Architecture Portfolio

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Architecture Portfolio Sho ta Koike


「あいだの世界」で建築を考える 私は、都市部近郊のベッドタウンで育った。 人工的な自然と、人間とは逸脱した巨大なスケールで佇む建築に対して、違和感を持っている。 都市は幾層もの歴史の上に存在している。残念ながら、それは見えない。誰もが思い思いのイメージで都市をみている。 しかし、現代は社会情勢や流行など、歴史・文化とは別のある強制的な共通意識のようなものに支配されている気がする。

しかし、街を歩き回っていると構造物の息遣いが聞こえる様な気がする。 経年劣化した壁や床、日焼けした屋根、、、人々は建物の中で様々な振る舞いを見せている。 建築は人々を守るただのシェルターであってはならない。動植物や人間と同じ様に変化し、対応し美しい環境 を作ってゆく必要があると考える。 常に制作的な身体を身につけまちや人々の調整役のような存在で建築を考えたい。 「私でなく、私でなくもない」「建築でなく、建築でなくもない」そんなあいだの世界。 私たちが扱いきれない無限で複雑でとりとめのない現代の情勢に対し、建築では、あいだの制作的世界で 「有限が、有限の中で無限を表現する」 「まち」「歴史」などといったテーブルから抑制されたものは徐々にそのテーブルから落ちて行き、 忘れ去られて行く。 私は、歴史の観察者となり、あるまちを探ってゆく。 人々が見て見ぬふりをしてきた小さな風景や環境を繋ぎ合わせ、表出させる。理想を幻想したり、現実を切断 してしまうのではなく、制作的なあいだの世界の有限な物の中で、置き去りにした記憶が蘇ってくるような、 建築が美しい世界を作るため、人々の起爆剤として街にそっと添えられる。 私たちの次の行動や、明日を少し変える建築を考える。

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2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

Introduction

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Profile

小 池 翔 太 | S h o t a K o i k e 1995.05 千葉県 浦安市に生まれる 2011.04 私立 敬愛学園高等学校 入学 2014.03 同高校卒業 2014.04 千葉工業大学 工学部 建築都市環境学科 入学 2018.03 同大学卒業 2018.04 千葉工業大学大学院 工学研究科 建築都市環境学専攻 入学 現在 遠藤政樹研究室所属

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2018 Architecture Portfolio

Award

2017.05 「パスタブリッジ」

2015.10 第 1 回三協アルミ学生デザインコンペ

建材提案賞

2016.07 設計課題:上野公園に建つ現代美術館

学内優秀賞

2017.07 「津田沼ハウス」- デザインスゴロクから学ぶ

2016.10 第 8 回ハーフェレ学生デザインコンペティション

佳作

住宅設計の研究

2017.01 設計課題:BOOK MIX

学内優秀賞

2017.06 第 5 回ヒューリック学生アイデアコンペ

優秀賞

2017.10 第 20 回我孫子国際野外美術展 出展

2018.02 卒業設計・修士設計合同講評会

第3位

「手繰り寄せる」

2018.03 卒業設計・修士設計しった会賞

最優秀賞

2018.03 第 30 回千葉県建築学生賞

奨励賞

2018.04 第 49 回毎日・DAS 学生デザイン賞

佳作

2018.08 第 5 回関東学生景観デザインコンペティション

宇都宮市長賞

2018.04 千葉工業大学:建築 yearbook 製作中

Shota Koike

Laboratory

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2018 Architecture Portfolio Shota Koike

01 _ 表出する感覚

- 歪んだ建築空間 -

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卒業設計

02 _ 表参道の Cafe

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第5回ヒューリック 学生アイデアコンペ「The 表参道」

03 _ 身体表出有機体

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設計課題:上野公園に建つ現代美術館

0 4 _ OYA - R o a d - F e s

104

第 5 回関東学生景観デザインコンペティション「大谷石文化の魅力を伝える景観デザイン」

05 _ 高台の砂時計

128

第 11 回長谷工住まいのデザインコンペティション「空き家とつながる集合住宅」

06 _Other Conpetitions

144

0 7 _ L ab o r at o r y Wo rk s

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表出する感覚 -

歪んだ建築空間

-



01 Design Diploma

感覚の欠落

ある夕暮れ時、私はまちを歩いているふと廃墟を見つけ立ち止まった。 人気がなく、庭には手入れのされていない植物が縦横無尽に生え、 街灯が程よく二階の部屋の一室を軽く照らしていた。 「なんだか幽霊でもいるのではないか」と怖い気持ちになると同時に、 人が住んでいた痕跡のオーラみたいなものを当然のように感じ、 なんだかとても不気味で不思議な感覚になった。 私たちは、高情報、高デジタル化の真っ只中に位置し、建築もまた同じように複雑化している。 そんな中、原始的な人間の感覚は普遍化され、感じることが難しくなっている。 SNS で誰かが「美しい」と投稿すればその場所は美しい場所へと変換される。 そのように、人間中心的社会の中で、人々は何を粗末に扱い、モノや環境から追い討ちを 受けていることも気づかずに生活しているのが現状である。 私がある日ふと感じた感覚は誰にでもあり、 その感覚が自ずと表出するようなそんな建築が必要であると考える。

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

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01 Design Diploma

安心症な現代

19 世紀末、ただ広いだけの何も無い空間で眩暈や不安感にかられる「広場・空間恐怖症」が 流行した。現代はどんな場所でも心地よく安心しきって利用している。私はこの状態を「広場・ 空間安心症」と呼ぶことにする。この状態、は個人の感覚や刺激を疎隔し何が自分なのかわか らなくしている。私は、この安心症な現代に危機感と疑問を感じ、このような状態を打破する 建築必要なのではないだろうか。

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio

不気味さ

Shota Koike

不気味という言葉は「奇妙」「不安」「気味の悪い」などのネガティブな印象を連想 させる言葉と認識される 。しかし、S. フロイトは不気味なものとは、もともと 人間と距離が近く親密であり、慣れ親しんだものである。と説いている。 この考え方には、幽霊屋敷は人間が作り出したものから連想されることなどから、 内密なものが抑圧をこうむったのちに回帰したものが不気味なものであると考えら れる。 不気味は基本的に合理的な説明がつかないことが主な性質である。しかし、この不 気味な感覚の表出は安心症に陥り、そのまちや日常に慣れすぎ普遍化してしまって いる私たちの原始的な感覚に訴えるような、起爆的体験として必要なのではないか と考えます。そうすることで、感覚という具現化できない情報以前の人間の行為に 及ぶ評価のようなものに対してを通してアクセスできる可能性を持つと考える。

