前置詞を学び 本物の英語を身に付ける
~無料版~
【はじめに】
「英語前置詞の謎バックナンバー」の無料版です。 有料版の抜粋をしています。 無料版でも前置詞を最低限学べるようにしています。
どんなものなのかしっかりと読み進めて行って下さい。 なお読み物ではないので、理解を深めることをして下さい。
理解しないと何の意味もありません。 前置詞は難しいものなので、しっかりと理解することが大事です。 読んだ、ではなくて、理解した、ということが大事です。 そして前置詞を使えるようになった、ということが一番大事なのです。 前置詞を実践で正しく使うために学ぶ、ということが大事です。 丸暗記など何の意味もないことです。 ※無断転載等は厳禁です。
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===============英語・前置詞の謎============================== 2004 年発行 4 月 14 日発行 ========================================================== ========================================================== 第2号
「on」から見ています。 前回は、まずは基本的なことから説明を始めました。 「接している」という基本的な「on」の意味を 理解することから始めました。 「on」は「上に」という意味ではないので、しっかりと 「接している」という意味を理解しないと、「on」が 使われている英文を理解することは出来ません。 さて、「on」は「接している」と言っても、日本語で 「接している」と訳せることはまずありません。 ほとんどの場合、違う日本語になり、そして「on」自体が 日本語に出てこない場合もあります。 前置詞というものが日本語にないので、英語を日本語に訳す時 「on」が日本語に出てこなくても、何の不思議もありません。 無理やり「on」を日本語に訳すのではなく、日本語らしい 訳をする用にしましょう。 今回も「on」をしっかりと見ていきますが、徐々に応用的な 使い方を見ていきます。
それでは、早速見ていきましょう。
《前置詞 on》
☆Do you have a watch on you?
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前回、最後にこの文を載せておきました。 この文の説明から入って行きます。 日本語訳は
☆「時計を持っていますか」
と非常に単純なものですが、英語では最後に「on you」が 付いています。 この「on you」があるから、文が成り立っていると言えます。 「on you」があるとないとでは、当然ながら文の意味が変わってきます。 まずは「on you」の意味を考えましょう。 「on」は「接している」のですから、そのまま日本語にすると 「あなたに接して」となります。 「あなたに接して時計を持っていますか」 という日本語はありませんが、「時計が接している」のですから 「時計を身に付けている」ということになります。 つまり「時計を身に付けていますか」、もしくは ポケットなどに入れて「時計を持っていますか」という 意味になると考えられます。
☆Do you have a watch on you? 「時計を身に付けていますか」
となります。 おそらくは腕時計を意味していると思われますが 別に懐中時計でも良いのです。
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これは、今身に付けているかどうかを聞いているものであり 家にあるかないかを聞いているものではありません。 腕時計をしていても、腕時計をポケットに入れていても 懐中時計を鞄に入れていても良いのです。 とにかく、身に付けているという状態かどうかを聞いています。 こう聞かれたら、持っていますと言いながら、相手に時計を見せるでしょう。 あなたが腕にしている時計や鞄に入れている時計を 相手に見せることになるでしょう。 この最後の「on you」があるからこういう意味になっているのです。 なければ、ただの疑問文になります。
☆Do you have a watch? 「(腕)時計を持っていますか」
この文では、今身に付けていなくても、家に帰れば 時計はありますか、というような意味になっています。 今身に付けているという意味はありません。 もっとわかりやすい例を挙げれば
☆Do you have a car?
これは当然、車を持っていますか、という意味ですが 車を身に付けるなどとは言わないので、自然に 家に帰れば、車がありますか、などという意味になっています。
さて、「on you」ですが「身に付けている」という感じに なるので、服や靴などと一緒に表現することが出来ます。 例えば
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☆He put on his shoes. 「彼は靴を履いた」
☆His daughter put on her dress. 「彼の娘は、ドレスを着た」
☆He even put on a tie last night. 「昨夜、彼でさえ、ネクタイを着用した」
など、身に付けるものに関しては「on」を使うことが出来ます。 例文では全て「put on」が使われていますが これは熟語となっており、「身に付ける」という意味があります。 しかし、大事なのは「on」が「接している」という意味で 使われていることになります。 単に「身に付ける」と覚えていたのでは、「on」の意味を 理解出来なくなります。 しっかりと「on」の意味を理解しなければなりません。 なお、細かく日本語にすると
☆He put on his shoes. 「彼の体(の一部)は靴に接した」
☆His daughter put on her dress. 「彼の娘の体は、ドレスに接した」
☆He even put on a tie last night. 「昨夜、彼の体でさえ、ネクタイに接した」
となります。 主語が服などに接したので、そのことをしっかりと 理解しなければなりません。
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「on」が使われているので、「接している」ということを 忘れては行けません。 さて、この応用編ですが、何も身に付けるのは 服や靴や時計ばかりではありません。 他にもあります。 例えば
☆She started to put on her makeup. 「彼女は化粧をし始めた」
☆He had a faraway look on his face. 「彼は夢を見るような表情をしていた」
☆He has a tattoo on his right leg. 「彼は右足に刺青を入れている」
以上の例は、「身に付ける」という日本語を使うことは 出来なくなっています。 「on」があるので「接している」という意味は しっかりと生きています。 しかし、やはり日本語に前置詞がないので、日本語には 「on」が出てきません。 体に接しているものであれば良いのであって、化粧でも 表情でも、刺青でも良いのです。 また前回見た、傷でも良いのです。 これは非常に面白い発想になっています。 「表情が顔に接する」「刺青が体に接する」 「化粧品が顔に接する」「傷が体に接する」 という意味になっています。 特に「表情」は、なかなか顔に接するという考えを することは出来ません。 7
しかし、英語ではするのです。 顔の表情は、顔に浮かぶと日本語では言いますが 英語では顔に接するという考えになります。 このことを理解していると「on」を簡単に使えるようになってきます。 先ほどの例文をしっかりと日本語にすると
☆She started to put on her makeup. 「彼女は、化粧品を顔に接し始めた」
☆He had a faraway look on his face. 「彼の顔は、夢を見るような表情と接していた」
☆He has a tattoo on his right leg. 「彼の右足は、刺青と接している」
となります。 接しているから「on」なのです。 動詞は「put」と「have」が使われていますが 大事なのは「on」の意味を理解することになります。 服や靴などはまだ理解が出来ますが、顔の表情 傷、刺青などはしっかりと理解しないと間違ってしまいます。 日本では刺青を入れる、刺青が入っている 傷がある、などと言いますが、英語では「接している」という 考えになります。 なお「化粧をする」ですが、これは顔の表情の一種と 考えることも出来ます。 「化粧という表情が顔に接している」とも考えることが出来ます。 「化粧された顔」を表情の一つと考えれば、顔と接しているので 「on」が使われることになります。 化粧をしていようがいまいが、顔の表情があると考えれば 表情が顔に接していることになります。 8
「表情が顔に接する」とは何ともおかしな感じがします。 まるで、お面などをかぶっているようです。 笑っているお面をかぶる、怒っているお面をかぶる 泣いているお面をかぶる、というような感じになります。 英語では表情とは、顔に接するものであり、顔に浮かんでくる ものではないということになります。 なお「お面」ですが、例えば
☆He put on a face guard. 「彼はフェイスガードを着けた」
というように、やはり顔に接しているので「on」が使われます。 また「put on」が使われることにもなります。 考え方は服や靴と同じです。 体に接しているので「on」になります。 「on」を「上に」などと理解していれば、今回の場合は 意味を取ることが出来ません。 しかし「接している」と理解していれば、意味を取ることは出来ます。 英語と日本語の感覚の違いも大事になってきます。 「服が体に接している」「靴が足に接している」 「傷が体に接している」「表情が顔に接している」 など、日本語にはない言い方をするので、こういう発想の 仕方を知っていなければなりません。 どんな場面で「on」が使われるのかをしっかりと理解するには 英語の発想を知らなければなりません。 勝手に、日本語の発想で考えては行けません。 「表情が顔に接する」などとは日本語では言わないので 英語の発想をそのまま理解するようにして下さい。 「接する」のはどんな場所でも、上でも横でも下でも良いのです。 9
「表情が顔に接する」は、前に接するという感じでしょうか。 いずれにしても、接し方はどうでも良くて、接していれば それで良いのです。 ですから
☆She put on a cap. 「彼女は帽子をかぶった」
ということは当たり前のように言えます。 帽子は体の一部(頭)に接するので、「on」を使うことになります。 また先ほど出て来た「face guard」も顔に接するので 「on」を使うことになります。 「face guard」とは、剣道の面や、アメリカンフットボールの ヘルメットのようなもので、顔全体を覆うヘルメット状のものです。 日本では「フルフェイス」と呼ばれているヘルメットを 想像すれば良いでしょう。 なお、当然ですが
☆He put on a helmet. 「彼はヘルメットをかぶった」
ということが出来ます。 「顔に接している」ので、「on」が使われています。 こうして見てくると、「on」が使われているのは 当たり前のこととなります。 全て「接している」ので、「on」が自然に使われています。 特別な理由があって「on」が使われているのではなく 当たり前の理由で「on」が使われているのです。 当たり前の理由とは「接している」ということです。
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さて、前回と今回で「on」に関する理解は深まってきたと思います。 しかし、「on」はまだまだこんなものではありません。 例えば
☆I went on the bus. 「バスで行った」
というような場合、「on」をしっかりと理解していなければなりません。 「バスに接して」としかなりませんが、「バスで」という ように手段を意味することになります。 「バスに接する」だけなのに、どうして「バスで」という 手段になるのでしょうか? こういうことは、暗記だけで終わりがちなので、どうして 「on」が使われ、「on」にはどんな意味があるのかを 次回しっかりと見ていきます。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎========================== 2004 年発行 10 月 20 日発行 ======================================================== 第 26 号
前回まで、長い間「on」を見ていましたが、前回で 説明が終わったので、今回から「in」に入っていきます。 「in」も「on」同様、非常に多く使われる前置詞であり 色々な意味を持つ前置詞になります。 しかし「in」も「on」と同じく、基本的な考えがあり 基本的なことを理解すれば、意味を取れるようになって来ます。 「in」は「中に」という意味で知られていると思いますが これはこれで間違いではありません。 もっと細かい意味がありますが「中に」で考えて行くことも出来ます。 また「in」は「on」ほど意味は発展しないので、「on」よりは 簡単かもしれません。 しかし「in」の基本をしっかりと理解することは大事なことになります。
それでは、早速見ていきましょう。
《前置詞 in》
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☆She is in the house.
