P3
P4
THE SOUND OF DESIGN
カール・ハンセン & サンのデザイン作品には、それぞれに大切なストーリーがあります。 デンマークデザインの黄金期の作品から、現代の才能が生み出した作品まで、そのひと つひとつが、クラフトマンシップとイノベーションを融合させ、時を超えた一つの家具 を創り上げるという、先見性のあるデザイナーの決意を物語っているのです。家具が私 たちの工場から出荷され、住宅やビジネス空間に置かれたとき、そこからまったく新し いストーリーが始まります。
本ページ以降では、私たちが作り出すものにまつわるエピソードをご紹介します。カール・ ハンセン&サンのデザイン作品に生かされている伝統的な手仕事の技法について、デン マークの有名な建築家ヴィルヘルム・ラウリッツェンとその功績について、また、木材が もたらすウェルビーングについてなど、100 年以上にわたるクリエイティビティとクラフ トマンシップ、そして美の追求へのこだわりを反映したストーリーをセレクトしました。 ようこそ、STORYTELLER へ。
ヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツの創立 100 周年を記念して、巨匠ヴィル ヘルム・ラウリッツェンが手がけた作品が登場します。デンマークの有名文化施設のた めに製作された家具をカール・ハンセン & サンから発売できることを光栄に思います。
ヴィルヘルム・ラウリッツェンは、世界的に著名な建築家であり、デンマーク機能主義 のパイオニアです。ヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツが 2022 年に創立 100 周年を迎えるにあたり、デンマークの有名な文化施設であるラジオハウスとコンサート ホール Vega のために製作された家具をカール・ハンセン & サンから発売することになり ました。ラウリッツェン作品の優れた機能性を示す好例と言えるラジオハウスとコンサー トホール Vega、そしてラウリッツェンのデンマーク家具デザインへの貢献に敬意を表し、 Foyer シリーズと Vega チェアが再登場します。
Radiohuset ラジオハウス
ヴィルヘルム・ラウリッツェンの代表作のひとつがラジオハウス(1945 年)です。家具、 ドアハンドル、そしてモダニズムのスタイルまで、ラウリッツェンが総合的に構想した トータルデザインとして、現在では遺産として登録されています。また、ラジオハウスは、 ホワイエ、コンサートホール、オフィスなど、さまざまな機能を建物そのものの形で表 現した機能主義の最も完成度の高い例として現在も評価されています。ファサードには 耐久性のある砂岩、内部にはグリーンランド産の大理石、真鍮、チーク材が使われ、ホ ワイエの天井はミネラルウールに牛革が張られています。ラジオハウスの廊下には今も、 デンマーク王立音楽院の学生たちが奏でる音楽が流れています。
P6
VLA26 Vega Chair
VLA26 Vega チェア
1894 年 9 月 10 日、ヴィルヘルム・ラウリッツェンはデンマークのスレイーズという町 で生まれました。ソールにある高校(Sorø Akademi)を 1912 年に、コペンハーゲンの王 立芸術アカデミーの建築学部を 1921 年に卒業し、その翌年、タイネストゥン・ヴィルヘ ルム・ラウリッツェン(Tegnestuen Vilhelm Lauritzen)、現在のヴィルヘルム・ラウリッツェ ン・ アーキテクツ(Vilhelm Lauritzen Architects)を設立しました。ラウリッツェンの才 能はインテリアデザインにも発揮され、彼はそのキャリアにおいて、ドアハンドル、灰皿、 手すり、ランプ、ソファ、椅子など、あらゆるものを手がけました。
ヴィルヘルム・ラウリッツェンは、コンサートホール Vega のための VLA26 Vega チェア をはじめ、細部まで考え抜かれたモダニズムの名作を数多く世に送り出しました。これ までこの歴史あるコンサートホール Vega でしか使われていなかった椅子が、2022 年に 創立 100 周年を迎えるヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツ(Vilhelm Lauritzen Architects)とのパートナーシップのもと、カール・ハンセン&サンで製作されることに なりました。VLA26 Vega チェアは、スチールと木材にファブリックまたはレザーがエレ ガントに組み合わせたスタッキングが可能な椅子です。座面と背もたれの精巧な張地が 細身で洗練された印象を与えます。よりミニマルな外観を追求した張地なしのバージョ ンでは、FSC® 認証を受けたオーク材の感触を十分に味わえます。VLA26 Vega チェアは、 シンプルなデザインに木製の脚先で上品な仕上がりとなっています。
