ゲンロン3
だつせん ご
に ほ ん び じゅつ
脱戦後日本美術
Genron 3 Escape from Postwar Japanese Art
発行日
近刊紹介
2016(平成28)年7月15日 第1刷発行
ゲンロン0 東浩紀(著)
編集人
鋭意執筆中
東浩紀
あずま ひろ
観光客の哲学
発行人
東浩紀
否定神学的 ―。
郵便的 東浩紀 支
書
下
『
理論 思想。 、
理論
自在
『弱
、
、
、 』 更新
東思想
新展開。
TEL : 03-6417-9230 FA X : 03-6417-9231
&
印刷
2016年11月刊行予定
株式会社シナノパブリッシングプレス
現代日本の批評 III(仮) 浅田彰/佐々木敦/大澤聡 五野井郁夫/杉田俊介/安藤礼二 プラープダー・ユン 大型
、
完結。 年代 批評
。 。
編集 徳久倫康 上田洋子 富久田朋子 川喜田陽 DTP 中野由貴(LABOR ATORIES) 北岡誠吾(LABOR ATORIES) 編集協力
新世代 論壇読者 必読・必携
イルモンドビル2F
加藤賢策(LABOR ATORIES)
東浩紀(編)
社会 変
141-0031
info@genron.co.jp http://genron.co.jp/
ゲンロン4
批評
株式会社ゲンロン 東京都品川区西五反田1-16-6
横断 、
現代批評史
発行所
』
。
黒瀬陽平、新藤淳、馬定延、SAMUSO 定価
裏表紙
本書
無断複写(
表示
落丁本・乱丁本
。 ) 著作権法
取 替
©2016 Genron Co., Ltd. Printed in Japan ISBN 978-4-907188-17-7 C0010
例外 。
除 、禁
。
Genron 3 Escape from Postwar Japanese Art English Translations and Abstracts Full Text E02
J014
Hiroki Azuma
The World After Dark Tourism Translated by Christopher Lowy
Abstracts
Tratnslated by Michael Chan, Ross Henderson, John Person and Ko Ransom Proofreading assisted by Kako Kishimoto
Escape from Postwar Japanese Art Another Bad Place
E12
J032
Sunjung Kim
From Museum to Garden:
The Philosophy of REAL DMZ PROJECT
E13
J057
Park Chan-kyong
The Mirror and the Swamp, or Representation of Division in Media and Art Outward from Japan
E14
J080
Makoto Aida + Reiji Ando + Noi Sawaragi + Yohei Kurose
The Colonies and Exposure in the Wild:
Towards a Reinterpretation of Postwar Japanese Art
E15
J108
Atsushi Shinfuji
A Different Place, While Being Here: In a “Bad Place” in the Age of Global Art
E16
J128
E17
J147
Yohei Kurose
The Art History of Transposition Seiichi Tsuchiya
Reconsidering “Okinawan Art” Before 1945:
From Yoshitaro Kamakura’s Studies of Okinawan Art to Yashu Nakamatsu’s Gods and Villages Reexamining World Art History
E18
J169
Shigemi Inaga
Is Art History Globalizable?: A Critical Commentary from a Far Eastern Point of View E19
J252
Akira Ide
Introduction to Dark Tourism │10│
A Journey through War and Terrorism in France
E20
J324
Novel
Melon Uminekozawa
The Pigeon Clock of Dischronia│Afternoon 3│ E 21
−
Contributors and Translators
* Exx refers to pages of translations or abstracts in English language, while Jxx refers to the original texts in Japanese.
に 乗 っ て 一 時 間 以 上 経 っ て か ら だ っ た
も す る 予 定 だ と い う こ と を 知 。 っ 着 た 替 の え は も ︵ 、 な ま 車
ル マ の 国 境 で 、 そ も そ も 日 帰 り で な く 二 泊
二 〇 〇 キ ロ 以 上 離 れ た 、 ほ と ん ど タ イ と ビ
が 筆 者 の 滞 在 す る タ イ の 首 都 バ ン コ ク か ら
え ず 彼 の 運 転 す る 車 に 乗 っ て い た 。 目 的 地
い つ も の こ と で 、 翌 日 の 朝 、 筆 者 は と り あ
か の ご と き 言 及 を さ れ る こ と も 多 い 。
ン も 多 く 、 あ る 種 ﹁ 伝 説 の 作 家 ﹂ で あ る
な ど い く つ か の 賞 を 受 賞 し て い る 。 フ ァ
続 け て い る 。 こ れ ま で に 四 〇 以 上 の 著 書
に 居 を 構 え 、 作 家 ・ 編 集 者 と し て 活 動 を
た 彼 は 、 タ イ 西 部 の カ ン チ ャ ナ ブ リ ー 県
イ の 森 林 で 過 ご す 。 一 九 八 一 年 に 森 を 出
装 闘 争 路 線 に 参 加 し 、 四 年 以 上 を 東 北 タ
を 発 表 し [ ★ 3 ]
、 シ ー ブ ー ラ パ ー 賞 [ ★ 4 ]
2013 年 12 月5日、 国王誕生日の PDRC デモ会場
317
タイ現代文学ノート #1
﹁ 急 明 で 日 、 ﹂ か つ 詳 細 も よ く 分 か ら な い 誘 い は
﹁ い つ ? ﹂
一 月 三 〇 日 の こ と だ っ た 。
日 に バ ン コ ク を 離 れ て タ イ 国 共 産 党 の 武
で 作 品 を 発 表 し 始 め る 。 一 九 七 六 年 一 〇
月 六 日 の 事 件 [ ★ 2 ]
発 生 時 に は 、 そ の 当
[ ★ 1 ]
か ら 電 話 を 受 け た の は 、 二 〇 一 四 年
う ﹁ 写 ﹂ ワ 真 ッ 家 ト タ ・ ワ ワ ン ッ チ ラ ャ ヤ イ ー ン ・ パ ク ッ ー ン タ ナ の ー 家 ポ に ー 行 ン こ
期 を 過 ご し た 彼 は 、 一 〇 代 の 頃 か ら 雑 誌 等
学 生 運 動 の 時 代 で あ る 一 九 七 〇 年 代 に 思 春
の ロ ッ ブ リ ー 県 生 ま れ 。 タ イ の 政 治 動 乱 と
い っ た 例 は 、 枚 挙 に 暇 が な い 。 筆 者 は 微 か
ち が 時 代 の 変 遷 の 中 で 保 守 化 ・ 権 威 化 し て
い 。 だ が 彼 ら の よ う な か つ て の ﹁ 英 雄 ﹂ た
本 来 は 手 放 し で 喜 べ る 機 会 な の か も し れ な
