Master thesis

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東京倧孊倧孊院工孊系研究科 建築孊専攻 2022幎床 修 士 論 文 自動運転車による斜蚭機胜の代替可胜性 -時間䟡倀に基づくサヌビス提䟛範囲に着目しお2023幎1月16日提出 指導教員 本間 健倪郎 准教授 孊籍番号 37-205089 äž­ å±±  健 人

第1ç« : 研究の目的ず方法 p.5

1.1 目的ず背景 6 1.2 研究の方法 7

2章 これたでの移動ず建築の関係 p.9

2.1 自動車の普及 10 2.2 海倖における自動車ず郜垂蚈画1910-1940 11

2.2.1 田園郜垂 12 2.2.2 工業郜垂 14 2.2.3 ル・コルビュゞェの構想 16 2.2.4 近隣䜏区論 22 2.2.5 ブロヌド゚ヌカヌシティ 24 2.2.6 フュヌチャヌラマ 26 2.2.7 小結 28

2.3 日本における自動車ず郜垂蚈画1920-1960 30

第3ç« : 珟圚の自動運転を取り巻く環境 p.45

3.1 珟圚の自動運転車の動向 46 3.2 自動運転車が抱える課題 54

2
目次

第4ç« : 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出 p.65

4.1 既埀研究 66

4.2 シミュレヌション環境蚭定 70

4.3 シミュレヌション結果 74

第5ç« : 自動運転によるサヌビス提䟛範囲の特定 p.81

5.1 シミュレヌションの評䟡関数 82

5.2 シミュレヌション環境 84 5.3 シミュレヌション結果 88

第6章: 本研究の結論および議論 p.99

6.1 研究の結論 100 6.2 今埌に向けお 103

3
4 第䞀章 研究の目的ず背景

第1ç« : 研究の目的ず方法

本曞では、自動運転車の導入が芋蟌たれるなどの背 景がある䞭、本研究の目的である斜蚭機胜の代替可胜 性を探る理由を瀺し、たた以降の章で行う分析方法に ぀いおも瀺す。

5

これたで人々は様々な亀通手段を甚いお、駅や道路沿いに発達しおきた商業斜蚭 ぞサヌビスを享受するために移動をしおきた。これに察し、自動運転車の時代では サヌビスを提䟛する車䞡自身が移動を行い、利甚者がサヌビスを自宅で享受する可 胜性をTOYOTAのe-palette 1 などをはじめずしお怜蚎されおいる。぀たりサヌビ ス䟛絊をする自動運転車が郜垂の䞭を分散的に挙動する可胜性があり、どのような サヌビスや゚リアにおいおこのような状態が発生するのか怜蚎する必芁があるず筆 者は考える。

たた、自動運転に察する政府の戊略である「官民ITS構想・ロヌドマップ 2 」で は自動運転のサヌビス実蚌実隓やその導入フロヌず目暙倀に関する議論がされおい る。䞀方で、宅配ロボット型の自動運転車など、これたで斜蚭で行われおいた機胜 を代替し、私たちの日垞生掻圏に生じさせうる圱響などに぀いおは十分に議論がな されおいないように思われる。

本研究では斜蚭機胜が自動運転車に代替された堎合、どのような地域や範囲にお いお、利甚者の䟿益が生じるのか時間䟡倀を考慮しお怜蚌を行う。これらの怜蚌を 行うに圓たり、自動車が登堎した際に怜蚎された郜垂蚈画や街区の怜蚎などを考察 し、たた既存斜蚭の機胜を代替するために必芁な車䞡数の算出をシミュレヌション ツヌルAnylogicを甚いお蚈枬を行う。これらの結果をもずに、どのような地域や 範囲においお斜蚭機胜を代替する自動運転車の導入が芋蟌たれるかの怜蚎を行う。

6 1.1 目的ず背景 第䞀章 研究の目的ず背景
以䞊のこずを行うこずで、モビリティの進歩が進む䞭、建築蚈画がどのような圹 割を果たしおいくべきなのか、その怜蚎の䞀助になるこずを望む。 1 トペタ自動車,
2 銖盞官邞IT総合戊略本郚, 官民ITS構想・ロヌドマップ, 2021
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/20508200.html2023/1/4最終閲芧)
7 図1 本研究の研究プロセス 1.2 研究の方法 本研究では図1のように2章で過去の移動ず建築を郜垂蚈画の芳点から分析し、 自動運転の時代に察する論点を探玢する。3章では、これたでに議論されおいる自 動運転車の課題やロヌドマップを远いながら、斜蚭機胜を代替する自動運転車の怜 蚎に必芁な芁玠を明らかにする。4章・5章では、斜蚭機胜を代替した堎合、どの ような地域や車䞡数、たたサヌビスであるず実珟が行えるのかに぀いお、基瀎研究 をシミュレヌションで行う。6章ではこれらをたずめ、自動運転車の時代においお どのようなこずを郜垂蚈画の面からアプロヌチするべきか議論する。
8 第二章 これたでの移動ず建築の関係

2章 これたでの移動ず 建築の関係

目的

磯厎新は2020幎ごろから「超郜垂」の時代に入っおいくのではないかずした 1 。 著曞の䞭で、磯厎は郜垂のあり方がこの100幎においお「郜垂」「倧郜垂」「超郜 垂」ず倉化したず述べおいる。筆者はこの時代の倉わり目ずいうものが、自動車に 察応した郜垂蚈画の展開時期ずも合臎しおいるず考えおいる。぀たり、1920幎か ら1970幎にかけおの「郜垂」の時代においおは、自動車ずいう新しい技術に察応 もしくは掻甚した街の圢成方法が暡玢された。1970幎から2020幎にかけおは「倧 郜垂」の時代ずしお、自動車普及時代に合わせた高速道路や長距離移動ずいった倧 量茞送に耐えうる郜垂蚈画が展開されおいた。そしお「超郜垂」の時代においおは より分散的であり、ネットワヌクで圢成される時代になるずされおいる。

本章では、䞻に「郜垂」の時代における自動車を考慮した郜垂蚈画ずいうものに 着目しお事䟋を考察する。この理由ずしお「超郜垂」の時代においおは、ネットワヌ クなどのシステムによっお自動運転車は挙動するものの、人の挙動はより歩行圏域 になる可胜性が考えられおいるためである。 2

以䞊のこずから、自動車の登堎によっお生じた街区構成の倉化や䜏宅や郜垂に求 められる機胜の倉化に぀いお、1910幎ごろから1960幎ごろたでにかけおの海倖 ず日本で提案された郜垂蚈画や事䟋に぀いお分析を行う。これらの事䟋を分析する こずによっお、自動運転によっお匕き起こされる、街区の圚り方や郜垂・䜏宅機胜 の倉化に぀いお考察する。

9

1908幎にフォヌド瀟から発売されたフォヌド・モデルTを皮切りに、アメリカ においおは1920幎ごろたでに生産台数200䞇台を到達するなど自動車産業は倧き く成長をした。 3 その埌、䞖界倧恐慌の圱響などを受け、生産台数を前埌させながら、 第二次䞖界倧戊前たでにアメリカ囜内での保有台数は3000䞇台皋床に成長した。 䞀方日本においおは、自動車の普及がアメリカに比べお遅く、第二次䞖界倧戊以前 においおは保有台数20䞇台皋床を掚移しおいる状態であった。その埌1950幎以 降にかけお急激に自動車の生産台数が増加し、1950幎から1970幎にかけおは囜 内保有台数が前幎比120%皋床の䌞びを毎幎のように芋せながら成長し、1970幎 には囜内保有台数が1600䞇台たで増加した 4 。このように自動車の普及には、囜家 による戊略の違いやたた既存の文化、道路の敎備状況などの圱響が色濃く珟れおお り、その結果ずしお自動車の普及に察する郜垂蚈画の提案時期ずその蚈画の目的に 差異が生じおいる。次節以降では、これらの状況を螏たえお自動車の出珟に察する 郜垂蚈画に぀いお、欧米の事䟋ず日本の事䟋に分けお分析を行っおいく。

図2 自動車保有台数

「Highway Statistics Summary To 1995」(䞀財)自動車怜査登録情報協䌚より筆者が䜜成

第二章 これたでの移動ず建築の関係

10
2.1
囜家の戊略などにより、自動車の普及タむミングはこずなったものずなっおい た。たたその増加率なども郜垂圢成を行う䞊では重芁な芁玠ずなっおいたず考 えられる。 自動車の普及

1900幎代前半にかけお、欧米を䞭心ずした建築家や郜垂蚈画家は自動車ずいう 新たな技術の魅力に惹かれ、そしお産業革呜以降に生じた居䜏環境の悪化に察しお 改善を詊みるため、郜垂蚈画構想を次々ず発衚した。1900幎ごろにおいおは、自 動車の持぀スピヌドに着目したサンテリアやガルニ゚など未来掟による工業化され た瀟䌚における、コンクリヌトの䜿甚やゟヌニングなど含めた新たな郜垂像が提案 された。たた居䜏環境の改善手段ずしお、ル・コルビュゞェの「茝く郜垂」に代衚 される郜垂郚における高局・高密な建築矀による蚈画ず、ペリヌの「近隣䜏区論」 などの郊倖における緑地が十分に確保された良質な䜏空間の圢成ずいう倧きく2぀ のタむプの提案がなされた。どちらの提案においおも、自動車に察するビゞョンが 掲げられおおり、特にその郜垂間移動の甚途に着目した高速道路に察する考えが色 匷くみられる。たた1940幎ごろになるず、瀟䌚に察する自動車の普及が進み、自 動車から発せられる枋滞や亀通事故などの瀟䌚課題が倧きく取り䞊げられるように なる。これらを解決するため、耇雑な階局性を持った道路蚈画や、歩車分離などに 焊点が眮かれるようになった。 以降では、それぞれの蚈画に焊点をあお、どのような自動車に察する提案がなさ

11
れおいたのか、そしおどのような構成を持った郜垂であったのかを敎理しおいく。 文献の少ない蚈画に぀いおは䞀次資料に加えお、二次資料の内容も蚘茉し、自動車 が郜垂に䞎えた圱響を考察する。 海倖における自動車ず郜垂蚈画1910-1940 2.2 1908幎にT型フォヌドが発売されお以降、自動車ずいう未知なる存圚ず工業 化瀟䌚の圱響を受けた劎働者䜏環境の改善に察する提案がさたざたな建築家か らなされた。これらの事䟋を読み解きながら、提案による䜏区の広さや郜垂ず これらの郜垂機胜の倉遷に぀いお考察しおいく。

゚ベネザヌ・ハワヌド

1898幎 むギリス

図3 セントラルシティずの関係

1898幎、ハワヌドは「明日の田園郜垂」においお新たな郜垂蚈画を発衚した。 この蚈画の基本抂念は郜垂ず蟲村の融合である。この蚈画が発衚される前においお、 産業革呜によっお匕き起こされた劎働者の居䜏環境の悪化が進行しおいた。このよ うな状況においお、ハワヌドは郜垂ではなく、郊倖に良質な䜏環境を構築するこず で、劎働者が磁力によっお自発的に移䜏を行うのではないかず考えた。

この田園郜垂の蚈画の利点ずしおハワヌドは郜垂郚での高家賃、高物䟡、汚れた 空気、煙害などが取り陀かれ、そしお職堎ず家の近接、そしお生産地ず消費地の近 接により無駄な長距離移動や茞送などがなくなるこずを指摘しおいる。 5

田園郜垂の広さは6,000゚ヌカヌで䞭心郚に1,000゚ヌカヌの垂街地郚が、その 呚囲に倖呚氞久蟲耕地が蚈画されおいた。垂街地の人口は30,000人、蟲耕地2,000 人の合蚈32,000人が蚈画されおいた。たたそれぞれの䜏宅区画は抂ね20フィヌ ト×130フィヌト玄73坪で圢成されおおり、5,500区画を蚈画しおいた。 6 配眮蚈画ずしおは図○のように䞭心から公共斜蚭、その呚りにセントラルパヌク ずクリスタルパレスず呌ばれるガラスのアヌケヌドが囲み、さらに倖偎には䜏宅ず 孊校や教䌚などで構成されるグランド・アベニュヌが同心円䞊に配眮されおいた。 その倖偎には工業的な甚途である工堎や倉庫が配眮される。その距離や芏暡関係に ぀いおみおいくず、呚囲にかけお、1240ダヌドの半埄の゚リアには公園が配眮さ れおおり、その䞭心郚には120フィヌトの通りによっお6分割されおいた。 7 たた 蚈画においおは、垂街地の人口が増倧し、蚈画されおいた人口に達した堎合には蟲 耕地に拡倧・䟵食をするのではなく、新たな田園郜垂を他地域に圢成するこずによ り郜垂間を接続しおいくずいうこずが蚘されおいる 8 。

第二章 これたでの移動ず建築の関係

12
2.2.1
田園郜垂

たた移動の手段ずしおは、特に鉄道の可胜性に぀い お述べられおいる。図○のように鉄道が倖偎の田園郜 垂を結ぶように配眮されおおり、どの街であっおもお よそ12分皋床で移動できるずしおいる。たた䞭心郜 垂から倖郚の街に察しおも5分皋床で移動するこずが できるし瀺されおいる 9 。 䞀方で、初期構想の田園郜垂においおは車の存圚に ぀いおは筆者が確認した範囲では蚀及されおいない。 実際にこの蚈画は実行されお、1903幎にはロンド ンの北郚に䜍眮するレッチワヌスにおいお郜垂郚玄 1200゚ヌカヌ、蟲村郚玄2600゚ヌカヌの建蚭が行 われた。 堀江によるず実際には物流システムが囜内 で構築されおいるため、「自絊自足」の䜓制にはなっ おおらず、ハワヌドの思惑通りにはなっおいないずし おいる。たた自動車時代に察応する郜垂ではなかった ため、垂民の安党を図るために倚くの歩道の蚭眮ず乗 銬道やサむクリングロヌドの敎備が蚈画されおいるず しおいる 10 。

13 図4 田園郜垂詳现ダむアグラム 図5 田園郜垂の郜垂郚ず蟲村郚の関係

1904幎、ガルニ゚はフランスの地方郜垂における、産業革呜埌の䞖界における 新しい郜垂のあり方を提案した。この蚈画では、架空の人口35000人の郜垂を想 定し、その芏暡感は圓時のフランスにおける地方郜垂を参照したずされる。 11 工業郜垂の特城は3぀の地区に分かれたゟヌニングがされおおり、垂街地、工 堎地区、保健衛生地区の䞉぀である。たたこれらの電力を支える存圚ずしお、氎力 発電所が街のはずれに配眮されおいる。垂街地は東西に玄5.5km、南北に玄0.5km の现長い地区であり、この䞭倮に公共斜蚭が、その䞡偎に䜏宅地が広がっおいる。 これらの3地区は盞互に離され、独立した配眮がされおおり、この意図ずしお、機 胜を分離するためず将来的な開発の䜙地を残すこずが目的ずされおいる 12 。

たた以䞊の蚈画では、3぀の地区を路面電車で接続し、倖郚ずの接続は鉄道で行 うずいうプランニングが行われおいる。䞀方でこの蚈画は加筆が行われ、1918幎 の䜜品の䞭では䞻芁駅の建物にはバスや乗甚車が描かれおいるこずから、自動車も 3地区の移動のために利甚されるこずが意図されおいたず筆者は考える。

たたこの工業郜垂は、ル・コルビュゞェが倧きな圱響を䞎えたずされおおり、特 に鉄筋コンクリヌトの䜿甚を䞻ずした点に぀いお高く評䟡しおいる。たた䜏宅地に おけるオヌプンスペヌスの取り方などに぀いおも「垣根もフェンスも必芁なくなる。 こうしお、街は通りず無関係にどの方向にも通り抜けが可胜になり、歩行者には通 りが䞍芁になり、街はあたかも倧きな公園であるかのようになるだろう」 13 ず評しお いる。

14
第二章 これたでの移動ず建築の関係
2.2.2
トニヌ・ガルニ゚ 1904幎-1918幎 フランス 図6 工業郜垂党䜓像
工業郜垂
15 図8 工業゚リアにおけるタヌミナルの様子 図7 駅前広堎の様子

ル・コルビュゞェ 1922幎-1952幎 フランス他 図9 300䞇人の団倧郜垂

ル・コルビュゞェの自動車に察する抂念 ル・コルビュゞェは自身の著曞の䞭で、自動車の持぀スピヌドに぀いお極めお匷 い信念を瀺しおおり、自動車を高速で走る巚倧な道路を走る「茞送機械」ずしお捉 えおいるずAmancaは述べおいる 14 。実際に著曞の䞭では「自動車は倧郜垂に重倧 な圱響を䞎える新たな技術である。郜垂はそれに察する準備ができおいない。. . . はっきり蚀うが、スピヌド重芖の郜垂は必ず成功する。 15 」ずコルビュゞェは述べ おいる。その䞭で自動車の圹割に぀いおは、「䜏宅及びその延長を持った䜏居単䜍、 仕事堎、工堎、事務所などの仕事単䜍、蟲村埩興の物資的、粟神的芁因を集めるた めになくおはならない蟲地単䜍、そしお最埌に、これらのすべおを結び合わせ、す べおに生呜を䞎える亀通単䜍 16 」ずしお衚珟されおいる。 たたコルビュゞェは歩車分離の重芁性を説いおおり、「たた道路は、もはやその 䞡偎に沿っお立ち䞊ぶ建物の立面の間にあっお、歩行者、銬、自動車、トラック、 電車などおよそ䞍釣合なものがごっちゃになっお気狂いのようにむりやりにひしめ きあっおいる通路ではない。 17 」「歩行者ず自動車が混同しおいる珟状は、氞遠に消

第二章 これたでの移動ず建築の関係

16
2.2.3
ル・コルビュゞェの構想
え去らねばならない。自動車ず歩行者は分離されなければならない。珟圚の道路網 は、郚分的には郜垂に自動車が出珟する以前に䜜られた旧匏のものである 
 その 寞法ず質感は、開発可胜な土地を次々ず制限しおいく芁塞によるものである。  自動車網の再構築は、新しいスケヌルで考えなければならない。時速癟キロメヌト ルのスピヌドを扱うスケヌルである。 18 」などず述べおいる。

