Genron 8 The Age of Games English Translations and Abstracts Full Text E02
J0 0 6
Hiroki Azuma
In Search of a 21st-Century Las Meninas Translated by Christopher Lowy
Abstracts
Translated by Michael Chan, John Person and Ko Ransom
The Age of Games E 07
J016
Akito Inoue + Yohei Kurose + Sayawaka + Hiroki Azuma
From Media Mix to Pachinko: The Rise and Fall of Japanese Games, 1991-2018 Hiroshi Yoshida
E08
J076
E09
J0 99
E10
J120
E11
J136
Akito Inoue
E12
J158
Katsura Hashino
E13
J171
Ibai Ameztoy
E14
J273
Metagamic Realism: Digital Games as a Platform for Criticism Yohei Kurose
Origins of Contemporary Art: Genealogy of Dual-Layered Vision
Sayawaka
The Principle of the Button and the Ethics of Games How are Games Social Problems? JRPG as an Apparatus of Experience Games are Seeking Akira Kurosawa
Kenro Hayamizu
On Independent States │7│
The United Red Army Incidents: Urban or Rural?
E15
J299
Novel
Melon Uminekozawa
The Pigeon Clock of Dischronia│Afternoon VII│ E16
−
Contributors and Translators
* Exx refers to pages of translations or abstracts in English language, while Jxx refers to the original texts in Japanese.
ゲンロン8
じ だい
ゲームの時代
Genron 8 The Age of Games
発行日
次号予告
2018(平成30)年5月25日 第1刷発行
ゲンロン9
編集人 あずま ひろ
東浩紀(編)
東浩紀
2018年9月刊行予定
発行人
第1期最終号 現代日本
東浩紀
批評Ⅳ
苅部直/先崎彰容/大澤聡 現代思想Ⅲ
発行所
株式会社ゲンロン 141-0031
五木寛之/沼野充義
東京都品川区西五反田1-16-6
ミハイル・バフチン/貝澤哉
イルモンドビル2F TEL: 03-6417-9230 FA X : 03-6417-9231
時代Ⅱ 辻田真佐憲/土居伸彰/山本貴光
&
ほか好評連載陣 批評再生塾第3期最優秀論文 SF
info@genron.co.jp http://genron.co.jp/
作講座第2期最優秀作
加藤賢策(LABOR ATORIES) 印刷 株式会社シナノパブリッシングプレス
第1期 締
3年間
堂々 最終号。
中心
編集 上田洋子 徳久倫康 原光樹 横山宏介
1-4号
批評特集
明治150年 見据 併
補遺 特別討議 収録。
特集補遺
五木寛之 迎 特集補遺 第2期 人文知
新論考3本 掲載。 伏線 回収
飛躍 準備 本当
北岡誠吾(LABOR ATORIES)
座談会
草稿 本邦初訳出、 第1期
DTP
再起動。
定価
裏表紙
本書
無断複写(
表示
落丁本・乱丁本
。 ) 著作権法
取 替
©2018 Genron Co., Ltd. Printed in Japan
ISBN 978-4-907188-25-2
例外 。
除 、禁
。
寄稿者一覧
七 一 年 生 。 思 想 家 、 作 家 。 ゲ ン ロ ン 代 表 。 著 書 に ﹃ 一 般 意 志 2 ・ 0 ﹄
東 浩 紀 | あ ず ま ・ ひ ろ き
孔 の 中 ﹄ ︵ 共 訳 、 松 籟 社 ︶ な ど 。
橋 野 桂 |
舞 伎 と 革 命 ロ シ ア ﹄ ︵ 森 話 社 ︶ 、 訳 書 に ク ル ジ ジ ャ ノ フ ス キ イ ﹃ 瞳
い ま い ・ し ん
副
一 月 号 ︶ な ど 。
は し の ・ か つ ら
と の 絶 滅 に 向 か っ て
│ レ イ ・ ブ ラ シ エ 論 ﹂ ︵ ﹃ 現 代 思 想 ﹄ 一 六 年
七 四 年 生 。 ロ シ ア 文 学 者 、 博 士 ︵ 文 学 ︶ 。 ゲ ン ロ ン 所 属 。 編 著 に ﹃ 歌
イ ン 部 門 優 秀 賞 受 賞 。 単 著 に ﹃ ゲ ー ミ フ ィ ケ ー シ ョ ン ﹄ ︵ N H K 出 版 ︶ 。
上 田 洋 子 | う え だ ・ よ う こ
る メ タ ・ ポ レ ミ ッ ク ス ﹂ ︵ ﹃ ユ リ イ カ ﹄ 一 二 年 一 〇 月 号 ︶ 、 ﹁ 聴 く こ
青 弓 社 ︶ 、 共 著 に ﹃ ゲ ー ム 化 す る 世 界 ﹄ ︵ 新 曜 社 ︶ な ど 。
し た 節 電 ゲ ー ム ﹃
﹄ で
ゲ ー ム デ ザ
九 一 年 生 。 批 評 家 。 主 な 寄 稿 に ﹁ ﹃ ポ ス ト ・ ケ ー ジ 主 義 ﹄ を め ぐ
裂 す る ︿ ド イ ツ ﹀ ﹄ ﹃ 民 謡 の 発 見 と ︿ ド イ ツ ﹀ の 変 貌 ﹄ ︵ い ず れ も
八 〇 年 生 。 ゲ ー ム 研 究 者 。 立 命 館 大 学 に 勤 務 。 震 災 時 に リ リ ー ス
仲 山 ひ ふ み |
井 上 明 人 | い の う え ・ あ き と
新 書 ︶ な ど 。
な か や ま ・ ひ ふ み
学 ︶ 。 専 門 は 感 性 学 、 ゲ ー ム 研 究 。 著 書 に ﹃ 絶 対 音 楽 の 美 学 と 分
七 三 年 生 。 立 命 館 大 学 大 学 院 先 端 総 合 学 術 研 究 科 教 授 。 博 士 ︵ 文
田 塁 ﹂ 名 義 ︶ な ど 。
吉 田 寛 | よ し だ ・ ひ ろ し
冬 舎 新 書 ︶ 、 ﹃ 文 部 省 の 研 究 ﹄ ︵ 文 春 新 書 ︶ 、 ﹃ 空 気 の 検 閲 ﹄ ︵ 光 文 社
八 四 年 生 。 文 筆 家 、 近 現 代 史 研 究 者 。 著 書 に ﹃ 大 本 営 発 表 ﹄ ︵ 幻
ル ド ・ プ レ ミ ア 。
学 学 術 院 准 教 授 。 著 書 に ﹃ 紙 の 本 が 亡 び る と き ? ﹄ ︵ 青 土 社 、 ﹁ 前
七 一 年 生 。 文 芸 批 評 家 、 ﹃ 早 稲 田 文 学 ﹄ 編 集 委 員 、 早 稲 田 大 学 文
辻 田 真 佐 憲 | つ じ た ・ ま さ の り
作 目 の 長 編 映 画 ﹃ 現 れ た 男 ﹄ が 、 第 三 〇 回 東 京 国 際 映 画 祭 で ワ ー
ク ス ・ ジ ャ パ ン ︶ 、 ﹃ パ ン ダ ﹄ ︵ 東 京 外 国 語 大 学 出 版 会 ︶ な ど 。 二
市 川 真 人 | い ち か わ ・ ま こ と
上 級 研 究 員 。 著 書 に ﹃ コ ミ ュ ニ カ テ ィ ヴ ・ イ メ ー ジ ﹄ ︵ 未 邦 訳 ︶ な ど 。
六 四 年 生 。 哲 学 者 、 映 画 批 評 家 。 ロ シ ア 科 学 ア カ デ ミ ー 哲 学 研 究 所
海 社 新 書 ︶ 、 ﹃ 文 学 と し て の ド ラ ゴ ン ク エ ス ト ﹄ ︵ コ ア 新 書 ︶ な ど 。
海 社 新 書 ︶ 、 ﹃ 一 〇 年 代 文 化 論 ﹄ ︵ 星 海 社 新 書 ︶ 、 ﹃ 文 学 の 読 み 方 ﹄ ︵ 星
七 四 年 生 。 ラ イ タ ー 、 物 語 評 論 家 。 著 書 に ﹃ 僕 た ち の ゲ ー ム 史 ﹄ ︵ 星
領 域 は 多 岐 に わ た る 。 邦 訳 に ﹃ 鏡 の 中 を 数 え る ﹄ ︵ タ イ フ ー ン ・ ブ ッ
七 三 年 生 。 作 家 、 グ ラ フ ィ ッ ク ア ー テ ィ ス ト 、 映 画 監 督 な ど 活 動
プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン |
オ レ グ ・ ア ロ ン ソ ン |
〇 七 〇 七 に 年 年 選 に 生 ば 来 。 れ が 日 株 る ゲ 、 式 。 ー 〇 会 ム 八 社 産 年 ア 業 に ク の 同 テ 発 社 ィ 展 設 ブ に 立 ゲ 貢 。 ー 献 一 ミ し 二 ン グ た 年 メ 人 、 デ 物 ィ に ア 贈 代 る 表 取 締 役 。
