広報誌
Wilhelmsen Ship Management | 第2号
特集:
海運業界に先駆けて デジタル化の波に乗る WSM
より環境に優しく 持続可能な運航を 追求する海運業界
最先端の 重量物運搬船が WSM の 管理船舶に
WSM と 初航海
LNG 船の運航再開を サポート
Enable, Enhance, Simplify.
目次 海運業界に先駆けてデジタル化の波に乗る WSM
より安全で、環境に優しく、持続可能な運航を 追求する海運業界
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最新ニュース&記事
設立12周年を迎えた WSM Korea 世界最先端の重量物運搬船が WSM の管理船舶に WSM と初航海
未来を担う乗組員の育成
LNG 船の運航再開をサポート
クアラルンプールへようこそ! Nor-Shipping に出展
社内のデジタル化を進める WSM
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pg 10
26 34 35 35
pg 16
pg 26
編集 Amanda Loh
編集者 amanda.loh@wilhelmsen.com
制作&グラフィックデザイン Milk Design
www.theudderones.com
発行元 Wilhelmsen Ship Management Malaysia 19th Floor, 1 Sentral Jalan Rakyat, Kuala Lumpur Sentral 50470 Kuala Lumpur Malaysia T +6 03 2084 5600 © All rights reserved 2017
社長メッセージ
読者の皆様 海運業界を席捲している3つのキーワード、
EU MRV 規則(燃費報告制度に関する欧州規則)
(disruptive) 」 をこの数カ月、 よく耳にするように
用して、 あらゆる要件に対応した情報を認証者に
「デジタル (digital) 」 「データ (data) 」 「破壊的 なりました。
Dで始まる3つのキーワードはついに当社の領海
にも影響を及ぼすようになったのでしょうか?
もしそうであれば、 どのような影響でしょうか? 世界中で数多くの船舶管理会社がこのキーワー
ドに対応しており、誰もが避けて通ることはでき
ません。世界は常に進歩しているため、立ち止ま っているわけにはいかないのです。 課題に直面
先が予測できない海、いつになく厳しい景気の
低迷、規制環境の変化、環境問題、経済動向、地 政学的脅威、危険な海域といったさまざまな課 題は海運業界につきものです。
が施行されても、当社は従来の BI ツールを利
提供することができます。各種手法をデジタル化
しているため、当社はガイドラインに沿った承認 申請のかなり先を行っています。 無限の可能性
新しいビジネスモデルは一夜にして生まれるも
のではありません。 デジタル化は未来の話では
なく、 まさに現在進行形です。新たな選択肢を模 索しながら、海運業界にとってベストなソリュー
ションやイノベーションを見極めなければなり
ません。
当社は世界各国のスタッフと共同でオンライン
デジタルフォーラムを立ち上げ、 「取るに足りな
いアイディアなどない」 という方針のもとでデジタ
ル化を推進してきました。各人がプロセスの改善
私たちに必要なのは、新しいイノベーション、高
を図り、 デジタル化プロジェクトの一翼を担って
新たな働き方を受け入れる柔軟な姿勢です。昔
な海運事業の主役になれるはずです。
度なテクノロジー、優れたソリューション、そして ながらの船舶管理の基本をないがしろにしてい
いということではありません。生き残るためには、 環境に適応して進化していかなければならない
のです。
さらなるレベルアップ
ウィルヘルムセン・シップ・マネジメント (WSM)
の BIツール(ビジネスインテリジェンス・ツール) は拡張性を考慮して設計されています。船舶か
ら陸上のデータウェアハウスに送信される情報
います。皆がアイディアを出し合えば、誰もが新た 本誌面でも、 デジタル化プロジェクトの事例をご 紹介します。事例から学べること、発見できるこ
とは少なくありません。力を合わせて取り組みま しょう。
今後とも、 どうぞ宜しくお願い申し上げます。 ウィルヘルムセン・シップ・マネジメント 社長
は全てが重要であり、 レポートの作成や異常事 態の警告に役立てることができます。
Carl Schou
President, Wilhelmsen Ship Management 第2号 - 2017
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特集 2
WManager
海運業界に先駆けて デジタル化の波に乗る WSM
デジタル化は海運業の将来を左右するキーワード
第2号 - 2017
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ウィルヘルムセン・シップ・マネジメントでは、21世紀を迎えた頃から既に将来を見据えた取り 組みを進めています。
10年以上前から他に先駆けて新しいテクノロジーを導入し、船舶管理業務の一環として、 さまざ