P7 “VLA26 Vega チェアはデンマークのデザインの最高傑作です。そこにはヴィルヘルム・ ラウリッツェンの真髄が表れています。さりげなくシンプルで時代を超越した機能主義 のデザインでありながら、非常にはっきりとした特徴があります。この椅子は、ラウリッ ツェンらしい妥協のないディテールと、極めて優れたバランス、そして最高の座り心地 を備えています” アン・モラー・ソレンセン ヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツ パートナー
P10
“Foyer シリーズには、上質でシンプルなデンマークデザインが、ヴィルヘルム・ラウリッ ツェン独自のデザイン手法で表現されています。私たちはカール・ハンセン&サンとと もに、タイムレスなオリジナルデザインを保ちつつ、このシリーズを今の時代にふさわ しいものにしようと取り組んできました。これは一生ものの家具なのです” アン・モラー・ソレンセン ヴィルヘルム・ラウリッツェン・アーキテクツ パートナー
P11 Foyer Series Foyer シリーズ ヴィルヘルム・ラウリッツェンは、デンマーク国営放送局(Danmarks Radio)のために コペンハーゲンのラジオハウス(Radiohuset、1945 年)を設計しました。ラウリッツェ ンは、この歴史的建造物内部のすべての家具と照明を特別に製作し、壮麗なホワイエの ために Foyer シリーズをデザインしました。VLA77 Foyer ベンチ、VLA76 Foyer ラウンジ チェア、VLA75 Foyer ソファで構成されるこの家具シリーズが、ヴィルヘルム・ラウリッ ツェン・アーキテクツ(Vilhelm Lauritzen Architects)との密接な協働により、初めて多 くの人にお使いいただけるようになりました。オリジナルのデザインに敬意を表して登 場する Foyer シリーズには、FSC® 認証を受けたオーク材と天然皮革の張地が使用されて います。
の相互作用を生み出していることが特徴です。また、真鍮のネジとエレガントな革張りで、 丁寧に仕上げられています。座面や背もたれには手仕事により作られたボタンが施され、 その張り込みには手間のかかる精密な作業と職人技が要求されます。3 つのパーツから成 るソファとチェアのアームレストと脚は、継ぎ目が目立たないよう細心の注意を払って 手作業で磨き上げられています。このシリーズのスタイルは繊細ですが、そのデザイン の核となるものは、柔らかな座面と背もたれによる心地よさです。
ジョン・ポーソンの禅を感じさせるサンクチュアリ内部
イギリス、オックスフォードシャー州 著名な建築デザイナーであるジョン・ポーソンが、イギリスの田園地帯にある 17 世紀の 農家の建物群を改築することになったときのことです。このプロジェクトはポーソンに とって、自分自身のために設計するという点でいつも以上に難しいものとなりました。 ポーソンが手がける禅的な空間は、余分なものをそぎ落とし、徹底してシンプルさを追 求したミニマリズムの代表作として知られています。彼はこの田舎の隠れ家をセカンド ハウスとしてだけでなく、自身のミニマリズムの理念を表現する場所として位置付け、 これまでのキャリアで培ったアイデアを活かし、老朽化した建物を 6 年の歳月をかけて シンプルを追求した空間へと変貌させたのです。室内は漆喰の壁にエルム材のフローリ ング、むき出しの石材に木の梁など、自然素材の魅力を最大限に引き出した、落ち着き のあるインテリアに仕上げられています。また、家具の数を極力減らし、数多く配置す る家具はハンス J. ウェグナーの CH24(Y チェア)のみとしました。ホームファーム内の いくつもの部屋にエルム材の CH24 を置くことを、ポーソンは「迷うことなく決めた」と 話しています。納屋は、吹き抜けの天井と大開口窓のある修道院風のキッチンスペースで、 そこには長いダイニングテーブルとその周りに整然と並べられた 6 脚の CH24 があるだ けです。別の部屋には、アームチェアやデスクチェアとして CH24 が置かれています。「物 がない方が好きなので、家具は少なければ少ない方がいいのです」とポーソンは言います。 「私にとって、CH24 は間違いなく史上最高の椅子です。このチェアは、まさに究極のミ ニマリズムといえるでしょう」。
