tuv.com munication 2014 年
第 10 号
今月のトピック 付属品として扱われるバッテ リーパックに対する GS マーク 発行について‒ p. 2 <中国>外部電源のエネルギー 効率認証改訂の要求事項に関 するお知らせ ‒ p. 3
Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi® Services 認証試験 サービスを開始 – p. 4
<新企画>いまさら聞けない風力発電① ‒ p. 10 風力発電豆知識 IECRE について‒ p. 11
日本企業向けセミナー活動報告 (開催国インドネシア)– p. 5
<連載コラムー最終回> 異文化発見!ドイツ人学生のつぶやき No.6:結び ドイツ人インターン生が日本での発見やドイツ文 化を紹介します!‒ p. 12
NEWS from TÜV Rheinland Group 国内メーカー初、住友電気工業株式会社の 「集光型太陽電池モジュール」に認証発行 – p. 6 IEC 61508 認証について 機能安全と認証プロセス
第 3 回 – p. 7
小学生向け英語科学雑誌 「TÜVtel」読者プレゼント ‒ p. 14 セミナー・展示会情報 ‒ p. 15
付属品として扱われるバッテリーパックに 対する GS マーク発行について 2014 年 8 月 14 日に EK1*会議が開催され、文書 490-10 rev.2 を 588-14 に差し替えること が決定されました。文書 588-14 により、以下の条件を満たす場合、製品内部で使用される バッテリーパックに対し、独立した GS 認証を取得することが可能になります。この決定は、 EN 60950-1、EN 60065、EN 60335、EN 61010-1、EN 62133、EN 60598 に適用されます。 (*EK1 とは、low voltage electric equipment のこと)
1.
充電式バッテリーパックおよびそのバッテリーに使用されているセルを DIN EN 62133 に従って試験を行います。もしくは独立した第三者機関による証明を提出します。
2.
さらに、このバッテリーが使用される製品および充電ユニットと組み合わせて試験を 行います。試験には以下の要求事項があります。
温度(充電モードと操作モードなど、異なる操作モードで) 充電(急速充電、常時充電、急速放電など) 特殊バッテリーパックは使用される最終製品および充電ユニット専用に暗 号化され、他の製品との互換性はないこと
3.
GS 認証マーク上に当該バッテリーパックが使用される製品を明記します。
4.
リチウムセルおよびバッテリーについては、国連輸送安全試験 UN 38.3 による評価を 提出します。
本文書の条件を満たさない既存の認証は、ライセンスホルダーへ発表後 3 ヵ月で失効します。
◆お問い合わせは、カスタマーサービスセンター(TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com)までお願いします。◆
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<中国>外部電源のエネルギー効率 認証改訂の要求事項に関するお知らせ 中国国家規格 GB20943-2007 は、2014 年 9 月 1 日付けで GB20943-2013「単一出力電圧式 AC-DC および AC-AC 外部電源装置のエネルギー消費効率限定値およびエネルギー消費効率 レベル」に置き換わり、同日発効しました。 今回の改訂で対象となる機器は、以下の 6 分野の製品です。 ・コンピュータ用モニタ ・スキャナ ・薄型テレビ ・デジタルテレビ受信機(セットトップボックス) ・イーサネット交換器 ・ブロードバンド接続端末機器 これら対象機器については、外部電源が使用されている場合、その外部電源はエネルギー 消費効率レベルの要求事項に適合しなければなりません。 具体的には次の内容が要求されています。 当該外部電源が GB20943-2013 に適合するかどうかの評価は、本通知の発行日である 2014 年 9 月 1 日と次回のフォローアップ検査日の間に完了しなければなりません。また、外部 電源のベンダーには、旧版のエネルギー効率認証規格を更新することが求められます。 規格の改訂に関する通知は下記 CQC のウエブサイト上でご覧いただけます。評価および更 新ともに、2015 年 6 月 1 日までに完了しなければなりません。この期限を過ぎても完了し ていない場合、上記 6 分野の製品に関連する認証は一時停止されます。 CQC ウェブサイトをご参照ください。 http://www.cqc.com.cn/chinese/gkwj/rzbzxx/bzhbxx/webinfo/2014/09/1410728501490926.htm ◆お問い合わせは、カスタマーサービスセンター(TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com)までお願いします。◆
