F EB RUA RY 2 017
BACKCOUNTRY SKIING
5
www.f u llm a r ks sto re . j p
ICE CLIMBING, CANYONING, CAMPING, TREKKING, FLY FISHING, KAYAKING, TRAIL RUNNING, ROCK CLIMBING, BACKCOUNTRY, SKI & SNOWBOARDING, MOUNTAIN BIKING
DAISUKE SASAKI
にとって未知のことっていう、ロマンはある
マウンテンスキーヤー
木大輔らしいのだが、もうひとつ、らしさを
と思いますね」と語るそのプランが既に佐々 感じる言葉が続く。
今までの人 生が 試されるような冒 険 。
「今回の冒険に完全にフィットするメンバー かといえば、 実はノーかもしれない。 でもせっ かく遊びに行くんだから、僕は楽しいメン バーがいいんです。だから仲間に声をかけた んです。一緒に登るメンバーが僕を含めて 3
冒険家・植村直己の『青春を山に賭けて』を
7200m のヒマラヤとか、8000m 峰でスキー
人。登攀の際にはカメラマンと安全管理を担
読みふけり、その姿に憧れて山岳の世界に
をしてきた経験から言えば、酸素が薄い中で
当するメンバーがいて、計 5 人。プラス撮
入った。マウンテンスキーヤー、佐々木大輔
チャレンジしつつ楽しめる標高は6500mくら
影するためのクルーが 12 人くらいいるわけ
が、2000 年 23 歳のときに初めて仲間たち
いまで。そういう意味では 6190m のデナリ
で、一昔前の大遠征隊のような人数なんです
と海外の山を滑ったのがデナリだった。以降、
は範囲内かなと。それから今回登るカシンリッ
ね。この全員で山を楽しめるかっていうのも、
グリーンランド、パタゴニア、北千島など、
ジというルートは、初登されてから 50 年く
僕のチャレンジなんです。僕のチャレンジを
自分にしか成し得ない冒険を追い求め、世界
らい経つクラシックルートではあるんですけ
使って、みんなにも楽しんでもらいたい。
中の山を滑ってきた。40 歳という人生の節
れど、それでもクライマーにとっては憧れと
50 日間の冒険が終わった後に、乾杯なのか
目の年に佐々木は、植村直己が消息を絶った
いうか。一流のアルパインクライマーにとっ
肩を組んでなのか知らんけど、みんなで最高
山へと再び向かう。かつてマッキンリーと呼
ては “ 入口 ” 的なものかもしれないですけど、
だったって言いたいんですよね。その中の一
ばれ、先住民が「偉大なるもの」という意味
総合力の試されるいいルートなので、ずっと
部として僕の滑走も含まれる、そういう捉え
で名づけたデナリ。その南西壁での滑降に挑
登ってみたかった。 この際、 登りもカシンリッ
方をしているんです」
む。今回のインタビューは、昨年 6 月の下
ジで楽しんで、なおかつ高いところから滑
個人での挑戦はもちろんだが、メンバー全
見から得たもの、あるいはまだ自分に不足し
るっていう完全に欲張りプランですね（笑）」
員が楽しむことが、佐々木大輔のモチベー
ていると感じるもの、デナリへの冒険を前に
登攀だけでなく、滑りだけでもなく、山男
ションでもあるという。同じように、NHK
した心の動きについて聞いた。
としての総合力を試す企画。重要なのは単に
で放映される冒険の映像を観た人が何がしか
「標高の高いところでスキーをしたい、より
デナリを滑ることではなく、スキーを担いで
を受け取り、自分の人生の中で昇華してくれ
高いところ、より険しいところでスキーをし
カシンリッジを登り、そして南西壁を滑ると
たらという思いも強い。 「社会がいい方向へ
たいっていう欲求はずっとあるんです。ただ、
いう未だ誰も試みたことのない挑戦。 「人類
向かうために、何かができればっていう思い
はずっとあった」と佐々木は言う。自身が植
低温で、さらに日射の影響を受ける南西壁に
どちらがベストなのか？ っていう試行錯誤
村直己に影響を受けたように、次へと繋ぐと
雪がきちんと付いているかどうか。運に左右
を重ねて開発しています。装備に関してはそ
いうことも考えているのだろう。今回のク
される部分も大きいが、出発まで数ヶ月の段
うやって、できるだけストレスがない方向へ
ルーの中には、自身がアウトドアの専門学校
階で、 「不安な部分がいっぱいある」と認めら
と持っていってます。後は一緒に行くメン
で講師をしていた時の教え子が一人いる。昨
れることもまた、佐々木の強さ。40 歳という
バーとどれだけ一緒に時間を過ごして、不透
