Rin NISHIYAMA Portfolio -Architecture-

Page 1

PO R T F O L I O 2 0 1 8

Rin.N ARCHITECTURE



TABLE OF CONTENTS Profile 0

R i n Ni shiyama

2

Works -ARCHITECTURE1

望郷の半島

2

P OR TAL

44

3

光降る静寂

58

4

風の子幼稚園

74

5

滲みゆく縁

84

6


PROFILE

RIN NISHIYAMA


HISTORY 20 1 5 -

INTRODUCTION

京 都 工 芸 繊 維 大 学 デ ザ イ ン 建 築 学課程

1996 年 10 月愛媛県松山市にて生まれる。 香川県、愛媛県の豊かな自然の中で育つ。父が美術

20 1 2 - 2 0 1 5

愛 媛 県 立 松 山 東 高 等学校

20 0 9 - 2 0 1 2

愛 媛 大 学 教 育 学 部 付 属中学校

館スタッフボランティアを長年続けており、幼少期 から様々な美術館に連れられていた。特に、香川県 に住んでいた際、谷口吉生氏の猪熊源一郎美術館に

20 0 8

愛 媛 県 ふ る さ と 学 習 作 品展にて 丹 下 健 三 氏 に 関 す る 研 究が入賞

19 9 6

愛 媛 県 松 山 市 にて誕生

行く機会が多く、谷口氏のワークショップなどにも 参加した。それらの経緯から自然と建築に興味を抱 き、丹下健三氏に関する自由研究や、実家の新築を 経て建築家を志す。

ACTIVITY

高校時に友人の誘いをきっかけに俳句部に入部、現 代俳句という情緒だけにとどまらない、自然と主観、

研 究 室 : 田 原 ・ 笠原 研 究 室 ( 保 存 再 生 学 )

虚と実の世界を扱う厳格で自由、そして豊かな文学

サ ー ク ル 活 動 : 加子 母 木 匠 塾 / 軽 音 楽 部

体験に魅了され、以降俳句の世界に没頭する。そこ

アルバイト:Bijuu(Designers hotel)

で培った物事の見方、感性、ミニマルな豊かさ、情

T e r m i n a l 0 1 建 築 設 計 事 務 所 ( 模型製作 )

緒に対する興味をバックグラウンドに建築設計に取 り組む。

COMPETITION

好きな建築家 LOUIS KAHN,PETER ZUMTHOR,ALBERTO CAMPO

三年次 産 学 連 携 デ ザ イ ンフ ォ ー ラ ム ( 清 水 建 設 コ ン ペ)

BAEZA,BAROZZI VEIGA 谷口吉生、槇文彦、三分一博志

一 次 審 査 通 過 四年次 PO L U S 学 生 ・ 建 築 デ ザ イ ン コ ン ペ テ ィ シ ョ ン → 実 物 権 化 プ ロ ジ ェ ク ト 候 補

好きな建築 猪熊源一郎美術館 , 東京カテドラル聖マリア大聖堂 , 森の火葬場 , バングラディシュ国会議事堂 象徴性のある建築 , 息をのむような支配的な空間



Works -ARCHITECTURE-


望郷の半島

愛媛県八幡浜市保内町における葬祭場の計画

卒業設計 優秀賞 2018 四回後期

極 め て 非 日 常 的 な 「 死 」 の ため の空 間で あり 、忌 避の 対象 であ る葬 祭場 は町 の 文脈から追い出された。 し か し 、 あ ま り に 「 死 = 穢 れ」 とし て遠 ざけ た結 果、「 死」 は故 人の 「生 」か ら 切 り 離 さ れ 、 葬 祭 場 は 生 者か ら死 者へ の一 方的 な別 れを 告げ る場 にな って し まった。 死 者 は 物 を 言 わ な い 。 し か し魂 が存 在す るな らば 、肉 体が 滅さ れ天 へ上 ると き 眼 下 の 風 景 を 見 て い る だ ろ う。 私は 、そ こに 広が る風 景が 見知 らぬ 土地 であ る ことに違和感を感じる。 こ の 計 画 で は 町 と 正 対 す る 半島 に葬 祭場 を設 計す る。 死 者 の 魂 が 昇 る と き 、 愛 し た街 を見 つめ てい られ るよ うに 。長 年連 れ添 った 家 や 、 世 話 に な っ た 仕 事 場 、 足し げく 通っ たお 店に 別れ を告 げら れる よう に。 そ し て 会 葬 者 は そ の 風 景 に 思い をは せる だろ う。 その 時、 建築 は彼 らに どれ だ け寄り添えるだろうか。 光 、影 、切 り と っ た 景 色 。そ れ らで 構成 され た空 間を 長く 回遊 する よう につ なぐ 。 そ の 長 い 時 間 の 中 で 、 悲 し みを 癒す こと がで きれ ば。 数 々 の 記 憶 を 、 故 人 の 望 郷 の思 いに 重ね て。