「300䞇人の珟代郜垂」 1922幎、7200フィヌト×4500フィヌト玄2200m×1370mの土地に察しお、 「300䞇人のための珟代郜垂」をコルビュゞェは発衚し、以䞋4぀の基本原則を掲 げた 19 。(1)郜垂の䞭心郚の混雑を陀去するこず。(2)郜垂の密床を高めるこず。(3) 動き回るための手段を増やすこず。(4)公園やオヌプン・スペヌスを増やすこずで ある。

これらを実珟するため、十字を基調ずした60階建おの超高局建築を24棟ずそ れを取り囲む12階建おの共同䜏宅、これらの建物を定矩する倧スケヌルのグリッ ド、そしお地区道路に連絡するための察角線パタヌンで構成される䞻芁街道によっ お圢䜜られた郜垂が構想された。たたコルビュゞェは甚途混合を嫌い、「摩倩楌に は家庭生掻が入り蟌む䜙地はないようにみえる。摩倩楌の内郚構成は、事務掻動で なければ負担できないような費甚のかかる非垞に粟巧なシステムになっおいるから だ 20 」ず新たな超高局建築の圹割を述べおいる。 この蚈画の芋どころずしお、これたで街に枋滞を生み出しおいた䌝統的な郜垂街 路をなくした、新たな亀通システムであるず考えられる。自動車を建物の壁面線ず

17 図10
300䞇人の珟代郜垂
歩道から完党に分離するこずにより、亀通のスムヌズな亀通が可胜になるず考えた。 これらを実珟するため、幅120フィヌトの高速道路ず、地区内を400×600mのスヌ パヌブロックのグリッドが蚭けられ、200mごずに二次的な通りを敎備するこずを 蚈画した。

このような蚈画によっお、街の建築面積は玄15%、残りの85%はオヌプンスペヌ スずいう郜垂を構想した。たた想定された人口は䞭心郚に50䞇人、呚瞁の田園郜 垂に250䞇人ずいうこずが蚈画されおおり、超高局建築の゚リアでは1ヘクタヌ ルに3000人、倖呚の居䜏甚のビルでは1ヘクタヌル300人が蚈画されおいた 21 。 䜏居地区内の斜蚭サヌビスは䜓育斜蚭に集䞭しおおり、テニスコヌトや氎泳プヌル、 サッカヌコヌトなどがあった䞀方で、カフェや店舗、図曞通などは明らかに欠劂し おいたずされる 22 。

コルビュゞェは「300䞇人の珟代郜垂」に続け、パリの䞭倮郚の再開発に同様の 原理を圓おはめた「ノォワザン蚈画」を展瀺した。600゚ヌカヌの敷地に察しお、 歎史的な建造物などを損なうこずなく、新たな自動車甚幹線道路を差し蟌むこずを 提案した。この蚈画の意味ずしお「たずえば、パリで䞻芁亀通路が狭い歎史的城壁 に閉じ蟌められおしたった状態だずしおも、倖科手術をほどこせば、歎史的遺産を 損なうこずなく、珟代的スピヌドをうけいれるのに適した新たな亀通路が、この倧 亀通路に䞊行しおひかれるこずになる。 23 」ずしおいる。

「茝く郜垂」

1930幎「300䞇人の珟代郜垂」を発展させた圢で「茝く郜垂」ず名付けた蚈画 を発衚した。このプランでは、「300䞇人の珟代郜垂」で䞍足しおいた郜垂の拡匵 性に察する課題を解決する。

道路のシステムは二局からなり、400×400mのグリッド䞊にデザむンされた。 地䞊レベルは重量トラック甚、5m䞊のレベルは高速自動車亀通甚、道路の䞋に歩 行者専甚道路があり、地䞊レベルには街路ず䞊行に路面電車の軌道が敷蚭された。

アパヌト䜏棟における人口ナニットは2700人ずされる。このナニットに共同家 事蚭備、保育園、幌皚園、小孊校が付随されおいる。商業斜蚭は含たれおおらず、「300 䞇人の珟代郜垂」に匕き続きスポヌツ斜蚭が組み蟌たれおいる。最終的な人口密床 は1人あたり14㎡の床面積をベヌスずしお、1゚ヌカヌあたり玄400人ず想定さ れた。 新しい街区のあり方をコルビュゞェはこのように述べおいる。 「郜垂蚈画の勝利は延長を持った居䜏甚の建物や、街の䞭心郚、仕事堎の䞀 郚などに新しい姿を䞎えるであろう。十分な組織化が行われおいるずころでは、そ の日の打ちどころのない技術性を瀺す䞊䞋の亀通手段のおかげで、建物の完党な利

18
第二章 これたでの移動ず建築の関係
甚ができるようになり、かくしおそれに䌎う倚くの結果が生たれる。その最も重芁 なるものは、建おられた容積ず亀通手段ずのお互いの独立ずいうこずであろう。事 実、今たでばかばかしい空想ず考えられおいた凊眮、歩行者ず自動車ずの分離が実 珟する。建おられた容積は、もはや単に䞉本か四本の亀差する道路に囲たれた残り の空間なのではない。たた道路は、もはやその䞡偎に沿っお立ち䞊ぶ建物の立面の

図11 茝く郜垂の亀通システム「TYPE4」ず建築の関係性

間にあっお、歩行者、銬、自動車、トラック、電車などおよそ䞍釣合なものがごっ ちゃになっお気狂いのようにむりやりにひしめき合っおいる通路ではない。この改 革のもたらす玠晎らしい成果は、呚囲の空間を支配しおいる建物の新しい姿、䜏宅 街や劎働区域の矎しい建築的な姿であろう。 24 」

この「䜏宅の延長」ずされる圹割には、䞻に2぀あり、物質的なこずず評される 食糧補絊、家庭奉仕、保健衛生、身䜓の保持ず䜓質の改善で、もう䞀぀が幌皚園や 小孊校などずされる。たたこられのものは誰でもすぐ手の届く範囲になければいけ ないず語っおいる。さらにコルビュゞェはこのようなものが郜垂においお利甚でき るようにするためには、無駄な移動の発生しない、垂盎な田園郜垂を建おる必芁性 があるず考えた 25 。 たた蟲村に察する考え方も述べられおおり、蟲民に珟代的生掻の利点を提䟛しお、 蟲村を再生させる「茝く蟲村」のデザむンも行なっおいる。このような田園に察し お、高速道路を基盀ずする亀通機関の時代がくるこずを予芋し、以䞋のように述べ

19
おいる。「自動車によっお、鉄道がないために隔絶されおいた堎所に再び掻気が蚪 れ、掻発で柔軟性のある新しい関係が郜垂ず田園、郜垂生掻者ず田園圚䜏者ずの間 に確立されるこずになるだろう。粟神の統合である 26 」ず述べおいる。このような「茝 く蟲村」が生たれるこずで、郜垂から田園ぞの人の流動を生もうず考えおいたずさ れる 27 。 コルビュゞェは平坊な土地に察する郜垂蚈画を提案しおきたが、リオデゞャネむ ロで行われた蚈画を皮切りに、高架での高速道路の扱いをさらに発展させおいく。

この蚈画では高さ100mの巚倧な高速自動車道路を生み出し、その道路の構造 䜓に共同䜏宅が組み蟌たれた蚈画を考えた。共同䜏宅は地䞊30mから始たり、メ ゟネット圢匏からなる10階建おの共同䜏宅が組み蟌たれ、自動車ぱレベヌタヌ によっお䞋の道路たで降りるずした。この考えをもずに、アルゞェリアで行われた 「アルゞェ蚈画」では高さ100mの高速道路ずその䞋郚に18䞇人が䜏たう構想を 立おた 28 。 第二次䞖界倧戊埌、コルビュゞェはマルセむナにおいお「垂盎庭園郜垂」の蚈画 を行い、1600人が居䜏し、公共斜蚭が敎備された䞀぀の小さな近隣䜏区の単䜍ず しお機胜する17階建おの建物「ナニテ・ダビタシオン」を建蚭した。7,8階に倧 きな協同組合店舗、個人店舗、掗濯蚭備、そしおレストランやホテルなどを含んだ 蚈画ずされおいたが、経枈的に脆匱であり、「䜏居単䜍の3倍の人口が維持するた めに必芁だった 29 」などず批評されるこずもあった。 たたこのプロゞェクトに合わせお「7Vの理論」ず呌ぶ、亀通分離蚈画の怜蚎が 行われた。この理論は幹線道路から共同䜏宅の通路ぞず至る7段階の埪環システム から構築されおいる。V1は地方を結ぶ幹線道路を衚し、V2は䞻芁郜垂幹線、V3 は䜏区を囲む自動車道、V4はショッピング通り、V5ずV6は各䜏戞に至るための 道路、V7は公園の䞭に蚭けられた歩行者専甚道路である。このシステムは修正さ れながら、1951幎以降に手がけたシャンディガヌルでの郜垂蚈画に応甚されおい く 30 。

以䞊のように、コルビュゞェは亀通のあり方に぀いお歩車分離などを「7Vの理論」 で発展させ、たた街区に立ち䞊ぶ䜏戞を「ナニテ・ダビタシオン」などでデザむン を深めおいった。たたより広域での郜垂のあり方ずしお線䞊工業郜垂や「茝く蟲村」 などで提唱し、これらを぀なぐものずしお自動車のあり方を考えお行ったず筆者は 考える。

20
図12 アルゞェ蚈画立面
第二章 これたでの移動ず建築の関係
21 図13 アルゞェ蚈画党䜓像 図14 V7の理論

C・A・ペリヌ 1924幎 アメリカ

図15 近隣䜏区論ダむアグラム

近隣䜏区論は自動車の普及を前提ずした郜垂のあり方ずしお、1929幎にペリヌ がラッセル・セむゞ財団の実斜した「ニュヌペヌク倧郜垂圏調査」the Regional Survey of New York and Environmentで研究成果ずしお発衚された。

ペリヌは自動車の普及が進む䞭、高速幹線道路が居䜏地をお互い関係のない、小 さな孀島に分割しおいるず指摘しおいる。たたこのような珟象が、孊校区を二分し たり、地域の商店街地区のサヌビス圏域を分断したりするこずが䞀般的なこずずし お進行しおいるこずに疑問を投じおいた 31 。 このような状況の䞭、䜏民が安心を しお暮らせる新たな䜏居論ずしお提案された。

近隣䜏区Neighborhood Unitでは以䞋の原則が甚いられおいる。(1)芏暡(2) 境界(3)オヌプンスペヌス(4)公共斜蚭甚地(5)地域の店舗(6)地区内街路䜓系の6 ぀である 32 。このように定矩された近隣䜏区においおは、人口5000~9000人の単䜍で、 おおむね半埄0.24~0.5マむルの区域、玄160゚ヌカヌの土地であっお、䞭心に教䌚、 小孊校、近隣公園、その他の日垞生掻圏斜蚭を配眮しおいる。 ペリヌは小売店舗に぀いお、䜏宅から歩行圏1/2マむル内に必芁であるずし、 近隣䜏区内に付属され、たたこれらの店舗は地域内においお分散されるよりも、地 域内の雰囲気を保぀ために集䞭させる配眮するべきであるずしおいる 33 。 たたこ のような比范的限られた面積ず人口の䞭で、事業ずしお成立する店舗に察する怜蚎

第二章 これたでの移動ず建築の関係

22
2.2.4
近隣䜏区論
なども行われ、衚1の内容のように考察しおいる。䞀方で、「近隣䜏区論にみられ るような戞建䜏宅を䞭心ずした䜎密床な䜏宅地では、魅力あるセンタヌを぀くり にくく、採算䞊、公共亀通の充実も困難なため、自動車ぞの䟝存床が高くなる。 34 」 ず指摘されるこずもある。

図16 ラドバヌンにおいお実珟された近隣䜏区論

たた自動車に察する街路構成ずしお、䞻に2぀の考え方が反映されおいる 35 。ス ピヌドを出しお連続運転を可胜にする境界街路、そしお䜏居などに面した内郚の街 路である。䞻な自動車での移動ずしお、近隣地区ぞの日垞的な掻動ず、郜心地区に 察するその他の業務などが挙げられおいる。

この境界街路は䜏区を取り囲むように配眮されおおり、110フィヌト皋床の幅員 が他の地域の事䟋から導出されおおり、たたそれらの境界街路に察しおは商業街地 区などの駐車スペヌスなどが考慮されおいる。内郚の街路においおは、街区内に察 しお甚事のない通過亀通を蚱さず、盎接の埪環亀通のみを蚱すずしおいる。たたそ の安党性に察する必芁性や亀通量の芳点から、その幅は䞻芁な内郚街路においおは 60~80フィヌト、二次的な街路では30~60フィヌト皋床の幅員が考えられおいた。

23
店舗名 人口人 店舗名 人口人 食料品店 641 煙草屋 4957 肉屋 1023 葬儀屋 5590 レストラン 1406 石炭屋 5599 薬・雑貚店 1681 靎屋 5619 車庫 2185 衣服店 5656 掋服屋 2204 花屋 6117 氎道工事店 2259 宝石店 6416 菓子屋 2714 婊人垜子店 6336 パン屋 2749 金物屋 6647 野菜果物店 3728 脱染業 6928 ホテル 4494 調補食料品店 7568 家具屋 4522 掗濯屋 7772 織物屋 4552 è¡š1 商店圓りの平均人口 出兞Perry, Carence A. , 近隣䜏区論

ブロヌド゚ヌカヌシティ

ブロヌド・゚ヌカヌ・シティはフランク・ロむド・ラむトが1932幎に”The Disappearing City”においお発衚をした蟲村郚における独立した䜎密床な郜垂蚈 画である。

この蚈画では高速道路によっお呚瞁の郜垂ず接続された独立した郜垂が構想され おおり、2560゚ヌカヌに玄5000人の䜏民が1400の䜏居に暮らす蚈画が策定され おいた 36 。たた䜏民は、それぞれが最䜎1゚ヌカヌの土地を無償で利甚するこずが 可胜であった。このスペヌスを掻かしお䜏宅に面した土地に察しお、庭や自絊自足 のための家庭菜園を行うこずなどが促されおいた 37 。 たた䞀郚には15階建おのマ ンションがこの街に分散するように蚈画されおいた。そしおそれぞれの䜏民は仕事 堎たで歩いおいけるような距離感で蚭蚈がされおいた。 この蟲村郚における新しい郜垂蚈画を提案した背景にあったのが、ラむトの高局 建築による高密床な非人間的な郜垂に察する批刀であった 38 。 圌は集玄型の郜垂 は亀通ずコミュニケヌションが制限された、郜垂基盀の䞊に成立した過去の産物で あるず考えおいた 39 。䞀方でこのような珟実ずは乖離した提案であるず考えられた こずから、19䞖玀的ナヌトピア思想ず芋なされ批刀されたこずもあった 40

24
図17 兞型的なブロヌド゚ヌカヌの颚景 2.2.5
第二章 これたでの移動ず建築の関係 フランク・ロむド・ラむト 1932幎 アメリカ
。 たたこのような䜎密床な蟲村郚に察しお郜垂構想を行うこずができた芁因の䞀぀ ずしお、自動車の存圚がある。ラむトはアメリカにおいお既に普及が始たっおいた この自動車を掻甚するこずにより、脱郜垂化を目指した蟲村地における新たな郜垂 の開発を志しおいた。たた、少なくずも1台の車をそれぞれの家族で保有するこず で、地域間の栌差をなくし、集玄型の郜垂ではなく良質な䜏環境の分散型郜垂の開 発が可胜になるずも考えおいた 41 。 ラむトはこのような分散型の郜垂はスプロヌル化ずは異なり、「たずは分散化、
25 図19 シビック・センタヌの様子 図18 ロヌドサむドマヌケットの様子 そしお蚈画された再統合 42 」ずしお評しおいる。具䜓的な提案の䞭においおも、こ の抂念が高速道路のデザむンずしお瀺されおいるず氎䞊は論じおいる 43 。ブロヌド ゚ヌカヌ・シティではガ゜リンスタンドやモヌテル、道路沿いのマヌケットが匷調 されおおり、このような斜蚭が郜垂からの分散を促す斜蚭であるず考えおいる。た た将来的にはガ゜リンスタンドが分配センタヌに、マヌケットは文化センタヌにな るずされおおり、将来的にこれらが地域を「統合」する焊点になるずしおいる。こ れらに加えお蚈画では、官公庁、裁刀所、事務所、銀行等の地方ぞの「分散化」ず 小芏暡化が提案されおいる。䞀方でNelsonはこのような小さなスケヌルの街であ
るこずから、日垞サヌビス機胜の䞀郚は補うこずが難しいず指摘しおいる 44 。結果 的に、呚蟺の郜垂郚の゚リアに察しお、このようなサヌビス機胜は䟝存する必芁性 が唱えおいる。

ノヌマン・ベル・ゲデス 1940幎 アメリカ

フュヌチャヌラマは前述の自動車黎明期の時代に察する郜垂蚈画ずは異なり、自 動車導入による利点ず欠点を理解した䞊での自動車党盛期に向けた蚈画であるず筆 者は考える。

自動車の普及が進み、新たな匊害が生じ始めた。ゲデスは平均時速30km、そし お亀通枋滞によっおニュヌペヌクだけで1日100䞇ドルに及ぶ経枈損倱、さらに はアメリカ囜内で幎間3䞇人を超える死者数を出すなどを䟋に取りながら、自動車 のも぀本来の性胜を出しきれおいないずした 45 。ゲデスはこれらの改善方法ずしお、 1940幎のフュヌチャヌラマにおいお1960幎の郜垂を描いた。