は 一 九 五 五 年 、 タ イ 中 部
作 家 の ワ ッ ト ・ ワ ン ラ ヤ ー ン ク ー ン
二 タ 〇 一 イ 四 現 年 軍 代 事 文 ク 学 ー デ ノ タ ー ー と ト 作 # 家 1 た ち
コ ラ ム
福 冨 渉 โช ฟุกุโตมิ
あ 、 聞 か な い 方 も 悪 い の だ が ︶
วัฒน์ วรรลยางกูร
け れ ば 、 ほ と ん ど 金 も 持 っ て い な い ⋮ ⋮ 。
そ ん な 作 家 の 家 を 訪 ね 、 直 接 話 が で き る 。
福冨渉
る 勢 い だ っ た 。 一 院 制 で あ る 韓 国 の 議 員 定
一 時 、 単 独 で 改 憲 で き る 議 席 数 ま で 確 保 す
裂 、 混 迷 を 極 め た 。 漁 夫 の 利 を 得 た 与 党 は
離 党 す る こ と に な り 、 第 一 野 党 は 二 つ に 分
党 は 、 一 二 を 三 得 席 て ︵ 、 小 わ 選 ず 挙 か 区 一 一 議 一 席 〇 席 の 、 差 比 で 例 最 代
選 挙 前 一 〇 二 席 だ っ た 第 一 野 党 の 共 に 民 主
リ 党 は 、 一 に 二 留 二 ま 席 り ︵ 小 大 選 敗 挙 を 区 喫 一 し 〇 た 五 。 席 一 、 方 比 、 例
表 一 三 席 ︶
乖 離 し た の は 、 そ の 方 法 が 現 実 を 正 確 に 反
世 論 調 査 が 、 実 際 の 選 挙 結 果 か ら 大 き く
代 表 一 七 席 ︶
2
| 現 実 を 反 映 し な い 世 論 調 査
哲 野 総 を 数 政 覆 下 行 秀 党 選 野 確 党 す ﹁ わ 誰 ︶ の 挙 党 保 で も 総 れ も 氏 有 を の に あ の 選 た 予 の 力 四 ﹁ 失 り だ 挙 韓 想 ﹂ 共 離 ︶
党 を 皮 切 り に 、 多 数 の 議 員 が
政 治 家 で あ る ア ン ・ チ ョ ル ス
ヶ 月 後 に 控 え た 一 二 月 一 三 ︵ 日 安 、
に 民 主 党 ﹂ に 譲 る こ と に な っ た 。
敗 し た だ け で な く 、 第 一 党 の 座
つ づ け た ﹁ セ ヌ リ 党 ﹂ が 、 過 半
っ た 。 韓 国 を 代 表 す る 巨 大 保 守
の 結 果 は 、 事 前 の 世 論 調 査 を
で き な い 結 果 で あ っ た 。 四 ︵ 月 以 に
選 挙 前 一 四 六 席 だ っ た 保 守 与 党 の セ ヌ
た 。 し か し 、 四 月 一 三 日 の 選 挙 結 果 は 、 世
結 果 で 、 過 半 数 確 保 は ほ ぼ 確 実 視 さ れ て い
な い ま で も 、 一 六 五 議 席 以 上 を 得 る と い う
論 調 査 で は 、 セ ヌ リ 党 が 二 〇 〇 議 席 は い か
れ る 。 そ の 直 前 ま で に 公 表 さ れ た 複 数 の 世
選 挙 に 関 す る 世 論 調 査 結 果 の 公 表 が 禁 止 さ
の 変 化 と 、 あ る ﹁ 老 軍 師 ﹂ の 暗 躍 が あ っ た 。
こ の 劇 的 な 変 化 の 陰 に は 、 若 者 の 政 治 意 識
れ て い た 野 党 は 押 し な べ て 議 席 数 が 伸 び た 。
に 議 席 数 が 減 り 、 分 裂 騒 ぎ で 不 利 と 予 想 さ
二 席 、 比 例 代 表 四 席 ︶
第 三 野 党 の ﹁ 正 義 党 ﹂ は 、 六 席
国 民 の 党 で あ る 。 ま た 、 選 挙 前 五 席 だ っ た
党 か ら 離 党 し た ア ン 氏 の 率 い る 党 が 、 こ の
に な っ た 。 与 党 は 大 幅
︵ 小 選 挙 区
| 与 党 の 大 敗
国 の 第 二 〇 代 国 会 議 員 選 挙
論 調 査 の 結 果 と は 大 き く 異 な る も の だ っ た 。
公 職 選 挙 法 上 、 投 票 日 の 六 日 前 か ら は 、 比 例 代 表 一 三 席 ︶
と 大 き く 躍 進 し た 。 第 一 野
若 者 と 老 軍 師 の タ ッ グ
1
安 天 안 천
で は な い と い う 雰 囲 気 だ っ た わ け だ 。
の ﹁ 国 民 の 党 ﹂ は 、 三 八 席 ︵ 小 選 挙 区 二 五 席 、
の 二 だ か ら 、 二 〇 〇 名 以 上 の 当 選 も 不 可 能 加 え て 、 選 挙 前 二 〇 席 だ っ た 第 二 野 党
数 は 三 〇 〇 名 で 、 改 憲 に 必 要 な 議 席 は 三 分
韓 国 で 現 代 思 想 は 生 き て い た
コ ラ ム
# 18
大 政 党 に な っ た 。
ゲンロン 3
298
に 留 ま る 危 険 性 が あ る と 懸 念 を 示 し た 。
と い う 、 ︹ ﹃ 疲 労 社 会 ﹄ と ︺
似 た よ う な 批 判 を 受 け た 。 に も か か
念 だ け を 多 用 す る 時 代 規 定 は 、 印 象 批 評 の 羅 列 と 一 面 的 な 分 析
い て 規 定 し つ つ 、 社 会 構 造 の 歴 史 的 な 変 遷 を 見 過 ご し た ま ま 概
代 間 対 立 を め ぐ る 、 よ り 幅 広 い 社 会 的 関 係 へ の 認 識 が 足 り な い
え て 提 起 し た 言 説 は 、 ﹁ 社 会 を 語 る 社 会 ﹂ の 範 例 と し て は 、 世
現 象 を ﹁ 社 会 を 語 る 社 会 ﹂ [ ★ 1 ]
と 呼 ん で 再 帰 的 な レ ベ ル に お
け で も あ る 。 キ ム ・ ジ ョ ン ヨ プ ︵
︶ [ ☆ 2 ]
は 、 こ う い っ た
﹃ 88 万 ウ ォ ン 世 代 ﹄ 邦 ︵ ア ン 、 二 〇 〇 七 年 ︶ ︹ 訳 二 〇 〇 九 年 ︺ [ ☆ 3 ]
が 世 代 間 対 立 を 踏 ま
ウ ・ ソ ッ ク ン 、 パ ク ・ ク ォ ン イ ル 著 、 レ デ ィ
て い る 時 代 像 へ の 診 断 と 方 向 提 示 を 強 く 欲 し て い る こ と の 裏 づ う 、 強 い 危 機 意 識 に 基 づ く 問 い を 投 げ か け た い 。
後 を 絶 た な い [ ☆ 1 ]
。 こ れ は 、 多 く の 読 者 が 、 自 分 が 身 を 置 い に よ る 時 代 診 断 と 代 案 提 示 が 依 然 と し て 有 効 と 言 え る の か と い
人 気 を 博 し て お り 、 ﹁ ⃝ ⃝ 社 会 ﹂ と い う 名 の つ い た 類 似 書 籍 が 伝 染 性 ﹂ で 特 徴 づ け ら れ る ネ ッ ト ワ ー ク 社 会 に お い て 、 ﹁ 思 想 ﹂
知 性 社 、 二 〇 一 二 年 ︶
韓 国 で は ﹃ 疲 労 社 が 会 人 文 学 系 の ︵ 書 ﹄ 籍 ハ と ン し ・ て ビ は ョ 異 ン チ 例 ョ と ル も 、 言 文 え 学 る と 己 目 的 化 ﹂ し た 社 会 を 描 き 出 す も の で あ る 。 本 稿 で は ﹁ 感 情 の
介 し た 、 各 事 象 へ の 怒 り と 恐 怖 な ど と い っ た 情 念 の 発 散 が ﹁ 自
パ ク ・ カ ブ ン
1 ─ S N S と 反 応 社 会
박 가 분
訳 ・ 解 題
─ 安 天 안 천
を ﹁ 反 応 社 会 ﹂ と 規 定 す る 。 こ れ は イ ン タ ー ネ ッ ト と S N S を
の 普 及 に よ り 、 ネ ッ ト ワ ー ク 社 会 化 が 進 ん だ 現 在 の 社 会 の 姿
本 稿 は 、 こ の よ う な 危 険 を 覚 悟 の う え で 、 S N S と ケ ー タ イ
論 考
어 과 의
変 身 す る リ ヴ ァ イ ア サ ン と 感 情 の 政 治