敷地:愛媛県八幡浜市保内町 湾を囲む静かな港町。穏やかな 気候で、背後にはみかん山の迫 る小さくてほかの世界から切り 離されたような時間の漂う場所 である。 その町からぐるりと湾を回った 反対側の半島、「松ヶ鼻」 直線距離にして約700mの適度な 距離を持つ敷地である。



時間は人の心を癒すゆとりを持っている。 しかし、現在の規模が大きくて広範囲の葬儀を受け入れる葬祭場施設には その癒しを与えることができるほどの時間の余裕はあるだろうか。 近代以前、火葬施設は各村、集落に存在した。 昇魂場とも呼ばれたその施設は一つのコミュニティ内で土着性を得て当た り前のようにそこに存在していただろう。 この穏やかな町には、そういう、町の日常の中に存在しうる、小さな葬祭 場を作りたいと思った。



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エ ン ト ラ ン ス に 入る と 光 庭 を 持 つ ホ ー ル 空 間 が 出 迎 え る 。 角度 の つ い た 受 付 に 促 さ れ る よ う に 進 む と 、 光 庭 に 振 り 分 け ら れ る よ う に 式 場 へ の 通 路 と 火 葬 場 へ の通路が分岐する。 式場 へ は 左 手 の 通 路 に 進 む 。 通路は 地 中 に 埋 ま り 、 両 サ イ ド に 開 け ら れ た ト ッ プ ラ イ ト か ら の 光 が 角 度 の つ い た 壁 面 を 伝 っ て 落 ちてくる。 向かう と き は 保 内 町 の 伝 統 的 な 青 石 に よ る 壁 面 が 、 帰 り は 玉 石 と 水 の 光 庭 が 視 線 の 先 に 切 り と ら れ 、参列者を誘導する。 南北方 向 に 長 い こ の 通 路 内 の 光 は 時 間 に よ っ て そ の 降 り 方 や 色 を 変 化 さ せ 、 式 場 へ 向 か う 時 と 帰 る 時とでは同じ通路でありながら全く違う装いを見せる。 通路は 約 3 5 m の 長 さ を 持 ち 、 開 口 を ト ッ プ ラ イ ト に 限 定 す る こ と で 、 俗 世 か ら 切 り 離 さ れ た 空 間 となり 、 葬 式 と い う 儀 式 空 間 へ 進 む 参 列 者 の 心 情 や 気 持 ち を 落 ち 着 か せ て 整 理 さ せ る よ う な 、 静 か な参道的な役割を果たす。





長 く 、 仄 暗 い 通 路を 抜 け る と 、 式 場 の 前 室 に た ど り つ く 。 通路 を 経 て 徐 々 に 俗 世 間 か ら 切 り 離 さ れ 、 お 見 送 り に ふ さ わ し い 心 持 ち に な っ て い く 参 拝 者 を 出 迎 えるのは、光と水の空間。 降り 落 ち た 光 は 、 青 石 を 積 ん だ 式 場 の 壁 面 に ぶ つ か り 、 そ の 陰 影 を 濃 く 映 し 出 す 。 そ の 光 は 水 盤 に 零れ落ちて、揺らめく光と影が空間を漂う。 式場 の 出 入 り 口 付 近 に は 横 ス リ ッ ト 状 の 開 口 が 開 け ら れ 、 そ こ か ら 見 え る 町 や 湾 、 山 は 、 故 人 と の 様々な思い出を呼び覚ます。 たどり着いた人々は、言葉を収め、これからの儀式に向けて落ち着いた気持になるだろう。 式を終えて出てきた人々は、この空間に慰められ、故人を思い偲ぶだろう。

