Portforio 20180427

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建築家以前 /

portfolio 2013 - 2018 / 山元隆志 / Yamamoto,Takashi


01

ある街への巣喰い

02

- 家族を解かれた戸建住宅 -

明治大学堀口賞 建築学科賞 レモン賞 レモン展個人賞(宮賞) 近代建築掲載

余り場 の 溜まり場

- 建て繕われた街の無用 -

ERI 学生デザインコンペ 2017 2 位 獲得賞金額 25 万円

集合住宅再生・団地再生・地域再生学生賞 JIA 神奈川ファイナリスト せんだいデザインリーグ予選 5/352

卒業設計

獲得賞金額合計 11 万円

戸建住宅群の体系的リノベーション

ERI 学生デザインコンペ

住宅のリノベーション+複合施設の新築

pp05-30

00

学部設計課題

-1

集約された家

pp31-48

-4

風が紡ぐ

全体講評選出 学内 1 位 archives 掲載

全体講評選出 学内 3 位 studioworks 掲載 gallery0 推薦展示

学部 1 年後期設計課題 稲村ヶ崎•狭小住宅の新築

学部 3 年前期設計課題 青山•オフィスの新築

-2

壁の家

-5

昇華された都市

班内次点

全体講評選出 studioworks 掲載 gallery0 推薦展示

学部 2 年前期設計課題 生田•住宅の新築

学部 3 年後期設計課題 大学施設•リサーチスタジオの新築

-3

個の集合住宅

班内次点

学部 2 年後期設計課題 中目黒・集合住宅の新築

-6

湾岸 Integrated Resort 構想

全体講評選出 班別課題 班内 1 位

学部 3 年後期設計課題 Integrated Resort の新築 pp63-74


03

過渡期の市場

- 次時代へ向かう公設卸売市場の振る舞いの設計 -

学内 1 位 明治大学 archives 掲載

修士 1 年前期設計課題

04

坪庭待留所

- 道と暮らす小松の提案 -

共同設計 小松市民 市長プレゼン

場外市場 + 宿泊施設 + オフィスの新築

修士 1 年後期設計課題

町屋のバス停 + コミュニティスペースへの転用

pp49-56

pp57-62

profile 山元隆志 ¦ Yamamoto,Takashi

受賞歴 明治大学卒業設計公開審査 堀口賞(最優秀賞)及び建築学科賞を重賞 第 40 回レモン展推薦出展 レモン賞並びに審査員賞(宮晶子賞)を受賞 第 26 回 JIA 神奈川卒業設計コンクール推薦出展 ファイナリスト(8 選)選出 せんだいデザインリーグ 2017 出展 セミファイナリスト(20 選、予選成績 日本 5 位 /352) 第 14 回集合住宅再生・団地再生・地域再生学生コンペ出展 集合住宅再生・団地再生・地域再生学生賞受賞 全国大学・高専卒業設計展示会(日本建築学会)推薦出展

略歴 1994.4 生まれ 2010.4 - 2013.3 神奈川県立氷取沢高等学校 2013.4 - 2017.3 明治大学理工学部建築学科 構法計画研究室 2017.3 -   明治大学理工学研究科建築・都市学専攻 同研究室

雑誌近代建築別冊「卒業制作」掲載 ERI 学生デザインコンペ 2017 出展 2 等優秀作品賞受賞・(賞金 25 万円)


ある街への巣喰い

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

- 家族を解かれた戸建住宅 -

05

<作品概要>

<設計趣旨>

化、人 口 減 少、空き家、空き部 屋 の 増 加、

卒業設計:   堀口賞/建築学科賞等

「ある近 代 都 市」を見 つ める。 「近 代 家 族

待機児童、介護問題、住戸の経年劣化等。

制作期間:   2016.4-2017.1

(=自由恋愛の元に形成された意思決定・

この街は近代日本の縮図である。街に生

建築用途:   住居

経済的決定を共にする共同体的社会への

まれた空き家及び空き部屋を体系的にリ

敷地所在地:  神奈川県横浜市金沢区

参加単位)」に向け一様につくられた「近

ノベーション、賃貸化してゆく。ある独り身

作品総点数:  A1図面12枚 / 模型11点

代住居(=nLDK型戸建住宅)」が建並んで

の男性は空き部屋。余剰床の再分配を試

指導教員:   門脇耕三

いる。 「近代家族」は終焉へと向かってい

みる今プロシェクトは地域の生存戦略に

共同設計者:  --

る。縮小を続ける「近代家族」たちと、 「社

とどまらない。来たる明日を、今日と共に

設計の原点:  家族

会参加の括り (=近代家族)を失った者」

迎え入れるべく 「建築」の応えではなかろ

たちは、 「近代住居」の元で相見え生き続

うか。

けることがで きるの だろうか 。少 子 高 齢


1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

case1-10 部分模型

06


例えば、クマノミとイソギンチャクのように。

近代都市は近代住居を前提としていて、近代住居は近代家族を前提としている

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

多様な像へと分かれを見せる家族たちは一様な近代住居と相見え生き続けることができるのだろうか

07

近代家族 =「自由恋愛のもとに形成された意思決定、経済的決定を共にする共同体的社会への参加単位」

「結婚を考えない 20 代単身者」 「20 代、両親と住まう neet」 「40 代、幼子と住まうシングルマザー」 「子が自立し、残された 60 代夫婦」 「70 代肉親と住む、50 代の派遣社員」…

彼らは近代の理想から剥がれ落ちた綻びである

縮小した近代家族と、社会参加の括り [= 近代家族 ] を失った者が共に生きる未来


この街は近代日本の縮図

神奈川県横浜市金沢区 ニュータウン金沢能見台 所在地:神奈川県横浜市金沢区能見台ほか 総開発面積:1,803,900 平米 総戸数:約 5,000 戸(低層住宅 2,400 戸、中高層住宅 2,600 戸) 用途地域等:市街化地域 , 第 1 種住居専用地域 , 地区計画地域 , 建築協定区域 都市計画法開発許可番号: 横浜市建指令第 59 開 1003 号 ( 昭和 59 年 11 月 5 日付 ) 事業主体:京浜急行電鉄株式会社 売主:京急不動産株式会社

