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冠詞を学び、本物の英語を身に付ける

~無料版~


【はじめに】

これは「冠詞の世界」のバックナンバーの無料版です。 実際の内容をそのまま一部抜粋しています。 冠詞を学べるようにもなっていますので、しっかりと読んで 冠詞を学んで行ってください。

冠詞は時間がかかるものです。 すぐ身に付くなんてありえないものです。 しっかりと時間をかけて、何年も冠詞を学んでください。 冠詞を理解せずに英語を使おうなんて、滅茶苦茶なことです。 冠詞を基礎から理解して、間違いのない英語を使えるようになって下さい。

なお冠詞を学ぶ e-book の説明は以下でしています。 この無料版を読んだ後にでも参考にしてください。 英語で一番難しい冠詞を学んで、ネイティブ英語を使えるようになって下さい。

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===============冠詞の世界=================================== 2003 年発行 9 月 5 日発行 ========================================================= ========================================================= 第1号

購読の申し込みありがとうございます。 このメールマガジンは冠詞を中心に、英語を見て行く というものです。

冠詞は英語で、日本人にとって一番難しいと言われている ものです。

冠詞は「a」「the」の 2 つしかありませんが、冠詞が 何もない時もあれば、冠詞以外に「my」「his」「her」 などがあったり「some」「any」なども出てきたりするので 冠詞の使い方が非常に幅が広く、ややこしいと言えます。

ただ、日本人にとって、「my」「his」「her」「some」「any」などは 日本語に訳すことが出来るので、使い方は難しくはありません。 例えば

☆This is my pen. ☆This is her pen.

この 2 つの文の違いは、日本人でも簡単にわかります。 ですから本当に難しいのは「a」「the」そして冠詞なしの 3


場合になります。 なお冠詞は名詞に付くと言われているので、名詞は 常に冠詞とセットで理解しなければなりません。 しかし本当のことを言えば、ネイティブは、冠詞を名詞に 付けることはしていません。

日本人の考えでは、名詞の前に冠詞を置くということに なっていますが、ネイティブは冠詞を置いてから、名詞を その後に付けるということを常にしています。

この、冠詞を先に置いてから、その後に名詞を付けるという 考えは、日本人には非常に理解しにくいですが、この メールマガジンでは、冠詞があって、その後に名詞があるという 考えのもと、進めて行きます、

ですから、例えば

☆This is a pen.

という非常に基本的な文でも、「pen」があって 「a」があるのではなく、「This」が来て、その後に 「is」が来て、そして冠詞の「a」が来ることによって 数えられる名詞「pen」が来ることが出来る、と考えます。

これはネイティブの考えと同じになるので、難しいですが こうしないと冠詞を本当に理解することは難しいと 思うので、冠詞を常に先に考えるようにします。 最初の頃は難しいと思いますが、冠詞があるから名詞が あるんだ、というように考えるようにして下さい。

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さて、冠詞は非常に単純な文字が使われていますが その意味するところは非常に深いものがあります。 日本語には、冠詞というものがないので、英語を 日本語に訳す時、ほとんど冠詞抜きで訳されています。 例えば

☆He lived in a city. 「彼は街に住んでいた」

☆He lived in the city. 「彼は街に住んでいた」

と訳しても、日本語に違和感は全くありません。 しかし英語では言っていることが違います。 英語から日本語に訳す時には、日本語で理解できれば 良いので、冠詞を無視して良い場合も多いのですが 逆に、日本語から英語に訳す時、または英語を話す時は 冠詞を無視しては絶対行けません。

英語では、冠詞は常に大事なので、日本人だからと言って 冠詞を無視して、英語を話したり、書いたりしては行けません。

例えば「街のシンボル」という日本語を英語に訳す時に どれくらい英語で表現出来るでしょうか? 英語では常に冠詞のあるなしが大事になってくるので その冠詞のあるなしを全て考えなければなりません。 この「街のシンボル」という非常に単純な日本語を 英語に訳そうとすれば、実に 25 通りの訳し方があるのです。

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以下にその 25 通りを挙げておきます。

☆「a があってその後に symbol が来ている場合」 a a a a a

symbol symbol symbol symbol symbol

of of of of of

a city the city city the cities cities

☆「the があってその後に symbol が来ている場合」 the the the the the

symbol symbol symbol symbol symbol

of of of of of

a city the city city the cities cities

☆「無冠詞で symbol が複数形になっている場合」 symbols symbols symbols symbols symbols

of of of of of

a city the city city the cities cities

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☆「the があって、その後に symbol が複数形になっている場合」 the the the the the

symbols symbols symbols symbols symbols

of of of of of

a city the city city the cities cities

☆「無冠詞で symbol が単数形になっている場合」 symbol symbol symbol symbol symbol

of of of of of

a city the city city the cities cities

と 25 通りの「街のシンボル」があることがわかります。

日本人の感覚からすると、どれもほとんど同じように 思えますが、似たような意味もあれば、全く違う意味のものもあります。

日本語では「街のシンボル」は常に一つです。

これ以外に表現のしようはありませんが、英語では 実に 25 通りの表現の仕方があるのです。 この 25 通りの中には、ほとんど使われない例外的な 意味を持つものも含まれています。

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しかしどれも文法的には間違ってはいません。

「symbol」を中心に例を挙げていますが、「city」を 中心に例を挙げても全く同じことになります。 どちらを中心に見ても、25 通りの表現があることには 変わりはありません。 日本語から英語に訳す時は、この 25 通りの中から 正しい一つを選んで、訳さなければなりません。 日本語の「街のシンボル」が何を意味しているのか はっきりと理解して、英語で表現しなければなりません。 日本語の「街のシンボル」を英語に訳そうとすれば 前後の文脈がないと訳せません。 このままでは単数形なのか、複数形なのか、または 冠詞がいるのかいらないのかわからないので 前後の文脈が必要になってきます。

さて、まずは、25 通りある「街のシンボル」に付いて 一つずつ見て行きたいと思います。 まずは「a」が来て、その後に「symbol」が来ているものから 見ていきます。

このパターンでは

a a a a a

symbol symbol symbol symbol symbol

of of of of of

a city the city city the cities cities

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この 5 つがあります。 「a symbol」という形は同じですが、「city」の 形はいずれも違います。 違うということは意味も違うということです。 この冠詞の「a」は不定冠詞と言われているものですが 文法的な呼び名はそれほど大事ではありません。 「a」と「the」を分けるために付けられたものなので 呼び名は必要ではありません。

まず「a」という冠詞があります。 この「a」があることによって、「symbol」という数えられる 名詞が来ています。 数えられる名詞というのは、1 つ、2 つ、3 つと数えて行ける 名詞のことです。 これと反対に数えられない名詞というものもあります。 数えられるということは、どういうことなのか、理解しておく 必要があります。 数えられるということは、その名詞がしっかりと形のあるもので あるということです。

例えば、「table」は数えられる名詞ですが、しっかりと 頭の中に「テーブル」という姿、形が浮かぶと思います。 形がしっかりと浮かぶということは、数えられる名詞なのです。 はっきりと姿、形がわかるので、1 つ、2 つ、3 つと 数えていけるのです。 逆に姿、形がはっきりと浮かばない、あるいは思い浮かべるのが 難しいものは、数えられません。

例えば「水」。これはなかなか姿、形をはっきりと思い浮かべる ことは出来ません。ですから、数えられない名詞となるのです。 しかし「コップ一杯の水」と言いたい時には

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☆a glass of water

と言うようにします。 日本語で「シンボル」と言って、はっきりと姿、形が思い浮かぶか と言われれば、難しいと思いますが、英語では「symbol」という 単語は数えられるものとして扱われているので、それに 従わなければなりません。

「a」という冠詞があるということは、しっかりと形がある名詞が 後ろに来るのです。

ですから「a」と言った瞬間に、何かはっきりとした形のあるものが 来ることがわかります。

ここでは「a」が来て、「symbol」となっているので 「a symbol」と来た瞬間、頭の中に、はっきりと姿、形のある 「symbol」を思い浮かべなければなりません。 この「シンボル」というものの姿、形をしっかりと頭に 思い浮かべるのは、至難の技だと思います。 しかしネイティブはしっかりと頭の中で姿、形を思い 浮かべているのです。 ですから、ここでは自分なりに「シンボル」という姿、形を 作って、頭の中に思い浮かべてください。 このはっきりと形のある「シンボル」が「a symbol」になります。 あくまでも「a」があるからこそ「symbol」という名詞が あると理解しておいてください。 「symbol」に「a」が付いているのではありません。 「a」は難しく言えば「共通単位性を持つものの中からの一つ」 という感じになります。

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わかりやすく言えば、他にも同じものがあるということに なります。 同じものがたくさんある中から、無作為に一つを選ぶという 感じになると思います。 つまり「a symbol」というのは、たくさんある「symbols」の中から 一つだけ無作為に抜き出された「a symbol」ということになります。 どれでも同じ意味なので「a symbol」となっています。 これではわかりにくいかと思いますが、「dog」ならわかると 思います。

「a dog」は世の中にたくさんいる「dogs」の中から無作為に 選び出した 1 頭に過ぎません。 その 1 頭とはどれでも良いのです。 どの犬でも良いので、特に意味を込めるものでもないので 「a dog」となっているのです。

英語ではこのように、同じものの中から一つを抜き出すという ことを当たり前のようにします。 例えば

☆I’m a student. 「学生です」

これは、「a」が来て「student」が来ています。 これは「私は世の中にたくさんいる学生の中の一人です」 という意味になります。

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学生という同じものの中から一人を選び出したという感じになります。

「a symbol」も全く同じで、たくさんある「symbols」から 選び出された一つに過ぎません。 たくさんあるということは「many symbols」という言い方が あるということにもなります。 この「a」の持つ意味がわかれば

☆a symbol of a city

という英語の言っていることがわかると思います。 「a city」も、世の中に数多くある街の中から選ばれた 一つという意味になるので、思いっきり冠詞を意識して 日本語にすれば

☆「世の中にたくさんある中の一つの街の世の中にたくさんあるシンボルの中の一つ」

となります。 「a symbol」「a city」ともに考え方は全く同じです。 同じものの中から選ばれた一つということになるので 世の中には「symbols」「cities」というものが他にも あるということになります。 多くあるものの中から選ばれた一つが「a symbol」であり 「a city」なのです。

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そして特に意味もなく、他の「symbol」「city」と変わりないので 「a symbol」「a city」となっています。 「a」という冠詞は常に「一つ」を意味しています。 そして他にも同じものが幾つもあるということを 意味しています。 多くある中からの一つ、ということになります。 「一つ」ということなので、当然「二つ」「三つ」と 数えることが出来ます。 ですから、例えば

☆a city,two cities,three cities……

と数えて行けることになります。 数えて行けるということは、姿、形があるということになります。 名詞に「a」が付くのではなく、「a」があるから 数えられる名詞が来るのです。 「a」と来た瞬間、何か形のあるものを思い浮かべなければ なりません。 そしてその次に来る名詞で、姿、形がはっきりしてきます。

冠詞があって、その後に名詞が来るという考えは 非常に難しいかもしれませんが、冠詞を正しく理解する ための、大事なステップになります。 また名詞は常に、冠詞とセットで考えてください。 冠詞を抜きにして、名詞を覚えて行くと、とんでもない 勘違いをしてしまいます。

冠詞があるから、名詞があるのです。

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この 2 つは切っても切り離せない関係なので、冠詞と 名詞はセットで覚えるようにしなければなりません。 今回出て来た「a symbol」「a city」はそれぞれ一つの ものです。 冠詞と名詞を分けるのではなく、このかたまりで一つという ことを理解してください。

「街=city」と覚えていたのでは、勘違いしてしまい 絶対間違ってしまいます。 しっかりと冠詞とセットで名詞を覚えてください。 今回は最初なので、まだたくさん残っていますが それほど数は残っていません。

冠詞のパターンは同じなので、全てを見るのにそれほど 時間はかかりません。 次回も「街のシンボル」を見ていきますが、まずは 冠詞があって名詞があるという考えを頭に叩き込んで下さい。

名詞に冠詞が付くのではありません。

それでは。

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===============冠詞の世界=================================== 2003 年発行 12 月 26 日発行 ======================================================== ======================================================== 第 16 号

数えられる名詞に付いて見ています。 前回は「場所、空間」というものを見ました。 「場所、空間」を意味するものは、数えられる名詞として 使われる場合がありました。 もちろん、数えられない名詞として使われる場合も あるので、その意味の違いをしっかりと区別しなければ なりませんでした。 今回は違う場合を見ていきます。 数えられる名詞の種類は既に 3 種類見てきていますが まだ多く残っているので、じっくりと見ていきます。 今回も数えられる場合と数えられない場合があるので その 2 つの違いをしっかりと見ていきます。

それでは、早速見ていきましょう。

《不定冠詞「a」、数えられる名詞》

☆We talked for a time. 「しばらくの時間、話をした」

☆She died at an early age. 「彼女は若くして死んだ」

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☆Overweight women have a history of sexual abuse. 「太り過ぎの女性たちには、性的虐待の過去がある」

数えられる名詞が使われています。 「a time」「an early age」「a history」が使われています。 これらに共通するのは 「時間」 となります。 「時間」は数えられる名詞として使われることがあります。 もちろん、数えられない場合でも使われます。 「時間」が数えられるということは、しっかりとした姿・形が あるということになります。 前回の「場所、空間」では、しっかりとした姿・形を思い浮かべる ことは出来ましたが、時間は、はっきりと目の前に現れるものでは ないので、考えて、姿・形を思い浮かべなければなりません。 まず「時間」には、姿・形というものはありません。 「時間」の姿・形とは何かということが問題になってきますが 姿・形ではなくて、「時間」の幅、制限された「時間」ということに なってきます。 例えば

☆We talked for a time.

この文は、「ある一定の時間」ということで、常に流れている 永遠の流れがある時間、ではないということになります。 「ある一定の時間」だけ話したのであり、他の時間は 当然話をしていない、ということになります。 16


例えば午後 1 時から 2 時までの 1 時間、話をしたのであれば 「話をした 1 時間」ということで、区切りがはっきりと出来ます。 12 時半には話をしていなく、2 時 10 分の時点でも、話を していないので、話をしていた時間と話をしていない時間が はっきりと区切られるので、姿・形があるものと考えられます。 姿・形がはっきりとあると考えられるので当然 数えられる名詞になります。 しかし、「時間」というものは、ずっと流れているものであり 永遠に流れているものなので、どこかで区切ることは出来ないとも考えられます。 そういう場合は、当然数えられない名詞になります。

☆Time heals all wounds. 「時間があらゆる傷を癒してくれる」

☆My watch keeps good time. 「時計の時間は正確だ」

ここで使われている「time」は、当然区切られているものではなく ずっと流れている、区切られていない「時間」となります。 区切られていないということは、姿・形がないので 数えられないということになります。 数えられる場合と数えられない場合の、日本語訳に違いは 出てきませんが、英語では違う意味で使われているので 区切られている、区切られていない、という区別は しっかりとしなければなりません。 他の例文を見ておきます。

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☆She died at an early age.