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Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi® Services 認証試験サービスを開始 テ ュ フ ラ イ ン ラ ン ド ジ ャ パ ン は 、 Wi-Fi ア ラ イ ア ン ス の 認 定 試 験 所 と し て 、 IEEE802.11a/b/g/n 他の相互接続確認および Wi-Fi ロゴ使用のための認証試験を行っていま す。Wi-Fi アライアンスは既存の認証プログラム Wi-Fi Direct®の機能拡張版 Wi-Fi Direct® Services を 9 月 15 日 (米国時間) に発表しました。テュフ ラインランド ジャパンは、こ の拡張版の Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Direct® Services 認証試験サービスを開始します。 Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Direct® Services の特長 これまで無線 LAN を搭載した機器同士を、アク セスポイントを介することなく接続させる技術 (Peer to Peer)はありましたが、今回の機能拡 張によりその技術をより、幅広いアプリケー ションに対応させることが可能になりました。 また、開発者がこの技術を使ってアプリケー ションをカスタマイズできることも、新たな特 長となっています。これにより、機器同士のデー タ送受信や音楽・動画のストリーミング、プリ ンタでの Web ページの印刷をユーザーが簡単 に行えるようになりました。 テュフ ラインランド ジャパンの Wi-Fi CERTIFIED Wi-Fi Direct® Services 認証試験サー ビスの概要 1) 対象機器 ・スマートフォンや PC、タブレット ・プリンタ ・AV 機器など 2) 認証に必要な条件 本認証に先立ち、以下の認証の取得が必要です。 ・Wi-Fi Direct (Persistent・Invitation 機能、Service Discovery 機能を含む) ・WPA2TM もしくは Wi-Fi CERTIFIEDTM n ・Wi-Fi Protected SetupTM ・Wi-Fi MultimediaTM (Wi-Fi CERTIFIED n を取得している場合は不要) ・Miracast® (Display Service 機能をサポートする機器のみ) 3) 試験期間 2 日程度 (サポートしている機能により異なります) Wi-Fi®認証試験は、現在 Wi-Fi アライアンスのメンバーによってのみ行われています。テュ フ ラインランド ジャパンは、Wi-Fi アライアンスのテストプランに従った専門的な試験 サービスを提供しています。Wi-Fi®認証試験については、下記のウェブサイトをご参照くだ さい。 Wi-Fi®認証試験サービス http://www.tuv.com/jp/japan/services_jp/product_testing_jp/telecom_it_jp/wifi_jp/wifi.html
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日本企業向けセミナー活動報告 (開催国インドネシア) テュフ ラインランド ジャパンは、20 年近くアジアパシフィック地域 10 ヵ国を統括して います。こうした経験・実績を活かし、アジア各国に進出する日本企業のニーズに応える べく、現在営業体制を強化、積極的に情報発信をしています。 このアジア・太平洋地域の日系企業をサポー トする活動の一環として、去る 9 月 29 日、30 日の 2 日間、インドネシアで事業展開されて いる日系企業を対象とした認証セミナーを日 本語で開催しました。当日は、多数の日系企 業の方々にご参加いただきました。セミナー は二部構成になっており、一部は「ISO 9001: 2015 、 14001 : 2015 規 格 改 正 動 向 お よ び OHSAS 18001」、二部は「食品安全等のマネジ メントシステムおよび製品安全国際認証・イ ンドネシア SNI 認証」に関する解説を行いま した。特に ISO 9001/14001 は、現在、規格改 正による大きな要求事項更新を控えているこ ともあり、既に認証取得されている企業はも とより、これから取得予定の企業からも高い 関心をいただきました。
インドネシアでのセミナーの様子
今後もその他のアジア各国で日本語によるセミナーを開催する予定です。皆様のご参加を お待ちしています。 ■開催予定 11 月 12 日 11 月 20 日
11 月 22 日
マレーシア(クアラルンプール) ISO 9001: 2015、14001:2015 規格改正動向 フィリピン(マニラ) ISO 9001: 2015、14001: 2015 規格改正動向および BCM(事業継続 マネジメント) カンボジア(プノンペン) ISO 9001: 2015、14001: 2015 規格改正動向
