yusuke sawaji portfolio

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澤地祐輔建築設計作品集



人とモノ 時間と空間 異なるスケールの中で 時に絡まり、時に離れ 通信し合うその関係性の中に 面白さの片鱗を感じながら 建築を考えていきたい


もくじ

2017 年度 卒業設計

「物の家」 学内卒業設計賞 優秀賞 第 40 回 学生設計優秀作品展 レモン賞 京都建築学生之会合同卒業設計展 Diploma × KYOTOʼ 17 Day1 第3位 せんだいデザインリーグ 2017 セミファイナル

2017 年度 修士 1 年マギーズセンター設計課題

「水辺の共創」 出題者:建築家 竹原義二

谷口工務店主催 木の家設計グランプリ 2017

「段と隙間の家」 20 選入選

第 3 回 ウッドフレンズ 住宅設計アイデアコンペ

「浮遊する小住宅」

第 4 回 毎日新聞 学生住宅デザインコンテスト

「柱間の家 ~人を受け止め、町に応える 100 年木造住宅~」 入選


澤地 祐輔 出身 岡山県岡山市 2010 岡山大学教育学部附属中学 卒業 2013 岡山県立岡山朝日高校 卒業 2013 大阪大学 工学部 地球総合工学科 入学 2016

GEO-GRAPHIC DESIGN LAB.

インターンシップ参加 -

BAC JAPAN 2016

スペイン・バルセロナ建築留学春季コース 5 期生 2017 学内卒業設計賞 優秀賞 - 京都建築学生之会合同卒業設計展 Diploma × KYOTOʼ 17 Day1 第3位 -

人間・環境学会大会 人間・環境学会大会発表賞

日本建築学会近畿支部研究発表会 優秀発表賞

卒業設計日本一決定戦 セミファイナル

レモン画翠主催 学生設計優秀作品展 レモン賞

同大学 卒業

大阪大学大学院 工学研究科

地球総合工学専攻 建築・都市計画論領域

2018

無有建築工房 インターンシップ参加

木の家設計グランプリ 20 選

趣味 バスケットボール 旅行 ロードバイク 虫捕り カメラ ラーメン巡り 漫画 etc...


2017 年度 卒業設計

「物の家」

学内卒業設計賞 優秀賞 第 40 回 学生設計優秀作品展 レモン賞 Diploma × KYOTOʼ 17―京都建築学生之会合同卒業設計展 Day1 第3位 せんだいデザインリーグ 2017 セミファイナル

これは僕のじいちゃんとばあちゃんの家 ばあちゃんは認知症で徐々に記憶を失っていく。 2人で老人ホームに入るため、今までの家を潰してしまった。 でも二人は毎日「家に帰りたい」と呟く。 そんな二人にもう一度この場所に戻ってほしい。 そのために僕が二人の家を同じ場所に建て直す。 二人が使い続けてきた「物」を元に。 これは僕のじいちゃんとばあちゃんの「過去-現在-未来」を考え、 「物」を元につくられた二人にとっての人生最期の家である。 建築を通して考える「幸せな人生」。