26
第二章 これたでの移動ず建築の関係
2.2.6
フュヌチャヌラマ 図20 郜垂の俯瞰図
速床ず最䜎速床の亀通芏制の芖点を重芖した新たな亀通のあり方を提唱した。この 蚈画では、1゚ヌカヌ「マンハッタンず同皋床の暪幅でのスケヌル 47 」から掚定し お10k㎡ず筆者が掚枬の暡型の䞭に500000人を収容するビル矀を蚈画し、この ゚リア内に50000台の車が走行し、その内10000台の車が14レヌンから構成され る高速道路に走行する絵を描いた。このようにこれたで䞊蚘で取り䞊げた事䟋に比 べ、高密化され、さらにスピヌドの重芖された珟代の郜垂に近い圢が描かれた。
圌はこの䞭で4぀の倧きな原則を打ち出す 46 。1より倚くの亀通量を受け入れ られる道路蚭蚈2亀通の方向の制埡3亀通を分離した歩行者優先4最高
27 図22 地䞊レベルの建物ず道路の関係性 図21 14レヌンからなる高速道路

良質な居䜏環境のスケヌルず新たな道路構想

他の工業化を迎える䞭心郜垂に察しお、日垞的な生掻を良質な䜏環境の元で行う 構想がペリヌの田園郜垂やブロヌド゚ヌカヌシティ、工業郜垂、近隣䜏宅論などで 芋られた。たたこれらの郜垂は鉄道や自動車によるネットワヌクが倖郚の郜垂ず結 ばれおいたが、独立した環境䞋での生掻に぀いお焊点を圓おお描かれおいた。䞀方 でこれらの構想に察しおは、生掻サヌビスを維持するための人口が足りおいないず いう指摘がなされたり、実際にネットワヌクを経由しおより倧きな店舗などぞ移動 するこずなどが行われおきた。぀たり、良質な環境での暮らし方ずいう点に぀いお は評䟡がなされおいたものの、実際に実行させるに圓たっおは、倖郚に察しお生掻 サヌビスを䟝存する圢になった。

これに察しおル・コルビュゞェは郜垂郚に察する構想や、むンフラ網そのものに 察するデザむンを行っおきた衚3。特に1930幎ごろたでは高速道路などのスピヌ ドのあり方ず、その結果生じおくる郊倖ず郜垂の関係性がデザむンした。1940幎 代においおはより詳现な道路利甚の構造化を行いながら、近隣䜏区の最小単䜍ずし おの「ナニテ・ダビタシオン」などが蚈画された。これらのむンフラず高局建築の あり方、そしお自動車の匊害を解決を詊みたフュヌチャヌラマで次の時代が展開さ れた。

第二章 これたでの移動ず建築の関係

28
2.2.7 小結
以䞊のこずから衚2に瀺れるような、提案された郜垂のスケヌルなどを参照し、 良質な䜏環境のあり方を远求しながら、䞀方で自動運転による生掻サヌビスがどの ような氎準で行うこずができるのか怜蚎するこずが重芁であるず考える。たたこの 自動運転による生掻サヌビスがどのような階局性を持った道路むンフラぞず倉容さ せるかも、新たな建築を蚈画する䞊では重芁になるず考えられる。

1ac0.4057k㎡ 1feet0.3048m 1mile1609.34mで換算

蚈画名 面積 人口 人口密床 人/k㎡ 特城 田園郜垂䞭心郚 1000ac 30,000 7413 䞭心郚に察し、鉄道で繋がった 衛星郜垂のような関係性をも぀。 5500区画、䞀区画あたり20feet ×130feet。

レッチワヌスでは1200ac 田園郜垂蟲耕地 5000ac 2,000 99 工業郜垂垂街地 2.75k㎡ 35,000 12727 甚途地域が゚リアごずに分かれお おり、拡匵性を持぀ために䜙癜の 空間が倚い。垂街地は5.5km× 0.5kmで構成。 300䞇人の珟代郜垂 䞭心郚 - 500,000 29653 蚈画人口1acあたり120人。85% がオヌプンスペヌス。超高局では 3000人/ha、呚囲の䜎局ビルは 300人/ha。 近隣䜏区 160ac 5,000~9,000 13900 歩行者䞭心の街区構造ず歩車分 離がなされた3段階の道路構 造。小売店舗が䜏宅から歩行圏内 1/2mileに配眮。 茝く郜垂 - - 98842 蚈画人口1acあたり400人。2700 人のアパヌト䜏戞で䞀人あたり14 ㎡の床面積をベヌスずする。 ブロヌド゚ヌカヌ シティ 2560ac 5,000 483 1acの土地がひず家族あたりに䞎 えられる。䞀郚には15階建おの マンションが分散配眮。 ナニテ・ダビタシ オン - 1600人 - 17階建お 日本郜垂郚 14.0625k㎡ 223825 15916 日本地方郜垂 14.0625k㎡ 67972 4834 幎代 蚈画名 特城 1922 300䞇人の珟代郜垂 䌝統的な郜垂道路から地面レベルからあげた、幅120フィヌ トの道路を敎備。街区は400m×600mのグリッドで分割 され、200mごずに二次亀通のための道路を敎備。 1930 茝く郜垂 地䞊5mに道路を蚭け、歩車分離を実珟。地䞊レベルは重 量トラック甚、5m䞊のレベルは高速自動車亀通甚、道路の 䞋に歩行者専甚道路があり、地䞊レベルには街路ず䞊行に 路面電車の軌道が敷蚭した「TYPE4理論」を展開。街区は 400m×400mで定矩。 1930 アルゞェ蚈画A 高さ100mの高速道路に察しお高さ30mから共同䜏宅を組 み蟌む。車ぱレベヌタヌで地䞊郚に移動。18䞇人が暮ら す建築矀を構想。 1947-1952 マルセむナ蚈画

è¡š3 コルビュゞェの郜垂蚈画ず道路蚈画の関係性

道路を甚途別に等玚化する「V7の理論」を展開。V1は地方 を結ぶ幹線道路を衚し、V2は䞻芁郜垂幹線、V3は䜏区を囲 む自動車道、V4はショッピング通り、V5ずV6は各䜏戞に い至るための道路、V7は公園の䞭に蚭けられた歩行者専甚 道路たが敎備。たたた近隣䜏区の最小単䜍ずしお1600人が 暮らす17階建おの「ナニテ・ダビタシオン」を蚈画。

29
è¡š2 郜垂構想ず人口密床

2.3.1 日本の自動車黎明期

日本においおは、自動車の普及時期が他囜に比べお遅く、倧きな䌞びを芋せたの は1950幎代に入っおからである。これらの芁因ずしおあったのが、鉄道を䞭心ず した囜土開発ず道路環境の敎備によるものが圱響しおいるずされおいる 48 。したがっ お、戊前においおは自動車を前提ずした郜垂蚈画ずいうものは筆者が確認した範囲 においお、あたり発衚されおいないように思われる。本章では鉄道を軞ずしお開発 された田園郜垂ず1950幎代以降に開発された高速道路網に関連する事䟋、たた戊 埌においお急速に倉化した䜏宅機胜などに぀いお分析する。

江戞幕府の政策にしたがい、旅人が車(ここでは自動車ではなく倧八車などを指 す)を利甚するこずは1862幎ごろたでほずんど蚱可されおおらず 49 、蚱可埌も倧八 車や人力車などの利甚が倧きかったため、欧米で芋られた銬車などに察応するた めの舗装道路が発達しなかったずされおいる。このような道路の舗装に぀いおは 1950幎ごろたで倧きく倉化するこずがなく、戊埌埩興を行うために送られたワト キンス調査団による「ワトキンス・レポヌト」においおは、「日本の道路は信じが

第二章 これたでの移動ず建築の関係

30
応するための舗装などが十分に敎備されおおらず、これらが自動車の普及を劚げた 䞀぀の理由にあるず考えられる。 2.3 日本における自動車ず 郜垂蚈画1920-1960 図23 1900幎代初頭における車䞡皮別車䞡台数 原兞「譊察統蚈幎衚」内務省譊保局 出所牧野克圊自動車産業の興亡, 日刊自動車新聞瀟,
たい皋に悪い。工業囜にしお、これ皋完党にその道路網を無芖しおきた囜は、日本 の他にない。 50 」などず評䟡されおいる。このように日本においおは、自動車に察
2003, p59
31 図24 ワトキンスレポヌト  雚の日の道路状況 図25 ワトキンスレポヌト 粉塵が舞い立぀道路

䞀方このような状況の䞭、鉄道の敎備は着々ず進められおいく。明治政府は圓初 道路の改良に重点を眮くずいう方策を怜蚎しおいたが、そこには膚倧な資本投資が 必芁であり、事実䞊この蚈画は珟実的でないずされた 51 。この結果、鉄道はその倧 きな茞送胜力を買われ、1872幎に開業が行われた。その埌も鉄道優䜍な方策が続き、 1892幎には官蚭鉄道の営業キロ数は983.5km、私蚭鉄道は2124.4kmに達しおい た。 2.3.2 鉄道事業者による沿線開発

鉄道に察する远い颚が吹くなか、私鉄の箕面有銬電気軌道珟圚の阪急電鉄の 実質的創業者である小林䞀䞉は「乗客を䜜り出す」ずいう発想のもず、新たな沿線 開発を進めおいった。小林䞀䞉は1910幎、理想的な䜏宅像ずしお広い庭園や客間 居間などの存圚を謳った「暡範的郊倖生掻」ずいう新しい生掻スタむルを宣䌝しな がら、池田宀町の分譲を開始した。1915幎たでに呉服神瀟を䞭心ずしおその呚囲 に広がる33,020坪の土地に227区画を分譲した。䞀区画は玄100坪ずしお、二階 建おの5~6宀、玄27坪の家屋が建蚭された 52 。たた呚囲の道路は二間が暙準で、偎 溝のある通りにおいおは2.25~2.75間皋床であったずされる 53 。自動車に関する蚀

第二章 これたでの移動ず建築の関係

32
及などは筆者が確認した範囲では芋られず、道路の幅や幎代からも、自動車を想定 した䜏宅地ではないず掚枬する。このような䜏宅は䞭流階玚のサラリヌマンを察象 ずしおおり、良質な䜏宅地ず䞭心垂街地を鉄道によっお通勀するずいう、沿線開発 手法ずしお広く波及しおいくこずずなった。たた池田宀町では、次第に神瀟呚蟺の 図26 池田宀町の配眮図

街区で商業化が進み、圓初蚈画されおいなかった食料品やたばこ屋などが集たるな ど䞋町的な発展が芋られた 54 。これの池田宀町の事䟋がハワヌドが提唱した田園郜 垂を日本で最初に䜓珟した事䟋ず蚀われおいる 55 。 東京では、枋沢栄䞀の「田園郜垂株匏䌚瀟」が蚭立され、1922幎に田園調垃で の面積八䞇坪玄26.5haの開発が開始された。蚈画は4段階に枡っお行われ、 それぞれの敷地は駅呚蟺では300坪皋床のであったが、埌半に分譲された呚蟺郚 の敷地においおは100~150坪のものが倚かった。 たた同瀟が宅地販売時に瀺した条件ずしお、建蔜率50%以䞋、3階以䞊の建物 の建築や道路幅の倉曎は䞍可、垣根・境界の敎理敎頓などが瀺されおおり、これら に加えお䞊䞋氎道や電灯、銀杏䞊朚道、公園の敎備などむンフラ敎備をおこなっ た 56 。 配眮蚈画ずしおは、街の䞭倮に配眮された駅舎に察しお西偎を䜏宅専甚地、 東偎を商店街ずしお土地利甚を分割するなどが提案された。 枋沢秀雄は、父栄䞀の呜を受け芖察した欧米諞郜垂の街䞊みを参照し、䞁玄

33
109mず぀半埄が増す同心円ず攟射状の道路で構成する街区構造を䜿甚した 57 。こ うした街区を構成する道路幅は4m以䞊、幹線道路は13mが確保されたが、これ らの道路は圓初未舗装で砂利が敷き詰められただけであった。 調垃駅珟 田園 調垃駅の開通圓時の写真には枋沢栄䞀を埅぀自動車の様子もあるこずから、ある 皋床自動車の時代を芋据えた道路幅になっおいるず筆者は考える。 以䞊のように、戊前においおは鉄道を基軞ずした䞭流階玚のサラリヌマンを察象 ずした、䞭心垂街地から離れた䜍眮にあった田園地垯に察しお、新たな䜏宅地の建 図27 田園調垃の配眮図 図28 調垃駅珟田園調垃駅開業圓時の様子

蚭が進められおいたこずがわかる。たた結果ずしお郜垂構造自䜓が鉄道に適した 圢で圢成されるこずずなり、1923幎に発生した関東倧震灜の埌に蚈画された1927 幎に公瀺された「倧東京郜垂蚈画道路網」の掚進に圱響を䞎えたずされおいる 58 。 2.3.3

その埌第二次䞖界倧戊に突入しおいき、この際に東京の戊灜埩興蚈画に尜力した 石川栄耀が、防空郜垂の䞀圢態ずしお「垯状郜垂」を「倧東亜区域に斌ける囜防郜 垂蚈画」のひず぀ずしお玹介しおいる 59 。 「垯状郜垂」ずは「工堎ず䜏居が䞀列づ ぀五乃至六〇米の緑地垯によっお匵り合わせおある现長い郜垂」であり、この蚈画 はコルビュゞェの「オビュ蚈画」前節の「アルゞェ蚈画」が参照されおいるず蚀 われおいる 60 。぀たり、自動車や高速道路などのむンフラ網を螏たえた郜垂構想を

34
第二章 これたでの移動ず建築の関係
詊みようずしおいたこずが窺え、石川は戊前のかなり早い時期から「垯状郜垂」や 「ロヌドタりン
」に぀いお泚目しおいたず考えられたずされおいる。 石川は戊埌、銀座にお党長1200m、地䞋4階・地䞊12階でビルの2階郚分に道 路を蚭けるずいう「スカむビル及スカむり゚む 62 」でこの構想を実珟したずされる。 この蚈画では地䞋に「パヌキング500台」ず「ガレヌゞ2400台」が配眮さ れ、地䞊郚には「屋䞊緑地垯」を備えた「貞事務所高局建築」ずしお利甚されるず 図29 高速道路ず建物が䞀䜓化したスカむビル 図30 東急タヌンパむクの断面図
戊埌の高速道路網の敎備ず新たな建築像
61

しおいる 63 。最終的に「スカむり゚む」は構想に止たったが、「スカむビル」はその 埌1951幎に実珟がされた。 たた1954幎に東急の五島慶倪は枋谷から江ノ島の間での「東急タヌンパむク」 を提案した。特に枋谷から二子玉川間における構想が東急の瀟内誌『枅和』に蚘茉 されおおり、3階郚分にタヌンパむク、2階郚分に鉄道、1階郚分の高架䞋をガレヌゞ・ 倉庫・商店・事務所・䜏宅ずしお利甚する「路䞋宀」などが瀺されおいた 64 。たた これらの空間は3500戞の「氞久䞍燃家屋」15坪/戞、2局を想定ずしお提䟛 するプランが怜蚎された

35
以䞊のように、戊埌埩興の段階においおは、高速道路をはじめずしたむンフラ網 ず䞀䜓化した建築矀の怜蚎などが行われおいたが、実珟された䟋は限られおいた。 たた欧米諞囜ずは異なり、倚くの蚈画は諞倖囜の蚈画を参照し蚈画されたものが倚 い。 2.3.4 䞹䞋健䞉による亀通むンフラず郜垂の圢成 このような状況の䞭、建築家の䞹䞋健䞉は囜土蚈画に関わるようになった。䞹䞋 図31 東京蚈画1960の俯瞰図 図32 東京蚈画1960の蚈画暡型
65 。

は郜心ぞの人口集䞭を肯定的に捉える姿勢をずり、人々は雇甚や孊習の機䌚を埗る ために郜心ぞ向かい、この自らの意志で郜心ぞ向かう力こそが戊埌経枈埩興の瀎ず 考えおいた 66 。 䞹䞋はこの䞻匵に埓い、1952幎にコンペで䞀等を獲埗した、珟圚 の東京囜際フォヌラムがた぀敷地に察しお東京郜庁舎の蚭蚈を行うこずになった。 ここでは自動車枋滞の緩和を目的ずし、郜庁舎ぞ向かう歩行者の移動を䞭二階レベ ルに蚭定し、自動車ず歩行者の移動を円滑に分離するこずを詊みた。最終的には① 銖郜圏党域から郜庁舎郜垂のコアを目掛けお、電車や自動車で氎平移動②郜庁 舎のEV建築のコアにより垂盎移動し、各フロアぞ分散③郜庁舎足元のピロティ はラッシュ時を陀いお人口密床が䜎く、快適ずいうこずを達成しようずしおいたず 考えられる 67 。

1950幎代、䞹䞋は東京郜心ぞの人口集䞭は経枈埩興のためには必芁であるず考 え、人口が集䞭する、郜心・有楜町で東京郜庁舎の蚭蚈を行い、たたこれらを裏付 けるベク、同心円の統蚈モデルを構築し、郜心からの距離で人口動態を把握しよう ずした 68 。 しかし、1950幎代埌半になるず副郜心である新宿や池袋、枋谷、品川、 䞊野などの駅に察しお人口が集䞭するようになる。このような状況を螏たえお、同 心円モデルから線圢モデルぞの切り替えを行い、過床な人口流入に耐えるこずので きる郜垂ずしようず詊みた。たた䞹䞋は東京郜が掚し進める人口分散的な衛星郜垂 モデルは思想が叀すぎお経枈発展を阻害しおいるず考えおいたずされる。この瀟䌚 状況を螏たえお「東京蚈画1960」を提案するこずに぀ながる。

以䞊のように日本においおは、諞倖囜のような䞀぀の地域に察しお郜垂モデルを 構築するよりも、高速道路や鉄道ずいったネットワヌクずの関係性を捉えながら郜 垂構想が行われおきたこずがわかる。たたこの芁因ずしお、垞にむンフラの十分な 発達が行われおいなかったこずが考えられる。 䞀方で、自動運転車の普及においおは、すでに完成されたむンフラを掻甚した取 り組みが今埌掚進されおいくこずが予枬される。次章においお、珟圚怜蚎が進んで いる自動運転車の導入環境やその背景の瀟䌚課題などに぀いお芋おいく。

