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警告を出すタイミングを見極める 危険マスクを適切に判別するには Jerry Huang, Lan-Hsin Peng, and Chih-Wei Chu, ProMOS Technologies Kaustuve Bhattacharyya, Ben Eynon, Farzin Mirzaagha, Tony Dibiase, Kong Son, Jackie Cheng, Ellison Chen, Den Wang, KLA-Tencor 社

マスクの進行性欠陥は、マスクの信頼性に関わる業界全体の深刻な問題です。このような問題は、遠紫外線 (DUV) リソグラフィを実施している高コストのハイエンドマスクでは特に深刻です。そのような場合でも、工場 では、問題のマスクがプロセスウィンドウに影響を及ぼし始める直前まで使い続けることを望んでいます。この 研究によって、微小な進行性欠陥はフォーカス/露光条件が適切であればウェーハに転写されることはないが、 それでもプロセスウィンドウに影響を与え、プロセスウィンドウを大幅に狭めるということが明らかになりまし た。高解像度でのレチクルの直接検査により、これらの欠陥を早期に発見することはできますが、いまだに欠陥 マスクの効果的な判定方法を模索している工場が多いことも事実です。本文では、あるリソグラフィ欠陥検出ツ ールを評価して、このような進行性のマスク欠陥の致命度の予測可能性を考察した結果を報告します。 マスク欠陥の増大要因を調査する

一般的なウエハファブでは、多くのマス クは継続した使用後も異物問題と無縁で す。つまり、クリーンな状態を保ってい ます。平均では、波長365 nmリソグラフ ィによるバイナリマスクの約1%、また DUVリソグラフィによるハーフトーン位 相シフトマスク (EPSM) の約6~15%で、 製造工程でマスクを使用している間に欠 陥が増大する問題が発生しています1,2。 マスクを高解像度で直接検査すれば、こ のような欠陥マスクを適切に検出できま す。しかし、この欠陥増大の度合いは、 マスクによっては深刻なものになり、マ スクのパターン面に数千もの結晶成長型 の実欠陥が発生します。その結果、この

ような問題マスクの欠陥レビューセッションは非常 に難しくなります。KLA-TencorのSTARlight マスク 検査ツールは、欠陥のサイズやマスクのタイプ (遮 光部、透過部、ハーフトーンなど) 別に欠陥をビニ ングする機能があります。欠陥数がある程度であれ ば、この機能を使って効果的にマスクの良否判定を 行うことができます。しかし、総欠陥数が多い場 合、従来のレビュー技術によるレビューセッション は非常に長い時間を要します。今回、新登場のTeraScan STARlight (以下、“SL2”) のマスク誤差増大要 因 (MEEF) をベースとした検出ツールを評価して、 SL2で捕捉された数千単位の総欠陥数から重要な対 象欠陥のみを抽出できるかどうかを検証することに しました。 次の図1は、入荷時の検査ではクリーンな状態のマスク が、量産環境でマスクを20日間使用した後で、深刻な欠

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陥増大が発生したことを示しています。左側にあるマ スク画像の欠陥は容易にひとつひとつレビューできます が、右側のマスク画像の総欠陥数は膨大で、人による個 々のレビューはほぼ不可能です。したがって、より自動 的に欠陥をレビューする方法が必要です。 プロセスウィンドウへの影響

プロセスウィンドウ内の微小な進行性欠陥の影響を 把握することは特別重要です。ウェーハに転写される (プロセスウィンドウを消滅させる) 重大なマスク欠陥 もあれば、まったく影響を与えない欠陥もあります。 しかし、このように欠陥の多いマスクでは、その多く が中間に属しています。このようなどちらともつかな い欠陥はプロセスウィンドウを完全に消滅させないま でも、狭める可能性があります。少しのプロセスウィ ンドウの縮小も潜在的な問題を抱えるため、この視点 からマスク欠陥の致命度を検証する必要があります。

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ことがわかります。欠陥の発生場所とサイズが同じで もマスクのハーフピッチが小さいと、欠陥がウェーハ 上にブリッジを引き起こす確率は高くなります。これ は、旧デザインノード (135 nmハーフピッチプロセスな ど) では問題を発生しなかったマスク欠陥 (図2の欠陥 サイズ120 nmに注目) が、プロセスパターンの微細化と MEEF値の増加によって、先端デザインノード (90 nmハ ーフピッチ) のプロセスウィンドウに影響を与えるかも しれないことを意味します。欠陥サイズが200 nmになる と、プロセスウィンドウは完全に消滅してしまいます。