これは「an early age」という単語が使われていますが 「年」という意味で使われています。 「1 年、1 年」と考えれば、区切られていると考えられるので 当然、数えられるということになります。 「a year,two years」と同じように数えて行けるということになります。 なお「ages」と複数形で用いられることもあります。 この場合は、「何年も」ということになり 「長い間」という意味になります。

☆It’s been ages since I saw you last. 「久しぶりに会った」

「ages」なので、「長い間」という意味が含まれています。 なお「an age」と言っても意味に大きな変化は ありませんが、「ages」と複数形にした方が、時間の長さが 感じられます。 この「age」ですが、数えられない名詞として使われることが 多くなっています。 「1 年、1 年」ではなく違う意味で用いる場合は数えられなくなります。 「1 年、1 年」ではない場合というのは、どういう意味になるのか ということですが、もっと大きくまとめていう場合は数えられなくなります。 「生涯、一生」という意味がありますが、他にも「適齢、高齢」という意味があります。 「生涯、一生」というのは、数えられないのではなく 数える必要がない、と言った方が良いかもしれません。 「一生」というのは、1 回に決まっているので、わざわざ 数える必要もありません。 仮に「1 回の一生」と言ってしまえば、2 回の一生 18


3 回の一生と数えることが出来るようになってしまうので 数えられなくすれば、一生は 1 回切りということになり 数えられない名詞になっていると考えられます。 これは前回出て来た「ground」と同じことになります。 「生涯、一生」が数えられないのはわかると思いますが 「適齢、高齢」が数えられないのは、なかなか難しいと思います。 例えば

☆Why would people who are under age want to drink? 「未成年者が飲みたくなるのはなぜだろうか」

この文では「under age」となっています。 直訳すれば「年の下」ですが、これは決まった言い方で 「未成年」という意味です。 この「age」は「適齢」という意味で、数えられなくなっています。 米英での未成年は一般的に 18 歳未満となっていますが 具体的な数字があるにもかかわらず、数えられない名詞に なっています。 これはよく考えてみればわかります。 「適齢」と言っていますが、「1 適齢」「2 適齢」とは 日本語でも言いません。 つまり、「適齢」というのは、数えることが出来ない 意味の名詞なのです。 「適齢」とは「何かをするに適した年齢」となりますが 例えば、飲酒なら日本では 20 歳以上、となります。 20 歳以上というはっきりとした区切りがありますが 20 歳以上であれば良いのであって、年齢は細かく 問われません。 しかも「適齢」とは普通、一つしかないものになります。 飲酒する適齢が、2 つも 3 つもあるわけではありません。 ほかの「適齢」でも、2 つ 3 つあるわけではありません。 19


ですから、一つしかないものとなるので、数えることが 出来ない名詞になるのです。 これは「高齢」という意味でも同じことになります。 「高齢という適齢」と考えれば、同じことになります。 65 歳以上を高齢と考えれば、65 歳以上が「高齢の適齢」となり 他にはないということになります。 一つしかないので、数える必要がないのです。

☆Those young people who respect age will grow to be wise and charitable. 「高齢者を尊敬している若者たちは、将来、賢明で慈悲深く成長する」

「age」が数えられない名詞で使われていることに注目です。 さて

☆Overweight women have a history of sexual abuse.

この例文ですが「a history」となっています。 これは「ある過去、歴史」ということで、しっかりと 姿・形のある歴史ということになります。 「歴史」というのは、時間の流れと同じで、途切れることが ないものです。 日本でももちろん歴史はありますが、それぞれ各時代が ありましたが、歴史自体は途切れていません。 時代が終わっても時間は流れて行っているので 歴史も流れて行っています。 流れて行っていて、途切れていないので、普通「歴史」は 数えられない名詞になります。 20


しかし、ここでは数えられる名詞になっています。 数えられる「歴史」というのは、しっかりと姿・形がある ということになりますが、これは一般的な「歴史」ではなく 特に、個人的な「歴史」という意味があります。 人は誰でも、「歴史」を持っています。 生まれてから小学校に入り、中学校に入りとそれぞれ 段階を経て行きます。 その段階を一つずつ区切って行けば、はっきりと姿・形のある 「歴史」が出てきます。 日本でも「子供時代」「中学時代」「高校時代」「学生時代」 「会社員時代」など「時代」という言葉を使って 表していますが、英語では「history」を使って表します。

☆Overweight women have a history of sexual abuse.

この文では「性的虐待の過去」となっていますが、当然 「性的虐待を受けていない過去」もあります。 常に受けてきたわけではないので、受けてきた時と 区別するためにも、しっかりと数えられる名詞になっています。 この文からわかることは、少なくとも、過去を 2 つ持っている ということになります。 色々な過去があった中で、その内の一つが、性的虐待という ことになります。 「history」を数えられない名詞で使う場合は、例えば

☆History repeats itself. 「歴史は繰り返す」

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☆You are history. 「お前はもう終わっている」(過去の人だ)

という例文が挙げられます。 普通に「歴史」という意味もあれば、「過去の人、もの」という意味もあります。 もちろん、どちらも数えることは出来ません。 時間の流れに沿って出来ている「歴史」なので 途切れることはなく、姿・形もないので、数えることは出来ません。 「過去の人」という意味でも、「歴史の中に入った」という ことになるので、時間が途切れないように、歴史も 途切れないので、数えられない名詞になっています。

さて「時間」に関する名詞はまだまだ多く残っていますが 考え方は同じになってきます。 「時間」というものは、流れて行っていて、形はないものですが しっかりと区切ることが出来るならば、数えられる名詞になります。 「時間」でしっかりと姿・形があるということは、始めがあり 終わりがあるということです。 話し始めた時間があり、話し終えた時間がある。 年始めの時間があり、年終わりの時間がある。 経験始めの時間があり、経験終わりの時間がある。 ということになります。 しっかりとした始めがあり、終わりがあるので 数えることが出来ます。 時間で、しっかりとした姿・形があるということは 始めと終わりがしっかりとあるということになります。 始めしかなく終わりがないものは、数えることは出来ません。 以上で、「時間」に関する説明は終わりです。

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時間に関する名詞を見かけた場合は、その意味をしっかりと 考えて、意味を理解するようにして下さい。 まだ数えられる名詞の種類はあるので、次回以降も 数えられる名詞をしっかりと見ていきます。

それでは。

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===============冠詞の世界=================================== 2004 年発行 4 月 9 日発行 ======================================================== 第 29 号

前回まで、無冠詞複数形の意味に付いてしっかりと 見ていました。 一通りの説明が終わったので、今回からは 数えられない名詞の場合に付いて見ていきます。 数えられない名詞は、当然ながら単数複数形の区別がありません。 ですから、「a」と一緒に使われることも、複数形に なることもありません。 しかし、数えられない名詞は常に同じ意味で使われる 訳ではありません。 使われる状況によって、その意味が変わってきます。 多い量の場合もあれば、少ない量の場合もあります。 この多い少ないという違いをしっかりと理解しなければなりません。 数えられない名詞は、不可算名詞とも言われていますが 単数形と複数形の区別がまずないので、多いのか 少ないのかが本当にわからなくなっています。 多いか少ないのかをしっかりと理解できるよう しっかりと見ていきます。

それでは、早速見ていきましょう。

《数えられない名詞の量》

☆She drinks coffee. 「彼女はコーヒーを飲んでいる」 24


☆He eats rice. 「彼は米を食べている」

☆I made tea. 「お茶を入れた」

数えられない名詞、不可算名詞が使われています。 数えられないので、当然名詞はそのまま使われています。 もちろん「a」などありません。 数えられない名詞は、常に量を意味します。 数ではなく量なので、多い量か少ない量かどちらかになります。 さて、数えられない名詞と言っても、考え方は 数えられる名詞と同じです。 そして、現在時制とともに用いられている場合は 無冠詞複数形とほとんど同じ考えで理解が出来ます。 まず

☆She drinks coffee.

この文は、「コーヒーを飲んでいる」という意味です。 なお確認までに「coffee」は「コーヒーという液体」を 意味しています。 液体なので当然数えられません。 さて、現在時制は、意味に大きな幅があります。 現在を中心に過去、未来も含んでいるので、かなりの 長い時間を意味しています。 長い時間、コーヒーという液体を飲んでいるので 当然、ここでのコーヒーという液体は多い量を 意味すると考えられます。 25


多いから形が変わるということはありません。 多くても少なくても、数えられない名詞はそのままです。 さて、この多いということを踏まえると、日本語訳は 以下のようになってきます。

☆She drinks coffee. 「彼女は、コーヒーという液体を飲む習慣がずっとある(多い量を 飲んできている)」

という感じになります。 毎日毎日飲んでいると考えられるので、かなりの量を 飲んでいると考えるのが普通です。 さて、次の文ですが

☆He eats rice.

この文ですが、日本では当たり前の文ですが 欧米などでは、珍しい意味になっています。 また「rice」が数えられないということも注目すべきことです。 日本では「ご飯」を食べるのは当たり前で、茶碗に 入れているのが普通なので、ご飯を食べるというのは 茶碗に入れて食べることを意味しています。 しかし、ご飯を食べるという習慣がない国では 茶碗などなく、またご飯自体が馴染みがないので なかなか思い浮かべることが出来ません。 茶碗に入れたご飯を連想するのではなく、米粒一つ一つ が合わさったもの、という感じを連想しなければなりません。 普通の皿に米粒が大量に乗っているという感じを 26


思い浮かべてください。 米粒を数えることは無理なので、その米粒のかたまりを ひとかたまりと考え、数ではなくて、量として扱います。 数えるのはあくまでも米粒であって、米粒を数えることは 無理なので、米粒のかたまりを量として考えるのです。 量として考えることで、漠然としたものになり 数えられない名詞になっているのです。 この「rice」を数えられる名詞にするのは、アメリカなどでは かなり難しいでしょう。 日本では「ご飯」を食べるというのが当たり前で しかも茶碗に入っているのが常識なので、数えることが 出来そうですが、単に皿の上の米粒が乗っかっている という感じなので、やはり数えることは難しいのです。 なお「茶碗一杯のご飯」は

☆a bowl(bowlful)of rice

と言います。 なお「茶碗」は名詞なので、そのまま「chawan」とすることも出来ます。 さて、大事なのは「rice」で、現在時制とともに使われて いるので、当然ながら、かなりの多い量を意味していると考えられます。 現在時制は、幅がある意味なので、昨日も今日も明日も 明後日も、という意味はもちろん、もっと長い時間を意味しています。 「coffee」の例文と同じように、長い時間米を食べているのですから かなりの量を食べていると推測出来ます。 ですから

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☆He eats rice. 「彼は米(ご飯)を食べるという習慣がずっとある。 (かなりの量を食べてきている)」

という感じになります。 現在時制と一緒に使われることで、多い量を意味していると考えられます。 さて、最後の文ですが、これは過去形で使われています。

☆I made tea.

これは、まず「お茶という液体」と当然ながら意味しています。 液体なので、数えることは出来ません。 この英文ですが、非常に簡単な意味になっているようですが 「tea」の意味をしっかりと理解しなければなりません。 過去形と一緒に使われているので、現在形とは違い 過去の一点しか意味していません。 過去の一点というと、曖昧な表現ですが、時間的な 幅はあまりないということになります。 過去の単なる 1 回の行動を意味していると考えれば わかりやすくなります。 この英文は、過去においてお茶を入れるという 行為をした、と言っているだけであり、時間的な 長さは含まれていません。 時間的に長くはないということは、自然とこの「tea」は 少ない量を意味していると考えられます。 ですから

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☆I made tea. 「少ない量のお茶を入れた」

と考えられます。 しかし、ここで問題がおきます。 過去においてお茶を入れたと言っても、1 人分とは限りません。 10 人分かもしれませんし、100 人分かもしれません。 過去の一点を示すと言っても、その過去における行為が 少ない量を意味するとは限らないのです。 「お茶を入れた」と言っても、どこにも 1 人分とは 言っていません。 また 100 人分とも言っていません。 どんな状況で使われるかで、意味が変わってくる言い方に なっていますが、ここでは何も他に情報がないので 多いか少ないかを判断することは出来ないのです。 ですから、勝手に少ないと決めてはいけません。 多い可能性もあるので、どちらかわからないのです。 こういう場合は、多い少ない両方を考慮に入れて おかなければなりません。 ですから

☆I made tea. 「多い量のお茶を入れた」

とも考えておかなければなりません。 こういうような表現は文法的には正しくても、意味が 曖昧なので、多いのか少ないのかわかるようにするのが普通になります。 例えば 29


☆I made tea for him. 「彼にお茶を入れた」

という場合、彼だけのためにお茶を入れたのですから 常識的に 1 人分のお茶を入れたということになるでしょう。 また多くても数人分ということになるでしょう。 ですから、自然と少ない量を意味していると考えられます。 また

☆I made tea for people. 「人々にお茶を入れた」

となると、数はわかりませんが、少なくとも複数の人に お茶を入れたのですから、少ないということはありません。 「people」は「世間の人々」という意味があるので 常識的に考えると、かなりの数を意味していることになります。 多い人のためにお茶を入れたのですから、当然お茶の量は 多いと考えるのが自然となります。 多いとは言っていませんが、多いと考えるのが 常識となります。 このように、他の情報を付け足して、多いのか少ないのかを はっきりさせることがよくあります。 単に数えられない名詞だけを使っていたのでは 意味が曖昧なので、わかりにくいのです。 なお、多いか少ないかですが、その中間ということも考えられます。 例えば

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☆I made tea for ten people. 「10 人分、お茶を入れた」

となってくると、1 人分よりは多いですが、10 人分は かなり多い量とは言い切れません。 ですので、少なくとも多くともない量ということになります。 数えられない名詞の量をしっかりと理解することで 英文の言っていることがわかってきます。

今回は、数えられない名詞の基本的なことを見ました。 これは、無冠詞複数形と同じようなものですが 数えられない名詞は単数複数の区別がないので 単数に近い意味になる場合もあります。

☆I made tea for him.

は、1 人分と考えれば、単数と同じ意味となります。 しかし、数えられないので、「tea」はそのままになります。 数えられない名詞は、数えられる名詞以上に曖昧と 言うことも出来ます。 単数複数の区別がないため、数えられない名詞は 曖昧な意味を出します。 さて、数えられない名詞ですが、まだまだ理解しておかなければ ならないことがあります。 例えば

☆I like beef.