▼外観模型写真① 家からはみ出すように「物」のスラブが伸びる。



物の 物の

-じいちゃんとばあ -じいちゃんとばあち

長年使い続けて 長年使い続けてき

「使う」ということ以外 「使う」ということ以外に

一つ目はかつての行動や 一つ目はかつての行動や感

その物のあった場所、使 その物のあった場所、使い

「物」の存在 「物」の存在は

思い出と人との間を 思い出と人との間を繋

二つ目は側にあることで安心 二つ目は側にあることで安心感

お年寄りは自分にと お年寄りは自分にとっ

より自分の近くに より自分の近くに集

そうやって集 そうやって集ま

お年寄りの将来への お年寄りの将来への「

この二つの意 この二つの意味

過去と今と 過去と今と未

「物」による 「物」による家


の家 の家

ちゃんの終の住処- ちゃんの終の住処-

きた「物」には た「物」には

に二つの意味合いが宿る。 二つの意味合いが宿る。

感情を引き出す意味合い。 情を引き出す意味合い。

い方、誰と使っていたか、 方、誰と使っていたか、

はそうやって そうやって

繋ぐことができる。 ぐことができる。

感を与えてくれる意味合い。 を与えてくれる意味合い。

って大切な「物」を て大切な「物」を

集めるようになる。 めるようになる。

まった「物」は った「物」は

「心の支え」になる。 心の支え」になる。

味合いを元に 合いを元に

未来を繋ぐ 来を繋ぐ

家をつくる。 をつくる。


砂利を歩く音は

00

20

350

じいちゃんがどこにいるか

00

15

教えてくれる

3200

今までにじいちゃんが作ってきた 「物」が並ぶ物置

目をつむ 目を

じいちゃんの部屋

手を伸ばした 手を伸ばし

ここで麦わら帽子をかぶって外に出る

ここに座ると

200

きれいな花に水をやる

300

じいちゃんがよく見える 35

50

0

ちゃんちゃ ちゃんち

600

一緒に 一緒

220

750

今日は庭で何をしようかな

0

220

350

600

ばあちゃんの部屋 ばあちゃんの部

日記に挟まれて座る

「物」で彩りに満ちて 「物」で彩りに満ち

たまには 1 人になりたい時も 300

350

かつてのばあちゃんの部屋 今までの日記が並ぶばあちゃんの記念館 工具へと伸びる木の手すり 角材を握る感覚は 昔から体に染みついている

1番綺麗に咲いた菊 1番綺麗に咲いた

500

じいちゃんの育てた花に

ここに置こう ここに置こう

包まれるところ 2000

綺麗な花と

350

楽しそうなじいちゃんを見て 今日の日記に書くことが決まる

良 4000

よく使う工具が塀に沿ってぶら下がる ばあちゃんの部屋に置く新しいスラブは ここで生まれる 300

満開の花は棚に並べて 見てもらおう

じいちゃんの花畑 たくさんの花々に毎日じょうろで 水をやる

600

じいちゃんが育てていた菊の花壇と 剪定するためのウッドデッキ


3600

竿上げ棒を使って 200

洗濯物を高く高く上げる

2000

ったままでも むったままでも

スラブが教える洗濯の手順

先にへちまのたわし た先にへちまのたわし

次は物干し場へ

▽ 400

300

じいちゃんとばあちゃんの玄関 スラブに沿ってゆっくり庭へ

500

外から帰って来て 300

ちょっと休憩

00 1000

んこに包まれて ゃんこに包まれて

たくさんの食器は 皆が集まる印

散歩したよね に散歩したよね

500

00

じいちゃんの賞状は よく見える場所に飾ろう

スラブをくぐって

400

キウイがなる季節は 孫が来る季節 ここに座って待っている

キウイ棚の高さは

1500

3人の孫の背丈にある

200

いく ていく

180センチ

かつて座椅子があった場所ベンチを

は 菊は

地べたに座るのはしんどいけど

500

ここで靴を脱いでと

ここからの景色は好きだったよね

スラブが通せんぼ

GL+358

500

人が集まる場所 手すりはバットと同じ素材 手すりはバットと同じ素材

いっぱい座れる木のソファ

ばあちゃんの特等席 今日は誰が来るだろう 600

350

息子たちが表で素振りしてたなぁ 良く息子たちが表で素振りしてたなぁ

GL+240

5000

麦わら帽子をかぶって

0 35

500

800

ここでは野菜を作ってたよね

腰を下ろしたら ばあちゃんと目が合った

GL±0

FL±1800 平面図 1 : 75

0m

1m

3m

5m


01 残っているのは「場所」と「物」 ―敷地―

敷地は神奈川県小田原市。 二人がずっと住み続けてきた場所。 家という建築は無くなってしまっても、

敷地:神奈川県小田原市

その「場所」と使ってきた「物」は残っている。

敷地面積:271.8 ㎡

02 持ち込んだ「物」 ―コンセプト―

僕達家族が持ち込んだ二人の「物」。

・座布団

みんなの思いがたくさん詰まっている。

人:ばあちゃん 場所:居間 エピソード ばあちゃんは縁側に座る時、いつも下に

それぞれの「物」についてのエピソードを

座布団に座っていた。そこで「座る」こと で土いじりをするじいちゃん、訪ねに来る

家族へのインタビューを元に書き出していく。

お隣さんという人との出会いが生まれた。

じょうろ

菊の花

植木ばさみ

麦わら帽子

日記

賞状

写真

座布団

へちまたわし

竿上げ棒

はんてん

座椅子

工具

バットとグローブ

食器


03 「物」と「場所」 ―プログラム―

「物」はかつて置かれていた場所の記憶を宿す。 建物が無くなってしまっても、 「物」のあった場所からその場所の意味合いが浮かび上がる。

かつての間取りを 記憶を元に描き出す。

そこに置かれていた 「物」を書き出していく。

そこからさらに 「物」と「場所」を抽出する。

04 ばあちゃんの部屋 ―プログラム 2―

「物」が置かれていなかった中央にばあちゃんの部屋をつくり、 そこに持ち寄った「物」を置く。 部屋に新しく置かれた「物」は かつて置かれていた「場所」へとばあちゃんを誘う。