1950 年代、最初期に建てられたニュータウンからは高齢化や人口減少、ゴーストタウン化に 直面し困窮する声が絶えず、その後の大規模再開発も直に同様の諸問題に晒されゆくのは明々 白々たる未来である。 今ニュータウンも例に漏れない。 1982 年第 1 期分譲開始 近年空き家化が進んでおり、2015 年時点で空き家率は 8% に到達。 近代家族に向けられただひたすらに反復された nLDK 型住居は子へと住み継がれてはいない。 街は死を迎えるのだろうか。

08


衰退と補完 相互に共生するということ

1982 ニュータウン分譲開始

家族へ配られた nLDK 住居 居住、FI、そして血縁関係 全てが一致している

2016 分譲より 34 年が経過

空き家、空き部屋の増加。

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

居住者と家の

09

プロポーションが崩れている

20XX 空き家率が 20% に到達

改修し賃貸化。 孔に巣喰うかの様に 街に外から入居者が入ってくる


人が減ること、床が残ること。

近代家族の担った社会的役割は、家族像の多様化と共 に空中へと投げ出されている。 女性の社会進出は保育、待機児童問題を引き起こし、 子が離れた高齢者は老人ホームへと追いやられてい る。 家族のためにつくられたハコの中にも、既に家族が住 んでいなかったりして、そうした人々にとってハコ [= 近代住居 ] は自らを社会不適合者たらしめる烙印の ような存在だろう。

20 戸あたりに空き家が出現する確率

地域は活力を失っている。 2040 年、この街の空き家率は 20% に到達。 社会動向の変化と家族像の多様化はこの街にも猛威を 振るい、内実は空き家率、高齢化指数等の数字を越え て疲弊している。子が自立した世帯は部屋を余らせ、 高齢夫婦はケアの拠所を探している。

地域内に 20% 存在する空き家がポワソン性を持ちば らついて存在している。

poisson 分布した空き部屋の抽出

ある 20 戸のまとまりを任意に取り出してみる。

P(X=k)=λ^k・e^(-λ)/k!

平均値λ=20*(2/10)=4

poisson(k,λ,0)=poisson(k ,4 ,0)

空室の出現もポワソン性を持ち、

空洞化は感染するかのように

一住戸内での空室存在平均は 1.0 であった。

10


スクイのメソッド

自治体に登録 空き部屋

入居者が決定

フォーマットに沿い入居者が改築・賃貸化 給排水工事と壁解体工事は自治体指定業者が行う

自治体に登録・賃貸化

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

空き部屋

11

フォーマットに沿い持ち主、施工業者が改築

入居者が決定

給排水工事と壁解体工事は自治体指定業者が行う

解体・小広場化

空き家

自治体が出資し改築・ユーティリティ棟化

隣り合った空き家

自治体が出資し改築・ユーティリティ棟化


「ヘヤ」で目覚め     「フロ」で身支度をし   「イエ」に子を預け働きに出かけ 「イエ」で食事を摂り   「フロ」に入り      「ヘヤ」で眠りにつく人々

[ Item ]

[ ヘヤ ] の誕生

入居

Bed

W.C

利用者:入居者 1 人∼ 持主 :元の世帯主 管理 :地方自治体 施工者:入居者又は世帯主、一部指定業者

Wash

オープン部品やユニット製品で組み上る

入居

[ フロ ] の誕生 周囲 20 戸程度に生まれた「ヘヤ」に呼応し、場所により異なった規 模で計画される。 ヘヤの入居者が日常的に利用するケのユーティリティ棟。地域住民

[ Item ]

も利用可能である。

ヘヤの入居者が利用

Laundry

Locker

利用者:入居者 5-12 人程度 + 一部地域住人 持主 :地方自治体 管理 :地方自治体

Bath

施工者:指定業者

[ イエ ] の誕生

周囲 20 戸程度に生まれたヘヤの利用者、及びに地域住民に向け計画さ れる「ハレ」のユーティリティ棟。ケアや託児など、地域住人からも安

利用者:

ヘヤの入居者・地域住人が共に利用

入居者 5-12 人程度

[ Item ]

定利用者があらわれる。

Kitchen

Care

Dining

Nursery

+ 20 戸に残る地域住人 持主 :地方自治体 管理 :地方自治体 施工者:指定業者

12


title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

case 1. イエ 二住戸改修モデル

13 2f plan S1:150

1f plan S1:150


×3

×40 席

×1

< シェアダイニング > 既存キッチンを核に片方住戸全体に 複数のダイニングが点在する。 「居場所」の複層化が起こっている。

×2

×1

< ケアセンター > 両住戸一部下屋を解体、既存浴室を改築する。 ヘヤの入居者と街の住人が使う

6-10 人受入れ (年齢により前後)

×1

< 託児所 > 住居であった名残と温度を残す。 広々とした子供部屋または狭い保育園。

14


title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

case 2. フロ 利用者 12 人モデル

15

2f plan S1: 150

1f plan S1:150

1 2 3

<1. 外観 > 拡張されたバルコニーは、既存軸組に支えられている

4

<2. 解かれる私有地 > 増築時にブロック塀、柵を撤去、路地化 <3. 役割の変化 > 既存住戸にシャワーユニットを挿入、動線空間を増築 <4. 内観 > 待合室を兼ねたランドリー・ロッカールーム


元々はテラスハウスに全く別の家族が住んでいたが、一 方が空き家化。 対するもう一方の家族は娘が婚姻し出産。拡大家族とし て空き家化した隣家に住まう。 父が要介護者となり、母も高齢者。「イエ」の介護全般 を利用しつつ、長年住んだ住居に住まい続ける。 使うことの無くなった大半の部屋は明け渡し、改築され 「フロ」として生きている。

各地に建つフロは利用人数・あふれ率の算定 を行い地によって異なった規模で設計される

16


title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

case 3. 単身者たちのヘヤ

2f plan S1:150

17 1f plan S1:150

空き部屋に身寄りの無い単身者たちが住まう

基礎増築工事、壁解体工事以外は彼ら自身の手で行われた


ʷ

ʷ

ツイン基礎耐震改修 兼 屋外用トイレユニット増築工事 矩計図 S1:30

18


19

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

case 4. シングルファザーのヘヤ

2f plan S1:150

1f plan S1:150


デッキ 兼 屋外用トイレユニット増築基礎 矩計図 S1:30

20


title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

case 5. 世帯をまたぐ改修とヘヤ

21

2f plan S1:150

1f plan S1:150

<1. 都市像に及ぶ > 元の住戸たちとは真逆からのアプローチ、画一化されすぎた都市構造すら改築と共に崩れてゆく、。 <2. 基礎補強 > 木造住宅耐震改修促進、「スクイ」のそれぞれに補助金を申請、補修基礎にアンカーボルトを設置、増築部の基礎を兼ねる。 <3. 基礎のひび割れ > <4. 浴室基礎劣化 > <5. あるヘヤと住人 > あるのはベッドと机、トイレと洗面台だけ。「イエ」の託児所で働く彼は日常の 9 割をこの区域で完結させている。