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の本当の意味を理解しなければなりません。 また、多い少ないをしっかりと示す場合も見ておかなければなりません。 次回もしっかりと数えられない名詞を見ておきます。

それでは。

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==============冠詞の世界=================================== 2004 年 6 月 25 日 ======================================================== 第 39 号

定冠詞「the」を見ています。 「the」は数えられない名詞でも、数えられる名詞でも 関係なく使われるものなので、しっかりと 理解しなければなりません。 前回は、いきなり言われても理解が出来る「the」というものを見ました。 「the」というものは、特定するものですが、いきなり 特定されても、話を聞いている方も理解が出来るのであれば 「the」が使えるということを見ました。 当事者間で理解されている場合は、前もってわかっている ということでしたが、いきなり言っても意味が通じる場合が あるので、そういう場合は「the」を使うことが出来ます。 さて、今回は、前回の続きを見て行きます。 というよりも、応用編のようなものを見て行きます。 意外に気が付いていないこともあると思うので しっかりと見て行きます。

それでは、早速見ていきましょう。

《定冠詞 the》

☆Could you close the window? ☆Could you open the door?

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☆Clean the table,please.

これらを前回最後に載せておきました。 定冠詞「the」が使われていますが、どんな意味に なっているのかをしっかりと考えます。 いきなり言われてもわかるということなので 聞いている方は、いきなり言われた、ということになります。 しかし、驚きはありません。

まず

☆Could you close the window?

この文ですが、日本語に訳すと 「窓を閉めてくれませんか」 となります。 もちろん「the」が使われているので、特定の窓 ということになります。 特定された窓、なのですが、いきなり言われても理解が出来ます。 どうしてなのかと言うと、誰が見ても閉めるべき窓は 決まっているからとなります。 窓を閉めるということは、現在開いているということになります。 ですから、開いている窓を閉めてください、ということになります。 そして注目すべきは「the window」と単数形になっていることです。 これは何を言っているのかというと、開いている窓が一つしかない ということを言っています。

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「the 単数形」なので「一つしかない」という意味が入っています。 開いている窓が一つしかないのなら、見た瞬間に すぐ理解が出来ます。 事前に理解がなくても、開いている窓は一つだけなので いきなり言っても伝わるのです。 言われた方も、いきなり言われても、開いている窓は一つしか ないので、すぐに理解が出来るのです。 ですから、いきなり「the」を使っても理解が出来るのです。 いきなり言われても理解が出来る「the」ですが しっかりと根拠があります。 なお、開いている窓が一つしかないということは 他にも窓があるということになります。 そして他の窓は閉まっているのです。 これらをしっかりと考慮すると

☆Could you close the window? 「一つしかない開いている窓を閉めてくれませんか」 (他の窓は全て閉まっています)

となります。 窓が 10 枚あって、その内 9 枚が閉まっていて、1 枚だけが 開いている場合、この表現が使えます。 とにかく窓が一つだけ開いている場合は使えます。 なお、この文ですが、もしかすると、その部屋には一つしか 窓がない場合もあります。 そうなると

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☆Could you close the window? 「一つしかない窓が開いているので、閉めてくれませんか」

となります。 これでも正解となります。 なおこれも、いきなり言われても理解が出来る「the」となります。 窓が一つしかないので、いきなり言われても理解はしっかりと出来ます。 また一つしかないから「the」が使われているとも言えます。 どちらで考えても正しいので、どちらでも考えることが 出来るようになって下さい。

さて、次を見ておきます。

☆Could you open the door?

これも同じ考えで理解が出来ます。 「ドアを開けてくれませんか」 となっていますが、「the door」なので 「一つしかない閉まっているドア」となります。 部屋にドアが 2 つ以上ある場合、「一つしかない閉まっているドア」 となります。 また、部屋にドアが一つしかない場合は 「一つしかないドアが閉まっている」 となります。 ですから

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☆Could you open the door? 「一つしかない閉まっているあのドアを、開けてくれませんか」 (他のドアは全て開いている)

☆Could you open the door? 「一つしかないドアが閉まっているので、開けてくれませんか」

ということになります。 どちらをとっても正解ですが、使われる場面は違うので どんな場面で使われるのかを、しっかりと理解して下さい。

さて、最後を見ておきます。

☆Clean the table,please.

これも、いきなり言われて理解が出来る「the」です。 もちろん、他の意味で使われているとも考えられます。 まず、いきなり言われて理解が出来る場合ですが 意味は 「テーブルを片付けてください」 となります。 片付けるということは、テーブルの上が散らかっている ということになります。 汚れていたり、余計なものが置いていたりする状況が 考えられます。 その汚れているテーブル、散らかっているテーブルが 一つしかないので、いきなり言われた方も、理解が出来るのです。 例えば、レストランで、テーブルが 10 個あったとします。

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その 10 個の内、9 つはきれいで、一つだけが 汚れていたとします。 そして店長が従業員に、このフレーズを言うと 従業員はすぐにテーブルをきれいにするでしょう。 誰がどう見ても、汚いテーブルは一つしかないので いきなり「the table」と言われても、すぐに理解が出来ます。

☆Clean the table,please. 「その一つしかない汚れているテーブルを、きれいにして下さい」

となります。 もちろん、テーブルが一つしかない場合もあります。 家にはテーブルが一つしかないという場合もあります。 机は普通にありますが、テーブルはリビングに 一つしかない、などという場合が普通でしょう。 そういう場合は、もちろん

☆Clean the table,please. 「一つしかないテーブルが汚れているので、きれいにして下さい」

となります。 また、一つしかないと言う場合でもなくて、指差しなど 特定化する行為が行われているとも考えられます。 幾つか汚れているテーブルがありますが、その内の 一つだけをきれいにしてほしい場合、指差しなど テーブルを特定化する行為をして

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☆Clean the table,please. 「他の汚れているテーブルはいいから、あの汚れている テーブルだけをきれいにして下さい」

となります。 こういう意味になるとも考えられます。 しかし、これはあまりないと言って良いでしょう。 なぜなら、汚れているテーブルが他にもあるなら、他の テーブルも一緒にきれいにするのが普通だからです。 例えばレストランで、汚れているテーブルが 5 つあったとします。 その内の 1 つだけをきれいにして、他の 4 つは何もしない などと言うことは考えられません。 常識的には、5 つ全てをきれいにするでしょう。 ですから、この日本語訳は少し強引と言えます。 なお、複数汚れているテーブルがあり、その全てを きれいにしてもらいたいのなら

☆Clean the tables,please. 「汚れているテーブル全てをきれいにして下さい」

と言います。 「the 複数形」になっているので「全ての」という 意味が出てきます。 ですから「全てのテーブル」ということになります。 きれいにするということなのですから、汚れているテーブル 全て、という意味になります。 こう見ても、単数と複数が違うということがはっきりとわかります。

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「the 単数形」「the 複数形」は似ているものですがまったく違うものです。 なお、今回の例を「a」を使っていうとまったく意味が異なってきます。

☆Could you close a window? 「複数ある中のどれでも良い一つの窓を閉めてくれませんか」

☆Could you open a door? 「複数ある中のどれでも良い一つのドアを開けてくれませんか」

☆Clean a table,please. 「複数ある中のどれでも良い一つのテーブルをきれいにして下さい」

となります。 これは「a」を使って言うと、何のことか意味不明になります。 「a」を使うともちろん特定化されないので、どれでも良い ということになります。 どれでも良いということは、例えば、窓を閉めるにしても どの窓を閉めていいのかわからなくなります。 どの窓を閉めても良いと言っていますが、普通は閉める窓を 特定するものです。 どれでも良い窓を閉めるということは、隣の家の 窓でも良いということになります。 こんなことは普通ないので、「a」を使うのは意味的に 間違いということになります。

さて、今回の「the」ですが、説明したような意味が 込められています。 また「the 単数形」となっていることにも注意が必要です。 「一つしかない」という意味を出しています。

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この、いきなり言われても理解が出来る「the」の説明は 今回で終わりになります。 当たり前といえば当たり前の用法なのですが、意外に 気が付いていないこともあったのではないかと思います。

次回からは、「the」らしい使い方を見て行きます。 例えば

☆He bought a car. The car was very easy to drive.

☆She got an award. But they thought the award should have been given to him.

以上のような場合の「the」を見て行きます。 そして「a」も使われているので、「a」の働きも見て行きます。 「a」と「the」を一緒に理解しないと、理解できなく なっているので、一緒に見て行きます

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2004 年 8 月 13 日 ======================================================== 第 45 号

定冠詞「the」を見ています。 「the」は数えられない名詞でも、数えられる名詞でも 関係なく使われるものなので、しっかりと 理解しなければなりません。 前回まで、前で言ったことを受ける「the」というものを見ていました。 これは、非常に英語らしい言い方なので、絶対理解して 使えなければならないものでした。 英語らしいということは、それだけ使用頻度が高く、使えて 当たり前ということになります。 さて、今回は、例外的な「the」を見て行きます。 あまり使われるものではありませんが、「the」の使い方として しっかりとあるものなので、例外的と言っても 理解が必要になります。

それでは、早速見ていきましょう。

《定冠詞 the》

☆Everybody knows the facts and figures.

前回、この文を最後に載せておきました。 これは小説の冒頭という感じになると説明を

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しておきました。 冒頭にいきなり「the」が来ているのです。 「the」が来ているということは、特定されている ということになります。 いきなり特定されているのですから、日本語で言えば 「あの」「その」という感じになります。 日本語でも何の説明もなしに、いきなり「あのこと」 「その人」などと言われたら、理解が出来ません。 英語でも基本的には、特定することなしに「the」を 使うことはありませんが、例外的にいきなり 何の説明もなしに「the」を使うことがあります。 この例外的な場合ですが、しっかりと意味があるので その意味を見ておきます。

☆Everybody knows the facts and figures.

この「the」ですが、何の説明もなしに、いきなり冒頭に 来ていますが、筆者は意味を込めてしっかりと「the」を 使っているのです。 冒頭に「the」を使うことは例外的であるということは 筆者もわかっています。 わかっているからこそ、意味を込めているのです。 さて、いきなり来ている「the」ですが、まずはそのまま 日本語に訳すと

☆Everybody knows the facts and figures. 「みんな、その詳細全てを知っている」

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となります 「facts and figures」は熟語で「詳細」という意味になります。 また「the」があり、複数形が使われているので 「全ての」という意味が含まれていることになります。 「その詳細全て」という意味を「the」で出していることになります。 さて、この「the」に関しては、何の説明も加えていません。 話は、次から次へと進んで行き、「the」に関する説明は何もありません。

この話を読んでいる読者は、いきなり「the」が出てきて 「その詳細全て」といきなり書かれているので 困ってしまうことになります。 しかし、読んでいる方は、ここで諦めてはいけません。 話を読んでいくことで、物語は進んでいくので 話を読まなければなりません。 わからなくても、話を読んで行かなければならないのです。 わからないものがありながら、話を読んでいくのは大変な ことですが、これが大事になって来ます。 なぜなら、筆者の狙いはここにこそあるからです。 筆者はいきなり「the」を用いることで、読者をひきつけているのです。 何の説明もなしに「the」を用い、誰もわからないことを いきなり言うことで、読者に興味を持たせようとしているのです。 読者はいきなり「the」が使われているので、困ることになりますが 読者も努力して、その「the」を理解するように努めなければ なりません。 読者は努力して読むことで、物語を理解するようになります。 「the」がわからなくても、物語を理解していくように しなければなりません。 この筆者が意識的に使っている「the」は、読者をひきつける ためのものであると同時に、読者に努力を求めている 「the」でもあります。 44


読者はこの「the」を理解しようと努めることで 筆者が書いてあることを理解することになります。 読者が筆者の意味を読み取ろうとするのです。 そして、読んでいく内に、読者と筆者が一緒になって 物語を作っていくような感じになって来ます。 こういうことを難しい言い方をすると 「唯一の事に関する組み合わせ」 となります。 これでは、何を言っているのかわかりませんが、要は 筆者と読者が一体になって、物語を作っていくということになります。 筆者と読者が組み合わさって、唯一の物語を作っていくのです。 その伏線となるのが、いきなり出てきた「the」となります。 筆者は意識的にいきなり「the」を使います。 読者はいきなり「the」が出てきたので、何のことかわかりません。 しかし、この「the」をあたかも知っているように読んでいくことで 読者は筆者の考えていることが理解できるようになってきます。 もしかすると、1 回だけでは理解できないかもしれません。 2 回、3 回と読んでいくことで、理解が出来るようになるかも しれませんが、いきなり使われている「the」を理解しようと することで、読者と筆者との間に一体感が生まれるのです。

筆者は読者に「the」を理解しようとしてもらいたいと思っている ことになります。 いきなり「the」が使われているのですから、読んでいる方は 理解が絶対に出来ません。 しかし、絶対理解が出来ないことを、理解しようと努力して もらうことで、筆者と読者に一体感が生まれます。 この一体感こそが物語を読む上で、大事になってくるものとなります。

☆Everybody knows the facts and figures. 45


この「the」は、読者が努力することによって生まれる 一体感の伏線となっています。 読者は理解が出来ない「the」なので、理解は出来ませんが 理解をしようと努力はしなければなりません。 そして、あたかも知っているかのように読んでいくことが 大事になって来ます。 この「the」を何の説明もなしに、知っているかのように読んでいく ことで、物語を読んで行くことが出来るようになります。

なお、この冒頭部分で、「the」がなく、普通に始まっている場合は

☆Everybody knows facts and figures.

となります。 これだと 「みんな、詳細を知っている」 となりますが、これは無冠詞複数形なので、特定された ものではなく、どこにでもある詳細の中の複数の 詳細という意味になります。 どこにでもある詳細なので、だれでも何かの詳細は知っている でしょうから、別に驚くことはありません。 ですから、こういう「the」なしで始まっている場合は 特に気に留めることもなく、物語を読んで行くことが出来ます。

別にこういう文ではなくても「a」が使われている場合でも同じことです。 例えば

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☆There was an old man. 「ある一人の老人がいた」

という場合も、どこにでもいる老人の中の一人、という 意味なので、特定されていないので、そのまま気にすることなく 読んで行けば良いのです。 普通は、このように、冒頭部分では「the」を用いないことになります。 「the」を使うのは、例外的なことになります。

冒頭部分に「the」が用いられている場合は、例外的なものに なりますが、筆者がメッセージを出しているものなので 読者は筆者の意図を理解しなければなりません。 「the」が用いられていない場合は、何も気にすることはありません。 「the」があるなしで、意味が思い切り変わってきますが 「the」があるなしで、筆者の意図があるかないかもわかるのです。

冒頭に「the」がある場合は、はっきりと筆者の意図があります。

さて、この例外的な「the」ですが、それほど説明は要らないと思います。 何かを指しているわけでもなく、特に深い意味があるわけでもありません。 筆者の意図があるということを理解して、読んでいけば良いことになります。 この、いきなり出てくる「the」ですが、前で言ったことを受ける「the」の 発展的な使い方とも言えますし、当てはまらないとも言えます。 ここでは例外的な「the」とだけしておきます。

さて、前で言ったことを受ける「the」に関する説明は もう終わっていることになります。

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前で言ったことを特定して「the」を使うという言い方は 英語らしいものですが、これだけが「the」の使い方では もちろんありません。 そして、前で言ったことを受ける「the」の反対のようなものもあります。

それは、後ろの影響を受ける「the」というものになります。 後ろに使われている単語などの影響があるので 「the」を使うということもあります。 しかしこの「the」に関しては、曖昧な点もあるので 必ずしも「the」を使うとは言い切れない場合もあります。 ですから、意味を含めて文法的にしっかりと考えて 「the」を使わなければならなくなってきます。 後ろの影響を受ける「the」とは何なのか、ここで 具体例を挙げておきます。 例えば

☆His salary is the same as mine. ☆They can be ordered in the usual way. ☆You are the only one.

