春 号 2014
韓国の文化と芸術 春号 2014
開港からNo.1の空港へ
仁川、韓国の空の玄関
vo l. 21 n o . 1
特 集
仁川 韓国の空の玄関
内と外が融合した都市 シン・ギョンスクの長編小説『リジン』に描かれた仁川 生きた生態系の宝庫・仁川沿岸の島々
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v o l. 21 n o. 1
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発行人
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編集 金熒允編集会社
編集長
金鍾徳
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編集諮問委員 裵炳雨
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6086)で転載許可を申請してください。 『Koreana』の記事を引用したり、非営利目 的で使用する場合にも『Koreana『からの 転載であることが分かるようにクレジッ トを明示してください。
韓国の文化と芸術 春号 2014
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韓国国際交流財団 ソウル市瑞草区南部循環路 2558 外交センタービル
キム・ジェヨル(金在烈) 『 桟橋が見え る風景』、水彩画、75×56cm。開港 から蒸気船が登場した1930年代まで、 全国の穀倉地帯の米がこの埠頭に運 ばれた。
仁川、その過去と現在 ソウルが韓国の首都であるがゆえに、人々はおそらく最初の西洋式ホテルは
向けてさらなる大きな飛躍をするために努力している。趙氏は 「我々は韓国で二
ソウルにあったと思うだろう。そのごとくにごく最近まで、多くの人は1902年
番目に豊かな都市にしようと努め、間もなくそうなると信じています」と語り、
に高宗王のサポートで建てられたソンタクホテルが韓国初の西洋式宿泊施設と
こう付け加えた 「しかし、経済だけがすべてではなく、仁川が文化的にも魅力的
信じていた。1世紀前、ソウルの外交街の貞洞にあったこのホテルは、国内の
な都市になることを願っております」 。
エリート層と外国人たちに人気の社交場であった。しかし、仁川にはそれより
仁川は豊かな歴史的遺産を保存し、広く知らせるために努力をしており、そ
14年前にすでに韓国初の開港地に到着した外国人旅行者にサービスを提供する
の結果として、市独自の歴史的姿を見せてくれる数々のテーマ博物館やランド
大仏ホテル(p.15の図を参照)があった。馬や船に乗ってソウルに向かう前に、
マークが立ち並んでいる。
旅行者はこの西洋式ホテルに泊まった。しかし、1899年にソウルと仁川を結ぶ
仁川国際空港に降り立つと、韓国が近代以前において如何にして発展を遂げ、
鉄道が運行を開始し宿泊客が減ったので、このホテルの日本人オーナーは中国
今日のグローバル化時代にどこに向かっているのかを理解するために、自由経
人に売却し、ホテルはレストランに改造された。
済区域などにも立ち寄って見るのも良いだろう。
郷土史学者でありフリーライターでもある趙宇星氏は、 「仁川は韓国の近代化
日本語版編集長
の時期にさまざまな面で先駆的でした」と言う。 1世紀が経って、仁川は将来に
金鍾徳
特集 仁川、韓国の空の玄関
04 12 16 22 28
特集1
内と外が融合した都市
李昌起
特集2
シン・ギョンスクの長編小説『リジン』に描かれた仁川
申京淑
特集3
韓国の関門・仁川の歴史
7
趙宇星
特集4
開港場からナンバーワン空港へ
ベン・ジャクソン
特集5
生きた生態系の宝庫・仁川沿岸の島々
姜済尹
29
34 40
文化フォーカス
国立現代美術館ソウル館がオープン
高美錫
韓国の近代文化遺産
展望塔として残った近代の風景、旧ロシア公使館
金裕卿
36
44 48
アート・レビュー ヘ
ギョン グ ン ホ ン
シ
演劇「恵慶宮洪氏」歴史記録をもとに描いた人間心理劇
金一松
韓国大好き
野村基之:70年代、清渓川の人々は私の人生の師匠
田恩伊
47
49
54 56 60 64
遠くの目
韓国語学習の思い出くさぐさ
松尾勇
エンタテインメント
ハ・ジョンウ: イケメン全盛時代の多芸多才な俳優
オ・ドンジン
グルメを楽しむ
ポムナムル(春菜) 芮鍾碩 韓国文学の旅
世の中を翻訳する温かい視線 張斗寧 テントウ虫は天辺から飛び出す 朴贊順 て っ ぺ ん
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特集1 仁川、韓国の空の玄関
内と外が融合した都市 文化史的な大きな枠で見ると、仁川は実に象徴的な都市だ。ジャージャー麺とチャイナタウンは、 そんな仁川を理解する上で重要なキーワードだ。 イ・チャンギ(李昌起、詩人、文学評論家)| 写真 : 安洪范
4
韓国の文化と芸術
多
くの人は、初めから民族ごとに固有の料理が存在していたと信じたがっている。 しかし、そんな期待とは裏腹に、その人たちが何者なのかを表すのに料理はあ
まり役に立たない。「自分」について話しているうちに、いつのまにか自分の身近な「他 人」について話すのと似ている。これは「文化」に拡大してみても同じだ。 中国系アメリカ人の料理研究家ケン・ホン氏は、KBSのドキュメンタリー「ヌー ドルロード」の進行役として次のように話した。 「麺自体は白いキャンバスで、麺が伝えられた地域の食文化が画家といえます。白 いキャンバスにどんな絵を描くかは、全面的に画家の腕にかかっています。麺も同じ です。麺の上にその地域の食文化を重ねることで、麺が再創造されるのです」。 西域から入ってきた麺文化が中国で花開いた理由は、都市の誕生と直結している。 唐が没落して宋の時代になると、城郭が取り払われて様々な規制もなくなり、商工業 が自由になった。当時の宋の首都・開封には大きな飲食店が73あり、小さな飲食店は 数え切れないほどだった。麺料理は、簡単で短い調理時間と比較的手頃な値段で、大 都市の成長と共に地方から押し寄せてきた貧しい都市労働者の立派な食事となった。 バロック時代のナポリのパスタや江戸時代の東京のそばと同じように。 仁川のジャージャー麺も、開港によって急速に都市化が進んだ20世紀初頭に登場し た。だが仁川の人たちは、ジャージャー麺を地元ならではの料理だと思っていない。 麺は西域から中国経由で伝えられ、ソースは中国の発酵調味料・甜麺醤(テンメンジャ ン)だ。そこに南米から輸入したカラメルを入れて水気を加えた後、甘酸っぱい日本風 のタクアンを添えて出す。これが、韓国で1日にざっと700万食は売れるというジャー ジャー麺だ。 つまり仁川は、様々な国の多彩な食材と食文化が必要に応じて最初に融合した場所 なのだ。具体的には、ソウルから線路が伸びている1号線の終着駅・仁川駅の向かい 側にあり、今日では「チャイナタウン」と呼ばれる中区・善隣洞(ソンリンドン)の一帯 だ。その丘の上からは、韓国で初めて開港した済物浦(今の済物浦駅ではなく、仁川駅 の裏手)を間近に見下ろせる。その済物浦の開港は「静かなる朝の国」に、様々な国の近 代的な制度や発明品を一気に広げた。それだけでなく、身分や地域によって区分され たまま暮らしていた韓国人を、新しい文化への好奇心、情熱、能力によって一カ所に 呼び集めた。
初の近代都市・済物浦 19世紀半ばのアジアは、産業化に成功した西洋の帝国主義の勢力から、開国の圧力 を受けていた。イギリスとのアヘン戦争に敗れた中国が、最も早く香港を割譲し、上 仁川沿岸旅客ターミナルは済州島、白翎島、延坪島、 徳積島、伊作島、豊島の6航路が運航されている。 1995年に開港し、2013年に初めて年間旅客数が100 万人を超えた。
海など5カ所を開港(1843年)した。日本は、アメリカのペリー提督が率いる黒船の勢 いに押され、横浜と長崎などを開港(1859年) した。 朝鮮の事情も大差はなかった。ただし、その勢力の中には、不平等条件ではあった が開港と共に先んじて近代化を受け入れた日本と清が含まれていた。当時の朝鮮の政 局は、1876年に日朝修好条規を結んでから日本の支援を受けてきた開化派と、清の支 援を受けていた守旧派に分かれて、深刻な内紛状態にあった。結局、朝鮮での影響力 と権限を争っていた日本と清の圧力の狭間で、朝鮮は1883年1月に首都ソウルの関門
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といえる仁川の済物浦を開港する。
にまで成長していた。仁川とソウルを結ぶ河川は、貿易の時間と費用
開港当時、15世帯ほどが暮らす小さな港に過ぎなかった済物浦は、
を大きく削減できたが、その運航権も同順泰という華商の手に渡って
日本をはじめ清や欧米各国の租界が相次いでつくられた。治外法権、
いた。その背景には、袁世凱ら清政府の後押しと全面的な華商育成策
不動産の所有、貿易活動の自由が保障される租界を中心に道路が敷か
があった。これは、清としては非常に異例なことだった。
れ、銀行も建てられた。現在の税関に当たる海館、郵便局、ホテルも
長きにわたり中国は、大陸中心の価値観から海上貿易や艦隊の運
できて、近代的な都市へと姿を変えていった。開港後のあらゆる変化
営には特に関心がなかった。海を渡ってきた外国の商人が、中国に
の記録が展示されている仁川開港博物館は、日本の第一銀行仁川支店
とって必要な品物を持ってきたり、外国政府が中国の富と力を認めて
だった建物にある。
朝貢をすれば、歓迎して満足するのが中国だった。さらに、文化的な
済物浦には様々な人が出入りしていた。各国の外交官に加え、貿
劣等感を持っていた満洲族の清は、朱子学の形にだけ偏り、故郷に留
易商、都市建設のために訪れた外国の技術者、そしてそれよりもはる
まって家族の世話をするべきだという教訓を強調したため、1カ所に
かに多くの労働者がいた。その中には、ロシアの建築家サバティン
定住しない貿易商を蔑視したり危険な勢力とみなして統制した。東南
の姿もあった。サバティンは、海を見下ろす鷹峰山(ウンボンサン)に
アジアに広まっている華僑は、自らの冒険心と事業手腕によって成功
韓国初の近代公園・万国公園を設計した(1957年に仁川上陸作戦の指
したのであり、例外といえる。政府の保護や支援を受けて朝鮮へ渡っ
揮官マッカーサーの銅像が立てられて自由公園へと名前が変えられ、
てきた華商とは、状況が違うのだ。
昼の12時を知らせる「正午のサイレン」が響き渡る)。シャルトル聖パ
突然の日本軍の登場は、冷淡・冷静な中国の商人さえ当惑させた。
ウロ修道女会の修道女4人が、
危機感を覚えた中国の商人は、
1888年に布教のため到着したの
急いで済物浦から離れた。そし
も済物浦だった。しかし、何よ
て、両国の軍隊の衝突は戦争へ
りも大きな変化をもたらしたの
と発展した。中国は、慶長の役
は軍人だった。
から300年ぶりに朝鮮半島で日 本と戦ったが、昔とは違って戦
済物浦の華商
争に敗れた。朝鮮における清の
「1894年6月21日朝:私は船か
貿易規模は、再び以前の水準に
ら降りるや、退屈なことこの上
戻ることになる。
なかった済物浦の港が、完全に
共和春とジャージャー麺
変わっていることに気付いた。 道は多くの行進の隊列で、日本 軍の足音が鳴り響き(中略)、日 本人居留地の主な道にある家は、 全て兵舎になって、バルコニー
1
博物館
1 日本と清の租界の境界を示す階段。この階段の左側には中国風の建物、右側 には日本風の建物が立ち並んでいる。2 三国志の登場人物が壁に描かれた三国 志通り。仁川の華僑の90%は山東出身で 『三国志演義』を残した羅貫中も山東の 出だといわれている。3 仁川のチャイナタウンの文化行事が行われるチャイナ タウン通り
では銃や装備が輝いていた。戸
済物浦に清の租界がつくら れると、自然と中華料理店もで きた。その中の一つが、1908年 に開業した山東会館だ。 1911年
惑う韓国の群衆はまごつきながら、港が外国の軍隊のキャンプに変
には清が中華民国に変わったことを記念して、共和春へと名前を変
わっていく様を呆然と見つめ、道をうろついたり丘に座っていた」 。
えた。共和春は、華僑だけでなく仁川港に立ち寄る各国の貿易商が
英国地理学会の会員でもあったイザベラ・バードは、1894年から 4度にわたり韓国を訪れて11カ月間留まり、著書『韓国紀行』で「日清 戦争が差し迫ってきた頃の済物浦」をこのように描写した。 3カ月の間に6000人の日本軍が上陸した。イザベラ・バードには、
寝泊りして食事をする場所としてにぎわった。その店が、仁川式の ジャージャー麺を初めてメニューに載せたといわれている。 共和春が繁盛した最大の理由は、1910年に日本が思惑通りに朝鮮 を併合し、西欧の列強に準じて華僑に自由な商業活動を保障したため
日本軍がはるか以前から武力で朝鮮の支配権を確保するために準備し
だ。日清戦争によって低迷していた華商に活力を与えたのは、絹と麻
てきたように映った。朝鮮における清からの輸入の割合は、1885年
だった。国際資本主義勢力の進出によって大きく成長した中国の繊維
には20%に過ぎなかったが、10年もたたない1893年には日本と同等
産業は、内需市場に留まらず中継貿易によってアジアの近隣諸国にま
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韓国の文化と芸術
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仁川のチャイナタウンには、中国人の情緒を感じさせる特別な文化と景観が確かに存在 している。しかし、日本と中国の租界の境界だった道に立っている孔子の像や三国志の 登場人物を描いた 「三国志通り」 は、中国だけの文化として切り離すことはできない。
で拡大した。
の経営だけでなく生存さえも危うくさせていた。結局、共和春は設立
中国が1913年から1920年の間に韓国に輸出した麻は、中国の麻の
74年目にして1983年に店を閉め、歴史から姿を消した。さらに、韓
輸出額の7割を超えていた。 1903年には100万ウォンだった絹の輸入
国と中華人民共和国の国交樹立は、店ごとに蒋介石総統の写真を掲げ
額も、1919年には676万ウォンへと大きく増えた。「絹商売の王さん」
ていた華商の肩身をさらに狭くさせた。
という豊かな華商の恋愛談が、韓国人なら誰もが知っている大衆歌謡
共和春の建物(登録文化財246号)を買い取った仁川市中区庁は、そ
として流行するほど、華僑の経済は1920年代まで全盛期を迎えてい
の建物を補修して、2012年4月にジャージャー麺と共和春の資料を
た。
展示したジャージャー麺博物館をオープンした。中国の繊維産業の象
そうした中、華僑の人口は大きく増え、開港した港から離れてほ
徴だった上海の紡績工場が「M50」という芸術創作空間になったよう
ぼ全ての都市に広がっていった。それに合わせて中華料理店も各地に
に、ジャージャー麺博物館は、開館2年にして30万人以上が訪れる仁
つくられた。特に日本の企業の主導で始まった韓国内の製粉産業は大
川の観光名所になった。
人気となり、麺用の小麦粉を鉄道で各地に供給して、ジャージャー麺 の全国普及に大きな役割を果たした。
仁川にチャイナタウンはない?
華商の成長は、志ある韓国人には信用と勤勉の象徴だったが、朝
一部の学者は、韓国が「チャイナタウンのない唯一の国」と表現し
鮮を植民化した日本にとっては警戒の対象だった。朝鮮総督府は、中
ている。華僑の経済力は、中国の高度成長をリードして東南アジアの
国からの絹の輸入を強力な密輸取り締まりで抑制し、麻の輸入には高
商権を握っているが、130年以上の華商の歴史を持つ韓国では、大き
い関税を課して「朝鮮内生産」へと切り替えていった。それによって華
く生かされていないという反省のためだ。しかし「チャイナタウン」よ
商の経済は次第に低迷していく。
りも「清館」という言葉を多く使う仁川の人たちの内心は、少し違うよ
終戦後しばらく回復していた華僑の経済は、朝鮮戦争によって再 び危機に瀕した。朝鮮戦争の戦況を逆転させた仁川上陸作戦の際、砲 撃によってチャイナタウンが焼け野原になったためだ。そのとき、
うだ。サンフランシスコのチャイナタウンから連想される文化的な異 質感が、似つかわしくないからだ。 華僑協会の最近の統計によると、仁川には約3000人の華僑がおり、
チャイナタウンを守ったのが、
仁川のチャイナタウンには150
ジャージャー麺に代表される中
~200世帯に600人ほどが暮らし
華料理店だ。中華料理店は、外
ている。仁川のチャイナタウン
食文化が根付いていなかった
には、中国人の情緒を感じさせ
1950年代から大きく増え始め、
る特別な文化と景観が確かに存
1970年代になると華僑の8割が
在している。しかし、日本と中
従事するほど急増した。
国の租界の境界だった道に立っ ている孔子の像や三国志の登場
韓国政府の華僑に対する視線 は厳しく、1961年に外国人土地
人物を描いた「三国志通り」は、
所有禁止法を制定して華僑の不
中国だけの文化として切り離す
動産所有を制限するなど、1970
ことはできない。イエスがナザ
年代まで各種規制によって華僑
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1
レの人物に留まらず、仏教が釈 韓国の文化と芸術
仁川で過ごした幼い日々 イ・チャンギ(李昌起、詩人、文学評論家)
私
が仁川で暮らし始めたのは、父が
父の後について心配そうに水門を見て回
長くは通うことができない仁川工
ることもあった。母は、その家で妹を二
しょう
作厰に職を得て、1歳にもならない私を抱
人産んだ。
いてソウルから移り住んだ1959年だ。
家の裏にある第5教会の付設幼稚園を
私たち家族三人が家を借りて住み始め
1歳違いの妹と一緒に通った。一緒にい
た松峴洞は、仁川の中心だった東仁川駅
るしかなかったからだ。私は、白いシー
の裏手にある後背地で、避難民や労働者
ツがはためく赤十字病院、水桶を背負っ
など様々な人が移り住んできた。もとも
て登った水道局山、いつもぬかるんでい
とその地域は、大きな潮の通り道が陸地ま
たペダリ市場へと少しずつテリトリーを
で深く伸びていて、周りに葦が生い茂る草
広げながら育った。純粋に冒険心のため
地だった。日本が1930年代末に埋め立て、
だったが、覆い隠された水門筒市場の下に
港湾(北港)を拡張して工場と住宅を造っ
つながる水路に入り、大きな帆船や途方も
てから、今のような姿になった。そうした
ない騒音と煙に包まれた工場を見て仰天
過去の風景をうかがえる地名が、水門筒と
した記憶は今でも忘れられない。広大な 2
ペダリ(舟橋)だ。 その埋め立て地に製粉工場や製鉄工場 など、当時としては想像もできないよう な産業施設が次々と造られた。その一つ が、韓国で初めて汽車を製造・修理した 京仁鉄道会社の後身・仁川工作厰だ。そ うした産業施設は、京仁線と北港を結ぶ
1 写真の右の小さな八尾島灯台が、1903年に造られた韓国 初の灯台。韓国の西南の海から仁川に向かう航路に位置し、 100年間、海上交通の中心として機能してきた。すぐそばに 先端の設備を整えた新しい八尾島灯台が造られた2003年から は、仁川市の地方文化財として保存されている。2 開港場か ら追いやられた朝鮮の人たちが移り住み、近代文化が形成さ れたペダリマウル(舟橋の村の意)。2007年には都市開発に 伴って撤去の危機に直面したが、保存を求める世論に後押し されて「存置管理地域」になった。
干潟に覆われた1960年代の仁川の海辺も、 そのとき初めて見た。 小学校に入った年の秋、龍峴洞に引っ 越した。路地に沿って家がひしめいてい る松峴洞とは違って、家の土台も高く、 凧揚げのできる丘も裏手にある田園住宅 だった。近くある仁荷大学の社宅用に造
北海岸線という3キロほどの支線沿いにあった。その線路のそばには、
られたものだという。近所には外国人も何人か住んでいた。そうするう
バラックが立ち並んでいた。その「路地のような線路」を大きな汽車が通
ちに京仁高速道路の工事が始まると、反強制的に立ち退きを迫られた人
ると屋根にぶつかりそうで、心配しながら見守っていたことも鮮明に覚
たちが、家の周りに集団で移り住み始めた。そのおかげで友だちの数が
えている。
ぐんと増えた。そうした友だちとナク島にハゼ釣りに出かけて、ペッコ
私にとって仁川の最初の記憶は、松峴洞の家だ。水面が覆い隠され
へそ
プ(臍)山で葛の根を掘り、秋夕(旧暦8月15日)には市場の子供たちと石
た水門筒市場近くの路地にある、小さなL字型の改良韓屋。 80をとう
合戦、冬には妹とスケートをして1970年代を過ごした。その龍峴洞は、
に超えた老母は、今でもその家を買った当時のことを思い出しては感
今では住居環境改善地区になって再開発を待っている。再開発されれば、
慨に浸っている。台所は庭より少し低く、その台所の上には、居間か
干潟の埋立地につくられた松島新都市を支える心強い後背地としての役
ら上がっていく屋根裏部屋があった。屋根裏部屋は、庭と裏庭を隠れ
割を果たすだろう。
て観察するのにうってつけだった。風や雨が去った後、裏庭は柿の花 が敷き詰められていた。満潮になると庭の溝から海水が逆流してきて、 K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
私は1980年代に学校を卒業し、職を求めてソウルに出て行った。父 が職を求めて、ソウルから仁川にやって来たように。(翻訳:坂野慎治)
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迦の過ごしたシャキアの地の文化に限らないように。 仁川の華僑の90%は山東出身だ。中国の山東は、春秋時代に斉や
タウンという孤立した移入文化として受け入れていない理由でもあ る。
魯という国が生まれた地域で「斉魯の古都」とも呼ばれる。魯は孔子が 産まれた国で、孟子と孫子も山東の生まれだ。『三国志演義』を残した
「海」への最初の経由地、「大陸」への最初の出港地
羅貫中も、山東の出だといわれている。仁川の華僑が、地元をゆかり
中国中央テレビ(CCTV)は1987年『河殤』という特集ドキュメンタ
の像や絵で飾るのは、歴史と文化の継承を誇らしく思っているため
リー(全6回)を放映し、大きな波紋を投げかけた。中国の保守派は
だ。
「中国の恥をさらした」と批判したが、改革派と多くの中国人は「中
古くは紀元前500年頃、斉の管仲の著書とされる『管子』で、斉と古
国はどこに向かっているのか」という厳粛な問い掛けを痛切に受け
朝鮮の交易について述べられている。また、9世紀頃に韓国の西南海
止めた。中国の古い文明を批判・反省し、これから進む新たな出口
の海上権を掌握し、日本や中国と活発に交易していた新羅のチャン・
を模索しようという解説書が、相次いで出版された。鄧小平は、実
ボゴ(張保皐)が、赤山法華院を設けて中国にいる新羅の人たちの精神
用主義で中国の開放をリードして1997年に死亡した際、海に散骨す
的な支えになっていたのも山東だ。朱子によって再解釈された孔子の
るよう遺言を残している。中国人がその遺言を「中国の未来は、海
思想は、500年にわたって朝鮮の建国の理念になった。羅貫中の『三
という外の世界への開放性にある」と解釈したのも、そうした熱望
国志』は、韓国で最も広く読まれている古典小説の一つだ。 山東から海を越えて最も近い地が朝鮮半島で、特に仁川といえる。 そうした交流の歴史と民族文化の類似性が、多くの山東の人たちが仁 川に移り住んだ背景にあり、仁川の人たちが華僑の居留地をチャイナ
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1 仁川経済自由区域の国際ビジネス・IT(情報技術) ・BT(生命工学技術)の 中心となる松島国際都市 2 仁川大橋。仁川国際空港と松島国際都市をつなぐ韓 国で最も長い橋で、長さ18.38km、主塔の高さ230.5m。大型船舶も主塔の下を 通航できるように設計されている。
韓国の文化と芸術
のためだ。
広州に続いて、仁川で夏季アジア競技大会が開かれる。仁川は、20世
そうした反省は、韓国も例外ではなかった。韓国は、アジア通貨
紀半ばまで戦争の惨禍によって貧しい開発途上国の一部だったが、い
危機直後の1998年7月に海外資本誘致のために外国人の土地所有を
まやシンガポールや香港と競争し、新しく進出する市場と産業を求め
許可し、厳しかった外国人の滞在条件を大きく緩和した。韓国と中国
て世界へ飛び出そうとしている。
は、それを機に意味ある措置を実施した。中国は2000年に韓国人の団
アメリカを代表する都市文化専門家ジョエル・コトキンは『都市か
体旅行を自由化し、韓国は2001年に北東アジアのハブを目指す仁川国
ら見る世界史』で、都市を偉大にして都市文化を繁栄させ、持続可能
際空港をオープンした。それと同じ年、仁川市は華僑居留地と月尾島
にする要素として「場所の神聖さ、安全を提供して権力を発揮できる
一帯を観光特区に指定した。 2003年には仁川に3カ所の経済自由区
能力、そして都市に活力を与える通商の役割」の三つを挙げている。
域を指定した。そして2005年、世界華商大会がソウルで初めて開かれ
そうした要素が、都市の総合的な健全性を決定付けてきたということ
た。
だ。
ニューヨーク・マンハッタンの3倍の面積に当たる仁川経済自由
開港と共に韓国で初めて造られた灯台・八尾島灯台が、2014年6月
区域は、国際ビジネス・IT(情報技術) ・BT(生命工学技術)の中心
1日に点灯110周年を迎える。古くはなったが今でも変わらず、より良
となる松島地区、物流・観光の中心となる永宗地区、金融・レジャー
い明日への大きな夢を抱いて海を往来する数多くの人たちのナビゲー
の中心となる青蘿地区に分けられ、海外からの投資誘致を行ってい
ターであり続ける八尾島灯台。それが仁川を象徴する「場所の神聖さ」
る。現在、海外直接投資(FDI)の誘致は6億4250万ドルに達し、去年
ではないだろうか。そうした神聖さが、愛郷や畏敬の念を超えて、全
12月には松島にグリーン気候基金(GCF)の事務局が設けられた。世界
ての人が「社会的に重要な神話」を再構成するよう後押しし、また引っ
銀行の韓国事務所も、程なく松島につくられる予定だ。今年は中国の
張っていくのだろう。(翻訳:坂野慎治)
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特集2 仁川、韓国の空の玄関
シン・ギョンスクの長編小説 『リジン』に描かれた仁川 これは、シン・ギョンスク(申京淑)の小説『リジン(李真)』に描かれた19世紀末の韓国の関門・仁川港の姿だ。『リジン』は、 朝鮮の宮廷の踊り子とフランス外交官との愛の物語。主人公のリジンは、韓国と修交した1886年から初代駐韓フランス公 使として赴任したコラン・ド・プランシーを愛し、共にフランス・パリに移り住んだ実存の人物だ。 シン・ギョンスク(申京淑、小説家)
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韓国の文化と芸術
港
まで丸三日かかった。曲がりくねった山道を過ぎ、土埃の舞
置き場から漂ってくる臭いに覆われた港。水揚げされたばかりの魚
う新道を通って、木船が何艘か浮かぶ川を見下ろしながら砂
が、道端で売られている。わらじ売りは、背負子いっぱいにわらじを
利道をやって来た。 田植えを終えたばかりの青い稲が揺らめくあぜ道を通ることも
載せて、忙しそうに歩いていく。働く人たちの活気あふれる風景の上 から、まだ暑さを含まない透明な初夏の日差しが降り注いでいた。
あった。ヌルデやサクラ、ニレの木をくぐって、キンセンカ、ハナショ
外交官の彼は、毎年2カ月ほどの間、船に乗って行き来していた
ウブ、タンポポ、オオデマリの花を横切り、野生のボタンに出会って
が、宮廷の踊り子だった彼女は、初めて船に乗るところだった。足首
その前でたたずみもした。彼女は、駕籠(かご)をかすめる外の景色を
まで隠れる緩めのパンタロンに短めのチョッキを着て、その上にベル
一つ一つ目に焼き付けていった。いつまた見られるか分からないとい
トで締める旅行用のコートをはおっている、背が高くて色白の顔に口
う思いから。
髭を生やしたフランスの男。そして、風が吹く日にはおるコートとバ
彼女は、果てなく続く灰色の干潟を初めて目にした。
ラの刺繍が施された帽子を手に、波打つような薄い青色のドレスを着
空には雲ひとつなく、風も穏やかだった。目を上げると、青い海
た朝鮮の女は、港の人波の中でもすぐに目についた。キセルをくわえ
の遠く向こうに大小様々な島々が、不安な朝鮮の行く末も知らない様
た老人も、木の靴を売る男も、ごろつきの若い男も、埃まみれの子供
子で、夢のように浮かんでいる。薪など様々な貨物を載せた船は、誰
だけでなく外国人も…、租借地で茶を売ったり、いかだに薪を積んで
かが押しては引いているかのように、海の上で揺れている。干物の荷
きた清国人も、埠頭で米を売る日本人も、見慣れぬ世界の扉を開けて
キム・ジェヨル(金在烈) 『海岸から見た済物浦港の風景』、水彩画、118×91cm K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
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中を覗き込むように二人を見つめている。
都城の統理交渉通商事務衙門の長チョ・ビョンシク督辦から、朝
特に女。
