〝 土 間のある 暮 らし 〟 03
進化した土間 中山卓史 Takushi Nakayama 安曇野市生れ。金沢工業大学建築学科卒。 三愛㈱代表取締役 SAN’AI 設計室室長。 家族とサッカーと土間を愛し、地域の暮ら しを考えた「代々暮らす家づくり」をコン セプトに新築からリノベーションまで幅広 く活躍中。
例えばキッチンを土間にする。夏は涼しく、冬は暖かい、自然と家族が集 まる。例えば、玄関から続く共有空間を土間にする。ご近所さんも気軽に あがって交流できる。暮らしの中心に土間を置くことで、コミュニケーショ ンをとりつつも、適度な距離とプライベートが保たれ、2世帯、3世帯の居 住もよりスムーズになる。進化した土間の良さを取り入れることで、家族 皆が快適に暮らし、ゆとりのある新しい暮らし方が見えてきます。 2012 年
SAN’AI
三愛株式会社 〒 390-0814 松本市本庄 1-6-7 ☎ 0263-35-5248
ht t p://w w w.sanai-s.jp/
3 月 1 0 日( 土 )・1 1 日(日) 「 土 間のある家 」4 年目の見 学 会 開 催 予 約 制です 。詳 細はお問い合わせください。
写 真=前田 聡 子 フォトグラファー。札幌出身。1982 年生まれ。長野県の山間部にある限界集落に移り住み、人間らし い暮らしや昔と変わらない生活に感銘を受け、写真を撮りはじめる。 「人物や自然のあたたかさ」をテー マに撮影を続ける。Blog「ドイナカ日記」日々更新中。http://sakko-do.jugem.jp/
チャンネル vol.5 発行日
2012 年 2 月 9 日
編集長
島田浩美
デザイン 青木 圭 ライター 久保田香織 写真
内山温那/前田聡子/モモセヒロコ
広告
伊藤隆之
印刷
有限会社サンライズ
発行
合同会社 ch .
〒 3 8 0 - 0 8 3 6 長野市南県町 1069 ch.books 2F チャンネル編集室
☎ 0 2 6 -217- 5 6 8 7
e -ma i l ma i l@ cha n-nel .jp U R L ht t p: //w w w.cha n-nel .jp
(本誌掲載の写真、イラストレーション、記事、ロゴの無断転載および複写を禁じます) © ch . 2 011 モデル:谷いづみ
「してきなしごと」代表の詩人・ウチダゴウ 詩集『空き地の勝手』 リリース 巻頭特集P6でも紹介した詩人・ウチダゴウさんが松 本市で切り盛りするクリエイティブオフィス「してき なしごと」がリトルプレス作りをスタート。第1弾はウ チダさんが 4年の歳月をかけて制作した詩集『空き地 の勝手』 (著・ウチダゴウ、写真・伊藤菜衣子) 。表紙の 写真は東京・渋谷の某空き地でゲリラ撮影したもの。 1050円(してきなしごとhttp://oo53.com/)
PE'Z REALIVE TOUR 2012 春 ~向日葵モチテ漫遊ス~
頑固なジイサンとロボットの 爆笑コメディー映画『ロボジー』舞台挨拶
ジャズをベースにラテンやロックを取り込んだサウ ンドで人気の「PE’Z」が、元旦発売のニューアルバ ム「向日葵 -Himawari-」完全版を引き提げて長野 CLUB JUNK BOXに。緊張感と躍動感を兼ね備え た圧倒的なライブは必見。2月11日 (土) 17時開場、 17時 30 分開演、前売 4000円、当日4500円(ドリ ンク代別) (スーパーキャスト☎ 026-263-1000)
現在公開中の『ロボジー』矢口史靖監督と、主演の 五十嵐信次郎(ミッキー・カーチス)さんによる舞台 挨拶が12月20日、長野グランドシネマズで行われ た。 「宣伝は口コミが一番」との監督の計らいで、会 場は異例の写真撮影可。五十嵐さんも「とても楽し く笑える映画。向こう三軒両隣まで広めて」 とアピー ルした。 (長野グランドシネマズ☎ 026-233-3415)
古道具店・燕と喫茶ギャラリー・Gargasの 楽しいコラボ企画「古道具展 燕」
長野市・桜華書林にて 陶芸家・斎藤啓司展
趣のあるタンスや机などの家具をはじめ、時計や 箱物、ガラス瓶、ランプなど、さまざまな商品を並 べる松本市の古道具店・燕。落ち着きある魅力的な 古道具たちが築109 年になるGargas の土蔵に並 び、 「古道具のある暮らし」づくりを提案する。開催 中~2月26日(日) 、11~20 時、火曜・第1・3月曜休 (Gargas ☎ 0263-39-5556)
陶器で波板トタン、錆びた鉄板、ペンキの剥げた木 片などの廃材を表現し、作品にしてその価値を再評 価する斎藤啓司。今展では鮮やかなペンキの残色を 生かし、布地のパッチワークのようにきれいに構成さ れた陶の作品が床いっぱいに広がる。3月9日 (金) ~18日 (日)11~17時(初日と最終日は作家在廊)入 場無料(桜華書林☎ 026-286-2091)
毎日更新安曇野ブログ
安曇野時間 http://beatmini.exblog.jp/
今年もいいなぁと 思うことをして いいなぁと 思うヒトに会って いいなぁと 思うものを食べて いいなぁと 思う日々を重ねたい。
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長野美術専門学校平成 23 年度 卒業・修了制作展
自然発酵の天然酵母パン店・穀蔵で まとはまがんじ・安竹みどり陶展
ビジュアルデザイン科、アート・コミュニケーション科、 研究科の学生が、今までの学校生活で学び、成長さ せた感性や表現方法を活かしてそれぞれのコンセプト のもと制作した作品を、ホクト文化ホール(長野県県 民文化会館) で5日間展示する。2月10日 (金) ~16日 (木) 10~18時 (最終日~17時) 、13日 (月) ・14日 (火) 休、 入場無料(長野美術専門学校☎026-227-3229)
上田市のパン店・穀蔵にて、まとはまがんじ・安竹みど り (G&M Works)の陶展を開催。パン皿やカップな ど温かみのある日常使いの器が100 以上並ぶ。期間 中はふたりの器作品を使った日替わりの特別メニュー も楽しめる。3月9日 (金) ~20日 (火・祝) 11~18 時 (最終日は~16時) 、13日 (火) ~15日 (木)休(G&M Works☎026-262-3440、穀蔵☎0268-21-8000)
「ごっこ社企画、道神面くんと 信州の郷土玩具」展(中信編)
長野県若手芸術家支援事業 next: 信州新世代のアーティスト展
おやき店・いろは堂×雑貨店・n-style 期間限定のおやきカフェ
郷土玩具を研究し、新たな可能性を模索する相澤和 典、金井三和、 野村剛、小口緑子による夢の会社 「ごっ こ社」による初めての企画展を安曇野のミュージアム カフェBANANA MOONで開催。 「ごっこ社」おすす めの中信地方の郷土玩具が並ぶ。3月1日 (木) ~4 月17日 (火)9時30分~ 18時、500円 (ドリンク付) 、 水曜休、 (BANANA MOON☎0263-83-8838)
第 2回目となる 「ネクスト」展覧会は、ホクト文化ホー ルの展示が終了し、続いて長野県伊那文化会館で の展示を行う。本間友幸(陶芸) 、中嶋明希(鍛金)中 村眞美子(版画) 、金箱淳一(メディア・アート) 、新海 誠(アニメーション)の5人を紹介。2月10日 (金) ~ 26日 (日) 9 ~17時、入場無料、13日 (月) 、20日 (月) 、 21日 (火)休(伊那文化会館☎ 0265-73-8822)
長野市鬼無里のおやき店・いろは堂と、須坂市のイン テリア雑貨店・n-styleが、食と北欧をキーワードに、期 間限定のコラボカフェ 「いろはなSTYLEカフェ」 をオー プン。おやきを使った特別メニューやおやき店頭販売 のほか、期間中はワイン会、手作りスノードーム教室 も。2月9日 (木) ~2月28日 (火) 、10~19時、水曜休 (スイーツマーケットカフェ☎026-214-0880)
石垣の唄者・新良幸人×ピアニスト・サ トウユウ子 tour ~浄夜~
ナノグラフィカで16 人の作り手による 「てづくり絵本展」
OKA 学園学生制作展 テーマは「MADE IN NAGANO」
長野市・コンサートホールみすず(美鈴楽器) にて、石 垣の唄者として実力、人気ともにナンバーワンの新良 幸人(あらゆきと)長野初のライブを開催。透明感のあ るピアノを奏でるサトウユウ子を伴奏に迎え、 月夜の石 垣の浜辺を思わせる極上の音楽に身をゆだねたい。3 月27日 (火) 18時 30分開場、19時開演、前売3500 円、当日4000円 (長谷川書店☎026-226-2122)
長野市のナノグラフィカでは、TOMOYAARTS、馬 場剛史といった個性豊かな16人の作り手による「て づくり絵本展」を開催中。期間中はリーディング公演 (2月16日 (木)17時・20時(2回公演) )や「製本ワー クショップ(2月18日 (土)13 時~、1000円、講師: 松本加代子) も行われる。開催中~ 2月20日、12 ~ 18時、火曜休(ナノグラフィカ☎026-232-1532)
ファッション・グラフィックなどを学ぶOKA 学園が、 長野市・北野カルチュラルセンターで制作展を開 催。2月17日 (金)14時~は世界で活躍する長野の 作家やデザイナーを迎え、長野を担う次世代の若 者達についてトークショー、18日(土)11時~と14 時~は長野の資材・伝統工芸を活かしたファッショ ンショーを行う。 (OKA 学園☎ 026-226-5719)
糸や十糸の「かぎ針編みのミテーヌと かぎ針刺繍」in ベッカライ麦星
オープンアトリエ「風の公園」 オープニング展「さよなら、またね」原画展
松本市のセレクトショップ・Rで 家具店solnteの 「木のある日々の暮らし展」
羊毛雑貨制作所・糸や十糸が、飯綱高原のパン店・ ベッカライ麦星にて、かぎ針刺繍が入ったかぎ針編 みのミテーヌ(指なし手袋)を作るワークショップを 開催。初心者でも片方 2 時間ほどで編める。2月8 日~29日の毎週水曜、14~16 時、2300 円(糸持 参は1800円、 )持ち物:4~6 号くらいのかぎ針(糸 や十糸☎ 090-9856-3663)
画家・TOMOYAARTSさんとデザイナー・宮下智志さ んが、長野市権堂の活版印刷工場だった建物を改装 し、共同オープンアトリエ「風の公園」 をオープン。現 在、オープニング展として、TOMOYAARTSさんがイ ラストを手がけた絵本「さよなら、またね(文:中島未月、 PHP 研究所発行) 」の原画展を開催中。10 ~ 19時、 水曜休、入場無料(風の公園☎026-217-6819)
松本市奈川で木の家具のデザイン・製作をしている solnte(ソルンテ)の初の展示会。食器棚やダイニン グセットなど日々の暮らしで使う家具の展示のほか、 金井三和(陶器) 、スエトシヒロ (磁器) 、瀬戸清香(金 属) など、県内外の作家の作品や、amijokのスイーツ、 base の焼き菓子、NO-JINのジュースも並ぶ予定。 開催期間等P22に掲載。 (solnte ☎0263-79-2883) 24
