Osanai Portfolio 2013-2017

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PORTFOLIO TOHOKU UNIVERSITY OSANAI SHOTA 2013-2017


お さ な い しょうた

小山内 祥多 O s a n a i S h o t a

1993/4/29 生まれ tel : 09030061843 E-mail : ossa.bsk@gmail.com 略歴 2017.4 - 東北大学大学院 工学研究科 都市・建築デザイン学講座 都市デザイン学分野 石田壽一研究室 2013.4 - 2017.3 東北大学 工学部 建築社会環境工学科 都市・建築デザインコース 卒業論文:バーナード・バイフート作品研究 - ルーイェン邸における建築形態特徴に関する考察とガラスブロックを用いた作品の展開 卒業設計:余床再考 - 横浜環状 3 号線に接続する未使用橋梁の再生 -

CV

2009.4 - 2012.3 私立山手学院高等学校 2006.4 - 2009.3 横浜市立南戸塚中学校

課外活動 2017.9 竹中工務店 2week インターンシップ 2015 - 2017 三菱地所設計 / アルバイト 2015 関空間設計 / アルバイト 2015.9 B1D Architects / オープンデスク 2013-2016 仙台建築都市学生会議 / 学生有志 せんだいデザインリーグ 2015 企画運営局長

賞歴 2017.11 津島市天王通り再生プランコンペ 入選 2017.9 SABED 環境シミュレーション設計賞 2017 奨励賞 2016.9 アジア建築交流国際会議 2016 学生国際コンペティション 審査員賞 2015.9 第一回トンチク・ファニチャー・デザインコンクール 最優秀賞 2015.9 建築新人戦 2015 100 選 2014.10 COLORS WORKSHOP COMPETITION 2014 優秀賞

特技 Degital Modelings Rhinoceros, Grasshopper, SkechUp, Laser Cutting Digital Graphics Adobe Illustrator, Photoshop, Indesign, Vectorworks, AutoCad Sports Basketball 2008 年度 神奈川県中学バスケットボール選抜選手 2011 年度 横浜市高校バスケットボール選抜選手


余床再考 卒業設計 学内優秀作品 学外講評会進出 学内広報誌「トンチク」掲載

SEPARATED APARTMENT 大学3年前期第二課題 スタジオ最優秀作品

PEELED GROUND 大学3年前期第一課題 スタジオ優秀作品 建築新人戦 2015 100 選

PEELED GROUND Ⅱ

大学院前期課題 スタジオ最優秀作品 SABED 環境シミュレーション設計賞 2017 奨励賞

BLEESING LINE 大学4年前期課題 アジア建築交流国際会議 2016 学生国際コンペティション 審査員賞 学内広報誌「トンチク」掲載

塔の住処 大学3年後期第二課題 スタジオ優秀作品 せんだいメディアテーク ミュージアムユニバース 出展

ロジの家 大学 2 年後期第二課題 スタジオ最優秀作品

杜の屏風 第一回トンチク・ファニチャー・デザインコンクール 最優秀賞 実施設計作品

つながる隔たり 津島市天王通り再生プランコンペ 佳作

HELIX FOREST 八幡浜市保内総合児童センター(仮称)デザイン設計競技

大島ルーフ 大島交流拠点施設(仮称)デザイン設計競技


004


1

005

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

余床再考

卒業設計 学内優秀作品 学外講評会進出 学内広報誌「トンチク」掲載 せんだいデザインリーグエスキス塾 堀井義博氏推薦作品 ■指導教員 石田壽一、井上宗則、藤山真美子 ■敷地 神奈川県横浜市戸塚区南戸塚地区 ■用途 環状道路+複合施設


余床再考

006

余床再考

COMPLEX

YOKOHAMA 2016.12-2017.2

全国的に存在する、半世紀前に計画決定されながらも未だに交通機能を果たすことのない都市計画道路が都市・郊外に存在する意味を考えた。 本作品は、それら の道路が数年後本来の交通機能を果たすときに、そこに潜在していた空間性、モニュメント性を抽出し、現代の郊外に新たなスケールの建築を挿入することで、半 世紀前につくられた郊外を更新するプロジェクトである。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

007

縮小時代を迎えた日本でも、全国的に工事中の道路が今なお多く存在する .


環状 3 号線道路 国道 1 号線

008 Site:横浜市戸塚区南戸塚地区 ケーススタディとして道路の未整備率が日本の都市部の中でも ワーストレベルである横浜市の環状三号線道路を取り上げる。 その中でも、交通量の高い国道一号線との結節点となる南戸塚 地区に存在する、 未だ本来の交通機能を果たさない橋梁部分と、 その周辺地域 を対象に、それぞれの関係性を観察した 。

横浜市

余床再考

環状 3 号線延長先

国道 1 号線 SITE:環状 3 号線南戸塚橋梁

環状 3 号線道路


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

009

横浜環状 3 号線事業概要:横浜市道路局より引用


010

橋梁開発の変遷 .(明治〜現在) 嫌悪化されたモニュメントか、住民を受け入れる隠れ場か . 南戸塚地区は関東平野によるすり鉢状の敷地であるため、環状三号線は谷の真上にも計画された。それゆえ谷を覆う橋梁部は、地域住民からは谷戸の景観破壊、生 活環境の悪化が訴えられた。現在でも道路として使われることなく、10 余年間形だけ残る橋梁部分は嫌悪化されたモニュメントと化した .

明治期

1956

1977

1988

1997

2005

2017

関東平野に位置し、谷 戦後、東海道に沿って 1969 年に環状三号線 団地は都市計画道路を 橋梁部の開発が開始さ 約 10 年をかけて、住 2010 年 に は 完 成 し、 戸 地 形 を 形 成 し て い 開発が始まった .

が計画決定され、計画 挟 む よ う に 開 発 さ れ れた .

宅地は段階的に巨大な 現在は延長先道路の完

る . 明治期は水田が広

箇所を空地にしながら た .

橋梁に覆われた .

成を待っている .

がる農村であった .

谷戸の多くは開発から

橋梁開発

橋梁完成

20 年で住宅に覆われ た. 〈谷戸の状況〉 住宅街

町内人口増加

宅地開発期

山林 田畑

橋梁開発の変遷 .(現在〜今後) 半世紀前に計画された橋梁は計画通りの機能を果たせるか . 橋梁部は現在、立入禁止の看板並ぶ . しかし実際は行政による管理が行き届いておらず、橋は地域住民の朝の散歩道であり、放課後に子供達が遊ぶ空間であり、夜 に若者が侵入する場である . 昼間の論理で計画され、車のためにつくられた道路は、工事が停滞している間に、従来の都市計画では考えられなかった 24 時間人が 活動する床を開放した .

交通機能を果たさない橋梁は街から孤立し、住宅街に存在する異物と化した . 郊 橋梁は環状三号線の一部となり、本来の交通機能を果たすようになる . 隠れてい 外の規制に縛られた住民は、橋梁に居場所を求めた .

た街のアクティビティはなくなり、街のモニュメントがパスに更新される .


異物として存在しながらも、10 余年放置されたゆえに地域住民の 24 時間の活動を許容した環状三号線橋梁部に、新たな異物を挿入する。 閑静な住宅街から騒音のする交通空間に変わる時、そこは、隠れた趣味嗜好の場から、隠れた活動を可視化する舞台へと更新される。

OSANAI SHOTA

提案

PORTFOLIO

011


賃貸マンション トンネル工事の開始に伴い、 撤退する .

一車線の幅員:3.5m

012 幅員:22m

アーチ状の橋脚 高架下の高さ:12-15m

設計速度:40km/h の道路線形 道路構造令第 15 条より、曲線半径:50m

土木の論理に従い建築を設計する . 余床再考

橋梁部の形態とスケールを抽出し、デザイン言語に応用する .

子供がボール遊びに応用する幅員 22 m 若者が夜、談笑するときに寄り添う壁の高さ 2m

音楽広場として扱われたノード 遠景が望め、絵描きが現れる橋梁ランプウェイ

昼夜の場所性を抽出する . 24時間活動する周辺住民の活動を観察し、建築プログラムに応用する .


Current

2018

2020

2023

〈建築のプロセス〉

013 ・閑静な住宅地

・住宅撤退

・工事終了

・全体工事終了

・道路は管理されていない

・道路工事再開

・延長先道路工事開始

・共用開始

⇨新たに屋根をかける .

⇨スロープでヴォイド空間と道路をつな

⇨新たなスラブに機能が入り一般に開

ぐ . トンネル工事によって発生した土で

放される .

〈道路空間の継承プロセス〉

道路に囲まれたヴォイドにアクティビ

道路空間とヴォイドが一体的に使われ

道路が共用されるとき、ヴォイド空間

域住民の多様な活動が行われている

ティが移る .

る.

を基点に高架下にアクティビティが完

.

全に移る .

橋梁工事に伴う段階的な建設 実際に行われる今後の道路工事に伴って、段階的に建設を行う。同時に、梁上部で行われていた活動は更新に伴い段階的にヴォイド化する高架下の空間へ移動する。

既存道路 1969 年に計画決定され、延長を重ね 2010 年にほぼ完成 .2023 年に共用される . 屋根 橋梁ランプから曲率半径 50-60m で半円状に伸ばし、ヴォイド空間を囲い中心性をつくる . ワイヤー 道路とつながる動線スラブを屋根からつる . 動線空間の中に滞留空間を生む . 動線スラブ(オレンジ) 道路とヴォイド空間をつなげる外部空間 . 新たな日常の動線となり、ときにパフォーマンスの場へと変貌する . 機能スラブ(水色) かつてこの道路に存在した住民のアクティビティを可視化する . ギャラリー、工房、集会所などのスラブ .3500mm の円形グリッドを応用することで、道路のスケールを引き 継ぐ . 動線スラブと二重らせん構造をなし、互いの空間で起こる動作や環境が交差する . 赤:工房、ギャラリー / 紫:スタジオ / 青:カフェ、ライブラリー / 黄:映画館、調理ワークショップ 壁柱を構造壁に用いながら、機能スラブを支え建物全体のコアとなる . 階段 客席として円形広場を演出し、ときに舞台となる . 橋脚 今までフェンスやネットで隔離されていた橋脚は、動線空間を分節する壁として機能する .

Isometric

マウンド トンネル工事によって発生する土を利用する . 中心性をつくり、各機能に隣接する外部空間を緩やかに区切る .

OSANAI SHOTA

現在使われていない道路空間では地

PORTFOLIO

ヴォイドに盛土をする .


