Camera magazine japan issue no 25 bak

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特集/憧れの名作たちは僕たちの教科書だ!

カメラマガジン

エイムック2753

名作を見て 撮って感じろ アジェを巡る旅 植田調に憧れる ケンナ風長時間露光にトライ! 石内都をたどるinヨコスカ クーデルカ調に渋パノラマを撮る

NEW CAMERA REVIEW

パーツ比較 Nikon Dfと銀塩F、 Sony α7の描写力 Panasonic LUMIX GMの手軽さ高画質 OLYMPUS STYLUS 1 RICOH GRと歩くイタリア Canon EOS M2 最新情報

カメラ少年の街歩き[大阪・南船場] パリのおもしろカメラレポート

1 2014



2014. 1

目次 COVER PHOTO/稲垣徳文

006 WOMAN WITH A TIE

Catch Light[今月のトピックス] 007 カメラマン手袋と冬の朝 008 充電できるリュック、出ました 009 煌めきを放つコンパクトカメラ 010 MASTERPIECE

イヴ・アーノルド 012 WORKS

鬼海弘雄

018 Canon EOS M2/ARTISAN&ARTIST COV-7000SE、ACAM-600N Casio EXILIM EX-10/OLYMPUS SYTLUS 1 022

Nikon Df Dfと銀塩ニコン、徹底パーツ比較 非Aiからナノクリまでニッコールレンズ着せ替え

030

SONY α7R

東京静閑 加納 満

036

Panasonic LUMIX GM 東京タワーの階段600段を歩いて、昇って、撮る!

040 WORKS ROMAN HOLIDAY with GR 047 RICOH GR最新トピック

小川康博

048 FULL SIZE×M LENS SONY α7Rを楽しむ 052 LUMIX GMで解く形と写りの方程式

特集

056

名作をツて 撮って感じろ

058 Introduction 060 Like Eugène Atget 068 Like 植田正治 070 Like 石内 都 072 Like 牛腸茂雄/Irving Penn 074 Like Mario Giacomelli 076 Like Michael Kenna 078 Like Michael Kenna 080 Like William Eggleston 082 Like Elliott Erwitt/ Robert Doisneau 084 086 User 092 Like Josef Koudelka 094 Like 林 忠彦 095 Like Lee Friedlander 096 Like 森谷 修 098 Like Robert Mapplethorpe

003

アジェに思いを馳せて旅を巡る 植田調に憧れる 石内 都をたどる in ヨコスカ コントラストを操り名作風に焼き分ける ジャコメッリ的ハイコントラストに挑戦 ケンナ風長時間露光にトライ! 雪景色をケンナ風構図で撮る エグルストンのニューカラーにプリントで近付ける アーウィットやドアノーのような情景を描く 巨匠風に愛機×ポートレートを粋に撮る 私達も名作に刺激されています! クーデルカ調に渋パノラマを撮る 林 忠彦のポートレート構図を学ぶ フリードランダーのテーマ性 森谷流6×6 構図を会得する 天才写真家に惚れ手にしたハッセル



2014.1

目次

100 TOKYO LANDSCAPE 結城臣雄 104 ザ・コンタクトシート

蓮井幹生

106

カメラ少年のぶらり街歩き 大阪・南船場/心斎橋編

110

あの人のカメラバッグの中身 内藤さゆり

112 写真の発祥国の最新事情!

パリのおもしろカメラレポート 稲垣徳文

116

チョートクの愛しのカメラたち[Nikon F]

118

瑞光外伝[大野雅人の14-42mm]

120

ハービー・山口の想いを伝える写真

[一流のカメラ] 122

遠くへ行きたい

124

世界の写窓から イチャソ・ズニガ[ポートレートに好意的な国]

帆足侊兀[屋久島]

126 K repairのプレミアムなアクセサリーシリーズ K002 CORDOVAN STRAP 127 田中長徳 最新刊「LEICA, My Life」 128 ANTOLOGIA 130 ロング使用レポート LEICA M SONY α99 SIGMA SD1 Merrill Rollei Sonnar 40mmF2.8 Canon EOS 5D MarkⅡ FUJIFILM X-E2 133 Pick Up LENS FOOD CARL ZEISS PLANAR 80mmF2.8+レンズシェード80 140 読者プレゼント 142 カメラマガジンショッピング [カメラマガジンコラボストラップ ] 143 カメマガ編集部のカメラ日記 144 次号予告

005

※本誌の価格表記は、 原則として [税込みの希望小売価格] です。 ※実勢価格は、 編集部調べ。時期や販売店によって変動します。


WOMAN WITH A TIE

VOL.2

撮影:伊葃真一 MODEL:ANNA FUNYU HAIR MAKE:mane TIE DATE:ネクタイ 2万6250円 (TIE YOUR TIE) CAMERA DATE:ライカM・SUMMILUX-M 50mmF1.4

www.tieyourtie.com

CAMERA ライカ M で撮影。レ ンズはズミルックス 50mmF1.4 ASPH.。

006


カメラマン手袋と冬の朝

JACK SPADE/Slow Clap Mittens 無印良品/ミトンにもなる半指手袋

PHOTO/北郷 仁 TEXT/馬庭あい (編集部)

JACK SPADE/ Slow Clap Mittens サイズ:全長 250mm  手首周り 170mm 色:レッド 価格:1 万 8900 円

カバー付き半指手袋 =ʠカメラマン手袋ʡは便利

無印良品/ ミトンにもなる 半指手袋 サイズ:全長約 205mm  手首周り約 170mm 色:ダークグレー 価格:1980 円

普段は半指手袋、カバーを被せれば ミトンにもなる 2WAY 仕様。

細かいダイヤル操作などもスムーズ にでき外撮影に最適。

007

と カ メ ラ が 恋 し く な る 。

だ か ら か 、 冬 の 朝 は い つ も 手 袋

や か で あ り な が ら も 気 迫 が 漂 う 。

携 え て 出 陣 す る 姿 は 、 ゆ る く 穏

い っ た お 決 ま り の 姿 で カ メ ラ を

毎 朝 手 袋 と 帽 子 に ス ニ ー カ ー と

る 中 平 氏 の 姿 が 収 め ら れ て い る 。

赤 や 青 の 半 指 手 袋 を し て 撮 影 す

ホ ン マ タ カ シ 氏 に よ る 写 真 に は 、

出 す 手 の 袋 が と 、 い か え の ば 中 、 平 個 卓 人 馬 的 氏 に 思 だ い 。

自 分 の 手 に キ ュ ン と 萌 え る の だ 。

う ひ と つ は ミ ト ン の 愛 ら し さ 。

合 い が 入 る の で あ る 。 そ し て も

(無印良品 有楽町)TEL 03-5208-8241 問い合わせ:ジャック・スペード (ガスリー)TEL 03-5778-3052/無印良品

忍 者 に な っ た か の ご と く 妙 に 気

の ド キ ド キ 感 だ 。 ス ナ イ パ ー や

ひ と つ は 半 指 手 袋 を は め る と き

は の こ ギ の ャ 手 ッ 袋 プ に = は 魅 2 力 W も A あ Y っ な ら て で 、

な と 納 得 し た 記 憶 が あ る 。

な る ほ ど 確 か に ス ナ ッ プ 向 き だ

だ 。 撮 影 も 保 温 も ば っ ち り で 、

ォ ト グ ラ フ ァ ー の シ ト ウ レ イ 氏

と 呼 ん で い た の は ス ト リ ー ト フ

こ と を 〝 カ メ ラ マ ン 手 袋 〟

バ ー が 付 い た 半 指 手 袋 の


PHOTO/北郷 仁 TEXT/馬庭あい (編集部)

充電できるリュック、 出ました

THE NORTH FACE/SURGE Ⅱ CHARGED

SURGE Ⅱ CHARGED サイズ:500×350×210mm 色:ブラック、グリーン 価格:2 万 6250 円

一般的な携帯電話を約 1.5 〜 2 回充電できるモバイルバッテリーを内蔵。 USB コードを介してデジタルカメラなどの電子機器を充電できる。各オー ガナイザーポケット(黒色部分)には衝撃を軽減するネオプレン素材を使用。

て も カ メ ラ に 向 け て し ま う 。

に 苛 立 ち 、 怒 り の 矛 先 を ど う し

る も の だ か ら 、 呆 然 と し 、 次 第

に も 唐 突 に 「 終 了 」 を 告 げ ら れ

れ が デ ジ タ ル の 場 合 に は あ ま り

し て も そ れ は 自 己 の 責 任 だ 。 そ

が 一 フ ィ ル ム が 足 り な か っ た と

内 計 画 を 練 る こ と が で き る 。 万

の 枚 フ 数 ィ 、 ル 本 ム 数 カ を メ 確 ラ 認 で し あ な れ が ば ら 残 脳 り

電 池 切 れ = 「 終 了 」 と な る 。

1 に な れ ば も う あ っ と い う 間 に

間 に か 電 池 マ ー ク は 減 り 、 残 り

ラ フ ァ ン を そ そ る 好 ポ イ ン ト だ 。

る 。 全 身 真 っ 黒 フ ェ イ ス も カ メ

と 仲 良 く な れ る パ ッ ク な の で あ

リ ー ブ を 備 え る な ど 、 電 子 機 器

ラ ッ プ ト ッ プ や タ ブ レ ッ ト 用 ス

ば 快 適 に 撮 影 で き る 。 背 面 に は

使 わ な い 移 動 時 に 充 電 し て お け

き る ポ ケ ッ ト を 配 備 。 カ メ ラ を

内 蔵 し 、 U S B コ ー ド を 整 理 で

機 器 を 充 電 で き る バ ッ テ リ ー を

る 画 期 的 な デ イ パ ッ ク だ 。 電 子

D 」 は こ の 充 電 問 題 を 解 決 し う

「 S U R G E Ⅱ C H A R G E

ラップトップやタブレット用のスリーブをはじめ、パック全体に専用性の高い収納 部を設けているので安心して収納できる。コンパクトや小型一眼レフ向きのサイズ。

メインの開口部には止水仕様の ジッパーを採用。大切な電子機 器を保護する。

軽量かつ耐久性に も優れる、Joey T1 Power Supply モ バイルバッテリー。

フ ル で 充 電 し て も い つ の

池 残 量 は 目 に は 見 え な い 。

カ メ と と は 喧 い 嘩 え し 、 て 撮 も 影 し の ょ 道 う 中 が で な デ い ジ 。

問い合わせ:ザ・ノース・フェイス原宿店 TEL 03-5466-9278

008


煌めきを放つ コンパクトカメラ

TEXT/山本怜央 (編集部)

ハッセルブラッド / ステラ特別限定モデル

ステラ特別限定モデル レンズ: 10.4-37.1mmF1.8-F4.9 35mm 換算:28-100mm 撮像素子: 1.0 型 Exmor CMOS センサー 有効画素数: 2020 万画素 大きさ: 約 109W×59H×36Dmm 質量: 約 252g(ボディのみ) 価格: 31 万 3500 円

てブ部限 いラ分定 てッにモ かドはデ っの、ル こ H 細だ い かけ いがなの 。刻ハツ 印ッー さセト れルン

通常モデルには付属しないケースもセットさ れ、イタリアのデザインセンターが手がけた 洗練されたデザインをトータルで味わえる。

愛 用 し て い き た い 1 台 だ 。

009

貴 方 に は ピ ッ タ リ だ ろ う 。 長 く

人 と は 違 っ た カ メ ラ を 持 ち た い

ひ と き わ 煌 め き を 放 っ て 見 え る 。

リ ー に 注 力 し た こ の カ メ ラ は 、

な っ て き て い る 今 、 ラ グ ジ ュ ア

決 定 的 な 個 性 を 見 い だ し に く く

メ ラ 技 も 術 あ 的 る に 程 は 度 ど の の レ メ ベ ー ル カ に ー 達 の し カ 、

比 べ 引 き 締 ま っ た 印 象 だ 。

ラ ー を 採 用 し 、 単 色 の 通 常 版 と

問い合わせ:ハッセルブラッド・ジャパン TEL 03-6434-9567

ル の 前 面 は 特 徴 的 な ツ ー ト ン カ

か さ を 与 え て く れ る 。 特 別 モ デ

木 の グ リ ッ プ は 、 他 に は な い 暖

優 し く 手 に 馴 染 む 。 特 に 、 天 然

引 く 独 特 な 形 を し た グ リ ッ プ は 、

の 特 別 モ デ ル が 登 場 し た 。 目 を

だ 。 こ れ に 、 各 色 5 0 0 台 限 定

所 有 す る 喜 び も 追 求 す る モ デ ル

を ベ ー ス に 外 観 を デ ザ イ ン し た 、

ブ ラ ッ ド が ソ ニ ー の R X 1 0 0

名 を ラ 冠 テ し ン た 語 ス で テ 「 ラ 星 は 」 、 を ハ 意 ッ 味 セ す ル る

台 の カ メ ラ が あ る 。

を 軽 く す る た め 残 し て い っ た 12

士 が 地 球 へ の 帰 還 の 際 に 積 み 荷

わ れ 、 今 も 月 面 に は 、 宇 宙 飛 行

影 は 全 て ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド で 行

真 を 撮 影 し て き た 。 月 面 で の 撮

持 ち 込 ん で 以 来 、 多 く の 宇 宙 写

ル ブ ラ ッ ド 5 0 0 C を 宇 宙 船 に

N A S A の 宇 宙 飛 行 士 が ハ ッ セ

ハ 関 わ り は 深 い 。 約 50 年 前 、

ッ セ ル ブ ラ ッ ド と 宇 宙 の


E ve Arnold

イヴ・アーノルド

profile

1912 年、ロシア系移民の子としてフィラデルフィアに生ま れる。1946 年、ニューヨークの写真現像修理工場で働いて いる時に写真を始める。1948 年ニュー・スクールにてアレ クセイ・ブロドヴィッチに写真を学ぶ。1951 年にマグナム に参加した初めての女性写真家となる。1957 年に正会員と なる。50 年代は「ライフ」などに作品を発表。60 年代からは、 活動拠点をロンドンに移し、旧ソ連、中近東、中国など世界 各地を取材。また、下写真が表すようにマリリン・モンロー とも親しく、貴重なプライベートシーンを数多く残している。 そのひとつが 1955 年に撮った左の写真だ。マリリン・モン ローの寝顔が撮れたのも彼女との信頼関係があってのことだ ろう。2012 年 1 月 4 日ロンドンにて死去。

©Eve Arnold / Magnum Photos

010


ŠEve Arnold / Magnum Photos

011


昨夜、つい酔っ払って喧嘩をしてしまったという男 1985 A man who said he'd just had a drunken quarrel 1985

鬼 海

KIKAI HIROH

弘 雄 012


日本一の理容師の息子を持つと話すひと 2001 A woman who told me that her son was the number one barber in Japan 2001

013


新宿区中井 1985 Nakai,Shinjuku-ku 1985

自分の体を通して考えた事だけしか 写真には写らない

014


中央区佃 2003 Tsukuda,Chuo-ku 2003

け ど 、 そ こ に は 何 も 写 っ て い な

0 15

話 で 、 そ り ゃ 楽 だ と や っ て い た

「 目 の 前 の 事 が 写 真 に な る っ て

2 年 そ ん な 写 真 を 撮 っ た 。

TEXT/市井康延

写 真 当 が 時 主 、 流 日 で 常 、 を 鬼 写 海 し さ た ん コ も ン 1 ポ 〜 ラ

品 に な る の に 驚 い た 」

「 普 通 の 人 を 撮 っ て 、 そ れ が 作

を 見 せ ら れ た 。

か ら ダ イ ア ン ・ ア ー バ ス の 写 真

章 二 氏 を 紹 介 さ れ た 。 そ し て 彼

っ て い た 関 係 で 、 編 集 者 の 山 岸

良 氏 大 が 学 、 の カ 恩 メ 師 ラ で 毎 哲 日 学 で 者 連 の 載 福 を 田 持 定

日 々 を 送 っ た 」

で 稼 い で は 辞 め 、 読 書 に 耽 る

だ ろ う と 思 い 、 短 期 の 現 場 仕 事

し ま え ば 、 そ の 生 活 に 安 住 す る

は な い と 思 い な が ら 、 就 職 し て

こ と だ と 思 う 。 自 分 に そ ん な 才

「 表 現 と は 、 世 界 を 丸 ご と 見 る

り 立 て て い た よ う だ 。

求 が あ り 、 そ れ が 鬼 海 さ ん を 駆

言 う 。 心 の 奥 底 に 表 現 者 へ の 希

東 京 の 大 学 を 受 け た 」 と 笑 っ て

ら 、 都 会 の 女 性 だ ろ う と 思 っ て

「 4 年 間 遊 び た い 。 恋 愛 す る な

は 、 す ぐ に 物 足 り な く な っ た 。

着 て バ ー に 足 を 踏 み 入 れ る 生 活

度 は 県 職 員 に な っ た が 、 背 広 を

だ ろ う 。 大 人 の 世 界 へ 憧 れ 、 一

人 物 へ の 興 味 が そ そ ら れ る こ と

い 。 こ れ だ け で も 、 こ の

ず 次 頁 の 略 歴 を 見 て ほ し


時 、 初 め て 僕 は 写 真 家 に な っ た 」

に 写 る も の で は な い と 気 づ い た

か っ た 。 今 思 う と 、 写 真 が 簡 単

り 、 自 そ 宅 こ と で 勤 人 め を 先 撮 の り 間 始 に め 浅 た 草 。 が 最 あ

に 勤 め ま し た 」

を も ら い 、 約 3 年 間 、 プ ロ ラ ボ

は な く 、 肉 眼 で 見 て 興 味 を そ そ

を 変 え て 面 白 い 写 真 を 狙 う の で

ー ル が 定 ま っ た 。 画 角 や レ ン ズ

き る 写 真 家 に な れ と ア ド バ イ ス

が 来 る か ら 、 自 分 で プ リ ン ト で

「 将 来 、 フ ァ イ ン ア ー ト の 時 代

家 を 目 指 す こ と を 奨 め ら れ た 。

飾 り 、 山 岸 氏 か ら 本 格 的 に 写 真

写 真 は カ メ ラ 毎 日 で 7 ペ ー ジ を

ム を 約 か 8 ろ か う 月 じ で て 、 撮 十 影 数 し 本 た の 。 フ そ ィ の ル

な ん だ ろ う と 想 像 し た 」

の 虐 め は 容 赦 な く 、 軍 隊 は こ う

「 睡 眠 は 少 な く 、 激 務 。 男 社 会

出 し た 人 も い た 。

想 以 上 に き つ く 、 寄 港 地 で 逃 げ

船 に 乗 っ た 。 た だ そ の 生 活 は 予

職 工 か ら 遠 洋 航 海 に 出 る マ グ ロ

場 所 自 に 分 置 の こ 居 う 場 と 所 考 を え も 、 っ 造 と 船 過 所 酷 の な

鬼 海 さ ん は 結 婚 し 、 長 男 が 4 か

費 に 充 て た と い う が 、 そ の 時 、

場 で 期 間 工 と し て 働 い た 金 を 旅

約 半 82 年 年 間 に 、 思 暮 い ら 立 し っ た て 。 、 自 イ 動 ン 車 ド 工 で

の 仕 事 を し て い ま し た 」

な い か ら 、 ビ ル の メ ン テ ナ ン ス

な ら な い 。 そ の 頃 は 写 真 で 食 え

か 撮 っ た 。 だ け ど 面 白 い 写 真 に

デ パ ー ト の 屋 上 に 来 る 人 を 何 年

「 東 京 の ス ナ ッ プ を 撮 ろ う と 、

く 煩 悶 の 時 が 続 く 。

特 選 に 選 ば れ た が 、 そ の 後 、 長

竜 門 で あ る A P A 賞 に 応 募 し 、

と だ 。 そ の 年 、 新 人 写 真 家 の 登

初 は 1 9 7 3 年 、 20 代 後 半 の こ

き た 時 間 、 歴 史 が 浮 か び 上 が る 。

も い る 。 そ の 姿 に は 人 が 生 き て

に 似 た 人 で 、 彼 ら の 中 に は 自 分

の 職 被 場 写 で 体 会 に っ 選 た ぶ 人 の や は 、 、 故 こ 郷 れ の ま 人 で

ぐ ら い に し か な ら な い よ 」

他 人 と し て 見 て い た ら 、 免 許 証

に ど れ だ け 自 分 を 見 る か 。 た だ

「 他 人 を 撮 る ん だ け ど 、 そ の 中

の み で 行 な っ て い る 。

セ ル ブ ラ ッ ド と 80 ミ リ の レ ン ズ

の 撮 影 を 始 め た が 、 そ れ は ハ ッ

肖 像 写 真 の よ う に 撮 る シ リ ー ズ

る ポ ー ト レ ー ト と 、 東 京 の 街 を

境 内 85 の 年 朱 か 塗 ら り 浅 の 草 壁 寺 に に 立 来 た る せ 人 て 撮 を 、

ハッセルブラッド500C/M 40 年来使うハッセルブラッドは、浅草を撮り始めた時、 恩師の福田先生が買ってくれた。毎月 5 千円ずつ返済した が、先生の方は完済など全く期待していなかったそうだ。 初めて買ったキヤノン F-1 は質屋で求め、続く EOS-1 は中 古カメラ店で購入。 「あと新品は伊奈信男賞の副賞でもら ったニコン F4 だけ」と笑う。

の だ け を 撮 る う

た 。 撮 り た い も

た が 、 水 は 合 っ

ア の 肝 洗 炎 礼 と を マ 受 ラ け リ

が 見 ら れ る 」

の あ ら ゆ る 人 間

ば あ ら ゆ る 時 代

り 、 そ こ に 行 け

人 間 の 原 点 が あ

「 イ ン ド は 坩 堝 、

り だ っ た 。

月 に な っ た ば か

は 変 技 わ 術 ら が な 進 い 化 。 し て も 、 そ の 一 点

な い と 写 真 に は 写 ら な い 」

分 の 体 を 通 し て 考 え た こ と じ ゃ

い と 磨 か れ な い し 、 き ち ん と 自

「 感 性 は 体 験 や 経 験 で 訓 練 し な

た ら す 表 現 に な り 得 る 。

人 は 分 面 か 白 り く 尽 、 く 見 せ る な 人 い に 存 希 在 望 だ を か も ら

う 多 く は 交 わ し て い ま せ ん 」

緊 張 感 が 大 事 な の で 、 会 話 は そ

と 難 し い 。 相 手 を 知 る こ と よ り 、

が 第 一 だ か ら 、 50 m 以 上 離 れ る

「 彼 ら を 撮 る 壁 に 連 れ て 行 く の

ち に 、 自 分 の ル

ら れ る も の だ け を 撮 る こ と だ 。

鬼海弘雄 Kikai Hiroh

1945 年、山形県寒河江市生まれ。高校卒業後、山形県庁勤務を経て、法 政大学文学部哲学科へ。卒業後、トラック運転手、造船所工員、遠洋マグ ロ漁船乗組員などで働き、写真家になる。88 年、浅草寺境内で撮影した ポートレート作品「王たちの肖像」で伊奈信男賞、日本写真協会新人賞を 受賞。海外でも個展、写真集を発表し、高く評価されている。

016


青森刑務所での服役中、短歌を詠むことを覚えたという男 2003 A man who took up writing tanka verse while serving time in Aomori penitentiary 2003

017


CAMERA

magazine

NEWS

注目の新製品情報 カメラやレンズの新製品や、旬のトピックをお届け!

Canon

EOS M2

原寸大

改良を加えたミラーレス2代目 EOS のミラーレス一眼シリーズ、EOS M の後継機だ。最大の特徴はオートフォーカ 「ハイブリッド CMOS ス機能の性能向上。 AF Ⅱ」を採用し、合焦速度が速まってい る。シリーズのプロダクトイメージをつけ るという目的で、外観は前機種を踏襲。内 部構造の見直しで、小型・軽量化、Wi-Fi 機能の搭載など、細かな部分の改良を施し た。 「快適に撮る」というシンプルな点を 推し進めた 1 台だ。

spec.

撮像素子 APS-C CMOS センサー 有効画素数 約 1800 万画素 レンズマウント EF-Mマウント 大きさ 約 104 . 9 W×65 . 2 H×31 . 6 Dmm 質量(使用時) 約 238 g(ボディのみ) 発売時期 12月20日予定 価格 オープン        (参考価格 6 万 4800 円 ボディのみ)

4ポジションの撮影モードダイヤル

動画撮影モード 動画でも大型センサーを 活かした美しいボケ味表 現や、高感度撮影が可能。

応用撮影モード シャッター速度や絞りなど、 自分の意図に合わせて設定 を行うことができる。

簡単撮影モード シーンインテリジェント オートモード(静止画)

撮るシーンを設定することで、こだわ りのある写真を撮ることができる。

カラーはブラックとホワイトの 2 色。 ホワイトはレンズキットのみ販売。

018


EOS M2はここが進化! 1.オートフォーカススピードの向上

4.Wi-Fiを内蔵

先代の EOS M はファームウェアアップデートで、オートフォーカスの合 焦速度を最大約 2.3 倍向上させた。EOS M2 はそこから更に最大 2.3 倍高 速化することで、シャッターチャンスに強くなった。

無線通信できる Wi-Fi 機能を内蔵。プリンターとワイヤレス接続してプリ ントできる。スマートフォンと接続することで、リモート撮影や、撮影画 像の確認ができる。

2.小型・軽量化

5.エフェクトショットモード

体積比・質量比約 8% の小型化を実現。Wi-Fi 機能の追加などブラッシュ アップをしつつも質量でおよそ 24g 軽くなり、より持ち歩きがしやすくな った。

クリエイティブオートモード選択時に、通常の写真と表現効果のかかった 写真の2枚を同時に撮影できる。積極的にエフェクトをかけた写真が撮影 できるようになった。

3.撮影後画面がブラックアウトしない

6.ミニチュア動画撮影

一般的に撮影後プレビュー画面は一瞬ブラックアウトするが、EOS M2 の 大きな特徴として、このブラックアウトが起こらないように改善された。 途切れることなく撮影に集中できる。

人気の高かった「ジオラマ風」フィルタを動画撮影時にも適用できるよう になった。ミニチュアの世界観を引き立てるため、撮影時に再生速度を選 択可能。

純正アクセサリーも充実

ネックストラップ ボディジャケット ブラウンを含む 3 色。

スピードライト 90EX

ハンド ストラップ

レンズキットには EOS M2 のボディに合ったコンパク トなストロボが付属する

ARTISAN& ARTIST

ARTISAN & ARTIST

ACAM-600N

COV-7000SE

コバがおしゃれな革製ストラップ

定番カメラバッグの限定色

アルティザン・アンド・アーティストから牛革製ストラップが登場。職 人たちが時間をかけて丁寧になめしたレザーは柔らかく、手に巻きつけ た際にもよく馴染む。コバの赤がアクセントになっている。色は定番の ブラック、ブラウンにオレンジを加え三色展開。

キャンバス地を使用したカジュアルなデザインのカメ ラバッグに若々しい印象の限定色、ネイビーが登場。 定番のブラックでは、大きなポケットが付いていた部 分は、11 インチのノート PC が入るクッション付きポ ケットへと変更が加えられている。

ブラック

ブラウン

ACAM-600N サイズ:855-1505×30mm 両端のテープ幅:10mm 重量:63g 素材:牛革・ポリエステル 価格:各 8925 円

019

PHOTO/北郷 仁 TEXT/山本怜央 (編集部)

オレンジ

取り外し可能なインナ ーケースは、上部が巾 着式で閉じられる。

COV-7000 サイズ:350Wx270Hx110Dmm 重量:1085g 素材:表 - 帆布・牛革 裏 - ナイロン・ポリエステル 価格:31500 円


Casio

EXILIM EX-10

原寸大

『好画質』 を叶えるカメラ EXILIM EX-10 は、カシオのコン パクト最上位モデル。1/1.7 型有 効 1210 万画素のセンサーと F1.8 -F2.5 の明るいレンズを搭載する。 新たに搭載した「プレミアムブラ ケティング」モードは、優れた連 写性能を活かして 1 回のシャッタ ーで 9 枚を撮影する。5 軸方向対 応の手ぶれ補正や、可動範囲の大 きな液晶、自立スタンドなど、多 彩な機能を盛り込んだ。様々な撮 影シーンに対応できる万能コンパ クトだ。

spec.

幅広く動くチルト式大型液晶 3.5 型の大画面は上向き約 180 度、 下向き約 55 度に開くチルト式で、 様々な撮影スタイルに対応する。

レンズ 35 mm 判換算 撮像素子 有効画素数 大きさ 質量 価格

6 . 0 - 24 . 0 mmF 1 . 8 -F 2 . 5 28 - 112 mm 1 / 1 . 7 型高速 CMOS センサー 1210 万画素 約 119 . 9 W×67 . 9 H×48 . 6 Dmm 約 344 g(本体のみ) オープン (実勢価格約 7 万 9800 円)

自動開閉するレンズキャップ レンズと連動して開閉するレンズキャップが付属。 装着したまま電源オンですぐに撮影できる。

ワンシャッターで9種類の写真を撮影 自立スタンドを内蔵

快適な操作性

液晶の裏に格納されているスタンドを立てれば、 カメラを自立させられる。

レンズベース部にはファンクションリングを配置。 ステップズームや各種設定を割り当てられる。

「プレミアムブラケティング」モードは、シャッタ ーボタンを 1 回押すだけで、 「ホワイトバランス」と 「絞り値」など、2 種類の撮影設定を変化させなが ら 9 枚を連写撮影する。撮影後に最適な 1 枚をゆっ くりと選ぶことができる。

020


FIRST IMPRESSION

手のひらサイズの プレミアムコンパクト オリンパスの STYLUS 1 は、約 400g と、手のひらに乗 るほどコンパクトなボディーに明るい高倍率ズームレン ズを搭載したカメラだ。ミラーレス一眼 OM-D 譲りの一 眼ライクな外観と操作性を備える。強力な手ぶれ補正と、

3 段相当の減光が可能な ND フィルターを内蔵し、多様 な場面で満足のいく撮影を楽しめる。

OLYMPUS

STYLUS 1 一眼ライクのスタイルと、広角から超望遠までカバ ーする高倍率レンズを持つ。コンパクトカメラなが ら、全域開放値F2.8の明るいレンズを活かしたボケ 表現ができる。開放望遠で撮りたくなるカメラだ。 PHOTO/北郷 仁 TEXT/山本怜央 (編集部)

約 52.5mm

威圧感を与えない姿 高倍率レンズは、周りの目を引く大 型のモデルが多い。STYLUS 1 なら、 300mm 相当まで望遠させても、ス タイルはコンパクトなままで、どこ でも気兼ねなく撮影ができる。

約 85mm 広角時(35mm換算:28mm相当)

約 96mm 望遠時(35mm換算:300mm相当)

主な仕様 レンズ 35mm判換算 撮像素子 有効画素数 大きさ 質量 価格

021

6.0-64.3mm 28-300mm 1/1.7型CMOSセンサー 1200万画素 約116.2×87×56.5mm 約402g(電池及びメモリー含む) オープン (実勢価格約6万9800円)

Olympus STYLUS 1・F2.8・1/800秒・-0.7EV・ISO100・300mm相当 PHOTO/米山信義

Olympus STYLUS 1・F2.8・1/500秒・+0.7EV・1/500秒・ISO160・300mm相当 PHOTO/米山信義

望遠時もしっかり寄れる。コントラストの高い被写体だが、解像 感が高く、シャドーの階調もしっかりと保たれている。

明るい望遠レンズならではの、強い圧縮効果が楽しめる。柔らかなボケも美しい。


Nikon Df 見て、触れて、撮って愉しむカメラ

ニコンFシリーズのDNAを受け継いだデジタル一眼レ フカメラ「Df」。名機と呼ばれるニコンの銀塩一眼レフ のエッセンスがちりばめられたデザインはどこか懐かし い佇まい。久々に眺めて、触れて、 そして撮ることが楽 しい、 カメラ道楽のための本格一眼レフになっている。 PHOTO/北郷 仁 TEXT/青山祐介

022


Dfを全方位から眺める

Top

Front

Bottom

Back

Side

カラーバリエーション は上のブラックと左の シルバーの 2 種類。

主な仕様 撮像センサー 有効画素数 レンズマウント ファインダー視野率/倍率 AF方式 シャッター速度 大きさ 質量(使用時) 価格

Side

楽 し み た い カ メ ラ が D f だ 。

023

な ら 手 の 中 で ア レ コ レ と 触 っ て

と に も か く に も 、 ニ コ ン フ ァ ン

コ ン 党 な ら 今 回 は 呑 ん で お こ う 。

こ は モ デ ル ご と に 派 閥 の あ る ニ

も あ る か も し れ な い が 、 ま あ そ

確 か に D f は や や 〝 狙 っ た 〟 感

い と い う こ と か ら そ う 感 じ た 。

メ ラ の 姿 も 銀 塩 時 代 と 変 わ ら な

使 え 過 、 去 写 の 真 レ を ン 撮 ズ る 資 お 産 作 が 法 ご や っ 、 そ カ り

ふ と 思 っ た 。

に 似 た 存 在 な の か も し れ な い と

M 8 以 降 の デ ジ タ ル M 型 ラ イ カ

ロ ー な リ ズ ム が 似 合 う カ メ ラ 。

っ く り 撮 る の も い い 。 そ ん な ス

に 据 え て ケ ー ブ ル レ リ ー ズ で じ

露 出 を 決 め て 撮 る 。 さ ら に 三 脚

ン ト を 合 わ せ 、 ダ イ ヤ ル を 回 し 、

ニ ッ コ ー ル を 付 け 、 そ の 都 度 ピ

う メ 非 ー A カ i ー レ の ン 粋 ズ な ま 計 で ら 使 い え 。 る M と F い

35mmフルサイズ(36×23.9mm)CMOSセンサー 1625万画素 ニコンFマウント (AFカップリング、AF接点付) FX:上下とも約100%/約0.7倍(50mmF1.4) TTL位相差検出方式 1/4000〜30秒、B、T 約143.5H×110W×66.5Dmm 約765g オープン (実勢価格 本体約28万円)