「物」からばあちゃんの部屋を決定


05

・座椅子 ・写真 ・座椅子 ・写真

「物」と「空間」 ―ダイヤグラム―

中央にばあちゃんの部屋をつくり、持ち寄った「物」を置く。 ・植木ばさみ ・植木ばさみ

「物」はかつて置かれていた場所の記憶を宿す。 「物」を使った経験や自身の体の寸法を 一つ一つの「物」のスラブの形で表現していく。 体を通して語りかけることで 「物」が宿す過去をじいちゃんとばあちゃんに意識させる。 「物」は自らが宿す記憶を元に「場所」を「空間」へ変えていく。

・賞状 ・賞状

家族が二人の「物」を部屋の棚に置く。 「物」はかつての居場所へ、その棚の スラブを伸ばす。

・へちまた ・へちま

スラブは二人の体の寸法や物のサイズ に沿って形を変える。スラブの形から 「物」が宿す記憶を緩やかに意識させる。

ばあちゃんは自分の意思で物を部屋に 追加していく。 物で溢れる部屋は彩りと安心感で満ちる。

・麦わら帽子 人:じいちゃん 場所:縁側と庭 じいちゃんの趣味は庭いじり。 毎日庭で帽子をかぶりながら作業をする じいちゃんを縁側から見てたばあちゃん。 きっとばあちゃんが一番見てきた風景。


たわし わし

・座布団

・バットとグローブ

・菊

・じょうろ

・食器

・竿上げ棒

・日記

・はんてん

・工具

・麦わら帽子


06 「物」の密度 ―形態操作 2―

過去から未来へと 「物」の意味合いは変化していくように、 この家自身も変化していく。 「物」を部屋にプラスしていくことで、 部屋の密度は上がり、 それに伴ってこの家への馴染みも増す。 そしていずれ来るであろう人生の終わりを お気に入りの「物」と、 ばあちゃんの部屋のイメージスケッチ

その記憶に囲まれた中で迎えられるように。

08 「物」と住むこと ―断面図―

「物」のスラブに沿って、 壁が「物」の境界をつくり、 屋根が外の「物」と室内を緩やかに繋ぎ、 窓がその「物」と人との風景を取り入れる。 「物」を通 じて過去を感じ、「物」を集めて未来をつくる。

1800

400

600

358

358

358

400

1200


07 できること・できないこと年表 -じいちゃんとばあちゃんが二人で暮らしていくのに必要なこと-

ばあちゃん

じいちゃん

75 歳 ・スラブから物を使う感覚を感じる

短期記憶、ものの使い方が分からなくなる

昔座っていた場所に

素材の違いで ゾーニングの境界を示す

視力、方向感覚が落ちる

低い浴槽と 手すりになるスラブ

足を伸ばして座れるように

74 歳

新しい家に住み始める

・物が常に見えるように表出化

・敷地をじいちゃんが 普段いる庭で囲む

お風呂に入りにくくなる

・一つ一つの空間に 行動の目的をつける

徘徊するようになる

地べたに座るのがしんどくなる

伸びるスラブが 手すりになる 物をプラスしながら、 部屋に安心感を持たせる

トイレを広く

介助付きでトイレに行く 自力で歩けなくなる

・室内へのアプローチをスロープに

ベッドでの生活が増える 人生の終わりを迎える

車イスで生活する ベッドでの生活が増える

・幅の広い廊下

じいちゃんの部屋にも物を追加できるように

僕ら家族が訪れ、

人生の終わりを迎える

A-Aʼ 断面図

0m

1m

2 人を懐かしむための場所になる

3m

5m


2200 1800

▼ 2200 ▼ 2200

▼ 1900 ▼ 1900 ▼ 1800 ▼ 1800 ▼ 1716 ▼ 1716 ▼ 1600 ▼ 1600 ▼ 1500 ▼ 1500 ▼ 1400 ▼ 1400 ▼ 1287 ▼ 1287 ▼ 1100 ▼ 1100 ▼ 1000 ▼ 1000 ▼ 800 ▼ 800 ▼ 722 ▼ 722 ▼ 572 ▼ 572 ▼ 500 ▼ 500 ▼ 400 ▼ 400

2200 1800


2200 1800

2200 1800

ばあちゃんの部屋 展開図 1:35


▲外観模型写真② じいちゃんがいる庭とばあちゃんがいる室内を 「物」のスラブが緩やかに繋いでいく。


▲内観模型写真①(上) ②(下) 「物」を使った経験や自身の体の寸法を一つ一つの 「物」のスラブの形で表現していく。 そして「物」のスラブに沿って、家の躯体が作られ 空間が生まれてくる。