波長193nm露光とNA0.75によるシミュレーション結果

図3および4は、マスク上の120 nm欠陥がプロセスウィン ドウに与える影響を示しています。デザインルールの高 集積化によって、欠陥の致命度は増大します。

焦点

露光

また、異物欠陥の中には透明なものがあり、この場合は 位相欠陥と解釈されるため、純粋にサイズの点から欠 陥を検証するだけでは不十分です。欠陥サイズ、透過 損失、および欠陥の発生場所を考慮して初めて欠陥の致 命度を正確に把握できることを念頭に置く必要がありま す。それが、MEEF測定ベースのビニング機能が必須で ある理由です。 図2のシミュレーション画像を見ると、マスクおよび欠 陥の発生場所のハーフピッチが大きな影響を与えている

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図3:ハーフピッチ135 nmプロセスでは、120 nmマスク欠陥はプロセスウィンド Focus ウに影響を与えない

Mask defect

Defect size (on mask)

K1 factor

135nm

120nm

0.52

135nm

200nm

0.52

135nm

320nm

0.52

90nm

120nm

0.35

Wafer image

Exposure

Half pitch

図4:ハーフピッチ90 nmのプロセスでは、120 nmマスク欠陥がプロセスウ ィンドウを大幅に縮小

90nm

200nm

0.35

図2:ウェーハ上でシミュレーションしたマスク欠陥 – MEEF値と欠陥サイズの影響

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次の図では、マスク欠陥のサイズが200 nmまで大 きくなると、ハーフピッチ90 nmのプロセスではプ ロセスウィンドウが完全に消滅することがわかり ます。


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図7:プロセスウィンドウに影響を与えるマスク欠陥 – CD SEMツールによる ウェーハ画像 図5:90 nmハーフピッチプロセスでは、200 nmマスク欠陥がプロセスウィ ンドウが完全に消滅させる

マスク欠陥の転写とプロセスウィンドウ 110 nmノードによる波長193 nmのEPSMを検査し、露光 量マトリックスに従ってマスクを露光しました。露光 量は±20%変化させました。結果は次のとおりです。

欠陥検出ディテクターを開発する

今回の研究で評価対象としたのはKLA-TencorのTeraScanマスク検査ツールの、Litho3およびReviewSmartとい う機能です。本文では、新しいTeraScan STARlight (SL2) を 使用した暫定的な結果を報告します。本格的な評価は 本研究の範囲外であり、多様なマスクレイヤおよびノ ードに対する同検出ツールの効果を把握するには、今 後も広範囲な評価が必要になると思われます。

Litho3

欠陥サイズ、透過損失、および欠陥の発生場所とい う情報が揃わないと、欠陥の致命度を正確に予測す ることはできません。そのため、検査時に自動的に MEEF値に連動して実行するリソグラフィタイプ検 出ディテクター(Litho3) を開発しました。Litho3は、 適切にセットアップすることによって、重大欠陥を 1つのビンに集約することができます。Litho3は、次 のコンセプトに基づいて開発されています。

図6:ウェーハにマスク欠陥が転写

露光量マトリックスに従ってこのマスクを露光し た結果、微細な欠陥でもプロセスウィンドウに影 響を及ぼすことが判明しました。露光量が少し でも不足すると、マスク欠陥の転写が認められま す。つまり、最適な露光条件の露光量からわずか 5%減少しても、欠陥の転写性が増加しました。 異物欠陥の転写性を予測するには、今後も継続的な 調査が必要です。本研究において筆者らが目的とし ているのは、マスク欠陥の適切な判断方法を確立す る、つまり、マスクが量産に適しているかどうかの 判断の目安となる基準を設定することでした。本研 究では、TeraScan検査装置から得られたマスクの光 学画像を使用し、処理能力の高い欠陥検出およびレ ビュー機能を開発することを目的としました。

a. マスクパターンおよびリソグラフィのコンテキ ストに連動して検査実行時に動作する専用ディ テクターを有すること。 b. 同じサイズおよび強度の欠陥でも、欠陥の発生 場所のMEEF値に基づいてそれぞれ異なるビンに 分類すること。つまり、MEEF値が高い領域にあ る欠陥を専用リソグラフィビンに分類し、サイ ズと信号強度は同じでもMEEF値が低い領域にあ る欠陥はこの専用ビンには分類しない。 Litho3を正しくセットアップすれば、重要な欠陥は この専用ビンに分類されます。このビンを制御する しきい値はセットアップ時にユーザが定義できま す。初期評価では期待の持てる結果が出ました。 次の図に示すマスクには約700の欠陥があります。 Litho3を実行することにより、これらの欠陥の一部を専 Spring 2006

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ReviewSmart

ReviewSmart検出ツールは、類似する欠陥をさらに 効果的にビニングする目的で開発されました3。ReviewSmartは、オペレータが指定したしきい値を使用す ることによって、リソグラフィの観点からどの欠陥 が類似しているかを特定します。さらに、これらの 類似欠陥は同グループにビニングされます。多数の 欠陥でもわずか数個のグループにビニングされ、各 グループに分類された欠陥は重大度別にランク付け されます。これらはすべて、検査実行時並行して実 行され、しかも検査時間にほとんど影響がありませ ん。検査終了後、オペレータはグループ分けされた 欠陥をグループごとに分類していきます。以下は欠 陥の多いマスクのサンプルです。このサンプルでReviewSmartは、重要度の低いオープンエリア上の微小な 結晶成長型欠陥と、高集積度パターン上の欠陥を効 果的にビニングし、それぞれの欠陥を別個のグルー プに分類しています。 結論 図 8:TeraScan SL2システムのLitho3ディテクターによる重大欠陥のビニン グ (赤色)