014

作業室b

飲食店

余床再考

W

A


D’

015

A staircase room Hot water supply room WC Warehouse Work room B

C’

Work room A

Workshop

2,700 3,500

Equipment room

3,500

PORTFOLIO

WC

2,700

D Exhibition and Tasting Room

C

OSANAI SHOTA

50,000

WC

warehouse

A’ Vegetable direct selling place

Projection room

EV

B

Warehouse

WC

Maintenance room Low pressure cabin room Switchboard

Changing room Heating room

Food storage

Air conditioning room

Kitchen

Restaurant

B’ N

plan GL+2200 1:500


余床再考

016


017 A staircase room Showcase Showcase

Showcase

Showcase

PORTFOLIO

Showcase

OSANAI SHOTA

Cooking worksh op

Lounge

Terrace

Office

EV

Staff Room

WC

Library

N

plan GL+7500 1:500


余床再考

018


019 A staircase room

Exhibition room A

Exhibition room C

Gallery Exhibition room B

Meeting place Hot water supply room PORTFOLIO

WC

OSANAI SHOTA

Studio

N

plan GL+12,500 1:500


作品名

020


夜中仕事終わりに集まる若者 ⇨将来アーティストとして食 べていくことを夢見て、趣

0

路上ライブをしにくる女性 ⇨朝まで歌って、直売所の野菜を買って帰る

味の時間に没頭

早朝散歩する男性 ⇨朝まで歌う若者の歌声に誘われる

18

夜保育所から帰路の親子

6

⇨夜しか取れない大事なコミュニケーションの時間

021 朝通勤するサラリーマン ⇨ギャラリーに飾られる、昨晩活動した作家の作品を楽しみに会社へ通う

毎晩親の帰りが遅い放課後の小学生 ⇨広場で遊んでいると、夕方から来るアーティストが遊んでくれる

ギャラリーに通う老婆

12

調理教室へ通う主婦 ⇨作りすぎた料理は、夜活動する人に分けてあげる

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

⇨夜中造られた作品を見て参考にする

映写室前。人間スケールを超えた空間は、夕方になると地域住民が集うスペースとなる。

ギャラリー前のスロープ空間。朝には前日の夜中まで活動していた人の姿が想起される。


余床再考

022


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

023


024

Library

3,200

1,000

5,500 Restaurant

Kitchen

160

B

B-B' Section 余床再考

Scale:1/200

カフェ 橋脚が室内に入り込み、土木と建築が融合する。

B’

GL


025

1,000

5,200

Gallery

1,000

3,500

GL

Workshop

60

D

D-D' Section Scale:1/200

工房 市民に解放された作業場。内部空間の単位は道路の橋脚が阿部となることで決まる。

D’

OSANAI SHOTA

4,600

PORTFOLIO

500


026

1,000

6,500

500

7,750 Projection room

A

A-A' Section 余床再考

Scale:1/200

映写室 住宅街にひっそり存在する、人々の寄り道の場。

200

GL

A’


027

3,800

Meeting room

1,000

2,100 GL

C

C-C' Section Scale:1/200

集会所 橋梁と同じ高さに存在し、かつて存在していた道路空間を連想させる。

C’

OSANAI SHOTA

500

PORTFOLIO

5,000


t tex n o al C Loc

Cu

ltu r al C o nte xt

028

m

Ind ust ry

余床再考

To ur is

tion a t r nspo a r T Food

e nc a rm o f r Pe c bli u P Refuge


PORTFOLIO

029

OSANAI SHOTA

Path c i l Pub

FOREIGN OBJECT causes NEW SITE CONTEXT Diverse Inbetween

Industry


030


2

031

大学3年前期第二課題 スタジオ最優秀作品 ■指導教員 本江正成、内山隆弘、井上宗則 ■敷地 宮城県仙台市若林区荒井 ■用途 集合住宅 ■課題 Resilient Residence 東日本大震災は従来の都市モデルの脆弱性を露にした。例えば、集中化さ れた電力やガス、水などの供給網は遮断され、食料や物資を生産地から消 費地へ輸送したり、居住の場と仕事の場を結ぶ交通システムも機能しなく なった。また、ゴミや廃水などの処理能力も大きく低下し、それを超えた 廃棄物が溢れることとなった。さらには、行政による社会サービスが停止 し、これを補うために社会的なつながりが必要とされた。このような社会 システムの脆さを目の当たりにした私たちは、これを反省し、よりしなや かで復元力のある都市モデルを構築していかなければならない。 「Resilience」という言葉は、 「弾力性」の意味で用いられる一般的な語で あるが、1970 年代に生態学の分野で理論的なコンセプトとして提唱され, 特別な意味を担うことになっていた。この理論の前提となる生態系モデル は、静的なものではなく、絶え間なく変化する微力のネットワークである。 この時「Resilience」とは、そのネットワークのなかでバランスをとり一 定の状態にある生態系が、外部からの撹乱を吸収しその状態を保ち続ける 能力,として定義されている。 私たちの住む環境もまた、生態系と同様、自然や技術、社会などといった 異なる次元の様々な微力が絡み合い成り立っている。本課題では、そのよ うな複合的分野の最新の知見を駆使しながら、集合住宅の設計にアプロー チすることを通して、これからの社会が直面するであろう様々なリスクを マネジメントし、しなやかに対応できる居住環境のモデルを探っていく。

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

SEPARATED APARTMENT


SEPARATED APARTMENT

032

SEPARATED APARTMENT COLLECTIVE HOUSE

SENDAI 2015.6-7

東日本大震災の被災地では、新たな住まいの器として中高層のマンションが多く建てられている。本提案は、3次元的なヴォイドによって内部と外部をコントロー ルしながら、もともとその土地が持っていた、人と人、人と自然の関係が、建築強度を優先するがために切り取られないような集合住宅の設計である。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

033


Site Plan Scale:1/4000

site(1:2000)

Arai Station

034

SEPARATED APARTMENT

Park&Ride

SITE

宮城県岩沼市荒井地区は太平洋に面しており、震災により津波の被害を受けた。現在、震災復興の 過程で人々の住宅が再建されているが、その多くが耐震性を担保した大型建築に取って代わられて いる。

Diagram 北

太平洋からの海風

荒井駅

アクセス

Park

Park

ing

仙台方面

ing

荒井地区の南中高度

アクセス

Park

ing

Park

ing

周辺の開発規模に合わせ、10

光、風、道路からのアクセスを 大きなボリュームを区切り、必 空間として機能しないボ

層分のボリュームを配置する .

考慮し、ヴォイド空間を定義す 要住戸数を満たすための住戸群 リュームを取り除き中空の る.

を作る .

オープンスペースを作る .

SEPARATED APARTMENT !


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

035

Surface

House Unit ex1: ボリューム内で住戸を更に重ねた結果出来上がったメゾネットタイプ ex2,3: 一世帯で一個のボリュームと、隣接するもう一個のボリュームに部屋をもち、そ の間を外部動線がつなぐ

Structure

ex1 Furniture store Floor

House Floor EV

ex2

Elevator

ex3 Overall 斜めにずれた形のボリュームに住戸を内包していく。各ボリュームに住戸を重ねていく ことで出来る断面的なずれを利用して、メゾネットタイプや、外部動線を一つの世帯の 動線とする構成を作る。

Isonometric


70000 20210

16550

2260

17750

2160

1040

10040

cahier

market hall

13960

2670

entrance

EV

26300

EV

036

3100

10450

EV

EV

17700

outdoor space

39450

2000

Ground Floor Plan 70000 15660

20210

16300

10040

5940

SEPARATED APARTMENT

curtain/carpet cushion/blanket

table

13960

outdoor space

26200 7310

EV

30000

livingroom

community space

12670

7610

EV

outdoor space

EV

16840

38340

2000

2F Plan 70000 20210

13940

13970

10040

13401

kitchen EV

bedroom dining

11670

25803

EV

EV

14870

3F Plan

37630

2000


70000 20210

15090

16260

10040

5940

wardrobe

13959

outdoor space rug/curtain

EV

kidsroom

30000

26110

7110

EV

037

outdoor space

7390

12666

EV

EV outdoor space

16860

11020

25080

2000

4F Plan

14900

10040

OSANAI SHOTA

14600

restaurant

bathroom

13380

6040

20210

PORTFOLIO

70000

EV

7310

outdoor space

30000

26110

EV

11430

7410

EV

EV

showroom

15730

36850

2000

5F Plan Scale:1/300

住戸

家具屋 ヴォイドによって分断されたボリュームには住戸のほかに家具屋が入る。 住戸と家具屋が並列に挿入されることで、住民は常に街を感じ、また消費者は生活を感じながら買い物をする。


SEPARATED APARTMENT

038

斜めに切られたボリュームが作る家具屋の展示場。

住戸に併設して家具屋の店舗を設けることで、互いの空間を並列に扱う。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

039

切断された部屋はブリッジで繋がれ、一世帯のリビングや個室として使われる .

住戸の外部動線や住戸内から、生活の様子が伺える。


2570

West Side Section

Scale:1/500

2910

2500

2810

3750

329 0

2630

2500

2500

2500

3500

460 0

4650

4600

2540

4650

36000

3500

377 0

2840

4580

3420

SEPARATED APARTMENT

040

241 0

2230 2130

2990

South Side Section

Scale:1/500



SEPARATED APARTMENT

042



SEPARATED APARTMENT

044


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

045


046


3

047

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

PEELED GROUND

大学3年前期第一課題 スタジオ優秀作品 建築新人戦 2015 100 選 ■指導教員 石田壽一、原田栄二、井上宗則、佃悠 ■敷地 宮城県仙台市木町通り小学校 ■用途 小学校+地域開放施設 ■課題概要 SOS school (Symbol・Open space・Sustainable) 2008 年をピークに人口減少・少子高齢化の進む日本における小学校は、 今、これまでにない危機を迎えている。1980 年代のはじめに 2700 万人 いた年少(0-14 歳)人口は、2015 年に 1500 万人台に減少し、さらに 2040 年代に 1000 万人を割り込むと言われている。高度成長期の 1950 年代後半に定められた学校配置や適性規模の根拠となった校区制度は、児 童が増えない時代を迎え役割を終えようとしている。もはや閉校現象は山 村の限界集落に限った話ではない。今後、大都市中心部においても小中学 校の統廃合化はますます加速することになる。 「難しい時代」における「複雑な条件」の下で優れた小学校を計画する ことは一見容易ではない。しかし、それゆえに一層、良質な教育環境を児 童に提供する「学び舎」としての小学校のあり方を深く考えなければなら ない。また児童の「心の絆の場」としての空間を計画し、社会的にも空間 的にも地域に開かれた、地域の核=シンボルとしての小学校を設計しなけ ればならない。その意味で優れた小学校を計画・設計することは、これま で以上に重要な社会的課題と見なされる。 本課題では、こうした社会状況を踏まえ SOS スクールを考え計画する。


PEELED GROUND

048

PEELED GROUND SCHOOL

SENDAI 2015.4-6

仙台の大動脈である晩翠通りと国道4号線が接触する敷地に、広場としての屋根をもつ小学校を提案する . 周辺にはマンションやビルに内包された園庭の無い 15 の保育施設 . 都市と連続した屋根は、市民と児童、移動と滞留が重なり合う空間になり、都市の環境装置となる .


