tuv.communication 2016年6号

Page 1

tuv.com munication 2016 年 第 6 号 Japan

今月のトピック 国連規則:UN-R46 の 04 シリーズ の改正‒ p. 2 国内初、「車載用カメラモニターシ ステム試験・認証サービス」のご案 内‒ p. 3

大型電池の安全評価とは?‒ p. 5

NEWS from TÜV Rheinland Group

ASEAN 基準認証制度調和動向の現地調 査について‒ p.11

インドネシアに初のタイヤ試験所を開設 ‒ p. 6

ふくしま医療機器開発支援センター開 設準備―EMC 研修日誌ブログ‒ p.13

<連載>いまさら聞けない風力発電③ ‒ p. 8

<連載コラム> ビジネスパーソンのほっとタイム No.3ーp.14

電気自動車用高電圧システム技術資格 (BGI 8686)トレーニングがスタート ‒ p. 10

アジア太平洋地域版 tuv.communication 創刊ーp.15 セミナー・展示会情報‒ p.16


国連規則:UN-R46 の 04 シリーズの改正 UN-R46 は「間接視界に関する協定規則」です。UN-R46 の 04 シリーズの改正は UNECE(国 連欧州経済委員会)自動車基準調和世界フォーラム(WP29 * )で 2015 年 11 月 11 日に採 択され、2016 年 6 月 18 日に発効されました。 今回の改正には、間接視界の装置としてカメラモニターシステム(CMS:Camera Monitor Systems)に対する安全性や画質要件が含まれています。改正は、2016 年 6 月 18 日以降 UN-R46 の全ての締約国(加盟国)に適用されます。 本改正の大きな変更点は下記 2 点です。 変更 1:間接視界(CMS)の適合性を評価するために、約 20 項目の試験が追加されます。 変更 2:間接視界(CMS)の電子システム安全性について、適用される要件が追加されます。

日本では、今まで UN-R46 を採用していませんでしたが、今後この国際規則を採用すること になりました。これにより、従来の後写鏡の代わりに、UN-R46 で定義されている CMS を 装備することができるようになります。 *

WP 29: UNECE の内陸輸送委員会の制度的枠組みの中で世界的な規制のフォーラム。国連規則は、1958 年に採用され、自動車や自動車機器に関する規制手段を確立するために、WP 29 のセッション に出席している締約国(加盟国)に対し、法的枠組みを提供しています。

【ご参考】国土交通省 6 月 17 日付け報道発表資料 「バックミラー等に代わる「カメラモニタリングシステム」の基準を整備します。」− 道路運送車両の 保安基準等の一部改正について − http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000211.html

◆お問い合わせは、カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com )までお願いします。◆

2016年 第6

2


国内初、「車載用カメラモニターシステム 試験・認証サービス」のご案内 テュフ ラインランド ジャパンは、このたび、「車載用カメラモニターシステム*1 試験・認 証サービス」を 7 月 11 日(月)より開始することを発表しました。これは、2016 年 6 月 18 日に発効した国連規則 UN-R46 の 04 シリーズの改正に対応するものです。この度の UN-R46 の 04 シリーズの改正に基づく、第三者認証機関による車載用カメラモニターシス テムの試験・認証サービスは、国内初となります。 *1 カメラモニターシステム(CMS):ミラーの代替となるカメラを使ったモニターシステムのこと

UN-R46 の改正について UN-R46 は、自動車の間接視界に関する協定規則です。今回の改正で最も大きな変更点とし て、自動車に装備されているミラーを、カメラモニターシステムに完全に置き換えること ができるようになり、完全ミラーレス車の製造が可能となります。欧州では、ミラーの代 わりにカメラモニターシステムを採用することは、自動車のフロント用など限定的に認め られていました。一方日本においては、カメラを使った電子ミラーのみの採用は一切認め られていませんでした。しかしこの度、日本でも国際規則である UN-R46 を採用することに より、従来のミラーの代わりに、UN-R46 で定義されているカメラモニターシステムを装備 することができるようになります。 カメラモニターシステムに関す る改正は、燃費改善のために自動 車の空力抵抗を減らしたり、ドア ミラーの小型化によりデザイン を革新したい自動車メーカーや 電気自動車メーカーにとって、大 きな意味を持つ改正となります。 さらに現在、先行車をセンサーや カメラで認識して自動ブレーキ をかけたり、ハンドルを自動的に操作して車線変更をするなどの自動運転の開発が活発で す。カメラモニターシステムは、これら技術の基礎となる電子デバイスとモニターになる ため、今後市場の大きな発展が見込まれます。