特 別 掲 載
★ = 原 ☆ = 訳
ゲンロン 3
234
︶
と 外 発 的 な 価 値 ︵
の 進 化 は も は や 終 わ り を 迎 え て い た の だ っ た 。 し か し ポ ス ト モ
あ る 。 モ ダ ン は 一 定 の 目 的 に 向 か っ て 進 化 す る と さ れ た が 、 そ
を 特 権 化 す る 立 場 が 、 モ ダ ン か ら の 脱 却 を 意 味 す る の は 明 白 で
美 術 分 野 に お け る グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン と は 、 様 式 が 伝 播 し ポ ス ト モ ダ ニ テ ィ と い う 観 念 、 ロ ー カ ル に 対 し て グ ロ ー バ ル
論 考
ジ ョ ン ・ ク ラ ー ク 訳
─ 荒 木 慎 也
監 修
─ 中 野 勉 Tsutomu Nakano
あ を と ダ モ る あ し ン ダ 。 る て は 種 再 、 ニ ロ 発 前 ズ ー 見 述 ム カ す の 言 ル る 見 説 に こ 方 の 変 と に 権 容 を 従 威 さ 可 え は せ 能 ば 、 た に 、 も 結 し モ は 果 た ダ や と 。 ン 覇 見 い を 権 え ま い を る や ま 有 よ モ ま し う ダ で て に ン と い な は は な っ ﹁ 違 か 前 た 近 う っ の も た で 代 。 ﹂ の
変 容 し て い く 過 程 と 見 え る か も し れ な い 。 し か し 、 一 九 九 〇 年
The Endogenous-Exogenous lnterface in Globalism: The Case of China and Thailand
︵
代 に は す で に 、 グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン と は 文 化 的 差 異 に 次 々 と
Shinya Araki
は ど ち ら も 相 対 化 さ れ た 。 美 術 家 た ち が 文 化 の 中 心 間
さ ら さ れ る と い う 経 験 で あ る こ と が 明 ら か に な っ て い た 。 そ の
John Clark
複 数 の 物 語 が 、 そ う い っ た 物 語 群 を 詳 述 す る 複 数 の 主 題 を と も
︶
中 で 内 発 的 な 価 値
exogenous
な っ て 存 在 し て い る の だ っ た 。 モ ダ ニ テ ィ の も と で の 権 威 の 解
を 国 の 枠 を 超 え て さ か ん に 移 動 す る よ う に な っ た こ と に 加 え て 、
endogenous values
体 は 、 後 に 美 術 に お け る モ ダ ニ ズ ム の イ デ オ ロ ギ ー 構 造 の 一 部
電 子 メ デ ィ ア が 新 た に 登 場 し て 国 民 国 家 に 入 り 込 み 、 英 語 な ど
values
た 域 語 の の に か 国 だ お ら 際 [ い 翻 言 ★ 1 て 訳 語 ] 、 が が 。 内 で 利 発 き 用 的 る で な 者 き 言 が る 説 増 よ に え う 用 た に い 。 な ら そ っ れ の た る 結 。 用 果 あ 語 、 る そ 美 い の 術 は も を そ の 含 う が む い 変 文 っ 化 化 た し 領 言
外グ 発ロ 的ー バ なリ もズ のム のに 接お 触け 面る │内 中 発 国 的 と タ な イ の も 事 の 例 と
特 集
─
脱 戦 後 日 本 美 術 世 界 美 術 史 再 検 討
★ = 原 ☆ = 訳
ゲンロン 3
212
の テ ク ス ト だ と 思 わ れ る 。
年 代 以 降 、 一 方 で は ﹁ グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ
る そ の プ ロ ジ ェ ク ト は 、 と り わ け 二 〇 〇 〇
に ま と め ら れ て お り 、 そ れ ら は 今 日 、 ﹁ グ
カ タ ロ グ ﹃ グ ロ ー バ ル コ ン テ ン ポ ★ ラ 2 ] リ な ー ど と
一 九 八 九 年 以 後 の ア ー ト ワ ー ル ド ﹂ の 関 連
覧 会 ﹁ グ ロ ー バ ル コ ン テ ン ポ ラ リ ー
年 か ら 翌 年 に か け て Z K M で 開 催 さ れ た 展
動 向 を 大 づ か み に 把 握 す る う え で は 、 格 好
論 考 で あ る 。 G A H を め ぐ る 近 年 の 批 評 的
面 お け る 中 内 国 発 と 的 タ な イ も の の 事 と 例 外 発 ﹂ ︵ 的 荒 木 な 慎 も 也 の 訳 の ︶ 接 は 触 、
り 、 ジ ョ ン ・ ク ラ ー ク ﹁ グ ロ ー バ リ ズ ム に
ジ ェ ー ム ズ ・ ジ エ ョ ル キ や ン ン ﹁ ・ ス グ オ ナ ︶
前 述 の 二 〇 一 三 年 の カ タ ロ グ に 掲 載 さ れ た
│
│
ク ト の 始 動 が 発 表 さ れ た の は 、 い ま か ら
ハ ン ス ・ ベ ル テ ィ ン グ と ペ ー タ ー ・ ヴ ァ
集 ﹃ グ ロ ー バ ル ア ー ト ★ ワ 1 ー ] ル や ド 、 二 〇 観 一 衆 一 、
ド し て き た 。 そ の 成 果 は 、 二 〇 〇 九 年 の 論
築 を 、 こ こ 一 〇 年 に わ た っ て 国 際 的 に リ ー
美ミ が 術ュ 活 館ー 発 /ジ 化 博 す 物ア る 館ム な ﹂ か を 、 め ﹁ ぐ グ る ロ 理 ー 論 バ 的 ル 言 ア 説 ー の ト 構 と
と い っ た 美 術 史 研 究 の 学 問 的 再 編 の 動 き
ワ ー ル ド ﹄ に 初 出 の あ っ た テ ク ス ト で あ
美 テ 術 ィ 今 ン 号 グ と 批 ﹁ 次 判 グ 号 的 ロ に 評 ー 掲 定 バ 載 ル ﹂ ︵ さ 中 ア れ 野 ー る 勉 ト 訳 と ハ ︶ し ン は て ス 、 の ・ い 現 ベ ま 代 ル
を ベ ー ス と す
た 。 ド イ ツ の Z K M
イ ベ ル に よ っ て 率 い ら れ た ﹁ G A M ︵ ﹂
ち ょ う ど 一 〇 年 前 、 二 〇 〇 六 年 の こ と だ っ
デ ィ ア テ ク ノ ロ ジ ー セ ン タ ー ︶
︵ カ ー ル ス ル ー エ 芸 術 メ
市 場 、 ミ ュ ー ジ ア ム ﹄ [
│
挙 げ た 二 〇 〇 九 年 の ﹃ グ ロ ー バ ル ア ー ト
│
︶
と い う 研 究 プ ロ ジ ェ
え で 必 携 の 書 と な っ て い る 。
導 入
黒 瀬 陽 平 + 新 藤 淳
Critical Topography of World Art
新 し い ア ー ト ワ ー ル ド の 台 頭 ﹄ [
ン ﹂ が キ ュ レ ー タ ー や ア ー テ ィ ス ト 、 理 論
Yohei Kurose + Atsushi Shinfuji
ロ ー バ ル ア ー ト ﹂ お よ び ﹁ グ ロ ー バ ル ア ー
家 や 批 評 家 た ち の 中 心 的 な 関 心 事 と な り 、
Global
ま た 他 方 で は ﹁ 世 界 美 術 史 ﹂ ︵
Art and the Museum
イ ア ン ズ 、 デ イ ヴ ィ ッ ド ・ キ ャ リ ア ︶
ロ ー バ ル 美 術 史 ﹂ ︵
世 界 美 術 史 の 批 評 的 地 平
特 集
─ 脱 戦 後 日 本 美 術 世 界 美 術 史 再 検 討
ト ヒ ス ト リ ー ﹂ ︵ 以 下 、 G A H ︶
を 考 え る う
ゲンロン 3
166