長野灯明まつり期間中のギャルリカネマツで 「吹きガラスの灯かり展」と切り絵展 「光と影絵」
茅野市民館で映画『玄牝』上映会と 出演者×自然分娩予定者による「命」のお話し会
善光寺を舞台に行われる第 9回長野灯明まつりの開催に合わせ、ギャルリカネマ ツでは、昨年に引き続き、ガラス作家・笠井秀郎の個展「吹きガラスの灯かり展」を 開催。今回は「再生」をテーマに、リサイクル素材から生まれる灯りの作品を展示 する。また、切り絵作品「光と影絵」も同時開催。小林野々子、田中克樹、廣田義 人の3人の切り絵作家による作品は、透明なアクリル板に挟まれた状態で展示さ れ、照明に照らされることによって「影絵」が浮かび上がる。18日(土)18時~は、 切り絵の無料ワークショップも開催。期間中は併設のカフェ・ラバーソウルも20 時まで営業。2月11日(土) ~19日(日)15~21時、入場無料(有限責任事業組合 ボンクラ☎ 026-262-1175、ARTSPACE FLATFILE ☎ 090-9359-6167)
映画作家・河瀬直美の原点にして、新境地を切り拓いたドキュメンタリー 映画「玄牝(げんぴん) 」を茅野市にて初上映。当日は、舞台となった愛知 県岡崎市の吉村医院の助産師・松浦照子さんと、この 5 月に自然分娩予定 の世界的芸術集団・パパタラフマラのアーティスト・関口満紀枝さんによる 「命」のお話会も開催される。映画後の吉村医院を撮影した特別映像つき。 3 月 24 日(土)13 時~上映、15 時~お話し会、大人 1000 円、前売り 800 円、学生 500 円、未就学児入場不可(託児 1000 円・要予約)+募金 http:// blog.livedoor.jp/inochi2012/[実行委員会「命の架け橋」代表・丹家☎ 0909050-0698(夕方以降)nochi.kakehashi2012@gmail.com]
クボタタケシ×森雅樹(EGO-WRAPPIN')を ゲストDJに迎えた『BAD HABITS SPECIAL!!』
ch.books で美篶堂のブロックメモを使った 出張製本ワークショップを開催
ジャンルの壁を超越したオールジャンル・ミックスで熱烈な支持を受ける DJ・クボタタケシと、バンド・EGO-WRAPPIN' のギタリストにして、DJとし てもクボタと数々の共演を果たしている森雅樹。ふたりの豪華ゲストを迎 えたスペシャルなクラブイベントを長野市・ Music & bar FAME にて開催。 3 月 24 日(土)21時~、前売 2500 円(限定) 、当日 3500 円、ドリンク代 500 円別途(FAME ☎ 026-223-5113)
巻頭特集 P13 でもご紹介した美篶堂の人気出張ワークショップ。美篶堂の オリジナル商品・ブロックメモキューブを使い、1時間 30 分ほどで小さな上 製ノートを作る。初心者向けなので初めて製本に挑戦する人にもおすすめ。 また新登場のワークショップなので、これまで美篶堂のワークショップに参 加したことがある人でも楽しめる。申し込みは電話かメールにて。2 月 25 日 (土)13 時~、3800円(材料 3 冊分、コーヒーまたは紅茶付き)限定14 名(申 し込みは ch.books ☎ 026-217-5687、mail@chan-nel.jp)
ソ
ル
ン
テ
家具店 solnte の 木 の あ る 日 々 の 暮 らし 展 2 012 . 3 .17 s a t ~2 0 t u e 10 : 0 0 〜19 :3 0 @ R アール 食器棚やダイニングセットなど日々の暮らしで使う家具のほか、 キッチンまわりの小物などもいろいろ用意してお待ちしています。 家具のこと小物のことなどなんでもお気軽にご相談ください。 普段の生活の中にそっと寄り添うような スタイルを提案するショップ「R」
至 平田駅 19
R
芳川公園 芳川公園前
村井下町北
松本市芳川小屋 937 tel / fax:0263-88-6765 駐車場:あり HP:http://www.takumihp.com/r.html
▶ 詳しくは P24 インフォメーションにて
s ol nt e shimada-kagu 〒390-1611 松本市奈川 990-22 tel / fax 0263-79-2883 mail:info@solnte.com HP:http://www.solnte.com 展示会までの道のり(家具製作風景など)ブログ公開中 ▶▶▶ http://solnte.jugem.jp/
韓流
ちぇごちぇご vol.
04
長野の地で全く需要がない韓流ライターデビューをしたヤンクボタが、 ちぇご(最高)な韓流ネタを紹介します。
2PM と駆け抜けた 2011 年をプレイバック! あんにょん! 正月に「凶」のおみくじを引い
1秒でも長くタッチしたいという欲望を抱きウ
たヤンクボタです。おみくじに今年は「何もせ
リ※1 チャンソンの列に並ぶ。 「ふぁいてぃん※
ずに祈るのが良い」とあったので、今号は出か
と声をかけるつもりが、緊張で声が出ず 2 !」
けず、昨年12月に追いかけまくった「2PM」の
終了。再度並んだ時にはしっかり声をかけ、陶
イベントの模様をレポートします。
器のようなつるつるの白い肌を目に焼き付け
「2PM」は、 「一日のうちで最も活動的な午
ました。燃え尽き症候群一歩手前の状態で始
後 2 時に聴きたい音楽」がコンセプトのダン
まった第二部は、アルバム購入者で抽選に当
スを中心にしたグループで、そのワイルドさ
たった1万人のみが参加できるイベント。日本
から「野獣アイドル」とも呼ばれています。彼
での活動を収めた「1周年特別ストーリー」映
らの日本初のアリーナツアー「2PM ARENA
像、質問コーナー、ブロック対抗の○×クイ
TOUR 2011“REPUBLIC OF 2PM”」は 10 万
ズ、私物が当たる抽選が行われ、最後にはジュ
人を動員。その最中、12月10日に行われたの
ンスが作詞作曲をした「離れていても」のサプ
が、3rdシングル「Ultra Lover」 (初登場 4 位!)
ライズパフォーマンス! 韓国と日本は離れて
購入者対象ハイタッチ会と、日本 1st アルバ
いるけど、音楽を通して私達はいつも一緒!
ム「REPUBLIC OF 2PM」購入者対象イベン
4 月からはNHK Eテレの「テレビでハングル
ト「Japan Debut 1st Anniversary」でした。徹
講座」にレギュラーが決定したし、2012 年も
夜の体にムチを打ち、私も東京へひとっ飛び。
2PMと一緒にちぇごな時間を過ごすぞー!
▶ 覚えよう韓国語 ※1 ウリ=私の ※2 ふぁいてぃん=英語本来の意味とは少し異なり、韓国ではがんばる時や応援したい時に使われる
上:第一部のハイタッチ会には延べ6 万 3000人が参加した 右下:チャンソンの瞳は本当にきれい。ファン一人一人と丁寧に ハイタッチしてくれた 左下:第二部では2PMメンバーも精力的 に日本で活動した映像記録を感慨深げに見ていた
ヤン クボタ 「2PM」の兄弟グループ「2AM」 もついに日本 デビュー! コンサートチケットは取れませんで したが、新年早々彼らのハイタッチ会も参加 して気分は上々! 今年、韓国ではアイドルが デビューラッシュなのでさらに楽しみです。
22
フは想像) 。カメラすら珍し
~ あ の 頃 わ た し は 若 かっ た ~
(前回のあらすじ)もともと いこの国の住民にとって、デ
畳一間 くらいの家に三世
ナ ー 宅に 伺 う と、これ ま た
第五回 「バングラデシュの憂鬱」
旅行者が全くいない上に、人 人ほどの家族が暮らし
川面に沈む夕日がきれ い だ とい う 町 で は( そ れ 以
つつ、旅を続けていた──。
の国とも様子が違うと感じ
ま く る 私。今 まで 訪 ね たど
シュの田 舎 町で注 目を浴 び
たて小屋がズラリと並んで
人も 住んでいるよう なほっ
には、小 さ な 家の中 に 十 数
手 を 引いて 路 地 裏へ。そ こ
れ 」と 言 わんばか り に 私の
が「 う ちの 家 族 も 撮って く
思っている と、子 ど も た ち
のようだ。こりゃ面白い、と
「この国は貧乏だけど(時 に は 煩 わ しい 時 も あ る が )
かった。
そのおもてなしが う れし
囲 気 が 漂 う 食 事 だった が、
た。な ん だ かや る せ ない雰
みたいな食べ物が並んでい
ていて、質素で滋味深い、草
代
外 に 名 所 が ない) 、写 真 を
人 懐っこくていい人しかい
ジカメは想像を絶する代物
撮 ろ う としている と、周 囲 いた。戸惑いつつも、特に他
込んだ 私 は、その後 我 が 身
ない!」すっか り そ う 信 じ
封 筒に貼 り、現 像 した写 真
著者:荒木飛呂彦 出版社:集英社 掲載誌:週刊少年ジャンプ(1995~1999年)
口 密 度 世 界一のバングラデ
で遊んでいた子どもたちが
庭で写 真 を 撮ると、老 人に
にすることもないので各 家
も 思 わ ず、足 どり 軽やかに
に襲いかかる危険など夢に
分 た ち の 写 真 を 撮 って く
がはしゃぎ、そのうちオシャ
は 感 謝 され、近 所 中の人々
ワ ー ッ と 寄 っ て 来 た。 「自
影 し、デ ジ カメのモニタ ー
(続く)
旅行を続けていた──。
れ 」と い う こ と ら し い。撮
終いには住所らしきものが
レして登場する人まで現れ、
を 入 れて 送った。無 事 届い
住所は、帰国後、コピーして
(ちなみに、メモでもらった
この 間、会 話 は す べて ジェ
ただろうか……。 )
(送ってくれということか
書かれたメモまで渡された
る と「 な ん だ、こ の カ メ ラ こんなものが世の
で撮った写真を見せてあげ
はーッ 中ににあるのかーッ!」と大
がに お 断 り し た ものの、な
島田浩美 しまだひろみ 信州大学在学中に読んだ沢木耕太 郎の「深夜特急」にわかりやすく影 響を受け、 歳だった2003年7 月から2年間、 アジア、中東、 ヨーロッ パ、中 南 米 を 旅 して2005 年 に 帰国。飲食店兼出版社勤務を経て、 オープン 2011年に ch.books
ジョジョの奇妙な冒険 第 5 部
これは主人公ジョルノが、街を救うギャング・スターになるため、ギャ ング組織「パッショーネ」の内部抗争に身を投じていく物語。ボスの邪 悪なる本性を知り、暗殺を決めたジョルノたちは、組織の追っ手をか わしつつボスに関する情報を集めて行く。そんななか、覚悟を決めて 戦いに挑んだ仲間のミスタが追っ手にヤラれ、闘志を燃やしたジョル ノ。 「 『覚悟』とは犠牲の心ではない!『覚悟』とは!! 暗闇の荒野に!! 進 むべき道を切り開くことだッ!」そう言い放ち、続く「無駄無駄……」の ラッシュ。つまりどんな戦いにも中途半端な覚悟は無駄であり、オマエ のように努力もせず、覚悟もない者は何をやっても「無駄ァ」! 今から でも遅くない。 荒木先生のこの名作をイチから読み直し、真摯に受験 に挑むことを勧める! ただし、悪あがきをしない覚悟を決めてからな!
