Shinya Tohyama Architecture Portfolio
Contact 當山 晋也 / Shinya Tohyama 1983 年 大阪生まれ tohyamashinya@gmail.com 080.5692.8358 東京都三鷹市牟礼1-10-9 明和レジデンス 101 http://issuu.com/thymshny
Skills Vectorworks
AutoCad
Mac
Illustrator
Photoshop
Windows
SketchUp
Rhinoceros
Model making
Awards 2006
東京建築士会第 6 回住宅課題賞 / 優秀賞 第10回 JIA 館等甲信越支部群馬地域卒業設計コンクール / 優秀賞
2007
Ishikawa 住宅設計コンペ / 入選
2008
Ishikawa 住宅設計コンペ / 入選
2009
Tea House Competition/ ファイナリスト入選 JIA 関東甲信越支部大学院修士設計展 / 出展
2015
TOKYO DESIGN WEEK 2016 建築模型展 / コンペ選出・出展
Exprience 1983
大阪の小さな町工場に生まれる
2002
大阪私立 上宮高等学校 卒業
2007
前橋工科大学 工学部建築学科 / 石田敏明研究室 卒業
2009
前橋工科大学大学院工学研究科建築学専攻 / 石田敏明研究室 修了
2009-10
石黒由紀建築設計事務所
2011-13
近藤哲雄建築設計事務所
2013-15
戸田建設株式会社 横浜支店(派遣社員)
2015-
隈研吾建築都市設計事務所(派遣社員)
Contents
1
『そちらの空はどうですか』/ Town House
4
『Cloud scapece』/ Professional Experience
2
『ある昼下がりの同じ時間』/ Tea House
5
『野鳥の森山荘』/ Professional Experience
3
6
『ある日のこと (そよ風、 陽射、 そしてカゲ) 』/ Competition
7
『建築から、 または建築へ』/ART WORK
『空間の輪郭』/ Master
敷地は前橋市の市街地のはずれ、交通量の多い幹線道路が通る土手に隣接し、 その反対側は市民の憩いの場所となる公園があり、低層お住宅地が広がる、対 照的な性格を持った場所である。この集合住宅は主にディンクス(共働き夫婦) が住む長屋形式の集合住宅である。郊外の住宅にみられるような、隣地との距離、 高い独立性、そして十分外部空間が郊外に置ける快適性ではないかと想われる。 そこで、外部空間として住戸館にヴォイドをつくり、適度な距離感、独立性を 確保をる。そのヴォイドを通してにじみ出た住戸の生活感がピロティ部分にま で広がり、心地良い一体感うぃ感じさせる。窓の向こう見える住戸の壁が、意 識的には自分の住戸の一部である、というような領域に広がりが生まれる。
『そちらの空はどうですか』 土手沿いにあるタウンハウス 第6回住宅課題賞 / 優秀賞 審査員:上田実 石黒由紀 ヨコミゾマコト 佐藤淳
地方都市における住宅地は都心に比べ、比較的敷地にも余裕があり、また十分な広 さの庭を持つ。そのような環境の中で、隣家の庭を借景のように眺めることもある だろう。自らの住いと庭、そして隣家の庭と住い、そう言ったものが隣接しながら も混在するのが、地方都市における集合のあり方の一つではないだろうかと考えた。 住戸と占有の庭と共有の庭とが互いに向こう側の気配を感じ取りつつも共存し、そ れらがヒエラルキーなく同時に生まれたような建築を目指した。
敷地と同じ形状をしたヴォリュームを敷地いっぱいに作る。
幹線道路、住宅地に平行なグリッドとそれらに直行するグリッドを用いて平面計画を行う。 角度が異なるそれらのグリッド同士を建蔽率・容積率を考慮しながら住戸をつくる。 この複数のグリッドシステムによって各住戸には各々異なる個性的な形が生まれ、 各住戸の独立性とプライバシー、多様性を生み出す。