※マレーシアおよびフィリピンのセミナーについては、参加資格として現地の日本商工会 議所会員であることが必要です。 ※セミナー詳細は今後、ウェブサイトに順次掲載します。変更となる場合がありますので、 最新情報をご確認ください。http://www.tuv.com/jp/seminar
お問い合わせ先: テュフ ラインランド ジャパン株式会社 マーケティング部 T E L : 045-470-1891 e-mail: keiko.horikawa@tuv.com
堀川 圭子
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NEWS from TÜV Rheinland Group 国内メーカー初、住友電気工業株式会社の 「集光型太陽電池モジュール」に認証発行 テュフ ラインランド PTL LLC(米国アリゾナ州)は、このたび住友電気工業株式会社の集 光型太陽電池モジュール(以下、CPV)に対し、IEC 62108 : 2007 に基づいた認証を発行し ました。日本のメーカーとしては、初めての認証になります。 IEC 62108 : 2007 は、CPV の国際規 格で、安全性および屋外曝露試験 を含めた性能への要求事項が規定 されています。結晶系の PV モ ジュールが普及している中、今回 の認証は、集光型という高効率で 高出力な太陽電池モジュールの マーケットへの普及を促進するも のです。 CPV は、高日射環境において、結 晶シリコン太陽電池など従来型の 太陽光発電システムに比べ、優れ ています。厚み約 100mm、重量 10kg 未満という薄型で軽量であ る点で、輸送時のモジュール積載 効率の向上や現地設置作業効率の 向上、また、太陽を追尾する架台 に多く搭載できるなどのメリット があり、発電システムのトータル コスト低減に貢献できると考えら れています。
住友電気工業株式会社 パワーシステム研究開発センター 機器・システム部
太陽光エネルギーグループ・グループ長
岩崎 孝氏と集光型太陽電池モジュール (米国:カリフォルニア州にて撮影)
住友電気工業株式会社、パワーシ ステム研究開発センター 機器・システム部 太陽光エネルギーグループ・グループ長、 岩崎 孝氏は、今回の認証取得の目的について、次のように語っています。「今回弊社が開 発した CPV システムは、高温で強烈な日射が燦々と降り注ぐサンベルト地帯を中心に活躍 の場があるのが特徴です。多様な CPV モジュールに対して規格の解釈も業界標準が存在し ない中、 当社独自設計材料の品質妥当性理解を共通化するために、試験場がある米アリゾ ナ、テュフ ラインランド PTL LLC を課員が幾度となく訪問、10 回を超える電話会議実施 した結果、日本で初めての IEC 62108 : 2007 に基づいた認証取得と知り、光栄です。」 ※この認証の技術情報は Certipedia(サーディペディア)の ID 8535004000 に記載されて います。 http://www.certipedia.com/quality_marks/8535004000?locale=en
◆お問い合わせは、マーケティング部 広報課
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(TEL: 045-470-1860 E-mail: pr@jpn.tuv.com)までお願いします。◆
IEC 61508 認証について 機能安全と認証プロセス 第 3 回 出典:「計測技術」(2013年10月号)
日本工業出版株式会社
特集付録:「安全PLC&計器製品ガイド」 テュフ ラインランド ジャパン株式会社 機能安全
シニアエキスパート 和田 昌士
5.
機能安全認証の取得プロセス
実際の認証にはどのようなプロセスがあり、どのようなドキュメントが必要か、機能安全 規格IEC 61508認証を例に概要を述べる。認証プロジェクトが初めてであれば、事前に機能 安全のトレーニング、ワークショップや技術ミーティングを実施することが多い。特に機 能安全は難解な部分も多いだけに、設計者自身の理解は不可欠であり、認証プロセスの時 間短縮のための大きなカギを握る。以下に標準的プロジェクトの開始から認証書発行まで の工程を示す。認証機関では、時系列で以下のような3フェーズ(第4図)を設定してい る。
第4図
認証プロセス
事前準備:(技術ミーティング・ワークショップ・TÜV機能安全エンジニア資格) 1)コンセプトフェーズ(ドキュメントレベルでの検査) 2)メイン インスペクションフェーズ(実機を使った検査) 3)認証フェーズ(最終確認と認証書発行手続き)
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5.1
コンセプトフェーズ