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

安心症に陥りやすい、まち

千葉県浦安市 埋め立てられた新しいまちやベッドタウン化した地域は、歴史的な時間軸、住民の イデオロギーなどが混在化していることが多く、まちとしての方向性が市民と行政 間で統一されていない。そのため、安心症が起こりやすく、まちに対して、他者に 対して帰属感を持つことは少ないのが現状である。 千葉県浦安市は、昔漁師町として栄えた。しかし、工場排水、埋め立てにより漁業 権を放棄した。さらに、東京ディズニーリゾート建設、新町の高層マンション群な どによるベッドタウン化によりまちが3分化され、互いに関わりを持たず人口密度 や街の収入率などでまちにヒエラルキーが生まれ、まちとしての統一感はなくコ マーシャルな建築や風景が取り上げられているまちである。 このまちを研究対象の敷地として、考えていく。

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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01 Design Diploma

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まちの中で、忘れられた痕跡

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio

「トマソン」

Shota Koike

芸術トマソンとは、不動産に付属し、美しく保存されている無用の長物と定義されている。トマソンは、急速に変化していった経済や街において、ついていけず廃れたものを芸術として保存している。これらは 街が変化してゆく中で人々から放棄され、利用頻度が減り、忘れされたものたち。そのまちの痕跡のようなものを表出させる事で、混在化したベットタウンにおけるまちへの帰属性を促すエレメントになる。 選定敷地とする千葉県浦安市において、文化、歴史、風景が混ざり合い、置いて行かれた無用な片鱗(トマソン)を市内全域から 165 個採集した。こうすることにより、まちにおける現在の状態をアイレベルで 理解するとともに、同時に問題点、改善点を町並み風景を感じながら発見する。ものと環境を配慮したリサーチを行い、これらを細分化し 15 個にカテゴライズしトマソンに形態を与えていく。

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

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暮らしやすくするために疎隔した環境

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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「ミミクリー」

Shota Koike

ミミクリーとは標識的擬態のことを指す。本提案で主に取り上げているのはバイオミミクリーである。これらは元々は住まい方や、身体構造などで環境と寄り添いながら生活してきた。しかし、私たち人間の住 みやすさ、居心地のやすさを優先したが故に、追いやられ、忘れ去られている。これらを表出させることにより、人間中心的に作り上げてきた街に対するアイロニーとして示唆的に構築される。 この、人々が暮らしやすくするために疎隔してきた環境 ( ミミクリー ) をスケッチや考察の中から、15 個にカテゴライズし建築における構造や設備など、建築を成立させるためのエレメントとして、トマソンと 組み合わせることで設計を行う。

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

「まち」「歴史」などといったテーブルから抑制されたものは 徐々にそのテーブルから落ちて行き、忘れ去られて行きます。

私は、歴史の観察者となり、そのまちを探ってゆきます。 人々がないがしろにし、見て見ぬふりをしてきた 小さな風景や環境を繋ぎ合わせ表出させます。

それは怖さや気持ち悪さとは少し違い、 置き去りにした記憶が蘇ってくるような、

私たちの次の行動や、明日を少し変える建築となります。

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「安心症」に陥った人々に対する歪んだ体験を促す 8 つの不気味な建築

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

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01 Design Diploma

「 展 望 台 」 -Observatory浦安市はまちの全体像を俯瞰できる場所はほと んどない。この展望台では、階段を登り頂上で 展望するだけの施設として計画する。穴が空い た壁からは、登りながら徐々にまちを見る事が できる。屋根と壁は不気味なファサードを形成 し、展望を期待してくる人々に不思議な感覚を 表出させると共に、登り切ると頂上からはまち を望むことができる。しかし、展望には見合わ ない天井高の低く、すぼんだ屋根が人々の展望 を多少困惑させる。この建築を利用した人々 が、利用し終わった後、浦安の全体像を掴みな がらも屋根や壁がその心地よさを阻害し、自分 の街に対する帰属感を考え直すような体験がで きる。

キアシトックリバチ

フレーム

珪藻海綿体

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Architecture Section

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01 Design Diploma

「 集 会 所 」 -Meeting

hall-

浦安市には自治会等で小さな集会場は多く存在 しますが、大勢が集まれる場所はあまりない。 この建築では同じ形をしたベンチが高さを変え ながら点在している。円柱の柱が外周を囲い支 えている。それらの集合体はほとんど対象的に 配置され、利用しながらも自分のいる場所がわ からなくなるような体験ができる。外周に巻き つくスロープは頂上まで登ってもそこから内部 には入れず引き返すことしかできない。スロー プを登っている最中は穴の空いた開口から内部 の状況は確認できるがそこから内部には入れな いという不思議な感覚に襲われる。内部空間を 覆う外皮はスポットライトのように光が入り、 集会場の中で歪んだ空間を形成される。

シロアリ

ひまわり

アタゴ

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「 図 書 館 」 -Library浦安市には大きな施設にしか図書館がなく手軽 に借りたり、小さなコミュニティ施設として利 用できる施設があまり多くありませんない。こ の図書館では傾いた2足の柱が角度と高さを変 え配置される。その柱高さ局面屋根が覆うよう に付随されている。屋根を支えるトラス状のワ イヤーは複雑な影を落とし、利用者の歩行感覚 を狂わせる。さらに、本棚は一般的に同マテリ アルで統一される本棚を違うマテリアルで構成 している。すると、同じ本棚から手に取る本の 感覚がいつもとは違う体験になる。このような 多様な使われ方が予想されるプログラムでは、 不特定多数の人が歪んだ空間を体験できるよう な構成をしている。

カエル

やけど

混合

ハゲタカ

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「 喫 煙 所 」 -Smoking

Area-

浦安の工場地帯には労働者以外の利用は通り抜 け以外にほとんどな3分化された浦安市のもっ とも介入しにくい部分であると言える。しかし ながら、すぐ隣には東京ディズニーリゾートが あり、人の移動も分断されている。さらに工場 の労働者は働き口の近くにコミュニティを形成 できる場所もなかなかない。その工業と商業の 接続地点に喫煙所を提案する。この喫煙所は、 一般の喫煙スペースより大きく設計され喫煙者 と非喫煙者が同じ場所で介在できる空間とし た。アイレベルでは、奥行き感がわからなくな るフレームで構成され、遠くから見ると排煙装 置が煙の出入りする方向を変換し、歪んだ空間 を形成している。