幹線道路からのプライバシーを確保するため、採光・通風を中庭(ヴォイド)から得る 構成としている。中庭を変形させることで、住戸間の視線のぶつかり合いを避けている。 変形したヴォイドを通った光はピロティ空間に様々な光の模様を映し出し、明るい共用部 を作り出す。
住宅地側は周辺のスケールと合わせるように入り組んだ襞を作る事で、入り江のような ファサードをつくり、動きを持たせることで、住宅地に与える圧迫感を軽減している。 幹線道路側は一枚の大きなフィルターをつくり、各住戸との距離を取る事で、 騒音などの問題に対処している。
大小様々な空洞に囲まれその残された固まりの部分が居住部分となる。空洞 によって住む場所の輪郭が浮かび上がり、同時に住む場所によって空洞の空 間が洗われる。相互関係で浮かび上がる空間。ふとした瞬間に、住居にいた はずの自分の身体がふっと軽くなり、そこが空洞の中なのか住居の中なのか 分からなくなるような感覚。自分の意識の位置の在り方によって、「蜜」でも あり「疎」でもある空間になり得る。
各住戸は4つ以上のヴォイドと隣接している。ヴォイドは他の住戸と共有するものや専有しているもの、アプローチの役割と なるものがあり、専有の度合いが異なる。そのグラデーションの波い囲まれて生活を送る。すべてのヴォイドへ向けて開かれ た開口から視える風景を通して、一見どこも同じ等価で均質なものと感じるものの中に、小さな差異を知覚する。時間と経験 の積み重ねの中で、そこに感情移入することで、固有性が生まれていく。
1 階部分は地面から持 ち上がり、住宅地側か ら土手に向かって抜け を確保している。さら に住戸部分を1層上げ ることにより、独立性 を持たしている。ここ はピロティというより は公園に近い空間の質 を持ち、近隣にある公 園からの連続性を保ち つつ、ここに住む人や ペットを散歩させてい る人の交流の場とな る。そしてヴォイドか ら落ちてくる多様な光 が人のアクティビティ を誘発する。
原っぱのなかのカフェ。原っぱのなかに軽食販売ができる休憩所をつくるプロジェクト。6万平米という漠 然とした風景が広がる敷地のなかに、見る人、体験する人にそれぞれ固有の環境との対話が生まれるような 空間を計画しようとしている。日常の空間の中に非日常を感じることができないだろうか。敷地の一部をぐ るりとガラスで囲む。その中にはこれまで原っぱに存在していた、人の通っていた道や小さな小川や自然に できた緩やかな丘なども取り込まれている。そこから窪みに入るようにしてカフェがある。ガラスで切り取 られたこの空間は「見えるけど届かなくて、所有できない空間」である。透明な壁に囲まれた空間に身体を 近づけ意識を向けることで、身体的には入れないが、外側の漠然とした風景の中にいては見落としてしまい そうな風景の中に隠れた小さな要素に気づくかもしれない。そういった小さな風景の断片は、この空間を経 験する人それぞれに生まれ、その人固有の風景となり記憶されていく。そうして、このとりとめのない風景 のなかに、個人の意識上の領域を獲得し、想い想いのストーリーが描かれていく。
『ある昼下がりの同じ時間』 草原のなかのカフェ 第1回 Tea House Conpetition(実施コンペ)/ ファイナリスト入賞 審査員:五十嵐淳
ガラスに囲われた空間が視る人の意識の 中でひと繋がりに像を結ぶ。そのどの瞬 間(とき)も同じ瞬間(とき)の出来事 であり、自分自身もその瞬間の中にいる ことに気づかされる。漠然と広がる風景 の中に入り込んだ小さな固有性は誰の物 でもない空間に個人の居場所を見出させ る。 それはこの空間に接する人の数だけ生ま れ、この場所に想い想いのストーリーを 描く事ができる。
﹃みんなちがって、みんないい﹄ 私が両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、 飛べる小鳥は私のように、 地面を速く走れない。 私が体をゆすっても、 きれいな音はでないけど、 あの鳴る鈴は私のように、 たくさんな唄は知らないよ。 鈴と、小鳥と、それから私、 みんなちがって、みんないい。 ﹃わたしと小鳥とずずと﹄/金子 みすゞ