最も重要なフェーズである。設計者はこのフェーズにおいて、機能安全マネジメント、ハー ドウェア設計、ソフトウェア設計の安全仕様について明確に文書化しておく必要がある。 最低限必要な情報として、以下の4つのドキュメントを要求している。 1)Safety Plan(安全計画書) プロジェクトの機能安全マネジメント(組織、担当責任者の適正能力、安全設計 での導入方策と技法)を具体的に記述したもの 2)V&V: Verification and Validation Plan(検証・妥当性確認書) 設計プロセスの各フェーズで、どんなツールで、どのような検証・妥当性確認を 実施し、その結果をどのように文書化するのかを記述したもの 3)SRS: Safety Requirement Specification(安全要求仕様書) どんな安全状態・システム・動作環境を想定しているかなど、必要な安全要求仕 様を具体的に記述したもの 4)SC: Safety Concept(安全コンセプト) SRSを基にどのように安全機能を実現するか(特にタイミング、非安全関連部から 安全関連部への影響回避方策など)を具体的に記述したもの これらは必要最低限の情報を集約明示化したものであって、その他にも必要な場合は、付 随・付加するドキュメント類が存在する。 5.2
メイン インスペクションフェーズ
このフェーズの本来の意味は、コンセプトフェーズで記述されている仕様について、実機 を使って実証、つまり検証および妥当性を確認することにある。しかし、このメイン イン スペクションフェーズの段階で、もし問題点が見つかると、変更のために多大な時間と費 用が必要となってしまう。それを防ぐためにもコンセプトフェーズで十分な検討が必要で ある。以下がこのフェーズで実施される主要な項目である。 1)機能安全マネジメントシステムの監査 Safety PlanおよびV&V Planの記載内容に基づいて監査を行う。 2)故障挿入試験(FIT: Fault Insertion Test) 安全関連系に意図的にフォールトを挿入し、その際の挙動・検出機能等を確認する。 3)ソフトウェア検査 ソフトウェアフロー、コーディング、複雑度、使用ツールの検査。 4)環境試験(温度、湿度、振動、EMC) 要求規定に基づく環境試験、EMCは厳格なイミュニティ試験。 5)電気安全 PCBレイアウトの絶縁・沿面距離の確認。 これ以外にもアプリケーションにより必要な場合、特定の試験が実施される。
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5.3
認証フェーズ
上記フェーズにおけるドキュメント(安全仕様、マニュアル等)、各種テストレポートおよ び安全関連パラメータの妥当性などをレビューし、要求事項および目標の安全度水準を満 たしているかを総合的に判断する。問題が無ければ、最終レポートの作成および認証書の 発行となる。認証書はどんな認証機関でも発行可能なプライベート認証と、EU圏内でノー ティファイド ボディ(Notified Body)として認定された認証機関でしか発行できない法的 効力を伴った認証(EC Type-Examination Certificate)とがある。現状日本で後者のような 認証書を発行できるのは TÜV Rheinland のような一部の外資系認証機関に限られる。 おわりに IEC 61508の初版が発行されてから10年以上が経過した。日本でもすでに多くの製品がこの 規格の認証を受けているか、あるいは認証へ向けての取り組みの最中である。ところがそ の状況と共に、この規格への誤った情報・解釈をよく耳にするようになった。 おそらく間違った、もしくは偏った理解をしているコンサルタント・アドバイザが市場参 入し、設計者がその話を鵜呑みにしているのであろう。その傾向の一つとしては、機能安 全マネジメントシステムへの偏重志向がある。確かに設計プロセスマネジメントは重要で かつ要求事項でもあるが、機能安全の要求事項は他にもいくつかあり(第1図参照)マネジ メント要求はその内の一つに過ぎない。 だが、これこそが機能安全の主要要求かのように強調し、ハードウェア・ソフトウェアの アーキテクチャや診断技法、共通原因故障など大切なことにほとんど考えが及んでいない ケースが最近増えている。原因は、アドバイスする側の安全設計に関する知識・経験不足 とマネジメントや故障確率計算という、誰でも理解容易なことしか言わないためである。 そして高額のマネジメント認証取得を進めるケースもある。だが製品メーカー自身が、そ れに多額の費用と時間を費やすことはあまり合理的とは言えない。 このマネジメント偏重志向は、国際的な安全設計の考え方とは少し違う方向に向かわせて いる。すでにQMS認証を取得している企業であれば、それをそのまま利用し、機能安全マ ネジメント部分を若干追加すれば良いだけであり、それに不必要に多くの時間と費用をか けるべきではない。また、当たり前だがエンジニアは技術の専門家であって法律家ではな い。だが、時々法律家のように規格解釈論を語る方がいる。 機能安全規格は、ぜひエンジニアとしての視点で見てほしい。そうでなければ導入効果も 薄れ矛盾だらけの設計になる。日本の機能安全の現状は規格解釈について語る機会は増え たが、実際の製品のハードウェア・ソフトウェアの安全設計を理解し解析・評価できる能 力を持った方は非常に少ない。これからは単なる規格解釈ではなく、実際の安全設計につ いて議論ができる環境がもっと必要なのではないだろうか。信頼性≠安全性ということを よく理解し故障しても安全で、かつ高品質な製品設計に我々も微力ながら貢献できれば幸 いである。 (終わり) *日刊工業出版