鮮を離れるコランの見送りを頼まれた都護府使は「船に乗るときは『天
つややかで豊かな黒髪をとかし、何層にも巻き上げて頭の上で黒
気が良い』とは言わないものだ」という言葉をあいさつの代わりに送っ
檀のようにまとめ、澄んだ顔色に青黒い玉のような深い目をした女。
た。今、天気が良いということは、航海の途中に風や雨がひどくなる
誰もが洋風の髪型をしている時代ではなかったので、当然彼女は目に
こともあると暗示しているのだと。
留まった。 彼女の薄い青色のドレスは、肩から腰を過ぎて足首までS字を描 くように流れていた。木綿の白いチマチョゴリを着た埠頭の女とは、
見送りに来た人の中には、フランスから来た宣教師も2~3人混 ざっていて、海館(税関)の官吏も見られた。フランスからやって来て 朝鮮で暮らしている修道女の姿もあった。
元より対照的だった。初めは「外国の女なのか」と見ては「おっ、朝鮮
四方を見渡しても、高い建物や大きな船舶は、それほど目に入ら
の女だ」と思うと、好奇心に満ちた視線が、もう一度彼女の顔を露骨
なかった。港は外港だが、見た目には停泊港のようだった。近くの波
にとらえた。そして、その目線はコランの多少傲慢に映る鼻と白い肌、
も遠くの波も穏やかだった。低い屋根の間に、時おり白いヨーロッパ
褐色のパーマの髪に移っていった。深く開いたドレスの胸元を飾る白
風の建物が混ざっていた。高い建物がないため、藁葺きの家は同じよ
くまばゆいレースから目を離せない者もいた。あるいは、彼女のドレ
うな高さで、肩を組んでいるように見えた。その間に日差しが暖かく
スを踏むまいと、一歩退く者もいたが、彼女とコランを見る埠頭の者
差し込んでいる。奥深い宮廷で亀の刺繍を刺しては、踊りながら過ご
たちの目には「朝鮮の女が、どうして西洋の女の身なりをしているの
していた彼女は、港に広がる穏やかな日差しに身を任せた。宮廷は、
か」という疑いが共通して映っていた。ある者は不快なのか、眉をひ
高い軒が連なっているため、下を向くといつも日陰だった。港に着く
そめたり唇を尖らせた。
まで、彼女は初めて見るもの、初めて踏む地、初めて会う人々と何ご ともなく別れた。
***
そこは、どこだったのだろうか。
彼女は、多くの人の視線など気にもしなかった。衣被(きぬかず
都城を発った日、彼ら一行は地方の客館に泊まった。枯れ木で垣
き)で顔を覆い、習慣的に身を縮めて隠れるように歩く朝鮮の女性と
根を作った山里の客館では、馬が十数頭も飼われていた。馬はぶるん
は、はっきりと区別される歩き方だった。彼女の足取りは乱れること
と息を吐き、草原を走りたがっているようだったが、そのときは柵の
がなかった。疑いに満ちた多くの視線に耐えるため、遠くの海を見つ
中に閉じ込められていた。夜になると、窓のない部屋に、山から獣の
めるなどという行動もしなかった。胸を張って前に突き進むような彼
鳴き声が聞こえてきた。
女の歩みは、何でも切り抜けていけるような、どんな状況でも自分を 失わないような強さを感じさせた。ともすると難癖を付けたくなるよ うな歩き方だが、彼女の深い瞳、細い首筋、顔にあふれる愛らしさが、
時には、やさしい言葉が、土に埋められた種のように愛を抱かせ る。 宮廷の踊り子だったリジン(李真)は、山里の客館でフランス公使
それを包み隠していた。ちらっと見ても動揺することのない彼女の姿
のコランから「私の天使よ」という言葉を聞いた。フランス語でなく、
に、凝視していた人たちは、かえって長いため息をついて海へと視線
確かな朝鮮語だった。彼女は「私の天使」という言葉よりも、コランが
を戻した。
朝鮮語を自然に発音したことに驚いた。コランは、時おり朝鮮語を学
その愛らしい女、低い山裾に囲まれた港を見つめている女は、済 物浦条約が結ばれるわずか十数年前まで、この港が、指折り数えられ
んでいたが、彼が発する朝鮮語は、いつも何かが足りないまま宙に浮 いているようだった。
るほどの同業者が集まって静かに暮らしていた所だとは知らなかっ
海のかなたにある彼の国に行くことは、全く違った言葉を使う人
た。人生であれ状況であれ、耐えられなくなったときに、むしろ変化
たちと一緒に過ごすことを意味する。彼女の心の片隅にある不安を察
が訪れる。水に囲まれた小さい漁村は、条約の後、急速に変貌した。
したのだろうか。コランは、彼女の国・朝鮮の山里の客館で「私の天
静かだった漁村に日本の租界ができると、清をはじめとする各国の租
使よ」と初めて完璧な発音の朝鮮語を使った。
界も相次いでつくられた。その頃の済物浦は、10人に一人は日本人 か清国人だった。彼らが済物浦に悲しみをもたらすのか、生命力を吹 き込むのかは、誰にも分からなかった。 船出には良い天気だと考えて、彼女はすぐに思い直した。
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キム・ジェヨル(金在烈) 『日本人居留地と大仏ホテル』、水彩画、46×38cm。 右にある3階建てのレンガ造りの建物が、1899年に造られた韓国初の洋式 ホテル・大仏ホテル
韓国の文化と芸術
彼の口から朝鮮語が柔らかく流れ出したとき、彼女は、言葉が感
た。彼女が髪をといて欲しいなどと言うとは、想像もできなかったコ
情を変化させる瞬間を経験した。「リジン」という発音もまだ上手でな
ランは、彼女のつややかな黒髪に少しの間、顔をうずめた。コランの
いコランから、全く自然な朝鮮語の発音を聞いた瞬間、彼女の淡々と
顔には、笑みが浮かんでいる。コランが「リジン」とぎこちなく発音す
した心が揺らめいたのだ。一日中、駕籠に揺られてきた疲労が、水に
るとき、笑いをこらえている彼女の表情と同じだ。コランは顔を上げ
流されるように消えて、温かいお湯に足を浸けているような懐かしい
て、彼女の黒髪をとかしながら「フェール・ムワ?」と彼女の口調を真
感情が、彼女の胸に込み上げてきた。コランに初めて出会った日から
似てから、彼女の前に顔を出した。
今日まで、コランが一緒にいたいと思うほど一歩引いてしまう、えも 言われぬ気持ちになった距離感も消え去った。 彼女は、首筋の上に黒い雲のように巻き上げていた黒髪をほどい て、コランにブラシを差し出しながら言った。 「フェール・ムワ」。 コランの目が大きく見開いた。
彼女が彼と向かい合って座り直すと、豊かな黒髪が波打っている。 彼女は、ブラシを持ったまま笑っている彼の顔を両手で抱き、唇を重ね た。彼の口ひげが、彼女の熱くなった頬に触れた。彼女が、彼の手を なでる。彼は、ブラシを床に置く。ぶるんと、コランが一日中乗って きた馬の鼻息が、二人の間に聞こえてきた。都城から馬引きと一緒に 借りてきた馬は3頭。2頭には荷物を積み、2里ごとに百両を払った。
男は、女の黒頭をとくのが好きだった。男が女に指輪の次に贈っ
3頭のうち1頭は、腹に傷があった。客館で飼っている馬と馬草
たのも、彼の国から持ってきたブラシだった。だが不幸にも、女は宮
を食み、深い眠りについているだろう。馬が眠りながら何度も上げ
女のときから、哲仁大妃とソ氏以外の者が髪に触れることを好まな
る、ぶるんという鼻息を聞きながら、彼女はコランの上着のボタンを
かった。宮中の仲間が髪をとかし合い、二つのに分けて編んだ後、も
外した。赤味を帯びたコランの胸があらわになった。
う一度結い上げて、赤紫色の髪飾りをつけながら笑っているときも、 女は遠く一人離れて苦労しながら髪を結っていた。そのため、愛する
***
女の髪をとかしたいとき、男は切々と願うような表情にもなった。と
朝鮮での最後の夜、彼女は港で日本人が営む大仏
ころが今、女が自ら髪をほどき、男にブラシを渡して、彼の国の言葉
ホテルで、友人のソア(昭訝)と一緒に過ごし
で髪をといて欲しいと言っているのだ。
た。彼女たちとの別れを考えたコランの
コランは、彼女が差し出したブラシを手にとり、彼女の後ろに座っ
K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
心遣いだった。(翻訳:坂野慎治)
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特集3 仁川、韓国の空の玄関
韓国の関門・仁川の歴史 仁川は現在、人口構造の変化によって韓国第3の都市に成長した。 しかし、およそ2000年前に高句麗の王子・沸流から始まった移住の歴史は、 この街のアイデンティティーの形成に今でも大きな影響を与えている。 チョ・ウソン(趙宇星、仁川市・市史編纂委員、仁川日報主筆)
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1
韓国の文化と芸術
仁
川が歴史に最初に登場するのは
仁川広域市は、去年を「沸流2000年、
『三国史記』だ。高句麗を建国し
定名600年」として記念した。仁川が人
た朱蒙の息子・沸流が、今から2000年
口構造の変化によって韓国第3の都市に
ほど前に臣下や民を率いて南に向かい、
成長した今でも、沸流から始まった移住
山を越えて川を渡り、方々に訪ね歩いた
の歴史は、この街のアイデンティティー
結果たどり着いたのが「弥(ミ)鄒忽(チュ
の形成に大きな影響を与えている。
ホル)」、現在の仁川広域市南区にある文
沸流以来の「仁川ラッシュ」は、長い
鶴洞と官校洞の一帯だ。
歳月を経ても、いまだに進行形だ。仁川
沸流は、弥鄒忽を首都として新しい
は、依然として全国各地から人が集まり 続ける「移住民の都市」なのだ。これは
残念なことに水に塩分が多いため、民が
1883年の仁川開港、そして1950年の朝
十分に耕作できないと知って諦めた。さ
鮮戦争後の北からの避難民によってピー
らには、民を満足に食べさせられなかっ
クを迎えたが、その後も続いている仁川
たという王としての自責の念に駆られ、 重い病気にかかって命を落とした。その 後、その弟・温祚が、今のソウルの南東・ 漢江の南を基盤として百済を建国し、三 国時代の基礎を築いた。
沸流から2000年
2 1 仁川港に入ってきた漁船。仁川近海は1世紀前、遠くは延 坪島のイシモチから近海のニベやスズキまで魚が豊かだっ た。魚を満載した漁船が戻ってきて、網を高く干している。 2 ロシア人建築家サバティンが1888年に設計した万国公園 (現在の自由公園)。日本の統治時代に仁川の名所を載せたハ ガキの写真
「仁川移住第1号」の沸流は、そうし
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国を建て、未来を築こうとした。だが、
ならではの現象だ。仁川市が去年発表し た統計によると、仁川地域はここ23年 の間に面積が3倍になり、人口は1979 年に100万人、1992年に200万人を超え て、今年は300万人に達するとみられて いる。全国の広域自治体の中で最高の人 口増加率だ。 沸流を都とした初期の移住拠点は、
てこの世を去ったが、現在も仁川の地域史に息づく源流となってい
朝鮮建国後に仁川都護府が置かれた文鶴山一帯だった。仁川の鎮護の
る。沸流が富貴と栄華を全てなげうって斉の国を発ったのは、勇気あ
山・文鶴山は、今も山容が美しいが、その中でも圧巻なのは所々に歴
る者の気概を、また民の困窮を自らの恥じとしたのは、ノーブレス・
史が刻まれた文鶴山城の堂々たる姿だ。特に頂上から突き出したのろ
オブリージュを持つ在りし日の良心的な政治家だったことを物語って
し台は、今でも忘れられない景色だ。のろし台は、遠くから見るとお
いる。
臍(へそ)のようなので、仁川の人はいつしか誰もが文鶴山を「ペッコ
弥鄒忽は沸流の後、三国時代から高麗、朝鮮の時代を経て、その
プ(臍)山」と呼ぶようになった。臍は、母親から生を受けた血縁の美
名も買召忽、邵城県、慶源郡、仁州などと呼ばれた。そして今から
しい名残。仁川の人は、文鶴山に母親に抱かれたような安らかな母性
600年前の1413年、朝鮮時代の太宗2年に地方制度が整備され、仁川
を感じながら、暮らしてきたのだろう。
と呼ばれるようになった。 K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
しかし1592年(宣祖25年4月)、文鶴山は文禄の役の戦禍をこうむ
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1883年の開港が19世紀の海洋時代、帝国主義の砲艦外交による強圧的・受動的な歴史展 開だったとすれば、2001年の仁川国際空港の開港は21世紀の宇宙航空時代、韓国が自ら の力で世界に向かう扉を開けた真の開港だった。
万人余りの日本軍は、釜山上陸から20日で仁川や富平に
ルに通じる直路として官民共に「都城の喉元」というほど重要視し
© Jung-g
る。朝鮮全土は、すでに戦場になっていた。合わせて20
また、済物浦の目の前にある海防の要衝・永宗島は、国で
Incheon
そうした中、支配層と官軍は敗戦を重ね、唯一の希望は民だっ
u Office,
まで進攻し、虐殺によって民は惨状を目にした。
た要衝だったからでもある。
天に祭祀を行う霊験あらたかな島として名高かった。中国 1
た。日本軍が最も恐れたのが、民だったのだ。文鶴山城での勝
の宋の時代、徐兢が記した有名な見聞記『高麗図経』にも 「紫燕島」として紹介されている。徐兢の記録によると、客
利も、まさに民の勝利だった。備辺司(軍事官庁)はその年の 12月3日、宣祖に「敵が戦勝を重ねているのは、ただ銃弾があ
館だった「慶源亭」のそばでツバメの群れが美しく飛び交う姿か
るためで、山城は総じて高くそそり立っているため、その効果がない
ら、紫燕島と名付けられたという。慶源亭は間口10間の客館で、両国
ことから、仁川山城と幸州山城の戦いは、全て地形の要害を利用して
を行き来した使節が泊まっていた。これは、紫燕島が大衆交流の海上
勝利を収めたものだ」と申し述べている。
ルートであり続けたことを意味している。 紫燕島が永宗島と呼ばれるようになったのは、朝鮮中期以降だ。
その勝利を当時の仁川府使キム・ミンソン(金敏善)の手柄とする のは、早計だと思われる。宣祖29年11月13日付の実録にも「仁川山城
もともと南陽府(今の華城)にあった「永宗浦(水軍の陣)」が孝宗4年
は民がこもって守り、敵が攻め入って陥落させることができなかっ
(1653年)に紫燕島に移されると、その海岸の陣営が広く知られ、島
た」と記されている。文鶴山は、韓国の歴史を守ってきた主体が民で
の名前まで「永宗」になった。『世宗実録・地理志』によると「済物梁の
あることを物語る、非常に高い象徴性がある。
西の水路3里(約1.2キロ)にある。周囲は25里(約10キロ)だが、国の 馬358頭を放し飼いにし、水軍、馬飼い、塩作りがいて、合わせて30
開港場・仁川
世帯余り」とあるため、人が暮らしていたことが分かる。
開港場が仁川の港・済物浦に決められた1883年、行政機構も今の 中区内洞に当たる済物浦に移され、仁川府使も仁川監理署になった。
る。水不足がひどいときは雨乞いの儀式を行い、有事の際には王が住
そうした変化は、直接には朝鮮政府が開港場の出入国、輸出入、防疫
む仮宮も設けられていた。また、軍船の材料になる松がよく育つた
などの事務を管理・監督するためだった。だが昔から済物浦は、ソウ
め、国が保護していた。粛宗以前には、鹿狩りをして献上するなど、
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それだけでなく、実録は永宗島が凡庸な地ではないとも伝えてい
4
景色が美しく土地も肥えていた。
つくられたからだ。そのため、多くの人が全国各地から職を求めて集
永宗島は、軍事的にも注目を浴びていた。兵曹判書(軍事の長)の
まってきた。そこで、仁川では人を雇う際に「どこの出身なのか」で選
キム・ソクチュ(金錫冑)は粛宗4年「南は漕運の入口になり、江都(江
ばず、「何ができるのか」で採用する社会の雰囲気が広がった。非生産
華島)に近く、島が非常に広いため、牧場があっても陣を設営するの
的な「地域色」で人を色分けせず、「能力」と「品性」で評価したのだ。
に十分だ」と述べている。粛宗34年には兵曹判書のチョ・テチェ(趙泰
今まで仁川の地域社会が、地域や縁故にとらわれず、海のような
采)も「その地に城を築けば、危急のときに必ずや力になる」と築城を
包容性、多様性、躍動性によって発展してきたのも、そうした特有の
王に建議している。
深いアイデンティティーがあったからだ。仁川の人たちは、地方自治 の時代を迎えて市長を地元の住民が選出するときも、常に出身地にと
仁川上陸作戦と仁川空港 次第に勢いを増していた外国との間で丙寅洋擾(フランスとの交
らわれずに選んできたことを誇りにしている。そのため、仁川は「合 衆市」ともいえる。
戦)、辛未洋擾(アメリカとの交戦)、江華島事件(日本との交戦)を経
しかし、不幸にも仁川が世界に知られるようになったのは、そう
て、済物浦と永宗島は1883年に日本の圧力に勝てず開港場になり「近
した健全な都市としてではなく、戦争によるものだ。 1902年に仁川
代資本主義の辺境に編入」されて、経験したことのない変化が起こっ
の内海で日本とロシアが行った済物浦海戦は、世界各国に仁川を「戦
た。一言で言うと、韓国に新文化の種をまく歴史的な役割を果たした
場」と印象付けた。 1950年6月25日に朝鮮戦争が起こると、その年の
のだ。
9月に国際連合軍がマッカーサー元帥の指揮の下で決行した仁川上陸
開港直後の仁川は、洋式の建物と共に、それまでの「隠遁の王国・
作戦も、仁川という地名を世界の戦争の歴史に刻み込んだ。
朝鮮」の頃には見たことも聞いたこともない職が次々と生まれた。韓
こうして見ると、仁川が良い意味で世界に知られるようになった
国で最初の灯台、ホテル、郵便局、電話所、精米所、気象観測所、マッ
のは、永宗島に仁川国際空港がつくられてからだ。 1883年の開港が
チ工場、サイダー工場、各国の領事館、外国の貿易商社、埠頭などが
19世紀の海洋時代、帝国主義の砲艦外交による強圧的・受動的な歴 史展開だったとすれば、2001年の仁川国際空港の開港は21世紀の宇
1 済物浦海戦(仁川沖海戦)で沈没したロシアの軍艦コレーエツ号のいかり 2 20世紀初めの仁川警察署前の通り 3 20世紀初めの新浦洞一帯 4 仁川港の荷役の様子。開港後、仁川港の周りには倉庫と荷役の会社が造られ た。 K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
宙航空時代、韓国が自らの力で世界に向かう扉を開けた真の開港だっ た。(翻訳:坂野慎治)
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02年12月22日火曜日、仁川・済物浦港。ネリ教会の信者を中
移民会社の職員であり、通訳だけでなく後にハワイの韓国人社会で指導
心にしたハワイ移民第1陣の121人は、寒い海風を受けながら
的な役割を果たした。
汽船・玄海丸に身を任せた。長崎港からハワイへ向かうアメリカの太平 洋横断汽船・ゲーリック号に乗るためだった。 航海に臨む彼らは、万感胸に迫った。何もない沿岸に立つ人たちの姿 と、風前のともし火のように揺らめく祖国の情勢が、脳裏から離れなかっ
彼らは、2日後に長崎港に到着した。そこで1次身体検査を受けた後、 104人(通訳官2人を含む)だけがゲーリック号に乗り、横浜に寄航して 約3週間後の1903年1月13日の早朝、ハワイ・ホノルル港のそばにある サンドアイランドに到着した。
た。だが一方では、綏民院(移民事務を行った政府機関。当時の総裁ミ
現地の移民局は再び身体検査を行って、眼病などをわずらっていた人
ン・ヨンファン<閔泳煥>は、1905年の第二次日韓協約に反対して自決
を済物浦に送り返し、男性48人、女性16人、子供22人の86名を受け入
した)が各地に張り出した広告を何度も思い起こしていた。
れた。その日の午後、86人の移民第1陣は狭軌の鉄道に乗り、オアフ島
「気候は温暖で厳しい暑さもないため、誰の体質にも適している。月 給は米貨で15ウォン。仕事は1日10時間で、日曜日は休息。農夫の寄宿 する家、木、飲み水、病気を治療する費用は雇い主が支払い、農夫から は受け取らない」。
の北の浜辺にあるワイアルア農場のモクレイア・キャンプに荷を下ろし た。済物浦港を発って22日目のことだった。 もちろん初期の農場生活は、移民会社の広告とは違って苦しいもの だった。しかし彼らは、大韓帝国政府が承認した初の海外移民として、 新しい人生を切り開いていった。
最初のハワイ移民出発地に 建てられた韓国移民史博物館
記録によると、彼らが暮らしたの は、小屋というよりも板を組んだだけ の軍隊の幕舎ようなものだった。そし て、息の詰まるようなサトウキビ畑で、 1日10時間の労働に耐えなければなら なかった。そんな苦しい状況でも、彼
チョ・ウソン(趙宇星、仁川市・市史編纂委員、仁川日報主筆)
らは1日の賃金1ドル25セントを大金 だと考え、ほとんど使わずに祖国に送 額面通りなら、当時の移民の条件として、それほど悪くなかった。
金するなどして、望郷の切ない心を慰めた。その後、1905年4月まで65
それでも彼らは、おいそれと心を決められなかった。それまでに接して
回にわたって約7200人がハワイに移住し、ハワイの韓国人社会を形成し
きた西洋人の社会に対する恐れもあり、いつ戻れるか分からないまま親
ていった。
元を離れるのは、当時の倫理的な観念では親不孝そのものだったから だ。
だが男性は、ほとんどが婚期を逃した独身だったので、中には酒と賭 博におぼれるなど問題を起こす者もいた。ハワイ移民局は、それが家庭
そうした状況で、全国の大都市や港に移民の広告を出しても、希望者
を持たないためだと判断し、彼らの結婚を奨励し始めた。そこで実施さ
はほとんどいなかった。切羽詰った事業代行者のデビッド・デシュラー
れたのが写真婚姻法だ。それによって、いわゆる「写真新婦」の入国が許
は、ネリ教会のジョーンズ(チョ・ウォンシ<趙元時>)牧師に助けを求
可されて、永住権が与えられた。
めた。ジョーンズ牧師は、もともとハワイ・サトウキビ農場協議会から
最初の写真新婦は、1910年11月28日にホノルルに到着したチェ・サ
移民の斡旋を頼まれた駐韓アメリカ公使ホレイス・ニュートン・アレン
ラさんで、イ・ネスさんの妻になった。その後、1924年10月まで951人
の友人で、デシュラーの頼みを断れる立場ではなかった。ジョーンズ牧
の写真新婦が入国し、韓国人社会は次第に安定していった。
師は、直ちに50人以上のネリ教会の信者と20人ほどの仁川港埠頭の労働
その頃、懸念されていた通り、大韓帝国が日本によって国権を奪われ
者を説得した。そうして集まった初めての移民団が、その船に乗り込ん
た。すると、移民第1世代は憤然と立ち上がり、独立運動に身を投じた。
だのだ。
これは、韓国の移民史において最も注目すべき出来事の一つだ。ハワイ
出身地別に見ると、済物浦が67人、富平が10人、江華が9人、その 他の京畿道が3人、ソウルが7人などで、現在の仁川広域市が86人と圧
を拠点に大規模な独立運動が起こり、上海臨時政府の財政を支援するた めに公債証書を発行するなど、大変な熱気を帯びていた。
倒的に多かった。これは、当時の移民事業が、様々な面で仁川と密接な
さらに、ハワイ移民が終戦後に最も早く行ったのが、仁川に大学をつ
関係にあったことを物語っている。実際にネリ教会の一部の中心幹部は
くることだった。二度と国を失わないためには、若い世代を教育するし
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韓国の文化と芸術
月尾島の韓国移民史博物館に展示されているゲーリック号の 乗船者の写真と持ち物
かないと考えたからだ。彼らは、1953年にハワイ移民50周年を迎えて
この行事をきっかけに、1世紀前に移民した仁川の先人こそが仁川
15万ドルの寄付を集め、大学の名前も「仁川」と「ハワイ」から一文字ずつ
のパイオニア精神を実践・発揮したことを、また逆境の中でも独立運
取って仁荷工科大学(現在の仁荷大学校)とした。そこには、仁川とハワ
動に大いに献身した彼らの精神を、仁川の誇りとして子孫に伝えてい
イの同胞の血縁的な関係を称える意図が込められている。大学は、政府
くべきだという世論が湧き上がり「韓国移民史博物館」の建設が進めら
の補助金を合わせて1954年に設立された。ハワイの海外同胞社会は、そ
れた。
の後も奨学金を送って祖国の人材育成を支援し続けた。 それから半世紀が過ぎた2003年1月、200万のアメリカの韓国人社
その後、数年にわたる準備の末2008年6月、ついに月尾公園に韓国 移民史博物館がオープンした。現在の展示はアメリカへの移民の歴史が
会は、移民100周年を記念して盛大な祝賀行事を行った。ハワイ州の記
中心だが、今後はアジア館やヨーロッパ館も設ける計画だ。そうなれば、
念行事には、仁川の地域社会の人たちと当時のアン・サンス(安相洙)仁
仁川は在外同胞の精神的な故郷として、さらに明確な存在になるだろう。
川市長も招かれた。集まった人たちは、仁川が韓国人の海外移民の出発
移民から1世紀にして、ついにその苦難と光栄の歴史を記録・保存し、
地であり、数多くの海外同胞の心の故郷であることを内外に深く印象付
後世に伝えられるようになったのだ。(翻訳:坂野慎治)
けた。 K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
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特集4 仁川、韓国の空の玄関
開港場から ナンバーワン空港へ 世界と結ぶ韓国の玄関口は、20世紀の初頭に近代の始まりと外界との交流 を象徴した開港場・済物浦の外国人居留地から程近い場所にあってしかる べきだ。韓国を訪れる大部分の外国人旅行者は2001年以降、二つの島の間 を埋め立てて造られた仁川国際空港に降り立つ。 ベン・ジャクソン(フリーライター))
9年連続で世界最優秀空港に 選ばれた仁川空港
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韓国の文化と芸術
昔
は、仁川の沿岸にある島々の間を通り、潮の満ち引きの差が激しい水道にそって波止場に到着する 興奮を味わえた。今では、日差しが反射してきらめく海、大きな埠頭、都市の風景、驚くほど長い
橋の上を通って下降するようになった。韓国の西の海岸は、朝鮮戦争の戦況を変えた仁川上陸作戦で有名 だ。そこにある仁川国際空港は、干潟に囲まれている。霧が多く、特に北西から悪名高い黄砂がやってく る春には、さらに多くなる。バスや空港鉄道を利用してソウルに向かうなら、20分程その干潟の風景を通 り過ぎていく。そうして漢江を渡り、ソウルの西の端から都市に入っていく。 仁川空港は、北東アジアで最も重要な空港の一つで、年間旅客数は世界で9番目に多い。 2013年には 4000万人以上(1日に11万3000人以上)の旅行者が利用した。旅行者にとってさらに意味ある記録は、仁川 空港が国際空港評議会(ACI)によって9年連続で世界最優秀空港に選ばれているという点だ。空港によって は、その国に出入りするための不快な障害物のように感じられるが、仁川空港はとても気分の良い場所だ。
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最高の魅力 私が8歳のとき、両親は魔法でもかけたように私達きょうだいを
にかかる時間は、世界で最も短い。国際民間航空機関(ICAO)は、出 国と入国にかかる推奨時間をそれぞれ平均で60分、45分としている。
学校から呼び戻し、イギリスからギリシャまで2週間の家族旅行に出
仁川空港なら19分と12分で充分だ。手荷物は、着陸後ただちにベル
かけた。その飛行機での出来事は、今では想像もできないことだ。笑
トコンベアに運ばれる。バスと空港鉄道は、規則的に発車し、清潔で
みを浮かべた乗務員が私を連れて通路を通り、コックピットのドアを
運賃も適切だ。
開けて、パイロットに会わせてくれたのだ。パイロットは話しかけて
仁川空港の関係者は、空港の仕事にたずさわる900の組織・4万人
くれ、笑ったマンガの飛行機が描かれた丸いステッカーを記念にもら
の職員のコミュニケーションと協力が、成功の秘訣だと話している。
い、高ぶった気持ちで席に戻った。
空港が最高のサービスを世界に提供できるよう共通の努力をすること
今では飛行機の旅行も大きく変わってしまった。現実になったテ
で、最高の評価を得たと確信しているのだ。普通こうした話は、関係
ロあるいはテロの可能性のため、コックピットのドアは閉ざされ、地
者のもっともらしい広告文句のように聞こえるだろう。だが実際にほ
上でも空でも守るべき規則がいっそう複雑になっている。全世界的に
とんどの場合、その言葉通りに全てが動いている。
急増している中産層が、新たに手にした海外旅行の機会を楽しんでお
しかしながら、ほほ笑みと親切なサービスが、業務能力と一致す
り、それによって新しいビジネスが生まれて空港は限界に達している。
るわけではない。仁川空港は、ほほ笑みとサービスを優れた経営と融
多くのパイロットは、自分の仕事がバスの運転手と大差がないと話し
合させる能力が抜きん出ている。あえて一般化するなら、まさにそ
ている。航空会社がエコノミー席の荷物入れを減らし続けた結果、乗
うした点から、私は韓国人全体を肯定的に評価したい。韓国の人たち
客は足を伸ばすスペースがどんどん狭くなり、快適ではなくなった。
は、上下関係を重視する組織の中で素早く考えて問題を解決し、責任
空港と飛行機の神秘的なイメージは、すでに消え去っている。
感を持って仕事をしようという熱意と能力を持っているようだ(正確
それなら、世界で最も良い空港とは、何を意味するのだろうか。