国内初、「車載用カメラモニターシステム試験・認証サービス」 テュフ ラインランド ジャパンは、今後見込まれる需要の増加に対応するため、車載用カ メラモニターシステムメーカーを対象に、新サービスを開始することを決定しました。こ

2016年 第6

3


れまでにも医療機器のカメラモニターの試験を行ってきた経験があり、カメラモニターシ ステムの要求事項に必要な全ての試験を実施することができます。新サービスでは、人間 の視覚機能を代替する機能や、表示スピードに関する試験など、約 20 項目におよぶ試験を 行います(従来から要求されているミラーへのハンマー試験等を除く)。 カメラモニターシステムは電子機器のため、電磁波やソフトウェアのバグなどによって表 示が消えたり、見えづらくなる懸念がありますが、各種部品の EMC 試験*2 や、ISO 26262*3 のコンサルティング経験を生かして、これらの懸念事項に対する技術評価もあわせて提供 します。 *2

EMC 試験:電磁波により他の電子・電気機器の動作阻害や人体への影響を生じさせないことを確認する

*3

ISO 26262:自動車分野の機能安全に関する国際規格

テュフ ラインランド ジャパンは、UN-R46 に要求される全ての試験、技術評価を提供する ことで、部品認証の迅速な申請をサポートしてまいります。

「車載用カメラモニターシステム試験・認証サービス」の試験項目 UN-R46 の改正で要求される試験には、次のものが含まれます。

鮮明度、被写界深度の試験 人間の視力に相当する機能の試験。人間の目がピントを調整するように、CMS が 問題なく調整できるかを確認

輝度およびコントラストの変換試験 人間の目が明るさとコントラストを調整するように、CMS が問題なく調整できる かを確認

点光源の試験 暗闇の中で、250m離れた自動車の 2 つのビームヘッドランプをモニター上で見分 けられるかを確認

時間挙動の試験 電源がオンになってから、モニターに表示されるまでの時間や、高速で走行してい ても、従来のミラーと同じように見ることができるかを確認

車載用カメラモニターシステム試験・認証サービスについて、ぜひお問い合わせください。 【お問い合わせ先】 窪 大嘉(くぼ

2016年 第6

4

ひろよし)06-7656-9255 hiroyoshi.kubo@tuv.com


大型電池の安全評価とは? 電気自動車やハイブリッド車、電力貯蔵システムなど、民生用・産業用を含めたさまざま な電池の需要が高まっています。テュフ ラインランド ジャパンの関西テクノロジーセン ター(KTAC:大阪市東成区)は、2012 年 6 月のオープン以来、国内規格や国際規格に基づ いた電池試験や電気安全試験などを行ってまいりました。また、クライアント企業からの ご要望に応じた R&D やベンチマーク分析、予備試験、カスタマイズ試験なども多く提供し ています。 アジア有数のバッテリーラボ 企業の皆様からいただくさまざまなご要望にお応えすべく、この 4 年間新しく試験施設を増設するなど試験能力の拡充を図ってきま した。特に、蓄電池(100kg まで)の機械的試験*1 や、電気的試 験*2、環境試験*3 などをワンストップで提供していることは、他に 追随を許さない KTAC の強みです。電気自動車、ハイブリッド車、 電力貯蔵システム、高エネルギーデバイスなど、民生用・産業用 を含めた幅広い電池の試験を行う実績と経験が豊富にあります。 また、平成 26 年度補正予算「定置用リチウムイオン蓄電池導入支援 事業費補助金」における、SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ) の指定する認証機関に登録されました。 *1 機械的試験:振動試験、衝撃試験、貫通試験、衝突試験、落下試験など

圧壊試験機/釘刺し試験機

*2 電気的試験:内部短絡試験、外部短絡試験、過充電試験、過放電試験など *3 環 境 試 験:LLC 浸漬試験、塩水試験、温湿度サイクル試験、熱衝撃試験など

バッテリー試験以外にも対応 バッテリー以外の製品の試験も対応しています。例えば、自動車 製品関係(ウォッシャータンク、コネクター、ウォーターポンプ、 ワイヤーハーネス、ヘッドライト、内装材など)や、鉄道関係製 品(バリス検知器、鉄道用監視カメラ、鉄道向け組込み PC など) の過酷条件試験や、異常条件・環境下における試験など、幅広い 試験も行っています。 電池はもとより、電池以外の製品の安全性試験についても、ぜひ お問い合わせください。 【お問い合わせ先】バッテリー試験 ラボラトリー