▶スラブ模型写真 「物」は自らが宿す記憶を元に 「場所」を「空間」へ変えていく。

▼ばあちゃんの部屋模型 年月が経つにつればあちゃんの部屋の物が増え、 それとともに部屋への愛着も増す。



09 「幸せな人生」

人の「今」が「過去」の積み重ねでているのと同じように、 「物」だって置かれた場所で記憶を蓄積させながら 「今」の意味合いを変え続けていく。 もしも自分の「過去」を見失ってしまうなら、 人生をずっと共に経てきた「物」から引き出せばいい。 そうやって人生を終える時に、 共に過ごしてきた「物」で溢れかえった部屋は、 生きてきた証として残る。 そんな人生は「幸せな人生」と言えるんじゃないだろうか。



2017 年度 修士 1 年マギーズセンター設計課題

「水辺の共創」 出題者:建築家 竹原義二 マギーズセンターとは がんを宣告された患者がその心の痛手を癒すための居場所であり、 「精神的・社会的ケア」を受けながら、がんと向き合い、 「生きる」ことに希望を持ってもらうことを目的としている。 美術館のような、教会のような、病院のような、住宅のような そんな優しく新しい建築とは何か。 誰もが居場所を求め、心を落ち着かせ、希望を得て去っていける。 そんなマギーズセンターを計画する。



▼外観模型写真 地中に埋まりながら立ち上がるボリューム。 丘を切り込んだアプローチからは水面が見える。



水辺の共創



99

1040 1040

22

ラワン合板

700 700

屋根:ガルバリウム鋼板 屋根:ガルバリウム鋼板

アスファルトルー アスファルトルーフ

耐水合板 t=12m 耐水合板 t=12mm

天 天井

1330 1330

3240 3240

170 170

t=15mm

RC 打ち放し

外壁:漆喰塗り

水面からの反射 水面からの反射 内壁:漆喰塗り

床 床:

800 800

1180 1180

1685 1685

4625 4625 10200 10200


550 550

◀ 最高高さ ◀ 最高高さ

1180 1180

光光

t=0.4mm t=0.4mm

フィング ィング

m

55

5960 5960

垂木:ヒノキ 45×350mm

1930 1930

井:木毛セメント板 t=15mm 井:木毛セメント板 t=15mm

500 500

22

柱:スギ 105×105mm

1800 1800

軒裏:木毛セメント板 t=15mm

:ヒノキフローリング t=15mm ヒノキフローリング t=15mm

1365 1365

545 545 B-Bʼ B-Bʼ断面図 1:50 断面図 1:50


+3000mm +3000mm


+2000mm +2000mm

A

A

▼▼ B

+600 +600 ㎜㎜

B

A

C

±0±0 ㎜㎜

C

-150 -150 ㎜㎜ 75 75 22 22

-550 -550 ㎜㎜

B

B

75 75 22 22

-450 -450 ㎜㎜ 75 75 22 22

-600 -600 ㎜㎜ C

65 65 13 13

C

30 30 27 27 30 30 27 27

27320730

27320730

20020000

1階平面図 1:250 1階平面図 1:250

A


+3000mm +3000mm


+2600 +2600 ㎜㎜

75 75 22 22

+2750 +2750 ㎜㎜

75 75 22 22 75 75 22 22 65 65 13 13 30 30 27 27 30 30 27 27

18 20 18 20 19 30 19 30

▷ ▷

95 3 95 3

+1850 +1850 ㎜㎜

18 18 20 20 3 3 00 00 0 0 19 19 30 30

2 2階平面図 1:250 階平面図 1:250


01 大阪大学病院

敷地 -吹田市山田丘 水遠池- 昔からこの地域に根付く「水」であった。 ため池とその周囲が見せる季節の顔、そして水 そのもののいくつにも変わる表情、その一瞬が

敷地:水遠池

生み出す風景は建築が生みだす特殊性としての 空間を凌駕する。そんな場の力強さに惹かれ、 今回の対象敷地として設定した。

北千里駅

02 水の空間 水に対する距離感によってその感じ方、印象は変わる。 人の心の在りようによって居場所を選べるよう、水辺 の空間を7つの空間パターンに分けて構成していく。 ①角度1-無意識

②角度2-意識

n<7°

n>7°

③広さ

④光

⑤風

⑥音

⑦距離感


03 ダイアグラム 水辺に沿った流れと、それに垂直にできる人の空間とが、 普段の目線からは見えない水の存在に気付かせる。 訪れる人は水との距離感を測りながら大小の空間を選択していく。