さ や わ か
フ リ ア ル ﹄ ︵ ニ ュ ー ゲ ー ム ズ オ ー ダ ー ︶ 。
イ バ イ ・ ア メ ス ト イ |
で あ り 、 翻 訳 を 担 当 し て い る 。
ル ゲ ー ム を プ レ イ し 始 め 、 〇 五 年 か の ら プ ﹁ ロ ジ ェ ク ト ﹂ マ シ ネ リ ー ー ジ ズ ャ の ー 英
八 三 年 生 。 N Y C 在 住 の デ ー タ サ イ エ ン テ ィ ス ト 。 〇 一 年 に ノ ベ
訳 を 手 が け た 。 現 在 、
ラ ン デ ィ ・ ア ウ | Randy Au
︵ 講 談 社 ︶ 、 ﹃ 弱 い つ な が り ﹄ ︵ 幻 冬 舎 ︶ 、 ﹃ ゲ ン ロ ン 0 観 光 客 の 哲 学 ﹄
七 一 年 生 。 ゲ ー ム ク リ エ イ タ ー 。 株 式 会 社 ア ト ラ ス に 所 属 。 ﹃ ペ
今 井 晋 |
narcissu
は や み ず ・ け ん ろ う
ル ソ ナ 3 ・ 4 ・ 5 ﹄ を 手 掛 け た 後 、 現 在 は 完 全 新 作 R P G の 制 作 に
八 一 年 生 。 ゲ ー ム ジ ャ ー ナ リ ス ト 、 美 学 研 究 者 。
Sekai Project
取 り 組 ん で い る 。
ビ ル ボ ー ド と ピ ッ チ
は 基 本 無 料 だ か ら ソ ー シ ャ ル ゲ ー ム ﹂ ︵ ﹃ ユ リ イ カ ﹄ 一 七
編 集 長 。 共 訳 に ﹃ 分 析 美 学 基 本 論 文 集 ﹄ ︵ 勁 草 書 房 ︶ 、 主 な 寄 稿 に
Ibai Ameztoy
︵ ゲ ン ロ ン 、 第 七 一 回 毎 日 出 版 文 化 賞 受 賞 ︶ な ど 。
速 水 健 朗 |
│
﹁
Power
七 三 年 生 。 ラ イ タ ー 。 近 著 に ﹃ 東 京 β ﹄ ︵ 筑 摩 書 房 ︶ 、 ﹃ 東 京 ど こ
年 二 月 号 ︶ 、 ﹁ ラ ン キ ン グ と レ イ テ ィ ン グ
Game Developer
う め ざ わ ・ か ず き
う み ね こ ざ わ ・ め ろ ん
フ ォ ー ク に 見 る ポ ッ プ の 美 学 の ゆ く え ﹂ ︵ ﹃ ユ リ イ カ ﹄ 一 一 年 二 月
magazine
梅表 沢紙 和 木 |
号 ︶ な ど 。
Олег Аронсон
ふ く と み ・ し ょ う
に 住 む ? ﹄ ︵ 朝 日 新 書 ︶ な ど 。
海 猫 沢 め ろ ん |
50
福 冨 渉 |
七 五 年 生 。 文 筆 業 。 ﹃ 左 巻 キ 式 ラ ス ト リ ゾ ー ト ﹄ ︵ 星 海 社 文 庫 ︶ で
ปราบดา หยุ่น
CASHI
八 五 年 生 。 美 術 家 。 武 蔵 野 美 術 大 学 造 形 学 部 映 像 学 科 卒 業 。
デ ビ ュ ー 。 ﹃ キ ッ ズ フ ァ イ ヤ ー ・ ド ッ ト コ ム ﹄ ︵ 講 談 社 ︶ で 第 五 九
CEDEC AWARDS
お よ び カ オ ス * ラ ウ ン ジ に 所 属 。
八 六 年 生 。 タ イ 文 学 研 究 者 、 タ イ 語 翻 訳 者 。 鹿 児 島 大 学 グ ロ ー バ
回 熊 日 文 学 賞 受 賞 。 小 説 の ほ か ル ポ に ﹃ 明 日 、 機 械 が ヒ ト に な る ﹄
#denkimeter
ル セ ン タ ー 特 任 講 師 。 著 書 に ﹃ タ イ 現 代 文 学 覚 書 ﹄ ︵ 風 響 社 ︶ な ど 。
︵ 講 談 社 現 代 新 書 ︶ な ど 。
IGN JAPAN
エ レ ー ナ ・ ペ ト ロ フ ス カ ヤ |
ア レ ク サ ン ダ ー ・ R ・ ギ ャ ロ ウ ェ イ |
Steam
Alexander R. Galloway
六 二 年 生 。 哲 学 者 、 美 術 批 評 家 。 哲 学 ・ 批 評 誌 ﹃ 青 い ソ フ ァ ﹄ 編
Елена Петровская
七 四 年 生 。 ニ ュ ー ヨ ー ク 大 学 ス タ イ ン ハ ー ト 校 メ デ ィ ア ・ カ ル
︵ な 新 八 ど 潮 四 。 社 年 ︶ 生 ﹃ 、 。 夜 小 を 説 聴 家 く 、 文 者 芸 ﹄ ﹃ 批 惜 評 日 家 の 。 ア 著 リ 書 ス に ﹃ ﹄ ︵ モ い ノ ず ク れ ロ も の 河 君 出 に 書 恋 房 を 新 す 社 る ︶ ﹄
坂 上 秋 成 |
オ ス * ラ ウ ン ジ ﹂ 代 表 。 著 書 に ﹃ 情 報 社 会 の 情 念 ﹄ ︵ N H K 出 版 ︶ 。
学 院 美 術 研 究 科 博 士 後 期 課 程 修 了 。 ア ー テ ィ ス ト ・ グ ル ー プ ﹁ カ
八 三 年 生 。 美 術 家 、 美 術 批 評 家 、 キ ュ レ ー タ ー 。 東 京 藝 術 大 学 大
黒 瀬 陽 平 |
テ ィ ス ト 。 邦 訳 に ﹃ プ ロ ト コ ル ﹄ ︵ 人 文 書 院 ︶ 。
チ ャ ー ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 科 教 授 。 哲 学 者 、 プ ロ グ ラ マ ー 、 ア ー
術 の 言 語 ﹄ ︵ 共 訳 、 慶 應 義 塾 大 学 出 版 会 ︶ 、 イ ェ ス パ ー ・ ユ ー ル ﹃ ハ ー
松 永 伸 司 |
問 い ﹄ な ど 。
﹃ デ ジ タ ル オ ブ ジ ェ ク ト の 存 在 に つ い て ﹄ ﹃ 中 国 に お け る 技 術 へ の
八 五 年 生 。 ロ イ フ ァ ナ 大 学 リ ュ ー ネ ブ ル ク で 教 鞭 を と る 。 著 書 に
許 煜 |
﹃ 反 写 真 ﹄ ︵ 未 邦 訳 ︶ な ど 。
集 長 。 ロ シ ア 科 学 ア カ デ ミ ー 哲 学 研 究 所 美 学 セ ク タ ー 長 。 著 書 に
タ ー 客 員 研 究 員 。 博 士 ︵ 美 術 ︶ 。 訳 書 に ネ ル ソ ン ・ グ ッ ド マ ン ﹃ 芸
東 京 藝 術 大 学 美 術 学 部 教 育 研 究 助 手 、 立 命 館 大 学 ゲ ー ム 研 究 セ ン
さ か が み ・ し ゅ う せ い
ま つ な が ・ し ん じ
ゲンロン 8
く ろ せ ・ よ う へ い
ほ い ・ ゆ く
320
桐 野 夏 生 の 小 説 ﹃ 夜 の 谷 を 行 く ﹄ ︵ 二 〇 一 七 年 ︶
は 、 連 合 赤 軍
273
革 命 戦 士 育 成 の た め の コ ミ ュ ー ン
ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 密 な 地 域 に 余 所 者 が 紛 れ 込 め ば 、 す ぐ に 怪
動 の た め の 拠 点 と な る ア ジ ト も 都 市 部 に 求 め ら れ る 。 地 域 の コ
る こ と に す る 。
に あ る と 指 摘 し た [ ★ 1 ]
。 こ の 塩 見 の 批 判 の 詳 細 は 、 後 で 触 れ
独立国家論 第 7 回
や ﹁ オ ル グ
﹂ に よ っ て 維 持 さ れ る 組 織 体 だ か ら だ 。 活
る 。 カ ン パ に よ っ て 運 動 の 継 続 が 成 り 立 ち 、 仲 間 と の 密 な 連 絡
連 合 赤 軍 の 失 敗 の 原 因 を 、 彼 ら が 都 市 を 離 れ て し ま っ た と こ ろ
で リ ー ダ ー と な る 森 恒 夫 ら を 指 導 す る 立 場 に い た 塩 見 孝 也 は 、
︵ 勧 誘 ︶
そ も そ も 革 命 運 動 は 、 基 本 的 に は 都 市 を 基 盤 と し た 運 動 で あ 当 時 、 獄 中 に い た 赤 軍 派 議 長 、 つ ま り 本 来 で あ れ ば 連 合 赤 軍
舞 台 に 展 開 さ れ て い る 。
眺 め て み た い 。
ど 一 九 六 〇 年 代 末 の 新 左 翼 に よ る 主 要 な 運 動 の 多 く は 、 都 市 を 件 を 、 都 市 の 事 件 な の か 中 山 間 地 域 の 事 件 な の か と い う 視 点 で
田 講 堂 の 攻 防 戦 、 東 京 戦 争 と 呼 ば れ る 赤 軍 派 に よ る 武 装 蜂 起 な 都 市 か ら 山 間 部 へ と 運 動 の 場 所 が 変 化 し た の だ 。 連 合 赤 軍 事
羽 田 闘 争 、 新 宿 騒 擾 事 件 、 神 田 カ ル チ ェ ラ タ ン 闘 争 、 東 大 安 ち ら も 群 馬 、 長 野 の 山 間 部 を 舞 台 に し た 事 件 だ っ た 。
速 水 健 朗
独 立 国 家 論
論 考
─ ─
The United Red Army Incidents: Urban or Rural?