沖 縄 に お け る 民 藝 運 動 の 功 績 は め ざ ま し く 、 実 際 、 工 芸 品 に
147
定 ゆ え 、 括 弧 つ き の ﹁ ハ イ ・ ア ー ト ﹂ も サ ブ カ ル チ ャ ー も 、 原
の 近 代 国 家 を 急 ピ ッ チ で 構 築 す る た め の 、 そ の 人 工 的 な 制 度 設
け 、 椹 木 野 衣 が そ の コ ン テ ク ス ト を 援 用 し た よ う に 、 明 治 以 後
マ ト ﹂ の 美 術 の 歴 史 記 述 に お い て さ え 、 北 澤 憲 昭 ら が 位 置 づ
異 性 に お い て 語 ら ざ る を 得 な い こ と に な る 。 近 代 以 後 の ﹁ ヤ
背 後 に は 、 ﹁ 対 ヤ マ ト ﹂ を 前 提 と し た 、 沖 縄 に お け る 美 術 の 特
う か 。 日 本 語 圏 で 思 考 す る 限 り 、 ﹁ 沖 縄 の 美 術 ﹂ と い う 呼 称 の
﹁ 沖 縄 の 美 術 ﹂ と 呼 ん で 、 人 々 は ど う い う も の を 想 起 す る だ ろ
う 点 に お い て 、 パ ラ レ ル な 関 係 に あ る の は 言 う ま で も な い
探 求 す る と い う 意 味 で は 、 そ れ ら 外 部 が ﹁ 植 民 地 ﹂ で あ る と い
な ざ し は 、 ﹁ 内 地 ﹂ の ﹁ 外 部 ﹂ に ﹁ 美 術 ﹂ の オ ル タ ナ テ ィ ヴ を
そ れ ら を 収 集 し 、 さ ら に は 朝 鮮 民 族 美 術 館 ま で 設 立 し た 柳 の ま
巧 の 兄 弟 と 共 同 で 、 朝 鮮 半 島 の 美 術 工 芸 品 の 素 晴 ら し さ を 説 き 、
の そ ﹁ の 外 ﹁ 部 美 ﹂ ﹂ と が し 認 て 定 し さ か れ 、 た 存 わ 在 け す だ る が こ 、 そ と れ が ら で は き 西 な 洋 い 由 。 来 浅あ さ の 川か わ ﹁ 伯の り 美 教た か 術 ・ ﹂
藝 運 動 で あ れ ば 、 沖 縄 の 焼 物
宗 あ 捉 悦 る 沖 え ︶ い 縄 る
[ ★ 1 ]
。
一九四五年以前の「沖縄美術」?
︵ や ち む ん ︶
や 染 織 な ど の 工 芸 品 に 、
﹁ 沖 縄 美 術 ﹂ 構 築 の た め の 前 提 と 提 案
土 屋 誠 一
と し て ﹁ 発 見 ﹂ さ れ る こ と す ら 稀 で あ っ た 。 例 え ば 、 民
の ﹁ 美 術 ﹂ は ﹁ 、 悪 い 場 所 ﹂ と も 言 う こ と の で き な い よ う 柳 な 、
は 、 美 術 が 存 在 し 得 な い よ う な 僻 地 に お け る ﹁ 下 手 物 ﹂ ︵
べ き で あ ろ う 。
Reconsidering “Okinawan Art” Before 1945: From Yoshitaro Kamakura’s Studies of Okinawan Art to Yashu Nakamatsu’s Gods and Villages
論 考
理 的 に は 区 別 で き な い よ う な ﹁ 、 悪 い 場 所 ﹂ に お け る そ れ と し て 、
Seiichi Tsuchiya
展 開 さ れ て き た し 、 今 日 も 同 様 に 、 そ の 状 態 は 継 続 し て い る と
│一 鎌 倉 芳 太 郎 の 沖 縄 美 術 研 究 か ら 仲 松 弥 秀 の ﹁ 神 と 村 ﹂ ま で
九 四 五 年 以 前 の ﹁ 沖 縄 美 術 ﹂ ?
特 集
─ 脱 戦 後 日 本 美 術 日 本 か ら 外 へ
土屋誠一
年 リ し ﹁ と 活 バ ︶ ス て ア 二 あ 躍 ル こ テ ィ ー ズ ・ パ リ で 白 髪 一 雄 の ︽ 地 劣 星 活 閃 婆 ︾ ︵
い る の か ﹂ と 題 し た 記 事 の な か で 、 二 〇 一 三 年 六 月 の ク
の 内 容 は 、 戦 後 日 本 に 現 れ た ﹁ 最 初 の 現 代 美 術 集 団 ﹂ で あ る 具
ロ ー カ ル
に は 鋭 い 国 際 感 覚 が あ っ た ﹂ と い う 関 係 者 の 言 葉 を 引 用 し つ つ 、
で 、 そ し て 二 〇 一 四 年 の サ ザ ビ ー ズ 一 ・ 九 パ ︵ 六 リ 約 一 体 が 、 そ の 先 駆 性 に よ っ て 戦 後 日 本 と い う 時 空 間 を 脱 出 し た と
︵ 関 西 ︶
か ら グ ロ ー バ ル ︵ 世 界 ︶
へ の 躍 進 を 言 祝 ぐ そ
ー ト 市 場 分 析
│ な ぜ 具 体 の 白 髪 一 雄 の 市 場 価 格 は 高 騰
衛 美 術 ﹃ 具 体 ﹄ に 脚 光 ﹂ と 題 し た 記 事 を 掲 載 し た [ ★ 2 ]
。 ﹁ 具 体
〇 一 四 年 一 〇 月 七 日 付 の ﹁ ア ー ト ネ ッ ト ・ ニ ュ ー ス ﹂ は 、
る ﹁ ロ ー カ ル ﹂ な 戦 後 前 衛 芸 術 の 価 格 高 騰 に つ い て だ っ た 。
に つ い て で も 、 東 日 本 大 震 災 以 降 の 芸 術 に つ い て で も な く 、
﹂ な 話 題 は 、 数 々 の 国 際 展 に お け る 日 本 人 ア ー テ ィ ス ト の
こ 数 年 の 間 に あ っ た 日 本 美 術 に つ い て の も っ と も ﹁ グ ロ ー
え て い る 。 ま た 、 そ の よ う な 話 題 を 受 け て 日 本 経 済 新 聞 は 、 ﹁ 前
の 数 年 間 に 白 髪 作 品 の 価 格 が 数 倍 に 跳 ね 上 が っ て い る こ と を 伝
テ ィ ン グ ﹂ と 類 似 す る 、 と い う お 決 ま り の 解 説 を し た 上 で 、 こ
ク ラ イ ン や ジ ャ ク ソ ン ・ ポ ロ ッ ク ら の ﹁ ア ク シ ョ ン ・ ペ イ ン
白 髪 の 描 法 ︵ ロ ー プ に つ か ま り な が ら 足 や 体 全 体 で 描 く ︶
が イ ヴ ・
1
黒 瀬 陽 平 Yohei Kurose
が 、 予 想 落 札 価 格 の お よ そ 三 倍 の 約 一 六 六 万 ユ ー ロ
論 考
記 事 で は 、 具 体 美 術 協 会 に つ い て の ご く 簡 単 な 紹 介 に 加 え て 、
The Art History of Transposition
二 億 一 六 五 〇 万 円 ︶
転 位 の 美 術 史
特 集
─ 脱 戦 後 日 本 美 術 日 本 か ら 外 へ
ユ の ー オ ロ ー ︵ ク 約 シ 五 ョ 億 ン 五 〇 で 〇 は 〇 ︽ 万 激 円 動 ︶ す で る 落 赤 札 ︾ さ ︵ 一 れ 九 た 六 こ 九 と 年 を ︶ 伝 が え 約 た 三 [ 九 ★ 1 〇 ] 。 万
ゲンロン 3
128
み ず か ら が 、 そ の 再 定 義 を こ こ 数 年 の う ち に お こ な っ て い る か
い ま ま さ に 、 ふ た た び 問 い 直 さ れ よ う と し て い る ら し い 。 椹 木
ろ だ ろ う 。 む ろ ん 、 ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ と い う の は 、 い ま も っ て 自 明 と は い え 、 そ う で な く と も 、 こ の ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ と い う 観 念 は
に 拘 束 す ら し て き た こ と は 、 お そ ら く 多 く の ひ と が 認 め る と こ
一 九 九 〇 年 代 後 半 以 降 の 日 本 の 美 術 批 評 を 多 分 に 規 定 し 、 と き