ツリスガラ

陳列

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「 休 憩 所 」 -Rest

Area-

浦安市の元町に休憩所を提案する。休憩所だけ のプログラムで形成されている場所はほとんど なく、木造密集地の地域は高齢の方が多く集う ような場所としている。そんな場所に、奥行き の不明瞭かつ長手 40m のオーバースケールの 面積で歪んだ空間を形成している。傾いた壁は 人のたまりを分散させ、三次局面屋根が高さ方 向の歪みを表現し、休憩しながら眩暈が起こる ような空間を目指した。

放散虫

傾き

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「 水 飲 み 場 」 - Wa t e r

Fountain-

浦安市の新町住宅街湾よりに水飲み場を提案す る。この場所は隣接する公園とは真反対に囲わ れた水飲み場である。独立する構造体は、井桁 組みのような構成をしている。これらは下窄ま りの空間と上窄まりの空間を作り出していま す。上窄まりの空間では、ベンチのような板が 人の座る場所を提供している。下窄まりの空間 は水道が設置しており、子供では少し高く、大 人は上の梁が当たるか当たらないかすれすれの ような空間を形成している。そんな囲われた空 間と独立したノンスケールな構造体の下、一休 憩できるようで、できないそんな空間を目指し た。

巻貝

囲う

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「 腰 掛 け 」 -Bench浦安市には小さな公園が多く、親子やカップル、 老夫婦など様々な人々が利用する場所である。 そんな小さな公園にただ座るだけの機能に特化 したベンチを、歪んだ空間に設計した。このベ ンチでは座る、くつろぐなどの安心する行為に 加え、その行為を邪魔する柱梁のような、ぐね ぐねした構造体で構成され、人々が利用を工夫 するような空間を提案する。さらには、階段の ような段差はベンチの座る高さに計画されてい るので登るのに少し苦労する。しかし座ること にはとても特化しているため、登ることと座る ことがよくわからなくなるような感覚になる。

タンパク質

段差

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

-49表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

「停留所」

-Bus Stop-

浦安市には巡回するバスが多くある。そのバス の停留所の一つを計画する。このバス停は、折 り込まれた壁によりバスに対し正面を向くこと がない。さらに、横を通り過ぎる人や、道路を 挟んで反対側からこの停留所を見る人々は、壁 の中に隠れた薄い柱とデッキプレートと t=4 の 薄い屋根材が浮いたような屋根を作り出してい る。この場所を利用する人々は 普段はバスを 待つだけの場所は待つ人々の距離感や存在感が 見え隠れし、歪んだ空間を体験する。

浮遊

サボテン

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

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01 Design Diploma

Architecture Site Plan

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -

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01 Design Diploma

Architecture Model

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


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Shota Koike

Architecture Model

-57表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


01 Design Diploma

Architecture Model

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表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

Architecture Model

-59表出する感覚 - 歪んだ建築空間 -


表参道の Cafe

Cafe- 人々が衆目の中で合法的に腰を下ろし、 移りゆく世界をのんびり眺められる場所。 pattern language,Christopher Alexander



02 Competition

移りゆく街 - 表参道 -

強い歴史的文脈の中にあり続け、時代の流行をリードしてきた表参道は人々の憧れの的になり、 多種多様な人々を集め、時代と街をつくる人々により目まぐるしく街の様子を変化させて来た。 つまり、表参道は時代の中で次々に移りゆく個性が街を作ってきたと言える。

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表参道の Cafe


2018 Architecture Portfolio

都市のベンチ「Cafe」

Shota Koike

カフェは衆目の中で合法的に腰をおろすことができる都市のベンチである。表参道のケヤキ並 木の下には表参道を横断するような都市のベンチが存在する事に着目した。私たちは都市の中 で移り行く街を眺められるようなベンチのような建築を表参道の一角に提案する。カフェとし ての建築は、変動を続ける表参道とまちを繋ぐソーシャルグルー(社会的接着材)としての意 味を持つ。

表参道の Cafe

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02 Competition

都市の顔「交差点」

世界的に有名な渋谷スクランブル交差点、約 45 秒間で滞留と流動が繰り返される。巨大な移動の流れが都市の顔になる

都市移動の結節点、移り行く時代を象徴する広告や人々が集 まる交差点は多くの都市の中でその都市の顔となる。この交 差点のある一角に表参道を立ち上げたような都市のベンチと してのカフェを配置する事で青山通りと表参道が交わる交差 点を新たな表参道の顔へと変化させる。

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表参道の Cafe


2018 Architecture Portfolio

表参道を立ち上げた建築

Shota Koike

表参道を立ち上げたような建築を提案する。表参道界隈には広場やカフェ等小さなソーシャル グルーとしての場がいくつも点在している。それらは表参道の人や歴史を象徴している。これ らを紡ぎ、移り行く状態を眺望する一つの大きな都市のベンチを立ち上げる。

表参道の Cafe

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02 Competition

交差点を引き込むランドスケープ

交差点を引き込むようにランドスケープを計画する。交差点の白線を延長するように敷地内に 引き込み、すり鉢状の階段により建築の足元を構成する。交差点の流動性を建築まで連続させ ることで建築に求心力を与える。すり鉢状の階段は表参道の広場となり、交差点に新たな顔と しての風景をつくり出す。この広場は地下鉄と直接つなぐことによって表参道に訪れた人々に とってのファーストプレイスとなる。

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表参道の Cafe


2018 Architecture Portfolio

上昇する眺望

Shota Koike

幅 4m、高さ 80m で構成されるこの建築は、交差点側と内部のカフェからの両方において上 昇する眺望が得られる。交差点からは建築の幅 4m という薄さによって内部の活動を視認でき、 人の行動が建築の状態をつくり上げるように見る事が出来る。内部では上階に上がるにつれ、 「道 - まち - 都市」と表参道から東京を一望することができる。また 4m という薄いカフェに腰 を下ろす事によって都市の眺望に身体をおく感覚を持つ事が出来る。

表参道の Cafe

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02 Competition

移り行く都市をながめるベンチ「表参道のカフェ」

ファサード同士をパネルとして捉え、挟み込

建築の透明化を図る。内外からの眺望

むことによるハニカム構造とする。しかしそ

を確保するために、耐火皮膜不要の鉄

れだけでは風力に対抗できないため風穴をあ

骨柱 FR 鋼を使用する。よってサッシュ

け、風の通り道を作ることにより力を逃がす。

をシャープにすることが可能になる。電

光掲示板を明確に見せるためにフレー ムを見せなくする必要がある。そこで、 SSG 工法によるバックマリオン方式を 採用しサッシュが内部側に来ることに よってファサードが強調される仕組み を作る。さらに、内側に入る柱がイン テリアを支える構造や、間仕切りの役 目を果たす。