「in」がしっかりと使われています。 非常に基本的な文ですが、この文から「in」を見て行きます。 「in」は「中に」という意味で考えて行くことは出来ますが 単に「中に」ではなくて、「内部に」という感じに近くなります。 内部でなくても、中に入っている感じが「in」にはあります。 ですから「中に」だけでは少し物足らなくなります。 この英文の意味ですが
☆She is in the house. 「彼女は家の中にいる」
となりますが、しっかりと「中に」という意味が出ています。 しかし「in」の意味するところは、「家の中に入っている」ということになります。 家という建物の内部にいる、ということになります。 これは壁や屋根に囲まれた空間の中にいる、という ことになります。 「中に」ではなくて、「内部に」と考えると、より「in」の イメージがわかりやすくなります。 ですから
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☆She is in the house. 「彼女は、家という建物の内部にいる」
となります。 壁などがある空間の内部にいる感じを思い浮かべてください。 しっかりと内部にいるとイメージしなければなりません。 これは例えば ☆She is in the room.
という英文でも同じことです。 ここでは「部屋」が出てきていますが、壁などに囲まれた 空間の内部にいる、ということになります。 「部屋の中」ではなくて「部屋という空間の内部」という感じになります。 ですから
☆She is in the room. 「彼女は、部屋の内部にいる」
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ということになります。 こういう言い方は日本語ではしませんが、これが 「in」の意味を忠実に取っている日本語となります。
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さて、これくらいは詳しい説明はなくてもわかると思います。 「内部に」という感じですが、壁などで囲まれているので 自然と「内部」という感じが出てきたと思います。 しかし、実際に壁などがない場合でも「in」は普通に使われるのです。 例えば
☆She is in the park.
これは「公園にいる」という意味になっています。 しかし「in」があるので、「内部に」ということになります。 公園は壁で囲まれている感じは普通ありませんし 屋根があるということも普通ありません。 公園というのは普通、大きいものです。 広くて、色々なものがあるところになります。 日本の公園ではなくて、アメリカの公園で考えると とてつもなく広いものとなります。 公園の端から端まで、簡単に行き来できるものではないくらい広いものです。
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その公園には、はっきりとした境界線があります。 公園の敷地であるということがわかるように 境界線があるのが普通です。 公園は、高い壁などには囲まれていませんが、境界線があることで しっかりと公園という空間を作り出しています。 木々に囲まれている場合もありますが、木々に囲まれていなくても 公園という空間が出来上がっていると考えられます。 その際、公園の中にいる場合は「in」が使われます。 公園という空間の内部に入っているので「in」が使われるのです。 ですから
☆She is in the park. 「彼女は、公園という空間の内部にいる」
ということになります。 高い木々で囲まれている公園ではなくても、空間の 中に入っている、というイメージで理解が出来ます。 このように、実際に内部とは言えなくても、内部と考えられる場合は 「in」が使われるのです。 公園の場合は、例えば「on」を使うことは普通しません。 「on」は「接する」なので、空間と意味が合わないことになります。 空間の中にいる、ということなので「in」が使われることになります。
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公園と似たものとして
☆These are the pictures of our dogs in the field.
というものがあります。 「in the field」となっていますが、公園の場合と同じと考えられます。 「field」は「野原」「広場」「一面」などという意味ですが 普通、野原などには壁などありません。 自然のものなので、囲まれているものはなく、広大な 緑、土地が広がっている感じになります。 囲まれているものが何もないですが、野原という空間が あると考えることは出来ます。 コンクリートはなく、道などもなく、野原しかないのです。 あきらかに野原という境界線があり、その野原という 空間にいる、ということになります。 壁などはないですが、野原というものがしっかりとあり 野原という空間があると考えられるので、「in」を使うことが出来ます。 「野原という空間」と考えることが大事になって来ます。 ですから、日本語は
☆These are the pictures of our dogs in the field.
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「これらは、野原という空間の内部にいる、我々の犬の写真です」 となります。 野原を空間と考えているので、内部に、という表現が使えるのです。
なお、この「in」を使う際の正確な基準はありませんが 大体は決まっています。 公園や野原など広い土地の場合は、「in」を使うことが出来ます。 逆に狭いと考えられる場合は、他の前置詞を使います。 例えば
☆The snow lay on the ground.
というように「on」を使うこともあります。 ここでは「on the ground」となっています。 「ground」は「地面」「地表」というかなり広範囲を指しますが 常識的に考えて、こういう意味では使われていません。 日本語の「グランド」に近い意味になっています。 グランドで考えるとわかりやすいので、グランドで考えて行きます。 グランドは、公園や野原ほど広くはないものです。 それなりに広さは限られています。 サッカー場くらいの大きさを思い浮かべれば良いかと思います。 それほど広くはなく、走ればすぐに端から端までを行くことが出来ます。
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あまり広くない場合は、空間として考えるのではなく 面として考えます。 面として考えると、面の内部に、とは言うことは出来ません。 しかし、面の上に、ということは出来ます。 もっと英語らしくすると、「面に接して」とすることが出来ます。 空間というには狭い場合は、面で考えて、そして「面に接して」と 考えることが出来るので、前置詞は「on」が使われることになります。 ですから
☆The snow lay on the ground. 「雪は面に接して、横たわっていた」 (雪がグランドの上に積もっていた)
となります。 なおこれは明確な基準がないので、「in the ground」と することも可能と言えば可能になります。 「in」が使われている場合は、「グランドという空間」ということになり 広いグランドをイメージすることになります。 広いので面として考えるには難しいので、空間と考えて 「in」を使うことになります。
もう一つ、例を挙げておきます。
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☆I think you should play football on the pitch.
これは「on the pitch」となっています。 「pitch」は「投げる」などという意味がありますが、ここでは 競技場、などという意味になります。 サッカー、ラグビーなどをするグランドをピッチと言います。 さて、ピッチは、結局はグランドと同じことになるので、面が 意識されることになります。 面が意識されるので、「on」を使うことになります。 空間ではないので「in」は使えません。 ですから
☆I think you should play football on the pitch. 「サッカーをピッチに接してプレーすべきだと思う」 (ピッチ上でサッカーをするべきだと思う)
となります。 空間と考えるのは狭いので、面と考えて「on」が使われています。 「on the pitch」は普通に使われるもので、「in」が使われることはまずありません。 「on the ground」は稀に「in」が使われることもありますが
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普通は「on」を使うことになります。
このようにして見ると「on」と「in」は似ている前置詞となります。 どんな場合に「on」を使い、どんな場合に「in」を使うのかは 使う人の判断にもなって来ます。 ただし、どんな場合に「on」でどんな場合に「in」なのかは大体決まっています。 「in the park」「on the ground」というように大体の基準はあります。 これは英語を学んでいると、自然に身に付いてきます。
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前置詞「in」は「内部に」という感じになることがわかりました。 この「内部」という意味ですが、常に「内部」とは限りません。 既に見たように、空間と考えられるものなら「in」を使うので 壁などで囲まれていない場合も普通にあります。 「room」「house」はしっかりと内部と呼べるものがあるので わかりやすいですが、「park」などは壁などがないので 空間で考えることになります。 空間の内部に、ということになります。
さて、「in」は「内部に」というものからもちろん発展して行き 色々な意味になって来ます。 「on」ほどではありませんが、色々な意味になるので 発展して行く意味を次回見て行きます。 例えば
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☆A boy in jeans stood at the next booth.
☆She sits in the chair.