P16 “CH24 を初めて目にしたときのことはよく覚えています。その軽さと丈夫さ、表情豊か な美しい曲線、そして誰もが美しく腰掛けられることに衝撃を受けたのです。この椅子 には改良の余地などないのです” ジョン・ポーソン
P17 “今年は、私がカール・ハンセン&サンの CEO に就任してから 20 年目にあたります。こ の 20 年の間に、収益は 9 億デンマーククローネ以上増加し、わずか 50 名だった従業員 はデンマーク国内で約 600 名に、ベトナムでも同数を抱えるまでになりました。また、フュ ン島の工場は 3,000 ㎡から 50,000 ㎡へと拡大しました。私は、従業員と共に歩んでき たこの道のりを非常に誇りに思っています” クヌッド・エリック・ハンセン カール・ハンセン & サン CEO
P20 A CENTURY OF CRAFT THE CRAFT
サンの家具を作り上げるクラフトマンシップと伝統的な製作
技術を用い、ひとつひとつ丁寧に仕上げられています。技法や技術にはそれぞれに用途 がある一方で、中にはそれらのテクニックを装飾的に活用するデザイナーもいます。ハ ンス J. ウェグナーは、多くの椅子の背もたれにエレガントな十字型のカバーキャップを 取り付け、装飾的にネジが見えないように仕上げました。また、ボーエ・モーエンセンは、 家具の接合部にコントラストがある木材を使いアクセントをつけています。ウェグナー やモーエンセンは、こうした技術を用いることで細部までも美しくすることができるこ とを証明したのです。
P21 Weaving 編み込み
P23
Upholstery
椅子張り
P24 Børge Mogensen
Asserbo Series
ボーエ・モーエンセン アッセルボシリーズ
数百年にわたりデンマークの職人技術の基盤となっているのが編み込みです。18 世紀のデ ンマークの椅子の座面には藁を撚ったものが使われ、19 世紀には籐が使われるようになり ました。しかしながら、第二次世界大戦の戦中戦後の物資不足を背景に、ハンス J. ウェグナー をはじめとするデザイナーたちは、より入手しやすい素材を探し求めるようになりました。
こうして誕生したのが、今やデニッシュモダンを代表する天然素材となったペーパーコー ドです。現在カール・ハンセン & サンでは、スウェーデンの持続可能な森林から調達さ れたペーパーコードを使用しています。その強度から高く評価されているこの素材を、 私たちの工場では様々なスタイルに手作業で編み込んでいます。
家具のフォルムと機能において、椅子張りは重要な役割を担っています。縫い目のステッ チや背もたれのタフティングなど、実用的な技術が製品の個性を際立たせているのです。 私たちのデザイナーは、椅子張りに対してそれぞれ独自のアプローチをしています。ボー エ・モーエンセンやコーア・クリントは、時の経過により伸びた革を簡単に引き締めら れるサドルレザーを椅子の座面に使用することを好みました。また、装飾的なステッチ やトリムにこだわるデザイナーもいました。こうした高度な技術を要する作業には、根 気と鍛錬、そして素材に対する深い理解が必要です。ハンス J. ウェグナーの CH78 ママ・ ベアチェアやコーア・クリントの作品の多くなど、歴史的なデザイン作品の中には、完 全にハンドステッチで仕上げなければならない部分があるものもあります。なお、これ らの張地を施した製品のフレームには、最高の土台である無垢の木材を使用しています。
ボーエ・モーエンセンのアッセルボシリーズは、ダークオイル仕上げの無垢のユーカリ 材を使用したミニマルで一貫性のあるデザインの家具シリーズです。BM0698 アッセル ボ・テーブルと BM0699-700 アッセルボ・ベンチ(背もたれは、本体と一体となった固 定式とウォールマウント式の2種類)は共に丸みを帯びたフォルムと真鍮製のネジが特 徴で、シェーカースタイルを思わせる飾らない美しさがあります。