落下式衝撃試験機

山本 晃久 akihisa.yamamoto@tuv.com Tel : 06-7656-2151 光成 彰志 shoshi.mitsunari@jpn.tuv.com Tel : 06-7656-2158

2016年 第6

5


NEWS from TÜV Rheinland Group インドネシアに初のタイヤ試験所を開設 テュフ ラインランド インドネシアは、このたびタイヤの製造品質の確保、交通安全の向 上に寄与することを目的とし、第三者機関としてインドネシアで初となるタイヤ試験所を 開設しました。試験所は、南タンゲラン市 Taman Tekno BSD にあり、敷地面積は 530 ㎡で、 インドネシア国営認定機関 (KAN) による正式認定を取得しています。この試験所では、乗 用車、トラック、バス、オートバイなどのタイヤを、最新の国家規格および国際規格に準 拠して試験できる設備を備えています。

開所式の様子

インドネシアは経済成長が加速しており、2016 年の自動車販売台数は最大で前年比 10%増 の 110 万台に達すると予測されています。*1 テュフ ラインランドの新しい試験所は、標準 化の推進を通じて、インドネシア工業省が目標とする産業競争力の強化を支援します。ま た、世界水準のタイヤ試験に対するインドネシアの国内需要の高まりに対応するとともに、 同国運輸省の目標である交通事故ゼロ化に貢献することを目指します。 テュフ ラインランド インドネシアのニョマン・スシィラ取締役は、次のように述べてい ます。「インドネシアでは人口増加が続いており、確実かつ安全な移動手段に対する需要が 高まっています。試験、検査、認証、コンサルティング、研修に関する技術サービスを提 供する世界有数の第三者機関として、テュフ ラインランドのタイヤ試験所はこの需要に対

2016年 第6

6


応するとともに、同国内や周辺地域だけでなく、全世界のお客様の品質や安全に関するニー ズに応えてまいります」 。 インドネシアのタイヤ試験所は、テュフ ラインランドの 2016∼2020 年グローバル戦略の 一環として開設されました。この戦略の下、テュフ ラインランド グループは現在、69 ヵ 国に広がるネットワークのさらなる拡大と有望市場への投資を推進しています。利用され る企業に確実なサポートをお届けすることで、テュフ ラインランドが第三者認証・試験機 関の代名詞的存在となることを目標に掲げています。 同試験所は、タイヤ試験・認証サービスの専門家チームを擁しています。これまでにテュ フ ラインランド インドネシアは SNI(インドネシア国家規格)タイヤ認証について、16 ヵ 国のクライアントに対し、約 200 件の認証書を発行しています。 テュフ ラインランド AG のラルフ・シェラー取締役は、次のようにコメントしています。 「立地や設備の選定から優秀な人材の採用・研修に至るまでの綿密な計画に基づいて、KAN の認定を取得し、インドネシア工業省による国の正式なタイヤ試験所指定を受けました。 その基盤となったのは、当社の認証分野での 140 年を超える実績、ならびに現地および世 界中のクライアント企業に優れたサービスを提供するための絶え間ない品質向上への取り 組みです」。 ミシュラン インドネシア株式会社のパスカル・ヌーベロン社長は、次のようにコメントさ れています。「テュフ ラインランドのタイヤ試験所が開設された背景には、インドネシア におけるタイヤ市場の長期的な成長が見込まれていることがあります。この試験所は、業 界が目標とする高い品質の実現を支え、インドネシア政府が定める仕様の規格および規制 に適合していることを証明してくれます。テュフ ラインランドのご成功をお祈りするとと もに、試験所の開設を心から歓迎いたします」 。 テュフ ラインランドは、1980 年からインドネシア市場で事業を展開しています。1996 年 には、ジャカルタにテュフ ラインランド インドネシアの事務所を開設。1998 年には自動 車部品の認証/型式認証業務を開始し、2009 年に SNI 製品認証機関(LSPr-026)として KAN による認定を取得しました。その 3 年後の 2012 年には、電気安全試験所とホイール試験所 を開設しています。

*1 出所 http://www.indonesia-investments.com/news/news-columns/automotive-market-indonesia-car-sales-torebound-in-2016/item6207

◆お問い合わせは、カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com )までお願いします。◆

2016年 第6

7


<連載>いまさら聞けない風力発電③ 第3回

風向・風速計

風力発電機は風向きに応じて効果的に発電す るため、ナセルの向きを変える仕組みになっ ています。この仕組みを支えているのが「風 向・風速計」です。あの大きな風力発電用の 風車が常に風を捉えて風上を向くようにする という、重要な機能をつかさどっているパー ツです。通常、風力発電機 1 機に 1 対の風向・ 風速計がナセル上部に取り付けられています。

