MAY 2 017
PARKOUR
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Ice climbing, Canyoning, Camping, Trekking, Fly fishing, Kayaking, Trail running, Rock climbing, Backcountry, Ski & SnowboardING, Mountain biking
ATSUSHI SUZUKI パルクール・トレーサー/UR AB AN UNION
“限界は、自分が考えているよりもっとずっと先にある”
近年では様々なアクション映画などにも
ものだと聞いてます。
当時はそうでしたね。そこで主催している
その独特な動きが取り入れられ、
─パルクールが短期間でここまで世界的に
人たちは体育館行って練習したりもしてるし、
見聞きすることも多くなったパルクール。
広まったのはどうしてなんでしょうか?
時間あれば練習会じゃない日も集まって練習
だが、 その実像を理解している人は
やっぱり映画の影響は大きいと思います。
してるっていうのを聞いて、そこに混ぜても
ほんの一握りなのではないだろうか。
リュック・ベッソンが作った 『YAMAKASHI』
一見、 超人的にすら見える身体能力を
(2001年)という映画がヒットして、日本
らえるようになって、そこからですね。 ─練習会ってどんな雰囲気なんですか?
身につけ、 危険を顧みず都市を駆け抜ける
のパルクール第一世代もその映画に影響を
練習会だと初心者の子にも教えるので、普
パルクールのトレーサーたち。
受けた人たちですね。その後もパルクール
通にウォーミングアップから始めて、まず柵
そんな彼らの実像に迫りたくて、
をテーマにしたりアクションを取り入れた
を飛び越える動作と着地の動作を練習させる
僕たちは日本を代表するパルクールの
映画がどんどん作られているんで、そうい
んです。何事も着地が上手くできないとそこ
パフォーマンス集団、 URBAN UNIONの
う映画が公開されるとやりたいって言って
で怪我するんで。でも、最初はずっと着地な
鈴木淳さんにコンタクトを図った。
くる子が増えます。 あと、 純粋にはパルクー
んで、つまんないかも(笑)。
ルとは言えないかもしれないけど、レッド ブルが主催している〈Art of Motion〉とい う大会があって、その影響も大きいですね。 ─〈Art of Motion〉はどんな大会なんで すか? 障害物競争的にタイムを競うわけではな くて、技に対しての芸術点で争われる大会 です。ただ、 「パルクールは人と競うもの ─まず、すごくざっくりした質問で恐縮な
ではない」と言う人も多いんです。 「あくま
んですけど、パルクールってどんなものなん
で移動術であり、トレーニングのなかで自
でしょうか?
分とどう向き合うか」みたいな。だからパ
基本的には A 地点から B 地点まで、そこ
ルクールを語るときって精神性が強調され
がどんな地形でもどんな障害物があっても、
ることが多いんですけど、僕個人はあまり
いかに速く移動できるかを追求する移動術で
そういうのは好きじゃなくて(笑)。
す。でも、実際はそこにスケボーのトリック
─「パルクールで自分と向き合う」とは?
みたいな感覚で宙返りを加えたりして、魅せ
対戦相手がいるわけじゃないんで、何を
る方向でやっている人が多いですね。
やるにも自分次第なんですね。結果自分を
─歴史はどのくらいなんですか?
見つめることになる。やっぱりパルクール
創始者のダヴィッド・ベルも 44 歳なんで、
に恐怖心はつきもので、そこで自分とぶつ
歴史はまだ浅いです。彼の元軍人の消防士の
かる。能力的にはできる動きや跳躍も、恐
父親が、障害物コースを使うトレーニング方
怖心で発揮できないことがよくあるので、
法を格闘技や器械体操をやっていた息子のダ
いまある身体能力を引き出すために、メン
ヴィッド・ベルに教えて、そこから発展した
タル面がすごく重要になってくる。 ─鈴木さんもきっかけは『YAMAKASHI』 だったんですか? そうです。北海道の大学に通っているとき に見たんですけど、その後就職で上京した ときに東京にパルクールのチームがあるこ とを知って、練習会に参加させてもらった んです。僕が所属しているURBAN UNION の連中もそこにいたやつが多いですね。 ─当時はそれが東京で唯一の練習会だっ たんですか?
About Parkour
鈴木淳
パルクール(parkour)=自分の身体と移動技術を駆使して行
少年時代にバレーボール、 学生時代には総合格闘
どの動作を基本としたオリジナルの移動技術に加え、 振りや回
URBAN UNION所属。一方で少年時代から絵を
うスポーツ。英語圏ではフリーランニング(free running)と呼 ばれることもある。パルクールでは跳ぶ、 登る、 越える、 着地な
転などの技術もその範轄とされ、 動きの種類は多岐にわたり、 実 質的な心・技・体を追求していくストリートスポーツ。
─練習以外の活動もあるんですか?