'87 年から『週刊少年ジャンプ』 ('04 年からは『ウルトラジャンプ』 )に連載の名作。 作品全体のテーマは「人間讃歌」 。ジョースター一族と、邪悪なDIO やその後継者 たちが渡り繰り広げる戦いを描く。仲間たちとの絆・強敵との死闘など少年漫画の 基本を押さえつつも、個性的な表現方法で唯一無二の世界観を築き上げている。
2 3
10 10
スチャー) 。夕飯まではさす
んだか良いことをしたよう で気分は晴れやかだった。 夕 飯 と い え ば、前 号 で VIP ル ー ム に 泊 め て く
事 に 招 待 してく れた。オー
21
れたホテルのオーナーも食
24
興奮(ベンガル語のためセリ ビンディ(おでこの赤い印)を付けられ、無 理矢理肩を組まさる私……。うしろの女子の サングラスがオシャレ
?
!?
※これはあくまで 2003 年当時、私が旅した先のバングラデシュの話です。あしからずご了承ください。
相 談
実はオレ、今年受験なんですけど、年末年始遊びま くっちゃったら、センター試験の結果が散々で、今か らどうにかなるもんスかね。エンピツ転がせば受か りますかね(笑)?
1
答 第 5 部(黄金の風)』からこの1コマを。
そんなオマエには荒木飛呂彦大先生の『ジョジョの奇妙な冒険
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
私的文化史 Private Cultural history vol.05
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33
【 Book 】
ハチドリの ひとしずく(2005) 「私は、私にできることをして いるだけ」 。この意志を大切に amijokをオープン。
café amijok
小島 剛 1978 年 4 月26日生まれ。 大学卒業後、金融業、出版社、アパレルと 渡り歩いたのち、 「繋がりをつくって笑って 過ごしたい」と思い千葉県から松本市へ U ターン。2011 年 5 月松本市中町のはずれに café amijokをオープン。昨年 11月に生ま れた長男に「メロメロ」な毎日を送っている。
age
26
age
32
【 Book 】
spectator(2010) この号に限らずこの雑誌はい つも刺激をくれる。 「世界は近 い」ことを感じる。
【 Book 】
age
もう、家に帰ろう(2004)
29
出版業を経て、千葉県 でアパレルへと転職
将来大切な人ができたらこの 本を贈ろうと決意。この年、妻 と出会う。
age
32
【 Book 】
スリー・カップス・ オブ・ティー(2010) 2001.9.11。世界中の「大きな誤 解」に気が付いていた青年の 行動に胸が熱くなる。
age
23
age
金融業に従事
age
17
26
静岡から長野まで、10日かけ て野宿をしながら帰ってくる。 人との出会いに感謝。
【 Book 】
シュナの旅(1982) 宮崎アニメの原点に触れた感覚。豊 かなことって身近にあることを知る。
age
22
【 Book 】
虹の戦士(1999) アメリカインディアンのスピ リットに感動! 今とこれからに 「大切な何か」が満載。
age
6
【 Book 】
キャプテン翼(1981) 「ボールはともだち」 。サッカーボー ルと一緒に布団に入る日が続く。
age
13
【 Movie 】
スタンドバイミー(1986) 少年 4 人の大冒険とその後の決別。 ワクワク感と切なさがたまらない。
age
0 20
毎日作っていると、成瀬家の人々の絵や文章も 自分の作品だと錯覚するほど気持ちが入り込みますね
19
手作り本を作るという動きが広がったり 深まって行ったらおもしろいね。
成瀬政博さんの松川村のご自宅にて
カフェ&ギャラリー オーナー
(ガルガ)のマスター・熊 Gargas 谷俊行さん。このふたりによって特集
作品集を手 作りしたカフェ&ギャラ
週刊新潮の表紙絵でおなじみの画 家・成瀬政博さんと、成瀬家の人々の
熊谷 それで、当時はガルガも始まっ たばかりでひまだったので﹁バイトで
たいな気持ちがあるんじゃないかな。
編 集 が好きだし、本 能 的に編 集 者み
はって、これはこれでひとつのスタイ
成 瀬 ガル ガ さ んみ たいに、ふいっ と話に乗って、良いふうにやってくれ
思っていたけど、自分の作品だと錯覚
熊谷 もともとぼくは作るのが好き だから、完全に自分は黒子でいいなと
のはもったいないと思うタイプやね。
リー
来た時に、じゃ、本を作ってみようか
もしようかな﹂なんて愚痴をこぼしに
したい材料があるから、ひまがあれば
ルやなと思いますね。今もまだ作品に
が 、 G.books と続いて、果ては100タイトルく
作りたいなぁ。だから
するほど気持ちは入り込みますね。
で も ご紹 介 した「 G.books ( ガル ガブックス) 」は誕生した。制作までの
という話になったんです。
P
経緯やこれからの思いを聞いた。
成 瀬 ﹁ ぼ く 今 こ ん な こ と し たい と 思って る ね んけ ど、手 伝って く れへ ん ﹂と 話 し て、そ れ で G.books が始 まった ん や ね。一応 ぼ く がレ イア ウ
も、本作りに興味ある人がこの本を見
と思って夢見てますけど。それにして
らいまで出版されたらおもろいなぁ
熊谷 成瀬さんはガルガを開店して 間もない頃に、知人が連れて来てくれ たんです。それから憲子さん︵ 奥 様 ︶
く れて。完 成 本 にトレーシン グペー
トしたものをガルガさんが製本して
居が高くてなかなか出せないものっ
言うたら出 版 社で発 行 するもの、敷
う気分になるかもわからんね。本って なというのをふたりで話して決めて
たら、なんか俺もやったろうかなとい
いきました。でもガルガさんなりに工
ちょっとした気遣いで雰囲 気が出る
魔するようになって、成瀬さんがこれ
持ちさえあればできるという提案に
て思うかも知れないけど、作りたい気
パーをかけたり、箱に入れるといった
まで手作りしてきたさまざまな本を
夫して、あそこまできれいにしてくれ
見せてもらうようになりました。
熊谷 作った本人としては、やはり思 い入れはありますね。それに毎日見て
まったりして行ったらおもしろいね。
り本のそういう動きが広がったり深
につな がる可 能 性 もあるしね。手 作
成 瀬 一番最 初に作ったのは高 校 卒 業の頃かな。学 級日 誌に書かれた日 直 当 番の感 想から、学 校 批 判とか日
ような錯覚に陥るんですよ。 ﹁これ描
松本市出身。2001年、松本市の路地裏に蔵 (ガルガ)を 造りのギャラリー&カフェ Gargas 妻と共にオープン。木版画・アクリル画・木工等 の創作活動も行う。 年、成瀬政博氏の誘いで 手作り本の発行所・ G.books (ガルガブックス) を立ち上げ、製本を担当している。詳細はP 。
熊谷俊行
いると、まるで自分がその絵を描いた
いた時はこうだったなぁ﹂ と感じたり。
頃の高校生の思いを全部書き出して
数人の同級
一冊にまとめて、卒業直前、誰かに了 解を得るわけでもなく
成瀬 編集人がそういう錯覚に陥る のはおもしろいね。ぼくも親父や女房
生に渡したんです。今 読んでみても 当時の高校生の思いがあからさまに
の文 章 を原 稿用 紙に清 書したり、添 削や入れ替えをしたりしていると、完
描かれていて、結構意外性があって貴 重なもんやないかと思いますね。
成瀬政博
'97
成した時に書いた本人よりもうれし
12
1947年、大阪生まれ。大阪外国語大学卒業 後、公務員を経て、 年から画家として作品発 表を開始。 年、北安曇郡松川村に移住。 年 から 『週刊新潮』 表紙絵とコラムを担当している。 、安曇野市にミュージアムカフェ・バナナムー ンを開館。画家の横尾忠則は実兄。5人の子ど もがおり、それぞれ多彩な創作活動をしている。
'05
'83
いし、内容もよく覚えてるの。本人は
じで。だからガルガさんがぼくらの作
﹁こんなこと書いたかなぁ﹂と言う感
品を作ってくれはって、今言いはった 気持ちはわかるなぁと。
'89
熊 谷 学 級日 誌のほかに、成 瀬 さん が娘さんの作品を製本した画集など も見せてもらいました。 成瀬 ぼくは次々と家族の絵や写真、 文章を手作りで本にしているんです が、今振り返るとそのまま放っておく
もなるし、そのなかから本格的な出版
るとは思わなかったけどね。
年 近 くのお付 き 合いで すね。そのう
を運んでくれるようになって、もう
と一緒に展覧会などにしょっちゅう足
20
12
ち、こちら︵松川村︶のご自宅にお邪
10
30
'04
50
熊谷俊行
画家
成瀬政博
取材・文=島田浩美 写真=内山温那
18
朝 は 東 京 支 社 で 誰 よ り も 早 く 行 か な け れ ば な ら な い。
に 寄 る 。入 稿 や ゲ ラ の 戻 し 、新 し い 書 籍 の 情 報 を 聞 い た り す る 。
最 初 の 半 年 く ら い 、私 は た だ 蛯 原 さ ん の 後 ろ に 立 っ て い る だ
け だ っ た 。時 に は 頷 い て メ モ を 取 り な が ら 、仕 事 の 内 容 、担 当 者
九 時 の 始 業 だ っ た が 、遠 方 に 住 ん で い た 後 藤 部 長 が ラ ッ シ ュ
を 避 け る た め 、ひ と り 八 時 過 ぎ に は 来 て い た 。部 長 は 朝 来 る と 自
の こ と な ど を 覚 え て いった 。
朝 、H 書 房 の 後 、蛯 原 さ ん は か な ら ず 近 所 の 喫 茶 店 C に 寄 っ た 。
三五〇 円の 本 日のサ ービスコーヒー (ブレン ドでは な く 日 替
と 通 り チ ェッ ク す る 。
わ り の ス ト レ ー ト コ ー ヒ ー )を 飲 み 、ス ポ ー ツ 新 聞 、週 刊 誌 を ひ
分 の 席 に ド ー ン と 座 り 、新 聞 を 読 み 始 め る 。私 も 八 時 前 に は 出
S 社 は 長 野 本 社 に 組 版 、製 版 、印 刷 機 能 が あ り 、東 京 支 社 は 営