っ く り 眺 め て し ま う 。

す る と 、 そ ん な 宝 探 し 気 分 で じ

の も の で は な い か 。 D f を 手 に

の ワ ク ワ ク こ そ が D f の 魅 力 そ

る 度 に 我 々 は 一 喜 一 憂 し た 。 こ

な ど 、 テ ィ ザ ー 映 像 が 公 開 さ れ

部 は F 風 、 ダ イ ヤ ル は F 3 な ど

た か も し れ な い 。 確 か に ペ ン タ

な か っ た と 感 じ た 人 は そ う 思 っ

D f を 、 膨 ら ま せ た 期 待 に 満 た

セ ン ス が 組 み 合 わ さ っ た

ン タ ー ジ ュ 。 名 機 の エ ッ


Dfと銀塩ニコン、

カバー開閉ノブ

徹底パーツ比較

F2

Df

どこか懐かしさを感じさせる佇まいの Df。そ んな Df にニコンの往年の名機のエッセンスを 探してみると、使っていた人であれば覚えのあ カバーを開けると SD カード スロットとバッテリースロッ トが現れる。バッテリーはこ の Df と D5300 で新たに採用 された「EN-EL14a」を使用。

るパーツを見つけることができる。このカメラ は、ニコン銀塩一眼レフファンなら必携の一台 F2 の裏ブタ開閉ノブを模したバッテリー・SD カードカバー 開閉ノブ。フィルム交換のためのパーツを、SD カードとい う同じʠ記録メディアʡを交換する部分に使う演出がニクい。

なのだ。ここでは、銀塩ニコン各機種と Df の パーツを編集部が調べて比較してみた。

グリップ Df

う中グ現 に指リ行 しをッニ てグプコ 握リ力ン るッで一 とプあ眼 持上るレ ち端がフ やに、に す引写比 いっ真べ 。掛のや けよや るう劣 よにる

FA

FA にオプションのグリップを付けた姿に似 たデザインの Df。上面が前に傾斜したフォ ルムは、F3 のグリップのエッセンスも感じる。

ボディライン

プレビュー/ファンクションボタン

FM2

F4

Df

Df

マウントベース右脇に同じ大きさのボタンが 並ぶスタイルは、この位置に AE-L/AF-L ボタ ンが並ぶ F4 に似ている。ボタンは F2 風か。

F タら上 Mイ F か 2 ルMら 系。 2 見 にレあて 見リた八 えーり角 るズま形 デボでの ザタ受フ インけォ ンと継ル だ合がム 。われは F せる か 、ス

電源スイッチ Df

FM

シャッターボタンを囲う刻みの付いたリングは電源スイッチ。 このʠギザギザのリングʡというモチーフは、F の「A-R リ ング」や FA のシャッターボタンのロックに見てとれる。

シャッタースピードダイヤル Df

F3

シャッターボタン

ダイヤルの形状 ス A ク黒 テ E ボい ッモタ文 プーン字 のドを盤 文の備の 字﹁え中 が A る央 あ﹂スに しにタシ ら代イル わえルバ れてはー て 1 F の い/ 3 ロ る 3 風ッ 。 。

Df

F

指当たりをよくする「ソフト シ ャ ッ タ ー レ リ ー ズ AR-9」 を取り付けることもできる。

デー縦円 ザス溝筒 イピのの ンー滑上 にドりの もダ止方 とイめに てヤが、 もル施上 よはさ下 く、れ 2 似 F た段 てやシに い F ャな る 2 ッっ 。のタて

Df

FM2

出キォシ そなルャ うどムッ な、、タ そ F そー のMしボ マ 2 てタ ン系鏡ン マののは のフよそ デァうの ザンに大 イな光き ンらるさ 。涙メや がッフ

シャッターボタンにはケーブ ルレリーズ用ネジ穴を装備。 アナログな操作感が楽しめる。

TEXT/青山祐介

024


今回比較した 往年のニコンカメラ Df のデザインのモチーフは、F から F4 までの F 一桁シリーズや、 FE、FA、FM 系の中堅モデルと いった、1970 〜 1980 年代のカ メラが金属ボディだった頃のエ ッセンスが多く用いられている。 ニコンF(1959)

ニコンF2 (1971)

ボディの塗装 Df

F3/T

Nikonロゴ

レンズ取り外しボタン た装ィマ ち。にグ り F 施ネ め 3 さシ ん/れウ 塗 T たム 装の上ダ をチ品イ 思タなキ いンレャ 起素ザス こ材ート さにト製 せ施ーの るさンボ 。れ塗デ

をデ F レ 被ザMン せイ/ズ たン F の よ。 E 取 う黒系り ないの外 上ボ多し 品タくボ でンのタ 凝にモン っメデは たッル、 つキと F くの同 2 り筒じや 。

Df

FM2

わ時ンペ ゆ代のン るの C タ 〝太 I 部 縦いロ前 ロゴゴ面 ゴシのの 〟ッ斜ロ をク体ゴ 採体では 用をは、 し使な現 てっく在 いた、の る、 F ニ 。い 3 コ

Df

F3

ボディ左の盛り上がり Df

F3

ニコンF3 (1980)

ニコンF3P (1983)

今なおニコンの一眼レフに何らかの形で採用される左前面角 の指かかりは、ジュージ・アーロがデザインした F3 に初め て設けられた。Df のそれは F3 と極めて似た形となっている。

セルフタイマーランプ Df

F3

ニコンF3/T (1984)

ニコンF4 (1988)

四角い窓を上下に分割したような赤いセルフタイマーランプ は、F 一桁シリーズで初めて電子シャッターとなった F3 の デザインそのもの。スクエアなボディフォルムによく似合う。

感度/露出補正ダイヤル Df

FM3A

ニコンFA(1983)

ニコンFM (1977)

ニコンFM2 (1982)

左肩の感度と露出補正値のダイヤルのあたりは、FE/FE2 や F M3A に似ている。周囲の細かな刻みの滑り止めや中央のロッ クボタンのデザインは、シャッタースピードダイヤルと共通。

トップカバー Df

ファインダー窓 FM2

Df

F3P

ニコンFM3A (2001)

Df の佇まいを象徴するペンタ部のトップカバーは FM2 のフ ォルムそのもの。スクエアで端正なフォルムは、普遍的な一 眼レフカメラのアイコンとして誰しもがイメージする形だ。

025

丸いファインダーアイピースはニコン一眼レフ上級機に共通 したデザイン。四角いペンタ部に大きく丸いファインダーア イピースの組み合わせは、さながら F3P を彷彿とさせる。


非AiとAiレンズの違い 非Aiレンズ

Aiレンズ

可倒式露出計連動レバー ガのレ両 イかン者 ドをズの のボの違 有デ開い 無ィ放は で側絞、 判にり設 断伝か定 でえらし きる何た る露段絞 。出絞り 計っが 連たそ 動もの

る連りマ こ動値ウ とレ情ン でバ報ト 非ーを部 Ai が ボ 右 レあデ上 ンるィに ズ。には もこ伝絞 装れ達り 着をすリ で跳るン きね露グ る上出の 。げ計絞

非Aiからナノクリまで ニッコールレンズ着せ替え Df のデザインはニコン歴代 MF 機の融合体といっても過 言ではない。だからこそ Df は色々なレンズが似合うの ではなかろうか。膨大な F マウントレンズの多くが装着 できるので、新旧取り揃えて、似合うレンズをルックス 重視、なおかつ独断と偏見でチョイスしてみた。

AiAF NIKKOR 35mmF2D

NIKKOR UD Auto 20mmF3.5

実用一辺倒の 35mm。プラスチ ック外装だって似合う! F2 の コンパクトさは取り回しがいい。 描写もシャープで文句なし。

フィルター径 72mm の大 柄な超広角。やっぱりニ ッコールオートの金属製 のピントリングは心とき めく格好良さがある。

AiAF NIKKOR 28mmF1.4D 28mm に 見 え な い 外 観 が、このレンズのアイデ ンティティ。Df とのバラ ンスもいい。中古でもい まだ高価である。

Ai ZOOM NIKKOR 43-86mmF3.5 鏡胴に彫られた被写界深度を示すラインカラ ーが美しい。描写性能はかなり微妙だが、ニ コンファンなら味わうべき。中古も安価だ。

Ai NIKKOR 50mmF1.8S(輸出版) 外観はピントリングまでプラス チックという廉価版のレンズ。 50mm に し て は 薄 く、Df の 軽 快感が増す組み合わせだ。

PHOTO & TEXT/北郷 仁

026


New NIKKOR 55mmF1.2 F2 の時代、ピントリン グがラバーを巻いたニュ ーデザインに。標準レン ズ で 5mm 長 い F1.2 は、 前玉が大きく通好みかも。

NIKKOR N C Auto 24mmF2.8 後期の C タイプはマルチ コートで発色が良く、現 行 Ai-S と 描 写 は さ ほ ど 変わらない。デザインで 選ぶならこちらを。

AiAF DC NIKKOR 135mmF2S 最初のボケ味コントロール機能付きレンズ。 ちりめん塗装で高級感があり、いかにも望遠 レンズ然とした大きな口径が素敵だ。

AF-S VR Micro NIKKOR 105mmF2.8G IF-ED

Ai NIKKOR 85mmF1.4S

ナ ノ ク リ、VR 搭 載 のマイクロレンズ。 太い鏡胴で大柄なの で、Df に 装 着 す る と少し不思議。描写 は文句なし。

吸い込まれそうな F1.4 の前玉。 現 行 の AF ニ ッ コ ー ル よ り も、 デザインとしてはこちらの方が Df に似合うように感じる。

Ai Micro NIKKOR 55mmF2.8S NIKKOR S Auto 50mmF1.4 F の時代、定番のニッコールオー ト。ルックスの面でも標準レンズ は安心の 1 本。中古でも高価では なく、入手しやすい。

数少ない MF レンズの現 行製品。奥まった小さな 前玉がチャームポイント。 とびきりキレのいい画質 を Df で楽しみたい。

AiAF-S ZOOM NIKKOR 17-35mmF2.8D IF-ED 広角ズームはやはり便利。 ロングセラーの現行製品だ が、Df は 絞 り 環 の あ る レ ンズで操作を楽しみたい。 ずんぐりしたデザインも○。

027


写す楽しみを 味わえるカメラ Df は新しいデジカメなのに、何年も連れ添って、操作 に慣れたカメラのような気がしてならない。絞り環のあ るタイプのニッコールレンズを装着すると、フィルムカ メラの F3 などと使い勝手は大差なく、楽しく撮影がこ なせそうだ。数あるニッコールレンズの中から数本をチ ョイスして、街に繰り出してみた。

Nikon Df・AF-S NIKKOR 50mmF1.8G(Special Edition) ・F2・1/250s・ISO400

・F2・1/80s・ISO12800 Nikon Df・AF-S NIKKOR 50mmF1.8G(Special Edition)

古いタイプライターを窓からの自然光のみで撮影。このレンズ、見かけは古 いが中身は最新設計なので、文句なくいい描写。ボケ味も標準レンズらしい。

なんの変哲もない深夜の住宅地の交差点。赤信号の道路へのわずかな反射も、高感度 ISO12800 は、見た目以上にドラマチックに描き出してくれた。

AF-S NIKKOR 50mmF1.8G(Special Edition) AF-S ニ ッ コ ー ル 50mmF1.8G を もとに、デザインを変更して Ai ニッコールに似た感じに仕上げた レ ン ズ。Df と バ ラ ン ス が よ い。 既に発売されている他のレンズも、 このスペシャルエディション仕様 を発売して欲しい!

ピクチャーコントロ ールは風景。WB を 電球光にして日没後 の青空を強調した。 25 年以上前の AF レ ンズだがとてもよく 写る。

AiAF NIKKOR 28mmF2.8S 初期の AF ニッコールレンズはピ ントリングが細く、MF での操作 性は良くないが、描写性能は悪く ない。そしてこの 28mm は軽量か つコンパクト。Df でピントをAF に 任せると、実に軽快に撮影できる。

Nikon Df・AiAF NIKKOR 28mmF2.8S・F8・1.6s・ISO400 PHOTO & TEXT/北郷 仁

028


NIKKOR HC Auto 85mmF1.8 1974 年 6 月発売。多層膜コート 仕様になり、カラーの発色が向上 した C タイプの中望遠レンズ。フ ィルター径が 52mm と小さめだ が、レンズは思いのほかずっしり していて、Df とのバランスは良好。

ボケ味はやや硬め。 開放近辺ではハロが 出るので柔らかい描 写になりがち。絞り 込むとコントラスト も上がり、硬質なニ ッコールらしい描写 になる。

Nikon Df・NIKKOR HC Auto 85mmF1.8・F2・1/1000s・ISO800

絞り込んでも周辺が うっすらと落ちて、 主題を強調するよう な特徴ある描写をす る。私はこれが気に 入っていて未だ大切 に愛用している。

Ai NIKKOR 18mmF4 1977 年 6 月発売。前玉が張り出 した独特なルックスもさることな がら、描写性能も個性的、かつ秀 逸な超広角レンズ。いまや中古市 場でも希少なこのレンズは、不思 議と Df に似合う! Nikon Df・Ai NIKKOR 18mmF4・F11・1/400s・ISO200

029


SONY

α7 R

加 納 満 Kano

Mitsuru

α7 Rをじっくり構えて撮影すると、東京の 静けさと、息づく人々の生活が見えてき た。フルサイズならではの、解像感と余裕 ある光の描写を堪能する。

SONY α7R

今回使用したレンズ

フルサイズを小さいサイズで。 ソニーの α7 シリーズは、それ を極限までおこなった。上位機 種 α7R はフルサイズ機では最 小最軽量でありながら、α 史上 最高画質を謳う有効画素数約 3640 万のミラーレス一眼だ。 α7Rの主な仕様 撮像センサー 有効画素数 ファインダー形式 AF方式 シャッター速度 大きさ 質量(使用時) 価格

35mmフルサイズ(35.9×24.0mm)、 ʠExmorʡCMOSセンサー 約3640万画素 1.3cm(0.5型)電子ビューファインダー コントラスト検出方式 静止画:1/8000〜30秒、バルブ 約126.9Wx94.4Hx48.2Dmm 約465g オープン (実勢価格21万9800円)

FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS 焦点距離 レンズ構成 最短撮影距離 フィルター経 大きさ 質量 希望小売価格

28-70mm 8群9枚 0.3-0.45m 55mm 最大経×長さ 72.5×83mm 約295g 6万1950円

Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA 焦点距離 レンズ構成 最短撮影距離 フィルター経 大きさ 質量 希望小売価格

55mm 5群7枚 0.5m 49mm 最大経×長さ 64.4×70.5mm 約281g 10万3950円

030





パ ク ト な 仕 上 げ に な っ て い る 。

ま で の ミ ラ ー レ ス 機 同 様 に コ ン

イ ズ セ ン サ ー を 搭 載 し て も 、 今

α 4 0 万 画 素 の 35 ㎜ フ ル サ

7 R は 有 効 画 素 数 約 3 6

034


共通データ

SONY α7R

FE 28-70mmF3.5-5.6OSS・ F6.3・1/160s・ISO1600 何故か惹かれる場所。無機質 なコンクリートでも、光の濃 淡が生まれた瞬間に、人間の ドラマが始まるような期待と 予感がする

SonnarT*FE 55mmF1.8ZA・ F8・1/200s・ISO1000 いつも歩く青山の裏通りで耐 用年数を経たとも思えない建 物が取り壊されていた。廃墟 に惹かれる気持ちは薄いけど、 色と形に目が止まった

かのう みつる

FE 28-70mmF3.5-5.6OSS・ F11・1/1250s・ISO1600 目黒川沿いの桜並木。春の花 見時期には歩けないほどの人 混みになるけれど、紅葉して 殆どの葉が散ってしまった今 は、自転車が一台だけ。

SonnarT*FE 55mmF1.8ZA・ F8・1/6s・-0.7EV・ISO12800 カメラに極端な負荷を掛けた 写真。ISO12800。実際は肉 眼による識別が難しい程の闇 と極端に明るい光源が同居し ている。

035

PHOTO&TEXT/加納 満

広告カメラマン 最新カメラ を数機種使って、カタログ性 能の差を写りの差として実感 できる時代は終わったと感じ た。これからは撮っていて楽 しいカメラに出会いたい。

れ る 8 × 10 の 気 分 だ っ た 。

ず 使 っ た 。 ポ ケ ッ ト に も 入 れ ら

が け 、 三 脚 を 使 え る 場 合 は 迷 わ

ド よ り も 数 段 速 く 切 る こ と を 心

丈 夫 と 思 え る シ ャ ッ タ ー ス ピ ー

テ ー ル を 崩 し か ね な い の で 、 大

ば し に も 耐 え る き め 細 か い デ ィ

拾 い や す い 。 微 細 な ブ レ が 大 伸

は シ ャ ッ タ ー を 押 す シ ョ ッ ク を

う こ と だ 。 コ ン パ ク ト な ボ デ ィ

い が 必 要 な 場 面 も で て き た と い

よ っ て 、 大 型 カ メ ラ の よ う な 扱

密 な 写 真 が 撮 れ る と い う こ と に

で 、 軽 く 小 さ な ボ デ ィ で も 超 細

の は 、 長 所 の 裏 返 し と な る 部 分

逆 に 注 意 す る べ き だ と 感 じ た

に と て も 好 感 が 持 て た 。

な セ ッ テ ィ ン グ に で き る と こ ろ

も 、 妙 な 派 手 さ を な く し た 自 然

う こ と に 尽 き る が 、 色 に 関 し て

感 想 は 、 極 め て 細 密 な 描 写 と い

純 正 レ ン ズ を 装 着 し て 撮 影 し た


東京タワーの階段600段を

歩いて、昇って、撮る! タワー内部から鉄骨越しに眺めると、いつもと少し違う新鮮な東京の 景色が広がる。超コンパクトなLUMIX GMをお供に、足取り軽く階 段を昇って撮影してみた。 PHOTO&TEXT/北郷 仁 TEXT/山本怜央 (編集部)

600段を昇ったカメラマンの北郷さん 「この大きさで、レンズを変えられるなんて、コンパクトカメラより数倍楽 しい! レンズ 2 本持っての階段 600 段も、全く苦にならない」と、LUMIX GM のコンパクトさと写りを実感していた。

昇ると貰える 「昇り階段 認定証」 階段の要所要所で励ま してくれたノッポンブ ラザーズからの踏破認 定証。階段で昇った人 だけが貰える。

東京タワーを一緒に昇ったカメラ パナソニックの新しいミラーレス一眼 LUMIX GM。コ ンパクトカメラと同じ大きさで、マイクロフォーサーズ マウントのレンズ交換式。小型サイズと写りの両立で、 アクティブな撮影のお供にもピッタリ。

晴れた日の大展望台か らは、ビルの合間に東 京スカイツリーも見え る。都内だけにとどま らず、近郊の風景も一 望できる。

景南ン鉄 が側ボ塔 見なーの らのブす れでリき る、ッ間 。南ジか 東がら かチ臨 らラ海 南リ副 西!都 ま  心 で階と の段レ 風はイ

カメラと東京タワーの 粋な関係

大展望台

カメラ片手に東京タワーを昇ろう ! めったに昇ることのできない階段は 600 段。エ レベータ−で一気に別世界、という東京タワー の楽しみ方もいいけれど、風を感じながら、一 歩一歩昇って見える景色は違って見える。600 段と聞くと躊躇してしまうが、ゆっくり昇って も約 20 分。撮影しながらだとラクラク昇れて しまうので、ぜひ挑戦してみよう。 概要 上り階段営業日 土曜・日曜・祝日 営業時間 11:00 〜 16:00(雨天時は中止) 料金 820 円(大人・大展望台のみ)

っ点へフ て。 6 ッ いこ 0 ト るの 0 タ そ階段ウ う段続ン だはく屋 。非 上 常階に 階段あ 段のる のス、 役タ大 割ー展 もト望 担地台

150m

©TOKYO TOWER

036


Panasonic LUMIX GM・LUMIX G 20mm Ⅱ・ F8・1/2000s・-0.7EV・ISO400 階段を昇るたびに、徐々に視点が上がってい くのが面白いポイント。鉄塔越しの眺めは新 鮮。フェンスのすき間にレンズを少し入れて 撮ってみた。小さな GM ならではのカット。


Panasonic

LUMIX GM 世界最小サイズのレンズ交換式カメラ LUMIX GM。片手に すっぽりと収まる本体にはマグネシウム合金を採用しており、 堅牢性に優れている。本体前面部を覆う合皮素材は手によく 馴染み、ホールド感も良好。高画質、拡張性、スタイル、三 拍子そろったカメラだ。

主な仕様 マウント 撮像素子 有効画素数 AF方式 シャッター速度 大きさ 質量 価格

マイクロフォーサーズ 4/3LiveCMOSセンサー 約1600万画素 映像検出によるTTL方式 静止画:1/16000〜60秒 約98.5W×54.9H×30.4Dmm 約204g(本体のみ) オープン (実勢価格約7万5900円)

Panasonic LUMIX GM・LUMIX G 20mm Ⅱ・ F4.5・1/500s・-1EV・ISO400 大展望台 1 階にある、タワーから 145m 真下を覗くことができるガラス張り の床を利用して。ガラス面の傷や汚れを写り込ませないためには、レンズを ガラスに密着させて、あまり絞り込まずに撮るのがオススメだ。

Panasonic LUMIX GM・LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.・ F5.6・1/160s・-0.7EV・ ISO400 階段の途中、フェンス の端にひっそりと目立 たないようにつけられ た 2 つの鍵。12-32mm の望遠側、グッと寄っ て絞りは開けぎみに。 背景をほどよくボカし て鍵を強調してみた。 ボケ味もいい感じだ。

038


Panasonic LUMIX GM・LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.・ F8・1/500s・ISO200 大展望台 1 階から南西方向。ちょうど午後の 逆光と、もやにつつまれた立体的な街並みが 迫ってきた。コントラストが高めのダイナミ ックモノクロームモードで、その光と立体感 をドラマチックに描写してみた。


ROMAN HOLIDAY with GR Ogawa Yasuhiro

小川康博

040


RICOH GR・F5.0・1/1600s・-0.7EV・ISO100 ローマ旧市街。どこを切り取っても画になる、というのはこのような場所のこ とを言うのだろう。狭い路地空間に GR の 28mm の画角が絶妙にフィットする。


↑RICOH GR・F4.5・1/1000s・-1.0EV・ISO100 ローマの旧市街ほどストリートフォトに最適な空間はありえない。通りを行き 交う人々に GR のレンズを向ける。一瞬一瞬が日常というドラマのワンシーン。

↓RICOH GR・F4.0・1/125s・-0.3EV・ISO100 雨上がりの午後、旧市街を散歩していると黄色いフィアットがオーラを放ちな がら路肩に停まっていた。GR はメタリックな質感描写も秀逸だ。


↑RICOH GR・F4.0・1/320s・-1.7EV・ISO100 土曜日の夕刻、旧市街の広場が突如「踊りの空間」と化した。音楽が鳴り響き、 ダンサーたちが人々の拍手喝采を浴びながら踊り始める。幸せな国、と思った。

↓RICOH GR・F4.0・1/40s・-2.0EV・ISO200 夕暮れ時のような暗い場所での撮影ほどコンデジが面目発揮する瞬間はない。 空からシャドーまで、フィルムでは成し得ないディテールの緻密な再現性だ。


RICOH GR F4.0 1/750s -0.7EV ISO100

るロ 教ー 会マ もに 街は の白 光が 景よ にく 白似 の合 アう ク。 セ午 ン後 トの を太 添陽 えに る尼 。僧 この の僧 白衣 をが 写白 真く に輝 残き し、 た遠 いく とに 思見 うえ 。

・ ・ ・ ・

044


RICOH GR・F5.0・1/1250s・-0.7EV・ISO100

旧市街、ナツィオナーレ通り。陽光に鈍く輝く石畳の路面を、GR のレンズがシ ャープな質感で描写する。デジカメ特有のこの尖った描写、私は嫌いではない。

RICOH GR・F5.0・1/1600s・ISO100

路地に置かれたレストランのテーブル。何気なく撮った一枚だけれど、今回の 旅で一番のお気に入りの写真はこれ。ローマの記憶がこの一枚に詰まっている。

045


小川さんのG R 撮 影スタイル RICOH GR 今まで何台かデジカメを使ってきたけれど、真剣に写 真を撮るために買ったのはこの GR が最初である。使 ってみて、コンデジの理想のひとつがここに具現され ていると感じた。このカメラに出会えて幸せだと思う。

リコー純正の外付け ファインダーのデザ インが今イチ好きに なれなかったので、 あえて他社製の製品 で勝負。液晶モニタ ーが見づらい時など かなり重宝している。 手首に巻いて使うのにちょうど良いものを探していた ら、アルティザン&アーティスト × マップカメラのス トラップに行き着いた。満足できる質感とデザイン。

おがわ やすひろ

1968 年、神奈川県生まれ。 フリーの写真家として、日 本やアジアをフィールドに 活動を続けている。2008 年、 『Slowly Down the River 往 (い)にし方(へ)の三峡 を め ぐ る 旅』 (クレオ刊) を 出 版。2009 年、 日 本 写 真協会賞新人賞を受賞。 www.ogawayasuhiro.com

プ で 渋 く 決 め れ ば 気 分 も だ ん だ ん 盛

テ ィ ザ ン & ア ー テ ィ ス ト の ス ト ラ ッ

の コ ン デ ジ 用 の フ ァ イ ン ダ ー 。 ア ル

ラ ウ ン ド シ ェ イ プ が 愛 ら し い ニ コ ン

こ の 機 に 購 入 し た 。 選 ん だ の は そ の

と い う 訳 で 、 外 付 け フ ァ イ ン ダ ー も

う も な く 違 和 感 を 感 じ る こ と だ っ た 。

フ ィ ル ム カ メ ラ 人 間 と し て ど う し よ

液 晶 モ ニ タ ー を 睨 み な が ら の 撮 影 に 、

と そ ん な こ と を 思 っ た 。

ロ ー マ の 街 角 に 佇 み な が ら 、 私 は ふ

ば ら く 手 離 す こ と が で き な い か も 。

う な コ ン デ ジ な の だ ろ う 。 G R 、 し

カ メ ラ は 、 ラ イ カ で は な く G R の よ

ー ト に 自 然 に 溶 け 込 む こ と の で き る

間 が 日 常 風 景 と な っ た 昨 今 、 ス ト リ

こ と で あ る 。 デ ジ カ メ を 手 に す る 人

難 め い た 視 線 で 睨 み 返 し た り し な い

シャドー部をしっか り表現でき、かつ空 も白トビしない GR は輝度差があるシー ンに向く。

エフェクトで「ポジ フィルム調」に設定。 濃厚な色彩を際立た せるため、露出はア ンダーに。

時には自分の影も楽 し む。 こ の よ う に 堂々と構えてスナッ プできるのが楽しい。

っ 自 い ー た た 分 う テ だ 。 の こ ィ ひ 眼 の ン と と カ グ つ 足 メ に 不 で ラ 機 安 確 の 敏 が か 評 な あ め 判 反 っ て を 応 た み 、 を 。 た ぜ 見 そ い ひ せ れ と と る は 思 も と 、 レ す う こ ン る か 写 と ズ 人 驚 真 で を 々 い を 色 向 に た 撮 彩 け ( の り は て か は 始 よ み な 、 め り て り ス て ビ も 強 ト 気 ビ 、 引 リ づ ッ 誰 な ー い ド も 感 ト た に 際 私 じ を 、 立 を で 闊 と つ 非 ) 歩 い 。

の カ メ ラ で あ る 。 ス ト リ ー ト ・ シ ュ

G R は 私 に と っ て ま さ に う っ て つ け

ン 機 材 。 だ か ら 、 28 ㎜ の 画 角 を 持 つ

M 6 + エ ル マ リ ー ト 28 ㎜ が 私 の メ イ

の は G R 。 ふ だ ん の 撮 影 で は ラ イ カ

コ ン デ ジ を 買 う こ と に し た 。 選 ん だ

そ ん な 訳 で 、 こ の 機 会 に 奮 発 し て

ダ ー に 補 正 。 シ ャ ド ー 部 分 が 締 ま る

表 現 し て み た い 。 露 出 は つ ね に ア ン

く 陽 光 に 彩 ら れ た 街 を よ り 鮮 や か に

れ に せ っ か く の 南 欧 で あ る 。 き ら め

ジ タ ル は 得 意 と す る よ う に 思 う 。 そ

ジ フ ィ ル ム の よ う な 鮮 烈 な 色 彩 を デ

よ う な ナ チ ュ ラ ル な 色 彩 よ り も 、 ポ

こ と で あ る 。

を 持 っ て 行 か な い の も も っ た い な い

て 、 せ っ か く の 初 イ タ リ ア 、 カ メ ラ

あ ま り な い か も し れ な い 。 か と い っ

に 追 わ れ て 真 剣 に 写 真 を 撮 る 時 間 は

フ ィ ル ム 調 」 に 設 定 。 ネ ガ カ ラ ー の

カ メ ラ の エ フ ェ ク ト は あ え て 「 ポ ジ

ち の け で G R 片 手 に 街 を 歩 き 回 っ た 。

影 モ ー ド で あ る 。 個 展 の 準 備 も そ っ

町 並 み の 美 し さ に 初 日 か ら 一 気 に 撮

る こ と も 考 え た け れ ど 、 個 展 の 準 備

は 一 週 間 。 愛 機 、 ラ イ カ M 6 を 携 え

ち 会 う こ と に な っ た の で あ る 。 滞 在

こ と に な り 、 そ の オ ー プ ニ ン グ に 立

現 地 で 私 の 個 展 が 開 催 さ れ る

秋 、 縁 あ っ て ロ ー マ を 旅 し た 。

で 撮 事 自 り ロ あ 影 だ 分 上 ー る へ 。 を が マ 。 の カ 盛 っ や メ り て に る ラ 上 く 入 気 に げ る る も 対 て 。 と 、 俄 す い そ 降 然 る く う り 出 愛 の 、 注 て 着 っ こ ぐ く が て う 陽 る 湧 結 や 光 も け 構 っ と て の ば 、 大 046


RI C O H G R 最 新トピック

GR Limited Edition GR といえば黒い。フィルム時代から黒い。愛用者の持ち物やファッションまでな ぜだか黒い。そんな GR 代々の「正統ブラック」のイメージを心地よく裏切る限定 モデル「GR Limited Edition」が登場した。グリーンのウェーブトーン塗装を施し たボディに木目調グリップを配し、専用アクセサリーを付属。鉱石のような、銀河 のようなその神秘的カラーは、見る人を虜にする。世界限定 5000 台・9 万 9800 円

操作ボタン、ダイヤ ルもシルバー仕上げ。 ボディカラーとマッ チしてサイバー的な クールさが漂う。

黒を基調とした木目調のグリップ。 マットと光沢が程よいバランス。 背面の一部にも採用されている。

シルバーのリングキ ャップとダイヤカッ ト仕様のレンズネー ムリング。

「ウェーブトーン塗 装」は二層の処理に よって生まれる艶や かな質感が魅力。深 みのあるグリーン。

特 別仕様のアクセサリーも付属 「GR Limited Edition」のボディカラーに合わせた特別仕 様のアクセサリーが付属する。

機 能拡 張ファームウェア公 開 GR の最新ファームウェアが 10 月から公開中だ。 シャッター速度が 1/2500 秒まで設定でき、クロ ップに 47mm(35mm 判換算)が追加されるな ど、8 点の機能拡張や変更内容が適応される。

GR Limited Edition カメラ本体 フード&アダプター GH-3 Limited Edition

表面に縮み塗装を採用。高 級感が漂う。

ネックストラップ GS-3 Limited Edition ソフトケース GC-5 Limited Edition

047

TEXT/馬庭あい (編集部)  問い合わせ:リコーイメージングお客様相談センター TEL 0570-001313


FULL SIZE M LENS α7のシンプルで一眼レフスタイルの小型ボディと、

Mマウントレンズの相性は抜群。見た目はもちろんの こと、 ライブビューでピント合わせもしやすい。Mマウ ントの新しい楽しみ方が増えた。 PHOTO&TEXT/加納 満 TEXT/山本怜央 (編集部)

今回使用したレンズ ライカ

エルマー 35mmF3.5 1930 年に登場したライカ初の広角レ ンズ。1950 年までの 20 年間で約 4 万 2500 本が作られた。オールドレンズ らしい柔らかな描写が特徴だ。

α7ボディ 有効画素数約 2430 万画素、重量約 474g のミラーレス一眼。フルサイ ズ機としてはコンパクトにまとまっ ており、アダプター経由のオールド レンズ装着とも相性がいい。実勢価 格約 14 万 9800 円(ボディのみ)

ライカ

フォクトレンダー

VM-E Close Focus Adapter ライカ M マウントレンズや、M マウン ト互換レンズを装着できるマウントアダ プター。繰り出し量 4mm のヘリコイド が組み込まれている。レンズを最短撮影 距離にセットしてアダプター側のヘリコ イドを繰り出していくと、レンズ本来の 最短撮影距離よりも短い距離で接写が可 能だ。希望小売価格 3 万 8640 円。

ズマール 50mmF2.0 1933 年発売のライカ初の大口径レン ズ。仕上げの素材、最小絞り値の違い などで数多くのバリエーションがある。

カールツァイス

プラナー T* 2/50 ZM 「M システムレンズの新標準パフォー マンス」を標榜するモデル。高解像力 と、徹底したフレア・ゴーストの制御 が特徴。希望小売価格 7 万 8750 円。

フォクトレンダー

ヘリコイドを繰り出して寄る!