なかったですから。やっぱりみんな怪我はし
練習が実践ですね。練習すること自体が遊
たくないんで、 「これくらいならできる」って
びでもあるんで。
いう限界線を能力よりかなり安全なラインに
─スケートボードパークでみんなで集まっ
設定してるんですよ。そこから本当の限界ま
てやってるのと同じですね。スケボーやると花
での距離が結構あるんです。外の練習でも無
壇とか見ても 「ここであの技できそうだな」 とか
意識の恐怖心で能力が抑えられちゃうんで、
思ったり、街を見る目線が変わってきますよね。
体育館とか安全な環境を用意すると自分でも
そういう感覚ってパルクールにもありますか?
びっくりするような距離を飛べたりする。若
僕らも「スケボーの人たちもこんな感じだ
い頃はみんなそこを根性で突破しようとして
ろうな」ってよく話してます(笑)。歩いてて
いて逆に危なかった。恐怖心を乗り越えると
面白そうなとこあったら立ち止まってそこで
か言うとカッコいいですけど、能力が伴って
練習始めたりするんで、目的地になかなか着
いないとただの無謀行為なんで、そこのバラ
かない(笑)。
ンスは難しいです。
─移動術なのに (笑)。やっぱり子供の頃、
─パルクールのアクションって一般人か
木に登ったり、階段の上から飛び降りたりの
らすると超人技にすら見えるんですけど、そ
延長という感覚なんでしょうか?
ういう力を手に入れてパースペクティブが変
最初の練習会で感じたのがまさにその感覚
わった部分はありますか?
で、小さい頃に感じた原始的なワクワク感を
オリンピックに出るような人って昔は人種
感じたのはすごく覚えてます。
が違うくらいに思っていたんですけど、基本
─やっぱり木登りが好きな子だったんです
は同じ人間なんだと思えるようになりました。
か?
もちろん、そこまで行くのにはセンスとか努
いや、家で絵ばっか描いてる暗い子でした
力とかいろんな状況が重なるとは思うんです
技に触れ、 大学卒業後にパルクールと出会い、 現在 は日本を代表するパルクール・パフォーマー集団 描くことが好きで、 本業としてはイラストレー ター/グラフィックデザイナーとして活動中。
けど、大抵のことは練習していればいつかは
いるうちにさらに原初に辿って、サルの感覚
─それは意外ですね。
できるようになるんだろうなって。
になるんだ(笑)。
自分が宙返りできるようになるとは思って
─僕らはいま鈴木さんに対して人種が違
だから一時期「ギボン」って手長ザルの動
うと思ってますけど(笑)。
画を仲間内でずっと見てました。その動きを
それがやってみると意外とできるようにな
取り入れられないかと (笑) 。 でも、 それもさっ
るんですよ。それまで限界だと思っていたも
きのオリンピック選手の話と同じで、自分た
のが、自分が勝手に作っていたものだとわか
ちと地続きだと思えるようになってんです。
(笑)。
るというか。限界って、自分で考えているよ
同じ動物なんだなって。
りもっとずっと先にあるんです。でも、それ
─そこの垣根が取り払われるって凄いな。
を「自分を突き詰める」とか言うのは、あん
さっき「パルクールはあくまで遊び」って言
まり好きじゃないですけど。自分にとってパ
われましたけど、例えばテーマパークに行く
ルクールはあくまで「遊び」なんで。
のとパルクールやるのって、同じ「遊び」と
─でも、遊びだとしたら怖いばっかりで楽し
はいえ全然違いますよね?
くなかったらやらないですよね。鈴木さんはパ
そうですね。ひとつ思うのは、パルクール
ルクールのどこに楽しさを感じているんですか?
は仲間とか共有できる連中がいるから楽し
根本的に自由に動きたい、イメージ通りに
いっていうのは絶対にあって、だから自己主
動きたいっていう欲求があって、それができ
張というか、自己表現ではあると思います。
たときの快感なり達成感なのかな?
その流れで、実はいま山の岩場とかでパル
─それって続けるほど増していますか?
クールできる場所を探しているんです。街中
そうですね。できることが増えることに
とは違う環境でやることで動きも変わってく
よって、調子が良いとテンション上がったサル
るはずなんで。動画撮るのも好きなんで、そ
が飛び跳ねているみたいな感覚になる(笑)。
ういう場所で撮ったら面白そうだなって。
─子供の頃木登りしていた感覚が、続けて
─いっそう猿に近づいていきそうですね (笑) 。
PLAY HARD, PUSH BOUNDARIES, HAVE FUN.
www.houdinisportswear.com/jp/
M ade t o M ove Pushing the boundaries A new concept for constructing garments
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www.papersky.jp Publisher: Fullmarks Inc. Editor in Chief / Direction: Kouki Ishibashi Art Direction / Design: Masaya Takeda Photography (Atsushi) / Interview & Text (Atsushi): Masaaki Mita
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