Architecture portfolio for Y-GSA(2018-2022)

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PORTFOLIO Chen Yuze

チン  ウタク

陳 宇澤

1998      日本で生まれる 1998      中国に帰国 1998~2006   中国福建省泉州、厦門 2007~       日本で生活 2018~2022    横浜国立大学都市科学部建築学科

2022.03~       SANNA        アルバイト

2022.04~       南俊光建築設計事務所  アルバイト

2019.05~2022.02    竹中工務店  アルバイト

2020.06~2021.03    岡安泉照明設計事務所  アルバイト

都市とは小さな建築の集積であり、

私は建築を通じて、都市を様々な人が平等に、そして居場所を持てるような場所にしたい。

なぜそのような状況を目指すのかは自分のアイデンティティーに起因すると考えます。

昔のガラガラ浴場のように緩やかに人々を包む建築はそのような力を持っていると信じ、課題に取 り組んできました。

建築+αによって、 従来の機能的な建築に流れのある空間を差し込み、それらを媒介として人々が建築の空間の中で自 分の居場所を持ちつつ、緩やかに繋がる建築を目指します。

+αを周辺の環境から抽出することで、そのような建築はそれ自体も美しくなりうると考えます。

1 神田川ユートピア 卒業設計

2 時間と共に    デザインスタジオⅢ「新しい集合住宅」

3 滲み       デザインスタジオⅠ「私たちのキャンパスの図書館」

4 カタドリ暮らし  日新工業建築設計競技「人間の家」

優秀賞受賞
一等賞受賞

神田川ユートピア

卒業設計 2022

いい都市的状況とは みんなが平等に、お互いを気にすることはない

が、立場や国籍関係の隔たりがなくなっている状況であると私は考え る。

都市の中において、そのような状況を達成できるのは建築とその周り の環境が神田川には何かそのような状況を成し遂げるものを感じた。

今は都市から見放され、ただの水の流れになっているが、これを人々 の生活に近づけてみる。

+河岸

:広場の遷移

都市で生きる悦びとは

今の都市空間には少し圧迫感や疎外

感を感じる。

広場でなされていた活動が建物内に入り、 施設になる。人が入れなくなる

現代社会の中で広場へ向かう欲求

都市のスプロール

広場でなされる都市活動

人が活動している様子をみる

人と話す、議論する 歌や芸など自分自身を表現する

古代では、人々は都市の広場において、様々な活動をし、 広場を通じて都市に生きる悦びを受容していた。

社会的孤立 第3の居場所

生活用水として市民に親しまれていた。

河岸空間の変化

高齢化 少子化社会

しかし、現代社会において様々な問題が生まれてきた。 そのような問題によっても広場的なスペースを見直すベ クトルは強くなるはずである。

これからの社会に必要な広場

施設化した建物の一部を街に開放し、それらを広場から始まる空 間で包み込む。その中では様々な相互関係が生まれる。

建物

明治に入り、物流の水運利用が盛んになり、川沿いには河 岸が多く設立された。これらの河岸では、宿屋や食事処、 芝居小屋など多くの公共機能が集まっていた。

広場を媒介とした空間

死とコミュニティー 広場

建物内において、外部に開かれた部分

しかし、これまた経済化を優先した結果、そのような 場所は消えていく。今残っているのは、垂直堤防と土 地の利益を優先し、川に背を向けたビルたちである。

再び、都市の中の広場となっていく。

:貴重な広場であった河岸も資本主義や効率重視社会の中で消えていく。

市民と近い所にあった。 護岸が成立する。

川を気にしないビルに埋め尽 くされ、ついに忘れられる。

2. 川・河岸
:日本において、川は広場としての役割を果たしてきた。
1590
1960 1870 20XX
神田川
1. Background
いい都市的状況ー色々な人が 平等に、お互いを気にすること ない状態で、同じ場を共有しな がらその場に居ることができる 都市が豊かな都市である。
広場
活動の施設化

秋葉原と神田駅の間に位置し、様々な人が通る 場所であるこの敷地には警察署、雑居ビル、オ フィスビルなどのプログラムがある。また、神田 ふれあい橋という歩道橋やホテルのテラスカフ ェ、親水広場、防災船着場など、川と接する要素 が他地域より見受けられた。