ウルトロン 21mmF1.8 Aspherical

VM-E Close Focus Adapter にズマール 50mmF2.0 を着けて近接撮 影を試す。ヘリコイドのお陰で、大幅に寄れている。アダプタを使 うことで、M マウントレンズの最短撮影距離を超えて撮影できるの

21mm で大口径の最新レンズ。絞り 開放でもピントがシャープ。最短撮影 距離が 50cm と寄れるので、撮影の幅 が広い。希望小売価格 11 万 6445 円。

も、α7 ならではの楽しみだ。 でズ 撮マ 影ー 。ル 50 ㎜ の 最 短 撮 影 距 離 で あ る 1 m

離ヘ はリ 約コ 52 イ ㎝ド まを で繰 短り く出 なし って てみ いた た。 。最 短 撮 影 距

048


F2・1/500s・-1EV・ISO3200 ライカのレンジファインダー用レンズは、ここまでしか 寄れないという写真。あらためて見ても本当に寄れない 印象。そのもどかしさが良いというのもあるけれど。

α7

ライカ

ズマール 50mmF2.0

α7

カールツァイス

プラナー T* 2/50 ZM

F4・1/2500s・-1EV・ISO1600 アダプターのヘリコイドをいっぱいまで繰 り出して撮った自転車のチェインホイール。 一眼レフのレンズと遜色ない近接撮影が可 能になったと言っていいだろう。

049

TEXT/加納 満


050


F16・1/1.6s・ISO1600

α7

051

ど 問 題 が な い と 感 じ た 。 28 ミ リ

上 長 い 標 準 、 望 遠 に つ い て は 殆

け れ ど 、 35 ミ リ も し く は そ れ 以

は 画 面 周 辺 の 色 か ぶ り だ と 思 う

タ ル で 使 う 場 合 、 気 が か り な の

ッ ク の 短 い ラ イ カ レ ン ズ を デ ジ

に 持 ち 出 し て み た 。 フ ラ ン ジ バ

ー を 介 し て α 7 に 取 り 付 け 、 街

ン ズ に コ シ ナ 製 ア ダ プ タ

イ カ M と L マ ウ ン ト の レ

を 見 せ て く れ た 。

を し て く れ る の で 、 新 し い 世 界

シ ナ 製 ア ダ プ タ ー は 十 分 な 補 正

影 距 離 の 遠 さ に つ い て 、 こ の コ

ン ト レ ン ズ の 弱 点 で あ る 最 短 撮

ー 用 に 開 発 さ れ た M 及 び L マ ウ

っ た 。 ま た 、 レ ン ジ フ ァ イ ン ダ

り 、 一 概 に 言 う こ と は で き な か

個 々 の レ ン ズ に よ っ て 違 い が あ

よ り も 短 い レ ン ズ に つ い て は

TEXT/加納 満

敏腕レコーディング・エンジニアのスタジオ にお邪魔して「卓」を撮らせてもらった。拡 大してみると画面の隅々まで、つまみの文字 を鮮明に読み取ることができた。

ライツ

エルマー 35mmF3.5

α7

フォクトレンダー

ウルトロン 21mmF1.8 Aspherical

かのう みつる

F4・1/1000s・ISO1600

プロフィールは 35 ページを参照。

渋谷、宮下公園横の歩道を歩くふたり。いつも日陰になって いる印象で、あまり歩かないところだけど、素敵な並木とふ たりを撮れて、歩いてみるものだと思った。


LUMIX GMで解く

形と写りの 方程式 毎日持ち歩ける大きさのLUMIX GM。 日常的 に持ち歩くからこそ、見た目も写りも追求したい もの。マウントアダプターをつけることで更に広 がるレンズ群との組み合わせから、自分にあっ た快適な答えを求めてみよう。

PHOTO&TEXT/北郷 仁 TEXT/山本怜央 (編集部)

レイクォール

ライカ

M マウントのレンズをマイ クロフォーサーズマウントの ボディで使用するためのマウ ントアダプター。希望小売価 格 1 万 9950 円。

第 4 世代のズミクロン 50mm。 ディスティネーションを最小 限に抑えており、近接での歪 みがほとんどない。色再現も 忠実で信頼の高いレンズ。

レイクォール

ライカ

ズミクロン 50mmF2

LM-M4/3

LM-M4/3

LUMIX GM

ズマロン 35mmF2.8

シンプルなので、様々なレン ズとあわせてもスタイルを崩 さない。LUMIX GM との相性 もいい。

高屈折率のランタンガラスを 使って収差補正をし、解像度 と色再現性を向上させた単層 コーティングのレンズ。M3 用のメガネ付きもある。

パナソニック

LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH. 小型・軽量のパンケーキレンズ。開放か らシャープな解像力がある。最短撮影距 離 18cm と広角マクロ撮影にも向く。希 望小売価格 4 万 9875 円。

LUMIX GM spec. マウント マイクロフォーサーズ 撮像素子 4/3LiveCMOSセンサー 有効画素数 約1600万画素 映像検出によるTTL方式 AF方式 シャッター速度 静止画:1/16000〜60秒 大きさ 約98.5W×54.9H×30.4Dmm 質量 約204g(本体のみ) 価格 オープン (実勢価格約7万5900円)

オリンパス

ボディキャップレンズ 15mmF8 薄さ 9mm、重さ 22g のレンズ。普段は ボディキャップ、撮影時にはスナップ用 パンフォーカスレンズとして使用できる。 希望小売価格 6825 円。

052


レンズが大きいがバランスは良好 今回使用したズミクロンは、1994 年から販売された第 4 世代のもの。描写 はコントラストが高く、色再現がよい。絞りを問わずしっかりとした像を結 ぶ、優等生のレンズだ。往年のレンズのような描写の面白味は少ないけれど、 非常に実用的ではある。GM との組み合わせでは、35mm 版換算 100mm の 中望遠レンズになる。GM ボディが軽く小さいために、まるでレンズだけを ホールディングしているようで、操作性は意外とよかった。

LUMIX GM + ズミクロン 50mmF2

F2・1/800s・-0.7EV・ISO400・ JPG・WB:オート 絞り開放、最短撮影距離の 0.7m で 撮影。レンズの欠点が露呈しやすい 状況ではあるが、ボケ味が素直で気 持ちいい写り。

053

TEXT/北郷 仁

F2.8・1/16000s・-0.7EV・ ISO400・JPG・WB:オート 順光の硬い光であるが、 豊富なトーンでその光を 見たままにうまく再現で きているように思う。


ズマロンを中望遠で楽しむ斬新さ ズマロン 35mm は F3.5 と F2.8 があるが、今回使用したのは F2.8 で M マウン トのズマロン。製産期間が長く、多少のバリエーションと個体差があるが、 トーンが豊富でなめらかな写りはライカレンズらしく個性的だ。GM に装着 すると 35mm 版換算 70mm の中望遠レンズとなり、画角的には新鮮である。 こちらも前頁のズミクロン 50mm と同様、GM ボディよりもレンズが重いが、 操作性は思いのほか悪くなかった。

LUMIX GM + ズマロン 35mmF2.8

F2.8・1/2000s・-0.7EV・ISO200・ JPG・WB:オート 蒲団の質感描写がいい。カラフルな 壁面は実際より彩度が低め。決して 欠点ではなく、GM はむしろこのレ ンズの個性を引き出している。

F2.8・1/6400s・ISO400・ JPG・WB:オート 露出差がだいぶある状況にもかかわ らず、ハイライトは飛ばず、シャド ーもつぶれない。やわらかなトーン がこのレンズの持ち味だ。

054


LUMIX GM + LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH.

パンケーキレンズは相性抜群 GM によく似合う、コンパクトな 14mm。全長が短い設計のい わゆるパンケーキレンズだ。描写もシャープで歪曲収差も少な く、性能に手を抜いていないことにも好感が持てる。さすがに 純正レンズだけあって、カメラとのマッチングは素晴らしく、

AF などの機能がフルで使える点はとても使い勝手が良かった。 気軽に持ち出したいレンズだ。

F2.5・1/10000s・-0.7EV・ISO200・JPG・WB:オート 店先に置かれた椅子。光が当たっている脚を少しでも強調したくて、絞りは開放。 露出補正で少しだけアンダーに。

小さくてマニュアルも楽しめる ボディキャップに小さなレンズが付いているユニークなレンズだ。フォーカスレバーも 付いているが、ほぼパンフォーカスになるので、ピント合わせはほぼ不要。その名前の 通り、キャップのように軽量で薄いために、1 本のレンズとは思えないほど、携帯性は 抜群によい。写りに関しては好みが分かれるところで、カリカリとしたシャープさでは ないけれど、実勢価格約 5000 円のレンズとしては、驚くべき描写でよく写る。

LUMIX GM + ボディキャップレンズ 15mmF8

1/400s・-1EV・ISO400・ JPG・WB:オート 横浜馬車道にて。ピントは鋭く はないものの、味わい深いソフ トな描写だ。シンプルなレンズ 構成独特の優しい描写。

055


写真が誕生して百数十年余。偉大なる巨匠の名作はいつだって僕たちの心をわし掴みにする。 あんな写真を撮ってみたい─。 そこにあるのは、 「オマージュ」とか「模倣」なんて仰々しいものではなく、極めて純粋な憧れと探究心だ。 巨匠の構図、色、 カメラ、撮影スタイル、 トーン、粒子…。心打たれたポイントを、自分流にたどってみよう。 大いに真似して、学んで、何度も打ちのめされながら、 どんどん写真の深みにはまっていこう。 写真は難しい。写真は奥が深い。だから写真はとても楽しい。

撮って感じろ Like 三好耕三 086

恩師に憧れ 8º10カメラを担ぐ

Like Josef Koudelka 092

Like 林 忠彦

Like Ed Van Der Elsken / Cindy Sherman 088

エルスケン風に 物語のある写真を目指す Like Mark Borthwick

090

091

094

095

齋藤さんが撮りそうな木を写す

フリードランダーのテーマ性 Like 森谷 修

096

ブレッソン風幾何学構図で撮る Like 齋藤亮一

林 忠彦のポートレート構図を学ぶ Like Lee Friedlander

ボスウィック風に光を捉える Like Henri Cartier-Bresson

クーデルカ調に渋パノラマを撮る

森谷流 6º6 構図を会得する Like Robert Mapplethorpe

098

天才写真家に惚れ 手にしたハッセル

TEXT/馬庭あい (編集部)

056


特集

憧れの名作は僕たちの教科書だ!

名作を見て Like Eugène Atget 060

アジェに思いを馳せて旅を巡る

Like Michael Kenna 076

Like Michael Kenna

Like 植田正治 068

植田調に憧れる

078

石内 都をたどる in ヨコスカ

080

Like 牛腸茂雄 / Irving Penn 072

コントラストを操り 名作風に焼き分ける

057

ジャコメッリ的 ハイコントラストに挑戦

エグルストンのニューカラーに プリントで近付ける Like Elliott Erwitt / Robert Doisneau

082

Like Mario Giacomelli 074

雪景色をケンナ風構図で撮る Like William Eggleston

Like 石内 都 070

ケンナ風長時間露光にトライ!

084

アーウィットやドアノーのような 情景を描く 巨匠風に愛機ºポートレートを 粋に撮る


Introduction-1 れ れ ば 同 じ よ う な 素 晴 ら し い 傑

ン が 持 っ て い る ラ イ カ を 手 に 入

の 広 告 塔 で あ っ た 。 「 ブ レ ッ ソ

ン は そ の 意 味 で 最 大 の ラ イ ツ 社

ア ン リ ・ カ ル テ ィ エ = ブ レ ッ ソ

ム ス の ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド で あ る 。

で あ り 、 そ し て ア ン セ ル ・ ア ダ

バ ー ト ・ キ ャ パ の コ ン タ ッ ク ス

ッ ク ス 大 型 一 眼 レ フ で あ り 、 ロ

・ ス テ ィ ー グ リ ッ ツ の グ ラ フ レ

そ れ ら は 例 え ば 、 ア ル フ レ ッ ド

ポ ー ト レ ー ト が 沢 山 残 っ て い る 。

そ れ を 撮 影 し た 偉 大 な 写 真 家 の

フ ィ 20 ル 世 ム 紀 カ の メ 世 ラ 界 で 的 撮 な 影 名 さ 作 れ 写 真 た は 。 、

こ と も あ る 。

だ し そ の 反 面 、 何 と な く 寂 し い

大 変 あ り が た い こ と で あ る 。 た

な 進 歩 は 、 我 々 カ メ ラ 人 類 に は

ル ム カ メ ラ の ビ タ ミ ン が 必 須 な

だ け で は や っ て い け な い 。 フ ィ

性 豊 か な カ メ ラ 人 類 は デ ジ カ メ

い て 面 白 い 。 実 際 の と こ ろ 、 感

に な る の も 今 の 時 代 を 反 映 し て

っ た り す る コ ミ ッ ク が 大 ヒ ッ ト

女 子 高 生 が ソ 連 製 の キ エ フ を 使

い な い と 考 え て い る の で あ る 。

的 な 写 真 家 が 登 場 す る の は 間 違

ル カ メ ラ の 時 代 に 名 を 残 す 世 界

義 者 だ か ら 、 近 い 将 来 に デ ジ タ

た し し は か カ し メ 心 ラ 配 に す 関 る し 事 て は は 無 楽 い 天 。 主 あ

の は 非 常 に 困 難 で あ る 。

デ ジ タ ル カ メ ラ で 「 時 代 を 作 る 」

ャ ン ヌ ・ ダ ル ク 」 で あ る 。 一 方

在 の 写 真 家 が い た 。 カ メ ラ の 「 ジ

そ の フ 時 ィ 代 ル の ム 映 カ 像 メ の ラ 旗 の 手 時 と 代 い に う 存 は 、

略 で も あ っ た 。

い う 錯 覚 は 、 じ つ は 我 ら の 時 代

に 接 近 で き る の で は な い か 」 と

「 そ れ と 同 じ 道 具 を 持 て ば 彼 ら

あ り ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド な の だ 。

コ ン タ ッ ク ス で あ り ロ ー ラ イ で

そ の 剽 窃 の 道 具 が ラ イ カ で あ り

つ ま り こ の 世 界 の 剽 窃 で あ る 。

ど も 世 撮 界 影 的 す に る 偉 の 大 は な 現 写 実 真 の 家 コ と ピ い ー え 、

ト リ ッ ク な も の で あ っ た 。

る で 現 代 舞 踊 の よ う な エ キ セ ン

ア ム ・ ク ラ イ ン の 撮 影 ぶ り は ま

つ い て い け な か っ た し 、 ウ ィ リ

速 度 は 足 の 速 い あ た し な ど で も

リ ー ・ フ リ ー ド ラ ン ダ ー の 歩 行

だ 、 そ の 撮 影 速 度 が 非 常 に 速 い 。

秘 密 な ど 何 も な い の で あ る 。 た

の 使 い ぶ り を 見 た 経 験 に よ れ ば 、

写 真 あ 家 た に し 同 が 行 、 し い て わ 彼 ゆ ら る の 世 ラ 界 イ 的 カ な

ヨ ゼ フ ・ ス デ ク の 真 似 な の で あ

る よ う に な っ た 。 こ れ は じ つ は

イ ル を 変 え て パ ノ ラ マ 写 真 を 撮

ト で 有 名 だ が 、 最 近 は そ の ス タ

リ の ジ ジ ョ プ セ シ フ ー ・ の ク ス ー ナ デ ッ ル プ カ シ は ョ 35 ッ ミ

代 が 逆 転 し て い る の で あ る 。

あ る 。 印 象 か ら す る と ま さ に 時

ム 、 後 者 は 最 近 の カ ラ ー ネ ガ で

る 。 前 者 は 40 年 前 の コ ダ ク ロ ー

ラ ー 作 品 と 比 較 す る こ と が で き

40 年 前 の カ ラ ー 作 品 と 最 近 の カ

ツ 刊 『 ラ イ カ 、 マ イ ラ イ フ 』 で

れ た 結 果 で も あ っ た 。 あ た し の

途 半 端 な 描 写 が 好 意 的 に 評 価 さ

当 時 の カ ラ ー ネ ガ フ ィ ル ム の 中

印 象 派 め く パ ス テ ル カ ラ ー は 、

の 騎 手 で あ っ た エ グ ル ス ト ン の

し も 写 べ 真 で 家 あ は る カ 。 メ ニ ラ ュ と ー フ カ ィ ラ ル ー ム 派 の

の で あ る 。

で あ る 。

の ス こ テ れ ッ も プ ま と た し 、 て 名 は 作 大 誕 事 生 な の こ 最 と 初

と で あ っ た 。

ィ ル タ ー を つ け な い 」 と い う こ

は た あ だ た ひ し と が つ 彼 ら 、 「 か レ ら ン 学 ズ ん に だ は こ フ と

を 学 ぶ か が 大 切 な の で あ る 。

は 面 白 い 。 真 似 し て そ こ か ら 何

撮 影 ス タ イ ル を 真 似 し て み る の

作 を 辿 り な が ら 、 そ の 偉 大 な る

そ れ な ら 我 々 に も 許 さ れ る 。 名

ル を 真 似 し て み よ う で は な い か 。

そ こ で せ め て 彼 ら の 撮 影 ス タ イ

そ も 彼 我 ら 々 の に 偉 は 大 剽 な 窃 芸 し 術 よ な う ど も 、 な そ い も 。

ス デ ク に 回 帰 し た 。

に 私 淑 し た ク ー デ ル カ は 、 ま た

ず が な い 。 亡 命 し て ブ レ ッ ソ ン

巨 匠 ス デ ク に 影 響 を 受 け な い は

フ ォ ン の こ れ だ け の 大 変

ジ タ ル カ メ ラ と ス マ ー ト

ー に と っ て は 非 常 に 効 果 的 な 戦

で は あ る の だ が 、 カ メ ラ メ ー カ の で あ る 。

の 正 し い カ メ ラ 人 生 の 生 き 方 な

現 代 の 正 し い カ メ ラ 人 生 の 生 き 方 で あ る

偉 大 な 撮 影 ス タ イ ル を 真 似 る こ と は 、

田 中 長 徳

TEXT

作 が 撮 れ る 」 。 こ れ は 共 同 幻 想

る 。 チ ェ コ 出 身 の ク ー デ ル カ が

058


右/アンリ・カルティエ=ブレッソン 左/マリオ・ジャコメッリ Aquila,the Abruzzi,Italy(1951 年) Scanno(1957 年) (写真集『黒と白の往還の果てに』) (写真集『Europeans』)

Introduction-2

巨匠も巨匠に学んでいた アンリ・カルティエ=ブレッソンが撮影したイタリア・スカンノを、マリオ・ジ ャコメッリはその 6 年後に撮影している。ジャコメッリがブレッソンの作品を意 識していることは明らかだ。ただしそこにはハイコントラストなジャコメッリ的 味付けがほどこされ、オマージュを込めて描くジャコメッリのスカンノがある。

059

TEXT/馬庭あい (編集部)


アジェはいまなお人々に影 響を与える。左から、アジ ェの写真集。アジェをオマ ージュしたクリストファー ・ラウシェンバーグの写真 集。稲垣さんの 8×10 作品。

構図/カメラ

Like

Eugène Atget

アジェに思いを馳せて旅を巡る PHOTO & TEACHER/稲垣徳文

近代写真の父、ウジェーヌ・アジェ。アジェを敬愛する写真家の稲垣徳文さんは、 その足 跡をたずねて何度もパリに足を運んでいる。アジェが写した100年後のパリの街並みを、 ときにアジェと同じ大判カメラで、 ときに最新のデジタルカメラで、思いを込めて描く。

TEXT/稲垣徳文、馬庭あい (編集部)

060


Deardorff 8×10 マホガニーにステンレスパーツを組み合わせたフィールドカメラの完 成形。クラシックなスタイルで質実剛健の実用カメラだ。4×5 ほど 高度なアオリは使えず、 「大きなコンパクトカメラ」といった操作感。 セッティング、撮影そのものが楽しい。レンズはフジノンとシュナイ ダーを揃えた。シャープでも硬すぎない描写が気に入っている。

FUJIFILM XQ1 FUJIFILM X-Pro1 XQ1(左)は、例えるならリモワのトランクやモレスキンの手帳。旅 に欠かせない小さな相棒だ。アジェの広角の画角をイメージし、つね に広角側 25mm で撮影した。X-Pro1 には XF14mm レンズを装着。デ ィストーションのないこの 14mm の描写は一押しだ。モノクロの描 写も素晴らしい。アジェのパリには欠かせない 1 本。

得 で き る 。

で 撮 影 し て い た と い う 逸 話 も 納

ど 柔 ら か な ラ イ テ ィ ン グ を 選 ん

と 、 ア ジ ェ が 曇 り の 日 や 早 朝 な

薄 暗 い 路 地 か ら 空 を 見 上 げ る

判 レ ン ズ は 遠 景 に フ ォ ー カ ス を

に 据 え レ ン ズ を ラ イ ズ す る 。 大

が つ か な い よ う に カ メ ラ を 水 平

確 な 位 置 を 探 る 。 建 物 に パ ー ス

る 。 写 真 集 と 見 比 べ な が ら 、 正

ア ジ ェ の 撮 影 ポ ジ シ ョ ン に 据 え

当 ) を 装 着 し た デ ィ ア ド ル フ を

感 が 強 調 さ れ た 遠 景 を フ ラ ッ ト

の 印 象 よ り 遥 か に 大 き い 。 遠 近

す る パ リ の ラ ン ド マ ー ク は 写 真

ン の パ ン テ オ ン な ど 遠 景 に 登 場

・ ク ー ル 寺 院 や カ ル チ ェ ・ ラ タ

ま た 、 モ ン マ ル ト ル の サ ク レ

メ ー ジ よ り ず っ と 狭 い 。

も 多 か っ た 。 写 真 集 を 見 せ る と

リ ジ ャ ン に 話 し か け ら れ る こ と

よ り 近 く 収 ま り が 良 か っ た 。

る と 、 ア ジ ェ の 画 角 と 画 面 比 に

る 。 X Q 1 は 25 ㎜ 相 当 で 撮 影 す

ン も な く す っ き り と 街 を 描 写 す

陽 の 高 い 時 間 に 日 な た で 撮 影 し

ア ジ ェ の 写 真 集 に は 雨 の パ リ も 、

た 。 街 も 生 き 生 き し て 見 え た 。

た 路 地 の 濡 れ た 石 畳 が 美 し か っ

を 訪 れ た 時 、 雨 上 が り に 撮 影 し

一 昨 年 、 初 め て ア ジ ェ の パ リ

ど 使 え な か っ た 。

の 長 い 蛇 腹 で は ア オ リ を ほ と ん

が 18 ㎝ に な る の で デ ィ ア ド ル フ

び に 相 当 す る 。 1 8 0 ㎜ は 蛇 腹

合 わ せ る と 焦 点 距 離 が 蛇 腹 の 伸

ー ス ペ ク テ ィ ブ だ け で は 証 明 で

れ な い 密 度 は 、 大 判 カ メ ラ の パ

て い る 。 ア ジ ェ の 撮 れ そ う で 撮

な 印 象 に す る こ と な く 引 き 締 め

き て い る と 実 感 し た 。

ジ ェ の パ リ は 今 も 人 々 の 中 に 生

る 」 と の 答 え が 返 っ て き た 。 ア

「 ア ジ ェ な ら も ち ろ ん 知 っ て い

カ メ ラ の セ ッ テ ィ ン グ 中 、 パ

の 街 は 三 叉 路 の 宝 庫 の よ う な 街

な も の が あ る 。 地 図 で 見 る パ リ

う で 撮 れ な い 密 度 の よ う

ジ ェ の パ リ に は 、 撮 れ そ

1 8 0 ㎜ ( 35 ㎜ 判 換 算 25 ㎜ 相

ル を 表 現 で き る よ う に 思 え た 。

ラ イ テ ィ ン グ で も 街 の デ ィ テ ー

レ ン ズ な ら 、 よ り ア ク テ ィ ブ な

た ポ ー ト レ ー ト も あ る 。 現 代 の

な い が 、 実 際 の 路 地 は 写 真 の イ

ン ズ で は 画 面 上 、 窮 屈 な 印 象 は

こ と に よ る 。 25 ㎜ 相 当 の 広 角 レ

地 を 広 角 レ ン ズ で 見 上 げ て い る

い く さ び 形 に な る の は 、 狭 い 路

た 。 X F 14 ㎜ は デ ィ ス ト ー シ ョ

よ う に ア ク テ ィ ブ な 瞬 間 を 狙 っ

ト の シ ャ ッ タ ー チ ャ ン ス を 待 つ

o 1 と X Q 1 で ス ナ ッ プ シ ョ ッ

則 な 交 差 点 に な る 。

だ 。 坂 道 も 多 く 、 十 字 路 も 不 規

8 × 10 の 撮 影 後 は 、 X – P r

ア ジ ェ の 写 す 路 地 の 空 が 細 長 き な い 構 図 の 絶 妙 さ に あ る 。

いながき のりふみ

1970 年 東 京 都 生 ま れ。 新聞社出版写真部の嘱託 カメラマンを経てフリー に。中国シルクロードを はじめ、南極など訪れた 国・地域は 50 か国を越 える。現在、雑誌掲載、 写真展ほか、カタログ撮 影などでも活躍。ライカ、 旅、自転車を愛する。著 書に『旅、ときどきライ カ 』( 枻 文 庫 ) が あ る。 日本写真協会会員。

061

ウジェーヌ・アジェ (1857-1927) 近代写真の父と呼ばれるフランスの写真家。 木製暗箱カメラを使い、おもに画家の資料 用の写真として、1898 年頃から約 30 年の 間に、パリの建築や人々、生活風景などを 約 8000 枚の写真に残した。


アジェは気に入った場所があると、日を変え、角度を変え、何度も撮影した という。稲垣さんは、一昨年は 8×10 と 4×5 で、そして今回は 8×10 と 2 台のデジタルカメラでアジェのパリをたどった。このページに掲載した街角 のように、同じ場所でも画角や光線が少し変わるだけで新たな発見がある。

大判カメラ、時に デジタルで何度もたどる

POINT

画角やケラレもできるだけ忠実に イメージサークルの狭いレンズを使い画面上部が ケラレ、よりオリジナルに近いイメージになった。

街角のプロ、アジェのよう に垂直をしっかり出す。

オリジナル

道の広がり方や画面下側 の開き具合も忠実に再現。

Christopher Rauschenberg『PARIS CHANGING』 他にもアジェをたどっている人がいた (2007 年・Princeton Architectural Press 刊) 右のアジェ作品のオマージュとして 1998 年にク リストファー・ラウシェンバーグが撮影したもの。 アジェによるオリジナル作品。 さらに、左にある 2013 年撮影の稲垣さんの写真 を見ると手前のテナントの変遷が伺える。

母子の配置に注意 して影が長く伸び る瞬間を待った。 広角は画面の傾き や水平に気をつけ る。カラーでもモ ノトーンのような イメージになる。

FUJIFILM X-Pro1・XF14mmF2.8R・F8・1/125s・ISO320

セオリーどおりに 曇りの日に撮影。 自動車は時代の指 標になる。改装中 のカフェの窓ガラ スには毎日ビラが 貼られイタチごっ こが続いていた。

NAGAOKA 4×5・SUPER ANGULON 90mmF5.6・F22・1/30s・ NEOPAN 100 ACROS

アジェ旅におすすめの写真集 大手 TASCHEN 発行の 『Paris Eugène Atget』。 作品をじっくり鑑賞す るならこちらがおすす めだ。

PHOTO POCHE シリ ーズの『Eugène Atget』。 撮影地の住所が番地ま で記されていて、これ が撮影地をたどる手が かりになった。

上述の『PARIS CHAN GING』。 ク リ ス ト フ ァー・ラウシェンバー グが 1997-98 年にかけ てアジェ作品をたどり 比較掲載した写真集。

062


Deardorff 8×10・FUJINON W180mmF5.6・F22・1/30s・NEOPAN 100 ACROS 路地に日が射し込むのはおよそ 15 分。日なたと日陰、それぞれ雰囲気の異なる描写になった。 第一世代のフジノン W180mm のイメージサークルは φ305。実用上 8×10 をカバーする。

063


FUJIFILM XQ1・F5.6・1/75s・ISO200 カメラを水平に構えるとコンパクトカメラで も大判のような歪みのないスッキリした構図 になる。広角のタテ位置は地面の割合が大き くなるので、石畳の描写が生きてくる。

オリジナル

Christopher Rauschenberg 『PARIS CHANGING』

064


FUJIFILM XQ1・F5.6・1/25s・ISO100 いつもは観光客で賑わうモンマルトルの丘も、雨の日は ひっそりしていた。オリジナルのままに街が残る。かつ ては街路樹がなかった。遠景のサクレ・クール寺院が画 面を引き締める。

オリジナル

Christopher Rauschenberg 『PARIS CHANGING』

POINT

100年を経ても変わらぬパリの風景を味わう ご覧のとおり、パリには 100 年も前の風景が残っている。 街角にアジェの足跡を見つけたようで嬉しくなる。アジ ェが愛した街並みに敬意を払いながらシャッターを切る。

065


Deardorff 8×10・FUJINON W180mmF5.6・F22・1/30s・NEOPAN 100 ACROS

傾いた壁のある建物をアジェは選んだ。薄日を待ち、壁のディテールをしっかり描写した。

066


オリジナル

何を学んだ?

広角+街角の ダイナミックな描き方 広角レンズのパースペクティ ブを生かした被写界深度の深 い 描 写 は 風 景 撮 影 の 基 本。 「なぜその場所でなければな らなかったのか?」構図決定 の過程を再確認できた。

人間味ある情景を 捉える楽しみ

特徴的な屋根裏は いまも変わらず残 っていた。

オリジナル同様に 建物に日が当たっ た瞬間を狙った。

不規則に変化する道幅や、三 叉路、およそ都市計画で作ら れた街にはない人間味ある情 景を、アジェは様々な視点か ら巧みに表現していた。

Christopher Rauschenberg 『PARIS CHANGING』

オリジナル

Eugène Atget 『Eugène Atget』 (2010 年・ACTES SUD 刊)

歩道が日陰になるのを 待ち、ライティングに 変化をつけた。ヨコ位 置で建物に正対する構 図はアジェには珍しい。 バルコニーの柵もオリ ジナルのまま。100 年 前はホテルだった。

FUJIFILM XQ1・F5.6・1/500s・ISO200

オリジナル

オリジナル

Christopher Rauschenberg 『PARIS CHANGING』

067

『Eugène Atget』

FUJIFILM X-Pro1・XF14mmF2.8R・F4・1/125s・ISO400

FUJIFILM X-Pro1・XF14mmF2.8R・F4・1/250s・ISO200

アジェも雨上がりに撮影した路地。アスファルトでも濡れた路面に空が映り込 む。緩やかにカーブする道をアジェは巧みにフレーミングしている。

遠景にパンテオンを配置。空を仰ぐような構図のため手前の建物に強くパース がついた。アオリ補正なしではイメージがかなり違って見える。


/ 松 村 秀 雄

植 田 調 に 憧 れ る

Like

植 田 正 治 の 被 写 体 を オ ブ ジ ェ の よ う に 配 し た 演 出 写 真 は 、 海 外 で も

PHOTO & TEACHER

調 ︶ と い う 言 葉 で 広 く 知 ら れ て い る 。 実 験 精 神 や 遊 び 心 が あ ふ れ た 植 田 正 治 の 写 真 を

植 田 正 治

被 写 体

Ueda-cho

見 れ ば 、 誰 し も が 真 似 て み た く な る 。 植 田 調 に は 、 写 真 の 楽 し み が 詰 ま っ て い る の だ 。

︵ 植 田

オリジナル

OLYMPUS OM-1N・ZUIKO MACRO 90mmF2・F8・1/500s・Tri-X 「童暦」のなかの 1 枚に似せて、縦位置構図、ワンポイントの被写 体で、公園の水遊びで濡れてしまった少女の服を撮ってみた。

POINT

洗濯物がある風景 植田正治の写真を頭に入れて、彼が選ぶよ うな被写体を公園で探していたら偶然見つ けた洗濯物。彼ならどうやって撮るだろう か、と考えながら構図を決めた。子供たち が写っているカットもあったが、ポイント を絞り込むことでイメージが強調された。

何を学んだ?