第二章 これたでの移動ず建築の関係

36

2.3.5 小結

日本においおは道路むンフラの敎備が遅れたこずにより、鉄道䞭心の郜垂構造が 描かれおきた。したがっお、駅を䞭心ずした生掻圏が築かれ、たた鉄道を利甚した 通勀ずいうものが圢䜜られおきた。たたこれらを維持するための䞭流階玚のサラ リヌマンを察象ずした沿線開発ずいうものが鉄道事業者によっお掚進されおきた。 第二次䞖界倧戊以降は鉄道網だけでなくより倚くの茞送胜力を手にするため高速 道路を䞭心ずした、道路むンフラの匷化が行われた。この新たな郜垂構造物を掻甚 するため、「スカむビル」や「東急タヌンパむク」などが怜蚎された。䞀方で、田 園郜垂を暡倣した沿線開発や、コルビュゞェの「アルゞェ蚈画」などを参考にした 高速道路蚈画などは、海倖の事䟋を螏襲した圢ずも蚀えるず考える。

䞹䞋健䞉は通勀などによっお生じる、郜心ず郊倖に察する人口動態を定量的に怜 蚎しながら、立䜓的な人の動線を怜蚎した「旧東京郜庁舎」や広域での郜心郚ず居 䜏地の関係性を捉えた「東京蚈画1960」にお独自の建築のあり方を提唱した。

以䞊のこずから、自動運転のサヌビスが普及しおいくためには、日本独自に極め お匷い発展を遂げた鉄道や駅ずの関係性を今埌考えおいく必芁があるず考える。぀ たり、これたでの求心性の高い駅開発だけでなく、分散的な自動運転による生掻サヌ ビスの提䟛ず、鉄道による郜心郚ぞの移動や駅そのものの提䟛䟡倀に関する関係性 を芋盎すこずが新たな生掻像を描く䞊で重芁な芁玠ずなる。このようなこずが、䞹 䞋健䞉が提唱した「東京蚈画1960」のように日本独自のあり方に぀いお怜蚎する きっかけになり埗るず筆者は考える。

37

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第二章 これたでの移動ず建築の関係

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41

図3,4,5 Ebenezer Howard, Garden Cities of To-Morrow, LONDONSWAN, 1902 図6,7,8 吉田鋌垂トニヌ・ガルニ゚, 鹿島出版䌚, 1993 図9,10,11,12,13,14 ノヌマ・゚ノァン゜ン, ル・コルビュゞェの構想―郜垂デザむンず機械の衚城―, 井䞊曞院, 2011, p17 図15,衚 Perry, Carence A. 倉田和四生, 近隣䜏区論, 鹿島出版䌚, 1975  図16 Farm Security Administration/Office of War Information Black-and-White Negatives Airview. Radburn, New Jersey, 1935 図17,18,19 ラむト50幎蚘念事業http://www.wright50years.com/haifu-shiryou--mokuji/2burodoekashitimokei-no-kaisetsu

図20,21,22 Geddes, N. B., Magic Motorways (Vol. 1), Random House, 1940 図24,25 Geddes, N. B., Magic Motorways (Vol. 1), Random House, 1940 図26 吉田高子「池田宀町池田 小林䞀䞉の䜏宅地圢成ず暡範的郊倖生掻」、『近代日本の郊倖䜏宅地』 鹿島出版䌚、2000 図27 原兞枋沢資料通 出兞犏島富士子, 田園調垃の蚈画の倉遷に぀いお, 第32回日本郜垂蚈画孊 䌚孊術研究論文集, pp55~60, 1997 図28,30 東急100幎史 https://www.tokyu.co.jp/history/chapter01_2_2/ 図29 https://www.tokyu.co.jp/history/chapter01_2_2/

第二章 これたでの移動ず建築の関係

42 参考文献

図31,32 䞹䞋郜垂建築蚭蚈 https://www.tangeweb.com/works/works_no-22/

43
44 第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境
45
第3ç« : 珟圚の自動運転を 取り巻く環境
目的 自動運転の実珟化に向けお、囜の方針ずなる「官民 ITS構想・ロヌドマップ」が毎幎改蚂を行いながら瀺 されおいる。䞀方で技術開発や地域需芁に応じた実蚌 実隓、法芏制の改蚂など課題は䟝然ずしお山積しおい る。たた自動運転の導入に向けた、新たな枋滞の発生 や䟡栌ず普及率の関係性、二酞化炭玠排出量などの芳 点に察するむンパクト評䟡が行われおいる。本章では、 自動運転車が普及する䞭で、特に郜垂蚈画に圱響を䞎 えうる芁玠の特定を行うため、珟圚の自動運転車を取 り巻く環境に぀いお考察を行う。

3.1.1 珟状における自動運転のレベル 珟圚、日本では自動運転レベル4のフェヌズに向けお芏制緩和等を含めた準備が 進んでいる。2022幎4月に「道路亀通法の䞀郚を改正する法埋案」が衆議院で可 決されたこずにより、2023幎4月よりバスなどの限定サヌビスでレベル4での公 道の走行が可胜になるずされおいる 1 。レベル4の自動運転ずは「特定条件䞋にお ける完党自動運転」ずされる、特定の状況䞋においおは党おの運転タスクをシステ ムが行うずいう状態を指す 2 。぀たりドラむバヌぞの運転暩利譲枡などが発生せず、 ドラむバヌは乗車をしおいるだけの状態ずなるなど、新たな局面を迎えおいる。 䞀方、珟圚囜内で䞻に行われおいる実蚌実隓は、レベル4盞圓に察応した車䞡を レベル2の状態で運甚されおいる。レベル2ずは「特定条件䞋での自動運転機胜」 ずされおおり、高速道路などにおいお安党性が確保された状態ではシステムが操䜜 するものの、最終的な責任はドラむバヌが求められるずいう状態である。筆者も 2022幎10月にレベル2の公道での詊乗を行ったが、既にドラむバヌの補助がなく おも、車線の倉曎や右巊折、路肩ぞの停車発進などをシステムによっおスムヌズに 行うこずができおいるず感じた。たたレベル3に぀いおは犏井県氞平寺町での実蚌 実隓ず、䞖界に先駆けお発売が行われた、Honda「Legend」が挙げられる。

46 第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境 3.1 珟圚の自動運転車の動向
図1 自動運転レベルず珟状の到達状況 出兞ベリサヌブ,自動運転の実珟に向けた囜土亀通省の取り組みに぀いお

2021幎たで ・2021幎床䞭の「導入型」有人隊列走行システム(ACCLKA) の商業化を発衚以降、発展型ずしおより高床な車線維持機胜割 蟌車、登坂路、 車線倉曎等ぞの察応を加えた有人隊列走行の開発・商業化を 目指す

2022幎床以降 ・新東名浜束SA~遠州森町PAにお埌続車の運転垭を実際に 無人ずした状態でのトラックの埌続車無人隊列走行技術を実珟 2021幎月 レベル4 自動運転

高速道路でのトラッ クの埌続無人隊列走 行

高速道路でのトラッ クの自動運転 2025幎以降 ・実珟に向けた2020幎床前半の具䜓的な工皋衚を䜜成 ・民間においお車䞡技術開発を掚進 移動サヌビス レベル4 自動運転 限定地域での無人 自動運転移動サヌビ ス 2020幎たで ・限定地域での無人自動運転移動サヌビス自動運転車の専甚の 走行空間においおレベル盞圓を実珟2019幎11月1

47 è¡š1 ロヌドマップのKPI 出兞官民ITS構想・ロヌドマップより筆者が䜜成
2020幎代前半 ・高速道においおドラむバヌは前方を泚芖し぀぀も、ハンズオフ が可胜な運転支揎システムレベルを垂堎化OEM各瀟 ・今埌はより高性胜なセンサヌ、カメラを搭茉した車䞡が垂堎化
レベル 実珟が芋蟌たれる技 術 垂堎化等期埅時期 評䟡○目暙達成 △䞀郚実珟 ×未実装 自家甚車 レベル2 運転支揎 䞀般道路での運転支 揎 2020幎たで 䞻芁幹線道路囜道、䞻な地方道においお、盎進運転が可胜 な運転支揎機胜(ACCLKA)を有するも、信号や亀差点の通過 での支揎機胜は未実装 レベル3 自動運転 高速道路での自動運 転 2020幎目途 ・改正道路運送車䞡法の斜行2020幎月 ・改正道路亀通法の斜行2020幎月 ・高速道路枋滞時における自動運転システムレベルを垂堎 化2021幎月 ホンダ レゞェンド レベル1,2 運転支揎 運転支揎システムの 高床化
予定 レベル4 自動運転 高速道路での自動運 転 2025幎目途 ・民間においお車䞡技術開発を掚進、レベルにおけるビゞネス 䟡倀を怜蚎䞭 ・高速道路䞊の合流郚等における道路偎から情報提䟛を行う仕組 み等の怜蚎 物流サヌビス 高速道路でのトラッ クの埌続有人隊列走 行
幎以䞊無事故でサヌビス提䟛し実珟可胜であるこずを確認した 䞊で、2021/4/1時点では公道でのレベルずしお運甚 ・限定地域での遠隔型のレベルでの無人自動運転移 動サヌビス車内保安芁員無が運行開始2021幎月2020 幎12月遠隔型のレベルでの詊隓運行車内保安 芁員有の䞊で移行 ・埓来の「運転者」の存圚を前提ずしないレベルの自動運転を 想定した制床課題を怜蚎䞭 レベル以䞊 運転支揎・自 動運転 高速道路でのバスの 運転支揎・自動運転 2022幎以降 ・宮城県気仙沌BRTの専甚道区間亀差郚なしの䞀郚玄4.8 にお2021幎月より実蚌を実斜。今埌レベルでの運行を 目指す ・ひたちBRTの専甚道区間玄での実蚌を実斜。専甚道区 間内に耇数の亀差郚があり、むンフラ連携を組み合わせたレベ ルでの実蚌 蚈画通り 進捗 蚈画通り 進捗 蚈画通り 進捗 蚈画通り 進捗 蚈画通り 進捗

ロヌドマップで瀺された政府の実珟目暙ずしおは䞻に3぀の甚途に分類が行われ おおり、「自家甚」「物流サヌビス」「移動サヌビス」が掲げられおいる。「自家甚」 に぀いおは運転車の補助的な存圚ずしお、レベル1~3皋床の䞀般道路や高速道路 の走行に察する運転支揎を目暙ずしおいる。「物流サヌビス」に぀いおは隊列走行 などをはじめずした高速道路での自動運転が掲げられおいる。最埌に「移動サヌビ ス」に぀いおは限定地域においおのレベル4でのサヌビス提䟛を倧きな目暙ずし、 そのほかのバスをはじめずした公共亀通に察する運転支揎なども掲げられおいる。 以䞊のように2022幎の時点においおはレベル4の実蚌実隓が開始されるフェヌズ にあり、レベル3たでの自動運転を掻甚したサヌビスの技術的課題の抜出や利甚者 のニヌズ怜蚌が行われおいる段階にある。本研究では、特に「物流サヌビス」「移 動サヌビス」に挙げられる、モノや空間の移動による圱響を考察し、今埌サヌビス が導入された埌に起こる倉化に぀いおの怜蚎を目的ずする。

3.1.2 具䜓的な実蚌実隓に぀いお

ロヌドマップによるず、2021幎に向けお「自家甚車における自動運転システム の曎なる高床化」「運転者䞍足等に察応する効率的な物流サヌビスの実珟」「地方や 高霢者等向け無人自動運転移動サヌビスの実珟」の3぀が重点的掚進領域ずしお瀺 され、実蚌実隓が行われおきた。

珟圚、囜が掚進しおいる実蚌実隓ずしお、経枈産業省ず囜土亀通省が協働で立ち 䞊げた「スマヌトモビリティチャレンゞ 3 」がその代衚的な存圚である。加えお自 動運転レベル4の実装に向けた「RoAD to the L4 4 」が2021幎床にスタヌトされ、 今埌その圹割を増しおいくず考えられる。この二぀のプロゞェクトが連携をしなが ら、実蚌実隓が掚進されおいる。

この取り組みで行われおいる事業の䞀぀である「地域新MaaS創出掚進事業 5 」 では、自動運転の普及を芋据えたモビリティの実蚌実隓が各地で行っおいる。什和 3幎床の取り組みでは、5぀の領域1他の移動ずの重ね掛けによる効率化2 モビリティでのサヌビス提䟛3需芁偎の倉容を促す仕掛け4異業皮ずの連 携による収益掻甚・付加䟡倀創出5モビリティ関連デヌタの取埗、亀通・郜垂 政策ずの連携が定められ、党囜14地域においお掚進された。珟状の実蚌実隓の目 的ずしおは、自動運転の導入による圱響に先立ち、その受容性・事業性などに぀い お怜蚌が行われおいる段階である。この䞭で特に本研究ずの関連性が匷い「2モ ビリティでのサヌビス提䟛」では北海道垯広垂においお、旅客バスを改造しお、マ ルシェ機胜を車䞡に付加するこずにより、収益の倚角化・向䞊効果が埗られるかの 怜蚌が行われた。たた䞉重県においおは移動蚺療車を掻甚した耇数自治䜓にたたが る広域医療サヌビスの受容性・事業性の怜蚌も行われた。 この他にも、䞭山間地域においおは、2017幎より道の駅などを掻甚した移動サヌ ビスや物流サヌビスに関する取り組みが行われおいた 6 。 特に䞭山間地域などで

48
第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境

図2 「地域新MaaS創出掚進事業」の実斜状況 出兞「経枈産業省 什和4幎床スマヌトモビリティチャレンゞの方向性」 より筆者が䜜成

は高霢化が他地域ず比范しお進行しおおり、たた公共亀通の衰退によっお手軜に買 い物ぞ行くこずが困難になったり、トラックの運転手䞍足により物資が届きにくく なるなどの珟象が生じおいる。このような状況䞋においお人ず物の茞送を、䞭山間 地域などで䞭心的な圹割を果たすこずの倚い道の駅を掻甚しお事業怜蚌が行われお いる。

䞀方で郜道府県などの自治䜓が独自におこなっおいる実蚌実隓もあり、愛知県で は、2022幎に「むノベヌション創出に向けた自動運転の掻甚」をテヌマずした、「移 動時間に付加䟡倀を䞎える車宀空間の怜蚌」が行われおいる 7 。郜心郚においおは、 地方ず比べおも付加䟡倀に察するニヌズが高いず想定されおおり、移動の目的や意 味を拡匵する䜓隓の怜蚌が行われおいる。

以䞊のように地域ごずに異なるニヌズや眮かれた環境に察しお、自動運転車だけ にずどたらず、既存のサヌビスを拡匵したMaaSMobility as a Serviceなどの 事業ず連携しながら事業性・瀟䌚受容性・䜓制などの怜蚌が行われおいる。

49
50 第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境
今埌の方針に぀いお
図3 ロヌドマップによる郜垂郚ぞのビゞョン 出兞官民ITS構想・ロヌドマップ
3.1.3
たたロヌドマップでは、地域性に着目した戊略も瀺されおおり、「地方郚」ず「自 動車䞭心の郜垂郚」そしお「公共亀通が普及しおいる郜垂郚」の3぀の地域に分 類された、2030幎たでの将来像が瀺されおいる。この䞭で取り䞊げられおいる「地 方郚」での「移動しなくおもサヌビスを受けるこずができる」こずや「自動車䞭心 の郜垂郚」における「移動時間を他のこずに有効掻甚できる」、「公共亀通が普及し おいる郜垂郚」での「小売・飲食などのサヌビス提䟛車䞡」などの内容が本研究で 怜蚌する内容ず䞀臎しおいるず筆者は考える。
51 図4 ロヌドマップによる郜垂郚ぞのビゞョン 出兞官民ITS構想・ロヌドマップ 図5 ロヌドマップにおける地方郚ぞのビゞョン 出兞官民ITS構想・ロヌドマップ

倧カテゎリ 斜策① 斜策② 斜策③ 1倚様な亀通モヌドの充実によるコ

ンパクトでスマヌトな郜垂の実珟

既存サヌビスず新たなサヌビス を駆䜿した地域公共亀通の再線 による利䟿性の向䞊

䞻芁な駅を䞭心ずした先端技術 の普及を芋蟌んだ駅たち空間の 再構築

自動運転技術やIoTを掻甚した 地域内における物流の効率化

先端技術を掻甚した人䞭心の利 甚しやすい駅前広堎の敎備

3道路空間の再分配により、車ず人 の適切な分担や䞭心郚のにぎわい空間

5Gを掻甚した信号機の高床化 等、先端技術を取り蟌んだ亀通 安党斜蚭の瀟䌚実装

地域ニヌズに応えられる新たな モビリティを掻甚した亀通サヌ ビスの導入 2鉄道ストックを基軞ずし、新たな モビリティやMaaSなどの先端技術 を掻甚した人䞭心のモビリティネット ワヌク構築によるスムヌズな移動の実 珟

東京郜からも同様な2040幎代に向けたたちづくりの構想が怜蚎されおいる 8 。 具䜓的には衚○に瀺されたような4぀の領域であり、1倚様な亀通モヌドの 充実によるコンパクトでスマヌトな郜垂の実珟2鉄道ストックを基軞ずし、新 たなモビリティやMaaSなどの先端技術を掻甚した人䞭心のモビリティネットワヌ ク構築によるスムヌズな移動の実珟3道路空間の再分配により、車ず人の適切 な分担や䞭心郚のにぎわい空間創出の実珟4ポストコロナを芋据えた新しい日 垞が定着したたちづくりの実珟などが挙げられおいる。特に東京においおは、電車 や道路などの亀通むンフラが他地域ず比范しお充実しおいるため、このような既存 のむンフラをどのように曎新しおいくのかずいうこずに察しお比重が眮かれおい る。 たた道路のあり方に぀いおは囜土亀通省によるビゞョン「2040 幎、道路の景色 が倉わる 9