また、ふれあい橋の下に神田川唯一の定期船 であるゴミ運搬船の中継地点が位置している。

:河岸と共に発展し、強力な団結力があったが、今は建物の中に閉じられた。

木材商人街で あったが、その 発展を支えたの は神田川の舟運 と河岸であった。

川の要素の抽出

関東大震災時に は強い団結力を 持って消火活動 を行い、唯一被 害を免れた。

:川に現れる活動は画一ではなく、多様である。

活動は もはや 川を向 いてい ない。

①傾きによる連帯感 ②水が入って来ることによる自然のリズム→ 防災意識

①広場的役割をはたす。 ②高床や納涼床が現れる。 ②地域の人々の散歩の道となる。

①かつて、神田川にもアユなどの魚がいた。 ②水鳥は今やコンクリート護岸の上に降りるしかない。 ②水草などは水を綺麗にする。

①船は普段と違う速度、視点で街を眺める事を可能にする。

①川をわたるには橋が必要であるが、それゆえに もっとも簡単な操作で周辺に様々な活動が生まれる。 ②地域の人の交通手段となりうる。 ②災害時には船は貴重な道具となる。

4.
なだらかな地形
自然と近づく 船などの活動を感じる 橋
ひらけている風通しのよさ
3.敷地 佐久間町 川 に 向 か う 二 組 の ベ ン チ 、 こ こ か ら 設 計 が 始 ま っ た 。
万世橋
川に開かれた旧万世橋駅

:川の要素を建築に転換し、それらを媒介として都市を開いていく。

川に向く壁面にはのっぺりした壁ではなく、表情あるファサードが現れる。

4.
なだらかな階段 立面図 1/700
建築への展開
スロープ 吹き抜け・大空間 フォリーとしての柱・壁 水溜り 桟橋・船着場 展開ダイアグラム

広場的ボイドを建築を解体しながら、引き込む。

この帯状の流れは過密

都市に失われた新たな

広場を持ち込み、人々

に居場所を提供すると

共に、建物内の活動や、

薄れていた地域のコ

ミュニティーを緩やか

に繋げる。

空間ダイアグラム

Master plan

階段の挿入

階段などの縦動線コアによる支え

柱の挿入

トラス構造の挿入

建物の 間

吹き抜け

階段の居場所化

トラス構造 柱スパンの変化に よる空間の違い 均質なグリッド

空間ダイアグラム

bbʼ断面 aaʼ断面 駅からホテ ル ラ ウ ン ジ に 向 か う 動 線 昼 休 み 後にオフィス前に向かう 地域住民の犬の散歩 川に張り出すステージ 橋下広場 開放的な大空間 建物内へと伸びる吹き抜け 防災用船着場 ゴミ運搬船中継所 市役所と 地元の本屋を開く 和泉橋 万世橋 秋葉原警察署 非常階段と接し、屋上まで続く 鉄道高架 1/700 master plan AP+5.5m AP+1.0m 平均水位 AP+4.0m □敷地内でのプログラム Multi use Police Office Office Rental Plaza Rail bridge Office Rental Hotel Stairs Office City hall Book store Plaza in the city Kanda River
Concept
:敷地内のビル群は前述した建築要素を元に解体され、地域及びビル内の人々が緩やかに作用し合う。
解体ダイアグラム 構造ダイアグラム

