TPM 東京発 日本の写真の今を伝えるフォトグラフィーマガジン
Tokyo Photography Magazine
Vol. 1
インタビュー
渋谷の街、 とどまらない人の流れ
丹沢 正伸
特集
7人の写真家が見た日本の今
TPM Tokyo Photography Magazine
Vol. 1
CONTENTS 3
Editor's Note
16 特集
7人の写真家が見た日本の今
Tomoshi Hara
Shinichiro Uemura
Noe Arai
Akifumi Homma
渋谷の街、
Tamotsu Matsui
とどまらない人の流れ
Keiichi Toyoda
Asae Kuroki
Masanobu Tanzawa
4 旅する写真家
Yuga Kurita
6 道の記憶
Takahiro Yamamoto
8 インタビュー
72 さくらのサクラ
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Sakura Sugiyama
EDITOR'S NOTE ここ数年で写真のあり方は大きく変わった。デジ タル、そしてインターネットの力により、写真は誰 もが気軽に撮り、簡単に世界の人たちと共有できる ようになった。 しかし、そういった写真の多くは一過性のもので、 一瞬の内に消費される。デジタルの大海にのまれ、 消えていく。 写真は撮り手の思いがこめられた、一瞬一瞬の大 切な記録である。本をひも解けばいつでもその時に 戻れるように、そして、一過性のものではなく、も う少し長い時間、ひょっとたら何年、何十年と経っ たあとでもアーカイブとして楽しめる形として、雑 誌という形態を選ぶことにした。 写真家の写真、そして彼らの思いを載せた雑誌。 この『Tokyo Photography Magazine』は、写真家の 写真家による写真家のための雑誌でありたい。 この第1号を発刊するにあたり、多くの写真家の 方々から支援をいただいたことに、この場を借りて 感謝したい。 山本高裕
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旅する写真家 Yuga Kurita
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近頃はすっかり酒の量が増えてしまった。なるべ
はマイナス 10 度以下まで気温が下がることを覚悟
く休肝日を設けるようにはしているが、気がつくと
してほしい。
ついつい飲みすぎてしまう。昨日は飲み過ぎたから
防寒具の用意が不十分だった場合には、道の駅富
今日は我慢しなくては、そう思って手に取ったウイ
士吉田にあるモンベルで購入できるが、スタッドレ
スキーのびんを棚に戻すと、フェイスブックメッセ
スタイヤを履いていないと、ここの出入り口の坂で
ンジャーがピコンという音を立てた。
停車することができずに国道まで滑り落ちてしまう
差出人は友人の写真家Y氏である。なんでも電
可能性がある。車で来る人は必ずスタッドレスタイ
子雑誌を創刊するらしく、 「旅する写真家」という
ヤを履いてきてほしい。
コーナーに富士山の写真を一枚提供してくれとのこ
冬の山中湖の寒さにうんざりすると、私は西伊豆
とだ。ついでにちょっとした記事を書いてほしいと
に出かけて富士山の写真を撮る。達磨山、大瀬崎、
言う。が、私は山中湖村に定住しているので富士山
井田、戸田、黄金崎、雲見。良い撮影スポットがた
近辺を旅しているわけではない。その事を彼に伝え
くさんあるし、空気が綺麗な冬場は伊豆からも富士
ると、この本を読んでいる東京の人にとって富士山
山がよく見える日が多い。よくよく考えてみると、
麓は旅行先になるわけだから、 「旅する写真家(へ
富士山ばかり撮っている私も冬場には「旅する写真
の道案内)」として記事を書けばよいのではないか、
家」になるのであった。
い
た
へ
だ
とのこと。そういうことならば、と快諾してこの文 章を書くことになった。
栗田 ゆが(くりた ゆが)
これからの時期に東京から富士北麓に来る人に言
富 士 山 写 真 家。 埼 玉 県 出 身。 富 士 山 の 魅 力 に 取 り つ か れ
いたいことは(名古屋から来る人にもたぶん同じこ とを言うだろうが)、いたってシンプルである。冬 の富士北麓は寒い。とにかく寒い。朝夕撮影する人
2013 年に山梨に移住。以来、四季折々の富士の表情を、SNS などを通じて世界のファンに届け続けている。今年 3 月 9 日 から 18 日まで、4回目となる個展を東京で開催予定。
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道の記憶
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Takahiro Yamamoto