まなデジタル報告システムを船上に展開してきました。 運航実績を向上するためにデジタル化した主な3分野: 安全面のコンプライアンス
安全管理システム
状況認識 (ISPSコード)
乗組員の労働時間・休憩時間の監視
規制面のコンプライアンス
環境管理
継続的な改善・検査
港湾オペレーション管理
特集
メンテナンス&モニタリング
計画的保守システム
不具合報告システム
状態監視保全システム
システムを整備すれば、船舶から入手できるデータの量は増えていきます。 このデータにはサンプリン
グレートの高い測定点が大量に含まれています。船上に展開するシステムの依存性や多様性が増す につれて、膨大なデータを業務や分析に利用できる情報に変換する必要性が生じていました。
こうしたデータを活用すれば、 より環境に優しく、安全で最適な運航の実現に貢献できます。 このデジ タルシステムはビッグデータ時代の基本です。
ビッグデータ時代
当社がビッグデータへの取り組みを始めたのは 2014年。多大な労力をかけて独自のデータウェアハ
ウスを整備しました。 このプロジェクトの目的の一つはサイロ化を防ぎ、船舶管理という中核事業の情 報を統合することにありました。
WSM が管理している船舶は B Iツールでもれなく分析しています。 このツールを支えるのがデータウェ
アハウス、つまり船上の多彩なウェブアプリケーションからのデータを集約した究極の情報管理システ ムです。
BI ツールはデータをもとに総合的なレポートを抽出し、関係者が利用しやすい分析結果を生成して、
さらなるアクションに役立てます。
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WManager
船上の
ウェブアプリケーション
安全面の
コンプラインス
規制面の
コンプラインス
メンテナンス& モニタリング
インターネット
データウェアハウス
分析
船舶の運航状況・排出状況を監視
(船上/陸上の関係者がアクセスできる環境)
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情報に基づいた意思決定
当社は独自の BI ツールを駆使することで、運航実績・エネルギー性能・財務業績の各種指標に影響す
る事象・ベクトル・根本原因のさまざまな相関関係を把握してきました。正しい情報を確保すれば、究 明した根本原因にしっかりと対処するためのソリューションを導き出すことができます。 現在の状況
当社はアラートやレポートによる従来の管理方式からデジタルダッシュボードに移行しました。いま や、 ビッグデータを活かした統計解析を行い、 さらに多次元化、 ビジュアル化したレポートを作成で
きます。
今後は、 ビッグデータの活用を予測やシナリオ立案まで拡大する予定です。
最終的には、予測モデリングの実現と船舶管理業務の最適化を目指します。 これからのデジタル化計画
現在のデジタルシステムは拡張可能な基盤上で開発されています。 これは、将来的に船舶管理業務
のデジタル化をさらに強化・拡大するために不可欠です。
ウェブアプリケーションの改良やモバイルアプリケーションの開発も進んでいます。可能であれば、各 種プロセスをデジタル化し、船上の書類仕事を削減する方法も検討していきます。
こうした取り組みの好例が、内部監査用モバイルアプリケーションの開発プロジェクトです。 このアプリ
特集
ケーションは査察時に利用し、結果の収集とデータウェアハウスへのアップロードを同時に行うため、
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書類にまつわる手作業が減り、監査査察報告書の作成に要する時間も短縮できます。
WManager
モノのインターネット (IoT)
当社の重点課題。私たちは当社のデジタル目標に IoT を組み込める可能性は高いと考えています。 IoT 情報をシームレスに収集し、分析することで有意義な知見を導き出せる適切な基盤を既に 整備しているからです。
インターネット
陸上
IoT に対応した船舶
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特集 8
WManager
より安全で 環境に優しく 持続可能な運航を 追求する海運業界 第2号 - 2017
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EU MRV 規則への対応
EU MRV 規則を順守するための決め手はデータの完全性だと WSM は考えています。 EU MRV 規則は、欧州連合 (EU) 圏内の国際船舶からの温室効果ガス (GHG) 排出量の削減を図る欧 州委員会 (EC) の取り組みの一環として、2015年7月1日に発効しました。
EU MRV (Monitoring, Reporting, Verification の略) では、船主とオペレーターに二酸化炭素の排出量
を年に1回監視・報告し、認証を受けることを義務付けています。
データ収集は 2018年1月1日からスタートしますが、 これに先立って、当社はコンプライアンスを確保 するための準備を始めています。
EU MRV 規則に関する今後のスケジュール 2017年8月31日
特集
2017年12月31日