:地域及びビル間の交流を促す。

地域の人、及び近くのオフィス街 への出張の人、秋葉原駅を利用す る人など様々な動線がある。

吹き抜け、及び小階段 でなだらかに繋がれる

DN 2F 1/500 aaʼ断面    ホテル棟の減築。

ホテル中の活動がテラス上に滲み出る。

ゴミ運搬船

川への視線

ホテルラウンジ

対岸と船の交通への視線

ステージ

階段と街中に向けられる視線

ex) ランジ、カフェ、休憩場、船着場、ステージ   1.5F 1/200

UP Hotel
町との
接 続
ホテル下からの眺め

道は開かれたビルと川の狭間に また続いてゆく。

元々はここは狭い店が並んでいたが、 広場とすることにより市民の活動の場が 増える

道より広場に接続する階段は腰などを休める 場所、広場の活動を眺める場所となる。

パース

鉄道橋下の減築。少しばかり中心的な役割をはたす。 ex) 大階段、運動場、ステージ、裏劇場。

階段と街中に向けられる視線

Plaza
連続する道 川への視線 裏劇場 橋脚
橋下広場
広場を横切って街に再び出る。
ごみ運搬船
:再び佐久間町内会の交流を促す。

閉じているオフィス内部は外 部に少し開かれたものとなる。

オフィス内部からはスラブ 上や川の活動を見える。

bbʼ 断面     オフィス棟の減築。

オフィス中の活動がテラス上に滲み出る。 ex) 社食やミーティングスペース、休憩場

2F 1/500 1F 1/200 Office UP 階段と街中に向けられる視線 社内広場 対岸ビル裏 屋形船 川への視線 社外食堂 満ち潮
ある日の通勤の動線
仕事する前に川でリフレッシュ
:地域及びビル間の交流を促す。

Activities caused by the slab and voids

船の活動を引き受ける。

このスラブ上では、船の乗船や 下船、また、川の活動を引き 受けることが可能になる。

様々な視点場が生まれる。

ビルの減築によって、様々な高さに おいて眺望が開ける。

このことによって、 みる・見られる関係が 多様な高度において実現される。

様々な動線が可能になり、川・街との接続が気軽になる。

今まで、川と街を隔てていたビルの減築により 人々の動線はこの敷地において多様なものとな また、それは街の動線も変化することを意味す 一番の近道を取ることが可能になったりする。

災害拠点

災害時においては、 水運の拠点となり、 また、それに接続される ホテルやオフィスはそのまま 避難所となる。

ビルのファサ ドも 環境に釣られて、 川を取り込むようにし て 変化していく。

ビルの減築、地面の操作により川を流れていた風 が市街地やビル内に入るようになる。 これは日光も同様である。 この結果、今までのビル内の活動環境も改善される。

A E D B F C
:これらアクティビティーは時間と共に地域の景色になっていく。
ビルのファサードの変化
風と光を取り込む
オフィスからの眺め 神田川は流れゆく中で広場・周辺の建物を巻き込み、 人々の生活に溶け込んでゆく。

流れゆく共同体

我々にとっての時間とは何か。

人々は違う時間軸の中で生きている。

都市も違う時間軸の中で存在している。

その時間軸が重なり合う所に建築はでき、 錯綜する時間軸の中で都市生活者に少し でも居場所や心の拠り所を与える。

「新しい集合住宅」 2020 +廊下 優秀賞
三年前期デザインスタジオⅢ

1.防火帯建築の時間

防火帯建築はその名の通り、防火・延焼などを防ぐために戦後日本で計画された。しかし、横浜関内では米軍の段階的な接収 解除などによりまとまった「面的」な防火建築帯の計画が困難であった。戦後の復興事業としての大きな流れとして出現した 防火帯建築が当時の姿のまま現代都市に残っている事は大変価値のある事だ。

2.吉田町の時間

吉田町は東海道が町を横断しており、開港当時では吉田橋に近い通りは商店、芝居小屋、料理屋やその他の商売の場所として 魅力のある場所であった。その中でも「吉田町通り」は「伊勢崎通り」と同じく劇場通りとして栄えていた。何度となく天災 や戦争で破壊され、その都度常に再建された。町内の建物も様々な年代に建てられたものが多く、吉田町は色々な時間が存在 している。

現代都市において、人々の活動は益々不安定なものになっている。かつてであれば、郊外の一軒家に住むことで「双六上がり」

などと言われていたように決まったライフスタイルがあったが、それが変わったからだ。変動するライフスタイルにより、都 市に住む人の定住時間は多種多様になっている。

50 m 1/1000 ~49 50~59 60~69 70~79 80~89 90~99 00~09 10~20 樹木(60~69)
3.居住者の時間
SITE
敷地リサーチ :三つの時間軸を持つ建築。

街の防火性から帯状へと なっていた。

Concept

戦後、多くの労働者が大都 会に流れ込み、住宅需要が 跳ね上がった。

:様々な人、コミュニティーの時間が交差する立体路地

吉田町において、様々な流れゆく時間が交差している。その交差し ている所に位置する防火帯建築には「コモンズ」があり、そこに現 代を生きる人々は居場所を見つけることができるのではないかと考 えた。

しかし、現状ではでは間取りや建築形式が固定的であるため、変動 する(時間の流れの中で)ライフスタイルを持っている都市生活者 のために、建物をリノベーションし、流れゆく新しい「コモンズ」 を設計する。