描 か れ て も い い の で は な い か 。
の き ︵ た 非 の ︶ で 構 な 造 い を と 書 す き れ 換 ば え 、 て そ し こ ま か う ら こ 逃 と れ 、 る そ こ う と し 、 あ た る 可 い 能 は 性 そ が の 思 ﹁ い 場 ﹂
る と お り 、 か つ て の 椹 木 野 衣 だ っ た
え す ば か り の ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ で あ る
系 を つ い ぞ 構 築 し え ず 、 つ ね に 蓄 積 な し の 忘 却 と 自 壊 を く り か
て ﹁ 閉 ざ さ れ た 円 環 ﹂ と 呼 び 、 さ ら に ﹁ 場 の 支 配 ﹂ と も 形 容 し
方 途 は な い の か と も 感 じ ら れ る 。 椹 木 が 彦 坂 尚 嘉 の 言 葉 を 借 り
こ の 椹 木 の テ ー ゼ が 、 望 む と 望 [ ま ★ そ ざ 1 ] う る 。 論 と じ に た の か は か 、 わ 知 ら ら ず れ 、 た ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ の 磁 力 が 、 単 に 虚 妄 と し て わ れ わ れ を 拘 束 し て
│
論 考
日 本 は 、 西 欧 近 代 が 生 ん だ ﹁ 美 術 史 ﹂ と い う 歴 史 = 言 説 の 体 で は な い だ ろ う か 。 そ う な ら ば 、 し か し 、 そ の 呪 縛 か ら 脱 す る
新 藤 淳
1
こ こ 二 〇 年 近 く の あ い だ の 日 本 の 美 術 界 に は 存 在 し な か っ た の
れ 悪 し か れ 批 評 的 に 機 能 し 、 ま た 論 争 的 に 響 い て き た タ ー ム も 、
に 違 い な い 。 け れ ど も 、 ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ と い う 言 葉 ほ ど に 、 よ か
A Different Place, While Being Here: In a “Bad Place” in the Age of Global Art
な 概 念 で は な い だ ろ う し 、 そ も そ も 日 本 を こ と さ ら に ﹁ 悪 い ﹂
Atsushi Shinfuji
と 考 え る の は 無 益 な 自 虐 で あ る と み な す 向 き も 、 当 初 か ら あ る
別 な る 場 所 、 こ こ に い て な お
特 集
─
脱 戦 後 日 本 美 術 日 本 か ら 外 へ
│ グ ロ ー バ ル ア ー ト 時 代 の ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ で
ゲンロン 3
108
戦 後 の 歩 み が 回 顧 さ れ る 状 態 は 、 そ う い っ
は じ め に ﹁ 戦 後 日 本 美 術 ﹂ と は な ん で あ っ し さ を 取 り 戻 し 始 め た 。 ﹁ 脱 戦 後 ﹂ も 含 め 、
の 言 説 は 有 効 性 を 失 い つ つ あ る よ う に 思 い
よ う な 日 米 の 二 者 関 係 に 閉 じ ら れ た ﹁ 戦 後 ﹂
く 規 定 さ れ て き ま し た 。 し か し 現 在 、 そ の
で あ る ア メ リ カ と の 関 係 と い っ た も の に 強
の 領 域 と 同 様 に 、 敗 戦 の ト ラ ウ マ や ﹁ 父 ﹂
術 を め ぐ る 議 論 は 、 文 学 や 社 会 学 な ど ほ か
ち 出 す こ と が で き れ ば と 思 い ま す 。
り 越 え て ﹁ 脱 戦 後 日 本 美 術 ﹂ の テ ー ゼ を 打
き な い か 。 既 存 の 戦 後 美 術 史 の 枠 組 み を 乗
本 美 術 史 の モ デ ル を 提 案 し て い く こ と が で
の 可 能 性 を 探 り な が ら 、 新 し い 開 か れ た 日
戦 後 日 本 美 術 史 を 振 り 返 り 、 そ の 読 み 替 え
そ の よ う な 状 況 認 識 の も と で 、 あ ら た め て
案 可 決 や 国 際 情 勢 の 急 激 な 変 化 、 具 体 的 に
る か た ち で 、 集 団 的 自 衛 権 を め ぐ る 安 保 法
り を 迎 え た 昨 年
け て い ま し た 。 そ れ が 、 戦 後 七 〇 年 の 区 切
一 〇 年 ほ ど ま え に は ほ と ん ど 死 語 に な り か
椹 木 野 衣
は 対 テ ロ 戦 争 の 前 景 化 に 伴 い 、 急 激 に 生 々
︵ 二 〇 一 五 年 ︶
に 相 前 後 す
こ れ ま で の 日 本 の 現 代 美 術 な い し 戦 後 美
﹁ 戦 後 美 術 ﹂ と い う 呼 び 方 は 、
し た い と 思 い ま す 。
と の 関 係 を 見 つ め 直 す 必 要 が あ る で し ょ う 。
黒 瀬 陽 平
再 検 討 す べ き な の か 、 ま ず そ の 前 提 を 確 認
日 本 美 術 の 再 検 討 が テ ー マ で す 。 な ぜ い ま
が と う ご ざ い ま す 。 こ の 共 同 討 議 は 、 戦 後
え ば そ う し た 他 者 た ち に は 含 ま れ ま す
Z プ ロ ジ ェ ク ト ﹂ が 行 わ れ る 韓 国 も 、 た と
ち も 、 ア 今 メ 回 リ の カ 特 だ 集 け で で 取 な 材 い し さ た ま ﹁ ざ リ ま ア な ル 他 D 者 M た
︱
戦 後 日 本 美 術 の 地 質 学 的 条 件
今 日 は お 集 ま り い た だ き 、 あ り
︱
木 さ ん か ら 、 い か が で し ょ う か 。
う か が っ て い き た い と 思 い ま す 。 ま ず は 椹
会 田 誠 + 安 藤 礼 二 + 椹 木 野 衣 + 黒 瀬 陽 平 Makoto Aida + Reiji Ando + Noi Sawaragi + Yohei Kurose
た の か 、 み な さ ん の 考 え を 大 づ か み に で も
ま す 。 た と え ば 、 二 〇 一 一 年 の 震 災 後 に わ
共 同 討 議
The Colonies and Exposure in the Wild: Towards a Reinterpretation of Postwar Japanese Art
た し た ち が 直 面 し た さ ま ざ ま な 問 題 に し て
野 ざ ら し と 外 地
特 集
─ 脱 戦 後 日 本 美 術 日 本 か ら 外 へ
│ 戦 後 日 本 美 術 再 考 の た め に
ゲンロン 3
080
鮮 半 島 で は 一 瞬 、 一 九 七 二 年 の 七 ・ 四 南 北 共 同 声 明 に よ っ て 和
ク ト リ ン に 基 づ く デ タ ン ト 政 策 で 冷 戦 が 緩 和 さ れ た 時 期 、 朝
に 関 す る 、 主 観 的 で 散 漫 な 記 述 で あ る 。 と は い え 、 散 漫 な 記 述
冷 戦 、 休 戦 ラ イ ン
057
[ ☆ 1 ]
、 D M Z な ど が 捉 え ら れ た 重 要 な 瞬 間
希 望 を 抱 か せ る よ う な 変 化 の 瞬 間 も あ っ た 。 ニ ク ソ ン ・ ド 本 稿 は 、 韓 国 の 文 化 と 芸 術 に お い て 、 朝 鮮 戦 争 、 南 北 分 断 、
の 空 気 の な か に 満 遍 な く 染 み 込 ん で い る 。