し い と 噂 が 立 っ て し ま う 。 そ も そ も 、 労 働 運 動 自 体 、 都 市 工 場
7
だ が 、 一 九 七 一 年 か ら 翌 年 に か け て 連 合 赤 軍 が 起 こ し た 山 岳
労 働 者 の 連 帯 の 中 か ら 生 ま れ て い っ た も の で も あ る の だ ろ う 。
On Independent States
Kenro Hayamizu
ベ ー ス 連 続 リ ン チ 事 件 、 あ さ ま 山 荘 の 機 動 隊 と の 銃 撃 戦 は 、 ど
第 7 回
都 市 か 農 村 か で 見 る 連 合 赤 軍 事 件
速水健朗
E ・ M ・ シ オ ラ ン ﹁ ︽ 新 し い 生 活 ︾ の 滑 稽 さ ﹂ ﹃ 崩 壊 概 論 E ・ M ・ シ オ ラ ン 選 集 1 ﹄ [ ☆ 2 ]
に す る と い う よ り 、 不 意 に し か め っ 面 す る 己 れ 自 身 の 希 望 を 抱 い て 、 自 分 の 内 部 に 転 落 す る 姿 だ け だ っ
私 が 見 た の は 、 誰 も が 時 間 の 中 を 歩 み な が ら 結 局 ひ と り ぼ っ ち に な っ て 己 が 苦 悩 を 反 芻 し 、 生 を 新 た
私 が か つ て お 目 に か か っ た い か な る ︽ 新 し い ︾ 生 も 、 根 の 腐 っ た 夢 ま ぼ ろ し で な か っ た も の は な い 。
い る か ら で あ る 。
│ ジ ル ・ ド ゥ ル ー ズ ﹃ ス ピ ノ ザ
│ 実 践 の 哲 学 ﹄ [ ☆ 1 ]
い の も の を 、 私 た ち の 意 識 の 制 約 や 錯 覚 と 結 び つ い て 生 に 敵 対 す る い っ さ い の 超 越 的 価 値 を 告 発 し て
ま さ し く ス ピ ノ ザ に は ﹁ 生 ﹂ の 哲 学 が あ る 。 文 字 ど お り そ れ は こ の 私 た ち を 生 か ら 切 り 離 す い っ さ
訳
─ 福 冨 渉
新 し い 目 の 旅 立 ち
随 筆
第 5 回
โช ฟุกโุ ตมิ
│
た の で あ る 。
ตืน่ บนเตียงอืน่ │ 5 │
プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン
☆ = 訳
ゲンロン 8
260
的 な 民 族 誌 は 第 一 章 で 技 芸 を 扱 う こ と に 専 念 す る が 、 そ れ は 残
た あ と が き に お い て 彼 が 嘆 い て み せ た よ う に 、 た い て い の 古 典
つ ま り 、 ﹃ 人 間 と 物 質 ﹄ の 初 版 か ら 三 〇 年 を 経 た の ち に 書 か れ
technical tendencies
247
技 芸 は 、 人 間 ・ 文 明 ・ 文 化 の 進 化 が そ れ を 通 じ て 引 き 出 さ れ う
い の で あ る [ ★ 1 ]
。 ︹ 他 方 で ︺
ル ロ ワ グ ー ラ ン の 著 作 に お い て
り の 章 で 扱 う 社 会 的 ・ 宗 教 的 側 面 に た だ ち に 赴 く た め で し か な
中国における技術への問い
許 煜
2 ─ コ ス モ ス ・ 宇 コス 宙 モロ 論 ジー ・ 宇 コス 宙 モテ 技 クニ 芸 クス
グ ー ラ ン に よ る 技 術 的 を 事 す 実 で に 十 分
訳 ・ 解 題
─ 仲 山 ひ ふ み
説 明 す る こ と に 限 定 し よ う と し た の か を 理 解 す る こ と が で き る 。
彼 が あ え て 自 ら を 道 具 の 発 展 の 研 究 に 依 拠 し つ つ 技 芸 の 発 生 を
よ う に 思 わ れ る 。 そ の よ う な 見 方 に 立 つ と き 、 私 た ち は 、 な ぜ
彼 の 焦 点 が 技 術 的 対 象 の 個 体 化 に 置 か れ て い る こ と に 由 来 す る
つ の 技 芸 の 系 譜 学 に し て ヒ エ ラ ル キ ー と な る も の を 構 築 す べ く 、
ホ イ ユ ク
2
る と こ ろ の ﹁ レ ン ズ ﹂ と し て 自 ら 振 る 舞 う と い う 意 味 で 、 自 律
こ こ で ひ と は 、 ル ロ ワ
The Question Concerning Technology in China: An Essay in Cosmotechnics Introduction
的 な も の と な る 。 と は い え 、 諸 々 の 技 術 的 事 実 の 特 異 性 を ﹁ 環
に 関 す る 分 析 が 、 相 異 な る 技 術 性
Hifumi Nakayama
に 説 明 し て い る の で は な い か と 尋 ね る か も し れ な い 。 ル ロ ワ
Yuk Hui
グ ー ラ ン が そ の ﹃ 人 間 と 物 質 ﹄ に お い て 、 技 芸 の 進 化 の 異 な る
technical
系 統 と 道 具 や 生 産 物 の 製 作 に 対 す る 環 境 の 影 響 と を 跡 づ け な が
technicities
ロ の ら ワ 多 、 様 さ グ 化 ま ー と ざ ラ を ま ン 見 な の 事 技 研 に 術 究 示 的 は し 傾 、 て 向 に み も せ か て か い わ る ら の ず は 一 事 つ 実 の で 限 あ と 界 る 技 を 。 術 抱 ︵ だ 的 え た が 事 て と ル 実 え そ れ が 、 彼 の 研 究 の 強 み と 特 異 性 を な し て も い る に せ よ ︶
facts
い る の で あ り 、 そ し て こ の 限 界 は 、 異 な る 文 化 に 適 用 可 能 な 一
中 国 に お け る 技 術 へ の 問 い
集 中 掲 載
︱ ︱ 宇 宙 技 芸 試 論 序 論 ︵ 2 ︶
★ = 原 ☆ = 訳 ︹ ︺ = 訳 者 補 足
許煜
い ソ フ ァ ﹄ と い う 変 わ っ た 名 前 の 思 想 誌 が あ る こ と を 知 り 、 興
作 品 に ち な ん で い る ん で す 。 と は い え 、 ほ ん と う は 偶 然 で す 。
エ レ ー ナ ・ ペ ト ロ フ ス カ ヤ
い ち お う 画 家 の イ リ ヤ ・ カ バ コ フ の
│﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ ロ シ ア 現 代 思 想 特 集 の 編 集 を す る な か で 、 ﹃ 青
う か が え ま す か 。
補 遺 と し て 、 ぜ ひ お 読 み い た だ き た い 。 ︵ 東 浩 紀 ︶
論 や ソ ル ジ ェ ニ ー ツ ィ ン の 収 容 所 文 学 に ま で 広 が っ た 。 ﹃ ゲ ン ロ ン 6 ﹄ ﹃ 7 ﹄ の ロ シ ア 現 代 思 想 特 集 の
目 に 、 い ま の ロ シ ア の 思 想 状 況 は ど う 見 え て い る の か 。 短 い 時 間 な が ら も 、 議 論 は 最 後 、 思 弁 的 実 在
の 記 録 で あ る 。 彼 ら は ヴ ァ レ リ ー ・ ポ ド ロ ガ ら ﹁ 余 白 の 哲 学 ﹂ 派 の 弟 子 の 世 代 に あ た る 。 そ の 彼 ら の
と も に ﹃ 青 い ソ フ ァ ﹄ 誌 を 支 え て き た 思 想 家 の オ レ グ ・ ア ロ ン ソ ン に モ ス ク ワ で 行 っ た イ ン タ ビ ュ ー
こ こ に 掲 載 す る の は 、 そ の ペ ト ロ フ ス カ ヤ と 、 同 じ く ﹁ ユ ー ト ピ ア と 弁 証 法 ﹂ の 参 加 者 で 、 彼 女 と
コ ー デ ィ ネ ー タ ー を 、 彼 女 が 務 め て い た の だ 。
ロ シ ア 語 版 を 掲 載 し た 思 想 誌 ﹃ 青 い ソ フ ァ
﹄ の 編 集 長 で も あ る 。 前 出 シ ン ポ ジ ウ ム の
で 共 同 討 議 ﹁ ユ ー ト ピ ア と 弁 証 法 ﹂ を 訳 出 し て い る 。 ペ ト ロ フ ス カ ヤ は そ の 参 加 者 で 、 ま た 同 討 議 の
モ ス ク ワ 訪 問 は 美 術 評 論 家 の エ レ ー ナ ・ ペ ト ロ フ ス カ ヤ の 招 き で 実 現 し た 。 本 誌 は ﹃ ゲ ン ロ ン 5 ﹄
本 誌 と 重 な り あ う も の が あ る 。
回 も 同 時 に 美 術 展 ﹁ 幽 霊 屋 敷
﹂ が 開 催 さ れ て い た 。 幽 霊 や 慰 霊 の テ ー マ は 、
同 地 で 複 数 の 美 術 館 を 会 場 に 続 け ら れ て い る ﹁ 人 間 の 条 件 ﹂ プ ロ ジ ェ ク ト の 一 部 を な す も の で 、 今
ポ ジ ウ ム ﹁ 時 代 と 意 ﹂ 味 に 参 加 す ト る ラ た ウ め マ で 、 あ 記 る 憶 。 、 こ 忘 の 却 シ 、 ン 知 ポ 識 ジ ウ ム は 、 二 〇 一 五 年 か ら 一 八 年 に か け て 、
ゲンロン 8
│
Время и смыслы. Травма, память,
二 〇 〇 二 年 に 雑 誌 を 創 刊 し た と き に は ス ポ ン サ ー が い ま し た 。
味 を 抱 き ま し た 。 哲 学 者 み ず か ら 編 集 し 、 毎 号 特 集 を 組 ん で て
Дом с привидениями
通 信 社 R E G N U M を 立 ち 上 げ た モ デ ス ト ・ コ レ ロ フ と い う 人
い ね い に 作 っ て い る 点 で 、 ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ と ス タ ン ス が 近 い 。 今 日
Синий диван
物 で す 。 こ の ひ と が や や 口 出 し を し て く る タ イ プ で 、 新 雑 誌 に
は お ふ た り に 話 を う か が え る と の こ と で 、 た い へ ん 光 栄 で す 。
забвение, знание
ま ず は な ぜ ﹃ 青 い ソ フ ァ ﹄ と い う 名 前 な の か 。 そ の 理 由 か ら
二 〇 一 七 年 一 二 月 、 モ ス ク ワ を 訪 れ た 。 同 地 の ロ シ ア 国 立 現 代 美 術 セ ン タ ー で 開 催 さ れ た シ ン
230
│
上
訳│
ロ シ ア 現 代 思 想 概 観
ポ ス 収 ト モ 容 ーレ ダ 所 ニ ニ 、 、ン ズ ム
ヤ カ ン ス ソ フ ン ロ ロ ト ма
з
Л
б
о
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イ ン タ ビ ュ ー
о
聞
у ア ペ ая Адз グ・ ナ・ он ск ки レ ー онс ов иро эда オ レ Ар етр Х ко У エ лег на П 浩紀子 Йо О ле │東 洋 Е き手 田
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н
и
з
м
:
レ メ カ や
し て 作 り 上 げ ら れ た 概 念 だ 。 ア ー ケ ー ド ゲ ー
と さ れ る ノ ー ラ ン ・ ブ ッ シ ュ ネ ル を 中 心 と
る こ と が で き る 。 こ の ﹁ サ ー ビ ス と し て の プ
ビ ス と み な す こ と で プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と 捉 え
ウ ェ ア と し て 捉 え る の は 無 理 が あ る が 、 サ ー
ツ が 流 通 し て い く 。 そ れ ら を ひ と つ の ハ ー ド
け で は な く 、 ︵
さ れ た エ
上 に 設 置
百 貨 ま 店 の ︶ た 屋 や は
[ 図 1 ]
を 発 売 ★ し 1 た ] 。
海 賊 版 も 含 め た ︶
国 外 の コ ン テ ン ︵
コ ン シ ュ ー マ ゲ ー ム は ビ デ オ ゲ ー ム の 父
に よ っ て 作 ら れ た も の だ 。
域 独 自 の 仕 様 や サ ー ビ ス が 追 加 さ れ 、 国 内 だ
て い く 。 汎 用 機 と O S と い う 構 成 に は 、 各 地
は お 祭 り
ド ゲ ー ム
209
ゲームの時代 一〇の論点 #1
発 想 は 、 ひ と か た ま り の 製 品 を パ ッ ケ ー ジ 化
盤 を 置 く た め 、 地 域 に 合 わ せ て 柔 軟 に 普 及 し
︵ 少 な く と も
ア ー ケ ー
端 末 ︶
は 汎 用 機 と O S に 基 機 能 し て い る 。
ろ 、 ハ ー ド ウ ェ ア を プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と す る 他 方 、 P C ゲ ー ム や ス マ ー ト フ ォ ン ゲ ー ム ア ー ケ ー ド ゲ ー ム は プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と し て
