ERM Japan Webinar
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの 安全管理 2023年9月28日
アジェンダ 開会挨拶 脱炭素に向けた新技術を伴う製造設備の動向 事業者に求められるリスクベースの安全管理とアセットマネジメント ERMのTechnical Safetyサービスとケーススタディ(Safety case)
質疑応答
Sustainability is our business 世界最大のサステナビリティ専門コンサルティ ングファーム
世界のリーディングカンパニーのパートナーと して、持続可能な未来をつくります
1971年設立、サステナビリティに特化した世界最大の ファームとして専門知識と幅広い知見を有しています
世界有数の代表的企業における持続可能性の推進 をサポートし、より良い未来を実現します
8,000+
サステナビリティ・サービスのマーケットリーダー 数々のベンチマークやレイティングにおいてマーケットリー ダーとしての地位を確立しており、案件の過半数が特 命契約であることも、クライアントからの信頼を裏付けて います
ERMの実績
専門家
150+ オフィス
Fortune 100企業の
40
70%
国・地域
23,000 年間 プロジェクト数
50+ 年の経験
#1
サステナビリティ サービスプロバイダ – HFS 2022
Fortune 500企業の
“ESGとサステナビリティのフル サービスコンサルティングサービス”
55%
– Verdantix Green Quadrant 2022
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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ERMのサービス コーポ―レートサステナビリティ&気候変動 気候変動リスクから人権に至るまで、戦略的方向 性の明確化、コーポレートプログラムの設計、ディスク ロージャーにおける透明性と健全性の向上など、主 要ステークホルダーと連携し、複雑なサステナビリティ の課題に取り組みます。
M&Aソリューション ビジネス側面に焦点を当て、深い知見とともにデューディ リジェンスを実施することで、環境・社会・ガバナンス (ESG)及びサステナビリティ面でのリスク低減を支援し、 クライアントの投資ライフサイクル全体での価値最大化 と保護をいたします。
サステナブル・オペレーション
Health & Safetyサービス
オペレーションのパフォーマンス向上を目指し、EHS機能の 最適化と変革において、データドリブンのアプローチを採用し、 管理されたサービスを提供することで、グローバル企業がオ ペレーションリスクを軽減し、収益を伸ばし、コストを管理で きるよう支援します。
クライアントが従来のコンプライアンスと是正対応の取組みを 超え、安全への投資対効果を最大化し、命を守り、資産を 保護し、レピュテーションを強化するよう支援します。
環境債務ポートフォリオ管理及び対策
サステナブル・プロダクト&サプライチェーン
戦略的アプローチやデジタルアプリケーション、環境債務を特 定・評価・管理する最適な技術的手法を通じてリスクを管 理します。サイトの調査、修復、廃止、除去の最初から最 後までを総合的に管理しながら、クライアントに積極的に働 きかけ、クライアント独自の進化するニーズと責務を理解し、 対応します。
クライアントが安全で、サステナブルに、かつグローバルな規制 に準拠して、ビジネス目標を達成し、主要なステークホルダー を満足させる方法で製品を市場に投入する事を支援します。
キャピタルプロジェクト 大規模なインフラ建設などを含む大規模設備投資プロ ジェクトは、環境・社会及び安全面の適切な管理がプ ロジェクト成功の鍵となります。事業が予算内で計画 通りに進むよう、プロジェクトライフサイクル全体を通じて、 環境・社会及び安全面のリスク低減に向けた支援を提 供します。
詳しくはこちら → https://issuu.com/erm_japan
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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脱炭素に向けた新技術を伴う 製造設備の動向
スピーカー
坂田 千尋 Principal Consultant
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Agenda 01
脱炭素の流れ
02
カーボンニュートラル実現に必要な技術 ◼ 水素
◼ アンモニア ◼ CO2回収・利用・貯留 (CCUS: Carbon dioxide
Capture, Utilization and Storage)
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脱炭素の流れ
1992年
国連「気候変動に関する国際連合枠組条約」採択
1995年~ 毎年COP (国連気候変動枠組条約締約国会議) 開催 1997年
COP3 「京都議定書」 排出量の削減目標
2015年
COP21 「パリ協定」 世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて 2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を 追求すること
2021年