朝 は も う ひ とつ 大 き な 仕 事 が あ る。
社 し 、机 を 拭 い た り 、お 茶 を 入 れ た り す る よ う に な っ た 。
業 だ け だ っ た 。毎 朝 、前 日 長 野 本 社 で 作 業 さ れ た ゲ ラ の コ ピ ー 、
そ れ ま で の 私 に は 、ス ポ ー ツ 新 聞 も 週 刊 誌 も 読 む 習 慣 は な
か っ た 。ス ト レ ー ト コ ー ヒ ー を 飲 み な が ら そ れ ら を 読 む こ と は 、
新 し い 世 界 に 入 っ た 気 が し て 、少 し だ け 誇 ら し い 気 持 ち が し た 。
一 部 抜 き( 製 本 前 の 印 刷 見 本 )等 、紙 の 束 が 本 社 か ら 頑 丈 な 帆 布 の 袋 に 入 れ ら れ 大 量 に 送 ら れ て く る 。バ ッ グ 便 と 呼 ば れ て い た
マン デ リ ン と い うコー ヒー の 味 も そ の 喫 茶 店 で 覚 え た。
ス ポ ー ツ 新 聞 の ト ッ プ ニ ュ ー ス と 芸 能 記 事 、週 刊 誌 の い く つ か
で も 、新 鮮 だ っ た の は わ ず か だ っ た 。
そ の 袋 を 、事 務 所 の あ る 三 階 ま で 米 俵 の よ う に 担 ぎ 上 げ 、荷 解 き
他 の 先 輩 社 員 は だ い た い 九 時 前 に 滑 り 込 む こ と が 多 かった の
を し 、先 輩 た ち が 出 社 す る 前 に そ れ ぞ れ の デ ス ク に 置 く 。
の 連 載 コ ラ ム を 読 む と 、読 む 物 は な く な っ て し ま う 。当 時 の 私 に
い た 。部 長 は 新 聞 を 読 ん で い る し 、し ゃ べ り か け て い い の か も 分
は 、週 刊 誌 の 特 集 記 事 は ま っ た く 興 味 の な い も の だ っ た 。今 な ら
で 、部 長 と ふ た り 約 一 時 間 、私 に と っ て は 緊 張 感 の あ る 時 間 が 続
か ら な い 。最 初 の う ち は 届 い た ゲ ラ や 一 部 抜 き を ど う し て い い
隅 か ら 隅 ま で 読 む け ど 。ス ポ ー ツ 新 聞 も 同 様 だ っ た 。
そ う い う 世 界 を 蔑 ん で い た と い う か 、ど こ か 低 く 見 て い た 。自
最 初 は 気 を 遣 っ て い た が 、そ の 内 、ス ポ ー ツ 新 聞 を 読 む 蛯 原 さ
分 は こ ん な 物 を 読 ん で い る 暇 は な い 、と 。
の か も 分 か ら な い か ら 、た だ 印 刷 営 業 や 校 正 記 号 の 本 を 読 む ふ
外 か ら 来 る 電 話 の 他 、事 務 所 は 静 ま り 返 っ て い た 。
り を し て いた。
届 い た 荷 物 の 確 認 を し 、電 話 で 本 社 の 製 版 、印 刷 担 当 者 と や
な っ た 。蛯 原 さ ん は そ ん な 私 に つ っ こ む こ と も な か っ た 。
ん の 横 で 、持 ち 歩 い て い た 小 説 や 評 論 の 本 の 続 き を 読 む よ う に
電 話 で 、長 野 に 離 れ て 住 ん で い た 彼 女 に 言 っ た 。
「 通 勤 電 車 で 寝 た い の わ か る よ 、私 。森 山 君 は ス ト イ ック 過 ぎ る よ 」
い と 思 う ん だ け ど な」
「 な ん で み ん な 朝 の 通 勤 電 車 で 寝 て る ん だ ろ う 。時 間 も っ た い な
り 取 り を し て 一 時 間 、だ い た い 十 時 前 に は 、皆 そ れ ぞ れ の 得 意 先
二 カ 月 間 先 輩 営 業 マ ン た ち に つ い て 得 意 先 回 り を 行 い 、よ う
に 散って ゆ く。
や く 自 分 の 得 意 先 が 決 ま っ た 。と は 言 っ て も 、当 然 ひ と り 立 ち で き る わ け も な く 、こ れ か ら 当 面 一 緒 に つ い て 歩 く 先 輩 社 員 が 決 ま っ た と い う こ と に な る 。私 が つ い た の は 蛯 原 課 長 だ っ た 。
同 じ 年 だ っ た が 、短 大 を 卒 業 し 、二 年 早 く 社 会 に 出 て い た 彼 女
蛯 原 さ ん は 大 手 の H 書 房 を は じ め 、中 小 含 め 多 く の 得 意 先 を
に 諭 さ れ た。
ス ト イ ッ ク だ っ た の か 、そ う 演 じ て い た の か 。
毎 朝 神 田 に あ る H 書 房 へ 行 く 。朝 出 て き た ゲ ラ や 一部 抜 き を 届
こ ん な 私 の 浅 は か な 知 識 な ど な ん の 役 に も 立 た な い 。仕 事 の
本 当 の 厳 し さ 、難 し さ を 知 る の は 、ま だ も う 少 し 先 の 話 だ 。
持って い た。
け る の だ が 、特 に 持 っ て 行 く も の が な く て も 必 ず 顔 を 出 し た 。そ の 後 、日 中 他 の い く つ か 得 意 先 を 廻 り 、夕 方 帰 社 前 に ま た H 書 房
17
文=森山裕之 1974 年長野市生まれ。獨協大学外国語学部卒。印刷会社の 営業マンを経てフリーライターとして活動。その後、2007 年 までカルチャー雑誌『クイック・ジャパン』編集長を務める。他 に、小説、エッセイ、マンガなど、多数の単行本を編集。現在、 ヨシモトブックス/マンスリーよしもとPLUS 編集長。TBSラ ジオ「文化系トークラジオLife」サブ・パーソナリティー。雑誌 『毎月あだち充』にてエッセーを連載中。
森山裕之(もりやま・ひろゆき)
第四回・本日のサービス 《前号までのあらすじ》
長野本社の印刷会社に就職し、東京支社でのサ ラリーマン生活が始まった。気持ちはまだ学生 のまま、理由もなく、毎日焦っていた──。
長野市で店を始め、 年前に中野市に移店。開店当 時から変わらぬスープをベースにしながらも、より 幅広い層に来てもらえるようバリエーションに富ん だ中華料理をふるまう。ネギがおいしいこの時期だ けネギみそラーメン(800円)を出すなど、旬の味 にも気を遣っている。
参加してみたいね。
会﹂も行っているらしい。次回はぜひ
と中国料理を楽しむイベント﹁食酒楽
富に揃っているんだ。年に数回、地酒
しめる店とあって、一品メニューも豊
それに、この店のおすすめはラーメ ンだけじゃない。中華料理を気軽に楽
ト麺とこれまた良く合うんだよ。
スにしているそうで、中太のストレー
は鶏ガラ、豚のげんこつ、野菜をベー
のほど良い甘さも絶妙。何でもスープ
がる旨味がたまらないんだ。あんかけ
した歯ごたえと、じゅわっと口中に広
ここのあんかけの特徴は何と言って も地場産のキノコ。大ぶりでプリっと
ラーメン ︵800 円︶ ﹂ を食べに行こう。
﹁三幸軒﹂のあんかけラーメン、 ﹁三幸
だよね。今日は中野市役所の南にある
ふぅふぅ言いながら食べるのがいいん
寒い季節は、熱々のあんかけが、む しょうに 食 べた く なるんだよ。特 に
「三幸ラーメン」
中野「三幸軒」
【 第五回 】
① 1000 円以下 満点 ② ボリューム し ③ サービスよ 取材=久保田香織 写真=内山温那
25
中野市大字中野262-5 ☎0269-26-0292 11時30分~14時、17時30分~21時 月曜休(祝日の場合は翌日) http://sankouken.blog.fc2.com/
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『ぶらり大岡』 (300円)
長野市立大岡中学校 3年生一同
文化祭で「大岡の良いところを発信し よう」のテーマで3年生12人が制作
『煩悩マガジン』 (展示のみ) 豊田玉之介
美術教師となった作者が、信大学生時 代に作成した煩悩あふれる4コマ漫画
『元気コミック』 (展示のみ) 轟 理歩
1991年、僕(当時6 歳) と兄、いとこの女 の子の4人で毎月発行していた少年誌
『takashi nagata_ experiment #0』 (価格未定) 永田 傑[ナガタデザイン]
過去の作品を新作と共にRemix( 再 構成)した ZINE
『Sad vacation』 (500円) 菊地鮎香
学生時代に撮った写真。人との距離感 や、自分の奥底を見つめていた記憶
『シャービックが冷えるまで の100 の荷づくり』 (900円) 42101
本を開くと変形ページで荷づくりが 始まるDIY 感たっぷりの1冊
『NHOL AND FEEL AND WATARINO』 (2100円) 絵:mabo /文:スズキリュウイチ
名古屋と岐阜を拠点に、活動中のイラス トレーター、maboの初となる絵本作品集
『いいんだかわるいんだか』 (展示のみ) 塚田辰樹
近所の田畑に、土地開発の手が掛かっ ていく、約半年間を記録した写真集
『トイーゴ』 (無料) 小島 有
美術系専門校に通う作者が、 トイーゴ とアートと子どもをテーマに制作
『Hibi no Dekigoto/001』 (500円) 金子友香
街で見かけた気になる人をコレクション する感覚で描きとめたドローンイグ集
『、、、等』 (500円)
清水大蔵、コマツバラユウ、岸辺ぱぁぷりん
「SILENT HAC」という造語から生まれ た17編の詩とイラストのZINE
『Join』 (2800 円) Tomoyaarts
人と動物が繋がって行くハートフルス トーリー。他に2冊絵本を出展
『I♥お夜食』 (無料) 吉澤昌明×もりまいこ
人それぞれの愛すべきお夜食事情を 聞いてみました。当たり付き
『nakita style』 (展示のみ) なきた
私ふとっちょだけど可愛いファッショ ンや流行りのお洋服が着たいんです!