式 場 の 扉 を 開 け ると 、 今 度 は 柔 ら か な 光 に 出 迎 え ら れ る 。 受け 皿 状 の 天 井 が 太 陽 光 を う け と め 、 ハ イ サ イ ド ラ イ ト か ら は 柔 ら か な 光 が 零 れ 落 ち 、 温 か く 空 間 を満たす。 中心に走るスリットからは、象徴的な光が差し込み、空間を演出する。 傾いた壁は祭壇に視線を集め、その先の開口からは、町と湾が少しばかり見える。 人々 は 個 人 の 魂 の 安 寧 を 祈 り な が ら 、 こ の 町 を 生 き た 故 人 の 生 前 の 姿 に 思 い を 馳 せ る だ ろ う 。 生成り な 漆 喰 で 仕 上 げ ら れ た 壁 は 柔 ら か く 光 を 反 射 し 、 温 か さ の あ る 空 間 と な っ て 、 故 人 と の 別 れ をやさしく見守るだろう。




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町を眺める明るい外部通路を歩き、ポーチから火葬棟に入る。 告別 前 室 の 高 い 天 井 に は 梁 が 連 続 し 、 そ の 間 の ハ イ サ イ ド ラ イ ト か ら の 光 に よ っ て 濃 淡 の 強 い 象 徴 的な空間となる。 そこから告別室に入ると一転して低く抑えられたプライベートな空間となる。 安置 台 は 深 い ト ッ プ ラ イ ト か ら の 光 で 照 ら さ れ 、 茶 漆 喰 の 多 孔 質 な 壁 面 が 柔 ら か く 光 を 反 射 し て 、 温かみのある空間を作り出す。ここでは近親者が死者と最後の別れを告げる。

告 別 室 で の 最 後の 別 れ の 後 、 炉 前 ホ ー ル へ 移 動 す る 。 二層 分 の 高 い 天 井 に 、 湾 曲 し て く る 炉 室 の 壁 が 中 庭 側 の 壁 に ぶ つ か ら ず に 止 ま り 、 ス リ ッ ト 状 に 光 を取り入れる。 また 、 通 路 出 口 の 頭 上 に 開 け ら れ た 大 き な 開 口 が 南 か ら の 光 を 取 り 入 れ て 、 間 接 照 明 の よ う に ホ ー ルのテクスチャ間のある壁を照らして陰影を際立たせる。 中庭 側 の 壁 面 に は 縦 ス リ ッ ト の 窓 が 並 べ ら れ 、 閉 鎖 性 の 強 い 空 間 に も 中 庭 と の 繋 が り を 持 た せ る 。 この ホ ー ル を 最 後 に 棺 は 炉 へ と 運 ば れ 、 火 葬 さ れ る 。 そ の 瞬 間 を 見 届 け る 空 間 は 柔 ら か な 光 で 満 ち ている。







火葬の終わりを告げられるまでのあいだ、会葬者たちは外海を望む待合室で歓談する。 ふるまわれた食事を口にしながら、故人の思い出話に花を咲かせる。 この場所では笑い声も増え、少しばかり日常空間に帰ってきたようにも感じるだろう。 空間的にもガラスを多用し、全体的に暗い儀礼空間との対比を強調した。 外海 や テ ラ ス か ら 見 え る 町 を 見 て 、 同 じ 風 景 を 見 て い る で あ ろ う 故 人 の 魂 に 思 い を は せ て 、 火 葬 の 終わりを待つ。

さいごに、収骨の儀式が執り行われる。 滅 さ れ た 肉 体 の 名 残で あ る 骨 を 、 一 人 ひ と り 拾 い 、 納 め て い く 。 奥の壁が半円を描くことで光と意識が収骨台に集まる。 拾う人と待っている人のいる場所では天井高が切り替えられ、心情の変化を受け止める。 全体 的 に こ じ ん ま り と し た 私 的 な 空 間 は 、 見 送 っ た 故 人 へ の 感 情 に 寄 り 添 い 、 収 骨 を 終 え て 部 屋 を 出 る と 、 ガ ラ ス 張 り の向 こ う に 静 か な 中 庭 と 空 を 見 る こ と が で き る 。 会葬者は空を見上げ、心のうちにお別れの言葉を浮かべるだろう。





