■編集・発行
東京大学生産技術研究所 / 広報室
IIS NEWS
No.193 2022.4
●機械・生体系部門 教授
中野
IIS TODAY
今回、表紙を飾っていただいたのは機械・生体系部門 の中野公彦教授です。中野先生の専門分野は機械生体シ ステム制御工学で、力学と制御をバックグラウンドとし ています。サスペンションなどの振動を対象に研究を進 め、自動車の制御へと展開され、近年では自動運転や運 転支援技術などの ITS に関する技術開発に尽力されて います。開発技術の社会実装にも力を入れており、経済 産業省「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研 究開発・社会実装プロジェクト(RoAD to the L4)」や JST RISTEX「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課 題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム」のプ ロジェクトリーダーを務め、精力的に活動を推し進めて おります。経産省プロジェクトでは、自動車メーカー、 インフラメーカー、官庁などのステークホルダーと緊密 に連携し、自動運転レベル4に資する技術の社会実装を 目標にプロジェクトを統括しています。VR 技術(写真
公彦
のドライビングシミュレータ)を用いた評価検証も並行 しながら進め、ヒューマンファクタの解析や自動運転技 術に潜在する課題も先取りして解決していきたいとのこ とでした。このような研究活動を進めながら、事故の無 いモビリティサービスを提供し、快適な社会の実現、社 会全体の幸福を実現したいと今後の抱負も語っていただ きました。JST プロジェクトで取り組まれている自動運 転の社会実装に対する法的、社会的課題の解決を通して、 技術だけでなく社会的課題にも目を向けるようになり、 新型コロナウィルス感染症の影響を目の当たりにして、 移動の必要性や社会にとって必要な移動手段とは、寄与 する技術とは、と移動に対する本質論も考えるように なったとのことです。中野先生が開発・実装されたモ ビリティサービスの恩恵を受ける日が楽しみでなりま せん。 (広報室 山川 雄司)