などの場合を見て行きます。 ここでも「on」と「in」の違いが大事になって来ます。 どんな場合に「on」を使い、どんな場合に「in」を使うのかなども見て行きます。 「on」と「in」はまるで異なる前置詞のようですが、似ている前置詞になります。 「接する」と「内部に」は違う意味ですが、英語では似ている ものなので、使い分けが大事になって来ます。 「in」をこれからしっかりと見て行きますが「on」の 基本である「接する」は常に忘れずにいて下さい。 これから何回も「on」は登場します。 しっかりと「on」を復習しておいて下さい。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎========================= 2005 年発行 3 月 2 日発行 ======================================================= 第 43 号
前置詞「in」を見ていました。 前回までで説明が終わりましたので、今回から 「at」を見て行きます。 「at」は何かと「in」「on」と並び有名な前置詞なのですが 実は使用頻度はそれほど高くないのです。 もちろん日常会話でも普通に使われるのですが、「at」は それほど使われるものではなく、そして意味もそれほど 発展しないものとなります。 ですから「at」の使い方、意味を理解するのは、それほど 難しくはないことになりますが、それでも日本語にないものなので しっかりと理解しなければなりません。 「on」「in」ほど意味の発展はないものなのですが、土台をしっかりと 理解する必要はあります。
それでは、早速見ていきましょう。
-----------------------------------------------------------《前置詞 at》 ------------------------------------------------------------
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☆He was standing at the door.
☆She was at the end of the line.
まずこういう基本的なものから見て行きます。 「at」は何を意味しているのか、と聞かれると、「at」を理解している人は
☆点
を意味していると答えると思います。 「at」は「点」を意味しているものとなります。 しかし日本語に訳す時は「点」などという意味にはなりません。 「点」を意味しているということを理解した上で、意味を 考えて行かなければなりません。
これは他の前置詞も同じです。 「on」は「接する」「in」は「空間の内部に」という基本的な考えが ありますが、意味はそれぞれ使われている場面で考えて行くことになります。
さて、英文を見ていきます。
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まず
☆He was standing at the door.
これですが、そのまま日本語に訳すと
☆「彼はドアのところに立っていた」
となります。 もちろん「点」などという意味にはなりません。 さて「at」は「点」を意味していることになりますが、どんなことなのか 考えなければなりません。
「at」と「in」でよく言われる違いは、それは、広さの違いです。 「in」は広がりを感じさせる前置詞です。 これは「in」のところで説明しました。 これに対し「at」は「点」なので狭さが感じられます。 ですから「at」は「狭い」「小さい」という感じが多少感じられる ものとなります。
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少なくとも広がりは感じられません。 「点」なのですから、小さな感じがあります。 日本語でも地点、という言葉がありますが、これは点を意味している ものとなるので、広がりは感じません。 これと同じことになります。
☆He was standing at the door.
これは、ドアの地点に立っていた、という感じになります。 まさにドアの側ということなのですが、ドアがある場所の一点に 彼が立っていた、という感じになります。 「ドアの地点」では少しおかしな日本語となりますが 日本語らしくしてみると
☆He was standing at the door. 「彼は、ドアがあるところの小さな一点に立っていた」
という感じになるかと思います。 日本語にないものですから、日本語に訳すのはとても難しいです。 ただし、広がりを感じさせないもので、なおかつ「点」を連想させる
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意味でなければなりません。 「ドアのところに」でも良いですが、ここではわかりやすいように 日本語に出しておきます。
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さて、次を見ておきます。
☆She was at the end of the line.
これも全く同じ考えで理解が出来ます。 「at」なのですから「点」となります。 まず日本語に訳しておくと
☆「彼女は列の最後にいた」
となります。 「列の最後」ということになります。
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さて「at」ですから「点」の感じがあることになります。 「列の最後の一点に」という感じになります。 列とは行列のことで、人が多く並んでいることになります。 例えば 100 人並んでいることとします。 100 人並んでいるので、先頭の 1 人目から 100 人目まで 人がいることになります。 そして彼女は最後にいたのですから、もちろん 100 人目となります。 100 人目はもちろん一人しかいません。 そして立っているところは、常識的に考えて狭いものです。 一人しかいないのですから、立っているところは「点」と考えられます。 ですから「at」を使うことが出来るのです。 一人しかいなく、狭いので「点」なのです。
こういうことを踏まえて日本語に訳しておくと
☆She was at the end of the line. 「彼女は列の最後の、一人しかいない狭い一点にいた」
という感じになります。 「at」ですから「点」のイメージが出来なければなりません。 狭い感じを連想してください。
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「at」は「点」の感じがあることが以上でわかったかと思います。 「at」と「in」は何かと区別が必要な前置詞になります。 ここで確認のため「in」の場合を取り上げておきます。 既に「in」は説明しているので、理解出来て当たり前となります。 詳しい説明は割愛して行きます。
☆He was in the room.
これは「部屋の中にいた」とそのままの意味になります。 もちろん「in」なので広がりが感じられます。 また「空間の内部に」という感じになるので、壁などに囲まれている 感じがしっかりとあります。 ここでは
☆He was at the room.
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とは常識的に言えません。 もちろんかなり狭い部屋ならこういうことも可能ですが。 日本でも 4 畳半や 3 畳の部屋があります。 押入れかどうかわからない 2 畳の部屋などもあります。 例えば 2 畳の部屋だとしたら「at」を使うことも可能と言えば可能になります。 しかし、常識的に考えて、この英文はありえないものとなります。 たとえ 2 畳としても、部屋の中にいることは間違いないのですから 囲まれている感じがあります。 ですから「空間の内部に」という感じになります。 なお狭い部屋にいると言うことをいいたいのであれば
☆He was in the narrow room. 「彼は狭い部屋にいた」
と「narrow」を使ってはっきりと説明します。 ただし、これをアメリカ基準で考えると、「狭い」と言っても狭くはありません。 2 畳、3 畳の狭さではないでしょう。 普通に何十畳もあるアメリカでは、狭いと言えば 8 畳くらいかも しれないので、「狭い部屋」と言ってもどれくらいのものなのか 不明になります。
細かい意味はさておき、やはり「room」は空間の内部、という感じが
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あるので「in」を用いることになります。 逆に
☆He was standing in the door.
という英文は非常識です。 これは「ドアの内部に」ということになるので、人間業ではなくなります。 「ドアに囲まれた内部」ということになるので、ドアに入り込んでいる 感じになります。 ドアの中に人が入っているのです。 幽霊か超能力者か何かでしょうか? とにかくこんな英文はまず、常識的に考えてないものとなります。
こうしてみると「at」と「in」は取替えが出来ないものとなります。
「at」と「in」は似ている前置詞なのですが、基本から異なるものなので 違うものです。 「点」を意味する「at」と「空間の内部に」を意味する「in」では 大きく異なるのです。
「at」の基本、「in」の基本を理解していれば、何も迷うことはなくなります。 表面的な知識ではなくて、しっかりと基礎から前置詞を理解して 正しく使えるようになってください。
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さて、今回はまだ「at」の第 1 回目なので、基本的なことだけを見ました。 次回から色々な意味の場合を見て行きます。 まず
☆We know that pharmacists are unusually busy at the beginning of the month.
などという場合から見て行きます。 これも「in」との違いを理解することが大事になります。
まずは「at」は「点」を意味している、と意識しておいて下さい。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎========================== 2005 年発行 6 月 8 日発行 ======================================================= 第 54 号
「of」を見ています。 「of」はとても身近な前置詞なのですが、使い方や 意味を理解しないと、正しく使うことが出来ないものです。 「of」を「の」と反射的に訳してしまうと、間違ってしまいます。 「of」は「分離」の意味になります。 「所属」という場合を見ていました。 前回は抽象名詞が使われている場合でしたが 基本から考えることで理解が出来ました。 今回は有名なものを見て行きたいと思います。 誰もが見たことがある英文を見ていきますが、意外に 奥が深いものだと分かります。
それでは、早速見ていきましょう。
-----------------------------------------------------------《前置詞 of》 ------------------------------------------------------------
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☆He is a friend of mine.
さて、この英文を前回載せておきました。 この英文はものすごく有名なものですが、難しいものとなっています。 どこが難しいのかですが、それは「of mine」が難しいものとなっています。 これは「所有」という説明が文法書などには載っていると 思いますが、かなり気をつけなければなりません。 まずこの英文をそのまま訳してみます
☆He is a friend of mine. 「彼は私のものの友達だ」
という感じになります。 「of」は「の」でも十分なのですが、問題は「mine」になります。 これは「私のもの」という意味になります。 「私のもの」という意味になっているので、これ自体が既に 所有の意味を持っているのです。 そこに「of」があります。 「of」が所有だとすると「mine」の意味はかなり難しくなります。 「私のもののもの」という感じになってきます。
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何かを持っていることを意味するのが「of」と考えられますが しかし少し違うようです。 やはり「of」なので「分離」ということが大事になります。
「分離」なのですが、完全には離れていない、離れかかっている という感じもあります。 「of」の基本から考えて行きます。
☆He is a friend of mine.
これは「私のものから離れて」という感じになっています。 私自身は色々なものを実際に持っています。 その中の一つに「友達」があるのです。 また友達も複数持っています。 複数いる中の一人なので「a friend」になっています。
私が持っているものから、友達というものを抜き出している という感じになっています。 私が持っているものから友達というものだけを分離し、表に出して 言っているのです。 ですから
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☆He is a friend of mine. 「彼は、私が持っているものの中から抜き出した一人の友達だ」
という感じになります。 「of」なので「分離」の感じがありますが、抜き出す、という感じで 理解が出来ると思います。 袋に入っているものを取り出す感じで、「of」ですから 「分離」という感じが出ています。 決して「所有」ではないのです。 「所有」の意味は「mine」になるので「of」が「所有」だと 2 つ同じ意味が出てきていることになり、おかしな意味になってしまいます。 「mine」の意味と「of」の意味は重なっていません。 「所有」の意味は「mine」で「of」は「分離」です。
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このことはあまり知られていないのですが、こういうことを 理解しておくことが大事です。 ここでさらに例を見ておきます。
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☆She is a member of the ABC club.