ウェブサイト
http://www.nikko-pb.co.jp/
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<新企画>いまさら聞けない風力発電① テュフ ラインランドは、再生可能エネルギー分野のビジネス発展に注力しています。本誌 「tuv.communication」では、新企画として不定期に風力発電に関する情報を発信してまい ります。また風力発電の専門家向けに、最新ニュースも盛り込む予定です。
第1回
ブレードおよびローターについて
ローターとはブレードとハブで構成されている部分を指します。風力を回転エネルギーに 変換する役目を持っており、風力発電機のコストの約 20%を占めています。 ローターから の回転エネルギーは主軸からギアボックスへ伝達し、そこで低速から高速回転に変換され、 それが発電機を回して発電する仕組みとなっています
風力発電の内部構造
一般的に、発電量はローター径の 2 乗、風速の 3 乗に比例すると言われています。つまり、 ローター径が大きければ大きいほど発電の効率が向上されます。しかし、ローターが大き くなると、回転時に風力によるたわみにより、ブレードがタワーに当たり破損するリスク があるので、剛性の高い素材を使用する必要があります。 例えば、2MW クラスの風力発電機の場合、ブレードの長さはおおよそ 40m(風車の直径が 80m 以上)、重さは 6∼8t ほどになります。したがって、山間部など、アクセスの悪いサイ トでは、この 40m もあるブレードをいかにして輸送するかが、建設時の重要なポイントに なります。 さらに、稼動後の落雷や強風によりブレードが破損し、交換しなければならないケースも 想定して、操業中もアクセスを確保しておく必要があります。また、交換する際、大型ク レーンなどの作業スペースも検討しなければなりません。 ブレードは軽量かつ頑丈であることが求められます。現在、ガラス繊維複合材料や炭素繊 維複合材料が多用されており、重量、強度、剛性の要求が満たされるように設計・製造さ れています。ブレードの先端は 70∼80m/s で回転しており、高速回転に耐えられるよう、 表面は弾力性を持つ合成樹脂で保護されています。
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現在、ほとんどの風力発電機は 3 枚のブレードを持っています。1 枚ブレード、2 枚ブレー ドの風力発電機も存在しますが、3 枚が最もバランスが良く、効率が良いと言われています。 また、ブレードからの騒音(風切音)を小さく抑えられるというメリットもあります。 ブレードは風車本体のなかでも、最も雷を受けやすい部位なので、落雷対策として、ブレー ドの先端に銅製のキャップを取り付けたり、ブレード表面にレセプターを設置するなどし て対応しています。
風力発電豆知識 IECRE について IECRE (IEC System for Certification to Standards Relating to Equipment for Use in Renewable Energy Applications)は、IEC の中で再生可能エネルギーに特化した組織です。 再生可能エネルギーの安全性を確保すると同時に、この分野の製品やサービスの国際取引 の円滑化を目的としています。2014 年 6 月に Basic Rules(IECRE 01) が承認されました。 Basic Rules では、IECRE の役割が定義されています。
独立した国際認証システムを運営すること。 認証書の種類と意味を明確にし、一貫性を持たせること。 この認証システムについては、その内容や運営方法において、関係者すべてに対し有 効なものとすること。
また、今後の活動としては次の内容が盛り込まれています。
IECRE は、この認証システムが国際的に統一したシステムとして活用されることを目標 とし、各国の認証機関や試験機関で導入を推進。 相互認証を確保すると共に、ハイレベルな国際基準を目指して、継続的な改善を実施 国際的な整合規格を目指し、納入メーカーや事業主が一貫して利用できるようにする こと。
IECRE は、風力 (Wind Energy:WE)、海洋 (Marine Energy:ME) 、太陽光 (Photovoltaic: PV)の 3 つの部門で構成されており、各国の国家機関や地方自治体、またこの認証にメリッ トがある機関の受け入れを目指します。現在、世界 15 ヵ国がメンバー(登録順:アメリカ、 ドイツ、デンマーク、ハンガリー、カナダ、オランダ、オーストリア、韓国、フランス、 日本、スペイン、イギリス、ポルトガル、中国、スウェーデン)となっています。なお、 日本では、日本工業標準調査会のもと、一般社団法人・日本電気工業会が事務局を務めて います。 参考:http://www.iecre.org/about/what-it-is.htm