風向・風速計の今と昔 昔の出力の小さな風車に多く見られた風速計 は、半球型または円錐形のカップ(風杯)を 3 方向に配置したものでした。風がカップに当 たると回転するため、回転数で風速を計測し ていました。風向計は、流線型の胴体の先端 に小直径のプロペラ(風車)、後部に風見安定

風力発電機の主要な構成要素(陸上風力)

用の垂直尾翼が取りつけられていました。この 風車は常に風上を向くようになっており、胴体 の向きから風向が測定されました。

出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 「NEDO 再生可能エネルギー技術白書第 2 版 章

(第3

風力発電)」

最近の風車では、さまざまな環境下でも風力発電機が常に発電可能な状態を保てるような、 最新技術を活用した機材が導入され始めています。そのひとつが、超音波を利用した風向・ 風速計です。従来の風向・風速計はその形状から、寒冷地方では凍結による機能停止の問 題がありましたが、超音波式はこのような問題が起きないような形状となっています。 ヨーギア(Yaw Gear) ヨーギア(Yaw Gear)は、風車のナセルを電気制御で動かす機械部品です。風力発電機のブ レードとローターが、常に風に対して正対するように制御しています。ヨーギアは風車のナ セルとタワー上部の接合部に取り付けられています。「ヨーリング」と歯車で構成され、風 向・風速計の動きにより、ナセルの向きを制御しています。

2016年 第6

8


ヨーギア

風車の大型化に伴う変化 従来、出力の小さな風車には 1 対(2 本)、メガワットクラスでは 2∼3 対(4∼6 本)のヨー ギアが設置されており、ナセルの制御には十分でした。ここ最近作られている、3M∼7MW 出力の大型風車では、ヨーギアが 4 対(8 本)、予備の 1 対(2 本)で、計 10 本以上も付属しているものもあります。 これは、大型化により重量の増したナセルが風向きにあわ せてスムーズに動けるようにするためです。 ヨーギアは、突風や乱流による突発的な過負荷状態になる と、ひどく破壊されダメージを受けるケースがあります。 その一方、ヨーギアが壊れると風車が停止するため、風車 本体へのダメージを防ぐことができます。日本の風力発電 所は、稜線地帯にあることが多く、予測できない突風や乱 流などが発生した場合の風力発電機にかかる、過負荷への 対応が必要です。これは、発電所の運営上、長らく問題に なっています。

ヨーギア

◆お問い合わせは、カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com )までお願いします。◆

2016年 第6

9


電気自動車用高電圧システム技術資格 (BGI 8686)トレーニングがスタート ドイツの電気自動車高電圧システム取扱者の法規で ある BGI 8686 に基いて、電気自動車における安全な 電気の取り扱い・危険防止のトレーニングを日本で初 めて開催します。本トレーニングを受講していただく ことで、車両の高電圧技術作業に伴う危険性や適切な 対処法、正しい知識を身に付けていただくことが可能 です。トレーニングは講義と電気自動車を用いた実技 で構成しています。トレーニング終了後は、完了証明 書を発行します。 対象:電気自動車の高電圧システム電気技術者または 自動車電気工、メカトロニクス技術者、レス キュー、レッカー、整備工場、板金塗装工場、 整備士など、車両の高電圧システムを取り扱われる方 ★プログラム概要★ ・事故防止、法律、規則 ・高電圧の概念と自動車技術 ・リチウムイオンの危険源について ・事故防止規定について ・電圧印加時作業の実施の原則について ・安全対策:個人用保護装置の使用法、取り扱い、管理、点検について ・高電圧車両およびシステムの作業時における実践的手法 ・事故発生時の対応について

ほか

日程:2016 年 9 月 7 日(水)∼9 月 8 日(木)両日ともに 9:00∼17:00 場所:テュフ ラインランド ジャパン株式会社テクノロジーセンター 会議室 横浜市都筑区北山田 4 丁目 25 番 2 号 アクセス 言語:英語(日本語通訳がつきます。セミナーテキストは日本語) 費用:初回特別価格 125,000 円/人(税別) 定員:15 名

【お問い合わせ先】 窪 大嘉(くぼ

2016年 第6

10

ひろよし)06-7656-9255 hiroyoshi.kubo@tuv.com


v ASEAN 基準認証制度調和動向の現地

調査について テュフ ラインランド ジャパンは、一般財団法人日本電機工業会(以下:JEMA)の会員企 業として、ASEAN 基準認証制度調和動向の現地調査(2016 年 3 月 20 日∼24 日)に参加し ました。