52
第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境
è¡š2 東京郜による重点取り組み領域ずその斜策
」が提蚀されおいる。 この提蚀の䞭では、自動運転バスや小型モビリティなどさたざたな亀通モヌドの 接続・乗換拠点モビリティ・ハブが道路ネットワヌクに階局的に敎備を行っお いき、さらに路偎マネゞメントなどの曜日や時間垯に応じお可倉をする道路ず沿道 民地の運甚方法など、これたでの自動車が走行するために定矩されおいた道路ずい う抂念を超えた内容に぀いお蚀及がされおいる。
出兞東京郜自動運転瀟䌚を芋据えた郜垂づくりのあり方 より筆者が䜜成
創出の実珟 道路ネットワヌクの敎備ず自動 運転車の普及により䜙裕の生じ た車道郚分を掻甚した道路空間 のリメむク 䞭心郚や駅の呚蟺における歩行 者䞭心のにぎわい空間の創出 カヌブサむドの利掻甚を芋盎 し、道路空間の皌働率を向䞊 4ポストコロナを芋据えた新しい日 垞が定着したたちづくりの実珟 安党性・快適性・利䟿性を備え た駅たち空間の䞀䜓的な敎備 自転車利甚や歩行者の増加を芋 蟌んだ自転車利甚環境や歩行者 空間の敎備 を掻甚し、バス等の混雑 状況などの運行情報の芋える化 を掚進
53 図6 「モビリティハブの様子 出兞囜土亀通省 2040幎、道路の景色が倉わる 図7 路偎マネゞメントの様子 出兞囜土亀通省 2040幎、道路の景色が倉わる

3.2.1 課題の党䜓像

前節で自動運転の導入に向けた囜内での取り組みに぀いお敎理を行なった。本節 では、䞀般的に述べられおいる自動運転車が抱えおいるか課題に぀いお、レビュヌ 論文を参考にしながらその課題に぀いお網矅的に取り䞊げる。この操䜜を通じお埗 た、自動運転を導入した際に起こりうる重芁な芁玠を次章以降で行うシミュレヌ ションのパラメヌタヌずしお掻甚する。

自動運転の普及に察する芁件や、その圱響に関するレビュヌ論文ずしおは、 Nacerら2021)やNarayananら2020、Nunoら2018、Fábioら2018 などが挙げられる。たたLitman2022も統合的な目線でのレポヌトを発衚しお いる。

Nacerら2021は自動運転の導入にあたり、どのような障害が発生する可胜 性があるかに぀いお混合研究法を甚いお分析を行った。぀のメむンテヌマずサブ テヌマを扱い、1利甚者・政府の芖点では「利甚者の受容性ず行動」「安党性」「法 芏制」が挙げられ2情報ずICTでは「コンピュヌタヌ゜フトりェアずハヌドりェ ア」「コミュニケヌションシステムV2X」「高粟床地図」などが挙げられおいる。 Narayananら2020は共有型自動運転車SAVに着目しお、網矅的に 「亀通&安党性Traffic&Saftey」「亀通行動」「経枈」「茞送䟛絊Transport supply」「土地利甚」「環境」「ガバナンス」の芳点に぀いお圱響の評䟡を行った。 Nunoら2018は自動運転がどのような圱響を䞎えるか「瀟䌚経枈」「゚ネルギヌ」 「安党性」「枋滞」「土地利甚」の5぀の芳点から考察を行った。車䞡の所有や運転 者の行動倉化、゚ネルギヌ削枛、亀通事故の削枛、保険料の安䟡化、駐車スペヌス

54
3.2
第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境
自動運転車が抱える課題
の芋盎しなどが具䜓的な内容ずしお描かれおいる。 Fábioら2018は自動運転が郜垂での生掻を銬車から車に倉化した際ず同じ ように倉える可胜性があるずし、その倉化を怜蚎するため「車䞡の圢状」「道路の 混雑床」「駐車スペヌスの増枛」「郜垂のスプロヌル化」「道路むンフラの必芁性」 などの5぀の芳点から考察を行った。

これらの芖点を統合し、技術開発などの内容を陀いた、5぀の領域「亀通環境」「土 地利甚」「移動行動」「環境問題」「経枈性」に着目をしお敎理を行い、その具䜓的 な課題点に぀いお既埀研究からレビュヌを行う。 3.2.2 詳现な議論 安党性 安党性に぀いおは自動運転の導入により、事故が枛少するず䞀般的には考えられ おおり、Fagnant & Kockelman2015らは飲酒運転や䞍泚意などから発生する 死亡事故などの圱響から分析を行い40%、Keeney2017は航空業界の自動化に よる圱響を参照しながら80%の事故枛少を予枬しおいる。 亀通量 亀通量に関しおは、Litman2018では地方や郊倖などにおいお増加し、䞀方

55
で郜垂郚においおは枛少するずの予枬を導いた。たたMartinez and Viegas2017 やAlazzawi ら(2018は、ラむドシェアリング型の自動運転を行うこずにより、 亀通量を削枛するこずができるずしおいる。具䜓的には、前述のAlazzawi ら(2018 の結果を芋るず少なくずも50%の亀通量を削枛できるずしおいる。たたSalazar ら2018はカヌシェアリング型のサヌビスシステムであったずしおも、公共亀 通ず組み合わせるこずにより亀通を削枛できるずしおいる。このほかに、Simoni
図8 自動運転の代衚的課題䞀芧 Narayananら2020を元に筆者が独自䜜成

ら2019亀通枋滞は枋滞時の費甚を導入するこずで抑制するこずができるずし おいる。 たた自動運転の導入により、車䞡間隔をはじめずした亀通の制埡がより円滑にな るこずにより、特に高速道路では道路容量の増加が芋蟌たれおおり、Friedrich ら 2015は80%、Tientrakool2011は40%から273%の増加ず枬定した。た た自動運転車の普及率ずの関係性も瀺されおおり、Mena-Orejaら2018は自 動運転車の普及率が20%に達した際、そこから道路容量の増加が芋蟌たれるずし おいる。

コスト コストの予枬に぀いおは、$0.19/kmから$0.30/km前埌のものが倚く芋ら れる(Bauerら, 2018; Chenら, 2016; Walker & Marchau, 2017)。Nunes &Hernandez2020はラむドシェア型の自動運転では$0.13/kmから$0.25/km 皋床の料金になるずしおいる。たたLitman(2022)では技術発展により最終的には $0.38/kmから$0.6/km皋床で利甚ができる可胜性を瀺し、これらの費甚は人間が 運転するタクシヌより安く、個人の車や公共亀通での運賃よりは高いものずしおい る。

駐車堎

将来の駐車堎は蚈画前述の道路容量や車䞡数の倉化に䌎いさたざたな圢で、自 動運転車の圱響を受けるずされおいる。González-González& Nogués & Stead 2020は今埌の政策シナリオずしお駐車堎の再配眮のあり方などを怜蚎し、 Zhang & Kaidi Wang2020は特に郜心郚にお2030幎以降、20%以䞊の駐車堎 の需芁が枛るず予枬した。そのほか駐車スペヌスの倉化に぀いおは、Kondorら 2018、Langら(2018、Vleugel& Bal2018などが50%の削枛を芋蟌むずし おいる。

56
第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境
VMT/VKT
Miles Traveled/Vehicle
traveled
状況よりも増加する傟向ずしお考えられおいるAlam & Habib, 2018; Bischoff & Maciejewski, 2016。この最倧の芁因ずしお、空車での移動が増加するこず が挙げられおいる。Taiebatら2019は自動運転車が平均䞖垯の車䞡移動を 2-47%増加させ、特に高所埗局による増加が最も倧きいず予枬しおいる。䞀方で Rossiら2018は際立った枋滞を発生させずに空車の移動を行うこずが可胜であ るずしおいる。たたLokhandwala & Cai2018はラむドシェア型のサヌビスで はVMT/VKTを枛少させるこずが可胜であるずしおいる。
走行時間を蚈枬するVMT/VKTVehicle
kilometers
に぀いおも課題が投げかけられおいる。VMT/VKTは䞀般的に珟圚の

枋滞の発生可胜性に぀いおは、Ratti & Biderman2017は共有型の自動運転 車を1台導入するこずにより、9台から13台の車䞡を亀通から取り陀くこずがで きるずしおいる。亀通量や道路容量などに぀いお楜芳的な芖点での議論が䞊蚘のよ うに倚くなされおいるが、䞀方で新たな枋滞が発生する可胜性も瀺唆されおおり、 Adam2019はVMTや䜎速で走るこずでコストが安くなるため、亀通状況が悪 化する可胜性を瀺唆しおいる。ゲヌム理論ず亀通シミュレヌションモデルを組み合 わせた予枬では、2000台の車䞡が走行するこずで、党䜓の亀通速床を時速3.2キ ロメヌトル未満に鈍化するなどし、枋滞時の远加費甚を怜蚎する必芁を瀺した。 郜垂のスプロヌル化

Gelauff ら (2017) やSoteropoulos ら(2018)は自動運転車の導入がスプロヌル 化urbanisationをもたらすずしおいる。䞀方でZhang & Guhathakurta (2018) はより詳现なシミュレヌションモデルず居䜏地遞択モデルを組み合わせた分析を行 い、その結果ずしお、自動運転の導入は無蚈画なスプロヌル化をもたらさないずし おいる。䞀方で、Nunesら2021は郊倖や地方の゚リアにおいおは、幎間車䞡 走行距離が増加する可胜性が高いなど、地域によっお亀通の質がさらに倉化する可 胜性を瀺唆しおいる。 ゚ネルギヌ排出量の削枛

䞻に自動運転車が電気自動車EVを䜿甚するこずにより、゚ネルギヌ消費量 ず排出量を共に抑制できるずいう考え方が芋られおいる。䞀方でLokhandwala& Cai2018は排出量を抜本的に解決するにはラむドシェアリングの必芁性を唱え おいる。たたSalazarら2018では、公共亀通ず自動運転車を組み合わせお利 甚するこずで抑制ができるずしおいる。

4章以降のシミュレヌションにおいおは、䞊蚘の䞭から斜蚭配眮やサヌビス提䟛 範囲などに察しお圱響を䞎える可胜性がある3぀の領域に着目し、「経枈」に぀い おは利甚者の䟿益を時間䟡倀に着目するこずで算出し、「道路」に぀いおは枋滞発 生の可胜性に぀いお斜蚭機胜を代替するために必芁な車䞡数から考察し、そしお最 埌に「土地利甚」に぀いおは、どのような゚リアにおサヌビスが提䟛される可胜性 が生たれるかに぀いお怜蚎する。

57 枋滞

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62 参考文献 第䞉章 珟圚の自動運転車を取り巻く環境
63
64 第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出

目的

4章では自動運転車が既存の斜蚭機胜を代替する堎合、どのようなサヌビスが適 圓であるか怜蚌する。これらを明らかにするため、マルチ゚ヌゞェントシミュレヌ ションツヌルAnyLogicver 8.7.7を甚いお、自動運転車が移動し、利甚者が自 宅でサヌビス䟝頌・享受を行う「自動運転型」ず、利甚者が自宅から斜蚭に移動しサヌ ビス享受をする「斜蚭型」の比范を行う。たた「自動運転型」ず「斜蚭型」の比范 を行うにあたり、図○のようなシミュレヌション環境蚭定を行う。4章におけるサヌ ビス適正の算出に぀いおは、需芁パタヌンによる埅ち時間の倉化ず、そのサヌビス を行うために必芁な車䞡数にどの皋床の珟実性があるのかを怜蚎する。たた4章に 続き、5章においおはサヌビスの提䟛範囲を新たなパラメヌタずしお導入し、これ らによっお導出された結果を利甚者の埅ち時間や移動時間の時間䟡倀以䞋VOT ず呌称を考慮した時間コストず、車䞡利甚による金銭コストを足し合わせた䞀般 化費甚を甚いるこずでサヌビス提䟛の適正範囲を掚定する。

たた4章・5章の内容は、TOYOTAのe-paltteなどの車䞡に機材ず䜜業空間を

65
搭茉した新たなタむプの自動運転車機胜搭茉型自動運転車を念頭におきなが ら、移動販売車やバスの䞀郚空間を改造を斜した、珟圚実蚌実隓が掚進されおいる MaaSMobility as a Serviceにも適甚するこずのできるシミュレヌションである。 第4ç« : 斜蚭機胜の代替を 可胜にするサヌビ スず車䞡数の算出

自動運転車の普及芁因 玀䌊ら 1 はどのような芁因によっお移動を目的ずした自動運転車が普及するのか を、車䞡䟡栌や車䞡数、提䟛範囲の関係性を数匏化した䞊で、シミュレヌションを 行うこずで明らかにした。この研究では車䞡䟡栌が高くおも郜垂半埄が小さい堎合 に普及率が高たるこずが瀺唆された。束䞭ら 2 はどのような人口の郜垂においお共 有型完党自動運転車の普及による燃料費や埅ち時間、駐車堎の費甚などの瀟䌚的䟿 益ぞ圱響があるのかをシミュレヌションした。その結果、党おの自家甚車が共有型 自動運転車に倉わった堎合、人口30䞇人の郜垂においおは、必芁な車䞡数が84% 枛少、必芁な駐車堎面積が71%枛少し、1日で2500䞇円の䟿益が生じるずしおいる。

時間䟡倀

たた、利甚者の䟿益に泚目し、既存の自動車ず自動運転車における移動時間の時 間䟡倀時間の倉化に察する支払意思額 3 Value of Time、以䞋VOTず略称を 比范するこずにより、自動運転車の導入のコストずメリットの粟緻な把握が可胜に なる。このVOTに着目した研究がFelixら 4 によっお行われ、自動運転車による亀 通時間節玄䟡倀以䞋VTTSValue of Travel Time Saving, 亀通プロゞェクトに よる時間消費制玄の緩和効果いわゆる時間短瞮効果を金銭換算したもの11を 算出した。Felixらは個人所有の自動運転車は既存の自動車に比べお31%VTTS可 胜性があるず蚀及しおいる。たたAxhausenらの研究 5 によるず業務時間内におけ

66
4.1 既埀研究
第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出
よるVOTの優劣は芋られない。䞀方で近幎では自動運転車ず既存の自動車の間に VOTは倧きな差はないずいう指摘もSingleton 6 によっおなされおいる。この芁因 ずしお、自動運転サヌビスの導入初期における自動運転車の車内掻動は既存の自動 車ず比范しお倧きく乖離するこずはなく、たた生産的掻動を行うには移動時間が短 すぎるのではないかず䞻匵しおいる。
るVTTSの効果は高所埗者の堎合により倧きく、非業務時間においおは所埗差に

郜垂構造

郜垂構造の違いによる自動運転車の有甚性の差異に぀いおは、東ら 7 がシェア型 自動運転車の導入時に、郜垂機胜を集玄させるこずでラむドシェア成立割合を増や し運行効率を高められるこずを明らかにしおいる。䞀方で、必芁な車䞡数や移動時 間は増加しおおり、加えお亀通効率ぱリアの郜垂構造により異なるずしおいる。 たた冚岡ら 8 は、デマンド亀通などのMaaSMobility as a Serviceが普及する ためには、どのような人口分垃の地域である良いか怜蚌を行なった。この結果、運 行効率を考慮するず䞭心垂街地においおは同心円状、郊倖においおはコリドヌ状の 人口集玄が行われるず望たしいこずを明らかずした。Caoら 9 は”Stall-economy” ず呌ぶ、屋台のような店舗型自動運転車の配眮゚リアなどのシミュレヌションを行 い、サヌビス提䟛範囲ず屋台に出䌚うたでの利甚者の距離が重芁な芁玠であるずし おいる。

機胜搭茉型自動運転車

機胜搭茉型自動運転車の導入可胜性に぀いおは、医療サヌビスに泚目したアン ケヌト調査が埡手掗ら(2020) 10 によっお行われた。この研究では居䜏者に察しお珟 状の利甚しおいる斜蚭の立地地域ず理想的なサヌビス利甚地域に぀いおアンケヌト を行い、その乖離床から機胜搭茉型自動運転車の導入可胜性のある地域に぀いお怜 蚎しおいる。たた個人の利甚属性から、どのような理由で機胜搭茉型自動運転車を 利甚するのかずいうアンケヌト分析が埡手掗ら(2021) 11 によっお行われおいる。こ の研究では、機胜搭茉型自動運転車の時間的な柔軟性が利甚促進芁因ずなっおいる 䞀方、斜蚭に察しおは、信頌床や斜蚭ぞのアクセシビリティなど圱響を䞎える芁因 が異なるこずが瀺された。

67
移動販売車 たたドラむバヌが運転するこずにより自動運転で芋蟌たれるサヌビスず同様な䟡 倀提䟛を行なっおいる移動販売車に぀いおは、どの皋床のサヌビス芏暡ず地域であ るず事業が成立するのか、ハフモデルを甚いた研究が谷本ら 12 によっお行われおい る。この研究では、䞻に䞭山間地域における小芏暡店舗が閉店した堎合、どの皋床 移動販売車の利甚者が増えるか怜蚎を行い、特に品揃えを増やした堎合に効果が芋 蟌たれるずしおいる。たた、移動販売車がどのような堎所においお停車をし、販売 を行なっおいるのか、その停車空間に着目した研究が秋月ら 13 によっお行われおい る。この研究では、移動販売は物の物販だけでなく、副次的な効果ずしおコミュニ

ケヌションの誘発するハブずしお利甚されおたり、たた呚囲の関係者ずの調敎が必 芁なこずから、完党な無人化・オンデマンド型がスムヌズに導入されるこずは難し いずしおいる。 䜏宅機胜の代替ず郜垂空間構造

機胜の代替ず空間構造の分析に぀いおは、鈎朚ら 14 が䜏宅の機胜を補完するファ ミリヌレストランやコンビニ゚ンスストアの立地に぀いお人ず物の消費゚ネルギヌ に着目し分析を行った。この結果、これらの斜蚭に埒歩で行くこずのできる領域 内においおは単身䞖垯ず15-30歳たでの人口割合が他の䞖代に比べお倚いこずがわ かった。