『空間の輪郭』 事象から生成した空間図像と設計への展開 大学院修士設計 2009 指導教員:石田敏明 第7回大学院修士設計展 出展
日常の中の事象
日常の中で空間性を感じた事象の抽出
ハート型が並ぶポストカード、サクラの配置/群馬 空港/オランダ 水田/岐阜 オペラハウスのタイル、ワイナリー/オーストラリア 白紙委任/マグリット 針金の山 壁柱/岐阜 蠢く雲/群馬 大赤斑/木製 山と雲/富山 テンセグリティ 芝/横浜 空と夕日と雲/群馬
ルビンの壷 ユークリッドの散歩/マグリット 毒/マグリット ワイングラス
タイルとタイルの目地 アイスクリームの層と隙間
空と海の境界/オーストラリア 白い壁と床の境界 路地を挟んで並ぶカフェ/オーストラリア 日本家屋の軒下/岐阜
森 立ち並ぶ樹木
山と海の間/オーストラリア 石橋/オーストラリア ホテルの廊下 高所ドア/群馬
スコープ お賽銭 遺作/デュシャン 裏側へのドア/群馬 庭への抜け/群馬
事象に潜む空間性
空間の質を主観的視点から抽出
空間図像
抽出した空間性の図像化
類似性 反復性 均質性 規則性 視覚の錯乱
『mori のカタチ』
蠢く者たち 奥行きのなさ 不可視の可視化 変化の過程 ムラ 微かな動き
『均質の中のブレ』
どちらか片方 同じ本質 密かな妄想 ゆらぎ 閉じ込められた世界
『next door』
スケールの拡大 意識の浮遊 リアリティの拡張
『utsuwa』
存在しない境界 出会い 光と闇
『スケールの喪失』
森の状態
突然の出会い 異なる時間 裏切りへの期待 異なるものの共存
ミクロとマクロ 覗き穴の神秘性 別世界への入口
自らの「空間」に対する捉え方を探り、空間思考の手法として提案する。 1. 日常の中から空間性を感じた事象を収集する。 2. 事象の中に埋没している空間性を主観的視点を通して抽出する。 3. 抽出した空間性を「建築」へと至る橋渡しとなる「空間図像」としてモデル化を行う。 日常のなかに潜む空間性から主観的視点を通してその空間性を見出し、それを基に空間を思考するツールとしての空間図像をつくる。 そしてこれら図像を設計に落とし込むことで、事象の持つ豊かさを建築に持ち込み、空間思考の可能性を拡げる。 自分自身の内面から日常を捉え、非建築に見える事象を形式的な形態や象徴的な空間に収斂することなく、建築の空間にその豊かさや多様性を生み出せるか。 日常にありふれた事象から創発的な空間思考の提案である。
すでにそこにある強い構造を持って存在している日常とその日常に対して感じた、ごくごく個人的な感覚を研究の端緒とする。普段見慣れているものがある時全く異なるものとして自分の前に現れたとき、 初めて日常の表層とその奥にあるであろう深層とのズレを感じ、それが何か新たな価値観をもたらす可能性に感じた。そのような空間に生まれるズレを、自分自身の内面から日常を捉え、一見、非建築的に見える空間や あるものの状態といったイメージからいかに形式的な形態や象徴的な空間に収斂することなく、建築の空間にその豊かさや多様さを生み出せるか。 そしてそのプロセスを考察し、設計に還元できる新たな可能性を見出したいと考えている。
事象に潜む空間性
空間の質を主観的視点から抽出
事象から空間図像、そして建築へと至るプロセスの提示 日常の中の事象
空間図像
mori のカタチ
建築
Forest house
日常の中から経験的に空間性を感じた事象を収集する。それらをいくつかの緩いカテ ゴリー化を行い、そこから建築空間の基となり得る空間性を抽出する。単一の事象か らでなく、複数の事象を跨がる空間性の抽出を行うことで、一つのイメージからの固 定化・形式化された表現を避ける。上記の理由以外にも、空間性は感覚の問題でもあ ることから簡単に抽象化・還元化を行いにくいからである。そして私自身も抽象化さ れた普遍的なモデルではなく、 「感覚を伴ったモデル」を目指して図像化を行っていく。
空間図像
抽出した空間性の図像化
類似性 反復性 均質性 規則性 視覚の錯乱
『mori のカタチ』