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COP26 @イギリス “2050年カーボンニュートラル実現と、2030年度に温 室効果ガスを2013年度比で46%削減することを目 指し、さらに50%の高みに向け挑戦を続けていく。“ (岸田首相)
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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脱炭素の流れ
新型コロナからの経済回復に伴う エネルギー需要拡大
大型台風・ ハリケーン
ロシア・ウクライナ情勢
エネルギー価格の高騰
海水面の上昇 気候変動
猛暑・熱波
安定的なエネルギー調達の重要性 洪水
ESG投資 山火事
豪雨
干ばつ 出典:Climate change impacts | National Oceanic and Atmospheric Administration (noaa.gov)
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脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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脱炭素の流れ
脱炭素
➔二酸化炭素などの温室効果ガスの 排出を実質ゼロに =カーボンニュートラル CO2排出量 (A1+A2) = CO2吸収・除去量 (B) (A1) CO2排出量
(A2) CO2排出量 出典:経産省 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2021年6月)
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(B) CO2吸収・除去量 脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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経産省 水素の成長戦略
出典:経産省 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2021年6月) www.erm.com
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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水素の種類
エネルギーの脱炭素化
CO2排出量削減
出典:次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp) www.erm.com
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水素事業の例
出典:新潟県柏崎市での国内初のブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験 地上プラント設備の建設工事開始について | INPEX
出典:Hydrogen in Action | Hydrogen Council www.erm.com
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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グリーン水素の例:水素+風力発電
出典:ERM Dolphyn Hydrogen
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グリーン燃料としてのアンモニア エネルギーの脱炭素化
CO2排出量削減 拡
出典:JERA (資料2) 「JERAゼロエミッション2050 日本版ロードマップ」と「JERA環境コミット2030」
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出典:JERA (参考) グリーン燃料の製造・輸送と普及拡大に向けた取り組み (jera.co.jp)
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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アンモニア事業 製造工程での脱炭素化
CO2排出量削減
出典:経産省 資源エネルギー庁 水素・アンモニアを取り巻く現状と今後の検討の方向性(2022年3月) 001_03_00.pdf (meti.go.jp) www.erm.com
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Carbon dioxide Capture and Storage: CO2回収・貯蔵技術
製造工程での脱炭素化
CO2排出量削減
出典:CCSのしくみ | CCSについて | 日本CCS調査株式会社 (japanccs.com) www.erm.com
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苫小牧CCS実証実験
出典:苫小牧CCS大規模実証試験 | 事業紹介 | 日本CCS調査株式会社 (japanccs.com) www.erm.com
