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Shinya Tohyama Architecture Portfolio


『Cloud scapes』 環境と関わる新たな建築空間 近藤哲雄建築設計事務所 2012 東京都現代美術館 出展 基本設計・実施設計・設計監理


東京都現代美術館のサンクンガーデンに小さな雲をつくった。 こぢんまりとした透明な容器の中に、ふわふわと雲が浮いている。その雲はエントラ ンスホールや展示室、屋外広場など、美術館のあちこちから見ることができる。 容器の中にある階段を登ると、雲の中を抜けて上部に到達し、雲の上には美術館や周 りの建物や空といった景色が広がっている。 雲のエッジはシャープでやわらかく、常に動いていて、天候や時間の変化とともに色 や濃度や明るさがダイナミックにどんどん変化していく。 雲は、温度と湿度をコントロールすることで、ある高さにとどまるように設計されて いる。 下から、冷たく乾いた空気のレイヤ、暖かく湿度の高いレイヤ、熱く乾いた空気のレ イヤと 3 つの空気層をつくり、暖かく湿度の高い空気層が雲のレイヤとなっている。 透明の容器はΦ48.6mm の鋼管を主構造とし、天井高さ 6m の中間部分に引張材を設 けることで、建物全体で風圧力に対応するようにした。 雲の中に位置するこの引張材があることで、細い鋼管のみで透明な容器を成立させて いる。 また空気層を設けた二重貼りのビニルシートによって室内の温湿度環境が安定するよ うにした。 刻々と変化する雲は柔らかな建築のようでもあり、私たちを取り巻く環境そのもので もある。 建築だけでなく、温度や湿度といった眼に見えない空間の差異や、天候や時間等、ま わりに広がる周辺環境も含めて、お互いに少しずつ影響しあいながら、一体的な作品 となっている。 環境に関わりあいながら全体でひとつになるような、新しい建築空間をつくる試みで ある。

共同設計:トランスゾーラー/マティアス・シューラー 所在地 : 東京都江東区 構 造 : 小西泰孝建築構造設計 期 間 : 2011 年 7 月 - 2011 年 12 月 サイズ : W5336 x D5408 x H6308 主体構造 : 単管パイプ 『クラウドスケープ』トランスゾーラー+近藤哲雄 会期 : 2011 年 12 月 24 日 - 2012 年 3 月 22 日 会場 : 東京都現代美術館 基本設計・実施設計・設計管理



雲は、温度と湿度をコントロールすることで、ある高さにとどまるように設計されている。 下から、冷たく乾いた空気のレイヤ、暖かく湿度の高いレイヤ、熱く乾いた空気のレイヤと 3 つの 空気層をつくり、暖かく湿度の高い空気層が雲のレイヤとなっている。 温度や湿度といった目に見えない空間の差異や、天候や時間など刻々と変化し続ける周辺環境と互 いに少しずつ影響し合いながら、雲はそこにあり続ける。その様は柔らかな建築のようでもあり、 僕たちを取り巻く環境のようなものでもある。





『野鳥の森山荘』 環境と関わる新たな建築空間 近藤哲雄建築設計事務所 2012 基本設計







『ある日のこと(そよ風、陽射、そしてカゲ)』 インタラクティブな建築模型 インタラクティブ建築模型展 呼吸する建築 審査員:伊東豊雄 / 隈研吾 / 藤本壮介 審査通過・TDW2015 出展


これはおよそ「建築模型」ではないかもしれない。 どちらかと言うと「こういう建築であってほしい模型」である。 たとえば整然と並べられた白い棒。均等に並んでいるようでいて、 少しムラになっている部分がある。 たとえばある人にとっては屋根を支える柱が密集した場所に思え るかもしれないが、別のある人には足下に広がる草原のように感 じるかもしれない。 たとえばまたある人には、友人を迎えた視界の端で空を映し込む 水溜りに見えるかもしれないが、別のある人にとっては雨から身 を守る屋根に感じるだろう。 建築模型とは物語を紡ぐ装置であり、建築はその現れである。 建築はひとつの世界観だけではできていない、というよりもそん な建築は少し窮屈で傲慢だと思う。 模型を見る人によって A という世界が B という世界の一部であっ たり、またその逆であったりする。 そういった、見る人の数だけ「こういう建築であってほしい」が 存在する。




Exhibition

TOKYO DESIGN WEEK 2016 の建築模型展の展示。 伊東豊雄・隈研吾・藤本壮介ら審査員による審査を経て 会場には15組の建築家が作品を展示した。イベント全 体のテーマが「インタラクティブ」ということもあり、 触れたり息を吹きかけたりして、来場者の模型への接し 方が多様になる展示を目指した。具体的には視覚や触覚 であったり、身体を動かして視点を変えたり、廻りにあ る模型を取り込んだりと、模型を通して会場をひとつの 環境と捉え、建築空間を体験するかのような豊かさを「建 築模型」という小さな世界でも体験できることを目指し た。





Interview

TOKYO DESIGN WEEK 2016 の建築模型展の会期中 に脳科学者・茂木健一郎からインタビューを受け、作品 について説明をおこなった。


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