049

OSANAI SHOTA

現在の木町通小学校

PORTFOLIO

SITE

SITE : 保育所 ■都市における児童の広場 木町通小学校が面する晩翠通り周辺には、多数の保育施設が 存在しており、日常的に児童が通りを散歩する様子が伺え る。しかし保育所の多くはマンションやビルに統合されてお り、児童達が走り回るための環境が確保されているとは言え ない。


■都市と連続する小学校 高密度な都市状況からは、子供達の園庭を確保することは難しい。そこで、木町通地域を 100 年以上見守り続けてきた木町通小学校に、オープンスペースという 都市との連続性を与えてやることで、小学生だけでなく地域全体の広場となる木町通小学校のオルタナティブを提案する。

Diagram

SCHOOL

H

O

中層のボリュームを低層へ

現在の木町通小学校

SC

SCHOOL

新たな木町通小学校

O

「公園」と「校庭」と「校舎」

L

独立

複合

「公園と校庭と校舎」

➡ L O RE HO

L

SC

L

SCHOO

UA

PEELED GROUND

SQ

SCHOO

RE

RE

UA

UA

SQ

SQ

地面をはがすように斜めに反ったスラブ

SC

H

O

O

L

SC

H

O

O

L

地面から接続する場と、屋根に覆われる場という対照的な空 間をつくる

➡ SQ

UA

SC

L O RE HO

斜めスラブをかませる

敷地内部へ導くための門、または建物内部に入る前の軒としてのエレ メントとなる

➡ SQ

UA

SC

RE HO O L

地面と接続する部分をつなげる

人の視線は下向きという特性を踏まえ、 「中心」を作る

L

SQUARE

SQUARE

CHOO

SCHOOL

050


大通りからセットバックさせることで、歩行者通路を広くする

環状4号

晩翠通り

051

校庭 歩行者通路と連続的につながってお り、地域住民の通り道にもなる

せんだいメディアテークへ続く通路 Site Plan

校庭へは斜めの屋根が突き刺さるように向いており、校庭を拡張する。運動会のような学校行事があると、人々は屋根に上り観戦する .

OSANAI SHOTA

屋根公園 地域開放施設に接続する公園。 せんだいメディアテークへ続く道に 開き、仙台の新たな文化公園となる。

PORTFOLIO

地域の屋根 校庭屋根 歩道と接続する屋根。地域住民 校庭と連続的に使うことができる。 が腰を下ろし、一休みする。 運動会や地域の行事が行われる際に 中庭 は観客席となる。 小学校全体を見渡すことができる地 域の新たな動線。光庭ともなり、内 部空間に地面からの反射光を与える。


UP

4

5

6

7

8

9

10 UP

4

UP

3

1

052

2

UP

24

11

25

UP

26

A

12

23

27

13

28

A'

UP

20

16

UP

22

21

15

B' UP

B

14

UP

4

4

UP

UP

UP

18

PEELED GROUND

17

B1F&1F Plan scale 1:800

1. 教材保管室、印刷室

15. コンピューター室

2. 図工室

16. 視聴覚室

3.WC

17. プール

4.CR

18. 更衣室

5. 職員室

19/20.WC

6. 会議室

21. 理科室

7. 校長室

22. 音楽室

8. 事務室

23. 体育場

9. 更衣室

24. 保健室

10.PTA 室

25.WC

11. 生活科室

26. 放送室

12. 給食室

27. 器具庫

13. 家庭科室

28. 倉庫

14. 図書室

19


4

4 4

4

053 A

A'

4

4

B'

4

OSANAI SHOTA

4

PORTFOLIO

B

2F Plan scale 1:800 広場に面する小学校

特異点としての地域開放施設

学校として必要な機能はコの字型に配置し広場と教室の距離感を縮める .

地域開放施設は平面上の特異点として斜めに振ると同時に、南北の軸線を 遮らないように配置する .

せんだいメディアテークへ

南に位置するせんだいメディアテークとの連携を図り、仙台の新たな教育文化を象徴する動線として、南北に軸を引く .


054

PEELED GROUND

A

A-A' Section scale 1:300

敷地内へのアプローチの先には広場があり、小学校に求心性を与える . 授業が終わり休み時間になるとまず初めに、生徒たちはここへ出る . さらに体育場が中央に位置し、この場所が地域の中心としてより強いシンボルとなる .


055

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

A'

木々に囲まれた広場 . 親子連れの家族が入学前の子供を連れて、日中はここで暮らし徐々に小学校の雰囲気に親しみをもつ .


056

PEELED GROUND

B

B-B' Section scale 1:300

敷地に入る前のアプローチ . 学校内を介して、南へは視線が抜ける . 深い軒の下では、人々が立ち話をしたり、子供が親の迎えを待つ場となる .


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

057

B'


PEELED GROUND

058


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

059


060


4

061

スタジオ最優秀作品 SABED 環境シミュレーション設計賞 2017 奨励賞 ■指導教員 伊香賀俊治、石田壽一、持田灯、小林光、後藤伴述、井上宗則、 藤山真美子、石田泰之 ■敷地 宮城県仙台市木町通り小学校 ■用途 小学校+地域開放施設 ■課題概要 これまで行ってきた設計作品に対し、 環境的なコンセプトを付与し、 ブラッ シュアップする。 ■ SABED 環境シミュレーション設計賞 2017 審査講評 ・プログラムの性質上、屋外環境・室内環境の両方を魅力的な空間にしよ うという意欲的な提案である。ダイナ ミックな造形が魅力的であったが、 教室としての機能を考えるとやや大味な空間になっていると思われる箇所 もあり、開口部の方位・面積を考慮した日射制御や天井高に関するスタディ までより丁寧にできると、魅力的 な案になるだろうと感じた。 ・実際には窓遮蔽物の設置や天井高の検討など様々な修正が必要になりそ うだが、輝度を用いた光環境の解析に ある一定の説得力があり、環境解 析に基づくダイナミックな形状にも魅力を感じた。 ・こういった大胆なデザイン提案こそ、精緻な環境設計シミュレーション で裏付けられると大きな説得力を持つ。 デザイン的アイデアが先行し、 エンジニアリングがフォローし、その中で初期のアイデアを微調整すると いう 方向性はおそらく今後の環境設計シミュレーションでもしばしば生 じることではないだろうか。スロープ屋根 を活用して 2 階を地域開放施 設とし、校庭に直結した 1 階が子どもの空間であるという逆転の発想は 素晴らし いが、スロープ屋根の勾配というクリティカルな部分への配慮 が少し不足していたのが惜しまれる。スロープ 屋根をもつ K 外語大など の先行事例を分析し、環境設計シミュレーションを駆使して環境条件を検 討すれば、先行事例を凌駕する展開が期待できる。

OSANAI SHOTA

大学院1年前期 建築環境性能評価論

PORTFOLIO

PEELED GROUND Ⅱ


PEELED GROUND Ⅱ

062

PEELED GROUNDⅡ

S C H O O L (ENVIRONMENTAL DESIGN) SENDAI 2017.4-8 3年前期課題で設計した「PEELED GROUND」のデザインコンセプトを引き継ぎ、環境的な提案を加えることで設計案をブラッシュアップする . 屋根と地面が連続する形態ボキャブラリーを環境装置として読み替えることで、様々な広場空間は地域住民だけでなく、風の通り道にもなり、密集した都市に豊か な環境を創出する .


E

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

063

都市と連続するシンボリックな屋根 屋根形状に沿った排熱システム 風の通り道

SCHOOL

SCHOOL

SCHOOL

SQUARE

雨水の集水利用

Design Concept

Environmental Design Concept


風を敷地に取り込むボリューム配置

064

PEELED GROUND Ⅱ

1. 敷地への入り口をつくるように、大通りに面して校舎のボリュームを配置する .

2. 体育館と屋内プールのボリュームを中央に配置することで、敷地内の広場を多様に分割する .

3. 敷地を更地に戻した状態で、フローデザイナーにより風の流れを測定する。南から敷地に入り込むように風流れていることがわかる .

公園

校庭

中庭

4. シミュレーションにより得られた風の流れを敷地の多様な広場に取り入れるため、風の通り道をつくる。さらに、校庭、中庭、公園を緩やかに繋ぎながらも、 風の通り道に干渉しないように、中央の体育館と屋内プールのボリュームを斜めに振り、校舎と接続させる。


風の通り道により、校庭、中庭、公園に対して一様に風が運ばれる . 南から吹く風の入り口は、学校に対する住民動線を作る .

公園屋根 集水場と屋根が連続すること で、立体公園をつくる . ここか らは、小学校の二階に接続し、 地域開放教室の動線になる .

図書館屋根 図書館と家庭科室に面し ており、地域住民がサロ

校庭屋根

ンのように利用できる .

人々が校庭で行われる運動会や、地域イ ベントを観たり、子供達が校庭の延長と して走り回る屋根 .

見晴らし屋根

入口屋根

ここからは敷地全体に目が届き、さらに周辺地域を見

敷地内へ入る人々を受け止める

渡すことができる .

屋根 . 親子が待ち合わせの際に 腰掛けたり、地域住民が休憩で きる .

歓迎の屋根 子供達や地域住民を敷地内に導く屋根 . 人々だけでなく、風の 通り道もつくることで、柔らかい風が通る新たな地域動線を演 出する .

ARCHISCAPE 屋根がつくりだす小学校と多様な広場のコンプレックス

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

065


クラス クラス 校長室 教員室

クラス クラス 倉庫

図書館 トイレ

トイレ

クラス コンピュータ室

066

クラス 図工室

特別クラス

給食室

理科室 クラス

PEELED GROUND Ⅱ

クラス

クラス クラス

1F Plan Scale:1:800 :教室や職員室など小学校独自の室空間


倉庫 保健室

トイレ

図書館

放送室 PTA室

067 家庭科室

2F Plan

ビデオルーム

Scale:1:800 :屋根と連続する地域開放動線 :特別教室や地域開放施設

動線の立体交差 屋根からの内部へのアプローチや吹き抜け空間を利用し、採光が少ない空間を改善することで、一階の小学生の動線と二階の地域の動線が立体的に交差する。

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

児童館


068

PEELED GROUND Ⅱ

北側採光と温熱環境

室内空間の照度の解析(各階 FL+800mm) 照度の解析より建物の光環境を把握する . 日射が入らない北側には光が入るような空間的な 操作を、日射が入る面には太陽光を利用した設備や光量の少ない空間を補う操作を行う .

教室の輝度解析 内壁と天井面に 500~1000mm のスリットを空け、柱で支えることで北側であっても中庭 からの光が天井面に反射し教室に光を届ける .


