Digital Food & Climate Shapers Boot Camp | JP

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日本版


索引 イントロダクション パートナー Boot Campの要素 体験学習型アプローチ 数で知るBoot camps スケジュール Future Foodチーム Future Food 講演者 日本人講演者 国際的な講演者

キックオフ

の開催背景 デジタルブートキャンププロ グラム キックオフからの学び 要約

03

第1週目の概要 今週の学び. 要約

Future Food Institute

35

第3週

42

第4週

48

ハッカソン

56

終わりに

61

第2週目の概要 今週の学び 要約 第3週目の概要 今週の学び 要約

22

Boot Camp

第1週

第2週

28

第4週目の概要 今週の学び 要約 ハッカソンについて 参加者の声

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パートナー パートナー Boot Campの要素 体験学習型アプローチ 数で知るBoot camps スケジュール Future Foodチーム Future Food 講演者 日本人講演者 国際的な講演者

Future Food Institute

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イントロダクション

パートナー 製作者 は国際的な社会 的企業であり、研究ラボ、協力、独創 力、プラットフォーム、ネットワー ク、起業家プロジェクト、および学術 プログラムの集合体である Future Food Ecosystem の土台となっていま す。世界クラスの先駆者の品種を啓蒙 し、起業家の可能性を高め、農業食品 の専門知識と伝統を改善することによ り、統合された生態系の再生に基づい た、より公平な世界の構築を目指して います。 Future Food Institute

協働

Food and Climate Shaper Boot Camp

は、学習エコシステムを再設計するチ ャンスです。教育の概念を、人類の向 上という究極の目標を持った、継続的 で協調的な価値に基づくプロセスに変 え る の で す 。 Future Food Institute は、 FAO と提携して、気候形成者 (Climate Shapers)に力を与え、コミュ ニティを結び付け、食料システムの課 題に対する革新的な解決策を提供する ことで、循環型で持続可能な農業食料 システムの知識を促進できることを光 栄に思います。 Sara Roversi Future Food Institute

Future Food Institute

創業者 04


イントロダクション // パートナー

サポート は、食に関わる社 会的課題を解決するために人と場をつ なぐ仲介役として、食品産業の発展や 地球と人びとの未来につながる公益性 を追求し、軽快なフットワークで具体 的な活動を行う必要があると考えてい ます。当組織は、主に以下の4つの分 野を中心に活動していきます。 食に携わる人々に学びの場を提供し、 次世代のリーダーや食の分野に関心を 持つ人 の育成を図ること。 食の分野に関心を持つ多様な人びとが 集い、気軽に、そして真剣に意見を交 換し、信頼に基づいた価値を創造する 場とすること。 多様な人びとが都市につながることで 生まれる新しい価値を実践し、信頼に 基づいた価値を創造する場とするこ と。八重洲、京橋、日本橋のエリア全 体を、食の未来をアップデートし続け るリビングラボとして活用します。 食の未来につながるさまざまな取り組 みを国内外に発信すること。 Tokyo Food Institute

レガシーパートナー

私たち東京建物は、創業者である安田 善次郎が旨とした「お客様第一の精 神」と、 時代の流れを先んじて捉える「進取の 精神」を原点に、企業活動を展開して まいりました。 そして、その想いは、創業から一世紀 を超えた今も、東京建物の原点として 存在し続けています。

Future Food Institute

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イントロダクション

の要素

Boot Camp

勇気 好奇心 環境再生型食品システムの体 験学習アプローチ 現在、私たちが直面している課題を解決 するには、新しいアイデア、新しいアプ ローチ、新しい考え方が必要です。 このカリキュラムは、参加者がライブ体 験、課題、プロトタイピング演習、チー ムワークベースのイノベーションチャレ ンジ、メンターシップセッション、先見 性のある起業家、政策立案者、イノベー ター、思想的指導者によるインスピレー ショントークなどで構成される国際ワー クショップ環境に参加できる体験型学習 プラットフォームに基づいて構築されて います。 Future Food Institute