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脱炭素に向けた新技術を伴う製造設備の動向 まとめ 脱炭素の流れ ◼ 2021年 COP27 ◼ 2030年までに温室効果ガスを大幅削減 ◼ 2050年までにカーボンニュートラル社会を実現する ◼ カーボンニュートラル:二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロに
カーボンニュートラル実現に必要な技術と製造設備 ◼ エネルギーの脱炭素化:化石燃料からクリーンエネルギーへの転換 (ブルー/グリーン水素、ブルー/グリーンアンモニア) ◼ CO2排出量削減:低炭素化技術、CCUS
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脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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事業者に求められるリスクベースの 安全管理とアセットマネジメント
スピーカー
増澤 匡弘 Consulting Director
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日本と欧米の安全に対する考え方の違い 日本でのプラント設備に対する安全の要求は高い(リスクゼロ)にもかかわらず、安全コストを認めにくい文化から 脱却できていない。 日本の考え方
欧米の考え方
絶対安全、リスクゼロ
安全といっても事故は起こり得る、すべてのリスクをゼロに することはできない 災害の主原因は、人である 災害防止は、技術的問題である 管理体制を作り、人の教育訓練をし、規制強化により、 人は必ず間違いを犯すものであるから、技術力向上なし 安全を確保できる に安全は確保できない 労働安全衛生法で規制。災害が発生するたびに規制を 事故が起こっても、重大災害に至らない技術対策を実施 強化 安全コストを認めにくい 安全にはコストをかける 最低限のコストで対応し、災害対策の技術的深耕をしな 危険減を洗い出し、リスクを評価し、コストをかけ、災害の かった 低減化努力をする 出所:向殿政男監修、安全技術応用研究会編(2000) 国際化時代の機械システム安全技術(日刊工業新聞)をもとにERM作成
これまでは高い現場力で何とか安全を維持してきたが、プラント設備の老朽化に加えて、熟練運転員の大量退職により、 これまでと同じ安全管理で高い安全性を担保するのが困難な時代に突入しているのでは? www.erm.com
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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リスク評価(Risk Matrix)
発生頻度 Very Frequent
新技術、新設プラントもリスク評価は 実施されるべき AもBも同じリスク許容度
B
Frequent
A:重大性大&頻度小 →大きな損失の可能性 →対策の効果が見えにくい
Possible
A
Seldom
B:重大性小&頻度大 →対策すれば、効果が出る
Very Seldom Negligible
Moderate
Serious
Critical
Very Critical
結果の重大性 www.erm.com
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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経済的な観点からRisk Baseの安全管理 プラント産業において、大事故を未然に防ぐと同時に、合理的な金額の安全投資を行うためには、 Risk Baseの安全管理が必要
累積コスト
一つの大事故で、 プラントのライフ サイクルを通じた コスト
非体系的 不明確なスコープ 表面的 www.erm.com
最適化 損失額
安全投資
体系的 網羅的 合理的
プロジェクトの存亡危機 損失補填、社内外への 補償で、赤字への転落
複雑なリスクアセスメント 実効性の困難な対策 理論的 脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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スイスチーズモデル
事故は、 単独で発生するわけではなく、複数の事象が連鎖して発生 危険源
事故 (リスク)
安全対策 Safe Guard(Barrier)の導入
事故の発生=損失の発生 www.erm.com
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安全対策の分類
安全装置
検知
判断
動作
信頼性・有効性
マニュアル対応 アラーム対応 非常停止ボタンなど インターロック 防液堤、ブレーカー
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設置のみ
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安全対策の分類
管理手順
インターロック
◼ 初期費用は掛からない。準備する時間は、必要
◼ 設備の初期設置費用
◼ 信頼性は、期待できない。
◼ 信頼性⇒SIL(safety Integrity Level)
◼ 定期的にReviewと更新が必要
◼ 予防保全で、機能と信頼性の維持
◼ 更新に伴って、トレーニングや、継続的訓練が必要
バランス?
現場力が低下してきている中、同じ時間(コスト)をかけるなら? 安全対策にも費用対効果が適用できるのでは?