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

069

交流屋根 . 図書館に面し、人々の休憩スペースになる .

普通教室 . 壁と屋根の間のスリットにより、教室内に光を導くと同時に、屋根形状に沿って熱黙りを逃す .


屋根形状による水循環の形成

070

無水時の公園屋根と公園

PEELED GROUND Ⅱ

窪地の広場を作り、近隣の保育園児の利用を促す。

熱のデザイン 床下に熱源装置を収め、それによる輻射が天井面を反射し、部屋全体の温度を調節する .

雨水のデザイン 屋根に沿って流れた雨水は集水され、ランドスケープを演出し、災害時には非常用水に使われる .

Section Scale:1/200 風解析における屋根配置により、公園に雨水の流れが生まれることを利用する。公園に親水空間を作ることで、公園の利用を促す。過剰な雨水は地下タンクに集水 され災害時の利用やトイレなどの中水利用に使われる。小学校と外部動線の中心に配置し、中心を凹ませることで動線を分けつつ、互いが近くに感じさせる空間を 作る。


071

PORTFOLIO

集水時の公園屋根と公園

OSANAI SHOTA

親水空間を創りだし、雨水の再利用を可視化する。

光のデザイン 教室 . 壁と天井の間にスリットを入れ、反射光を導く .

斜めの屋根により雨水は地面に直接流れることを利用し、雨水が多く流れる公園に親水空間を創る。

ガラス壁面による太陽光発電発電


作品名

072



074


5

075 大学 4 年前期課題 ■指導教員 本江正成、佃悠、土岐文乃

■審査員長 渡辺真理(建築家、設計組織 ADH 共同代表、法政大学教授) 王維仁(建築家、香港大学教授) Kim Young-Sub(建築家) Ahmad Djuhara(建築家) 宮城俊作(ランドスケープアーキテクト、設計組織 PLACEMEDIA, パートナー) 牧紀男(京都大学防災研究所教授) 小野田泰明(東北大学工学研究科教授) ■敷地 宮城県七ヶ浜町菖蒲田浜地区 ■用途 結婚式場+複合施設 ■課題 浜の未来 −七ヶ浜の復興をデザインせよ− コンテクスト 2011 年の東日本大震災では、建築だけに限らず、日本の経済成長を支 えた大きなシステムから、歴史ある人々の営みまでもが、津波によって押 し流された。被災地の一つの七ヶ浜町菖蒲田浜では、震災から5年が経と うとしている中、海からの脅威から守るために人々の住まいは高台に移さ れ、歴史ある海水浴場がある海岸線沿いには巨大な防潮堤が築かれつつあ る。現在、残された海と住まいの間には、曖昧な広い低平地が残されてお り、そこは海のすぐ隣にありながら海が見えず、新たな住宅地とも高低差 によって分断された、孤立したボイドとして残されている。これら住居の 内陸移転に伴い残されたボイドは、緑地や観光用地、商業用地として活用 される未来を待っている。 提案 本設計競技では、この菖蒲田浜の現状を前提に、 『生業の復活と新たな 産業』『まちの拠点・賑わい』 『観光資源としての浜』の3つのキーワード を切り口に、生活と切り離された海との関係を取り戻すための提案を求め る。近年、日本を含めたアジア諸国では、地震や津波、台風や洪水といっ た多くの自然災害にみまわれており、 その被災地の多くは七ヶ浜と同様に、 復興におけるあらゆるジレンマを抱えているのではないだろうか。七ヶ浜 の海と住まいの「間」にはその他、非人間的スケールとヒューマンスケー ル、ハードとソフト、過去と未来、日本とアジア、といった多義にわたる 意味が込められおり、それらを繋ぎとめるために、いかにして建築がその 役割を果たせるのかが、今後大きく問われている。アジアの未来を担う学 生諸君には、ぜひこの問いに対する答えを、自らの経験や知識を活かして、 導き出してほしい。

PORTFOLIO

■審査員

OSANAI SHOTA

BLEESING LINE

アジア建築交流国際会議 2016 学生国際コンペティション 審査員賞


BLEESING LINE

076

BLEESING LINE WEDDING HALL

SHICHIGAHAMA 2016.4-8

津波の記憶を継承する

2011 年3月11日、海際の空間は時に恐ろしい場所となるということを私たちは思い知らされた。今後いつ来るかわからない津波に対して、これからの建築は、 ただ破壊されるのを待つことしかできないのだろうか。震災が訪れるたびに、海際の町並みはリセットされて良いのだろうか。この建築は、津波から住民を守る擁 壁であり、地元住民や海水浴客の新たな生活の場であり、東北で数少ない海際の結婚式場であり、津波の脅威を伝える遺構である。ネガティブなイメージを背負う ことになった菖蒲田地区に、ポジティブな空間を生み出す建築を展開する。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

077

2011 年3月11日に、宮城県七ヶ浜町菖蒲田地区の市街風景は破壊された。


七ヶ浜の津波シミュレーション

BLEESING LINE

078

防潮堤を備えた現在も、菖蒲田地区には津波の危険は囁かれている。

海際空間に結婚式を取り入れる ■宮城県と神奈川県の結婚式場の分布

10km

神奈川県:湘南エリアを中心に結婚式場が海際に集中している

宮城県:仙台市を中心に内陸に結婚式場が集中している

七ヶ浜町は避暑地として、海水浴客や外国人が集まる場所であると同時に、 「東北の湘南」とも呼ばれている。実際に海際空間が賑わう神奈川県と東北のエリアを 比較すると、東北は仙台を中心とした市街地に、結婚式場が多く存在するのに対し、神奈川では湘南の海沿いに多くの結婚式場が存在する。東北の海際空間に新た に結婚式場を設けることで、七ヶ浜町内外から多くの人々を誘致する。また、海水浴客やサーファーといった、昔からの菖蒲田に慣れ親しんだ観光客や地元住民に とっても、幸福感を味わうための新たな産業となる。


Masterplan

擁壁としての建築

Program Diagram

1. 1. 高台に伸びる既存の道を敷地ま 高台に伸びる既存の道を敷地まで延長

Wedding

ると同時に避難経路をつくる。

Sea house

2. 津波が来たとき、避難経路に強 2. 津波が来たとき、避難経路に強い波が い波が到達することを防ぐ。 避難経路をつくる。

Daily necessities 3. 建物を帯状に展開していく。 3. 建物を帯状に展開していく。

塩釜市、多賀城市との差別化 仙台市のベッドタウンとして、居住者の層が似ている隣市。多賀城市、塩釜町には交通の利便性という点で 劣っている。各市町村とも、それぞれ工業製品、漁業が盛んであるが、これからの七ヶ浜町の町作りとして、 隣市との差別化のために、海水浴場などの観光資源を利用したサービス産業が有効である。

4. 津波を中央に受け流す。 4. 津波を中央に受け流す。 Program placement

sasayama

rice field

big space

siomidai

079

PORTFOLIO

Food

で延長し、敷地へのアプローチにす

5. 建物が囲う広場は、結婚式会場 となる。

結婚式と地元店の複合化 プログラムを結婚式場とショッピング、海の家などを含んだ複合施設とする。仙台 市には少ない自然の中で広々と行えるカジュアルな結婚式場を用意する。結婚式産 業は計画的に大人数の来客があるため、通常運営している飲食店、最寄店と提携す ることで運営が安定することが見込める。そして、地場産の食材を扱う、また雇用 を生み出すことで地域経済の促進につながる。また、海水浴客、一般利用客が訪れ ると、時々幸せなシーンに出会うことのできる場所として印象付けられ、ポジティ

6. 屋内では披露宴や二次会が行わ

ブなイメージを持つ土地となる。

れる。

OSANAI SHOTA

sea bathing


shiomidai へ上がる道路を直線上に伸ばした避 難経路は結婚式客の主要アクセスとなる。

+ 1000 中央の広場は挙式場になる。中央がくぼみ、前 方が盛り上がることで、向こう側の下の風景を 隠すことで広々とした空が広がる風景が演出

080

された中で挙式を行うことができる。

parking

preparation room

park and chapel

hole

RC の壁体に盛り土と植栽が寄り添うことでひ だの内側は奥行きが生まれ、また緑豊かな半中

- 1000

庭のような空間となる。

snack shop flower shop

book store

restrant

restrant

restrant ショッピングに訪れた人々は2階のブリッジ

壁体の内側に植栽が集まり、人が腰を休ませる

の上から、公園に訪れた人は樹木越しに祝祭の

作品名

庭になる。

場面に出会うことができる。 parking

Site & Ground Floor Plan Scale 1:1000

escape road

PARK PARK

wedding SHOPPING RESTRANT

hotel PARK PARK SHOPPING RESTRANT SEA HOUSE

L scale Isometric:RC の壁をヒダ状に変形させ、諸室を囲むように敷地を縦断させる

escape road


warehouse

linen room

リネン室、倉庫室を後方に置くことで、有事の 際に備蓄として活用をする。

hotel ひだ状の形状から、ホテルの各室は外側にそれ ぞれの庭をもち、プライバシーが守られている 二階のレベルが広いテラスになっており、津波

banquet hall

081

が来た際、緊急に避難できる場所と成る。

back yard

A'

海水浴客、一般客が使用するエリア海の家や シャワールーム、小規模飲食店、外部テラスが

BBQ corner

hotel Parking restrant 結婚式の二次会などで使用できるバーなどの

sea house

parking

restrant

A

飲食店が入っている。海水浴客、地域の人、結 婚式客の利用が混ざり合う。

M scale Isometric 一本の軸線を通し、傍に諸室を設ける

S scale Isometric 波の被害を受けた後でも、早く復旧することができる。のパネルを入れていく。その時のプ ログラムに応じて内外の分け方は変化し、また、仮に津数百年の利用を見越している土木 的な外壁に、数十年の利用を見越した可変可能性の高い木防波の役割を果たす屈強なコンク リートの躯体に対して、内壁には木のパネルを使用する。

OSANAI SHOTA

shower room

rounge

PORTFOLIO

用意されている。

restrant


BLEESING LINE

082

Detail Scale:1/40


638,13 3161,87

9745,87

8797,68 4540,05

400

1000

083

255,57

301,49

OSANAI SHOTA

Scale:1/150

PORTFOLIO

A-A' Section

この建物は津波の流れを一時的に止める役割を果たす。そのために、海岸線に平行な壁は厚さ 600mm の鉄筋コンクリートである。これは、想定高さ 5m の津波に 耐えることができる。また、基礎はべた基礎で、基礎の上に盛り土をし、いざ津波が来たときの浮力に対抗する。地覆植物や低木の生育に十分な深さをとるため、 高いところで1m 盛り土をする。ここに植栽を植え、コンクリートと植栽が融合しながら、新たな菖蒲田が受け継がれていく。


BLEESING LINE

084

公園:時が経つとともに、壁には七ヶ浜の植栽が馴染んでいく .