などになります。 これらは、後ろにある単語の影響で「the」が使われていると 言うことが出来ます。 前で言ったことを受けていることはありません。 後ろの影響があるから「the」が必要になって来ます。

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しかし、英語では前から順に言っていくものなので 「the」があるから、単語が来ることが出来るとも言えるので 必ずしも、後ろの影響があるから「the」が使われているとは 言えない場合も出てきます。 これは、しっかりと見ていくことで、理解が出来てくるように なると思います。

後ろの影響を受ける「the」ですが、他にももちろん数多くの場合があります。 まずは基本的な場合から見て行きます。 後ろの影響を受ける「the」を見ていく前に、今まで見てきた 前で言ったことを受ける「the」をしっかりと復習し 理解しておいて下さい。 前で言ったことを受ける「the」は英語らしいものになるので 絶対の理解が必要となります。 英語らしいものは、使えなければ何の意味もないので 理解した上で、使えるようになっておいて下さい。 また、今回見た例外的な「the」も理解しておいて下さい。 冒頭部分でいきなり「the」が出てきても、慌ててはいけません。 その「the」を理解しようとし、あたかも知っているような 感じで、読み進めてください。 そうすることで、物語に引き込まれ、筆者との一体感を生む ことが出来ます。

次回からは、後ろの影響を受ける「the」を見て行きますが これは、今まで見てきたものよりも複雑なものなので 本当にしっかりと見て行きます。 「the」が使える場合もあれば、「a」でも良い場合も あるので、どういう意味になるのかもしっかりと見て行きます。 「a」でも良いということは、「a」の意味をしっかりと 理解しておくことが大事になって来ます。

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☆His salary is the same as mine. ☆They can be ordered in the usual way. ☆You are the only one.

これらの文ですが、「a」が使われることは常識的にありません。 しかし、例えば

☆She is an only child.

という場合もあります。 これは「the」を使っても正しいものとなり、「a」を使っても 正しいものとなります。 「a」「the」両方使えるものなので、意味の違いを しっかりと理解することが大事になって来ます。

なお、後ろの影響を受ける「the」ですが、後ろにある単語が 大事になってくるので、単語と一緒に「the」を見て行きます。

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2004 年 10 月 8 日 ======================================================== 第 53 号

定冠詞「the」を見ています。 「the」は数えられない名詞でも、数えられる名詞でも 関係なく使われるものなので、しっかりと 理解しなければなりません。 現在は、最上級で使われる「the」を見ています。 最上級では当たり前のように「the」が用いられますが 「the」を使うしっかりとした理由があるから 「the」が用いられているのです。 「the」にはしっかりと意味があるので、その意味を理解した上で 最上級を見て行くと、納得できることが多くあると思います。 また最上級といっても、単数形ばかりではなくて、複数形の 場合もあるので、その意味をしっかりと理解しておく必要があります。 さて、今回は序数詞と最上級が一緒になった場合を見て行きます。

それでは、早速見ていきましょう。

《最上級の the》

☆She was the third fastest girl in the class.

これを前回最後に載せておきました。 見ての通り「third」と序数詞が使われています。

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序数詞があるということは、冠詞が大きく関係してきます。 また「fastest」となっているので、最上級であることも すぐにわかります。 さて、まずは基本的なことから確認をして行きます。 定冠詞「the」があるということは、後ろに名詞が絶対あります。 ここでは「girl」になります。 ですから「the girl」が基本形となります。 ここに「third fastest」が入って来ているのです。 この英文の意味を取るのは簡単だと思います。 既に序数詞を見ているので、わかると思いますが 意味は

☆She was the third fastest girl in the class. 「彼女はクラスで、3 番目に足が速い女の子だった」

となります。 さて、序数詞を考えておきますが、もちろん「第 3 番目」の という意味を出しています。 ということは、1 番目、2 番目がいることになり、4 番目 5 番目もいると考えられます。 そして、3 番目はもちろん 1 人しかいないということになるので 自然と「the」が必要になります。 そして「fastest」ですが、「1 番速い」という意味を出しているものですが 「third」があることで「3 番目に速い」という意味になっています。 ここでは「third fastest」で 1 つの意味を出していることになります。 「fastest」だけだと、単なる最上級ですが、「third」があることで 「3 番目の」という意味がしっかりと付き、さらに 1 人しかいないので

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「the」が必要になります。 この序数詞がある場合でも、「the」は「1 つしかない」という意味を 出していることになります。 ですから、しっかりと日本語訳を出せば

☆She was the third fastest girl in the class. 「彼女は、クラスで、1 人しかいない 3 番目に足が速い女の子だった」

となります。 3 番目には 1 人しかいないので、「the」があるのです。 「the」の意味をしっかりと理解しなければなりません。

なお、例えば 50 メートルのタイムで、同タイムということも 考えられます。 例えば 9 秒ちょうどが 2 人いる場合も考えられます。 そういう場合もしっかりと最上級を使って表現が出来ます。 クラスで 3 番目の記録が 9 秒ちょうどで、そのタイムに 2 人がいる時、例えば、以下のようにして言うことが出来ます。

☆She was one of the third fastest girls in the class.

ということが出来ます。 2 人いるとは言っていませんが、「girls」とあるので、2 人以上 いることがはっきりとわかります。 そして「one of」があるので「~のうちの 1 つ(1 人)」という

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意味を出しています。 これも「the」を用いていますが、「1 人しかいない」という意味ではありません。 「girls」と複数形になっているので、複数いることになります。 これはその複数人しかいない、という意味になります。 2 人なら、その 2 人しかいない、という意味になっています。 ですから

☆She was one of the third fastest girls in the class. 「クラスで 3 番目に足が速い女の子はその 2 人しかいなかったが 彼女は、そのうちの 1 人だった」

となります。 「the」でしっかりと特定しているので、ここでは「2 人しかいない」 という意味にしておきました。 3 人であれば、3 人しかいない、となります。 ------------------------------------------------------------

さて、序数詞が入っている場合でも、最上級の意味に大きな 変化はありません。 また「the」も同じような意味で使われています。 「the」があるということは、名詞を後ろに従えるので 絶対に名詞が必要になります。 名詞がない場合は、名詞の省略になります。

ここで、話を少し変えます。 ここからは、最上級の話をして行きます。 「the」の話ではありません。

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最上級と言っていますが、最上級には大きく分けて 2 つの種類があります。 それは

相対最上級 絶対最上級

の 2 つです。 相対最上級というのは、他と比べて 1 番である、ということを 言うものです。 それに対し、絶対最上級というのは、絶対的に 1 番である ということを言うものです。 絶対なので、他とは比べていないことになります。 他と比べるのが相対で、比べないのが絶対になります。 さて、先ほどの例文ですが

☆She was the third fastest girl in the class.

これは「in the class」とあることから、他の生徒と比べている ことがわかります。 ですから、相対最上級となります。 他の生徒と比べて、3 番目なのです。 2 番目でも、1 番目でも比べていることになるので、相対最上級となります。

これに対して、絶対最上級はその名の通り絶対的な ものを意味しているので、比べてはいません。 絶対 1 番である、という意味になって来ます。

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そして、この絶対最上級で使われる場合に、冠詞の変化が 起こるのです。 まず普通の絶対最上級の場合ですが、例えば

☆This is the oldest wine.

というように用いられます。 これはどこも変わった点はありませんが、絶対最上級の 例文となります。 意味を取るのも簡単です、意味を取っておきます。

☆「これは、1 つしかない 1 番古いワインです」

となります。 さて、この日本語を見てもわかったと思いますが、何とも比べては いないのです。 例えば「日本で」「この国で」「アメリカで」「欧州で」などという 範囲などはなく、単に「1 番古い」ということしか言っていません。 他の何とも比べていないので、絶対最上級ということが わかります。 比べなくても、1 番古い、ということになっています。 なお、これは厳しいルールがあるわけではありません。 この英文を発言した人にとって、このワインこそが 1 番古い と言っているだけの場合もあります。 他を調べれば、もっと古いワインがある可能性もありますが

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少なくとも、この英文では他の何とも比べた様子はないので 絶対最上級となります。 このように比べなくても、最上級で言える場合が 絶対最上級なのです。 ですから意味を正確に取ると

☆This is the oldest wine. 「これこそが、世界に 1 つしかない絶対に 1 番古いワインである」

ということになります。 なお、「世界に」と言っていますが、ワインは世界中にあるものなので このようにしておきました。 また、個人的な主観が入っている場合もあるので、正しい文とは 言い切れません。 個人的に世界で 1 番古いワインと思い込んでいるだけの場合も 十分あります。

さて、この絶対最上級の場合でももちろん「the」が使われますが 既に見たように「1 つしかない」という意味を出しています。 これは今まで見たことと何の違いもありません。 こういう場合は何の問題もないのですが、絶対最上級は冠詞が 変わってくるのです。 冠詞には 2 種類しかありません。「a」と「the」だけです。 冠詞が変わるということは「a」が用いられるということです。 「a」が用いられる場合は形が大体決まっています。 それは

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☆He showed to be a most dedicated man.

というものです。 これは見ての通り「a」が使われています。 しかし直後には「most」と明らかに最上級を示すものがあります。 最上級なのに「a」が使われているのです。 これは例外的なものとなりますが、実際に使われる場合は 普通にあります。

さて「the」ではないので「1 つしかない」という意味はありません。 「a」ですから「複数の中の 1 つ」という意味になります。 最上級は 1 つしかない、という意味を出すものです。 しかし、「複数の中の 1 つ」という意味を出しているので 一見すると矛盾しているものとなります。

☆He showed to be a most dedicated man.

この英文は 「1 人しかいない、1 番熱心な男」 という意味ではありません。 「a」なので「複数の中の 1 人」という意味になります。 しかし「most」と最上級があるので、意味を考えなければなりません。 これは「most」を単なる副詞と考えることも出来ます。 「dedicated」は形容詞です。 その形容詞の前に副詞がありますが、副詞は文中のどこでも 出てくるものなので、形容詞の前にあっても不思議ではありません。 また副詞が形容詞の意味を修飾することも普通にあるので 副詞と考えても何の問題もありません。

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しかし「most」に変わりはないので、最上級の意味が含まれている ことになります。

さて、考え方ですが、英語では語順が極めて大事になって来ます。 語順は前から考えて行くものとなります。 前からとは、単語が並んでいる順になります。 前にある単語がより大事になります。 「a most dedicated man」 この部分ですが、まず「a」があります。 「a」があるということは、後ろに名詞を従えます。 ですから「a man」となっているのです。 そして「a」が前にあるということは「a」が意味を決めています。 つまり「複数の中の 1 つ」という意味になります。 「a man」は「複数いる男性の中の 1 人」となります。 そして「a dedicated man」は「複数いる熱心な男性の中の 1 人」 となります。 それに最上級の「most」が入って来ているのです。 「a most dedicated man」は「複数いる 1 番熱心な男性の中の 1 人」 という意味になることになります。 これがそのままの意味になります。 しかし「1 番熱心」と言いながら複数いることになります。 これは意味が矛盾します。 この英文は、絶対最上級の文です。 ですから、他とは比べていないということになります。 他とは比べずに 「複数いる 1 番熱心な男性の中の 1 人」 と言っています。 これはどういうことなのか、しっかりと考えておく必要があります。 この説明をすると多少長くなるので、詳しい説明は次回に 59


譲ることにします。

☆He showed to be a most dedicated man.

この英文は、他とは比べていないものです。 どこにも比べている様子はありません。 そして「a」が使われています。 「the」ではなく「a」が使われていることに注意して、意味を 自分でとってみてください。 自分の力でしっかりと理解するということは、極めて大事な ことになります。 ですから、自分だけで意味を出してください。

なお相対最上級と絶対最上級の違いをしっかりと 理解しておいて下さい。

☆She was the third fastest girl in the class.(相対) ☆This is the oldest wine.(絶対)

となります。

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2004 年 12 月 10 日 ======================================================== 第 61 号

関係詞の場合の冠詞を見ています。 関係詞は、コンマあり、コンマなしの場合があるのでその区別を しっかりとしなければなりません。 コンマありの場合と、コンマなしの場合とでは、意味が大きく ことなるので、コンマあり、コンマなしの意味をしっかりと 理解しておくことが、非常に大事になります。

限定用法で使われている場合を見ていますが、冠詞の意味も しっかりと理解することが大事になります。 まだ「the」が使われている場合しか見ていないので、他の場合も 見て行きます。 冠詞が変われば意味が変わるというのは、いつも同じなので 冠詞が変わるとどうなるのか、しっかりと見て行きます。

それでは、早速見ていきましょう。

-----------------------------------------------------------《関係詞の場合の冠詞》 ------------------------------------------------------------

☆Estonia is a country which has been experiencing a tremendous growth in economy. 61


これは少し長いですが、しっかりと関係詞が使われています。 関係詞が使われているので、コンマがあるかないかを確認しますが コンマがありません。 コンマがないので、制限(限定)用法ということが分かります。 つまり、複数ある中から制限・限定されていることになります。

限定されていると言えば、冠詞で言えば「the」になります。 しかしここでは見ての通り「a」が使われているのです。 「a」はもちろん不定冠詞です。 つまり、限定していないことになります。 複数ある中のどれでも良い一つ、ということになるので、限定などは 全くしていません。

しかし後ろでは限定しているのです。

これは一見すると矛盾していることになります。 限定しているものと、していないものが同居しているのです。 しかし正しい英文で、普通に使われるものとなります。

関係詞の説明では、限定用法には「the」を用いるなどと思い切って 説明されることもあるようですが、限定用法であっても名詞がある限り 「a」も「the」も無冠詞も複数形も普通にあるのです。 関係詞があろうがなかろうが、名詞なので、冠詞はいろいろと変化を するものなのです。 ここでは「a」ですが、これは英語では当たり前のことなのです。

さて、ここは英語のルールに従って理解して行きます。 英語は前から順に単語を並べて行くものであり、前から順に 意味を出している言語になります。

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日本人の発想からすると、「a」が名詞に付いている、となりますが 英語では「a」があるから名詞が後ろにある、となります。 そしてその後に関係詞「which」が来ているとなるのです。

前から順に考えて行きます。

☆Estonia is a country which has been experiencing a tremendous growth in economy.