2018年1月1日~2018年12月31日
2019年1月1日~2019年4月30日
2019年6月30日
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WManager
船舶毎の監視計画書を作成し、 認証者に提出
監視計画の認証
報告期限
認証を受けた排出報告 書を提出
適合証書の船上搭 載期限
第2号 - 2017
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監視計画書の認証を受けることが、本規則を順守するための第一関門です。 コンプライアンスを維持
する上で最大の課題は、 データ収集期間を通じてデータの完全性を確保することではないかと WSM
は予見しています。
EU MRV 規則が発効した 2015年から準備作業がスタート。当社はまず、既存の社内手順を評価し、 EU MRV 要件に対応するためのギャップ分析を実施しました。
そこで判明したギャップに対処するため、当社はいくつもの大きな節目を経てきました。
特集
船内業務管理システム (SMS) を
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EU MRV 要件に対応させる
WManager
排出源、計測器、
燃料測定に関する手順を整備する
運航・貨物・距離・時間の監視
メカニズムを整備する
既存の手法を EU MRV
に対応させる
運航距離や運航期間、運搬
貨物に関するデータのギャッ
プに対処する
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データの完全性は当社の重点テーマ
当社にとっての最優先事項は、認証プロセスの精度、法的強制力、透明性を確保し、 EU MRV の 報告(監視プロセス)の作業を計画通りに遂行することです。
排出報告書が提出されると、認可を受けた認証者が主な 2項目を認証します。
各船舶の年次排出報告書が監視計画書の内容に即しているかどうか 年次排出報告書の数字や集計結果が正確かどうか
決め手となる 2つの要素: IT システム:EU MRV 規制を順守するために必
社員:陸上・海上を含め、社内一丸となって同じ
備することが重要です。 このことを踏まえ、当社で
し、 データの完全性に対する意識を高めてきま
アプリケーションや BI ツールに取り入れました。
ートプロセスへの移行を徐々に進め、関係者に
要な機能を果たすには、適切な IT システムを整 は EU-MRV 第一草案の要件を社内の船上 IT
早めに着手すれば、 データ検証フェーズに十分な 時間をかけることができます。当社は検証ルール
を設け、 たえず微調整を行うことで、理想的なシ
した。いち早く着手した結果、従来のヌーンレポ 周知することも可能となっています。当社は、現
在の環境に合わせ変革を進めること最優先に考
えています。
特集
ステムを追求しています。
方向へ進むために、手順やトレーニングを整備
入力データ 船舶の乗組員
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WManager
ヌーンレポート WSM の社内
アプリケーション
他の船舶管理会社との差別化
この規則が公表された時点で、現在のシステムやデータ収集の仕組みを整備していた当社は、EU MRV
規則に対応するための情報を既に船舶から入手しています。2018年度末の報告期限までには、2年分の
データが蓄積されているでしょう。 こうした履歴があれば、異常事態を特定し、収集したデータをもとに報 告書の精度を向上させることができます。
陸上を拠点とする当社の監査チームは、標準化したパラメーターを踏まえて情報を分析し、船舶間で比 較しながら品質管理に努めます。 今後の見通し
将来的には、排出報告書を直接提出できる独自のデジタル報告プラットフォームを規制当局と認証者が 整備するかもしれません。当社は既に電子版の排出報告書テンプレートを評価しているため、既存のデ
ジタルプラットフォームでこうした要件に対応できるはずです。
現在は、社内システムを IMO 燃料消費実績報告制度 (IMO DCS) の要件に対応させるための取り組みも 進行中です。 この制度は 2019年1月1日にスタートする予定ですが、当社は海運業界に先駆けて着手し
ています。
+ データウェアハウス
EU MRV 報告書 分析
BI ツールでデータを 分析・集計
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設立 12 周年を迎えた WSM KOREA エイプリルフールにボランティア活動 WSM Korea は 12 回目の設立記念日にちなみ、
ベンチの購入資金は WSM Korea のスタッフか
いつまでも思い出に残るような取り組みを今年
らの寄付で賄い、8 つのベンチには WSM の
2017年4月1日のエイプリルフール、WSM
社員がお金を出し合い、施設に寄付。子ども達の
も実施しました。
Korea のスタッフは地元の児童養護施設を訪 れ、ボランティア活動を行いました。
スタッフは子どもたちが高台に登れるように木製
社名を入れました。
笑顔を見るのは心温まるものでした。
小さな思いやりが大きな成果をもたらします!