現地調査の背景 東南アジア諸国連合(以下 ASEAN)の市場は、JEMA 会員各社の事業拡大にとって、最重 要市場の一つです。会員企業各社は、昨年の時点で、ASEAN が、2015 年 12 月に基準認証 の域内統合を目指し、各国認証制度の調和化・共通の技術基準制定などの作業を推進中で あると認識していました。 その各国認証制度調和の加盟国間協定である AGREEMENT ON AHEEER*1 は、2005 年 12 月 に合意され、その情報は、ASEAN ウェブサイト(http://asean.org/)で公開されています。 しかし、ASEAN の情報基盤はやや未整備で、確かな情報を入手することが難しくなってい ます。また、AGREEMENT ON AHEEER が予定通り施行されているのか、運用や実施状況な どが不確かです。 したがって、早期に状況を把握するために JEMA 海外規格認証技術専門委員会は、現地へ調 査団の派遣を行うことになりました。関係当局から ASEAN 基準認証制度の最新調和動向の 情報を直接聞き取り、現地における進捗状況を確認することが決定しました。 訪問国は、ASEAN 全体の標準化・品質管理内容を検討する ASEAN 標準化・品質管理諮問評 議会(以下:ACCSQ*2)議長国であるインドネシアと ASEAN 加盟各国の Information booklet 作成推進の調整を担当しているシンガポールです。 *1 AGREEMENT ON THE ASEAN HARMONIZED ELECTRICAL AND ELECTRONIC EQUIPMENT (EEE) REGULATORY REGIME *2

ASEAN Consultative Committee on Standard and Quality

調査結果概要 1. ASEAN 基準認証制度調和について 各分野のワーキンググループや委員会は、ACCSQ の傘下に設置されており、電気電子機器 の標準化・品質管理は JSC EEE*3 で議論されています。今回のシンガポール当局(Spring Singapore)とインドネシアの国家規格局(BSN:Badan Standardisasi Nasional)との面談調 査により、ASEAN 基準認証制度調和の推進は、既存の ASEAN 域内の相互承認協定(Mutual Recognition Agreement)の拡大と充実を図ることと、AGREEMENT ON AHEEER を基本と した各国規則調和の達成を図るという二段階になっていることが明らかになりました。ま 2016年 第6

11


た、現在は既存の相互認証協定の拡大と充実を図る第一段階を推移していることが判明し ました。この ASEAN 基準認証制度調和の推進は JSC EEE で議論が進められ、原則的に全会 一致で決まります。 *3 Joint Sectorial Committee for Electrical and Electronic Equipment

2. AGREEMENT ON AHEEER に基づく規則の調和について 加盟国間で締結されている相互認証協定は既に発効、実施されていますが、AGREEMENT ON AHEEER に基づく規則の調和については、合意されているものの、内容は見直し中です。 ま た、AGREEMENT ON AHEEER は全加盟国が国内規則に落し込むことで発効することになっ ていますが、インドネシアとミャンマーでは導入されていません。インドネシアは 2016 年 8 月、または 12 月に導入することを目標にしていますが、、ミャンマーの導入時期は未定で す。また、AGREEMENT ON AHEEER の発効は ASEAN 事務局からの General booklet の発行 をもって、実施の通知になります。

3. IEC への整合化 IEC への整合化にについては、各国が IEC 最 新版を導入するにあたり、時期がずれるとい う問題が発生しているようです。製品の危険 度に応じた適合性評価制度の採用は各国に 委ねられているため、同じ製品であっても国 ごとに評価手順が異なり、ISO/IEC 17067 に 従う Scheme Type 1 か Type 5 のいずれかに 統一をするという合意には至っていません。 Spring Singapore 会合後の記念写真

整合化に関しては、あくまで各国標準化機関 の意見が尊重され、原則的に全会一致で決まります。今後の ASEAN 全体像を客観的に把握 するには、各国ベースのさらなる調査を続ける必要があります。今後も JEMA メンバー間の 情報交換を継続し、動向を注視します。意見を反映させる活動を展開していく必要がある と考えます。