な表現を見つけるのは難しが…)。それは、とても多くのささいなこ
滑走路から市内の中心までの移動、チェックインから離陸までの手続
とから見て取ることができる。あるアメリカの友人は、飛行機に忘れ
きをできる限り素早く便利に済ませること以外に、何を望んでいるの
てきた携帯電話を仁川空港の職員が見つけてくれたことに、とても驚
だろうか。空港に関する記事を読む理由が、どこにあるのだろうか。
いていた。アメリカでは厳しい規定のため、ほぼ不可能なことだ。と ても小さな例だが、4万人の職員が全てそうした態度で臨むのなら、
空港の内側 空港を円滑に運営するために必要なチェックリストは、驚くほど 膨大だ。利用者は早さ、利便性、丁寧で満足なサービス、信頼性、分
常識が通じるコミュニケーションが十分に行われ、どんなことでもう まく処理される組織文化がつくられるだろう。そうなれば全てのシス テムがきちんと働いて、ボトルネックを回避できる。
かりやすく正確な情報を望んでいる。もちろん安全も重要だ。 長い列、不親切な出入国の担当者、高圧的な保安検査、汚いトイ
空港の外側
レ、荷物の紛失、あいまいな案内表示、スリ、退屈な時間、足りない
仁川空港は、単なるインフラではなく、それ自体が一つの特別な
ベンチ、残念なショッピングなどが、良くない評価になりうる。外
構造物でもある。多くの旅行者に韓国の第一印象を与えるため、空
の滑走路では、人と荷物でいっぱいになったアルミニウム合金の機体
港には一定のレベルのスタイルが求められる。ここ数十年間に建て
を、数分ごとに遅延も混乱もなく大空へと安全に移動させなければな
られた他のアジアの空港のように(例えばイタリアのレンゾ・ピアノ
らない。手荷物は、迅速かつ確実に扱う必要がある。その地域の都市
がデザインした関西国際空港、イギリスのフォスター・アンド・パー
の中心には、簡単にアクセスできること。想定外の小さな事故は、全
トナーズがデザインした香港国際空港など)、仁川空港も敷地から
て素早く効率的に対処し、取り返しがつかないほど大きな災害に発展
デザインまで一体的に進めるという贅沢なものだった。イギリスの
させてはいけない。
ヒースロー空港は、1930年代に野菜畑だった土地を政府が買い上げ
私が仁川空港に感嘆したのは、恐らく他の先進国家で納得できな
て、そこに滑走路とテントのターミナルを造った。そこから五つの
いほど酷い空港を経験したからだろう。そのため、仁川空港の特別さ
ターミナルが連なった形に進化したもので、仁川空港のような例ば
を当然だとは考えられない。仁川空港の素晴らしさは、重要な点を全 てクリアし、旅行者の不便をできる限り軽減している点にある。その ため、外国のどの空港よりも優れているのだ。例えば、出入国手続き
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1 自動出入国審査システム。仁川空港は、入出国の手続きの時間が世界で最も 短い。2 仁川空港の手荷物のベルトコンベアで、乗客のかばんを調べる農林畜 産検疫本部の検疫探知犬 3 仁川空港の出国ロビー 韓国の文化と芸術
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仁川空港の関係者は、空港の仕事にたずさわる900の組織・4万人の職員のコミュニケー ションと協力が、成功の秘訣だと話している。空港が最高のサービスを世界に提供でき るよう共通の努力をすることで、最高の評価を得たと確信しているのだ。
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かりではない。 環境問題はさておき、切り開かれた広い土地は、仁川空港の建物 の特色である長い三日月形のターミナルを実現し、到着と出発だけで
の取れた節度ある優雅さを見せている。良い印象を生む「外側」と、あ らゆる機能を支援して全てに遅れを生じさせない「内側」が、実にうま く調和している。
なくレジャー施設まで簡単に整えられるようにした上、長期的な拡張
競争がいっそう激しくなる中、世界最高の空港という名声を保つ
計画まで可能にした。仁川空港は2001年に2本の滑走路でオープン
ための努力の一環として、仁川空港も博物館、文化体験センター、屋
し、3本に拡張されたが、5本までは可能だろう。増え続ける乗客と
内庭園、ショッピングと食事の広いスペース、映画館、スケート場、
手荷物のため、第二ターミナルを建設中で、2017年に完成する予定
ぐっすり眠れるスパなどの施設をできる限り提供している。そうした
だ。まだ空っぽのその建物は、空港施設を地元の「最高の商業中心地」
施設は、韓国で乗り換えるトランジットの旅行者にとりわけ好評なよ
にしようという政府の積極的な支援に後押しされ、素晴らしいデザイ
うだ。トランジットの旅行者こそ、空港が重要な拠点になる上で、最
ンをまとうものと期待されている。
も重要な役割を果たすためだ。
フェントレス・アーキテクツ(米国)がデザインした現在の空港
第二ターミナルは、熙林建築(韓国)とゲンスラー(米国)のコン
ターミナルは、韓屋の屋根のなだらかな曲線を用いて、韓国の植物
ソーシアムがデザインした。ゲンスラーのホームページには「利用者
チョウセンゴヨウマツ、カエデ、カラムラサキツツジを屋内に配する
がゆったりと旅行でき、屋内庭園や高級ショッピングモールを設け、
など、韓国の伝統文化の要素を加味している。幸い陳腐さを避けるた めコンクリート、鉄、ガラスを程よく使用し、機能性を際立たせてい る。建物は驚くほどの、あるいは記念碑的な形ではないが、バランス
1 仁川空港では、旅行者と来訪者のために様々な文化行事が行われている。 2 仁川空港の年間旅客数は世界9位。2013年には4000万人以上の旅行客が利用 した。
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韓国の文化と芸術
搭乗口まではシャトルトレインで13分以内に到着できるなど、グロー
空港の民営化について何年もの間、様々な議論が行われてきた。
バルベンチマーク」になることを目指すと書かれている。利用者に
空港関係者は、そうした質問の答えを避けることもある。もし民営化
とってもデザイナーにとっても、新しいターミナルが環境にやさしい
されたとしても、何が起こるのかは誰にも分からない。ヨーロッパの
ことは重要だ。もちろん、温室効果をもたらす飛行機の排気ガスで、
鉄道では、民営化が悪影響をもたらしたのかもしれない。だが、民営
そうした意図も半減してしまうが…。
化を擁護する人たちは、空港運営のさらなる成功の可能性を挙げてい る。世界最高の空港というポジションと最良のサービスという名声を
未来 インフラに関心のある人は、1960年代の未来学を連想させる極端 な曲線の交通センターに、ソウル都心に素早く移動できるリニアモー
保つため、あらゆる努力が続けられる限り、民営化されても利用者を 失うことはないだろう。 ツェッペリン飛行船でも復活しない限り、空の旅は今やロマンで
ターカーがないことにがっかりするかもしれない。競争意識の高い韓
はないようだ。そのため利便性、最低限の手間、気持ちの良い環境、
国が、2003年に登場した上海のリニアモーターカーに全く動揺しな
適度な休息の機会が、空港に求められる全てだ。そこに、せわしく免
かったのは意外だった。上海のリニアモーターカーは、都市の一般的
税店を回るショッピング客を満足させることも加えられるだろう。仁
な地下鉄まで8分でアクセスする。だが、全てを手にすることはでき
川空港は、そうした点をもれなく満たしてくれる素晴らしい存在だ。
ない。今は、KTX(高速鉄道)の空港までの延長を待つほかない。そ
私が仁川空港に惹かれる理由も、そこにある。ロマンチックな旅がし
れでも路線の制約によって、現在の空港鉄道の40分よりも格段に早く
たいなら、空港ではなく埠頭に行って、中国や韓国の西海岸の島々に
なることは期待できない。
船で向かえばいいのだ。(翻訳:坂野慎治)
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特集5 仁川、韓国の空の玄関
生きた生態系の宝庫 仁川沿岸の島々 仁川の沿岸には、およそ130の大小様々な島がある。1年に100万人以上が、仁川港からそうした島々を訪れる。そこ には、私たちがなくしてしまった生活と自然の原形が残っている。だからこそ仁川の島々は、仁川の古い未来なのだ。 カン・ジェユン(姜済尹、詩人、プレシアン人文学習院「島学校」校長)| 写真 : 安洪范, 河志權, 權泰鈞 1
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韓国の文化と芸術
仁
川沿岸の数多くの島々が抱く物語を一言でまとめることはで
黄色や黒のアオダイショウが生息していて、亜熱帯性と亜寒帯性の植
きないだろう。そこで詩を一編、詠んでみたい。
物が共存する特異な植物群落もある。 掘業島の海岸は、生き生きとした地理の教科書だ。特に、目の前
大青島コムンナン海岸、道は絶壁に沿って空まで続き
にある小さな無人島トッキ(ウサギ)島は、文化財庁が「国内のどこに
天に帰る日の近づいた老人は
も見られない海岸地形の白眉」と評価したほど保存価値が高い。引き
最後の地上の糧を得ようとやって来た。
潮のときに掘業島と陸続きになるトッキ島は一時、住民がウサギを野
老人は、岩にびっしり張り付いたカキを採る。
放しにして育てていたため名付けられた。その島の高さ20メートル
カキは、月の満ち欠けに合わせて太ったり痩せたりする。
の絶壁には、長さ3~5メートルの「トンネル」が掘られている。トン
島の人も、カキのように太ったり痩せたりする。
ネルを掘ったのは、掘削機ではなく塩分。そのトンネルが、韓国最大
島の人は、月の子孫だ。
の「海蝕」だ。海蝕はノッチとも呼ばれ、長年にわたり海水の塩分に
月が海の水を押したり引いたりしながら、海のものを育てると
よって岩が溶け、深く狭く浸食された地形のことだ。掘業島は自然が
人々は海に出て、魚を捕ったり、ホラ貝やカキを採って生きていく。
創った、この上なく美しい彫刻公園なのだ。
(詩『月の後裔』、カン・ジェユン作)
伝説になった延坪島の波市 火山島・掘業島
北方限界線(NLL)に隣接している延坪島は最近、延坪海戦や北朝
「島に着いたら、一度ゆっくり見て回ってください。あちこちに数
鮮の砲撃などによって、危険な紛争地域として広く知られている。仁
万年の間、変わり続けてきた姿が…、風、波、霧、塩の残した彫刻が
川から122キロと遠い道のりだが、北朝鮮の海州までは30キロほどに
並んでいますから。人間は、自分たちが作ったものは、せいぜい100
すぎない。
年たっただけでも文化財だと大切にします。でも数万年・数億年の
延坪島はイシモチの島として、韓国の漁業の歴史において最も重
間、自然が創り上げた彫刻は、つまらないものだと思うんですよ。開
要な島に挙げられてきた。数百億ものイシモチの群れが押し寄せてく
発するといっては、むやみに壊してしまって…。」
ると「イシモチ一杯、水一杯」、イシモチと海水が一対一の割合だとい
掘業島行きの旅客船で、船長の厳しい案内が胸に突き刺さった。
われるほど最高の漁場だった。延坪島の人たちは毎年5月になると、
仁川市甕津郡徳積面にある掘業島は、9000万年前の中生代・白亜紀
イシモチの群れの鳴き声でよく眠れないほどだった。イシモチのシー
末の火山活動によって生まれた凝灰岩の島だ。火山の爆発の後、その
ズンには、延坪島に波市が立った。魚の群れの移動に合わせて、島や
灰が飛んできて積もり積もってつくられた。そのため、海辺には火山
海の上にその都度立つ市場だ。波市が立つと、延坪島には数千艘の漁
活動の痕跡や、岩が割れて砕けたり溶けた浸食の歴史が、はっきりと
船と商船が駆け付けて「一つの船に乗れば、千の船を渡り歩いた」とも
残されている。そこには、全世界に1万羽ほどしか残っていない絶滅
いわれている。静かで小さな島・延坪島は、波市が立つと住民、船員、
危惧種のミヤコドリ、韓国の天然記念物323号のタカ、コウノトリ、
商人ら数万人でにぎわう海上都市になった。漁具や生活必需品を売る
1 掘業島の海辺には火山活 動の痕跡や、岩が割れて砕 けたり溶けた浸食の歴史が はっきりと残されている。 2 掘業島のケモリ海岸は、 牛を放牧していた草地
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「島に着いたら、一度ゆっくり見て回ってください。あちこちに数万年の間、変わり続 けてきた姿が…、風、波、霧、塩の残した彫刻が並んでいますから…」
数多くの臨時商店も建てられた。風俗を兼ねた飲み屋も100を超え、
迎えた。延坪島の北への漁船の航行を禁止する漁労制限線が、1968
そうした店の「水鳥」とよばれる酌婦は500人以上になった。
年に決められたのだ。その頃には既に長年の乱獲の結果、イシモチの
波市がピークだった1943年4月末、延坪島は5000もの船が押し寄
漁獲量が急激に減っていた。さらに悪いことに、1969年頃から黄海
せるほどの壮観だった。延坪島のイシモチの漁獲量は1944年には97
に寒冷前線が留まって延坪の漁場の水温が上がらないため、イシモチ
億匹で、1947年の波市では延坪島の漁場で働く漁師が延べ9万人に
が北上せずに南の海に居続けていた。漁船は南の海に網を下ろして、
達した。イシモチ漁の船が入ってくると、延坪島の女性も大忙しだっ
残りのイシモチの群れを捕まえた。イシモチの群れが延坪の漁場に北
た。停泊する船は、延坪島で水、食糧、薪などを補給した。女性はそ
上するルートが、完全に途絶えてしまったのだ。あれほど多かったイ
のときを狙って、水を売るために水桶を頭に載せて海辺に集まってき
シモチの群れは、数年の間に嘘のように跡形もなく消えてしまった。
た。商人はイシモチ漁が終わるとさっさと島を離れ、島は再び静かな
延坪島を訪れる漁船も商人もいなくなり、波市も終わった。
漁村に戻った。 永遠に続くかと思われた延坪島の絶頂期は、1960年代末に終焉を
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緊張感が漂う分断の島・延坪島の望郷展望台に立つと、今日も北 朝鮮の地が手に取るように近くに見える。 韓国の文化と芸術
神秘の砂の島・伊作島
た。だが、仁川市甕津郡は10年以上の間、プルトゥン一帯での砂の
仁川市甕津郡紫月面にある伊作島は、かつて伊賊島と呼ばれてい
採取を許可していた。それによってプルトゥンの砂は大きく失われ、
た。昔は海賊の島だったからだ。北東アジアで最も恐れられていた海
もともと50万坪と巨大だったが、今は30万坪ほどしか残っていない。
賊・倭寇が、一時その島に隠れ住んでいたというが、もちろん今はい
政府は、住民と環境団体の圧力によって、遅ればせながらプルトゥン
ない。だが伊作島の目の前には、毎日生まれては消える蜃気楼のよう
の景観的・生態的な価値に気付き、2004年に「生態系保全地域」に指
な島がある。 30万坪余りの砂の島だ。満ち潮のときは姿を隠し、引 き潮になると姿を現す神秘的な島を、人々は「プルトゥン(砂州)」と呼 ぶ。東西に2.5キロ、南北に1キロの砂原は、まるで海の上の砂漠の ようだ。神の存在が感じられる風景だ。 以前は引き潮のとき、プルトゥンの水溜りに閉じ込められたワタ リガニ、エビ、ヒラメなどを簡単に捕まえられた。海の生き物の産卵 場でもあったプルトゥンは長年の間、島の人たちの生活を支えてき
1 伊作島の目の前に広がる「プルトゥン(砂州)」。引き潮になると姿を現す30万 坪余りの砂の島で、2004年に「生態系保全地域」 に指定された。2 頭武津の沿岸 のアザラシ。アザラシはその昔、韓国の西の海全域で群れが見られたという が、今や絶滅の危機に瀕している。 K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
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定した。今では住民がプルトゥンの価値を知り、率先して保護してい
などの奇岩・怪石が立ち並んでいる。そのため「西海の海金剛」と呼ば
る。
れるようになった。文禄の役の当時、義兵長として活躍したイ・テギ
伊作島のチャグンプラン海岸には、韓国で最高齢の岩もある。 25
(李大期)は晩年、白翎島に流されたが、頭武津の風景に魅了されて、
億年以上にもなるその岩は、韓国で最も古いものだ。地中の深いとこ
流刑の地での生活を記録した『白翎志』で「老いた神の最後の作品」と賞
ろで高温の熱によって溶けた際に作られた混成岩で、朝鮮半島の地殻
賛している。だが、そのように美しい頭武津は、長きにわたり海賊の
の変化を明らかにする上で重要な意味がある。
拠点でもあった。 頭武津の沿岸の捕食者は、次の三つだ。人、アザラシ、ウ(鵜)。
10億年前の化石、小青島のストロマトライト 小青島は、ゆっくり歩いても2時間とかからないほど小さな島だ。
ゴマフアザラシは冬の間、繁殖のため中国・渤海にある遼東湾の氷の 海で過ごし、春になると戻ってくる。アザラシはその昔、韓国の西の
島の南東の海岸には、住民が「粉(おしろい)岩」と呼ぶ大理石の岩壁が
海全域で群れが見られたというが、今や絶滅の危機に瀕している。頭
ある。大理石は、変成作用によって石灰石からできたもので、風化し
武津の沿岸で、アザラシの唯一の競争相手はウだ。頭武津の岸壁に巣
た表面がおしろいを塗ったように見えるため名付けられた。その岩の
を作るウは、水中40メートルまで潜って魚を捕る。
そばには、韓国で最も古いストロマトライトがある。原生代後期の10
白翎島は紛争地域に位置し、常に軍事的な緊張感が漂っているが、
億年前に残されたシアノバクテリア(藍色細菌)の化石だ。シアノバク
平和の風が吹き始めている。仁川文化財団が運営する仁川アートプ
テリアは、20億年前の地球で最初に光合成を始めた原始微生物で、初
ラットホームが、内外の芸術家の創作支援と芸術交流の一環として
めて酸素をつくって地球上に他の生命を出現させた。北朝鮮地域では
「白翎島平和芸術レジデンシー」を運営しているからだ。このプログラ
20億年前のストロマトライトが発見されたと報じられたが、韓国で発
ムによって、韓国だけでなくアメリカや中国など様々な国の作家が、
見されたものの中では、これが最も古い。地質学的にも非常に大きな
白翎島を拠点として分断の海を背景に創作活動を行っている。そうし
価値を持つ自然遺産だが、そうした自然遺産は20世紀に入って大き
た活動が、韓国と北朝鮮の緊張緩和と平和構築に大きく貢献している
く破壊されてきた。特に1980年代初めまで小青島にあった模様石の
ことは間違いない。(翻訳:坂野慎治)
加工工場が、ストロマトライトを利用したため多くが失われてしまっ た。その後2009年、ストロマトライトがようやく天然記念物508号に 指定された。その価値に気付いて今からでも保存できるようになった のは、とても幸いなことだ。 ペンニョンド
老いた神の最後の作品、白翎島 明日の航路を断ち切るかもしれない海が、今日は島に向かう通路 になってくれる。白翎島は、北朝鮮・黄海道の海岸線に沿って、深く 北側に入り込んだ島だ。ソウルよりも平壌に近い。白翎島行きの旅客 船は、北朝鮮・甕津郡の巡威島、漁化島、昌麟島、飛鴨島、麒麟島、 麻哈島、長淵郡の月乃島、陸島などを過ぎて北に進んでいく。白翎島 は長い間、北朝鮮にある黄海道長淵郡に属していたが、南北分断後に 仁川市甕津郡に編入された。仁川からは229キロだが、北朝鮮の長山 串とは13.5キロしか離れていない。 白翎島の名物は、頭武津の奇岩・怪石だ。頭武津は、白翎島の北 西の端にあり、北朝鮮・長淵郡の長山串と向かい合っている。頭武津 の沿岸には、金剛山の万物相のように兄弟岩、象岩、燭台岩、神仙岩
1 白翎島の頭武津の奇岩・怪石 2 白翎島の海岸でカキを採る住民 K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
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文化フォーカス
国立現代美術館 ソウル館がオープン 34
韓国の文化と芸術
国
立現代美術館ソウル館が総事業費2460億ウォン、4年間の準備期間 を経て2013年11月13日に、ソウル鍾路区三清路にオープンした。
27264㎡の敷地に、延べ面積が52125㎡、地下3階、地上3階規模のこの美 術館は、オープン初日に3900人が入場し、一日平均3000人以上の観覧客が 訪れるほどの盛況ぶりで、ソウルの江北地域の名所になっている。
場所の歴史性 新しい美術館が建った場所には、朝鮮時代に王室業務を担当していた宗 親府が、また植民地時代には京城医学専門学校付属医院があった。さらに 独立後は、軍の捜査情報機関である国軍機務司令部と国軍ソウル地区病院 など、保安を要する軍隊関係の施設が長い間占有していたため、一般人が 近づけない「禁断の場所」だった。歴史的な要所がソウル館のオープンと同 時に国民のものになったのだ。 このような歴史的文脈を考慮して、ソウル館は建物として周囲を圧倒す るのではなく、なるべく周囲の風景に溶け込むように設計された。1981年 に周辺にある正読図書館の区内に移されたが、2010年に基壇の原型の発掘を 契機に、元の場所に復帰・復元された宗親府韓屋、 1920年代末に病院の用途と して建てられた赤煉瓦の建物、今回新築された現代風の展示場など伝統・近 代・現代の建物がうまく連携し共存している。時代とスタイルのそれぞれ異 なる建物が一つの家族のように集まった美術館には、8つの展示室を中心に 映画館、マルチプロジェクトホール、セミナー室などの多様な施設が入って いる。延べ床面積の約3分の1をレストラン、カフェー、デジタルブックカ フェーなど、市民が利用できる施設に当てられている。町中の喫茶店みたい に、誰もが自由に立ち寄れる 「開かれた美術館」 を目指したためだ。 チョン・ヒョンミン(鄭馨民)館長は「ソウル館は韓国美術を広く知っても らう一方、アジアにおける現代美術の中心地としての地位を強化すること を目指し、果川館は現代美術史を確立する機関に、そしてソウル徳寿宮館 は近代美術を研究・紹介する空間に、それぞれの役割を分けていく計画であ る」と述べた。 現代美術館ソウル館は周囲を圧倒するの ではなく、なるべく周りの風景に溶け込 むような設計に取り組んだ。遠くに、復 元された宗親府の韓屋や庭が見渡せ、左 側にはデジタル美術アーカイブ、右側に は現代美術の設置空間であるソウル・ボッ クスが見える。
建設の過程 ソウル館の建設は美術界にとっては念願の事業だった。1986年にオープ ンした果川館はソウルから離れた郊外の山麓に位置しているため、公共美 術館として都心からのアクセスが良くない。観覧客の大半はわざわざ時間
国立現代美術館ソウル館がオープンした。朝鮮時代の宮殿・景福宮や大統領の執務室・青瓦台に隣接する都心の真ん中に、 現代美術の新しい揺りかごが誕生したのだ。 コ・ミソク(高美錫、東亜日報論説委員)| 写真 : 徐憲康 Koreana ı 春号 2014
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新しい美術館は 「海に浮かぶ島々」 のように、幾つかの建物からなる 「群 島型建築」を披露した。一見それぞれ分離されているように見えるが、 すべての展示室は地下1階でつながっている。六つの庭は建物の内外 を有機的につなぐ機能を果たしながら採光の役割も果たしている。
を作って訪れる美術愛好家や中高生の団体が主だった。テーマパークであるソウル大公園、ソウル競馬公 園に隣接しているため、週末や春秋の行楽シーズンにもなると、激しい渋滞で美術館に入れない場合も多 かった。故宮の中にある徳寿宮館は建物の規模が小さく、宮殿の中に位置しているという特性ため、展示 企画そのものに制限を受けざるをえなかった。 そのため、美術界からは首都ソウルに立派な現代美術館が必要だという主張が絶えなかった。時には署
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名キャンペーンも行われたが、成果はあまりなかった。ところが2008年に機務司(韓国軍機務司令部)が移 転することになり、美術界からはその敷地に新しい美術館を建ててほしいという意見書が出され、2009年 の文化芸術人新年会で、当時の李明博大統領が機務司の跡地に新しい美術館を建てるという計画を発表し たことでソウル館の建立が本格化した。都心に大規模の現代美術館を建てることで、周辺の故宮と博物 館、 密集したギャラリーなど、北村の韓屋マウルと連携して国を象徴する街にするという構想だった。 ついに、2010年8月に建築家のミン・ヒョンジュンを設計者として最終決定し、工事がスタートした。と ころがオープンまでの道のりは決して順調ではなかった。美術館の建設に先立って実施した敷地の発掘調 査で、宗親府基壇の痕跡が見つかり、場所の選定を巡って論議になったが、結局は元の位置に建物を復元 することになった。大統領専用病院の役割を果たしてきた国軍ソウル地区病院の移転問題もうまく進まず、 近代文化遺産として登録された旧京城医学専門学校の建物の建替も様々な論議を呼んだ。さらに、工事の 途中に火災が発生するなどの紆余曲折もあった。
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韓国の文化と芸術
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風景の中に溶け込んだ建物 ソウル館の建築設計は公募に応募した110余のチームの中から選ばれた建築家のミン・ヒョンジュン氏 (MPART代表、45才)が担当することになった。彼は「ソウル館は建築物ではなく、風景である」と言う。歴 史的背景のある場所に建つ新しい美術館が周囲を圧倒するものではなく、周りに散在する「歴史的破片」と 共存する道を選んだと説明している。「作品としての建築物」を披露したいという意欲を諦めたのだ。 新しい美術館には独りよがりの存在感を誇示する建物は見当たらない。その代わりに「海に浮かぶ島々」 のように、幾つかの建物が集まっている「群島型建築」を披露した。見た目はそれぞれ分離独立しているよ うに見えるが、すべての展示室は地下1階でつながっている。道の向かい側に位置する景福宮の歴史遺跡 としての価値を損なわないように、建物の高さが地上12mに制限されているため、地下の階が増えたのも
1 タシタ・ディーン(Tacita Dean) 作 の〈フィルム〉 (2011年)シネマスコー プを縦に立てて置いたような 超大型 スクリーンに11分の長さのアナログ 無声映像を流した。 2 現代美術館の収蔵品の特別テーマ 展である〈ザイトガイスト—時代精神 展〉に掛けれていたファン・インギ(黄 仁基)作〈夢遊-夢遊〉 。(2011)307x845 cm、合板の上にプラスチック・ブ ロック 3 ソ・ドホ(徐道濩)作〈家の中の 家の中の家の中の家の中の家〉 (2013) 。ポリエステル布、金属枠、 1530x1283x1297cm
特徴だ。建築家は散らばっている展示場をつなぐ動線を設け、地下空間の採光問題を解決するため、韓国 の伝統的な「マダン(庭)」の概念を取り入れた。要所要所に配置された6か所の庭は建物の内外を有機的に つなぐ役割を果たしながら自然光が入る通路の役割を果たしている。 新築の建物群は以前からその場に建っていたかのように周囲との調和をなしている。その敷地の歴史性 Koreana ı 春号 2014
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を考慮して、美術館の形態をできるだけ抑制することで背景と調和をなすように設計したことは前向きな評価 を得ている。
開館記念特別展示会 開館を記念してソウル館が進むべき方向性を示唆する5つの特別展示会が同時に開かれた。韓国美術の歴史 から現代美術の最新の動向までを網羅した展示会だった。世界美術のハブを目指して、内外のキュレーターた ちが参加した「連結―展開」展を中心に、ジャンル間の垣根を取り払った「アレフ・プロジェクト」、美術館の空間 を生かした「現場設置プロジェクト」、所蔵品常設展「ザイトガイスト-時代精神」展、ソウル館建設の過程を写真 と音で記録した「美術館の誕生」展などである。チェ・ウンジュ(崔銀珠)学芸チーム長は「美術館が目指す開放性、 各要素間の接点、芸術的可能性を探索することに主眼が置かれている」と紹介した。 それぞれの企画展は大掛かりな見所にはやや足りなかったが、全般的にレベルが均等化されたという評価を 受けた。絵画の映像設置パフォーマンスなど、多彩な分野を網羅した点、ジャンル間の疎通と融合を積極的に 受け入れた点は際立った。「連結–展開」展の場合、韓国・ドイツ・アメリカなど、7か国のキュレーターたちが会
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韓国の文化と芸術
議を通じて選定した7人の作家の作品に照明を当てた。日本の「もの派」の代表作家である菅木志雄をはじ め、反戦ドローイングを出品したキム・ジョンス(アメリカ)、開発に対する抵抗を詩的に表現したアマル・ カンワル(インド)、デジタル時代に逆行するアナログ映像を製作したタシタ・ディーン(イギリス)らが参加 した。台湾のリー・ミンウェイは観客の参加によって完成する作品、「ソニック・ブロッサム」を披露した。 長いコートを着た人が美術館のあちこちを歩き回りながら、観客に近づいて「プレゼント」を提案し、観客 がそれを受諾するとシューベルトの歌曲を歌ってあげるパフォーマンスである。 建築、デザイン、科学、公演、美術などが複雑に絡んでいる「アレフ・プロジェクト」は目新しさで観客