建築のスラブ側面が電光掲示板としての機能

眺望の価値などで高層部にカフェが残

を果たす。上部にかけてスラブを厚くしてい

れることはほとんどない。カフェはそ

くことで、視野と広告面との距離が大きい建

の入りやすさや回転率などで路面が最

築上部は離れた位置にいる人が認知しやすく

適であると考えられている。この建築

なり、下部にいくほど建築の足元から認知し

は、回転率と眺望的価値をビルとカフェ

やすくなる。また、LED 配列の解像度を変化

だけで構成することでビルディングタ

させる事によって , 掲示物のスケールを高さに

イプとしての床価値をフラット化し、

よって変更させる事が可能になる。

人々が循環する新たなビルディングタ イプを計画する。

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表参道の Cafe


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Architecture Portfolio

Shota Koike

-69表参道の Cafe


02 Competition

「街の動線のなかにある路上カフェ」 路上と連続した 1F 部分は交差点を 引き込むように計画ラジオ・フォトスタジオを 併設する事により、表参道で起こるスカウト行為 やメディア収録に利用できる

[p

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表参道の Cafe


2018

小さな子どもが遊ぶ場所や授乳室 また、試供品のサテライトコーナーを併設 年齢層問わず落ち着ける場所

Architecture Portfolio

「子育てカフェ」

Shota Koike

K5NSW

表参道の Cafe

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02 Competition

「開かれたソーシャルオフィス」 美味しいコーヒーを飲みながら ノマドワークや外部企業との 打ち合わせをする事ができる。

\Z

-72-

表参道の Cafe


2018

ガーデンテラスが併設されたカフェを 外部として計画。足下に覗くケヤキ並木 からの緑を建築へと取り入れる。

Architecture Portfolio

「都市の空中庭園」

Shota Koike

�������������c��

表参道の Cafe

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02 Competition

「美味しいコーヒーと共に学習を」 景色を楽しみながら学習に打ち込める場所を計画 1、2F の書店と連携する図書館のような カフェ空間。

12F-14F café ×l

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表参道の Cafe


2018

都市の眺望をのんびり楽しむためのカフェレストランや 展望デッキの計画

Architecture Portfolio

「東京中を表参道のカフェから一望」

Shota Koike

15F-17F café ×

表参道の Cafe

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02 Competition

道に面する GL 部分のランドスケープは交差点を利用する人々を建築の内部へと導く

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表参道の Cafe


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-77表参道の Cafe


02 Competition

立体的な動線が作り出す足下に広がるアトリウム空間は周辺の道と駅と連 続し流れを上昇させる

-78-

表参道の Cafe


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

都市の空中庭園になる中層部のガーデンカフェは、表参道の緑を上部 へと繋げる

表参道の Cafe

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02 Competition

眺望を貫通させる極薄のヴォリューム。 高層階には大きなサインが流れ遠方の視線を引きつける

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表参道の Cafe


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

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-82表参道の Cafe

02 Competition


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

都市や人々は絶えず動き続ける。 動く事の傍らに小さな集合があることこそが、 私たちの考える表参道らしさであり『THE 表参道』である。 この建築は都市のベンチとして居場所となる。 表参道をつくってきたこの関係性が顔となり、 ここに集う人々からまた新しい表参道がつくられていく。

表参道の Cafe

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ステンレスシーム溶接工法

□-50×50×3.2mm

3690 3710

机: ラワン合板 t=40

LEDペンダントライト セード:SPC 白色塗装 t=0.8

ラーチ合板 t=10mm 露し

机: シナランバーコア t=24mm 小口テープ貼り UE

LEDダウンライト 白昼色(5000K) Re70 枠:プラスチック(ホワイトつや消し)

LEDペンダントライト セード:透明ガラス 泡入り表面消し仕上げ 飾りパイプ:SKT クロームメッキ仕上げ φ=9.5

▼7FL

▼8FL

▼9FL

▼10FL

▼11FL

▼12FL

▼13FL

▼14FL

▼15FL

▼16FL

LEDペンダントライト 吊下灯 セード:白乳ガラス φ=110mm

▼17FL

50

スタディーカフェ

スタディーカフェ

ワークスペースカフェ

ワークスペースカフェ

グリーンカフェ

グリーンカフェ

グリーンカフェ

X2

H-150×150×7×10mm

H=222×175×12

小梁

ファスナー St.FB-6mm×80 錆止塗装の上FUE

高透過ペアガラス t=25mm Low-E アルゴンガラス入り

コンクリート打ちっ放し (増打115mm)