が 、 実 質 は 異 な る マ シ ン と 言 っ て 良 い 。 む し
ン と い っ た 汎 用 機 は O S に 基 い て 分 類 さ れ る
機 器 の 違 い は 多 い 。 特 に P C や ス マ ー ト フ ォ
と い っ て も 、 細 か く 見 れ ば 部 品 や O S 、 周 辺
デ ア で あ る 。 と は い え 、 一 口 に ハ ー ド ウ ェ ア
理 解 し や す く 、 ゲ ー マ ー が 慣 れ 親 し ん だ ア イ
マ ゲ ー ム が 一 般 的 で は な い 地 域 は 未 だ 多 い 。
本 を 除 く 東 ア ジ ア や 南 米 の よ う に コ ン シ ュ ー
そ の た め 、 地 域 に よ っ て 普 及 率 が 異 な り 、 日
よ り 確 固 た る ビ ジ ネ ス の 構 築 が 必 要 と な る 。
マ ー ケ テ ィ ン グ や プ ロ モ ー シ ョ ン に お い て も
生 産 流 通 に お け る サ プ ラ イ チ ェ ー ン を 確 立 し 、
れ る 。 同 時 に ハ ー ド に 基 盤 を 置 く た め 、 そ の
で あ り 、 テ レ ビ や ビ デ オ デ ッ キ と 同 列 に 扱 わ
つ こ と だ 。 そ の タ ー ゲ ッ ト は 個 人 よ り も 家 族
ら わ か る よ う に 、 家 電 製 品 と し て の 性 格 を も
│
る と 自 動 的 に プ レ イ で き る タ イ プ の 営 業 形 態
略 称 で あ り 、 自 販 機 の よ う に 客 が 硬 貨 を 入 れ
メ ー カ ー 、 コ イ ン オ プ
れ る シ ス テ ム 基 板 、 そ こ に ゲ ー ム を 供 給 す の る
セ ン タ ー と い う ロ ケ ー シ ョ ン 、 筐 体 と 搭 載 さ
で あ る 。 具 体 的 に は デ パ ー ト の 屋 上 や ゲ ー ム
で は な く 、 む し ろ 、 様 々 な サ ー ビ ス の 集 合 体
だ し そ れ を 構 成 す る の は ハ ー ド や ソ フ ト だ け
は 世 界 で 最 も 古 い ビ デ オ ゲ ー ム に 属 す る 。 た
や 両 替 機 な ど 。 そ れ ら の 集 合 体 に よ っ て
│
coin operated
図1 Atari 2600 https://commons.wikimedia.org/ wiki/File:Atari2600wood4.jpg Public Domain
し て ユ ー ザ ー に 提 供 し た コ ン シ ュ ー マ ゲ ー ム
ハ ー ド ウ ェ ア と し て の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム は
単 位 で 捉 え る こ と の 可 能 性 を 示 唆 し た い 。
1.1
─ ハ ー ド と し て の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム
ゲ ー ム の 特 徴 は 、 ハ ー ド ウ ェ ア と い う 側 面 か
進 的 な サ ー ビ ス を 介 し て コ ミ ュ ニ テ ィ と い う プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と し て の コ ン シ ュ ー マ
に 移 行 し つ つ あ り 、 さ ら に Steam
ジ ュ ー ク
ム か ら 出 発 し た ブ ッ シ ュ ネ ル だ が 、 一 九 七 七
Android
ラ ッ ト フ ォ ー ム ﹂ を 理 解 す る た め 、 次 は ま ず
年 に ハ ー ド と ソ フ ト を 分 離 し た 世 界 初 の コ ン
fair
ア ー ケ ー ド ゲ ー ム を 手 が か り に し よ う 。
シ ュ ー マ ゲ ー ム 機
midway
一 九 八 三 年 の い わ ゆ る ﹁ ア タ リ シ ョ ッ ク ﹂ [
Atari 2600
に よ る 一 時 的 な 危 機 を 別 に す れ ば 、 コ ン シ ュ ー
の よ う な 先 文 化 の 中 心 と し て 栄 え て い る 。
フ ォ ー ム が 徐 々 に ハ ー ド ウ ェ ア か ら サ ー ビ ス マ ゲ ー ム は 現 在 に 至 る ま で ゲ ー ム ビ ジ ネ ス と
商 業 的 な も の と し て は 、 ア ー ケ ー ド ゲ ー ム
1.2
| サ ー ビ ス と し て の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム
今井晋
6
か ら
10 を 取 り 上 げ た #
2
は
そ こ で 本 稿 で は プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を ハ ー ド 、
用 ハ ー ド を プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と す る 見 方 だ 。 と い う の は ひ と つ の 見 方 に す ぎ な い 。
り ト オ 、 フ ゲ ォ ー ー ム ム に ﹂ お と い や い て X っ は b た ﹁ o 認 ハ x 識 ー と が ド い 支 ウ っ 配 ェ た 的 ア ゲ だ = ー 。 プ ム つ ラ 専 ま ッ
い 。 た だ し 技 術 と と も に 進 化 し た た め 、 ビ デ
る 。 つ ま り ﹁ ハ ー ド ウ ェ ア = プ ラ ッ ト フ ォ ー ム ﹂
サ ー ビ ス は 存 在 し 、 専 用 機 で は な い P C や ス
特 定 の 場 所 で 遊 ぶ ア ー ケ ー ド ゲ ー ム も 存 在 す
マ ー ト フ ォ ン で も ゲ ー ム は 楽 し め る 。 さ ら に
る 。 ビ デ オ ゲ ー ム に お い て も そ れ は 変 わ ら な 後 述 す る よ う に ゲ ー ム に も コ ン テ ン ツ 配 信
04 レ ビ ュ ー
や ビ ジ ネ ス の 土 台 や 基 盤 と し て 考 え ら れ て い
な 形 で 使 わ れ て い る が 、 基 本 的 に は シ ス テ ム
だ ろ う か 。
配 信 サ ー ビ ス を 想 像 す る 人 が 多 い の で は な い
03 メ デ ィ ア
02 ゲ ー マ ー
01 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム
プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と い う 言 葉 は 現 在 、 様 々 在 で は i T M S 、
と い っ た コ ン テ ン ツ
キ ー ワ ー ド
今 井 晋
#1
サ ー ビ ス 、 コ ミ ュ ニ テ ィ の 三 つ の 概 念 に 切 り
一 見 自 然 な こ の 見 方 だ が 、 音 楽 、 映 画 な ど
05 ゲ ー ム エ ン ジ ン
Shin Imai
分 け て 説 明 す る 。 そ こ で は ゲ ー ム の プ ラ ッ ト
06 ス ポ ー ツ
Netflix
と 比 較 す る と 、 ビ デ オ ゲ ー ム の ひ と つ の 特 徴
PlayStation
と も 言 え る 。 ハ ー ド ご と に 対 応 ソ フ ト が 異 な
10 09 08 07 課 規 シ イ 金 制 ェ ン ア デ ィ ー
The Age of Games: 10 Keywords
﹃ ゲ ン ロ ン 9 ﹄ に 掲 載 予 定 で す 。
01 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム
音 楽 や 映 画 で プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と 言 う と 、 現
ハ ー ド を 意 識 す る こ と は そ れ ほ ど な い 。 他 方 、
ゲ ー ム の 時 代 一 〇 の 論 点
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
# 1
る ビ デ オ ゲ ー ム と は 違 い 、 音 楽 や 映 画 の 再 生
ゲンロン 8
208
つ ま り 、 物 語 の 出 来 事 が 展 開 さ れ る 空 間 全 体 の こ と だ ︶
ウ ェ ア が 実 行 さ れ た と き だ 。 上 演
さ れ て こ そ ビ デ オ ゲ ー よ く あ る ︵ 文 学 理 論 家 は 、 こ れ を ﹁ 世 界 内 の ﹂ 空 間 [
。 ☆ フ 4 ] ラ と ン 呼 ス ぶ 。
た 半 自 律 的 な 空 間 の な か で 生 じ る も の と し て 説 明 さ れ る こ と が
ゲ ー ム が 存 在 し は じ め る の は 、 機 械 に 電 源 が 入 れ ら れ 、 ソ フ ト ゲ ー ム 的 行 為
は 、 通 常 の 生 活 か ら 切 り 離 さ れ
デ オ ゲ ー ム は 静 的 な コ ン ピ ュ ー タ コ ー ド で し か な い 。 ビ デ オ
ク 出 で 発 し 点 か に な し い よ 。 う プ 。 レ 行 イ 為 ヤ な ー し と に 機マ は シ 械ン 、 の ゲ 能 ー 動 ム 的 は な 抽 参 象 加 的 な な し ル に ー は ル 、 ブ ビ ッ
デ オ ゲ ー ム を プ レ イ す る の だ 。
プ ロ グ ラ ム の 一 行 ご と 、 指 し 手 の 一 手 ご と に 、 一 緒 に な っ て ビ
し 、 ソ フ ト ウ ェ ア は 作 動 す る
ゲ ー ム は 行 為 [ ☆ 1 ]
で あ る [ ★ 1 ]
。 こ れ を ビ デ オ ゲ ー ム 理 論 の
質 的 行 為 そ の も の が 作 品 に な [ ☆ る 2 。 ] 。 プ 機 レ 械 イ と ヤ そ ー の は 操オ ペ ゲ 作レ ー ー 者タ ー ム [ を ☆ 3 プ ] レ は イ 、
写 真 は 画 像 で あ り 、 映 画 は 動 画 で あ る 。 だ と す る と 、 ビ デ オ
論 考
訳 ・ 解 題
─ 松 永 伸 司
真 プ リ ン ト ︶
の か た ち を と る 。 一 方 、 ビ デ オ ゲ ー ム の 場 合 、 物
ア レ ク サ ン ダ ー ・ R ・ ギ ャ ロ ウ ェ イ
Gamic Action, Four Moments
。 オ ラ ン ダ の 文 化 史 家 ヨ ハ ン ・ ホ イ
ゲ の ー 社 ム 会 は 学 ﹁ 者 で 作メ イ あ りク ビ り ごリ ー とブ 人 ﹂ 類 で 学 あ 者 り で 、 も ﹁ あ 現 る 実 ロ 生 ジ 活 ェ に ・ 対 カ 置 イ さ ヨ れ ワ る に も よ の れ と ば 、
ビ デ オ ゲ ー ム は 行 為 で あ る 。 ビ デ オ ゲ ー ム と 他 の メ デ ィ ウ ム
ム は 存 在 す る 。
gamic action
[ ★ 2 ] [ ☆ 5 ]
し て の 二 次 的 現 実 ま た は 自 由 な 非 現 実 性 と い う 特 別 な 意 識 が 伴
A lexander R . Galloway
う ﹂ も の で あ る
の 形 式 的 な ち が い を 考 え よ う 。 た し か に 、 人 は 写 真 を 撮 る し 、
Shinji Matsunaga
俳 優 は 映 画 の な か で 演 じ る 。 し か し 、 こ う し た 行 為 は 、 当 の 写 写 作
enact
品 を 作 り 出 す 以 作 前 品 に 自 ︵ 体 ま は た 、 は そ 最 の 終 最 的 中 に に 物 ︶ 理 な 的 さ 対 れ 象 る ︵ 行 た 為 と だ え 。 ば ︹ 真 や 映 画 の 場 合 ︺
ゲ ー ム 的 行 為 、 四 つ の モ メ ン ト
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
★ = 原 ☆ = 訳 [ ] = 原 著 者 補 足 ︹ ︺ = 訳 者 補 足
ゲンロン 8
192
化 さ せ 始 め た 。 こ の 形 式 的 な 変 化 に よ っ て 、
語 に 焦 点 を 当 て る か た ち
へ と 大 き く 変
ゲ ー ム 的 な 要 素 よ り も キ ャ ラ ク タ ー と 物
ル を 今 日 知 ら れ て い る よ う な か た ち
│
て 、 日 本 の 開 発 者 た ち は ヴ ィ ジ ュ ア ル ノ ベ
さ れ た こ と は 、 企 業 が オ フ ィ シ ャ ル 版 を リ
に し て フ ァ ン の あ い だ で の 高 い 需 要 が 証 明
で い つ ま で も 語 り 合 っ た り す る 。 こ の よ う
ベ ン シ ョ ン を 企 画 し た り イ ン タ ー ネ ッ ト 上
フ ァ ン の 人 々 は 最 新 の 人 気 作 に つ い て コ ン
の 数 時 間 後 に 字 幕 付 き の 海 賊 版 が 提 供 さ れ 、
│
み 出 し 続 け て い る 。