『ユキビト』 (展示のみ) カミジョウミカ
人間のようで人間でないちょっと不気 味なキャラ「ユキビト」の画集
ZINE MATSUMOTO KEIZAI ZINEBUN
『My Apple Collection』 (400円) 高松加寿子
りんご好きの私に友達たちがくれたり んごを集めてZINEにした
『ぼくらが旅に出る理由』 (300円) 島田浩美(ch.books)
約 50 カ国を旅した写真をまとめた。 ch.books青木も出展予定。
『へにょ山日記』 (展示のみ) 内山温那
身の回りの、どうでもいい出来事を脱 力感溢れるイラストで綴る
『photo1・2・3』 (1000円) アガタミズエ
G.books 発行の写真集。カメラマン・ア ガタミズエが写し出すやわらかな世界
and more...!
『松本経済 ZINE 聞』 (展示のみ) 松本経済新聞 山口敦子・丸山なつ美
インターネット情報配信サイト「松本 経済新聞」のZINE、作ってみました!
『KANEMATSU-01 (無料) 絵馬プロジェクト』 関谷まゆみ、安斎高志、大井川茂
武井神社奉納の大絵馬とは別の形で 人々の想いを残した絵馬プロ新聞
『海野十三セレクション1 人間灰』 (945円) 四畳半書房
海野十三の探偵小説を、オリジナル ブックデザインと手製本で仕立てた
『鳥は泳ぐ』 (3150円) 羽田 誠
なにげない日常の中で、愛すべき可笑し みを切り撮った写真集
『Power of tree』 (500円) 高野結花
さまざまな木を題材に描いた作品集。 木の力強さ、生命のエネルギーを表現
『見知らぬ老人とルームシェア』 (300円) 佐光才近
ベタな話やいびつな恋愛話にいろどら れた短編小説集
T he reason we make ZI N E
『give me a Hug』 (380円)
「女の子が気負わずもっと気軽にギ ターを弾けたら」 という思いを込めた
「子どももママもハッピーになれる、ゆ る~い子育て」をお届け
沢絵美子
芦屋~岡本mama
『雪のカルグラ』 (300円) 葛目絢一
トゥバ共和国の歌唱法「カルグラ」 。美 しい声に感銘を受け、本を書き上げた
『ネコメンタリー』 (500円) 松本光央
ネコの写真集。ネコメンタリーというフ リーペーパーも同時出展する
vol.02
特集|うるしのくにを訪ねて
『oraho』 (630円)
oraho 編集室(山本晶子)
福島県会津地方のいいものを紹介す るリトルプレス
『ブドウ 03』 (800円) ハマ リョウヘイ
言語化できない感情や、なんとなく浮 かぶシーンをまとめたZINE
『Forever Girls 1』 (1200円) RUIRUI
東京を中心に撮影した写真を元にして レトロで幻想的な写真に仕上げた
『fantasy』 (展示のみ) 香恵
イラストと文章でファンタジーを 綴った ZINE
『Bridge』 (無料) 岡本礼教・容子
広島県江田島市、瀬戸内海の島に住む 人々の暮らしを伝えるフリーマガジン
『森の中の少女』 (無料) 野ノ花美空
小学6年生の作者が1人で書き上げた 初の小説
『ラクガキ、ノート』 (300円) なかじまゆうか
イラストにコメントをつけた、ちょっと した絵本のようなイラスト集
『れんげでごはん』 (100円) 渡辺千晴
c h .b ookの s Z I N展 E に並 ぶ 作 品 を 簡 単にご紹 介
『ミニバラ』 (200円)
劇団「れんげでごはん」の紹介本。お まけ付き
出展作品は、ざっと 。県内外から予想以上にたくさんの応募が相次ぎ、 ZINE の広がりや注目度を感じます。ここでは、本当に簡単ながら、そ の一部をざっとご紹介します。 60
『collabo #011』 (525円) 2P Collaboration
「子どもとおとな、楽しい毎日。 」名古 屋のやさしいリトルプレス
『コミックテープ』 (600円) 蒼室寛幸(GUMBY)
ベテラン漫画家から新進気鋭作家を つなぐボーダレスカルチャーコミック
『ギフノート』 (450円) ギフノート編集室
岐阜の今をできるだけ丁寧に、寄り添 う気持ちで綴ったリトルプレス
『Jxxxxxx』 (500円) Jxxxxxx
サッカーと冊子を使ってコミュニケー ションを! がテーマのサッカー ZINE
『落書き集』 (無料) ヤザキシンラ
中学3年の作者が毎日描き続けたイラ ストを初めて1冊にまとめた
『window bis』 (1500円) 山下 望
ローティーンの女の子を夕方の駐車場 で撮影。帰りに彼女とスパゲティ食べた
『233』 (200円) ELLE
レイ・ブラッドベリの「華氏 451度」と 「zine」のzine。他にも多数出展
『NO HUMAN』 (700円) 中倉央乃
人間以外の生き物は、人間の構築した もののなかで自由に生きて行く
14
昔 な がらの手 製 技 術から 生 ま れる 上 質 で独 創 的 な 手 製 本 ── 美篶堂 技術を受け継ぐ最後の世代に当たる
うに、美 篶 堂でしかできない装 幀 は
少なくない﹂ 。そう真一さんが話すよ
東京・神田の老舗製本会社で製本 技術を習得した上島松男が、1983 年に独立。幼少期を過ごした伊那 市美篶の地名にちなみ「美篶堂」と 命名した。昔ながらの手作りの技 術とオリジナリティを活かし、手製 本をはじめ、見本帖や特装本、パッ ケージなどを得意とするほか、紙 にまつわるさまざまなクラフトワー クに参加。'01年、工場を伊那に一 本化し、'03 年、東京・御茶ノ水に ショップをオープン。'11年、神保町 の竹尾・見本帖本店内に移転。
そう だ。1983 年、 歳で独 立し、
profile
職 人やベテランスタッフが黙々と手
堂。伊那市美篶にある製本工場では、
た職業の人々にもファンが多い美篶
きやデザイナー、アーティストといっ
きか﹂ 。社内でもそんな話し合いが持
で大量生産できる機械を導入するべ
寄せていた頃。 ﹁何千万円もつぎ込ん
当時は製本業界に機械化の波が押し
真一さ ん は そ の 数 年 後 に 入 社 し た。
うに思います。それに紙 なら ば何で
本所 だという認識が広まっているよ
ナーの間でも、特 殊な製 本を行 う 製
続けてきた経 緯 があるので、デ ザイ
たずさわり、変り 種の紙 作 品を作 り
多い。 ﹁長 年、紙のイベントに製 作で
活かし、真 摯に本 作 りに取 り 組む職
たれたが、手 製の 技 術 を絶 やしては
人たちが、今日も美しいプロダクツを
際良くそれぞれの作業に励んでいた。
もまちまちで手製が必要となる作業。
の 見 本 帖は、サンプルの 種 類 も 厚 み
生み出している。
﹁機械は断裁機と小型プレス機くらい
印 刷 会 社や業 者の人は、この静けさ
そ ういった理 由で、美 篶 堂は手 製 本
客一人 ひと りの 要 望に応 え、個 性 を
と手 仕 事の様 子に驚かれます﹂と話
の道を歩み、今では唯一無二の存在と
も形にできるという自信もある﹂ 。顧
すのは工場長の上島真一さん。ここま
る。さらに、定期的に制作していた紙
で手製本にこだわるメーカーは全国
して、その名を馳せている。
いけ ないし、手 作 りはや り がいもあ
的にももうほとんどないと言う。
﹁受注する仕事は、高度な技術を要 したり、手 間 がかかる難 易 度の 高い ものが多く、いくつかの製本所に断ら
美 篶 堂の 創 業 者で、真一さんの 叔 父にして親方である上島松男会長は、
とんどないので、打 ち 合 わせに来 た
手作りの上製本とオリジナル文房 具で幅 広い層から支 持を受け、物 書
美篶堂 Misuzudo
で、あとはすべて手作業。機械音がほ
44
れて最終的にうちを頼って来る人も
約30年使っているプレス機は、修理 はできるが、もう製造はされていない
歳か
親方が手がけていたのは、雁皮紙と いう珍しい和紙に活版印刷された 限定本
東 京・神 田の 老 舗 製 本 会 社で
T he reason we ma ke ZI N E
和綴じの四つ目綴じカレンダー。糸 かがりもすべて人の手で行われ、 2000 部を制作する
15
ら 修 業を積み、昔ながらの手 製 本の
13
07 T he r e a s on we m a ke ZINE
工場内ではいくつかの作業が行われ ている。これはオリジナル商品の「み すずノート」の表紙
ch.booksで美篶堂の出張 ワークショップやります
美篶堂のオリジナル製品・ブロックメモ キューブを利用して小さな上製ノートを 作るワークショップを開催。初心者向け の作業なので、短い時間で製本を初め て経験したい人におすすめです。材料は 3冊分だから、練習やプレゼントにも最 適。詳 細は P23 LIVE IN NAGANO の 「event」を参照。また、2月10日(金)か らの ZINE 展に合わせみすずノートなど オリジナル文房具も販売予定。
︵ ガル ガ ︶を 夫 婦 で 開 Gargas 店した熊谷俊行さんが﹁世界で一番小
2001年、松本市でギャラリー&
た ﹃ママハハ日記﹄︵これはのちに出版、
綴った奥様・憲子さんの日記をまとめ
し、子 どもたちとの関 係や暮 らしを
て使いやすい材 料を探した。作 業 場
に作 り たいと 思い、文 房 具 屋 を回っ
己 流で、なるべく 身 近 なもので簡 単
台、スキャナー、その他細かい道具
たちの幼少期の作品をまとめた画集
瀬家の本を発行。発行所を﹁ G.books ﹂ と 名 付け、これまでに計 800部 が
を持ち込んだ。現 在まで
学生時代から多くの手作り本を作 る成 瀬さんは、時にはそれ が出 版 社
紀子さんの作品が大量にあることも
好きも、憲 子さんや長 女で画 家の麻
が夏 暑 くて 冬 寒いくらいですね。成
﹁ も と も と 何 か を 作 るこ と も 単 純 作 業 も好きなので、苦 労は狭い空間
売れたという。
そろそろまた新しい作品を作って企
知っていたので、 ﹁ おもしろそ う だ ﹂
画 集の素 材は、膨大な作 品の山か ら 成 瀬さんが編 集し、データ化した
成瀬編集長の采配次第ですけどね。 ﹂
画展をするのもいいかも。もちろん、
と本作りを手伝うことに決めた。
松 川 村にある成 瀬 家には、成 瀬さん
もの。それを 熊 谷さん がプリンター
り上げられる、いわば手製本の達人。
が高 校 時 代、日直 当 番の日誌を元に
で出力し、製本した。作業はすべて自
瀬家にはまだ多くの素材があるから、
作った初の手製本﹃学級日誌﹄や、ふ
から 発 行されたり、新 聞や雑 誌に取
12
T he r e a s on w e m a ke ZINE
G.books
02
03
04
狭い空間にPCやインクジェットプリン ターが並ぶ。インクは顔料系を使用
出力したA4の用紙を半分に折る。ラ イターを使うときれいに折れる
パンチで2カ所穴を開け、 ファイルファ スナーに通して冊子状にまとめていく
製本テープで背表紙を作る。これを 貼る際が最も緊張するとか
06
05
トレーシングペーパーをかけ、紙作家・ AkaneBonBon 作の箱に入れ完成!