①池の周りを囲む盛土に切れ込みを入れ、 広場から水際に立ち寄るための動線をつくる。 訪れた人が水と関わっていくうちに元気を取り 戻していく。

②水辺に沿って人々が溜まるための居場所が 膨らむ。人々が水を直接感じることができる スペースが生まれる。

③水辺から少し距離を取って小さな居場所が 増えていく。ここでは心が落ち着かない時の 逃げ場として間接的に水を感じる。



A-Aʼ断面図 1:200 断面図 1:200 A-Aʼ


▲内観模型写真① 次第に床のレベルが下がっていき 水辺との距離感が縮まっていく。

▶内観模型写真② 水辺に反射した光が室内に差し込む。



谷口工務店主催 木の家設計グランプリ 2017

「段と隙間の家」 働く家 家の中にある職場。それは最も身近な社会。 子供たちは「働く」ことを知らない。 父の仕事はどれくらい必要とされているんだろう。 街の人の為に働くとはどういうことだろう。 僕達家族にできることは何だろう。 建築を通して考える「働く家」。

20 選入選



▲内観模型写真① ▲内観模型写真① 居住空間と職場が段差によって繋がる。 居住空間と職場が段差によって繋がる。 曖昧な空間が「働きながら住む」生活を作る。 曖昧な空間が「働きながら住む」生活を作る。