だ が 二 〇 〇 〇 年 代 の 初 頭 か ら 中 頃 に か け ネ ッ ト ワ ー ク で は 、 日 本 で の 放 送 か ら ほ ん
開 発 者 た ち に と っ て 十 分 な 数 の 消 費 者 を 生
か げ で 、 海 外 市 場 は ヴ ィ ジ ュ ア ル ノ ベ ル の
ド フ ァ ン デ ィ ン グ の 隆 盛 と い っ た 要 素 の お
イ ン デ ィ ー ゲ ー ム の 発 展 、 さ ら に は ク ラ ウ
く の 人 に 知 ら れ る こ と は な か っ た 。
に 対 す る 嫌 悪 の せ い で 、 こ の ジ ャ ン ル が 多
り わ け ア メ リ カ ︶
ン ス を 取 得 し た の だ 。 し か し な が ら 、 西 洋 ︵
界 中 の フ ァ ン を 繋 ぐ ア ン ダ ー グ ラ ウ ン ド の
フ ァ ン の 要 求 に よ っ て 動 か さ れ て き た 。 世
に お け る ポ ル ノ グ ラ フ ィ ー
が 集 っ た こ と 、 デ ジ タ ル ゲ ー ム 販 売 の 成 長 、
と 需 要 は 大 き く 高 ま っ た 。 情 熱 的 な フ ァ ン
退 と 時 を 同 じ く し て 、 海 外 市 場 か ら の 関 心
だ が 驚 く べ き こ と に 、 日 本 市 場 に お け る 衰
年 代 の 早 い 時 期 か ら 確 実 に 衰 退 し て い る 。
ニ ッ チ な ジ ャ ン ル で あ り 、 し か も 二 〇 一 〇
日 本 の ゲ ー ム 業 界 に お い て 非 常 に 小 さ く
そ う し た 要 素 を 含 む 美 少 女 ゲ ー ム の ラ イ と セ
ア ダ ル ト 市 場 に 売 り 出 す こ と を 目 的 と し て
つ だ っ た た め 、 い く つ か の 野 心 的 な 企 業 が 、
パ ソ コ ン 用 ゲ ー ム と し て 数 少 な い 例 の ひ と
け は 例 外 と な っ た 。 ア ダ ル ト 要 素 を 含 ん だ
た だ し 、 エ ロ テ ィ ッ ク な 要 素 を 含 む も の だ
た い と 考 え る 人 間 は ほ と ん ど い な か っ た 。
美 少 女 ゲ ー ム / ヴ ィ ジ ュ ア ル ノ ベ ル は 、 で 異 質 な 文 化 で あ っ た た め 、 プ レ イ し て み
ル が ら な ア よ 化 こ ノ 生 ﹁ 西 っ ル っ さ れ 洋 た ノ て れ ら ﹄ ベ じ ヴ の 。 ベ 、 て は と ル た ィ ル 西 い 高 い に の ジ ア 洋 と で る い っ は で ュ ニ い は 。 人 た ﹃ あ ア メ う 多 こ 気 古 る ル 産 。 ノ ジ く れ を 典 業 こ ベ ャ の ら 誇 的 は 、 ン 人 の り 名 ﹄ ﹃ こ ル つ ル が 作 最 作 月 で ﹂ ね に 初 品 終 も 姫 言 へ に 触 め の 的 含 ﹄ う と 草 れ て ア に ま ﹃ ヴ 用 ィ 語 の る ヴ ニ は れ ジ の 根 こ ィ メ ア て ュ 転 的 と ジ 化 ニ お ア 換 と ュ に メ り な 、
ラ ン デ ィ ・ ア ウ
訳
─ 坂 上 秋 成 Shusei Sakagami
多 く の フ ァ ン の あ い だ で ﹁ デ ー ト シ ム ﹂ か
歴 史 的 に 見 れ ば 、 一 九 九 〇 年 代 の 初 頭 か
Randy Au
ら 、 美 少 女 ゲ ー ム の 存 在 は 西 洋 の ビ デ オ ゲ ー
Fate/stay
ム フ ァ ン に 知 ら れ て い た 。 当 時 、 最 も 有 名
日 本 国 外 の ヴ ィ ジ ュ ア ル ノ ベ ル
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
Kanon
だ っ た ﹃ と き め き メ モ リ ア ル ﹄ と い う ゲ ー
night
ム の 影 響 で 、 美 少 女 ゲ ー ム は ﹁ デ ー ト シ ム ﹂
Visual Novels Outside Japan
と 呼 ば れ て い た 。 そ れ は ﹁ と て も 日 本 的 ﹂
☆ = 訳
ゲンロン 8
186
イ バ イ
し た 。 マ ン ガ と ア ニ メ に 影 響 さ れ て 来 日 し た 、 と 言 っ て い い で
い と 思 っ た と き に 、 ま っ さ き に 候 補 と し て 挙 が っ た の が 日 本 で
な の で 、 社 会 人 に な る タ イ ミ ン グ で 国 外 で 社 会 経 験 を 積 み た
い る と い う 状 況 で し た 。
ラ ン ド ﹂ は 、 マ ン ガ と ア ニ メ に よ っ て は じ め て み な に 知 ら れ て
ゲームは黒澤明を求めている
ン デ ィ ー ゲ ー ム の プ ラ ッ ト フ ォ ー ム を 立 ち 上 げ た イ バ イ さ ん に 、
外 の ア ジ ア は ま っ た く 知 ら れ て い ま せ ん で し た 。 日 本 と い う ﹁ ブ
で 、 ス ペ イ ン で 青 年 期 を 過 ご し つ つ も 、 二 〇 代 で 日 本 に 渡 り イ
当 時 は 、 周 囲 の 友 人 も 含 め て ア ジ ア と い え ば 日 本 で 、 日 本 以
ゲ ー ム 史 と で は 、 大 き く 光 景 が ち が う の か も し れ ま せ ん 。 そ こ
日 本 人 が 国 内 か ら 見 る 日 本 の ゲ ー ム 史 と 海 外 か ら 見 た 日 本 の
ム 史 を 、 お も に 社 会 と の 関 わ り か ら 検 討 し て い ま す 。 と は い え 、
│
ン ガ を 読 も う と し た ら 日 本 の マ ン ガ で し た 。
た 。 ア メ コ ミ は ス ペ イ ン の 本 屋 に は 入 っ て い な か っ た の で 、 マ
を つ け れ ば 、 な ん ら か の 日 本 の コ ン テ ン ツ が 放 送 さ れ て い ま し
イ ン で は 日 本 の 文 化 が 大 き な 存 在 感 を 示 し て い ま し た 。 テ レ ビ
今 号 の ﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ で は 、 一 九 九 〇 年 代 か ら 現 在 ま で の ゲ ー
イ ン タ ビ ュ ー
イ バ イ ・ ア メ ス ト イ
聞 き 手
─ 黒 瀬 陽 平 Yohei Kurose
171
し ょ う 。 ち ょ う ど 二 〇 〇 〇 年 、 二 二 歳 の と き で す 。
ま ず は 読 者 に 向 け て 、 イ バ イ さ ん の 経 歴 を 教 え て い た だ け ま
お 話 を う か が お う と 思 い ま し た 。
Ibai Ameztoy
と は い え 、 日 本 に 来 る ま で に は 紆 余 曲 折 も あ り ま し た 。
Games are Seeking Akira Kurosawa
ひ と り で 作 る コ ン テ ン ツ
わ た し が 子 ど も の こ ろ の 八 〇 年 代 か ら 九 〇 年 代 、 ス ペ
す で し ょ う か 。
ゲ ー ム は 黒 澤 明 を 求 め て い る
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
イバイ・アメストイ
記 録 し ま し た 。
﹃ ペ ル ソ ナ 5 ﹄ ︵ ア ト ラ ス ︶
も 、 国 内 外 二 〇 〇 万 本 の 売 り 上 げ を
り 、 ヒ ッ ト 作 を 生 み 出 し 続 け て い る 。 二 〇 一 六 年 に 発 売 さ れ た
さ 橋 国 さ や 野 内 や わ 外 わ か 国 の か
海 外 の ほ う が 多 い の で す ね 。 ﹃ ペ ル ソ ナ 5 ﹄ の ゲ ー
内 約 六 〇 万 本 、 海 外 約 一 四 〇 万 本 で す 。
販 売 数 は ど れ く ら い で す か 。
ま ず は ﹃ ペ ル ソ ナ 5 ﹄ の 話 か ら 入 り た い と 思 い ま す 。
で 橋 野 桂 さ ん は コ ン シ ュ ー マ ー ゲ ー ム の 枠 組 み の な か に と ど ま
ゲ ー ム ア プ リ が 一 兆 円 市 場 に 迫 っ て い る 。 け れ ど も 、 そ の な か
﹃ ペ ル ソ ナ 5 ﹄ の 批 評 力
衰 退 し 、 か わ っ て パ ソ コ ン や ス マ ー ト デ バ イ ス で 配 信 さ れ る
円 超 の 市 場 規 模 を 誇 り ま し た が 、 い ま や 全 盛 時 の 半 分 以 下 ま で
ゲ が 先 さ ー 、 日 や ム そ こ わ [ の の か ★ 1 期 三 ] 間 〇 今 の に 年 号 凋 起 の の 落 き ゲ ﹃ で た ー ゲ す の ム ン 。 は 史 ロ コ を ン ン ひ 振 ﹄ と シ り で ュ こ 返 は ー と る ゲ マ で 座 ー ー 言 談 ム ゲ え 会 を ー ば も 特 ム コ 収 集 は ン 録 し か シ し て つ ュ た い て ー の ま 一 マ で す 兆 ー す 。
し て い ま す 。 よ ろ し く お 願 い し ま す 。
橋 れ G て 野 ば [ 日 ★
こ う い う イ ン タ ビ ュ ー は 慣 れ て な い も の で 、 今 日 は 緊 張
と 思 い ま す 。 よ ろ し く お 願 い い た し ま す 。
2 ]
の 未 来 は ど う な る の か 、 な ど に つ い て お 話 を う か が え
本 独 自 の 様 式 の ロ ー ル プ レ イ ン グ ゲ ー ム 、 い わ ゆ る J R P
イ ン タ ビ ュ ー
橋 野 桂
聞 き 手
─ さ や わ か + 東 浩 紀
JRPG as an Apparatus of Experience
今 日 は そ の 橋 野 さ ん に 、 な ぜ い ま コ ン シ ュ ー マ ー ゲ ー ム な の
Sayawaka + Hiroki Azuma
ム シ ス テ ム は オ ー ソ ド ッ ク ス な J R P G で す が 、 こ の ス タ イ ル
Katsura Hashino
か 、 コ ン シ ュ ー マ ー な ら で は の 可 能 性 は ど こ に あ る の か 、 そ し
経 験 装 置 と し て の J R P G
ゲンロン 8
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
158
フ ェ イ ク ニ ュ ー ス が 嘘 だ と わ か っ て も 、 そ こ に は サ ブ リ ミ ナ ル
お い て も 態 度 を 変 更 す る こ と は 多 く な い と い う [ ★ 2 ]
。 つ ま り 、
極 め て ゲ ー ム 的 な 仕 組 み が 埋 め 込 ま れ て い た 。 オ バ マ の
リ ー ド し た 。 そ し て 、 こ の S N S は 、 単 な る S N S で は な く 、
を 形 成 し た 人 は 、 た と え そ の ニ ュ ー ス が 嘘 だ と わ か っ た 後 に
に 負 け た 。 あ る 研 究 に よ れ ば 、 フ ェ イ ク ニ ュ ー ス を 通 じ て 態 度
[ ★ 1 ]
オ バ マ が ネ ッ ト 経 由 の 選 挙 資 金 集 め に お い て マ ケ イ ン を 何 倍 も し か し 、 ヒ ラ リ ー の ゲ ー ム は 、 ト ラ ン プ の フ ェ イ ク ニ ュ ー ス
S ﹁ マ イ ・ バ ラ ク ・ オ バ マ ・ ド ッ ト コ ム ﹂ が 大 き な 効 果 を 生 み 、
話 と な っ た 。 二 〇 〇 八 年 の 大 統 領 選 で は 、 オ バ マ 支 援 の S N
効 果 的 な ゲ ー ム を 設 計 す る か は 、 米 国 に お い て 、 す で に 当 然 の
を 後 押 し し 、 寄 付 を 募 る 仕 組 み を も っ て い た 。
支 援 者 を イ ベ ン ト に 巻 き 込 み 、 支 援 の た め の メ ッ セ ー ジ の 拡 散
き 込 ん で い た 。 ヒ ラ リ ー の ゲ ー ム も オ バ マ の S N S と 同 様 に 、
な か で も 政 治 利 用 の 本 格 化 は 著 し い 。 選 挙 活 動 の 際 、 い か に
ゲ ー ム の 社 会 利 用 が 年 々 拡 大 し て き て い る 。
二 〇 一 六 ﹄ を リ リ ー ス し 、 ゲ ー ム を 通 じ て 数 多 く の 支 持 者 を 巻
援 の た め の ス マ ー ト フ ォ ン 用 ソ ー シ ャ ル ・ ゲ ー ム ﹃ ヒ ラ リ ー
論 考
井 上 明 人
Ⅰ 現 代 ゲ ー ム と 現 実 の 融 合 の 時 代
二 〇 一 六 年 に ト ラ ン プ に 負 け た ヒ ラ リ ー も ま た 、 自 身 の 支
に な れ る 仕 組 み を も っ て い た 。
て の レ ベ ル が 徐 々 に 上 が っ て い く と ス タ ー 支 援 者 の よ う な も の
How are Games Social Problems?