の階段を作り、古い家具を塗装し、施設のちょっ
としたリフォームを行いました。
2017年5月27日には、有志のスタッフが施設を
再訪し、環境に配慮されたベンチを施設の遊び
場に寄付しました。全ての作業を終えた後、 スタ
ッフは愛情を必要としている子どもたちと遊び、
最新ニュース
大切に世話をしながら、充実したひとときを過ご
しました。
愛に国境はありません。
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WManager
児童養護施設の家具を塗装する WSM Korea のスタッフ。
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世界最先端の重量物運搬船が WSM の 管理船舶に 当社のハイエンドポートフォリオに最先端の船舶が仲間入り WSM は GPO Heavylift 社の特殊半潜水艇、
GPO Grace について
た。GPO Heavylift 社との間では 2 隻目の重量
65,000トンの半潜水式重量物運搬船。中国船
MV GPO Grace の船舶管理者に起用されまし
物運搬船、MV GPO Amethyst の契約 も進んで います。
「これは世界の最先端技術を取り入れた重量物
運搬船です。当社の管理船舶では初めての重量 物運搬船となり、今後はこの分野で事業を拡大
していく予定です」
「同船が管理船舶に加わったことで、当社は重
量物運搬船の分野に復帰を果たしました。 こうし
た最先端の船舶は、業務効率を向上する当社の
最新ニュース
デジタルソリューションとの相性も抜群です」
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(ウィルヘルムセン・シップ・マネジメント社 長、Carl Schou)
MV GPO Grace の管理はオスロのマネジメント
センターが担当し、乗船する乗組員は全員がラト
ビア人です。
WManager
GPO Grace は GPO Heavylift 社で初となる
舶重工集団 (CSBC) の高雄造船所で建造され、
ディーゼルエレクトリック推進システムで航行し
ます。
同船はダイナミックポジショニング 2 (DP2) シス
テムを完備し、甲板の貨物収納スペースには1平 米あたり30トンまで積載。主甲板 は水深 15 メー
トルまで沈ませることができます。
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WSM と初航海 WSM はここ数カ月で、新規顧客と既存顧客か
ら、新造船の総合技術管理プロジェクトをいく つも受注。
当社の管理船舶に Viking Sky、Viking Sun、
Morning Peace、Morning Prosperity、Ireland、 Don James、GPO Grace などが仲間入りし
Morning Prosperity 船種:自動車運搬船 船主:EUKOR 社
ました。
これは始まりに過ぎません。卓越したオペレー
ションと細部へのこだわりを両立させている当 社は、今後さらに管理船舶を増やしていく見通
最新ニュース
しです。
Morning Peace 船種:自動車運搬船 船主:EUKOR 社
Viking Sky 船種:クルーズ船 船主:Viking Ocean Cruises 社
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最新ニュース
未来を担う乗組員の育成
乗組員のイメージは海の将来を担うヒーロー?