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異文化発見!ドイツ人学生のつぶやき No.6<最終回>:結び ドイツ人インターン生が日本での発見やドイツ文化を紹介します! 毎回そうなのですが、旅立ちの初めには、今度は「長い旅」 になるに違いないと考えます。しかし刻々と日々は過ぎて 行き、新しい友人にも恵まれた結果、「時が過ぎるのはこ んなにも早いものか」という感慨にひたるのです。 日本行きを決定する前に、ほかの選択肢もいろいろ考えま した。何処の国、どの都市?英語を学びたかったことと、 異文化の中での暮らしをしたかったので、家族や友人にも、 何が正しいだろうかと相談もしました。現在言えることは、 日本に来たことは 100%正しい意思決定たっだということ です。 日本、とりわけ日本人は大切な存在になりました。父親は 何回もビジネスで来日しており、いくつかのヒントも与え てくれましたが、日本で「暮らす」ということはドイツと 日本のビジネスの世界とは別の、自分自身の見方や発見が あるはずだと主張したのです。しかし父の言っていたこと は、本当であり、それ以上でもありました。 言うのは難しいのですが、日本人は独自の生活、行動様式を持っています。暖かさ、親切 心、ユーモアがあり、興味深げなところなど、簡単に結論付けると、素晴らしいの一言。 シェアハウス*では、文化や、生活の送り方、人々についてなど、皆と何回も議論を交わし ました。またサッカーのワールドカップ開催中だったので、深夜までドイツ、日本を熱く 応援しました。渋谷、六本木にも繰り出しました。居酒屋やカラオケ、その他愉快なこと も楽しみました。家族や恋人と遠く離れて長期間暮らす者には、それらのことが慰めでも あり、楽しい日々を過ごせました。 横浜に暮らし、しばしば東京へ、また新幹線で大阪へと いう大都市の生活。日本って本当に一つの大都市なんで すね。でもひとたび、地方に列車で行く、またはハイキ ングをするとき、そこには豊かな自然、幻想的な静寂さ、 大都市暮らしの人々には信じられない程の、和らぎの日 本があります。 都会では、皆がせかせかと電車に乗り込み、せっせと画 面を見て、イヤホンを耳に当てという風景が展開されま す。ところが、ハイキングをしている人々は老若に関係 なく異なった雰囲気です。日本の自然の素晴らしさを語 ることは難しいと思いますが、半年間に撮った 1,000 枚 以上の写真が物語ってくれるでしょう。 最後に少しだけ、経験した職場環境について述べます。 こんなにも広いスペースに大勢の人が働いているのは 初めてのことでした。私が働いたことがあるドイツの職 場では、私を含めて 5 名しかいませんでした。もちろん
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広大なスペースで働く他の部署の人々もリラックスして、粛々と仕事を進めていました。 シェアハウスでの生活と比較しても、多くの類似点がありました。誰もが親切で、冗談を 言ったり、ランチを一緒したりして、心温かく尊敬に値する方々でした。ありがとうござ いました。 ドイツと日本の職場環境は異なります。とは言っても、言葉にするのは至難の業です。そ れぞれを経験してみたら、理解できます。 ここにお世話になった皆様に心からの感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。特にマー ケティング、人事、およびこの連載を読んでくださった読者の方々にお礼申し上げます。 この日本での経験が、将来必ず役立つと確信しています。そしてドイツに戻っても、さま ざまな場面が心によみがえり、「そうだ日本ではこんなやり方だった」と思考する瞬間が 起きると思っています。 皆様、次はドイツでお目にかかりましょう。ありがとうございました。 *シェアハウス:ひとつの住居を複数人で共有すること。 (英語で執筆。編集部で翻訳)
ヤン・パランドさん
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小学生向け英語科学雑誌 「TÜVtel」読者プレゼント テュフ ラインランド ドイツ本社では、2012 年より子供向けの科学雑誌「TÜVtel(テュフ テル)」を年 4 回発行しています(対象年齢:7∼12 歳の小学生)。このドイツ語版の雑誌が 好評なことから、この度英語版も発行されることになりました。写真や挿絵も多く、科学 を楽しく学べる内容になっています。科学に興味があるお子様、また英語に興味があるお 子様にぜひお薦めです。 第一回英語版発行を記念して、ご応募いただいた方の中から抽選で、50 名様にプレゼント します(1 名様 1 冊)。必要事項をご記入の上、pr@jpn.tuv.com へご応募ください。応募締 め切りは 11 月 17 日(月)です。 【応募方法】 メール件名「TÜVtel 読者プレゼント」 ①会社(組織)名、②部署名、③お名前、④郵便番号、⑤ご住所、⑥お電話番号、⑦お子 様の学年をご記入の上、メールにてご応募ください。