蠢く者たち 奥行きのなさ 不可視の可視化 変化の過程 ムラ 微かな動き
『均質の中のブレ』
どちらか片方 同じ本質 密かな妄想 ゆらぎ 閉じ込められた世界
『next door』
スケールの拡大 意識の浮遊 リアリティの拡張
『utsuwa』
存在しない境界 出会い 光と闇
『スケールの喪失』
森の状態
突然の出会い 異なる時間 裏切りへの期待 異なるものの共存
ミクロとマクロ 覗き穴の神秘性 別世界への入口
森、もしくはもりのような状態から受ける心象。そして空間図像。 木々に囲まれた空間。頭上は葉が重なり合い木漏れ日が落とす。幹が柱のように林立し、 所々に視界が抜ける。 ・・・歩く。 木の根が大地を押上げ、木の葉が元の地面を隠し、蔦が足に絡まる。 ・・・・・・歩きにくい。 見えと体験との間の違和感。 この空間図像『mori のカタチ』は体験される動きとともに現れる。視線が遮られつつも突然、 遠い向こう側まで抜けたりする。また、近くて遠い場所や遠いようで近い場所といった、認識と 実体験による距離感覚における錯覚をももたらす。
『moro のカタチ』/空間図像
そのような感覚をもたらす空間の質を持つ空間図像。
この図像には物理的なスケールはなく、感覚的なスケールでできている。それは人によっては関係性の記述と呼ぶかもしれない。 単なる構成となる前の形式と呼ばれるかもしれない。 この図像を手がかりにして建築との距離を想像力で埋めていく。 場所を場所として見立てていく。 建築へと研ぎすましていく。
『Forest house』/建築(住宅)
空間イメージパース。身体が動くたびに視線の抜け、境界お在 り方が変化していく。固定化された相対関係ではなく、インタ ラクティブな関係性。つまり、主観者の行動によって一番遠い ものが視界の大半を占めるような状況になったり、またその認 識から感覚的距離と物理的距離の認識において意識下に錯覚を 起こさせる。それが住宅という、よりモノの相対関係が生まれ やすい環境においては有効だと考える。『mori のカタチ』が担 う空間性がこの『Forest house』において表現される。
空間図像『mori のカタチ』から展開された住宅の提案。 内部は扉のような明確な境界は存在せず、カテナリー型に切り取られた壁面が連続する。明確な境界面はないが、壁面下部には立ち上がりが設けられており、それぞれの室へ移動するときに「跨ぐ」という行為を伴う。 隣接する室においては視線が対面する関係であるが、離れた室にとっては音や気配はかんじつつも、同じ室のようで異なる質を持つ場所のように認識できるのではないか。 本質が同じでありながら隣り合う世界の異なる境界面。
隣接関係の解放変化
FL+500
FL+1000
FL+1500
FL+2000
『均質の中のブレ』/空間図像
見渡す限りに並ぶ柱。グリッド上に立てられた柱の中に部分的に生まれたムラ。 その領域だけは半グリッド分ずれている。 模型を俯瞰したり、真横から眺める視点ではなく、図像の中に埋没していく視点。 林立する柱の中に立てられたプライザーがあたかも自分であるかのような視点。 そしてやがてムラの中から境界面を発見する。 同質のものがほとんど均質に並ぶ中から生まれ出る差異。 その境界面から垣間みるもう一つの世界の豊かさ。
並ぶ扉。 ただひとつだけ見慣れた大きさの扉がある。
『next door...』/空間図像
別のひとつが少し開いており、意識はその先へと誘われる。
こちらの世界とあちらの世界を繋ぐ境界。その表出のひとつである扉。 いつもと同じ向こう側の世界?いつもと異なる向こう側の世界? それはたとえば マグリットの絵画 ホテルの廊下 どこでもドア かもしれない。
『密実の余白』/建築(住宅)
空間図像『nextdoor...』から建築へ設計を試みたもの。そし てその設計を通して生まれた新たな図像『密実の余白』。生 活の中の様々な振る舞いの中で空間の余白が、実と虚の関 係を行き来しながらせいりつする住宅。ときにそこは具体 的な空間であり、ときに余白として現れたりと、生活の中 で生まれる行為により関係性がめぐるめく変化していく。