注:本調査結果は当局との会合において、調査時点に口頭で得られた情報です。流動性が高い内容も含ま れていることにご留意ください。

※本記事は一般財団法人日本電機工業会に了承をいただき、掲載しています。

◆お問い合わせは、カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com )までお願いします。◆

2016年 第6

12


ふくしま医療機器開発支援センター開設 準備―EMC 研修日誌ブログ 日独医療機器産業の発展を目指して テュフ ラインランド は、医療機器分野で、福島県と覚書を締結しており、本年秋に福島 県郡山市に完成予定の「ふくしま医療機器開発支援センター」の運営に協力しています。 2016 年 5 月より 3 ヵ月間、テュフ ラインランド ジャパンのテクノロジーセンター(GTAC、 横浜市)で、ふくしま医療機器産業推進機構から、研修員・佐々木さんを受け入れ、EMC 試験の研修を行っています。 佐々木さんは、研修で立会い試験や放射エ ミッション試験、サージ試験など EMC 関連 のトレーニングを受けており、「OJT のト レーニングは現場を直に体験できてとても 貴重な経験です」と語っています。佐々木 さんの日頃のトレーニングやランチ事情な どの様子を「ふくしま医療機器研修日誌」 と題して、テュフ ラインランド ジャパン の公式ブログやツイッターに掲載していま す。ぜひご覧ください。

「ふくしま医療機器研修日誌」 [公式] テュフ ラインランド ジャパンのブログ http://apac.tuv.com/jpblog/topic/ふくしま医療機器

<ご参考> テュフ ラインランド ジャパン、テュフ インターナショナルが福島県と締結した覚書を受 け、 福島県との医療機器分野での協力連携を開始(2016 年 1 月) http://www.tuv.com/news/jp/japan/about_us_jp/press_2/news_1/newscontentjp_267776.html/fukushima

◆お問い合わせは、広報課(TEL: 045-470-1860 E-mail: pr@jpn.tuv.com )までお願いします。◆

2016年 第6

13


ビジネスパーソンの

タイム No.3

その痛み、四十肩、五十肩かもしれません。 最近、肩を動かしづらかったり、痛みを感じることはありませんか? ひょっとするとそれ、四十肩、五十肩かもしれません。正式には「肩 関節周囲炎」と呼ばれ、特に四十代・五十代の方に症状がでることが あります。四十肩、五十肩といっても症状はさまざまですので、痛み を感じたらなるべく早めに専門医の診断を受けましょう。痛みの原因 は、加齢により、肩の関節の組織が変化することで起きる炎症といわ れてますが、はっきりしたことは分かっていません。

小島 卓也

この痛みは、3 段階の経過をたどります。 1.

急性期:安静時にも痛みを感じ、夜間、痛みが強くて眠れない方も。

2.

拘縮期:肩の動きが制限され、腕を一定の角度で動かすと痛みがでます。 (拘縮とは、関節の動きが制限された状態のこと)

3.

回復期:肩の動きが徐々に良くなり、痛みもほぼなくなります。

急性期では、なるべく肩に負担をかけないことが大切ですが、拘縮期の段階になると強い 痛みがひいてきます。この時期に痛みが出ない範囲でリハビリを行うと、治るのが早まり、 回復期後、肩関節の動きの制限が残りづらくなります。 そこで、ご紹介させていただくのが、コッドマン体操という運動法です。 ① 足を前後に開き、痛みがないほうの手で机などで身体をささえる。 ② 軽く前屈し、痛みがある方の腕を完全に脱力して下げる。

腕は脱力する

2016年 第6

14


③ 体を前後左右に軽くゆすって、脱力してたらした腕が前後左右にぶらぶらするよう にする。(10 回、1 日 2 セット) ④ 慣れてきたら、水を入れたペットボトルなどを持って、少し負荷をかけてみましょ う。 ポイント:入浴後など、身体が温まった状態で行うと、より効果的です。

腕は脱力したままぶらぶらさせる

注:運動中、もしくは運動後、痛みが悪化するようでしたら、中止してください。

アジア太平洋地域版 tuv.communication 創刊 テュフ ラインランドは、このたび、グローバルに展開する 企業の皆様に、tuv.communication のアジア太平洋地域版 を発行しました(英語:年 4 回発行予定)。テュフ ライン ランドは、アジア太平洋地域の 10 ヵ国に拠点があり、こ の地域に関する規格の最新情報や技術情報、最新ニュース について掲載してまいります。創刊号では、IoT が今後ど のようにビジネスを変えていくかについて巻頭記事を掲載 しています。また、3 月に開設したベトナムの EMC 試験所について紹介しています。ぜひ、 今後アジア太平洋地域でのビジネスにご活用ください。 http://bit.ly/28ZJHNy(原文:英語) ◆お問い合わせは、広報課(TEL: 045-470-1860 E-mail: pr@jpn.tuv.com )までお願いします。◆

2016年 第6

15


セミナー・展示会情報

セミナー 全般

IEC 62368-1(第 2 版)セミナー(新規コース)

Q&A コース (定員 38 名)