TÜVtel 英語版
第一号
なお、プレゼントの発送先は日本国内に限ります。当選者の発表は発送をもってかえさせ ていただきます。
◆お問い合わせは、マーケティング部 広報課
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セミナー・展示会情報
セミナー
IEC 62368-1(第 2 版)セミナー 新しく導入された要求およびその他の要求
IEC 62368-1 第一版は、2010 年 1 月に発行。その後、実使用を 目指して準備されていた IEC 62368-1(第 2 版)が 2014 年 2 月 26 日に発行されました。また、この規格に整合した EN 規格で ある EN 62368-1:2014 が発行になりました。EN 62368-1:2014 の DOW は 2019 年 6 月 20 日と設定されました。本セミナー では、EC/EN 62368-1 で新しく導入された要求とその考え方、 および IEC/EN 60065 と IEC/EN 60950-1 からの変更点を主体に 説明します。今まで IEC/EN 60065 または IEC/EN 60950-1 に基 づく安全規格の設計・申請等の経験がある方はもとより、これか ら安全規格の仕事をスタートする方も対象としています。2 日 間で IEC/EN 62368-1 の要求全体を説明します。
セミナー 全般
日
時:2014 年 11 月 6 日 (木)、 7 日(金)
参加費:20,000 円(消費税込み) 場
所:テュフ ラインランド ジャパン 新横浜本社
※定員に達したため、応募は終了 しました。
IEC 60950-1(第 2 版)セミナー
Q&A コース (定員 10 名)
対象 実際の製品に対して安全規格がどのように適用されるか 日 時:2014 年 11 月 14 日(金) をさらに詳しく理解したい方 13:30∼17:00 具体的な問題に対して、どのように規格書を適用するか、どのよ うに規格を解釈するかを、参加者の質問に回答する形で解説しま 参加費:10,000 円(消費税込み) す。実際に参加者が悩んでいる問題、規格書の詳細な解釈などに 場 所:テュフ ラインランド 関して、事前にお送りいただいた質問や、参加者からその場でい ジャパン 新横浜本社 ただく質問に対して解説します。規格書すべてが対象範囲です。
セミナー
ISO 9001 および ISO 14001 の 2015 年改正についての解説 セミナー
ISO9001:2015 年度版および ISO14001:2015 年度版の改正作業が 行なわれています。2015 年には FDIS 版・IS 版の発行予定が見込
日
まれています。
時:2014 年 11 月 14 日(金)横浜 2014 年 12 月 4 日(木)大阪
今回は大幅な改訂が予定されており、今後の対応についてはリス
(他 2015 年 2 月 27 日
クマネジメント手法についての理解も必要になります。そこで
まで複数回開催します)
テ ュ フ ラ イ ン ラ ン ド は 認 証 取 得 企 業 の 皆様を対象に 、ISO
参加費:テュフ ラインランドから
9001/14001 の改訂対応のための解説セミナーを開催します。横
システム認証取得企業の方
浜・大阪で複数回の開催を予定しています。ご都合のあう日程を
は無料。
お選びいただき、ぜひご参加ください。
場
http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/event_info/eventdetails_jp_223488.html
所:新横浜/大阪
日時など詳しくは左記ウェブサイト をご覧ください。 2014年10号
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セミナー
機能安全エンジニア(FSE)資格トレーニングコース - IEC 61508
機能安全規格は初期からの安全設計を要求しており、本コースの 受講で設計・開発に関する要求事項を理解できます。機能安全の
日
12 月 5 日(金)
概念を理解することで、IEC 61508 に適合する部品の選定をはじ め、機器またはシステムの設計を、より確実・専門的に行うこと
参加費:350,000 円+消費税 (講義と試験)
が可能になります。また、機能安全には機能安全管理に関する要 求事項があり、人員の適性能力を立証する必要があります。本
時:2014 年 12 月 2 日(火)∼
場
所:新横浜
コース試験の合格者は、機能安全エンジニアの資格を取得するこ とで、その職務を逐行できる能力が証明されます。
☆無料セミナー☆自動車向け機能安全規格 ISO 26262 概要とサー ビス説明会
セミナー
自動車向け機能安全規格 ISO26262 の基本を分かりやすく解説 し、お客様の以下のような疑問にお答えします。