た め に ブ ロ グ を 書 き 、 イ ベ ン ト に 行 き 、 勧 誘 の 電 話 を か け る と 、
A kito Inoue
S N S 内 で ポ イ ン ト が た ま る 。 ポ イ ン ト が た ま っ て 支 援 者 と し
ゲ ー ム は ど の よ う に 社 会 の 問 題 と な る の か
ゲンロン 8
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
136
歳 の 犯 人 が ﹁ さ あ ゲ ー ム の 始 ま り で す ﹂ で 始 ま る 犯 行 ★ 2 声 ] 明 だ 文 と を
ま た 一 九 九 七 年 に 起 き た 神 戸 連 続 児 童 殺 傷 事 件 で は 、 当 時 一 四
の 後 も こ の 表 現 は 現 代 の 戦 争 を 語 る 際 に よ く 用 い ら れ て い る 。
の よ う に 語 っ た の だ 。
い た ﹃ ド ラ ゴ ン ク エ ス ト Ⅲ ﹄ ︵
新 聞 ﹄ へ コ メ ン ト を 寄 せ 、 こ の 年 に 発 売 さ れ て 社 会 現 象 化 し て
目 黒 で 中 学 二 年 生 の 少 年 が 両 親 と 祖 母 を 殺 害 し た 事 件 だ っ た と
一 二 月 号 で 、 そ う し た 批 判 が 現 れ た 端 緒 は 一 九 八 八 年 に 東 京 ・
エ ニ ッ ク ス ︶
の 名 を 出 し な が ら 次
書 き 、 メ デ ィ ア も ﹁ ゲ ー ム の よ う な 猟 奇 殺 人 事 件 ﹂ [
回 想 し て い る 。 当 時 、 事 件 に つ い て 写 真 家 の 藤 原 新 也 が ﹃ 朝 日
ピ ュ ー タ ・ ゲ ー ム の よ う な ﹂ [ ★ 1 ]
も の だ と 形 容 さ れ た し 、 そ 神 戸 の 事 件 が 起 き た 翌 年 、 評 論 家 の 大 塚 英 志 は ﹃ 中 央 公 論 ﹄
の は 一 九 九 〇 年 代 以 降 だ 。 た と え ば 湾 岸 戦 争 は ﹁ ま る で コ ン
は 、 今 や 常 套 句 の よ う に な っ て い る 。 そ う い う 言 い 方 が 増 え た
く 見 か け る も の だ 。
構 と 現 実 の 区 別 を つ か な く さ せ る ﹂ か ら だ な ど と し た 批 判 も よ
論 考
我 々 が 現 実 の 出 来 事 に つ い て ﹁ ゲ ー ム の よ う だ ﹂ と 言 う こ と 使 わ れ て い る 。 人 を そ う し た 行 為 に 走 ら せ る の は 、 ゲ ー ム が ﹁ 虚
さ や わ か
1
受 の よ う に 重 大 な 出 来 事 を 易 々 と 行 っ て し ま え る と い う 意 味 で
こ れ ら の 例 で ﹁ ゲ ー ム ﹂ と い う 比 喩 は 、 殺 人 や 多 額 の 金 銭 授
れ る こ と が あ る 。
The Principle of the Button and the Ethics of Games
論 じ た 。 近 年 で あ れ ば 、 デ イ ト レ ー ド や 仕 手 戦 じ み た 仮 想 通 貨
Sayawaka
の 取 引 な ど も 、 ゲ ー ム 感 覚 で 金 銭 を や り 取 り し て い る と 指 摘 さ
ボ タ ン の 原 理 と ゲ ー ム の 倫 理
ゲンロン 8
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
120
プ レ イ ス タ イ ル を 操 る フ ラ ン ス 屈 指 の チ ェ ス ・ プ レ イ ヤ ー で あ
も あ っ た 。 デ ュ シ ャ ン は 、 当 時 ﹁ ハ イ パ ー モ ダ ン ﹂ と 呼 ば れ た
099
デ ュ シ ャ ン に よ っ て 生 み 出 さ れ た 言 語 ゲ ー ム と し て の 芸 術 は 、 一 方 、 デ ュ シ ャ ン は も う ひ と つ の ﹁ ゲ ー ム ﹂ の プ レ イ ヤ ー で
シ ャ ン が 現 代 美 術 の 父 と 言 わ れ る ゆ え ん で あ る 。
と に 命 名 す る 。 芸 術 を ﹁ 言 語 ゲ ー ム ﹂ に 変 え た こ と 、 こ れ が 、 デ ュ
し て し ま う 。 何 か を 芸 術 で あ る と 判 断 し 、 そ れ を 芸 術 の 名 の も
芸 術 を 判 断 す る こ と の 区 別 を 消 去 し 、 判 断 命 名 行 為 に ま で 還 元
エ リ ー ・ ド ・ デ ュ ー ヴ に よ れ ば 、 そ れ は 芸 術 を 実 践 す る こ と と 、
イ ド を ﹁ 発 明 ﹂ す る こ と に よ っ て ﹁ 、 現 代 美 術 の 父 ﹂ と な っ た 。 テ ィ
ゲ ー ム の 外 側 の 人 間 か ら の 不 信 を 生 ん で い る 。
ま で 通 じ 、 ひ い て は ﹁ な ぜ こ ん な ゴ ミ が ア ー ト な の か ﹂ と い う 、
ゲ ー ム に よ っ て 作 品 価 格 が 激 し く 変 動 す る ア ー ト マ ー ケ ッ ト に
ム は 作 品 そ れ 自 体 を 疎 外 す る 。 こ の よ う な メ カ ニ ズ ム は 、 マ ネ ー
た の は 、 言 語 ゲ ー ム と 化 し た 芸 術 の 必 然 的 帰 結 で あ り 、 言 語 ゲ ー
常 に ﹁ 反 芸 術
現代美術の起源
︵ = 制 作 の 放 棄 ︶
﹂ と い う 言 説 と と も に 語 ら れ て き
論 考
よ く 知 ら れ て い る よ う に 、 マ ル セ ル ・ デ ュ シ ャ ン は レ デ ィ メ 芸 術 の 自 己 否 定 を 生 む 。 デ ュ シ ャ ン と そ れ 以 降 の 現 代 美 術 が 、
黒 瀬 陽 平
1
れ る 。 し た が っ て 、 芸 術 の 判 断 命 名 行 為 へ の 還 元 は 、 必 然 的 に
行 為 は 、 判 断 さ れ 命 名 さ れ る 対 象 = 作 品 そ れ 自 体 の 外 側 で 行 わ
い 影 響 力 を 持 っ て い る と 言 っ て よ い 。 し か し 、 芸 術 の 判 断 命 名
Origins of Contemporary Art: Genealogy of Dual-Layered Vision
ネ オ ・ ダ ダ 、 フ ル ク サ ス 、 コ ン セ プ チ ュ ア ル ・ ア ー ト と い っ た
Yohei Kurose
二 〇 世 紀 の 新 し い 芸 術 の 母 胎 に な っ た だ け で な く 、 今 な お 、 強
現 代 美 術 の 起 源
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
│ 二 重 化 さ れ た 視 覚 の 系 譜
黒瀬陽平
﹂ と い う 四 つ の 前 置 詞
:
ン グ カ ー ド ゲ ー ム ﹃ マ ジ ッ ク
ザ ・ ギ ャ ザ リ ン グ ﹄ ︵ 一 九 九 三
こ の 語 を 娯 楽 と し て の ゲ ー ム に 最 初 に 適 用 し た の は 、 ト レ ー
ム ﹂ を 指 す も の と し て 一 九 七 一 年 に 生 ま れ た
ー の 後 で 、 そ の 選 択 を 知 っ た う え で 自 分 の 戦 [ ★ 略 1 を ] 。 選 そ べ し る
る ゲ ー ム 理 論 の な か で ﹁ プ レ イ ヤ ー の 一 人 が 、 他 の プ レ
タ ゲ ー ム ﹂ と い う 語 が 最 近 注 目 さ れ て い る 。 こ の 語 は 、 い
吉 田 寛
メ タ ゲ ー ム の 批 評 的 ポ テ ン シ ャ ル
・ ゲ ー ム 間 で 生 じ る も の ︵
= 賞 金 、 賞 品 、 評 価 、 ラ ン キ ン グ 、 経 験 ︶ な = 評 ど 価 の 収 集 、
・ プ レ イ ヤ ー が ゲ ー ム か ら 持 ち 出 す も の ︵
︶
ム に 使 う 道 具 、 プ レ イ ヤ ー の 能 力 や 戦 略 な ど
・ プ レ イ ヤ ー が ゲ ー ム に 持 ち 込 む も の ︵
to a game
・ な ︵ ゲ 戦 ど ー 略 ム の 探 そ 求 れ や 自 構 ︶ = 体 想 言 と 、 葉 は 道 に 別 具 よ の る だ 修 が 挑 繕 発 ゲ や や ー 新 威 ム 調 嚇 中 な 、 に ど タ 生 イ ム じ ア る ウ も ト の
from a game
ガ ー フ ィ ー ル ド は ﹁ メ タ ゲ ー ム な し の ゲ ー ム は あ り え な い ﹂
between games
と い う 。 あ ら ゆ る ゲ ー ム が 、 常 に そ の 外 側 に 、 そ の ゲ ー ム を こ
の 作 者 リ チ ャ ー ド ・ ガ ー フ ィ ー ル ド だ っ た 。 彼 は ﹁ ゲ ー ム
during games
え る 別 の ゲ ー ム を 生 み 出 し て い る の だ 。
論 考
年 デ て ゲ イ わ ﹁ ︶ ィ 、 ー ヤ ゆ メ
︶ = ゲ ー
Metagamic Realism: Digital Games as a Platform for Criticism
。
が そ の 外 側 と 接 す る 仕 方 ﹂ と い う よ り 広 い 意 味 を こ の 語 に 与 え 、
Hiroshi Yoshida
[ ★ 2 ]
メ タ ゲ ー ム を ﹁
to/from/between/during
を 用 い て 分 類 し た
メ タ ゲ ー ム 的 リ ア リ ズ ム
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
│ 批 評 的 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と し て の デ ジ タ ル ゲ ー ム
ゲンロン 8
076
補遺
視点、 計算機、 物語
─斜めから見るゲームの時代 Viewpoint, Computer, Narrative: Looking Awry at the Age of Games
黒瀬陽平+さやわか+東浩紀 Yohei Kurose + Sayawaka + Hiroki Azuma