繋がり オンライン/オフラインの方法論 デザイン思考と繁栄思考 完全な生態学的アプローチ 環境再生型作用 最も革新的な新しいプログラムに対 する GoAbroad Award の表彰

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イントロダクション

体験学習型アプローチ 農場から食卓まで、都市から海まで、食 料は生活のさまざまな側面に触れていま す。そのため、それぞれのBoot Campは 対応する学習目標に沿った特定の再生ト ラックに従います。Digital Boot Campや 一部場所によっては、複数のトラックが 提供されますが、他では、より焦点が絞 られています。

環境再生型農業

環境再生型都市

環境再生型海洋

環境再生型食卓

Future Food Institute

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イントロダクション // 体験学習型アプローチ

さまざまなトラックが次のトピックに触 れ、学生に各分野の機会と課題の概観を 提供しました。

環境再生型農業

環境再生型都市

環境再生型海洋

環境再生型食卓

食糧安全保障 収穫規制 水の増加及び土壌利用の効率性 価値創造 土地と土壌の改善 生物多様性の向上 適正価格 気候変動対応型農業

乱獲及び持続不可能な漁業の中止 海洋生態系の保存 ブルーエコノミーにおける透明性と追 跡可能性の促進 価値創造 養殖漁業の持続可能な管理 持続可能な海洋資源の利用 小規模漁業への社会的、経済的な支援

Future Food Institute

栄養失調との闘い 食料品アクセスの改善 水の増加及び土壌利用の効率性 責任ある利用及び生産 フードロスの減少 食料生産性、流通、消費の効率性の 向上

未来のためのレシピ開発 責任ある利用と生産 フードロスの減少 飼養者の能力強化 革新的なテクノロジー&準備 フレーバー思考&創造性 料理の成功要因 行動変化の促進 作物と味の多様化

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イントロダクション

数で知るBoot camps 仲間のプロファイル

専門家の背景 16%

若手専門家とフリーランサー 15%

国際性 当社の気候形成者(CLIMATE SHAPERS)は、 世界中の 30 か国以上から集まり、多様な文 化的視点をもたらします。

産業界のリーダー 15%

起業家 13%

高等教育学生 11%

青年

学際性 気候形成者(Climate Shapers)は、環境研 究者からシェフ、若手の活動家まで、さ まざまな専門的背景を持っています。

8%

研究者 & 大学教員 7%

デザイナー 7%

料理専門家 4%

農業専門家

世代間

4%

気候形成者(Climate Shapers)は、経験を融合 させて新しい解決策を革新することで、世代 間の隔たりを埋めます。

1%

Future Food Institute

活動家 & NGOs 政策立案者 09


イントロダクション//数で知るBoot Camp

日本版

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日本全国からの参加者: 役員13 名、創業者4名、学生5名、個人 2名