1冊ずつシリアルナンバーを押す。い ずれも限定150あるいは250 冊
G.books
G.books 制作の流れ
06
──
世 界一小 さな 発 行 所で 作 ら れる ガルガブックスの本 たち
カフェ
階のギャラリー奥にあ る、かつては物置だった一畳ほどの空
所はガルガ
たれ一人 暮 らしを送るなかでリアル
間。そのなかにパソコン、プリンター
テレビドラマ化もされた︶ 、妻に先立
︵ ガルガ G.books ブックス︶を立ち上げたのは2005
多彩な創作活動を行う
な日常を綴った成瀬さんの父の詩集、
さな発 行 所 ﹂である
年のこと。なじみの客であり、週刊新
等 たくさんの 手 作 り 本 があった。熊
冊 もの 成
博さんから﹁ 家 族の絵や写 真 を画 集
谷さんは、そ うした成 瀬さんの 編 集
人の子ども
潮の 表 紙 絵 も 手 がける 画 家・成 瀬 政
2
かけだった。
2
にしたい﹂と相談を受けたことがきっ
5
たりの連れ子がいた成瀬さんと再婚
profile
01
2005 年、画家の成 瀬 政 博さんの誘いで、松 本市のカフェ&ギャラリー Gargas の店主・熊谷俊行さんが始めた手作り本の小さな発行所。Gargas2 階 ギャラリー奥にある1畳分ほどの空間を仕事場に、これまで、成瀬さんの妻で 幼少の頃からさまざまな作品を作っている憲子さんの本を 6 冊、長女・麻紀子 さんの画集を 4 冊、成瀬さんご自身の本を 2 冊発行。ほかに写真家・アガタミ ズエさんの写真集を 3 冊発行したこともあるが、基本的には成瀬家や親しい 作家の作品以外の発行はしない。今回は ZINE 展で各 1冊ずつ販売する。
T he reason we make ZI N E
12
何気ない落書きのおもしろさ を ZINE で表現したい
今回のZINE展は、引っ越して間
て﹂移住を決めたという。
を 作 りな がら 住めたらいいかと思っ
が多くて暮らしやすそうだし 、作品
崎美帆さん。 ﹁ものづくりに携わる人
昨年 月末に東京から松本市へと 引っ越して来たイラストレーターの山
んなZINEになるのか、期待大! ち
え隠れする山崎さんの落 書き集はど
いタッチの絵のなかに、ユーモアが見
す﹂とのこと。美しい色使いとやさし
一度やってみたいなと思っていたんで
しまっておくだけではもったいない、
いうのも、引っ越しの時に絵を整理し
意︶ ﹂をもじったものだそうで、ここか
ティスト名・ daborabo ︵ダボラボ︶とは ﹁駄 法 螺︵だぼら=くだらないホラの
なみに山 崎さんのもうひとつのアー
た。出展予定の作品を聞くと﹁以前作
らも山崎さんの遊び心を感じ取れる
も紹介︶から情報を聞き、参加を決め
ていたら落書きがたくさん出て来て、
もない頃、市 内のカフェ amijok の店 主・小 島 さん︵ P ﹁ 私 的 文 化 史 ﹂で
たりするのでまとめてみたいなと。と
すが、それが意外とおもしろい絵だっ
ケッチや落書きを描くことがあるので
山崎美帆
山崎美帆 Miho Yamazaki
す。さらにもう一冊。普段何気なくス
ZINE展の参加が、今後の 新たな作品作りのきっかけに の開 店 と同 時 昨 年 月、 ch.books に作 品 展﹁おしゃれ Pom Pom ﹂を開 催した松本市女子 人の作家ユニッ 6
した︵ 作 品 展では女 性 用下 着 も展 示
していた︶ 。当 初は、1番 初めのペー
体のまとまりを考 え、大 幅に文 章を
ジにしか文 章 を 入 れ なかった が、全
加 筆して、導 入から型紙までうまく
話が流れるように再編集したら、しっ
こうして初の冊子が完成した彼女 たちは、すでに次のテーマも考えてい
くりしたという。
りましたが、次は作りたいZINEが
るそう。 ﹁今回は展示を元に冊子を作
ろしの絵も加え、洋裁家・百瀬陽子さ
まとめ、パソコン上で具現化。描き下
アをカメラマンのモモセヒロコさんが
で、メンバーから次々と浮かぶアイデ
催者としてはうれしい限り。
たな創作のヒントになったようで、主
ひみつだが、ZINE展への参加が新
れもおもしろいかな﹂ 。テーマはまだ
あるから 展 示 をします。そ ういう 流
品をテーマに冊子を作ろう﹂と、 月
しゃれの冒険ストーリー﹂ 。制作途中
から制作を始めた。コンセプトは﹁お
ト・ Pom Pom ︵ ポム ポム ︶ 。そ の 後 Z INE展の開 催 を 知 り﹁ 今 までの 作
7
んによるパンティーの型紙を付 録と
Pom Pom
Pom Pom Pomu Pomu
1980 年生まれ、上田市出身。イラストレーター。 明治学院大学フランス文学科卒業後、小さな CM 制作会社に勤務するなかで、フリーランス でとして活躍するさまざまな人々に出会い、ひと りで活動する生き方に憧れ、イラストレーターを めざす。セツ・モードセミナーにてイラストを学 び、2010年秋、安曇野市のミュージアムカフェ・ BANANA MOON に て 個 展「DANCE HALL」 を開催。この時、のどかな地域の良さを実感し、 2011年 9月末、松本市に移住した。現在は、い くつもの書籍や雑誌の挿絵を手がける。別名 「daborabo」はサインやロゴのようなイメージ。
クレヨンと色鉛筆を中心に、時折絵の具を 使って描かれた作品は色使いがとてもきれ いだが、これは無意識に色を付けているそ う。なんとなくおもしろいと思って使ってい るという紙もユニーク。写真下は、山崎さ んの落書きやスケッチ
T he reason we make ZI N E
05 T he r e a s on w e m a ke ZINE
profile る機会があった冊子をもう一度作りま
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昨年夏に開催した企画展「おしゃれPom Pom」での作品をテーマに、初めての ZINE を制作。題字は何パターンもか作った結 果、DMに使った一番スタンダードなフォ ントになった。付録であるパンティーの型 紙は、1つひとつ紐で結んで加えている。 ZINE 展では700円で販売
松本を拠点に活動を行う、スミレ研究所・ 金井三和(陶芸、絵画) 、モモセヒロコ(写 真) 、田路恭子(木工オブジェ、革細工) 、 ようさん工房・百瀬陽子(洋裁) 、小沢夏 美(絵画) 、Akane BonBon(紙)の作家 6 人による創作ユニット。2010 年、金沢で 参加したグループ展、松本女子作家たち の「鳥展」をきっかけに結成。2011年夏、 ようさん工房(松本)と ch.books(長野) で企画展「おしゃれ Pom Pom」を開催。 2012 年、初めての ZINE『おしゃれ Pom Pom』を発行した。ちなみに「ポムポム」と は、長野らしさを求めた結果、リンゴのフ ランス語である「pomme(ポム) 」をヒント にしたもの。
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profile
04 T he r e a s on w e m a ke ZINE
1980 年、千曲市出身・在住。ちひろという 名前は、芸術好きの両親により、画家の岩 崎ちひろから命名。2006 年、東京造形大 学造形学部美術学科絵画専攻卒業。在学 中の 2004 年、トーキョーワンダーウォー ル賞受賞。2009 年、制作の拠点を東京か ら地元・長野に移し、店舗の壁画や CDジャ ケット、商品ラベルなど活動の場を広げる。 イベントのライブペイントの依頼も多く、2 月11日(土)から始まる長野灯明まつりで は、灯ろうにライブペイントを行う予定。
を 本 格 的に始め、今のスタイルを 確
用 紙じゃないけど、既 存の概 念を越
たし、勘 を 働かせてあ ま りこだわら
えれば作品の可能性が広がると思っ
歳頃の日記。それ以来
いと思っています。 ﹂
生時 代はシビアにキャンパスを選ん
ずに作りました。普段の制作でも、学
立すると思う。 ﹂
なったという だけでコンセプトは成
ZINE という形にした。
う立体物が。それに、常に持ち歩いて
新しいことを生み出すのがおもしろ
いる手帳には、気になったら書き留め
でいたけ ど、今 は概 念 を 打 ち 破って
時には衝 動 的に、また時には叙 情 的に絵を描き続ける画家・越ちひろさ
を 選 んでいる感じです ね。私 が気に
んが ZINE の題材として選んだの
ムのペイント。 ﹁ZINE も ドラムも
最近は壁画も多く手がける彼女の 今一番の楽しみは、これから描くドラ 次々と繰り出される越さんの言葉 は、まるで何でも 貼 られた雑 記 帳の
一緒で、頭のなかのイメージが具体的
ている言葉がびっしり並び、ドローイ
よ うに多 彩で 複 雑 な がら、一貫 性 を
になっていくことは喜びがある﹂と話
ングも大量にあるという。
感じ、彼 女の真っすぐな人 柄 を表 し
めたかった。 ﹂
年 間の記 録。もともと何で
ているようだ。
さも感じる彼女自身を垣間見ること
や 道 ばたの花、噛んだガムまで何 も
グなど
そのなかで、心に残 り 続けた文 章 や
﹁何でもないものを残すことが自分 の絵につながっていると思うんです。
﹁直観もコンセプトだと思うんです よ。ZINE の紙選びも直観。インク
かもノートに貼っている﹂そうで、確
は、力強さのなかに女性的なやわらか
す。こ う し て 生 み 出 さ れ た ZINE
行け ば、写 真 だけではなくチケット
も記録しておくことが好きで﹁旅行に
絵、写真などをずっと一冊の本にまと
ができる作品となっている。
は、これまでの旅の思い出やずっと気
﹁ひとりの人間として生きていくな かで当たり 前につながっているもの
間 変 わ ら ず 好 き な もの を 拾 い上 げ、
立した
年
T he 10reason we make ZI N E
になっていた言葉、日々のドローイン
う だったり、普 通は 貼 ら ないであろ
今 まで 心に残 り 続 けた 文 章 や 絵 、 写 真 を ずっと一冊の本にま とめたかった ─ ─ 越ちひろ
profile
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ジェット プリンターで刷った紙は専
素 材 で一番 古いのは、ちょう ど 絵
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かにノートには一見 するとゴミのよ
旅先で出合ったものをまとめたノート や、日々心に浮かんだ言葉を書き留め ているモレスキンの手帳、ドローイン グ集から、ずっと気になっていたり好 きだった言葉や絵、写真をピックアッ プし、初めて自分で製本して作り上げ た今回出展の ZINE(3000円)
越ちひろ Chihiro Koshi
03 T he r e a s on we m a ke ZINE
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昨 年 会 社のサイト 上に、プロモー ションのようなノリで漫 画を公開し
えてください。
を表現することで会社のプロモーショ
