portfolio 3 hyper school

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「ハイパースクール」 「荒川の借景、足立五色桜の借景を」


▼ハイパースクール   教室を住まいに、学校を都市に

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「荒川の背景、五色桜の借景」 設計製図Ⅱ−ハイパースクール

かつて足立江北は、荒川に抗うため桜を植樹し、振る舞いにより治水を行っていた。 復興の意識が希薄な現在において、五色桜を媒介に地域ともに景色を育む小学校を計画する。 治水の歴史を背景に、五色桜の借景により切り取られる、足立区の遠景は何をもたらすだろうか。 課題名:「ハイパー・スクール/      教室を住まいに、学校を都市に」 期間:2016.06.01 ∼ 2016.08.07 敷地:足立区江北 概要:母校の小学校を敷地とした改修

学内講評作品選出



▼背景:治水がもたらすパースペクティブ ・敷地:足立区江北 / 鹿浜小学校

荒川

工場地帯

環状 7 号線

東北自動車道

近傍に流れる荒川。足立の歴史は治水の歴史と同義である。

鹿浜小学校


▼敷地:治水の集積・時間の集積

1894 年~

1988 年~

2018 年~

かつての荒川(現墨田川)は氾濫を繰り返し、足立の人々・田畑に襲いかかった。

足立区の復興を視差できる場所として荒川を発見する。

個人が時間の集積を直観することが出来る空間は、個人が主体と向き合う、

長年に渡る人工河川と土手の整備により、自然と拮抗してきた歴史がある。

荒川は昭和初期に広がっていた農地を切り開き、人工的に作られた河川であり、

より普遍的でより人間の感覚に根差した個のための空間を構成するきっかけになる

一見自然の風景である河川敷の風景も、発展した都市の要素として捉えられる。

と考える。


▼借景:五色桜がもたらすフレーム ・ふるまいにより強固になる五色桜

・五色桜の衰退

1886 年 3 月、

多くの人々を魅了した五色桜であったが、

八重の里桜 78 種 3225 本が長さ約 5.8km の荒川堤に植えられた。

更なる荒川の河川改修と煙害による環境悪化により 衰退を始める。

整備事業とと五色桜の植林、桜を求め訪れる人々によって

島区の薬品工場から流れる煙の被害が大きく、衰退は加速していった。

土手が踏み固まり強固な土手が形成される。 戦時中においては燃料用の薪に使われるなど、 花見のために、荒川 ( 現隅田川 ) には多くの乗合船や、定期航路が

環境の悪化、戦中戦後の荒廃を経て、

臨時便を江北まで延長されるなど、多くの花見客で賑わいをみせていた。

かつての五色桜は衰退してしまった。

▼機関車による土砂の採掘。

▼人工河川・荒川の完成を目指す

▼多くの人手と月日を要した。

▼それでもなお氾濫を繰り返す荒川。

▼五色桜の植林

荒川・五色桜に集う人々のふるまいより、地が踏み固められてきた。

▼桜の名所化。地面が締固められる。

▼環境悪化により衰退。


▼五色桜による地歴の顕在化

これまでの歴史

これまでのふるまい

これからの展望

足立の歴史は治水の歴史であり、かつての荒川(現墨田川)は氾濫を繰り返し足立

多くの人々を魅了した五色桜は治水の象徴であり、ふるまいにより足立区を締め固

桜と共に育った育まれた足立のパースペクティブに、五色桜を挿入する。希薄になっ

の人々・田畑に襲いかかった。長年に渡る人工河川と土手の整備により、自然と拮

めた。地歴への関心が希薄な現在において、五色桜を媒介とした理解が必要だと、

た復興の意識に対し、景観と歴史を意識させる計画とする。

抗してきた歴史がある。

私は考える。


▼五色桜の植林と共に育つ小学校

-足立復興の桜と・都市・歴史を複層させ、新たな景を獲得する-


▼複層される背景と遠景

「荒川の流れ」 「土手と治水」 「拡がった足立という土地」

「学びと小学生」 「五色桜の景色」

「憧憬の獲得」

足立区荒川の治水の歴史を、五色桜の景色を通して知覚する。 「荒川の流れ」「土手と治水」「拡がった足立という土地」を背景に。 「学びと小学生」「五色桜の景色」「高さの獲得からの視差」を借景する。