6

日本からの感 動的な講演者 と専門家 Future Food Institute

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そして、全世 界から

9 Future Food Ecosystem

か らのメンター

2

ネットワーキングを 促進し、食のコミュ ニティを構築するた めの場所、キッチン スタジオ スイとバシ ティラボ東京 10


イントロダクション

スケジュール MON

TUE

WED

THU

FRI 4

月1日

SAT

SUN

2

3

9

10

16

17

23

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キックオフ 4

5

ECOSYSTEM THINKING

FARMS

11

12

DORMANT RESOURCES

CITIES

18

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PROSPERITY THINKING

OCEANS

25

26

REAL PURPOSE OF ECONOMY

KITCHENS

2

3

4

9

10

11

インスピレー アスピレーシ ション ョン

インスピレー アスピレーシ ション ョン

インスピレー アスピレーシ ション ョン

インスピレー アスピレーシ ション ョン

6

7

8

アクション FARMS

13

14

15

アクション CITIES

20

21

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アクション OCEANS

27

28

29

30

5

6

7

12

13

14

アクション

5

月1日

KITCHENS 8

ハッカソン ハッカソン ハッカソン ハッカソン ハッカソン ハッカソン キックオフ ピッチ

Future Food Institute

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イントロダクション

チーム

Future Food

SARA ROVERSI

経験豊富な起業家、ソートリーダー(思想的リーダー)、食のエコシス テムにおけるディスラプター(創造的破壊者)。世界的に著名なシンク タンクと協力し、持続可能な食品産業のためのアジェンダ設定に取り組 んでいる。教育、研究プロジェクト、破壊的イノベーションの体験(ハ ッカソンなど)を通じて、創造的で責任感のある食品起業家を次のレベ ルの成果に導くことを使命とする非営利団体Future Food Instituteと、デ ジタル、デザイン&フードに特化した30社(200人以上の明るくダイナ ミックな個人を含む)からなるYou Can Group(2004年に設立)のディ レクターを務める

ALESSANDRO FUSCO

リードおよびFuture Food Instituteエデュケーションリ ード。シニアマネージャーとイノベーションマネージャーとして10年間 の企業経験を積んだ後、スタートアップ企業を設立し、没入型のストー リーテリングによってワインの体験方法を変革している。また、ミラノ 工科大学のほか、複数の大学で教鞭をとっている。現在、人類や地球環 境への十分な配慮のもとで、フードエコシステムに革命を起こすべく、 FFエコシステム全体で教育、イノベーション、コミュニティのイニシア チブをリードしている。 Future Food Japan

VIRGINIA CEPOLLINA

エコシステム全体のコーポレートアフェアーズを監督。リーダーシップ チームと密接に協力しながら、新たなビジネスパートナーシップや目標の ためのフレームワークを構築している。法学修士号を優秀な成績で取得 し、ジェノバ裁判所にて弁護士および法律事務員として勤務していた。フ ルブライト奨学金を得た後、将来のイタリア企業のイノベーションリーダ ーを育成することを目的としたサンフランシスコのB.E.S.T.プログラムに 参加。 FF

Future Food Institute

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イントロダクション // Future Foodチーム

CLAUDIA LARICCHIA

の責任者・環境活動家。女性や 若い才能のエンパワーメントを提唱し、その普及活動が認められ、1691年 科学アカデミー「Accademia dei Fisiocritici」で「Academic」にノミネー トされる。ピッツバーグで、元米国副大統領でノーベル平和賞受賞者のア ル・ゴア氏が主宰する「クライメート・リアリティー・プロジェクト」の トレーニングに参加。 現在、Italian Federation for Human Rights(FIDU)の環境・イノベーショ ン委員会のイタリア国内委員長を務める。また、 Women's permanent Forum が設立した「 Women Pact for Climate and Environment 」の国内コ ーディネーター、経済学で卒業したシエナ大学(イタリア)の同窓会の創 設者、理事も務める。食品マーケティングで大学修士号、神経言語プログ ラミングで修士号を取得。気候変動に対するコミットメントとアクション が評価され、 2 度の受賞を果たした( Argos Hippium 賞および「 Women who made it 」 ) 。 Italian National Association for Young Innovators ( ANGI )、フォッジャ大学(マーケティングおよび食品科学)、 Accademia Panino Italiano財団などの運営委員会のメンバー。 Future Food Institute Institutional Relations

MARY HUNT

メアリーはFuture Food InstituteのGlobal Bootcamps Project Managerであ り、教育、生態系の健全性、食料安全保障と栄養、食料廃棄、持続可能な 資源の利用に情熱を注いでいます。彼女は、ボローニャ大学で地球変動生 態学の修士号を、モンタナ州立大学で持続可能な食料システムの理学士号 を取得しています。彼女は科学教育に 10 年以上携わっており、米国、ウ ルグアイ、スペイン、そして現在はイタリアで学生を指導しています。彼 女は、誰もが質の高い教育を受け、十分な情報に基づいた決定を下せるよ うに個々人の能力を高めるべきであり、そうすれば世界を変えることがで きると信じています。