この場合も同じになります。 これも「of」が「分離」の意味になっています。 「the ABC club」からメンバーを一人抜き出している感じになっています。 離れているのですが、完全には離れていません。 「from」だと完全に離れていることになります。 日本語に訳しておくと
☆She is a member of the ABC club. 「彼女は ABC クラブのメンバーの一人である」
となります。 ABC クラブからメンバーを一人抜き出している感じになっています。 こういう感じをしっかりと理解しておいて下さい。 なおここでは「所有」という感じでも理解が出来ますし 「所属」でも理解が出来ます。 どちらかと言えば「所属」という感じになると思いますが しかし「分離」の意味が常に大事になります。
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他の場合も見ておきます。
☆This is a picture of my son.
☆This is a picture of my son’s
この 2 つの違いを見て行きます。 何気なく見ていると勘違いしそうですが、意味が違うのでその違いを見て行きます。 まず
☆This is a picture of my son’s
これですが「mine」の場合と同じになります。 つまり「所有」を意味しています。 ですから「私の息子のもの」ということになります。 息子は色々なものを持っています。 その中から一枚の写真を抜き出しているのです。 息子が持っているものから写真を抜き出していることを 理解しなければなりません。
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日本語訳は
☆This is a picture of my son’s 「これは私の息子が持っているものの中から抜き出した 1 枚の写真です」
という感じになります。 色々なものを持っていますが、その中から抜き出したのが 1 枚の写真なのです。
さて、次を見ておきます。
☆This is a picture of my son.
これですが、よく見ないと大きく勘違いをしてしまいます。 「of my son」となっています。 ですから「所有」を意味していないのです。
これは単に「息子」という意味だけなので、他に意味は何もありません。 「of」は基本通り「分離」を意味しているので、そのことを 理解しなければなりません。
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この英文は、「息子の写真」という意味になっているだけです。 「息子から離れて一枚の写真」という感じになりますが 息子が写っている写真、ということになります。 「離れて」という感じになりますが、それは実際には息子は 写真の中にはいないからです。 息子は写真には写っていますが、実際には写真の中に いるわけではありません。 ですから「分離」という感じになっています。 しかし写っていることは写っているので、「of」の曖昧さが 生かされていると言えます。
日本語に訳しておくと
☆This is a picture of my son. 「これは、私の息子が写っている一枚の写真です」
となります。 息子が持っているものではありません。
なお
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☆This is a picture of my son’s
これは息子が撮った写真、と理解することも出来ます。 息子が持っている写真、ということは実際に撮ったことも考えられます。
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今回の「of」は、「of」以下に「所有」を意味するものが来る ということになります。 「mine」「my son’s」などが来るのです。 また名詞が普通に来る場合もありますが、その場合は 意味が若干異なる場合もあるので、よく考えなければなりません。
さて、この場合の説明はこれで終わりになります。 次は
☆The love of a mother for her child is immeasurable.
などという場合を見て行きたいと思います。 これは実は冠詞も絡んで結構難しい意味になっています。
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冠詞の意味を理解することもとても大事なのですが 「of」を中心に見て行きたいと思います。
さて、この英文ですが、「of」が使われていることは使われていますが 今まで見てきたこととは少し違います。 しかし「分離」という基本は何ら変化はありません。
☆The love of a mother for her child is immeasurable.
この英文はほとんどが主語です。 「The love of a mother for her child」までが主語なのですが この部分の意味が難しいのです。 この部分の意味をしっかりと、まずは自分で取っておいて欲しいです。 どんな意味になっているのかじっくりと考えて 日本語で意味を出しておいて欲しいと思います。 単に「の」と「of」を訳すのではなくて、どんな意味に英語では なっているのか、理解をしておいて下さい。
前置詞の理解を深めることで、正しい英語を使えるようになります。 次回この英文の意味を見ていきます。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎============================ 2005 年発行 11 月 16 日発行 ======================================================= 第 76 号
「to」を見ています。 「~に向かって行って、到達する」という感じになっています。 大事なのは「到達」の意味になります。
前回は「変化」という場合を見ました。 別に「to」にこんな意味があるわけではないのですが 日本語にした時に、こういう感じになります。 「to」は常に同じことになりますが、動詞などの意味で変化することになります。 基本は同じでも、日本語にした時に意味が異なってきます。
今回も「to」を見て行きますが、基本からしっかりと考えて行きます。
それでは、早速見ていきましょう。
-----------------------------------------------------------《前置詞 to》 ------------------------------------------------------------
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☆Attach this rope to the front of the car.
☆He had left his dog tied to a drainpipe. ●オックスフォード英英辞典
これらの英文から見て行きます。 別に大きな問題はないものです。 「到達」ということで理解が出来るものです。 まず
☆Attach this rope to the front of the car.
これですが「attach」という動詞がまずは大事になります。 意味は辞書を引けばわかりますが、これはいわゆる熟語で 「attach A to B」となります。
「A を B に貼り付ける、結びつける」
などという意味になります。 辞書を引くと載っているので、確認してください。
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さて、「to」なのでその意味を基本から考えます。
これは「このロープを車の前に結びつける」ということに なりますが、ロープがしっかりと車に到達することが分かります。 まずロープを車の方に持って行き、そして到達させるのです。 そして結びつけるのです。 ロープで結ぶ、ということはしっかりと到達していないと 出来ないので「to」が使われているのです。
日本語では「ロープを結びつける」ですが、英語では 「ロープを到達させて、そして結びつける」と細かく説明するのです。 英語は出来るだけ具体的に細かく説明する言語なので このように細かい説明があるのが普通です。
日本語はあいまいで省略することが多いので 細かい説明はしないのが普通です。 日本語にしておくと
☆Attach this rope to the front of the car. 「このロープを、その車の前部に結び付けなさい」
となります。 日本語には出てきませんが、ロープを車の方に向け そして到達させて結びつける、という細かい説明を英語ではしています。
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英語は細かいので、こういう意味になるのが普通です。
------------------------------------------------------------
さて、次を見て行きます。
☆He had left his dog tied to a drainpipe. ●オックスフォード英英辞典
これを見て行きます。 ここでも「tie to」という形が出てきています。 これも辞書を引けば分かることですが、意味は 「つなぐ」「結びつける」ということになります。 熟語になりますが、「to」の意味は生きています。 なお「tie」は「ネクタイ」という意味もあります。 元々は「結ぶもの」という意味で、そこから「ネクタイ」という 意味が出てきています。
「tie」は「結ぶ」という意味ですが、「to」を使うことで 何に結びつけるのか、ということが分かります。
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ここでは「犬」なので、紐もしくはリードになると思いますが 何を結びつけたのかは出てきていません。 「tie」という動詞は紐などを結ぶ、という意味で使われるので 何を結び付けたのか前に出てこないのが普通です。
先ほどの「attach」とは少し違います。
ここではリードを結びつけた、としておきます。 さて、こう考えると
☆He had left his dog tied to a drainpipe. 「彼は、飼い犬のリードを排水管に結びつけたまま去って行った」
となります。 文の意味は別として、「to」の意味を理解しておかなければなりません。 「リードを排水管に向わせ、到達させてそして結ぶ」 ということになります。 やはり細かく説明がされています。 英語は細かいことまで説明するので、こんな感じになってきます。
「to」があるので、「~に向って到達する」という意味を 理解しておかなければなりません。
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また「tie」の意味も大事になります。
ここで文法的なことですが、ここでは「leave」が出てきました。 これは「leave 目的語 補語」で 「人、ものを~のままにしておく」 という意味になります。 辞書を引けば載っていることなので確認しておいて下さい。
☆He had left his dog tied to a drainpipe.
ここでは「tied」と過去分詞が使われていますが 形容詞の働きをしていると考えることが出来ます。 「leave」の意味を理解することも大事です。
「to」が使われているので、基本から理解して行くことが 大事ですが、動詞はやはり理解しなければなりません。 前置詞はどうしても動詞と一緒に使われる場合が多いので 動詞の意味も含めて理解することが大事です。 「to」だけを理解してもあまり効果はありません。
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英語は動詞中心の言語なので、動詞を理解することが 何より大事になります。
------------------------------------------------------------
今回の「to」は「結合」と説明することが出来ます。 実際にこう説明しているものもあります。
結びつける、という場合は分かりやすいですが、何かと 何かが結合するのです。 その場合に「to」が使われます。 しかし「結合」と覚えていると、理解が難しくなるので 常に基本から考える習慣を付けて下さい。
さて、確認のため他の場合を見ておきます。
☆She sticks to her principles. ●前置詞マスター教本 110 ページ
という英文があります。 これは比ゆ的に使われているものです。
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これも「stick to」という熟語になります。 意味は「固執する」「あくまでも守る」というような感じになります。
まず「stick」ですが、「スティック」ということからも 推測は出来ますが「刺す」という意味になります。 「to」と一緒になると、「~に向かい到達して刺す」ということになります。
刺すのですから、到達しなければさせません。
ここから意味が発展し、何があっても突き刺す 何があっても揺るがない、という感じになってきます。
本当に突き刺すのです。
そして比ゆで使われる場合は、信念、信条、習慣などが 突き刺さる、という感じになります。 しっかりと突き刺さっているのです。
☆She sticks to her principles.