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模型写真








PORTAL

旧京都市中央電話局上分局コンバージョン課題

田原・笠原研究室ゼミ課題

2018 四回前期

川 端 丸 太 町 の シ ン ボ ル と し て 佇 む旧 京都 市中 央電 話局 上分 局は 、逓 信省 の吉 田鉄 郎 に よ る 建 築 。 ド イ ツ 風 の 民 家 を 思わ せる その 意匠 は堂 々た る美 しさ があ り、 その 機 能 を 変 化 さ せ な が ら 市 民 に 親 し まれ てき た。 しか し、 鴨川 や丸 太町 通り に対 する 閉 鎖 性 が 強 く 、 現 在 の 敷 地 の ポ テ ンシ ャル が生 かさ れて いな い。 そ こ で 、 敷 地 南 に 新 た な 造 形 言 語に よっ て増 築し 、既 存建 築と 関係 させ なが らコ ン バ ー ジ ョ ン し 、 新 た な ラ ン ド マ ーク とし て生 まれ かえ させ る 。 現 在 の ス ポ ー ツ ク ラ ブ が 良 く 機能 して おり 、広 い範 囲の 住民 を引 き付 けて いる と い う 現 状 や 、 鴨 川 が 京 都 市 民 に とっ ての アク ティ ビテ ィの 中心 とし て機 能し てい る こ と を 考 慮 し 、 ス ポ ー ツ ク ラ ブ の機 能を 拡張 して 親和 性の 高い 鴨川 に対 して 積極 的 に 開 く コ ン バ ー ジ ョ ン 案 を 提 案 する 。



SITE ANALYSIS B EFOR E

Other place

鴨川河川敷でのアクティビティ、現在のスポーツクラブ 、その他京都市内外にで行われるスポーツ。 それらはリンクされておらず、市民はその都度様々な場 所へ出かけなければならない。


SITE ANALYSIS AFTER

スポーツ施設の機能を拡張。鴨川のアクティビティとリン クするシャワールームなどの設備を付加し、スポーツ・ア ウトドア用品のショップも設ける。市民のスポーツ活動拠 点となり、京都市のスポーツ・アクティビティをつなぐ HUBとして機能する。


鴨川では、ランニング、ウォーキング、ダンス、スケボー、ヨガ、ゲートボール、 サッカー、体操など、様々なアクティビティが行われている。 それらのアクティビティを取り込み、新たにショップやレストランを入れること で、京都市におけるスポーツ・アクティビティの中心となる施設を提案する。 隣地の公社ビルを取り壊し、その敷地を元敷地に付加することで既存建築の南側 にスペースをとり、大きな門型のフレームを連続させたストラクチャを持つ新築 部分を計画する。 フレームは既存部分に一部貫入しながら鴨川に対して新たな門構えが生まれたこ とを強調する。同時に大きな間口は施設からのパノラマ的視界を確保する。緩や かに降ろされたスロープを登って鴨川のアクティビティが流入し、気軽にスポー ツに参加できる施設として、名実ともに街の中心となる。





丸太町通り

B

GL+800

1

4

5

6

6 3

2

8

7 UP

9 10 10

20

9 19

鴨川河川敷 13

12

GL+800

11

14 GL+400

18

15

8

GL-3,000

16

17

A

A

UP

1. エントランスホール

8. EV

15. ピロティ

2. スポーツショップ

9. シャワールーム

16. カフェ

3. アウトドアショップ

10. WC

17. キッチン

4. 倉庫

11. エントランス

18. 駐車場

5. 事務室・控室

12. レセプション

19. 駐輪場

6. レジ

13. 管理・事務室

20. 中庭

7. 階段

14. 大階段

1F Plan S=1:400 B

0

5

10

N

S=1/200 20(m)


B

倉庫

職員室

リフレッシュ スペース

WC

WC アリーナ

図書スペース

EV DS

シャワールーム PS

WC WC

シャワールーム PS

子供用プール

ボルダリング ウォール

スタジオ

WC 25mプール

EV

WC

A

シャワー

更衣室

シャワー

更衣室

ラウンジ

A

B

2F Plan S=1:400 0

5

10

S=1/200 20(m)


B UP

アリーナ2

大会議室

小会議室 ベランダ

WC レストラン客室 WC

倉庫

トレーニングジム フィットネスルーム プロムナード

レストラン客室 EV WC

救護室

WC

更衣室

更衣室

事務室

厨房・バックヤード

A

A B

3F Plan S=1:400 0

5

10

S=1/200 20(m)