デ ィ ア に 依 存 し て い る と 言 っ て も 決 し て 過 言 で は な い だ ろ う 。
と 文 化 、 地 域 間 の 対 立 、 社 会 心 理 に 至 る ま で 、 分 断 は 韓 国 社 会
会 全 体 に 深 く 根 を 下 ろ し た 。 政 治 と 軍 事 外 交 は も ち ろ ん 、 経 済
勃 発 す る こ と は な か っ た 。 そ の 代 わ り 、 冷 戦 下 の 政 治 は 韓 国 社
れ ま で 局 地 的 な 緊 張 は あ っ た に せ よ 、 全 面 的 な 戦 争 が ふ た た び
鮮 と 韓 国 は 依 然 と し て 法 的 に は 戦 争 中 の 国 家 で あ る 。 幸 い 、 こ
と も に 消 え つ つ あ る 。 北 朝 鮮 と 分 断 の 表 象 は 、 も は や 多 様 な メ
メ デ ィ ア に 依 存 し な い 実 際 の 北 朝 鮮 の 記 憶 は 、 世 代 間 の 断 絶 と
存 命 中 の 離 散 家 族 の ほ と ん ど が す で に 八 〇 歳 以 上 の 高 齢 と な り 、
カ 主 導 の 国 際 的 な 孤 立 政 策 が い っ そ う 強 化 さ れ た 。 そ の 間 に 、
に よ っ て 南 北 間 の 緊 張 が 最 高 潮 に 達 し 、 北 朝 鮮 に 対 す る ア メ リ
鏡と沼、分断表象のメディアと芸術
一 九 五 〇 年 の 朝 鮮 戦 争 勃 発 か ら 六 六 年 目 を 迎 え る い ま 、 北 朝 に 回 帰 し て い る か の よ う に 見 え る 。 最 近 で は 、 北 朝 鮮 の 核 実 験
パ ク ・ チ ャ ン キ ョ ン
は じ め に
박 찬 경
訳 ・ 解 題
─ 馬 定 延 마 정 연
れ る か に 思 わ れ た 。 に も か か わ ら ず 、 い ま は 南 北 共 同 声 明 以 前
二 〇 〇 〇 年 の 南 北 首 脳 会 談 で は 、 朝 鮮 半 島 に 新 し い 時 代 が 開 か
解 の 空 気 が 流 れ た 。 だ が 、 そ れ は ほ ん の 一 瞬 に 過 ぎ な か っ た 。
論 考
거 울 과 늪 、 분 단 재 현 의 미 디 어 와 예 술
鏡 と 沼 、 分 断 表 象 の メ デ ィ ア と 芸 術
特 集
─
脱 戦 後 日 本 美 術 も う ひ と つ の 悪 い 場 所
☆ = 訳
パク・チャンキョン
あ る 。 同 じ 協 定 で は 、 軍 事 境 界 線 に 加 え て 、 そ こ か ら 南 北 二 キ ロ ず つ 、 幅 四 キ ロ の 土 地 が ﹁ 非 武
015
る 。 か わ り に 両 国 の あ い だ に は 、 一 九 五 三 年 の 朝 鮮 戦 争 の 休 戦 協 定 で 引 か れ た ﹁ 軍 事 境 界 線 ﹂ が
だ 戦 争 状 態 に あ り 、 た が い の 存 在 を 承 認 し て お ら ず 、 し た が っ て ﹁ 国 境 ﹂ も 存 在 し な い か ら で あ
北 朝 鮮 の ﹁ 国 境 ﹂ 付 近 だ と 記 し た 。 け れ ど も 、 そ の 表 現 は じ つ は 正 確 で は な い 。 南 北 朝 鮮 は い ま
な い 。 本 誌 記 事 は 、 お そ ら く 日 本 の メ デ ィ ア で は じ め て の 本 格 的 紹 介 で あ る
ト ﹂ 名 の 称 一 に 種 含 と ま い れ う て こ い と る に ﹁ な D る M 。 Z 日 ﹂ 本 と 人 は 作 な 家 ん も の 参 こ 加 と し だ て ろ い う る か が 。 、 い 日 ま 本 ぼ で く は は な 、 ぜ 展 か 覧 [ ★ 会 1 あ ] ま の 。 り 会 知 場 ら は れ 韓 て 国 い と
ダークツーリズム以後の世界
バ ス 停 も 会 場 に 選 ば れ て い る 。 開 催 に は 地 元 自 治 体 も 協 力 し て お り 、 日 本 風 に 言 え ば ﹁ 地 域 ア ー
会 の 名 称 で あ る 。 田 園 地 帯 で の 展 示 は 、 観 光 産 業 と 結 び つ き 、 二 〇 一 五 年 に は 中 心 集 落 の 商 店 や
市 内 の 美 術 館 の ふ た つ の 会 場 で 、 二 〇 一 二 年 よ り 年 に 一 回 、 夏 に 開 催 さ れ て い る 現 代 美 術 の 展 覧
リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト と は な に か 。 そ れ は 、 韓 国 と 北 朝 鮮 の 国 境 付 近 の 田 園 地 帯 と ソ ウ ル
の 鍵 に な る と 考 え た 。 以 下 、 そ の 理 由 を 記 し て お き た い 。
そ が 、 美 術 に と ど ま ら ず 、 戦 後 日 本 を め ぐ る 議 論 を 内 破 し 、 そ の 重 力 を ﹁ 脱 ﹂ す る た め の ひ と つ
本 美 術 ﹂ と い う 特 集 の 主 題 と 関 係 が な い と 思 わ れ る か も し れ な い 。 け れ ど も ぼ く は 、 そ の 紹 介 こ
そ こ で 語 ら れ て い る の は 、 現 代 の 韓 国 の 物 語 で あ る 。 し た が っ て 、 そ れ は い っ け ん ﹁ 脱 戦 後 日
よ る 関 連 論 文 で あ る 。
の 中 心 人 物 、 キ ュ レ ー タ ー の キ ム ・ ソ ン ジ ョ ン へ の イ ン タ ビ ュ ー 、 そ し て パ ク ・ チ ャ ン キ ョ ン に
た 。 そ の た め に 掲 載 し た の が 、 ﹁ リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト ﹂ と い う 韓 国 の 展 覧 会 の 紹 介 と 、 そ
東浩紀
他 方 で ぼ く は 、 美 術 批 評 の 外 部 か ら 、 同 じ 問 い に ま た べ つ の 視 点 を し の び 込 ま せ る こ と を 考 え
し て 配 置 さ れ て い る 。
ン グ ら の 翻 訳 論 文 、 新 藤 淳 と 稲 賀 繁 美 、 土 屋 誠 一 の 論 文 な ど が 、 そ の 問 い へ の 答 え の 手 が か り と
そ の よ う に 問 い を 立 て た 。 椹 木 の ほ か 、 会 田 誠 、 安 藤 礼 二 を 招 い て の 共 同 討 議 、 ハ ン ス ・ ベ ル テ ィ
す る 普 遍 の 枠 組 み は 存 在 し な い も の な の だ ろ う か 。 椹 木 の 仕 事 に 最 大 の 敬 意 を 払 い つ つ 、 黒 瀬 は
に そ こ ま で 特 殊 な も の だ っ た の だ ろ う か 。 否 、 た と え 特 殊 だ っ た と し て も 、 そ の 特 殊 性 を 相 対 化
い の よ う に 日 本 の 批 評 に 取 り 憑 き 続 け て い る 枠 組 み で あ る 。 け れ ど も 、 日 本 の ﹁ 戦 後 ﹂ は 、 本 当
め ら れ て い る 。 そ れ は 、 二 〇 年 近 く ま え に 椹 木 野 衣 が ﹃ 日 本 ・ 現 代 ・ 美 術 ﹄ で 提 出 し て 以 降 、 呪
代 文 化 全 体 を 限 界 づ け て い る と い う 枠 組 み 、 そ れ そ の も の を 内 破 し 、 更 新 し よ う と い う 意 図 が 込
こ の 特 集 名 に は 、 ま ず は 、 ﹁ 戦 後 ﹂ と い う ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ が 、 日 本 の 現 代 美 術 を 、 否 、 日 本 の 現