この両国ジャンクションを写真の左方向、7 号小松 川線に進むと千葉方面。親戚の婆ちゃんが住む幕張 に向かう旅で使う道だった。 一方、手前の 6 号向島線は、押上にある父が勤めて いた高校に向かうときに使う道だった。 旅の分かれ道。 どちらに進んでも、幼少期の記憶がたくさん詰まっ ている、僕の大好きな東京の分かれ道。 山本 高裕(やまもと たかひろ) 東京生まれ。父親のペンタックス製一眼レフカメラを譲り受 け、すぐに写真に魅了される。英語教師として公立高校に9 年勤めた後、出版社の編集者として仕事を始める。現在は編集・ 写真の仕事を並行してこなしている。「東京夜間写真部」主宰。
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栗田 ゆが(くりた ゆが) 富 士 山 写 真 家。 埼 玉 県 出 身。 富 士 山 の 魅 力 に 取 り つ か れ 2013 年に山梨に移住。以来、四季折々の富士の表情を、SNS などを通じて世界のファンに届け続けている。
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特集1
渋谷の街、 とどまらない人の流れ Masanobu Tanzawa 渋谷の街、それも人の交差が 1 日数十万人にものぼる ハチ公前の交差点を取り続ける写真家がいる。 HDR 写真の騎手、丹沢正伸。 彼の写す東京の街はどこまでも暗く、 しかし、どこまでも暖かい。
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僕がはまっていた ゲームの世界を描きたかった ゲームが好きだったんです。ファミコンとかプレイ ステーションとか。オンラインゲームにもはまってい て。そんなときに見つけたのが、ゲームの画面のよう な絵を写真から作れる、Photomatix という HDR(ハ
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た方と知り合いになって、一緒に撮りに行くようにな りました。彼の HDR のテクニックや撮影の方法を目 で見て盗んでいましたね。昼から翌朝まで撮り続けた りとか、まるで修行のようでしたけれど(笑)。 横浜、川崎、鹿島など、自分の足で行ける場所に通っ て工場を撮るようになったものその頃です。でも、自 分の中で HDR の手法をある程度極めたという達成感
イダイナミックレンジ)作成用アプリでした。
を得たこともあって、次第に工場を撮らなくなりまし
この HDR に出合っていなかったら、僕はデジタル
た。
一眼レフを使わなかったかもしれません。友だちや街 で見つけたものを撮るのであれば、コンデジで十分で したし。でも、そのゲームのような絵を作りたくて、 千葉の蘇我という町にあった、もうすぐ廃炉になると いう鉄工所の高炉を撮りに行くようになりました。 そのときに、すでに HDR に長いこと取り組んでい
「銀残し」の手法が 渋谷の街の色にマッチした 工場から離れた理由のもう一つは「銀残し(ブリー チバイパス) 」という手法に出合ったことです。もと もとはフィルム写真の手法で、プリント作業の一部を
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端折ることで、彩度が低くコントラストが高い独特の
ありえないくらいの人混みで、下町育ちの僕には常に
絵を作る手法なんですが、それをデジタルで再現する
アウェイな感じがするんです。だから僕は動かない街
方法を知ったんです。それを工場の写真でやろうとし
並みと一体化して、周囲を動く人を俯瞰します。それ
てもテイストが合わなかった。僕が昔から撮っている
をただ客観的に、距離を置いて眺めるんです。
街の方が相性が良かったんです。 そんな風にして HDR と銀残しを組み合わせた写真 を作るようになりました。それがもっとも合ったのが、 渋谷の街です。上野も大好きな街なんですが、上野は この手法と今ひとつマッチしません。街の色が違うん ですね。渋谷の光の方が白っぽい。 僕の感覚では、上野は赤とかオレンジとか、黄色と か、色とりどりのイメージです。だから、銀残しの手 法でその色を抜いてしまうと面白くないんです。自分 の中で思っている上野の街ではなくなる。 人を残像のように写真に残そうと思ったのは、それ が僕にとっての渋谷という街のイメージだからです。 10
今の「そのまま」を 写真に記録したい 銀残しはカラーに比べると暗いイメージです。それ が今の世相に合っている気もしています。幸せな人が 少ない、人のために何かしようという人も少ない。 余裕がないのはファッションにも表れている気がし ています。これまでは◯◯じゃなければ嫌だという人、 ◯◯でいいやという人の2つに分類できたはずなんで すけど、それ以下の人が増えている気がします。人々 の心が貧困に向かっているのかもしれません。
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例えば外に出かけるにしても、ちゃんとした格好を
な街になりました。もちろん、戦後からずっと残って