Future Food Institute

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イントロダクション

Future Food

講演者

SONIA MASSARI

アカデミックディレクター。サステナビリティ教 育、フードデザイン、イノベーティブなアグリフードシステムの分野で、 研究者、講師、コンサルタント、デザイナーとして20年の経験を持つ。イ タリアとヨーロッパの大学で教鞭をとり、バリラ財団のシニアリサーチャ ーでもある。さらに、 Association for the Study of Food and Society の理 事、International Journal of Food Designの編集委員を務める。 Future Food Academy

GIANNI LORENZONI

ボローニャ大学名誉教授。 AlmaCube SRL の創設者であり、 Banca di Bologna Credito Cooperativo SC、MARAZZI SRL、Fervi SpA、Jcube SRL の取締役、Bologna Business Schoolの会長、米国経営学会の戦略経営研 究学会会員、Lebsc SRLのパートナーでもある。戦略的経営と組織ネット ワーク形態にフォーカスし、研究活動を行っている。

MATTEO VIGNOLI

ボローニャ大学イノベーションデザイン・経営科学・工学部助教授、スタ ンフォード大学およびライアソン大学客員研究員、デザイン思考 ME310/SUGAR ネットワークメンバー。また、 CERN の Challenge Based Innovation Initiativeの創設メンバー、Almacubeのオープンイノベーション 担当、フードイノベーションプログラムのアカデミックディレクター、 Future Food Institute の役員兼共同創設者、 Future Food Ecosystem のグロ ーバルリーダーでもある。デザイン思考の応用を中心とした研究、トレー ニング、ビジネスプラクティスのすべてを通じて「未来創造」を実践して いる。

Future Food Institute

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イントロダクション // Future Food 講演者

FRANCESCO “PACO” RON ALVAREZ

人間栄養学と食品学を専攻し、ガストロノミーサイエンスの修士号を取 得。健康的で持続可能な、イノベーティブでおいしいレシピ、食品、食体 験の開発に深く関わっている。2019年よりFuture Food Instituteにて、教育 やイノベーションの側面から、健康、科学、食のイノベーションを人々や 企業にもたらすことに従事している。

ANDREA MAGELLI

年にLifeinaclickを創業し、現在もCEOを務めています。2006年 トリノオリンピック、2010年バンクーバーオリンピック、2014年ソチオリンピッ クの聖火リレーで、Lifeinaclickチームのプロジェクトリーダーを務め、大会のデジ タル画像中継を担当。2006年には、イタリアのデザイン市場にMolo design ltdを紹 介する会社You Can srlを設立し、現在もこのカナダ企業との商業的パートナーシッ プを継続しています。2006年、Sosushiを設立し、7年間CEOとして経営に携わりま した。2013年からは、14店舗を展開するイタリア製グルメバーガーチェーン・Well Done burgerのCEO兼創業者を務めています。2018年、Welldone SpAの取締役会長 に就任。 2014 年 6 月、 Laurent-Perrier Champagne Group のイタリア子会社である Laurent-Perrier Italia SpaのYou Can Groupを通じてパートナーとなり、2016年まで コミュニケーションとイノベーションプロセスの責任者を務めました。2014年、非 営利団体Future Food Instituteを設立し、2016年よりFuture FoodのCEO、2017年よ りScuderia - Future Food Urban CoolabのCEOも兼任しています。 Andrea Magelli 2004

CHHAVI JATWANI

フードデザインとシステム思考の分野で国際的な経験を持つ、Future Food Networkのデザイン&イノベーションリーダー。集約型から再生型、中央 集権型から分散型、味と利便性重視から健康とウェルビーイング重視への システム移行を推進したいという野心を持って食の世界に足を踏み入れ た。研究開発プロジェクトやイノベーション・ワークショップを通じて、 Dole 、 Barilla 、 Ab-Inbev などの大手 FMCG 企業が、人間と地球を中心とし た課題への取り組みを支援している。現在は、フードシステムのさまざま なステークホルダーのニーズと地球のニーズを結びつけるエコシステム・ アーキテクトとして、人間と地球を中心とした新しい方法論を開発し、シ ステミック・イノベーションを推進している。