dining・kitchen
living
room1
room2
bed room
toilet
住宅の中央に生まれた「ちいさな家」の周りを取り囲むように各室は配置される。各室は「ちいさな家」という、自分の居る場所の一歩外側にある空間と折り合いながら内部と外部を繋いでいく。 「ちいさな家」を中心に左右に分けられた bed room は独立性を保ちつつ配置している。また room1,2 は傾斜天井の先にある「そらの部屋」と接することで空の環境を意識し、また「ちいさな家」 の上部を介して dining・kitchen と空気が繋がることで、家族の気配も意識できる。外の環境と住宅内部の環境が等価に感じながら、そのグラデーションの中で自分の意識の着地点を移ろわせる。
半透明のポリカーボネイトで構成された「ちいさな家」 は各室の雰囲気や人の気配をぼんやりと映し出す。ま た上から差し込む光を受けて柔らかく全体を包み、各 室へと光を拡散させる。住宅の妻面の扉をそれぞれ開 け放つと「ちいさな家」は音と風が抜ける半外部の空 間となる。「扉を開く」という行為を通して住宅の中 心が内部にも外部にも変化していく。生活の中心的な 場所が空間構造的に曖昧なものであることで、眼前に あるもの・感じるものが非常に繊細で移ろい易いもの となる。自分の日常の中にそういった弱い空間が寄添 うことで、強固に感じられていた現実がふとしたきっ かけでどこか脆い存在に感じられる瞬間が生まれる。
子供室1
リビング
寝室 キッチン
冷蔵庫
子供室1 リビング
主寝室
ちいさな家上部 (勾配屋根・切妻)
ダイニング
浴室上部
リビングのボリューム。南向きには大きく開けられた開口
南側2階の子供室1。「ちいさな家」とアプローチの階段と
夫婦の寝室。北側にあるが、トップライトからの光でぼんや
があり、明るいリビングとなる。
繋がり、上部では「そらの部屋」と吹き抜けを介してダイニ
りと明るい空間が生まれている。
ングキッチンと繋がる。
浴室・脱衣室
ダイニング・キッチン
子供室2
トイレ
ダイニング
子供室2
ちいさな家
脱衣室
浴室
キッチン
冷蔵庫
主寝室
ダイニングキッチンのボリューム。「小さな家」とは一番大
浴室と脱衣室。上部は「そらの部屋」となり、お風呂に浸
北側2階の子供室2。1階部分には駐車場。子供室1と同様
きく接している。上部の吹き抜けを介して2つの子供室と緩
かりながら空を独り占めできる。
に他の部屋と緩やかに繋がっているが、プライベート性も確
やかに繋がる。
各室にはキャラクターがある。天井からぼにゃりと優しい光が降り注ぐ寝室。星空を独り占めできるお風呂。 大きな窓のある明るいリビング。空を眺めつつ生活できる子供室。大きな空間のダイニングキッチン。そし てそれらを繋ぐ「ちいさな家」。ここはこの家の中で一番外に近い部屋。天気の良い日に住宅の扉を開け放 てば、この部屋全体が大きな縁側のように半外部となる。そして、他のすべての部屋はこの「ちいさな部屋」 に接しつつも、もう一歩プライベートの確保された入り込んだ空間となる。この郊外において、都心のよう な窓を開くにも注意を払わなくてはいけない住宅を建てるのではなく、外部にも内部にもなる空間が自分の 居場所の一歩外側にあることにより、住宅は積極に開くことができ、身体にリアルに感じ取れるその場所の 些細な環境の変化を意識できるのではないだろうか。
保されている。
突拍子もない大きなものではなくて、身近な大きさのスケールを感じ取ってみる それは偶然できたアイスクリームの襞であったり タイルの目地であったり 机の上に重なった本の隙間かもしれない そのスケールに自分の意識えお滑り込ませることで確かに空間のようなものを感じ取れる
ごくありふれた身の回りのものから感じる空間性。そのもの事態が帯びている意味や慣習を引きはがし、純粋に空間として思考する。 自信の意識のスケールをチューニングし、眼前の物質の中へと滑り込ませる。 入り込んだ先において、想像上でありながらも自分が感じた確かな手触りのような質感を伴う感覚を展開させ、空間性を帯びた図像としてモデル化を行う。