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事業者に求められるRisk Baseの安全管理 企業はRisk Baseの安全管理を自主的に進めていくことが必要 ⇒サステナビリティ ◼ RB-PSMS;
◼ Safety Case;
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出典:CCPShttps://www.aiche.org/sites/default/files/docs/summaries/overview-of-risk-based-06-25-14.pdf 脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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プラントサイクルにおける安全管理
リスクアセスメント実施(リスクの特定) 設計段階
1. 本質的安全設計 2. 追加リスク対策(予防策、軽減策)⇒SCE(Safety Critical Equipment)
リスクアセスメント再実施、残余リスクの確認 ⇒ 残余リスクが許容レベル 運用段階 1. 安全対策の維持管理・管理手順(Safety Critical Task)
2. 安全対策の維持管理・設備の保守点検(Safety Critical Task) 3. 変更管理(MOC)
PSMS または、 HSEMS
残余リスクが常に 許容レベルになるように維持
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マネジメントシステム
◼ 安全文化 ◼ 基準や法令遵守 ◼ 力量
コミットメント
危険源の認識と リスクの特定
◼ 管理できるのは認識できた
危険源とリスク
Process Safety Management (PSM) ◼ インシデント管理 ◼ KPI ◼ 内部監査
継続的改善
◼ 設備の信頼性と有効性の維持 リスク管理と ◼ Safety Critical Equipment アスセットマネジメント ◼ Safety Critical Task
出典:CCPShttps://www.aiche.org/sites/default/files/docs/summaries/overview-of-risk-based-06-25-14.pdf www.erm.com
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セイフティーケース
プロジェクトやプラントの安全性の検証 危険源
事故防止 (リスク管理)
安全対策の検証と維持
損失防止 (時間、生産性、利益)⇒ 生産性の向上 www.erm.com
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ERMのTechnical Safetyサービス とケーススタディ(Safety case)
スピーカー
坂田 千尋 Principal Consultant
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ケーススタディ 01
ERMのTechnical Safetyサービス
02
ケーススタディ (Safety Case) ◼ What & Why?
◼ 法規制 ◼ リスクベースの安全管理の重要性 ◼ まとめ
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ERMのTechnical Safetyサービス例 ◼
◼
Process Safety Management (PSM) Diagnostic (Assessment) PSM System Improvement – review of PSM procedures
◼
PSM Technical Support – detailed works on improving site performance
◼
PSM Performance Monitoring
◼
PSM Competency Review
◼
PSM Technical Training and Leadership Training
◼
Hazard Identification (HAZID/HAZOP) Study incl. ENVID
◼
Quantitative Risk Assessment (QRA) Study, Bow-tie Analysis and ALARP
◼
Safety Instrumented System (SIS) Review e.g. SIL, LOPA
◼
Alarm Management Study
◼
Safety Case Development
◼
Fire and Gas Mapping
◼
Reliability Availability and Maintainability (RAM) and FMEA (Failure Mode and Effect Analysis) Study
◼
PHA (HAZID/HAZOP/QRA/DHA etc.)
◼
Reliability Centered Maintenance (RCM) Study
◼
Safety Case Development and Review
◼
Computational Fluid Dynamics (CFD) Modelling
◼
Vent and Flare Dispersion Modelling
◼
Noise & Vibration Modelling
◼
Human Factor Engineering
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脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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ERMのTechnical Safetyサービス: リスクベースのプロセス安全性分析・評価手法の支援 潜在的危険性を同定する手順 ◼
HAZID = HAZard Identification(潜在的危険性の同定)
潜在的危険性の顕在化防止対策(事故防止対策)を分析・評価 する手順 ◼
HAZOP = HAZard and OPerability studies (潜在的危険性と作業性の検討)
◼
LOPA = Layer Of Protection Analysis(安全対策の階層的分析) = Safety Integrity Level Analysis(SIL分析)