ポイントとなる1点を入れる 風景のなかにポイントとなるものをひと つ取り込むとことで、単なる風景写真に 物語が生まれるはずだ。植田調の秘密は そのあたりにあるのではないだろうか。 リスペクトしながら真似るのは、決して 悪いことではないとぼくは思っている。

うえだ しょうじ (1913-2000)

1913 年、鳥取県生まれ。世界で最も注目 された日本写真界の巨匠。生涯アマチュア 精神で、生地である鳥取県境港市を離れず、 山陰の地を、常に斬新な眼差しで向き合い、 撮り続けた。2000 年死去。

植田正治『童暦』 (1971 年・中央公論社刊) 童暦(わらべごよみ)は 1955 年 頃から 1970 年頃までに山陰地方 を舞台に子供たちの姿を通して春 夏秋冬を描き、撮影された作品群 をまとめた、植田正治を代表する 1 冊。上作品は「春」からの 1 枚。

TEXT/松村秀雄

068


HASSELBLAD 500C/M・Planar C80mmF2.8・F11・1/15s・Tri-X 右の写真のバリエーションとしてカメラを 6×6 判に、季節を夏か ら冬に変更。同じ植田調を自分なりに少しだけ変化をつけてみた。

まつむら ひでお

1951年、東京生まれ。 東京写真専門学校卒 業。日本テレビのス チールカメラマンを 経たのち、1 年間 NY で作品制作を行ない、 1980 年よりフリー ランスに。ミュージ シャンの撮影をはじ め、人物、風景、料 理、建築と幅広いジ ャンルを手がける。

069

発 点 だ っ た の だ と 。

真 か 今 ら に 学 し ん て だ 思 こ う と 。 が 植 、 田 ぼ 正 く 治 の の 出 写

た の だ っ た 。

持 ち が シ ャ ッ タ ー を 押 さ せ て い

子 供 た ち や 風 景 を い と お し む 気

自 身 が そ の 土 地 を 愛 し て い て 、

地 に 寄 り 添 っ て 写 真 を 撮 り 、 彼

て い た 。 植 田 正 治 は 、 そ ん な 土

び 、 祭 り が あ り 、 砂 丘 が 広 が っ

い て そ 、 こ 海 に か は ら 素 吹 朴 く に 風 暮 が ら 季 す 節 人 を 々 運 が

れ 育 っ た 鳥 取 へ 行 っ て み た 。

か っ た 。 そ こ で ぼ く は 彼 が 生 ま

が 何 な の か 、 す ぐ に は わ か ら な

し か し 何 か が 違 っ て い て 、 そ れ

彼 の 構 図 を 真 似 て 写 真 を 撮 っ た 。

た 「 ぼ 童 く 暦 は 」 1 を 9 何 7 度 1 も 年 見 に 返 発 し 刊 さ て れ 、

モ ア と ペ ー ソ ス が 交 差 す る 妙 。

び 心 シ に ン 溢 プ れ ル た だ 被 が 写 饒 体 舌 選 な び 構 。 図 ユ 。 ー 遊

植 田 正 治 だ っ た 。

ろ う 。 ぼ く に と っ て は 、 そ れ が

頃 に 誰 憧 に れ だ て っ い て た 写 写 真 真 を 家 撮 は り い 始 る め だ た

ら き て い る の だ ろ う 。

田 正 治 の 写 真 は 、 ど こ か


横須賀DEEP ×粗粒子

構図/技法

石内都『YOKOSUKA AGAIN 1980-1990』 (1998 年・蒼穹舎刊)

1979 年発売の『絶唱、横 須賀ストーリー』に続く 横須賀シリーズ。完結編 に『CLUB&COURTS YO KOSUKA YOKOHAMA』 がある。

For

石内 都

石内 都をたどる in ヨコスカ PHOTO/馬庭あい (編集部)

石内さんは70年代から90年代に かけて、自身が思春期を過ごした

(1947-) いしうち みやこ 群馬県に生まれ、思春期を神奈 川県横須賀市で過ごす。1979 年に写真集『APARTMENT』お よび写真展で第 4 回木村伊兵衛 賞を受賞。代表作に「Mother's」 「ひろしま」などがあり国内外 で高い評価を得ている。

STYLUS 1 のラフモノクローム 作品が撮影されたのは約 30 年前。ほとんどの建物 は姿を消し、撮影地も分からなかったが、一枚の写 と T3 にデルタ 3200 で撮影し た。石内さんの愛機 F3 も持参。 真のスナックは現存することが判明。早速向かった。

OLYMPUS STYLUS 1・F6・AE・ISO800・ラフモノクローム

オリジナル

POINT

粗粒子の再現 石内さんの粗粒子は濃 いネガを時間をかけて 現像プリントしたもの だそう。普通現像では ISO3200 で も あ ま り 粒子が荒れなかった。 再現するなら、高温現 像+しっかり焼き込む かアートフィルターで。 石内都『YOKOSUKA AGAIN 1980-1990』

神奈川・横須賀を撮影した。彼女 が強く向き合い粗粒子で表現した 横須賀。そして作品を見て自分が 引きつけられた横須賀。あの粒子 の世界の残り香があるのかどうか を知りたくて、 カメラを手に訪れた。

両隣のお店は変わったが「スナック 赤レンガ」は健在だった。角度と人物配置に注意した。

撮 っ て み た い と 思 っ た 。

ー ン で 、 今 度 は 静 か に 横 須 賀 を

感 じ た い ま の 街 の 空 気 に 合 う ト

は な く て 、 実 際 に 自 分 が 訪 れ て

味 は な い 。 ネ ガ テ ィ ブ な 意 味 で

ー が な い 限 り 、 粗 粒 子 で 撮 る 意

思 い 入 れ や 街 が 放 つ 強 烈 な パ ワ

衝 動 そ の も の だ と し た ら 、 強 い

消 え て な く な っ て い た 。 粒 子 が

ん も 書 い て い る と お り 遠 い 昔 に

い る が 、 熱 気 や 喧 騒 は 、 石 内 さ

ち ろ ん 撮 影 地 は わ ず か に 残 っ て

残 り 実 香 際 は に ほ 横 と 須 ん 賀 ど を な た か ど っ っ た た 。 結 も 果 、

美 で 儚 く ロ マ ン テ ィ ッ ク だ っ た 。

が 、 石 内 さ ん の そ れ は ど こ か 甘

荒 々 し い イ メ ー ジ し か な か っ た

そ れ ま で 粗 粒 子 と い え ば 力 強 く

た の が 魅 か れ る き っ か け だ っ た 。

毅 彦 さ ん に 見 せ て も ら っ

真 集 『 連 夜 の 街 』 を 中 藤

TEXT/馬庭あい (編集部)

070


オリジナル

石内都 『YOKOSUKA AGAIN 1980-1990』

POINT

画角、構図を読み解く OLYMPUS STYLUS 1・F8・AE・ISO800・ラフモノクローム まずこの場所が残っていたこと&見つけられたことが奇跡だが、画角や上下左右の開き、トーンなど、かなり粘って追求した。

ミーハーと言われようが構わない。 憧れるからこそ作品の秘密を知り たくなる。写真集とにらめっこし ながら画角や構図を探ってみよう。

POINT オリジナル

地元の人に聞き込む 「写真集を持って探す」「困ったら地元の人に聞く」、これはʠアジェ旅ʡ経験者 の稲垣徳文さんから以前教わったことだ。実際、今回はそれが大いに役立った。

石内都 『YOKOSUKA AGAIN 1980-1990』

OLYMPUS STYLUS 1・F4・AE・ ISO800・ラフモノクローム

どぶ板通りは印象が大きく変わっていた。この辺だろうか と近くの「太田家具店」に尋ねると、ビンゴ。 「これ、うち の看板ですよ」。作品になんとお店の昔の看板が写っていた。

太田家具店のお兄さんに教えても らった場所。下のアパートのすぐ 傍なのだが言われなければ絶対分 からない。愛すべき市松のタイル。

これが太田家具店の昔の看板!

オリジナル オリジナル

石内都 『YOKOSUKA AGAIN 1980-1990』

OLYMPUS STYLUS 1・F6・AE・ ISO800・ラフモノクローム

石内都 『YOKOSUKA AGAIN 1980-1990』

OLYMPUS STYLUS 1・ F6・AE・ISO800・ 太田家具店のお ラフモノクローム 兄さんはその後 も親切に周辺の いまなお残って 現存している場 いたアパート。 所を一緒に回っ 生い茂る蔦は刈 て教えてくれた。 られていた。

何を学んだ?

琴線に触れる モチーフを見つける

策の中に入れな かったので外か ら撮影。下にあ るのは防空壕だ。

071

太田家具店の話で位置と方角が合ってい たことを確信。石内さんはこのとき望遠 で撮っていたようで、写真集を見ながら 後ずさりして 135mm 相当で撮影した。

「タイルを見るとなぜかドキドキし てしまう体質」と述べている石内 さん。じつは自分も同じ体質。好 きなモチーフを持つと楽しい。

とてもお世話に なりました

その粒子の 必然性を考える 粒子は感情であり文体。やみくも に「かっこいいから粗粒子!」で はなく、自分の表現したいことを 考えたうえで粒状感を選びたい。


軟調プリントで牛腸風に 牛腸茂雄風のやわらかい印象のプリン トは比較的アプローチしやすい。コン トラストを調整する号数フィルターを 使う際、思い切って 0 号や 1 号といっ た低い(=軟調)号数で試してみよう。 気に入らなければ号数を上げていけば よい。ポイントはある程度濃くするこ と。そうしないと黒が締まらず、ただ 軟調なだけの写真になってしまう。

オリジナル

牛腸茂雄『SELF AND OTHERS』 (1994 年・未來社) 牛腸の代表作とも言える写真集。友人 たちや、家族、道すがら出会った子供 たちなどがすべて横位置で収まる。原 本は 1977 年に白亜館から出版された。

ごちょうしげお (1946-1983)

1946 年、新潟県加茂市生まれ。家業 は金物屋。3 歳のとき胸椎カリエスで 生死の境をさまよう。1968 年桑沢デ ザイン研究所写真専攻を卒業。グラフ ィック・デザインの仕事をしつつ作品 を撮りため発表。1983 年心不全で死去。

PHOTO/藤田一咲 アルゲントーン ポリウォームFB・1.5号フィルター使用 全体的にやわらかい印象。背景とのコントラスト感の差も小さい。

に顔 仕や 上手 がに っや たわ 。ら か さ が 出 て 、 優 し い 父 親 風

1 .5 号 フ ィ ル タ ー 使 用

ア ル ゲ ン ト ー ン ポ リ ウ ォ ー ム F B

P H O T O / 藤 田 一 咲

硬 1 調枚 、の 牛ネ 腸ガ 茂か 雄ら 風、 のア 軟ー 調ヴ とィ 焼ン きグ 分・ けペ たン 。風 の

プリント

Like

牛腸茂雄

/ Irving Penn

コントラストを操り名作風に焼き分ける PHOTO & TEACHER/GRAIN HOUSE 寺屋宣康

憧れの写真家のプリントに近づけたい!という思いに応えるべく、 プリンターの寺屋 宣康さんに、本誌でもおなじみの写真家・藤田一咲さんの写真を、硬調と軟調に 焼き分けていただいた。 目指すは硬調のアーヴィング・ペンと軟調の牛腸茂雄!

TEXT/滝川景伍 (編集部)

072


硬調プリントでペン風に アーヴィング・ペンのような硬い印象 のプリントを作るには、まず硬いネガ を作ることが重要。そうすれば比較的 楽に硬いプリントができる。号数フィ ルターの高めの番号(3 〜 5 号)を使い、 硬く露光する。バランスが崩れたとこ ろは、覆い焼きや、焼きこみなどで補 正し、自分のイメージに近いように硬 さを調整していくとよい。

オリジナル

IRVING PENN『AUGEN-BLICKE』 (1960 年・Simon and Schuster 独語版)

1960 年に発売されたアーヴィング・ ペンの代表作『MOMENTS PRESERV ED』 の ド イ ツ 語 版。 内 容 は 1940 〜 50 年代にヴォーグ誌に掲載された写 真で構成。

アーヴィング・ペン (1917-2009)

1917 年、アメリカニュージャージー 州ペインフィールド生まれ。ファッシ ョン、ポートレート、静物写真を手が けた 20 世紀後半を代表する写真家。

PHOTO/藤田一咲 アルゲントーン ポリウォームFB・3号フィルター使用 顔の頬、ハイライトが当たる部分を覆い焼きし、コントラスト感のある印象的な仕上がりに。

で風コ いにン る。ト 。向ラ かス っト て感 右を 側強 の調 手し の、 部や 分り を手 焼の き実 こ業 ん家

何を学んだ? POINT

好みのコントラスト感を探せ コントラスト感があるとは、見た感じの コントラストが広く、ハイライトとシャ ドーがしっかりあるという意味。まずは 極端に硬調、軟調のプリントをし、次に 自分の好みのコントラスト感を探してい くと、自分のプリントが定まっていく。

てらや のぶやす プロプリンター。 ライトパブリシテ ィの写真部を経て、 1989 年 に グ レ イ ンハウスを設立。 多数の写真家の作 品を手がけている。

073

ウォームトーンの印画紙を使う いいプリントを作るには、印画紙選びが 重要。印画紙には純黒調と温黒調(ウォ ームトーン)があり、温黒調のほうが概 して言えばグレードが高い。純黒調とは 乳剤が違い、感度が低いので露光秒数も 長くかかるが、ラチチュードが広く、黒 のトーンが豊富に出やすい。

リ ン ト 方 法 に 活 か せ る だ ろ う 。

分 の 好 み の ネ ガ 作 り や 独 自 の プ

似 、 憧 プ れ リ の ン 写 ト 真 技 家 術 の を プ 磨 リ け ン ば ト 、 を 自 真

な プ リ ン ト が で き ま す 」

だ け ど 頑 張 れ ば と っ て も き れ い

が 重 要 。 覚 悟 を 持 っ て 臨 み た い 。

く の は 楽 だ が 硬 く す る に は 技 術

「 ど ち ら か と 言 え ば 軟 ら か く 焼

焼 き 分 け て も ら っ た 。

極 端 に コ ン ト ラ ス ト 感 を 変 え て

4 .5 号 フ ィ ル タ ー 使 用

ア ル ゲ ン ト ー ン ポ リ ウ ォ ー ム F B

腸 茂 雄 風 と 、 ひ と つ の ネ ガ か ら

P H O T O / 藤 田 一 咲

的 に 今 軟 回 調 、 な 硬 プ 調 リ の ン ペ ト ン と 風 し と て 、 、 対 牛 照

べ き 目 標 で も あ っ た と い う 。

教 科 書 で あ り バ イ ブ ル 、 目 指 す

ん に と っ て 、 彼 ら の プ リ ン ト は

盛 期 。 プ リ ン タ ー で あ る 寺 屋 さ

や リ チ ャ ー ド ・ ア ヴ ェ ド ン の 全

年 代 後 半 は ア ー ヴ ィ ン グ ・ ペ ン

リ シ テ ィ に い た 1 9 6 0

屋 宣 康 さ ん が ラ イ ト パ ブ


技法 オリジナル

Like

Mario Giacomelli

ジャコメッリ的 ハイコントラストに挑戦 PHOTO & TEACHER/鈴木文彦 Mario Giacomelli『黒と白の往還の果てに(新装版)』 (2013 年・青幻舎刊)

白と黒が際立つハイコントラスト白黒写真で知られるマリオ・ジャコメッリ。強烈な白と 黒を通して「生と死」を表現し続けてきた彼の世界は唯一無二のもの。 ここでは「ハイ

2013 年 3 月に東京都写真美術館で開催された「マリオ・ジャ コメッリ写真展」に際して新装版として刊行された。

CONTAX G2・T-MAX400・R1 Filter

すずき ふみひこ

1971 年東京都生ま れ。フリーランスエ ディター。 プロフィール詳細は 本誌 P.106。

コントラスト」 という点を重視し、 フィルム選びとフィルターの使用で作品に迫ってみた。

背景壁はグレーだったが、真っ白に飛ばすことができた。

ラ ス ト な 白 黒 写 真 が 表 現 で き た 。

階 調 重 視 と は 異 な る ハ イ コ ン ト

易 に 揃 え ら れ る 環 境 の み で も 、

と 背 景 だ け で 再 現 を 試 み た 。 容

フ ィ そ ル こ タ で ー 、 、 フ 順 ィ 光 ル の ム 屋 選 外 び 、 、 衣 R 装 1

で 今 回 は 却 下 。

そ れ も 一 般 的 な 環 境 で は な い の

ン グ で 対 処 す べ き と も 思 っ た が 、

ク を 使 わ な い と な る と ラ イ テ ィ

う も の で は な い 。 プ リ ン ト ワ ー

き プ リ ン ト の 環 境 は な か な か 整

れ て い る だ ろ う 。 し か し 、 手 焼

ン ト ワ ー ク な ど を 駆 使 し て 作 ら

パ ー も の ち 使 ろ 用 ん や 、 覆 こ い れ 焼 は き 硬 な 調 ど の プ ペ リ ー

ー ズ は コ ン ト ラ ス ト が 強 い 。

特 に ジ 神 ャ 学 コ 生 メ た ッ ち リ を の 撮 作 影 品 し の た 中 シ リ で 、

よ う な 作 品 群 が 反 響 を 呼 ん だ 。

「 死 」 の あ い だ を 往 還 す る か の

強 烈 な コ ン ト ラ ス ト で 「 生 」 と

月 に も 展 示 が 開 か れ 、 白 と 黒 の

・ ジ ャ コ メ ッ リ 。 2 0 1 3 年 3

紹 介 さ れ 、 話 題 を 集 め た マ リ オ

都 写 真 美 術 館 で 本 格 的 に

本 で は 2 0 0 8 年 に 東 京

TEXT/鈴木文彦 MODEL/濱 未亜

074


POINT

R1フィルターを使い コントラストを上げる レンズと R1 フィルターの 径が合わなかったためステ ップアップリングで装着し て節約。R1 フィルターは イエロー、オレンジ以上に コントラストを上げる効果 がある白黒用フィルターだ。

Kenko MC R1 フィルター

ステップアップ リング 46mm → 49mm

R1フィルターなし

R1フィルターあり

ベールや唇のグレーが階調豊かに表現 されている。

コントラストが高くなり黒がぎゅっと 締まった。

POINT

感度400フィルムを使う フィルムが高感度になるほどコントラスト は強まるが、一方で粒状性が悪くなり白の 抜け具合の低下などが懸念されたため、中 庸感度である ISO400 のフィルムを選択。 特に粒状性に優れる 2 本を使った。

NEOPAN 400 PRESTO

T-MAX400

CONTAX G2・T-MAX400・R1 Filter 真っ黒いコートを強調した構図だと、 よりコントラストの強さが味わえる。 ピントの甘さもジャコメッリライクな 写真にはよく似合う。

レベル補正でハイコントラストにする

わざわざフィルムで撮影しなくても、デジタルで撮影しレベル補正すれば容易にハイコントラ スト画像は得られる。面白みには欠けるが、まず手軽に試してみたいという人にはおすすめ。

入力レベルのバー をスライドさせる だけで、白と黒が くっきりとする。 グレーの背景を真 っ白にするのも簡 単だ。

何を学んだ?

(1925-2000) マリオ・ジャコメッリ イタリア・マルケ州生まれ。戦後を代表するイタリア人写 真家。 「ホスピス」 「スカンノ」 「神学生たち」「善き大地」 など、シリーズを複数枚の写真で構成し、テーマ性をあぶ り出す手法を得意とする。

075

「光」をフィルターで コントロールする楽しさ R1 フィルター 1 枚で劇的に変わ るコントラスト。青空を黒めに出 すために使うなど今後はフィルタ ーワークを積極的に採り入れたい。

白黒写真における プリントワークの重要性 撮影環境だけでは再現できない部 分が多数。それだけプリントワー クが重要ということ。今回のネガ も手焼きして変化を見てみたい。


よし、ケンナ風を目指して 長時間露光をやってみよう!

技法

ケンナに なりきりたいっす!

Like

Michael Kenna

ケンナ風長時間露光にトライ! PHOTO & TEACHER/藤田一咲

風景写真の巨匠マイケル・ケンナと言えば、長時間露光による美しい水辺の写真が有 名だ。そこで、ケンナ風に水辺の写真を真似すべく、写真家・藤田一咲さんと編集部滝 川が、ケンナ愛用のハッセルブラッドを使い、夜中〜明け方の長時間露光に挑戦した。

船が移動した光の跡

水戸

東京

大 洗 磯 前 神 社

千葉

東京から茨城県大洗へ出発 空が白く飛んでし まったが、波の感 じはまずまず。長 時間露光により船 の光線が横長の白 い筋となって写り 込んだ。 (滝川)

暗闇のなか長時間露光スタート ケンナ特有の水辺の描写と、雲の様子を撮るには 暗闇の中で長時間露光が必要では、と仮説を立て 撮影開始。午前 4 時頃、暗闇の中うっすらと鳥居 が見える程度で、構図や水平の確認もできない。

今回の目的地は茨城県大洗町 にある大洗磯前神社。海辺の 岩場に立つ神磯の鳥居は、画 になる景色でケンナ風写真に ピッタリ。東京からは高速道 路を使い片道 2 時間弱で着く。 午前 3 時頃現地に着いた。

HASSELBLAD 500C・Planar C80mmF2.8・F22・90s・100TMX 編集部滝川はハッセルブ ラッド 500C にプラナー C80mm で挑戦。夜明け 前の暗闇では、ファイン ダーを覗いても真っ暗。 フレーミングもほぼ勘だ。 水平を出すためにも水準 器があると便利だ。

OLYMPUS STYLUS 1・ F6.3・2s・ISO100・ND8フィルター使用 使用したスタイラス 1 は F8 までしか絞 れず、明るくなるとシャッター速度が速 くなり、長時間露光による波の表現効果 が弱くなってしまった。 (滝川)

OLYMPUS OM-D E-M1・M.ZUIKO DIGITAL ED 空が明るくなる中で長時間露光 12-40mmF2.8 PRO・F8・25s・ISO100・ND8フィルター使用 をするために、ND フィルター を装着(写真上) 。モニターで デジタルカメラの撮影モードをマニュアルにして撮影。結果は液晶モニターで 確認できるのも利点だ(写真下) 。 すぐに見れ、設定も調整できるのでフィルムよりも撮影は楽だ。 (藤田)

POINT

デジタルカメラにはNDフィルターを 長時間露光の目的は露光時間を長くして、 目には見えない動きの表現を試みること だが、明るい場所でのデジタルカメラ撮 影では長時間露光ができない。そのため、 ND(減光)フィルターを活用する。1 枚 で不足なら複数枚重ねて使用するとよい。

マイケル・ケンナ(1953-) アメリカ在住のイギリス人風景写真家。ハ ッセルブラッドを使った独特な美しさを持 つ風景写真が特徴。撮影地はヨーロッパや アメリカに加え、日本の北海道を好み、何 度も通って撮影を行なっている。

オリジナル

MICHAEL KENNA『A TWENTY YEAR RETROSPECTIVE』 (2002 年・河出書房新社刊) マイケル・ケンナの 1970 年代か ら 90 年代までの代表作をまとめ た写真集。ほぼ正方形のフォーマ ットで切り取られた美しい風景が 広がる。ケンナ好き必携の一冊だ。

TEXT/藤田一咲 滝川景伍 (編集部)  撮影協力/大関 学

076


HASSELBLAD 503CX・Macro-Planar CF120mmF4 T*・F22・45s・100TMX・ND8フィルター使用 撮影にはマイケル・ケン ナと同じ正方形写真が撮 れるハッセルブラッドを 使用。露光時間は短いも のの、マイケル・ケンナ の雰囲気に少しは近づけ (藤田) た気がする。

POINT

夜間の長時間露光は事前準備をしっかりと 夜間の長時間露光では、明るいうちにロケハンし、しっかりした三脚にカメラを固 定してセッティングし、構図も決めておこう。寒い時期に限らず防寒、結露対策を 忘れずに。また懐中電灯は必携。レリーズも用意しておくとブレ防止に役立つ。

077

バルブ撮影での長 時間露光にはケー ブルレリーズの使 用が必須。忘れず に持参しよう。

冬の夜の海は極寒。 夜中に長時間露光 を行なう場合は、 寒さ対策を入念に。

長時間露光でのブ レに備え、三脚や 雲台はできるだけ 重くしっかりとし たものを選ぼう。

今回は蛇腹フード を付けたが、強風 の場合は揺れてし まうため、フード を外して撮ろう。

何を学んだ?

ケンナ風に水面を撮るなら 夜明け前を狙え 長時間露光は、試行錯誤を重ねた経 験値がものをいう。失敗を恐れず、 何度もトライしたい。ごく普通の瞬 間的な撮影ではないため、ある程度 忍耐力が要求されるが、待ち時間に 考えたり学ぶことが少なくない。マ イケル・ケンナ風の静かな水面を再 現して撮るなら、夜明け前に長時間 露光するといいだろう。


で は 、 正 方 形 フ ォ ー マ ッ ト の ハ ッ セ

が 写 し た 北 海 道 を 旅 し た 。 こ こ

オリジナル

HASSELBLAD 503CX・Sonnar CF250mmF5.6・F16・1/15s・100TMX POINT

「広大な大地の構図を決める」 北海道の広大な風景を正方形の構図に納めるには、まず大地を画面に対してどれくらい、ど う取り入れるかがポイントになる。それから木や空のバランスを考え、最終的な構図を作り 上げる。自然相手ではなかなか思い通りにはいかないが、決まったときの気持ちは最高だ。

写 真 家 の 藤 田 一 咲 さ ん が 、 ケ ン ナ

彼 を リ ス ペ ク ト し て い る と い う

自 身 も マ イ ケ ル ・ ケ ン ナ 好 き で

/ 藤 田 一 咲

雪 景 色 を ケ ン ナ 風 構 図 で 撮 る

Michael Kenna

ル ブ ラ ッ ド で 撮 影 さ れ た 作 品 か

Like

ら 、 雪 景 色 を ケ ン ナ 風 に 撮 る 構

PHOTO & TEACHER

図 の コ ツ を 紹 介 し よ う 。

構 図

オリジナル

MICHAEL KENNA 『IN HOKKAIDO』 (2009 年・RAM 刊) HASSELBLAD 503CX・Macro-Planar CF120mmF4・F11・1/8s・100TMX POINT

対称を中心からあえて外す 正方形の中央に対称の中心を置く構図は、画面に安定感を生む。その対称を中心から外すと、 「間」が生じる。間は日本の古典芸能のスタイルに通じる。間は被写体の存在感を強め、静 的な中に、周囲の、あるいは次の動きを意識、予感させ動的な効果を写真に与える。

マイケル・ケンナが厳し くも美しい冬の北海道の 叙事詩的な雪景色を捉え た写真集。印画紙にやや クリーム色に近いペーパ ーを使っているのか、周 囲の紙の白と雪の白の色 に差があり、その対比が 美しい。

TEXT/藤田一咲 ※藤田さんのプロフィールは本誌P.93に掲載

078


HASSELBLAD 503CX・Sonnar CF250mmF5.6・F11・1/125s・100TMX

オリジナル

POINT

画面内に曲線を描く

何を学んだ?

普段は曲線の構図で撮るこ とはないかもしれない。だ が、山や丘、女性のヌード などでは少なくない。雪で 覆われた大地の曲線は、女 性の体のようにセクシーで 魅力的だ。構図の教科書に は出てこないような大胆な 配置で画面に描こう。

構図の中に雪をうまく取り入れる 雪のある風景は、モノクロでは中間調の乏しい黒と白の世界になりがちで、 構図はその黒と白の組み合わせになる。雪は白く表現されるが、画面の中に うまく配置して構図を決めたい。太陽の光が強いとコントラストがきつすぎ たり邪魔な影が影響して、構図を作りにくいことがあるので注意しよう。

て 少 な く な い 。

079

る 。 真 似 か ら 学 ぶ も の は 、 決 し

の ぼ そ く こ の か 土 ら 台 学 の ん 一 だ 部 も に の な は っ 、 て 今 い 日

り た か っ た 。

の 方 向 性 が ど こ か ら 来 る の か 探

気 の 源 を 支 え る 構 図 、 プ リ ン ト

の 作 品 か ら 受 け る 物 語 性 、 雰 囲

撮 り た く て い ろ い ろ 試 し た 。 彼

も マ イ ケ ル ・ ケ ン ナ 風 の 写 真 が

し て い っ た と 語 っ て い た 。 ぼ く

試 行 錯 誤 し 、 自 分 の 作 風 に 吸 収

ブ ラ ン ト 風 の 撮 影 や プ リ ン ト を

の 作 品 か ら 多 大 な 影 響 を 受 け 、

自 身 と も は か い つ え て 、 は マ ビ イ ル ケ ・ ル ブ ・ ラ ケ ン ン ト ナ

に も 言 え る こ と だ 。

ケ ン ナ に 限 ら ず 、 ほ か の 写 真 家

な い か ら だ 。 こ れ は マ イ ケ ル ・

さ れ る 作 品 は 、 誰 に も 真 似 で き

た 美 意 識 、 哲 学 に よ っ て 作 り 出

の 上 に 成 り 立 つ 、 強 固 で 一 貫 し

の 確 か な 撮 影 や 、 プ リ ン ト 技 術

と い う の は 、 マ イ ケ ル ・ ケ ン ナ

程 度 だ で が き 、 る 表 が 面 本 的 物 な に コ は ピ ほ ー ど は 遠 あ い る 。

み た く な る だ ろ う 。

図 、 プ リ ン ト を 、 一 度 は 真 似 て

ケ ル ・ ケ ン ナ 風 の シ ン プ ル な 構

プ リ ン ト が で き る 人 な ら 、 マ イ

な フ ァ ン だ 。 写 真 が 好 き で 銀 塩

と 本 人 に 会 っ て か ら 、 彼 の 熱 心

マ イ ケ ル ・ ケ ン ナ の 作 品

く は 1 9 8 0 年 代 後 半 、


プリント

福生に 行ってきました

アメリカ的風景を求めて米軍横田 基地のある東京・福生で撮影。日 本とは思えない景色がたっぷり。

Like

William Eggleston

エグルストンのニューカラーに プリントで近付ける PHOTO & TEACHER/鈴木文彦

ポパイカメラのプリント焼き増しワークで エグルストンの色を再現 東京・自由が丘の「ポパイカメラ」でプリント。日本有数の 現像本数を誇る人気店にエグルストンの色の再現を依頼した。 精フ 通ィ しル たム 石プ 川リ 専ン 務ト 。に

カラー写真を芸術の域に高めた写真家、ウィリアム・エグル ストン。カラー写真草創期の作品でありながら、色あせること なく人々を魅了する。フィルムプリントの環境が変わったい ま、 エグルストンの色をポパイカメラとともに探ってみた。

ポパイカメラ 東京都目黒区自由が丘 2-10-2 TEL 03-3718-3431 定休日 不定休(水曜日休みの場合が多い) 営業時間 11:00 〜 20:30

ノーマル

元写真はこれ。光線がわずかに斜光に なりはじめた時刻に撮影。順光のため 青空は濃く出ており、かなりコントラ ストの高い写真になっている。

CONTAX G2・EKTAR100 ニューカラー風にプリント。黄色と 赤を足すことで淡い雰囲気となり、 まるで映画のワンシーンのように。

オリジナル

ウィリアム・エグルストン (1939-) アート写真=モノクロだった 1976 年、MoMA にて世界初 のカラー写真展「William Eg gleston's Guide」を開催。ニ ューカラームーブメントを巻 き起こした。アメリカ南部の 風景を撮り続けている。

CONTAX G2・ULTRAMAX400

CONTAX G2・PORTRA800

William Eggleston『2 1/4』 (1999 年・Twin Palms Pub 刊)

TEXT/鈴木文彦

080


POINT

写真集を見ながら 色を分析 プリント作業では写真 集を見て色を分析。斜 光の時間帯で、地面や 空が写っている写真だ とエグルストンの世界 観に近付けやすかった という。

い で す ね 」 。

ズ の 組 み 合 わ せ で も 試 し て み た

思 い ま す 。 他 の フ ィ ル ム 、 レ ン

い の 差 が 作 風 に 繋 が っ て い る と

作 家 ご と の わ ず か な 渋 み の 色 合

み こ そ が ニ ュ ー カ ラ ー の 決 め 手 。

取 り ク リ ア に し ま す が 、 こ の 渋

い た と 思 い ま す 。 通 常 は 渋 み を

出 て 、 エ グ ル ス ト ン の 色 に 近 付

れ ま し た 。 こ れ で ゴ ー ル ド 感 が

に 適 度 な 濁 り と い う か 渋 み を 入

「 黄 色 み と 赤 み が 強 く 、 そ の 中

特 の 色 合 い に 近 付 け て い っ た 。

な 補 正 ワ ー ク に よ っ て 、 あ の 独

ポ パ イ カ メ ラ ・ 石 川 専 務 の 的 確

ニ ュ ー カ ラ ー を 再 現 す る べ く 、

こ の 手 法 以 外 で エ グ ル ス ト ン 的

れ て い な い 手 法 で 作 ら れ て い る 。

と 呼 ば れ る 現 在 は 環 境 的 に 行 わ

「 ダ イ ト ラ ン ス フ ァ ー 」

グ ル ス ト ン の プ リ ン ト は 、

CONTAX G2・EKTAR100 ピザ店の看板。看板ではあるが外国人を 被写体にするとアメリカンな雰囲気に。

CONTAX G2・PORTRA800 CONTAX G2・PORTRA800 三輪車を写した代表作を真似た。三輪車を必死に探したが、結局ミニ自転車で代用。

福生の人気ダイナー。夕暮れどきの写真 もエグルストンは数多く撮影している。

CONTAX G2・EKTAR100 CONTAX G2・PORTRA800

快晴だったため雲のない空。雲があると、 より写真は表情豊かになったはず。

オシャレなトイレをストロボ撮影。色を 淡くすることでコントラストが弱まる。

何を学んだ?

プリントで表現することの楽しさ カラーネガはプリントワークで差が大 きく出る。今回は写真集を見本にプリ ントしたが、写真店にプリントを依頼 する際、プリンターに意図を伝えるこ とがとにかく重要。積極的に見本写真 などを持ち込むようにしよう。

081

POINT

POINT

斜光を狙う&ストロボも使う

コダック製フィルムを使用

斜光は重要なキーワード。特に太 陽が低い冬はニューカラー撮影に 向く。また室内はストロボも効果 的。エグルストンも使用している。

色の傾向が比較的近いコダッ ク製のフィルムを使用。赤み の 強 い フ ジ カ ラ ー 100 な ど も有効だ。


/ 稲 垣 徳 文

情ドア 景アー をノウ 描ーィ のッ くよト うや な

Like Elliott Erwitt / Robert Doisneau

日 常 に お け る 一 瞬 の ド ラ マ や き ら め き を 、 写 真 に 焼 き 付 け る こ と が

Like

で き た な ら │ 。 そ う ア ー ウ ィ ッ ト や ド ア ノ ー の よ う に 。 彼 ら の 優 し く

PHOTO & TEACHER

も 鋭 い 眼 差 し を 持 っ て 、 日 常 の ロ マ ン テ ィ ッ ク を 見 つ め た い 。

構 図

エリオット・アーウィット (1928-)

1953 年、25 歳の若さでロバート・キャパ に推薦されマグナム・フォトに参加。得意 のユーモアとウィットに富んだ日常のスナ ップから、ジャーナリズム、広告写真まで、 多種多様な作品で根強い人気を誇る。

ロベール・ ドアノー (1912-1994) 昨年生誕 100 年を迎えたフランスを代表す る写真家のひとり。被写体への愛情や写真 に対する実験精神は、日本の植田正治にも 通じる。代表作「パリ市庁舎前のキス」は あまりにも有名。

POINT

最も美しいライティングの時間を どこでどう過ごすか 夕刻のブダペスト東駅。アーウィットの好 きな写真のイメージを思い浮かべながら、 旅のスケジュールを組み立てた。

FUJIFILM X-E2・XF23mmF1.4R・F5.6・1/250s・ISO400 列車はゆっくりと動き出していた。目線よりやや低く X-E2 を構える。決定的な瞬間 はライカのブライトフレームのように情景がスパッと切り取られて見えてくる。だか らスナップショットは面白い。 オリジナル

何を学んだ?