ツイン基礎改修工事 矩計図 S1:30

浴室ブロック基礎改修工事 矩計図 S1:30

1 2 3

4 5

22


case 6. 独居老人のヘヤ

屋外用トイレユニットを増設、覆う屋根で軒 下を延長、広縁をエントランス化。施主が空 き部屋を登録、自治体が単身高齢者向けに改 築した。真隣にケアセンターのある小さな和

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

室は、彼にとっての豊かな選択である。

23

1f plan S1:150

2f plan S1:150


case 7.DINKS のヘヤ

テラスハウスの片側を改築。 一部バルコニーも譲り受けた。 子を育む予定の無い彼らにとって この街は、 共働き故の出費を抑える格好の住 処である。

1f plan S1:150

2f plan S1:150

24


case 8. シングルマザーのヘヤ

彼女はここで子育てを考える。 女性の社会参加は熱を帯びているが 母と子の正しい在り方は

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

未だ多様な答えを探し求めている。 少なくとも今の彼女にとって、 この新たな住まいは確かに 働く母としての一助となるだろう。

1f plan S1:150

25

2f plan S1:150


case 9. フロ 利用者 12 人モデル

長年、両親と neet の息子 の 3 人で生活していたが、 関係は悪化。

父の退職を機に息子への一 切の経済的援助を絶った。

唯一譲り渡した一室も断絶 し、息子は自宅という完結 したパッケージから引き剥 がされる。

血縁家族が一つ屋根の下に 住まっているが、ここでは 居住も FI も切り分けられ ている。

2f plan S1:150

部屋を屋外用トイレユニッ ト + ポリカーボネート + 角材で自ら改築、ヘヤへと つくり変える。

1f plan S1:150

26


case 10. 確信犯シングルのヘヤ

不自然で窮屈な秩序から紐解かれた街では、 もはや近代家族は 万人にとっての理想像ですら無い。 彼も意図的に家族を持たない一人である。

title/concept/site/diagram/simulation/method/case1/case2/case3/case4/case5/case6/case7/case8/case9/case10/

違和感にも感じる改築は より自然へと帰した家族の住居の そして街の応えである。

1f plan S1:150

27

2f plan S1:150


これがある街へのスクイ  家族を解かれた戸建住宅

28




title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

余り場 の 溜まり場

31

<作品概要> コンペ :   ERIデザインコンペ2位

<設計趣旨> 「ルール/スペース/ハーモナイズ」がERI学

- 建て繕われた街の無用 -

えてゆくに連れて、溜まり場 も同時に彩 られる。

制作期間:   2017.8-2017.11

生デザインコンペのテーマであり、唯一の

建築用途:   住居/駐輪場/食堂等

設計要項であった。空家や空部屋など、人

場 に 、街 中 の ア マリが 集 まって 調 和 す

敷地所在地:  神奈川県川崎市多摩区

知れず街が余ってゆく様を風景として受

る。溜まり場 の役割は、一人暮らしに足り

作品総点数:  A2図面1枚 / 模型1点

け入れてみた。

ないご飯の支度であったり、家の外に欲し

審査委員:   今村雅樹/木下庸子/

娘が自立し使わなくなった部屋は一定の

い作業場であったり、街に溜まった想いそ

谷尻誠/ 千葉学/平田晃久/安原幹

ルールの元解体され街に開かれる。モノ

のものである。段々と出来上がる新たな集

共同設計者:  浜本雄也/早坂覚啓

に分解された部屋のパーツは、溜まり場

合は様々な構法的工夫の末なんとか建物

へと向かう。解体された部屋の状態その

として成り立っている。一見すると普通で、

ものが 余り場 である。余り場 が街に増

どこか不思議なハーモニーを奏でている。

設計の原点:  街

誰しもに向け用意されたスペース 溜まり


0-1. 静かに街が「あまる」 娘が自立し使わない部屋 一軒家に一人で寂しい老人 車を売ったから要らない駐車場

0-2. 街の誰しもの想いが「たまる」 宅配、受け取っておいて欲しい 誰かにご飯を作って欲しい 気軽に車を使いたい

32


title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

33

-1. RULE 手放したのにむしろ豊かになってしまう 1-1. 受け渡す→ 「余り場」の誕生

1-2. 建て繕う→ 「溜まり場」の誕生 最小限の新材料

ˠ 場所や機能が余る

Before

モノに分解・場所を受け渡す

モノも受け渡す

ˠ

After 誰しもの床(駐輪場)

「余り」で機能を繕う


-2. SPACE あの人の僕だけの誰しもの

2-1. 生田の「余り場」

敷地 : 神奈川県川崎市多摩区「生田エリア」余っている役割や場所全て

生田配置図 s1:10000

2-2. 生田の「溜まり場」

敷地 : 神奈川県川崎市多摩区生田 7 丁目 ,720 ㎡の駐輪場を新築

生田配置図 s1:1000

34


title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

35

3-1.「余り場」生田という街で…

-3. HARMONIZE

解体され建築以下の痕跡となった「余り場」は、街をつなぐ余白となる。

溜まり場が奏でる余り場の

もともとは個別に存在した彼らは一定のルールの元少しずつ開かれ、 「溜まり場」と共に個々ではなし得ないハーモニーを生む。


3-2.「溜まり場」の床の上で… 街中の「アマリ」が集まって調和し、一つのハーモニーが生まれる。 それぞれでは個人の持ち物として精一杯だったモノ達が、 新たな集合として生田の音色に馴染む。