年卒業したばかりの 22 歳の青年を歩荷とし
年齢は、あるいは冒険家としての知力や経験
明な部分を自信によって埋めることができる
て連れて行くのは、素晴らしい登山家との時
を携えたピークかもしれない。だからこそ、
のか。日々どれくらいの気持ちを持って、あ
間を一緒に過ごして何かを得て欲しいという
さまざまな切り口で語ることのできるデナリ
と数ヶ月を過ごすことができるかっていうこ
気持ちがあるからだ。冒険は必ずしもセル
南西壁を対象に選んだのだろう。今までの人
とだと思います」
フィッシュなものではない。
生が試されるような、冒険。
ジッパーのわずかな重みにまで神経を張り
「高所順応のために、まずは３週間かけて一
「経験のない想像力はただの夢ですけど、偵
巡らせ、ようやく到達する高み。その果てに
度山頂まで行くんです。普通ならそれでお腹
察に行ったり、トレーニングをしたり、似た
どんな感情を抱くのか。出発は 5 月 10 日。
いっぱい（笑）。そこから大きなチャレンジ
ような経験を積んだからこその想像力は、実
日々の積み重ねだけが冒険実現の可能性を少
をするって、少し心配ではありますよね。そ
際に生かされてくるはずですから」
しずつ上げていくことを、佐々木は経験に
の時点でまだ僕の心の中に欲求があるのかど
その似たような経験を求めて、体感温度が
よって知っている。
うか。もちろん今は滑りたいだろうと思って
マイナス 40 度にもなる厳冬の北海道で、 佐々
行くんですけどね（笑）。リスクは考え出し たら、それはもちろんあるんです。でもどれ
木はテストを続けている。 「例えば今、プラスワンワークスでザックを
だけ事前に察知して、アンテナを高く張って、
作ってもらっているんです。スキーを背負っ
突っ込むのか突っ込まないのか。その現場に
て登攀して滑るためにザックを作っているん
立った時にしかわからないコンディションを、
ですけど、かなり完成度が高いものが最初の
どれだけ正しく把握できるのか。それは天候
段階でできていたんです。でも体感温度がマ
や雪の状態だけでなく、自分たちの体力や精
イナス 40 度の世界では、手がかじかんで動
神力も含めたコンディション。自分たちの状
かないのにザックをいじらなきゃいけない。
況を冷静に見極めることは、冒険において、
そうするとまだストレスを感じるんです。
かなり大きな能力ですから」
帰ってきてデザイナーと話をしながら、スト
登って滑るピークのおよそ 5 日間、天候
レスを減らすために部品を一つ大きいものに
に恵まれるかどうか。標高が高く、風が強く
するのか、でもその分、重さが増す、じゃあ
佐々木大輔 1977年北海道札幌市生まれ。ジャパンエクストリー ムスキー大会優勝、 ビッグマウンテンスキーワール ドツアー・フランス大会準優勝などコンテストで活
躍する一方、 マナスル7400m地点からのスキー滑降、 利尻岳西壁、 南稜〜東壁滑降など、 冒険スキーヤーと しても数々の偉業を残している。国際山岳ガイド。
www.norrona.jp
BACKCOUNTRY FREERIDE ノルウェーの厳しく過酷な自然環境下で使用できる、 「耐久性の高い、最高の技術を追求し、 究極のパフォーマンスを発揮する製品を世におくり出す事」 をコンセプトに、動きを妨げる事のない 革新的なウェアを開発しているNORRØNA。壮大なランドスケープ、大自然の野生の風景や気候は、 常にNORRØNA製品のインスピレーションの最大の源となっている。
PROTECT YOU 品質と機能が兼ね備わって、 これらを組み合わせることで出来上がった究極のプロダクトは、 ファブリックの選択、 目的に
合ったディテール、パフォーマンスを中心に構築されている。すべてはマウンテントリップを最高の時間にするために。 アーバン・フリーライディング向けにデザインされた3レイヤーのシェルジャケット。røldal Gore-Tex Jacket ¥79,920 ミリタリージャケットにインスパイアされた、 フリーライディング・スノージャケット。tamok Gore-Tex Jacket ¥79,920
BIG MOUNTAIN SKI & SNOWBOARD バックカントリーでの大滑走に最適な、NORRØNA最高峰のシェル・ジャケット。最高の透湿性と耐久性を兼ね備えたGORE-TEX ® Pro RGR backerを採用し、 生地と 生地
の接合部を極限まで少なくした新しい裁断パターンは、 しなやかな着心地を提供する。ジャケットは着たり脱いだりを繰り返すので、 程よくルーズなシェイプと軽量な ので動きに優れている。吹雪のときに重要なフードは、 被りやすく且つドローコードを引っ張って簡単にフィットさせることができる。パンツのカットは太めで動きや