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業務を自動化し、安全性を向上させるためのデジタルアプリケーションやデジタル機器が次々と船舶
に導入され、海運業界はこの 10 年でかつてないほど急速に進化しています。
当社も船舶管理のデジタル化を進めていますが、そこで注意しなければならないのは、乗組員がト
ータルな海運デジタルエコシステムを実現するための要だということです。 乗組員の声に耳を傾ける
長期間レイアップしていた船舶については、 ガス試験を実施してカーゴシステムに不具合がないかど
うかを確認するよう強くお勧めします。
「 当社の調査によって、意欲的な乗組員は進歩的な考えを持っていることが明らか になりました。 こうした乗組員はデジタル化を歓迎し、自己啓発の機会だと捉えてい ます。乗組員の船上業務におけるテクノロジーの活用方法についても、非常に多く の提案が寄せられました。 その中で特に優れたアイディアを実現に向け厳選するこ とができて嬉しく思っています」 – LPG/LNG グループ ゼネラルマネジャー、Sundeep Dhaliwal
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デジタル化への道のり
陸上・船上でインフラの強化を進めるにあたっては、乗組員をはじめ、 あらゆる関係者のニーズを考慮
しなければなりません。
調査結果によれば、当社の乗組員は新しいテクノロジーが業務の効率化や福利厚生の改善に役立つ
と期待しているようです。私たちはデジタル化へのロードマップにおいても人間らしさを忘れません。 常に乗組員のニーズを取り入れながら、 デジタル化を進めています。 新しいテクノロジーの導入に備えた乗組員の心構え
乗組員は新たな環境に適応する術を学ばなければなりません。社内の研修プログラムを通じてクリテ
ィカル・シンキング(批判的思考)のスキルを身につけることがこれまで以上に重要です。 当社の能力開発チームは、以下を踏まえて研修計画をたえず見直しています。 船内業務管理レビューからのフィードバック
当局の要求
船舶の予算
市場の要求(船上の新しいテクノロジー、 自動化) 顧客固有の要求
最新ニュース
当社の能力開発チームは、船上業務の自動化に応じて乗組員が新たな技能を習得できるよう、
「将来に備えた」研修プログラムを整備するために先を見越した対策を講じています。 世界トップクラスのトレーニングセンター
当社の海事研修センターに最新のシミュレータ
ーが導入されました。変化に対応するには、信
頼性と拡張性に富んだインフラを研修施設に 整備することが重要です。
こうして自動化や新技術の導入を進めれば、既 存のインフラにソフトウェアやハードウェア (新
しいコンポーネント) を追加していくことができ ます。
当社は機器メーカーと常に連絡を取りながら、 新技術を取り入れています。 タイムリーでイン
パクトのある乗組員向け研修を実施するため
に、講師を船上に短期間派遣して 「理論と実務」 のギャップを埋めるための取り組みも行ってい
ます。
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未来を担う乗組員
自動運転車の実用化が進んでいる今、船舶のデジタル制御の研究も進んでいます。最新式の船舶で は乗組員の一員としてデータエンジニアが加わり、今までにない船上業務が生まれるでしょう。
データアプリケーションによる診断をもとに業務上の意思決定を行うことが増えていけば、 データ分析
スキルも乗組員に不可欠な能力になります。
「乗組員の教育研修は当社の「資産」 を維持管理する取り組みの一環だと考えて います。有能で信頼できる乗組員の確保は当社の船舶管理事業の要であり、乗組 員に最高の研修機会を提供するためなら努力を惜しみません」 – 海上人材担当副社長 、Espen Sending
「出費ではなく、投資です」
当社の国際海事研修センターにあるシミュレーターの1つ 。
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最新ニュース 26
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LNG 船の運航再開を サポート 第2号 - 2017
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環境政策を立案する政治家が世界各国で天然ガスの需要促進に一役買っているのは、天然ガスが 実績のあるクリーンな燃料だからです。 運航再開に絶好のタイミング
LNG 船の船主にとっては、 レイアップ施設に入っている船舶を現役復帰させる絶好のタイミングで
すが、検討すべきポイントがいくつかあります。
まずは、運航再開のプロセスを理解しておく必要があります。2 ~ 3週間もあれば再始動は可能です が、そのためには船舶が良好な状態でレイアップしており、現地の専任スーパーバイザーがたえず 点検していなければなりません。
