令和５年京都環境賞特別賞
時間：2023.04.01- 2023.05.05
設計：姚 暁嵐、劉 大可、 Martin張
位置：京都北区(岩井木材における焼失京町家の位置)
今宮神社の神幸祭は、平安時代に遡る「紫野御霊会」に起源を持 ち、そして「西陣の祭」として、現在まで続く由緒ある祭礼である。
COVID-19 の影響により、3年間の中断を経 て、2023年5月5日に再 開された。北区紫野雲林院町に位置する岩井木材株式会社は、明治中 期に建てられた伝統的な京町家の建物であり、材木業を営まれている 会社である。また、岩井木材では、今宮神幸祭の際に、神輿が御旅所 へ渡御する経路上に休憩所を設置する伝統があった。
しかし、2022年11月17日の夜、岩井木材敷地内の木造平屋建ての 京町家1棟（約320平方メートル）から出火、全焼し、さらに保管さ れていた木材もほとんどが焼失した。
焼損木材の再利用を目的とした神幸祭休憩場の構築。
紫野雲林院町を調査した結果、多くの家庭が家の前にベンチを設置 しており、これが日常的なご近所交流の重要な手段となっていること が分かった。私たちはまた、大工さんや近隣住民を訪問し、設計にお ける構造や材料の使用方法についての意見を伺った。この過程を通じ て、実践的な技術や木材に関する知識を豊富に得ることができた。
このような状況を踏まえ、休憩場のデザインコンセプトを「若竹の 庭」と決めした。舁き手(神輿を担ぐ人)の休憩が終わると、この場 所は近隣住民や旅行者たちが交流し、祭りを観賞する場としての役割 を果たす。
地域の自然材料を最大限活用した。① 木材：床材やベンチには、岩 井木材から提供していただいた焼損木材を使用した。② 石：焼失し た建物の基礎部分に残っていた石を、景観づくりに活用した。③ 苔： 京北における木工場所有者の許可を得て、山苔スナゴケ、ヒジキゴケ、 ホソバオキナゴケを採取した。イベント終了後も既存の環境に負担が かからない。④ 竹：大学の許可を得て、京都大学桂キャンパス敷地 内の山 から竹を採取し、造景材料として用いた。
西陣·今宮神社·一文字屋和輔(最古の老舗)に調べると、ベンチを設置しており、こ れが日常的なご近所交流の重要な手段となっていることが分かった。子供と大人の人 体寸法が異なるため、制作中に設計を調整し、より快適に憩いを楽しむことが目指す。
焼損した材料の炭を除去するために、工場で磨き上げ作業を行った。その後、木材に切り込 みを入れ、組み合わせてベンチを作成した。里山の景観調査を5回以上に行い、森林学専攻 の知識を活用し、現地で育成方法を考えながら、設計ドラフトと景観ディテールを作った。
戎橋公衆トイレデザイン·建築設計公募型コンペティション
時間：2022.11- 2022.12
位置：大阪戎橋 設計：多和良屋、姚 暁嵐
大阪を代表する繁華街であり、観光スポットでもある道頓堀界隈。約百年前 の道頓堀 と現在の道頓堀では、建物の形や歩く人々の服装は大きく異なります が、ハレの日を演 出するように様々な広告物が過剰に並び、そのなかで人々が 楽しそうに散策する様子は 変わりません。それは、安井道頓が道頓堀を開削し、 安井道トが完成させたうえで芝居 町を移転させたときからずっと続いてきた、 この場所の変わらない風景だと思います。
この道頓堀の風景を大切にして、万華鏡の一種であり、外の風景から模様が 生まれる テレイドスコープのように、周囲の風景を反射したり、屈折したり、 拡散させたりしな がら映し出す公衆トイレの提案です。派手な建物や屋外広告 物はもちろん、ハレの日を 楽しむ着飾った人々の行きかう姿まで含めての道頓 堀を感じ、より魅力的なものとする、
公衆トイレの空間を作りたいと考えます。
デジタルサイネージやAR等の技術の発達や、この場所に集まる店舗構成の 推移や社会 情勢の変化などにより、この先の百年も道頓堀の風景はどんどん変 わっていくでしょう。
·反射性の素材によるトイレボリュームを、ガラスブ リックによる壁で覆い、便房上部 はガラスブロック による天窓を設置することにより、周辺の風景を 拡散させながら取り 込み、抽象的に映し出します。
·敷地は道頓堀に架かる戎橋のたもと、芝居小屋や茶屋へ向かう道すがらに位置します。
此岸 と彼岸を繋ぐという橋の文化的意味も大切にし、その境界部分で、透過性や反射性 のある素 材を纏うことにより、夢か現か幻か、曖昧な世界を作り出し、ハレの日の高揚 感を演出します。