段と隙間の家 3640 3640 ヤマモミジー ヤマモミジー 4m 4m

柿ー 柿ー 3.5m 3.5m

1820 18

オリーブー オリーブー 2.5m 2.5m

ソメイヨシノー ソメイヨシノー 3.5m 3.5m GL+400 GL+400 季節の木々の間を通って 季節の木々の間を通って

3640 3640

ご近所付き合い ご近所付き合い

ばあちゃんの部屋から見る ばあちゃんの部屋から見る 季節ごとに表情を変える木々 季節ごとに表情を変える木々

ヤマボウシ ヤマボウシ

家族とスタッフが団欒 家族とスタッフが団欒 GL+400 GL+400

AA

自転車が置ける 自転車が置ける 広い土間 広い土間

1365 1365

910 910

10920 10920 3185 3185

ダイニングでは ダイニングでは

1820 1820

GL+200 GL+200

歩道と同じレベル、同じブロック 歩道と同じレベル、同じブロッ 仕事場は街の一部になる 仕事場は街の一部になる

4095 4095

1365 1365 1365 1365

3


15470 15470 1365 1365

1820 1820

BʼBʼ

3185 3185

3640 3640 アオダモー アオダモー 4.5m 4.5m

GL+900 GL+900

GL+550 GL+550

GL+900 GL+900

4550 4550

ヤマボウシー ヤマボウシー 3.5m 3.5m

アオダモー アオダモー 4m 4m

オクに行くに従ってレベルは上がるが オクに行くに従ってレベルは上がるが

GL+900 GL+900

Aʼ Aʼ 仕事場は父のステージ 仕事場は父のステージ

3185 3185 10920 10920

仕事場との壁は減っていく GL+700 GL+700仕事場との壁は減っていく

吹き抜けた家の中心空間 吹き抜けた家の中心空間

1820 1820

GL±0 GL±0

1365 1365

0

タイル クタイル

動線に沿って置かれた自転車は 動線に沿って置かれた自転車は お客さんを店内に誘い込む お客さんを店内に誘い込む GL±0 GL±0

BB

185 3185

3185 3185

1820 1820

3185 3185

455 455

18655 18655

配置図兼 1 配置図兼 1階平面図 1:150 階平面図 1:150


リビングは家族が落ち着く場

2階

4095

1365

1365

3185 3185 15015 15015


910

3185 7280

上からコンニチワ

1365

は自転車部品と 階は自転車部品と

1820

スペース 読書スペース

3185

1820

2 階平面図 1:150


最高高さ▼ 最高高さ▼

2 2階は家族のリビング 階は家族のリビング 仕事場と距離は取りつつ 仕事場と距離は取りつつ

隙間空間 隙間空間

200 200 200 200

光、音、 光、音、

2階 2階 FL▼ FL▼

家全体に 家全体に

その場を その場を

2700 2700

5800 5800

2700 2700

空気感を共有する 空気感を共有する

ルーバーの隙間から ルーバーの隙間から 仕事場が見え隠れする 仕事場が見え隠れする ダイニング ダイニング FL▼ FL▼ GL▼ GL▼

ソトへと漏れ出した隙間空間は ソトへと漏れ出した隙間空間は お客さんと家族が混ざり合う場所になる お客さんと家族が混ざり合う場所になる


垂れ壁と腰壁との隙間から見える 垂れ壁と腰壁との隙間から見える

間に溜まった に溜まった

断面図 断面図

しゃがんで自転車を直す父の姿 しゃがんで自転車を直す父の姿

、においが においが

に広がっていき、 広がっていき、

▼個室 ▼個室 FLFL

700 200 700 200

2700 2700

を介して互いをふと意識する 介して互いをふと意識する

段差によって分けられたウチとソトは 段差によって分けられたウチとソトは 親子の距離感を程よく結ぶ 親子の距離感を程よく結ぶ

A-Aʼ A-Aʼ断面図 1:100 断面図 1:100


B-Bʼ 断面図 1:100


東側立面図 1:100


01

中学校

敷地 -岡山県岡山市-

目立たずも街には無くてはならない自転車屋。

高校

住宅地になるにつれその必要性と生活との距離は 近くなる。 敷地は岡山市内の小中高の通学路に面した住宅地。

敷地

平坦なこの街は駅前まで自転車を走らせて買い物、 遊びに行く人が多い。市では「ももちゃり」という 自転車の貸し出しも行っており、自転車が移動手段 の街。この場所で自転車というモノを通して家族 と街の人々とが関わり合える家を考える。 岡山後楽園

02 コンセプト

レベル差から生まれる行為

歩く

0mm

住戸(ウチ・オク)と街(オモテ)とが、 職場(ソト)という最も身近な社会の場を介して 繋がっていること。互いの空間を持ちつつ、それ

上がる

200mm

らを「絡め」「溶け合わす」ことで、その境界に新

座る

たな居場所が生まれる。

休む

400mm

「働くこと」が家族の中心にあることで、その境界

置く 腰かける

の行為も多様化し、生活を巻き込んだ新たな「働 く家」を作る。

700mm 分かれる 見上げる 見下ろす

2800mm


03 空間ダイヤグラム

オク

ウチ

ソト

オモテ

①今までの働く家 職場を含む家はオモテ→オクが段階的で、 それらは線的に区切られがちである。 互いの場へのかかわりは少ない。

オク

ウチ

ソト

オモテ

②職場-街 まずオモテ(街)とソト(職場)との 境界を溶かし、両者を一体にする。 街の人が気軽に入れる居場所となる。

オク ソト

オモテ

③家-職場 ウチ(居間)とオク(個室)をソトを中心

ウチ

に配置し、個々の場の床レベルを変える ことで、居場所を保ちつつ、家↔職場への 意識が向き合うようになる。

オク

スキマ ソト ウチ

オモテ

④新しい働く家 ソトとウチ・オクの間に中間領域(スキマ) で面的に区切ることで居場所を保ちつつ、 働きつつ、街と繋がる関係が生まれる。



南側立面図 1:100 南側立面図 1:100


屋根:ガルバリウム鋼板 t=0.4mm 屋根:ガルバリウム鋼板 t=0.4mm

11

55

アスファルトルーフィング アスファルトルーフィング

1818

耐水合板 t=12mm 耐水合板 t=12mm 天井:構造用合板 t=15mm 天井:構造用合板 t=15mm

内壁:構造用合板 t=15mm 内壁:構造用合板 t=15mm

700 1000 700 1000

床:オークフローリング 床:オークフローリング 床:ヒノキ角材 80×80 床:ヒノキ角材 80×80 ㎜㎜ ●

400 400

t=30mm t=30mm ●

▼GL±0 ▼GL±0㎜㎜

土間:モルタル打ち放し 土間:モルタル打ち放し

1365 1365

3185 3185

3185 3185


11

480 480

◀ 最高高さ ◀ 最高高さ

545 545

垂木:スギ 50×150 木:スギ 50×150 ㎜㎜

420 420 670 670

5830 5830

11

490 490

77

1425 1425

910 910

内壁:漆喰塗り 内壁:漆喰塗り

床:ウォルナットフローリング 床:ウォルナットフローリング

t=15mm t=15mm

t=15mm t=15mm ●

900 900

200 200

900 900

外壁:スギ板張り 外壁:スギ板張り

▼GL±0 ▼GL±0㎜㎜

1880 1880

3580 3580

1000 1000

A-Aʼ A-Aʼ断面図 1:50 断面図 1:50


▲内観模型写真② 子供部屋からは職場で働く父親が隙間から 見え隠れする。


▲俯瞰模型写真 職場を中心として居住空間が周囲を 取り囲む。


第 3 回 ウッドフレンズ 住宅設計アイデアコンペ

「浮遊する小住宅」 都市における環境住宅 周辺の環境により削ぎ取られた住宅 省かれていく「できていたこと」とその中で残された「できること」 そして環境から「おすそ分け」してもらうこと 都市における環境に寄り添う暮らし方を考える