ライティングに 最適な行動を心がける

物語はドラマチックな ロケーションから生まれる

夕刻の立体感ある光に包まれたプ ラットホームは見るものすべてが 美しかった。朝・昼・夕、ライテ ィングに最適な行動を心がける。

国際列車が発着するプダペスト東 駅 は 19 世 紀 の ア ー ル デ コ 建 築。 ドラマチックなローケーションで 物語はより美しく演出される。

Elliott Erwitt 『Personal Exposures 』 (2012 年・SCHIRMER/MOSEL 刊)

TEXT/稲垣徳文、馬庭あい (編集部)

082


POINT

気持ちのよい場所で、 気持ちよく シャッターを押す パリのポン・デ・ザー ル(芸術橋)は数多く の名作が生み出された 場所。そこに身を置く ことで新たな撮影イメ ージが涌いてくる。気 持ちのよい場所で、気 持ちよくシャッターを 押す習慣を身につける。

083

オリジナル

LEICA M3・ SUMMICRON 5cmF2・F4・1/125s・ NEOPAN 100 ACROS エルヴィス・プレスリ ーに飼われたニット を着たドーベルマン。 背後のベルボトムの 人物。ぐるぐると妄 想が渦巻いた一枚。

Robert Doisneau 『Robert Doisneau』 (2006 年・ ACTES SUD 刊)


カメラ

巨匠風に愛機ºポートレートを粋に撮る PHOTO & TEACHER/鈴木文彦

写真を撮る人間は、写真を撮っている姿がもっとも輝いている。何かを狙う眼差し、手に したカメラが肉体の一部のようになる一瞬。愛機を携えたポートレートには、特別な魅力 が宿っている。時にはカメラを携えた撮影者も被写体にしてみては。

巨匠も愛機×ポートレートが好き

名だたる巨匠たちも、愛機 × ポートレートはよく撮影しており、 とても有名なものが多い。写真家が写真家を撮ったものからセル フポートレートまで、巨匠も大切な愛機とともに写りたいのだ。

オリジナル

オリジナル

クーデルカ×ライカ ライカを何気なく構える クーデルカを写した 1 枚。 ライカ M4 ブラックペイ ントにズミクロン 35mm F2 第二世代だと思われ る。撮影はエリオット・ アーウィット。

エルスケン×ローライフレックス Ed Van Der Elsken 『巴里時代』 (1985 年・リブロポート刊) ローライを手にした、かの有名な セルフポートレート。これを真似 してみたいという人も多いのでは。 ʠエルスケン焼きʡも有名。

©Elliott Erwitt / Magnum Photos(『カメラマガジン』2013.12)

男二人でかっこいい 愛機×ポートレートを探求 アーウィットがクーデルカを撮影したように、 写真家・小禄慎一郎氏と鈴木文彦、親交のある 二人が愛機を持ち寄り、それぞれのスタイルや 印象を尊重しながらお互いを撮り合ってみた。

小禄慎一郎(写真家)

ハッセルブラッド500C/M 小禄氏の愛機はハッセルブラッド。撮影動作は 自ずとスローになるため、光が射し込む室内で のムーディーなショットがとてもはまった。

おろく しんいちろう

1984 年、沖縄本島生まれ。思 春期をベルギーで過ごす。中央 大学卒業後、写真家・中川正子 に師事。沖縄の今/過去を写真 で伝えることをライフワークと して活動中。2012 年、初の写 真展「ユイウムイ」を開催。

POINT

粋な撮影動作を捉える 遮光板をくわえ、カメラを包 み込むように構えるかっこい い撮影動作をしっかり捉える ことを意識。暗い場所でも絞 りを開けすぎず、カメラと顔 にピントがくるようにした。

Canon EOS 5D MarkⅡ・Topcor 58mmF1.4・F2.8・1/160s・ISO200 TEXT/鈴木文彦

084


Canon EOS 5D MarkⅡ・Topcor 58mmF1.4・ F4・1/5000s・ISO200

LEICA R7・Summicron-R 50mmF2・ AGFA Vista100

構図的には人物を中心から左に配置したかっ たが、西日を入れることを優先。時間帯の表 現もポートレートでは重要な要素と考えた。

西日に伸びる影、小禄氏の背後の木の影のユ ニークさに着目して撮影。このショットのみ フィルムカメラを使用している。

Canon EOS 5D MarkII・Topcor 58mmF1.4・F4・1/100s ・ISO200 POINT

本人ならではのスタイルを逃さない ポラロイドフィルムを温める写真家ならではの仕草がと てもかっこよかった小禄氏。この最大の見せ場を逃さな いため、段階露光を切りながら複数枚撮影した。撮影し ながらハッセルの位置を自然に体側に近づけさせ、愛機 が見切れないように心掛けた。

鈴木文彦(ライター)

ライカR7 自分はスナップがメインだと小禄氏に話したと ころ、動きがあり、光を効果的に使った写真を 撮影してくれた。愛機ライカ R7 との 2 ショッ トに感激。

Canon EOS 1D MarkⅢ・Carl Zeiss Planar ZE 50mmF1.4・F4.5・1/350s・ISO250 被写体を見つけ険しくなった瞬間。小禄氏との撮影はリラックスした環境だった ため、素直に行動することができた。

何を学んだ? POINT

その人らしさを引き出す コミュニケーション

人物撮影はフィルム・デジ それぞれの良さがある

コミュニケーションによって相手 がリラックスするからこそ引き出 せる表情や行動は肝。カメラトー クはその大きな助けになる。

連写に優れたデジタルカメラを使 えば動きを重視したポートレート が撮れる。巨匠たちの時代にはな かった現代ならではの撮影方法だ。

動きのなかで撮る MF レンズを使用してい る小禄氏は、被写体と平 行に移動してピント精度 を確保していた。また季 節によって変わる光の質 を見極めつつ逆光撮影を 行っていた。 Canon EOS 1D MarkⅢ・Carl Zeiss Planar ZE 50mmF1.4・F4・1/90s・ISO50

085


私達も名作に刺激されています! 憧れの写真家の大好きな1枚を真似たり、影響を受けて作品制作に励んだりすることは、 写真の楽しみ方のひとつだ。名作に刺激を受け、写真を楽しんでいる5人のカメラピープルを紹介しよう。

Like

三好耕三

恩師に憧れ8º10カメラを担ぐ 堀野浩司さん

ほりの こうじ

1990 年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学 科卒。現在、建築関係の仕事をしながら、日々 写真作品の制作に邁進している。 今回掲載の作品「東京ウォーターライン」は、東京の川をテーマにした大学の卒業作品だ。機材はデ ィアドルフ 8×10。三好耕三氏の写真集『IN THE ROAD』 (1999 年、Nazraeli Press 刊)とは、卒業制 作を進行中に出会った。無意識とはいえさすが教え子、奥行きを感じさせる構図が先生とそっくりだ。

最近はエドワード・ウェストンの砂浜の漂流物を撮った写真 に影響され、8×10 を持って海辺に出かけ、撮影している。

ライカ M2 は田中長徳さんやブレッソンに影 響を受けて購入。ボディとレンズを黒にリペ イントした。ローライフレックス 2.8F は誰 かに憧れて…、ではなく使いたくて購入した。

TEXT/滝川景伍 (編集部)

086


DEARDORFF 8×10・SYMMAR-S 240mmF5.6・F16・1/125s・TXP320

い 、 彼 ら の 写 真 を 真 似 、 プ リ ン

材 を 使 っ て い る か 仲 間 と 語 り 合

学 ん だ 先 生 は 多 い 。 誰 が 何 の 機

ド ・ ウ ェ ス ト ン と 「 写 真 」 か ら

ィ リ そ ア の ム 言 ・ 葉 ク 通 ラ り イ 、 ン 森 、 山 エ 大 ド 道 ワ や ー ウ

は 真 似 か ら 始 ま っ て い ま す 」

う な 人 だ 。 「 僕 の 今 ま で の 写 真

な く 愛 す る 写 真 愛 好 家 の 鑑 の よ

真 摯 に 向 き 合 い 、 カ メ ラ を こ よ

プ リ ン ト ま で 仕 上 げ る 。 写 真 と

フ ィ ル ム で 撮 影 し 、 自 宅 暗 室 で

堀 野 真 流 似 へ か と ら 進 は 化 じ し ま て っ い た る 写 。 真 が 、

写 真 を 続 け て い き た い で す 」

う と も 、 そ の ス タ ン ス は 崩 さ ず 、

タ ン ス で す 。 ど う い う 道 に 進 も

プ リ ン ト を 完 成 さ せ る と い う ス

を 撮 り 、 印 画 紙 に 焼 い て 美 し い

に 憧 れ ま し た 。 外 に 出 て 、 写 真

「 三 好 先 生 の 写 真 に 対 す る 姿 勢

真 に 出 会 っ た 。

写 真 家 の 三 好 耕 三 氏 と 、 彼 の 写

き 、 大 学 の ゼ ミ で お 世 話 に な る

ば な ら な い と 気 付 く 。 そ ん な と

ト 方 法 を 試 し た 。

DEARDORFF 8×10・SYMMAR-S 240mmF5.6・F16・1/30s・TXP320

三好耕三 (1947-) 千葉県生まれ。日本大学芸術学部写 真学科卒業。1991 年より文化庁芸 術家在外研修員としてアリゾナ大学 センターで研修後、引き続き滞在。 96 年に帰国。東京を拠点に大判カ メラを使用した作品を制作している。

087

エドワード・ウェストン (1886-1958) アメリカイリノイ州生まれ。主に西 海岸の風景や砂漠、樹木、植物、貝 殻、岩などの自然のオブジェや、人 物を硬質かつ細密に、時にはクロー ズアップにより描写した。ほとんど の撮影に 8×10 カメラを使用した。

と き に は カ メ ラ を 持 ち 、

野 浩 司 さ ん は 、 出 か け る

つ か し は か 自 し 分 、 の 写 写 真 真 を を 学 撮 ぶ ら う な ち け 、 れ い


小田浩之さんが影響を受けた写真集

ED VAN DER ELSKEN 『LOVE ON THE LEFT BANK』 (2000 年・Dewi Lewis Pub 刊) 日本語訳『セーヌ左岸の恋』 。 1949 〜 54 年にかけて、パリの 若者たちを写した実話小説的写 真集。エルスケンの代表作であ り、50 年代を代表する名作で ある。初版は 1954 年。

CINDY SHERMAN『The Complete Untitled Film Stills』 (2003 年・The Museum of Modern Art 刊) 仮想の映画やテレビドラマのヒ ロインに扮したセルフポートレ ートの連作。メディアが作り上 げた男性的視線に支配される典 型的な女性への固定観念を自ら の肉体を通して表現した作品。

おだ ひろゆき

1972 年、東京生まれ。TOKYO FILM GARAGE を主催し映画作品を制作している。本職は中学 校の教諭。tokyofilmgarage.wordpress.com

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Ed Van Der Elsken / Cindy Sherman

エルスケン風に物語のある写真を目指す 小田浩之さん

エド・ヴァン・デル・エルスケン (1925-1990) オランダ人写真家。第二次世 界大戦後、フリーのカメラマ ンとして活動を始める。 『セ ーヌ左岸の恋』で一躍注目を 集める。1950 年代末から日 本へも何度か来日している。

シンディ・シャーマン (1954-) アメリカニュージャージー州 生まれの写真家。1977 年か ら「アンタイトルド・フィル ム・スティル」シリーズを撮 り始める。現代アートの分野 で注目される写真家の一人。

エルスケン『セーヌ左岸の 恋』やシンディー・シャー マンに影響を受け、作品「ア ドルフ」を制作。使用カメ ラはキヤノン EOS-3。

088


「 写 真 集 を 見 て ど こ ま で が 演 出

採 り 入 れ た 。

し た 映 作 画 品 と を 写 作 真 り を 続 ク け ロ て ス ほ オ し ー い バ 。 ー

089

共通撮影データ:Canon EOS-3・TOKINA 28-80mmF2.8・PRO400

と 画 早 を 速 作 、 る シ 撮 ー り ン 方 ご を と 映 に 画 し 作 っ り か に り

と 衝 撃 を 受 け ま し た 」

う い う 写 真 の 撮 り 方 も あ る の か

あ り 、 演 出 的 な 写 真 を 見 て 、 こ

「 映 画 の よ う に ス ト ー リ ー 性 が

岸 の 恋 」 を 見 て か ら だ 。

エ ル ス ケ ン の 写 真 展 「 セ ー ヌ 左

東 京 写 都 真 写 へ 真 の 美 興 術 味 館 は で 2 開 0 催 0 さ 3 れ 年 た に

メ ン ト と し て 楽 し め る 写 真 を こ

「 物 語 性 を 持 ち 、 エ ン タ ー テ イ

真 展 を 開 催 し た 。

シ ョ ッ プ に 通 い 、 今 年 10 月 に 写

正 人 氏 の プ レ イ ス M で の ワ ー ク

作 品 と し て 形 に し た い と 、 瀬 戸

用 に 撮 っ て い た が 、 そ れ を 写 真

写 真 を 撮 っ た も の 。 も と は 映 画

れ か ら も 撮 っ て い き た い で す 」

伝 え 、 演 出 し て 劇 映 画 の よ う な

映 画 監 督 と し て の 顔 を 持 つ 。

通 い 、 本 格 的 に 映 画 を 学 ん だ 、

は 、 今 役 回 者 掲 に 載 シ の チ 作 ュ 品 エ 「 ー ア シ ド ョ ル ン フ を 」

て の 顔 と 、 映 画 美 学 校 に

田 浩 之 さ ん は 、 教 師 と し

究 し ま し た 」

で 、 ど こ ま で が ア ド リ ブ か を 研


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Mark Borthwick

ボスウィック風に光を捉える 長田果純さん

PENTAX SP・super-takumar 55mmF1.8・F5.6・1/250s・PORTRA400

PENTAX SP・super-takumar 55mm F1.8・F2.8・1/1000s・PORTRA400

マーク・ボスウィックの光 の捉え方が好きで、自身の 作品にもその影響を受けて いる。カメラは家の倉庫か ら発見されたというペンタ ックス SP。年月を経たレ ンズの汚れが、やわらかい 光を生み出す。

おさだ かすみ

1991 年、静岡生まれ。都内のラボ勤務を経て、 現在は別の仕事をしながら写真を取り続けてい る。ペンタックス SP のほかニコン F も使う。

れ い だ と 思 う が 何 か が 違 う と 感

プ な 写 真 を 目 指 す 人 が 多 く 、 き

間 は デ ジ タ ル 一 眼 レ フ で シ ャ ー

っ た 本 頃 格 で 的 あ に っ 写 た 真 。 を 周 撮 囲 り の た 写 い 真 と 仲 思

惹 か れ ま し た 」

い る 感 じ 、 型 に は ま ら な い 所 に

「 光 を ひ と つ の 色 と し て 使 っ て

捉 え 方 が 変 わ っ た と い う 。

』 に 出 会 っ て 、 光 の

Hert Land

か け と な っ た こ と は 間 違 い な い 。

が 長 田 さ ん の 写 真 を 変 え た き っ

ボ ス ウ ィ ッ ク の 写 真 と の 出 会 い

っ て い る わ け で は な い 。 だ が 、

ス ウ ィ ッ ク を 意 識 し て 写 真 を 撮

よ う に な っ た 。 も ち ろ ん 常 に ボ

ン タ 寄 り の 色 味 で プ リ ン ト す る

が 、 ボ ス ウ ィ ッ ク の よ う な マ ゼ

は シ さ ア ら ン に 寄 プ り リ の ン 色 ト 味 で が も 多 、 か 今 っ ま た で

識 的 に 撮 る よ う に な り ま し た 」

ボ ス ウ ィ ッ ク の 写 真 集 『

The

じ て い た 。

年 に 発 売 さ れ た マ ー ク ・

田 果 純 さ ん は 、 2 0 1 0

ィ ッ ク の 写 真 を 見 て か ら 光 を 意

真 は 撮 っ て い ま し た が 、 ボ ス ウ

「 そ れ ま で も 光 を 取 り 入 れ た 写

MARK BORTHWICK『The Hert Land』(2010 年・パワーショベル刊) マルチな才能を持つマーク・ボスウィックの写真集。光に満ちた写真とドローイ ング、インクで描かれた文字など彼独自の世界観が約 160 ページを彩る。

マーク・ボスウィック (1966-) ロンドン生まれ。現在はニューヨークを拠点に活動。写真家、ミュージシャン、 映像作家、詩人、コックなどアートやファッションの世界で個性を発揮している。

090


Like

Henri Cartier-bresson

ブレッソン風幾何学構図で撮る 水島正美さん 正 反 対 の よ う で す が 、 2 人 の 写

ト を 撮 る ハ ー ビ ー さ ん と は 一 見

意 識 さ せ ス ト レ ー ト ポ ー ト レ ー

り 取 る ブ レ ッ ソ ン と 、 カ メ ラ を

「 カ メ ラ を 意 識 さ せ ず 瞬 間 を 切

と は 多 い と い う 。

口 氏 の 2 人 の 写 真 か ら 学 ん だ こ

味 で ブ レ ッ ソ ン と ハ ー ビ ー ・ 山

と し つ つ 影 響 を 受 け た と い う 意

真 を 真 似 て 撮 影 し た こ と は な い 、

ん で い る 。 あ る 特 定 の 人 物 の 写

な ら で は の 物 語 が 感 じ ら れ る 。

写 真 か ら は 、 ど ち ら も 水 島 さ ん

と い う 。 ラ イ カ M P で 撮 ら れ た

物 語 性 を 意 識 し て 撮 っ た 写 真 だ

る 作 右 品 に は 掲 、 載 ブ し レ た ッ 写 ソ 真 ン 集 の の 構 上 図 に と あ

た こ と で 知 ら れ る 。

学 的 な 構 図 で 多 く の 傑 作 を 残 し

ソ ン ア は ン 、 リ 緻 ・ 密 カ に ル 計 テ 算 ィ さ エ れ = た ブ 幾 レ 何 ッ

写 真 〟 を 目 指 し て い ま す 」

ク と し て 日 々 写 真 を 楽 し

島 正 美 さ ん は ラ イ フ ワ ー

ぼ く は そ う い う 〝 物 語 を 感 じ る

真 に は い つ も 物 語 が あ り ま す 。

みずしま まさみ

1964 年、 北 海 道 生 まれ。横浜在住、大 手証券会社に勤務。 ブログ「Eyes of M」 で日々の写真を掲載 している。 eyes-m.blogspot.jp

アンリ・カルティエ=ブレッソン (1908-2004) フランス生まれ。20 世紀を代表する写真 家。ライカをこよなく愛し、スナップ写真 の名手として数多くの名作を残した。卓越 した構図は多くの写真家に影響を与えた。

Like 齋藤亮一

齋藤さんが撮りそうな木を写す 小川和宣さん

091

カ ロ タ イ プ W S な ど で 腕 を 磨 い

な 木 だ な と 頭 の 中 に あ る 写 真 集

た 。 齋 藤 さ ん の 写 真 に あ り そ う

立 つ 1 本 の 木 が 目 に 止 ま り ま し

ジ ー プ で 走 っ て い る と 、 遠 く に

「 ネ パ ー ル に 行 っ た 際 、 悪 路 を

真 が 印 象 に 残 っ て い る そ う だ 。

開 に 咲 い て い る 1 本 の 木 」 の 写

い う 写 真 集 に あ る 「 杏 の 花 が 満

写 真 が 好 き で 、 『 フ ン ザ へ 』 と

て き た 。 写 真 家 ・ 齋 藤 亮 一 氏 の

撮 っ て み た い で す 」 と 愉 し げ だ 。

で 齋 藤 亮 一 さ ん と 対 話 し な が ら

る だ ろ う か と 考 え な が ら 、 脳 内

も 、 齋 藤 さ ん だ っ た ら 、 ど う 撮

さ ん の 足 元 に も 及 び ま せ ん 。 で

も 、 当 た り 前 の こ と で す が 齋 藤

「 機 材 や 方 法 論 を 真 似 た と し て

多 く の 共 感 を 得 る と こ ろ だ 。

を 撮 り た く な る と い う 体 験 は 、

の イ 目 メ の ー 前 ジ の が 風 繋 景 が と る 憧 と れ き の 、 写 写 真 真 家

る 氏 の 2 B や 白 岡 順 氏 の

川 和 宣 さ ん は 、 渡 部 さ と

タ ー を 押 し ま し た 」

の イ メ ー ジ を 思 い 出 し 、 シ ャ ッ

齋藤亮一 (1959-) 北海道札幌市生まれ。日本大 学芸術学部写真学科卒。在学 中より三木淳氏に師事。1985 年よりフリー。日本や世界各 地を巡り作品を発表している。 写真集・写真展多数。

齋藤亮一『フンザへ』(左)がお 気に入りの写真集であるという小 川さん。ネパールでの旅路、写真 集に出てきそうな木を発見した。

おがわ かずのり

1971 年、 新 潟 県 生 ま れ。 2013 年個展「カティ・ラム リ」に続き「ネパリ」を開 催。次回作に向け作品制作 を続けている。


ノーマルプリント

/ 藤 田 一 咲

ク ー デ ル カ 調 に 渋 パ ノ ラ マ を 撮 る

Josef Koudelka

多 く の 写 真 家 が パ ノ ラ マ 写 真 を 残 し て い る が 、 ジ ョ セ フ ・ ク ー デ ル カ の パ ノ ラ マ 写 真 ほ

Like

ど 、 渋 く 、 圧 倒 的 ス ケ ー ル 感 で 見 る も の の 心 に 響 く 作 品 は 少 な い 。 一 言 で 表 せ ば 、 か っ こ

PHOTO & TEACHER

い い の だ 。 そ ん な ク ー デ ル カ 調 パ ノ ラ マ 写 真 に 、 プ リ ン ト 技 術 も 含 め 挑 戦 し た 。

技 法

POINT

プリントはドラマチックに クーデルカ作品の特徴のひとつは、 濃く焼きこんだモノクロプリント にある。ノーマル焼きよりも濃く 焼きこむことで、強烈なメッセー ジを持つ力強い印象の作品に仕上 げているのだ。クーデルカ調に近 づけた作品作りには、まずこのプ リントの焼きこみから始まる。

オリジナル

『Josef koudelka Retrospective』 (2013 年・東京国立近代美術館)

2014 年 1 月 13 日まで東京国立近 代美術館で開催している「ジョセ フ・クーデルカ展」の図録。今回 挑戦したオリジナルは、1989 年 フランスのノール=パ・ド・カレ ーで撮影されたテトラポッドをモ チーフにしたパノラマ写真(左)だ。

ジョセフ・クーデルカ (1938-) チェコスロヴァキア生まれ。マグナム 会員の写真家。1968 年ワルシャワ条 約機構軍のプラハ侵攻を撮影。1969 年匿名のままロバート・キャパ賞を受 賞。1975 年『ジプシーズ』、1999 年『カ オス』など写真集や展覧会多数。

092


HORIZON Perfekt・MC Arsat28mmF2.8・F11・1/60s・400TMY POINT

何を学んだ?

ワイド感とリズム感を出す

被写体の選び方・切り取り方がポイント クーデルカの写真は構成力が魅力だが、初期の作品はパノラマカメ ラで撮影していたものではなく、普通の長方形写真からトリミング していた。このトリミング力にクーデルカの構成力の基を見る。不 要な部分を削ぎ落とし、見せたいものを見せるその被写体の選び方、 切り取り方がパノラマ撮影では大きなポイントになる。

パノラマカメラには 種類がある パノラマカメラには大きく 2 つの方式がある。ひとつはホ ライゾンのような、縦方向の スリット式シャッターに連動

クーデルカのライフワークにパノ ラマがある。パノラマは一般的な 写真よりも横長、あるいは縦長に なるため、シーンの切り取り方、 構図は容易ではない。かっこよく パノラマを撮るポイントは、ワイ ド感を生かしたシーン、リズム感 のある構図の取り方が大事になる。

ふじた いっさく フリーのノンジャンルフォトグラフ ァー。本名同じ。東京都生まれ。著 者多数。近刊は世界中の愛すべき猫 を撮った「ねこカメラ」(枻出版社)、 「彼女を素敵に撮る 15 の方法」 (玄 光社) 。 http://issaque.com/

ホライゾン パーフェクト ロモグラフィーが出した ロ シ ア ZENIT 社 製 の ス イング式パノラマカメラ。 レンズが水平に 120 度ス イングし、35mm フィル ム 1 カット分の 1.6 倍の サイズで撮れる本格派。 カメラ前面にスリットがあり、 左から右へスイングする。

するレンズスイング式。もう ひとつは、フジカ GX617 の

フジカGX617 プロフェッショナル

ようなレンズ固定式で、構造 上は普通のカメラなので、直 線が曲らずに撮れる。フィル ムの上下をマスクで覆いパノ ラマ風に撮れるカメラもある。

093

スリットカメラで水平を崩すと歪曲した写真になる。

フィルム室内部。シャッター 幕が湾曲しているのがわかる。

1993 年に発売されたブロー ニーフィルムを使うパノラマ カ メ ラ。6×17(6×9 判 2 枚 分)サイズのパノラマ写真が 撮れる。クーデルカは 1 世代 前の G617 を使用していた。


構図

Like はやし ただひこ (1918-1990) 山口県で写真館を営む家 に生まれる。戦前は政府 宣伝誌などで活動。終戦 後は世相や文士を撮影、 日本写真家協会年度賞な どを受賞。晩年は半身不 随のなか、東海道を撮影 した。

林 忠彦

林 忠彦のポートレート構図を学ぶ PHOTO & TEACHER/鈴木文彦

太宰治や坂口安吾など昭和の文豪たちの素顔に迫るポートレートで名を馳せた 写真家・林忠彦。時代も相まって、 そのポートレートにはタバコを吸っているショッ トも多数。 ダンディズムを醸し出すタバコポートレートに挑戦してみた。

オリジナル

林忠彦 『紫煙と文士たち』 (2011 年・ たばこと塩の博物館) 文士を撮影した写 真の中からタバコ が写り込んでいる 作品を集めた、た ばこと塩の博物館 での写真展の図録。

POINT

背景処理と目線の高さ 普通の高さからでは車が写り込み、被写 体も迫力不足。かなり低い位置から撮影 していたことが分かった。背景処理と被 写体の存在感に目線の高さはとても重要。 POINT

顔を基準に露出を取る イルミネーションを背景に背負うと、歩 道との明暗差はかなり大きくなる。顔に しっかりと露出を合わせつつ、背景も明 るくなりすぎないように気を配った。

何を学んだ?

一瞬の判断力が肝心 表情を逃さず、目線の高さ、被写 体の位置、露出の選択をする速度 が大切。ポートレートは構図の些 細な差が躍動感を変えて奥が深い。

Canon EOS 5D Mark II・Topcor 58mmF1.4・1/40s・ISO500 三好徹を写した作品と同一の場所から撮影。繁華街でタバコを吸うのは今や御法度。時代性も感じる撮影だった。

TEXT/鈴木文彦

094


被写体

Like リー・フリードランダー

Lee Friedlander

フリードランダーのテーマ性

(1934-)

1960 年代後半のムーブ メント「コンテンポラリ ー写真(コンポラ写真)」 を代表する写真家。セル フポートレート、車窓か らの風景など、独特の視 点からアメリカの日常風 景を切り取る。

PHOTO & TEACHER/鈴木文彦

リー・フリードランダーの作品はテーマ写真の宝庫。スナップでありながら、際立った 統一感とユニークさが同居するシリーズ作品が多いのが特長だ。同時に一枚一枚 に絶妙な構図と決定的瞬間も備わっており、 スナップの面白さを存分に味わえる。

オリジナル

Lee Friedlander『Friedlander』 (2005 年・The Museum of Modern Art 刊)

セルフポートレート Canon EOS 5D Mark II・ Topcor 58mmF1.4

POINT

車に乗るフリード ランダーを捉えた セルフポートレー トを再現。今回は 別の人に撮影を手 伝ってもらった。 単独で行うのは非 常に難しそうだ。

焦点距離35mmのレンズが最適 フリードランダーは 35mm レンズ を愛用していたと言われる。今回代 表作を再現するうえで、やはり標準 画角では狭すぎると感じた。状況ま で撮るには 35mm が必須だ。

オリジナル

ガラスを使った風景

自分の影

MAMIYA 645AF・Sekor AF 80mmF2.8・ FUJICOLOR PRO400H

Canon EOS 5D Mark II・ Topcor 58mmF1.4

ガラスに写り込んだ不可思議な写真も数多い。日常 の不確かさが写り込みを用いることで表現できる。

代表作を真似てみた。じつはカメラの影が写らない ように撮るのは難作業だということが判明。

Lee Friedlander『Friedlander』

何を学んだ?

日頃から 撮影テーマを蓄積 今回、新撮写真だけでなく過去に 撮った写真も一部掲載しているが、 日々どんなテーマを持ち撮影し続 けるかこそが重要だと感じた。一 方で、かなりのテーマはフリード ランダーにすでにやり尽くされて いるという絶望感も味わった…。

095

アメ車

モチーフ的スナップ

OLYMPUS OM-4・Zuiko 50mmF1.4・ AGFA Vista100

Canon EOS 5D Mark II・ Topcor 58mmF1.4

アメ車はフリードランダーの重要なモチーフ。車の 窓越しの風景、サイドミラー越しの風景は定番。

銅像の足と街ゆく人の足を撮影。顔が写っていない スナップ写真はフリードランダー作品に多い。


構図

Like

オリジナル

森谷 修

森谷流 6º6 構図を会得する PHOTO & TEACHER/森谷 修

森谷 修『バリの祈り』 (2013 年・ギャラリー AAA・arD) 森谷さんが 2005 年に、ハッセ ルブラッドを手に、東南アジア ・バリ島を旅し、撮影した作品 をまとめた写真集。

4つの森谷流正方形フォーマット

縦横の比率が同じ6×6フォーマットは、 シンプルがゆえに構図の組み立てが難しい。 ここでは、ハッセルブラッドやローライフレックスなどを使い6×6カメラに精通する写 真家の森谷修さんに、森谷流6×6構図のポイントを教えてもらった。

6×6 フォーマットの構図はいくつかバリエーションがあるが、ここでは森谷さんの 写真集『バリの祈り』掲載作品をもとに 4 つの森谷流構図を紹介しよう。

ポイントを4隅に

中央重点構図

森谷調なるものがあるとすれば、この「ポイントを 4 隅に」だろう。思い切って 中央からメインの被写体を外す。すると、縦にも横にも余白が広がり、周囲の空 気感やニュアンスがより醸し出される。より情緒的な写真になること請け合いだ。

縦横のない正方形フォーマットでは、通常は悪く言われる日の丸構図も逆にバラ ンスのとれた隙のないフレーミングとなる。メインの被写体を力強く描き、強烈 な印象を与えることができるのだ。他のフォーマットにはない特徴と言えよう。

天地に横線を入れ35mm横位置風に

縦線で奥行きを出す

広がりを出すには、 「額縁効果」を利用したい。イメージは日本庭園を室内の畳 から眺める感じだ。屋根のひさしや、木の枝、生い茂る葉を効果的に配置する。 とくに天地に横線が入ることで、35mm 横位置風に広がりを出すことができる。

奥行き感を出すには、縦位置構図が基本。その感覚を正方形フォーマットにあて はめる。木や壁など縦のものを脇役としてサイドに配置すると、うまくいく。 35mm フォーマットに慣れ親しんだ人にこそ試してもらいたい構図である。

※森谷さんのプロフィールは本誌P.99に掲載

096


森谷さん直伝! 4つの構図に挑戦 森谷流 6×6 構図を実践すべく、編集部滝川が森谷さん直々にコツを 教えていただきながら、4 つの構図にトライしてみた。 ※OLYMPUS PEN E-PL5・M.ZUIKO DIGITAL 14-42mmF3.5-5.6 Ⅱ R・アスペクト比1:1で撮影

POINT

アングルを変える と見え方が変わる 中央にモチーフを配置すると、 主題がはっきりとし、印象も強 くなる。アングルを少し上げ、 上写真のように、ヒントとなる 背景を入れると、状況が説明的 になり、印象も弱まる。 POINT

空間にドラマを作る ポイントを 4 隅に置く構図に挑戦。モチーフの花を右下に配し、 背景に状況がわかる空間を設けた。ここでのポイントは、中央 を外すことで、主役だけでなく脇役も活かすこと。主役と脇役 ができれば、空間にドラマが生まれるのだ。

POINT

シルエットも 利用する 画面内に縦のラインを入れて奥 行きを出す構図の場合、写真の ように木のシルエットを利用し てみるのも手だ。無理に縦のラ インを探そうとせず、その場の 雰囲気を活かすとよい。

縦 の 線 を 作 り や す い よ !

POINT

逃げる視線を抑える 天地に横線を入れ 35mm 横位置風構図にトライ。下側は地面、 上側は紅葉した木の枝葉を入れてフレーミングしてみた。空の 部分に何も入れないと、視線が空の方向に逃げていってしまう。 上側に木を入れることで、それを抑える効果がある。

何を学んだ?