手摺: スチールパイプ φ25.6mm 錆止め塗装

センターポールφ182.6mm

キッチン: 天板:ステンレス鏡面仕上げ t=2mm 側板:ラワン合板 t=24mm

床: タイルカーペット t=7mm OAフロア 断熱材 t=11mm デッキコンクリートスラブ t=124mm

LEDペンダントライト 本体:ST シルバーメタリック塗装仕上げ カバー:アクリル クリア+拡散剤入り仕上げ φ=130mm

踏板: スチールプレート t=50mm

手摺: スチールロード φ23mm

強化ガラスt=15+飛散防止フィルム 高透過倍強度合わせガラスt=10+10 高透過倍強度合わせガラスt=12+12 ※天井高にあわせて三種類を併用

ステンレス鋼板 t=0.4mm 1/100勾配対応品mm ゴムアスファルトルーフィング t=18mm C-75×45×15×2.3@455mm

スタディーカフェ

展望カフェ

展望カフェ

展望カフェ

H-200×200×8×12mm 1 リブ付き鋼板 t=4.5mm 錆止め塗装(K5625)2回塗りの上、UE塗装

LEDペンダントライト 吊下灯 フランジ:ニッケルメッキヘアライン仕上げ φ=100mm

540 3150 930 2780 890 3240 830

X1

□-50×50×3.2mm

X3

810 48

4130 3290 3670 3710 4670 3710 3660 3760 3670 50

8

66

50

8

X4

アルミサッシュ フッ素樹脂焼き付け塗装

バックマリオン平面詳細図 S=1/5

大梁 H=250 ×125×6×9

スラブ断面詳細図 S=1/30

床: タイルカーペット t=7mm 構造用合板 t=12mm OAフロアt=60 @600 デッキコンクリートスラブ t=160mm

アルミサッシュ フッ素樹脂焼き付け塗装

鉄骨柱 FR鋼FB-50×200 フッ素樹脂塗装

雨樋部詳細図 S=1/5

ステンレスシーム溶接工法

□-50×50×3.2mm

高透過ペアガラス t=25 mm Low-E アルゴンガス入り

ワークスペースカフェ

St t=2.3 抱き合わせ材 現場溶接にて取り付け

H-150×150×7×10mm

樋:SUS t=2.3mm

板金 t=0.4mm

200 32

2460 791.47 2880 790 2920 740 3930 650 3060 650 3010 610 3150 520 3150 510

4 8 8 10

X5


3 4170

274 420 ▼2FL

▼3FL

路面: 透水性舗装材 t=60mm 砂 t=30mm 砕石 t=100mm 浸透層 t=50mm

フローリング: 米ヒバ t=6mm w=150 OP 構造用合板 t=10mm スタイロフォーム t=14mm

LEDペンダントライト セード:透明ガラス 磁器 ヒビ仕上げ φ=150 ソケットカバー:SPC クロームメッキ仕上げ

▼4FL

▼5FL

▼6FL

床: タイルカーペット t=6.5mm 浮床MDFパネル t=25mm 支柱 H=95mm シリンダーコンクリート t=55mm 断熱湧水処理パネル t=50mm

ストリートカフェ

ラウンジカフェ

子育てカフェ

サテライトカフェ

子育てカフェ

床: タイルカーペット t=6.5mm コンクリート金ゴテ直均し

キッチン: 天板:ステンレス鏡面仕上げ t=2mm 側板:ラワン合板 t=24mm

床: タイルカーペット t=6.5mm コンクリート金ゴテ直均し

ラウンジ

本棚: ラワン合板 t=15mm (縦板) t=21mm 天然ワックス系樹脂塗料

ガラス:合わせ複層ガラス 光触媒コーティング (強化ガラス t=8mm セラミックプリント+A12mm +Low-Eガラス t=6mm+フロートガラス t=6mm)

天井: PB t=9.5mm AEP LGS下地

床: タイルカーペット t=6.5mm コンクリート金ゴテ直均し

床: タイルカーペット t=6.5mm 浮床MDFパネル t=25mm 支柱 H=95mm シリンダーコンクリート t=55mm 断熱湧水処理パネル t=50mm

スタジオ

床: タイルカーペット t=6.5mm コンクリート金ゴテ直均し

天井: PB t=9.5mm AEP LGS下地

Low-E複層ガラス t=8+A12+8mm

見切り材 アルミPL アルマイト仕上げ

Architecture Detail Section

壁: 耐水合板 t=12mm LGS下地 断熱湧水処理パネル t=50mm

壁: LGS下地 耐水合板 t=12mm 発砲ウレタン吹き付け t=25mm 押し出し成型セメント板 t=60mm

アルミパンチングメタル t=1.5mm フッ素樹脂塗装 吸音材裏打ち アルミ繊維燃結不織布

角度調整用R座金

アルミパネル t=3.0mm フッ素樹脂塗装

鉄骨下地:St-パイプ φ139.8×6.6mm 浸透性厚膜エポキシアルミ塗料の上 フッ素樹脂塗装仕上げ

キャッチパン

多面ポイント

シリコンガスケット

天井: PB t=9.5mm AEP LGS下地

アルミCW アルマイト仕上げ マット処理

フッ素樹脂塗装仕上げ

浸透性厚膜エポキシアルミ塗料の上

鉄骨下地:St-パイプ φ155.3×6.6mm

角度調整用R座金(強雨面形状)

St 熱押し形銅 浸透性厚膜エポキシアルミ塗料の上 フッ素樹脂塗装仕上げ

CH=6500

3750 420 3290 370 5200

3710 5570 5570 7430 2780

CH=2800

330 5240 280 7150 280 2500

CH=2800 CH=2500


身体表出有機体



03 Design Challenge

身体と芸術

上野公園、ここは歴史文化、芸術の発信の場所であり、人々の憩いの場でもある。敷地は「芸 術の散歩道」と呼ばれ、多くの人々が移ろい、時には足をとめ景色を眺める。そんな場所である。

-88-

身体表出有機体


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

・自ら溜まる居場所を作る人々

・動的に溜まり、動きながら居場所を作る人々

身体表出有機体

・元からある不動物に座り居場所を成立させる人々

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03 Design Challenge

身体から表出する建築へ

消えるような建築 それは人々の行動や五感や呼吸に建築が反応し空間が生まれるようなそんな建築ではないだろ うか。私たちが普段何気なく建物に向かう日常が歩いていたら急に建築が現れ、身体に馴染ん でいくようなそんな建築を考える。

-90-

身体表出有機体


2018 Architecture Portfolio

溜まり、動き

Shota Koike

敷地周辺を平日と休日に分け、2 週間 1 日 3 回大人、学生、子供の 3 パターンの「溜まる場所」 「動き」をプロットする調査を行い建築を考える。

身体表出有機体

-91-


03 Design Challenge

身体的建築手法論

調査した人の動きと溜まりから「人が動く場所」を外部、 「人が溜まる場所」を内部とし、 平面の空間構成、ゾーニングをスタディする。さらに、同じ条件から平面を帯状に分 割し、人が溜まる場所は高く、人が動く場所は低いといった形で断面のスタディーを 行なった。約 200 パターンの構想から身体的な人間の振る舞いに対する建築の応答の 仕方を探すためのアナログの新しさを見出す設計手法を発見し提案する。

-92-

身体表出有機体


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-93身体表出有機体


03 Design Challenge

身体が表出した空間は人々の五感に訴えかけ、有機的に身体と馴染み、芸術と建築は身体そのものとなる。

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身体表出有機体


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-95身体表出有機体


-96身体表出有機体

03 Design Challenge


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

Architecture Section

Architecture Elevation

身体表出有機体

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03 Design Challenge

三次局面的に歪んだ屋根と床は美術館の機能に縛られず、人々の多彩な振る舞いを誘発し、許容する。

-98-

身体表出有機体


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-99身体表出有機体


-100身体表出有機体

03 Design Challenge


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

狭い空間から広い空間へ、シームレスに連続する美術館。身体と建築がシンクロし、肯定的共鳴を起す。

身体表出有機体

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03 Design Challenge

溜まる場所へは複雑な、動く場所へは単純な光が、美しい空間が人々へ芸術をより身近なものとする。

-102-

身体表出有機体


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-103身体表出有機体


03 Design Challenge

美術・芸術は時代を先取りする。 そして時代・流行は時事刻々と移り変わる。 それに対し、建築は一時の時代・流行に断片的に対応し、 装うことしかできていないのではなかろうか。 それも一つの時代を彩る芸術なのかもしれない。 しかし私の考える建築はより身体的である。 いかなる時代・流行にも人の振る舞いが変化することは 確かなことである。 建築もその身体的な振る舞いに対応できれば 美術館としてより新しくそしてよりゆるく 親しみやすい人々が介入できる空間になることを望む。