さて、この英文ですが、まずは「a country」となっていることに 気が付きます。 この部分までの意味を取っておくと

「エストニアは複数ある中のどれでも良い一つの国である」

となります。 簡単に言えば「エストニアは、とある国である」となります。

エストニアという国ですが、バルト三国の 1 つとなり、旧ソビエトから 独立した小さな国になります。 首都はタリンで、北にある国で、冬はかなり寒くなります。

こういう説明はここではあまり関係ありませんが、イメージをしっかりと するために、ある程度の詳細は必要だと思います。

さて、話を戻します。

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まず、この英文では「エストニアは、とある国である」と言っています。 特に限定する必要はなく、大きな意味もないので「a」が普通に 使われています。 「the」を用いる時は、しっかりと限定する必要がない限り使えません。 ここでは「the」を用いる必要がないので「a」が使われていることになります。

さて、この後なのですが「which」がコンマなしで来ています。 「which」がコンマなしであるということは限定していることになります。 限定する必要があるからこそ、限定していることになります。 なぜ限定しているのかと言えば、他としっかりと区別するためになります。 他とは異なる、ということをしっかりと出すために、限定していることになります。

まずは「which」以下の意味を取っておきます。

☆which has been experiencing a tremendous growth in economy. 「経済においてものすごい成長を経験している」

となります。 このことを説明したいがために関係詞「which」を用いているのです。 前に出てきた名詞をしっかりと説明をするために関係詞を用いることになります。 関係詞が用いられる時は、それなりにしっかりとした説明が続くことになります。 前の名詞を説明するので、しっかりとした説明が必要なのです。

さて、大事なのは「which」がコンマなしである、ということになります。 コンマなしなので、限定していることになります。 前回説明しましたが、コンマなしで使われている関係詞以下には しっかりと限定できる情報が来る、ということになります。

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限定できる情報が来ないと、限定が出来ないので、限定できるものが 絶対に来ることになるのです。 ここでは「経済においてものすごい成長を経験している」という情報が 来ています。 これが限定できる情報になるのです。

この限定できる情報ですが、しかし限定するには限界がありそうです。 なぜなら「経済においてものすごい成長を経験している」という国は 世界を探せば他にもあるからです。 例えば中国は経済成長がものすごいと言われています。 他にも欧州でも探せば経済成長がものすごい国はあるかと思います。

いずれにしても、ここで限定できる情報というのは、限定できる範囲に 限界があるという感じになります。 絶対的に限定が出来るものではなくて、ある程度の範囲まで 限定が出来る情報ということになります。

☆Estonia is a country which has been experiencing a tremendous growth in economy.

この英文で「which」以下にある情報は、絶対的に限定できるものではない ということになります。 絶対的に、とは言い換えると「唯一」となります。 唯一に限定できるものではない情報が続いていることになります。 こう考えると分かるかと思いますが、唯一に限定できないものなので 必然的に「the」は使えません。 「the 単数形」で「唯一の」という意味になるので「the」は絶対に使えません。

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「the」が使えないので、無冠詞か「a」を使うことになりますが、無冠詞では 意味がおかしくなり、使えないので「a」を用いることになります。 唯一に限定できないので「a」が使われているということになりますが これは日本人的な考えになるので、こういう考えでは英語を本当に 理解することは出来ません。 先ほども説明しましたが、英語は前から意味を取っていくものなので 前から意味を取っていかなければなりません。 ここではまず「a」が出てきています。 「a」があるということで、限定できない、ということになります。 しかし「which」がコンマなしで来ています。 コンマなしということは、限定していることになります。 限定していないのに限定していることになり、矛盾することになるのですが 「which」以下で、唯一までは限定が出来ない情報が続くことになるのです。 限定はしているのだけれども、ある程度までの限定であって 唯一までの限定情報ではない、ということになります。 唯一までの限定情報ではないので、冠詞が「a」であっても 問題は何もありません。 一見限定されていることになるのですが、限定はある程度の範囲まで のものとなり、唯一までの限定ではないことになるので 「a」を使うことが可能です。

これは頭が混乱するようなことになるのですが、限定していると言っても 唯一とは言っていないことになります。 限定していても、唯一になるとは限らないのです。 「a」が使われているので、絶対に唯一という意味は入ってこないのです。

「the」が使われている場合は、限定と限定なので理解がしやすいですが この「a」の場合は、非限定、限定、非限定と続くことになります。

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この意味をしっかりと理解すると関係詞、冠詞の意味がしっかりと わかるようになります。

さて、この非常にややこしい英文ですが、しっかりと意味を取っておくと

☆Estonia is a country which has been experiencing a tremendous growth in economy. 「エストニアは、経済でものすごい成長をしている幾つかある国の中の 一つの国です」

となります。 ここではっきりと分かるのは、経済成長がものすごい国が他にもあるという ことになります。 経済成長がものすごい複数の国の中の一つが、エストニアである ということになります。 もし、経済成長がものすごい国がエストニアしかない場合は

☆Estonia is the country which has been experiencing a tremendous growth in economy. 「エストニアは、経済でものすごい成長をしている唯一の国です」

となります。 67


「the」でしっかりと唯一という意味を出しています。 そして「which」以下には唯一と限定できる情報が来ていることになります。 唯一なので「the」が使われており、しっかりと情報も来ています。 そして「which」はコンマなしで使われています。 ここでもしっかりとコンマなしになっているので、限定されていることに なりますが、これは他の国とを分けていることになります。

ここでは、世界には色々な国があるが、経済成長がものすごいのは エストニアだけである、という意味になります。

限定している対象が、世界の他の国々ということになります。

なお

☆Estonia is the country,which has been experiencing a tremendous growth in economy.

こういう英文はありません。 コンマが入っていることで意味が大きく変わるので、意味で考えて ない文となります。 この説明に関しては回を改めてしっかりと見ていきます。

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今回は一つの英文をしっかりと説明してきましたが なかなか理解が出来るものではないと思います。

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関係詞と冠詞両方の意味をしっかりと理解することは非常に 難しいものです。

不定冠詞「a」が使われているにも関わらず、限定用法の関係詞を 用いることが出来るのです。 コンマなしの「which」が来ていましたが、しっかりと「which」以下で 唯一までには限定できない情報が来ているので、問題はない ことになります。

今回は、限定しているけれども、唯一まで限定するまでには 至っていない、というものとなります。 唯一までには至っていないというのは、複数ある、ということになります。 ある程度の数に絞り込むことは出来ますが、複数、最低でも 2 つは あるということになります。 かなり少ない数に限定している、ということになります。

☆Estonia is a country which has been experiencing a tremendous growth in economy.

この英文の意味をしっかりと理解するのは、なかなか大変なのですが 何回も何回も読み返して、復習して、説明なしで意味をしっかりと 取れるようになっておいて下さい。 「a」が使われているので「which」以下には、唯一まで限定する情報は 来ていないということになります。 「which」以下の情報が何なのか、ということが大事になってきます。

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これはしっかりと理解した上で、色々な英文を読んでいくことで 分かってくるものなので、1 回や 2 回程度の説明では 簡単には理解できないものとなります。 今理解が出来なくても、焦らないで下さい。 何回も復習をして、しっかりと理解してください。

今回説明したことは難しいので、次回この続きを見ていきたいと思います。 「a」の場合と「the」の場合の意味の違いをしっかりと理解する ということが大事になってきます。 また無冠詞の場合もあるので、無冠詞の場合も理解していかなければ なりません。

「a」と「the」、冠詞が変われば、意味も当然変わるのです。

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2005 年 2 月 25 日 ======================================================== 第 70 号

関係詞の場合の冠詞を見ています。 関係詞は、コンマあり、コンマなしの場合があるのでその区別を しっかりとしなければなりません。

分類用法と特定用法の区別を見ています。 これは日本語にはないものとなるので、しっかりと区別が 出来なければなりません。 「a」なのか「the」なのかで、意味が大きく変わってきます。 冠詞を無視していると、意味の違いに気が付きませんが 冠詞を無視することは絶対に出来ないので、常に冠詞の意味を 考えなければなりません。

それでは、早速見ていきましょう。

-----------------------------------------------------------《関係詞の場合の冠詞 特定用法 分類用法の区別》 ------------------------------------------------------------

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☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams. (「ここがおかしい 日本人の英文法 3」T.D.ミントン 研究社 141 ページ)

さて、今回はこの英文を見て行きます。 これは少し長い英文になっていますが、別に問題はありません。 この英文ですが、関係詞は「that」になります。 そして前で「the」が使われています。 ですから、特定用法となります。 限定していることになります。 「the」と「that」でしっかりと限定しています。

☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams.

この英文ですが、「the」と「that」で限定されていることがわかります。 そして「the education system」と単数形になっていることから 「唯一の」という意味が出てきます。 他にはない、ということになります。 どんなものが「唯一」なのか、ということが「that」以下で説明されている ことになります。 この英文の意味をまず取っておくと

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☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams. 「この問題は、ティーンエイジャー(13 歳から 19 歳まで)に 試験のために詰め込みを強制しているあの一つしかない教育システムに 起因すると考えられる」

という感じになります。 長くなっていますが、日本語に出すとこうなります。 さて、この英文をもっとしっかり理解しなければなりません。 この英文はしっかりと前後で限定しています。 限定しているということは、複数ある、ということになります。 ですから「複数ある中で唯一の」という意味になります。 何が複数あるのか、ということですが、それはもちろん 「education system」になります。 これが複数あるのです。 複数ある中の唯一のものなので、「the」と「that」でしっかりと 限定されているのです。

こう考えると、この英文が少しおかしいことに気が付いてきます。 気が付いていない人は、ここで気が付いてください。

☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams.

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これは教育システムを限定しています。 教育システムとは、普通、一つの国に一つになります。 ただし、アメリカは州ごとに何でも独立しているので、教育システムは 州ごとに異なります。 それでも一つの州に一つとなります。

一つの国に一つしかないもの、と考えると、限定する必要があるのか どうか、ということになります。 この英文は何を言っているのかというと、教育システムのことなのですが 教育システムは世界にいくつもある、ということを含んでいるのです。 限定しているということは、複数ある中の一つ、ということになるので 他にも教育システムがある、ということを含んでいます。

ですから

☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams. 「この問題は、ティーンエイジャー(13 歳から 19 歳まで)に 試験のために詰め込みを強制しているあの一つしかない教育システムに 起因すると考えられる」 (他にも教育システムは数え切れないほどある)

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ということになります。 この英文は、一つの国の中で述べられているものではなくて 世界規模で述べられているものとなるのです。 この英文を読んで、日本のことか、と思われた人もいるでしょうが この英文を読んだ人全てが日本のこととは思いません。 英語ですから、世界中の人が読むことになります。 そしてこの英文にはどこにも「Japan」など固有名詞はありません。 ですから、どこか特定の国のことを言っているのではないのです。 何かかなり細かい説明になっていますが、これは大事なことなので しっかりと説明をしています。

☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams.

この英文は、どこかの国のことを言っているのではなくて、世界中にある 教育システムの中の一つのことだけを言っているのです。 そして試験のための詰め込みを強制しているのは、一つしかないと 言っているのです。 これはまさに日本の教育制度が当てはまりそうですが、こういう教育制度は 外国にもあります。 試験がある限り、試験で点数を稼ごうとする授業は行われるものなので 試験のための詰め込み授業が行われている国は他にもあると 考えるのが普通です。

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例えば、韓国は日本以上に厳しい受験があります。 またアメリカでも大学に行くためには、試験を受けなければなりません。 イギリスでもしっかりと試験で高得点を取らなければなりません。 試験で点数を取ることを目的としている教育は、世界どこにでもあるのです。

こう考えると、やはりこの英文はおかしいことになります。

☆This problem can be attributed to the education system that forces teenagers to cram for exams.

この英文は、詰め込みをしている教育システムは、世界に一つしかない ということを言っていますが、これでは言い過ぎになります。 世界を探せば、こういう教育システムは普通にあるものなので 他にもある、ということになります。 ですから、この英文は「the」を使うことが出来なくなります。 他にもあるのですから「a」を使うことになります。

☆This problem can be attributed to an education system that forces teenagers to cram for exams. 「この問題は、ティーンエイジャー(13 歳から 19 歳まで)に 試験のために詰め込みを強制している複数ある中の一つの教育システムに 起因すると考えられる」 (詰め込みを強制していない教育システムもある)

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となります。 これが正解となります。 「the」と「a」で意味が大きく異なっていることに注意してください。 冠詞が変わるだけで、意味が大きく変わるのです。 何気なく英文を読んでいるとこういうことに気が付きませんが 英語はやはり冠詞が大事になるので、冠詞をしっかりと注意して読むようにして下さい。

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今回の英文はかなり難しい場合かもしれませんが 冠詞の基本から考えて行くことで、理解が出来てきます。

「a」なのか、「the」なのかを常に考えることが大事になります。 「a」は「複数の中の一つ」であり「the」は「唯一の」という感じになります。 この違いは大きいので、しっかりと理解しておいて下さい。

なお今回の英文ですが、かなり極端な例になります。 世界規模の話をしているものとなるもので、かなり極端なのですが それでも、こういうことは大事なので、知っておかなければなりません。

何も「Japan」など固有名詞がないので、世界的な話をしている ことになるのです。 しっかりと限定するのであれば、限定できるものを出さなければなりません。 例えば

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☆This problem can be attributed to the education system that was established in Japan after the war. 「この問題は、戦後日本で作られた唯一の教育システムに 起因すると考えられる」 (「ここがおかしい 日本人の英文法 3」T.D.ミントン 研究社 141 ページ)

とすれば問題ありません。 しっかりと「Japan」が前に出て来ているので、問題はありません。 日本には教育システムが一つしかありません。 アメリカのように州ごとに異なることはありませんので、「唯一の」 という意味を出さなければなりません。 ですから「the education system that」と前後でしっかりと限定し 単数形が用いられているのです。

さて、ここで問題なのですが

☆This problem can be attributed to the Japanese education system that forces teenagers to cram for exams. (「ここがおかしい 日本人の英文法 3」T.D.ミントン 研究社 143 ページ)

この文は間違いになるのです。 先ほどの文は正解なのですが、この文は間違いになります。

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どうしてなのかしっかりと理解して行かなければなりません。 これは上記の本にも説明が載っていますが、説明が足らない点もあるので しっかりと説明をして行きたいと思います。

詳しい説明は次回行って行きますが、この英文のどこが間違いなのか 自分なりに考えておいて下さい。

これは今まで説明してきたことだけでは、理解が出来ないものとなるので 色々文法書なりを引いて、自分で考えておいて下さい。

そしてしっかりと今回のことを復習しておいて下さい。 「the」と「a」ではやはり意味が大きく異なるのです。 冠詞が変われば、英語は変わります。 冠詞が変わると、意味が通じない場合もあります。 冠詞はやはり大事です。

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2005 年 4 月 8 日 ======================================================== 第 76 号

関係詞の場合の冠詞を見ていました。 関係詞も冠詞も日本語にないものなので難しいものとなります。 コンマあり、コンマなしで意味が異なる関係詞と 「a」「the」で意味が異なる冠詞両方があるので 日本人からすると、とても難しくなります。

さて、今回は「there is」構文を見ていきます。 もちろん冠詞を中心に見て行きますが、冠詞が変わると 意味が変わることをしっかりと見ていきます。

それでは、早速見ていきましょう。

-----------------------------------------------------------《there is 構文の冠詞》 ------------------------------------------------------------

☆There is a book on the desk.