海の家:住民や海水浴客、サーファーの憩いの場所となる .


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

085

飲食店:普段は地元民の御用達となり、時には結婚式の二次会で利用される .


作品名

086

内観:共有動線は一本の軸線に沿っており、もう片方の建物のアクティビティが可視化される .


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

087

東日本大震災による「被災地」となり、ネガティブなイメージを背負うことになってしまった東北地方 . そのうちの一つである七ヶ浜町菖蒲田地区は、震災の遺構を背負いながらも、たまたまその場を訪れていた人が幸せ を共有できる新たな空間へと生まれ変わる .

防潮林

防潮堤

砂浜

二枚の壁は菖蒲田地区に、海と高台を結ぶ新たな軸線を生み出し、高台からのヴィスタを導く .


088


6

089

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

塔の住処

大学3年後期第二課題 スタジオ優秀作品 せんだいメディアテーク ミュージアムユニバース 出展 ■指導教員 原田真宏(建築家、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO) ■敷地 神奈川県横浜市戸塚区深谷 ■用途 道の駅(多用途複合施設) ■課題 1/1 ワンバイワン。一分 一で建築を考える。 最古 建築書といわれる本に、こ ような事が書かれています。 「第一書 第一章 1 建築家 知識 多く 学問と種々 教養によって具備され、 こ 知識 判断によって他 技術によって造られた作品もすべて吟味される。 それ 制 作と理論から成り立つ。制作と 絶えず練磨して実技を考究するこ とであり、それ 造 形 意図に適うあらゆる材料を用いて手によって達成さ れる。一方、理論と 巧みに つくられた作品を比例 理によって証明し説明 しうるも ことである。 2 それで、学問をかえり見ないで腕 方に習熟する よう努めた建築家 努力 わり に 権威を獲得するようになりえなかったし、 また理論と学問だけに頼った人たちも本 体で なく幻影を追求していたよ うに思われる。これに対して、二つながら十分に習得 した人 、あらゆる 武器で装備された人 ように、意図されているも を権威をもって 獲得し た。」( ウィトルーウィウス建築書より ) 今回 課題で「制作と理論」という言葉をなげかけてみました。 テーマ 1/1 ですから、どちらかといえ「制作」へ 目線を意識しています。建築 提案としてにど ように現れる か楽しみにしています。 プログラム 道 駅です。 カフェを併設する産地直売所及び地域情報提供 コーナーを計画して下さい。


塔の住処

090

塔の住処

COMPLEX

YOKOHAMA 2015.12-2016.1

かつて、米軍によって接収された77万平米の敷地を再生する。戦後に建てられた巨大な電波塔は、日本が敗戦国となったことの証であり、幾度となく周辺地域に 通信障害をもたらした。一方でいつからか、この土地は地域住民に解放されるようになり、電波塔周辺の空間は農地や野球場、公園として町民に親しまれるように もなった。この地域の人々にとって、この塔は負のモニュメントか、なくてはならない拠り所だろうか。この敷地が日本へ返還され電波塔が取り壊される時、米軍 が50年間所有していたという歴史を後世に引き継ぐための提案。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

091

SITE:神奈川県横浜市戸塚区深谷通信所


■工業と街並み

092

横浜市の港湾部で造船業が盛んであったことから、 内陸の戸塚区にも鉄鋼業が流れ込んできた。柏尾川 沿いには工業団地が立ち並び、今なお活気付く町工 場が存在し、金物の雰囲気が街に漂う。 対象敷地である深谷通信所は、77 万平米という広 い敷地であり、富士山や丹沢を望めると同時に、街 中の鉄骨構造体が共存して眺められる固有の風景を 作り出していた。

■電波塔を解体し、新たな構造物へと転換する 鉄の人工物を深谷地区固有の風景として捉える。 米軍が撤退した後、敷地中心部に存在している鉄塔は姿を消し、スケールを変え

塔の住処

た新たな鉄の構造物が広大な土地に広がる。

■変貌するランドスケープ 深谷通信所に存在する野球場や農地を円形に沿って再配置する。 そして鉄の構造体を敷地の木々を避けながら共存するように配置 することで、 中心に向かう動線は様々なランドスケープを体験し、 円に沿った動線は様々な施設をめぐることができる。

多機能ランドスケープ

多機能構造体


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

093


094

機械室

受付

塔の住処

カフェ 休憩所

倉庫 A'

休憩所

企画運営室

事務室

Case: 道の駅 Plan Scale:1/400

トイレ

ギャラリー


095

物販

物販

物販

レジ

物販

地域発信ルーム 物販

OSANAI SHOTA

レジ

PORTFOLIO

A


Elevation Scale:1/400

096

A-A' Section

塔の住処

Scale:1/400


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

097


塔の住処

098


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

099


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7

101

大学 2 年後期第二課題 スタジオ最優秀作品 ■指導教員 石田壽一、小林光、井上宗則、藤山真美子 ■敷地(任意) 東京都中央区月島 ■用途 住宅 ■課題 SRC house (Sustainable・Resilient・Comfort) 東日本大震災は、これまでの「居心地の良い住宅」のあり方に根本的な問 いかけを投げつけた。ライフラインである電気・ガス・上下水等のインフ ラ供給に依存して成立する「居住」は、それが遮断された瞬間にブラック ボックス化する。現代住宅の脆さが改めて露呈した瞬間である。 震災からの復旧復興過程でさまざまな先進的な取り組みや提案が見られる 一方、「持続的で・弾力性に富み・快適な住宅」 (注1)モデルは、防災集 団移転の現実を見ても、いまだ復興地域で十分に実現されていないように 思われる。 本課題 SRC house では、 先の震災を教訓に、 本来、 住宅に備わるべき 「用・美・ 強」(注2)を現代的な視点から再考するとともに、これを有する統合的 な居住環境をこれからの復興地域の次世代住宅モデルとして提案し、設計 することを目的とする。 本設計演習課題の目的は以下の3点に要約される。 ① 木造住宅設計の基本的知識と図面表現(二級建築士に必要な基礎技術) 習得 ② 省エネ・災害弾力性・快適性を担保するシステムと環境デザイン提案 力習得 ③ 上記を踏まえた「空間美」を備えた統合的な住宅設計提案能力の向上 以上から、次世代型「用・美・強」住宅の設計を行うことが本課題の主た る目的である。

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

ロジの家


ロジの家

102

ロジの家 HOUSE

SENDAI 2014.12-2015.1

戦前の住宅に愛されていた「中間領域」に路地を引き込み、街と人と自然が交わる住宅を設計する。 住宅が街に開くのではなく、街が住宅に入り込むように、路地と住宅が接続することで、街が生活感を獲得するような住宅の提案。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

103


ロジの家

104

Concept Drawing


105

高層ビルが林立する中、 昔ながらの下町風景を残す月島地区。 幅2mもない路地を挟むように連なる長屋は、周囲のビル群 と対照的に存在している。家と家の隣地境界は路地で区切ら れており、 長屋に挟まれた路地裏には住民の生活がはみ出す。 Site:東京都中央区月島

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

SITE


Diagram

106

一般的なイエ型

路地が貫通する

家と街は二次元的な面で領域を明確に分ける

路地が家に入り込むことで、街が家と三次元的 に接続し、街が家の様々な表情を獲得する


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

107


ロジの家

108

1F Plan Scale:1/100

Childroom

0

Study WIC

Bedroom -500

WIC Childroom WC

2F Plan Scale:1/100


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

109

Site Area

:262.5㎡

Building Area :127.5㎡ Total Floor

:155㎡

1F :81㎡ 2F

:74㎡


110

7850

Attic 5800

Child Room

WIC Bedroom

3700 3200

Bathroom

WC

Living

600

A

A-A' Section ロジの家

Scale:1/100

West Side Elevation Scale:1/100

GL

A’


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

111

室と室をつなぐ動線に路地が加わり、暮らしに内と外を交差させる。半屋外空間としての路地は居住者と街の緩衝地点として、新たな中間領域となる。同時に路地 は光と風、視線の通り道となり、部屋、家、街のみで完結していた環境が交わり、暮らしに幅を与える。


112


8

113

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

杜の屏風

第一回トンチク・ファニチャー・デザインコンクール 最優秀賞 実施設計作品 ■審査員長 石田壽一(東北大学工学研究科教授) ■審査員 湯口巌(タカラスペースデザイン) 清和研二(東北大学農学研究科教授) 内山隆弘(東北大学キャンパスデザイン室) 遠藤俊孝(JR 東日本仙台駅長) 石井圭(JR 東日本仙台支社事業部長) ■敷地 仙台駅 東西自由通路 ■用途 什器 ■課題 2016 年春に使用開始が予定されている仙台駅東西自由通路上のイベント ブースで、地域イベント等と連動して行う臨時販売に用いる販売什器のデ ザインを募る。地域の特色を生かしたデザインを期待する。


杜の屏風

114

杜の屏風

FUNITURE

SENDAI 2015.8-9

空間を大きく、簡単に変化させることのできる「屏風」。 日本の伝統的なものである「屏風」と仙台の象徴である「杜」の空間により、東西自由通路に変化が生まれ、飽きることなく使われる場を提案する。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

115


■東西自由通路に風景をつくる かつての東西を結ぶ通路は、多くの人が利用しているにも関わらず、変化がなく、寂しい空間であった。 新たに建設される東西自由通路は大きく、光にあふれ、さまざまな人が行き交う場となると考えられる。 新しく生まれる場の魅力を引き出し、毎日利用している人に新たな風景を見せられるような什器を提案する。 またこれから期待される国内・国外からの観光客を引きつける空間を考える

杜の屏風

116

■屏風が生み出す自由な場 日本の伝統できな家具である屏風。屏風は簡単に設置・収納できるが、簡単に囲われた空間や象徴的な場を 作り出すことができる。また屏風は見る角度や光によってさまざまな表情を見せる。そうした特徴を活かし た什器により東西連絡通路に変化を与える。

象徴的な場をつくる風景

▶︎

多様な活動の場をつくる屏風

■屏風×杜がつくる風景 屏風に仙台の象徴ともいえる「杜」の空間を掛け合わせる。杜の空間がさまざまな植物が多重に広がる事で さまざまな場を生み出している。そうした特徴を屏風とあわせることで、普通の屏風にはない活動の場や視 線の重なりを作り出し、象徴的な場だけでなく、人の集まる場を作り出せると考えた。

杜と屏風


117

■商品を引き立てる格子 格子状の屏風は見る角度や光りによりさまざまな表情をみせる。面の正面からは反対側の様子と商品が重なって見えるが、面の斜めからみると反対側を透過せず商

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

品が浮き上がる。


買手エリア:

118

売手エリア:

展示販売イベント時

冷蔵商品販売時

平積み販売時

■組合わせにより多用途に対応 屏風は一枚づつ組み合わせる事で、さまざまな用途に対応することが可能。下記の3タイプをベースとして販売商品や季節、イベントにより異なる組み合わせが可

杜の屏風

能。上下の向きを反転するだけでも通りの雰囲気を変えられる。

冷蔵ケース使用時

Plan Scale:1/50

Elevation Scale:1/50


展示販売イベント時

119

Plan

Elevation Scale:1/50 平積み販売時

Plan Scale:1/50

Elevation Scale:1/50

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

Scale:1/50


5 30 30 30

120 15

Detail Elevation:格子

杜の屏風

Scale:1/5

Detail Selection:天板取付部 Scale:1/5

Axonometric:着脱式蝶番

■容易な設置・収納 設置・収納の容易さは屏風の最大の特徴の一つと言える。 「杜の屏風」は一枚約 6.8kg と重さとしては男性一人で容易に運ぶことが可能。二枚の面を組み合わせて いくだけなので設置もよういである。また板状であるため、収納ケースはもちろん平積みしておく事も可能。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

121


杜の屏風

122


コンペ案はその後検討を重ね、実施に至った .

