14年に50万人、16年には100万人の「有料会員」 (月額
US$6.95) に到達しています。動画配信自体が2010年代
に隆盛しているところに、 アニメという別軸でのブームが重
なり、今アニメは歴史上一番高く売れている、 といっても過
言ではない状況。 そうした中で、供給側のアニメ制作の数が
増えているわけではないので、現在は 「アニメ制作の順番待
ち」が多数発生しています。2年待っても制作出来ない、 と いった状況に至っています。
便利すぎる日本市場、動画配信の遅れ では日本はどうなのか…というと、実はなかなか状況が 異なります。 そもそもスカパー!やWOWOWといった有料
衛星放送でも2-3百万人の契約しかなかった日本市場。
ネットメディアのニコニコやルナルナ、クックパッドなども 同規模での競争。地理的に緊密で近所にレンタルショップ
が併設される日本において、動画配信はそれほど現状の 不便さを覆すものにはなっていません。また「動画を有料
で定額視聴する」 という文化そのものが、無料地上波が高
品質で完備される日本ではマスに浸透していません。必要
性を感じないほど便利すぎる状態が確立されてしまって
いるのです。
日本も実は配信の歴史自体は古いのです。2006年には
すでにワンセグでモバイル向けのTV放送を実現していまし た。 これは伝送コストもなく、 アクセス集中のネットワーク負 荷もなく、権利処理も必要のない、理想的すぎるサービスで
した。技術的には米国とほぼ変わらない時期に動画配信を はじめたのに…なぜ今になってここまでの差が開いたので
しょうか。 それはスマホ化による技術の乗り換え失敗です。 当時フィーチャーフォンにチューナーが搭載された前提で
の機能であり、 スマホ化のなかで 「消えた」
サービスになってしまったのです。ハード
ウェアのデファクト変更により、 ソフト側の 完璧な仕組化が塗り替えられる事態とな
り、残念ながら動画配信での日本のプラッ
トフォーム構想は露と消えました。 「 視聴 率によるTV広告市場」 という既存のビジ
ネスモデルが強固すぎたことも大きな一 因でしょう。結局日本で動画配信が積極
化したのは2014年、イギリスなどで見逃
し配信してもリアルタイム視聴が棄損され
ないことが「実証された」のをみて着手し
た状況です。
そんな事情もあり、動画領域のネット化
は著しく遅れています。 コンテンツ市場の
ネット化率をみてみると (図2)、1-2兆円のゲーム市場はモ バイル化によって急激に進んだ半面、4.4兆円のTV広告市
場が大きすぎる動画についてはいまだ3%。着うた・着メロ
で通常の音楽市場とは異なる市場をフィーチャーフォン時
代に切り開いていた1兆円超の音楽市場も (計測されてい
ないライブのほうに急拡大していますが)、むしろネット化 は退潮している傾向。 つまり動画配信市場が急成長してい