東浩紀 本編の共同討議では、主に日本に おけるゲーム消費史について議論しました。 けれども、海外ゲームの動向や個々のコンテ ンツ批評、あるいは「そもそもゲームとはな んなのか」といった哲学的な話をする余裕 はなかった。ということで、この追加鼎談で は共同討議で語り残したことを語りたいと 思います。 まずは黒瀬さんから口火を切っていただ ければ。 光学的視覚から情報的視覚へ 黒瀬陽平 最初に話題にしたいのは、ゲー ムと視覚論の関係です。ぼくが本誌収録の論 考を書きながら考えていたのは、 「光学装置 を前提とした視覚論ではもはやゲームは語 れない」ということでした。言い換えれば、映 画のメタファーではなく、ゲームのメタファー を使った視覚論を構築しなければいけない。 たとえば、最 近 注 目 の オンラインゲーム 『PLAYERUNKNOWN S BATTLEGROUNDS』 (PUBG Corporation、17年、以下『PUBG』 )で、
2017年12月に3Dリプレイ機能が導入されま した。 『PUBG』はひとつのフィールド上に最 大100人のプレイヤーが集うオンラインゲーム
017
メディアミックスからパチンコへ
思 い ま す 。 ﹃ テ ト リ ス ・ エ フ ェ ク ト ﹄ ︵
そ れ が 九 一 年 か ら 始 ま る 時 代 で は な い 原 か 書 と
界 中 の ひ と が 同 じ 遊 び を す る よ う に な る 。
ミ コ ン や ス ー パ ー フ ァ ミ コ ン の お か げ で 世
い た 。 そ れ が 東 西 の 分 裂 が な く な っ て フ ァ
た り し た こ と も あ っ て 、 一 〇 倍 の 三 〇 〇 万
ア メ リ カ だ と ゲ ー ム 機 本 体 と の 同 梱 版 が 出
出 て 日 本 で は 三 〇 万 本 弱 の 売 れ 行 き で す が 、
ヘ ッ ジ ホ ッ グ ﹄ ︵
で い る と ま で は い き ま せ ん ﹃ 。 ソ ニ ッ ク ・ ザ ・
の 両 方 で 大 ヒ ッ ト し ま し た 。
ド で 出 た 年 で も あ り ま す が 、 こ ち ら は 日 米
イ タ ー Ⅱ ﹄ ︵ カ プ コ ン 、 九 一 年 ︶
が ア ー ケ ー
セ ガ 、 九 一 年 ︶
は こ の 年 に そ れ と 、 九 一 年 と い え ば ﹃ ス ト リ ー ト フ ァ
な 年 だ っ た と 思 い ま す 。
側 と は あ き ら か に ち が う ゲ ー ム 史 を 辿 っ て も ち ろ ん 、 完 全 に 世 界 が 同 じ 歴 史 を 歩 ん な っ た 。 そ う い う タ イ ミ ン グ と し て は 重 要
作 ら れ た り し て い ま す 。 旧 東 側 諸 国 は 、 西
た 、 旧 東 ド イ ツ で も 独 自 の 家 庭 用 ゲ ー ム が
ん で す ね 。 フ ァ ミ コ ン じ ゃ な い ん で す 。 ま
た 年 で も あ り ま す 。
ミ で に 刊 コ は つ 行 ン 九 い 一 ︵ 〇 て 六 S 年 書 年 F に か ︶ C 発 れ な ︶ 売 て ど が さ い で 、 れ ま は ア て す 旧 メ い 。 ソ リ た ち 連 カ ス な の で ー み ゲ 発 パ に ー 売 ー 、 ム さ フ 日 事 れ ァ 本 情
ケ ッ ト が 、 グ ロ ー バ ル で 考 え ら れ る 時 代 に
で す が 、 各 国 で ば ら ば ら だ っ た ゲ ー ム マ ー
が い ま す 。 こ う い う こ と は い ろ い ろ あ る ん
庭 用 ゲ ー ム な る も の を 知 ら し め た 年 ら し い
メ リ カ で ﹃ ソ ニ ッ ク ﹄ の 影 響 力 は だ い ぶ ち
の 年 は コ モ ド ー ル 64 が 鬼 の よ う に 売 れ て 家
本 以 上 が 売 れ て い ま す 。 な の で 、 日 本 と ア
井上明人+黒瀬陽平+さやわか+東浩紀
ま の 日 本 の ゲ ー ム 消 費 環 境 を 作 り あ げ た 条
と あ ま り に 漠 然 か つ 広 大 な の で 、 今 日 は い
ん 。 た だ 、 ア メ リ カ 市 場 と 日 本 市 場 は 八 五
ま し た が 、 日 本 で は さ ほ ど 遊 ば れ て い ま せ
た 家 庭 用 ゲ ー ム 機 と し て イ ン パ ク ト を 持 ち
カ だ と ア タ リ 2 6 0 0 が 最 初 に 大 ヒ ッ ト し
以 前 は か な り 分 断 さ れ て い ま し た 。 ア メ リ
で 最 重 要 の 年 は 八 四 年 だ と 言 う ん で す 。 こ
ひ と に 話 を 聞 く と 、 彼 ら の ゲ ー ム の 歴 史 上
下 に あ り ま し た 。 そ れ で 、 フ ィ ン ラ ン ド の
て 重 要 な 地 域 で す が 、 か つ て は ソ 連 の 影 響
フ ィ ン ラ ン ド は ゲ ー ム の 世 界 市 場 で き わ め
東 浩 紀
う と い う の が 今 日 の 主 旨 で す 。
集 と い う こ と で 、 基 本 的 な 歴 史 を 押 さ え よ
い て 、 ア メ リ カ と 日 本 の 歴 史 も フ ァ ミ コ ン
史 と い う の は 国 に よ っ て け っ こ う ち が っ て
年 で は な い か と 思 う か ら で す 。 ゲ ー ム の 歴
世 界 の ゲ ー ム 市 場 が つ な が っ た
独 自 の 歴 史 を 持 っ て い ま す 。 た と え ば い ま
ト リ ス 以 外 ほ と ん ど な じ ん で い ま せ ん が 、
す 。 旧 東 側 諸 国 の ゲ ー ム 史 に わ れ わ れ は テ
崩 壊 は ゲ ー ム 史 に と っ て も 重 要 だ と 思 い ま
と は い え 、 ゲ ー ム そ の も の の 歴 史 と な る
一 九 九 一 年 か ら
﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ は じ め て の ゲ ー ム 特 井 上 明 人
ん 、 な ぜ こ の 年 な の か 語 っ て も ら え ま す か 。 目 さ れ て い ま せ ん が 、 九 一 年 一 二 月 の ソ 連
と い う こ と に な っ た の で す が 、 ま ず は 井 上 さ そ し て 、 一 般 的 な ゲ ー ム 史 で は あ ま り 注
1 | 一 九 九 〇 年 代 前 半
事 前 の 相 談 で 九 一 年 を ス タ ー ト に し よ う ム を 遊 ぶ よ う に な り ま し た 。
い き た い と 思 い ま す 。
切 っ て 、 お も に 日 本 の ゲ ー ム 消 費 史 を 見 て
コ 年 ン の ︶ ア
発 売 以 後 は 、 か な り 似 た よ う な ゲ ー
メ リ カ で の N E S ︵ 欧 米 版 の フ ァ ミ
井 上 明 人 + 黒 瀬 陽 平 + さ や わ か + 東 浩 紀
共 同 討 議
メ デ ィ ア ミ ッ ク ス か ら パ チ ン コ へ
特 集
─ ゲ ー ム の 時 代
│ 日 本 ゲ ー ム 盛 衰 史
1991-2018
件 を あ き ら か に す る 目 的 で 議 論 を し た い と
From Media Mix to Pachinko: The Rise and Fall of Japanese Games, 1991-2018
思 い ま す 。 と い う わ け で 、 一 九 九 一 年 か ら
Akito Inoue + Yohei Kurose + Sayawaka + Hiroki Azuma
今 年 二 〇 一 八 年 ま で の 二 八 年 間 に 時 期 を 区
ゲンロン 8
016
特集
ゲームの時代 The Age of Games
015
二一世紀の『侍女たち』を探して
東浩紀
そ れ で も 、 表 象 文 化 論 と い う 新 た な 名 称 が 提 案 さ れ た と き 、 そ こ に な ん ら か の 新 た な 理 想 が あ っ
007
残 念 な が ら あ ま り 実 体 が な い 。
寄 せ る 一 派 を 意 味 す る 、 便 利 な 業 界 用 語 と し て の み 機 能 し て い る 。 学 問 と し て の 表 象 文 化 論 に は 、
想 で が に 潮 役 あ も 流 に り か ︵ 立 、 か 具 た ウ わ 体 な ェ ら 的 に い ブ ず は 。 サ 、 二 現 イ 学 〇 実 ト 問 世 に と 紀 は に し は 後 半 表 定 て の 象 義 の フ 文 ら 表 ラ 化 し 象 ン 論 文 ス と き 化 も 思 想 い の 論 と う が は そ 言 掲 い れ 葉 ま に は 載 だ さ 影 、 響 れ 定 を 美 て 義 受 学 い が は け や た 文 る っ [ 英 学 ★ き 1 語 研 ] り 圏 。 し の 究 ポ の し な ス な か い ト か し 。 モ の そ 表 ダ の 象 ニ 、 記 文 比 ズ ム 較 述 化 ︶ 的 は 論 に 新 あ に 関 し い は 心 い ま 学 を 思 い 会
二一世紀の『侍女たち』を探して
一 九 八 七 年 の こ と で あ る 。 し た が っ て 、 表 象 文 化 論 は 誕 生 し て 三 〇 年 が 経 っ て い る こ と に な る 。
東 京 大 学 の 教 養 学 部 ︵ 駒 場 キ ャ ン パ ス ︶
に 表 象 文 化 論 の 名 を 冠 す る 研 究 室 が で き た の は 、
か ら 表 象 文 化 論 専 攻 と い っ て か ま わ な い 。
域 文 化 科 学 専 攻 ︶
が 記 さ れ て い る の だ が 、 そ の 新 た な 名 前 の ほ う は い っ こ う に 普 及 し て い な い 。 だ
数 年 後 に 新 設 の 専 攻 に 吸 収 さ れ て し ま っ た 。 そ れ ゆ え ぼ く の 博 士 の 学 位 記 に は ま た 別 の 専 攻 名 ︵
て い る 。 じ つ は 制 度 と し て の 表 象 文 化 論 専 攻 は 、 一 九 九 〇 年 代 の 無 秩 序 で 愚 か な 大 学 改 革 の た 超 め 、