て は 、 本 誌 連 載 で お な じ み の 美 術 評 論 家 、 黒 瀬 陽 平 に 協 力 を も ら っ た 。
ダ ー ク ツ ー リ ズ ム 以 後 の 世 界
﹃ ゲ ン ロ ン 3 ﹄ を お 送 り す る 。 今 号 の 特 集 は ﹁ 脱 戦 後 日 本 美 術 ﹂ で あ る 。 特 集 の 目 次 制 作 に あ た っ
東 浩 紀
ゲンロン 3
014
DMZ 平和文化広場
朝鮮民主主義 人民共和国
DMZ 평화문화광장
大韓民国
休 戦線
非武装地帯(DMZ)
南方限界線
旧鉄原邑
鉄原平和展望台
구철원읍
철원평화전망대
民間人統制区域
白馬高地駅
京 元 線
陽地里
官田里チェックポイント
관전리통제소
양지리
江原道 鉄原郡
漢灘江
東松邑 동송읍
鉄の三角戦跡地 観光事業所 철의삼각전적지 관광사업소 (시설물관리사업소)
N 1km ©2016 SK telecom
九 〇 キ ロ 、 車 で 約 二 時 間 。 鉄 原 の 展 示 会 場 は ほ ぼ D M Z ツ ア ー の ル ー ト
二 B 〇 ─ 一 東 五 松 年 邑 の リ 鉄 ア 原 ル 郡 D の M Z 中 心 プ 地 ロ の ジ ひ ェ と ク ト つ 。
岩 で 有 名 な 観 光 地 ﹁ 孤 石
闘 機 が 置 か れ て い る 。 近 く に は 渓 谷 と 奇
生 活 に つ い て の 展 示 が あ り 、 前 庭 に は 戦
を 指 す 名 称 。 事 業 所 内 に は 北 朝 鮮 の 市 民
鮮 戦 争 末 期 に お け る 鉄 原 郡 一 帯 の 激 戦 地
D A M ─ Z 鉄 観 の 光 三 の 角 出 戦 発 跡 点 地 。 観 ﹁ 鉄 光 の 事 三 業 角 所 ﹂ は 鉄 朝 原
は 、 九 世 紀 末 か ら 一 〇 世 紀 初 頭 に か け て
モ F ノ ─ レ 鉄 ー 原 ル 平 に 和 乗 展 っ 望 て 台 展 望 丘 台 の ま 下 で に 上 駅 る が 。 あ り 目 、
象 徴 す る 野 生 動 物 。
状 態 に よ っ て 回 復 し た D M Z の 生 態 系 を
置 さ れ て い る 。 丹 頂 鶴 は 、 長 期 間 の 無 人
D M Z プ ロ ジ ェ ク ト で も 多 く の 作 品 が 設
大韓民国
p.007
N
朝鮮民主主義人民共和国 100km
大韓民国
鉄原 철원
アートソンジェ・センター
写 真 提 供 =
아트선재센터
REAL DMZ PROJECT
H ソウル 서울
10km
ど 南 に 新 た な 町 が 建 設 さ れ て い る 。
は い く つ か の 廃 墟 だ け を 残 し 、 五 キ ロ ほ
え た が 、 朝 鮮 戦 争 で 焦 土 と 化 し た 。 い ま
電 気 鉄 道 が 分 岐 す る 交 通 の 要 所 と し て 栄
ン が 館 長 を 務 め 、 韓 国 の 現 代 美 術 福 界 宮 で に 先
術 館 。 一 九 九 八 年 設 立 。 キ ム ・ ソ ン ジ ョ
市 鍾 路 区 三 清 洞 に 位 置 す る 私 立 現 代 美
H ─ ア ー ト ソ ン ジ ェ ・ セ ン タ ー
角 展 望 台 ﹂ ︶ と 復 元 さ れ た 月 井 里 駅 舎 が
が E あ ─ る D ほ M か Z 、 平 丹 和 頂 鶴 文 博 化 物 広 館 場 ︵ 旧 大 ﹁ き 鉄 な の 広 三 場
す る 文 教 地 区 。 地 下 に は 映 画 館 も あ る 。
近 く 、 周 囲 は 美 術 館 と ギ ャ ラ リ ー が 密 集
導 的 な 役 割 を 果 た し て い る 。 景
鉄 原 は 日 本 統 治 時 代 、 京 元 線 と 金 剛
舎 D か ─ ら 旧 こ の 鉄 地 原 点 邑 ま 跡 で 繁 か 華 つ 街 て が は 続 C い の て 労 い 働 た 山 。 党
プ ロ パ ガ ン ダ 放 送 が 聞 こ え る と い う ソ 。 ウ ル
に 近 い た め 、 風 向 き に よ っ て は 北 朝 鮮 の
倉 庫 も 会 場 と し て 利 用 さ れ て い る 。 国 境
指 の 激 戦 地 で あ る 。
間 中 は 村 内 に 設 置 さ れ た 核 シ ェ ル タ ー や
北 の 争 奪 戦 が 繰 り 広 げ ら れ た 朝 鮮 戦 争 屈
当 初 北 朝 鮮 に 属 し て い た 。 こ の 地 域 は 南
労 働 党 舎 跡 が 残 る ︵ 左 頁 写 真 ︶ 。 鉄 原 郡 は
で 韓 国 軍 に 破 壊 さ れ た 、 北 朝 鮮 労 働 党 の
チ ェ ッ ク ポ イ ン ト の 手 前 に は 、 朝 鮮 戦 争
り 、 同 域 へ の 入 場 は 厳 し い 管 理 下 に あ る 。
の 周 囲 に は 広 大 な 民 間 人 統 制 区 域 が 広 が
C が こ で ─ 行 の は 官 わ 町 、 れ の 八 田 た メ 月 里 。 イ 一 ン 三 チ ス 日 ェ ト か ッ リ ら ク ー 二 ポ イ ト 三 ン を 日 ト 舞 に 台 か に D け 展 M て 示 、 Z
デ ン ス 施 設 が 置 か れ て い る ほ か 、 展 示 期
築 し た リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト の レ ジ
あ G る ─ 寒 陽 村 地 。 里 二 〇 民 一 間 三 人 年 統 よ 制 り 区 、 域 古 の 民 す 家 ぐ を 外 改 に
か れ て い る ︵ ↓ P . 12 ︶ 。
に 分 割 さ れ た 痛 々 し い 都 の 復 元 模 型 が 置
路 で 東 西 に 分 割 さ れ 、 い ま は 国 境 で 南 北
い 。 展 望 台 二 階 に は 、 日 本 統 治 時 代 に 鉄
る た め 、 い ま は だ れ も 見 る こ と が で き な
置 か れ て い た 。 遺 跡 は D M Z の 内 部 に あ
の 短 い あ い だ 、 後 高 句 麗 ︵ 泰 封 ︶ の 都 が
の 前 の 無 人 の 平 原 が D M Z 。 こ の 土 地 に
亭 ﹂ が あ る 。
郡 の 田 園 地 帯 の 二 ヶ 所 に 分 け ら れ る 。 ソ ウ ル か ら 鉄 原 ま で は 直 線 距 離 で
リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト の 会 場 は 、 ソ ウ ル 市 内 の 美 術 館 と 江 原 道 鉄 原
ゲンロン 3
特 集
─ 脱 戦 後 日 本 美 術
に 組 み 込 ま れ て い る 。 こ こ に 示 し た の は 編 集 部 が 訪 れ た 会 場 の み で あ り 、
38度線
N
リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト 主 要 会 場
実 際 に は ほ か に も 多 く の 場 所 が 利 用 さ れ て い る 。
朝鮮民主主義人民共和国
並 ぶ 、 鉄 原 D M Z 観 光 の 中 心 地 。 リ ア ル
006
ご 紹 介 す る 。
M Z プ ロ ジ ェ ク ト の 四 年 間 の 歩 み を グ ラ ビ ア で
︵ ↓ P 32 ︶
を 参 照 さ れ た い 。 こ こ で は 、 リ ア ル D
レ ー タ ー 、 キ ム ・ ソ ン ジ ョ ン 氏 へ の イ ン タ ビ ュ ー
東 浩 紀 に よ る 巻 頭 エ ッ セ イ ︵ ↓ P 14 ︶
、 そ し て キ ュ
な ぜ 本 誌 で D M Z を 取 り 上 げ る の か 、 詳 し く は
の 祭 典 だ 。 そ の 狙 い は な に か 、 D M Z と は な に か 、
界 で 一 年 に 一 度 開 催 さ れ る 、 意 欲 的 な 現 代 美 術