1 フィリップ・ビースリ(Thilop Beesley) 作 〈着生植物園〉 (2012)。 十万個の繊細な デジタル要素から 成ったインタラクション設置彫刻で ある。 2 見た目はそれぞれ分離されている ように見えるが、各展示室は地下 1階でつながっている。天井に設置 されたチェ・ウラム作〈Opertus半月 影(月の隠れた影) :Opertus Lunula Umbra(Hidden Shadow of the Moon) (2008)が見える。 〉
の視線を集めた。人が近づくと、生きているように触手を持ち上げて答えるフィリップ・ビースリの動く建 築「着生植物園」、目に見えない微細なイメージを観察する機会を提供したオーストラリアの作家チームの 「精巧な実験室」も話題になった。現場設置プロジェクトとしては「チャン・ヨンへ(張英恵)重工業」チームの ハングル・テキストで作った映像と、子供の頃に住んでいた韓屋とアメリカ留学時代の家を薄い布で作って 重ねたソ・ドホ(徐道濩)の「家の中の家の中の家の中の家」が目を引いた。
韓国美術の足がかりになる これで韓国の美術が世界に向けて飛び立つための足がかりが設けられた。観覧動線の非効率性など、ま だ解決すべき問題も残っているが、時間が経てば歴史と伝統、自然と芸術が息づく空間、文化と憩いの公 園として役割を十分果たせるだろう。 文化の世界地図に韓国の位置をはっきりと刻み込み、もっと多くの人々に見て、楽しんでもらうため に、文化福祉を実現することがソウル館にとって一番重要な課題である。第一歩を踏み出したソウル館が 品格のある文化国家の新しいアイコンであり、また世界に向けて誇れる美術館として進化するためには、 立派な建物や展示だけでは充分ではない。穀物は農夫の足音を聞いて育つといわれるように、文化芸術は 大衆の関心と愛情を養分に花を咲かせる。これからは関心を持って足を運んでくれる市民にソウル館の成 敗がかかっている。(翻訳:趙祥恩)
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韓国の近代文化遺産
ロシア公使館の展望塔。旧ロシア 公使館の面影が残っていて、近代 歴史の一場面を伝える。
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寿宮の正門にあたる大韓門から京郷新聞社につながる現在の
私は貞洞のロシア公使館に隣接した学校と職場に通ったため、30年
「貞洞路(チョンドンギル)」の一帯は、朝鮮時代末期の大韓帝
以上も公使館の塔を見続けてきた。塔の中に入ったこともある。塔の
国時代における政治・外交の中心地だった。風情ある文化街に変貌し
内部は1階から3階まで吹き抜けている。1981年の発掘調査によっ
た街の一角にある丘の上に西洋風の展望塔がぽつんと立っている。史
て、徳寿宮までつながる狭い地下の秘密通路が発見された。この秘密
跡第253号に指定された旧ロシア公使館の遺跡である。百余年前、一
通路もサバチンによる設計だろうか?
徳
国を混沌に陥れた歴史的現場だったが、本来の用途が失われてからは 廃墟と化し、寂々とした姿はエキゾチックでさえある。
1901年にアメリカ人旅行家、バートン・ホームズ(E . B u r t o n Holmes)が撮影した写真を見ると、朝鮮時代の瓦屋がびっしり立ち並 ぶ丘に凱旋門の形をした公使館の正門である「ロシアゲート」が立って
本館と塔
いる。その向かい側には1902年当時、韓国初の西洋式ホテル、ソン
ロシア公使館はロシア出身の建築家、サバチン(Afanasij Ivanobich
タッグホテルがあった。高宗は皇室の所有していた家屋と土地を下賜
Seredin-Sabatin;1860~1921)が設計し、1890年に完成した。1911
しそのホテルを建設させた後、ヴェーバー (Karl Ivanovich Weber)ロ シア公使の妻の妹であるドイツ人、アン
展望塔として 残った近代の風景 旧ロシア公使館 今では3階建ての展望塔だけが残っているソウル貞洞の旧ロシア公使館の跡 地は、19世紀末の韓国近代史の真っ只中を見守ってきた由緒ある場所である。 キム・ユギョン(金裕卿、ジャーナリスト)| 写真 : 安洪范
トニト・ソンタッグに運営を任せた。ロシ ア公使館と塀を接していた韓屋は韓国カ トリックの母胎となった。
「公使館街」の近代風景 高宗の最後の住まいとなった徳寿宮の ある貞洞一帯は、朝鮮末期の近代化の渦 が興った場所である。1890年を前後に国 交を樹立した9か国の内、中国と日本を 除いたロシア、アメリカ、イギリスなど、 7か国の公使館がここに位置していた。 現在もロシア、アメリカ、イギリスの3 か国を含めた6か国の大使館がこの地域 に位置する。
年から1914年までここで勤務した外交官のキリル・チルキ(K i r i l Tchirkin)の記録から、今は無き当時の建物を想像してみる。 「丘の頂にイタリアのビィラ建築様式の本館が立っている。1階建 てだが、天井の高い部屋が一列に並んでいて、建物の右側には四面体 の塔があり、とても美しい…丘には様々な木々に覆われた緑豊かな公 園がある」-キリル・チルキン。
1882年にアメリカの公使館が初めて徳寿宮圏域の閔氏所有の瓦屋 を購入して公使館を建て、続いて貞洞の丘にロシア公使館が、さらに 徳寿宮の北側にはイギリス公使館が建った。この三つの公使館はお互 い隣接していて、徳寿宮にもつながっていた。 1883年ソウルにイギリス公使館の敷地を探すためにやって来た在 日本イギリス公使館の職員、アストンが書いた手紙の一節から、西洋
花崗岩と煉瓦で作られた本館は1950年に起きた韓国(朝鮮)戦争の
の外交官たちがソウルに定着するための必要条件が伺える。「ソウル
際に破壊されてしまい、現在は3階の塔と地下の一部だけが残って
城の中、南大門と西大門の中間ぐらいに位置していること、徳寿宮と
いる。元々塔は薄い灰色だったが、1973年の補修・復旧工事の際に白
外務省、そして日本の公使館に近いこと」。「早くもアメリカは貞洞に
しっくいで塗られた。塔の1階の南側の壁にはアーチ型の木製の扉が
敷地を購入した。引き続きドイツ、ロシア、イタリアの公使館がソ
二つあり、残りの三面には一つずつ、計五つの扉がある。アーチ形を
ウルに建つ予定であったため、彼らが到着する前にソウルに公使館
した扉は、高さと幅はそれぞれ違う。2階には一面にだけ四角の窓が
の建設を急いだ。貞洞の徳寿宮の周辺は元々は王室所有の土地だっ
一つ、3階には同じサイズのアーチ型の窓が四面にある。その上部は
たが、財産権が王室の側近に譲渡されていたものが多かった」 ( J.E
三角形のぺディメントで仕上げてあり、高さは約8メートルある。
ホーア著。「イギリス大使館小事」 ;J. E. Hoare、“The British Embassy
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Compound Seoul 1884~1984” )
ドイツ人外交顧問ミェレンドルフ(Paul Georg von Möllendorf)の目に
公使館で開かれるテニス大会、庭園で開かれるパーティー、後腰
留まった彼は23歳の時、韓国に来ることになった。サバチンはそれ
をふくらませたバッスルスタイルの西洋の女性、電灯が明るく灯った
以来1904年までの20年間朝鮮で生活しながら、新しい時代に求めら
ソンタッグ・ホテルなどは当時の韓国人に異国情緒を喚起したに違い
れるヨーロッパ風の建物を建築するために、約20種類の建築設計案
ない。貞洞一帯にはキリスト教会、培材学堂と梨花学堂が建ち、洋服
を作成し、その中の14~15個を完成させた。近代の文物流入の関門
屋を始めとする西洋風の店舗もオープンした。その貞洞の路地は公使
だった仁川の税関庁舎の設計、租界地の地図の作成、万国公園(現在
館街(Legation Street)と呼ばれた。政治的にはこの街が自国の利益の
の自由公園)の造成も彼に任された。彼の子女たちは皆朝鮮で生まれ、
みを追求する「外国人スパイの殿堂」だったと評する学者たちもいる。
長男のピョートルは朝鮮で初めて生まれたヨーロッパ人である。
多くの人物がここ貞洞を訪れた。ソンタッグ・ホテルには、後のイ
2009年10月にソウルで開かれた国際韓国史学会セミナーで、
ギリスの首相になったチャーチルも訪問し、アメリカの作家マーク・
ロ シ ア 国 立 人 文 科 学 大 学 の タ チ ア ナ・シ ン ビ ル チ ェ バ( T a t i a n a
トウェインも泊まった。後に朝鮮統監として強制併合を率いた伊藤博
Simvirtseva)博士は、「当時、ロシアのマスコミに発表された彼の寄
文もここに泊まって朝鮮の政治家らを脅したり、懐柔したりした。
稿文を読むと、彼が朝鮮を深く理解していたことがよく分かる。朝鮮 史の重要な事件と関連し、彼が尊敬しながら、同情を寄せていた高宗
「朝鮮国王陛下の建築家」
との関係は彼をもっと朝鮮に近づかせた」と話している。
ロシア公使館とサバチンという名前は、一瞬にして朝鮮末期-大韓 帝国につながる百年も前の過去に我々を導いてくれる。
サバチンが目撃した近代史の現場
建築家サバチンと彼の妻は朝鮮政府によって初めて採用された30
高宗の信任を受けて1894年8月から景福宮に滞在していたサバチ
人余りのヨーロッパ人の中の一人であり、1883年9月、上海から朝鮮
ンは1895年10月8日未明、国王守備隊のアメリカ人教官だったダイ
の済物浦に入った。朝露修好通商条約(1884年7月)が締結される10
(William McEntyre Dye)と共に明成皇后が日本軍に殺害される事件を
か月前のことだった。
目撃した。彼は「日本軍はその時まで皇后を見つけ出せなかった。皇
ウクライナ地方の貴族出身だった彼は、サンクトペテルブルク王
后の安否は誰も知らない。日本人が宮殿を襲撃して朝鮮の女官たちと
立芸術アカデミーで暫く美術を勉強し、また建築学校にも通った。極
高官たちを殺害したことに対して、日本の公使三浦は、ヨーロッパ人
東艦隊の航海士として勤務していた頃、西洋建築技術者を探していた
目撃者がいたことを知るまでは一語も語らなかった」という証言を記
1 ロシア公使館の前景 2 1901年にバートン・ホームズ (E. Burton Holmes)が撮影した ロシア公使館の遠景。丘に登 る道沿いにある公使館の入り 口には凱旋門のようなアーチ 型の正門「ロシア・ゲート」が立 てられている。周辺には朝鮮 時代の瓦家が建ち並んでいる。
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韓国の文化と芸術
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「丘の頂にイタリアのビィラ建築様式の本館が立っている。1階建てだが、天井の高い部屋が 一列に並んでいて、建物の右側には四面体の塔があり、とても美しい……丘には様々な木々 に覆われた緑豊かな公園がある」-キリル・チルキン(С.В. Kiril Tchirkin)
録として残した。 明成皇后殺害事件は未だ歴史のミステリーとして残っている。
保し、様々な近代建築物を建てた。当時徳寿宮の中に新たに建設され た六棟の西洋風建物の内、五棟をサバチンが設計した。その後1904
チョン・サンス韓国放送通信大学の研究教授は2013年に事件当時、明
年4月、日本側の放火だと大韓毎日新聞のべセル(Ernest Bethell)が
成皇后が殺害されずどこかに身を隠して生存したという内容が書かれ
記事にした、徳寿宮大火災が起きた。高宗が避難した重明殿もサバチ
たドイツとイギリスの外交文書を見つけた。その文書によって、誰か
ンが設計した建物である。サバチンは大火災の起きる直前の2月、日
ロシア公使のヴェーバーに明成皇后の避難場所を提供してくれるよう
露戦争が起きると、家族や他のロシア人たちと共に朝鮮を離れて以
要請した人がいて、「皇后が脱出したと見られる」というソウル駐在
来、二度と戻ることはなかった。
のイギリス総領事、ウォルター・ヒラーの報告内容の存在も明らかに なった。
国交樹立
1896年2月、日本の脅威が本格化すると、高宗は後に純宗に即位
1990年に韓国とロシアの間に国交が再開されると、ロシアは貞洞
する王子と共に景福宮を離れてロシア公使館に居所を移した。この事
34番地に12階建ての最新式の建物を建てて入居した。その直後にロ
件を「俄館播遷」という。高宗はそこで1年ぐらいを過ごし、徳寿宮
シア公使館塔を訪れたロシアの高位軍人たちと出会ったことがある。
の整備が終わった1897年2月に居を移した後、大韓帝国を宣布した。
カーキ色の軍服姿の彼らは、その塔を感慨無量に眺めて、記念写真を
正式の宮殿・昌徳宮がありながら、あえて狭い徳寿宮を選んだ理由は、
撮っていた。
周辺に外国の公館が集まっていたため、日本の脅威に対処しやすいと 判断したのだ。 ところが、徳寿宮はやはり狭かったため、貞洞にあったアンダー ウッド、モフェット宣教師らの家の跡地を買い取り宮殿敷地として確 Koreana ı 春号 2014
20世紀初頭は近代化の渦に飲み込まれた激動の時期で、貞洞はそ の真っ只中にあった。現在は昔の政治的緊張感や異国情緒などは見る 影もない。がらんとしてひっそり佇む旧ロシア公使館塔は、そんな韓 国の歴史を物語っている。(翻訳:趙祥恩)
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アート・レビュー
ヘ ギョン グ ン ホ ン
シ
演劇「恵 慶 宮洪氏」
歴史記録をもとに描いた人間心理劇 44
韓国の文化と芸術
演劇「恵慶宮洪氏(ヘギョングンホン シ)」の一場面。恵慶宮洪氏の波乱万 丈な一生を「演出者のペルソナ」と呼 ばれる女優金昭希さんが卓越した演 技で演じている。
人
々が正史と呼ぶ歴史は権力を掴んだ者たちの立場から書かれた物で、彼らの意見を無視することはで きなかった。そのため野史(民間で編集した歴史書)こそ、権力者が隠蔽したがる真実が入った歴史の
玉手箱だという見方も出来る。耳慣れた正史ではなく、野史を通じて既存の歴史観に反旗を翻す斬新な観点 を示してきた 劇作家・演出家の李潤澤が、今回は国立劇団とともに歴史劇 「恵慶宮洪氏」 を脚本・演出した。 客席の照明が落ち、観客の空咳がおさまると、舞台には恵慶宮洪氏とその息子の正祖が登場する。彼ら が立っているのは恵慶宮洪氏の還暦祝いの進饌礼が行われている華城行宮だ。時間は遡り、舞台は壬午禍 変の起きた昌慶宮となる。そして恵慶宮洪氏は皇太子妃に選ばれ宮廷にあがったばかりの10歳の少女とな り、観客は多事多難な人生を生きた一人の女性との一夜の時間旅行にでかけることになる。
聖君の悲劇的な家族史 朝鮮王朝の最も優れた王の一人だと言われているのが第21代王の英祖だ。英祖は党派に関係なく優れた 人材を登用する制度の蕩平策や兵役に代わる税金を半分に減らして一般民衆の負担を減らそうとした均役 法など、さまざまな改革的な制度を推進したことで有名だ。英祖に次いで王位についた孫の正祖もまた賢 明で善良な王だった。先代に続き蕩平策を強化し、妾の子供である庶子にも官職に着く道を開き、小規模 な商人や工人(職人)のために少数の商人が握っていた独占権を撤廃した。英祖の嫁であり、正祖の母であ る女性が、この演劇の主人公、恵慶宮洪氏だ。 彼女は1735年に生まれて10歳で皇太子妃となり宮廷に入り、その後1816年に王大后として世を去るま で80年間の生涯を絶対権力の中心にいた。しかし良く知られているように彼女の人生は波乱万丈の連続 だった。彼女の夫であり、英祖の息子、そして正祖の父であったサドセジャ(思棹世子)は王位につく事も できずに英祖の命により木製の米びつに閉じ込められその生涯を閉じた悲劇の人物だ。彼は28歳という若 さで、子供でも小さくならないと入れないような狭い空間に閉じ込められ、8日目に亡くなった。後日、歴 史家たちはこの事件が任午年(1762年)に起きたとして、これを壬午禍変と呼んだ。演劇は恵慶宮洪氏がこ の事件を中心に自分の人生を書き連ねた自叙伝『閑中録』をもとにして朝鮮の王室と外戚洪氏の家門の悲劇 を物語っている。 恵慶宮洪氏は宮廷に入った瞬間から、夫が舅である英祖の信任を得ることができずにいると直感した。 本来、思棹世子は聡明な王子だったが、息子を強靭に育てる為に非情さを選択した父王のせいで、彼は常 に劣等感にさいなまれていた。父王の極度の不信と過酷な叱責の中で育った思棹世子は不安にみまわれ、 ひどい鬱病の症状を見せていた。さらに互いに政権を掴もうとする党派の勢力争いの真ん中に立つことに なり、鬱火病まで患うことになった。鬱病と鬱火病はシェークスピアーのハムレットを連想させるような 奇行と狂症へとつながる。特に思棹世子が自分の一部始終を監視する内侍を殺害した事件はハムレットが ポロニウスを殺害した場面を連想させる。 巷には思棹世子が100人以上の人々を殺害したという説もあるが、演劇は確認されていない事実に対し ては言及しない。その代わり思棹世子の女性遍歴を語っていく。その相手は宮廷女官だけではなく、彼が
国立劇団の新作「恵慶宮洪氏」は生涯を絶対権力の中心で過ごしながらも、悲運の人生を歩んだ女性の宮中回顧録である 『閑中録:恨中録』をもとにした心理劇だ。脚本と演出を担当したイ・ユンテク(李潤澤)は「歴史を作るのは非常に小さな心 理的な動機」という普段の考えをこの作品でも適用し、歴史上の人物たちを現実の世界に置き換えた。 キム・イルソン(金一松、公演文化月刊誌「Scene Playbill」 編集長) Koreana ı 春号 2014
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自分の妹の和緩翁主とも深い関係だったという説に力を入れている。宮廷内にはありとあらゆる異常な噂 が広まり英祖は結局、思棹世子を米びつに閉じ込めるよう命じる。 まだ幼かった正祖は母さえ目をそむけたその残酷な処刑の現場で父が米びつに閉じ込められる姿を目撃 する。父の愛情に飢えていた思棹世子は息子には格別な愛情を注ぎ、母よりも父を好きだった正祖にとっ て父を死に至らしめた壬午禍変は生涯のトラウマとしてその心中に残ることになる。 王位についた正祖は父思棹世子の復権に多大な努力を傾ける。今日、ユネスコの世界文化遺産に登録さ れた水原華城の建設もその一貫だった。劇の最初の場面で息子が催してくれた盛大な還暦の宴でも恵慶宮 洪氏がさえない表情をしていたのは、父思棹世子の復権を図ろうとしている息子のせいで自分の実家が没 落してしまったからだ。信じていた息子は父の死に深く関係していた外戚の勢力除去に乗り出し、その没 落を放任したのだった。 演劇は長い歴史を主人公の一日を軸に圧縮している。祝いの宴を終えた恵慶宮洪氏は寝所に入り夢を見 る。その夢の中で過去への旅をし、そして長い旅を終えて夢から覚めるのだ。その時、彼女の前に20年前 正祖が執権した時に、落郷させられ生死さえ分からなくなってしまった実の妹が現れる。ちょうど、自分 の寝所を訪れた正祖に恵慶宮洪氏は長い間の恨みを吐き出すが、正祖の心は動じない。結局彼女はそのす べてを文章にして書き残すことにする。罪人の妻として生きなければならなかった辛い歳月と、自分のせ いで没落させてしまった実家の悲劇を一字一字書き残していく。それがこの作品の母体となった『閑中録』」 であり、演劇はこの場面で幕を閉じる。
演出者と主人公 劇作家で演出家の李潤澤は韓国では文 化ゲリラと呼ばれる人物だ。詩人としてデ ビューし、記者生活を送ったあと演劇に身
抜群の演技力を誇る俳優たちが亡者の霊魂を慰める為にシッ キムクッ(死者の霊を洗うという意味の死霊祭)を行う時も、 其の中心にはいつもキム・ソヒ(金昭希)がいた。「恵慶宮洪
を投じた彼は1986年演戯団距離牌という傑
氏」はこの卓越した女優を中心にすえて、男性中心、勝者側
出した劇団を作り、これまで芸術監督とし
の歴史ではなく、女性が記述した非主流の歴史で敗者の逆襲
てこの劇団をリードしてきた。それだけで はなく彼はソウルの大学路と慶尚南道密陽
を描いた演劇だ。
に公演場を運営しているが、特に密陽演劇 村は合宿する演劇共同体文化が消え去った大韓民国の演劇界に残った数少ない創作拠点となっている。詩 人で劇作家、そして演劇とミュージカルの演出など、多様な活動を通じて問題作を作ってきた彼は以前に も韓国史を素材にした作品をいくつか発表している。(其の中には正祖の人生を描いたミュージカル「華城 で夢見る」もあった)それらの作品を通じて彼は朝鮮の歴史上最も横暴な君主として知られている燕山君(ヨ ンサングン、李氏朝鮮第10代国王 1476-1506) に自己弁論の機会を与え、朝鮮時代最高の名将である忠武公 李舜臣の人間的な側面を描いた。いつでも実録には現れない部分に関心を示してきた彼が今回注目したの は女性である恵慶宮洪氏だ。そしてそのために彼が選択した俳優がタイトルロールを演じるキム・ソヒ(金 昭希)だ。 金昭希は李潤澤が「観念を具体化させる能力に卓越した俳優」と賞賛した女優だ。自分が描こうとする観 念の世界、非日常的で心理的な空間で巻き起こる人間の意識の問題、霊魂の問題のようなものを非常に具 体的な演技で表現できる「李潤澤のペルソナ」ということだ。演劇「恵慶宮洪氏」でもその点が如実に現れた。 舞台の上で彼女は花の蕾を膨らませはじめた10歳の少女から、美貌が満開に咲き誇る28歳の女性、そして 枯れていく還暦の老いた姿まで、恨み多き50年の歳月を演じ分けている。特別な扮装をすることもなく、
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思棹世子(サドセジャ) が米びつに閉 じ込められる直前の場面。王である 父は息子に米びつに入るように命 じ、幼い孫は祖父に、自分の父の命 乞いを哀願する。
韓国の文化と芸術
ただ表情と身振り、声音だけで半世紀の年月を行きかう演技を繰り広げる。劇中で50年を貫通するのは 恵 慶宮洪氏 ただ一人だ。 『閑中録』を原作としているだけに 恵慶宮洪氏の視線から抜け出すことは難しい。だからと言って劇は 彼女の立場だけを代弁するものではない。英祖がどうして息子を米びつに閉じ込めるように命じたのか、 思棹世子の生母は夫をなぜ止めることができなかったのか、恵慶宮洪氏の父の洪鳳漢はなぜ事態を傍観し たのか、正祖はなぜ外戚を宮廷から遠ざけるほかなかったのか、すべての人々の立場を伝え観客に考える 余地を残してくれている。そのために李潤澤は洪氏の夢枕に現れる何人もの人々の魂霊を通じてそれぞれ の立場を立体的に伝えている。観客に歴史よりは人物を、事実よりは心理を見せるための効果的な選択 だったことは間違いない。そしてその過程で抜群の演技力を誇る俳優たちが亡者の霊魂を慰める為にシッ キムクッ(死者の霊を洗うという意味の死霊祭)を行うが、其の中心にはいつも金昭希がいる。演劇はこの 卓越した女優を中心にすえて、男性中心、勝者側の歴史ではない、女性が記述した非主流の歴史で敗者の 逆襲を描いている。 追記:当初、この作品は国立劇場タルオルム劇場で公演する予定だったが、劇場のリノベーション工事 が遅延したため龍山区にある国立劇団白星姫張民虎劇場で公演された。2013年12月14日から29日まで公演 は全席売切れの盛況だったが、当初の計画どおりに国立劇場タオルム劇場のリニュアルオープンのこけら 落としの舞台となっていたならば、さらに多くの観客が観覧できただろうと思うと残念だ。アンコール公 演を期待したい。(翻訳;金明順)
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韓国大好き
野村基之 70年代、 清渓川の人々は 私の人生の師匠 チョンゲチョン
1973年から10年余りの間、野村基之(83歳)氏はソウルの最貧民層だった清渓川の人々から「ホームレス・イエス」の生き方 を学んだ。そして2007年になって野村氏は長い間自分の書斎に眠っていた清渓川の写真フィルム800本と当時の貴重な資 料ををソウル市に寄贈する。これを契機に清渓川の写真集『野村リポート』が出版された。こうしてもう一度韓国と繋がっ た野村氏は、2014年現在、韓国の新しい世代と新たな関係づくりの道を歩んでいる。 ジョン・ウンイ(田恩伊、神戸大学メディア文化研究センター、学術推進研究員)
何
度か電車を乗り換えながら、度々想像した
絶えない水路公園になっている。 2014年現在、清
二つのイメージがある。一つは灰色の貧民
渓川沿いのどこにも写真集の表紙のようなバラッ
街を歩いている「清渓川の聖者」。もう一つは夕陽
ク街の風景は見かけられない。本の表紙を捲ると、
の落ちた暗がりの森の中で「狐の食卓」を準備して
洞窟なのか穴蔵なのか、どうみても区別のつかな
いる老人(ハラボジ)。インタビュー依頼のために
い入り口の前に、一人の子供がカメラに向かって
出した最初のメールに、私は「牧師様」と始まる挨
晴れやかな笑顔で笑っている。バラックを組み立
拶文を書いて送った。すると、次のような返事が
てる板一枚さえ手に入れる事ができない人たちは、
返ってきた。「私は『牧師様』ではありません。寒村
川辺の土手を壁にして穴を掘り、入り口をむしろ
僻地の田舎に住んでいる普通の老人にすぎません。
でふさいでその中で生活していた。人々はこうし
ハルベ(ハラボジ)と呼んでください」。
た穴蔵が立ち並んでいる集落を「ありの村」と呼ん 1
ベタニヤ・ハウスへ向かう道 滅多に雪の降らない神戸から出発して4時間。微かに揺れ動く電
だ。 長野県の塩尻駅からのどかなローカル線の列車 に乗り換えて40分程走ると、南アルプスの荘厳な雪景色が突然目の前
車の中、私の膝の上には『野村リポート』という写真集がおいてある。
に開けてくる。小淵沢駅から北東へ5キロメートルの距離に小さな村
1970年代、清渓川の貧民街に立ち並ぶバラック街の風景が表紙になっ
がある。八ヶ岳山麓の海抜1050メートルの山奥の小さなこの村に野
ている。今では洗練された都心の公園として、余暇を楽しむ人々で
村ハラボジのベタニヤ・ハウスがある。ここは人と自然、そして動物
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韓国の文化と芸術
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1 2013年に出版された写真集〈野村リポート〉の表紙 2 野村基之氏。史料として価値ある清渓川の写真のほとんどをソウル市に寄贈 したため、彼の手元には個人的な記録写真しか残っていない。
「狐の家族を待つことぐらいしかできない、何の役にも立たない老 人のために、こんな遠くまで足を運んでくれるなんて…」。 ハラボジは、「ありの村」の子供たちのように、無邪気な笑顔で私 を迎えてくれた。丁度年末年始の連休を迎え、茨城県で精神障害者の
たちが自由に訪れては去っていく野村ハラボジの安息の場、共同体ハ
ための職業訓練の仕事をしている息子と、同じく精神障害者の歯科治
ウスである。
療の仕事をしている嫁が来ていた 「あるきっかけがあって、1968年にはじめて韓国に行きました。朝
砂糖水一杯の意味
鮮戦争の頃に、日本で同じ獣医大学に通っていた韓国人の友達がいた
森の小道にそって歩いていくと小さな家が一軒現れた。別荘地と
のです。彼とは苦楽を共にした仲良しでしたが、私がアメリカから日
して脚光を浴びている周辺の建物に比べ、その素朴さが逆に目立って
本に戻った頃には、その友達も済州島に戻っていました。済州島で彼
いる。ハラボジは東京の家を処分して、1985年にこの地に移り住ん
に会った後、全国を見て回る機会があったのですが、その時に受けた
だ。当時は深い山奥の辺鄙な田舎村だったので地代がとても安かった
衝撃は未だに忘れられません。ああ、僅か20数年前にここに日本軍
という。定住を決めた当時はハラボジの膝の高さに過ぎなかった多く
がやって来て、軍靴の音を鳴らし日の丸の旗をあげて…。こんな田舎
の木々が、今では大きくなって小さな森をつくっている。森は山から
にまで日本軍がやって来たのかと思ったのと、こういう貧しさ、朝鮮
降りてくる鹿や狐、小鳥たちがハラボジの庭に安心して出入りできる
戦争があったこと、その結果として南には軍事政権、北には金一族の
通路にもなっている。
独裁政権が出来てしまったのか…。日本の侵略というものが、韓国に
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「誰も教えてくれなかった最高の教えを清渓川の人々からもらいました。彼らは聖書の内容を 実生活を通して悟らせてくれた私の師匠です。それなのに私が「清渓川の聖者」と呼ばれるの は恥ずかしいことです…。イエスの真の生き方を私に悟らせてくれた偉大な師匠、清渓川の 人たちに限りなく感謝しています。
どんなに恐ろしい結果を生み出してしまったのか、と骨身に染みるほ
も一緒にですよ。あの時代の韓国ではお砂糖がとても貴重で高価な
ど痛切な思いをしました」。
食べものだったのに。一緒に行った息子の真が小学校2年の時でし
獣医大学に通っていたある日、アメリカ人宣教師の勧めでアメリ
たね」。
カ留学をする。そしてアメリカで神学を学んで日本に戻った頃は、日
後から知ったことだが、あの時に砂糖水を出してくれたおばあさ
本が高度経済成長のピークを迎えていた時代だった。野村氏は韓国の
んは、堤岩里の虐殺事件から生き残った僅かな数人のうちの一人だっ
至る所に残されていた戦争の焼け跡や傷痕、そして疲弊を極める民衆