36


+

「余り場」

5,460

計算間違えてた なんて言えない

3,640

37

耐震シェルター挿入

1,820

title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

部屋を解体

土間工房

鳥人間コンテスト 間に合わないよ…

この赤いフレーム、 かっこよくて耐震補強にも なっていて合理的だなあ

5,005

1,365 6,370

[ 部屋のアマリ → 土間工房 ]S1:100


→ 部屋を解体

野晒しジム

→ 耐震シェルター挿入

「余り場」

3,640 6,370 2730

会社帰りに 毎日寄るぞ! もう無理

3,640

3,640

ここタダで 使っていいのかな

3,640

10,920

[ 商店のアマリ → 野晒しジム ]S1:100

38


39

アパートの一室を解体

1,820

1,365 3,185

「余り場」

1,365

1,820 3,185

溜まり場に

1,820

車返してきたよ

火、起きたよ

3,640

5,460

title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

埋まらない空室

庭キッチン

溜まり場に荷物 取りに行かなきゃ

[ アパート一室のアマリ → 庭キッチン ]S1:100


→ 独居老人になる

青空スタジオ

→ 和室と庭を渡す

「余り場」

買い物してきたよ

ありがとう ジュースはあなた達のよ。

2,730

もう無理

4,550 1,820

1,365

2,730

3,640 7,735

[ 和室と庭のアマリ → 青空スタジオ ]S1:100

40


title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

+

車を渡す

41 →

駐車場を渡す

Basket Park ing

「余り場」


→ 部屋を解体

躯体の空き地

→ モノを受け渡す

「余り場」

この場所が僕に 描けと言ってくるんだ

4,550

3,640 910

みんな溜まり場 ついてるって

やっぱり 夢追いかけようぜ

既存の躯体の良さ を十二分に 生かしているなあ… 溜まり場の食堂 混んでっかな…

3,640

2,730

3,640

10,010

[ 家半分のアマリ → 躯体の空き地 ]S1:100

42


title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

[ 土間工房 ]

43

[ 青空スタジオ ]


[Basket Park ing]

[ 庭キッチン ]

[ 躯体の空き地 ]

44

[ 野晒しジム ]


3,000

ランドリー

EV

6,000

直売所

駐輪場

シェアオフィス

15,000

管理室

6,000

駐輪場

駐輪場 宅配ボックス EV 駐輪場

駐輪場

6,000

食堂

カーシェアリング

4,500

4,500

6000

4,500

4,500

24,000

[ 溜まり場 ]1F S1:200

15,000

管理室

6,000

45

3,000

title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage

[ 溜まり場 ]2F S1:200


500

St L-200×75×12 St H-300×150×6 St H-300×300×10 St□-200×200×12

5,500

製品金属笠木 St□-250×100×9

9,500

200 500

300

「溜まり場」のはじまりは開かれ

アマリの窓

たがらんどうの床である。

St [ -50×100×5

「溜まり場」は街中からかき集め

1,000

St L -40×40×5 アマリの廃角材

た余り物で建て繕われている。 だんだんと街のお裾分けが蓄積さ れるかのように、まるで駅前に街 そのものが溜まっていくかのよう

アマリの引き戸

に、 「溜まり場」は年月をかけて、 終わりのない完成へと向かう。

2,000

露出柱脚 StL-40×40×5

・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・・・・

モルタル充填

[ 溜まり場断面図 ]S1:20

46


47

title/concept/rule/space/harmonize/void1/void2/void3/void4/void5/void6/assemblage


[ 余り場 の 溜まり場  - 建て繕われた街の無用 -]


過渡期の市場

- 次時代に向かう公設卸売市場の振る舞いの設計 -

6,000 2,000

2,000

2,000

St梁 H200×200 200 3500

St柱 □200×200

St手

1100

アンカーボルト

700

100

title/background/zoning/structure/plan

RC柱 □600×600

49

350

<作品概要>

<設計趣旨>

少しずつ雑じる彼らは、 「今は」微妙な相

M1前期課題:  学内1位/archives掲載

東京で都市像を模索する際、日本の産業

互扶助の関係を持つ。産業の空洞化に苦

制作期間:   2017.4-2017.7

構造を見つめ直す潮流を十分に

むと同

しむ地方のかつての下請け企業は、地域

建築用途:   場外市場/宿泊施設等

時に、世界的な趨勢も考量せねばならな

での横のネットワークを駆使し方向性を

敷地所在地:  大田区東海

い。

模索している。彼ら各々が大田に据えた商

作品総点数:  A1図面9枚 / 模型4点

市場の拡張と観光拠点。敷地に見出した

店やオフィスは、土地を超えた新たなネッ

指導教員:   大河内学/蜂屋景二

二つの可能性を無暗に混ぜず、別々の欲

トワークの糸口になるかもしれない。市場

/平岩良之

求に基づき設計した。大田場外市場商店

の熱量と観光都市TOKYOを消費せんとす

共同設計者:  --

街と上に乗るホテルは構造上明確に区分

る者たちの熱量。その共存する今設計よ

設計の原点:  築地

され 、プログラムも混ざりすぎることなく

り、東京また日本の未来を提案する。

共存している。互いの距離を探りながらも


<1. 全体構成 > 市場と宿泊の在り方について

1

<2. 市場の試設計 > 余白の収束について

2 3

<3. 宿泊の試設計 > 充填する個室と隙間の関係

4

<4. 主体構造 > 規定されうる計画自由度の検証

50


背景 / 産業構造の変移と観光都市像 Hotel

Hotel

Market

Parking

Market

1. 市場 不可侵の場であった大田市場 + 縮小する産業集積地大田

主要道路

水域

主要鉄道

主要鉄道+アクセス新線

+ 地方に点在する産業集積地 各々に希求される新たなネットワークがある。 大田場外市場商店街を設計し、関係性を編集する。 2. 宿泊 今回の設計敷地周辺において、 ゲストハウス等の宿泊施設への需要が高まりを見せている。 外国人、日本人観光客へ向けた観光拠点としての ホテルを提案する。

面積表 , 面積比較 面積表 40,000m

敷地面積(㎡)

60,904 ㎡

延べ床面積(㎡)

152.3%

容積率(%)

約 20,000 ㎡

建築面積(㎡)