この英文は彼女自身が、彼女の信念、信条に 突き刺さっているのです。
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突き刺さるほど意思が強い、ということになります。 比ゆ的に使われていますが、基本から考えて 理解が出来るものとなります。 意味を取っておくと
☆She sticks to her principles. 「彼女は自分の信念を貫いている」
という感じになります。 信念に突き刺さっているのですから、相当なものです。 相当意思が強いことが分かります。
ついでですが「stick in」という表現もあるので見ておきます。
☆One of his paintings in particular sticks in my mind. ●オックスフォード英英辞典
という表現があります。
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これも同じ感じになるのですが、違います。 「stick to」は信念、信条などの意味が入ってきますが 「stick in」は記憶、イメージなどの意味になってきます。 また「stick in one’s mind」という熟語とも言えます。
これは「人の心の内部に突き刺さる」ということになります。 それだけ記憶に残る、ということになります。
何かが強烈に記憶に残るのです。 そのことを「stick」を用いて表現しています。 日本語にしておくと
☆One of his paintings in particular sticks in my mind. 「彼の絵の一つが特に、記憶に残っています」
という感じになります。 記憶に残る、という場合はこういう表現になりますが 基本から考えることが大事です。
「stick in one’s mind」で
「人の心の内部に突き刺さるくらい記憶に残る」
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という感じになります。 かなり強烈に記憶に残っているのです。
熟語として丸暗記するのではなくて、意味を基本から考えて 理解するようにして下さい。
------------------------------------------------------------
さて、今回の「to」はここまでになります。 「to」だろうが「in」だろうが基本から考えることは常に大事になります。 まだ「to」に関してはあるので、見ておきます。
☆He was at 48 percent approval to 47 percent disapproval.
という場合があります。 ここでも「to」が使われています。 「approval to」ということなのですが、これは辞書には あまり載っていないと思います。 しかし実際には使われるものなのです。 この場合も「approval」と「to」の意味を理解することが大事になります。
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また
☆You need to apply to the local authority for a grant. ●オックスフォード英英辞典
という場合もあります。 これも「apply to」という熟語ですが、基礎から考えることが大事になります。 丸暗記は意味がありません。
「to」があるので「~に向って到達する」ということに なりますが、比ゆ的な感じになっているので、また 動詞の意味も踏まえて考えなければなりません。
今まで説明してきたことで理解が出来るので どうなっているのか考えて欲しいと思います。
「to」の意味を踏まえて、そして動詞など文全体を考えるのです。
熟語だからと言って丸暗記しないようにして下さい。 次回は
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☆He was at 48 percent approval to 47 percent disapproval.
☆You need to apply to the local authority for a grant.
この 2 つの意味を見て行きたいと思います。 文全体で「to」の意味を考えて行きます。 「to」だけ理解してもあまり意味はありません。
こういう英文が使えるようになるためにも、前置詞を 基本から理解していって欲しいと思います。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎======================== 2006 年発行 4 月 12 日発行 ====================================================== 第 92 号
「for」を見ていました。 説明が前回までで終わったので、今回からは 「with」を見て行きます。 これも色々な意味に発展する前置詞です。 色々な場面で使われて、色々な意味になりますが 基本は一つです。 常に同じなのです。 「with」は常に「with」なので、そのことを理解しなければなりません。 どんな場面で使われるのか、ということを理解することも 大事ですが、まずは基本を理解することが大事です。 「と一緒に」などという意味で丸暗記している人も多いと 思いますが、まずは「with」の基本からしっかりと見て行きます。
それでは、早速見ていきましょう。
-----------------------------------------------------------《前置詞 with》 ------------------------------------------------------------
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さて「with」の基本ですが、これは
☆つながり
を意味していることになります。 何かと何かがつながっているのです。 しかもそのつながりは、結構強いものです。 強い結びつきがある、という感じになっています。 「with」は「つながり」ということが基本となります。 ここから色々な意味に発展しています。 英文を見ておきます。
☆I went to a movie with a friend.
これがありますが、とても簡単です。 「友達と一緒に」と簡単に訳せますが、「with」の基本を 無視してはなりません。 「つながり」を意味しているのです。 しかし「友達とつながって」という日本語はないので 「友達と一緒に」ということになっています。
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友達とつながって、映画に行った、ということになります。 友達と手をつないでいる感じもありますが、別に手を つないでいなくてもつながっています。 何がつながっているのかですが、それは人間関係が つながっている、ということになります。 人間関係が友達としてつながっているのです。 ですから「with」を用いています。 「with」の訳が日本語にはないので、「と一緒に」などと いう意味にしかならないのですが、「つながり」を理解して行って下さい。 この「with」ですが、色々な場面で使われます。 「つながり」を意味していますが、色々なつながりを意味している ことになります。 例えば
☆I always seem to be quarrelling with my parents. ロングマン現代英英辞典より
という英文があります。 これは「quarrel with」となっています。 意味は「口論する」ということです。 つまり口喧嘩するということです。 喧嘩するのですが、喧嘩するにも相手が必要です。 相手がいなければ喧嘩すら出来ません。
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相手とつながっていなければ、喧嘩は出来ないのです。 人とつながっているので喧嘩が出来る、という考えが英語になります。 日本では、喧嘩する相手との人間関係がつながっていると 考えることはないですが、英語では考えるのです。 人間関係がつながっているので、喧嘩が出来る だから「with」を使う、ということになっています。 つながっていれば「with」を使うことが出来るので 悪い意味でも「with」を用いることが出来るのです。
☆I always seem to be quarrelling with my parents. 「私はいつも、両親と口喧嘩をしているようだ」
という意味になります。 両親とつながっているので、口喧嘩が出来るのです。 両親と絶縁状態にあれば、喧嘩すら出来ません。 一人で喧嘩は出来ないので、人間関係のつながりが とても大事になります。 つながっているから「with」を使っているのです。
------------------------------------------------------------
この「with」ですが結構有名なものです。
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他にも例えば
☆The President has again collided with Congress over his budget plans. ロングマン現代英英辞典より
という英文があります。 「collide with」というものが使われています。 これは「衝突する」「対立する」などという意味になります。 これも同じことです。 つながっているから対立することが出来るのです。 人間関係がつながっているので、衝突もあるのです。 つながりがないと、衝突も対立もありません。 一人ではこんなこと出来ないのです。 しっかりとつながっているので衝突、対立することが出来るのです。 こういうことを「with」は意味しています。
☆The President has again collided with Congress over his budget plans. 「大統領は予算案に関して議会とまた対立した」
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ということになります。 関係があるので対立しているのです。 大統領と議会はつながりがあります。 しかも結構強いつながりです。 切っても切り離せないつながりがあるので、対立することが出来るのです。 つながりが強いほど衝突もあるものです。 なお日本では、喧嘩をするほど仲が良い、という言葉、考えがあります。 何か腹立つことがある、というのはよくあることですが それは人間関係がつながっているから、ということになります。 強くつながっているので、腹立つこともあるのです。 そして喧嘩することもあります。 喧嘩するのは仲が良い、とは言えないまでも、人間関係が つながっている、と言うことは出来ます。 人と人がつながっているから喧嘩が出来る。 人間関係がつながっているので対立も出来るのです。 こういう考えが英語なのですが、日本でもこういう関係は成り立ちます。 人間関係があるから喧嘩が出来るのです。 つながっている、ということになるので「with」を使います。 「with」はつながりを意味していますので、つながりを 意味している場合に使われます。 良い意味だけではなくて、悪い意味でも「with」を 使うことは普通に出来ます。
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☆She had broken with her family years ago. ロングマン現代英英辞典より
こういう英文もあります。 これは少し訳しにくいかもしれません。 彼女は壊したのです。 何を壊したのかですが、それは「with」以下になります。 「彼女の家族と」ということですが、これでは意味不明です。 これは「with」の意味がそのまま出ている場合です。 つまり「つながり」を意味しているのです。 彼女は「彼女の家族とのつながり」を壊した、ということになっています。 「with」を「と」や「と一緒に」などと丸暗記していると この英文は訳せません。 「つながり」を意味していることを理解していれば 家族とのつながりを壊した、ということが分かります。 日本語にすれば「縁を切った」という感じになります。
☆She had broken with her family years ago. 「彼女は何年も前に、家族と縁を切った」
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ということです。 人間関係を切った、ということになっています。 「with」の意味がそのまま出ているのですが、「with」の 意味を理解していないと、訳せない場合になります。 強いつながりがある関係を断ち切った、ということです。 「with」の基本を理解していれば、これは簡単に 理解が出来るものです。 他にも英文を見ておきます。
☆His work broke with tradition in many ways. ロングマン現代英英辞典より
という英文があります。 これも同じことになっています。 というよりも基本通りです。 「彼の作品は壊した」ということです。 何を壊したのかですが、それは「伝統との関係」ということになります。 伝統があったのですが、その関係を壊したのです。 伝統を破った、という感じになります。 「伝統と一緒に」などという意味には決してなりません。 「伝統という関係」ということになります。
☆His work broke with tradition in many ways. 「彼の作品は、色々な方法で伝統との関係を断ち切った」
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という意味になります。 「with」なので、その意味を理解しなければなりません。 つながり、を意味していますが、そこから色々な意味に発展します。 しかし基本は常に同じなので、基本を理解するように しなければなりません。
「break with」を丸暗記していると、おそらく訳せないと思います。
☆His work broke with tradition in many ways.