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

123


つながる隔たり

124


9

125

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

つながる隔たり

津島市天王通り再生プランコンペ 佳作 ■審査員長 難波和彦 ■審査員 浅野 聡 ( 三重大学大学院工学研究科 准教授 ) 生田京子 ( 名城大学理工学部建築学科 准教授 ) 宮脇 勝 ( 名古屋大学大学院環境学研究科 准教授 ) 加藤義人 ( 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社政策研究事業本部 執行役員 ) 日比一昭 ( 津島市⻑ 一級建築士 ) ■敷地 愛知県津島市天王通り ■課題 津島は、全国 3,000 社といわれる天王信仰の総本社である津島神社の門 前町として、また、木曽川の支流である天王川の水利を活かした湊 町と して古くから え、近年においては毛織物産業の産地として大いに賑わい ました。名鉄津島駅から津島神社まで一直線に続く、長さ約 1km の天王 通りは、昭和初期に新設された道路であり、通りの両側には商店が軒を連 ね、津島神社までの参道として、多くの人が行き交う活気にあ ふれた大 通りでした。しかし、豊かで活気にあふれた天王通りも、まちの人口減少 や高齢化に伴う後継者不足のため、 空き店舗が増加してシャッター街化し、 さらには取り壊しも進んで駐車場や更地が増えてきています。 本市では、天王通りを「賑わい交流軸」に位置付けるとともに、天王通り を津島神社の参道に見立て、空き店舗を有効に活用するなど、津島駅から 津島神社までの賑わいを創出する “ 天王通り再生プラン ” を全国から募集 します。


126

微高地に位置し、天王通りに面する空き家に対し て、出入り口を背面道路側に変更する改修を提案 つながる隔たり

する。新たな出入り口前には、原則半屋外空間を 挿入する。これにより、活動領域が、天王通りか ら隔たれた場所に発生し、「津島界隈」が形成さ れる。そして、天王通りは種々の機能と空間的に 分節され、参道空間としての神聖さを得る。駅前 空間と門前空間に「津島界隈」が挿入されること で、段階的な都市空間が再構成される。 目抜き通り

裏道

Main street

Side street

天王通り

参道

The approach to the shrine

界隈

Activity space

天王通り

つながる隔たり COMPLEX

SENDAI 2017.10

■参道空間と隔たりを有する津島界隈の創出 段階的な都市構造 津島駅—津島神社間は、かつては天王川により分断されていた。そして、東岸側は、河川近傍の微高地から、津島駅が立地する低平地という、段階的な地形的特徴 を有している。 受け継がれてきた都市の形/理念的な都市の形 微高地には、中世の道路線形が多く残されており、地形的特徴と都市施設の密接な関係性がみてとれる。これらは、長い間受け継がれてきた都市の形である。一方、 天王通りをはじめとする近・現代に建設された道路の多くは、道路構造令といった統一的な基準のもとにつくられた、理念的な都市の形である。こうした 2 つの 都市の形が適切な「隔たり」を有することで、参道空間と界隈が緩やかに結びつく、これからの新たな「日本の都市空間」を提案する。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

127

門前空間

津島界隈

駅前空間

名鉄尾西

名古屋津島

昭和南本町

津島駅

天王通

又吉昭和

橋詰見越

三本柿街道

上街道

天王川

津島神社 天王川の西岸に広がる門前空間

微高地にたつ市街地

駅を中心とした低平地

微高地に位置し、天王通りに面する空き家に対して、出入り口を背面道路側に変更する改修を提案する。新たな出入り口前には、原則半屋外空 間を挿入する。これにより、活動領域が、天王通りから隔たれた場所に発生し、「津島界隈」が形成される。そして、天王通りは種々の機能と 空間的に分節され、 参道空間としての神聖さを得る。駅前空間と門前空間に「津島界隈」が挿入されることで、 段階的な都市空間が再構成される。


作品名

128

天王通りと裏道を繋ぐ旧道を再構築し、人が引き込まれる空間となる。 オブザーバー

既存の活動団体

愛知県

NPO 法人まちづくり津島

津島市

天王通商店街振興組合

専門家

コンサルタント等

協力

建築士

津島界隈創出協議会(仮)

成し、横のつながりを強化され、将来ビジョン の共有や施設管理のノウハウ蓄積等を円滑化

制度と整備内容の擦り合わせ

事業 主体

● 地域の実情に応じた活動を推進するた め指定管理者制度により、運営に参画

津島市 等

・連携した企画の実施 ・運営ノウハウの共有

● 収益施設を中心に整備・運営

【拠点施設】 ファブラボ、運動施設 等

・空き家を中心とした 物件の紹介 ・実績に基づいた事業 メニューの案内

【事業メニュー】 空き家再生等推進事業(活用事業タイプ)、 街なみ環境整備事業 等

運営

○○○

既存組織の代表メンバーによる検討チームを形

● 導入施設の検討

計画

にぎわい創出機構 OSHI

■界隈を創出するプラットフォームの構築 効率的な事業推進を目的に、既存の活動団体の横のつながりを 強化し、種々の活動内容を一元的に集約する協議会の立ち上げ を提案する。協議会は、空き家の改築案の検討や運営への参画 を行う。また、地区の将来像や補助事業に関する情報等の共有 に加えて、整備後の課題や改善策をフィードバックする場とし

民間

ても機能する、まちづくりのプラットフォームとなることを目 指す。


事業展開のイメージ

129

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

1. 天王通りに面する空き家の改築手法として、裏道を生かした界隈の創出を明示することで、受け継がれてきた都市の形への関心を高める。

2.「隔てる」操作を、通り沿いの空き家に連鎖的に適応することで、天王通りの参道としての性格が強化される。

3. 街区の正面性を天王通りから引き剥がすことで、天王通りを軸とする線的な都市空間が面的な広がりを持つこととなり、地区全体に賑わいをもたらす。


130

つながる隔たり

昭和初期に、津島駅と津島神社を結ぶようにして、天王通りが整備された。通り沿いには商業店舗が連なり、活気に満ちた線的な都市空間が出現した。

不毛織物産業の衰退や高齢化に伴う後継者と共に、天王通り沿いの店舗は次々とシャッター街化し、空き家問題が深刻となっている。天王通りがもたらした線的な 都市空間の脆弱性が顕在化している。 側面が空地に面した空き家の改修案。屋外広 場と大きな屋内空間を利用した運動施設を導 入する。天王通りから裏道に向かって、屋内 /半屋内/半屋外/屋外という段階的な広がり を持つ空間を構成し、裏道との緩やかな空間 的なつながりを形成する。空地側の棟は屋外 性の強い空間、空き地から最も離れた棟は、 屋内性の強い運動ができる空間とした。

門前空間

津島界隈 津島の伝統的な 町家が連なる。

アトリエ

作業

津島の歴史的な街並みを持つ本 町通りに対し、伝統産業である 毛織物を受け継ぐ場となる。

販売 倉庫

天王通りと本町 した裏道は、通 ラリーを起点に ティックな通り

毛織物産業 民泊

ギャラリー

受付 宿泊所

工房

バー

食堂

街中映画館 映画

バー

街中の夜の溜まり場となり、 シェアハウスに集う人や地 元の人の交流の拠点となる。

シェアハウス

地元で取れた食材を 販売する。地域の核

売店

のひとつとなる。

生活に必要な物を身近で

きる。地域外からの流入 ても住みやすい空間とな


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

131

側面に空地、裏道側に水路のある空き家の改 修案。空き家にはカフェを導入し、空地は菜 園場とする。水路の水を利用して栽培された 植物がカフェでふるまわれる。菜園場は天王 通り沿いからのアクセスを限定するため、裏 道を中心とした人の流れを誘発する。内部に 水辺空間との一体性を確保する大階段を配置 することで、街の中の憩いの場となる。

駅前空間

町筋を結ぶ雁行 通り沿いのギャ に、アーティス りとなる。

遊歩道

休憩所

天王通りから離れた裏道も、 空き地を利用した緑道空間を 設けることで繋がりを生む。

運動後は水際空間で涼 み、カフェで休憩する。

運動場

カフェ

休憩所

会議室 / 交流拠点 売店

で調達で 入者にとっ なる。

シェアハウス

天王通りのインフォメーショ ンセンターとして機能する。 町の歴史や開発の手順などを 紹介する場所となる。

Info


通常 空き家

伝統的町並み

緑・花壇・植栽

椅子・腰掛け

コミュニティサイクル・駐輪場

132

灯火・ビジター席

つながる隔たり

内部可視化

カフェの大階段からは、水路や畑などの屋外空間が見える。

のれん・広告

アート作品


入する。3間の間口から

を確保し、間口方向に

する構成とすることで

む多様な空間を生む。

れる様子が天王通りに

の広がりを促進する。

カフェ

133 空き地は、水路の水を使っ た菜園場とし、作った野

側面に空地、裏道側に

菜はカフェで提供される。 旧道側に開いた大階

修案。空き家にはカフ

段がカフェ のくつ

園場とする。水路の水

ろぐスペースとなる。

植物がカフェでふるま

通り沿いからのアクセ

水路を再整備に、夏場

道を中心とした人の流

は冷涼空間として人々

水辺空間との一体性を PORTFOLIO

が集まる空間となる。

天王通り

『main street』+『house』+『side street+space』+『space』 側面に空地、裏道側に水路のある空き家の改修案。空き家にはカフェを導入し、空地は菜園場とする。水路の水を利用して栽培さ れた植物がカフェでふるまわれる。菜園場は天王通り沿いからのアクセスを限定するため、 裏道を中心とした人の流れを誘発する。