-104-

身体表出有機体


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-105身体表出有機体


OYA - R o a d - F e s



04 Competition

奇岩が作る景観

建築部材などに使われる文化的な大谷石や奇岩の岩肌が作る景観が印象的な大谷町。近年、大 谷石の需要は減少したものの、観賞という観点では観光客にとって、魅力的な町である。

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OYA-Road-Fes


2018 Architecture Portfolio

人肌と岩肌

Shota Koike

しかし、独特な景観を持つ岩肌は一人歩きし、人々の体験や活動を促す文化的サービスはあま りない。その面では観光拠点にはなりきれていない。いわば岩肌と人肌の距離が遠いように感 じるのが現状である。

OYA-Road-Fes

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04 Competition

岩と人々の振る舞い

人々の活動が見せる景観

大谷石が見せる景観

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OYA-Road-Fes


2018 Architecture Portfolio

FES 町づくり

Shota Koike

FES というのは、様々な体験が連なる、小さな町をつくる仕掛けのようなイベント。音楽を聞く、 音楽好きだけのものという認識の人が多いかと思うが FES は音楽だけでなく地域性を手がか りに成長を遂げている。人々の活動が魅せる景観にして行くためには、これまでにもある 1 つ のランドマークに向かって行くような計画ではなく、人々の活動が発散していくような計画を 考える。

OYA-Road-Fes

-111-


04 Competition

掘るということ

大谷石の奇岩景観を生み出しているのも、多くの職人さん達が汗水垂らし大谷石を採掘してき た事で生まれた人為的な景観である。大谷石の需要が減少するということは、この美しい景観 の広がりを抑制することに繋がる。そこで、様々な採掘方法から学び掘ることにより空間を作 る。大谷石のリノベーションとも言える建築である。さらに、掘った石を使い新しい建築を作 り、人々に 2 方面から空間を楽しんでもらうことを期待する。

-112-

OYA-Road-Fes


2018 Architecture Portfolio

石と同調する新しい道

Shota Koike

大谷の文化的歴史と人々が作り上げたこの景観を多くの人々に触れてもらい、ア クティビティの拠点となるサイクリングロードと現在の景観と同調するフェス ティバル建築群を提案する。大谷石の魅力は体感して見ないとわからない。この 場所は自然にできた景観ではない。美しい岩肌を感じ、人々の活動が活発になる ことで岩肌と人肌が密着し、さらに良い景観と町を創っていくであろう。

OYA-Road-Fes

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04 Competition  

-114-

OYA-Road-Fes


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

この場所で行われることをタイムテーブルにすることにより、大谷石にしかできない体験を同じ時間に共有することができる。

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04 Competition  

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2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

Festival Architecture

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04 Competition

洞窟市場 この場所は岩肌に挟まれながら緩やかな坂道を通過できるサイクリ ングロードと半地下に掘られた市場である。通過者と滞在者が見る・ 見られるの関係となり、産業・観光共に相乗効果を生む。さらに冷 熱エネルギーを利用したイチゴなど大谷の新たな特産品を販売して いる。

-118-

OYA-Road-Fes


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-119OYA-Road-Fes


04 Competition

トンネルロード 約 50m 繋がるこのトンネルロードは大谷公園と接続する新たな景 観導線となる。ひんやりとした内部は程よい照明と自転車のライト が交錯し劇的な空間となる。通過しながらライブ会場を望むことが できる。さらに奥には大谷公園の岩肌と平和観音の足元も拝むこと ができる。

-120-

OYA-Road-Fes


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-121OYA-Road-Fes


04 Competition

野外音楽堂 ジャズが有名な宇都宮。ここでは市民や住民が集まれる集会場の役 割を兼ねたライブ会場となる。鋭角に掘られた空間から流れ出す音 は外まで漏れ出し、道を通る人々にも伝わり町を盛り上げる。岩に 囲まれた不思議なフェス会場は多くの人々を集めることになるだろ う。

-122-

OYA-Road-Fes


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-123OYA-Road-Fes


04 Competition

抜け道テラス 採掘した石を再利用したカフェレストラン・休憩所・観光案内所な どからなる小さな複合施設。大谷の新たな道から来る人を迎え入れ るような配置をしたこの建築では様々な人が交流することができる。 さらに 2 階のテラスはライブ会場と岩肌を望める贅沢な空間となっ ている。

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OYA-Road-Fes


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-125OYA-Road-Fes


04 Competition

石空キャンプ場 岩に凹凸を作るように 10m グリッドに掘り下げた野外キャンプ場。 家族で石に触れながら BBQ などのレジャーを楽しむことができる。 絶壁の岩肌の中に入って行くと涼しげな洞窟空間を体験することが できる。さらに、ガラス張りの窓から景観公園の景観を望むことが できる。

-126-

OYA-Road-Fes


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-127OYA-Road-Fes


04 Competition  

Architecture Model

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OYA-Road-Fes


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

Architecture Model

-129OYA-Road-Fes


高台の砂時計



05 Competition

砂時計のような建築、暮らしの時間が止まった「空家」

上下対象の形をしている砂時計は時間を計るためにある装置であり、同じ時間の長さをを異な る向きで計る。内部の砂は人の手が入る事によって下に落ち、時間を計り始める。同じ時間を 異なる向きで計る砂のような人の粒が上下を反復する事によって動き始める町の時間を作り出 す。人の生活がある住宅は、たくさんの活動が住居内を彩っている。それに対し空き家は、人 の生活が抜け落ち、時間が止まっている。消えた活動は砂のように溜まり、まちの空白として 残っていると言える。しかし、この放置されている活動の砂こそ、町と空き家を繋ぐプログラ ムとなり得るのではないだろうか。

-132-

高台の砂時計


2018 Architecture Portfolio

反転するアクティビティ

Shota Koike

利用者がいなくなり、閉じられてしまった空き家に補完し合う関係を持つようなプログラムを 提案する。補完しあう2つのプログラムは、人々の往来と日々の生活により上下の間で次第に 漸近する。補集合住宅の上下の隔たりを無くし、滲み合い集合住宅と繋がり断面的な活動を活 発にし、やがて日常の動線へと変化する空き家は時間によって反転し砂時計のような建築が生 活を彩るだろう。