以䞊のように移動を目的ずした自動運転車に぀いおは提䟛範囲や車䞡䟡栌から導 き出される普及芁因やVOTに考慮した利甚者に察するうコストずメリットの怜蚎 が行われた。たた機胜搭茉型自動運転車に぀いおは、導入意向に関するアンケヌト 調査を甚いた導入地域の怜蚎や個人属性の傟向調査が行われた。䞀方で自動運転車 による既存斜蚭のサヌビス機胜代替を前提ずした車䞡数の怜蚎や、VOTに着目し たサヌビス類型による需芁パタヌンから生じる利甚者に察する䟿益評䟡ずサヌビス 提䟛範囲に関する分析は行われおいない。そこで本章では、自動運転車のサヌビス を受けるための埅ち時間を掚定し、珟圚の自宅から斜蚭ぞの埀埩移動時間ず比范す るこずで代替を可胜にする車䞡数やサヌビスの特城を考察する。さらにタクシヌな どの車䞡数ず比范を行うこずで、このようなサヌビスが道路環境の芳点から珟実的 であるのか怜蚎する。

第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出

68
69

4.2.1 シミュレヌション抂芁

「自動運転型」ず「斜蚭型」の比范を行うために図1に瀺す手順でシミュレヌショ ンを行う。「自動運転型」においおは地域・サヌビス・車䞡数を倉数ずしお䞎えた 䞊で、埅ち時間の算出を行い、たた「斜蚭型」においおは地域を倉数ずしお䞎えた 䞊で、斜蚭たでの埀埩移動時間を算出する。これらの蚈枬結果から、「斜蚭型」で の移動時間ず同等の「自動運転型」による自宅での埅ち時間に必芁ずなる車䞡数を 算出する。

シミュレヌションはマルチ゚ヌゞェントシミュレヌションツヌルAnyLogicver 8.7.7を䜿甚する。シミュレヌション蚈枬時間は24時間ずし、1時間ごずの需芁 量倉化を考慮する。たた凊理時間を短瞮するため、シミュレヌションの人口は実 際の人口の1/100ずする。シミュレヌション範囲は埒歩での移動圏域である䞀蟺 2.5kmの正方圢領域ずする。利甚者は正方圢領域内に蚭定した80.5m間隔の、利 甚者数よりも倚く蚭定された栌子点に均䞀に分垃させる。この栌子点䞊に需芁が発 図1 シミュレヌション党䜓構成

第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出

70
4.2
シミュレヌション環境蚭定

生する利甚者の䜏宅があるものずし、以䞋䜏宅ず呌称する。䜿甚デヌタは衚1の通 りである。

「自動運転型」ではシミュレヌション開始時に、正方圢領域の䞭心に存圚する斜 蚭より車䞡が発車するものずし、領域倖ずの車䞡のやり取りはないものずする。た た需芁は埌述の䞀人䞀人の利甚者に぀いお発生する、所䞎の「時刻ごずの需芁発生 確率」に基づくものずする。

「斜蚭型」の堎合においおは、正方圢領域の䞭心に斜蚭が集たっおいるこずずし、 単䞀の斜蚭、耇数の斜蚭が立地する堎合にも、䞭心に䜍眮する぀の堎所にたずたっ おいるものず仮定する。

4.2.2 自動運転型ず斜蚭型の動䜜フロヌ

図2 シミュレヌションフロヌ

71
「自動運転型」は、ある䜏宅で需芁が発生し、それに応じお呌び出された自埋的 に党おの運転刀断を行う自動運転レベル5の機胜搭茉型自動運転車以䞋、車䞡ず 呌称がその䜏宅たで移動し、そこで停車をしおサヌビス提䟛を行う図2。車 䞡は需芁に察しおFIFOFirst In, First Outで察応し、需芁発生点に察しお最も 近くに存圚する空き車䞡が盎線距離で時速30kmの速床で移動し察応するものず する。たた枋滞の圱響は考慮しないものずする。

これに察しお「斜蚭型」では、利甚者が斜蚭ぞ䜏宅から埒歩で移動し、斜蚭におサヌ ビスを享受するず考える。利甚者は盎線距離で時速4kmにお移動するものずする。

4.2.3 地域の蚭定

ロヌドマップでは2030幎に向けた将来像を「公共亀通が普及しおいる郜垂郚」「自 動車䞭心の郜垂郚」「地方郚」の3地域に぀いお描かれおいるため、これらを参照 し人口密床ず平均所埗が異なる特性を持぀、東京郜䞖田谷区・千葉県流山垂・愛知 県豊橋垂の3地域を遞定した。これら3地域を「郜垂郚」「郜垂郊倖」「地方郜垂」 の兞型ずしお捉える。各垂区の人口 15 を可䜏地面積総面積から林野面積ず䞻芁湖 沌面積を差し匕いた面積で陀し、人口密床を算出し、それを甚いおシミュレヌショ ン䞊で正方圢領域における人口を蚭定する。たたこれらの3぀の地域の平均所埗に ぀いおは「垂町村皎課皎状況等の調査」 16 の「課皎察象所埗」を「所埗割の玍皎矩務 者数」で陀するこずで算出する。衚2

4.2.4 サヌビス需芁の蚭定

2018幎に行われたPT調査パヌ゜ントリップ調査を参照 17 しお、「䜏宅・寮」「倧 芏暡小売」「公園・スポヌツ」に぀いおの発生集䞭量から、時刻ごずの需芁発生確 率をパタヌン蚭定し、それぞれ「分散型」「集䞭型」「ランダム型」の需芁パタヌ ンず名付ける図3。PT調査によるず、「郜垂郚」の「倧芏暡小売」の24時間に おける総発生集䞭量は、101,600人2.5km正方圢領域の䜏民数換算で13,300 回/日、぀たり週に䞀床皋床の利甚頻床である。この総発生集䞭量をシミュレヌショ

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第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出 図3 時刻ごずの需芁発生確率ず需芁パタヌン

量の再線を行う。すなわち「䜏宅・寮」ず「公園・スポヌツ」の需芁パタヌンに぀ いお、需芁総量を「倧芏暡小売」ず等量に保ち぀぀、時刻あたりの需芁発生確率を 比䟋倉換した。たた地域による需芁総量は、「郜垂郊倖」ず「地方郜垂」に぀いお 「郜垂郚」を基準に人口比に応じお蚭定し、郜垂郊倖では5015回/日、地方郜垂で は1385回/日ずした。

73 è¡š1 䜿甚デヌタ䞀芧
サヌビスの利甚時間は、䞋限15分、平均30分、䞊限45分の䞉角分垃ずする。 それぞれの需芁パタヌンに぀いお10回の詊行を行い、その結果の平均倀を甚いお 埅ち時間を算出する。 4.2.5 車䞡数の蚭定 郜垂郚においお自動運転車を500、600、700台配備するずいう皮のシナリオ を甚意する。郜垂郊倖ず地方郜垂においおは、それぞれ郜垂郚の人口に比䟋させお 車䞡数を決定する衚3。たた地域間で比范を行うため、車䞡数を衚2に蚘した それぞれの地域の人口で陀した、䞀人あたりの車䞡数を以降では䞻に䜿甚し、「車 䞡数少」「車䞡数䞭」「車䞡数倚」ずしお衚蚘する。 デヌタ抂芁 䜿甚デヌタ 備考 需芁発生量第6回東京郜垂圏パヌ゜ント リップ調査H30幎,以䞋、PT 調査 倧芏暡小売店デパヌト、ショッ ピングモヌルなどの発生集䞭 量を䜿甚 人口䜏民基本台垳R2幎 平均所埗総務省垂町村皎課皎状況等の 調査R2幎 豊橋垂/䞖田谷区/流山垂の3 地域を比范 地域名 人口 2.5km正方圢領域で換算 平均所埗 東京郜䞖田谷区 郜垂郚101,600人5,653,167円 千葉県流山垂 郜垂郊倖38,314人4,014,687円 愛知県豊橋垂 地方郜垂10,587人3,393,720円 シナリオ 車䞡数:少 車䞡数:äž­ 車䞡数:倚 䞀人あたりの車䞡数 小数第5䜍を四捚五入0.0049台/人0.0059台/人0.0069台/人
è¡š2 地域の人口ず所埗 è¡š3 䞀人あたりの車䞡数シナリオ ンの基準、需芁総量ずし他の需芁パタヌンに぀いおも同量になるように総発生集䞭

シミュレヌション結果

「自動運転型」の分散型ず集䞭型の䞭間的な特城を持぀、ランダム型における「車 äž¡æ•°:少」ず「車䞡数:倚」の比范を、時刻ごずの埅ち時間に着目しお行う。郜垂 郚ず地方郜垂のいずれの地域においおも次のような結果が芋られた図4。

たず埅ち時間の最倧倀に぀いお、「車䞡数:少」の堎合、150分を超える倀ずなり、 䞀方で「車䞡数:倚」においおは40分皋床ずなった。぀たり車䞡数が玄1.4倍に 察しお最倧の埅ち時間は1/3以䞋であった。

たた平均埅ち時間に぀いおは「車䞡数:少」においおは玄55分ずなり、䞀方で 「車䞡数:倚」においおは玄10分ずなった。぀たり車䞡数が玄1.4倍に察しお平均 埅ち時間は1/5以䞋であり、埅ち時間の最倧倀より平均倀の方が車䞡数の増枛の圱 響を受けやすいこずを瀺唆しおいる。

図4 ランダム型の時刻ごずの埅ち時間ず車䞡数の比范郜垂郚

74
第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出 4.3
4.3.1 時刻ごずの埅ち時間掚移ず車䞡数の関係

4.3.2 需芁パタヌン・地域による埅ち時間ず車䞡数の関係

図5は「自動運転型」の需芁パタヌンず䞀人あたりの車䞡数、そしおその結果ず しお生じる平均埅ち時間の関係性を瀺しおいる。「自動運転型」の需芁パタヌンに よる1日の平均埅ち時間を比范するず、集䞭型ランダム型分散型の順番で長く なり、たた䞀人あたりの車䞡数が等しい堎合、集䞭型は分散型の5倍皋床の埅ち時 間になった。

次に「自動運転型」の1日における平均埅ち時間ず「斜蚭型」の埀埩移動時間が 等しくなるずきに必芁な車䞡数を考察する。「斜蚭型」の平均埀埩移動時間に぀い おは郜垂郚で29.56分、郜垂郊倖においお30.18分、地方郜垂31.44分ずなり、こ こでは最も「自動運転型」が䞍利になる郜垂郚の結果を甚いお比范を行う。この結 果、「斜蚭型」の平均埀埩時間ず同等の平均埅ち時間にするために必芁な「自動運 転型」の車䞡数は、集䞭型においおは玄0.0068台/人、ランダム型においおは玄 0.0058台/人ずなり、分散型においおは0.0050台/人未満であるこずがわかった。 たたこのずきに必芁な車䞡数に぀いお、いずれの郜垂間でも倧きな違いは確認され なかった。

䞀方「自動運転型」においお、人口密床が䜎いず䜏宅間の移動時間が長くなるため、 埅ち時間が長くなり、結果的に地域差が生じるず考えられるが、本研究においおは 必ずしもそのようにはならなかった。この原因ずしお、確率密床で芏定される需芁 量の倉動が、埅ち時間の増枛に繋がり、その圱響が玄2.5分「自動運転型」の党 シナリオの平均倀の䜏宅間での移動時間より倧きく䜜甚しおいるこずが挙げられ る。

図5 需芁パタヌン・地域による平均埅ち時間の比范

75

次に郜垂郚での「車䞡数倚」に぀いお、「分散型」「集䞭型」「ランダム型」の 比范を「時刻ごずの埅ち時間」に着目しお行う図6。この結果、日あたりの 需芁総量が同じであっおも、その需芁パタヌンによっお時刻ごずの埅ち時間は倧き く異なるこずがわかった。぀たり分散型では、朝の時間垯における需芁に関しお 20分皋床の埅ち時間が生じたが、そのほかの時間垯においおは5分皋床の埅ち時 間ずなった。䞀方集䞭型では、昌の時間垯以降、断続的に平均埅ち時間が䌞びる珟 象が生じた。特に17時から18時にかけおは埅ち時間が最倧70分皋床ずなった。 これは、断続的にこの時間垯における需芁量が車䞡数を䞊回ったこずにより、車䞡 の䞍足状態が発生し、前の利甚者の埅ち時間が次の利甚者の埅ち時間に重なるよう にしお䌞びおいるず考えられる。たた䞭間的な需芁パタヌンであるランダム型にお いおは、昌から倕方にかけお平均埅ち時間が䞊昇しおいるものの、昌以降にかけお 埅ち時間が䞀時的に解消されるこずにより、集䞭型のような急激な埅ち時間の増加 に繋がらす、最倧の埅ち時間であっおも40分皋床ずなった。

以䞊の結果から、需芁が集䞭した時間垯の埌に䞀時的に需芁量が車䞡数を䞋回る 時間が存圚するこずにより時刻ごずの平均埅ち時間が䞊昇するこずを防ぐこずが可 胜であるず考えられる。

4.3.3 既存サヌビス車䞡数ずの比范

算出を行った自動運転車の車䞡数を、珟圚の郜垂における車䞡数ず比范するこず で、郜垂の受容量の芳点から珟実性があるのかを怜蚎する衚4。

郜垂を走行する車䞡ずしお、タクシヌ個人法人タクシヌは東京23区・歊

76
図6 時刻ごずの埅ち時間ず需芁パタヌン郜垂郚_車䞡数倚
第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出

サヌビス名 車䞡数/人口東京郜23区 法人・個人タクシヌ 0.0038台/人 コむン匏駐車堎 0.0168台/人

蔵野垂・䞉鷹垂においお38,133台2020 18 を有しおいる。この車䞡数を同䞀地域 の人口で陀し、䞀人あたりの車䞡数に倉換した䞊で、4.3.2 で確認された「斜蚭型」 の移動時間ずランダム型の「自動運転型」の埅ち時間が等しくなる車䞡数0.0058 台/人ずを比范するず、タクシヌは35%皋床少ない台数であるこずがわかる。 次に郜垂における駐車可胜量から怜蚎するため、コむン匏駐車堎䞀般公共の甚 に䟛する、時間貞し、䞻ずしお無人の特城を有するず比范を行う。コむン匏駐車 堎は東京郜23区においお162,400車宀2020 19 を有しおおり、䞀人あたりの車䞡 数を前述の0.0058台/人ず比范をするず玄2.9倍皋床倚い車䞡数であるこずがわ かる。

以䞊の結果から、週䞀回皋床、30分間の利甚であっおも、必芁ずなる車䞡数は タクシヌの車䞡数よりも倚くなるこずが芋蟌たれるため、このようなサヌビスが郜 垂郚においお耇数展開するず、新たな枋滞を匕き起こす可胜性が高いず筆者は考え る。したがっお、3章においお移動を目的ずしたラむドシェア型のサヌビスや、車 䞡間隔を保぀こずによる車の流れの改善などによる枋滞緩和の可胜性に぀いお議論 を行なっおいたが、今回の結果から囜土亀通省の「2040幎、道路の景色が倉わる」 のビゞョンで取り䞊げられおいた機胜搭茉型自動運転車などのサヌビスを提䟛する 自動運転車が斜蚭機胜を完党に補完した堎合、新たな枋滞発生が芋蟌たれる。これ らのこずから、需芁総量がタクシヌや駐車堎ず比范しお十分に少なく、たた時間垯 による需芁量の倉化が少ないサヌビスを怜蚎する必芁性があるず考える。

4.3.4 小結

77
党おの䜏民が週回皋床利甚するサヌビスのシミュレヌションを行うず、需芁パ タヌンの比范を行うず需芁集䞭需芁ランダム需芁分散の順に埅ち時間が長くな り、たた平均埅ち時間は需芁集䞭においおその需芁分散の5倍皋床の時間を芁する こずがわかった。たた斜蚭型の埀埩移動時間ず同等の埅ち時間に必芁ずなる車䞡数 は集䞭型においお玄0.0068台/人、ランダム型においおは玄0.0058台/人ずなり、 分散型においおは0.0050台/人未満であるこずがわかった。さらにこの車䞡数ず 既存のサヌビス、タクシヌの台数を比范するずランダム型ず同等の車䞡数を行うた めには2.9倍皋床の車䞡数が必芁であるこずがわかった。 è¡š4 既存サヌビスの䞀人あたりの車䞡数

1. 玀䌊雅敊, 暪田圩加, 高震宇, 䞭村䞀暹共有型完党自動運転車䞡の普及に関する基瀎分析, 土朚孊䌚 論文集 D3, Vol. 73, No. 5, pp.I_507-I_515, 2017.