この英文は、「with」を理解していないと、訳せないものです。 「伝統と一緒に壊した」というとなるとおかしいです。 「伝統との関係を壊した」ということになります。 しっかりと「つながり」を意味していることを 理解しておいてください。
------------------------------------------------------------
さて「with」ですが、しっかりと基本を理解しておいてください。 「つながり」を意味しているのです。 しかも結構強いつながりを意味することになります。
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色々なつながりがありますが、どんなつながりでも「with」を 使うことは出来ます。 次回は
☆Do you think this shirt will go with the skirt I bought? ロングマン現代英英辞典より
こういう場合を見て行きたいと思います。 なお「with」は前置詞なので、色々な動詞と一緒に 使われることになります。 動詞と一緒に使うので、動詞の意味も大事になります。 なお熟語として丸暗記など決してしないようにして下さい。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎======================== 2006 年発行 8 月 16 日発行 ===================================================== 第 107 号 -----------------------------------------------------------《前置詞 by》 ------------------------------------------------------------
☆They were here by accident. ●前置詞マスター教本 http://tinyurl.com/pmlrt
182 ページ
この英文から見て行きます。 「by accident」は辞書にも載っているものです。 意味は「偶然」ということですが、「by」の意味を踏まえて 理解して行きます。 「accident」は「偶然」という意味になります。 この単語だけで「偶然」という意味を出します。 日本語にすると「by」の意味が消えるのですが 英語では生きています。 「偶然のそばに」という感じになっています。
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☆They were here by accident.
これは「偶然、ここにいた」という意味になりますが 「偶然のそばに、ここにいた」ということになります。 偶然以外何もない、ということになるのでまさに「偶然」となります。 この英文を日本語にすると「by」が完全に消えるのですが 「by」の意味を理解していなければなりません。 偶然のそばに、ということですが、偶然以外何もないので 本当に偶然、という意味になります。 日本語にしておくと
☆They were here by accident. 「彼らは、偶然、ここに居合わせた」
という感じになります。 日本語には「by」がないので、日本語にすると意味が消えるのですが 英語を使う際は、しっかりと「by」の意味を理解して使うようにして下さい。
この「by」ですが、もちろん基本通りの意味になるのですが これは、因果関係を表しているとも言えます。
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つまり、原因、結果となります。
英語は、因果関係を明らかにする言語です。 理由をあいまいにはしないものです。 この「by」は因果関係を明らかにしていると考えることも出来るものです。
☆They were here by accident.
これはまず「彼らはここに居た」という意味になっています。 そしてどうしてここに居るのか、という疑問が出てきます。 その疑問に「by」以下で答えていることになります。 どうしてここに居るのか、それは偶然だ、という感じになっているのです。
英語は前から意味が流れています。 ですから、前から順に意味を取ることが大事になるのです。 前から意味を取ることで、英語の意味を知ることが出来ます。 「by」以下の意味ばかりに注目するのではなくて 英文全体の意味を理解することが大事です。
ここでは、前から意味が流れており、因果関係を意味して いることになっています。
------------------------------------------------------------
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さて、他の英文も見ておきます。
☆She declined my invitation by reason of illness. ●前置詞マスター教本 http://tinyurl.com/pmlrt
182 ページ
こういう英文があります。 これも同じことになります。 「by」以下は
「病気という理由のそばに」
ということになります。 つまり「病気を理由に」ということです。 病気という理由以外何もないのです。
この英文を日本語にしておくと
☆She declined my invitation by reason of illness. 「彼女は、病気を理由に、私の誘いを断った」
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ということになります。 意味は特に難しいことはないのですが、「by」の意味を 理解することがまずは大事になります。 またこれも、因果関係になっています。 まず前の部分では
「彼女は私の誘いを断った」
となっています。 英語なら、どうして? という疑問が出てきます。 因果関係を明らかにするので、なぜ、という疑問が自然と出てきます。 その疑問に答えているのが「by」以下となっています。 「病気を理由に」という意味を持ってくることで 因果関係が成立しています。
日本人はどうしても因果関係を作ることが苦手なのですが 英語では、疑問を明らかにすることが普通になります。 なぜそうなるのか、ということを明らかにしないと、英語では おかしくなるのです。
日本人発想では
☆She declined my invitation.
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こういう現実だけで十分通じると思いますが、英語では なぜ、どうして、という疑問が出てきます。 なぜ断ったのか、という疑問に答えるために「by」を 用いることになります。 「by」は「そばに」ということなのですが、因果関係をしっかりと 作る役割も果たすのです。 「by」の意味は同じなのですが、使われる文脈によっては 今回のように因果関係を作る場合もあります。
この「by」の働きはとても大事なものとなるので、使えるように ならなければなりません。 因果関係を常にはっきりさせるのが英語なので、この「by」を しっかりと使えなければなりません。 「by」以下に原因などが来ることになりますが、「by」の意味は 変わることがありません。
「by」は「by」です。
因果関係の「by」などとして、丸暗記することのないようにして下さい。
------------------------------------------------------------
この「by」は熟語のようになっている場合も多いです。 例えば
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☆I did it by mistake.
という場合もあります。 「by mistake」ですが、「間違って」という意味になります。 しかし「by」なので「間違いのそばに」ということになります。 間違い以外何もない、ということになるので「間違って」 という意味になります。
☆I did it by mistake. 「間違って、それをした」
という意味になります。 他には
☆We met by chance.
というものもあります。 「by chance」は「偶然に」という意味になります。 これも辞書を引けば意味が載っています。
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「我々は偶然会った」
という意味になっています。 因果関係を意味していることになっています。 この「by」は結構決まった表現も多いものです。 「chance」と「accident」が同じような意味で使われていますが これらはほとんど同じ意味になります。 英英辞典を引くと、この 2 つの意味の違いが分かりますが 辞書を引けば分かることなので、各自辞書を引いて違いを 確認しておいて下さい。 英和辞典だけでは物足らないので、必ず英英辞典を 引くようにして下さい。
なお「accident」は「事故」という意味もあります。 たまたま起こるから事故、という感じになっています。
☆He was injured by accident.
☆He was injured in the accident.
この 2 つの英文ですが、「偶然」と「事故」の意味になります。 「by accident」の方は「偶然」という意味を出しています。 「in the accident」の方は「事故で」という意味になっています。 細かい意味を出しておくと
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☆He was injured in the accident. 「彼は、その事故内で負傷した」
ということになります。 「in」があるので「内部に」という感じになります。 「in」を使うか「by」を使うかで意味が変わるのが面白いですが 前置詞の意味と一緒になって意味を出しています。 「in」が使われている時は「事故」ということになります。 偶然なのか、事故なのか、しっかりと区別することも大事です。 同じ単語を使って違う意味を出すのも面白いですが 意味を区別することは本当に大事です。
さて、今回の説明は以上までになります。 因果関係を意味する、ということが大事なので、これは しっかりと理解しておいて下さい。 次回は
☆I read a novel by Tolstoy. ●前置詞マスター教本 http://tinyurl.com/pmlrt
74
183 ページ
こういうものから見て行きます。 これは動作主を意味する「by」として説明されますが 基本から考えることが大事になります。 「動作主」と暗記しても意味がありません。 常に基本を理解することが大事なのです。
それでは。
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===============英語・前置詞の謎======================== 2007 年 5 月 23 日発行 ===================================================== 第 139 号 -----------------------------------------------------------《up》 ------------------------------------------------------------
☆The wind has picked up. ●オックスフォード英英辞典
http://tinyurl.com/kfksv
この英文から見て行きます。 これは「up」の後に何もないものとなっています。 何もありませんが、何の問題もないものです。 「つまみ上げる」ということになります。 風がつまみ上げた、ということなのですが、これでは何のことか意味不明になります。 これは辞書を引いても意味が載っているものです。 まず日本語にしておくと
☆The wind has picked up. 「風が強まった」
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こうなります。 風のスピードが上がった、ということになります。 上がる、ということで「up」を用いているのです。 風がつまみ上げる、ということではなくて、風の速度を つまみ上げる、という感じになります。 ここでは風の速さを意味しているのです。 風が速い、ということなので「up」を用いています。 これは結構難しいものですが、「pick up」はこのように色々な 場面で使われるものです。 他にも色々あるので見ておきます。
☆He had picked up a little Russian from his father. ●オックスフォード英英辞典
http://tinyurl.com/kfksv