60.0%

建蔽率(%) 総面積

市場 築地の場内・場外の関係

16,560 ㎡

うち市場棟

築地鳥瞰 宿泊

7,740 ㎡

総面積

17,344 ㎡

2階

10,324 ㎡

3階

5,130 ㎡

4階

1,890 ㎡

駐車場

27,000 ㎡

延床面積

60,904 ㎡

title/background/zoning/structure/plan

築地市場との面積比較

大田の場内・敷地の関係

大田鳥瞰

築地

大田

場内(㎡)

230,836 ㎡

386,426 ㎡

場外(㎡)

約 29,000 ㎡

39,346 ㎡

7,400 ㎡

7,740 ㎡

核となる棟(㎡)

その店舗数 その他市場

72

45

約 300

250 程度+屋台

マルクトハルとのプログラム比較 マルクトハル

住居

大田

228 部屋

宿泊

320 クラスター 生鮮 , 花屋 100 店

市場

ショップ

10 店

レストラン

8店

300 クラスター +屋台

スーパーマーケット等

駐車場

51

48

マルクトハル外観

マルクトハル内観

1,200 台

約 1,080 台


全体構成 / 配置計画

市場買い物動線 - 観光客、業者 二本の主軸に沿って商店街を形成 3 棟の市場棟を配置する

隙間の溜まり - 全員 二項に属さない場での滞留の設計

宿泊者動線 - 観光客 敷地中央(バスロータリー、地下駐車場 ) より分散したロビーへ向かう配置計画

早朝搬入動線 - トラック、ターレット 敷地の海側、道路側長軸両面に搬入経路

3,500

Dormitory

Dormitory

4FL Dormitory

3,500

Market

Dormitory

Twin room

3,500

Market

Twin room

15,500

3FL

3FL

2FL

2FL Main street

5,000

Market

Market street

1FL

1FL 3,500

3,500

BFL

BFL

5,400

7,200

5,400

7,200

9,000

6,000 61,800

9,000

7,200

5,400

A-A Section S1:400


֊ ʢࢢ৔ʣΛ 3$ ϥʔϝϯɺ ֊Ҏ্ʢ॓ധʣమࠎ଄Λ‫ج‬ຊ‫͢ͱܗ‬Δɻ

200

構造計画

தԝ෦Ͱͷॎํ޲ͷྗͷζϨ͸น಺ͷϒϨʔεʹΑΓղܾ͢Δɻ

St 200×200

ϗςϧͷΤϯτϥϯεʹ͋ͨΔਧ͖ൈ͚෦Ͱ͸ 3$ ͱమࠎͷ݉߹ ͍ɺԼਤͷঢ়ଶ͕ͦͷ··‫ݱཱͪͯ͠ͱ͑ݟ‬ΕΔɻ

無収縮モルタル アンカーボルト

Hotel Market

600

Hotel

Parking

࿐ग़ப‫٭‬ɹ4

-① 基本フレームの形成 8,000

2,000

9,000

-② 吊り構造による特殊解

-③ 半外部空間の形成手法

一階 RC ラーメンが無いホテル

アーチ屋根

懸垂屋根

/ 鉄骨による吊り構造で

/ 屋根の持つ圧縮荷重を

/ 屋根の持つ引張の荷重を

GL まで柱を落とさない設計

一階 RC に依存させる

上階鉄骨に依存させる

- 市場の構成

- 宿泊の構成

力強い構造と骨太な構成

細やかな構造と細やかな構成

□600 の RC 柱によるラーメン構造

□200 の鉄骨柱による構造

6000×9000 のグリッドを基本単位

6000×8000 のグリッド内での計画

とし店舗を形成する

ドミトリー、ツインルーム等

9,0

6,0 0

00

6,0 0

00 9,0

0

6,000

Street

Restaurant

8,000

Big shop

title/background/zoning/structure/plan

8,000

2,000

9,000

6,000

53

8,000

9,000

Shop

Market

0


6,000

6,000 2,200

3,000

1,600

ダブルルーム

1,000 1,000 1,000 1,000 1,000

ドミトリー

ドミトリー

ドミトリー

ドミトリー

3,000

5,000

シングルルーム

ラウンジ

トイレ

トイレ

バスルーム バスルーム

1

2

3

4

5

ベッドルーム

1,000

シャワー シャワー

ベッドルーム

8,000

ドミトリー 8,000

3,000

2,000

2,200

いずれも平面図 S1:200

6

<1.> ドミトリーの基本構成

トイレ

<2.> ツインルームの基本構成 <3.> 市場 (1 ユニット ) の基本構成 <4.> シェアオフィスの基本構成 <5.>EV コア ( 大型機無 ) の基本構成 <6.> レストラン (2 ユニット ) の基本構成