通常、良好な状態にある船舶の運航再開には、乾ドック期間が延びても、2 カ月以上かけてはなりま せん。
運航再開の範囲を決定
船舶の状態を見極めるには、検査する必要があります。検査中は検査官が船舶をできる限り綿密に
チェックし、すぐに運航を再開できるか、それとも乾ドックに入るべきかを判断します。
最新ニュース
船舶検査時に注意すべきポイント:
船体の総合的な状態
レイアップマネージャーとの連絡(レイアップ中の船舶や稼働していない設備に見られる不具合
甲板設備、特に係留装置や消火設備の状態 を把握します)
エンジンルームやエンジン機器の状態(下部から水滴の音が聞こえる場合は、船体に海洋生物 が大量に付着している恐れがあります) 船室やギャレーの状態 船橋設備
法規制の変更に応じて必要となる設備強化
船舶検査官から書類が届いたら、船主は運航再開または乾ドックの指示(該当する場合)に備えるこ
とができます。船主は船舶が自力で運航できるか、乾ドック施設まで曳航すべきかを判断しなければ なりません。
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WManager
運航再開後は? レイアップ施設を出航した船舶は、状態に応じて乾ドックに入る場合があります。 海運業界の LNG 分野で 10年以上の経験を誇る WSM の船舶管理者 Don Jenkins が、船主が見過
ごしがちでスケジュールの延長につながるポイントをいくつかご紹介します。
ポイント
なぜ? レイアップがきちんと行われていた かどうかが分かるため、 オーバーホ
電気機器の絶縁値を把握
ールが必要な電気機器や交換すべ
きケーブル類を見極めることができ
ます。
回転装置がスムーズに動くか
どうかを確認
スムーズに回転しなければ内部に 問題があり、回転が不規則ならベ
アリングが損傷しているおそれが あります。
レイアップ中は船級が保留になります。船級を 船級の要件を確保
復活させる方法は、 レイアップ期間や乾ドック
の設備など、船級毎に義務付けられた要件に
よって異なります。
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モス方式 LNG 運搬船 ホールドスペースの
ガス漏れを調査
カーゴラインを歩きながらチェックし、 頻繁に動かさないバルブやブラインド
を点検
ガス検査
最新ニュース
長期間レイアップしていた船舶については、 ガス試験を実施してカーゴシステムに不具合
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がないかどうかを確認するよう強くお勧めします。
「ガス試験を実施すれば、水の浸透による絶縁体の破損を特定することができ ます。 その間に封じ込めシステムのガス漏れもチェックします。荷役装置も運航温 度下で不具合がないかどうか精査します」 – 船舶管理者、Don Jenkins
WManager
メンブレン方式 LNG 運搬船
(GTT および IHI のタンカー) バリアスペースの真空ポンプが正 常に作動しているかどうかを確認
インターバリアスペースの排水装
置が正常に作動しているかどうか
を確認
窒素関連システムが荷役作業に 利用できるかどうかを確認
カーゴラインを歩きながらチェックし、 頻繁に動かさないバルブやブラインド
を点検 専門家にお任せを
スムーズに運航を再開できるかどうかは専門家のサポートにかかっています。経験や専門家のアドバ イスがなければ、所定のスケジュールと予算で LNG 船を運航するという目的が達成できない場合も あります。
LNG 船の技術管理ソリューションは当社にお任せください。
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係船地における運航開始プロセスのチェックリストとスケジュール 標準的な運航開始プロセスは 18日間(通常は 7~14日。これは非常に厳密なチェックリストです) プロセス 主要スタッフの動員 乗組員のオリエンテーション レイアップ装置の取り外し シーリング材の除去 煙突カバー 換気装置からのブランク 海水関連システムの点検・保守・運航準備 タンクレベルの確認 水中のブランクを除去
最新ニュース
船上発電機の始動準備 水冷システムの充填 空気始動システムの加圧 配電盤の点検 船上発電機の始動 宿泊の準備 船内居住空間の整備 備蓄品の発注 備蓄品の積載 全乗組員の動員 船上システムの準備を継続 乗組員の乗船 推進装置の点検 船級調査 海図や航行支援システムの点検 係留装置の点検 出航準備完了
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WManager
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レイアップマネージャー
船主
双方