防火帯建築は一生の中での特別な経験となる。

建設当初から、コンクリー トブロックなどの材料で壁 を作り、変化に備ていた。

それそれの時間軸を持つ人

防火帯建築はその土地管理 や権利の関係上、住民たち が協力しあったり、お互い を意識していた。

流れゆく廊下・路地の中でそれぞれの時間軸が交差する。

:様々な存在意義を存在を持つ建築。
吉田町防火帯建築 帯 都市生活者への供給 可変性
共同体

Diagram

:街から道がそのまま入り込み、溜まり場を作る。

今までの防火帯建築は、裏・表がはっきりしており、また内 側に閉じこもっていた。その長さの故に街(大通りと裏側 の小道)を隔てていた。

しかし現在、この防火帯建築の圧迫感を消し、街ゆく人と 居住者、防火帯建築と周囲の街をゆるやかに繋ぎ、この歴 史的建造物を市民の生活や日々の時間軸の中にさりげな く置くことが求められる。

そのため、一階・二階部分のリノベーションでは視覚的・動 線的な繋がりをできるだけ意識している。

街から通り抜ける動線 今までの防火帯建築では帯であるが故に 街区を通り抜けないものとなっていた。

再び豊かな通りへ 昔は賑わっていた大通りだが、現在は鉄道開通などにより活気がなくなっている。 防火帯建築の内部動線が活性化することで、もう一度賑わっていく。

福富西公園 大岡川 福富町
吉田町大通り
House House House house store store store house house store plaza plaza store store house store store house plaza □敷地内のプログラム

How to change?

昔の防火帯建築は通りを歩き、階段を登って大変長い半屋外の廊 下を通って家に着くと言うことが繰り返されていた。

その廊下では住民のシャンプーの匂いがしたり、窓からかすかに 溢れる光によってのみ他住民の存在を感じていた。

この記憶を留めながら廊下を立体路地にし、生活が混ざり合うよ うに設計した。

E/V E/V Site pan and 1F plan Old plan New plan
通りぬけ 通りぬけ 通りぬけ 老舗精肉店へと向かう 2階へと向かう 吉田町大通り 福富西公園 野毛 関内 1/600

ピロティ空間を横切る通路

建物の中の活動と外部空間が交わる

:各層を立体路地が貫き、居場所が形成されてゆく。

階段裏劇場

地域住民がギャラリーの準備に使用したり、小さな催しに利用する。

全層を貫く吹き抜け 公園に開かれたカフェ

2F plan

上下階を繋ぐ吹き抜け

住民の気配を感じることができる。

ギャラリーと屋上を繋ぐ大階段

3F plan

4F plan

屋上天窓 下にあるギャラリー、大空間の採光を考えて天窓を設ける。 ここから中の活動を垣間見ることもできる。

屋上公園 今まで活用されていなかった屋上を街の人に開き、みんなの空間として使う

RF plan

3棟を繋ぐ屋根 屋上空間を歩けるようにし、また防火帯建築の帯としての 性格を感じさせる。 RF

E/V E/V E/V E/V E/V E/V E/V E/V
Floor plan 1/600

The difference of the flow experience

before after

:防火帯建築は連続的な体験をもって、街の一部となっていく。

古いプランでは同じ風景が続くだけであったが、リノベーション後は廊下ー路地空間ーを経て、様々な風景を体験する。

廊下の途中に突如現れる溜まり場 住民同士が談話をしたり、また住民が開 く音楽教室が開催される

原風景 人々は立体廊下の存在を感じることがで きる。

住民が使わないキッチン 住民が頻繁に使わないキッチンを部屋の 外に出していることで、この場は共同キッ チンとなる。このように、立体廊下の役 割は住民によって左右される。