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☆There is the book on the desk.

この 2 つがありますが、見ての通り冠詞が違います。 ですから英文の意味そのものが違います。

まず「there is」とは何なのか、という説明からしておきます。

これは「~がある」という意味になると思われているものですが 実は、文頭に知らないものが来ることを避けるため使われるものとなります。 英語では、知っているものから知らないものへ という流れがあります。 知っているものが文頭に来て、知らないものが文末に来る というのが英語の流れなのです。 不定冠詞「a」は知らないという意味も入ってくるので いきなり「a」を文頭で使うと、英語としてはとても ぎこちなくなります。 ただし、いきなり「a」を持ってくる場合もあります。 日常会話でも「a」から始まることはあります。

しかし普通、不定冠詞の「a」で始めることを出来るだけ避けるので 「there」を用いて表現していることになります。 ですから特に意味はないのです。 これは英語らしさを保つために使われるものと言って良いもので 文頭に「a」が来ることを避けているのです。

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文頭に「a」が来ると英語らしくないので、変わりに「there」を 使っているのです。 英語のリズムとしては「there」があった方が良いので 用いているだけなので、深い意味はありません。

さて、話を戻しますが

☆There is a book on the desk.

これは日本語に訳しておくと 「机の上にとある一冊の本がある」 となります。 難しい箇所はありません。 「ある」というのは「there」の意味ではなくて、「be 動詞」の意味になります。

さて、知らないものが来るのを避けるために使われているので この英文は何の問題もありません。 極めて普通の英文です。

問題は「the」の場合になります。

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☆There is the book on the desk.

これは「the」となるので、特定していることになります。 特定、限定されているのですから、既に一度出てきていることになります。 日本語で言えば「あの」「その」「例の」という感じになります。 分かりやすいのは「例の」という日本語ですが それを使って訳しておくと

☆There is the book on the desk. 「机の上に、例の一冊の本がある」

となります。 日本語だけを見ると、特に問題はないようですが 英語では「there」が使われているので、意味を考えなければなりません。 知らないものが文頭に来るのを避けるために使われるのが 「there」なのに、知っているものがあるのに「there」が 使われているのです。

これはもちろん意味があります。

この英文が使われている場面で考えられるのは 相手が忘れているかもしれないことを、思い起こさせようとしている

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という場面です。

既に話題に上っていたことなのですが、相手が忘れてしまっている 可能性があるので、わざわざ確認のため言っているという感じになります。

☆There is the book on the desk.

こうして「there」を文頭に持ってくることで、あたかも初めてのように 言っているのです。 しかし「the」を使っているので、古い情報となります。 古い情報なのですが、相手が忘れているかも知れず 忘れている場合は、相手にとって初めてのことになるので 「there」を使っているのです。

相手に何か思い出させようとする場合は、こういう文が使われるのです。 日本語に出しておくと

☆There is the book on the desk. 「例の本は机の上にあるよ(忘れたの?)」

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という感じになります。 色々な意味が隠されていますが、忘れているかもしれない相手に 思い起こさせようとしているのです。

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日常会話でも、「the」と一緒に「there is」構文は使われます。 また普通に書き言葉でも使われます。 例えば

☆There are dream cars, and there is the car you know you will buy.

という英文があります。 これは自動車販売店の宣伝文になるのですが、これもしっかりと 「the」が使われています。 忘れているかもしれない相手に、思い起こさせているのです。 意味を出しておくと

☆There are dream cars, and there is the car you know you will buy. 「夢の車が複数あります。あなたが買うと分かっている あの 1 台しかない車もあります」

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となります。 これは宣伝文なので、実際に相手は特定されていませんが 人をひきつけるために使われている英文となっています。 人には欲しい車があります。 何を買いたいのか大体決まっています。 憧れの車もあります。 その車がある、と言っているのです。 「the」を使うことにより、相手の気持ちを引き付けているのです。 いきなり「あの車」と言われてもどんな車なのか分かりませんが 以下でしっかりとどんな車なのか説明があります。 これはもちろん関係詞の省略となっています。 関係詞の省略ですが、「there is」構文で「the」が使われていることが 大事になります。

しかし意味を取るのはそれほど難しくはありません。 「the」が使われていても、意味に困ることはないと思います。

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さて、こうして見て来ると

☆The book is on the desk.

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という英文との違いも分かってきたと思います。 これは普通の英文です。 ですから相手に思い起こさせるような意味は何もありません。 古いものから新しいものへ、という流れなので、「the」が 文頭に来ていても何の問題もありません。 普通の英文となります。

単に事実を述べる場合はこういうもので良いのですが 相手に何か思い起こさせようとしている場合は 「there」を用いるものなのです。 あたかも初めて言うかのように「there is」を意識的に使い なおかつ「the」を使って、相手に思い起こさせようとしているのです。 もちろん相手は忘れていない場合もあります。 ですからそんなこと知っているよ、という場合もあります。

さて、ついでですので、似たような意味の場合を見ておきます。

☆A book is on the desk.

という英文ですが、あることはあります。 この場合ですが「there is」ではないので、ぎこちなくなっている感じがあります。 しかし間違いではありません。

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では「there is」構文とどう違うのか、ということですが 「a」で始まっている場合は、偶然、という感じが含まれていると 考えられます。

いきなり知らない本が出てきたのですから、偶然本がある というような感じになっていると考えられます。 いきなり「a」で始まっているので、いきなり知らないものが 出てきているのです。 ということは、偶然のような感じになっていると考えられます。

☆A book is on the desk. 「偶然にも、とある本が一冊机の上にある」

という感じになります。 ここまで日本語に出す必要はないのですが 違いを出すと、このようになります。

☆There is a book on the desk. 「机の上に、とある一冊の本がある」

こう比べると、意味の違いは明らかです。

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「~がある」という場合は「there is」構文を用いるのが普通なのですが 「a」で始めることもあるのです。

さて、「there is」の説明ですが、これまでになります。 特に難しいことはないので、しっかりと復習して理解しておいて下さい。

「a」「the」に関することはかなり見てきました。 冠詞の学習に終わりはないのですが、説明すべきことは かなりしてきました。 しかし冠詞を完璧に使いこなせる人はいないと思うので 冠詞をしっかりと使いこなせるように、細かい説明をこれから して行きたいと思います。 「a」「the」と言っても奥が深いので、しっかりと説明をしておきます。 例えば

☆I expect a better life standard.

という場合の意味を見て行きたいと思います。 何気ない英文なのですが、意外に奥深いものとなっています。 今まで説明してきたことで理解が出来るのですが そう簡単には理解できないかもしれません。

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「a」の使い方も大事なのですが、動詞も大事なのです。 冠詞だけを理解すれば良いというものではありません。 動詞も大事になってきます。 詳しい説明は次回して行きます。

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2005 年 6 月 17 日 ======================================================== 第 85 号 「総称」というものを見ています。 総称表現には 3 種類あります。 「a」「the」無冠詞複数形と 3 種類ありますが もちろん意味が異なるので、どんな意味になるのかを しっかりと理解しておかなければなりません。

前回は 3 つの表現がどんな場合に使われるのか、ということを説明しました。 今回は前回説明したことを受けて、他の表現を見ていきます。 冠詞が変われば意味が変わる、ということを意識しながら見て行きます。

それでは、早速見ていきましょう。

-----------------------------------------------------------《総称》 ------------------------------------------------------------

☆The pen is mightier than the sword.

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☆A pen is mightier than a sword.

☆Pens are mightier than swords.

今回はこの 3 つを見て行きます。 一番上が諺になりますが、他の 2 つは使われないもので 使えないものとなります。 どうして使えないものとなっているのかを見ていきます。

さて、諺の英文を見ておくと

☆The pen is mightier than the sword. 「ペンは剣よりも強し」

となります。 これは辞書を引けば載っているものですが「the 単数形」に なっていることに注目しなければなりません。 「the 単数形」ということは「特徴」を意味しているものとなります。 つまり「ペンの特徴」「剣の特徴」となります。 特徴を比べているのですが、しかしペンの方が強いと言っています。 これはどういうこと考えなければなりません。

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ペンが剣より強いなんてありえないことですが、しかし諺なので 間違いではありません。 これは何を意味しているのかですが、ペンが持っている威力 ペンで出来ることの大きさ、などを意味していると考えられます。

ここでのペンはその辺で売っているものではなくて、マスコミが 使っているペンとなります。 新聞や雑誌の記者が使っているペンです。

新聞、雑誌の記者がペンを使って記事を色々書きますが 内容によっては簡単に人を傷つけることが出来ますし 人を裏切ることも、人を陥れることも出来ます。

ペンを使って書く記事は、世間一般に出回るものです。 例えば全国紙の新聞なら、何百万人、何千万人が読みます。 不特定多数の人が読む新聞で、思い切り特定の個人を攻撃すると 攻撃された人は、世間から白い目で見られることもあるでしょう。 また攻撃された人は、深く傷つき、外にも出られなくなるかもしれません。

ここではこういう威力、影響力を意味しているのです。

ペンというよりもマスコミと言った方が良いですが、マスコミは 簡単に人を傷つけることが出来る、ということを意味しています。 そしてその傷は、剣で付けられたものよりも深く、取れないものなのです。

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最近日本でも、精神的なダメージが注目されています。 何か事件が起こると、身体的ではなくて、精神的に影響を受け 立ち直るまでに相当な時間がかかります。 実際に体を傷つけられるよりも、精神的なショックの方が大きく 体が治っても、精神面が直らない場合も多いようです。

この

☆The pen is mightier than the sword.

これは精神面を言っているとも言えます。 ペンによって傷つけられる精神的な傷は、剣で傷つけられる 体の傷よりも深い、というものを意味しているとも考えられます。 いずれにしても、ペンは簡単に人を傷つけることが出来 その傷は剣よりも深い、ということになっています。

「the 単数形」で「特徴」をしっかりと意味しています。

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さて、諺の場合は良いのですが、問題は他の 2 つの場合になります。

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まず

☆A pen is mightier than a sword.

これですが、これは「a」になります。 ですから代表させていることになります。 複数あるものから一つを抜き出して、代表させて言っていることになります。 そして「any」の意味になっているので、日本語に訳すと

☆A pen is mightier than a sword. 「どんなペンも、どんな剣より強い」

となります。 これは比ゆ的な意味は全くありません。 その辺で売られているペンを意味していることになります。 「a」となっていると言うことは、この世にある全てのペンを代表している ことになるのです。 ということはその辺にあるペンなのです。 その辺で売られているペンを意味しているのです。

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そして「a sword」ですが、これも世の中にある中の一つの剣なので 人を簡単に傷つけることが出来る剣となります。

その辺にあるペンと、普通の剣、どちらが強いのか戦わなくても 分かります。 ですからこの英文は間違いなのです。

☆A pen is mightier than a sword.

こんなものはありえないので、「a」を使うことはおかしなことになります。 「the」と「a」を変えることで、ありえない文が出来上がってしまうのです。 やはり冠詞が変わると英文の意味が変わるものです。

さて、複数形の場合ですが

☆Pens are mightier than swords.

これも同じになります。 つまりありえない文となります。

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無冠詞複数形なので、全てではありませんが、実質全ての という感じになります。 世の中にあるほとんど全てのペンは、世の中にあるほとんど全ての 剣より強い、となります。

こんなこと絶対ありえないので、おかしな意味となります。

別に比ゆ的な意味にはなっていないので、そのままの意味に なっています。 ですから裏の意味などないので、ありえない意味になっています。

こうしてみると

☆The pen is mightier than the sword.

これ以外ありえないことになります。 他の形は何があってもありえないのです。 「the 単数形」で「特徴」をしっかりと意味しているので この形以外ありえません。 この英文の意味をまずはしっかりと理解し、他の 2 つがありえないことも 理解しておいて下さい。

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冠詞が変われば意味が変わる、ということは何度も説明していますが 今回見ている場合もまさにそうなっています。 冠詞が変わると英語は変わり、ありえない文となってしまうのです。 この世にない英文を作ることになってしまうので 冠詞の使い方は、やはりしっかりと理解しなければならないものとなります。

さて、諺ですが、何も「the 単数形」だけではありません。 例えば

☆Birds in their little nests agree.

というものがあります。 これは無冠詞複数形ですが、無冠詞複数形で良いのです。 なぜなら一般的な鳥のことを言っているからです。 無冠詞複数形なので、かなりの数の鳥を意味していますが その大多数の鳥を意味しているので、問題はありません。

意味を取っておくと

☆Birds in their little nests agree. 「小さな巣にいるほとんど全ての鳥たちは、仲が良い」

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となります。 一般的な事実を言っているので問題はありません。 無冠詞複数形が用いられる場合は、一般論が述べられる場合が多いです。 ここでも一般論を述べていることになりますが、一般論が 諺になっているものとなります。 同じ巣にいる鳥は仲が良い、ということになり、同じところに 居る者は仲良くしなさい、ということになっています。

このように諺でも一般論から発展している場合もあるので 「the」が常に使われるとは限りません。 仮に

☆The bird in the little nest agrees.

とするとたちまちおかしくなってしまいます。 まず「the bird」がおかしくなるので、意味を取ることはかなり難しくなります。 しかも一般的なことを言っている感じになるので 「the bird」だけでは意味を出すことが出来ません。

冠詞があるなしで大きく意味が変わりますが、この場合も 大きく意味が変わってきてしまいます。 この場合は日本語に訳すのが出来なくなってしまいます。

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諺なので

☆Birds in their little nests agree.

これは変えることが出来ません。

さて、総称表現ですが、まだ例を挙げれば切りがありませんが 大事なことは説明したので、次回からは違う場合を見て行きます。 次回は

☆The evening sun glowed from the west.

などという場合を見て行きます。 この「the」も結構難しいものとなります。 どんなものになっているのかしっかりと次回見ていきます。 次回見て行く前に、総称表現をしっかりと復習しておいて下さい。 総称表現はとても大事なものとなります。

それでは。

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==============冠詞の世界================================= 2005 年 8 月 12 日 ======================================================== 第 92 号

限定されている「the」を見ています。 これは「the」のごく基本的な使い方なのですが 理解出来ていないと大きく勘違いしてしまうので 詳しく見ています。 「the」は限定するものなのですが、どう限定するのか ということはあまり理解されていないので、詳しく 理解しなければなりません。

前回は前置詞の意味と、朝、昼などの場合を見ました。 前置詞と一緒に冠詞を理解することは大事になります。 なぜなら前置詞は名詞と一緒に使うからであり、名詞があるのなら 冠詞もあるからです。

前置詞と冠詞はセットで使われることも多いので、この 2 つを 理解することは常に大事になります。

今回は前回の続きを見て行きます。

それでは、早速見ていきましょう。

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-----------------------------------------------------------《限定》 ------------------------------------------------------------

☆She picked up her son in the evening.