・獲得されるパースペクティブ

植林をフレームとし、背景と遠景のレイヤーが重なり合う。

五色桜の借景により、

五色桜の植林+好きな景色を選択する。

子供たちは「近景」「遠景」の中に、足立の営みを理解しあう。


▼配置:視線の通りやすさ

-氾濫にゆえ整備された街区

・農地であった土地柄と数々の氾濫のため、 街路は整備され碁盤状に近い。 そのため視線が受けやすく、抜けやすい。


▼配置

-広がったインフラに直交するアイストップ-

東北道 鹿浜橋 IC

環状 7 号線 江北陸橋

上沼田団地

日暮里舎人ライナー

配置図 S:1/3000 0

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500m 第八中学校


▼1 階平面図

▼� 階平面図

体育館

事務員室

高学年用登下校口

校長室

放送室

保険室 低学年用登下校口

音楽室

桜の植林 低学年教室 給食室

1階平面図 S:1/800 0

10

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図書館・地域学習室 1階平面図 S:1/700 0

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▼1 階平面図

2階平面図 S:1/700 0

10

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▼背景と借景の重なり

・構成:中廊下を移動することで生まれる様々な景色

事務員室

職員室

校長室

会議室

放送室

体育館

音楽室 理科室

多目的室 給食室

家庭科室

図工室

保険室

図書館・地域学習室

視聴覚室

放課後学習スペース 高学年用登下校口 放課後学習スペース 低学年用登下校口

高学年教室 低学年教室 桜の植林

2F PLAN

1F PLAN

高学年教室が並ぶ。

低学年教室が並ぶ。

特別教室が多く配置し全学年が混ざりあう。

体育館や郷土資料館など地域に解放される。 ▼ 教室毎が異なるパースペクティブを持つ事で、 景色が様々に切り取られる。


▼教室によるフレーム

・教室毎に変容するパースペクティブの形成

桜の成長と教室毎に異なるパースペクティブにより 一つとして同じフレームは作られない。


▼かつての憧憬の形成

-サイクルと余暇によるアクティビティの創出-

・五色桜と共に卒業する

・6ヶ年のサイクルと休作による余暇 入学と共に苗木を植え、卒業まで学級で育て上げる。6年間で移植可能な大きさとなり 荒川に植樹することでいつかの憧憬を獲得する。

様々な種類の桜の植林

1-2 年次

3-4 年次

5-6 年次

○○年後

苗木を植える。

開花が見られる。

成長を見守る。

荒川の植林に、いつかの憧憬を見る。

木陰で本を読む。 散歩に来る。 手入れをする。

木々に腰掛ける。

0

10

ジョギングをする。

子供と訪れる。

景色を眺める。

1階平面図 S:1/500

土を耕す。

遊び方が変わる。

苗木を見る。 寝転がる。

赤ちゃんと訪れる。 遠足に来る。

50 次の桜を育てるため、数年間地面を休ませる。そのサイクルの中に

エドヒガン・ヤマサクラ・八重桜など

伐採された場所が「余剰」を発生させ、新たなアクティビティを生む。

品種により異なる成長の時を待つ。


▼様々に変容する景色

-サイクルと余暇によるフレームの変容-

余暇によりフレームが変容する。 教室毎の色・空気・匂いが反映される。


▼模型


▼断面図

-木密地域に対して高さの操作を行う-

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・周囲は木造密集地域のため、 土手の様に高さを操作し、視座を得る。

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▼模型


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▼断面図

-教室に桜の成長が浮かび上がる- 㻭㻙㻭䇻᩿㠃ᅗ䚷㻿㻦㻝㻛㻠㻜㻜 㻜

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・教室に桜の成長が反映され、 景色の差異による教室間での交流が生まれる。

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▼展望

五色桜の下に集まるふるまいにより 地域が踏み固められる。

足立の記憶の輪郭を形成していく。



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