『utsuwa』/空間図像
日常のありふれたものの中に、ふと、僕 たちがいる風景を重ねる。普段見慣れた ものが別に見慣れたものに置き換わった り、予想もしていないものに新たな関係 性が生まれてくるかもしれない。 身の回りにありふれている見慣れたもの が、僕たちのリアルの中に入り込んでく る。その世界では僕たちはイキイキと生 活できているのだろうか。たとえそうで なくても、何か楽しげな所を動物的に探 していくのだろう。
『スケールの喪失』/空間図像
自分の居場所とその向こうの場所とのズレ/こちら側とあちら側/その先への可能性/扉の向こう側/予想外の空間/日常と非日常の接触、またはその境界 /異なる二つの空間の行き来//扉の持つ記号性/閉ざされているその向こう側に空間がある(と想像を膨らませられる) すべては関係性が決定されず宙吊り。 すべては伺えないが想像えお膨らませることはできる。そしてそこでの出来事じゃ既に認識できている。 それは日常と非日常の間。経験と妄想の間の出来事なのかもしれない。
日常生活の中で、 日常と非日常の空間を行き来する。 この繰り返される、 スケールの断絶と記号的意味の消失が人の意識を「奥」へと誘う。
森の保育園
これまで試みてきた日常の中の空間性か ら図像化を行い建築へとディベロップし ていく設計プロセスを実際の敷地、具体 的なプログラムや機能をパラメーターに 加えて設計を行う。 本設計では、理性的なタガが強くなく、 身体感覚と認識の接続が比較的素直に行 われると思われる子どもを対象とする保 育園の設計を行う。ボギャブラリーは決 して多くないかもしれないが、空間に対 する感受性の高い彼らの視点に立つこと で、設計プロセスの検証・具体化・検証 が行い易いのではないかと考える。
日常の中の事象と胎児した時に感じる空間のようなもの。空間生。空間の輪郭。 その輪郭の解像度を上げていくために空間図像を導く。それは感覚の鮮度を失わずに理性化する作業に近い。現象から物体から関係性を、スケール を超えて行われる想像力の拡張は設計へと向かう事で、空間の輪郭を少しづつ明らかにしていく。図像を前にしたとき、想像する自分の感覚もリア リティを伴って設計を行う感覚も同じ次元で行われる。図像を俯瞰する視点と深く潜行していく視点、外側と内側を同時に考えていく。そうするこ とで『空間』の輪郭が視えてくるのではあいだろうかと考える。
事象に潜む空間性
空間の質を主観的視点から抽出
事象から空間図像、そして建築へと至るプロセスの提示 日常の中の事象
空間図像
mori のカタチ
建築
Forest house
日常の中から経験的に空間性を感じた事象を収集する。それらをいくつかの緩いカテ ゴリー化を行い、そこから建築空間の基となり得る空間性を抽出する。単一の事象か らでなく、複数の事象を跨がる空間性の抽出を行うことで、一つのイメージからの固 定化・形式化された表現を避ける。上記の理由以外にも、空間性は感覚の問題でもあ ることから簡単に抽象化・還元化を行いにくいからである。そして私自身も抽象化さ れた普遍的なモデルではなく、 「感覚を伴ったモデル」を目指して図像化を行っていく。
空間図像
抽出した空間性の図像化
類似性 反復性 均質性 規則性 視覚の錯乱
『mori のカタチ』
蠢く者たち 奥行きのなさ 不可視の可視化 変化の過程 ムラ 微かな動き
『均質の中のブレ』
どちらか片方 同じ本質 密かな妄想 ゆらぎ 閉じ込められた世界
『next door』
スケールの拡大 意識の浮遊 リアリティの拡張
『utsuwa』
存在しない境界 出会い 光と闇
『スケールの喪失』
森の状態
突然の出会い 異なる時間 裏切りへの期待 異なるものの共存
ミクロとマクロ 覗き穴の神秘性 別世界への入口
図像と建築の間
図像を起点とした建築へのStudy
『表裏の境界』 Study1
『表裏の境界』 Study2
『保育園』のプログラムStudy -規模 -立地 -法規 -機能 -周辺環境 -バリアフリー -快適性 etc...