階段廊下 平面的な繋がりだけではなく、立体的な 繋がりを付加させ、上下の階の人の気配 を感じる。

狭い廊下と一面の窓

防火帯建築の中にいながら、街を感じる ことができる。このことは防火帯建築の 価値を再認識する。

公園廊下 この大空間は過密都市の中において、 貴重な広場、オアシスとなる。現代 の防火帯建築はそのような役割をも 持つべきである。

異なる視点から街と建築を見る

街へと放り出された立体廊下は都市 の一部となり、自分たちが住んでい

る街を再認識する。また、防火帯建 築の街の中での見え方も変わる。

ゲリラ講義 優しい社会人が大学生にパソコンの使い 方を教えている。

防火帯企画展 立体廊下は突如として、住民や街ゆく人 の表現の場となることがある。ここでは 防火帯建築にて知り合った芸術大学生と 画家が個展を開いている。

賑やかな所と静かな所が緩やかに繋がる

少し静けたこの場所は住民にプライバシーを与 える。また、バルコニーから公園を眺められる。

自然を感じる廊下 外の空気や自然を感じられる半屋外。

The future of the building

室 から出て廊下を通して部屋に入 る 流れである。全室外の廊下が路 地 の延長とされ、動線が単純で空 間 的変化が見られない。

既存の壁や設備などの中、記 憶 を思い浮かべるものにヒエラル キ ーをおいて残す

長期滞在世帯は子供が成長して 子どもだけの部屋が必要になる  中期滞在の人が出て短期滞在 用 の部屋ができる

新しい壁や設備などを入れて 新 しい路地を作り、住民たちのコ ミ ュニケーションの空間を作る

長期滞在世帯の子共が大人に な って部屋が余り、短期の部屋と し て変わる

中期滞在の人たちが出て長期 滞 在の人や短期滞在用の部屋また は 住民のアトリエや店として変わる

1/500 立面図
元々の時間を残す 新しい時間を入れる
6ヶ月後 3年後 10年後 短期滞在の人たちが出て 中期滞在の人が入る
元々の建築は片廊下式で階段

4: 廊下

5: 廊下より溜まり場をみる

6: 階段より、大空間を望む

7: 街路より覗く

1: 屋上では今まで活用されていなかったスペースが生かされ、住民及び街をゆく人々の交流の場となる

2: 建物内を路地・廊下はここで大空間に代わり、たまり場が様々な高さにて形成される。

3: 吉田町で働く人が仕事終わりに訪れたり、この防火帯建築に住むアーティストが自分の作品を発表する。

変わりゆく立体路地と壁によって、絶えることなく変化していく

吉田町防火帯建築と住居者たちの生活・コミュニティーはその存在を消されることなく
1/500 立面図 1 2 6 7 4 5 3

a:「今日どこの図書館にいく?」

b:「俺はメインストリートの方行こうかなあ。」

c:「私は裏の方行くよ!」

「あ、その前に建築学棟の方で本借りるかも。」

a:「了解!じゃあとで帰る時野音で集合で!」

+中央広場 +道
三年後期デザインスタジオⅠ 「私たちのキャンパスの図書館」 2020
滲み

1.ゴルフ場の改修による豊かな地形

横浜国立大学の敷地は元々保土ヶ谷カントリー倶楽部のゴルフ場であった。

そのために、ゴルフ場の起伏ある地形が継承されている。学生はこの豊かな 地形を身体的な体験として獲得してる。

2.メインストリートを主軸とするキャンパスデザイン

4.「増築」と「改修」による建物の変化

これまでにいくつものキャンパスデザインのフェーズを経ているが、それらは概 ねメインストリートに向けて、建物内の活動の滲み出しを目的とした既存の建物 の増築・改築であると感じる。

5.「野音」 中央野外音楽堂

このメインストリートから少し脇にそれたすり鉢状の広場は学生の学内生活の リズムに大きく組み込まれている。

3.群造形としての植生と建造物

キャンパス内においては、宮脇方式の森林設計により計画された植生の中に、 ある一定の様相を持った建築物群が散在している。

Research about Site Research about Library

図書館は時代と共にその役割を変化させてきた。これからの図書館はどのような場になっていくのだろうか?

上流階層のみに開かれ、本 を保管するためだけの場所

大衆に開かれ、閲覧機能も 付加した場所

閲覧・保存の機能以外に様々な公共 機能が入ってくるようになった。

そのような多様な機能が建物内だけに 閉じ込められるのではなく、周辺環境 へと活動が滲み出る図書館

Concept

・回廊状の空間では、図書館の中の活動 と野音などでの活動が相互に混ざり合う 場所である。

また建物間を緩やかに繋ぐ空間でもある。

・メインストリート、 または野音からの人の 流れ を引き込む。 ・スラブの重なりとズ レにより、 ・所々に地形を生かし たオープンスペースを 計画する。

図書館→野音 ・今まで図書館の建物内で行われてきた 活動、例えば本を読む、本を探す、勉強 するという行為は野音などの庭での活動 を感じながら行われる。 また、その活動は時として野音にはみ出 す。