用ビンに分類することができました。この専用ビンに 分類された欠陥は現実に重大であり、次の図のように 表出しました。重大欠陥はわかりやすいように赤で示 してあります。重大欠陥以外の欠陥は黄色と緑色で示 しています。専用ビン基準を厳しく設定して赤いビン に分類する欠陥を少なくすることもできますが、その 際は設定を慎重に行う必要があります。

結晶成長やヘイズなどの進行性のマスク欠陥は引き 続き業界にとって脅威となっています。解像度要求 が厳しくなり、IC業界は非常に低いK1係数を持つリ ソグラフィプロセスを導入しようとしています。そ の結果、マスク上の誤差がウエハ上のパターンに与 える影響が大きくなっています(MEEF値の増大)。波 長193 nmのEPSMに関するシミュレーションデータや 実際の転写テストによって、マスク上の欠陥によっ てはウェーハに転写されてプロセスウィンドウを消 滅させるものと、まったく影響を及ぼさないものが あることが判明しました。しかし、 これらの中間に属する欠陥でも、露 光量が少しでも不足するとプロセス ウィンドウへの影響があることも明 らかになっています。このような欠 陥はプロセスウィンドウを完全に消 滅させないまでも縮小させます。プ ロセスウィンドウの縮小が問題を引 き起こすという可能性を考慮し、こ の観点からマスク欠陥の致命度を検 証する必要があります。 進行性欠陥の問題は、マスクの特 定の割合 (1~15%) で認められます。 高解像度によるマスク検査を実施 すれば、このような欠陥問題を検 出することは可能ですが、初期段 階では欠陥が形成途上にあり、光 を通してしまいます。マスク検査 ツールによる欠陥レビューにおい て、このような初期段階にある大

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量の欠陥から重大欠陥を識別することは容易ではあ りません。マスク上に多数の欠陥(基本的に進行性欠 陥)が発生している場合、マスク欠陥の分類作業は非 常に長い時間を要します。欠陥の多いマスクを適切 に判断するには、マスクが量産に適しているかどう かの判断の目安となる基準を慎重に設定する必要が あります。 本研究で開発して試験を実施した新しい“Litho3”リソ グラフィ欠陥検出ディテクターは、異物欠陥のみを 検査対象としています。量産環境にこのツールを導 入するには、同ツールの微調整のために初期評価が 必要となるでしょう。本研究により、製造工場での マスクの良否判断に役立つツールの開発に明るい前 途を見出すことができました。ただし、理想的なデ ィテクターセッティングを開発して用途を体系化す るために、今後数ヶ月で取り組む予定です。 謝辞

本研究に取り組むにあたり、次の方々から支援、協力を いただきました。この場を借りて感謝の意を表します。 KLA-TencorのWilliam Volk氏、Qiang Li氏、Steven Labovitz氏、Ching Yun Hsiang氏、Paul Yu氏、Amir Azordegan氏、Zhian Guo氏。

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Farzin Mirzaagha氏、Tony Dibiase氏、 Kong Son氏、 Jackie Cheng氏、Ellison Chen氏 およびDen Wang氏、 第25回フォトマスク技術に関する年次BACUSシ ンポジウムにおける、写真・光化学計測技術者 協会事務弁護士Patrick M. Martin氏、J. Tracy Weed氏 編纂危険マスクの判別 Vol. 5992, 59921X, (2005) CID# 599206 参考文献 1. K. Bhattacharyya, M. Eickhoff, Mark Ma, Sylvia Pas, A Reticle Quality Management Strategy in Wafer Fabs Addressing Progressive Mask Defect Growth Problem at low k1 Lithography, Photomask Japan, 2005 2. K. Bhattacharyya, K. Son, B. Eynon, D. Gudmundsson, C. Jaehnert, D. Uhlig, A Reticle Quality Management Strategy in Wafer Fabs Addressing Progressive Mask Defect Growth Problem at low k1 Lithography, BACUS Symposium on Photomask Technology, 2004 3. P. Yu, V. Hsu, E. Chen, R. Lai, K. Son, W. Ma, P. Chang, J. Chen, Implementation of an Efficient Defect Classification Methodology for Advanced Reticle Inspection, Photomask Japan, 2005

Jerry Huang氏、Lan-Hsin Peng氏 および Chih-Wei Chu氏、Kaustuve Bhattacharyya氏、 Ben Eynon氏、

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