しなきゃ、という人も減っている気がします。インス
いる店もあります。僕が服をよく買う店は 1949 年か
タグラムなどで自分をよく見せようという人たちが増
らそこにあるそうです。新旧の混在。それが魅力です。
えているのは、実際は良くないという人が増えている
秋葉原はオタクの街からオタクの街に変わりました
ということの裏返しなんだと思うんです。
(笑) 。父がテレビを買うのについていった街から、風
僕はそんな時代をそのまま撮りたい。きれに見せた
俗的な街に、です。
いとは思わないし、やはりそのままを残したいんです。
渋谷では、看板が歴史を物語っていると思います。
街は変ってゆくもの その経年変化が面白い 僕の好きな街は、時代によって違った文化が入って いました。「写ルンです」で上野を撮っていたころは、 イラン人がテレフォンカードを 10 枚 1000 円で売っ ていた時代です。当時の上野は僕の中で黒い街だった。 20 年経った今は、その時とは全く違うアジアのよう
北野武さんの看板が最も印象に残っていますが、安室 奈美恵さんだったり僕の知らないミュージシャンだっ たり。僕の写真では、動いている人の忙しさはいつも 同じなのに、動かない看板だけがそのときどきで変化 していく。 こうやって話してきて気がついたんですけど、僕は 時間の経過とか、時代の移り変わりとか、どんどん変 化していくものに引かれるのかもしれません。それは 革ジャンだったりジーパンだったり、自分が身に着け 11
るものにも言えますね。 革ジャンを買うときなどは、店員が着ているものを 触って、一年着続けるとこうなるのかと。そんなこと を考えて購入しています。路地や街の看板…経年変化 で味の出るものが面白いです。一人で喜んで撮ってい ます。 先日、久しぶりに映画「不夜城」を見たんですが、 その冒頭に金城武さんが出てくる長回しのシーンがあ るんです。舞台は新宿のゴールデン街なんですが、僕 の撮りたい街はこういうところだと、見ていて改めて うずうずしました。 日本にはゴールデン街と似たような街はたくさん あったともいますが、今はほとんど廃れてしましまし た。当時のままで元気な街は少ないですよね。だから 香港とか台湾とか。それこそアウェイの極致なんです が、そういう場所で自分が何を感じるかも確かめてみ たい気がします。 あとはスナップの原点に返りたいというのもありま す。飾り立てられたものではなく、カメラの向こう側 にいる人達の性格をうまく表情に引き出して、ありの ままを撮りたいですね。
丹沢正伸(たんざわ まさのぶ) 「工場風景」「配管のある風景」などをテーマに撮り、2013 年に初の個展「配管のある風景」を開催。以後「東京の人 間模様」に注視し、東京の街並みと人々の静と動を対比さ せて捉える手法を追求、「Tokyo Ghost Town」というテー マとして撮影を続けている。
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Photo by Masanobu Tanzawa
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特集
7人の写真家が見た
日本の今 日本ほど、短距離の移動でバリエー ションに富んだ風景を楽しめる国は、 ほかにないのではないか。東京から数 時間、車や鉄道で移動するだけで、目 の前の風景はがらりと変わる。さらに 同じ場所でも季節が変われば、目の前 の色彩は一変する。写真家たちはその 何に心を打たれ、写真という形に残そ うとしているのか。 7 人の写真家の目を通して、あらため て「日本の今」を見つめてみたい。 Tomoshi Hara
Akifumi Homma
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Tamotsu Matsui
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Shinichiro Uemura
Noe Arai
Keiichi Toyoda
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共存:風景の中の工場 Tomoshi Hara
海辺に位置する工場の、すぐ背後には山が迫る。そ の風景を自然と人の調和と見るか、人による自然破壊 と見るか。高度成長期の日本を振り返ると、これを「破 壊」と考える人が多かったかもしれないが、今はどう だろう。いずれにしても狭い日本のこと、このような 共存関係は今後も続く。それが好きだとしても、嫌い だとしても、今の、最も日本らしい風景といえること は間違いない。 19
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作品撮影地 p. 18 静岡県富士市 p. 20 香川県坂出市 p. 22 兵庫県姫路市 p. 23 千葉県木更津市 p. 24 岡山県倉敷市