建築
図像とプログラムの融合 -新たな設計プロセス-
『森の保育園』
Study
日常から空間性を掬い上げ、空間図像へ と展開してゆくプロセスの提示。
『表裏の境界』_study 1 /空間図像
道を歩いているといつの間にか異なる世界に足を踏み入れていた 時のように、連続的でありながら不連続である空間の質。異なる 空間の境界面でありながら、その人の見る視点、風や音や匂いと いった外的環境、または具体的な使われ方によってその空間の関 係性が瞬時に反転する。そんな感覚を覚える空間性を図像化する。
テーブルに置かれた器たち中に入り込むようなスケールまで自分の意識を落とし込む。器の隙間でくり抜かれた部分が内部化したようにも みえる空間。また、見えなかった器の内部が開放的な外部空間になったように反転した空間。一方が先に生まれ他方が後から生まれた前後 関係ではなく、同時に生まれその境界面と環境を形成する。異なるふたつの空間を持ちながら、それが対象者の位置関係や外部環境の影響 による感じ方の変化で主従が常に入れ替わりながら存在する空間性。その空間性を目指しさらなる図像のブラッシュアップを図っていく。
巨大な球体で抉り取らたかのような内部空間。うねる局面の向こう側にはすり鉢状に広がる 外部空間がある。その境界面には開口が開いており、外部からの光や風といった環境と関係
『表裏の境界』_study 2 /空間図像
を持つ。ただ外部と内部はレベル差を持った不連続な関係であり、視覚的な連続性と身体的 な連続性にズレがある。境界面を形成しつつ開かれた関係でありながら容易には到達できな い心理的距離感が生まれている。そのような関係を取り持つ存在が一対一の固定化された関 係ではなくて自分の居場所の廻りに複数存在し、どちらに囲まれどちらを囲っているのか、 つまり地と図の関係がとても曖昧に存在している。一方が先で他方が後といった階層的な在 り方ではなく、互いに包括的な関係を維持しながらも同時に存在するような関係。『表裏の 境界』はそんな繊細で脆い関係を持った空間性である。
食卓の上に並べられた食器にはいろんな隙間が生まれてくる。緩いカーブを描いた平らな皿や大きく窪んだ深い椀。 それらがテーブルという平面との間に生まれる切り取られた形。 お皿とテーブルとその隙間。 それぞれが空間として立ち上がる。切り取るこちら側と切り取られたあちら側。 その形状は球体面の内側の空間と外側の空間を作り出す。 明確な境界がありつつも、このふたつの空間が生まれる瞬間、それぞれは等価な関係になる。 そんな関係性を持つ空間を、テーブルの上に並んだ様々な食器たちから感じた。 その体験が自分の身体を通して実感が得られるような建築として保育園を提案する。 時に境界を無視し、縦横無尽に走り回る子供たちにとって空間とは何なのだろうか、感じることとは何かを問うていきたい。
最初機は空間図像『utsuwa』の持つ空間性からスタディを始め、その過程の中で「境界面を境に内と外が等価な関係に近づく空間」を見出し、その空間性をもって全体が構成されて いくようなスタディへと発展した。それが計画地周辺の田園風景を取り込みこの建築の形態が新たなランドスケープを生み出すことを考えた。その全体を覆う等価な関係性が「保育園」 というプログラムにおいても、内部/外部の関係だけでなく、各室間の関係性でさえも等価にし、形式性や形態の持つ意味を融解させると考えた。(これは後に『表裏の境界』という 空間図像となる)。 幼児にとって空間の構成や意味よりも、空間が帯びる空間性によって全体を認識すると推測する。