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
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クアラルンプールへようこそ! ウィルヘルムセンのマレーシア・オフィスでは、 同国を訪問したウィル・ウィルヘルムセン・ホー
ルディング (WWH) の役員と経営幹部を迎えま
した。
ウィルヘルムセンのスタッフは訪問団を歓待。 コミ
ュニケーションを深め、セルフィ―などの写真を撮 る姿が随所に見られました。
訪問団は 2017年4月5日から 2日間の公式訪問
中にさまざまな会合へ出席し、2017年4月6日に
はクアラルンプールで働く330 名以上の WSM
と WSS のスタッフとの昼食会が開催されました。
最新ニュース
トーマス・ウィルヘルムセン、 ウィルヘルム・ウィルヘルムセン以下、役員および経営幹部が WSM と WSS のクアラルンプール・オフィスを視察 。
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WManager
NOR-SHIPPING に出展 ウィルヘルムセンのブースにお立ち寄りいただき、 ありがとうございました。皆様と親交を深め、最新 情報を共有することができました。 次回もぜひお越しください。
社内のデジタル化を進める WSM 当社は世界中のスタッフがアイディアを出し合 い、常に革新的・進歩的な組織づくりに貢献で
きるよう、 オンラインプラットフォームを整備し ています。
このデジタルプラットフォームは、社員が情報 を共有し、当社のビジネスや経営に役立つ斬 新なデジタルソリューションを生み出すため
の健全なエコシステムとして成果を発揮して います。
未来は今、 ここにあります。 ウィルヘルムセンほ
ど働きやすい職場は他にないでしょう。
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新任のノルウェー大使が WSM MALAYSIA を訪問 新しくマレーシアに着任したノルウェー大使、 Gunn Jorid Roset 閣下が 2017年8月15日に
当社のクアラルンプール・オフィスを表敬訪問。 WSM の Carl Schou 社長と WSM アジア担当
副社長の Paal Gunnulfsen が賓客を歓待しました。
最新ニュース
大使自らお越しいただき、大変光栄でした。
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当社のオフィスへようこそ! 左から Carl Schou(WSM社長) 、Gunn Jorid Roset(在マレーシア大使) 、Erlend Sannes Hadland(在マレーシア・ノルウェー王国大使館副領事) 、 Paal Gunnulfsen(WSM アジア担当副社長)。
WManager
基準は高く
業界の草分け 宿泊設備
レイアップ業者として初めて 船級による認証を獲得。 レイアップした船舶が、船級別の クリーンレイアップ認証を初めて獲得。
甲板設備
カーゴエリア
エンジンルーム
テクニカルルーム
アンカー・チェーン
船体保護
他の追随を許さないトータルなレイアップソリューションを展開。
顧客の資産をしっかりと保全・保守 サービス面の強み:
船体構造や機械の腐食や焼き付きを防ぐ。
レイアップ施設への到着から運航停止、運航再開まで、 シームレスな統合プロセスを実現。
船舶・設備のセキュリティや安全性を確保しながら、環境を保護。
大局を見据えながら 細部にまでこだわる。
マレーシア (本社)
シンガポール
韓国
ノルウェー
アメリカ合衆国
Wilhelmsen Ship Management Malaysia 19th Floor, 1 Sentral, Jalan Rakyat, Kuala Lumpur Sentral 50470 Kuala Lumpur Malaysia
Wilhelmsen Ship Management Singapore 1 Kim Seng Promenade #09-06 Great World City, East Tower Singapore 237994
Wilhelmsen Ship Management South Korea 10F, Marine Center Building 52 Chungjangdaero, 9 Beongil (Jungang-Dong 4 Ga) Jung-Gu Busan, Republic of Korea 48936
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T +82 51 711 0711
T +47 67 58 47 00
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免責事項:本資料に記載した全情報は当社が知る限り正しく、各記事はあくまでも当社の見解によるものです。