日
時:2014 年 2 月 9 日(火) 14:00 ∼16:00
「機能安全とは何か?」 「ISO 26262 は何を要求しているのか?」
参加費:無料
「自分たちの製品は適用の対象か?」
場
「どのようなサービスを提供しているのか?」
所:テュフ ラインランド テクノロジーセンター
ハラスメント研修 ∼職場のハラスメントがもたらすリスクと対 策・対処法∼
セミナー
セクシャルハラスメントやパワーハラスメントをはじめとする 職場内での各種ハラスメントが、近年労務管理上見過ごせない問 題となっています。2012 年 3 月には、厚生労働省から「職場の いじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の提言も発表され、各 企業でのハラスメント防止への取り組みとして、研修、教育の必 要性が増しています。本研修では、セクハラ・パワハラが企業に もたらすリスクの大きさを理解し、未然に防ぐ方法や起きたとき の対処法などを学んでいただきます。ぜひ企業内でハラスメント 対策に取り組む機会としてください。 http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/event_info/eventdetails_jp_221954.html
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日時など詳しくは左記ウェブサイトを ご覧ください。
展示会
2014 年 IEC 東京大会
テュフ ラインランドは第三者認証機関として、情報機器、AV 機器、計測機器、医療機器、産業設備や産業機器などの評価・認
日
時:2014 年 11 月 11 日(火) ∼11 月 2 日(水)
証に幅広い実績を持ちます。また、再生可能エネルギー分野にも 注力しています。展示会場では IEC 規格による適合性評価サービ
場
所:東京国際フォーラム B ブロック
スやマーケットアクセスをご紹介します。
Hall B7
詳しくは下記ウェブサイトをご覧くだ さい。 http://www.2014iectokyo.jp/
■機能安全エンジニア資格(FSE)コース 年間開催スケジュール http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/fse/schedule/fscourseschedule.html 詳しくはセミナー・イベントページ http://www.tuv.com/jp/seminar をご覧ください。 セミナー全般に関するお問い合わせ:マーケティング部 広報課 TEL: 045-470-1874 FAX: 045-470-8055 e-mail: academy@jpn.tuv.com
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お問い合わせ先・オフィスのご案内 カスタマーサービスセンター
カスタマーボイス
東日本地域 TEL: 045-470-1850 西日本地域 TEL: 06-6355-5400 EMAIL: info@jpn.tuv.com
222-0033 横浜市港北区新横浜 3-19-5 新横浜第二センタービル TEL: 045-470-1850 FAX: 045-470-8055 EMAIL: hotline@jpn.tuv.com
オフィスのご案内 新横浜本社 222-0033 横浜市港北区新横浜 3-19-5 新横浜第二センタービル TEL: 045-470-1860 FAX: 045-473-5221 テクノロジーセンター(GTAC) 224-0021 横浜市都筑区北山田 4-25-2 TEL: 045-914-3888 FAX: 045-914-3377 太陽光発電評価センター(SEAC) 224-0033 横浜市都筑区茅ヶ崎東 4-5-24 TEL: 045-271-3508 FAX: 045-271-3525 西日本地域担当オフィス 530-0044 大阪市北区東天満 2-9-1 若杉センタービル本館 16F TEL: 06-6355-5777 FAX: 06-6354-8636 関西テクノロジーセンター(KTAC) 537-0002 大阪市東成区深江南 1-3-14 TEL: 06-7656-6888 FAX: 06-7668-5777 九州オフィス 814-0001 福岡市早良区百道浜 2-1-22 福岡 SRP センタービル 10F1001 号室 TEL: 092-845-5431 FAX: 092-845-5310 九州 EMC ラボラトリー 822-0031 直方市大字植木 1245-2 直鞍産業振興センター ADOX 福岡内 TEL: 0949-28-9345 FAX: 0949-28-9346
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澤 操、吉家 由貴子、井田 美穂
新横浜本社
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