潜在的危険性が顕在化した場合の影響、及び影響緩和対策を分 析・評価する手順
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◼
FEA = Fire and Explosion Analysis(火災爆発影響範囲分析)
◼
QRA = Quantitative Risk Assessment(リスクの定量的分析)
◼
Bowite = Bowtie Analysis(蝶ネクタイ様式による対策の同定)
◼
ALARP = As Low As Reasonably Practicable(合理的に実行可能な対策に よるリスクの削減検討)
◼
PSMSR = Process Safety Management System Review(プロセス安全管理 システムレビュー) 脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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ERMのTechnical Safetyサービス:HAZOP 1. 配管計装図に基づく考察単位(ノード)の決定 2. パラメーターとガイドワードに基づく考察項目(逸 脱)の決定 3. 逸脱により潜在的危険性が顕在化した結果の重 大性、及び発生頻度からの残存リスクの特定 4. 残存リスクの評価と追加対策の必要性検討
Parameter パラメーター
Less 量的減少
No 否定
Reverse 逆行
As Well As 質的増加
Part Of 質的減少
Other Than その他
Flow 流れ
High Flow
Low Flow
No Flow
Back Flow
Contamination
Wrong %
Wrong Material
Temperature 温度
Higher Temp
Lower Temp
Pressure 圧力
Higher Pressure Lower Pressure
No Pressure
Vacuum
Hardware Failure
Level レベル
High Level
Low Level
No Level
Compostion 組成
Excessive Mixing
Poor Mixing
No Mixing
Foaming
Reaction 反応
More Reaction
Less Reaction
No Reaction
Other Reactions
番号
逸脱
原因
パラメー ター
ガイド ワード
1
流れ
No / Less
2
流れ
More
3
レベル
Less
4
レベル
More
5
圧力
Less
6
圧力
More
7
温度
Less
8
温度
More
A B www.erm.com
Guide Word ガイドワード More 量的増加
許容。現状維持 許容可能。改善の余地あり
結果
初期状態(安全対策なし) 影響 重大性
C D
Poor Separation
発生 可能性
初期 リスク
Wrong Reaction
現状(安全対策導入後) 安全対策
影響 重大性
発生 可能性
推奨事項
残存 リスク
望ましくない状態。改善が必要 許容不可な状態。抜本的な改善が必要
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ERMのTechnical Safetyサービス:FEA 1. 初期イベントの発生頻度を、国際的に利用されている汎用データベース等を利用し想定する
2. 初期イベントが事故(ジェットファイア、フラッシュファイア、ファイアボール、爆発、有害物質拡散等)に発展する可能性 をイベントツリー分析に基づき定量化。 3. 初期イベントの発生による最終結果ごとの発生頻度を想定 4. 初期イベント発生時の引火性物質・有害性物質の放出速度、放出期間、放出量(ソースターム)を想定(モデル 化)する
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ERMのTechnical Safetyサービス:FEA 5. 初期イベントの発生頻度を、国際的に利用されている汎用データベース等を利用し想定する
最終結果(事故)に対し、初期イベントの発生場所からの距離別に想定される物理的影響を、当該地域の 気象データを加味して、想定(モデル化)する。 ◼ ジェットファイア ◼ フラッシュファイア ◼ プールファイア ◼ ファイアボール ◼ 爆発(爆発性雰囲気への着火による爆発)
◼ 有害性物質拡散
(使用物質中に存在する一酸化炭素、硫化水素等の拡散)
出典:Mechanisms for, and possible consequences of fires. – Process Safety Engineering (pse-safety.com)
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ERMのTechnical Safetyサービス:QRA
1. 調査当該区域に勤務する従業員数、居住する 住民数を調査
3. 何らかの原因で火災・爆発が発生した場合の 許容可能な範囲を決定する。
2. FEAで特定された火災・爆発により影響される 区域と統合
4. FEAで分析・評価した火災・爆発が影響する範囲での死亡 事故発生の可能性を分析し、状況を評価する。
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Safety Caseとは? ◼ 1988年 パイパー・アルファ油田事故調査の報告書、
Collen Inquiry (カレン報告書 @UK HSE)で、セーフ ティケース作成が推奨された。 O ‘ ’ without waiting for the final report to be issued, or … 1) A fire risk analysis
2) As assessment of the risk of ingress of smoke or gas into the accommodation 3) A review of the ability of emergency systems to withstand severe accident conditions 4) An evacuation, escape and rescue package 出典:The Public Inquiry into the Piper Alpha Disaster. (hse.gov.uk)