構図を意識すれば写真が変わる ハッセルブラッドで正方形フォーマットの写真を撮っていながら、構図に悩んでい た編集部滝川であるが、森谷流 6×6 構図を真似、それぞれのポイントを意識しな がら撮るだけで、いつもと違った写真が撮れた。森谷流をマスターし、ゆくゆくは その場の状況に合わせた自分好みの構図で写真が撮れるように日々精進したい。

097

縦横の概念がない正 方形は、フラットな 印象になりがちだ。 画面の中に縦のライ ン(右写真の場合、 沿道の木)を入れて 構成すれば、縦位置 写真のように見え、 奥行き感が生まれる。

沿 道 の 木 は


極 ま り な い 男 性 ヌ ー ド を 我 が 国

だ が 、 僕 は 彼 の 撮 る わ い せ つ

だ 若 か り し 僕 は 完 璧 に ノ ッ ク ア

ー ド は 、 究 極 & 完 全 だ ! と 、 ま

取 ら れ た 黒 人 と 白 人 の メ ー ル ヌ

た 。 正 方 形 フ ォ ー マ ッ ト で 切 り

し さ の 世 界 に 引 き 込 ま れ て い っ

た 白 が あ り 、 完 璧 と も 思 え る 美

っ て い た 。

ど こ ま で も 深 い 黒 、 白 の 中 に ま

集 そ の も の が 持 ち 込 み 禁 止 と な

本 で は 、 わ い せ つ 物 と し て 写 真

は 「 極 度 」 と 言 っ て よ か っ た 。

焼 か れ た モ ノ ク ロ ー ム の 美 し さ

さ れ て い た ほ ど な の で あ る 。 日 と り わ け プ ラ チ ナ プ リ ン ト で

悪 魔 か 、 そ ん な 論 争 が 現 実 に な

る 面 も あ ろ う 。 果 た し て 天 使 か

彼 を よ り い っ そ う 神 話 化 し て い

し 、 ス キ ャ ン ダ ラ ス な 側 面 が 、

ア メ リ カ の 時 代 性 と も シ ン ク ロ

カ ル チ ャ ー の 結 び つ き は 強 い 。

よ う に 、 彼 の 人 生 や 写 真 と ゲ イ

エ イ ズ と い う 言 葉 が 象 徴 す る

が 開 く ほ ど 凝 視 し た 。

っ く り 何 度 も 何 度 も 周 回 し 、 穴

を う っ と り と 眺 め る よ う に 、 じ

た 。 そ し て 、 少 年 が ヴ ィ ー ナ ス

僕 は 遠 く て も 高 く て も 駆 け つ け

術 館 や 百 貨 店 で 催 さ れ る 機 会 に 、

こ と が で き た か ら で あ ろ う 。 美

の プ リ ン ト を 生 で じ っ く り 見 る

の だ っ た 。

そ れ は 、 印 刷 物 で は な い 本 物

い う 若 さ 、 エ イ ズ に 起 因 す る も

ー プ は こ の 世 を 去 っ た 。 42 歳 と

家 ロ バ ー ト ・ メ イ プ ル ソ

9 8 9 年 3 月 9 日 、 写 真

で 見 つ め る こ と が で き た 。

っ て も 、 全 て 同 一 に 、 同 じ 地 平

撮 っ た セ ル フ ポ ー ト レ ー ト に 至

イ ズ に 冒 さ れ 弱 っ て い く 自 分 を

ロバート・メイプルソープ (1946 -1989 ) ニューヨーク出身の写真家。美術コレクタ ーのサム・ワグスタッフに見い出され、一 躍有名に。黒人男性のヌードや、花、エイ ズに侵されたセルフポートレートなどが有 名。42 歳という若さでこの世を去った。

ソ ー プ と い う 天 才 写 真 家 に 憧 れ 、 彼 が 使 う ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド を 手 に 、 夢 を 見 た 。

な ら ば 、 一 度 は 経 験 が あ る だ ろ う 。 写 真 家 の 森 谷 修 さ ん も そ の 一 人 。 ロ バ ー ト ・ メ イ プ ル

憧 れ の 写 真 家 が 使 う カ メ ラ が 気 に な り 、 真 似 て 使 っ て み た い と 思 う こ と は 、 写 真 好 き

/ 森 谷 修

/ 桑 山 章

天 才 写 真 家 に 惚 れ 手 に し た ハ ッ セ ル

Robert Mapplethorpe

の 法 の 見 解 、 つ ま り 単 な る エ ロ

Like

グ ロ と は 見 な か っ た 。 他 に 多 く

PHOTO

発 表 さ れ て い る 著 名 人 の 美 し い

TEXT

ポ ー ト レ ー ト や 、 静 謐 な 花 、 エ

カ メ ラ

098


投 影 さ れ て い る も の の 、 あ の 完

コ ラ ー ジ ュ で 、 自 身 の 世 界 観 は

う 以 前 の 作 品 は 、 ポ ラ ロ イ ド の

い だ す の は 困 難 か も 知 れ な い 。

ら メ イ プ ル ソ ー プ 的 な も の を 見

を 愛 す る 小 市 民 だ 。 僕 の キ 真 か

く 願 っ て い る 。

に そ の 末 席 を 死 守 し た い と 、 強

継 ぐ キ 真 家 は 多 い が 、 僕 は 絶 対

事 実 、 ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド を 使

に 正 方 形 。 「 ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド 」

て き た 。 分 岐 と な っ た の は ま さ

り に あ っ た こ と が 徐 々 に 分 か っ

彼 の 分 岐 点 も 、 実 は そ の あ た

生 き る 男 で も な く 、 家 庭 や 日 常

も な け れ ば エ ロ ス と タ ナ ト ス に

い 。 僕 自 身 は ホ モ セ ク シ ャ ル で

い っ て 同 じ 作 風 に な る わ け は な

で 、 同 じ カ メ ラ を 使 っ た か ら と

社 会 も 時 代 も 、 み ん な 違 う わ け

を 組 み 合 わ せ た キ 真 も 多 い ) 今 か ら 思 え ば 、 育 っ た 環 境 も

1965 年、東京生まれ。写真家。東 北新社 CM 撮影部、写真家の弟子を 経て独立。著作に『銘機浪漫〜カメ ラが僕にくれたもの〜』、 『ライカの 魔法』(ともに枻出版社刊)がある。

た 。 ( こ れ ま た 完 全 で あ る 真 円

正 方 形 フ ォ ー マ ッ ト の 作 品 だ っ

身 も っ と も 気 に 入 っ て い た の は

添 え て い る 。 そ の 意 味 で 、 僕 自

ー マ ッ ト も ま た 、 完 全 性 に 花 を

だ せ な い 「 正 方 形 」 と い う フ ォ

い 提 は 真 他 た 示 違 を の 。 さ う 誘 れ キ っ ア て 真 て ー い の い ト る あ く で よ り 。 は う 方 決 な な が 定 か 気 、 的 な が 眼 瞬 か し 前 間 見 て に と い

の が 存 在 す る 」 と い う 地 平 へ キ

散 ら し た 。 「 た だ そ こ に そ の も

念 す ら 吹 き 飛 ば し 、 物 語 性 も 蹴

定 着 し て い っ た 。 時 間 と 言 う 概

そ れ で も 満 足 だ っ た 。

れ た カ メ ラ 1 台 、 レ ン ズ 1 本 。

ッ セ ル ブ ラ ッ ド 。 や っ と 手 に 入

年 代 、 ま だ ま だ 超 高 価 だ っ た ハ

に し な が ら 夢 を 見 た 。 1 9 9 0

真 が 撮 れ た ら と 、 ハ ッ セ ル を 手

ー プ の キ 真 、 僕 も あ ん な 風 に キ

日 々 で あ っ た 。 そ れ で も 、 そ れ

る 時 間 も ほ と ん ど な い 厳 し い

属 さ れ 日 々 修 行 を し て い た 。 眠

の 会 社 に 入 社 し た 。 撮 影 部 に 配

C M や 映 画 を 制 作 す る 業 界 大 手

い ア キ す ッ 彼 つ メ な に 真 完 セ が け だ イ い な 家 全 ル 彼 て が プ 。 っ と 性 ブ で く 、 て し へ ラ あ れ 僕 ル い て の ッ る た と ソ る の 意 ド 所 メ キ ー こ 自 識 カ 以 イ 真 プ と 分 、 メ と プ を の だ に そ ラ も ル 大 意 け と の が 言 ソ き 識 は っ 衝 も え ー く を 間 て 撃 た る プ 結 引 違 コ が ら ハ と び き 、 、

もりや おさむ

099

と い う カ メ ラ だ っ た の で あ る 。

入 れ た 。 心 底 惚 れ た メ イ プ ル ソ

め て 、 ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド を 手 に

ほ ど 多 く な い 給 料 を 少 し ず つ 貯

一 で 等 質 の 視 線 と な っ て キ 真 に 僕 は 、 そ の 後 大 学 を 卒 業 し

う で は な い 被 キ 体 も 、 極 め て 均

の 内 面 を 投 影 し た 被 キ 体 も 、 そ

で 見 つ め ら れ た 被 キ 体 は 、 自 身

余 計 な も の は 排 除 さ れ 、 完 全 性

あ る よ う に 僕 は 思 い 至 っ て い た 。

ー プ た る 所 以 は 、 こ の 完 全 性 に

メ イ プ ル ソ ー プ が メ イ プ ル ソ

て が 始 ま っ て い っ た の で あ る 。

式 を 買 い 与 え た と こ ろ か ら 、 全

う た わ れ た ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド 一

が 、 彼 に 高 価 で 当 時 最 高 品 質 と

レ ク タ ー の サ ム ・ ワ グ ス タ ッ フ

た 美 術 館 キ ュ レ ー タ ー に し て コ

パ ト ロ ン で あ り 、 理 解 者 で あ っ

ウ ト さ れ て し ま っ た の だ っ た 。 全 性 は な い 。 1 9 7 0 年 代 半 ば 、


「都市の顔」 (2013) より 人混みの中のショーウィンドウ(表参道)2011.3.26 LUMIX-LX5・F4.5・1/800s・-0.7EV・ISO400

TOKYO LANDSCAPE 結城臣雄

Yuki Shigeo

LUMIX-LX5/GR DIGITAL/Fine Pix 6800Z・4800Z TOKYO LANDSCAPEは日々変貌する東 京をテーマに、写真家が捉えたそれぞれの東 京のイメージを紹介する企画です。今回は、

10 年以上、変わり行く東京の姿を撮り続け ている結城臣雄さんが捉えた東京写真。

「都市の襞」 (2010) より 住宅地を走る老人ジョガー(志茂)2006.4.21 GR DIGITAL・F7.1・1/930s・-0.3EV・ISO200

100


「2010東京」 (2011) より 高層マンションの谷間で遊ぶ野球少年(豊洲)2010.12.5 LUMIX-LX5・F5・1/400s・-0.3EV・ISO200

「東京ノスタルジア」 (2007) より  三階建ての看板建築(新富町)2005.3.26 Fine Pix 6800Z・F2.8・1/400s・-0.3EV・ISO200

101


「都市の顔」 (2013) より 広告板の前で叫ぶ呼び込み孃(渋谷)2011.7.23 LUMIX-LX5・F2.8・1/400s・-0.3EV・ISO200

「東京水景」 (2005) より 運河橋上の恋人(天王洲)2004.2.29 Fine Pix4800Z・F7・1/160s・ISO125

「色街残照」 (2003) より 旧赤線のタイル建築(向島)2003.2.9 Fine Pix 6800Z・F2.8・1/80s・-0.6EV・ISO100・ワイコン使用

102


「 東 京 の 古 い 街 並 み を 見 て も 、

踏 破 し た 道 は 赤 く 塗 り つ ぶ し て

興 味 も 生 ま れ て き た 。

残 っ て い る の か 。 そ ん な 新 た な

京 で 、 そ ん な 光 景 は ど の ぐ ら い

う に な り 、 で は 、 実 際 、 今 の 東

残 す 町 並 み が も て は や さ れ る よ

い っ た 。 下 町 、 昭 和 の 雰 囲 気 を

と 関 撮 わ る っ 行 て 為 い は く 、 こ 積 と 極 で 的 も に あ 被 写 る 体 。

淡 々 と 写 真 に 収 め て い っ た 。

目 の 前 に 広 が る 故 郷 の 光 景 を

県 内 の 被 災 地 を 回 り 、 そ の 時 、

青 葉 区 で 、 半 年 ほ ど 逡 巡 し た 後 、

き た そ 。 ん 結 な 城 折 さ 、 ん 東 の 日 故 本 郷 大 は 震 仙 災 台 が 市 起

場 所 23 は 区 一 の 町 地 ず 図 つ を 、 買 丹 い 念 、 に 隣 歩 接 す き る 、

と 興 味 が 広 が っ て い き ま し た 」

こ な い と 思 い 、 そ の 周 辺 の 街 へ

佇 ま い や 街 の 意 味 合 い が 見 え て

の 場 を 撮 る だ け で は 、 か つ て の

な い 。 そ れ を 続 け る う ち に 、 そ

物 件 で 、 そ れ は 偶 然 出 会 う し か

「 ほ と ん ど が 資 料 に 出 て こ な い

を し て い く 。

調 べ 、 そ こ を 中 心 に 「 匂 い 探 し 」

来 歴 と 、 遺 さ れ た 建 物 の 情 報 を

か 所 を 巡 っ た 。 関 連 本 か ら 街 の

井 な ど 未 だ 名 残 を と ど め る 十 数

ー マ ま を ず 絞 旧 り 赤 、 線 洲 が 崎 あ 、 っ 向 た 島 色 、 街 玉 に の テ

深 化 し て い っ た 」

ご と に 増 殖 し て い く 。

結 城 さ ん の パ ソ コ ン の フ ォ ル ダ

否 応 な く 眼 に 飛 び 込 ん で く る 。

一 度 、 意 識 す る と 、 次 の 撮 影 で は 、

に 反 応 し て い た 被 写 体 の 存 在 だ 。

づ か な か っ た 共 通 項 や 、 無 意 識

と 、 撮 新 影 た し な た 発 写 見 真 が を 生 見 ま 直 れ し る て 。 い 気 く

の 店 を 探 す の も 楽 し み だ っ た 」

と 終 わ り 。 そ の 街 で 良 い 赤 提 灯

「 午 前 中 に 出 か け て 、 日 が 沈 む

塗 っ て い っ た 。

図 を 壁 に 貼 り 、 歩 い た 川 に 色 を

あ る 。 こ の 時 は 拡 大 し た 東 京 地

が 見 た く な り 、 走 破 し た こ と も

沿 あ に た こ 僕 い そ る さ だ に の の の 」 か 、 深 中 光 一 の ど い に 景 方 ぼ こ 思 想 が で る か い い ど 、 接 で 入 出 う 東 点 僕 れ は 映 京 が の は な り に 見 過 な い 変 流 え 去 い か わ れ る の ん ら る る 時 記 で 、 か 川 が 憶 す 。 そ

持 ち も あ る ん で す よ ね 」

は 絶 対 意 味 が あ る ぞ っ て 思 う 気

て お き た い と い う 自 己 満 足 で す 。

分 が 生 き た 時 代 の 確 証 を と ど め

「 僕 の 写 真 は 自 分 の 視 点 で 、 自

い く の か 。

代 の 記 憶 、 記 録 と し て 残 さ れ て

る 。 が 、 後 世 に ど ん な 写 真 が 時

東 京 誰 の も 記 が 録 カ は メ 膨 ラ 大 を に 手 撮 に ら し れ 、 て 日 い 々 、

は 、 そ ん な 東 京 物 語 が 日 を 追 う

ゆうきしげお

1945 年、 宮 城 県 仙 台 市 生 ま れ。 67 年、千葉大学工学部工業意匠 学科卒。日本天然色映画企画演出 部を経て、フリーランスの CM 演 出家として活動中。横須賀功光氏、 小川隆之氏、鋤田正義氏ら、数多 くの写真家と CM を制作してきた。 写真作品は 2010 年、東京都写真 美術館で開かれた「ニュー・スナ ップショット」展に出品。

103

そ う 言 い な が ら 、 ど こ か で こ れ

自 身 、 東 京 へ の 興 味 が ど ん ど ん

に 歴 史 化 し て 見 え て き て い る 」

う と 思 い 、 撮 っ て い く 中 で 、 僕

っ た そ ん な 短 い 時 間 で も 、 す で

「 今 あ る も の だ け は 写 真 に 残 そ

「 東 京 を 撮 り 始 め て 十 数 年 。 た

り つ つ あ る こ と に 気 づ い た 。

か も し れ な い 。

京 か 結 ら 城 古 さ い ん 建 は 物 2 が 0 急 0 激 0 に 年 な 頃 く 、 な 東

は 撮 影 者 の 感 性 、 精 神 の 在 り 様

そ の 結 果 、 露 わ に な っ て い く の

撮 る う ち に 、 東 京 へ の 興 味 が 一 層 深 化 し て い く

東京23区地図

ライカX1

この撮影のために、23 区の地図を購入した。昔の建物、風景が残る場所を調べ、ある程度のエリ アを特定する。気になる街は全ての道を、網の目をたどるように歩き、地図に赤いマジックで記し ていく。撮影は 2001 年から 07 年まで続き、99 点からなる「東京ノスタルジア」としてまとめた。 結城さんはただ撮るだけでなく、撮影の区切りでその都度、ひとつの作品としてまとめている。

遮二無二撮り続けてきたが、1 〜 2 年前から「もっと写真に 向き合おうと思い始めました」と笑う。そんな時に LEICA X1 を購入。これまで Fine Pix 6800Z、LUMIX LX5、GR DI -GITAL を使ってきた。今は FUJIFILM X-Pro1 との 2 台使い。

TEXT/市井康延


京都・大原での撮影後、16、17 カット目で自宅に戻り、 東京・椿山荘での撮影へと、時間も場所も異なる 36 枚 がひとつのベタ焼きに収まる。セレクトは暗室で行なう 場合が多く、印にはその場にあるものを使う。この場合、 緑のシールは「そこそこ」、 赤シールは「プリントしたい」 もの。ダーマト印が最終的に選び直したものだ。撮影し た時期、場所、カメラやレンズ名も明記されている。

104


THE CONTACT SHEET はすい みきお

1955 年東京都出身。アートディレクターを 経て写真家となる。主に広告を中心に活動す るが、作品制作にも力を入れている。2009 年、 2010 年と 2 年連続で作品がフランス国立図 書館にパーマネントコレクションされる。ま た 2013 年 5 月に自身初となる海外での個展 をベルリンにて開催。2013 年 10 月、代表作 「PEACE LAND」が Apple から写真集アプリ として発売される。

蓮井幹生 HASUI MIKIO 詠 む 写 真

LEICA M5・SUMMILUX50mm F1.4

ベタ焼きの裏に記載したプリントデータ。いつ もの処方なら書くことはないが、どうしてもそ の処方が気に入ったときはこうやって書いてお く。だが残念なことにスラビッチの印画紙は既 に生産終了している。未だにこれに変わる印画 紙が見つからない。

は 今 の 自 分 自 身 な の だ 。

105

だ よ 」 い や 、 そ う 言 っ て い る の

け て 日 記 を 綴 る よ う に 撮 る も の

う の は な あ 、 36 カ ッ ト を 一 日 か

に し て な い な あ 。 フ ィ ル ム と い

TEXT/蓮井幹生

だ ろ う 。 「 お 前 は フ ィ ル ム を 大 切

を 見 も た し な も ら 父 ば が 、 今 き の っ 僕 と の こ ベ う タ 言 焼 う き

れ た 日 常 は と て も 写 る ま い 。

コ ン タ ク ト シ ー ト に は そ ん な 隠

り す る こ と も あ る 。 デ ジ タ ル の

ィ ル ム を 数 日 経 っ て か ら 入 れ た

い こ と も あ る 。 途 中 で 抜 い た フ

が そ の ま ま ベ タ 焼 き に 残 っ て な

て し ま う 。 だ か ら そ の 日 の 撮 影

数 ま で レ ン ズ を 塞 い で 空 送 り し

モ ノ ク ロ を 入 れ て 、 は じ め の 枚

ラ ー で 撮 り 終 わ れ ば 、 ま た 元 の

ィ ル ム を 途 中 で 巻 き 上 げ る 。 カ

に 」 な ん て 思 う と モ ノ ク ロ の フ

撮 影 し な が ら 、 「 こ こ は カ ラ ー

ル ム を 入 れ 替 え て い る か ら だ 。

の が 意 外 と 少 な い 。 途 中 で フ ィ

の ベ タ 焼 き は 36 枚 撮 り き っ た も

っ た 性 格 が 観 て と れ そ う だ 。 僕

僕 の ち ょ っ と 脈 絡 の な い 散 ら か

ベ タ 焼 き を 客 観 的 に 見 直 せ ば 、

が 現 ベ れ タ る 焼 と き い に う は 。 そ 確 の か 作 に 家 自 の 分 性 の 格

確 に は 「 よ う な も の 」 だ 。

を 作 れ ば ベ タ 焼 き な の だ が 、 正

デ ジ タ ル で も コ ン タ ク ト シ ー ト

る 父 の 背 中 を 今 で も 覚 え て い る 。

奥 の 書 斎 で じ っ と ベ タ 焼 き を 見

い い 」 と よ く 言 っ て い た 。

供 の 頃 父 が 「 ベ タ 焼 き は


休日は、写真・カメラ関連スポットを巡り、 どっぷりと趣味に浸る

PHOTO/ヴィクター・マインレンダー Vector Mainlander TEXT/鈴木文彦 Suzuki Fumihiko

カメラのナニワ 心斎橋本店にて。狙っていたマミヤ 7 Ⅱ美品に遭遇。

散歩をした人 すずき ふみひこ フ リ ー ラ ン ス エ デ ィ タ ー。 「snap!」 「SNAPSHOT maga zine」 「中判カメラの教科書」 「フィルムカメラの撮り方 BOOK」など、フィルムを中 心とした媒体を手掛ける。 ツイッター @snap_magazine

写真・カメラを趣味にする方であれば、週末に撮影を兼ねて写 真関連のスポットを巡ることも多いはず。散策をしながら写真に まつわる見識が深まるのはとても素晴らしいこと。 「カメラ少年 のぶらり街歩き」では、 そんな写真・カメラ関連スポットを実際に 散策。第2回目は、大阪を代表する商業地区で、オシャレな店舗 やカフェが軒を連ねる大阪・南船場周辺を探訪してみた。

106


1

scene.

写真集に力を入れている書店を巡り、写真カルチャーに触れる

散策のスタートは、南船場一帯から少し外れた場所にある、 スタイリッシュな店内の雰囲気も味わ いたい2軒の書店から。入手が難しい和洋の新刊が揃う 「BOOK OF DAYS」と、写真集から実

colombo

OSAKA MINAMISENMBA

colombo

用書まで幅広い品揃えの古書店「colombo」。素晴らしい写真作品との出会いを楽しもう。

BOOK OF DAYS

BOOK OF DAYS

spot 1:

BOOK OF DAYS

ギャラリー系写真集、少部数写真集に自信 1 年半前に新潟から移転。移転を機に絵本中心の品揃えからア ート書にシフトし、現在では話題作からネットでは入手が難し い少部数の写真集まで豊富に取り揃えている。人気の牛腸茂雄 店内ではおしゃれな雑貨も販売されて おり、とにかくスタイリッシュな雰囲 気。店外のベンチでコーヒーを飲みく つろげば、とてもリッチな気分になれる。

☞ DATA

大阪市中央区南久宝寺町 4-3-9 丸盛ビル 1F TEL 06-6241-0903 営業時間 12:00 〜 20:00、      13:00 〜 19:00(日・祝) 定休日 水曜 http://www.colombo.jp/

spot 2:

colombo

美味しいコーヒーも飲めるオシャレ古書店 古書、雑貨、コーヒーのお店。デザイン事務所などが集まる地区 にあるため、特にデザイン書や写真集に力を入れている。オーナ ーは猫の写真を撮るのが好き。そのため、猫が主役の写真集は絶 えずあり、それを目当てにしたお客さんも多いそう。

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「見慣れた街の中で」なども発見!

☞ DATA

大阪府大阪市西区阿波座 1-10-2 西本町エイトビル 202 号 TEL 06-6599-8210 営業時間 11:00 〜 17:00 定休日 日曜、第 2・第 4 月曜 http://bookofdays.jp/

海外雑誌も豊富。写真雑誌など も定期的に入荷。通販も行なっ ているので、レアな写真集をお 探しの方には心強い味方。


scene.

2

心斎橋の有名中古カメラ店&風物詩的な中古カメラ催事で物色

大阪の繁華街の代表格である心斎橋には、チェーン展開しているカメラのナニワの中古販 売部門の拠点が。 また、大丸心斎橋店で半年に一度開催されるカメラ催事は風物詩。 グッ ドタイミングで取材時にも開催されており、大量の中古カメラと戯れることができた。

カメラのナニワ 心斎橋本店 大丸心斎橋店 クラシック&中古カメラ掘り出し市

CAMERA NO NANIWA

OSAKA MINAMISENMBA

大丸心斎橋店

spot 4: クラシック&中古カメラ掘り出し市 関西&名古屋地区の 10 店舗による中古カメラ市。今年は 10 月

30 日〜 11 月 4 日に開催された。舶来クラシックには特に強く、 希少ステレオカメラを鈴木特殊カメラで見せていただき大興奮

グループ店舗の在庫を取り寄せて、 現物を見てから購入することも可 能。初期不良は返品可能、中古品 は年代・状態により最大で 6 か月の 保証が付く。

だった。次回は大丸心斎橋店催会場にて 3 月下旬に開催予定。

☞ DATA

大阪市中央区心斎橋筋 1-7-1 TEL 06-6271-1231 営業時間 10:00 〜 20:00 定休日 年中無休 開催期間 10 月 30 日〜 11 月 4 日(年 2回開催・上記日程は2013年のもの)

DAIMARU SHINSAIBASHI

春秋 2 回開催されている中古カメラ催事

☞ DATA

大阪市中央区心斎橋筋 1-3-12 TEL 06-6281-4133 営業時間 10:00 〜 20:00      10:00 〜 19:00(日・祝) 定休日 年中無休 http://www.cameranonaniwa.co.jp/

中古カメラ・用品入札会、理由あり ジャンク市などイベントも豊富。カ メラだけでなく雑誌類も見つかった。

spot 3: カメラのナニワ 心斎橋本店 広大な売り場に圧倒的な品揃え! 大阪・神戸・京都のカメラのナニワ、福岡・タカチホカメラ、東 京・レモン社などを展開するナニワグループの本店。2 階には広 大な中古カメラフロアがあり、とにかく圧巻の品揃え。市場に滅 多に出回らない機種もここなら見つかる可能性大!

108


3

scene.

南船場に集中するフィルム写真を愛するショップ&ギャラリーを巡る

南船場のギャラリーは、 フィルム写真をテーマにした共同の展示イベント 「フォトウォーク」を毎年開催するなど、 フィルム写真への愛情はひとしお。 それぞれに個性があり、バラエティーに富んだ展示を楽しめる。

spot 6:

Photo Gallery 壹燈舎

銀塩モノクロをメインに、本格的な写真展を展開

Acru

ギャラリー・アビィ

Photo Gallery 壹燈舎

NADAR/OSAKA

spot 5:

Acru

高品位でスタイリッシュな革製カメラアイテムで大人気 大型カメラにも対応する丈夫なストラップからハンドストラッ

ッフが心を動かされた場合、一週間無料で開放する「特別企画

プまで、様々なレザーアイテムが揃う人気店。材質・色も豊富で、

展」を行なったり、学生は 30 %オフにするなど、ユニークな

経年使用でどう味わい深くなるかを考えてセレクトしたい。高品

活動にも取り組む。銀塩モノクロの展示が多いのも特長。

位で体に優しい革を使うというこだわりが最高。

OSAKA MINAMISENMBA

Gallery Avi

NADAR/OSAKA

写真家・杉本征克さんが代表を務めるギャラリー。3 人のスタ

公募展は 1 週間、個展は 2 週間が基本。杉本さんの個 展も年に 1 回ペースで開催されている。

☞ DATA

大阪市中央区南船場 2-6-21 グラン・ビルド心斎橋 301号 TEL 06-6121-6202 営業時間 10:00 〜 19:00(最終日は 18:00 まで) 定休日 月曜 http://www12.ocn.ne.jp/ ˜ ittosha

Photo Gallery ITTOSHA

spot 8 :

NADAR/OSAKA

☞ DATA 大阪市中央区南船場 3-7-15 オーナーのシノハラトモユキさん。オープ サニービル西側 1F、B1F ンから 5 年、地下のギャラリーでは写真展 TEL 06-6282-5533 が常時開催されており、撮影者と商品がリ 営業時間 12:00 〜 20:00 ンクし、商品は日々進化を続けているそう。 定休日 水曜 http://acru.jp/

spot 7: ギャラリー・アビィ

それぞれに合った写真生活を 提案するギャラリー

展示の楽しさを教えてくれる親しみやすいギャラリー

作品・予算にあった展示方法、

吹雪大樹さんも「育成牧場」と称している。ひとりで撮っていて

初心者でも応募しやすい題目の公募展に定評があり、オーナーの

プレスリリース作成など、写

息詰まっている、というような方は展示に参加してみては。年末

真展に関することはもちろん、

開催、選抜作家によるグループ展「オールスターズ戦」は必見。

Acru

写真人生相談なども積極的に 行なっているギャラリー。オ ーナーは写真家の林和美さん。 ☞ DATA

大阪市中央区南船場 3-2-6 大阪農林会館 B1F ラリーを構える。南船場フォ TEL 06-6251-8108 トウォークを企画するなど、 営業時間 11:00 〜 19:00 定休日 月曜 精力的な活動を行なっている。 http://nadar.jp/osaka/

現在は東京・南青山にもギャ

ワークショップスペース 「SPOOL」を併設 2013 年にギャラリーの隣室に オープン。女性による女性のた めの写真教室、モノクロプリン ト体験教室など数々のワークシ ョップ・イベントを行なってお り、モットーである「写真生活 の提案」をより推し進めている。

109

「写真は人に見てもらって完成する」「個展は自分の足りない部分がわかる」な ど、吹雪さんの言葉は的確。吹雪さんはホルガ会代表の顔も持つ。

☞ DATA 大阪府大阪市中央区南船場 2 丁目 2-28 順慶ビル 212 号室 TEL 06-6261-7383 営業時間 12:00 〜 19:30 定休日 月曜・火曜 http://g-avi.com/


あの人の

CAMERA BAG DATE

バッグ:

カ 内藤さゆり メ ラ バッグの 中身

Rapha Backpack

重量(収納時) : 約4.4kg サイズ(収納時) : 約270×440×200mm 愛用歴:

1か月未満

カメラバッグ 「最低限かつ最重要」な荷物が

イギリスのサイクリング・ウェ アブランド、Rapha(ラファ) のリュックは、ツール・ド・フ ランスでひと目ぼれしたもの。 小ぶりなサイズ感や海外モノら しいビビッドなカラーが気に入 っている。長時間背負っても蒸 れにくい仕様も、撮影向きだ。

詰まったカメラバッグは、その写 真家の人生そのものであり、顔で もある。個性が宿るアイテムから、 その写真家の輪郭を浮き彫りにし ていきたい。

フィルム 1 日に使うのはだいたい 2 箱、10 本。箱ごとラフ にバッグに入れている。

キャリーケース 仕事用。現在は側面が フラットなタイプが主 流だが、フロントポケ ット付きが好き。荷物 の出し入れがスムーズ でお土産などちょっと した荷物も収納できる。

ハッセルブラッド500C 長年愛用しているハッセ ルブラッド 500C。写真 集『4 月 25 日 橋 』 の 作 品もこれで撮影した。レ ンズはプラナー C 80mm。

カメラバッグ

CAMERA BAG DATE

バッグ: Harris Tweed メンズショルダーバッグ 重量:

約750g(バッグのみ)

サイズ: 約420×380×130mm 愛用歴: 2か月

Rapha の リ ュ ッ ク の ほ か、日によってハリスツ イードの鞄をカメラバッ グとして使うこともある。 手がふさがらないよう斜 め掛けできることや、フ ァッション性も鞄選びで 重視するポイント。

クロス

ペットボトル

さっとカメラや レンズを拭くと きなどに。

手芸が趣味という 内藤さん。ペット ボトルは手作りの ペットボトルカバ ーに入れて携帯。

アルティザン&アーティ ストのソフトケースで包 んで鞄に入れている。

PHOTO/北郷 仁 TEXT/馬庭あい (編集部)

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エルメスの手帳 プレゼンに落ち続けていた際、 夫に「ちゃんとした手帳にし てみたら?」と言われて願掛 けで購入。ブランドロゴが全 面に出ていないエルメスの上 品さが気に入っている。

名刺入れ 土屋鞄製造所の名刺ケース。 約 2 か月前に買い替えたもの。

水性ペン

筆記具

写真集の出版や写真展開催をきっかけ に文具に興味を持ったという内藤さん。 無印良品のペンはちょっとしたメモに。

愛用はパーカーの インジェニュイテ ィ。書きグセ・持 ちグセがあるので、 万年筆よりも使い こなしやすいイン ジェニュイティを 気に入っている。

英国ブランドフェチで、筆記具 や靴やレザーグッズが好き。夫と 一緒に男性誌を見たり買い物をす るのが日課で、そしてとにかく無 類のバッグ好き。おっとりと柔ら かい雰囲気の内藤さんだが、最大 の敬意を込めて言うならば、とて も「男前」で素敵な女性だ。 「機能性だけではなくファッショ ン性も追求したい」と普通のバッ グをカメラバッグとして使ってい