たという。
の生活と貧しさを目撃し、大きな衝撃を受ける。日本の侵略が、消し
(堤岩里虐殺事件は、1919年3月1日に起きた韓国の独立運動に対
去る事の出来ない傷を韓国・朝鮮の人たちに与えてしまったことを痛
する報復行為として日本軍と警察が、現在京機道化城郡堤岩里で民間
切に感じた。国家が犯した罪だから国家が償わなければならない。し
人20数名を虐殺した惨事の事を言う)
かし、同時に個人としても道徳的・倫理的な責任があるという考えを 確かに抱いたという。この時以来、その気持ちを持ち続けながら生き
「清渓川の聖者」などと呼ばないでください!
ていたが、何時かは家族にもその気持ちを理解してもらいたいと思っ
野村氏の家族が都市産業宣教会という団体を通して清渓川をはじ
ていた。そして1973年、今度は奉仕をする場所を探したいという目
めて訪問したのは、1973年7月25日のことであった。はじめての印象
的を立てて、家族と一緒に再び韓国を訪れることになる。
は、地獄というものがあればこれかも、と思うほど衝撃的だった。と
その時に訪ねた堤岩里での逸話を、ハラボジの隣に座って思いに ふける表情で聞いていた順子ハルモニはこう語る。
ころがその一角に木でつくったみすぼらしい十字架の建物があった。 それが活貧教会だった。教会で会った若くて意欲的な一人の伝道師は
「あの夏は本当に暑かったですよ。雨が降らなくて飲み水さえな
野村氏の召命が清渓川にあるという確信を固めてくれた。野村氏と清
かなか手に入らない夏でした。ところが、私たちの家族が堤岩里を
渓川、そして若い伝道師との関係はこうして始まった。野村氏は、そ
訪れた時に、藁葺き屋根の家に住んでいたおばあさんが、私たちの
の後、清渓川の人々を通して「ホームレス・イエスキリスト」の生き方
ために砂糖水を出してくれました。お砂糖をいっぱいかけたスイカ
を学び、これを生涯のモットーとして実践しながら生きるようになる。 野村氏は、日本、西ドイツ、ニュージーランドなどの国際社会に 清渓川の支援を呼びかけ訴えて巨額の支援を調達し、清渓川の支援 活動を続けていく。海外から受けた援助資金と物品は、清渓川が撤 去された後からは、南陽州に移住した撤去民たちのために投入され た。貧しい子供たちのための託児事業、農村自活のための支援活動 などが行われた。 自活のための施設を建設するために国際ワークキャンプを開き、 海外から人的支援も呼び寄せた。しかし、野村氏自身の活動のため には、支援資金を一切使ったことがない。当時の韓国は長期滞在が 出来るビザを発給しなかったため、野村氏は清渓川支援活動のため
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1 野村氏が用意した前庭のテーブルに狐が訪れて晩ご飯を食べて いる。 2-5 野村氏が写真で記録した1970年代の清渓川。上から二番目の 写真にアリの村の穴蔵が見える。
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に、1ヶ月から2ヶ月毎に韓国と日本を行き来する生活 を続けていた。しかし、こうした「個人的な用途」にかか る全ての費用は自費で充当したのである。 災いは予告なしにやってくる。多額の資金管理の経験 の無い韓国の若い伝道師の未熟な管理によって、幾つも の手にあまるほどの経済的な事故が起こった。野村氏は その事故の収拾過程で困窮に直面することになる。そし て、1985年を最後に、野村氏と韓国との関係は断絶して しまう。その後、野村氏の家族には数え切れないほどの 3
経済的窮乏が押し寄せた。息子の真は学業が続けられず 大学に7年も通った。野村夫妻が着続けた綿の下着は擦 り減ってしまい、まるで使い古したリネンのように薄く なっていた。 「少しでも多く持っていたり、能力のあるところから、 そうでないところに流れていくことは当たり前のことだ と思います。本当は自分も余裕があるとは言えない状況 かもしれませんが、ほかの人より少しでも多く持っ てい るならば、当然ないところへ流れていくようにしなけれ ばなりません」。当時の事を思い浮かべながら野村ハラボ ジはこう語る。このような考え方で生きることを教えて
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くれた偉大な師匠は、ほかでもなく清渓川の未亡人、売 春婦、浮浪者、子供たちだったという。 「幼い時分は同志社大学の教授をつとめていた父のも とで育てられ、高校の時はミッションスクールに通いま した。その後、アメリカに渡って3カ所の神学校で学び ましたが、このすべての課程でも、誰も教えてくれなかっ た最高の教えを清渓川の人々からもらいました。彼らは 聖書の内容を実生活を通して悟らせてくれた私の師匠で す。それなのに私が「清渓川の聖者」と呼ばれるのは恥ず かしいことです…。イエスの真の生き方を私に教えてく K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
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れた偉大な師匠、清渓川の人たちに限りなく感謝しています。
から3-4メートル離れた、庭の真ん中に平たく大きな石の皿のよう なものがおいてある。ハラボジはくちゃくちゃの黒いビニール袋
生き物たちの食卓 「ちょっと失礼します。レストランのご予約が入っているので、今 から料理をしなければなりません」。
から何やら取り出し、大きな石の皿に丁寧に広げはじめた。生の肉 だった。 近所の肉屋に頼んで、商品価値のない肉を調達しているという。
ハラボジが話の途中、突然立ち上がりながら変化球を投げた。ハ
周囲が別荘地に変わるにつれ森を奪われた動物たちが、食べ物をもと
ラボジ独特な真摯のようで冗談交じりなユーモアある話し方に、慣
めて周辺に降りて来始めた。この八ヶ岳山麓の冬は生き物たちにとっ
れるまで愉快な戸惑いを何度か経験しなければならない。
て特に厳しい季節だ。飢え死にする動物も出てくる。ハラボジの庭の
「え?レストランですか?」 「前庭に狐家族のためのレストランがあるんですよ。小鳥のレスト ランもあるし、鹿のレストランも…」。 ハラボジの嫁が口添えをしてくれた。やっと話の意味が分かっ
レストランは、動物たちの予約で毎日が満席だ。 「幼くして父を亡くしました。母は子供もいるのに神学の勉強を始 めたいということで、私は母の実家に送られました。子供には母親が 必要な時期でしたが、私は母の実家で育てられるようになりました。
てきた私の表情を見て家族全員が弾けるように笑い出す。皆の顔が
寂しく孤独な青少年期を過ごした訳です。母に捨てられたという思い
幸せいっぱいだ。私も幸せになる。暗がりが舞い落ちる前庭に座っ
があって、何をしても自信のない青少年期でした。そのせいか、子供
て、ハラボジは狐の家族の食卓を準備している。バルコニーの硝子
の頃から動物が大好きでしたね」。
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韓国の文化と芸術
新しい関係の始まり 次の朝、鼻先が冷たく感じる空気の中で早く目が覚めた。昨晩、
村ハラボジと清渓川との関わりが世に知られるようになった。ソウ ル、光州などで清渓川の写真展が開かれ、韓国の人たちがハラボジの
ハラボジは「オンドルじゃないから、韓国の人が日本に来ると皆寒い
ベタ二ヤ・ハウスを訪ねてくるようになった。障害者のための福祉事
寒いと言いますね」と話しながら寝室に案内してくれた。ベッドには
業を行う非営利公益法人団体「プルメ財団」との縁は、2013年のソウ
電気毛布が敷かれ、綿のかけ布団が2枚かけてあったが、その中には
ル市名誉市民証の受賞にまで繋がるきっかけとなった。
さらに2枚の毛布が重ねられていた。
また、展示会が開かれていたある日、興味津々な表情で写真の中
ベタ二ヤ・ハウスは、簡素な共同体ハウスみたいな構造をしてい
に映っているハラボジのカメラを見つめている青年がいた。ハラボジ
る。広い居間には10数人の集会が出来るようなミーティングテーブ
は「カメラに関心があるようですね。そのカメラが欲しいですか」と青
ルと椅子がおいてあり、その隣のスペースには長椅子のソファがおい
年に声をかけた。ホームレスや露店の商人など、社会の底辺で働いて
てある。さらに皆一緒に食事のできる食堂へと、仕切りがなく繋がっ
いる労働者たちの生活を記録している写真作家崔・インギだった。恥
ている。台所は、まるで修道院を連想させるほど簡素で清潔だ。細長
ずかしげな表情の猫の好きな青年だった。ハラボジは日本に帰ると
い廊下の両側には一般の住宅構造にはなかなか無い幾つものの部屋が
て、彼にキャノン・デジタルカメラ2台と、レンズ4本を送ってあげ
ある。最初から「我が家」ではなく、生活の分ち合いと共有が出来る
た。彼は野村ハラボジのことを出版社に紹介し『野村リポート』という
「皆の家」として建てられたような構造だ。この家の宿泊訪問客はおよ
写真集が出版されるようになった。写真集の印税は全額、貧しい人々
そ3000人を上るという。 「マーティン・ブーバーは、自分が他者をどう見るかによって、世
の為に活動している若い青年たちのために使われるようにした。 「『泣く者と共に泣こう』としただけなのです」と語る野村ハラボジ。
界観が大きく違って来ると言っています。世界は、『私とあなた(I
最初はソウル市の名誉市民賞の受賞対象になったことに大きな戸惑い
and You)』もしくは『私とそれ(I and It)』という見方でわけられます
を感じたという。しかし、この賞によって、韓国との新しい関係がま
が、相手を自分の欲望を達成する道具や手段(それ)ではなく、一人の
た始まったことに感謝している。もう少し望みがあるとするならば、
人格的な存在(あなた)として受け入れると、そこからは信頼と愛情、
賞をもらったからには、何らかの形で感謝の気持ちを返していく活動
そして尊敬の世界が生まれるということです。一時期、韓国の人たち
をしたい。息子の真氏もやはり、韓国と新しく始まった関係にかける
は私を「それ」として見る傾向があったかと思います。当時の韓国は、
期待は大きい。「父の背中を見ながら大きくなり、今ここにいると思
物質的にも精神的にも大変厳しく、緊張に満ちている時代だったから
います。知らないうちに父と似たような道を歩んでいる自分に気がつ
だと思います。私を通して「それ」を求めた人が多くいました。しか
きました。私自身が選択してどうにかなるものではなかったです」。
し、韓国と再び繫がりはじめ、清渓川の写真をソウル市に寄贈したこ とをきっかけに、韓国の人たちと新しい関係性が始まりました。私と
さらに彼はこう語っている。「私たちの家族に、もう一つ新しい ページが始まったような気がします」。
家族を「あなた」として受け入れてくれて、本当に嬉しいです」。 京都の下町の着物職人の家で生まれ育ち、生涯を生活協同組合運 動に身を投げ活動していた母、野村和子氏が、2005年にノーベル平 和賞の候補者として名前が挙がった。その年に今は亡き故人である 韓国のハンギョレ新聞社の論説委員、李・インチョル氏が東京に訪 ねてきた。野村ハラボジは自分に余生があまり残されてないと話し、 1970年代の清渓川の記録を韓国側が活用してほしいという意思を彼 に伝えた。そしてその後、ソウル市に写真のフィルム800本と当時の 貴重な資料を寄贈することになった。これをきっかけにようやく野
1 ソウルの重度障害者の独立生活連隊を訪れた野村氏と息子の真氏(野村氏の 左側) 2 2013年10月28日、ソウル市から名誉市民証を受賞した野村氏。長い間、彼を 応援してきた夫人のより子さんも授賞式に出席した。
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遠くの目
韓国語学習の思い出くさぐさ 大学卒業後1年半ほどして、留学の途についた。大学の近くでの下宿生活も1年が過ぎ、大学院も2学期目のころ、精神 的に少し余裕ができてきたこともあって、友人から誘われるままに、駐韓国外国人による韓国語演劇「興夫伝-フンブと ノルブ」の練習の輪に加わった。 まつお・いさむ(松尾勇、天理大学教授)
き
びしい冬を越して、今年も暦のうえではもう春である。わたしは若いころ、2年あまりソ ウルですごした経験がある。4月になると、ソウルの景福宮で見たあざやかな黄色のケナ
リ(レンギョウ)の花を思い出す。それとともに、韓国語を学ぶ途上で出会った多くの方々のお顔が なつかしく浮かぶ。わたしが韓国語の学習をはじめたのは、もう40年以上も前のことである。その 長い歳月のなかでも、韓国を学ぶうえで印象深いことといえば、大学4年生のときに敢行した方言 調査旅行と韓国に留学中、外国人留学生が集まって舞台で「興夫伝」を演じたことである。 方言調査旅行というのはわたしの1972年度学部卒業論文のテーマと関連がある。大胆にも「全羅 南道方言研究-麗水地方およびその近接地方の実地調査資料について-」という題目をかかげて文 字どおりつたない韓国語で書いた。当時、言語の方言的変異に興味を持っていたわたしは、3年 (上巻〈資料篇〉 ・下巻〈研究篇〉 :岩波 生の秋ごろから4年生にかけて小倉進平著『朝鮮語方言の研究』 書店1944年)や崔鶴根著『国語方言学序説』 (精研社1959年)などの著作をひもとくようになった。ま た、論文とは別に提出が義務づけられていた参考資料の日本語訳として、上記崔鶴根教授著書所収 の「方言の時代差に関する一考察-完板本春香伝に記録された全羅道方言と現全羅道方言との比較 -」にとりくんだ。論文は400字づめ原稿用紙85枚、翻訳は54枚にもなった。 4年生の夏季休暇期間中の2週間を調査旅行にあてた。学生だから時間があった。費用を少し でも節約する必要があった。大阪駅から普通列車で下関まで行き、関釜フェリーで釜山に向かっ た。釜山から水中翼船エンゼル号に乗って、閑麗水道を横切った。麗水と突山島での調査に時間を かけたあと、順天、宝城、長興、康津、海南、木浦、光州を訪れた。調査方法は、日本語の方言研 究者である藤原与一教授の著作に学んだ自然傍受法と面接法である。カセットテープによる録音機 を回して録音したものを、その日のうちに協力者である現地の大学生とともにかなりの時間をかけ て文字化した。とは言っても、韓国語による意思疎通もままならぬ学生である。調査といってもた かが知れている。 1970年に大阪で万博が開催されたおり、40名近くの韓国からの来訪客を数日のあいだ各地へ案 内したことがあった。また、調査旅行出発2ヶ月ほど前に韓国の25歳から35歳くらいまでの農村
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で活躍する方々16名を2週間、東京農業大学での交流会を皮切りに、長野の八ヶ岳農場での研修 など、下関で見送るまでともに過ごしたことがある。大学の先輩が勤務する外務省北東アジア課か ら研究室を通しての依頼で、通訳とガイドを兼ねていた。全国各道から平均2名が参加されたが、 特にその後も親しくつきあったのが、春川、海南、蔚山出身の三名の方であった。このときの出会 いのいくつかはその後もずっと続くことになる。通訳というのは名ばかりで、冷や汗をかく場面が 何度もあった。「プムジョンケリャン(品種改良)」ということばが聞き取ることができず困ったこと を、昨日のことのように思い出す。知人がいる海南のほか、麗水、順天、宝城では、たまたま泊まっ た宿の主人が一家総出で異国の旅びとを家族のように扱ってくださった。呼称語としての「イモ(姨 母)」ということばを覚えたのもこのときである。現在のように韓国のドラマや映画をいつでも見ら れる時代ではなかった。はじめて聞いた「(母方の)オバサン」を意味する語の音の響きに驚くととも におもしろく思った。 2
大学卒業後1年半ほどして、留学の途についた。大学の近くでの下宿生活も1年が過ぎ、大学 院も2学期目のころ、精神的に少し余裕ができてきたこともあって、友人から誘われるままに、駐 韓国外国人による韓国語演劇「興夫伝-フンブとノルブ」の練習の輪に加わった。チョソンホテルで
1 プログラムの表紙 2 フンブを演じる筆者
1回、南山にある国立劇場小劇場で二日間昼夜2回、都合5回の公演を行った。全羅道方言による 台詞もさることながら、劇中重要なポイントとなる「唱」と「チュム(舞)」が難しかった。しかしなが ら専門家による指導は得がたい貴重な体験となった。舞台ではおなかをすかせて泣く10人ものわ が子をなだめたり、兄のノルブ宅にお米をもらいに行ったものの、兄嫁にしゃもじで頬をぶたれ、 かろうじて顔についた飯粒をおいしそうに食べたりするフンブを演じた。 わたしは1977年4月以来、大学の専門課程で韓国語を教えるかたわら、かつてテレビとラジオ の韓国語講座の講師を数年にわたって務めたことがある。また、いまも社会人の方々を相手に韓国 語を教える機会がある。ことばを教えるということは決して容易なことではないけれど、わたしに とって、ここで紹介したことが、その容易でないことに立ち向かわせる力の源泉になっていると思 う今日この頃である。(2014年3月3日 記) K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
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エンタテインメント
ソ
フィ(ヴェラ・ファーミガ、Vera Ann Farmiga)の希望はたった
〈黄海〉 、〈依頼人〉、〈犯罪との戦争: 悪者の全盛時代〉、〈ラブ・フィク
一つ、韓国人弁護士である夫との愛を守るために必要な子供
ション〉、〈ベルリン〉、そして〈ザ・テロライブ〉などが立て続けに大
を持つことだった。ジハ(ハ・ジョンウ、河正宇)の願いは、韓国にい
ブレークした。
る恋人をアメリカに呼ぶことだった。ソフィとジハは互いの目的達成
〈ザ・テロライブ〉はあくまでもハ・ジョンウの、ハ・ジョンウ
のために、ベッドを共にする。女は妊娠するために、男は300ドルを
による、ハ・ジョンウのための作品だった。ほとんど彼のワンマン
稼ぐために。ソフィが妊娠すれば大金を手にできるのだ。ところがソ
ショーに近い。そのためか、他のキャラクターがやや不自然で、結
フィは、無口でミステリアスな黒い瞳の男にだんだん惹かれて行く自
末があまりにも作為的だという批判も受けた。にもかかわらず、ハ・
分に気づく。二人の夜はだんだん熱くなる。
ジョンウのこの一人舞台のような映画はあまりにも魅力的だ。そこが この映画の見所であって、観客
線の太い俳優の登場 2007年にサンダンス映画祭 などで話題になったが、韓国で はさほど大衆の支持は得られな かった(評論家の立場からする と不服だったが)キム・ジナ監 督(金鎭雅、ハーバード大学視 覚環境学部教授)の〈二番目の愛 (Never Forever)〉は、ハ・ジョ ンウにとって特別な作品である。 ハ・ジョンウに特別な「男」のイ メージを与えてくれたからだ。 当時、韓国の大衆芸能界では イケメン系の男性俳優やアイド ルスターの全盛期だった。線の
に受けたのだ。映画の成功はあ
ハ・ジョンウ イケメン 全盛時代の 多芸多才な 俳優
を食う野獣の本能が解き放たれ
映画俳優ハ・ジョンウの勢いがすごい。新人監督 の低予算映画に出演した彼は、ワンマンショーに 近い活躍で興行にも成功した。映画の世界で投資 者や製作者たちはこぞって彼に熱烈なラブコール を送っているといわれる。大衆はなぜ彼に熱狂す るのか。
てているように感じられた。当
オ・ドンジン(映画評論家)
太い俳優はほとんど見当たらな かった。しかしハ・ジョンウは、 珍しく男っぽさを前面に打ち出 した新人だった。彼の中に生肉
くまでもハ・ジョンウのおかげ である。 映画で主人公役のハ・ジョン ウは、かつて国民M Cとしてな らした報道局のアンカーだった が、現在は暇なラジオ局のDJ に左遷されている。彼は典型的 な日和見主義で、社会的な正義、 弱者に対する配慮などはマイ ク・オンの状態に限って主張す る話である。マイクがオフにな ると、彼は報道本部長との取引 に夢中になり、スタッフに八つ 当たりする。うまくいきかけて、 だめになってしまったのは、決 して運が無いからではない。放 送局での彼のこのような実体が 明るみになったからだ。彼は不 祥事に関与していたことで、ど ん底に落ちてしまった。そんな
然、映画製作者たちは彼に注目
彼に人生逆転のチャンスが訪れ
した。
る。テロリストが、自分の要求 を呑まなければハンガンにかかる橋を爆破すると電話で脅迫してきた
興行の鬼才 ハ・ジョンウはこの頃、「ハ・大勢」の愛称で呼ばれる。映画製作 者たちは彼を起用できれば興行が補償されると考えている。 2005年に〈許されない者〉で初主役を演じた彼は、興行に成功した 〈追撃者〉で卑劣な連続殺人犯を演じて注目されたが、2008年までは
のだ。最初は彼もまったく相手にしなかった。「爆破しちまえ、この やろう」と受け流したのだ。ところが、本当に麻浦大橋が爆破される。 主人公はこの爆弾テロのおかげで、下ろされた報道局のアンカーの席 に戻されるが、テロ事件そのものには関心がなく、自分のアンカーと してのキャリアを取り戻すことだけに集中する。
興行成績が芳しくない時もあった。ところが、2009年からの主演作
〈ザ・テロライブ〉を見ていると、卑劣なユン・ヨンハのような役
品はほとんど大ブレークするようになった。〈国家代表〉を皮切りに
に適した俳優はハ・ジョウしかいないと思う。ハ・ジョンウの中には
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韓国の文化と芸術
連鎖殺人犯からロマンチック・コ メディの主人公まで、様々な役を 通して演技力が認められてきた俳 優ハ・ジョンウ
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スパイとしてアクションを繰り広げながら愛を貫くメローな 演技を披露し、窓ガラスを突破し愛する女を救い出す男、 彼がハ・ジョンウだ。
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そんな姿もあるのだろうと思えてくる。また我々自身もマイクがオフ
院の要員の助けを受けながら、人質になった妻を救い出すために敵陣
になった実生活では、彼と似たような考え方や行動をとっていると自
に乗り込む。激しい銃撃戦の末、敵を倒すことに成功するが、妻は既
覚するようになる。
に銃で撃たれて死んでしまう。
この映画の企画兼製作者だったシネ2000のイ・チュンヨン代表は、
彼は死にゆく妻を抱きしめて嗚咽する。観客は主人公の胸の底か
作品の成功をハ・ジョンウに賭けた。純製作費(総製作費からマーケ
らこみ上げてくる唸り声を聞く。スパイとしてアクションを繰り広げ
ティング及び広告費、配給費用などを引いた純粋な製作費用)は20億
ながら、愛を貫くメローな演技を披露し、窓ガラスを突破して愛する
ウォンに過ぎなかった、比較的中低度予算の作品だったが、ハ・ジョ
妻を救い出す男、彼がハ・ジョンウだ。
ンウのギャラはかなりの額に達したと知られる。監督と他のスタッフ らも、映画を撮るためには彼に譲歩するという雰囲気だった。そして
ハ・ジョンウ流のユーモア
映画が成功すれば、その収益を分配することに合意した。その期待は
ハ・ジョンウは絵も上手だ。趣味というより、個展を開く程のレ
的中した。映画は500万人以上の観客を集め、収益は150億ウォンに
ベルだ。彼の絵は原始的生命力に満ちている。自分の中に秘めている
上った。
願望を絵に注ぎ込んでいるようにみえる。また、彼の絵は時として ユーモラスに見えるが、ユーモアは俳優ハ・ジョンウを成り立たせる
格好いい悪役 〈犯罪との戦争〉でハ・ジョンウは、暴力組織のボス役を通じて、 持てる魅力を思い存分発揮した。髭を生やして、ダブルブレステッド
重要な要素である。例えば、観客を笑わせた映画〈ラブ・フィクショ ン〉のエンディングを飾ったミュージックビデオで、ハ・ジョンウは いかにコミック演技をうまくやり遂げるかを見せてくれた。
ジャケットを身をまとい、ポマードで整髪し、ボーイングサングラス
真のユーモアは自己卑下から生まれる。そのことは、2013年10
をかけ、街を闊歩する姿は怖いというよりむしろ格好良く、彼のあえ
月に公開した彼の監督デビュー作〈ジェットコースター〉で確認でき
て肩で風をきるような態度はぴったり役にはまった。
る。出演する映画が大ブレークし、超大型スターになった彼が、自
彼は自分がブレインとしてスカウトした伯父ぐらいの爺さん
分自身を侮って、呪い、いやみを言って、怒らせたがっている事実
(チェ・ミンシク扮)と対話する間、指で下顎を撫で上げた。カリスマ
を、彼自信が台本を書いて演出したこの映画が示唆している。大衆
性をそれとなくみせるための行動だったが、実はマーロン・ブラン
スターがはまりやすい偽善と偽悪の境界を、彼は自由に行き来する。
ドに対する彼のオマージュだったのだ。映画〈ゴッド・ファザー1〉の
それと同時に彼は観客に質問を投げかける「一体スターって何なの?」
オープニングシーンでマーロン・ブランドが、自分に苦情を訴える
と。スターだからといって、大騒ぎするわけ?スターも一人の人間
人々の話を聞きながらとった行動だった。ハ・ジョンウは〈ゴッド・
で、皆と同じく日常を生きているって。一言で言えば大したことな
ファザー〉シリーズが一番好きな映画だという。「シリーズを全部100
いって、彼はこの映画を通して語りかけている。重要なのは、この
回は見ました。子供の頃、マーロン・ブランドの演技を真似したりし
映画のメッセージが決して大衆スターに限らないという点だ。この 2
ました」。
社会で威張り散らし、絶えず卑劣な手を使う俗な権力家たちをも狙 い撃ちしている。
アクションとメロー
コメディ映画〈ジェットコースター〉は興行には失敗したが、彼は
映画〈ベルリン〉を見てみよう。一時共和国で英雄と呼ばれていた
映画監督として、一歩ずつ前に進んでいる。彼は最近、中国の小説家
北朝鮮最高のスパイを演じたハ・ジョンウは、策略に巻き込まれ、と
余華の長編小説『許三観売血記』の映画化に取り組んでいる。「サブテ
ても愛しながらも疑いをもっていた妻(チョン・ジヒョン扮演)を守る
キストをもう一本作ろうかと思っています。許三観という人物だけで
ために命を賭けることになる。しかし、悪辣な保衛部要員に後を付け
は、作品が無愛想に見えるから。時空間を韓国(朝鮮)戦争から1990
られる渦中、信頼していたベルリン駐在の北朝鮮大使まで、その要員
年代までの韓国に移し変えようかどうか悩んでいます」。
によって命を落としてしまう。彼はライバル関係にあった韓国の国情
彼の歩幅はだんだん大きくなっている。彼の行く先がどこに向か うのか、まだ予断を許さない。ただ彼が長い間、我々の傍で映画を通 じてこの世の中を一緒に暮らしていくことを願う人々が増えているこ
ハ・ジョンウ作〈肖像 Portrait〉2013. 175.5x146cm、Pen on canvas。彼は2010 年から、毎年個展を開いてきた画家でもある。
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とは確かだ。おそらく彼は、生命力の強い俳優、監督、そしてアーチ ストになるであろう。(翻訳:趙祥恩)
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グルメを楽しむ
ポムナムル (春菜) 春の初め、凍てついていた大地が解けると真っ先に顔を出すポムナムル(春菜)は食欲を増進させ、 またビタミンや無機質が豊富だ。熱湯にさっと通してから味噌や唐辛子味噌などの調味料で軽く 和えたり、汁物の具にしたりする。ポムナムルのチヂミも爽やかな春らしい一品だ。 イェ・ジョンソク(芮鍾碩、漢陽大学経営学部教授、飲食文化評論家)
© yoanna
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韓国の文化と芸術
韓
国料理では季節の食材を使った料理は食の基本であると同時に良い献立の象徴でもある。韓国では 昔から「時食」と言い、季節ごとに旬の食材で料理を作って食べることで健康を保っていた。
王室でも民間でも 万物が芽吹く春の食材としてはナムル(山菜、野草)が一番だ。そしてポムナムルと呼ばれる春の野草や 山菜には哲学と実用という二つの意味が含まれている。冬の間、固く凍てついた大地を突き破り顔を出す 新芽は生命のシンボルだ。朝鮮時代王室では四季の始まりである春のナムルはまず祖先に捧げた。初代王 の太祖の業績を記録した『太祖実録』には、春に「新しく出たナムルと橘、狩猟で捕らえた獣などを宗廟に献 上した」という記録がある。それだけでなく立春になると宮廷ではまだ解けきっていない雪の下から掘り出 したウムパ(穴倉で育てた黄色いネギ)、サンカッ(山芥子菜)、タングィサッ(当帰の芽)、ミナリサッ(セリ の芽)、ムウ(大根)の5種類の春の野菜を辛く刺激的な調味料で和えて五辛盤という名前で王様のお膳に上 げた。また朝鮮時代の歳時風俗を記録した『京都雑志』や『東国歳時記』にはそのようなナムルが今日の京畿 道楊平郡にあたるヤングン(楊根)、チピョン(砥平)、そしてポチョン(抱川)など京畿道の山間部落から王 様に献上されたと記している。当時の王室では、立春の日に五辛盤を食べると儒教で説く人の五徳(温和、 良順、恭遜、倹素、謙譲)をすべて兼ね備えることができ、五臓のバランスがとれ、健康になると信じられ ていた。また民間でも王室の風習を見習い、その季節になると五つのナムルを作って食べたり、お盆に盛っ て近所で分かち合って食べたりする習慣があったという。 朝鮮初期の有名な文章家ソ・コジョン(徐居正)は『四佳詩集』の「立春」という詩で 今年も立春はまたやってきた (今年又立春) その間 世はどれほど新しくなったか(世故幾番新) 五辛盤を度々見るのが嫌になり (厭見辛盤敷) 酒だけ度々求めて親しくする (頻呼柏酒親) 意を成し遂げられないのが世の事 (蹉跎世上事) 変わったのは鏡に映る人の姿だ (変幻鏡中人) と詠んでいる。 また『論語』の中にもナムルについて記されており ナムルを食べ、水を飲み (飯疏食飲水) 腕を枕に横になれば (曲肱而枕之) 楽しみはその中にある (楽亦在其中矣) というように安貧楽道のシンボルとされてきた。