学 者 に つ い て 論 文 を 書 き 、 修 士 号 を 取 っ た 。 ぼ く の 修 士 の 学 位 記 に は 、 表 象 文 化 論 専 攻 と 記 さ れ
表 象 文 化 論 は 、 東 京 大 学 で の ぼ く の 出 身 専 攻 名 で あ る 。 ぼ く は そ の 名 の も と で 、 フ ラ ン ス の 哲
象 文 化 論 と 呼 ぶ 。
そ れ は 歴 史 の 研 究 で も 作 品 の 分 析 で も な い 。 両 者 を つ な ぐ ア プ ロ ー チ で あ る 。 ぼ く は そ れ を 表
わ た し た ち の 生 と 認 識 を 規 定 し て い る か 、 そ の 連 関 を 探 る と い う も の だ か ら で あ る 。
東浩紀
い う も の で も な く 、 ゲ ー ム と い う 新 し い 技 術 あ る い は メ デ ィ ア の 登 場 が い か に 二 一 世 紀 を 生 き る
と し て 辿 る と い う も の で は な く 、 か と い っ て ゲ ー ム プ レ イ の 魅 力 を 個 人 の 経 験 に 基 づ い て 語 る と
な ぜ な ら ば 、 ぼ く が 今 号 で 行 お う と し て い る の は 、 単 に コ ン ピ ュ ー タ ゲ ー ム の 盛 衰 を 社 会 現 象
解 し に く い 号 な の か も し れ な い 。
れ る と し た ら 、 そ れ は 誤 解 で あ る 。 む し ろ 今 号 は 、 い ま ま で の 号 の な か で も っ と も ハ ー ド な 、 理
け れ ど も 、 話 題 が ゲ ー ム だ か ら と い っ て 、 討 議 や 論 文 の 内 容 が 理 解 し や す い も の で あ る と 思 わ
増 え る と よ い と 考 え て い る 。
た 話 題 と 比 べ て 、 と っ つ き や す い こ と は た し か だ 。 実 際 、 編 集 部 と し て は 、 こ れ を 機 会 に 読 者 が
も た れ る か も し れ な い 。 な ん と い っ て も 、 今 回 の 話 題 は ゲ ー ム で あ る 。 思 想 や 美 術 や 批 評 と い っ
シ ア 現 代 思 想 ﹂ と 続 い て き た 。 そ れ ら に 比 べ て 、 今 号 は 急 に ﹁ や わ ら か く ﹂ な っ た と い う 印 象 を
本 誌 の 特 集 は 創 刊 以 来 ﹁ 、 現 代 日 本 の 批 評 ﹂ ﹁ 慰 霊 の 空 間 ﹂ ﹁ 脱 戦 後 日 本 美 術 ﹂ ﹁ 幽 霊 的 身 体 ﹂ ﹁ ロ
二 一 世 紀 の ﹃ 侍 女 た ち ﹄ を 探 し て
﹃ ゲ ン ロ ン 8 ﹄ を お 送 り す る 。 今 号 の 特 集 は ﹁ ゲ ー ム の 時 代 ﹂ で あ る 。
東 浩 紀
ゲンロン 8
006
:
:
賭 タ 軍 博 イ 歌 現 は 夢 代 文 世 学 界 未 ノ を 来 ー ど # ト う 20 # 変 ─ 6 え 市 ─ た 川 福 か 冨 真 人 渉
# 9
─ 辻 田 真 佐 憲
─
─
独 立 国 家 論 第 7 回
─ 速 水 健 朗
第 5 回
─
プ ラ ー プ ダ ー ・ ユ ン Prabda Yoon
都 市 か 農 村 か で 見 る 連 合 赤 軍 事 件
新 し い 目 ─ の ─ 旅 立 ち
5
海 猫 沢 め ろ ん
筆
Wake Up New
─
随
考
T he United Red Army Incidents: Urban or Rural?
Kenro Hayamizu
表 紙 ・ 扉 イ メ ー ジ ─ 梅 沢 和 木
﹃ ゲ ン ロ ン ﹄ 既 刊 紹 介
─
午 後 の 部 Ⅶ
Melon Uminekozawa
︶
322
LABORATORIES
︵
黒 瀬 陽 平 ﹁ 他 の 平 面 論 ﹂ 、 安 天 ﹁ 韓 国 で 現 代 思 想 は 生 き て い た ﹂ 、 上 田 洋 子 ﹁ ロ シ ア 語 で 旅 す る 世 界 ﹂ は 今 号 は 休 載 で す 。
English Translations and Abstracts
ア ー ト デ ィ レ ク シ ョ ン & デ ザ イ ン ─ 加 藤 賢 策
─
Afternoon VII
E01
﹃ ゲ ン ロ ン β ﹄ 既 刊 紹 介
260
321
論
7
320
寄 稿 者 一 覧
デ ィ ス ク ロ ニ ア の 鳩 時 計
コ ラ ム
On Independent States
325
編 集 後 記 ・ 支 援 者 一 覧
The Pigeon Clock of Dischronia
273
作
283
288
294
299 創
訳
─ 福 冨 渉
JRPG as an Apparatus of Experience
Games are Seeking Akira Kurosawa Visual Novels Outside Japan
Gamic Action, Four Moments The Age of Games: 10 Keywords #1
A kito Inoue
Katsura Hashino
Sayawaka
120
How are Games Social Problems?
The Principle of the Button and the Ethics of Games 136
158
171
186
208
1991-2018
Shin Imai
Randy Au
A lexander R . Galloway
Ibai A mez toy
聞 き 手 2
─ 東 浩 紀
─ 松 永 伸 司
─ 黒 瀬 陽 平
─ さ や わ か + 東 浩 紀 聞 き 手
192
229
訳 ・ 解 題
訳
Oleg A ronson + Helen Petrovsk y
序 論 ︵ 2 ︶
─ 坂 上 秋 成
イ バ イ ・ ア メ ス ト イ
Lenin, Gulag, and Postmodernism: A Review of Contemporary Russian Philosophy
│ 宇 宙 技 芸 試 論
訳
橋 野 桂
井 上 明 人
─ さ や わ か ─
ラ ン デ ィ ・ ア ウ
今 井 晋
│
The Question Concerning Technology in China: An Essay in Cosmotechnics Introduction 訳
─ 上 田 洋 子
─
# 1
年 表
ア レ ク サ ン ダ ー ・ R ・ ギ ャ ロ ウ ェ イ
ロ シ ア 現 代 思 想 概 観
─ 仲 山 ひ ふ み
247
Yuk Hui
ボ タ ン の 原 理 と ゲ ー ム の 倫 理
経 験 装 置 と し て の J R P G ─ ゲ ー ム は 黒 澤 明 を 求 め て い る ─ 日 本 国 外 の ヴ ィ ジ ュ ア ル ノ ベ ル ─
聞 き 手
ゲ ー ム は ど の よ う に 社 会 の 問 題 と な る の か ─ 録
ゲ ー ム 的 行 為 、 四 つ の モ メ ン ト
コ ラ ム 考
キ ー ワ ー ド
論 イ ン タ ビ ュ ー
付
ゲ ー ム の 時 代 一 〇 の 論 点 ゲ ー ム の 時 代
レ ー ニ ン 、 収 容 所 、 ポ ス ト モ ダ ニ ズ ム
オ レ グ ・ ア ロ ン ソ ン + エ レ ー ナ ・ ペ ト ロ フ ス カ ヤ
中 国 に お け る 技 術 へ の 問 い 許ホイユ 煜ク
イ ン タ ビ ュ ー
集 中 掲 載
In Search of a 21st Century Las Meninas
017
016
遺
メ タ ゲ ー ム 的 リ ア リ ズ ム
ゲ ー ム の 時 代 を 考 え る 30 冊
視 点 、 計 算 機 、 物 語
│
Hiroki A zuma
2018 May
Viewpoint, Computer, Narrative: Looking Awry at the Age of Games
黒 瀬 陽 平 + さ や わ か + 東 浩 紀
A kito Inoue + Yohei Kurose + Sayawaka + Hiroki A zuma
│
斜 め か ら 見 る ゲ ー ム の 時 代
─
Metagamic Realism: Digital Games as a Platform for Criticism
│
黒 瀬 陽 平 Origins of Contemporary Art: Genealogy of Dual-Layered Vision
二 重 化 さ れ た 視 覚 の 系 譜
Yohei Kurose
東 浩 紀
1991-2018
Hiroshi Yoshida
Yohei Kurose + Sayawaka + Hiroki A zuma
─
─
006
The Age of Games
075 録
From Media Mix to Pachinko: The Rise and Fall of Japanese Games, 1991-2018
076
考
共 同 討 議
099
日 本 ゲ ー ム 盛 衰 史
目 次
の 時 代
補
現 代 美 術 の 起 源
吉 田 寛
│
ゲ ー ム
─ 東 浩 紀
8 二 一 世 紀 の ﹃ 侍 女 た ち ﹄ を 探 し て
メ デ ィ ア ミ ッ ク ス か ら パ チ ン コ へ
付
井 上 明 人 + 黒 瀬 陽 平 + さ や わ か + 東 浩 紀 批 評 的 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム と し て の デ ジ タ ル ゲ ー ム
特 集 論
編
genron triannua l Edited by Hiroki Azuma
8 Ibai Ameztoy Oleg Aronson Randy Au Hiroki Azuma Sho Fukutomi Alexander R. Galloway Katsura Hashino Kenro Hayamizu Yuk Hui Makoto Ichikawa Shin Imai Akito Inoue Yohei Kurose Shinji Matsunaga Helen Petrovsky Sayawaka Masanori Tsujita Kazuki Umezawa Melon Uminekozawa Prabda Yoon Hiroshi Yoshida