すく、 シルエットもスタイリッシュなデザイン。フカフカの深雪をラッセルするときも、 長期のバックカントリーツアーに出かけても、 性能を発揮する。ポケットも大き いので地図を畳まなくてもよいし、 コンパスや手帳を入れたままでも全く支障がない。ちょっとしたスナックをしのばせこまめに栄養補給できる。そしてベンチレー ションが大きいので効果的な体温調節ができ、 春でも快適に過ごせる。lofoten Gore-Tex Pro Jacket ¥84,240 lofoten Gore-Tex Pro Pants ¥75,600
STAY DRY AND WARM ベースレイヤーとはその名の通り、 レイヤリングのベースを成す存在。ミッドレイヤー、 アウターをどれ程に自慢の装備で揃 えようとも、 土台となるベースレイヤーの選択が適切でなければ、 それらのポテンシャルを最大限に引き出すことはできな い。レイヤリングの基本は優れたベースレイヤーから始まる。アウトドアプロダクツの基礎であり、 身体を温かく保ち、 非常
に高い速乾性、 また防臭効果も備えており、頻繁に洗う必要もない。左上 lofoten Alpha Jacket (INSULATED SHELL)
¥41,040 左下 Super Hoodie ¥19,440 右上 Powerstretch Pro Hoodie ¥28,080 右下 Wool Round Neck ¥12,960
Publisher: Fullmarks Inc. Editor in Chief / Direction: Kouki Ishibashi Art Direction / Design: Masaya Takeda Photography (Cover/Tamok, Norway): Chris Holter Interview & Text (Daisuke): Toshiya Muraoka
FLEECE & MID LAYER 北欧の厳冬を暖かく、最高のヒートバランスで快適な環境を生み出す。究極の速乾性、パフォーマンスを持続可能にするミッドレイヤー。 NORRØNAスノーカテゴリー製品の中で、 最も保温力の高いフリース・ジャケット。ハイロフトのPolartec ® Thermal pro ®素材は、ミッドレイ
ヤーとして高い保温力を持ちつつ、 グリッド織地によって中の湿気を逃がす通気性にも優れている。サイドと脇下には、Polartec® Power Dry®を 別布で使用し、 動きやすさと高いフィット感を実現。人気のあるプロダクトのひとつ。lofoten warm2 High Loft Jacket ¥28,080
ABOUT NORRØNA
THE HISTORY OF NORRØNA
Welcome to NORRØNA
能な限り追求すること - という考え方を
1929年、 ノルウェー人のアウトドア愛好
フォーマンスを発揮する製品を世に送り
1929年4月29日に創業したノローナは、
生み出しました。すべてのノローナの製品
家であったJørgen Jørgensen (ヨルゲ
出す事」というノローナブランドの哲学を
そのブランドの伝統を、 現在まで途切れる
は、 世界レベルのクライマーやガイド、 ス
ン・ヨルゲンセン) は、 ノルウェーの厳し
定めます。今日、 創業から４代目に移り、 伝
ことなく家族経営によって引き継いでき
キーヤーといったプロによってテストさ
く過酷な自然環境下で使用できる、 耐久性
統的なマウンテンライフが広がりを見せ
ました。私たちのミッションは最高品質の
れ、 開発・製品化されています。彼らが製品
の高いアウトドア用具を作り始めました。
るなか、 今もなお、 ノルウェーのオスロ近
アウトドア製品を開発することです。その
に満足することができれば、 その製品はど
レザーのストラップやキャンバス地の
郊に本拠を置く同族会社です。父祖からの
革新性への情熱は、 私たち独自のデザイン
のアウトドア分野でも機能を発揮し、 世界
バックパック、 コットンのウェアなどのシ
技術革新を追求する伝統を受け継ぎ、 アウ
哲学である【 Loaded Minimalism™ 】-
中のアウトドア愛好家からも選ばれると
ンプルな開発からスタートしたヨルゲン
トドアのあらゆる環境下でも対応する最
クリーンなデザインと高度な機能性を可
確信していています。
は、 「 最高の技術を追求し 、究極のパ
高峰のウェアやギアを提供しています。