プ ロ ジ ェ ク ト は 、 軍 事 的 緊 張 が 続 く 南 北 朝 鮮 境
美 術 の 展 覧 会 を 取 材 す る た め だ 。 リ ア ル D M Z
赴 い た 。 ﹁ リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト ﹂ な る 現 代
こ の 春 、 本 誌 編 集 部 は 韓 国 の 江カ ン ウ 原ォ ン 道 チ 鉄ョ ル 原ォ ン 郡 に
D M Z を 歩 く
特 集
─ 脱 戦 後 日 本 美 術
: : 夢
未 来 # 16
─ 市 川 真 人
ク レ イ グ ・ オ ー ウ ェ ン ス
訳
─ 新 藤 淳 監 修
─ 中 野 勉
ア レ ゴ リ ー 的 衝 動
│ ポ ス ト モ ダ ニ ズ ム の 理 論 に 向 け て
第 2 部
─ ─
論
考
考
ダ ー ク ツ ー リ ズ ム 入 門
変 身 す る リ ヴ ァ イ ア サ ン と 感 情 の 政 治
第 10 回
戦 争 と テ ロ を 巡 る フ ラ ン ス の 旅
─
井 出 明
─
パ ク ・ カ ブ ン
A kira Ide
Bak Kabun
A Journey through War and Terrorism in France
福 ─ 冨 上 # # 渉 田 3 4 # 洋 ─ ─ 18 子 西 辻 ─ 田 田 安 亮 真 天 介 佐 憲
賭 博
論
A Shifting Leviathan and the Politics of Affect
韓 国 で 現 代 思 想 は 生 き て い た
234
軍 歌 は 世 界 を ど う 変 え た か
10
海 猫 沢 め ろ ん
─
# 6
日 常 の 政 治 と 非 日 常 の 政 治
Introduction to Dark Tourism
─
252
午 後 の 部 Ⅲ
# 1
ロ シ ア 語 で 旅 す る 世 界
Craig Owens
─
Melon Uminekozawa
表 紙 ・ 扉 イ メ ー ジ ─ 梅 沢 和 木
黒 瀬 陽 平 ﹁ 他 の 平 面 論 ﹂ 、 速 水 健 朗 ﹁ 独 立 国 家 論 ﹂ は 今 号 は 休 載 と な り ま す 。
─
Afternoon III
︶
English Translations and Abstracts
LABORATORIES
︵
E01
ア ー ト デ ィ レ ク シ ョ ン & デ ザ イ ン ─ 加 藤 賢 策
編 集 後 記 ・ 支 援 者 一 覧
タ イ 現 代 文 学 ノ ー ト
The Allegorical Impulse: Toward a Theory of Postmodernism Part 2
347
The Pigeon Clock of Dischronia
344
寄 稿 者 一 覧
デ ィ ス ク ロ ニ ア の 鳩 時 計
270
コ ラ ム
作
294
298
303
306
310
317
324 創
訳 ・ 解 題
─ 安 天
特 別 掲 載
野 日本か ざ ら外 らへ し と 外 地
108
080
論 考
入
考
共 同 討 議
美 術 史 は 全 球 化 し う る か ?
世 界 美 術 史 の 批 評 的 地 平
黒 瀬 陽 平
The Art History of Transposition
Yohei Kurose
─
新 藤 淳
Shigemi Inaga
Is Art History Globalizable?: A Critical Commentary from a Far Eastern Point of View
稲 賀 繁 美
Seiichi Tsuchiya
黒 瀬 陽 平 + 新 藤 淳 ─
Yohei Kurose + Atsushi Shinfuji
Reconsidering “Okinawan Art” Before 1945: From Yoshitaro Kamakura’s Studies of Okinawan Art to Yashu Nakamatsu’s Gods and Villages
│
Atsushi Shinfuji
Makoto A ida + Reiji A ndo + Noi Sawaragi + Yohei Kurose
A Different Place, While Being Here: In a “Bad Place” in the Age of Global Art ─
Critical Topography of World Art
─
147
戦 後 日 本 美 術 再 考 の た め に
│
グ ロ ー バ ル ア ー ト 時 代 の ﹁ 悪 い 場 所 ﹂ で
鎌 倉 芳 太 郎 の 沖 縄 美 術 研 究 か ら 仲 松 弥 秀 の ﹁ 神 と 村 ﹂ ま で
転 位 の 美 術 史 一 九 四 五 年 以 前 の ﹁ 沖 縄 美 術 ﹂ ? 土 屋 誠 一 世 界 美 術 史 再 検 討 Hans Belting
1
The Endogenous-Exogenous lnterface in Globalism: The Case of China and Thailand
John Clark
Contemporary Art as Global Art: A Critical Estimate
グ ロ 中 ー ー 国 バ とバ タリ ル イ ア のズ ー 事ム ト 例に ─ と ジお ョけ し ン て ・る の ク内 訳 ─ ラ 現 中 ー発 野 ク的 勉 代 美 な 術 も ─ の ─ │ 批 訳 と ─ 判 荒 外 的 木 発 評 慎 定 也 的 ︵ 前 監 な ︶ 修 ─ も 中 野 の 勉 の 接 触 面 ハ ン ス ・ ベ ル テ ィ ン グ
│グ ロ
187
212
別 な る 場 所 、 こ こ に い て な お
会 田 誠 + 安 藤 礼 二 + 椹 木 野 衣 + 黒 瀬 陽 平
The Colonies and Exposure in the Wild: Towards a Reinterpretation of Postwar Japanese Art
166 導
128
169
│
論
Sunjung Kim
2016 July
Hiroki A zuma
編
Park Chan - k yong
Escape from Postwar Japanese Art
Parallel Relation Between the International and the Local: REAL DMZ PROJECT
The Mirror and the Swamp, or Representation of Division in Media and Art
パ ク ・ チ ャ ン キ ョ ン
005
Walking the DMZ
The World After Dark Tourism
訳
リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト
Sunjung K im
─ 馬 定 延
─
訳
032
リ ア ル D M Z プ ロ ジ ェ ク ト の 哲 学 ─ 黒 瀬 陽 平 + 東 浩 紀
From Museum to Garden: The Philosophy of REAL DMZ PROJECT
│
聞 き 手
│
─ 馬 定 延
014
東 浩 紀
3
脱 戦 後 日 本 美 術
049
057
目 次 ─
D M Z を 歩 く ダ ー ク ツ ー リ ズ ム 以 後 の 世 界 も う ひ と つ の 悪 い 場 所
東 浩 紀
─ 馬 定 延
訳 ・ 解 題
入 考
博 物 館 か ら 庭 へ キ ム ・ ソ ン ジ ョ ン
国 際 性 と 地 域 性 の 並 行 関 係 キ ム ・ ソ ン ジ ョ ン
鏡 と 沼 、 分 断 表 象 の メ デ ィ ア と 芸 術
導
特 集 論
イ ン タ ビ ュ ー