財布

る。ちなみに取材時は、注文して

名刺入れと同じ土屋鞄製造所のもの。 松浦弥太郎氏のエッセイに影響を受け、 財布は定期的に替えている。

いた Rapha のリュックがちょうど 届きたてのタイミング。これから 使い込むのが楽しみだそう。

iPhone

セ大 R ン好 a トき p にな h 。羽 a 足海の 元野リ はチュ 英カッ 国のク 製﹁は トウ小 リミぶ ッノり カクか ーマつ ズ﹂軽 のキ量 シーで ョホ背 ール負 トダい ブーや ーをす ツアい 。ク。

iPhone 4S。近々 iPhone 5s に 切り替え予定だ。

小物入れ イヤホンや薬などちょっとした小物類 を入れている。上左の濃いグレーのポ ーチも手作りしたもの。

ないとうさゆり

1978 年、広島県生まれ。写真家。2005 年、コニカミノルタ主催フォトプレミオ 入選。2009 年、日本の新進作家の一人 に選出され、東京都写真美術館にて『4 月 25 日橋』を発表。その他、 写真集『TRI NITY』がある。日本写真学院講師。 http://sayuri7110.petit.cc/

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トートバッグ ウィンドパーカー 寒くなったときに羽織れるように、ザ ・ノース・フェイスのウィンドパーカ ーを常備している。ピンク好き。

Rapha の ト ー ト バッグをエコバッ グとして携帯。ち ょっと買い物をし たときなどに便利。


撮影から 15 分で大キャビネのプリントができあがる。 パフォーマンスのような作業に人が集まってくる。

写 真の発 祥 国の最 新 事 情!

is r Pa E R A CAM t R e po r

パリのおもしろカメラレポート 写真の発祥国であるフランス・パリは、いまも昔も写真文化の発信地。2013年秋に、 パリを訪れた稲垣徳文さんが現地で出会ったおもしろカメラ事情・写真事情をレポート。 PHOTO & TEXT/稲垣徳文

転 い た ン ム ぐ 風 プ よ に し 足 る 暗 タ で に 記 に に う は ポ た 元 。 箱 ー は わ 念 揺 吊 に 、 ン に も な か 写 れ る 人 大 ピ ポ に 手 見 い っ 真 て さ の 判 ド ー 置 を 当 ら た を い れ 輪 カ ゥ ト か 入 た し 。 撮 る た が メ ー レ れ れ ら い イ 影 。 モ で ラ ・ ー た 、 な 。 ン し ノ き と セ ト バ 何 い デ ス て ク て お ン の ケ や 。 ジ タ い ロ い 兄 タ 紙 ツ ら 三 カ ン る プ た さ ー 焼 に 作 脚 メ ト こ リ 。 ん 前 き は 業 に や フ と ン ク を の が 白 し 据 プ ィ は ト リ 囲 広 浮 黒 て え リ ル す が ッ む 場 い 反

ほ ど の 賑 わ い だ っ た 。

ッ パ 写 真 美 術 館 は 入 場 規 制 が さ れ る

ャ ン ・ サ ル ガ ド 展 を 開 催 中 の ヨ ー ロ

に は 客 が 絶 え る こ と な く 、 セ バ ス チ

パ 末 の 午 後 、 写 真 集 専 門 の 書 店

リ ・ フ ォ ト の 開 催 を 控 え た 週

パリのアフガンボックス写真師 Hans Zeeldieb さん。ポ ンピドゥー・センターでの営業はお天気次第とのこと。

112


現像所で使われていた木箱を改造し たアフガンボックス。製作当初はレ ンズを付けて撮影もしていたという。

「アフガンボックスカメラ」とは? 撮影、現像、プリントも可能な暗箱 カメラ。アフガニスタンでは証明写 真の撮影に使われていた。偶像崇拝 を禁止するタリバン政権下では廃業 を余儀なくされ、デジタルカメラの 普及により終焉を迎えつつある。

暗箱の底には現像液と定着液の入ったスリットがある。プリント用の電球もある小さな暗室だ。

と 暗 箱 を 操 る 写 真 師 の お 兄 さ ん 。 ﹁ ア フ ガ ン ボ ッ ク ス カ メ ラ ﹂ と い う 古 典 技 法 だ っ た 。

ポ ン ピ ド ゥ ー ・ セ ン タ ー 前 の 広 場 に は 何 や ら 人 垣 が 。 輪 の 中 に い た の は 大 判 カ メ ラ

街 角 で 「 ア フ ガ ン ボ ッ ク ス カ メ ラ 」 に 出 会 う

水洗中のネガ。ブレッソンやアーウィットの作品にあ るボックスカメラの撮影風景にもバケツが写っている。 カメラ、三脚、バケツでワンセットになる。

クリップに吊るされたプリントが風にそよぐ。紙ネガでも大判写真は美しい。 バケツでの水洗は不十分だから自宅で 5 分間、最終水洗するよう指示された。

アフガンボックスは大道芸 にも負けない。パリジャン は遠くから眺めたりせず、 単刀直入に質問攻めにする。

飴色のボディと赤蛇腹が見 事な撮影用カメラ。レンズ、 ボディともに年代物。折り たたみ機構のないシンプル な構造をしている。

113

「 一 枚 ど う ? 」 。

アフガンカメラで撮影された作品集。その昔、すべての写真は密着プリントだった。 右端の写真はお兄さんのセルフポートレート。暗箱の前面にレンズが見える。

箱 を 並 べ て い た 。

行 く 翌 と 日 、 、 昨 午 日 前 と 中 同 の じ 撮 よ 影 う を カ 終 メ え ラ 広 と 場 木 に

こ と が 嬉 し く な っ た 。

芸 能 の よ う な 写 真 技 術 が 生 き て い る

思 え た 。 写 真 が 生 ま れ た 国 で 、 古 典

ら 、 そ れ は ひ と つ の 出 会 い の よ う に

を 持 自 ち 分 歩 も い ま て た パ 大 リ き を な 撮 フ 影 ィ し ル て ム い カ た メ か ラ

増 し 5 ユ ー ロ 。

ン ト が 現 れ た 。 一 枚 15 ユ ー ロ 、 焼 き

る こ と 5 分 。 ネ ガ を 反 転 さ せ た プ リ

た 。 生 乾 き の ま ま 再 び 暗 箱 で 作 業 す

ム へ ら で 水 を 切 り ク リ ッ プ に 吊 る し

ば ら く バ ケ ツ の 水 に 潜 ら せ る と 、 ゴ

り に 写 真 を 撮 っ て い た の だ っ た 。 し

て い る 。 彼 は 印 画 紙 を フ ィ ル ム 代 わ


is r Pa E R A CAM t R e po r

自分も撮影してもらった。紙ネガは逆像に写る。乳剤面を合わせてプリ ントすることで画像を反転させポジにする。貰えるのはプリントのみだ。

い し ま た い で れ 。 緻 き た 密 あ 撮 で が 影 優 っ 技 し た 法 い プ だ 描 リ っ 写 ン た に ト 。 仕 は 上 、 が 大 っ 判 て ら

し て 写 真 館 や ア マ チ ュ ア に 広 く 親 し

る 。 か つ て は 日 本 で も 「 紙 ネ ガ 」 と

影 さ れ た 暗 箱 カ メ ラ の 撮 影 風 景 が あ

写 真 集 に も 、 イ ン ド や ア メ リ カ で 撮

ま た 、 ブ レ ッ ソ ン や ア ー ウ ィ ッ ト の

は 暗 そ 箱 う カ い メ え ラ ば を 、 使 昨 う 年 写 訪 真 れ 師 た が ハ い バ ナ た に 。

影 と 現 像 を し て い た と い う 。

箱 に 彼 レ が ン パ ズ リ を で 取 撮 り 影 付 を け 始 暗 め 箱 た だ 頃 け は で 、 撮 暗

よ 」 と 笑 っ て い た 。

ュ ー バ の ポ ラ ロ イ ド と も 言 う ら し い

た 写 真 技 法 だ と 教 え て く れ た 。 「 キ

国 々 に お い て 証 明 写 真 を 撮 影 し て い

タ ン 、 ロ シ ア や ハ ン ガ リ ー な ど の

と 答 え た 。 ア フ ガ ニ ス タ ン や パ キ ス

こ の 暗 箱 に つ い て 尋 ね る と 彼 は そ う

「 ア フ ガ ン ・ ボ ッ ク ス ・ カ メ ラ 」 。

数 え て い る 。

作 業 。 「 1 、 2 、 3 … 」 露 光 時 間 を

始 ま っ た 。 ネ ガ が で き た ら プ リ ン ト

る と 昨 日 と 同 じ よ う に 暗 箱 で 現 像 が

ま さ に 古 典 芸 能 だ っ た 。 撮 影 を 終 え

厚 紙 の キ ャ ッ プ を 取 っ て 露 光 す る 。

む 。 撮 影 レ ン ズ に シ ャ ッ タ ー は な く

フ ィ ル ム ホ ル ダ ー を カ メ ラ に 差 し 込

ピ ン ト を 合 わ せ る と 印 画 紙 の 入 っ た

ー ズ 誘 は わ 彼 れ に る 任 ま せ ま た 撮 。 っ 慣 て れ も た ら 手 っ つ た き 。 で ポ

114


平日でも途切れることなく客が訪れる。日本人写真家の作品集も平積みになっていた。

も 扱 い 、 地 下 に は 映 画 関 連 書 籍 も あ っ た 。

ー ル ﹂ 。 店 内 は 大 賑 わ い 。 オ リ ジ ナ ル プ リ ン ト

り に あ る 写 真 集 専 門 店 ﹁ ラ ・ シ ャ ン ブ ル ・ ク レ

サ ン ジ ェ ル マ ン 市 場 近 く の サ ン ・ シ ュ ル ピ ス 通

写 真 集 専 門 店

映 画 の 書 籍 も 扱 う

オリジナルプリントも取り扱う。ジャンルは様々。300 ユーロくらいから。

サルガドの写 真 展は大 行 列! セバスチャン・サルガド写真展を開催中のヨ ーロッパ写真美術館。サルガドは、美術館が 特にコレクションに力を入れる写真家。水曜 日の夜は入館無料で、20 時まで開館していた。

作品のスケール、モノクロプリントの質と量に圧倒される。館内 の撮影も自由で、みな思い思いの作品にカメラや携帯を向けてい た。ミュージアムショップの写真集ラインアップも充実していた。

115

道ゆく人も立ち止まるほどの長い行列に、この国の写真への関心の高さを実感した。


vol.

チョートクの愛しのカメラたち

東 松 照 明 さ ん が 使 っ た F も ク

ま さ れ た 。

れ 去 ら れ た 古 い 記 憶 か ら 呼 び 覚

が あ る 。 こ ん な こ と が 今 回 、 忘

感 じ た 反 応 は 、 か な り 近 い も の

ー ム 仕 上 げ を 観 察 し て い る 時 に

時 感 じ た あ る 感 覚 と 、 F の ク ロ

を 撮 以 影 前 し 、 た 重 こ 要 と 文 が 化 あ 財 っ 級 た の 。 日 そ 本 の 刀

ズ ム に 結 実 さ れ て い る 。

た 気 迫 は そ の 鋭 角 な ペ ン タ プ リ

の ひ こ 名 と れ 機 つ は F の 戦 は 頂 後 ク 点 の ロ で 日 ー あ 本 ム る の に 。 精 限 凜 密 る と 機 。 し 械

べ て が ブ ラ ッ ク 仕 上 げ で あ っ た 。

り だ っ た の で 使 っ て い た F は す

60 年 キ 代 分 時 が は 二 、 十 か 歳 っ の こ 若 つ 者 け で た あ い っ 盛 た

ど ち ら も ク ロ ー ム 仕 上 げ だ 。

ン F を 愛 用 し て い た 。 2 台 あ り 、

映 画 を 見 た 。 80 年 代 の 彼 は ニ コ

カ ニ ン ガ ム の ド キ ュ メ ン タ リ ー

が 経 過 し た 2 0 1 3 年 に ビ ル ・

の な い 話 を し た 。 あ れ か ら 30 年

信 号 が 青 に 変 わ る ま で 、 た わ い

は カ ー ネ ギ ー ホ ー ル の 交 差 点 。

1 9 8 3 年 の こ と だ っ た 。 場 所

ル ・ カ ニ ン ガ ム に 出 会 っ た の は

フ ァ ッ シ ョ ン 写 真 家 、 ビ

ン ハ ッ タ ン の ス ト リ ー ト

が 多 か っ た 。

説 」 が あ り 、 F を 使 い 続 け る 人

の 間 で は 故 障 が 多 い と い う 「 風

る F 当 2 時 が 、 登 す 場 で し に て F い の た 後 が 継 、 機 プ で ロ あ

希 有 な 存 在 だ 。

り 続 け る カ メ ラ は 今 の 時 代 で は

載 さ れ た 。 10 年 以 上 も 現 役 で あ

F の 生 産 中 止 」 の 新 聞 記 事 が 掲

ザ イ ン セ ン タ ー 時 代 に 「 ニ コ ン

し て 大 学 卒 業 後 に 入 っ た 日 本 デ

の 高 学 年 の 時 に 使 い 始 め た 。 そ

長 か F っ の た 現 。 役 あ 時 た 代 し は は F を 小 学 校

て い た の だ 。

同 じ カ メ ラ を 使 っ

た し ) も 、 み ん な

ラ 小 僧 ( 当 時 の あ

ン も 、 極 東 の カ メ

統 領 付 の カ メ ラ マ

務 中 を 撮 影 し た 大

ネ デ ィ 大 統 領 の 執

も 同 じ だ っ た 。 ケ

ン セ ン タ ー の 機 材

行 し た 日 本 デ ザ イ

っ た 。 あ た し が 修

全 部 ク ロ ー ム で あ

聞 社 の 報 道 関 係 も

F が 全 盛 時 代 の 新

ロ ー ム だ っ た し 、

行 く 。 思 え ば 変 わ っ た こ と な ど

F に 半 ト 世 ラ 紀 イ が X 経 を 過 装 し 填 た し 今 て も 撮 ニ 影 コ に ン

く し て あ る と い う 話 だ っ た 。 当

用 に 圧 板 の テ ン シ ョ ン を 若 干 軽

こ と も あ る 。 な ん で も 報 道 関 係

を 持 つ F 」 に 交 換 し て も ら っ た

「 ト ラ イ X 専 用 の フ ィ ル ム 圧 板

内 緒 で す よ 」 と 言 わ れ な が ら

珍 品 」 で あ る 。 「 ほ か の 方 に は

何 も な い の で あ る 。

り も 若 干 だ が 厚 み が あ っ た の だ 。

時 の ト ラ イ X は 国 産 フ ィ ル ム よ

6

Nikon

Nikon F

ニコン・ニコンF

残 っ て い た ら 「 大

だ っ た 。 今 こ れ が

金 属 で は な く 布 幕

は シ ャ ッ タ ー 幕 が

れ た ク ロ ー ム の F

代 替 機 で 貸 し 出 さ

た か ら だ 。 あ る 日 、

っ て も ら い た か っ

本 光 学 の 人 に か ま

く の で は な く 、 日

悪 く な っ た か ら 行

の だ 。 F の 具 合 が

ー に よ く 通 っ た も

の サ ー ビ ス セ ン タ

階 に あ っ た ニ コ ン

時 代 あ 、 た 旧 し 丸 の ビ 高 ル 校 1 生

F

フィルム交換をするときは底の開閉ノブ を回転して裏カバーをまるごとスライド して外す。懐かしい方式だ。

昔、月刊「アサヒカメラ」で「死者の額 につける三角布のようで縁起が良くな い」と批判された。日本の近代である。

田中長徳 Tanaka Chotoku

写真家、作家。1947 年東京生まれ。写真集、カメラ関連の著書 多数。東京とプラハのアトリエを拠点に撮影と執筆に取り組む。 ライカと共に歩んできた人生と作品で構成した最新刊「ライカ、 マイライフ」 (枻出版社)が 2013 年 12 月に発売された。

初期型の俗に言う富士山マークは「光学 製品の精密感」そのものだ。他社が最近 真似して作ったマークは駄目だな。

﹂ は ク ロ ー ム に 限 る

TEXT/田中長徳 PHOTO/北郷 仁

116


ニコンF 1959(昭和 34)年に登場したニコン初の一眼レフカメラ。ファイ ンダー交換可能、ほぼ 100%のファインダー視野率、自動絞りなど 完成度が高く、以後 F 一桁シリーズは世界中のプロが使うカメラと して活躍していくことになる。

FEATURES

SPEC. 型式 レンズマウント シャッター速度 サイズ/重量

117

35mm 一眼レフカメラ ニコン F マウント 1/1000 〜 1 秒、B、T 約 147W×98H×56Dmm /約 685g(本体)


大野雅人の14-42mm 育メン写真家必携!の標準ズーム 自称「育メン写真家」の私、日常の被写体は必然的にわが子供たち。重い カメラからコンパクトなミラーレス一眼に変えてからはライブビューの恩 恵もあって自由なフレーミングができるようになった。ライブビュー撮影 で気付いたのは、両目で見ながら撮ることで客観的な視点が生まれること。 さらに撮る気配を消せるのでより自然な写真が撮れるようになった。レン ズは標準ズームの 14-42mm。意外と言ったら失礼だが、とても良く写る。 THE WORLD

沈胴式のレンズはとてもコンパクトで、雑然とした私のカバンの隙間にす

OF OLYMPUS

ーっと収まる。高級なレンズだとポーチに入れなきゃ、なんて気を使うが、 そんなこともなく日常に気兼ねなく使えるところも気に入っている。

M.ZUIKO DIGITAL14-42mmF3.5-5.6ⅡR

ZUIKO LENSES

E-P3・M.ZUIKO DIGITAL14-42mmF3.5-5.6ⅡR・ F5.6・1/400s・+1EV・ISO200 映画好きな私にとって子供は格好の名役者。作ら ない、媚びない、そして時々魅せる迷演技。露出 はカメラまかせで、構図だけに気を配る。カメラ を振り回し、シャッターチャンスを待つ快感。プ ロ写真家だって楽チンが大好きなのだ。

118


FEATURES

28 〜 84mm(35mm 判換算)という撮影 頻度が高い広角から中望遠をカバーする小 型ズーム。重さ 113g と軽量で、マイクロ

フォーサーズの機動力を活かせる常用レンズとして人気がある。3 枚の非球面レンズと高屈折率ガラスレンズを最適に配置して、収差 の発生を最小限に抑えこみ優れた描写性能を実現。また、ズーム全 域でレンズ先端から 15cm 先の被写体を接写することができる。

焦点距離 35mm判換算 レンズ構成 対角線画角 絞り羽根枚数 最小絞り

14-42mm 28-84mm相当 7群8枚 75〜29度 7(円形絞り) F22

最短撮影距離 0.25m      (焦点距離14-19mm) フィルターサイズ φ37mm 最大径×長さ φ56.5×50mm 重量 113g 希望小売価格 3万6750円

E-P3・M.ZUIKO DIGITAL 14-42mmF3.5-5.6ⅡR・F3.5・1/60s・ +0.7EV・ISO400 育児旅と称し、一緒に遠くへ旅に出 る。見るもの聞くもの、すべてに反 応し一喜一憂。とくに乗り物が大好 き。これが、私の写真の創作にも一 役かったりするのだ。

E-P3・M.ZUIKO DIGITAL 14-42mmF3.5-5.6ⅡR・F8・1/40s・ +0.7EV・ISO250 逆光でも気兼ねせずパシャパシャと シャッターを押す。私「こっちむい て〜」、娘「…」 。嫌な顔されても父 親の特権でパシャパシャ。ミラーレ スで軽快にパシャパシャする撮影は 快感そのものだ。

大野雅人 Ono Masato

1968 年愛知県生まれ。1999 年に写真家の妻、大野葉子と ともに写真事務所を設立しフ リーランスとなる。雑誌、舞 台などの撮影を行いながら、 写真作家活動を行っている。

119


PHOTO&TEXT ハービー・山口

る こ と 自 ツ が 快 感 だ っ た 。

て い た 。 こ の カ メ ラ に 触 れ て い

大 事 そ う に 僕 の 手 の 中 に 握 ら れ

外 は 僕 の 胸 に か か っ て い る か 、

カ M 1 4 日 は 24 、 時 お 間 風 の 呂 中 に で 入 、 る こ と の き ラ 以 イ

実 感 し た 。

キ の 心 が 反 映 さ れ て い る の だ と

え た 写 真 は ま ぎ れ も な く 自 分 自

し て き た の だ っ た 。 そ う し て 捉

そ の 人 の 人 生 ま で も が 写 る 気 が

人 間 こ の の 姿 カ 形 メ は ラ も な ち ら ろ 被 ん 写 の ツ こ で あ と る 、

る の が 増 々 楽 し く 深 く な っ た 。

予 言 は 当 た っ て い て 、 写 真 を 撮

か ら 言 わ れ た も の だ っ た 。 そ の

を 同 世 代 の イ ギ リ ス 人 の 写 真 家

思 う よ 」 な ど と 予 言 め い た こ と

イ ル に は ラ イ カ は ぴ っ た り だ と

な る だ ろ う な 。 君 の 写 真 の ス タ

た ら 増 々 良 い 写 真 を 撮 る よ う に

し 君 が ラ イ カ を 使 う よ う に な っ

パ ー テ ィ ー な ど に 行 っ た 折 「 も

ー ズ ギ ャ ラ リ ー の オ ー プ ニ ン グ

る 。 ロ ン ド ン の フ ォ ト グ ラ フ ァ

ミ リ の レ ン ズ を 買 っ た 経 験 が あ

っ と M 4 ブ ラ ッ ク ク ロ ー ム と 35

も ラ イ カ が 欲 し く な り 32 歳 で や

型 を 使 っ て い る の で 、 ど う し て

家 が 皆 揃 え た よ う に ラ イ カ の M

周 囲 の イ ギ リ ス 人 の 写 真

だ そ う だ 。 価 格 は 相 場 の 3 分 の

物 で あ っ た も の を 引 き 取 っ た の

能 プ ロ ダ ク シ ョ ン の 社 長 の 所 有

デ ィ シ ョ ン で あ っ た 。 近 く の 芸

傷 が ほ と ん ど な い 、 ミ ン ト コ ン

ン ト の ラ イ カ M 3 を 見 つ け た 。

つ け の カ メ ラ 店 で ブ ラ ッ ク ペ イ

宅 か 2 ら 0 歩 1 い 2 て 年 10 の 分 暮 程 れ に だ あ っ る た 行 。 き 自

ラ で あ っ た 。

て 安 心 し 、 使 っ て 満 足 す る カ メ

足 感 が 得 ら れ た の だ っ た 。 眺 め

い 写 真 家 で あ る の だ 、 と い う 満

ー を 切 る ご と に 、 自 分 は 誇 り 高

め ら れ た し 、 一 枚 一 枚 シ ャ ッ タ

写 真 こ を の 撮 カ ろ メ う ラ と だ い か う ら 精 も 神 っ 性 と も 良 高 い

に な っ た も の だ っ た 。

で 、 快 感 と 共 に 充 実 し た 気 持 ち

ッ タ ー が 切 れ る ツ 勢 に あ る こ と

と て も 安 心 し た 。 い つ で も シ ャ

る か ラ 、 イ ま カ た が は 手 キ の に 届 つ く け と て こ い ろ る に と あ 、

あ っ た 。

そ う な 顔 つ き で 言 わ れ た こ と が

と 半 ば あ き れ た よ う な 、 不 思 議

カ メ ラ を 持 っ て い る ん で す ね 」

て 、 「 ハ ー ビ ー さ ん て い つ で も

僕 の 胸 の 前 で 揺 れ て い る の を 見

事 を し て い る と き も 、 カ メ ラ が

者 と 日 ロ 本 ン か ド ら ン 来 の た レ 雑 ス 誌 ト の ラ 女 ン 性 で 編 食 集

自 分 あ の る 創 陶 る 芸 茶 家 器 の の 言 意 葉 味 を は 思 、 い 手 出 に す 。

ン で 事 足 り る の だ 。

で な け れ ば 1 0 0 円 の ボ ー ル ペ

手 い 字 を 書 こ う と 思 う も の だ 。

と 良 い 文 章 を 書 こ う 、 も っ と 上

こ の 万 万 年 年 筆 筆 に を も 使 同 う じ の こ だ と か が ら 言 も え っ る 。

が 切 れ た の だ っ た 。

お 陰 で 今 ま で 幾 多 の シ ャ ッ タ ー

え て く れ て い る 。 こ の カ メ ラ の

は 、 間 写 違 真 い 家 な で く あ こ る の 僕 カ の メ 精 ラ 神 の を 存 支 在

し て く れ た の で あ る 。

あ る こ と が 、 よ り 充 実 感 を 加 味

い て く れ る 、 い わ ゆ る 生 産 材 で

ほ と ん ど の 収 入 を 得 る た め に 働

カ メ そ ラ の は 上 飾 、 り 僕 で に は と な っ く て 、 こ つ う ま し り た

の よ う に 誇 ら し げ だ っ た 。

さ れ た 数 台 の 高 級 ス ポ ー ツ カ ー

ー ル ー ム に 美 し く デ ィ ス プ レ イ

の よ う に 気 高 く 、 あ る い は シ ョ

い 無 く 定 位 置 に 駐 機 し た 戦 闘 機

た の で あ る 。 あ た か も 寸 分 の 狂

っ た 独 特 の 空 気 感 に 心 を 打 た れ

て 醸 し 出 せ な い 重 厚 感 を と も な

の 上 に 並 べ る と 、 1 台 で は 決 し

っ た 。 と こ ろ が 3 台 を 自 分 の 机

こ れ こ で の M M 3 3 が を 3 買 台 っ に た 増 の え だ て っ し た ま が 、

1 以 下 だ っ た 。

と は 僕 、 の 撮 持 る 論 勇 で 気 は を 、 写 一 真 流 家 の に カ 与 メ え ラ

人 な り の 一 流 品 が 存 在 す る の だ 。

家 も い る 。 人 そ れ ぞ れ に 、 そ の

容 に は 関 係 な い と 主 張 す る 写 真

ん な カ メ ラ で 撮 ろ う が 写 真 の 内

を 挙 げ る 人 も い る だ ろ う し 、 ど

人 に よ っ て は リ ン ホ フ や レ チ ナ

し て き た の で は な い だ ろ う か 。

機 が 各 多 メ く ー の カ 写 ー 真 の 家 フ の ラ 精 ッ 神 グ を シ 鼓 ッ 舞 プ

キ ヤ ノ ン F 1 な ど 。

ハ ッ セ ル ブ ラ ッ ド 、 ニ コ ン F 、

う 。 例 え ば ロ ー ラ イ フ レ ッ ク ス 、

い の だ ろ う か 。 幾 つ も あ る と 思

神 性 で が は と ラ も イ な カ う 以 カ 外 メ に ラ こ は う 他 し に た な 精

で あ る 。

神 ま 一 で 流 を の も も 高 の 揚 と さ は せ 、 て 使 く い れ 手 る の の 精

茶 を 飲 ん だ 方 が 安 上 が り だ 。

1 0 0 円 シ ョ ッ プ の コ ッ プ で 抹

力 が あ る こ と だ 。 さ も な け れ ば

と い う 気 持 ち に な っ て も ら え る

と っ た 人 が 「 よ し 、 や る ぞ ! 」

あ の に そ る 意 生 の 。 味 き 答 を る え 教 勇 は え 気 明 ら を 白 れ 、 で る 努 あ 人 力 る の す 。 こ る 他 と こ の で と 人

い う そ 人 れ の で こ は と 一 を 流 い の う 人 の 間 だ と ろ は う ど か う 。

て く れ る カ メ ラ の こ と で あ る 。

ン ド ン に 住 ん で い た 頃 、

120


3台のライカM3

シルバークロームが 2 台、ブラックペイントが 1 台。それぞれに個性があり、数多くの名作を生み出してきた。

ハービー・山口

1950 年、東京出身。大学卒業後、渡英し 10 年 を過ごす。一時期劇団の役者として 100 回の舞 台を踏む。希望をテーマとした写真作品は高く 評価され、2011 年、日本写真協会賞作家賞を 受賞。ほかにエッセイ執筆、ラジオのパーソナ リティー、布袋寅泰のギタリズムに作詞家とし て参加。herbie-yamaguchi.com

121


FA R AWAY 鹿 児 島 県 ・ 大 隅 諸 島

屋 久 島

く へ 行 き た い PHOTO / 帆 足 侊 兀

屋久島は雨の島、という印象を持 っていた。 島の形はほぼ円形で、その中央に 標高 1936m の宮之浦岳がある。海 からの湿った風が広大な山の斜面に あたり、3 日のうち 2 日は雨が降る と聞かされていたからだ。年間の降 水量は平地で 4000mm を超え、山 岳部ではその 2 倍以上の雨が降る。 撮影に行った日も雨。翌日に延期 しようと思ったが、小降りになって きたので森の中へ入ってみた。雨に 濡れた樹木や苔は生き生きとした表 情を見せ、葉や草のエッジが輝く美 しい風景がそこにあった。撮影した 大木の根からは新たな品種が芽を出 し始めていた。雨だから簡単に撮影 を断念すべきではないという教訓を、 この写真を見るたびに思い返す。

鹿児島県

屋久島

種子島

帆足侊兀 Ho ashi Terutaka

1944 年、満州国新京特別市(現・吉 林省長春市)生まれ。桑沢デザイン研 究所写真研究科卒。国内外の四輪・二 輪メーカーや、キヤノン、JR などの コマーシャルフォトに携わる。現在は 主に、仏像の撮影を手掛けている。 http://www.hoashi-terutaka.com/

122


Canon EOS-1D MarkⅡ・EF28-70mm F2.8L USM・F8・1/100s・ISO400

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アラーハーバード

ジャイサルメール イ ン ド

世 界 の 写 窓 から

インド在住スペイン人写真家のイチャソ・ズニガさんが世界中 を旅したファインダー越しの「写窓」風景をお届け。その国な らではの写真事情や撮影テクニックを紹介する連載。今回は インド人がいかにポートレートに素直に応じてくれるか、 そして それが写真家にとってどれほど大切なことかについて語る。

The world through the viewfinder

ポ ートレ ートに 好意的な国

India the portrait friendly country. −India−

Panasonic Lumix DMC-FX33・F2.8・1/160s・ISO100 ホーリー祭を祝ったあとの友達グループ。ラジャスタン州ジャイサルメール。

私は、写真の仕事や、個人的なプロジェ

ンの立場から語っているが、インド人のカ

もちろん例外もあるが、インドで明白な

クトのために世界中を旅して、見知らぬ人

メラマンたちも、インド人は喜んでポーズ

問題を見つけたことはなかった。唯一のケ

のポートレートを撮る機会が多くある。ほ

すると言っていた。南や北東アジアの国々

ースは、お金を払うように求められたとい

とんどの国では難しいことだが、人々がカ

(中国、インドネシア、タイ、モンゴルなど)

メラの前で喜んでポーズを撮ってくれる国

も友好的に受け入れてくれるが、ともかく

自らの写真を撮られること同様、インド

もある。私が仕事をしたすべての国の中で、

インドは最高なのだ。

人は携帯電話やコンパクトカメラで外国人

インドは最も友好的で、誰もが自分の写真

私のストリート・ポートレートを撮る秘

を撮ることが好きだ。観光地では、インド

を撮ってもらいたいと思っている、と言っ

訣はいつも同じだ。大きな笑顔で近づくこ

人が外国人に近づき、横でポーズをとるこ

ても言いすぎではない国だ。

と。自己紹介したあと、なぜその人を選ん

とが多くある。

インドは、多くのシャッターチャンスと、

だか、どこで使うつもりか、ということを

外国人に出会うことは観光地を訪れる魅

ユニークな瞬間に満ちた、ストリート・ポ

笑顔のまま伝える。

力のひとつで、彼らはその思い出をカメラ

ートレートの楽園である。インド人は自分

ストリート・ポートレートを撮るのが最

に記録しようとするのだ。

のポートレートを撮られることが大好きで、

も難しいのは、ウィーン、ベルリン、ロン

家族、友達グループ、恋人たち、それが

カメラの前で楽しそうにポーズする。それ

ドンといったヨーロッパの国々の首都だ。

誰であっても、私は彼らと写真を撮ること

以上に、インド人は何度も喜んでポーズし、

イタリア人とスペイン人はヨーロッパ人の

を受け入れてきた。写真家として、インド

写真を撮ってもいいかと尋ねられたことに

中では友好的だが、 「ごめんなさい」と言

で多くのポートレートを撮ったことへのお

誇りを感じている。子供や若者、大人やお

われることは珍しくない。中東で女性のポ

返しだと思っている。そして、仕事に気を

年寄りでも皆、撮られる瞬間を楽しんでい

ートレートを撮ることは、宗教や慣習によ

取られない限り、いつでも撮られることを

るようだ。もちろん、私は外国のカメラマ

って非常に難しい。

受け入れるだろう。

うことくらいだ。

PHOTO & TEXT/Itxaso Zuñiga Ruiz イチャソ・ズニガ

124


イチャソ・ズニガ

1978 年、スペイン・テラッサ生まれ。EFFC School of Photography を卒業後、1999 年にロンドンのウェ ストミンスター大学にて写真の研究を修了。旅雑誌の フリーカメラマンとして活動しながら、バルセロナ大 学で写真ラボの管理技術の講師も務めた。2005 年か ら東京に在住し、主に日本のメディアでフリーランス として活動。ANA 機内誌『WINGSPAN』『Sotokoto』 『Asahi Weekly』などで写真を発表している。2009 年 末にインドのデリーに移住し、活動を続けている。 www.phototravelling.com

125

Canon EOS 5D MarkⅡ・EF16-35mmF2.8L USM・F5.6・1/320s・ISO100

ナ マ ス テ の ポ ー ズ を と っ た 僧 侶 。 ア ラ ー ハ ー バ ー ド の マ ハ ・ ク ン ブ メ ー ラ ︵ 世 界 最 大 級 の 宗 教 祭 典 ︶ に て 。

Canon EOS 5D MarkⅡ・EF16-35mmF2.8L USM/Panasonic Lumix DMC-FX33 キヤノン EOS 5D Mark Ⅱは目黒区の三宝カメラ で 2012 年の春に購入した。数百ショット撮られ たのみで、ほとんど使われていないものだった。 EOS 5D Mark Ⅱは動画を高画質で撮れることも 気に入っている。以前使っていた EOS 1Ds より も少し軽くバッテリーも小さい。Lumix DMC-FX33 は実は夫のものだ。2007 年の 誕生日プレゼントとして送ったが、彼は 100 枚も撮らなかった。私は 1000 枚以上 撮っている。ライカレンズのクオリティとモニターの大きさが気に入っている。良 い写真を撮ってきたし、個人的な思い出をたくさん記録している。