春窮期の代用食料 しかし大部分の庶民たちにとってナムルは貧困の象徴だった。歴史的に振り返ってみると朝鮮半島には 飢饉が多かった。国土の70%が山間地帯なので農地が不足し収穫量が少なかったこともあるが、その上に 凶作の年がたびたびやってきて食糧の供給が不十分だった。食べものの心配もなく暮らしている現代の若 者世代にはその名前さえ聞いたことのない『ポリコゲ(麦峠)』という言葉が半世紀前まではあった。これは 食糧用の穀物をすべて食べ尽くし、麦の収穫にはまだ時間がある陰暦4~5月の頃を指す言葉で、農村の ナズナとヨモギの味噌汁。煮干と昆 布で出汁をとり、味噌をいれ煮立て てからまずナズナを入れ、火を止め る直前にヨモギを加える。
K or e a n a ı 春 号 2 0 1 4
食糧事情の最も劣悪な時期のことだ。 朝鮮時代にも朝鮮半島は大小の天災により慢性的な食糧難にあえいでいた。聖君世宗大王は日照りと洪 水による飢饉と春の困窮期の飢餓対策を記録した 『救荒辟穀方』 や、飢饉の時に代用食品を求めて料理する方
61
ポムナムル(春菜)にはビタミンやミネラルが多量に含まれており、春困症(春眠暁を覚えず) という気だるさから眠くなる春先の症状を抑え、気力を回復するのにも役立つ。また繊維質 が豊富なのでダイエット食品としても人気を集めている。
法を紹介した本をだしている。このような文献には松の木の皮、楡の木の皮、松の葉、蕎麦の花、豆のさや、 里芋、長芋、どんぐり、おけらの根、ひめすいば等、数百種類の植物が収録されている。そのような時期に ナムルは非常に有用な代用食料だった。ナムルに穀物を少し混ぜて炊いたり、お粥にして食べていた。つま り食べ物の量を少しでも増やす為の方法としてナムルを活用したのだ。生き残るために口にした当時の飢 饉用の食材がどれほど劣悪だったか、朝鮮後期の実学者、茶山・丁若鏞がその著『牧民心書』で「凶年には民 が野草を穀物の代わりにしているが塩を入れなければ喉を通らず、塩の値段が高騰しているので、事前に味 噌を十分に仕込み、昆布、乾燥海老を事前に準備すること」と言っている。開化期に韓国にやって来たカナ ダ人の宣教師ジェイムス・ゲイル (James Scarth Gale) は 「食べることのできる野草の種類を韓国人ほどよく 知っている民族もいないだろう」と書き残している。彼は西洋では毒草に分類され家畜にも食べさせないワ ラビを、水に浸して毒性を抜いて食べている韓国人を見て驚きを禁じえないと書いている。 今日でも田舎で育った人にとってナムルは春の思い出となっている。江原道楊口が故郷の修道女で詩人 1 市場に並ぶいろいろな種類のポム ナムル(春菜)2 ポムナムルのサラ ダ。ヒメニラ、セリ、ヒカゲミツバ ゼリに柚子のドレッシングをかけ る。
のイ・ヘイン(李海仁)シスターは 「ともに山にナムルを採りにいった 友の名前を呼んでみたい 親しいくせに 時には花冷えの風のような 嫉妬の目つきを送ってきた 少女時代の友にも会いたい」 と幼き頃の春の思い出を詩にしている。
健康食品として脚光 しかし今やナムルは空腹を癒すために食べる食べ物ではなく、健康食品とし て広く脚光を浴びている。ネンイ(なずな)、スッ(よもぎ)、スムパックィ(花苦 菜)、ポムドン(春白菜)、チュナムル(しらやまぎく)、トラジ(桔梗)、トゥルプ (タラノキの若芽)、ウォンチュリ(忘草)、トドッ(蔓人参)、トルミナリ(野生の 芹)、タルレ(姫にら)、プチュ(韮)などの春の野草にはミネラルが多量に含まれ ており、春困症という気だるさから眠くなる春先の症状を抑え、気力を回復す るのにも役立つ。また繊維質が豊富なのでダイエット食品としても人気を集め ている。段々と増えている菜食主義者にとってもナムルは最高の食材だ。季節 ごとに山や野から摘んでくる野生の山菜や野草には劣るが、最近はビニールハ ウスで栽培する多彩なナムルを一年中、楽しむことができる。 寒風が去り、若芽が顔をだす頃、春を探しに旅に出よう。全国に散在してい る有名な山菜専門店や韓定食の店で春の香りいっぱいの各種ナムルを満喫する お楽しみが待っている。(翻訳:金明順) 1
62
韓国の文化と芸術
Š yoanna
2
63
韓 国 文 学 の 旅
作家評
世の中を翻訳する 温かい視線 チャン・ドゥヨン(張斗寧、文学評論家)
家パク・チャンスン(1946~)を紹介する時に必ずついて回る
和国』の通訳士は「私の耳に聞こえてくる異邦の言語を、私は何層にも
修飾語は彼女のデビュー時期に関する多少の驚きだ。 1946年
積み重ねた人生の丘に持ってきて、私の知っている、そして経験した
生まれの彼女が『カリボン羊肉焼き』で朝鮮日報の新春文芸に当選しデ
すべての資料と合わせてピビンバのように混ぜ合わせてからザルを通
ビューしたのが2006年、60歳の新人作家だった。この事実は世の中
して絹糸を取り出さなければならない(……)私はそのために骨がバリ
の注目を集めるのに十分だった。そこには異彩の作家の出現に対する
バリと折れてしまうような数多くの昼と夜を送った」と絶叫する。
作
文壇内部の感歎だけでなく、世の中の大部分の人間が引退する年齢に
対象に関する事前の知識と情報収集が必修であることは、翻訳だけ
新しい人生を始めた作家に対する一般大衆の好奇心も一役買ってい
でなく小説でも強調される部分だ。単語一つの繊細なニュアンスを把
た。「21世紀らしい軽快さと1960年世代らしい真摯さ」が一つになっ
握する為にはその単語のバックにある膨大な文化と意味の背景を掘り
たという評論家キム・ビョンイクの感歎や、「還暦の年にデビューし
起こさなければならない。彼女の作品に見られる博学多識と西欧文学
た遅咲きの小説家」という新聞インタビューの好奇心を煽るようなサ
に対する素養は彼女の翻訳作業および大学の専攻とも深い関係がある
ブタイトルがその一例だ。
ようだ。作品の中の多様な素材は単純に素材的なレベルでの興味誘発
デビュー8年目の今、彼女は2冊の小説集を刊行するほどに活発
に終わることなく、作品テーマの具現や雰囲気作りに緊密に結合して
な創作活動を繰り広げており、自分の登壇がたった一度のハプニング
いる。そしてそれは百科事典式に習得した底の浅い知識ではなく、何
に終わるものではないことを証明している。最初の小説集『渤海風の
日も何日も悩み苦渋の汗を流してようやく手に入れた知識だ。こんな
庭園(2009)』では世界各国を舞台に「ジャグサニ」 「海燕の巣」 「地下暮
風に見てくると彼女の翻訳家としての活動は結局は一人の小説家を誕
らし」 「槐木」 「クリスタル製造法」 「ターバン作り」 「カマキリ姿勢」など、
生させるための忍苦の過程だったと言える。すなわち人より遅れた彼
異色な素材を扱っていた。どこからこんなに多様な素材を発掘してき
女のデビューは偶然のチャンスによって生まれたものではなく、数十
たのか、またそんな素材をどうやってこんなに見事に小説に料理した
年間の知的な修練が作家の想像力として実を結んで結果だと言える。
のか実に気になる。そして『渤海風の庭園』は感歎と好奇の目で見守っ
作品の大部分が異国的な場所を背景にしていた最初の小説集とは
ていた人々に向かい「年齢なんて気にしないで」と宣言でもしているよ
違い、二冊目の小説集『テントウ虫は天辺から飛び立つ(2013)』では
うに「新人作家」としての斬新な霊感と特有の活力を一つ残らず発揮し
国内を背景にした作品の比重が増え、国内が背景ではなくても作品の
ている彼女の活躍は一つの知的な冒険談でもある。
主題は韓国社会の諸問題に一段と近づいたと言える。一時、世界各国
ここで自然に彼女が作家としてデビューする前に翻訳家として活
の異色的な素材に主な関心を寄せていた作家は今や、自分の周辺を観
発な活動をしていたという履歴が思い浮かぶ。大学で英文学を専攻
察し身近なところで起きているありふれた出来事に思いを寄せるよう
し、1980~90年代に数多くの海外映画とTVドラマシリーズを翻訳し
になった。
てきたベテラン翻訳家の彼女は自分のいくつかの短編で通訳・翻訳家
だいたい翻訳家というのは他者を精密に観察しなければならない任
の苦労に言及している。『リップシンク』では英国のミンスミア湿地の
務を帯びた存在ではないか? 注意深く観察しなくては正確な理解に
「ソリハシセイタカシギ」に関するドキュメンタリーの内容を韓国の
到達することはできない。最初の小説集に続く 『テントウ虫は天辺から
視聴者に伝達しなくてはならない翻訳家が「ようやく一単語翻訳して
飛び出す』 でも誠実に他者の言語を解読し適した語彙で表現しなければ
ぐったりしてしまった」と翻訳の大変さを訴えている。『ソラコドン共
ならない翻訳家の任務は維持されている。作家は隣人(=他者)の表情
64
韓国の文化と芸術
と行動を観察し、彼らの夢と挫折を観察する。日常の反復の中で余りにも見慣れ て通り過ぎていた人々を綿密に観察し、小説という表現手段で翻訳したのだ。
どこでも隣人の声が聞こえてくるようだった。何の助けにもならない私の ところにやってきて悩みを打ち明ける若者たちの声が新たに聞こえてきた。シ 朴 © 宰洪
ファ工業団地で汗を流す浅黒い肌の異国の青年の声も、人生の一番まぶしい時 期に酷い競争にさらされたり、過酷な人生の条件の中でうめき声を上げている パク
チャン
スン
朴 贊 順
若者たち。キューバのカサデラ・ムジカで出会ったドイツの青年も、中国丹東 の餃子店で餃子を食べていた男も、その悩みは韓国の若者たちのそれと大きな 違いはなかった。少しだけ離れて眺めれば皆が自然の子供たち、背中の甲羅が キラキラと輝いているテントウ虫のように美しい生命の存在様式だった。(「作 家の言葉」 『テントウ虫は天辺から飛び出す』)
やっている事と住んでいる所はそれ
やっている事と住んでいる所はそれぞれ違うものの、パク・チャンスンの小
ぞれ違うもののパク・チャンスン
説の登場人物には安全装置無しにビルの窓に危なげにぶら下がっているような
の小説の登場人物には安全装置無
人物だという共通点がある。迷路に迷い込み自分の行く先が見えずにさ迷って おり、待っていた誰かはやって来ず、そこから抜け出そうとしても決して抜け
しにビルの窓に危なげにぶら下がっ
出られないという不吉な予感に包まれている。彼らはそこで孤独、悲しみ、無
ているような人物だという共通点が
力感に耐えながらただ「生きようとして」いる。小説の中の文章を読み進み、誠
ある。この遅咲きの小説家は彼らに
実な翻訳家の観察作業に参加しているといつの間にか人生に疲れた生命の存在 と疎通し、その隣人たちと感情を共有していることに気付くだろう。このよう
「存在は天秤にのせずにあるがまま
な共感は、正確な理解と細かい観察作業が究極的に目指すところなのだ。
に眺める時、それ自体で尊貴だ」 (ル
作家は人生に疲れた人々に簡単に希望を吹き込んだりはしない。彼らを取り
ソーとの散歩)のような胸が痛くな
巻く孤独を克服する鮮明な解決策を示すのでもない。小説集に収録されたすべ
るほど切実で温かな懐かしい文章で 話しかけてくる。
ての作品は読者が小説の中の人物とのわずかな共感に到達する瞬間、開いたま まで終了する。しかし本の扉を閉じるといくつかの鮮明な語彙が頭の中を飛び 回っていることに気付くだろう。疲れ切った存在の木の枝を縄で持ちあげる三 角形の雪吊り、ギリシャ神話の「アリアンヌの糸」のような小さな糸玉、甲羅の 美しいテントウ虫など、どれも小説の中の人物が強く願っていた素朴でも壮大 な「上へ」の語彙だ。(翻訳:金明順)
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韓国のイメージ
2
月に入り雪の上に落ちる日差しの温もりに、そわそわし始める心はもうすでに、深い山寺の庭 先に立つ梅の木の下をうろうろと、春を待っている。その枝に芽吹いた花芽が粟粒くらいに膨
らみ始めると、仏様にお祈りするという口実で寺に行くものの、その視線はまず花枝へと向かう。 はやる気持ちとはうらはらに、梅、サンシュユ、冬椿、桜はあとひと月は待たないと眠りから覚め ないだろう。しかしもうすでに陽のあたるところでは解けかかった雪や落ち葉の隙間から黄色い福寿 草が初めて顔を出している。
短すぎる春 キム・ファヨン ( 金華榮、文学評論家、 芸術院会員)
この季節、韓国の春は山奥、野原、庭園よりもまず先に大学に訪れ、一斉に咲き誇る。 2月下旬になると各大学のキャンパスでは卒業式が行われる。幼稚園や小学校でかきとりと数字の 神秘に入門してから、中学、高校、大学の試験や受験競争の峠を何度も越えて、突っ走ってきた10余年、 若者たちはついに花の青春の絶頂で卒業のガウンを身にまとい学士帽をかぶる。 1960年にわずか52校に過ぎなかった大学が今やなんと345校にも増えた。人口4800万人のこの国の 高校卒業生の大学進学率がなんと71%、大学の在学生は300万人だ。人口1万人当りの大学生数は615 人でアメリカの502人よりも多い。 このような大学が毎年春になると60万人から70万人の卒業生を輩出する。よって韓国の2月には大 学のキャンパスに70万本の花が咲くのだ。 しかしこの国の春は短すぎる。大学を卒業する日にガウンと学士帽を身につけ人生の絶頂に立つ美 しい若者たち、しかしその人生の喜びと学びの楽しさを享受できる時間は多くはない。就職の掲示板 の前に集まる彼らの心は忙しく、落ち着かない。若者の喜びは背後にあり、前には就職戦線が広がっ ている。花咲く春はすーっと過ぎていき、もう前だけ見て駆け出さなければならない夏なのか? 野 山にも寺の庭先にもまだ春の花は咲いていないというのに…(翻訳:金明順)
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Gilbert Rozman, By Inkyo CheongTakashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA? Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada
THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
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ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA
By Mark J. Valencia
Saroj Kumar Rath Drugs in India Areedition! a Security Threat See p.5 In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & Chu Yun-han Book Reviews by John Delury and Taehwan Kim
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US$15.00 W15,000 A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 1, SPRING 2013 TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY PLUS
Avoiding Avoiding the Mines the Mines Avoiding the Mines Avoiding the Mines
Billo A WayCountries to Peace inin theTaiwan South China Sea InRichard This Issue: We Start a New Regular SectionAndrew Profiling Asian Yun Byung-se, Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South Korea: What Will It Take to End 60 Years of War?
NON-WESTERN AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS In DEMOCRACIES This Issue: We Start a New Regular SectionHaruki Profiling Asian Countries in Taiwan Wada Korea’s War, Armistice and Legacy By Alexei D. Voskressenshi. THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY
Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor
Book Reviews by John Delury, Taehwan Kim, Nayan Chanda and David Plott
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New Leaders, New NewDangers Leaders,in Yun Byung-se, RichardNortheast Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles Asia By Alexei D. Voskressenshi. New Dangers A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandrein Y. Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan Northeast Asia Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY
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Andrew Billo A Way to Peace in the South China Sea Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles W15,000 A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style A JOURNAL Myung-bok OF THE EAST ASIA FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 3, FALL 2013 Mansourov, Bae & Mohamed Jawhar| Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South Korea: TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS
PLUS Will It Take to End 60 Years of War? What Andrew Billo A Way to Peace in the South China Sea Haruki Wada Korea’s War, Armistice and Legacy Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style Book Reviews by John Delury, Taehwan Kim, Chung-in Moon North Korea THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY Nayan Chanda and David Plottvs. South Korea: What Will It Take to End 60 Years of War? NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS Have Haruki Wada Korea’s War, Armistice and youLegacy By Alexei D. Voskressenshi. tried our Kim, Book Reviews by John Delury, Taehwan iPad or Android tablet THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY Nayan Chanda and David Plott editions? Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor Have See you p.57 tried our iPad or In This Issue: We Start a New Regular Section Profiling Asian Countries in Taiwan Android tablet editions?US$15.00
How East Asia Can Secure New Leaders, New Dangers in a Peaceful Northeast Asia Future In This Issue: We Start a New Regular Section Profiling Asian Countries in Taiwan
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A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION
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THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY PLUS Hee Park The Double Life of Shinzo Abe J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly Cheol Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections Mel Gurtov, Miroslav Nincic, Walter C. Clemens, Jr., Stein Tønnesson Steps Forward for China on Visits to Kim Jong Un’s North Korea JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON Stangarone, ‘ABENOMICS’ South Korea Leading the Way Into a New World of Social Enterprises Karin J. Lee, Andrei Lankov, Troy Stuart to Resolve the South China Sea Disputes By Gongpil Hyunjin Choi Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly J. Thorson, Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe
Andrew Billo A Way to Peace in the South China Sea Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY Hassan PLUS Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Chung-in Moon North Korea vs. South Korea: Andrew A Way to Peace in the South China Sea Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles What WillBillo It Take to End 60 Years War? ThisYizhou, Issue:Yoshihide We Start a New Regular Profiling Asian inofTaiwan NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS A. Kupchan, In Wang Soeya, Alexandre Y.SectionHaruki Jung-Sun Park WhyCountries ‘Gangnam Style’ Isn’tLegacy Hallyu Style Wada Korea’s War, Armistice and By Alexei D. Myung-bok Voskressenshi. Mansourov, Bae & Mohamed Jawhar Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South Korea:
THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION POSSIBLE IN MALAYSIA? THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
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Future Andrew Squares Off Against Graeme McGregor By AlexeiMarkus D. Voskressenshi. THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY
Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY
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By Gongpil Choi A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 2, SUMMER 2013 Mark J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint
Haruki Wada Korea’s War, Armistice and Legacy By Alexei D. Voskressenshi. A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG VOLUME NUMBER 3, FALL 2013 Book Reviews by| John Delury,8,Taehwan Kim,
THE Gurtov, DEBATE:Miroslav IS POLITICAL RECONCILIATION Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections W15,000 Mel Nincic, Walter C. Clemens, Jr., POSSIBLE IN MALAYSIA? Book Reviews John Delury | WWW.GLOBALASIA.ORG | by A JOURNAL THE Lankov, EAST ASIA FOUNDATION VOLUME 8, NUMBER on Visits to Kim Jong Un’s North Korea 2, SUMMER 2013 Karin J. Lee, OF Andrei Troy Stangarone, Stuart Have and Taehwan Kim Khairy Jamaluddin Squares Off Against Rafizi Ramli J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly
Andrew Billo A Way to Peace in the South ChinaW15,000 Sea Yun Byung-se, Richard Ned Tae-Seop Charles Andrew Markus Squares OffLebow, Against GraemeBahng, McGregor Have | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME A JOURNAL OF THE EAST Yoshihide ASIA FOUNDATION 8,Style’ NUMBER 3, FALLStyle 2013 A. Kupchan, Wang Yizhou, Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Isn’t you Hallyu tried Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South ourKorea: iPad or Android See our redesigned In This website, Issue: Our www.globalasia.org, New Section Focusing for analysis, on It Asia's debates, Less archives Nations more What Will Take to EndProminent 60 Years ofand War? tablet
THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
PLUS
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Development Possibilities in the South China Sea
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Iran and Myanmar
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Jung Mi-kyung My Son’s Girlfriend: Stories
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Dewi Fortuna Anwar, Stephen Norris, James Castle, A. Lin Neumann, Erry R. Hardjapamekas and Adil W. Surowidjojo & Syed Farid Alatas
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In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & Chu Yun-han
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INDONESIA AND THE CHALLENGES OF GROWTH: ESSAYS BY
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Hardjapamekas and Have Gui Yongtao Squares Off Against Yuichi Hosoya & John Delury Jonathan Berkshire Miller PoliticsNeeds Continues Chill Dewi Fortuna Anwar,&Stephen Norris, James Castle, youatried Andy Ye Why Taiwan’s ICT Sector NewtoModel Adil W. Surowidjojo Syed Farid Alatas Japan-South Korea Relations our A. Lin Neumann, Erry R. Hardjapamekas and iPad or Trumps Pavin Chachavalpongpun Western Pragmatism Andr CHINA’S NEW AIR ZONE AND THE CHINA SEA DISPUTES oid Andy YeSecurity Why Taiwan’s ICTin Sector Needs a New tableModel Adil W. Surowidjojo & Syed FaridEAST Alatas t Human Concerns Myanmar editions? By Mark J. Valencia Pavin Chachavalpongpun Western Pragmatism Trumps See p.107 Paul Evans The Passing of Robert Scalapino, Kim Kyung CHINA’S NEW AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA DISPUTES Human Concerns in Myanmar Won andSecurity Yamamoto Tadashi WILL JAPAN’S PLAN TO EXERCISE ITS COLLECTIVE By Mark J. Valencia Paul Theby Passing ofS. 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Valencia A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG 4, WINTER 2013 CHINA’S AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA Jonathan Berkshire Miller Politics ContinuesKim to Chill Paul Evans The Passing of in Robert Scalapino, Kyung Dewi Fortuna Anwar, Stephen Norris, James Castle, Human Security Concerns Myanmar By Mark J. Valencia Japan-South Korea Relations Won and Yamamoto Tadashi A. Lin Neumann, Erry Hardjapamekas and WILL JAPAN’S PLAN TO R. EXERCISE ITS COLLECTIVE Paul Evans The Passing of Robert Scalapino, Kim Kyung SELF-DEFENSE RIGHT MAKE MORE OR LESS SECURE? Andy Ye Why Taiwan’s ICTS.Sector Adil Surowidjojo &CHALLENGES SyedASIA FaridITS Alatas Book Reviews by Samuel Kim Needs a New Model INDONESIA AND THE OF GROWTH: ESSAYS BY PLUSand Won Yamamoto Tadashi WILLW. JAPAN’S PLAN TO EXERCISE COLLECTIVE Have to Chill Gui Yongtao Off Against Yuichi & JohnReviews Delury Jonathan Berkshire Miller Politics SELF-DEFENSE RIGHT MAKE ASIANorris, MORE ORHosoya LESS SECURE? 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The Sense and Sensibility of Indonesia The Sense The Sense and Sensibility and Sensibility of Indonesia of Indonesia
An Emerging Giant Carrots An Emerging Before An Emerging The Sense The Sense Sticks and Sensibility Giant and Sensibility Carrots Giant ofThe Indonesia The Politics Sense Carrots of Indonesia Before of Trust and Sensibility Before The Sense Sticks of Indonesia Sticks An Emerging and Sensibility The Politics An Emerging of Indonesia The Politics of Trust Giant An Emerging of Trust Carrots Giant Carrots An Emerging Before Before Giant Sticks Carrots Sticks Before The Politics Carrotsout more and Find to our print or online edition atGiant globalasia.org Thesubscribe Politics THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION POSSIBLE IN MALAYSIA?
Khairy Jamaluddin Squares Off Against Rafizi Ramli
JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON ‘ABENOMICS’ THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION POSSIBLE MALAYSIA? By GongpilINChoi
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Shalendra D. Sharma From Meltdown to Bounceback: How South Korea Weathered the 2008 Financial Crisis
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PLUS Is It JustGeorgiy About Tridivesh Singh Maini & Manish Vaid Voloshin China as a Stabilizer in Central Asia The Emerging Role of Indo-Pakistan Border States Ramesh Thakur The New Great Game in Afghanistan Containing China? Young-hoon Lee Economic Reform in North Korea Tridivesh Singh Maini & Manish Vaid Peter Hayes A Breakthrough Six-Party Summit in 2013? Emerging Role of Indo-Pakistan Border States Is It JustThe About By Nguyen Manh Hung Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga Reflections by Won-soon Park & Tae-won Chey Young-hoon Lee Economic Reform in North Korea BURMA IN THE ASEAN CHAIR IN 2014, AT LAST Book Reviews by David C. Kang, PeterChina? Hayes A Breakthrough Six-Party Summit in 2013? DRAWING A LINE IN THE SOUTH CHINA SEAContaining Börje Ljunggren & John Delury By Pavin Chachavalpongpun
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Jennifer Lind Beware the Tomb of the Known Soldier
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THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA?
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THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY
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By Inkyo Cheong
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012
Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser, Richard A. Bitzinger, THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY Kang Choi & Noboru Yamaguchi Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES Donald K. Emmerson, Malcolm Richard Reflections by Won-soon Park &Fraser, Tae-won CheyA. Bitzinger, Kang Choi & Noboru Yamaguchi
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RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova
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In In This Focus: Issue: Asian We Nations Start a New in the Regular Race toSection Get a Share Profiling of the Asian Arctic Countries in Taiwan
In In This Focus: Issue: Asian We Nations Start a New in the Regular Race toSection Get a Share Profiling of the Asian Arctic Countries in Taiwan In In This Focus: Issue: Asian We Nations Start a New in the Regular Race toSection Get a Share Profiling of the Asian Arctic Countries in Taiwan
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THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY
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RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
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Shalendra D. Sharma From Meltdown to Bounceback: US$15.00 How South Korea Weathered the 2008 Financial W15,000 Crisis
THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM | Will Andy Yee When Japan8, Tap Its Internet Potential? A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG VOLUME NUMBER 1, SPRING 2013
By Inkyo Cheong
THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA?
Saroj Kumar Rath Drugs in India Are a Security Threat
Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada
In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & Chu Yun-han
ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA
Book Reviews by John Delury and Taehwan Kim
By Mark J. Valencia
We now have an iPad and Android tablet edition! See p.5
US$15.00 W15,000
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A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 1, SPRING 2013
The US ‘Pivot’
INDONESIA AND THE CHALLENGES OF GROWTH: ESSAYS BY
Andy Yee When Will Japan Tap Its Internet Potential?
Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada
Inside our latest issue: Inside our
Dewi Fortuna Anwar, Stephen Norris, James Castle, A. Lin Neumann, Erry R. Hardjapamekas and Adil W. Surowidjojo & Syed Farid Alatas
CHINA’S NEW AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA DISPUTES
By Mark J. Valencia INDONESIA AND THE CHALLENGES OF GROWTH: ESSAYS BY Dewi FortunaPLAN Anwar, James Castle, WILL JAPAN’S TOStephen EXERCISENorris, ITS COLLECTIVE A. Lin Neumann, ErryMAKE R. Hardjapamekas SELF-DEFENSE RIGHT ASIA MORE ORand LESS SECURE? Adil W. Surowidjojo & Off Syed Farid Alatas Gui Yongtao Squares Against Yuichi Hosoya CHINA’S NEW AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA DISPUTES
By Mark J. Valencia
WILL JAPAN’S PLAN TO EXERCISE ITS COLLECTIVE SELF-DEFENSE RIGHT MAKE ASIA MORE OR LESS SECURE?
Gui Yongtao Squares Off Against Yuichi Hosoya
PLUS
Jonathan Berkshire Miller Politics Continues to Chill Japan-South Korea Relations Andy Ye Why Taiwan’s ICT Sector Needs a New Model Pavin Chachavalpongpun Western Pragmatism Trumps Human Security Concerns in Myanmar PLUSEvans The Passing of Robert Scalapino, Kim Kyung Paul Jonathan BerkshireTadashi Miller Politics Continues to Chill Won and Yamamoto Japan-South Korea Relations Book Reviews by Samuel S. Kim Andy Why Taiwan’s ICT Sector NeedsHave a New Model & JohnYeDelury you tried Trumps Pavin Chachavalpongpun Western Pragmatism our iPad or Human Security Concerns in Myanmar Android tablet Paul Evans The Passing of Robert Scalapino, Kim Kyung editions? See p.107 Won and Yamamoto Tadashi Book Reviews by Samuel S. Kim Have US$15.00 & John Delury you tried W15,000
3/10/1
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We Help Asia Speak to the World We Asia World We Help Asia Speak Speak to the World andHelp the World Speakto tothe Asia. and the World Speak to Asia. and the World Speak to Asia. We Help Asia Speak to the World We Help Asia Speak to the World We Help Asia Speak to the World and the World Speak to Asia. Inside ourto Asia. and the World Speak and the World latest Speak issue:to Asia. Inside Inside our our
THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY
Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser, Richard A. Bitzinger, Kang Choi & Noboru Yamaguchi CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES
Reflections by Won-soon Park & Tae-won Chey DRAWING A LINE IN THE SOUTH CHINA SEA
By Nguyen Manh Hung
BURMA IN THE ASEAN CHAIR IN 2014, AT LAST
By Pavin Chachavalpongpun
PLUS
Georgiy Voloshin China as a Stabilizer in Central Asia Ramesh Thakur The New Great Game in Afghanistan Tridivesh Singh Maini & Manish Vaid The Emerging Role of Indo-Pakistan Border States Young-hoon Lee Economic Reform in North Korea Peter Hayes A Breakthrough Six-Party Summit in 2013? Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga Book Reviews by David C. Kang, Börje Ljunggren & John Delury
THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY
PLUS
THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES
PLUSEmerging Role of Indo-Pakistan Border States The Georgiy Voloshin China as a Stabilizer in Central Asia Young-hoon Lee Economic Reform in North Korea Ramesh Thakur The New Great Game in Afghanistan Peter Hayes A Breakthrough Six-Party Summit in 2013? Tridivesh Singh Maini & Manish Vaid Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga The Emerging Role of Indo-Pakistan Border States Book Reviews byEconomic David C. Kang, Young-hoon Lee Reform in North Korea Börje Ljunggren & John Delury Peter Hayes A Breakthrough Six-Party Summit in 2013? Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga Book Reviews by David C. Kang, Börje Ljunggren & John Delury
US$15.00 Georgiy Voloshin China as a Stabilizer in Central Asia Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, W15,000 Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser, Richard A. Bitzinger, Ramesh Thakur The New Great Game in Afghanistan | A JOURNAL THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG 7, NUMBER Kang Choi &OF Noboru Yamaguchi Tridivesh Singh VOLUME Maini & Manish Vaid 4, WINTER 2012
The US ‘Pivot’ to Asia
Patrick M. Cronin, MichaelPark McDevitt, Wu Xinbo, Reflections by Won-soon & Tae-won Chey Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser, Richard A. Bitzinger, DRAWING A LINE IN THE SOUTH CHINA SEA Kang Choi & Noboru Yamaguchi By Nguyen Manh Hung CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES
BURMA IN THE ASEAN CHAIR IN 2014, AT LAST Reflections by Won-soon Park & Tae-won Chey By Pavin Chachavalpongpun DRAWING A LINE IN THE SOUTH CHINA SEA
By Nguyen Manh Hung
BURMA IN THE ASEAN CHAIR IN 2014, AT LAST
By Pavin Chachavalpongpun
Is It Just About Containing China?