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原 朋士(はら ともし) 横浜市在住。2009 年よりデジタル一眼レフカメラに移行 し、RAW 現像、露出ブラケット撮影からの HDR、レタッ チ加工などに興味を持ち現在に至る。メインの被写体は都 市及び工場夜景。2012 年東京カメラ部 10 選。
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erochrome pipes
Shinichiro Uemura
工場のパイプはエロい。エロいというのは最上級の 褒め言葉だ。ビビッとくる、ゾクッとする、うっとり する。そんな、被写体に魅せられたときの思いがすべ て詰まった表現だと解釈いただきたい。 そして、そんなパイプをクローズアップし、魅せた い曲線だけを描くのには、モノクロームの手法が最適 だ。モノクロームにすると、さらにエロい。 名付けて「エロクローム」 。この上ない愛情表現だ とは思わないか。 27
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植村 信一郎(うえむら しんいちろう) 神奈川・川崎を拠点に工場や都市風景を独自の視点で切り 取り、作品を制作・発表している。本シリーズでトーキョー・ インターナショナル・フォトアワード 3 位入賞、モスクワ・ インターナショナル・フォトアワード最優秀賞を受賞する など、多方面で活躍中。
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My Dream Land Noe Arai
自然から都会まで、美しいと思ったものにカメラを 向ける。多くの人にこの国のことをもっと知ってもら いたい。私自身が味わったその瞬間を、皆と共有した い。共有の場は SNS であり、写真展であり、本という 形態であったり。私の写真を見る人に笑顔が生まれる ことがうれしくて、ありがたくて、私はシャッターを 切り続けている。 33
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作品名 p. 32 紫立ちたる(山梨県山中湖村) p. 34 地上の虹(北海道上川郡美瑛町) p. 36 霊峰富士(山梨県河口湖町) p. 37 明石海峡大橋(兵庫県) p. 38 そば畑の夜明け(長野県)
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新井 ノエ(あらい のえ) 東京都出身。滞米 6 年。趣味は旅行、テニス、ゴルフ、料 理。富士フォトギャラリー銀座で 2016 年 12 月に個展開 催。FUJIFILM X ギャラリー写真展、全国工場夜景都市公認 X 東京カメラ部コンテストなど入選多数。風景写真のブロ グなどを執筆。2018 年 3 月 2 日より、富士フォトギャラリー 銀座にて、写真展開催予定。同時に富士フィルムより受注 生産方式の写真集刊行予定。
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The Night Sky Akifumi Homma
星空を撮れるか撮れないかは天候次第だ。山の上から の撮影では、事前に天候を予測することすら難しい。 しかし、最上級の星景色が目の前に広がったときの感 動は、言葉にできないほど大きい。私が得たその感動 に共感してくれる人がいる限り、私の写真に何かを感 じてくれる人がいる限り、私はシャッターを切り続け たい。 41
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本間 昭文(ほんま あきふみ) 1974 年、秋田県秋田市生まれ。自然が織り成す四季折々の 素晴らしい風景を追い求めて、北東北を中心に撮影してい る。主な受賞歴として、2015 東京カメラ部 10 選、Nikon ×東京カメラ部 山のある風景フォトコンテスト グランプ リ、2015 バンガード三脚を使ったフォトコンテスト グ ランプリ、第 64 回 ニッコールフォトコンテスト ネイチャー 準特選、第 56 回 富士フイルムフォトコンテスト ネイ チャー銀賞など。
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絵本の中の世界
Tamotsu Matsui
木々の緑と空の青に満たされる夏。真っ白な世界に様 変わりする冬。1年を通じて、北海道ほど色とりどり で、雄大な風景が楽しめる場所はない。そんな北海道 の魅力を多くの人に伝えたい。それと同時に私が表現 したいのは、幼いころに絵本で触れた空想の物語に出 てきた景色。そんな夢の世界を想起させる景色を撮り、 伝えていきたいと思っている。 49
作品撮影地 p. 48 美瑛町 p. 50 旭川市 pp. 52-55 美瑛町