安全規格に関する業務の初心者および経験者の両方を対象とした コースです。セミナー参加者からの実際のご質問に対して回答する形 で進行します。入門編の内容および規格書全般に対して、具体的な問 題をどのように規格書と結び付けて考えるか、規格書の内容をどのよ うに解釈するかについて、説明します。事前に頂いた質問およびその

時:2016 年 7 月 15 日(金) 13:30∼17:00 参加費:10,000 円(消費税込み) 場 所:テュフ ラインランド ジャパン テクノロジーセンター

場でいただく質問に対して解説します。 本セミナーは、IEC 62368-1 のすべての範囲が対象となります。

セミナー

☆無料セミナー☆

電波法認証 入門セミナー

無線機器はあらゆるところに応用されており、今後もその範囲を広 げていくことが予想されています。無線機器は公共の電波を利用し ますので、使用にあたっては電波法に基づく規制に適合させる必要 があります。本セミナーは、今後、無線機器の取り扱いを検討して いる方々を対象に、どのように規制への適合性を証明したらよいか をご理解いただく内容です。

時:2016 年 7 月 14 日(木) (横浜) 2016 年 7 月 21 日(木) (大阪) 参加費:無料 場 所: (横浜)テュフ ラインランド ジャパンテクノロジー センター (大阪)テュフ ラインランド ジャパン西日本地域担当 オフィス

<医療機器セミナー>実践!IEC 60601-1 第 3.1 版に適合する医療機器開発セミナー

セミナー

絶縁図・絶縁表作成の勘所−IEC 60601-1 第 3.1 版

IEC 60601-1 第 3.1 版と関連規格の要点を詳述し、医療機器の設計ノ ウハウや開発プロセスで必要とされる文書の勘所を解説します。 本セミナーは、全 7 回のシリーズセミナーの第 1 回です。全 7 回の セミナーで、最新の医療機器安全規格を理解できます。規格に基づ く設計・開発、文書化スキルを習得することで、効率的な第三者評 価に結びつけることが可能です。もちろん興味のある回だけの参加 も可能です。 <詳細はこちら>

2016年 第6

16

http://eventregist.com/e/60601-1

時:2016 年 7 月 22 日(金) (大阪) 2016 年 7 月 28 日(木) (東京) 参加費:29,000 円(消費税別) 場 所:大阪、東京


<医療機器セミナー>薬事認証機関が提供する薬事規制対応セミ ナー(初級コース)

セミナー

医療機器の薬事規制対応は、医薬品医療機器等法(薬機法)とそれ に基づく多くの下位の規制文書(同施行例、同施行規則、告示、通 知、事務連絡等)を精査し、正しく解釈し、法令順守の仕組みの構 築と運用が厳格に求められます。さまざまなレベルの受講者が受講 できるように自らの経験やスキルに応じてコースを選べる初級、中

時:2016 年 8 月 18(木)∼ 8 月 19 日(金)他 10:00∼16:00 参加費:43,800 円(消費税別) 場 所:東京、大阪

級、上級コース別にセミナーを用意しました。 <詳細はこちら>

http://eventregist.com/e/medilaw

セミナー

ISO 9001:2015 および ISO 14001:2015、改訂対応のための解説 セミナー

ISO 9001:2015 年度版および ISO 14001:2015 年度版の改訂作業が終 了し、2015 年 9 月 15 日に、両 ISO 版規格が正式に発行されました。 日 今回の改訂では、事業プロセスと ISO 9001/14001 マネジメントシス テムの、更なるシームレス化が課題となっています。ISO 9001/14001 規格改訂の主要なポイントと各箇条の詳細について、認証取得企業 の皆様を対象に、改訂対応のための解説セミナーを開催します。 <お申し込みなど詳細はこちら> http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/event_inf o/eventdetails_jp_260612.html

セミナー

時:2016 年 8 月 19 日(金) 2016 年 9 月 15 日(木) 他、複数回開催 9:30∼13:00(14001) 14:00∼18:00(9001) 参加費:3,000 円(1 規格) 6,000 円(2 規格) (消費税込み) 場 所:横浜、浜松、名古屋、大阪、 福岡

BRC Food 7 版ベーシックセミナー

BRC 規格は、英国発信の GFSI 承認規格の一つです。食品安全規格で ある BRC Food 規格の認証取得は、英国をはじめ、グローバル市場 でビジネスを展開する企業にとって、自社の食品安全への取り組み を「見える化」する必須アイテムのひとつです。BRC 認証取得のフ ァーストステップとなる規格(スタンダード)の理解を深めていた だける絶好の機会です。