6,000

6,000

シェアスペース

複合機等

9,000

9,000

個室

トイレ

ミーティングスペース

洗面所 シェアスペース

6,000

自動販売機

6,000

厨房

トイレ

9,000

9,000

EV ホール

トイレ

客席

B-B Section S1:500

Elevation S1:500

54


A

EV

9,000 9,000

ラウンジ EV

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

ラウンジ

大型 EV

大型 EV

9,000 9,000

ラウンジ

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

レストラン

会議室

宴会場

会議室 宴会場

ラウンジ

ラウンジ

大型 EV

宴会場

30,000

⇦ プロムナード

ショップ

9,000

ショップ

ショップ

⇧ 屋 台 通 り

ホテルレストラン

トイレ

トイレ

⇧ 屋 台 通 り

トイレ

土産物エリア

オフィス

オフィス

オフィスエリア ショップ ショップ

ショップ

大型 EV

ショップ

大型 EV

ショップ

ショップ ショップ

ENT

EXIT ⇨

60,000

60,000

5,400 7,200

⇨ ⇨

A

⇨ ⇨

EXIT

⇦ 歩行者専用道路

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

⇦ 歩行者専用道路

⇦ 歩行者専用道路

9,000

9,000

title/background/zoning/structure/plan

EV ホール

シェアオ

55,000

55

トイレ

ホテルロビー

⇦ メインストリート

ホテルロビー

⇧ 屋 台 通 り

ショップ

懸垂屋根

/ ロータリー

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

バスターミナル

ショップ

⇧ 屋 台 通 り

バス等一時駐車場

9,000

B


9,000 9,000

EV

4F Plan S1:1500

9,000

ラウンジ

9,000

EV

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

大型 EV

3F Plan S1:1500

9,000

EV ホール

9,000

宴会場

EV ホール

EV

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

レストラン 宴会場 バー

厨房

宴会場

大型 EV

レストラン

宴会場

2F Plan S1:1500

36,000

プロムナード トイレ

ショップ

ショップ

ショップ

ショップ

レストラン

EV

オフィス

ホテルロビー

レストラン

18,000

/ ロータリー

カフェ・待合室

レストランエリア

レストラン

バスターミナル

オフィス

大型 EV ショップ

ショップ

レストラン ⇨

75,000

レストラン

ENT

EXIT ⇨

シェアオフィス

B

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

⇦ メインストリート

サテライト

トイレ

⇧ 屋 台 通 り

アーチ屋根

メインストリート

ホテルレストラン

9,000

ホテルロビー

⇧ 屋 台 通 り

トイレ

レストラン

9,000

トイレ

オフィス

60,000

1F Plan S1:1500

⇦ 歩行者専用道路

9,000

⇦ 歩行者専用道路

5,400 7,200

⇨ ⇨

5,400 7,200 5,400 7,200 5,400

ENT

ENT⇨

EXIT

9,000

⇦ 歩行者専用道路

B1 Plan S1:1500

56


title/background/actor-network/process/scene/section

坪庭待留所

53

- 道と暮らす小松の提案 -

<作品概要>

<設計趣旨>

に立ち現れる問題に挙げられる。

M1後期課題:  小松市長プレゼン作品

町家を改修する課題である。かつて街の

彼らの主体を考えると同時に、文化の詰ま

制作期間:   2017.9-2017.12

中心として栄えた小松商店街は、文字通り

る小松町家、商店街の人々、さらには商店

建築用途:   バス停等

シャッター商店街と化している。地域の意

街を車道然として通過する車から周辺の

敷地所在地:  石川県小松市

思により幾度も再生が試みられてきたが、

木々まで、小 松 に関わるもの すべてに主

作品総点数:  A1図面9枚 / 模型1点

大 型ショッピングモール の 登 場 等もあり

体性を見出し、ネットワークを再編する。

指導教員:   門脇耕三/園田眞理子

十分な成果には至っていない。反して、こ

変化し続ける不特定の主体たちの中での

/八尾廣

の街には一見安定した車社会がある。典

根源的な持続可能性を追求した結果、特

共同設計者:  今進太郎/杉本まり絵

型 的 な 地 方 都 市 の 潮 流と言え、つまりは

定の欲求のみを設計与件と捉える回路で

/浜本雄也/甲斐英樹

子供や老人をはじめとした車を持たない

は至り得ないプログラムと建築物が建ち

設計の原点:  アクターネットワーク

者、交通弱者達との共存不可能性が、目前

上がった。


こまつ商店街のいま 車社会の安定化により人通りが少なく、車道と化した小松の曳山商店街 かつてはアーケード沿いに商店が軒を連ね賑わっていたが 近隣にできた大型ショッピングモールの影響などを受け シャッター商店街化した

P AEON 商店街の活気を 取り戻したい

車危ないなあ

売り地

住居

空き家

駐車場どこ?

店舗 住居

空き店舗 ----住居 住居

住居

空き家

住居 住居

住居

店舗

ゆっくりおしゃべり できるところ ないかしら…

学校帰りに

寄り道できる

とこないかな∼

まちの結節点 敷地周辺 (1.2 ㎞圏内 ) デイサービスセンター ×2 幼稚園 ×8 10 団体のマイクロバスが街中を日替わりで周遊すると 遠距離移動手段を持たない人々の活動範囲を広げ、

m

1.2k

希薄になった人と人の関係が再編される糸口になる 『 坪庭待留所 』はその拠点空間として設計される 0

5

15

40

54


欲求のあらわれとしての空間 かつて味

の製造、販売を行っていたT家を改修する。

建物はここまで、時代を経るにつれ住人の欲求により空間を変容させてきた   + バスがが敷地内を通過するという欲求 + 交通弱者 ( 子供、高齢者 ) の欲求 新たなアクターの欲求を積極的に取り入れ『 坪庭待留所 』として再編する

1930

便所

クラ

坪庭

住居 ミセ

台所

通り土間

・床面積の確保 =増改築・土間の消失 ・後継者の不足、高齢化 =空き家へ。残りは人に貸すようになる : etc.

2017 テナント

駐車場

空き家

テナント

・車社会の影響を取り込む ・人々の結節点を作り出す

通り抜けられる 道幅がほしい

55

足湯を引く ▼

削って残す ▼

建具で操作 ▼

バスと電車じゃなく 車でも来たい!

おしゃべりが

バスのためのミチは

▼ 駐車場

止まらないような

確保しつつも

空間が欲しい!

元の蔵は残したい!

幼児の人数に応じて 適宜部屋を区切れる ようにしたい!

へこませる ▼

自転車の

メンテナンスが

立ち寄りやすい

したい!

場所にしたい! バスが来るまで

車いすでも自分で

アーケードも

ら 決

作ろう!

▼ 曲面形態に

度 か

▼ 椅子 / 机の設置

▼ スロープを設置 角

使いたい!

上りたい!

新しい玄関を

チ と

一体として

title/background/actor-network/process/scene/section

▼ ミチを通す

ゆっくりしていられる 場所が欲しい!

▼ 待合室

▼ ガレージ


『 坪庭待留所 』が動く仕組み -1) 計画立案… 小松市のバックアップを受け設計提案 -2) 共同出資… 小松大学、2 つのデイサービスセンター、8 つの幼稚園が共同出資

主にイニシャルコストが補われる

-3) 解体工事… 設計に沿い業者が一括で解体 -4) 改修工事… 部分ごとに市民や大学生が参加 / WS で『坪庭待留所』に手を加える -5) 搬入 ,OPEN…自販機、ロッカーなどを搬入、OPEN -6) 運営  … 提携団体の人々は日常の自習や食事会などのイベントに利用可能           その他の時間は、市民がレンタルスペースとして料金を支払い利用

小松市民

提携団体(バスを所有)