たことをそのまま活かせ、さらにそれ
しては最適で、自分が今までやってき
際に使っていましたが、漫画の題材と
キャラはこれまでウェブの実験をする
後半は意識して丁寧に描いていま すが、最初の方は直したい気持ちはあ
教えてください。
●実際に漫画を紙媒体にした感触を
どうかという話もあったそうです。
というもの。これだけで1冊作ったら
にフィードバックが来るのがおもしろ
制 作 過 程においても、画 面を見な がら試行錯誤して公開し、ダイレクト
るところに魅力を感じます。
人間関 係とはまた違った出会いがあ
も誰でも見ることができ、日常生活の
えますよね。あとは、いつでもどこで
毎日続ければサイトのページ数が増
して行けば労力はいらない。ブログも
たのです が、今 回 ZINE の 企 画 展
ンにもつながると考えたのですね。ス
導入部分をふくらませたくて、ラフも
りますね。あとストーリーももう少し
話の﹁モバイル依 存 女 子 ﹂
があると聞き、これを機会に紙で出し
月
のは、第
てみたいと思ったからです。
時の ブログを読み返すと、昨 年
トーリーもパッと思いつきました。当
題 材に漫 画 を 描 き 始めました。この
●もともと漫画はずっと描いていた
●今回の ZINE 展参加の理由を教
のですか。
号ほど作っ
紙でフリーペーパーを
い。自分はいろいろとやりたがりで、
会社のブログと同時に、ブクログの パブーという電子 書 籍サイトを使っ
ラの案もある。でもなかなか時間が取
くらでも描きたいし、いろいろなキャ
う希望もあります。気持ちとしてはい
当はもっと壮大なものを描きたいとい
ページにまとめて描いていますが、本
報 拡 散 力 が高いフェイスブックやツ
人々が集まるということ。例えば、情
また、ウェブに関して最近よく言わ れているのが、情報が集まるところに
てもウェブの効果は大きいですね。
たこともあったのですが、それと比べ
てマスコミ系に進学。でも、パソコン
が、閲覧数としては 万ほど。ダウン
て、現在 話まで公開しているのです
ネット特性の効果がここ最近、爆発力
るじゃないですか。そういうインター
イッターは利用者数が急増し、誰かが
●ウェブ・ディレクターのハラさんに
ページ数もちょうど良かったです。
く描いていなかったですね。
路線で企画会議にかけてもらい、結構
あえてお聞きしますが、ウェブと紙の
情 報 をキャッチしすれ ば一気に広 が
を発揮しているという気はしますね。
れないので、現実は難しいですね。
紙を切って折って⋮⋮、と作るのは楽
クセスも 5000 から 6000 はあ るので、自分が思っていたよりも随分
しかったです。紙は味わいのある藁半
ロー ド は 800 を 越 え、ブログのア
として今の会社に入社しましたが、社
思っています。社内では﹁また始まっ
たくさんの人に見てもらっているなと
紙にしたくて、大阪のレトロ印刷とい
た。卒業後、グラフィック・デザイナー
長にウェブ制 作のきっかけを与 えら
たな﹂と思われてるのでしょうけど。
効果を出す特殊印刷︶に。中とじミシ
にアドバイスを受けてツヤプリ︵隆起
は同じ感覚だと思うようになりまし
れ、ウェブ・デザイナーになって今 年
合いがいたため、この漫画を売り込ん
それと、今 まで本を出 版した関 係 で、翔 泳 社という大 手 出 版 社に知 り
ある企業のサイトを作る際、漫 画 形式にする案が出て、久しぶりにコマ
の連載を続けていけばもしかしたら
いいところまで行ったので、ウェブで
う 印 刷 所に出しました。表 紙は後 輩
●再び漫画を描き始めたきっかけは
割りを描いたのがきっかけのひとつ。
違いはなんでしょう。
ページが限度だったので、
それと、その時偶然﹃週刊少年ジャン
⋮⋮、という可能性もありますが、そ
紙は紙で好きなのですが、ウェブは ひとつサイトを作ったら、それを元に もしなければいけないし、クオリティ
一度作った土台をベースに少しずつ足
ずっと育てていける感じが好きです。
ン製法は
プ﹄掲載の、主人公が漫画家を目指す
うなると今の鉛筆 描きからペン入れ
も低いので修正が必要ですね。ちなみ
だこともあるのです。エッセイ漫画の
漫画 ﹃バクマン。 ﹄ を読んだのも大きい。 ﹁漫画が描きたい﹂と思ったのです。そ
に編集部のなかで一番評判が良かった
80 作ったキャラクター・ウルトラエルを
ただ、電子書籍においてはわりと誰 でも出せるという感じもあるんです。
な、と思ったりもしますね。
それに比べると紙媒 体はやはり違う
1975 年生まれ、須坂市出身。デザインス タジオ・エル常務取締役制作部長ウェブ・ ディレクター、デザイナー。2005 年に長野 のウェブ・クリエイターや、ウェブに携わる 人を中心に活動する「id=Nagano」を立ち 上げ、現在代表を務める。翔泳社から、 『ク リエイターのための 3 行レシピ ポストカー ドデザイン(2008 年) 』や『レイアウト・デ ザインのアイデアカタログ1000(2009 年) 』の著書、共著がある。
でちょうど 年目。その間、漫画は全
何だったのですか。
でも、今回 久しぶりに紙 媒 体に面 付けをして、表 裏 を間 違 えないよう
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た。大学は漫画家になることを踏まえ
を勉強するなかで DTP という仕事
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を知り、漫画でもデザインでも作るの
やすいというアドバイスを受けて、
らできるだけ短くまとめた方 が読み
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描いてはあります。それと、編集者か
には第
話を公開していたので、一気
小さい頃から漫画家になりたくて、 高校時代は﹃週刊少年サンデー﹄に投
●周囲の反応はどうでしたか。
に描き上げた感じですね。
日にスケッチを描き、その 週間後
稿し、何 度か﹁あと一歩で賞 ﹂に入る
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な ど、そこそこ本 気 で 描いていまし
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れで、以前会社のプロモーション用に
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The reason we make ZI N E
ハラヒロシ Hirishi Hara
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ザイン本も著しているウェブ・ディレクター、デザイナー のハラヒロシさん。昨年は会社のホームページ上で、忍
しながら、一人前の Webクリエイターを目指して奮闘す
者の主人公・ウルトラエルが、忍術・戦術・記憶術を駆使
るという漫画を公開し、その意外性とクオリティーの高さ が話題になった。
右は、IT が発展した下界で、一人前 のウェブ・クリエーターを目指して奮 闘する忍者・ウルトラエルを主人公に した漫画。ZINE 展では 450 円で販 売する。ウルトラエルは「U」と「L」の 字を使った、ハラさん考案のキャラ クター。左はハラさんが高校時代に 描いた漫画。 『シティーハンター』の 影響が感じられる
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profile
長野市のデザインスタジオ・エルに所属し、いくつかのデ
02 T he r e a s on we m a ke ZINE
ウェブ サ イ トで 公 開 していた 漫 画 を Z I N E 展の参 加のため 紙 媒 体に ─ ─ ハラヒロ シ
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ば﹁わっはっは、詩なんて恐れるに足
にしようと思っています。これを読め
かた・読みかた﹂のような感じの作品
実はまだ詳細を決めていないので すが﹁誰も知らない、詩の正しい書き
さい。
●今回出展予定の作品を教えてくだ
なぜですか。
なく紙媒体としてリリースしたのは
ニューアルされましたが、ウェブでは
● ところで、最 近ホームページ をリ
にぼくに会いに来てください︵笑︶ 。
付きづらいかも。皆さん、もっと気軽
土壇場で、地元にある! と。そうなる
グしているよ う な、していないよ う
あいだ﹄ではないですが、プランニン
社・三島邦弘さんの﹃計画と無計画の
あった わ け じゃ な いん で す。ミシマ
だから最初から地元でという意識が
さ ら に、担 当 者 が 近 所 だった︵ 笑 ︶ 。
るということ﹄の印刷をされていて。
と思いつつ、詩を書く技術や考え方を
書ける!﹂と。無茶なことを言うなあ
イターの方が﹁詩を書くならコピーも
大 学 在 学 中 も詩を書いていて。卒 業後、友人を介して出会ったコピーラ
いましたね。
フラストレーションを詩に発 散して
芽 生えるから、自 己とは何かという
かな、と︵笑︶ 。高校生になると自我が
活かせるかも、と手伝い始めました。
な。でも﹁地産地消﹂の意識はあって、
それが、現在の仕事に至っています。
すが、ウェブは浅知恵ではできない領
あとは流れに乗っかるだけでした。
とプランはどんどん勝手に立つので、
。ホー ⋮ウェブは、苦手だから︵笑︶ ムページも友人に作ってもらったんで
足すといった簡 単 なのものはできる
域だと思うんです。ブログをちょっと
らず!﹂と豪語できるような。そんな
●そもそもなぜ参加しようと思った
の作れるのかな∼と思いつつ︵笑︶ 。
のですか。
●さま ざまな人々と「 会って、話す 」
ZINE やリトルプレスの良さは、こ
目的で出版部門を立ち上げたと聞き
詩集を販売してくれているお店の 方から、装 丁 や 内 容に対 してうれし
分を組み合わせて、どんどん完成して
事に積み重ねられるところだなと。ま
ういう小さなコミュニケーションを大
●詩はいつ書いているんですか。
を書いて、それをまとめていくうちに
は読みやすいけど、縦 書 きの 文 章 は
●詩を意識したのはいつからですか。
いく感じです。
も思ってないんですけどね。 実は、今 回の詩 集は 2010 年 秋 に出 版を決めて、当 初は某 電子 書 籍
テーマが出てくる方 法 が一般 的 だと
方がさっそくメールをくださったり。
いコメント をいた だいた り、読 ん だ
読みづらいものだった。そういった意
けど。かといって紙媒 体が絶対! と
の ふた り 去 年 の 月 に、 ch.books に誘われたから︵笑︶ 。過度にマニアッ
サービスからの出版を考えていまし
思いますが、テーマがあった方がおも
てみる勢いが生まれているのかも。
味では、電子書籍には一応めくる機能
書き始めたのは高校生の頃からで す。詩 を 読 むの が好 き だったわけで
ましたが、出版したばかりの『空き地
普段はそれほど興味がないのですが、
クな世界はあまり好きではないので、