原寸大

LEATHER 革は厚めの上質なコードバンを 使用。コードバンは馬の臀部に ある繊維が緻密な部位。日本国 内で植物なめしをした高級コー ドバンを贅沢に使っている。コ ードバンは軽量かつ引き裂きに 対して強度がある。幅は約 12 mm。 長 さ は 80、90、100cm の 3 種類。色はブラックとブラ ウンの 2 種類。

SEWING 縫製は日本国内の職人による手 縫い。糸は化学繊維ではなく綿 糸を使用。2 本使いをして強度 を上げている。綿糸は上質なコ ードバンと同様に使い込んでい くほどに風合いが増していく特 長がある。

K repair プレミアムなアクセサリーシリーズ

K002 CORDOVAN STRAP コードバンストラップ カメラへの愛着が強くなるほど撮る意欲も高まっていく。 末永く使い続けていく愛機には、ストラップも厳選した い。ケイ・リペアのコードバンストラップは、素材、製 法、デザイン、そしてリングにまでこだわっている。上 質なコードバンを素材に選んでいるので、使い続けてい くと独特の風合いが増していく。価格は 2 万 1000 円。

RING リングは全体をプレス加工して 美しい形状に仕上げられている。 堅牢な鋼材を合わせて加工し、 断面は丸みのある絶妙の形状に 仕上げている。先端部は Z 状に 加工してあり(押し二重リン グ)、切断面は手作業で丸く加 工している。さらにメッキする 前後に 2 度の研磨をすることで 表面は滑らかで深みのある光沢 が出ている。 ブラック

素材や製法、そしてリングにも徹底してこだわっている。プレス加 工してきれいな丸い形状にし、先端は手作業で丸く仕上げている。

ブラウン

問い合わせ:ケイ・リペア TEL 078 -332 -3300

126


田中長徳 最新刊

ライカ、 マイライフ

本体2200円+税 /A5判/ハードカバー/240ページ

絶賛 発売中! ライカとともに 約半世紀を歩んできた写真家、 田中長徳が撮り、 そしてライカの本当の魅力を語る ・ライカで撮影した珠玉の作品108枚 ・ライカ人生を語った27のエッセイ ・作家・沢木耕太郎氏との対談を収録

ライカが多くの人を魅了することは、実に不思議である。しかし、これ はごく一部の「マイナーな事件」に過ぎないこともまた事実である。  1970 年代、当時ライカの最新モデルだった M5 を使って東京のある場 所を撮影していたときのこと。男性が近づいてきて「随分と古いカメラで すね。それで撮れるんですか?」と聞かれたことがある。こんな言葉で我々 は立腹してはいけない。ライカは掛け替えのない自分の眼であり、自分の 次に大事な身体の一部なのだ。しかし、ほかの世界から見たあなたの愛機 たるライカは「随分古いカメラ」であり、 「写るかどうか信用できない怪 しい存在」なのである。  もともとライカはマイナーな存在であり、それを愛する我々はマイノリ ティであることこそが「勲章」なのである…(「LEICA,My Life」ライカが もたらす「写真表現者という放蕩生活」より)

127

※本書の問い合わせなどは、 本誌136〜139ページの下をご覧ください。

LEICA M3・Biogon35mmF2.8・Tri-X 長い長いシャッター街をひたすら歩いていく人類。まるで宇宙飛 行士が撮影した月面着陸のときの記念写真みたいだ。 (「LEICA,My Life」NWE YORK 2011 より)


早 速 訪 れ て み た 。

直 営 こ 店 の が 橋 オ の ー ほ プ ど ン 近 し く た に と ラ 聞 イ カ き の 、

ェ ッ キ オ 橋 」 だ 。

ィ レ ン ツ ェ 唯 一 の 橋 で あ る 「 ヴ

あ り 、 先 の 大 戦 を 生 き 延 び た フ

の が そ 、 ん フ な ィ 彼 レ ら ン の ツ お ェ 目 最 当 古 て の で 橋 あ で る

ら 提 げ て い る 。

使 う よ う な 立 派 な カ メ ラ を 首 か

く ツ ー リ ス ト た ち は 皆 、 プ ロ が

ン が 憧 れ る 街 だ け あ っ て 、 街 ゆ

作 品 に な る 。 世 界 中 の 写 真 フ ァ

古 い 中 街 世 並 か み ら は 続 、 く ど フ こ ィ を レ 撮 ン っ ツ て ェ も の

写 真 ・ 文 = 伊 真 一

ラフ イィ カレ シン ョツ ッェ プの を 訪 問

ア ン ト ロ ジ ア

「ANTOLOGIA(アントロジア)」とは、 イタリア語で 「作品集、名品集」の意味。名機と写真、 それにちな んだプロダクツを、伊

真一氏、加賀健二氏、 フラン

コ・ミヌッチ氏の3名がお届け。

128


4

3

2

5

6

1

1 ショップの前にて記念撮影。古い石レンガを活かした外観は趣きたっぷりだ。 2 イタリア独特の古い建築様式の天井をそのまま活かした広々とした店内。ギャラリースペースも併設。 3 若き写真家でもあるショップマネージャーの Gilberto Benni 氏と Mattia Dall'ara 氏。実にジェントルマン。 4 世界共通のライカ直営店のショーウィンドウには、日本では品薄状態が続くライカ M も並んでいた。 5 僕と加賀健二氏、フランコ・ミヌッチ氏で集合。久々の 3 ショットに、フランコさん嬉しそう。 6 ヴァザーリの回廊が上を通っているヴェッキオ橋は、ローマ時代からこの場所にあったそう。

「Leica Store Firenze」www.leicastore-firenze.com

ANTOLOGIA の Facebook ページ。https://www.facebook.com/antologia.co.jp 伊﨑氏の Facebook ページ。 「Hobby's Rangefinder Gallery」https://www.facebook.com/leicahobby

129


LONG USE REPORT 使ってわかる本音レポ

CASE_

15

4年3か月

DATE_

MODEL_

藤井智弘(写真家)

NAME_

ライカ

Fujii Tomohiro

M9

現行レンズとの相性は期待以上  2009 年の秋、ついにライカ M9 を購入。しかしレンズ はこれまでフィルムのライカで使ってきたものを装着して いました。ボディは買ってもレンズまでは買えなかったの です。ただはじめは、特に現行レンズへのこだわりはあり ませんでした。フィルムで使っていて、十分満足していた からです。私の場合、メインは 50mm。1970 年代のズミ クロン 50mmF2、もしくは 1950 年代のズマリット 50mm

F1.5 を所有しています。ズミクロンは絞りを開けても絞 っても安定し、ズマリットは開けるとソフト、絞るとシャ ープに写る個性的なレンズ。どちらも気に入っていました。  確かにライカ M9 でも高性能を見せるその 2 本ですが、 使っていくうちにどんどん現行レンズに興味が湧いてきま ズミルックスM 50mm F1.4 ASPH. を 購 入 し てすぐ、ライカ M9 に 装着してパリを旅しま した。この作品はモン マルトルで撮影。絞り 開放のボケ味が画面に 立体感を与えています。

CASE_

NAME_

21

DATE_

した。現行レンズなら、ライカ M9 の高解像力をさらに引 き出せる、と思ったのです。ようやく実現できたのは 20

申し分のない描写力が得 られるズミルックス M 50mm F1.4 ASPH.。 ラ イカ M9 とのバランスも 良く、扱いやすさも気に 入っています。最も使用 頻度の高いレンズです。

1年

11 年の春。一生使うつもりで気合を入れて、ズミルック ス M 50mmF1.4 ASPH. をライカ銀座店で購入しました。 絞り開放から高い解像力で、美しいボケ味を見せるのはさ すが現行レンズ。期待以上です。もちろん現在も大活躍中。

MODEL_

橋本 哲(写真家)

ソニー

Hashimoto Satoshi

α99

すばらしい撮像素子といただけない操作感  購入してはや 1 年、α900 と α99 を平行して使う予定でした が結果として α99 ばかり使っています。このカメラの操作感は、 あまりいいとは言えません。第一、ボタンが多い。背面だけで

10 個。上面前面に 9 個。回転ダイヤル 4 個。覚えきれません。決 してメニュー画面から操作するように作ってくれと言っているわ けではありません。ダイヤルやボタンでいいんです。もう少しシ ンプルに。 「どのような設定も選べます。ご自由に」ではなく、 一番いい設定を設計側で決めてください。そしてボタンを減らし てください。一番いい位置に使いやすいボタンやダイヤルがある。 これでいいんです。  絞り優先オートに設定し、肩からカメラをさげて歩いていると、 ダイヤルが体に当たり、必ず絞りは F22 になっています。その度

F4 や F2.8 に戻さなくては撮影ができないのが難点です。  しかし、なにより撮像素子がいい。ハイエンドからローエンド までバランスが崩れない。このあたりは見事です。コンタックス ダイヤルがまわりやすいので保護カバーとしてパーマセルを貼ってありま す。上部はめくれるよう工夫しています。5 回くらい撮影すると取れてしま うのでまた貼り直します。

645 にデジバックのフェーズワン P25 も使っていますが、空に浮 かぶ雲や夜景における闇の中のトーン描写は α99 の方が優れて います。つまり部分的に中判デジバックを超えているのです。

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カメラや機材は実際に使ってみることで初めて、良し悪しや自分に合うかどうかの判断がわかるもの。 最新デジカメやフィルムカメラなど実際に使ってみたからこそわかる操作性や使用感など生の声をお届け。

CASE_

18

DATE_

4か月半

MODEL_

飯塚達央(写真家)

NAME_

シグマ

Iizuka Tatsuo

SD1 Merrill

甘いピントをしっかり調整  注文してから 2 か月経ってようやく手に入った SIGMA 18-35mmF1.8 DC の SIG

MA SA マウント。早速試し撮りしてみるものの、どうもオートフォーカスが怪しい。 ピンボケを量産してしまうのだ。自分なりにチェックしてみると、最短距離近辺で はジャストなのだが、1m 付近では 6cm くらいの前ピン、以降の距離でも前ピン、 というのが分かった。そういえば、このレンズを使いこなすには「SIGMA USB

DOCK」なるものをセットで買って、自分のカメラとの相性を合わせるべしと、ネ ットのどこかに書いてあったっけ。  釈然としないながらも、F1.8 の大口径ズームレンズの AF はさぞシビアだから、 それもやむなしか、と「USB DOCK」を追加で買って AF 調整をしてみた。  結果、1m 付近の前ピンは、やや改善が見られたが、調整範囲を超えてしまって いるよう。やはりこの距離でシビアに撮るには、カメラまかせでなく、MF での「ピ ントブラケット」が必要だろう。遠距離の前ピンはジャスピンになって、目を見張 るほどのシャープな写真が撮れるようになった。立体感も素晴らしく SD1 Merrill の描写が確実に一段上がった。

「USB DOCK」とパソコンをつないで、テスト撮影を 繰り返しながら焦点距離、被写体との撮影距離ごとの AF の合焦地点をスライダーで調整していく。

CASE_

NAME_

16

DATE_

3年10か月

安達ロベルト(写真家)

MODEL_

ローライ

Robert Adachi

Sonnar 40mmF2.8 シャープすぎない上品な描写  調べてみるとこのレンズ、ローライ 35 について いる同名レンズを L マウントにしたとのこと(もち 。 「ライカ通信」の ろん目測ピントではありません) 加納満さんによるレビュー以外に参考になりそうな 撮影画像が見つからず購入への踏ん切りが付かずに いたある日、某中古カメラ店で比較的条件のいいも のを見つけました。そこに写真家・小澤太一さんが 現れ「ロベルトさん、男を見せてくださいよ」と言 うので、即決。ライカ M2 とカラーネガでテスト撮 影すると、解像しているけどシャープすぎず、やさ しいけどヤワでない上品な写り。その画質を活かす には ISO400 よりは 100、モノクロネガよりカラー のほうが合っているとは感じますが、使い続けるう

Leica M2・Rollei Sonnar 40mmF2.8・F4・1/60s・Tri-X 絞りは F2.8 〜 4 を多用しますが、それ以上絞っても上品な解像感。

ちにいつもの Tri-X で満足のいくカットを撮るコツ もつかめました。前回書いた 35 ミリ枠もやはり 40 ミリでどんぴしゃでしたし、HFT コーティングは逆 光に強く発色も豊か。デジタル M との相性もいい です。最終回は問題点なども含め総合評価します。

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LONG USE REPORT

CASE_

NAME_

17

DATE_

1年10か月

MODEL_

鈴木文彦(フリーランスエディター)

キヤノン

Suzuki Fumihiko

EOS 5D Mark Ⅱ 冬に合わせてレンズとストラップを衣替え  いつも肩から掛けているカメラは、仕事の道具、趣味の 道具、表現の道具として大切に扱っている。だからこそ、 「服装とカメラのマッチング」には気を遣っていて、新し いアクセサリーは買えないけれど、僕にとってはカメラを (自分なりに)ステキに持つことが、充分なオシャレであ り個性にも繋がると思っている。  夏場はポップに「赤」を基調に、赤いホットシューカバ ーとキヤノンの赤いオールドストラップを付けていたが、 季節は冬。やはり冬仕様にしなければいけないなと思い、 衣替えをしてみた。  レンズはコシナの M42 マウントレンズ、オートトプコ ール 58mmF1.4。ノクトン 58mmF1.4 と同一の光学設計で、

モ ミ ジ を 撮 影。 大 口 径 F1.4 レンズの被写界深度 の浅さはやっぱり偉大!と 思った 1 枚。手前の枝が美 しくボケて幻想的に。

CASE_

NAME_

22

DATE_

シルバー鏡胴がとても美しい。これに合うストラップを悩

1か月

hana(写真家) はな

んでいたところ、ポパイカメラがハリスツイードとコラボ

ポパイカメラ×ハリ スツイードカメラス ト ラ ッ プ は 5880 円。 全 6 色あり、太さと 長さが選べる。僕の は 25 ミリ幅の SS サ イズ。

したストラップを発売したという情報をキャッチ。すぐさ ま自由が丘へと向かい、シルバー鏡胴とマッチするグレー のツイードストラップを購入した。これが素晴らしいマッ チング。無機質なデジイチがぬくもりいっぱいになった。

MODEL_

フジフイルム

X-E2

ハイライトの粘りを楽しむ!  上部ダイヤルは使いやすく、背面モニターも よりクリアになった。AF も速くなり、きびき びしている。XF23mmF1.4 のレンズとの組み 合わせで、シャッターを押すたびになんとも形 容し難い充足感に包まれる。数値では割り切れ ない何か魔法のひとさじがカメラに潜んでいる。 ハイライトが真っ白にならずに、まぶしいけれ ど目を細めるとぎりぎり見えるようなきらめき が残されている。それもまた魔法のひとつだ。  X-E2 を持って晩秋の甲州へと行ってきた。 ぶどう畑を抜け、木々の間をドライブしている とぽつんと一軒のレストランがスポットライト を浴びたかのように浮かび上がってきた。  店内はストーブに火が入り、やかんがシュン シュンシュンという音、木々のざわめきの中でゆっくりとランチ。小ぶりな X-E2 はテーブルの上 でも威圧感がない。いつでも一緒だ。

シュンと音をたてていた。X-E2 は白とびしな いハイライトの粘りを活かして店内のストーブ を中心としたぽかぽかした温かさ、のんびりと した空気感をたっぷりと写してくれた。

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Pick

Up

とびっきりのレンズフード

LENS FOOD

「レンズフードがカメラ の顔を決める」をテーマ に、 フードのカッコよさを 語る新連載。今月はハ ッセルブラッド プラナー

80mmF2.8用の金属製 フードだ。

触れたくなるちりめん塗装

CARL ZEISS PLANAR 80mmF2.8 +レンズシェード80 ハッセルブラッド用カールツァイスプラナー 80mm レンズ。このレンズの先 端にバヨネット形式で装着できるレンズシェード 80 にはアルミニウム製と樹 脂製の 2 種類がある。金属製のほうが時代的には古いモデルであるが、その中 でも今回紹介するタイプは、フードの内装にマットな塗装、外装には細かなお うとつがあるちりめん塗装が施されており、希少。 ʠ白玉ʡとの相性も抜群だ。

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TEXT/滝川景伍 (編集部)

フード未装着状態。 レンズがシルバー 鏡胴の場合、黒い フードがボディ全 体を引き締める。


感情と創造を記録する道具としての [1日1ページ] ダイアリー  良いカメラの条件とは何だろう。画素数が多ければい

月間カレンダー 今日は 1 か月の中でど の位置にあるのかを直 感的に知らせてくれる。 スケール状なので出張 や行くべき写真展など の期間なども簡単に記 入できて便利。

いのか。説明書が長編小説のように分厚くなるような多 くの機能を持っていればいいのか。  カメラには人それぞれの目的がある。だからその目的 に最短距離で向かってくれるカメラこそがいいカメラだ と思う。自分がカメラに求めるのは、所有しているだけ で幸せな気持ちにさせてくれ、シャッターを押せばその ときの感情をも一緒に露光してしまうような力を持って いること。だからいつも身近において愛でられるような かっこよさや、心が動いたときにすぐに取り出せる小さ なサイズが自分にとっていいカメラの条件となる。  ES ダイアリーの[1 日 1 ページ]も、こんなお気に入 りのカメラのような存在だ。記入するのはスケジュール ではなく「今のこと」 。ほとんどが事務的な記録だけど、 雑誌や映画の感想とか、街を歩いていて見つけた気にな る言葉などを、取り留めなくシャッターボタンを押す感 覚でメモしている。  肉筆の文字を後から見返すと、言葉の意味だけでなく、 そのときの様子や感情も呼び起こしてくれる。時にはそ んな振り返りが新しい発想や思いつきを生み出すことが あるものだ。 カメラマガジン編集長 清水茂樹

メモ用の方眼 5 ミリ方眼なのでラフ スケッチや地図なども 書きやすい。

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日付 日付の数字は大きくて 見やすい。ページの角 にも月日が印刷してあ るのでパラパラめくっ ても検索しやすい。

ES ダイアリー 2014 ES08 A6 1 日 1 ページ 本体 3,000 円 + 税

独特の書体と罫線の色使いで品のある紙面デザイン。 ES ダイアリーは、使いやすさと佇まいの美しさにこだ わった枻出版社が発行するダイアリーシリーズ。4 種の サイズ、6 種のフォーマットなど多彩に揃っている。

原寸大

時間軸 8 時 か ら 24 時 ま で の時間軸が左側にあ る。12 時 と 18 時 だ け罫線が赤で区別し てあり便利。

TODOリスト 6 つの仕事が記入で きる。1 日ならこれ 以上の仕事の数は増 やしたくないもの。

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用紙 紙は筆記用紙で定評のある OK シュークリーム。淡い クリーム色と万年筆のブル ーのインクのコントラスト が気に入っている。

スピン スピン(しおり)は 2 本ある。ブラック とシルバーの組み合 わせはクールだ。



まず 手 にとって開 いてみてください

好評 発売中!!

スタイリッシュな文 房 具を紹 介する 「 趣 味の文具箱 」 を発行する枻出版 社が、 開きやすさや使いやすさ、 用紙や書き味にこだわって作ったダイアリーです。 2 0 14 年 版は 4 種 類のサイズ、 1 1 のカラー、 6 種 類のフォーマットがキーワード。 好みや用途によって選んでください。

も ージ ペ の

久 く、 耐 きや す

る 性 のあ

「 糸 かがり製 本 」 を採 用 。

[ 6 種 類 のフォーマット ]

[ こだわりの 仕 様 ]

バーチカル 式 12 WEEK

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個 性 的な書 体

充実の巻末付録

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大安

SUN 日

1 日 1 ページ式

見 開き 1ヵ月 + ノート式

用紙は王子製紙の上質紙 「OK シュークリーム」を 使用。やさしいクリーム 色で目に優しい。 No.

バーチカル + メモ式

見 開き 1 週 間 式

おもに使用している 書体はクラシカルな 「COPPERPLATE( カ ッ パープレート)」を採用。

サイズ

大都市圏の地下鉄路線図 や年齢早見表、単位換算 表、サイズチャート、用 紙サイズなど。

フォーマット

価格

定価:本体 1,600 円 + 税

ES 01

A5

レフト式

ES 02

A5

バーチカル式

定価:本体 1,600 円 + 税

ES 03

B6 変

レフト式

定価:本体 1,300 円 + 税

ES 04

B6 変

バーチカル式

定価:本体 1,300 円 + 税

ES 05

B6 変

見開き 1 ヵ月 + ノート式

定価:本体 1,300 円 + 税

ES 06

A6

レフト式

定価:本体 1,100 円 + 税

ES 07

A6

バーチカル式

定価:本体 1,100 円 + 税

ES 08

A6

1 日 1 ページ式

定価:本体 3,000 円 + 税

ES 09

A5

見開き 1 ヵ月 + ノート式

定価:本体 1,600 円 + 税

ES 10

B5

見開き 1 ヵ月 + ノート式

定価:本体 2,300 円 + 税

ES 11

A5

バーチカル + メモ式

定価:本体 1,600 円 + 税

ES 12

A5

見開き 1 週間式

定価:本体 1,600 円 + 税

ES 13

B6 変

見開き 1 週間式

定価:本体 1,300 円 + 税

ES 14

A6

見開き 1 週間式

定価:本体 1,100 円 + 税

ターコイズ

ベージュ

[ カラーバリエーション ]

オレンジ

スカイブルー

ブラック

ホワイト

イエロー

ベビーピンク

レッド

全 国 書 店 、文 房 具 取 扱 店 、または弊 社 ポータルサイト「 サイドリバー」 でお買い 求め下さい 。 商 品 の 品 切 の 場 合もございますので、 在 庫 等は販 売 店 へお 問い 合わせ 下さい 。

ピンク

ネイビー




Present for Readers 2014. 1

読者プレゼント

カメラマガジン2014.1、お楽し みいただけましたでしょうか。ア ンケートにお答えいただいた 方に抽選でプレゼントをお送り します。たくさんのご応募、お待 ちしております。

応募方法 下 記 URL ま た は、 携 帯 電話の場合下の QR コー ドからアクセスしていた だき、必要事項、アンケ ート項目の回答、ご希望 のプレゼント番号を明記 のうえ、ご応募ください。 応募締め切りは 2014 年 1 月 18 日 で す。 な お、 当選者の発表は発送をも って代えさせていただき ます。当選された方には 後日、製品の使い勝手な どをおうかがいすること があります。

1 1名

アクリュ

ホースハイドレザーカメラグリップベルト http://www.sideriver. com/cms/6239483

109 ページで紹介したアクリュの、グリップベルトを 1 名様にプレゼント。柔らかい馬革を使用しており、使い 込むことで、味わい深い表情になる。色はキャメルオレ ンジ。ご希望の方は WEB アンケートの記入欄に「1」の みご記入ください。 価格:4200 円

カールツァイス

iPhone5 ケース/ 2014年カレンダー

2 3名

カールツァイスファン必見! 非売品のロゴ入り iPhone ケ ースとアルプスの自然を写し た公式カレンダーをセットで 3 名様にプレゼント。ご希望 の方は WEB アンケートの記 入欄に「2」のみご記入くだ さい。 価格:非売品

森谷修写真集

『バリの祈り』

3 2名

96 ページで紹介した、バリ島の人々の 暮らしと小さな祈りをテーマにした森谷 修氏の写真集を 2 名様にプレゼント。ご 希望の方は WEB アンケートの記入欄に 「3」のみご記入ください。 価格:3150 円

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4 1名

ニコン

ソフトシャッターレリーズ AR-9 24 ページで紹介したソフトシャッターレリーズボタン を北郷仁氏のコレクションから 1 名様にプレゼント。シ ャッターボタンの穴にねじ込んで取り付ける。ニコン Df に装着するととても押しやすい。ご希望の方は WEB アンケートの記入欄に「4」のみご記入ください。 生産終了

5

蔵CURA

蔵クリーナー3点セット エアダスター、クリーニング ペーパー、光学レンズ用クリ ーナーの 3 点セットを 2 名様 にプレゼント。ご希望の方は WEB アンケートの記入欄に 「5」のみご記入ください。

2名

価格:2940 円

アクリュ

フルレザーハンドストラップ アクリュの先端まで全て革で作られた丈 夫なハンドストラップを 1 名様にプレゼ ント。ご希望の方は WEB アンケートの 記入欄に「6」のみご記入ください。 価格:2940 円

6 1名

7 2名

アルティザン&アーティスト

ACAM-75 おにぎりのようなフォルムが印象的な帆布製カメラポー チを各色 1 名、計 2 名様に。ゴムバンド式で、口が大き く 開 く の で 出 し 入 れ し や す い。140×125×105mm。 色は編集部にお任せください。ご希望の方は WEB アン ケートの記入欄に「7」のみご記入ください。 価格:7350 円

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SHOPPING カメラマガジンのオリジナルグッズが通信販売サイトにて好評発売中!

オールブラック

コラボストラップ カメラマガジン×アルティザン&アーティストの限定コラボストラップ。や わらかで肌あたりの良いアクリルテープ素材とレザーのコンビネーションが 魅力の ACAM-102 に、オリジナルデザインを採用しました。M 型ライカや ミラーレス機に使用できる汎用性の高いリングタイプ。 「オールブラック」 と「ネオミリタリー」がテーマの粋な 2 色を用意し、ありそうでないブラッ クとゴールドのリングがポイントになっています。

どんなカメラ、 スタイルにも似合う粋な2色 ACAM-102タイプ(リング)

リングもブラック! メッキ加工を施している。

商品名 サイズ 価格 数量

ACAM-102 ブラック×ブラック 3675 円

ACAM-102 ブラック×ブラック ACAM-102 カーキ×ブラウン 900×20×1.8mm 税込3675円 各色限定120本

ACAM-102 カーキ×ブラウン 3675 円

Wネームの素押しロゴ入り

ネオミリタリー

「CAMERA magazine×ARTI

SAN & ARTIST」の W ネーム を素押しで刻印。さりげない アクセントになっています。

購入はコチラ

ご注文はエイ出版社通信販売サイト「サイドリバー」から

http://www.sideriver.com

ゴールドにメッキ加工。 カーキとの相性が抜群!

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カメマガ編集部の

2014.1

横須賀ロケ(P.70-71)で超お世話になった太田 家具店のお兄さん。偶然この店に入っていなかっ たらあの記事は完成しなかったかも。 [馬庭]

ごめんなさい(何が?)…意外と好きなんです、 顔出し看板が。四国ロケの道後温泉ではʠマドン ナʡに、今回はペリーになってきました。という か、編集後記を楽しいページにするにはこういう の大事ですよね。だから編集長、私を毎回遠方ロ ケに行かせてください。あとこの看板って海外に もあるんですかね?海外ロケもいいな。 [馬庭]

今号特集で植田調を掲載した松村カメラマンのご 自宅にて。本棚には貴重な写真集がぎっしり。森 山大道『にっぽん劇場写真帖』の初版が! [滝川]

すメかニ べラ、コ てマ着ン 北 ン せ Df 郷。替に さ今えど ん回中の の誌のニ 私面、ッ 物でニコ で登コー す場ンル 。 ﹇し大レ 滝た好ン 川レきズ ﹈ン北が ズ郷合 はカう 、

本誌では「育メン写真家」で登場の大野雅人さん。 個展「Shinra」では熊野の森の神秘的な優しい光 が絶妙なプリントで再現されていた。 [清水]

Editor's Shot !

いご内﹁ ま投に し票入 たいり 。 ﹇たま 馬だし 庭いた ﹈た。﹂ 皆イ表 さェ彰 ん〜式 あイ。 り  !! 個 が 人 とご賞 う来で ご 場 10 ざ&位

CAMERA DIARY

写真家、鬼海弘雄さんのハッセルブラッド 500C/ M。40 年来鬼海さんの作品を写し続け、主の横 [滝川] に佇む姿には、風格さえ漂っていました。

横須賀はデルタ 3200 でも撮りましたが、ノーマル では大して粗粒子にならず未掲載。残りは高感度 を活かして暗い室内撮影を楽しみました。 [馬庭]

写真家、藤田一咲さんとケンナ風写真を撮りに茨 城県大洗へ。実は撮影途中に滝川のハッセルが故 障するトラブルが! 後で直りひと安心。 [滝川]

がわろ今 こめ写回 のて真、 日よ集資 誕いを料 生ふ買収 日うい集 だけまが っいして た﹄たら の。。個 でや探人 奮やし的 発高てに 。 ﹇価いも 馬でたい 庭し﹃ろ ﹈たきい

千葉の南房総にある海岸美術館へ。千倉の海も、 森に囲まれたこの美術館にも、ゆったりとした時 間が流れている。おすすめです。 [清水]

く記を新 お事撮し 願をりく い作に編 しっ行集 まてき部 すいたに 。 ﹇きく入 山まなっ 本するた ﹈。よ山 どう本 うなで ぞ、す 、魅!   よ力 ろあ写 しる真

iPhone 5s

が し最 な く近 い てゲ 馬 しッ 庭 ょト がをうし 撮ゲがた 影ッなコ 。 ﹇トいン 馬しラタ 庭てイッ ﹈嬉タ しーク く鈴ス て木 G しさ 2 ょんが うを嬉 、

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本誌連載中のハービー・山口さん自宅にて。机の 上に並ぶ 3 台のライカ M3。この 3 台から多くの名 作が生まれたと思うと重みが感じられます。 [滝川]


発行人 角 謙二

Sumi Kenji

編集長 清水茂樹

Shimizu Shigeki

編集 井浦綾子 滝川景伍 馬庭あい 裏谷文野 山本怜央

Iura Ayako Takigawa Keigo Maniwa Ai Uratani Ayano Yamamoto Reo

次号予告

2014年1月20日 (月)発売!「カメラマガジン」2014.2

アートディレクター 千葉直樹 Chiba Naoki (PEACS Inc.) デザイナー 村上圭以子 宇宿絵梨 稲石浩佳 矢田朋未 (PEACS Inc.)

Murakami Keiko Usyuku Eri Inaishi Hiroka Yada Tomomi

DTP 制作 植松正晃 角田篤則 大森弘二 井出菜々恵 舘野優子 東 草多 星 由紀子 神谷絢子 澤木由希子 小池万由美 佐藤守理 (PEACS Inc.)

Uematsu Masaaki Tsunoda Atsunori Omori Koji Ide Nanae Tateno Yuko Higashi Sota Hoshi Yukiko Kamiya Ayako Sawaki Yukiko Koike Mayumi Sato Syuri

プロが密かに実戦している 定番のカメラ技教えます 気になる最新カメラ情報 いいカメラは手に入れた。 次は、いい写真をたくさん撮りたい。 そんな多くのカメラファンの思い、願望に応える プロの定番、裏技、おもしろテクニック集。 [その他の企画・連載]

ソニーα7+オールドレンズのディープな快楽 ハービー・山口「想いを伝える写真」 田中長徳「チョートクの愛しのカメラ」 石川文洋 いま甦るベトナム戦争幻のフィルム ※内容は変更になることがあります。 最新情報はこちらでチェック! 公式ホームページ「CAMERA magazine」

広告 山下徹也 疋田憲一 飛髙千里 重永 創 日下部未枝

Yamashita Tetsuya Hikita Kenichi Hitaka Chisato Shigenaga So Kusakabe Mie

販売 三浦 淳 峯尾良久 手塚治郎 石川絢子 関口克己

Miura Atsushi Mineo Yoshihisa Tezuka Jiro Ishikawa Ayako Sekiguchi Katsumi

編集局長 松島 睦

Matsushima Atsushi

http://blog.sideriver.com/camera/ 公式Facebook「エイ出版社カメラ編集部」

http://www.facebook.com/cameramagazine.ei

中 途 採 用 の お 知 ら せ 「株式会社枻(エイ)出版社」およびグループ会社の「ピークス株式会社」では、 一緒に働いてくださる方を募集致します。 「ピークス株式会社」は当社の発行する出版物(雑誌・ムック・書籍等)の ほぼすべてのアートディレクション、 エディトリアルデザイン、DTP、映像制作を担当しています。 募集職種 ・フォトグラファー 【業務内容】雑誌の誌面から広告ポスターまでの自社媒体のほか、クライアントページや カタログ撮影など 【応募資格】30 歳くらいまで(経験者) ・エディトリアルデザイナー

2013 年 12 月 30 日発行 発行人 角 謙二 編集人 清水茂樹 発行・発売 株式会社 枻(えい)出版社 〒 158 - 0096 東京都世田谷区玉川台 2-13 -2 編集部 TEL 03 - 3708 - 3064 広告部 TEL 03 - 3708 - 6051 販売部 TEL 03 - 3708 - 5181 印刷所 共同印刷株式会社 本誌掲載の写真・図版・記事等の 無断複写・転載を禁じます。 ⓒ 2013 株式会社枻出版社 Printed in Japan

【業務内容】当社発行の雑誌・ムック・書籍等のデザイン、及び広告のデザイン業務全般 【応募資格】30 歳くらいまで(経験者優遇) 提出書類 履歴書(写真貼付) ・職務経歴書・作品  ※ 希望連絡方法(TEL あるいは E-mail)を明記してください。上記書類を下記送付先まで郵送し てください。書類選考後、面接日をご連絡いたします。なお、応募書類は返却しませんのでご了 承ください。応募書類は責任を持って管理及び廃棄致します。 書類送付先 〒 158-0096  東京都世田谷区玉川台 2-13-2 玉川台ビル 5 F 株式会社枻(エイ)出版社 総務部 採用担当 ※『フォトグラファー希望』または『ピークス エディトリアルデザイナー希望』と明記ください。 詳細は、弊社HP『採用情報』 をご覧下さい。

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