こういう英文があります。 これもそのままでは理解がしにくいものとなります。 「少しのロシア語をつまみ上げる」とは何のことは意味不明です。 しかしなんとなく分かると思います。 ロシア語を少しつまみ上げる、ということは、少しロシア語を学ぶ ということになって来ます。 実際にこういう意味になります。 こういう意味になるのは良いのですが、「up」があるのでその意味を 確認しておきます。 「up」なので「上」となります。
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これも前回出てきたことと同じなのですが、ロシア語が出来ない状態から 出来る状態へ、という感じになります。 ロシア語のレベルが上がる、ということになるので「up」が相応しいことになります。 「up」ですから、何かが「上」ということになります。
☆He had picked up a little Russian from his father. 「彼は父親から、少しロシア語を学んだ」
こういうことですが「up」の意味を理解しておいて下さい。 「上」ということが常に基本です。 何かが「上」なので「up」なのです。 何もないところにいきなり「up」などは出てこないものです。
まだ見ておきたいと思います。
☆Women are very quick to pick up emotional atmospheres. ●オックスフォード英英辞典
http://tinyurl.com/kfksv
こういう英文もあります。 「感情的な雰囲気をつまみ上げる」ということになっています。 これも分からないものです。
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「up」なので、とにかく「上」ということには間違いありません。 何かが「上」なのです。 これも同じように考えることが出来ます。 つまり、下から上へ、ということになります。 感情的な雰囲気がない状態から、ある状態へ、という感じで 考えることも出来るものです。 感情的な雰囲気をつまみ上げる、ということは、感情的な 雰囲気がある状態になる、という感じになります。 つまみ上げる、ということは、実際に手にすることになるので それが手元にある、ということになります。 感情的な雰囲気がある、ということになります。 「up」の意味を踏まえると、こういうことが分かってきます。 「上」なので、何か「上」の感じが常にあるものです。 英文を日本語にしておくと
☆Women are very quick to pick up emotional atmospheres. 「女性たちは、非常に速く感情的な雰囲気に気が付く」
こういう感じになります。 日本語にどうするのかは難しいのですが、あまり日本語に こだわる必要もないと思います。 「感情的な雰囲気をつまみ上げる」ということではおかしいですが 何か「上」という感じを理解することが大事です。 「気が付く」などという意味を暗記することのないようにして下さい。 「up」が使われている、ということは、「上」ということになるのですが 「下から上へ」という感じにもなります。 つまみ上げる、というのはまさにそうで、下にあるものを上にする
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ということになります。 下から上、という感じも理解することが大事です。 「up」は色々な場面で使われるのですが、それは「上」という意味が 身近だから、ということもあります。 色々な場面で簡単に使える意味なので、色々な場面で出てくるものなのです。 「上」というのは色々な場面で使えます。 実際に下から上、という場合でも使えますし、上を比ゆ的に用いて 「良い」という意味を出す場合にも使えます。 動詞と一緒になると、その使用範囲はとてつもなく広くなります。 「up」は色々な意味になるのですが、いずれも「上」という意味から 発展しているものです。 思わず暗記したくなることもありますが、暗記などせずに理解して行って下さい。 ここで、日本でも有名な場合を見ておきます。
☆I gave up smoking while I was pregnant. ●ハートで感じる英文法 会話編 DVD セット http://tinyurl.com/2fm5fl
こういう英文があります。 日本語でも「give up」は使うものです。 そのまま通じるものです。 「諦める」という意味ですが、どうしてこういう意味になるのか 理解しなければなりません。 まず「give」ですが、これは「与える」となります。 自分のところから出す、ということが基本です。
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自分が持っているものを相手に出すので「与える」ということになって来ます。 そして「up」です。 「上」ということです。 つまり
「自分のところから上に出す」
ということになります。 これが「give up」の意味なのです。 ここからどうして諦める、などという意味が出るのか、考えることが大事になります。 もちろん「諦める」というのは日本語訳なのですが、英語でも 実際にこういう感じの意味になるのです。
さて、「give up」ですが、まずは自分の持っているものを出します。 しっかりと出します。 そしてどうなるのかと言うと、「上」になります。 つまり、放り投げる感じになります。 自分の持っているものを、相手に出すのではなくて、上に放り投げることになります。 そしてそのまま、になるのです。 英語では言ったこと、書いたことがそのまま通じるものです。 ここでは「up」しかないので、「up」の意味までしかないものです。 「放り投げる」という感じしかないのです。 つまり、放り投げたまま、ということになります。 自分の持っているものを放り投げたまま、ということは 自分の手元にはない、ということになります。 これは、習慣、と考えると理解がしやすいです。 自分が持っていた習慣を上に放り投げたまま、もう手元にはない ということになると、習慣がもうなくなった、ということになり
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もうそういう習慣はない、ということになります。 習慣以外にも、色々な意味が考えられますが、ここでは習慣 と考えると理解がしやすいです。
☆I gave up smoking while I was pregnant.
これは、タバコを止めた、ということですが、タバコを吸うという 習慣を上に放り投げたのです。 そしてそのままなので、そういう習慣はもうない、ということになります。
「妊娠中に、タバコを止めた」
ということですが「give up」の意味を理解するようにして下さい。 上に放り投げる、という感じが「give up」なのです。 「諦める」などと暗記しないようにして下さい。
今回は「pick up」「give up」を見ました。 いずれも熟語ですが、暗記などはしてはなりません。 「up」の意味も大事ですが、動詞の意味も大事になります。 「up」は「上」ということになるので、その意味をしっかりと踏まえるようにして下さい。 「give up」でも「上」の意味は当然生きているのです。
さて「up」は色々な場面で使われるものですが、少し気を付ける 場合もあるので、次回見て行きたいと思います。
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☆I climbed up Mt. Fuji.
☆I climbed Mt. Fuji.
こういう場合があります。 この 2 つの英文の違いを次回見て行きたいと思います。
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===============英語・前置詞の謎======================== 2007 年 11 月 28 日発行 ===================================================== 第 163 号 -----------------------------------------------------------《out》 ------------------------------------------------------------
☆The teacher called out my name and I raised my hand. ●バーナード先生のネイティブ発想・英熟語 http://tinyurl.com/336sfz
この英文から見て行きます。 これは特に難しいものでも何でもありません。 そのまま理解が出来るものです。 名前を呼ぶ、ということは、体内から声を出すことになります。 中から外に出すので、まさに「out」を用いることになります。 「call out」となっていますが、声が外に出る、ということになっています。 日本語にするのは意外に難しいのですが、理解は出来るものです。 体内から声が外に出る、ということで「out」なのです。
☆The teacher called out my name and I raised my hand. 「その先生は、私の名前を呼び、私は手を上げた」
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ということになります。 日本語に出て来ないのですが、声を中から外に出す、ということになっています。 中から外なので「out」なのです。 「声を出して呼ぶ」ということになっています。 日本語にしなくても理解が出来ますが、英語では細かいことまで 伝える必要があるので、細かいことまで伝えているのです。 「out」などなくても良い、という感じがしますが、「out」を用いて 細かいことまで伝えているのです。 英語は詳細まで伝える、ということを常に意識して下さい。 詳細まで伝えないと、英語ではないのです。 また
☆She was crying out for help from the bottom of the well. ●「英語句動詞文例辞典」 http://tinyurl.com/ykdr7s
こういう英文もあります。 これも先ほどと同じになります。 「叫ぶ」ということですが、声を体内から外に出す、ということになっています。 「体内から声を外に出して叫ぶ」 ということを意味しています。 そのままの意味で使われているものです。 ただ、この場合は「out」を用いていることで、本当に外に向かって 声を出している感じがします。 本当に助けを求めて叫んでいる感じがします。 体内から思い切り声を出している場面をイメージして下さい。 英語はイメージすることが基本です。
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イメージしてその意味を理解して下さい。
☆She was crying out for help from the bottom of the well. 「彼女は井戸の底から、助けを求めて、思い切り叫んでいた」
こういう感じになります。 体内から声を出す、ということを意味しているので、声を 思い切り出している感じがあります。 細かい日本語訳はあまり問題ではないのですが、大事なのは その場面をイメージすることです。 その場面をイメージして日本語にして下さい。 またその場面をしっかりとイメージ出来るようにして下さい。 イメージが出来れば、日本語訳はあまり大事ではありません。
まだ他の場合も見ておきます。
☆We burst out laughing when the clown came on the stage. ●「英語句動詞文例辞典」 http://tinyurl.com/ykdr7s
こういう英文もあります。 これは結構有名ではないかと思います。 「burst out ing」は結構使われるものです。
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「burst out laughing」というのも有名なものです。 また日本語でも「バースト」などと言いますが、動詞の意味も理解しなければなりません。 「burst」は「爆発する」「破裂する」という意味になります。 何かが壊れる感じです。 実際「break」の意味も入っているものです。 そして「out」なのです。 破裂して外に出るのです。 破裂すれば、中のものが外に出ます。 そういうことを意味しているのです。 「burst out」で「破裂して外に出る」ということになります。 そして「laughing」が続いています。 「out」が前置詞なので、その後には名詞が来るので、動名詞「ing」が 続くことになる、と教えられそうですが、これは単に「ing」です。 「ing」は常に躍動感なのです。 今まさに起こっている、という感じがするものです。 今まさに笑っている、ということになるので「ing」なのです。
☆We burst out laughing when the clown came on the stage.