▶外観模型写真 狭小地に佇むように配置。浮いたボ リュームは 1 階部分に道を通し、 人々と木々を呼び込む。





夏 南中高度:78.4° 夏 南中高度:78.4°

冬 南中高度:31.6° 冬 南中高度:31.6°

上下の窓は環境要素を 上下の窓は環境要素

少しづつ受け入れる 少しづつ受け入れる

窓を開けると家の中を風が抜ける 窓を開けると家の中を風が抜ける

ベランダ ベランダ

洗面所 洗面所

風呂場 風呂場

WC WC キッチン キッチン

落葉樹は自然のブラインド 落葉樹は自然のブラインド

街の生活の軸 街の生活の軸

家を通り抜ける光 家を通り抜ける光

1010

11

緑の抜け道 緑の抜け道

910 910

3640 3640

910 910

1335 1335

11830 11830

1395 1395

1820 1820


所在地:大阪市北区中津 所在地:大阪市北区中津 敷地面積:64 敷地面積:64㎡㎡ 主要用途:専用住宅 主要用途:専用住宅 家族構成:1 家族構成:1人 アトリエ勤務 人 アトリエ勤務 構造:木造在来工法 構造:木造在来工法

2950 2950

リビング リビング

44

250 910 250 910 7710 7710

斜めの床は人の居場所 斜めの床は人の居場所

11

3600 3600

コンニチワ コンニチワ

910 910 910 910 断面図 1:100 断面図 1:100

南側立面図 1:100 南側立面図 1:100



2 階平面図 1:75

1 1階平面図 1:75 階平面図 1:75


01

敷地

淀川

-大阪市北区中津- SITE

梅田から北に 1km 程の住宅街である。 近年都心回帰傾向から高層マンション や一軒家が増加している。 このような生活空間が集まる地域では、 ご近所付き合いのような良好な他人と の関係が生まれている。 しかし住宅が密集するあまり、他人と

JR 大阪駅

共有できるような居場所や自然環境は 少ない。この場所において、人だけで なく環境との関係性の中で暮らすこと を考える。

02

コンセプト -環境に住まわせてもらう家- 住宅を環境要素(光・木・風・土・人・街) に寄せることで住まい手が外部に頼りながら 共創できる関係性をつくる

・敷地を住宅地の緑のたまり、生活の軸に -「公」に向けた私有地の解放 ・環境要素を内部に「おすそ分け」できる関係 -上下左右に開く「窓」 ・環境により生まれる形態が、住まい方を変える -「削ぎ取る」ことで生まれる空間

アイデアスケッチ


03 形態操作 建築を壁によって敷地と分節するのではなく、 浮遊させ床を境界とした内部と外部との関係性 を作ることで、土地に対しての共有性を上げる。 また床と天井の水平面に形態操作を行うことで、 家の中における自分だけの水平面の概念を崩し、 他者によって与えられた水平面の元で個人の生活 が営まれるような関係性を作る。

①GL を「公」に開放-浮遊するボリューム 住宅密集地では建築物が連続し壁のように立ちはだかる 敷地GLを生活の軸として解き放つことで 上下でプライベート-パブリックの関係性を作り出し また環境要素が入り込む空間を空ける

light

tree

②環境から生まれる形態-「削ぎ取る」 people soil

周囲の環境要素によってボリュームを削ぎ取る 内部空間が外部環境に従いつつ新しい形態となり 住まい手の佇まい方も変化していく

③環境に応答する「窓」-「おすそ分け」 室内を貫く窓は環境要素の通り道 周囲の環境の連続を保ちながら それらを少し取り入れることで内部環境を整え 日常的に外部と関わり合える空間を生む


