フォーラム議事録 「高岡市本丸会館のあり方・楽しみ方を探る
―本丸会館の保存・活用についての提案 その1―」
2009 年 5 月 25 日
フォーラム概要 開催日
2009 年 5 月 24 日
14:00
16:30
場所
ウイング・ウイング高岡
参加者
30 名(本会会員、一般市民、専門家(建築設計関係者、研究者含む)、学生)
報道
TV 局1社、新聞社4社
主催
本丸会館とまちづくりの会(以下、「本会」)
進行
開会の挨拶(大井俊樹、本会運営委員)
1階
交流スペース
本丸会館の建築的価値・歴史的価値(松政貞治、富山大学芸術文化学部教授) 一次提案書の概要解説(法澤龍宝、法澤建築設計事務所、京都大学大学院生) ディスカッション 閉会の挨拶(本田恭子、本会代表)
記録者
法澤 龍宝
このフォーラムでは一次提案書の内容を中心に発表しました。以下は、ディスカッションの中で、市民、 本会会員、専門家などから寄せられた意見です。 -
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提案書 ○1月に本会が提出した「保存要望書」は、どのように高岡市に受入れられたのか。行政の考え方を是非 知りたいし、示してほしい。 ○今現在、本丸会館は使われておらず空白期間。一時的にギャラリー等として活用することはできないか。 積極的に活用することで、市民の意識を高めることができる。 ○「保存協議期間」 (3
4年)の前に、 「解体協議期間」(1 年)を設けてはどうか。
→壊すのならば、しっかり市民の同意を得て壊すべき。 →市民の保存にたいする意見が強ければ、そのまま保存協議期間へと移行させる。
○市長選挙が予定されている。新市長候補には本丸会館保存問題を含む今後の高岡のまちづくりをどのよ うに考えているのかを問いたい。個人的にはまちづくりを考えてくれる候補に一票投じたい。
保存/解体/建築的価値など ○いい建築物をつくること。そして、それを残すこと。高岡に<本物の建築>を建てるという土壌をつく るべき。 ○スクラップ・アンド・ビルドの時代は終わった。これからは「リノベーション」、すなわち活用の時代。 これまでの建物のストックをどう活かすかということが重要になってくる。 ○ たとえ耐震強度が不足していたとしても、古い建物にはそれを超える<安心感>みたいなものがある。 本丸会館にもそのような安心感がある。 ○市民学習の場として保存する。 →本丸会館は、高岡電燈社屋ビルとして建てられた。これは電源開発という近代富山の発展の重要な 証拠。近代を考え直す上で、重要な遺産。 →格好の生きた教材。 ○高岡は産業で発展した町ということが忘れられている。本丸会館は貴重な遺産。 ○市が所有者だとはいえ、市の一方的な判断だけで解体すべきものではない。 ○「建築」は人が育てるもの。 ○歴史的な価値を市民に PR していくことが必要。保存する上で、建物の本質を見極めることが必要。 ○学術的な価値だけではなく、市民の記憶、思い出のようなものも同時に残すべき。 →これまで本丸会館に関わった人のコメント、メッセージを集めてはどうか。
耐震問題 ○学術的な研究対象として耐震診断をしてみたい。 →保存問題と切り離す。 ○県内では、昭和 30 年までの建築物しか耐震診断を行った実績がない。本丸会館・本館は昭和 9 年竣工 であり非常に貴重な資料である。 →今後の県内の耐震診断・改修を考える上で参考になる。 →また、どのような耐震改修が可能なのを考えることが重要。これからの知識にうまく活かしたい。 ○本当に補強が必要なのか。 「古い」ということが解体の理由として妥当なのか。 →市は専門家の意見を聞くべき。 ○残すのならば、完璧なかたちで耐震補強を行うべき。
→30 年前に、神戸で耐震改修を行ったことがあるが、最低限の耐震補強をしたところ阪神大震災で ダメージを受け解体される運命になった。耐震補強を行う場合は、最善の補強方法をとるべきだと 思う。その上で、本丸会館を題材にどのような耐震補強が可能なのかを考えることは有益。 ○むしろ、本館よりも新館の耐震強度が心配。なぜなら、時代によって建築家(設計者)の思想が違う。 本館が設計された昭和初期は、建築家は永遠に残るべきものを設計するという意識があった。そのため 本館は十分な構造耐力を持っている可能性が高い。対して新館が設計されたころは経済性が最優先であ り、おそらく新館の構造耐力は当時の基準ギリギリの設計だろう。
景観/まちづくり/都市計画 ○本丸会館の前景に横断歩道があるのは、景観的によくない。 →景観問題も同時に考えるべき。 ○メインストリートである広小路はもの寂しさを感じる。たとえば、トランジットモール化することも考 えられる。富山市のように新しい都市計画のヴィジョンを打出すべきだし、本丸会館の保存は本来、都 市計画の立場からも議論されるべき。 ○4年前に富山大学高岡キャンパスに建築学コースが設立された。これは市にとっての財産。例えば京都 が行っているように、高岡も大学に相談しながらまちづくりを考えるべき。 →これまでは、福井や石川の大学に相談してきた。 →地元に建築系大学があるのとないのでは、大きな違い。もっと大学を活用すべき。 →大学とまちづくりの連携。 ○(高岡に限ったことではないが、)景観も建物もバラバラ。何も感じられない。 →建築家や専門家のまちづくりに対する発言力が必要。 ○富山大学には建築以外にも、鋳金、工芸、文化マネジメントなど様々なカテゴリーの研究領域がある。 これらの人々をまちづくりに巻き込んでいきたい。