OSANAI SHOTA

することで、街の中の

内部に水辺空間との一体性を確保する大階段を配置することで、街の中の憩いの場となる。

ギャラリー

映像スクリーンが垂れ下がり、 まちなか映画上映会が定期的 に行われる。 天王通りからは映画上映や ギャラリー展示の様子が見え、 来訪者に興味を惹かせる。

両隣を建築物に挟まれ

展を開催することので スキップフロアのデッドスペース

スキップフロアの構成によ

は、展示備品の収納場所となる。

り、多様なレイアウトの可 能なギャラリーとなる。

入する。3間の間口から

を確保し、間口方向に

する構成とすることで

む多様な空間を生む。

れる様子が天王通りに

の広がりを促進する。 天王通り

『main street』+『house』+『side street』+『house』 両隣を建築物に挟まれた空き家の改修案。個展を開催することのできる小ギャラリーを導入する。3 間の間口から裏道への視線の 抜けを確保し、間口方向にスキップフロアを配置する構成とすることで、垂直方向の変化に富む多様な空間を生む。様々な高さに 活動が現れる様子が天王通りに滲み、裏道側への活動の広がりを促進する。


工房

落書きができる壁一面 のホワイトボードが、 自由な学びが実現する。 棟間は吹き抜け空間 を共有して繋がる。 互い違いに配置された作 業スペースが、裏と表の

134

方向性にリズムを与える。

現在は空き

する空き家

り、技術を 再構築された旧道は、緑道として整備さ れ、子供達の遊び場として解放される。

場を導入す

人を引き込

抜けを確保

デザインに

の人の流れ

つながる隔たり

天王通り

『main street』+『house』+『side street』+『side street』 現在は空き地となっている消失した旧道に面する空き家の改修案。個人的な作業を行ったり、技術を享受し合ったりできるような 作業場を導入する。2 棟を半屋外空間でつなぎ、人を引き込む場所とする。長手方向の視線の抜けを確保しつつ、消失した旧道は、 外構のデザインにより明示し、天王通りや裏道からの人の流れを誘導する。

運動場 棟間での移動も可能であり、 大きな空間として使用する ことができる。 更衣室やお手洗いを設け、街 に開放されたスポットとなる。

屋内空間。ジムとしての 機能が入り、ヨガやスト 屋外広場に近い場所は、土間

レッチなどを行う。

空間を大きく設置し、雨天で

側面が空地

も体を動かせる空間となる。

場と大きな

入する。天 2階吹き抜けとして解放

/半屋内/半

した壁面では、ボルダリ

を持つ空間

ングを行うことができる。

的なつなが

性の強い空

屋内性の強 天王通り

『main street』+『house』+『side street』+『space』 側面が空地に面した空き家の改修案。屋外広場と大きな屋内空間を利用した運動施設を導入する。天王通りから裏道に向かって、 屋内 / 半屋内 / 半屋外 / 屋外という段階的な広がりを持つ空間を構成し、裏道との緩やかな空間的なつながりを形成する。空地側 の棟は屋外性の強い空間、空き地から最も離れた棟は、屋内性の強い運動ができる空間とした。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

135

運動場には広い半屋外空間があり、雨の日も子供達の遊び場になる。


事業展開イメージ

つながる隔たり

136


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

137


つながる隔たり

138


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

139


140


10

141

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

HELIX FOREST

八幡浜市保内総合児童センター(仮称)デザイン設計競技 ■審査員 青井 倫子(愛媛大学教育学部教授) 東野 淳(愛媛県建築士会八幡浜支部副支部長) 橋本 顕治(八幡浜市副市長) 原 政治(八幡浜市産業建設部建設課都市デザイン室長) 繁桝 紀子(八幡浜市子育て支援課課長補佐) 高島 範子(八幡浜児童センター長) ■敷地 愛媛県八幡浜市保内地区 ■用途 保育所+児童センター ■課題 八幡浜市では、旧保内地区にある3保育所を統合した新たな保育所と子育 て支援施設となる児童センターを同敷地内に併設します。保育所及び児童 センターは子ども・子育て支援の核となる施設であり、利用する子どもに とって、明るく、親しみがあり、かつ子供の視点に立って快適で安全なも のでなければなりません。また、保育士等職員が円滑に活動できるための 工夫も必要です。 本設計競技では、当市に存する「日土小学校」 「旧川 之内小学校」「旧日土東小学校」のようなシンプルな木造建築で、明るく 木の温もりのある施設を念頭においた上で、さらに、単なる温故懐旧の施 設ではなく、色彩、採光など、新たな柔らかい視点での創意工夫を感じる ことができる施設を歓迎します。 これらのことを基本に、今後の児童福祉施設(保育所・児童センター等) のスタンダードとなるような、新しいアイデアを募るため、本設計競技を 実施します。


HELIX FOREST

142

HELIX FOREST KINDERGARTEN

SENDAI 2017.7-8

人々の活動をつなぐ螺旋の森。

HELIX FOREST は、児童を中心とする様々な人の活動が拡張し、混ざり合う建築である。空間的なまとまりをつくりながら、螺旋状の壁面が隣接する空間をつなぎ、 さらにその隣、またその隣の空間を巻き込む。どこにいても風や光を感じながら、自分の居場所を見つけることができる螺旋の森を提案する。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

143

concept diagram

垂直面が空間を分断する。

空間を閉じながら開く。

螺旋壁が空間の相互浸透を生む。

空間がつながりながらまとまりをつくる。


■ 四面体 - 閉螺旋モデル Tetrahedra Enclosing Helices Model スギ構造用製材(150×150)

144

TEF モデル

0mm

425

■ Type of Unit

正四面体フレーム + 螺旋面

正四面体フレーム

TEH モデルは、配置する向きにより、開口部が変化する。

折り紙アーティスト布施知子氏が考案した ”TEH モデル ” を参考に、建物の

2 次元から 3 次元をつくりあげる折り紙を参照したことによ

骨格を構築する。ベースとなる正四面体のフレームは愛媛県産スギ構造用製

り、本提案も全ての部材が平面で構成されている。3 次元曲

材(150mm 角)を用いる。このフレームの 4 辺を閉じるように木板を嵌め ることで、構造と一体となった螺旋状の壁面が形成される。

螺旋面の展開図

面のない、単一のユニットを設定することで、コストの低減 及び施工の効率化につながる。

■ Combination of Units

Corridor Corridor

Wall

Large Space Large Space

Medium Space Space Medium Porous

HELIX FOREST

Porous

Porous

Solid

Solid

TEHモデルが林立する様は、一見複雑な構成に見える が、動線部分は視線が抜ける構成となっており、 「 明瞭 な迷路性」 とをいうべき空間となっている。

TEH モデルを直線方向に接

TEH モデルが林立する様は、一見

TEH モデルが直線方向だけではなく、直

TEH モ デ ル を 垂 直 に 重 ね る こ と で、

続することで閉じた壁やポー

複雑な構成に見えるが、動線部分は

角方向にも接続可能であり、まとまりある

球技にも対応可能な大空間を形成する

ラスな壁が生まれる。

視線が抜ける構成となっており、 「明

空間をつくり出す。

ことができる。

瞭な迷路性」とをいうべき空間と

螺旋壁が人の動線や視線の抜けを作ることで、保育所と市民センターが相互に関係しあう流れを生み出す。 なっている。

敷地は、谷筋や海から風が吹き抜ける、風の結

子供を預けにいく近隣住民、中央の通りにより保育所の様子

入り込む動線

が見えることで安心して預けることができる。

車で子供を保育園に預けにきた親、市民センターを通り抜け ながら保育所へ向かうことで育児する親にも市民センターで の活動を促す。

体育室で運動をする住民、保育園、市民センターにはさまれ たエントランスより、建築内のアクティビティが垣間見える。

通り抜ける動線

■ 相互につながる動線 螺旋壁が人の動線や視線の抜けを作ることで、 保育所と市民センターが相互に関係しあう流れ を生み出す。


145

保育所

75,000 3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

A →

3,000

B →

医務室 職員室

ほふく室

3,000

調理室

倉庫

職員トイレ 職員トイレ 更衣室 更衣室 トイレ

倉庫

遊戯室

3,000

OSANAI SHOTA

3,000

3,000

PORTFOLIO

3,000

乳児室 一時預かり室

保育室

保育室

3,000

保育室

保育室

54,000

3,000

エントランス

9,000

パサージュ

3,000

児童センター 3,000

相談室 調理室・遊戯室

園庭

3,000

図書室

エントランス

3,000

3,000

体育室 授乳室 トイレ シャワー室

3,000

集会室

事務室 倉庫

プール

3,000

トイレ

3,000

3,000

B’ →

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000 51,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

3,000

A’ →

Plan Scale:1/500 敷地を南北に分け、北側に保育所、南側に児童センターを配置する。各建物の間は、幅 9m のパサージュとなり、それぞれの室からのアクティビティが 滲み出す 空間となる。敷地の奥に進むと、保育所の遊戯室と児童センターの体育室に囲まれた園庭が広がり、子供達の活発な活動が溢れる空間となる。 駐車場及び駐輪場 は敷地南側にまとめ、 「駐車場 C」と一体的な利用を計り、人と車の動線を分離する。内部空間は、正四面体の木造フレームのの連結 によって構成することで、各 室が緩やかにつながっていく。


HELIX FOREST

146


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

147

木板螺旋壁

木造フレーム

■ 安定的かつ粘り強い構造 四面体を基本とする斜め柱と梁により、全体形を形成している。斜め柱は全てトラスを形成しており、構造的に安定して いる。また、想定を超える大規模地震等で、万が一、部材が座屈した場合でも、バランスよく螺旋壁を配置することで、 連続崩壊を抑制する粘り強い構造となっている。


れを生み出す。

敷地は、谷筋や海から風が吹き抜ける、風の結節点となっている。 この様々な風が建物を通り抜けていくように、螺旋壁の配置を調整した。

148

HELIX FOREST

敷地は、一年通して良好な風環境にある

谷からの風

海からの風

▼GL+3500 300 ▼GL+3200

2700

▼1FL=GL+500 ▼GL

500 ▼GL±0

24000

24000

A-A' Section Scale:1/150

▼A-A’ 断面パース S=1/150

300 800

5600

▼GL

500

24000

B-B' Section Scale:1/150


■ 風の結節点 敷地は、谷筋や海から風が吹き抜ける、風の結節点となっ ている。この様々な風が建物を通り抜けていくように、 螺旋壁の配置を調整した。

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

149

廊下を軸とした風の流れ

9000

21000

0

2

4

6(m)

0

2

4

6(m)


150

医務室

保育室の子供の声が、螺旋壁の奥から パサージュへ聞こえる。 パサージュは、遊ぶための十分な幅、長さが

HELIX FOREST

あるので、小さな屋外利用ができる。

エントランスが向かい合うことで、保育所 調理室からパサージュへ持ち込まれた

を使う人々が児童館に寄り道しやすくなる。

食事により、パサージュに料理のにお いが漏れ出す。

0

2

4

6 (m)