野音→図書館

・今まで野音で行われてきた活動、例え ば友達と一緒に弁当を食べる、サークル 活動をするという行為は回廊の屋根の下 で行われたり、図書館という大学の知を 感じながら行われる。

野音の裏側に位置するこの建物はその場 所に元々あった静けさを利用し、より知 と向き合える場所とした。

息抜きに野音へ連続したテラスで野音 (庭)の活動を感じることができる。

ここでの庭の定義は 下記の通りである。

・野外音楽堂 ・メインストリート ・図書館敷地内の散在 するオープンスペー ス

図書館はもはや本を所蔵する場所だけではない。

人々が知を探検し、分かち合う場。

その中でも一人で向き合う人やグループで向き合う人双方を許容する場。

大学内での異なる学部や学科の人々が空間を共有する場。

また、友達とお話をしたり、

大学の中の様々な活動が混ざり合っているのである。 つまり、庭園のような、中庭にような場所になっていると思う。

一方で、野外音楽堂はまさしく大学内の庭であり、様々な学生活動が行われている。 ここで、従来の図書館と庭(野音)を一体にし、メインストリートとも緩やかに繋ぐ場を設計する。 庭(オープンスペースや溜まり場)は野音だけではなく、様々な所に群在するものとなる。 その庭の中で人々はそれぞれの居場所を見つけ、その活動が庭の活動として滲み出す。

回廊 庭 表図書館
図書庭園
裏図書館
:表、裏、道、またはその間に。

Master plan

:図書庭園は連続的な体験をもって、メインストリートや野音と一体化していく。

今までハコモノであった図書館は周りの環境と溶け合い、庭のような空間で知の探求や他人との交流を深めていくことができる。

ストリートに寄り添う

横国を歩いていると、ストリートに対して人々の溜まり場を許容するよう な大階段・フォリー・アゴラがある。図書庭園もそのようなものと大きさ は違えど同じ立場である。

研究イノベーションエリアと繋がる 今まで森の奥へと隠れていた研究エリアは新たにできた動線により 学生にとって身近な場所になる。

食堂と繋がる第2のストリート メインストリート メインストリート

建築学棟が開かれる

メインストリートは建築学等内を通り、 一階分下がって野音と繋がる。

野音に寄り添う

散在する溜まり場(=図書庭園)は野音・メインストリート等を媒介として相互に関係し合うものとなる。

野音裏と繋がる 新たにできた動線により、野音裏のこの場 所はもうひとつの溜まり場となる。

都市科学部7号館 大階段 経済学部7号館
インフォメーション フォリー 工学部研究棟
工学部研究棟
教育学部6号館 大階段 ③
アゴラ
アゴラ
フォリー
野音と一体化した図書館と回廊
Diagram :道と溜まり場の連続的な発見。

Plan

:引き込んだ道は様々な溜まり場へと変化する。

メインストリート、野音から引き込んだ道は途切れることなく、吹き抜けなどの開放的な場所に集まる。

裏溜まり場 裏道に面し、落ち着いた雰囲気の中勉 学に励むことができる場

静かな溜まり場 三層にわたる繋がりの中で、他人の気配を 感じながらも自らの学びに没頭できる場

サンクン広場

サンクン広場へと抜ける視線

表溜まり場 メインストリートの近くに位置し、道歩く人を見 ながら、他人の学びにも触れることができる場

メインストリートへと抜ける視線

ホール

吹き抜けへと抜ける視線

ホールと連続し、一体的な空間

開架書架 中庭
3階へと続く動線 中庭を突き抜け 、食堂へ向かう動線 1/400 2F

:流動的な空間

溜まり場は吹き抜けがある端部にあり、書架は建物真ん中部 分に集められる。

こうすることで、利用者は知の倉庫としての大学図書館を意 識し、周囲の環境を感じ、また本は日当たりから守られる事 ができる。

吹き抜ける大空間

小さな溜まり場 吹き抜ける場所は学生の

小さな溜まり場 中庭は3方向からアクセスできる。 メインストリートから少し離れた奥にあり、流れる道の中で 人々の憩いの場になっている。

屋上庭園 屋根はひと繋がりの動線の終わりにある。野音とメインスト リートを異なる高さから見られるもうひとつの溜まり場で ある。

迎え入れる斜面 動線は引き込まれ、人々は庇と大階段によって、 中に導かれる。階段の上にも活動が生まれる。

書庫 開架書架 カフェ 倉庫 開架書架 知 溜まり場 溜まり場 溜まり場 平面 断面
Diagram Section 中庭 屋根
大階段
1/1000 3F 1/1000 RF 1/1000 1F
Plan
テラス テラス
1/200 断面図