た。でも、作り進めるうちにこれはた
しろいんですよ。さまざまな見方や部
●『空き地の勝手』はリトルプレスと
等はあるけど、なんだか書籍という概
の勝手』で手応えはありますか。
今回はなぜか単 純に誘われて﹁じゃ、
だ の PDF だ な と 思 え て し まった。
して出版されましたが、このリトルプ
念までは来ていない気がしています。
たんですよ。高校時代は、授業中、先
はなく、た だ 字 を 書 くの が好 き だっ
作っています。たぶん、普通は詩自体
やろっか﹂みたいなノリでした。たぶ
ページ送りのしかたも、横書きの文章
レス作りは今後も続けていきますか。
が台 頭してきてやっと実 感してきた
SNS もツイッターやフェイスブック
ぼくは詩集のテーマを決めてから、 そのパーツを埋めて行くイメージで
まで避けていたものにも気 軽に乗っ
ん、詩集﹃空き地の勝手﹄を作って、今
らなきゃいけないという 気 持ちはあ
出 版 は 続 け ていく と 思いま す が、 とりあえずは目の前の 500 部を売
やりたいことなら何でもできるよう
と私的の両方の意味があるんですが、
﹁してきなしごと﹂という屋号も、詩的
できそうだったら出版する感じです。
なった時に収拾がつかなくなるから、
でやる﹂と言ってしまうと、できなく
りますね。それに、最初から﹁ここま
た西村佳哲さんの﹃いま、地方で生き
刷。そしたら、当時ちょうど読んでい
と地元で探して出合ったのが藤原 印
いくつか印刷通販の見積を出した んですが、納得いくものがなくて、ふ
聞きましたが。
●印刷所にこだわったというお話を
期が来るとは思いますが。
ので、それと同様にいつかは馴染む時
で、だんだん短くなって、まあこれ詩
の展開を考るのがめんどくさい︵笑︶ 。
思っていました。でも長いストーリー
をしたくて、最 初は小 説 を 書こうと
きれいに書き写す行為が楽しかった
ていました。授 業の 内 容 を 完 璧かつ
先生が喋る言葉も全部ノートに書い
生 が 書 く 黒 板 の 板 書 だけ じゃな く、
んですよね。だから、書くという動作
わかり づらい名 前でもあるので取っ
予 感 がし たか ら、この ZINE 展 の
さに﹁会って、話す﹂です。あ、そんな
1983 年広島県生まれ。詩人。立教大学法 学部卒。詩・物語・絵本などの執筆・創作、コ ピーおよびテキストライティング、印刷物 のデザイン、NPO、NGOや学校など、ソー シャルな課題についての制作プロデュース を行う。また、本のアクション「ブックパッ カー」も運営。2012 年、リトルプレス作り をスタート。出版第1弾は、1月21日に発 行した自身の詩集『空き地の勝手』 。
誘いに乗ったのかもしれませんね。
ウチダゴウ Go Uchida
カー」 、相談型の貸本屋「ブックパッカーのアンテナサイト」
デザイン、ディレクションと、本を使ったイベント 「ブックパッ
ゴウさん。独立 3 年目を迎える今年、自らの言葉で人に話し
の運営を行っている「してきなしごと」代表で、詩人のウチダ
かけ、返事を聞き、語り合いたいという理由で、新たに出版 部門を立ち上げ、第1弾として詩集『空き地の勝手』をリリー スした。ウチダさんも、今回の ZINE 展に出展する。
ウチダさんの著書『かたりべからす』 『おこのもり』 (ゆっくり堂)と、先月リ リースされた詩集『空き地の勝手』 。 事務所は松本市里山辺にあり、相談 型の貸本屋「ブックパッカーのアン テナサイト」も兼ねている
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にしておきたくて付けた名前。ただ、
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The reason we make ZI N E
profile
NPO やNGO、学校など、ソーシャルな課題についての広告
01 T he r e a s on we m a ke ZINE
詩 集 を 新 しく リ リースしたことで 今 まで 避 けていたものにも 挑 戦 ── ウチダ ゴ ウ
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ZINE のこと ZINE。 カッコいい響きだ。
森山裕之(もりやま・ひろゆき)
以前は、同人誌とかミニコミ、リトル・マガジンなどと言っていた。 かつてそう呼ばれていたものが、今は ZINEと呼ばれることが多くなった。 個人的にはまだ呼び慣れない。 今回『チャンネル』が、ZINE(個人で出版する刊行物)の特集をすると聞いた。 私が初めてひとりでつくった ZINE は『イナゴの採り方』というものだ。 小学校低学年の頃だったと思う。 当時熱中していたイナゴ採りの方法を、古文書のような形式で綴った。手書きなので一 部しか存在しない。 しかしそれは日記ではなく、客観的な目を意識した「書物」だった。 出来上がり満足し、机の中に大切にしまっていた。 大学三年生の時――1994 年 12 月、ひとりではないが、友人たちと「雑誌」を創刊した。 ワープロのインクジェット紙を版下として、大学の印刷機にコピー用紙を持ち込んで刷 り、皆で折り、ホチキス綴じをした。 高校時代の友人や、当時入っていた寮の住人がメンバーだった。 当時はインターネット前夜だったから、文章やイラスト、写真、デザイン、なにか平面 で表現したければ、どこかに投稿するか、自分たちで印刷するしかなかった。 みえない雑誌 B5、中綴じ、1 色、28 頁。 久しぶりにその創刊号を引っ張り出してきた。 どんな話し合いの結果、このタイトルで、この版型で、このページ数で、このメンバー で作ることになったのか。 思い出せない。 執筆者の何人か、どんな人だったのかも思い出せない。 今回、まともに自分の文章を読み返すこともできなかった。 でも、決して戻ることのできない二十歳の自分が、そこには確かにいた。 掲載されている文章のフロッピーディスクのデータはもう再現することはできないが、 雑誌(ZINE)は捨てない限りいつも眺めることはできる。 こうしてまた会うことができた。 二十歳の私はとてつもなく恥ずかしいやつだったが、彼なりに頑張っているようだった。 ZINE は、個人の表現であるが、同時にその時代、時間を永久保存する箱でもある。 ある個人と時間の交わりの数だけ ZINE は存在する。 今日も世界のあらゆるところであらゆる人たちが ZINEを作っている。 何を表現しようか。どんな紙にしようか。どんな色で刷ろうか。誰に届けようか。 そんな ZINEに出会うために今日も町に出るのだ。
── 森山裕之 5
1974 年長野市生まれ。獨協大学外国語学 部在学中の1994 年から、仲間と共に「み えない雑誌」を自主制作。2000 年まで全 11号を発行した。 『クイック・ジャパン』編 集長を経て、現在はヨシモトブックス/マ ンスリーよしもとPLUS 編集長を務める。 また、小説、エッセイ、マンガなど、編集し た単行本も多数。TBSラジオ「文化系トー クラジオLife」ではサブ・パーソナリティー も担当し、 『チャンネル』 では自伝的エッセー 「はあるかぶり」も連載中(P17) 。
T he rea son we m a ke ZINE
ぼくらが ZINEを 作る理由 好きな音楽や作家のこと、写真やイラスト、詩、日々の記録…。 表現したい人が好きなように手で作り、販売・交換するZINE(ジン) 。 一般書店の流通とは別の、独自の流通で作り手と読み手をつなぐ ZINE は、 新たなコミュニケーションをもたらす新しい本の概念として、可能性が広がっています。 さて、ただいまch.books では「ZINE 展」を開催中。 誰かが作ったものを見ると何かを感じて、新しい何かが生まれる気がします。 皆さん、どんな ZINEを作ったのか、ちょっと教えてもらいましょう。 取材・文=島田浩美 写真=内山温那/モモセヒロコ(P11)
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チャンネ ル
vol .
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隔月発行
特集 4
ぼくらが ZINEを 作る理由
ウチダゴウ/ハラヒロシ/越ちひろ/山崎美帆/ Pom Pom G.books /美篶堂/ ZINE 展参加者紹介
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めしでもいきますか? 中野市 三幸軒 の「三幸ラーメン」
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はあるかぶり 第四回 森山裕之のコラム
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と
カフェ&ギャラリー オーナー 熊谷俊行 と 画家 成瀬政博
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私的文化史 amijok 小島 剛
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二十四の浩美/漫画一コマ人生相談
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韓流 ちぇごちぇご
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ch.Information
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寝顔美人
LIVE in NAGANO
「チャンネル」は、 長野市の小さな本屋「ch.books」から発行しているフリーペーパーです。 「LIVE IN NAGANO」をテーマに、長野県に生きる人やものに対して、 派手に飾り立てずに手を抜かず、 マジメすぎずにバカすぎず、丁寧に掘り下げていきます。 今回の特集は、ch.books で 2 月 10 日から開催している ZINE の企画展にちなみ、 「ぼくらが ZINE を作る理由」と題し、出展者たちの思いを届けます。 近頃は出版不況だとか、今さら紙だとかいろいろなことがささやかれていますが、 表現したいものを自由に作る彼らからは何だか明るい未来も感じました。 やっぱりぼくらは本が好きで、本を作ってみたいから作っている。 今回、自由に作られた ZINE に触れ、それでいいじゃないかと思ったりしています。
vol.03
こだわりの革 職 人
豊田 茂一
落 語 好きなお菓 子 屋
さとうひさえ スナックのママ的 編 集 者
くぼたかおり ラジオ好きキュレーター
山貝征典 赤いコピーライター
長峯 亘 実は体 育 会 系デザイナー
本 藤 麻以
音 好き飲 食 系 企 画 人
野々村 有 希 子
フリスクみたいなライター
樋口麻 由 宇宙人
関 谷 まゆみ
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撮影 大井川茂