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Safety Caseとは? Hazard Identification and Analysis
HAZID
Hazard and Effects Register Identify all Hazards and Controls and rate risks Using Risk Matrix
HAZOP
Major Accident Hazards
Risk Assessment By QRA or other Qualitative Assessments
Analysis of Operational Controls Using Bowties
Bowite
QRA
Safety Related Design Features
ALARP Safety Management Systems
セーフティマネジメント システム Justification for Continued Operations www.erm.com
LOPA PFEER DCR Performance Standards
安全性評価結果&対策をすべてSafety Caseに記載する 脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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Safety Case文書 記載事項の典型例
Chapter 1
Chapter 2
Chapter 3
Chapter 4
Chapter 5
Chapter 6
Introduction
Description of Facility and Operations
HSE Management
Major Hazard Assessment
Emergency Response
Conclusion and Justification for Operation
序論:
設備立地条件、 環境条件、設備 説明、オペレーショ ン体制等
HSEマネジメント システムの方針、 組織体制、責任 所掌、マニュアル、 作業許可等
特定されたハザード・重大事故とその影 響評価、定量的リスク評価の結果、緊 急対策・ALARP達成のための対策等
Safety Caseの 目的、対象範囲 、改定ルール等
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結論: 安全性が担保さ れている旨を記述
脱炭素社会実現に向けたリスクベースの安全管理
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なぜSafety Case? ◼ 設備にかかわる全てのステークホルダーを巻きこんで、安全管
理文書(Safety Case)を作成する
◼ 設備設計時、設備操業時、その後定期的にSafety Caseを
更新し続けることで、生きた安全管理文書(Safety Case) でリスクをIncident (事故、ニアミス)に発展させない
◼ パイパーアルファ事故を二度と繰り返さない
出典:特別展「インターネットを活用したリスクアセスメント~リスクアセスメントの実施支援システムを利用したリスクアセスメントの進め方~」 (jaish.gr.jp) www.erm.com
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産業保安規制とSafety Case
出典:令和2年度産業保安等技術基準策定調査研究事業(令和3年3月26日、株式会社三菱総合研究所) www.erm.com
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水素、アンモニア、二酸化炭素の特徴 H2O
出典:職場のあんぜんサイト:化学物質:水素 (mhlw.go.jp)
CO2
出典:職場のあんぜんサイト:化学物質:二酸化炭素 (mhlw.go.jp)
NH3
出典:水素とは|水素とイワタニ|岩谷産業株式会社 (iwatani.co.jp)
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出典:職場のあんぜんサイト:化学物質:アンモニア (mhlw.go.jp)
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リスクベースの安全管理の重要性 産総研:安全科学研究部門、水素ステーションとその 周辺のリスク評価書(2019年1月)より、
How safe is safe enough?
“高圧ガス保安法にもとづく現在の堅牢な規制は、安全 を担保する上で効果があったと考えられるが、十分に安 全すぎて企業や国に多大な費用がかかっている可能性が ある。 ・・・、高圧ガス保安法における水素ステーションの設置基 準設定の元になった「安全」の考え方では、事業者が「安 全すぎるのかどうか」を判断することができず、「安全の程 度がどのくらいなのか」伝えることができない。なぜなら、こ の「安全」はリスクという比較可能な数値では表されてい ないからである。 このギャップを埋めるには、リスクを数値の大きさで表す「定 量的リスク評価」を実施し、リスクが許容できるレベルであ るか否かを示すことが必要である。“
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まとめ
◼ リスクベースのプロセス安全性分析・評価手法の支援 by ERM
◼ 1988年 パイパー・アルファ油田事故からSafety Caseへ ◼ リスクベースの安全管理の重要性 ◼ Safety Case ◼ 欧米/シンガポール:事業者が主体的にリスク特定・対策実施
(法的義務あり)
◼ 日本:法規制がない。でも、リスクベースの安全管理で
“Reasonableな安全性”を担保しつつ、持続可能な事業へ
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質疑応答
モデレーター
西 利道 Consulting Partner
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Thank You 西 利道
増澤 匡弘
坂田 千尋
Consulting Partner Principal Consultant Consulting Director Toshimichi.Nishi@erm.com Masahiro.Masuzawa@erm.com Chihiro.Sakata@erm.com Follow us on
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