2. 束䞭 亮治, 倧庭 哲治, 䜏川 俊倚郜垂内亀通シミュレヌションを甚いた共有型完党自動運 転車䞡の普及による瀟䌚的䟿益に関する研究, 郜垂蚈画論文集, Vol.55, No.2, pp115-125, 2020

3. 加藀浩埳, 小野田惠䞀, 朚党正暹 : 亀通時間ず亀通時間節玄䟡倀ずの関係に関する分析, 運茞 政策研究, Vol.9 No.2, pp.3, 2006

4. Felix Steck, Viktoriya Kolarova, Francisco Bahamonde-Birke, Stefan Trommer, Barbara Lenz: How Autonomous Driving May Affect the Value of Travel Time Saving for Commuting, TRB 97th Annual Meeting, vol.2672, pp.11-20, 2018

5. Kay W. Axhausena, Stephane Hessa, Arnd Koš nigb, Georg Abayc, John J. Batesd, Michel BierlaireeIncome and distance elasticities of values of travel time savings: New Swiss results, Transport Policy, 15 , 173–185, 2008

6. Singleton, P. A.Discussing the “positive utilities” of autonomous vehicles: will travellers really use their time productively?, Transport Reviews, Vol.39, No.1, pp. 50–65, 2018

7. 東達志, 銙月秀仁, 谷口守郜垂構造の違いがシェア型自動運転車の運行効率に及がす圱響, 郜垂蚈画論文集, vol.53, No.3, pp.551-557, 2018

8. 冚岡秀虎, 村䞊僚祐, 高山宇宙, 森本章倫MaaSの普及を想定した公共亀通ず人口分垃に関 する研究, 土朚孊䌚論文集, Vol.76, No.5, pp.793-801, 2021

78 参考文献 第四章 斜蚭機胜の代替を可胜にするサヌビスず車䞡数の算出

9. Junyu Cao, Wei Qi, Stall Economy: The Value of Mobility in Retail on Wheels, Forthcoming, Operations Research, 2020

10. 埡手掗陜, 東達志, 谷口守 : 小さな拠点における郜垂機胜確保に資する機胜搭茉型自動運転 車(ADVUS)の掻甚可胜性 ―医療サヌビスに着目しお―, 土朚孊䌚論文集, Vol.75, No.6, pp.277-285, 2020

11. 埡手掗陜, 小束厎諒子, 谷口守モビリティ・むノベヌションの普及を芋据えた郜垂機胜の 新たな提䟛手段の可胜性―機胜搭茉型自動運転車(ADVUS)に着目しお―, 土朚孊䌚論文集, Vol.76, No.5, pp.657-666, 2021

12. 谷本圭志, 土屋哲, 長曜我郚たどか移動販売のサヌビス氎準に着目した店舗遞択に関する 実蚌分析, 日本郜垂蚈画孊䌚 郜垂蚈画論文集,Vol. 52, No. 3, pp. 429-434, 2017

13. 秋月優里, 真鍋陞倪郎, 村山顕人, 小泉秀暹移動型サヌビスを受け入れる空間利甚のあり方 - 郜垂郚・郊倖郚における移動販売の事䟋調査から -, 郜垂蚈画論文集, Vol.55, No.3, 2020

14. 鈎朚達也, 讃岐亮 , 吉川培䜏宅の機胜を代替する斜蚭の立地ず単身者の生掻行動の関連の分 析, 日本建築孊䌚蚈画系論文集, 第77å·», 第675号, pp1131-1137, 2012 15. 総務省䜏民基本台垳, 2020 16. 総務省垂町村皎課皎状況等の調査, 2020 17. 東京郜垂圏亀通蚈画協議䌚第6回東京郜垂圏パヌ゜ントリップ調査, 2018 18. 䞀般瀟団法人東京郜個人タクシヌ協䌚東京郜個人タクシヌ協䌚䌚報, 第566号, pp1, 2021 19. 䞀般瀟団法人日本パヌキングビゞネス協䌚コむン匏時間貞自動車駐車堎垂堎に関する 実態分析調査2020幎版, 2021

79
80 第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定
81
自動運転車が導入されるこずにより、利甚者は斜蚭
考えられる。本章では特に斜蚭機胜を代替する可胜性 の高い機胜搭茉型自動運転車が導入されるこずによっ お、新たな䟿益を享受する可胜性の高い立地を特定す るこずによっお、自動運転時代における新たな街区の 蚭定などに圹立぀こずを目的ずする。 第5ç« : 自動運転による サヌビス提䟛範囲 の特定
目的
ず自動運転サヌビスの遞択を行うこずが可胜になるず

5.1.1 時間䟡倀に぀いお

本章においおは、利甚者の時間䟡倀に着目しお自動運転車によるサヌビス提䟛範 囲に぀いお算出を行っおいく。さらにこの時間䟡倀を掻甚しお、利甚者の移動ず埅 機ず金銭の負担を考慮した時間コストず車䞡利甚金銭コストの぀を統合した、䞀 般化費甚を評䟡倀ずしお甚いる。なお時間䟡倀や䞀般化費甚に぀いおは以䞋のよう な敎理、議論が行われおきおいる。

たず、「時間䟡倀」(Value of timeずは、時間の倉化に察する支払い意思額の こずである 1 。加藀は「特定の掻動を行う時間が1分増える,あるいは枛るこずに 察しお、最倧いくらたで支払うこずができるかを衚したものが、その掻動の1分あ たりの時間䟡倀である 2 」ず定矩しおいる。

時間䟡倀の算出方法に぀いおは耇数のアプロヌチが甚いられおきた。加藀は以䞋 のように手法を分類しおいる。マむナヌなものでは「集蚈モデルによる時間䟡倀掚 定」「䞍動産䟡栌法による時間䟡倀掚定」「生理孊法による時間䟡倀掚定」である。 メゞャヌなものに぀いおは「所埗接近法」ず「遞奜接近法」がある。

所埗接近法は亀通の時間䟡倀を劎働賃金率あるいは劎働賃金率を修正するこずに よっお求めるものであり、遞奜接近法は人々の実際の行動結果や意向に関するデヌ タから、移動に察する時間ず費甚に関わる情報を抜出し、亀通の移動時間を掚定す るアプロヌチである 3

82
5.1
第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定
シミュレヌションの評䟡関数
況の圱響を排陀したメタ分析などが近幎の研究分野では䞻流ずしお甚いられおい る 4 。 䞀方、本研究においおは「所埗接近法」である「賃金率法による䞀般化費甚」を 䜿甚する。䞀般化費甚ずは亀通時間×時間䟡倀亀通費甚によっお定矩されるもの である 5 。この手法を甚いる理由ずしお、自動運転車ずいう乗車䜓隓等を含めお未 知の郚分が倚い技術であり、遞奜接近法を䜿甚するには十分な前提条件を回答者が
。 「遞奜接近法」には「衚明遞奜SPアプロヌチ」「顕瀺遞奜RPアプロヌチ」 が䞻にあり、たたこれらを発展させた、離散遞択モデルによる研究や、個別的な状

認知するこずが難しく、正圓なデヌタを収集するこずが難しいこずが挙げられる。 たた所埗接近法は賃金率ずいう統蚈に基づく倀であり、信憑性が高いこずも挙げら れる。実際に、囜土亀通省による費甚䟿益分析マニュアル 6 では、所埗接近法を甚 いた䟿益の枬定が行われおいる。特に日本では、亀通の時間䟡倀を把握する際に、 政府による公匏の亀通行動調査デヌタを甚いお、道路亀通の時間䟡倀を網矅的に分 析するこずがほずんどなかったず蚀われおいる 7 。 しかしこの䞀般化費甚や所埗接近法に察しおは批刀もある。Grey 8 は䞻に二点か ら批刀をしおいる。たず䞀぀目に亀通時間ず亀通費ずを統合し、単䞀の指暙を䜜る こず自䜓が劥圓でない、二぀目に移動時間ずしお甚いられる暙準倀が、実蚌的な亀 通デヌタから埗られる時間䟡倀ずの間で矛盟が生じるず指摘しおいる。

䞀般的に時間䟡倀の算出にあたっおは、業務時間ず非業務時間における亀通時間 䟡倀は分類しお考えられおいる。業務亀通ずは、雇甚者の指瀺のもず、業務時間䞭 に行う亀通である。たた非業務亀通ずは通勀や䜙暇、芳光などの私的亀通が含たれ おおり、䞻に業務時間倖に行われる移動のこずを指しおいる。加藀はこの業務亀通 ず非業務亀通を区分するこずが極めお重芁であるず指摘しおいる 9 。この理由ずし お、ある時間における時間配分を行う意思決定のプロセスが異なり、業務亀通であ る堎合、雇甚者の意思によっお行動が決定される。これに察しお非業務亀通におい おは党おの意思決定は本人によるものであるずされおいるからである。 以䞊のこずを螏たえ、本研究では、自宅で自動運転車が到着するこずを埅぀こず や、昚今の瀟䌚情勢を考えるずテレワヌクやフレックスタむム制床などにより、あ る皋床本人の意思決定により時間配分を怜蚎するこずが可胜であるず考えられるこ ずから非業務時間であるが、劎働時間を含む状況ずしお考えるこずが劥圓であるず

83
考える。したがっお、所埗接近法を甚いお算出を行い、以降の時間䟡倀ずしお䜿甚
する。たた本研究では、時間䟡倀を甚いお、自動運転車が自宅に来るたでの埅機時 間や自宅から斜蚭たで移動するためにかかる埀埩時間の蚈枬を行う。

シミュレヌション環境

5.2.1 範囲ず人口密床の蚭定

5章では、4章のシミュレヌション環境を螏襲しながら、サヌビス提䟛範囲ず人 口密床に぀いお新たなパタヌンを远加する。たたシミュレヌションシナリオずしお 4章の考察から、車䞡数を抑制するために需芁パタヌンが分散型に近く、需芁総量 が抑えられおいる状況を想定する。さらに条件に合臎するスポヌツゞムの需芁パ タヌンを䜿甚したシナリオを甚いる。

たず提䟛範囲ず人口密床に぀いお、4章では2.5kmの正方圢領域内に栌子点䞊 に䞀様になるようにい䜏宅を配眮したが、5章では図1のように1.25km、2.5km、 3.75kmの3段階に正方圢領域を蚭定する。たた2.5kmず3.75kmの堎合、内偎 により小さい正方圢領域を配眮し、それぞれの正方圢領域に囲たれた間の郚分に

1.25km 正方圢領域 2.5km 正方圢領域

3.75km 正方圢領域

è¡š2 領域パタヌンず人口人

1.25km 1.25-2.5km 2.5-3.75km 郜垂郚 17,072 16,472 15,916 郜垂郊倖 10,432 9,832 9,276 地方郜垂 5,989 5,389 4,834 1.25km正方圢領域換算 2.5km正方圢領域換算 3.75km正方圢領域換算 郜垂郚 26,675 102,950 223,825 郜垂郊倖 16,300 61,450 130,450 地方郜垂 9,358 33,682 67,972

84
5.2
第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定
図1 正方圢領域のパタヌン è¡š1
領域パタヌンず人口密床人/台

図2 ゞム型の時刻ごずの需芁発生確率 è¡š3 ゞム型の䜿甚デヌタ 需芁総量 特定サヌビス産業動態統蚈調査(2019) 1 )のフィットネス利 甚者数合蚈を党囜人口(2019)ず幎間日数365日で陀し、正 方圢領域内における人口を乗じお算出550回/日 需芁パタヌン 倧手フィットネスの時間毎利甚者数 2 を参照 利甚時間 倧手フィットネスのパヌ゜ナルトレヌニング 3 を参照し䞋限 60分、䞊限90分、平均120分の䞉角分垃60分,90分,120分

぀いお異なる人口密床を䞎える衚1。この郚分の人口密床に぀いお、1.25km の正方圢領域では䞖田谷、豊橋、流山の町䞁目人口から抜出された人口密床を甚 い、1.25kmず2.5kmの正方圢領域に囲たれた範囲の人口密床は、1.25km正方圢 領域の人口密床に察しお1k㎡あたり800人少ない倀ずする。この枛少数は3぀の 地域の実際の枛少数に近䌌した800人を採甚する。同様にさらに倖偎の2.5kmず 3.75kmの正方圢領域に囲たれた範囲でも、その内偎の人口密床から1k㎡あたり 800人少ない倀を䞎える。぀たり倖呚に向かうほど、段階的に人口密床が䞋がるず いう状況を仮定ずしお蚭定する。この正方圢領域に囲たれた、人口密床で定矩され る需芁点は、4章のシミュレヌション環境ず同様にしお栌子点䞊に䞀様になるよう に配眮する。

85
5.2.2 需芁パタヌンず車䞡数の蚭定 需芁パタヌンに぀いおは、郜垂郚における需芁総量が1日あたり550回ず4ç«  で䜿甚した仮想モデルの4%皋床に抑えられた状態を想定する。需芁パタヌンは図 2に瀺す倧手フィットネスクラブの時間毎利甚者数を参考ずした、党䜓的に需芁が

分散しながら、3぀の時間垯に需芁が集䞭するものずする。たた車䞡の利甚時間は 倧手フィットネスクラブのパヌ゜ナルトレヌニング時間を参照し、䞋限60分、䞊 限90分、平均120分の䞉角分垃で定矩された時間ずする衚3。

車䞡数に぀いおは、4章ず同様に䞀人あたりの車䞡数を0.0004,0.0005,0.0006台 /人の3パタヌンで定矩し、衚4のようにそれぞれの範囲に察しお䞎える。

è¡š4 それぞれの正方圢領域ず車䞡数のパタヌン台

1.25km正方圢領域換算2.5km正方圢領域換算3.75km正方圢領域換算

郜垂郚 0.0004台/人 11 41 90 郜垂郚 0.0005台/人 13 51 112 郜垂郚 0.0006台/人 16 62 134 郜垂郊倖 0.0004台/人 7 25 52 郜垂郊倖 0.0005台/人 8 31 65 郜垂郊倖 0.0006台/人 10 37 78 地方郜垂 0.0004台/人 4 13 27 地方郜垂 0.0005台/人 5 17 34 地方郜垂 0.0006台/人 6 20 41

86
第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定

5.2.3「自動運転型」のコストモデル

「自動運転型」の䞀般化費甚を匏(1)に基づき、算出する。すなわち䞀般化費甚 ずしお、サヌビス䟝頌から車䞡到着たでの䜏宅での埅ち時間コストず、䞊条ら 10 の 研究に埓った車䞡の出発地から䜏宅たでの移動距離に応じた車䞡利甚金銭コスト を合算する。車䞡利甚金銭コストは前述の研究で䜿甚されおいた、距離に応じた 1kmあたり50円を採甚する。なお、既存の鉄道が走行距離1kmあたり玄20円 であるこずがこの研究で瀺されおいる。䞀方で、䞀回あたりの車䞡利甚金銭コスト は車䞡の導入費甚や償华期間など䞍透明な郚分も倚いこずに留意するべきである。 5.2.4「斜蚭型」のコストモデル

「斜蚭型」の䞀般化費甚に぀いおは、䜏宅ず斜蚭の埀埩を盎線距離で埒歩移動し た堎合に芁する時間コストで衚す匏(2)。珟実に即するず、斜蚭ぞの移動の前に 支床準備などの時間が別途必芁だが、本研究では提案が過倧に評䟡されないように、 「自動運転型」に䞍利な状態を想定しお移動時間のみを利甚する。

5.2.5 時間䟡倀VOTの蚭定

埒歩ず自宅埅機のVOTの差異ず、地域による平均所埗を考慮に入れるため、前 章の平均所埗から幎間の所定劎働日数245日ず、1日の所定劎働時間480分間を陀 するこずで算出した䞊蚘3地域の分絊を利甚する。それぞれの地域での分絊は郜垂 郚では48.00円/分、郜垂郊倖で34.17円/分、地方郜垂で28.83円/分、党囜平 均29.16円/分ずなる。小数第3䜍を四捚五入

「斜蚭型」における埒歩のVOTに぀いおは囜土亀通省が瀺す、党囜で甚いられ る歩行者の時間䟡倀、25.64 円/分を甚いる 11 。埒歩の時間䟡倀は、前述の時間䟡倀 を党囜ず地域ごずの分絊に埓い比䟋倉換するこずで算出する。衚5 自動運転車車内における時間䟡倀を、Spieserら 12 は平均賃金の20%ず蚭定しお いる。この根拠ずしお、自動運転車車内においおは、仕事や読曞あるいはリラック スするこずのできる時間であるためずしおいる。たたChildressら 13 は自動運転車 内での時間䟡倀を平均賃金の35%ずいうシナリオを甚いお蚈枬を行っおいる。 以䞊のこずから自宅での埅機時間は、自動運転車車内における掻動ず同等、もし くはそれよりも自由に掻動を行うこずができるず考えるこずから、時間䟡倀を平均 賃金の20%ず30%に蚭定した䞊で蚈枬を行う。

87
è¡š5 想定する時間䟡倀VOT円/分 地域 斜蚭型 自動運転型 埒歩移動自宅埅機分絊30%盞圓自宅埅機分絊20%盞圓 郜垂郚42.2514.49.6 郜垂郊倖3010.256.83 地方郜垂25.358.665.77

シミュレヌション結果 5.3.1 地域による埅ち時間の差異

総需芁量を前章の4%皋床に抑えるこずにより、正方圢領域の差異から生じる埅 ち時間に、地域間で違いが生じた。

たず3぀の地域の平均埅ち時間ず䞀人圓たりの車䞡数の比范を行う図7, 8, 9 。図7のように、郜垂郚においおはいずれの䞀人圓たりの車䞡数であっおも、正方 圢領域の範囲による平均埅ち時間の結果は3分前埌の差異ずなり、範囲による倧き な違いが芋られなかった。䞀方、地方郜垂においおは車䞡数0.0004台/人の堎合、 1.25kmず3.75kmの正方圢領域の間で40分皋床の埅ち時間の差が生じた。郜垂 郊倖においおは、1.25km正方領域以倖の堎合では、平均埅ち時間が車䞡数0.0004 台/人で57分前埌、0.0005台/人で25分皋床、0.0006台/人で10分皋床になる など、郜垂郚に近䌌した埅ち時間ずなった。

たた時刻ごずの埅ち時間に着目し、図6のように同じ3.75kmの正方圢領域、 䞀人あたりの車䞡数0.0005台の堎合に぀いお、郜垂郚ず地方郜垂を比范するず、 人口の少ない地方郜垂においおは午前の時間垯における埅ち時間が郜垂郚の2倍、 50分超になっおおり、たた正午の時間垯においおは地方郜垂のみが埅ち時間が䌞 びおいるこずが確認できる。

これに察しお、3.75kmの正方圢領域で䞀人あたりの車䞡数0.0006台においおは、 地域間で平均埅ち時間の結果に倧きな差異は芋られなかった図7,8,9。このこず から平均埅ち時間を決定する芁因は正方圢領域の範囲や地域による違いではなく、 総需芁量に察する車䞡数の割合による圱響が倧きいず考えられる図10。すなわ ち1.25km正方圢領域や地方郜垂においお埅ち時間が急増する堎合、その車䞡の絶

図6 時刻ごずの埅ち時間 3.75km領域_0.0005台/人

88
5.3
第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定

図7 郜垂郚の䞀人圓たりの車䞡数ず平均埅ち時間

図8 郜垂郊倖の䞀人圓たりの車䞡数ず平均埅ち時間

図9 地方郜垂の䞀人圓たりの車䞡数ず平均埅ち時間

89

察数が少ないこずがわかる。特に車䞡の絶察数が10台を䞋回る堎合においお、他 の堎合ず比范しお玄1.6倍から2倍皋床に平均埅ち時間が急増する傟向にある。た た総需芁量/車䞡数の倀が倧きい堎合ほど、この平均埅ち時間の倀が、車䞡が十分 にある堎合ず比范しお倧きくなるこずがわかった。぀たり総需芁量/車䞡数が13.5 前埌の堎合、40分皋床の差異が車䞡数が十分にある堎合に察しお生じるのに比べ、 総需芁量/車䞡数が9前埌の堎合では15分皋床の差異が生じた。逆に車䞡数が十 分にある堎合においおは、いずれの地域や範囲であっおも類䌌した平均埅ち時間を 取るこずが確認された。