これから今回は見て行きます。 「in the evening」となっています。 「the evening」なので、しっかりと境界線が意識され 他のものが意識されています。 ですから昼でも夜でもない夕方、という感じになっています。

☆She picked up her son in the evening.

またこの英文には「in」が使われています。 ですから時間の流れがしっかりとあることになります。 時間の流れがあると言うことは、数時間は夕方が続くという感じになります。 昼が終わり夜までの間になりますが、それでも 3 時間くらいは あるでしょうか。

102


その時間の流れを「in」が示しています。 「at」を使うことは出来ません。 時間が流れており、ある程度時間の幅が感じられるので 「in」を用いなければなりません。

さて、英文を日本語に訳しておくと

☆She picked up her son in the evening. 「彼女は、昼でも夜でもない時間が流れている夕方に息子を迎えに行った」

という感じになります。 細かく訳すとこうなります。 冠詞、前置詞の意味を理解して、日本語に出しておくと 理解がより出来るようになります。

夕方が出てきたので、今度は夜の場合を見ておきます。

☆I woke up in the night.

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という場合があります。 もう説明するまでもありません。 夕方でもない朝でもない夜、という意味になっています。 そして夜は長いものです。 寝ている時間が夜と考えると、8 時間くらいあります。 8 時間の流れているのですから、時間の幅が感じられることになります。 ですから前置詞は「in」なのです。

☆I woke up in the night. 「夕方でも朝でもない時間が流れている夜に起きた」

という感じになります。 さて、これは良いのですが

☆I woke up at night.

という場合もあります。 実は「夜」を意味する場合、「at」「in」両方が使われるのです。 そして無冠詞、「the」と使い分けがされています。 これは「at noon」でも見ましたが、一点を指しています。 「at」は「点」を意味するもので、短い、狭い範囲を意味することになります。

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しかし「night」は夜であり、長い時間があると考えられます。 つまり幅があるものとなります。

この「at night」は一体どんな意味になるのでしょうか?

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さて

☆I woke up at night.

これは「夜に起きた」という感じになりますが「at」の意味を 考えなければなりません。 「点」なので、時間の流れは感じられません。 とても狭い感じがあります。 時間が流れていない夜なんて考えられませんが 英語ではこうなっているのです。 この意味を考えなければなりませんが、これは「at」を用いているので 「点」と見ていることは確かです。 狭い範囲を意味していることになります。

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これはどういうこと考えなければなりませんが、夜を一つの 点と見ていることになります。 つまり夜というものを、短いものと捉え、時間が流れていなく 一点、という感じで考えているのです。

☆I woke up at night.

これは「夜に起きた」ということですが、夜という点に起きた という感じになります。

夜というのは時間が流れているものですが、寝ているとあっという間に 過ぎるものです。 8 時間くらいすぐに過ぎます。 すぐ過ぎるものなので、点と考えることも可能です。 少し強引ですが、「at」なのでいずれにしても、狭い範囲を 意味していることになります。 「at」が使われていると言うことは、「in」ではないのです。 ですから時間の流れ、時間の幅が感じられないのです。 夜という点に、と狭い意味を出す場合に「at」を用い 「night」は時間の流れのない狭い夜を意味することになります。

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☆I woke up at night. 「時間が流れていない夜という一点に起きた」

という感じになります。 なおこれは「at noon」と同じようになっています。 無冠詞単数形の「noon」は「正午」という意味で、一点を 意味していました。

「night」も無冠詞単数形の場合は、一点を意味する狭い範囲に なると考えられます。 狭い範囲の意味を出しているので「at」と一緒に用いることが出来るのです。

なお英語の流れは前から続いているので、「at」があるから 無冠詞単数形の「night」が続いている、ということになります。 前から流れるのが英語です。 名詞があって前置詞があるのではなくて、前置詞があるから それにあう名詞が続いているのです。

「at」と「night」は相性が良い関係になっています。 ですから一緒に使われるのです。

丸暗記して覚えないようにして下さい。 冠詞のあるなし、「at」「in」の違いを理解して、使うようにして下さい。

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さて、今度は分かりやすい場合を見て行きます。

☆She left at midnight.

これを見て行きます。 もうこれは有名すぎるほどのものですが 「at midnight」となっています。 つまり「真夜中という一点に」となります。 これはとても分かりやすいです。 簡単に言えば「深夜 12 時に」ということです。 「深夜 12 時という一点に」となり、明らかに狭い範囲で 一点を意味していることになります。 「at」と「midnight」の意味が一緒になっていることはすぐ分かると思います。

とても相性の良い意味になっています。 とりあえず意味を取っておくと

☆She left at midnight. 「彼女は、真夜中という一点に去って行った」

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という感じになります。 深夜 12 時という点なので、とてもわかりやすい意味になります。

さて、ここで類似表現を見ておきます。 それは

☆The thunder goes crash in the middle of the night

というものです。 ここでは「in the middle of the night」が使われています。 これも「真夜中に」という感じになります。 さて、ここで大事なのは「in」です。 「in」が使われていると言うことは、時間の幅があるのです。 「at」ではないので、明らかにある程度時間の流れがあります。 「in」ですから、時間が長い、という感じになるので 点を意味しているわけではありません。 では、どんな意味かというと

☆in the middle of the night

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これは、夜の時間の真ん中の部分、という感じになります。 つまり、ど真ん中の一点ではなくて、真ん中のある程度 幅のある部分、という感じになります。 「in」ですから、時間の幅が絶対にあるのです。

これは常識的に考えると、深夜の時間帯ということになります。 深夜 12 時から午前 3,4 時くらい、という感じになると思いますが どれくらいかは正確には分かりません。 しかしいずれにしても、真夜中の一点を指すものではありません。 日本語に訳しておくと

☆The thunder goes crash in the middle of the night 「雷は、夜の深夜の時間帯数時間に、ものすごい音を立てる」

という感じになります。 時間が流れているので、こんな感じになります。 時間が流れていることは「in」で明確に分かるので 「in」の意味を理解しなければなりません。

丸暗記していると、こういう違いがわからなくなります。 丸暗記は何の意味もありませんので、しないようにお願いします。

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さて、この朝昼夜などという場合ですが、まだまだ細かいことはあります。 しかし大事なことはすべて見たので、これまでとしておきます。 次回からは違う場合を見て行きます。

冠詞のなるなしで、意味が大きく変わる、ということを 見ているので、その続きを見て行きたいと思います。 例えば

☆He was left in charge of the shop while the manager was away.

☆The five children had been left in the charge of a teenage girl. (いずれも わかりやすい英語冠詞講義

207 ページより)

という英文があります。 これは

「in charge of」 「in the charge of」

となっています。

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「the」のあるなしの違いになっています。 もちろん意味が違います。

どう意味が違うのか、ということを正しく理解しなければなりません。 そして使い分けが出来るようにしなければなりません。

次回はこの違いをしっかりと見て行きたいと思います。

その前に今回説明したことをしっかりと理解しておいて下さい。 冠詞だけではなくて、前置詞も大事です。

それでは。

112


==============冠詞の世界================================= 2006 年 4 月 14 日 ======================================================== 第 121 号

所有格の場合を見ていました。 所有格は「the」と同じようなものなので、その使い方が 大変大事になりました。 所有格でしっかりと限定するので、その意味、使い方を 理解しなければなりません。 説明は前回までで終わったので、今回からは 「some」「any」を見て行きます。

これらも冠詞の仲間と言えるものです。 名詞とともに使われるものであり、冠詞のような働きをしているものです。 これらを理解することで正しい英語を使うことが出来ます。 意外に「some」「any」の意味や使い方を知らないものです。 これらを理解して、ネイティブ英語を使えるようになりましょう。

それでは、早速見ていきましょう。

-----------------------------------------------------------《some, any》 ------------------------------------------------------------

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今回はまず「some」から見て行きます。 「some」は「幾つかの」などという意味で有名ですが こんな意味を丸暗記していても意味がありません。 「some」の基本ですが

☆はっきりとはしていないが、何かがある

ということになります。 何かがある、ということが大事です。 また何かはっきりとはしていないのです。 何かあるにはあるのですが、どれだけあるのか、また 具体的に何があるのかははっきりしていません。 何かがある、ということが「some」となります。 「some」の派生語としては

☆someone, something, somewhere, somebody

などがあります。 これらは全て「何かある」ということになります。 「誰か」ということは「誰かいる」ということになります。 「何か」ということも「何かある」ということになります。 あいまいではありますが、何かがあるのです。

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それが「some」となります。 肯定文でも否定文でも疑問文でも「some」は「some」です。 さて、具体的に英文を見て行きます。

☆I have some books.

という基本的なものから見て行きます。 こんな英文は誰でも訳せますが、その意味を正しく 理解しなければなりません。 「some」ですので、「何かがある」ということになります。 具体的にははっきりとはしていないのです。 ここでは「books」が後に続いているので、本であることは明確です。 では何がはっきりしていないのかですが、それは数になります。 つまり、どれだけの本を持っているのかがはっきりしていないのです。 しかし、本を持っていることは間違いありません。 本を持ってはいますが、具体的にどれだけなのか ということは分からないのです。

☆I have some books. 「本を何冊か持っています」

という感じになります。 「some」を使っている場合はそれほど大きくはない数字を

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意味していることになってきますが、しかし少ないとは限りません。 「some」は別に「少ない」という意味を出しているのではありません。 はっきりとは分からないが何かがある、ということで どれだけあるのかが分からない、ということになっています。 もしかしたらかなりの数の本を持っているかもしれません。 しかし具体的に分からないので「some」を用いているのです。 「some」を使う場合で、こういう場合もあります。

☆Some 100 people took part in the meeting.

このように具体的な数字が来る場合もあります。 具体的なのですが、あいまいな意味になっています。 はっきりとしていないのが「some」なので、その意味を踏まえなければなりません。 つまりここでは「100 人」ではなくて「約 100 人」ということです。 大体 100 人、ということでその数字があいまいなのです。 具体的には分からないので「some」を用いて、あいまいにしています。 はっきりと分かっている場合はその数字を挙げれば良いのですが 分かっていない場合は「some」を用いて表現します。 はっきりとしていないのですが、何かがある、ということで 「some」の意味が生かされています。 はっきりと分からないけれども、大体 100 人、ということになっています。 「some」はこういう感じで使われるものです。 これは冠詞では表現が出来ないものです。 「a」「the」無冠詞複数形などでは表現が出来ません。 なお「some」は冠詞ではありませんが、冠詞のような 働きをするので、冠詞の一種ということになります。

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ですから「a some」などはないのです。 「a」と一緒に使われることはありません。 しかし「the」と一緒に使われることはあります。

☆the some cars

などという風に使うことはあります。 「the」で特定しているのです。 「あの」「その」などという意味になりますが、しっかりと特定、限定しています。 日本語にしておくと

☆the some cars 「あの数台の車全て」

という感じになります。 具体的に何台なのかは不明なのですが、しかし何台かはあるのです。 何台かあるので「some」で表現しているのです。 具体的に分かっていないけれども、何台かあるので「some」を用いています。 そしてそれら全てを特定しているので「the」を用いているのです。 「a」のような感じもある「some」ですが 「the」と一緒に使うことも普通にあります。 ここが「a」とは違うところです。

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「the」と「some」が一緒にあるからと言って間違いではないので注意してください。 ここで「some」に関する有名な場合を見ておきます。

☆Some people find this more difficult than others. オックスフォード英英辞典

などというものです。 これは「some」と「others」の対比になっています。 とても有名なものです。 これを丸暗記している人も多いと思いますが その意味をしっかりと理解していきましょう。 「some」なので、何かがあるのです。 はっきりとは分かりませんが、何かがあります。 ここでは「some people」となっているので、何人かの 人々がいる、ということが分かります。 具体的に何人なのか不明ですが、それでも何人かはいることになります。 「some」に対して「others」ですが、これはそれ以外の 人々を意味していることになります。 「others」なので、他の人々を意味していることになります。 なお「the」がないことも大事です。 「the others」だと「全て」を意味することになりますが 「others」は「the」がないので、「全てではない」ということになってきます。 何人かとその他の人々を対比させているのですが全てではないのです。 「the」のあるなしは常に大事なので、「the」のないことを 理解しておいてください。

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☆Some people find this more difficult than others. 「何人かの人は他の人よりも、これをもっと難しいと分かっている」

ということになります。 「some」を使っているので、ぼかしている感じがあります。 何人かは分かっていない、ということでぼかしている感じが出ています。 何人いるのか具体的にしていないことになります。 また具体的な人数はどうでも良い、という感じもあります。

この英文ですが「some」と「others」の対比だけであり 「the」が用いられていないので、まだまだ他にもいるということになります。 「the others」ではないので、全てではないのです。 「some」と「others」の対比であり「some」と「the others」の対比ではないのです。 「others」なので「全てではない」ということになります。

「the」がないことを理解しておいてください。

この「some」ですが、色々な場面で使われます。 肯定文だけではなくて、否定文や疑問文でも普通に使われるものです。 日本では肯定文では「some」で疑問文、否定文では 「any」を用いるなどという説明がありますが、これは一部 正解になるもので、必ずこうなる、というものではありません。

☆I have some books.

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これを疑問文にすると

☆Do you have any books?

となりますが、常にこれが当てはまるわけではないのです。 「some」を用いて疑問文を作ることも出来ます。 例えば有名なものに

☆Do you need some help?

という英文があります。 困っている人に手を差し伸べる場合に用いるものです。 この場合は「some」を用いることが普通なのです。 日本での教育通り「any」を用いると、実はおかしな意味になってくるのです。

☆Do you need any help?

とするとおかしくなります。

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ここでは「some」を用いなければならないのです。 これは意味の問題です。 「some」を用いる場合と「any」を用いる場合とでは 意味が違うので、その意味の違いを理解することがとても大事になります。

この違いに関しては次回見て行きたいと思います。 次回はまず

☆Do you need some help?