そのような空間でこそ、太陽の光や内外の気温や湿度の変化、音の反響や風の流れな ど、身の回りの具体的な日常の要素に自然体として接することができるのではないだろうか。その後、『表裏の境界』の内部/外部の関係を反転させ、さらにそれを小さな単位に微分 していく。微笑な視点、高い解像度ではは『ustuwa』の空間性が現れ、全体を俯瞰する視点、つまり解像度の低い見方では『表裏の境界』の空間性を帯びる。強固で揺るがない構造 を持つ空間というよりは、シュルレアリストたちの絵画のように、対峙した瞬間瞬間で空間から受ける印象がふっと変化するような空間を目指した。それにより、計画的な水準におい ても柔軟さが生まれ、また空間に多様性を獲得できると考える。
Shibukawa-shi , Gunma , Japan
Tokyo
本計画地は東京都の北西に位置する群馬県渋川市。駅から 1km ほどにあり、計画 地周辺は畑や果樹園、広葉・針葉樹林などの自然環境が住宅などの小規模な建物と 比較的低い密度で混じり合いながらある。北側には公民館、南側には寺院と墓地、 そして既存保育園がある。本計画地の南側の既存保育園は園舎の老朽化に加え、周 辺の地域の発展に伴う園児数の増加に対応するため本計画地に新しい園舎の計画が 検討されている。計画地周辺の住宅等の密度とスケールはこの土地に良好な環境を 形成していると考えられる。その風景を壊すことなく、また積極的に周辺と関係を 取り持っていけるような建築の在り方を目指し、また新たな園舎を利用する園児た ちにとって創発的な空間を計画する。
全体は円形の平面を持つヴォリュームで構成されている。そのヴォリュームは保育室や食事室や昼寝室といった保育園での生活の主となるものから、トイレや荷物 室や職員室といった生活をサポートする機能、そして子育て支援施設といった周辺地域と関係を持つ機能を有している。それらがおさめられたヴォリュームには大 きな開口が開いており、そのヴォリュームと地と図の関係に当たるヴォリュームとの関係を等価なものにしようと考えている。そうすることで、時折入り込んだ外 部の空間と内部の空間を等価に捉え、その境界の在り方と空間体験との間にズレを生じさせたいと考えたからである。空間体験者としての園児たちの認識は囲われ ていることや開けているこ t、明るいこと暗いことが動きによってもたらされることで、自分取り巻く環境に意識的になってくれることを目論む。そうして、草花 や雲や空や鳥などの小さなものたちが自分たちとは異なる時間を生きていることを感じ、学ぶ。そんな生活が送れればと思う。
Architectual Study
Plan
□建築概要 ・平屋建て ・敷地面積 :6820 ㎡ ・延べ床面積 1,500 ㎡程度 ・園舎面積 :1120 ㎡ ・運動場面積 :1040 ㎡ 建蔽率:60% 4080 ㎡ 容積率:200% 用途地域:第2種住居地域 道路幅員:東側:1.6m 西側:8.2m 南側:2.2m 北側:3.6m □所要室および定員 ・定員 170 人 0歳児保育室(定員 10 人 ×1 室)、1歳児保育室(定員 15 人 ×1 室) 2歳児保育室(定員 25 人 ×1 室)、3歳児保育室(定員 25 人 ×2 室) 4歳児保育室(定員 25 人 ×2 室)、5歳児保育室(定員 25 人 ×2 室) 厨房、一時保育室(1 室)、子育て支援センター(別棟・1 室 120 ㎡) 遊戯室(1 室 350 ㎡:ステージ・収納<机・椅子類>庫込み) 事務室兼医務室、調乳室・沐浴室、職員更衣室 その他(玄関、テラス、トイレ、教材庫、物置)