これは破裂して外に出たのです。 そして、まさに笑っているのです。 破裂して外に出て、まさに笑っている状態になった、という感じになっています。 今まで沈黙だったのです。 その沈黙を破って、一気に笑いが出ている、ということになっています。 沈黙から笑いに一気に変わっています。 そこから「どっと笑う」という感じになるのですが、破裂して 外に出てまさに笑っている、ということを理解して下さい。
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沈黙が破られたのです。 そして笑っている状態になったのです。 沈黙を破り、まさに笑っている状態へ、という意味を出しています。 「out」を用いて、「外」ということを意味していますが 日本語にすると消えてしまうものです。 沈黙というものから外に出て、笑っている状態へ ということになっています。 「out」の意味は英語では生きているので、勝手に無視することのないようにして下さい。 「外」という意味は常に生きているのです。
☆We burst out laughing when the clown came on the stage. 「その道化が舞台に出てきた時、一気に笑いが起こった」
こういう感じになります。 それまで沈黙だったのが、破られて、笑いに変わったのです。 まさに笑っている場面をイメージして下さい。 英語は本当にイメージが大事なので、イメージすることが基本なのです。 今まさに笑っている、という場面をしっかりとイメージして下さい。
「out」は日本語にすると消えてしまう場合が多いものです。 「外」ということなのですが、日本語にこういう感覚はないので消えてしまうのです。 こういう意味をしっかりと出すのは、やはり英語には空間の感覚が あるから、ということになります。 英語は空間中心の言語で、空間で物事を考えるものです。 その際、空間の中か外か、ということを意識します。 ですので自然と「in」「out」を用いるようになるのです。
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日本語にはこういう感覚は全くと言って良いほどないので 「in」「out」を使う感覚はないものです。 しかし英語は空間中心の言語なので、空間の中なのか 外なのか、という意識はとても大事になります。
「英語で考える」
とは良く言われますが、空間を意識する、と言い換えることも出来るものです。 空間を強く意識して「out」を使うようにして下さい。 「外」という意識はネイティブは普通にあるものです。 しかし日本人にはないので、「out」を意外にも使えないのです。 日本語にないからと言って「out」を無視することは出来ないので 「out」を使うように意識して行って下さい。 日頃から、空間の意識を持つことがとても大事になります。
さて、まだ見ておくことがあるので見て行きます。
☆He lay down on the beach and spread out his legs. ●「英語句動詞文例辞典」 http://tinyurl.com/ykdr7s
こういう英文があります。 これは難しいものではありません。
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「spread out」が使われています。 そのまま意味を取ることも出来るものです。 しかしこれが発展して、結構難しい意味になることもあります。
☆I have spread my repayments out over ten years. ●「英語句動詞文例辞典」 http://tinyurl.com/ykdr7s
こういう英文もあります。 これは比ゆ的になっていますが、同じ意味になります。 「spread out」も結構色々な意味で使われるものです。 これからも「out」の感覚を学ぶことが出来るので、こういう場合を 理解して欲しいと思います。 次回は
☆He lay down on the beach and spread out his legs.
☆I have spread my repayments out over ten years.
この 2 つの英文から見て行きます。 その前にどんな意味になっているのか、考えておいて下さい。
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===============英語・前置詞の謎======================== 2008 年 7 月 23 日発行 ===================================================== 第 193 号 -----------------------------------------------------------《off》 ------------------------------------------------------------
☆I usually sweat off a couple of kilos every time I play squash. ●ネイティブスピーカーの英語感覚 http://tinyurl.com/yu679g
この英文から見て行きます。 「sweat off」が使われています。 見慣れないものですが、考えて行けば分かるものです。 「sweat」は「汗をかく」などということになります。 日本でも有名な単語です。 「off」は「離れて」となりますが、ここでは「数キロから離れて」となっています。 これは重さを意味しています。 つまり体重数キロ、ということです。 分かると思いますが、体重数キロを落とす、という意味になっています。 汗をかいて、体重を落とす、という意味を出しています。
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「sweat off」で考えるのではなくて、前から意味を順にとって行けば 分かるものとなっています。
☆I usually sweat off a couple of kilos every time I play squash. 「スカッシュをやるたびに、いつも汗をかいて、体重数キロ落ちる」
こういうことになっています。 前から意味を順にとって行くことが大事になります。 また
☆The boat was anchored off the northern coast of the peninsula. ●コウビルド英英辞典 http://tinyurl.com/ywczmq
こういう英文があります。 「anchored off」となっています。 これも前から意味を考えることで分かってきます。 アンカーと日本語でも言うので、分かると思います。 錨となりますが、錨で止める、などという意味になります。 受身なので、錨で止められた、となっています。 それが離れているのです。 止められて、離れている、という意味になっています。
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船が錨をおろして止められています。 それが離れているのです。 日本語にしておくと
☆The boat was anchored off the northern coast of the peninsula. 「その船は、半島の北の海岸から離れて、錨で止められた」
こういう感じになります。 前から順に意味を取って行けば、熟語などないことが分かります。 英語は前から意味が流れているので、前から順に意味を取るようにして下さい。 また
☆Tiny secluded beaches can be found off the beaten track. ●コウビルド英英辞典 http://tinyurl.com/ywczmq
こういう英文もあります。 結構意味を取るのが大変になっています。 受身になっていますが、日本語らしくすることも大事になります。 これも前から順に意味を取っていけば良いのです。 見つけられる、離れて、という順番になっています。 このままで問題はないものです。
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「be found off」などとして考える必要などはありません。 「find」「off」それぞれを前から順に考えれば良いのです。 熟語として扱うと難しくなりますが、前から純粋に意味を取って行けば 本当に問題はないものです。 日本語にしておくと
☆Tiny secluded beaches can be found off the beaten track. 「小さな隔離された数々の浜辺は、踏みならされた道から離れて見つけられる」
こういう感じになります。 前から意味を取って行けばこういうことになります。 前から順に意味を取る習慣を付けて下さい。 また
☆Most pregnant women remain off cigarettes while carrying the child. ●コウビルド英英辞典 http://tinyurl.com/ywczmq
こういう英文もあります。 これも前からそのまま意味を取ることで、理解が出来るものです。 「remain off」となっていると考えると混乱するものですが 前から考えて行けば良いのです。 これは簡単なものだと思います。 それほど難しいものではありません。
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日本語にしておくと
☆Most pregnant women remain off cigarettes while carrying the child. 「多くの妊婦は、妊娠中、タバコを吸わない状態でいる」
こういうことになります。 「タバコを吸うことから離れたままでいる」という意味になっています。 日本語らしくすることは大事ですが、英語の意味をまずは理解しておいて下さい。 タバコから離れる、ということは、タバコを吸わない、ということになります。 タバコを吸わないので「off」を用いています。 こういう表現も知っておくと使えるようになります。
☆Florida was a long way off. ●コウビルド英英辞典 http://tinyurl.com/ywczmq
こういう英文もあります。 非常に簡単な英文ですが、間違いやすいものでもあります。 これも前から意味を取ることで理解が出来るものです。 長い経路、ということになっています。 「way」は「経路」ということです。 道のり、という感じになっています。 フロリダまでは長い道のりがある、ということをここでは意味しています。
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「off」を用いることで、離れている、という意味を出しています。 離れているというそのままの意味になっています。 つまり
☆Florida was a long way off. 「フロリダは、遠くにあった」
こういう感じになります。 そのままの意味としては 「長い経路離れていた」 ということになります。 まだまだフロリダまでは遠かった、ということです。 フロリダに向けて行っているのですが、まだまだ遠いということを意味しています。 経路を意味しているので、フロリダまで進んでいることが分かるものです。 フロリダを目指していますが、かなりの距離がまだあるということを意味しています。 「off」の使い方も大事になっています。
さて、ざっと「off」が使われている場合を見てきました。 「off」が使われている場合を見ると、切りがないものです。 基本的なものとなるので、どこまでも見なければなりません。 「off」は「離れて」となるものなので、常に基本を踏まえて考えるようにして下さい。 英語では基本的なパーティクル(前置詞、副詞)がありますが 理解がとても大事なものとしては
☆in, on, out, off
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これらがあります。 まず、平面、立体の区別、となります。 平面は「on」「off」であり、立体は「in」「out」となります。 そして、内か外か、という区別もあります。 内は「in」「on」となり、外は「out」「off」となります。 平面、立体の区別、内、外の区別が英語ではとても 大事になるのですが、こういうものを意味しているのが 「in, on, out, off」これらになるのです。
これらの理解をしっかりとして欲しいと思います。 とても英語らしいものなので、英語らしい表現をするためにも これら 4 つの理解を深めていって欲しいと思います。 なお「out」の場合もそうでしたが「off」も接頭語などとして使われることがあるものです。 「off」が接頭語になっていようが、どうだろうが、意味に違いはないものです。 例えば
☆offspring
こういう単語があります。 辞書を引けば意味が載っていますが、「off」の意味を踏まえて 理解することが大事になります。 「off」が接頭語などで使われている場合を次回から見て行きたいと思います。 「off」は常に同じなので、基本から考えるようにして下さい。
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【最後に】 以上までが無料版です。 最低限の説明はしています。 前置詞も色々あるもので、一つずつ学ぶとなると結構大変です。 また似ている前置詞を使い分けることも大事です。 日本語にはないものなので、前置詞の使い分けは大変です。 詳しい説明は有料版でしています。 さらに掘り下げて各前置詞を説明しています。 似ているものとどう使い分けるのか、など色々詳しい説明をしています。 前置詞を学んで、ネイティブと同じ英語を使いたい人は、有料版でさらに 前置詞を学んで行って下さい。 前置詞を理解できると、細かい意味まで英語で表現が出来ます。 細かい意味を出せるようになると、相手の言っていることも理解が出来ます。 前置詞を変えることで、意味も変えられるので、前置詞の使い分けは本当に 大事になります。 前置詞の理解を放っておくと、間違った英語を使い続けます。 正しい英語を使うためにも、前置詞の理解は必須です。 前置詞を学んで、ネイティブと同じ英語を使えるようになって下さい。
田中聡一郎
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