モーエンセンは、既成のデザイン概念にとらわれず、自身が「ワークショップ」と呼ぶ 手法で実用性の高い家具のデザインに取り組みました。デンマークのアッセルボに所有 する自身の別荘のためにデザインしたこのアッセルボシリーズも例外ではありません。
ボーエ・モーエンセンが目指したのは、デンマークデザインの核となる概念に基づいた、 プライベートな空間やパブリックな空間のためのシンプルで機能的な木製家具をデザイン することでした。モーエンセンは無垢材(特にオーク材、パイン材、ビーチ材)と革の組 み合わせにこだわり、余計な装飾を排した作品を生涯にわたって発表し続けました。1934 年に家具職人としての修行を終えたモーエンセンは、コペンハーゲン美術工芸学校とデン マーク王立芸術アカデミーで家具デザインを学びます。アカデミーではコーア・クリント に師事し、クリントのストレートなデザインアプローチに刺激を受けました。クリントと モーエンセンはともに、優れたデザインとは落ち着きと使いやすさが感じられるものだと 考えていましたが、モーエンセンはとりわけプライベートな室内空間のための家具のデザ インに重きを置いていました。後年、モーエンセンは王立芸術アカデミーでデザインの教 鞭を執り、コペンハーゲン家具職人ギルド展にも出展しています。1972 年に他界する直 前には、ロンドンの王立芸術協会の名誉ロイヤル・デザイナーに任命されました。 P26 FH38 Windsor Chair FH38 Windsor チェア ウィンザーチェアは、1938 年にデンマークの家具職人フリッツ・ヘニングセンによりデ ザインされました。カール・ハンセン&サンにおいて 2003 年まで継続して生産されて いたこのクラシックなチェアが、快適なシートクッションをオプションに加えて復刻さ れました。FH38 Windsor チェアは、18 世紀初頭にイギリスで誕生したこの椅子の原型が そうであったように、今日でも斬新な作品です。卓越した製作技術を要するこの椅子の 随所に、職人のこだわりと高みを目指した挑戦が見受けられます。
FH38 Windsor チェアの肘掛け上部の有機的なラインと木材と木材のジョイント部には、 「フィールテスト」と呼ばれる方法の手作業によるサンディングが施されています。この 工程により、一点一点が唯一無二の存在で美しい外観であるだけでなく、長きにわたり 培われてきた伝統的な職人の技が光る作品となっています。
Frits Henningsen フリッツ・ヘニングセン
P27 Preben Fabricius & Jørgen Kastholm プレーベン・ファブリシャス & ヨルゲン・カストホルム
フリッツ・ヘニングセンは、妥協を許さぬデザイナーとして知られ、質の高いクラフト マンシップを重視し、家具職人には珍しく常に自らデザインを手がけていました。また、 コペンハーゲン家具職人組合のメンバーとして当時の家具展示会を牽引し、完璧主義的 なスタイルと活気ある人柄で高く評価されていました。ヘニングセンはフランスの帝政 様式やロココ様式、17 世紀のイギリスの家具などからインスピレーションを得て、伝統 的なデザインに新たな息吹を吹き込みました。
1952 年、プレーベン・ファブリシャスは当時もっとも卓越した家具職人として名を馳せた、 ニルス・ボッダーの元で修業を積みました。また、ヨルゲン・カストホルムはアメリカ での数年間の留学を終えて 19 歳のときにデンマークに戻り、父親の元で金属職人として の修行を積みました。その後二人はインテリアデザインスクールにおいて引き続き学ぶ ことを決意します。そして 1961 年、ファブリシャスとカストホルムは共同でデザインス タジオを設立しました。スタジオでは木製の家具に加え、カストホルムの金属職人とし ての経験を生かしてスチールやレザーの家具のデザインも手がけました。彼らは、ハン ス J. ウェグナーやアルネ・ヤコブセンといったデンマークデザイン界の巨匠だけでなく、 チャールズ&レイ・イームズやミース・ファン・デル・ローエといった国際的なデザイナー からもインスピレーションを得ていました。家具と戸建て住宅を専門としていたこのデ ザインデュオは、ミニマリズム、洗練、機能性、品質、そして細部へのこだわりがデザ インの特徴となっています。プレベン・ファブリシャスとヨルゲン・カストホルムのデ ザイン作品は、ニューヨークの MoMA やパリのルーブル美術館など、世界中の美術館や デザインセンターで目にすることができます。
Fabricus & Kastholm