B-B’ Section Plan S=1:400

A-A’ Section Plan S=1:400






光降る静寂

The LIGHT shines on a SILENCE

産学連携デザインフォーラム(清水建設コンペ)一次審査通過作品 2017 三回後期

奈 良 の 夜 。 京 都 の 雅 さ や 大 阪の活気とは違い、この町の夜は静かだ。商店街は 早 々 に 店 じ ま い を し 、 ひ っ そりと静まり返る。古くからの神々を祀った神社や 寺 。 幾 度 と な く 繰 り 返 さ れ た祈りの夜を経て、静寂には神秘さが宿る。その非 日 常 性 を ま と っ た 静 け さ は 、旅行者の疲労を癒すものになるのではないか。近 畿 地 方 へ の 長 期 旅 行 者 の た めの拠点となるホテルを計画した。 足 掛 か り と し た の は 奈 良 公 園を春日大社まで向かって歩く時の空間体験であ る。 木 々 に よ っ て 俗 世 と 切 り 離 された道を歩くにつれて、不思議と心は落ち着き神 秘 的 で で 厳 か な 気 持 ち と な り、祈りの場へとたどり着く。 こ の よ う な 体 験 を 生 む 木 々 による光の陰影や木漏れ日、騒音との断絶を建築に 置 き 換 え て 表 現 し 、 都 市 の 中でも心から安らげる空間を構築する。



敷地:JR 奈良駅前 交通の利便性の良いJR奈良駅前。 町の中心に近く、シルクロードの 終着点であり、日本における仏教 の始まりを告げた地でもあるこの 街のシンボルとして存在していく 建築を目指す



参道を歩いてみる。春日大社までの道のりは長い。 はじめは明るく、人も多くてにぎやかだった道も、すこしづつ仄暗くなる。 人はまばらになり、木々のささめく音に、次第に心は穏やかになる。俗世 間から切り離され、神域にいると実感する。 光は降り注ぎ、静寂に祈りをささげる。 本設計はこの空間体験を、建築として再構築する試みである。




A-A’ Section Plan S=1:200 0

2

5

10


通用口

12

11

23

15 10 4

3

24 3

UP

UP

1

5

UP

UP

UP

5

22

UP

UP

4

UP

搬入口

21

25

9

UP

通用口

15

7

20 UP

8

19 UP

UP

UP

2

A

UP

UP UP

UP

5

UP

1 3

UP

13

5

16

6

A

14 4

4

12

15

12

17 18 17

1

レストラン入り口

1. 風除室

11. バックヤード

21. 控室

2. エントランスホール

12.WC

22. 機械室

3. 光庭

13. フロント

23. 電気室

4.EV

14. トランクルーム

24. 大会議室

5. 階段室

15. 倉庫

25. 小会議室

6. レストラン

16. 事務室

7. 厨房

17. 更衣室

8. パントリー

18. 宿直室

9. 控室

19. リネン室

10. コンビニエンスストア 20. 防災センター

1F Plan S=1:400 0

5

10

N

メインエントランス

S=1/400 25(m)


EV

EV

EV

UP

UP

EV

UP

Down

0

5

10

N

UP

2F Plan S=1:400

S=1/400 25(m)






外壁:木漏れ日 断絶

構造:耐力

3~5f:くつろぎ 降光

2f:静寂 広がる光

1f:サービス パブリック



風の子幼稚園 保育園課題 学内プレゼン選抜作品

2016 二回後期

「子 供 は 風 の 子 」 子 供 は 活 発 で 、 寒 さ す ら 気 に せ ず外 で遊 ぶ、 とい う意 味の こと わざ だ。 子供 は外 遊び を 通 じ て 様 々 な も の を 学 ぶ 。 足 裏 の感 触や 風の 音、 草木 のに おい 、季 節の 移ろ う色 。外 遊 び は 子 供 を 大 き く 成 長 さ せ る の に欠 かせ ない 。し かし 、こ の国 では 外遊 びを する 場が ど んどん減っている。 幼 稚 園 で も 、 外 に 行 く た め に は 廊下 を通 って 靴箱 で靴 を履 いて やっ と外 に出 られ る。 園 庭 は 少 し 遠 い 。 雨 の 日 は 思 い 切 りか ける こと はで きな い。 こ の 設 計 で は そ れ ら の 解 決 策 と して 大屋 根を かけ た大 きな 中間 領域 を作 るこ とで 、内 外 空 間 を 浸 透 さ せ 、 保 育 室 か ら 出 てす ぐに 駆け 出せ る保 育園 を提 案す る。 子 供 た ち が 風 の 子 に 還 り 、 健 や かに 育つ ため の幼 稚園 であ る。



