携帯電話または PHS が
プロードしてもらう形で写真を収集した。情報
94.6%、スマートフォンが 64.2%に達した。」*1
端末を日常的に携帯し、Instagram 利用率が高い
とされている。高性能な情報通信端末の普及に
20 代以下の SNS 利用者は、カメラ機能の使用頻
より、写真を撮る機会が増大した。
度が高く写真データが得られやすいと考え、対
また、Instagram や Facebook といったソーシ ャルネットワーキングサービス(以下、SNS)の 普及により、膨大な量の写真データがインター ネット上に蓄積されることとなった。SNS 上では
象に選定した。調査期間は 2016 年 6 月 25 日~7 月 9 日までの 2 週間とした。 写真投稿と共にアンケート調査を行った性別、 年齢、職業(学科)、感情(喜び、悲しみ、好奇
企業広告としての写真活用がなされ、改めて写
心、愛しさ、リラックス、シェア、感動の計 7
真が持つ情報量の豊富さが注目されている。
種)の 4 項目の情報と、写真から抽出した被写
そこで、人々が写真によって空間をどのよう
体(3 つ) 、色彩(色彩の面積が多いものをメイ
に捉え、感じているのかフォトジェニックな空
ンカラー、サブカラー①、サブカラー②として 3
間について分析を行う必要がある。
つ抽出)、各色彩の彩度、明度、写真内の消失点
2. 関連研究
の有無の 5 項目の情報、計 9 つの情報について
既往研究として、石橋等*2 によるオノマトペ
分析を行った。7 種の感情は、吉川等*5 の研究に
を用いた感情情報入力手法とその応用システム
よる表情で伝える 7 つの感情を参考に恐怖、怒
としての画像検索システムがある。石橋の研究
りという項目の代わりに写真撮影特有の感情と
では、被写体となる人物の表情から感情を推測
してシェア、感動という項目を追加し決定した。
しオノマトペと関連付け検索を行う手法が確立
次に抽出した情報の割合と組み合わせの分析
されたが、人物写真以外に関しても感情の分析
を行い、各要素の関連について分析を行った。
を行える手法が確立されることが望ましい。
4. 分析の結果
90
1. 研究の目的と背景
涼(指導教官:平岡 善浩)
梗概データ①
調査の結果、日本色彩学会著「新編色彩科学
4-1. 被写体と感情の関連性の分析(表 1) 収集した写真の 72 種類の被写体を KJ 法によ
ハンドブック」 (1980)*7 に記述された色彩と感
り、グルーピングした結果「構築物、建築物、
情の関係とは異なる結果が表れた。色彩科学ハ
乗り物、建築要素、雑貨類、人、飲食物、動物、
ンドブックでは赤と黄の暖色(表 2 の 1~3)は、
植物、水面、空・天体、その他」の 12 種類の被
怒りや喜び、元気などの感情と関連するとされ
写体群に分けることができた。各被写体群の数
ているが、今回の分析では暖色と好奇心・リラ
は空・天体、建築物、建具類の順に多く、これ
ックスの感情の関連が見られた。
らの被写体群が被写体であることがわかった。
また、色彩科学ハンドブックでは黒色(表 2
写真撮影時の感情情報に着目すると、好奇心、 感動、リラックスの順で多くカメラ機能は好奇
の 13)は不安感情との関連があるとされている が本分析では好奇心・感動との関連が見られた。
心を抱いた際の利用が多いことがわかった。
従って写真の感情情報は一般に色に対して抱
また、感情情報と被写体群のマトリクス表を
く感情とは異なる傾向をみせることがわかった。
作成した結果、建築物と好奇心の組み合わせが
5. 結論と今後の課題
最も多く、次いで構築物と好奇心、建築要素と
以上の分析から、構築物・建築物・建築要素
好奇心、空・天体とリラックス、空・天体と感
は人に好奇心の感情を抱かせることがわかった。
動の組み合わせが同数で二番目に多かった。
また写真の色彩は一般の色彩心理とは異なる
これらの結果から、建築物は人に好奇心の感
傾向を示し、特に暖色系(赤・黄)と無彩色(黒・
情を与え、写真撮影を促すことがわかった。
今回の研究では GPS 機能をオフにして撮影さ
抽出した写真の色彩情報を日本色研配色体系
れた写真データが多く、分析は写真の被写体と
(PCCS)*6 によって定義された 12 色相環と無彩
色彩情報に限られたものであったが、今後の研
色 3 色の計 15 色に分類し、感情データとのマト