セミナー

時:2016 年 8 月 25 日(木)∼ 8 月 26 日(金) 10:00 ∼18:00 参加費:150,000 円(消費税別) 場 所:テュフ ラインランド ジャパン 新横浜オフィス

電気自動車用高電圧システム技術資格(BGI 8686)トレーニング

ドイツの電気自動車高電圧システム取扱者の法規である BGI 8686 に 時:2016 年 9 月 7 日(水)∼ 9 月 8 日(木) レーニングを日本で初めて開催します。本トレーニングを受講して 9:00∼17:00 いただくことで、車両の高電圧技術作業に伴う危険性や適切な対処 参加費:125,000 円(消費税別) 法、正しい知識を身に付けていただけます。トレーニング終了後は、 場 所:テュフ ラインランド ジャパン新横浜オフィス 完了証明書を発行します。トレーニングは講義と電気自動車を用い 基いて、電気自動車における安全な電気の取り扱い・危険防止のト

た実技で構成しています。

2016年 第6

17


職場における倫理・コンプライアンスアドバイザー 【主催:The Japan HR Society (JHRS)】

セミナー

JHRS 主催の職場における倫理・コンプライアンスアドバイザーの研 修です。研修を修了し、テュフ ラインランド ジャパンの試験に合 格した方には、習得した知識と技能に対する証明書がテュフ ライン

日時など詳しくは下段ウェブサイト をご覧ください。

ランド ジャパンより授与されます。 http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/personal_ certification/workplace_compliance_ethics_advisor/workplace_co mpliance_1.html。

■機能安全エンジニア資格(FSE)コース 年間開催スケジュール http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/fse/schedule/fscourseschedule.html ■平成28年度 放射性物質測定の実務者研修 (3検査機関 共催) 年間開催スケジュール http://www.tuv.com/jp/japan/about_us_jp/fairs_events/event_info/eventdetails_jp_272512.html 詳しくはセミナー・イベントページ http://www.tuv.com/jp/seminar をご覧ください。 セミナー全般に関するお問い合わせは、マーケティング部 広報課まで TEL: 045-470-1874 FAX: 045-470-8055 e-mail: academy@jpn.tuv.com

2016年 第6

18


お問い合わせ先・オフィスのご案内 カスタマーサービス

カスタマーボイス

東日本地域 TEL: 045-470-1850 西日本地域 TEL: 06-6355-5400 EMAIL: info@jpn.tuv.com

222-0033 横浜市港北区新横浜 3-19-5 新横浜第二センタービル TEL: 045-470-1850 FAX: 045-470-8055 EMAIL: hotline@jpn.tuv.com

オフィスのご案内 新横浜本社 222-0033 横浜市港北区新横浜 3-19-5 新横浜第二センタービル TEL: 045-470-1860 FAX: 045-473-5221 テクノロジーセンター(GTAC) 224-0021 横浜市都筑区北山田 4-25-2 TEL: 045-914-3888 FAX: 045-914-3377 太陽光発電評価センター(SEAC) 224-0033 横浜市都筑区茅ヶ崎東 4-5-24 TEL: 045-271-3508 FAX: 045-271-3525 西日本地域担当オフィス 530-0044 大阪市北区東天満 2-9-1 若杉センタービル本館 16F TEL: 06-6355-5777 FAX: 06-6354-8636 関西テクノロジーセンター(KTAC) 537-0002 大阪市東成区深江南 1-3-14 TEL: 06-7656-6888 FAX: 06-7668-5777 九州オフィス 812-0038 福岡県福岡市博多区祇園町1番 40 号 三井生命福岡祇園ビル 4F TEL: 092-261-8801 FAX: 092-261-8802 九州 EMC ラボラトリー 822-0031 直方市大字植木 1245-2 直鞍産業振興センター ADOX 福岡内 TEL: 0949-28-9345 FAX: 0949-28-9346

ニュース送付に関するお問合せは、新横浜本社 澤 (pr@jpn.tuv.com) までお寄せください。 皆様のご意見、ご要望をお知らせいただければ幸いです。 受信されるメールソフトによっては、まれですが、配信メールに文字化けが発生いたします。文字化け の際には、文字エンコードを Shift-JIS もしくは Unicode(UTF8)へ変更ください。恐れ入りますが、ご理 解・ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。 編集責任者

澤 操、吉家 由貴子、井田 美穂

新横浜本社

テュフ ラインランドで認証を取得された企業の認証情報は、Certipedia(サーティペディア)でご覧頂けます。 http://www.certipedia.com 本誌掲載記事を転載希望の方はご連絡ください。

2016年 第6

19


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.