高台の砂時計

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05 Competition

反転する暮らし

空き家のプログラムと集合住宅の活動は一日の中で様々なアクティビティが展開される。これ らは、同一の地盤上で完結することが一般的である。しかし、この建築では反転した集合住宅 の形を介して変化する活動は、上下で空き家と対応し、時間帯によって、生活を反転させなが ら町を繋げるアクティビティを発生させる 。

-134-

高台の砂時計


2018 Architecture Portfolio

高台が生み出す 2 つの町

Shota Koike

GL レベルで行われるアクティブな活動を持ち上げ、もう1つの地表を計画する。この高台は、 上下の活動を変化させる仕組みを作りだす。空き家の高さを利用し集合住宅の中層と繋げ町の 動線となる。

高台の砂時計

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05 Competition

空き家と呼応する集合住宅

周辺の空き家はプログラムを持つ動線となり、町 - 空き家 - 集合住宅を日々の生活を介して繋げる。

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高台の砂時計


2018 Architecture Portfolio

断面で展開する暮らし

Shota Koike

上下に反転した形はひと繋がりの町のリビングになる。

高台の砂時計

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05 Competition

高台と言う名のもう一つの町

まちの動線の一部の階段

高台へとつながるブリッジ

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高台の砂時計


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

公園と厚みのある距離をとる

公園の広がりを受け止めるピロティ空間 け

縁側のような空間 町の公園は、託児所の園庭や お母さん達の集いの場所になります

通り土間は道路から公園へ人々を誘引します。

高台の砂時計

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-140高台の砂時計

05 Competition


2018 Architecture Portfolio Shota Koike

[ 朝・市場 ] 空き家のプログラムは集合住宅へと滲み出し、時間によって変化していく。

高台の砂時計

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05 Competition

[ 昼・集会場 ] 周辺の空き家は生まれ変わり、街角と呼応する関係を持つ。集会場は地域の中心に変化する。

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高台の砂時計


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-143高台の砂時計


05 Competition

空き家は町の動線になり、集合住宅の高台と繋がる。 空き家の周辺には道沿いとは異なる集まりがうまれ、 もう一つの町が高台に生まれる。誰も使わないということは誰もが 使えるという可能性を持つこと。 空き家は、人の生活から離れ、タイムカプセルのように 生活の時間を閉じ込めたまま町に放られている。 使われなくなった空き家は改修を行うことで手直しされ、 その多くは商業的に再利用されてきた。 私たちは、そのような使われ方ではなく、 空き家を道路や橋のように 日常の生活を支えるものとして提案する。 誰も使わなかった空き家に誰しもが行き交う事で 町と空き家の関係は人々の暮らしと絡み合い 町に活気を落とす砂時計のように 新しい町の時間をつくりはじめる。

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高台の砂時計


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

-145高台の砂時計



Oter Conpetitions


06 Other Competition

完結居 「ず っ と い た く な る 家 」

第 1 回三協アルミ学生デザインコンペ

ずっと居たくなる住宅とは、生活が住宅 敷地内で完結することである。 ここでの完結とは、住む人の向上心、活 動力、アイデンティティーを発揮するた めに、外に出なくても家の中の空間の使 い方で、十分に解決できるということで ある。 この住宅では、夫婦と 2 人の子供の 4 人 家族という設定で、個人や家族という単 位でのプライバシーを保ちつつ、多くの 人の拠り所であり、新たな関係性が生ま れるコミュニティセンターのような役割 も果たす。 そのために、快適、情報、ビジネスとい う 3 つのテーマを意識した。この 3 つの テーマが循環することによって生活が完 結する。 そして、これらのテーマや完結した生活 空間をアルミという建築的には比較的新 しく大いなる飛躍を秘めた部材と関連付 けることにより、住宅のあり方、未来の 住宅のための道標、各空間の細かな快適 性などをすべてアルミで解決できるので はないか。そしてより有意義で有機的な 建築になるだろう。

-148-


2018

第 4 回 POLUS 学生・建築デザインコンペティション

「土 蔵 を つ つ む 今 、 今 を つ つ む 未 来 」

みんなは知らない。

Shota Koike

土蔵の漆喰壁を左官屋さんが塗る工程を

Architecture Portfolio

不完全なものを上塗りする生活

昔、おすそ分けという近隣住民がとても 仲良くものを担保し合い、小さな街を自 然と作っていたことを忘れている。 もとからあるものを大事にする。意識し て作り上げていくものではない。どのよ うにしたらいいのだろう。 不完全なしかしながら生活に必要不可欠 ともなり得るエレメントを多く用意した。 土蔵を工房にかえ、敷地中にベルトコン ベアーが住居内外問わず駆け巡っている。 住居者の人たちは自然にこれらのエレメ ントに自分なりの上書きをしてみてほし い。 きっと、豊かなまちとは。過去の忘れ去 られている記憶と、今後もしかしたら可 能になるかもしれない、住まい方とは全 く関係ないモノの融合なのかもしれない

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06 Other Competition

建具の森 「都 市 に お け る 小 住 宅 」

第 3 回ウッドフレンズ 住宅設計アイデアコンペ

都市は経済の中心であり、忙しなく動き 続けている。。地方から上京してきた単身 者が新宿くには多く住んでいる。彼らは、 彼らは職場に近い地域を手に入れた代わ りに、周囲のスケールオーバーな建築に 囲まれ、開放感や安堵感を都市において 失ったようである。 窮屈な生活を送る彼らは都心部の経済を 回す縁の下の力持ちであり、小さな小人 である。そんな彼らに森林浴のような癒 しの場を与えたいと考える。 過密な都市において、建具はライフスタ イルを劇的に変える力をもつ。その建具 を環境装置として積層させる。 この建築は、人々にとって憩いの場所とな り、人工的に作られ続ける都市における 生物や植物との共存を望むインターフェ イスとなる。