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松井 保(まつい たもつ) 北海道上川郡在住。カメラと共に生きる道を目指すものの、 一時中断。7年のブランクを経て 2012 年に再びカメラを 手にする。北海道の星空、雪景色などを中心に北国の美し さを発信し続ける。2015 年に東京で個展「きたのふゆ~ Winter Colors」および「kantokotor ~ 天空の湖」を開催した。 そのほかグループ展にも多数参加。
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まだ見ぬ世界
Keiichi Toyoda
秋田内陸線の写真の着想を最初に得たのは、真夏の ことだった。真冬の暗闇で、そのイメージ通りの絵を 撮ることができたときの達成感はこの上なく大きかっ た。写真の面白さは、身近な場所を条件次第で全くの 別世界に変えられること。身近な場所でも新たな感動 を得られること。まだ見ぬ世界に出合うため、自分自 身への挑戦を続け、自分の感覚を常に磨いていきたい。 57
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作品名 p. 56 白闇疾駆 p. 58 月の涙 p. 60 Planet Earth p. 61 For you p. 62 ひとりぼっちのショータイム
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豊田 恵一(とよだ けいいち) 青森県出身。iPhone で写真に目覚め、写真家だった父に教わ りながら本格的に風景写真を始める。「東京カメラ部ファンタ スティック・フォトグラファーズ・アワード 2015」で部門別 グランプリを受賞(p. 60 写真)。地元青森をはじめ、北東北 の美しさを世界に伝えるために活動中。
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Memories falling like sand Asase Kuroki
写真を始めた 20 年前から、白黒フィルムの粗粒子現 像、プリントが自分の特徴だと思っていた。しかし、 時間の経過とともに表現したいものが変わっていっ た。ひと区切りをつけるために作品をまとめ、それら を眺めていたら、記憶を失ってしまうような悲しさが あった。 私が撮り続けたいのは、誰もが見たことのある光景だ。 それが幼いころの記憶なのか、それとも前世の記憶な のかはわからない。でも、 「前にも見た事がある」と 感じたときにシャッターを切る。撮ることで記憶を明 確なものとして残したいわけではない。曖昧なものは 曖昧なままで、見えないものも見えないままでよい。
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黒木 麻恵(くろき あさえ) 神奈川県出身。東京ビジュアルアーツ専門学校写真学科卒。 ダンスショーや宣材写真の撮影をこなしながら、フィルム やデジタルカメラで日々の記憶をつづり続ける。2016 年 に個展「Memories falling like sand」を東京で開催した。
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さくらのサクラ 写真の世界で活躍されている方の多くは、 自分に合った大切な1台なら、 カメラがどんなに大きくて重くても、 身体の一部のように 常に持ち歩いていることを知りました。 私自身も大切なカメラと出合い、 同時に身体への負担に困っていたころ、 かつて子育てに日々活用していた 赤ちゃんの抱っこひもがヒントになり、 サクラカメラスリングが誕生しました。 Sakura Sling のアイテムは ストールのような生地でできた、 今までになかった新しいかたちのストラップです。 生地のやわらかさは身体に優しく、 肩で生地を広げると重さを分散させ、 包んだり、敷いたり、被せたり。 ファッションアイテムを 一つ足したようにおしゃれを楽しめて、 便利に使って、汚れたらお手入れができる。 「お出かけに一枚ストールを持っていると安心」を あなたの大切な物といつも一緒に。 たくさんの方の お役に立てることができたら うれしいです。
杉山さくら
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http://sakurasling.co.jp/ 73
TPM Tokyo Photography Magazine
Vol. 1 2017-1-15 Publisher
TPM Publishing
Editor
Takahiro Yamamoto
Contributors Yuga Kurita
Masanobu Tanzawa
Noe Arai
Tomoshi Hara Akifumi Homma
Asae Kuroki
Tamotsu Matsui Keiichi Toyoda
Shinichiro Uemura
Sakura Sugiyama