敷地:馬橋西側 大学の裏門を出てすぐ。自動車や 自転車の通行が多く、周囲も住宅 に囲まれている敷地。




ひとつながりの屋根

分割することで複数の空間が生まれる

傾けて重ねることで自然光や風が入り 込み、より外に近い空間になる

外と内の断絶

壁や段差をなくしたより中性的な空間

床を木材、外を芝生にすることで 裸足で連続的に出入りできる




1. 乳幼児保育室 2.3・4歳児保育室 10

3.5・6歳児保育室 4. 事務室 5. 医務室

3

6

6. ギャラリー 7. 厨房 8. カフェテラス

12

9. 倉庫 10. 育児相談室

9

11. ステージ

11

12. トイレ

12

5

13. 園庭 4

2 1

8

13

9 7

Floor Plan S=1:350 0

3

6

S=1/350 12

21(m)


A-A’ Section Plan S=1:300

A-A’ Section Plan S=1:300 S=1/300 0

3

6

12

21(m)


滲みゆく縁 POLUS 学生・建築デザインコンペティション 実物権化プロジェクト候補案

2018 三回後期

通販やコンビニで買い物は便利になり、遠くの友人とも SNS でつながる。他人との現実世 界での関わり合いが大きく減った現代社会。「向こう三軒両隣」の概念は風化し、大きく変 化した道と家族、ご近所の関係。 家族やご近所との関わり方が変化する中で、今我々にとって適度な距離感はどんなものだ ろうか。 濃密な関係はちょっと億劫だが、全く得体のしれない隣人というのも少し怖い。 その存在を認知でき、たまに顔を見ればあいさつする。知りすぎず、知られすぎない。そ れくらいの付き合いが心地良い。 そんな距離感を生むために屋根を地面に伸ばす。道は歩行者のための幅の「小径」になり、 「小 径」と個室の間に「軒下」ができる。屋根を半透明にし、ところどころ穴をあけることで、 音や光が漏れ出て、うっすらと人の気配を感じることができる。夜は時間とともに変化す る曖昧なファサードが「小径」を彩る。



玄関

収納

土間 個室 UP

個室 トイレ

個室

脱衣 洗面所

洗濯機

ホール

収納 風呂場

1F Plan S=1:100


Down

リビング

ベランダ

ダイニング

キッチン

2F Plan S=1:100


最高高さ

2FL

1FL GL

Section S=1:200



向こう三軒両隣

現在の家と道路の関係

リビングルームを2階へ

屋根を地面まで伸ばす

近所とのつながりが強く、道であい

家は道路に対して閉じ、個室とリビ

2階リビングとすることで、視線を

屋根を地面まで伸ばすことでパブ

さつや会話が交わされる。

ングルームは壁によって区切られ、

気にすることなく道路方向に開く。

リックスペースだった道路は、細い

パブリックな交流の舞台としての

道路には車が行き交う。家族やご近

また、個室を1階に配置することで、

通路としての「小径」と中間領域と

道。

所が互いに干渉することはほとんど

リビングから独立した空間になり、

しての「軒下」に分割される。

ない。

多様化した家族に対応する。


屋根に半透明の素材を用いる

変化する曖昧なファサード

配置計画

「小径」の様子や「家」の様子が屋

視線の先に

「小径」から「軒下」へ視線が抜け

玄関と駐車場を結ぶ横方向の「路地」

明かりが「軒下」に溜まり、直接顔

根越しに伝わる。対面がなくとも、

るように家をずらして配置する。 「小

と「小径」の交わる辻にかかる屋根

を合わさなくても一つの家に住んで

淡い明かりや音によって、家族やご

径」を歩く人と、家の中の人がつな

を一部切り取り、溜まりが出来る。

いる一体感を得る

近所とのつながりを可能にする

がり始める。

「軒下」が「小径」ににじみ出る。




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