究では位置情報と撮影日時に関する情報の分析
リクス表を作成し関連の調査を行った。
を行うことで、より詳細な撮影時の状況を把握 することができるものと考えられる。
表 1 被写体要素と感情の組み合わせ表 喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス シェア
これらの分析結果から意図的にフォトジェニ
感動
構築物
1
2
6
0
4
0
1
建築物
1
1
8
1
4
2
3
乗り物
0
0
0
1
0
0
2
建築要素
0
1
6
3
1
2
2
雑貨類
1
1
4
3
1
3
0
人
0
0
0
0
2
1
3
飲食物
3
0
0
2
0
0
2
動物
1
0
0
0
0
1
0
植物
1
0
3
0
5
1
3
水面
0
0
0
0
1
0
空・天体
2
1
5
0
6
1
その他
0
0
1
0
1
0
3 6 0
総数
120
表 2 写真の色情報と感情の組み合わせ表 カラーコード 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
FF0000 FF8000 FFFF00 80FF00 00FF00 00FF80 00FFFF 0080FF 0000FF 8000FF
R
G
B
喜び
悲しみ
好奇心
愛しさ
リラックス シェア
感動
255
0
0
3
0
0
1
2
1
255
128
0
1
0
7
3
7
2
255
255
0
0
0
0
0
1
0
0
128
255
0
0
0
1
0
0
0
3
0 0
255 255
0 128
0 3
0
0
0
0
0 0
0
3
2
5
0
0
0
0
0
0
0 0
0 0
0
0
0
0
0
255
255
0
128
0
0
0
0
0
0
0
000000
0
0
0
2
3
16
6
8
6
10
14
808080
128
128
128
3
1
8
2
3
15
FFFFFF
255
255
255
1
2
3
0
3
0
2
FF0080
FF00FF
0
1
0
3
0
0
2
3
0
0 0
0
1
2
255 255
5
0
255
0 0
0
2
255 128
128
0
0
0 0 0 255
255
4 2
3 0 総数
0
1 3 156
ックな空間を作り出すことができ、写真撮影を 誘起することで、SNS 上でのデジタルマーケティ ングに寄与する可能性も考えられる。 【注】 *1 総務省:『平成 26 年「通信利用動向調査」の結果』2015 年 7 月 *4 <http://www.kikuya-rental.com/bbs/?owner_name=photothesis> 2016 年 7 月 *6 PCCS とは、財団法人日本色彩研究所が 1964 年に発表した日本色 研配色体系カラーシステムのことである。 【参考文献・参考 web 資料】 *2 石橋賢,宮田一乘「感情を表すオノマトペを用いた 感情情報入力 手法の提案と画像検索への応用」,第 25 回人工知能学会全国大会 2011 年 6 月 *3 石塚宏紀,Khan Muhammad Asif Hossain,岩井将行,瀬崎薫「ソー シャルメディアを利用した写真感情データベースの提案」,情報処 理学会第 74 回全国大会 2012 年 3 月 *5 吉川 左紀子,森崎 礼子,「表情による感情メッセージの伝達」 1999 年 1 月 *7 日本色彩学会編:『新編色彩科学ハンドブック』東京大学出版会 1980 年
91
グレー)は好奇心との関連があるとわかった。
4-2. 感情と写真の色彩の関連性の分析(表 2)
【参考文献 ・ 参考 web 資料】 ・ 石橋賢, 宮田一乘 「感情を表すオノマトペを用いた 感情情報入力手法の提 案と画像検索への応用」 , 第 25 回人工知能学会全国大会 2011 年 6 月 ・ 石塚宏紀 ,Khan Muhammad Asif Hossain, 岩井将行 , 瀬崎薫 「ソーシャ ルメディアを利用した写真感情データベースの提案」 , 情報処理学会第 74 回 全国大会 2012 年 3 月 ・ 吉川 左紀子 , 森崎 礼子 , 「表情による感情メッセージの伝達」 1999 年 1 月
92
・ 日本色彩学会編 : 『新編色彩科学ハンドブック』 東京大学出版会 1980 年