▲ メインエントランス メインエントランス

保育所の子供がパサージュへと顔をの ぞかせたり、外に出ることができる。

施設利用者は、螺旋壁とパサージュの間で起こる人々の活動を 見ながらメインエントランスへ向かい、片方の施設だけでなく 両施設のアクティビティを感じることができる。

保育所 / 保育室:螺旋状の壁は部屋にまとまりを与えながら、隣の部屋へ奥行きをつくりだす。

図書室からパサージュに向かう庇の下で読書、前面の保育所の園児の 活動やパサージュが通る人々が見える。

0

保育室+図書室 ▲ 保育室+図書室

2

4

6 (m)


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

151


医務室

ななめに折り合う廊下では、子供たちが、手を洗う、棚から おもちゃを持ってくるなど、子供同士の行動が混ざり合う。

152

0

▲ 廊下(保育所) 廊下(保育所)

2

4

6 (m)

▲ 廊下(保育所) 保育所と児童センターの廊下では、施設を利用する人々が 調理室から食事を屋外へ持ち出して 出会い、螺旋壁がつくる小さなスペースで交流を行う。 食事を楽しめる

車で来た保護者は児童センターの中を通りながら、 子供を保育所に迎えに行く。児童センターを経由す HELIX FOREST

ることで両施設がより身近に感じられる。

図書室

0

2

4

6 (m)

▲ 廊下(児童センター) 廊下(児童センター)

▲ 職員室

パサージュに面する、螺旋壁で囲まれた小 さなスペースに、調理室で料理した食べ物 を運べば、内外一体となった食事スペース ができる。

0

2

4

6 (m)

▲ 調理室 調理室

職員室から視線が抜けることで、遠くにある 保育室を見渡すことができる。

▲ 職員室 職員室

0

2

4

6 (m)


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

153

児童センター / エントランス:パサージュ越しに見える保育所のエントランスと連続性をもつ。


作品名

154

保育所 / 遊戯室:園庭に対して連続性をもち、イベント時は一体的に利用できる。

ガラス越しに室内、室外の様子が見える。屋内運 動施設としてはもちろん、園庭で行われる活動の 事務、準備スペースとしても使われる。

一直線のパサージュから、施設利用者は園庭の 活動をみることができる。

相談室

運動会、スポーツ大会などの会場として利用される。 遊戯室、体育室に挟まれることで、施設と園庭の一 体利用ができる。 0

▲ 園庭+遊戯室+体育室 園庭+遊戯室+体育室

2

4

6 (m)


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

155


156


11

157

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

大島ルーフ

大島交流拠点施設(仮称)デザイン設計競技 ■審査員 片岡由香(愛媛大学社会共創学部環境デザイン学科助教 ) 眞田井良子(日本建築家協会 四国支部会員) 伊藤優士伸(大島区長) 橋本顕治(八幡浜市副市長) 新田幸一(八幡浜市総務企画部長) 原政治(八幡浜市産業建設部建設課都市デザイン室長) ■敷地 愛媛県八幡浜市大島 ■用途 コミュニティハウス ■課題 八幡浜市では、市の中心部から南西の沖合 10km に位置する離島、大 島地区において、島民や観光客の賑わいと憩いの空間づくりを行うため、 地域交流拠点施設を建設します。 人口約 250 人の大島は、どこか懐かしいゆっくりとした時間の流れる ところです。現在、島内には来訪者が自由に滞在できる施設が無いことか ら、島のシンボルとなり、観光客と地元の人たちがふれあえる機能を持ち、 島の自然や風景を生かしたイベントの開催や島での暮らしの情報発信の拠 点にもなる交流拠点施設を整備したいと考えています。 本設計競技では、地元素材をそのまま活用した木造建築で、 利用者もゆっ くりとした時間を過ごすことができ、加えて内装や家具にも木材をふんだ んに使用した温かみを感じることができる施設を歓迎します。これらのこ とを基本に、広くアイデアを募るため本設計競技を実施します。


大島ルーフ

158

大島ルーフ

COMMUNITY HOUSE

SENDAI 2017.4-5

大島にヤネをかける。

敷地全体に植物を植え、その上にヤネをかける提案。このヤネとしての建築の床には、ヴォイドが空けられており、地表面の植物へと自然に視線が導かれる。床下 に展開する植物は、大島の季節を彩る小さな魅力である。大島のヤネは、大島の情報発信をするとともに、見過ごしやすい小さな魅力を伝える建築である。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

159


160

大島ルーフ

■海から山にかけて帯状に連なる大島の魅力の発信

樹木

地形・地質

文化

大屋根 島のシンボルとして機能

架構 木造コアによる一室空間

光・通気ダクト 地表面の日照・通風を確保

家具 + ヴォイド 様々な行為を誘導 + 視線・風・光の通り道 ■建物の構成

風景・営み

海・砂浜


チョウジガマズミ

ハマナデシコ

シャリンバイ

カジイチゴ タツナミソウ

基礎

チョウジガマズミ タツナミソウ ノシラン

161

ノシラン

駐輪場 (垂直 2 段式) 25台

タツナミソウ

ムサシアブミ

ムサシアブミ

タツナミソウ

チョウジガマズミ

シャリンバイ

ハマナデシコ

ノシラン

カジイチゴ

花期:3~ 5 月

花期:4~5月

花期:4~5月

花期:4~6月

花期:6~11月

花期:7~9月

花期:2~5月

高さ:30~60cm

高さ:20~40cm

高さ :1~3m

高さ:1~4m

高さ:15~50cm

高さ:30~80cm

高さ:2~3m

秋に赤い実

紫色の花 / 繁殖力が強い

ピンク色の花 / 白い実 / 落葉

ピンク色の花 / 黒紫色の実 / 常緑

紅紫色の花

白い花 / コバルトブルーの実

オレンジ色の実 / 半常緑

地表面 Scale:1/100 ■大島の植物を植える 地表面には、植物の大きさや床下の日照・通風を考慮した上で、十分成長可能な大島に自生する植物を配置する。

OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

駐輪場 5台


登り梁

木造コア

■木造コアによる開放的な床下の確保 平面構成は 950mm グリッドで構成されている。平面の中央に木造コアを設け基礎を最小

950mm グリッド

化することで、地表面から床下まで、約 800mm の開放的な空間を確保する。また、床の

162

端部を登り梁で吊ることで、跳ね出し部分の床の変形を抑えている。

800mm

休憩

食事

観光情報

物産(販売)

観光情報

事務

■様々な用途に対応し交流を生む家具 + ヴォイド 観光情報・物産販売・事務作業・食事・休憩といった用途には、天板の高さと天板下のガラス面の位置を変化させることで対応した。これにより、室内は、天板と

16

:40

7:3 0

0

3:30 春分|1

:4

3:30

16

|1

夏至

0 3:3

|1

夏至|13:30

春分

7:3

0

秋分|13:3

0

床のヴォイドで構成された、形態的に一体感ある一室空間をつくりだす。

夏至 |

大島ルーフ

ひとつの天板に複数のアクティビティを混在させることで、地域住民と観光客との交流の場を創出

0

3:3

|1

春分 ■空間を緩やかに分節し季節で表情を変える光・通気ダクト 軒先付近は、一定程度の光量は確保されるため、光ダクトは、床下の中央部分を照らすように配置する。光ダクトの傾斜は、春分・夏至・秋分のフェーリー到着時 の太陽光の入射角となっている。また、傾いた光ダクトは、一室空間を緩やかに分節する役割を担う。


眺望の机 庭や風を楽しみ ながら、フェリー を待つ シャワー室

163

2,850

荷 物 を 預 け、ラ ン ニ ン グ を 楽 し ん だ 後、シ ャ ワ ー で 汗 を流す

集いの机

憩いの机

14,250

床 下 に 見 え る 植 物 と、 床下から吹く風を感じ ながらのんびり過ごす

大きな机の回りに は、観 光 客 が く つ ろ い だ り、地 元 の 方 が お し ゃ べ り し た り、 交流の場となる

2,850

3.0

PORTFOLIO

2,850

大 島 の パ ン フ レ ッ ト や、イ ベ ン ト の 案 内 な ど、観 光 情 報を提供する

食の机

2,850

利用客が食事をした り、調 理 す る 人 が レ シピを考えたりする

2,850

物産の机 大島の特産である海 苔や石鹸などが売ら れている

出会いの机 調理の机 普段はカフェのた めの調理場とし て、イベント時は 共同キッチンとし て使われる

Plan

950

950

950 4,750

950

950

部屋全体を見渡せ る場所で、事務作 業をしたり、観光 客の対応をしたり する

OSANAI SHOTA

情報の机


■良好な床下環境をもたらす建物形状 室内及び床下の適切な環境を確保するため、流体シミュレーションを行い、建物形状の決定した。

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海側からの床下への良好な通風が確保され、 基礎による減衰も限定的である。

自然風による換気は、ほとんど期待できないため、頂部に通気用の開口を設けた。

床下の植物による風速の減衰を考慮し、風下側からも風が吹き込む建築を計

これにより、床下から頂部への温度差換気が発生し、床下の湿度の低減や夏季の

画した。建物の風下側に弱風域をつくり出し、それにより発生する縦の循環

室温上昇を抑える効果が期待できる。

流に乗った風が床下までスムーズに導かれるように屋根形状を決定した。

大島ルーフ

山側から床下への風の吹き込みは無く、海側から弱風が吹き込む。

■頂部の開口 頂部に開口を設けることで、空気の滞留を防ぎ、熱だまりや湿気を逃がすこ とで結露の防止となる。逃がすことで結露の防止となる。また、上下の開口 により、室内のいたるところで、床下からの風を感じることができる。


OSANAI SHOTA

PORTFOLIO

165

■新しい楽しみ方「大島ラン」 大島は、海岸堤防沿いの道をたどってコンパクトに観光できる。そこで、大島の新しい楽しみ方として、 ランニングコースを設定し、交流拠点施設にシャワー室を計画した。

Section

太陽光

光ダクト :200mm×200mm

照らす地表面の面積と室内のスケール感を勘案し、200mm角 照らす地表面の面積と室内のスケール感を勘案し、200mm 角に設定 に設定 一部のダクトは密閉せずに通気ダクトとして活用 一部のダクトは密閉せずに通気ダクトとして活用

800

一部のダクトから雨水が流れ込む

光ダクト長さは、光の到達率が 60% を下回らないように最大 4600mm 光ダクト長さは、光の到達率が60%を下回らないように最大 太陽光

入射光の到達率:80%~60%

4600mmに設定 に設定

水不足の場合は、ヴォイドを 利用して容易に水やり可能 雨水の排水・

敷地内での浸透

敷地内の植物は、大島に自生するものであるた め、時間とともに床下の環境に応じた安定状態 となる。



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