8

00 165 165 屋根:ガルバリウム鋼板 t=0.4mm アスファルトルーフィング 耐水合板 t=12mm

柱:ヒノキ 105×105 ㎜

床:ヒノキ集成材 50mm

365 13165

アオダモ

手摺:St=30 20mm

GL+1400mm 踏面:260 ㎜ 蹴上:200 ㎜

ウッドデッ ウッドデ

200 200

3640 3640

1820 1820


140 140

10 810

天井:構造用合板 t=15mm

◀ 最高高さ ◀ 最高高さ

外壁:ガルバリウム鋼板 t=0.4mm 通気胴縁 25×25 ㎜ 防水シート

280 280

818010

7780 7780

910 910

2950 2950

3500 3500

軒裏:構造用合板 12mm 軒裏:構造用合板 12mm

キ:ヒノキ 100×30 ㎜㎜ ッキ:ヒノキ 100×30

▼GL ▼GL

1820 1820

断面図 1:30 断面図 1:30



◀全体模型写真 全体は3つの空間が連なるように配 置。床に空いた窓からは下の様子が 見える。

◀外観模型写真(左) 1 階部分は町の生活軸として開放さ れる。上の窓からは光が落ちる。

◀内観模型写真(右) 斜めにのびる床は家の中にいくつか の居場所を作る。


第 4 回 毎日新聞 学生住宅デザインコンテスト

「柱間の家 ~人を受け止め、町に応える 100 年木造住宅~」 柱の間に 100 年住まう 立ち並ぶ柱が「間」をつくり、住まい手がそこにモノを入れ込み「場」をつくる。 拡張する「間」は左右の空き長屋へはみ出し、町に対しても「場」を与えていく。 記憶が蓄積しながら生まれる「場」と人や町の変化の中で生まれる「場」が、 長い年月の中で有機的に絡まりあい、豊かな暮らしを支えていく。

入選



▶外観模型写真① 隣の長屋にボリュームが入り込む。



柱間のの家 家 柱間

~人を受け止め、町に応える100 100年木造住宅~ 年木造住宅~ ~人を受け止め、町に応える




01

木造の線的性質 × 空き長屋 線材を構造体とした木造において、線で作られる「間」に空間 が生まれる。そして人々がそこを「場」とし住みこなしていく ことは、建物に対しての愛着に繋がる木造の大きな魅力である。 この柱と間の関わりを、新築住宅-空き長屋-町とを繋ぐもの として活用。今ある柱が家族の場の記憶を受け止めながら、新 たに柱を増やし間を拡張することで長屋を介して町に呼応して いきながら、100 年を超えて人々の愛着を得ていく。

02

ダイヤグラム

一 ◀

周囲の長屋に平行する家族のボリュームと、垂直 する個室のボリュームを繋ぎ留めるように柱を配 置し、個室→家族へと入り込んでいく。

二 柱によって「間」が無数に生まれていく。 「間」の選択肢は家族ボリュームに入るにつれ多様 化していく。

三 個室ボリュームが人や町の変化に合わせて隣の空 き長屋へと拡張していくことで、家族の境界は一 軒の家を超える。

四 2階平面図 1 :100

拡張され生まれた「間」と、長屋に元々あった「間」 が柱により混在し、町を絡めた「場」のつくり方 ができるようになる。


03 03

住まいかた例 住まいかた例

父 母 父 母

妻 息 妻 息 子 子

父 母 父 母 息 息 子 子

子 子 子 子 町町

壱壱

弐弐

一世帯が新築部分に住まう。 一世帯が新築部分に住まう。

親世帯と子世帯が住まう。 親世帯と子世帯が住まう。

柱間にできる「間」を生活モデュールとし、 柱間にできる「間」を生活モデュールとし、

片方の空き長屋に親世帯が住みつつ、もう片方の 片方の空き長屋に親世帯が住みつつ、もう片方の

隣の空き長屋にも新築部分の生活モデュール 隣の空き長屋にも新築部分の生活モデュール

長屋は子世帯と町の人が使えるスペースが広く交 長屋は子世帯と町の人が使えるスペースが広く交

を広げながら町に対して長屋を開いた使い方 を広げながら町に対して長屋を開いた使い方

わる。次第に長屋に用途を持った使い方を考え始 わる。次第に長屋に用途を持った使い方を考え始

を始めていく。 を始めていく。

める。 める。


妻 息 妻 息 子 子 子子

町町

妻 子 妻 子 子 子 子 子 父 母 父 母 息 息 子 子

町町

参参 血縁世帯以外も長屋で生活を始めながら、共同で店舗 血縁世帯以外も長屋で生活を始めながら、共同で店舗 としても活用していく。 としても活用していく。 ボリュームの重なりが増えることで、新築部分の生活 ボリュームの重なりが増えることで、新築部分の生活 モデュールが長屋のモデュールと混ざり、新たな活用 モデュールが長屋のモデュールと混ざり、新たな活用 ができる「間」が生まれていく。 ができる「間」が生まれていく。

75


▲内観模型写真① 家全体に柱が立ち並ぶ。 住まい手はその間に居場所を見つける。


▲内観模型写真② 柱の間にモノを持ち込みながら 住まい手は自由に場をつくっていく。


▲外観模型写真② 長屋との間にはボリュームが変化する 路地のような空間が生まれる。


▲外観模型写真③ 少しづつ長屋部分にも場が生まれ、 町の人々とも繋がっていく。



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