小松大学

幼稚園 ×8

デイサービス ×2

← → 土地

オーナー

高校生

大学生

園児

お年寄り

バスの乗車権

← →

お年寄り

家族

利用料

給料

定期利用権

管理

← →

一時利用権・商品

← →

マイクロバス・バン 共同出資

走り庭 シェアキッチン・表の間 離れの間

アーケード 管理室

坪庭待留所

「空家」 → 「停留所」「自習室」「シェアキッチン」などへの編集 坪庭待留所は今後もアクター(登場人物)の変化を受け入れ、姿を変えながら小松と歳月を重ねてゆく

56


町家の名残を持つ左半分と、車に一部を譲った右半分

車に譲られた道も、多くの時間は人々が利用している

バスでここへ来た子供達が、アーケードまで遊びに出ている

ミチで子供達が遊んでいる / 母屋の 2F から老人達が眺めている

2360

幼稚園、老人ホーム、大学のバスを待つ人々 /2F の待合室も賑わう

400

畳の間

4230 土間

2500

奥の間

585

次の間

2495

シェアキッチン 705

2386 956

57

3200

坪庭 走り庭 3330

title/background/actor-network/process/scene/section

母屋への一番大きな入り口 / バスを降りた人々が使う


小松石を用いて足湯が作られている / 地域の人々が集う

最小限の改築で生まれ変わった駐車場に、ミチが挿さっている

元の坪庭が大きく広がっている / 濡れ縁で老夫婦が談笑している

<1.> エントランス <2.> ファサード <3.> 足湯

1

2

3

4

5

6

7

8

9

<4.> バス停

10

<5.> 車のファサード <6.> 駐車場 <7.> アーケード <8.> 庭 <9.> 駐輪場 <10.> 坪庭

既存倉庫を改修 /メンテナンス用具が う倉庫が敷設された駐輪場

離れの間

工房

駐輪場

2828

バス停

駐車場

450

2500

4526

5290

900

カウンター

長手断面図 S=1/300

58


-1. 集約された家

6×6×6/housing/condominium/office/campus/integrated resort

浜辺沿いに建つ狭小住宅の新築

63

<作品概要>

<設計趣旨>

上で 狭 小 住 宅 が 並 ぶ 住 宅 地 を 探し出し

学部1年課題:  学内1位/archives掲載

明治大学の一番最初の設計課題では、各

た。途端に住宅としての必要空間や通風、

制作期間:   2013.10-2014.1

辺6mの立方体のみが設計与件として与

採光、隣家との関係性など、計画学的な設

建築用途:   週末住宅

えられる。予備知識の無い柔軟な思考で

計与件が目前に山積みになった。自ら課

敷地所在地:  鎌倉市稲村ヶ崎

存分に造形し、空間を設計することを求め

題を現実の側に引き寄せ、いつか本当に

作品総点数:  A2図面4枚/模型1点

られた課題であった。出題者の意図を

建つかもしれないと心躍らせ、設計した。

指導教員:

法明

んだ同級生の案にはフォリーやパビリオ

結果的に設計に挑む姿勢そのものを指導

共同設計者:  --

ンが多かった。

教員に評価されたが、 ここでの愚かな取り

設計の原点:  6×6×6

私 は自分 が 一 人で 住まう家を設 計した。

組 みこそ が 私 の 建 築 設 計 の 原 体 験で あ

6×6×6という設計与件にも必然的な理

る。

由がなければならないと考え、魅力的な


<1 4> 空間体験の思考     幅員と採光、空間体験の関係性について  <1> 玄関から暗い土間を抜ける / 土の質感  <2> 薄明かりに沿い歩む廊下、階段 / 狭さ  <3> 大開口のあるダイニング / 外の気配  <4> 段差のあるバルコニー / 隙間から 1 階への採    光をとる。階段 × 庇 × ベンチのデザイン <6> 1 階平面図 S≒1:150 <5> 1 階平面図 S≒1:150 <7> 断面スタディ / 机の高さとロフト、階高の関係 <8> アクソメイメージ <9> 敷地写真 ( 南立面 )/ 南に浜辺、北に山が広が    る住宅地 1

2

3

5

6 8 9

4 7


-2. 壁の家

6×6×6/housing/condominium/office/campus/integrated resort

核家族向け住宅の新築

65

<作品概要>

<設計趣旨>

カタチを高い性能水準で一つの型に収斂

学部2年課題:  班内次点

生活者が直接体験する場、すなわち寝室

させているが、住宅に内在しているエレメ

制作期間:   2014.4-2014.6

やリビングといった居室の単位ではなく、

ントそのものの手によって、その住宅の全

建築用途:   住宅

空間を仕切っている要素そのものに分解

体像さえをも再び揺るがすことが出来る

敷地所在地:  川崎市生田

し、別個に要求性能を思考することを考え

と感じ、構法計画に深く興味を持った。

作品総点数:  A1図面4枚/模型1点

た。すなわちビルディングエレメント論に

最後は凡庸に建ち上がってしまったが、境

指導教員:   門脇耕三

端を発する設計手法を学び模索した。 ここ

界という慣習によって処理されてきた言

共同設計者:  --

では「壁」という実体を持った一つのエレ

葉の定義そのものに、科学的概念を携え

設計の原点:  壁

メントに着目し、彼らの関係性によって描

て迫れるという発見があった作品でもあ

かれ得る実体に留まらない境界線を考え

る。

た。商品化住宅は核家族に向いた住宅の


<1> 壁に隔てられる個人領域と    家族領域、外部との関係性について <2> 空隙の現れ方について <3> 断面構成イメージ <1> と <2> の設計検討 <4> 7 枚の壁と境界 / 濃度の設計 <5> 1 階平面図 S≒1:170 <6> 2 階平面図 S≒1:170 <7> 3 階平面図 S≒1:170