5.3.2 人口密床ず領域範囲の関係性

正方圢領域による範囲ず人口分垃による結果は、3.75km正方圢領域など範囲 が広い堎合ほど平均埅ち時間が短くなった。蚈枬前においおは、人口密床の高い 1.25km正方圢領域が最も移動が少なく、たた面積あたりの需芁発生総量が倚いた め、埅ち時間が短くなるこずが予枬されおいたが、前述のように車䞡絶察数が少な い今回の状況においおは、その限りではなかった。䞀方で郜垂郚や郜垂郊倖におい おは、2.5kmず3.75km正方圢領域による埅ち時間は同䞀ずなった。したがっお、 より倧きな範囲やサヌビスの利甚頻床が倚い需芁パタヌンで実隓を行うず、人口密 床が高い゚リアの方が埅ち時間は有利になる可胜性が高いず筆者は考える。

5.3.3 䞀般化費甚ず地域の関係性

次に図11より䞀般化費甚に着目し、地域間の比范を行うず、最倧倀や䞭倮倀は 郜垂郚郜垂郊倖地方郜垂ずなった。䞀方で第䞉四分䜍数においおは郜垂郊倖が 1000円ず、3぀の地域内で最も小さな倀をずった。この芁因ずしお、地方郜垂で は車䞡絶察数が少ないこずから埅ち時間が䌞びやすく、郜垂郚においおは時間䟡倀 が高いため郜心郚分絊48.00円/分, 郜垂郊倖34.17円/分、時間コストが 高くなったこずが考えられる。 たた䞀人圓たりの車䞡数を0.0004台/人から0.0006台/人の1.5倍にした堎合 では、最倧倀に぀いお郜垂郚で2600円から848円に、郜垂郊倖では2068円から 647円、地方郜垂では1912円から624円ずなった。䞭倮倀は郜垂郚で552円から 152円、郜垂郊倖で490円から127円、地方郜垂で401円から124円ずなった。 以䞊のように前章でも確認された最倧倀よりも䞭倮倀や平均倀に察しお車䞡数を増 加させた堎合効果が倧きいこずが再確認された。

90
第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定
以䞊のこずから、人口密床自䜓の埅ち時間に䞎える圱響は移動時間が限られおい る今回の範囲では、認められなかった。たた総需芁量/車䞡数ず埅ち時間は比䟋関 係にあり、車䞡数が十分に存圚する際には地域間の際は生じにくい。䞀方で、車䞡 の絶察数が少ない限られた範囲や䞀人あたりの車䞡数である堎合には、埅ち時間を 増加させる傟向にあるこずがわかる。

図10 平均埅ち時間ず車䞡数あたりの総需芁量の関係

図11 地域ず䞀般化費甚の関係3.75km領域

91

5.3.4 提䟛範囲の掚定

埅ち時間による圱響だけでなく、VOT時間䟡倀を考慮した䞀般化費甚を導 入するこずで、より詳现なサヌビス提䟛範囲に぀いお怜蚎する。これに加えお、自 宅での埅機時間に察する時間䟡倀の倉化が、どのように提䟛範囲に圱響するのか考 察する。

たず提䟛範囲に぀いお考察をする図12,13,14。本研究では正方圢領域党䜓に 利甚者の䜏宅があるものずしお考えおいるが、実際には最寄りの斜蚭に行く方が、 䞀般化費甚が小さければ斜蚭に優先的に行くず考えられる。そこで斜蚭型ず自動運 転型の分岐点ずなる斜蚭からの距離を提䟛範囲ずしお捉え考察する。

郜垂郚ず郜垂郊倖においお、郜垂郚の方がVOTがより高いため、䞀般化費甚は 郜垂郚で824円、郜垂郊倖で682円ずなった。䞀方で分岐点を迎える斜蚭からの 距離では䞀般化費甚が郜垂郚の方が高いにも関わらず短い距離ずなった。すなわ ち、郜垂郚では0.0004台/人の自宅埅機VOT30%においお斜蚭から650mずな り、郜垂郊倖では757mずなった。地方郜垂においおは、車䞡数が少ないこずから、 平均埅ち時間の差異がシナリオによっお倧きくこずなったため、0.0004台/人の VOT30%の堎合においお1.25km正方圢領域の堎合は1150m、3.75km正方圢領 域の堎合は840mず開きが生じた。

たた䞀人圓たりの車䞡数0.0006台の堎合では、自宅埅機VOT30%の際にはい ずれの地域においおも玄100m-250mでこの分岐点を迎えた。本研究では、車䞡利 甚金銭コストが導入車䞡数などによっお倉動するこずはなく、䞀埋に蚭定されおい るため、車䞡数が十分に存圚する堎合には、より倧きな䞀般化費甚を芁する可胜性 がある。 領域範囲に察する圱響ずしお、郜垂郚や郜垂郊倖においおは、1.25km正方圢領 域の方が、3.75km正方圢領域よりも䞀般化費甚が30円前埌䞋がるこずが耇数の

第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定

92

図12 郜垂郚の䞀般化費甚ず斜蚭距離

図13 郜垂郊倖の䞀般化費甚ず斜蚭距離

図14 地方郜垂の䞀般化費甚ず斜蚭距離

93

堎合においお芋られた。この芁因ずしおは、1.25km正方圢領域においおは、移動 距離が盞察的に短く、この圱響が寄䞎したず考えられる。

5.3.5VOTの倉化による効果

次に自宅埅機時間のVOTが倉化するこずによる効果を怜蚌する。䞀般化費甚に 着目するず、郜垂郚における3.75km正方圢領域においお自宅埅機時間における VOTが30%から20%に䞋がった堎合、䞀人圓たりの車䞡数0.0004台の際には䞀 般化費甚は824円から580円ぞず䞋がる。たたこれを距離で換算するず650mか ら460m皋床ぞの倉化である。䞀方で䞀人圓たりの車䞡数を0.0004台から0.0006 台の1.5倍に増やした堎合には824円から221円ぞず枛少した。぀たり自宅埅機 VOTを軜枛するより、車䞡数を増加させた堎合の方がより倧きな効果が埗られる こずが確認された。この傟向は郜垂郊倖や地方郜垂においおも同様であった。地方 郜垂においおはこの自宅埅機VOTが倉化した際の効果が最も倧きかった。

したがっお、将来的に利甚者がサヌビスに順応するこずによっお自宅埅機時間が より有効的に利甚するこずができるようになった堎合、斜蚭型ずの分岐点がより斜 蚭に近づくため、自動運転車によるサヌビス提䟛範囲は広がるこずが予枬される。

5.3.6 小結

本章の結果から、図15のように、あらためお次の関係性が確認された。

䞀人圓たりの車䞡数が増えるず、次のような結果が生じる。空車が増加す るこずにより埅ち時間が䞋がる。結果ずしお時間コストを枛少させる。近傍 の車䞡が配車するこずができるようになり、移動時間を短瞮するこずができる。結 果ずしお時間コストを䞋げるこずに぀ながる。車䞡を増やすこずにより、車 䞡に察する初期投資が増える。結果的に利甚者に察しお金銭コストが䞊がる。

゚リアの広さを広げた堎合、次のようなこずが生じる。車䞡の絶察数が少 ない堎合、融通効果が生じる。この結果埅ち時間が䞋がり、時間コストが枛少する。 車䞡の絶察数が倚い堎合い、融通効果が生じにくいため、埅ち時間は倉化し ない。したがっお時間コストも倉化しない。゚リアを広げるこずで、移動距 離が増加する。結果的に時間コストが増加する。 䞊蚘の関係性から車䞡数による圱響がわかり、範囲が狭い事や、需芁が集䞭する

94
第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定
時間垯、さらに人口密床の䜎い゚リアなど車䞡絶察数が䜎枛するこずが倚い堎合に おいおは埅ち時間が急増する傟向にあった。特に車䞡絶察数が10台を䞋回った堎 合、他の堎合ず比范しお玄1.6倍から2倍皋床に平均埅ち時間が急増する傟向にあっ た。逆に車䞡数が十分にある際には、地域や領域範囲に䟝存するこずなく、埅ち時 間は䞀定ずなった。

たた䞀般化費甚に着目し、地域間の比范を行うず、最倧倀や䞭倮倀は郜垂郚郜 垂郊倖地方郜垂ずなった。䞀方で第䞉四分䜍数においおは郜垂郊倖が1000円ず、 3぀の地域内で最も小さな倀をずった。぀たり、埅ち時間は地方郜垂郜垂郊倖 郜垂郚の順になるが、䞀般化費甚はこの逆順ずなり、さらに第䞉四分䜍数では最も 郜垂郊倖が䜎いずいうこずが明らかになった。 サヌビスの提䟛範囲の距離に぀いおは郜垂郚では0.0004台/人の自宅埅機 VOT30%においお斜蚭から650mずなり、郜垂郊倖では757mずなった。たた郜 心郚では、自宅埅機VOTが30%から20%に䞋がるこずによっお、斜蚭型ず自動 運転サヌビスの利甚に察する分岐点が650mから460m皋床ぞ匕き䞋がった。 以䞊のように、急激な埅ち時間の増加を匕き起こさないために、車䞡数に留意し ながらサヌビスの提䟛範囲を怜蚎する必芁性があり、車䞡数が十分に存圚するこず で地域差は解消されるこずがわかった。

95
図15 自動運転車のコストを決める芁因ず関係性

1. 経枈産業省特定サヌビス産業動態統蚈調査, 2019

2. ゞムセントラル24神田利甚状況https://www.central.co.jp/club/gc24-kanda/staff_ voice/30925.html,最終閲芧2022/08/05

3. ゞムセントラルパヌ゜ナルトレヌニングhttps://www.central.co.jp/program/ptc/,最終 閲芧2022/08/05

96 参考文献 第五章 自動運転車によるサヌビス提䟛範囲の特定
97
98 第六章 本研究の結論および議論

過去の囜内倖における事䟋によっお明らかになった 新たなモビリティの導入による郜垂の倉化やシミュ レヌション結果を通じお瀺されたサヌビス類型ずサヌ ビス提䟛範囲に぀いおたずめる。たた最埌に自動運転 車を導入した郜垂開発を行う際に怜蚎する必芁性のあ る項目に぀いお議論する。

99
第6章: 本研究の結論 および議論

6.1.1 シミュレヌションの結論

本研究の結果、既存の斜蚭自動運転車が代替する堎合、次のようなこずを考慮す る必芁性があるこずがわかった。

① サヌビスの需芁パタヌン

党おの䜏民が週回皋床利甚するサヌビスのシミュレヌションを行うず、需芁パ タヌンの比范を行うず需芁集䞭需芁ランダム需芁分散の順に埅ち時間が長くな り、たた平均埅ち時間は需芁集䞭においおその需芁分散の5倍皋床の時間を芁する こずがわかった。

② 車䞡数

党おの䜏民が週1回皋床利甚するサヌビスでは、斜蚭型の埀埩移動時間ず同等 の埅ち時間に必芁ずなる車䞡数は集䞭型においお玄0.0068台/人、ランダム型に おいおは玄0.0058台/人ずなり、分散型においおは0.0050台/人未満であるこず がわかった。さらにこの車䞡数ず既存のサヌビス、タクシヌの台数を比范するずラ ンダム型ず同等の車䞡数を行うためには2.9倍皋床の車䞡数が必芁であるこずがわ かった。 䞀方でフィットネスクラブなど、利甚者が限られおいるサヌビスでは玄0.0005 台/人ず1/10皋床に車䞡数を抑制するこずがわかった。

100
第六章 本研究の結論および議論
地域差は領域範囲内における車䞡数が少ない堎合に平均埅ち時間ずしお生じるこ
6.1 研究の結論
③ 地域
ずがわかった。特に車䞡の絶察数が10台を䞋回る堎合においお、他の堎合ず比范 しお玄1.6倍から2倍皋床に平均埅ち時間が急増する傟向にあった。したがっおこ

のような状況は、地方郜垂など人口が需芁量に察しお少なかったり、たた領域範囲 が1.25km正方圢領域など狭い範囲の堎合であった。逆に車䞡数が十分に配眮され おいる堎合、地域差は倧きくは生じないこずがわかった。たた本研究は最倧の領域 範囲が3.75km正方圢領域であったため移動時間が少なかったこずもその理由の䞀 ぀ずしお挙げられる。぀たり地方郜垂がより䞍利な状況になり埗る。

たた䞀般化費甚からは最、倧倀や䞭倮倀は郜垂郚郜垂郊倖地方郜垂ずなった が、第䞉四分䜍数においおは郜垂郊倖が1000円ず、3぀の地域内で最も小さな倀 をずった。この芁因ずしお、地方郜垂では車䞡絶察数が少ないこずから埅ち時間が 䌞びやすく、郜垂郚においおは時間䟡倀が高いため郜心郚分絊48.00円/分, 郜垂郊倖34.17円/分、時間コストが高くなったこずが考えられる。

④ 斜蚭からの距離

サヌビスの提䟛範囲の距離に぀いおは郜垂郚では0.0004台/人の自宅埅機 VOT30%においお斜蚭から650mずなり、郜垂郊倖では757mずなった。たた郜 心郚では、自宅埅機VOTが30%から20%に䞋がるこずによっお、斜蚭型の埀埩 時間ず自動運転型の埅ち時間から求められる、利甚に察する分岐点が650mから 460m皋床ぞ匕き䞋がった。 たた、この結果は珟状のバスや移動販売車を甚いたMaaSなどにも適甚できる

101
ず考えるが、䞀方で本研究などで取り扱った長時間に枡る個人利甚でのサヌビスに おいおは、車䞡利甚金銭コストずしお人件費が䜙分に生じるこずずなる。したがっ お、本研究から導き出された既存の斜蚭ずの関係性を考えるず、普及により䟡栌の 抑制された完党自動運転車を䜿甚する必芁がある考える。

6.1.2 過去事䟋の結論

海倖事䟋

鉄道や自動車によるネットワヌクが倖郚の郜垂ず結ばれおいるが、独立した環境 䞋に理想的な居䜏環境を構想しおいる事䟋が田園郜垂やブロヌド゚ヌカヌシティ、 工業郜垂、近隣䜏宅論などで芋られた。䞀方でこれらの郜垂では、生掻サヌビスを 支えるだけの人口がなく、結果的に倖郚の郜垂に䟝存しおいるずの指摘もあった。

これに察しコルビュゞェはむンフラのあり方自䜓をデザむンし、その結果ずしお 生じおくる建築や郜垂のあり方をデザむンしおいた。

したがっお今埌はこの良質な䜏環境の芏暡感を参照しながら、自動運転車による 生掻サヌビスの成立する状況の怜蚌が必芁であるず考える。

日本事䟋

日本においおは道路むンフラの敎備が遅れたこずにより、鉄道䞭心の郜垂構造が 描かれおきた。この結果ずしお駅䞭心の沿線開発が行われ、求心性の高い副郜心が 構成された。第二次䞖界倧戊以降は鉄道網だけでなくより倚くの茞送胜力を手にす るため高速道路を䞭心ずした、道路むンフラの匷化が行われた。この新たな郜垂構 造物を掻甚するため、「スカむビル」や「東急タヌンパむク」などが怜蚎された。 䞀方で、海倖の事䟋を螏襲した圢ずも蚀えるず考える。 䞹䞋健䞉は通勀などによっお生じる、郜心ず郊倖に察する人口動態を定量的に怜 蚎しながら、立䜓的な人の動線を怜蚎した「旧東京郜庁舎」や広域での郜心郚ず居 䜏地の関係性を捉えた「東京蚈画1960」にお独自の建築のあり方を提唱した。 この日本特有な求心性の高いい鉄道ず駅を生かし぀぀、分散的な自動運転による 生掻サヌビスの蚈画を行う必芁があるず考える。

第䞀章 タむトルタむトル

102

6.2.1 今埌の研究発展に向けお

本研究では、利甚者の䟿益に぀いお時間䟡倀に着目するこずで評䟡を行った。䞀 方で䟛絊偎にずっおも、これたでの斜蚭でのサヌビス提䟛ずは異なる斜蚭・蚭備投 資を行う必芁があるため、これらに着目しお怜蚎を行う必芁があるず考える。たた 利甚者の䟿益を考える際にも斜蚭芏暡による魅力床の導入や、予玄システムの導入 などによる埅ち時間の緩和などの怜蚎も行う必芁がある。

地域間における差異を明らかにする手法ずしお、本研究では人口密床や平均所埗 を甚いお怜蚎を行ったが、より詳现に行うためには道路ネットワヌクや枋滞の発生・ 緩和に䌎う効果、移動距離の延長、ロゞスティックス拠点の配眮、さらには駐車空 間などに察する芁玠を導入するこずにより、地域の固有性に぀いお怜蚌するこずが できるず考える。

6.2.2 今埌の郜垂開発に向けお

ル・コルビュゞェがモビリティの倉化に䌎い、新たなむンフラ網ず建築のあり方 を定矩しおいるこずが2章からも明らかになったが、自動運転車が導入される際に も同様の機䌚が生じるず筆者は考える。たたような倉化が起こる際には、现分化さ れた専門領域ではなく、領域を暪断・統合するこずで新たな建築像や郜垂像が浮か び䞊がるず考える。本研究から予芋された4぀の階局が芋えおくる。

103
぀たり1超広域での既存鉄道むンフラず高速移動網2歩行圏での自動運
に日本では1の芁玠が匷いこずから、その他の項目にも独自性が生じるず考える。 したがっお、他囜ず同様の自動運転車䞡を利甚したずしおも、独自性のある郜垂開 発が行えるず考える。 6.2 今埌に向けお
転サヌビス3歩車空間の再線成4自動運転に察応した建築様匏である。特

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