:野音の一部となる

古いプランでは建築学棟はメインストリートに対しては開かれていたが、野音に対して閉じていた。計画後では、メインストリートから建築学棟内を通り野音に 出る動線はひと繋がりのものとなる。またアゴラによって野音裏や裏道からのアプローチがしやすくなる。

中央広場から一歩入る と、壁や本棚に囲まれ た静かな場所が現れる

企画展 建築学科の学生たちの模型展示などがされる。 ここで興味を持った歩行者は下階の建築図書 館に降り、書物を読むことができる。

Plan
回廊
野音へと抜ける視線
中央広場(野音) 野音へと抜ける視線 1/1000  1F 建築図書館 1/400 2F

:広場とのささやかな繋がりの中で知を探求する

古いプランでは建築学棟はメインストリートに対しては開かれていたが、野音に対して閉じていた。計画後では、メインストリートから建築学棟内を通り野音に 出る動線はひと繋がりのものとなる。またアゴラによって野音裏や裏道からのアプローチがしやすくなる。

野音と回廊へと抜ける視線

ここでは中央広場と近いにもかかわらず、静かな学びが許容される。

裏道へと抜ける視線

裏溜まり場 野音裏の静かな場所を利用して、自らの知を探求する場

Plan
野外劇場 開架書架
開架書架 テラス架 中央広場(野音)
1/1000  RF 裏図書館 1/1000  1F 開架書架 1/400 2F

Section

このようにして、野音は図書館と一体になる。様々な人が自分の好きな場所で過ごせる。

1/800 断面図 森の中に伸びていく野音閲覧室

人々は道を通り、図書館に入る。 また、別の人々は野音を感じながら裏図書館へと向かう。

こうして、図書庭園は変わりゆく動線・相互関係の中で日 常生活の中に溶け込む。

昨年からのコロナ禍に生きる私たちは、感染拡大防止策・感染予防が最 優先となる社会の中で、行動にさまざまな制約がかけられています。 生活が管理される中で、その必要性は理解しつつも抑圧状態にあると言 えるでしょう。特殊な状況下においては、多様性が削がれ、問われてい たはずのさまざまな課題も影を潜めてしまう、忘却という名の淘汰が起 きているようにも思います。

ル・コルビュジエが著した『人間の家』(1942年発表、F・ド・ピエー ルフウと共著。鹿島出版会、1977年)では、第二次世界大戦中の疎開 先から、ナチスに破壊されたパリの街をいかに再建するかという意欲的 な都市計画案が示されました。

私たちも、このコロナ禍において、その先にある本質的でポジティブな 提案を考え、投げかけることが大切なのではないでしょうか。

そこで、今回のテーマを「人間の家」としました。

身の回りの設えや、街の理想的なあり方でもよいでしょうし、制度的な 提案になるかもしれません。これまでの家の枠組みを大きく超えて、幅 広く考えてみてください。

みなさんの提案をお待ちしています。

第48回日新工業建築設計競技 「人間の家」 一等賞
N10234 思 た な 風 呂 が 欲 し い と は 思 た に 座 り た い と な そ れ ぞ れ が 思 た は ど ん ど ん 広 く な た 世 界 も 広 く な た 人 間 て な ん だ ろ う 自 ら 考 え 、 自 ら も の を 作 り 出 す 家 て な ん だ ろ う 人 間 の 家 は 生 活 の カ タ チ そ の も の 色 と り ど り の 人 間 が い る よ う に 色 と り ど り の 空 間 が あ る 。 ア リ が 自 分 で 巣 を 広 げ て い く よ う に ヒ ト も 自 分 で 家 を 広 げ て い け た な ら れ る の だ ろ う 。 家 の カ タ チ の カ タ チ カ タ ド リ 暮 ら し

Others, Personal works

光、音楽と連動するイスの構想 中が空洞なため、音響効果が向上している。 ボルドーの家模写 音楽活動
大桟橋ホール卒制展示会

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