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2018

「H U L I C & G I N Z A 6 」

第 6 回ヒューリック学生アイデアコンペ

といった二面性が、伝統と革新の共存す

Shota Koike

銀座は昼 - 夜、大通り - 路地、文化 - 商業

Architecture Portfolio

GINZA-BRIGE

る街を作り上げてきた。この二面性こそ が銀座の文化であり、銀座らしさである。 そんな銀座に異質なものを集約する「は し」をかける。 銀座らしい二面性を抱えるこの敷地に観 光客と住民、商業と文化、昼と夜が集約 する「はし」のような建築を考える。 それは、オークションという商業と文化 が共存可能な新しいビルディングタイプ を提案する。 そうすることで、出店、展示、販売、発 信など誰もが参加可能な建築を提案する。 生活と自然、芸術の間に出現した「はし」 は架け渡す橋から、人々に場を明け渡し、 伝承と進化を感じる建築となる。

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06 Other Competition

絨毯をかける家 「道 か ら は じ ま る 、 こ れ か ら の 家 」

第 5 回 POLUS 学生・建築デザインコンペティション

住み慣れた私たちの家から道へ、足を伸 ばすように絨毯をかける。 食卓を囲むとき、テーブルクロスを机に 敷く。それは、互いが一枚の布を共有し ながら個人の領域を作っている状態とも 言える。 当然ながら道は地面に接している。現在 地面の上に存在する大きな絨毯は計画的 に敷かれ、人々の生活を規定しているも のとなっている。そこで人々の暮らしが 架ける絨毯によってつくられる街を考え る。 拡張する大地の絨毯の横断は人々の頭を 接近させる。住宅内では家族同士の距離、 敷地内では住民間の距離。人々の距離感 の中で生まれる絨毯がかかった道から始 まる暮らしを提案する。 人々が家に架けられた絨毯の上を横断し たり、時にはお隣の絨毯の上にお邪魔す る暮らしが始まってゆく。

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2018

「ず っ と い た く な る 住 ま い 」

第 4 回三協アルミ学生デザインコンペ

そこでの風土を開発しながら暮らしてい

Shota Koike

過去では家の領域の外へ出て領土を広げ、

Architecture Portfolio

冒険する絵本の暮らし

た。現代、情報がオープンな社会で暮ら している私たちは購入する前から深くま で知ることが可能になったため開発する ことがなくなってしまった。 この冒険する住まいは探究心を彷彿させ、 家を開拓するように自分の場所を増やす ことで家族だけの暮らし方を開発してい きます。 絵本の中の冒険する主人公のような暮ら しをするために、住まい方にスケールの 違う、2つ以上の機能をもつ建材 ( 冒険住 まい方レシピ ) を提案する。これらは、奥 行きがあり多機能的である。冒険するよ うに使いこなし、暮らし方を伝承してい くことで未来の住まいに繋がることにな る。 子供の頃読んだ絵本。絵本の物語は身近 な事柄を冒険して展開させる。 そのファンタジーは私たちの冒険心をく すぐり魅了してきた。 絵本のような暮らしは人々の住まいを彩 り始める。

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06 Other Competition

都市の花束 「色 の は た ら き 」

ASIA YOUNG DESIGNER AWARD 2018

私の人生は常に色に溢れていた。父はペ ン屋。実家の倉庫はペンキだらけであっ た。私は色と寄り添って育ったし、色が ある世界が日常だと思っていた。 しかし、大都市の色は混雑し、飾りか誇 示の材料でしかないように感じた。とて も悲しかった。 建築 ( 中でも意匠設計 ) における色の役割 は表面的である。色の無い建築にハリボ テのようなサインとして利用したり、都 市部の同じ様なビルの内部空間を装飾の ためだけに過激に利用されていたりする。 しかし色彩には人々を、建築を幸せにす る力を持っているはずである。そこで、 色のはたらきを「雑多な都市を美しく見 るためのメガネ」として同調し雑多な都 市景観を生んでいる現状を色のはたらき により解決してゆく手法を提案する。 色は都市における花束となり、都市景観 を美しく見せる建築となり、人々が花び らとなる。 色のはたらきにより都市と建築が、 景観と個人の活動が肯定的共鳴を起こす。

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2018

都市のパブリックスペースデザインコンペ 2018

「『S h ibuya』的なパブリ ッ ク ス ペ ー ス 」

小さくて強い力を発揮し渋谷は街の魅力

Shota Koike

多様でカラフルな個人の集合によって、

Architecture Portfolio

D E L I V E RY B L AC K P I X E L

を形成してきた。 カラフルな個人は渋谷を経験することに より、混ざり合い黒に近づき、墨のよう に洗練された身体を作りだす。 そんな、身体を入れ替え自己啓発的な身 体を作ることができるスイッチが渋谷に はあるのではないだろうか。 「Shibuya」的なパブリックスペースとし て、個人の経験や価値観が持ち込み、訓 練し、発散する場所をカオスな社会にお いて街を構成する最小要素としての Pixel の集合によって作り教育的な場所として 計画した。 この場所は若者の自己啓発的価値観を養 い、そこでの経験を蓄積し、delivery する。 カオスの中で洗練された個人を形成する 場の提案。

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O t e r   Wo rk s


07 Laboratory Works

津田沼ハウス

- デザインスゴロクから学ぶ住宅設計の研究 -

デザインは、どの様に成立させていくのだろう。偶然 できたカタチや気づきを「環境」の変化が及ぼす影響 を頼りに、スゴロクを回していくことで住宅として成 立するように設計を行なった。無数にある限定できな いデザインの決定ルール。それをこのスゴロクを回す ことで整理し、理解していく。主体性の排除を目指し ている訳でなく、主体性を持つことによって反対の頑 なな設計にならないことを目指した。 -158-


2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

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07 Laboratory Works

一人ではものは作れない。一人ではスゴロクは 回せない。 人の心が、身体が、重なった時、千手観音のよう に手が動き、歯車が回り出す。

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2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

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07 Laboratory Works

手繰り寄せる

- 我孫子国際芸術祭 -

私たちは、幾重にも重なる物質が光や影の密度を生み、 空気の流れ、素材感や質感、匂いなどあるがままの日 常を建築によって表現することができるなら、ぬくも りや人の心を和ませおおらかに優しく包み込むことが できるのではないか。旧店舗の中に、天井からたくさ んのトイレットペーパーを吊した洞穴を作製した。美 術展来場者の休憩所となることを期待したものである。 紙を手繰り寄せながら進むと、優しい照明の効果で、 神秘的な雰囲気が感じられる。

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2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

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07 Laboratory Works

普段の日常でさりげなく使っているもの、知らぬうちに忘れられているもの。それらが質量や役割から解放された時、自然や人々を手繰り寄せ空間を獲得する。

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2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

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2018

Architecture Portfolio

Shota Koike

T h ank you f or read i ng

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2 0 1 4- 2 0 1 8 Endoh Design Lab


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