この疑問文の意味から見て行きます。 これは「some」がとても大事になる英文です。 「some」を理解していないと、間違ってしまうものです。

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==============冠詞の世界================================= 2007 年 8 月 17 日 ======================================================== 第 182 号

「the」を取り上げています。 固有名詞にも「the」を用いる場合を見ています。

前回は湾の場合を見ました。 湾も無冠詞の場合もあれば、「the」を用いる場合もあります。 「the」を用いる場合は良いのですが、無冠詞の場合は難しいものです。 名詞がそこにある限り、冠詞の問題が発生します。 固有名詞であっても名詞なので、冠詞を理解しなければならないのです。 今回は、海岸、浜辺の場合を見て行きます。 これも冠詞が大事になるものです。

それでは、早速見て行きましょう。

-----------------------------------------------------------《海岸、浜辺の冠詞》 ------------------------------------------------------------

☆the Gold Coast

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☆Gold Coast

この 2 つを前回あげておきました。 どちらかを用いるということですが、考えておいたでしょうか? さて、正解ですが

☆the Gold Coast

これになります。 「the」を用いるのです。 「ゴールドコースト」となりますが、英語では「the」を用います。 「the 単数形」ということになっています。 「あのゴールドコースト」という感じになり、特定していることにもなって来ます。 「the」を用いることで、特定、限定しており、意味を出していることになります。 「the」がある、ということは「the」の意味があるのです。

海岸は「the」を用いることになるものです。 「the」を用いて、しっかりと特定、限定するのです。 「the」を用いることで、意味に重みもあるものです。 「あの」という特定出来るもの、ということになります。 「あの」と言って、指し示して、人の注目を集めることが出来る と考えることも出来ます。 これは新聞名と同じですが、「the」を用いることで、一つしかない という感じをしっかりと出しています。

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☆the Gold Coast

こうすることで、「一つしかないゴールドコースト」ということになって来ます。

「あの一つしかないゴールドコースト」

ということになります。 「the」を用いることで、権威を保っている感じもあります。 海岸なので、権威とは言いすぎですが、しかし人の注目を 集めるくらい価値がある、という感じもあります。 「the」は結構重い意味なのです。 なくても良いものなのですが、「the」を用いることで、しっかりと 特定し、注目を集めています。

☆the East Coast

こういう場合もありますが、やはり「the」を用いるものです。 「the」を用いて特定しています。

「あの一つしかない東海岸」

という感じになります。

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アメリカ東海岸を意味していますが、「the」を用いて特定している ということが大事になります。 「the」を用いることで、それだけ注目を集めていることになります。 また注目を集めるくらい価値がある、ということも出来ます。

「the」のあるなしで意味が変わるので、「the」の意味が何なのか 知っておくことは大事です。 日本語にすると「the」は消えますが、英語では「the」はしっかりと 生きているのです。

☆the Gold Coast

☆the East Coast

これら以外にも多くの海岸がありますが、「the」を用いるものとなるものです。 なぜ「the」を用いるのか、ということを理解しておいて下さい。 「the」を用いることで、注目を集めることが出来るものです。 特定できるので、権威を保っている感じもあります。 「あの」と特定出来るのですから、結構注目を集める価値がある という感じになります。 さて、「the」ですが、また大きさを感じるものでもあります。 大きいので、特定しないと、どこからどこまでなのかはっきりしない という感じもあるものです。 湖の場合を既に見ていますが、湖の場合は無冠詞でした。 それは、あまり大きくないから、ということもありました。

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大きくないので、無冠詞で特定しなくても理解が出来る ということがありました。 湖は大きなものですが、海に比べると小さなものです。 小さなものは無冠詞、という傾向があるので、湖は無冠詞になっていました。 大きなものは「the」を用い、小さなものは「the」を用いない という傾向は英語にはあるものです。 これを丸暗記することはあまりお勧めしませんが、しかしこういう考えで 「the」のあるなしを判断することは出来るものです。 海岸は大きなものと考えることが出来るので「the」を用いますが 一方浜辺は、海岸に比べると小さいので無冠詞になるものです。 例えば

☆Virginia Beach

こういう表現があります。 「バージニアビーチ」です。 そのままですが、無冠詞です。 無冠詞、ということは特定も何もない、ということです。 「あの」などという意味は一切ありません。 何の意味もないのです。 そのままの意味だけになります。 特に深い意味はないものなのです。 「the」を用いていない、ということは「the」を必要としていない ということになって来ます。 「the」を用いるまでもない、ということになります。

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「the」を用いて特定すると、それだけ注目も集まり、権威もある ものとなるのですが、そこまでする必要がない、ということになります。 浜辺は小さいものであり、特定するまでもない、ということに なるので「the」は不要なのです。

☆Virginia Beach

このように無冠詞で使うことになるものです。 「beach」はそのまま無冠詞になります。 特定するまでもない、という感じになっています。 なお「beach」ですが、それほど大きくもないものであり、注目も それほど集まらないものなので、固有名詞になっていない場合もあるものです。 単に普通に「beach」を用いるだけで表現出来るものです。 固有名詞にするということは、それだけ大事というか、価値がある という感じになりますが、固有名詞にするまでもないこともあるので そのまま小文字で使うこともあるものです。 「beach」は無冠詞、となるものですが、実際に大文字で、固有名詞で 使うとは限らないものです。 普通に使えば良い名詞となります。 普通に使うので、もちろん「the」を用いることも普通にあります。

☆He walked along the beach. 「彼はその浜辺に沿って歩いた」

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というように普通に用いるものです。 このように普通に用いる場合も多いので、特に気にする必要はない と言えるものです。 固有名詞の場合を見ていますが、固有名詞まで行かない という場合もあるものです。 固有名詞にならない、とは、普通名詞のまま、ということです。 普通名詞のまま、ということは、固有名詞にするまでもない、という ことになって来ます。 固有名詞は簡単に出来ないものなのです。 それなりに注目を集めるもの、それなりに価値があるもの また固有名詞を用いなければならないものなどある程度 限られてくるものです。

何でもかんでも固有名詞にすることは出来ないものなのです。

普通名詞で十分通じるのであれば、普通名詞で良いのです。 無理に固有名詞で考える必要はありません。

海岸、浜辺の場合ですが、大きいのか小さいのかで「the」を 用いるかどうか判断することも出来ます。 大きさが大事になると言えますが、しかし「the」を用いる価値があるのか どうか、ということもあります。 「the」を用いる、ということはそれだけ重みがある、ということにもなって来ます。 「the」を用いて特定するので、重みを感じることが出来るものです。 新聞名の時にも説明していますが、「the」を用いると言うことは 重みを感じることが出来るのです。

「the」は日本語にないものですが、その意味を理解しなければなりません。 「the」を用いることで、日本語にはない意味を出すことになるのです。

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「the」を無視してはなりません。

さて、海岸、浜辺の場合を見ました。 結構ややこしいものではありますが、慣れてくると、冠詞の使い方も 分かってくるものです。

こういうものは経験が大事なので、多くの英文に触れるようにして下さい。 多くの英文に触れていると、冠詞の使い方も分かってくるようになるものです。 海岸、浜辺と来たので

☆海峡

の場合も見ておきたいと思います。 海峡とは、あまり馴染みがないかと思いますが、世界には色々な 海峡があるので、知っておくことも大事です。

☆ドーバー海峡

という有名なものもあります。 こういうものを英語で表記する時、冠詞がどうなっているのか考えなければなりません。 こういうことは次回説明して行きます。 海峡をどう表現するのか、考えておいて下さい。

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==============冠詞の世界================================= 2008 年 4 月 4 日 ======================================================== 第 210 号

田中聡一郎です。

方角の冠詞を見ていました。 方角もしっかりと冠詞を使いこなさなければならないのです。 冠詞の基本的なことになるのですが、結構使えないものと なるので、理解が必要です。 そこに名詞がある限り、冠詞の問題が発生します。 本当に冠詞を無視しないようにして下さい。 今回は未来、という場合を見て行きます。 これも何気なく見ているものですが、やはり冠詞の問題があるものなのです。 冠詞があるので、その意味を理解しなければなりません。 冠詞がある限り、意味もあるのです。

冠詞を意識して、今回も見て行きます。

それでは、早速見て行きましょう。

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-----------------------------------------------------------《未来などの冠詞》 ------------------------------------------------------------

☆the future

こういう何気ない単語があります。 多くの人は「future」と言えば「未来」と覚えているものですが 「future」と「the future」は違うので、冠詞を勝手に無視してはなりません。 英語で未来を意味する場合は「the future」となるものです。

この「the」ですが、既に見ている通りになります。 いわゆる、「対立」となるものです。 時間は大きく分けて 3 つあります。

☆過去、現在、未来

と 3 つに分けることが出来ます。 3 つに分けることが出来るので、常に 3 つの選択肢があることになるものです。 3 つの選択肢がある中から、一つに決めるので、「the」を用いることになります。

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「the」の基本的な使い方になります。 「一つに決める」というのは、「the」の本当に基本的なことと なるもので、応用的なことは一切ありません。 3 つの中から一つに決めている、ということを理解していれば 「the」を用いる理由も分かるものです。

☆the future

これですが、「過去、現在ではなくて未来」ということになるものです。 未来というのは一つしかないものですが、3 つの中から 一つに決めているので「the」が必要となります。 一つしかない未来、ということになるものですが、3 つから一つに 決めている、ということを理解して下さい。 「the」がないと意味を出せないのです。 未来、というのは「the future」となるものです。

☆Nobody can predict the future. ●オックスフォード英英辞典

http://tinyurl.com/kfksv

こういう英文があります。 まさに基本通りとなるものです。

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「誰も、未来を予言できない」

となるものですが、3 つある中から一つに決めていることになるので 「the」が必ず必要となります。 「the」なしでは意味を出せないので、そのことをしっかりと踏まえるようにして下さい。

さて、対立、ということを理解していれば、何の問題もなく理解が出来るものです。 これで終わり、と行きたいところですが、残念ながらこんな簡単ではないものなのです。 やはり色々な場合があるものです。 未来と言っても、色々な未来があります。 例えば

☆We plan on getting married in the near future. ●オックスフォード英英辞典

http://tinyurl.com/kfksv

こういう英文もあります。 見ての通り「in the near future」となっています。 「近い未来」となっているものです。 ここでも「the」を用いています。 やはり一つに決める、という感じになるものです。 「近い未来」となっていますが、近い未来は一つしかない ものなので、「the」を用いることになります。 また、ここでは「the」が何かを指していると考えることも出来るものです。

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「あの近い未来」というように何かを指していると考えることも 可能になるものです。 具体的なことは不明ですが、結婚の予定なので、結婚日時が 決まっていても何の不思議もありません。 結婚日時が決まっている場合は、特定の近い未来、ということになって来ます。 色々考えることが出来ますが「the」の意味が本当に大事になるものです。 一つに決める、ということをやはりしているものです。 特定していても、近い未来は一つなので、一つに決めていることになります。

☆We plan on getting married in the near future. 「近い未来に、結婚する計画がある」

こういうことになります。 なお、近い未来も対立にあると考えることも出来ます。 遠い未来ではなくて、近い未来、ということになると考えることが出来ます。 これは冠詞というよりも、形容詞の使い方になります。 形容詞も冠詞と同様限定するものです。 形容詞が名詞の前で使われると、自然と反対を意識することになるものです。 つまり「in the near future」というのは

☆遠い未来ではなくて、近い未来

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ということになるのです。 形容詞が限定しているので、限定の意味も踏まえることが大事になります。 反対を意識している、ということは対立になるものなので 自然と「the」を用いることにもなるものです。 形容詞の使い方も大事になりますが、常にこれが当てはまる 訳ではないので、要注意です。 やはり冠詞は難しいので、形容詞があっても「the」を常に 用いるとは限りません。 どんな意味になっているのか、その場面で考えて行くことが本当に大事になります。 こういう考え方は、あくまでも一例に過ぎないので、これが全て ということではありません。 形容詞の意味を踏まえて「the」を使う理由が納得できる という場合はありますが、他の場合もあるのです。 色々な考え方が出来るのが冠詞なので、色々な考え方をして 理解するようにして下さい。 冠詞は本当に奥が深いものなのです。

さて、「the future」という場合ですが、そのまま用いられるのであれば 何の問題もありません。 しかし、色々変化をするものなのです。 例えば

☆I asked her to be more careful in future. ●コウビルド英英辞典 http://tinyurl.com/ywczmq

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こういう英文があります。 見ての通り「in future」となっています。 別に間違いではないものです。 無冠詞単数形なのですが、これでも正しい英文となります。 もちろん意味を踏まえて、無冠詞単数形となっています。 「the」がない、ということはどういうことなのか、考える必要があるものです。 「未来」としか日本語ではなりませんが、英語ではもちろん 違う意味になっているのです。 英語では意味があるので、無冠詞単数形になっています。 なお

☆I asked her to be more careful in future.

こういう無冠詞単数形ですが、説明では、アメリカ英語と イギリス英語の違い、というものもよくあります。 「the」を用いるのがアメリカで、無冠詞単数形がイギリスという 説明があるのですが、何の説得力もない説明です。 イギリス人は冠詞を知らないのか、ということにもなりますが もちろん冠詞の意味を踏まえて、無冠詞単数形にしているのです。 なぜ無冠詞単数形で用いるのか、ということを理解することが大事になります。 アメリカでは「the」を用いるから良い、イギリスは無冠詞単数形で ダメ、ということはないので、冠詞の意味を考えて使って行って欲しいと思います。 さて

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☆I asked her to be more careful in future.

この英文ですが、無冠詞単数形、ということを踏まえて どんな意味になっているのか考えておいて下さい。 無冠詞単数形である、と言うことが大事です。 イギリスだから、という意味不明な理由は通じません。 イギリスも英語圏ですし、英語はイギリスの言語です。 英語の本家本物がイギリスなので、冠詞が適当、という ことはありません。

無冠詞単数形にしている理由があるので、それを考えて おいて下さい。 次回説明をして行きます。

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【終わりに】

以上までが無料版の内容となります。 無料版と言っても 100 ページ以上あるものなので、結構冠詞を学ぶことが 出来るものです。

これだけでも冠詞の理解を進めることは出来ます。

冠詞は時間がかかるものです。 すぐ理解したい人も多いのですが、冠詞をすぐ理解するなど、絶対に ないことです。

冠詞は名詞と一緒に使われるものです。 ですから結局は名詞の使い方になるのです。 英語には数多くの名詞があります。 それら全てを理解するにはとんでもない時間がかかります。 もちろん一定のルールがあるので、そのルールさえ理解すれば良いのですが そのルールもややこしく数が多いのです。 数えられる名詞、数えられない名詞の区別だけでも大変です。 日本語にないものであり、なおかつものすごく難しいものであるので、冠詞はなかなか 身についてこないものです。 だからこそ時間をかけて学ぶのです。 難しいからこそ、身に付けて、ネイティブと同じ英語を身に付けて行くのです。 冠詞から逃げないで、正しい英語を確実に使えるようになって下さい。

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冠詞から逃げていると、いつまで経っても英語は出来ないままです。

有料版ではさらに深い説明をしていっています。 時間をかけて説明してきたことなので、時間をかけてじっくりと学んで行って下さい。

冠詞の理解はすぐには出来ないものです。 また難しいものです。 ですからゆっくりと時間をかけて学んで行って下さい。

冠詞を理解すると、英語の理解も確実に深まります。 冠詞を本格的に学んで、英語を身に付けたい人は、有料版で学んで行って下さい。

田中聡一郎

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