FK63 Bookcase System ファブリシャス&カストホルム FK63 ブックケースシステム
機能的で美しいオブジェを自由にディスプレイできるようデザインされた FK63 ブック ケースシステムは、その際立つ存在感で空間を一変させます。1963 年にプレーベン・ファ ブリシャスとヨルゲン・カストホルムによってデザインされたこの作品は、プロポーショ ン、手仕上げによるディテール、天然素材にこだわった機能的なミニマルデザインへの 共通の関心から生まれました。モジュールには、木の質感と木目を際立たせるために FSC® 認証を受けた無垢のオーク材を使用しています。真鍮製の取っ手が付いた幅の広い キャビネットや、オプションとして引き出し式トレイを備えたオープン棚など、細部に までこだわった接合部分が特徴です。どちらもコレクションが増え続けても対応できる ようカスタマイズが可能です。壁掛けタイプと床置きタイプがあり、床置きタイプは粉 体塗装仕上げが施された細いメタルフレームに支えられています。2022 年 5 月に新たに 加わるモジュールとサイズバリエーションで、スペースやニーズに合わせてさまざまに 組み合わせてお使いいただけます。 P28
リティにつながると考えています。最高の素材とクラフトマンシップを用い、生涯にわ
P29
The Beauty of Aging
経年変化の美しさ
私たちの取り組みは教育にもおよび、30 名の才能ある若者をアプレンティス(見習工) として受け入れ、社内でリペアサービスを提供しています。このアプレンティスプログ ラムにより、大切な家具を修復し、末永くご愛用いただけるようになりました。さらには、 一般的なお手入れや扱い方を説明した詳細なメンテナンスガイドもご用意し、製品をよ り長くお使いいただけるようサポートしています。カール・ハンセン & サンが最終的に 目指しているのは、「何も残さない」ということです。それは、私たちの美しい家具と、 それらを生み出した優れたクラフトマンシップという遺産以外、何も残さないというこ とです。
カール・ハンセン & サンの家具をお選びいただいたとき、私たちとの旅がはじまります。 それは、私たちの家具が年月とともにその表情を変え、深みを増していく一生ものだか らです。新品の状態から、年月を経て経年変化を遂げた家具の姿を見ることができるのも、 カール・ハンセン & サンの家具の魅力のひとつです。
パティナ(patina 古色)とは、経年変化による味わいのある表情を表す言葉です。デンマー クの工場から出荷されたばかりの家具にはシミひとつなく、日光や大気などに長くさら されることで表面に酸化が起こり、木の色味にわずかな変化が生じたり、革に小さなシ ミができたりするのです。このパティネーション(patination 古色化)と呼ばれる自然の プロセスが、個々の製品にまったく異なる趣ある表情を与えます。
カール・ハンセン & サンの CEO であるクヌッド・エリック・ハンセンは、パティナはそ の家具が持ち主によく使われ、愛されている証だと考えています。家具の強度や耐久性、 そして天然素材としての品質の高さを視覚的に証明しているのです。エリック・ハンセ ンの願いは、家具が家具本来の役割を果たすこと、毎日、特に気を使うことなく、生涯 のパートナーとして大切に使われることです。
P30 The Benefits of Wood on Well-being
木材がもたらすウェルビーイング 木材は豊富で入手しやすく、適切に管理された森林から調達されたものであれば環境に も優しいため、昔から建築材料として愛されてきました。さらには、私たちの暮らしにウェ ルビーイングをもたらすということから一層その価値を高めています。コンクリートや プラスチックなどの人工素材とは異なり、木材は心身の状態を落ち着かせ、血圧や脈拍 を下げるとともに、ネガティブな考えや不安を軽減する効果があることが実証されてい ます。木肌に触れるだけで、その触感が人の心を癒し、安心感をもたらしてくれるので す。カール・ハンセン & サンでは、私たちの家具と出会う人々の生活がより良いものと なることを願いながら、ひとつひとつを丁寧に作り上げています。デンマーク国内外の 様々な木材を使用した魅力あふれる手仕事による木製家具は、インテリアに温もりと安 らぎを与えてくれます。私たちのデザイン作品は、切り出したばかりの木材と同じように、 年月を経てより美しく変化するのです。