1

2

3

6

7

4 5

66


-.3 個の集合住宅

6×6×6/housing/condominium/office/campus/integrated resort

中目黒に建つ集合住宅

67

<作品概要>

<設計趣旨>

考実験した。全体形には斜線制限等から

学部2年課題:  班内次点

高級住宅街中目黒で、周囲に立ち並ぶ注

形どられ た 半 幾 何 学 的 な 枠 組 み を 与え

制作期間:   2014.9-2014.11

文住宅たちの個性的な描かれ方に魅力を

る。各住戸はその中でパズルのように直

建築用途:   集合住宅

感じ、敷地に個性のプラットフォームを設

方体を連ねて形成される。例えば中庭が

敷地所在地:  目黒区上目黒

計できないかと考えた。また設計対象は

欲しいという欲求はパズルを1ピース抜き

作品総点数:  A1図面4枚/模型1点

集合住宅であるため、12世帯の共同体と

取るように反映される。抜かれたピースは

指導教員:   吉原美比古

しての在り方も同時に考える必要があっ

共同設計者:  --

た。建ってしまったものに対して、後から住

ける。

設計の原点:  個人

まい手の個性が建築自体の本質揺るがす

一 見 無 機 質 な ル ー ル を 予 め 設 け たこと

ことは難しく感じられたため、建築プロセ

で、個人の欲求が不意に個人の専有領域

スをコーポラティブハウスと自ら設定し思

を超えて建築全体に反映される設計。

を生み、内包された共用部に光を届


<1 5> 各住戸の欲求の幾何学への変換 <6> 全世帯共通の与件に構成を委ねる    全室に南面したバルコニー + 共用部アクセス

1

2

3

4

5

6

<7> 全体構成アイソメイメージ

7

<8> 各住戸の外形

9

8

<9> 住戸内観

68


-4. 風が紡ぐ

6×6×6/housing/condominium/office/campus/integrated resort

南青山に建つオフィスビルの新築

69

<作品概要>

<設計趣旨>

れる光や風と建築との関係性を各設計段

学部3年課題:  学内3位/gallery0展示

南青山に、有名旗艦店と肩を並べる自社

階でのデザインソースとして用いた。孔か

制作期間:   2015.4-2015.6

ビルを新築する。住居や公共施設等に比

ら得られる環境性能を最大化した結果と

建築用途:   自社オフィスビル

べ 性 能 やプログラムへ の 要 請 は 少 なく、

して、外 周 に は 開 口を設 ける必 要 が なく

敷地所在地:  港区南青山

むしろ会社を力強く表現する、建物全体へ

なった。

作品総点数:  A1図面6枚/模型1点

の一貫したコンセプトを熟考する必要が

都市に突如として建ち現れる巨大な塊は

指導教員:   柴原利紀

あった。

その内側に風を持っている。自然に軸足

共同設計者:  --

光と風をパラメータとし、建物全体をデザ

を置いた性能追求が、反転して表層での

設計の原点:  風

インすることを試みた。ヴォリュームに風

建築の力強さを最大化させている設計。

がえぐり通る大きな孔を開けた後に、初め て全体のゾーニングを行った。また連想さ


<1 3> 初期設計プロセス     / 風を抜く孔を開け全体をゾーニングする <4> 各階平面図 / 外周が全て壁になる <5 6> 空間構成イメージ

1 4

2

3 5

6

7

/ 風の抜ける街並みを 3 次元に立ち上げる <7> 光のスタディ <8> 南立面図

8

<9> 東立面図

70


-5. 昇華された都市

6×6×6/housing/condominium/office/campus/integrated resort

木密地域向島に建つ大学施設の新築

71

<作品概要> 学部3年課題:

<設計趣旨>

「マチ」は静かに住人たちの日常に入り込

地 域 復 興 ・ 保 健 ・ 福 祉を学 ぶ 大 学 院 大 学

めるよう、街の無規律の中から抽出した場

制作期間:   2015.6-2015.7

の研究棟の新築計画である。現地向島学

所的魅力をパッチワークする様な設計手

建築用途:   大学施設/地域施設

会の活動や木密地域の現況調査を受け、

法を選択した。主要用途である研究室群

敷地所在地:  墨田区向島

住人と密に関係を持てる大学施設の設計

は「ダイガク」 と呼び、 「 マチ」 とは全く別の

作品総点数:  A1図面9枚/模型1点

を目指した。

論理でのクラスター形成を選択した。

指導教員:   柴原利紀

木密に魅力を感じた。街の人々が大学を

街に描き足された関係性が街に育まれ 、

共同設計者:  --

利用する風景ではなく、学生が街の延長

微妙に塗り替えられた街から大学の利用

設計の原点:  対比

を使いこなす風景を想起した。公益的な

者たちが学びを得る。

性格を持ったホールやフィットネススタジ

対比的に描き境界を受け入れることで、境

オ等は「マチ」と呼び、低層階にまとめた。

界付近に多層な魅力が出現した。

studioworks掲載/gallery0展示


+

<1 3> ダイガクのクラスター形成スタディ <4 6> マチのパッチワークスタディ

1 4

<7>  木密住宅と住人の中に大学が描き足される

3

5

6

7

<8>  街と大学の関係性について

8

<9>  敷地に現存する中学校舎との構えの比較  <10> マチとダイガクの関係性について

2

9 10

72


-6. 湾岸 Integrated Resort 構想

6×6×6/housing/condominium/office/campus/integrated resort

オリンピック放送センターの新築とレガシー利用の提案

73

<作品概要>

<設計趣旨>

私はビッグサイトを含めた設計対象全体

学部3年課題:  課題内1位

課題当初、日本最大のコンベンションセン

の機能や面積、立地にIRとの近接性を見

制作期間:   2015.9-2016.1

ターである東京ビッグサイトの拡張棟が

出した。オリンピックは国際競争力に大き

建築用途:   IBC/MPC・のちにIR

計画されていた。東京オリンピック時に国

く影響するが、そのレガシーをカジノに転

敷地所在地:  江東区有明

際放送センター等として利用する目的で

用し、加えて持続的な観光客誘致力を獲

作品総点数:  A1図面9枚/模型2点

あるが、会期中の展示場機能の停止問題

得する一石二鳥の試みである。

指導教員:   白井宏昌

やコスト、レガシーの 利 用 問 題 などが 相

ビッグサイトの特徴である人工地盤面を

共同設計者:  寺内達也,藤井庸平

まって、計 画 は 幾 度も変 更 が なされてい

段階 的 に紐解きな がら、カジノや ホテル

設計の原点:  オリンピック

た。課題では転用後を見据えた、暗雲を振

の機能を巻きつけていく設計を行った。

り払うエネ ルギッシュな 提 案を求 められ た。


<1> 人工地盤の高低差の引用検討 1

<2> 時期ごとの利用者層の想定 / 設計への引用 <3> 大枠にマリーナベイサンズの比率を用いる <4> ビッグサイトを含めたシークエンスデザイン <5> 昼夜で変容するホテルのイメージ  <6> 既存展示場と設計物 / 交錯する風景 <7> 全体イメージ

2 4

3 6

7

5


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