US$15.00 W15,000
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012
The US ‘Pivot’ Theto US ‘Pivot’ Asia to Asia PLUS
Georgiy Voloshin China as a Stabilizer in Central Asia Ramesh Thakur The New Great Game in Afghanistan
By Nguyen Manh Hung
Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga PLUS Reviews by David C. Kang, Book Georgiy Voloshin ChinaDelury as a Stabilizer in Central Asia Börje Ljunggren & John Ramesh Thakur The New Great Game in Afghanistan Tridivesh Singh Maini & Manish Vaid US$15.00 The Emerging Role of Indo-Pakistan Border States CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES W15,000 Reflections by Won-soon Park & Tae-won Chey Young-hoon Lee Economic Reform in North Korea | WWW.GLOBALASIA.ORG A JOURNAL OF THE EAST ASIA CHINA FOUNDATION VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012 Peter Hayes A|Breakthrough Six-Party Summit in 2013? DRAWING A LINE IN THE SOUTH SEA US$15.00 THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY PLUS By Nguyen Manh Hung Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga W15,000 Georgiy Voloshin China as a Stabilizer in Central Asia Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, BURMA IN THE CHAIR IN 2014, LAST A. Book Reviews David C. 7, Kang, | Bitzinger, |byVOLUME Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser,ATRichard A JOURNAL OFASEAN THE EAST ASIA FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG NUMBER 4, Afghanistan WINTER 2012 Ramesh Thakur The New Great Game in Börje Ljunggren & John Delury By Pavin Chachavalpongpun Kang Choi & Noboru Yamaguchi Tridivesh Singh Maini & Manish Vaid The Emerging Role of Indo-Pakistan Border States CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES South Korea Leading the Way Into a New World ofLee Social Enterprises Reflections by Won-soon Park & Tae-won Chey Young-hoon Economic Reform in North Korea Peter Hayes A Breakthrough Six-Party Summit in 2013? DRAWING A LINE IN THE SOUTH CHINA SEA By Nguyen Manh Hung Asger Røjle Christensen Japan’s Abduction Saga US$15.00 BURMA IN THE ASEAN CHAIR IN 2014, AT LAST Book Reviews by David C. Kang, W15,000 Börje Ljunggren & John Delury By Pavin Chachavalpongpun BURMA IN THE ASEAN CHAIR IN 2014, LAST BY THE US REBALANCING TOWARD ASIA:AT ESSAYS
By Pavin Patrick M.Chachavalpongpun Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser, Richard A. Bitzinger, Kang Choi & Noboru Yamaguchi
The US ‘Pivot’ Theto US ‘Pivot’ Asia to Asia The US ‘Pivot’ to Asia The US ‘Pivot’ to Asia
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012
Is It Just About Containing China? US$15.00 Is It Just About W15,000 | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012 A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION Containing China? THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
PLUS
Rudiger Frank RollingEnterprises Reforms: Reflections Mel Gurtov, MiroslavSouth Nincic,Korea Walter C. Clemens, Jr., Into a New Leading the Way World of Social on Visits to Kim Jong Un’s North Korea Karin J. Lee, Andrei Lankov, Troy Stangarone, Stuart J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe Stein Tønnesson Steps Forward for China
to Resolve the South China Sea Disputes Is It JustMark About J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint Development Possibilities in the South China Sea Containing Book China? Reviews by John Delury
JAPAN’S DANGEROUSSouth GAMBLE ON ‘ABENOMICS’ Korea Leading the Way Into a New World of Social Enterprises
By Gongpil Choi
and Taehwan Kim
Is It Just About Containing China?
THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
Have you tried our iPad or Android tablet editions? See p.3
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Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections Mel Gurtov, Miroslav Nincic, Walter C. Clemens, Jr., W15,000 on Visits to Kim Jong Un’s North Korea Karin J. Lee, Andrei Lankov, Troy Stangarone, Stuart A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 2, SUMMER 2013 J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
PLUS
Stein Tønnesson Steps Forward for China Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections to Resolve the South China Sea Disputes on Visits to Kim Jong Un’s North Korea Mark J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe Development Possibilities in the South China Sea THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION Stein Tønnesson Steps Forward for China POSSIBLE IN MALAYSIA? Book Reviews by John Delury JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON ‘ABENOMICS’ to Resolve the South China Sea DisputesHave and Taehwan Kim Khairy Jamaluddin By Gongpil Choi Squares Off Against Rafizi Ramli you tried Mark J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint ourChina iPad Sea or Development Possibilities in the South THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION Android tablet POSSIBLE IN MALAYSIA? Book Reviews by John Delury editions? Have and Taehwan Kim Khairy Jamaluddin Squares Off Against Rafizi Ramli See p.3 you tried South Korea Leading the Way Into a New World of Social Enterprises our iPad or US$15.00 Android tablet editions? W15,000 p.3 A JOURNAL OF THE EAST FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG VOLUME 8, NUMBERSee 2, SUMMER 2013 SouthASIA Korea Leading the| Way Into a New World of|Social Enterprises JAPAN’S DANGEROUS ON ‘ABENOMICS’ Mel Gurtov, MiroslavGAMBLE Nincic, Walter C. Clemens, Jr., By Gongpil Karin J. Lee,Choi Andrei Lankov, Troy Stangarone, Stuart J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly
Positive Engagement with North Korea, Iran and Myanmar
PLUS
US$15.00 Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Jennifer Lind Beware the Tomb of the Known Soldier W15,000 Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, Shalendra D. Sharma From8,Meltdown | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME A JOURNAL OF THEMiller EAST & ASIA NUMBERto1,Bounceback: SPRING 2013 Jonathan Berkshire LiliaFOUNDATION Shevtsova How South Korea Weathered the 2008 Financial Crisis RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
Gilbert Rozman, By Inkyo CheongTakashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA? Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada
THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
PLUS
Andy YeeLind When Will Japan Tap Its Potential? Jennifer Beware the Tomb of Internet the Known Soldier Saroj Kumar Drugs in Meltdown India Are atoSecurity Threat Shalendra D. Rath Sharma From Bounceback: How South Korea Wu Weathered 2008 Financial In Focus: Taiwan Yu-shan,the Chen Tain-jy & ChuCrisis Yun-han
Andy Yee WhenbyWill Japan Tap Its Internet Potential? Book Reviews John Delury We and Taehwan Kim Drugs in India Are a Security Saroj Kumar Rath now have Threat an iPad and Yun-han In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & Chu Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada Android tablet ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA Book Reviews by John Delury edition! We and Taehwan Kim By Mark J. Valencia See p.5 now have an iPad and US$15.00 Android tablet edition! W15,000 See A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 1,p.5 SPRING 2013 ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA By Inkyo Cheong By Mark J. Valencia THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA?
Avoiding the Mines Avoiding Avoiding the Mines the Mines
RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, By Inkyo Cheong Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA? THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada By Inkyo Cheong
New Leaders, New Dangers in Northeast Asia
ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA
THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA? By Mark J. Valencia Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada
ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
By MarkRozman, J. Valencia Gilbert Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova
THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
By Inkyo Cheong
PLUS
Jennifer Lind Beware the Tomb of the Known Soldier
Shalendra D. Sharma From Meltdown to Bounceback: PLUS How South Korea Weathered the 2008 Financial Crisis Jennifer Lind Beware the Tomb of the Known Soldier Andy Yee When Will Japan Tap Its Internet Potential? Shalendra D. Sharma From Meltdown to Bounceback: SarojSouth Kumar Rath Drugs in India Are Financial a SecurityCrisis Threat How Korea Weathered the 2008
In Focus: Wu Japan Yu-shan, Chen Tain-jy &Potential? Chu Yun-han Andy YeeTaiwan When Will Tap Its Internet Book Reviews by John Delury Saroj Kumar Rath Drugs in India Are a Security Threat We and Taehwan Kim now have In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & Chu Yun-han an iPad Book PLUS Reviews by John Delury Android and Wetablet and Taehwan Jennifer LindKim Beware the Tomb of the Known edition! now haveSoldier anSee p.5and iPad Shalendra D. Sharma From Meltdown to Bounceback: Android tablet How South Korea Weathered the 2008 Financial Crisis edition! US$15.00 Andy Yee When Will Japan Tap Its Internet Potential? W15,000 See p.5
Saroj Kumar Rath Drugs in8,India Are a Security Threat | VOLUME A JOURNAL ASIA FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG NUMBER 1, SPRING 2013 THE DEBATE:OF IS THE THE EAST TPP AIMED AT THWARTING |CHINA? US$15.00 RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY PLUS
In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & ChuW15,000 Yun-han Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Jennifer Lind Beware the Tomb of the Known Soldier ASSESSING CODE OF CONDUCT FOR SOUTH SEA Book Reviews|byVOLUME John Delury | CHINA A JOURNAL THE EAST ASIA WWW.GLOBALASIA.ORG 8, NUMBER 1, SPRING 2013 Joon HyungAOF Kim, Haksoon Paik,FOUNDATION LeonTHE V. Sigal, Shalendra D. Sharma From Meltdown toWe Bounceback: and Taehwan Kim By Mark J.Berkshire Valencia Miller & Lilia Shevtsova Jonathan have Crisis How South Korea Weathered the 2008now Financial
New Leaders, New Dangers in New Leaders, Northeast Asia New Dangers in Northeast Asia
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THE TPP ANDIn THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM This Issue: We Start a New Regular Section Profiling Asian Taiwan Andy Yee When WillCountries Japan Tap in ItsAndroid Internet tablet Potential? By Inkyo Cheong THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA?
Wang Yong Squares Off Against Takashi Terada
ASSESSING A CODE OF CONDUCT FOR THE SOUTH CHINA SEA
By Mark J. Valencia
Saroj Kumar Rath Drugs in India Areedition! a Security Threat See p.5 In Focus: Taiwan Wu Yu-shan, Chen Tain-jy & Chu Yun-han Book Reviews by John Delury and Taehwan Kim
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A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 1, SPRING 2013 an iPad
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US$15.00 W15,000 A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 1, SPRING 2013 TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY PLUS
Avoiding Avoiding the Mines the Mines Avoiding the Mines Avoiding the Mines
Billo A WayCountries to Peace inin theTaiwan South China Sea InRichard This Issue: We Start a New Regular SectionAndrew Profiling Asian Yun Byung-se, Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South Korea: What Will It Take to End 60 Years of War?
NON-WESTERN AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS In DEMOCRACIES This Issue: We Start a New Regular SectionHaruki Profiling Asian Countries in Taiwan Wada Korea’s War, Armistice and Legacy By Alexei D. Voskressenshi. THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY
Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor
Book Reviews by John Delury, Taehwan Kim, Nayan Chanda and David Plott
Have you tried our iPad or Android tablet editions? See p.57
New Leaders, New NewDangers Leaders,in Yun Byung-se, RichardNortheast Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles Asia By Alexei D. Voskressenshi. New Dangers A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandrein Y. Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan Northeast Asia Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY
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Andrew Billo A Way to Peace in the South China Sea Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles W15,000 A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style A JOURNAL Myung-bok OF THE EAST ASIA FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 3, FALL 2013 Mansourov, Bae & Mohamed Jawhar| Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South Korea: TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS
PLUS Will It Take to End 60 Years of War? What Andrew Billo A Way to Peace in the South China Sea Haruki Wada Korea’s War, Armistice and Legacy Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style Book Reviews by John Delury, Taehwan Kim, Chung-in Moon North Korea THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY Nayan Chanda and David Plottvs. South Korea: What Will It Take to End 60 Years of War? NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS Have Haruki Wada Korea’s War, Armistice and youLegacy By Alexei D. Voskressenshi. tried our Kim, Book Reviews by John Delury, Taehwan iPad or Android tablet THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY Nayan Chanda and David Plott editions? Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor Have See you p.57 tried our iPad or In This Issue: We Start a New Regular Section Profiling Asian Countries in Taiwan Android tablet editions?US$15.00
How East Asia Can Secure New Leaders, New Dangers in a Peaceful Northeast Asia Future In This Issue: We Start a New Regular Section Profiling Asian Countries in Taiwan
See p.57
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| VOLUME 8, NUMBER 3, FALL 2013
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION
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| VOLUME 8, NUMBER 3, FALL 2013
THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY PLUS Hee Park The Double Life of Shinzo Abe J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly Cheol Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections Mel Gurtov, Miroslav Nincic, Walter C. Clemens, Jr., Stein Tønnesson Steps Forward for China on Visits to Kim Jong Un’s North Korea JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON Stangarone, ‘ABENOMICS’ South Korea Leading the Way Into a New World of Social Enterprises Karin J. Lee, Andrei Lankov, Troy Stuart to Resolve the South China Sea Disputes By Gongpil Hyunjin Choi Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly J. Thorson, Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe
Andrew Billo A Way to Peace in the South China Sea Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Style TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY Hassan PLUS Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Chung-in Moon North Korea vs. South Korea: Andrew A Way to Peace in the South China Sea Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles What WillBillo It Take to End 60 Years War? ThisYizhou, Issue:Yoshihide We Start a New Regular Profiling Asian inofTaiwan NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS A. Kupchan, In Wang Soeya, Alexandre Y.SectionHaruki Jung-Sun Park WhyCountries ‘Gangnam Style’ Isn’tLegacy Hallyu Style Wada Korea’s War, Armistice and By Alexei D. Myung-bok Voskressenshi. Mansourov, Bae & Mohamed Jawhar Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South Korea:
THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION POSSIBLE IN MALAYSIA? THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON ‘ABENOMICS’
New Leaders, New Dangers in Northeast AsiaEast Asia How
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Mark J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint Stein Tønnesson Steps Forward for China Development Possibilities in the South China Sea to Resolve the South China Sea Disputes Book Reviews by John Delury Mark J. Valencia Joint Have and Taehwan Kim& Hong Nong Exploring you Development Possibilities in the South China Sea tried our iPad Book PLUS Reviews by John Delury Android or tablet Have and Taehwan Kim Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections editions? you tried on Visits to Kim Jong Un’s North Korea See p.3 or our iPad Android Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe tablet editions? US$15.00 Stein Tønnesson Steps Forward for China W15,000 See to Resolve the South China Sea Disputes p.3
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Future Andrew Squares Off Against Graeme McGregor By AlexeiMarkus D. Voskressenshi. THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS THE DEBATE: AUSTRALIA’S NEW REFUGEE POLICY
Andrew Markus Squares Off Against Graeme McGregor TACKLING TRUST GAPS IN EAST ASIA: ESSAYS BY
Yun Byung-se, Richard Ned Lebow, Tae-Seop Bahng, Charles A. Kupchan, Wang Yizhou, Yoshihide Soeya, Alexandre Y. Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan
NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS
Book Reviews by John Delury, Taehwan Kim, What It Take toDavid End 60 Years of War? NayanWill Chanda and Plott Haruki Wada Korea’s War, Armistice and Legacy Have Book Reviews by John Delury, Taehwan youKim, tried Nayan Chanda and David Plott our iPad or Android tablet Have PLUS editions? you China tried Sea Andrew Billo A Way to Peace in the South SeeiPad p.57 our or Style Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Style’ Isn’t Hallyu Android tablet editions? Chung-in Moon North Korea vs. South Korea:
See p.57 US$15.00 What Will It Take to End 60 Years of War?
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By Gongpil Choi A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 2, SUMMER 2013 Mark J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint
Haruki Wada Korea’s War, Armistice and Legacy By Alexei D. Voskressenshi. A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG VOLUME NUMBER 3, FALL 2013 Book Reviews by| John Delury,8,Taehwan Kim,
THE Gurtov, DEBATE:Miroslav IS POLITICAL RECONCILIATION Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections W15,000 Mel Nincic, Walter C. Clemens, Jr., POSSIBLE IN MALAYSIA? Book Reviews John Delury | WWW.GLOBALASIA.ORG | by A JOURNAL THE Lankov, EAST ASIA FOUNDATION VOLUME 8, NUMBER on Visits to Kim Jong Un’s North Korea 2, SUMMER 2013 Karin J. Lee, OF Andrei Troy Stangarone, Stuart Have and Taehwan Kim Khairy Jamaluddin Squares Off Against Rafizi Ramli J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly
Andrew Billo A Way to Peace in the South ChinaW15,000 Sea Yun Byung-se, Richard Ned Tae-Seop Charles Andrew Markus Squares OffLebow, Against GraemeBahng, McGregor Have | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME A JOURNAL OF THE EAST Yoshihide ASIA FOUNDATION 8,Style’ NUMBER 3, FALLStyle 2013 A. Kupchan, Wang Yizhou, Soeya, Alexandre Y. Jung-Sun Park Why ‘Gangnam Isn’t you Hallyu tried Mansourov, Myung-bok Bae & Mohamed Jawhar Hassan Chung-in Moon North Korea vs. South ourKorea: iPad or Android See our redesigned In This website, Issue: Our www.globalasia.org, New Section Focusing for analysis, on It Asia's debates, Less archives Nations more What Will Take to EndProminent 60 Years ofand War? tablet
THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY
PLUS
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Development Possibilities in the South China Sea
Positive Engagement with North Korea, Positive Engagement Iran and Myanmar with North Korea,
Cheol Hee Park The Double Life of Shinzo Abe you tried iPad or In This In Focus: Issue:How We Start to Break a New the Regular Deadlock Section in Tønnesson the South Profiling China Asian SeaCountries in Taiwan Stein Steps Forward forour China Android tablet JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON ‘ABENOMICS’ to Resolve the South China Sea Disputes editions? By Gongpil Choi Mark J. Valencia & Hong Nong Exploring Joint See p.3 Development Possibilities in the South China Sea THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION US$15.00 POSSIBLE IN MALAYSIA? Book Reviews by John Delury Have W15,000 and Taehwan Kim Khairy Jamaluddin Squares Off Against Rafizi Ramli you tried A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER SUMMER 2013 our2,iPad or Android tablet editions? See p.3
Iran and Myanmar
Positive Engagement US$15.00 W15,000 with North Korea, In This In Focus: Issue:How We Start to Break a New the Regular Deadlock Section in the South Profiling China Asian SeaCountries in Taiwan Iran and Myanmar
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 2, SUMMER 2013
PositiveInEngagement This In Focus: Issue:How We Start to Break a New the Regular Deadlock Section in the South Profiling China Asian SeaCountries in Taiwan with North Korea, Iran and Myanmar
Sticks Before Sticks
Jung Young Moon A Most Ambiguous Sunday, and Other Stories
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A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION
Positive Engagement with North Korea, Positive Engagement Iran and Myanmar South Korea Leading the Way Into a New World of Social Enterprises with North Korea, THE POLITICS OF ENGAGEMENT: ESSAYS BY PLUS Rudiger Frank Rolling Reforms: Reflections Mel Gurtov, Miroslav Nincic, Walter C. Clemens, Jr., and Myanmar on Visits to Kim Jong Un’s North Korea Karin J.Iran Lee, Andrei Lankov, Troy Stangarone, Stuart
Khairy Jamaluddin Squares Against Rafizi Ramli Mel Gurtov, Miroslav Nincic, Off Walter C. Clemens, Jr., Karin J. Lee, Andrei Lankov, Troy Stangarone, Stuart J. Thorson, Hyunjin Seo, Trita Parsi & Nicholas Farrelly
Jung Mi-kyung My Son’s Girlfriend: Stories
Book Reviews by John Delury and Taehwan Kim
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Khairy Jamaluddin Squares Off Against Rafizi Ramli
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Dewi Fortuna Anwar, Stephen Norris, James Castle, A. Lin Neumann, Erry R. Hardjapamekas and Adil W. Surowidjojo & Syed Farid Alatas
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Andy Yee When Will Japan Tap Its Internet Potential?
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Hardjapamekas and Jonathan Berkshire Miller Politics Continues to Chill Dewi Fortuna Anwar, Stephen Norris, James Castle, W15,000 Andy Ye Why Taiwan’s ICT Sector Needs a New Model Adil W. Surowidjojo & Syed Farid Alatas Japan-South Korea Relations A. Lin Neumann, Erry R. Hardjapamekas and US$15.00 | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION NUMBER 4,aWINTER 2013 Pavin Ye Chachavalpongpun Western Pragmatism Trumps Andy Why Taiwan’s ICT8, Sector Needs New W15,000 Model Adil W. Surowidjojo & Syed Farid Alatas CHINA’S NEW AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA DISPUTES Human Security Concerns inWestern Myanmar INDONESIA AND THE CHALLENGES OF GROWTH: ESSAYS BY PLUS Chachavalpongpun Pavin Pragmatism Trumps | DISPUTES | VOLUME 8, NUMBER By MarkNEW J. Valencia A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION WWW.GLOBALASIA.ORG 4, WINTER 2013 CHINA’S AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA Jonathan Berkshire Miller Politics ContinuesKim to Chill Paul Evans The Passing of in Robert Scalapino, Kyung Dewi Fortuna Anwar, Stephen Norris, James Castle, Human Security Concerns Myanmar By Mark J. Valencia Japan-South Korea Relations Won and Yamamoto Tadashi A. Lin Neumann, Erry Hardjapamekas and WILL JAPAN’S PLAN TO R. EXERCISE ITS COLLECTIVE Paul Evans The Passing of Robert Scalapino, Kim Kyung SELF-DEFENSE RIGHT MAKE MORE OR LESS SECURE? Andy Ye Why Taiwan’s ICTS.Sector Adil Surowidjojo &CHALLENGES SyedASIA FaridITS Alatas Book Reviews by Samuel Kim Needs a New Model INDONESIA AND THE OF GROWTH: ESSAYS BY PLUSand Won Yamamoto Tadashi WILLW. JAPAN’S PLAN TO EXERCISE COLLECTIVE Have to Chill Gui Yongtao Off Against Yuichi & JohnReviews Delury Jonathan Berkshire Miller Politics SELF-DEFENSE RIGHT MAKE ASIANorris, MORE ORHosoya LESS SECURE? Pavin Chachavalpongpun Pragmatism Dewi FortunaSquares Anwar, Stephen James Castle, Book by Samuel S.Western Kim Continues you tried Trumps CHINA’S NEW AIR ZONE AND THE EAST CHINA SEA DISPUTES Japan-South Korea Relations Human Security Concerns in Myanmar GuiLin Yongtao Squares OffHardjapamekas Against Yuichi Hosoya A. Neumann, Erry R. and & John Delury ourHave or By Mark J. Valencia youiPad AndyEvans Ye Why Taiwan’s SectorAndr Needs atried New Model oid Adil W. Surowidjojo & Syed Farid Alatas Paul The PassingICT of Robert Scalapino, Kim table tKyung our iPad editi ons?or Trumps Won and Yamamoto Tadashi WILL JAPAN’S PLAN TO EXERCISE ITS COLLECTIVE Andr Pavin Chachavalpongpun Western Pragmatism tablet Seeoid CHINA’S NEW AIR ZONE ANDASIA THE MORE EAST CHINA SEA DISPUTES SELF-DEFENSE RIGHT MAKE OR LESS SECURE? editip.107 Human SecuritybyConcerns inKim Myanmar Book Reviews Samuel S. ons? By Mark J. 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JAPAN’S DANGEROUS GAMBLE ON ‘ABENOMICS’ THE DEBATE: IS POLITICAL RECONCILIATION POSSIBLE MALAYSIA? By GongpilINChoi
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Kim Joo-young Stingray
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A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 1, SPRING 2013
DRAWING A LINE IN THE SOUTH CHINA SEA CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES
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THE DEBATE: IS THE TPP AIMED AT THWARTING CHINA?
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THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY
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THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
By Inkyo Cheong
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 7, NUMBER 4, WINTER 2012
Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, Donald K. Emmerson, Malcolm Fraser, Richard A. Bitzinger, THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY Kang Choi & Noboru Yamaguchi Patrick M. Cronin, Michael McDevitt, Wu Xinbo, CREATING A NEW WORLD OF SOCIAL ENTERPRISES Donald K. Emmerson, Malcolm Richard Reflections by Won-soon Park &Fraser, Tae-won CheyA. Bitzinger, Kang Choi & Noboru Yamaguchi
Dalkey Archive Press in the U.S. Publishes the First 10 Books in
RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova
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PLUS Chanda and David Plott Nayan
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NON-WESTERN DEMOCRACIES AND ASIAN POLITICAL SYSTEMS
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A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION
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| VOLUME 8, NUMBER 3, FALL 2013
The hard Indonesia is facing Indonesia The hard choices The hard is facing ischoices facing Indonesia choices Indonesia is facing Indonesia is is facing facing
A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 4, WINTER 2013 US$15.00 W15,000 A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG | VOLUME 8, NUMBER 4, WINTER 2013
In In This Focus: Issue: Asian We Nations Start a New in the Regular Race toSection Get a Share Profiling of the Asian Arctic Countries in Taiwan
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In This In Focus: Issue:How We Start to Break a New the Regular Deadlock Section in the South Profiling China Asian SeaCountries in Taiwan
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THE US REBALANCING TOWARD ASIA: ESSAYS BY
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RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova
THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM
By Inkyo Cheong
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Jennifer Lind Beware the Tomb of the Known Soldier
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RISKS & OPPORTUNITIES FOR ASIA’S NEW LEADERS: ESSAYS BY
Gilbert Rozman, Takashi Inoguchi, David Shambaugh, Joon Hyung Kim, Haksoon Paik, Leon V. Sigal, Jonathan Berkshire Miller & Lilia Shevtsova
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THE TPP AND THE QUEST FOR EAST ASIAN REGIONALISM | Will Andy Yee When Japan8, Tap Its Internet Potential? A JOURNAL OF THE EAST ASIA FOUNDATION | WWW.GLOBALASIA.ORG VOLUME NUMBER 1, SPRING 2013
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3/10/1
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frÜ h jah r 2014
Koreanische Kultur und Kunst
Vom offenen Hafen zum Flughafen Nr. 1
Jahrgang 9, Nr. 1
Incheon: Koreas Haupttor zur Welt
frÜh j ah r 2014
Spezial
Incheon Koreas Haupttor zur Welt
Die Stadt, wo innere und äußere Einflüsse zusammentreffen; Die Geschichte von Incheon
www.koreana.or.kr
Jahrgang 9, Nr. 1
ISSN 1975-0617