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イントロダクション

日本人講演者 NAOKO OISHI

兵庫県出身。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。同志社大学大学院総 合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション研究コース博士課程修 了。現在、龍谷大学京都社会科学研究所教授として、社会イノベーショ ン、農業・農村政策などを研究している。さらに、衣食住の自給自足を 通して、「スロークローズ活動」などの教育活動を展開している。

HIROSHI YOSHIOKA

研究開発を主体としたファブレス企業、メビオール株式会社取締役。メビ オールは、医療用に開発された最先端の膜およびハイドロゲル技術を世界 で初めて導入し、安全で栄養価の高いものを育てるサステナブル・アグロ テクノロジー(アイメック®)を開発した。国内では、アイメック®によ る収益性の高いトマト生産事業が勢いを増している。アイメック®は、海 外では地球温暖化による水不足や土壌の劣化による大規模な食糧不足を解 決する手段として期待されており、中東、中国、アフリカ、ヨーロッパに 展開されている。

RITSUKO YONEDA

年、農林水産省入省。20年以上にわたり、農林水産・畜産政策に携 わる。国際部では、OECD、G7、G20、国連食料システムサミット2021 など、さまざまな国際フォーラムの代表を務める。現在、FAO本部(ロ ーマ)にてコンサルタントとして活躍中。国際法、政治学を専門とし、 米タフツ大学フレッチャースクールで法外交学修士号を取得。 1999

Future Food Institute

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イントロダクション // 日本人講演者

HITOSHI SUGIURA

エグゼクティブシェフ。関西・東京のレストランで研鑽を重ねた後、2009 年に渡米し、全米約50店のレストランを展開するパティナレストラン創業 者兼総料理長のジョアキム・スプリチャルの元で感性と技術を磨く。2019 年より、全国でフード・レストラン事業を展開する株式会社 ONODERA GROUP のエグゼクティブシェフを務める。さらに、大きな功績のひとつ に、LEOCが運営する1000以上の事業所で、エグゼクティブシェフとして ビーガン料理を提供した「1000 Vegan Project」がある。

MASAYOSHI ISHIDA

立命館大学食マネジメント学部教授。スローフード・インターナショナル 元日本担当官、のちに国際理事。フィレンツェ市公認ガイド。専門はフー ドアクティビズム。

SHUNJI MURAKAMI

サンフランシスコ州立大学にて自然地理学とビジネスを専攻し、帰国後パ タゴニア日本支社で勤務した後、米国オレゴン州所在の国際環境NGO Wild Salmon Center の日本コーディネーターとして勤務。その後、国際環境 NGOオーシャン・アウトカムズ(O2)の設立メンバーとして日本支部長に 就任し、 2018 年に株式会社シーフードレガシーと合併、取締役副社 長/COOとしてサステナブルな漁業・地域・事業を創出する部署を統括。 2021年に株式会社UMITO Partnersを設立し、水産エコラベル認証コンサル ティングやサステナブルな漁業を目指す「漁業改善プロジェクト」の導入 そしてトレーサビリティシステムを含むDX化支援など「100年後も続く漁 業と地域を目指した事業の創出と伴走」に尽力する。

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イントロダクション

国際的な講演者 TIM WEST

スローフードのシェフから社会起業家、食のフューチャリストへと転 身。大学1年の時にファーストフードで食中毒を起こしたことがきっかけ で、スローフード運動に出会い、できるだけ多くの人に再生可能な食事 を提供することに一生を捧げる。自身のコンサルティングと教育イベン ト会社であるTrue West Venturesを通じて、ラーニングジャーニーの設 計、フードハッカソンの創設、パネルでの講演、スタートアップへのア ドバイス、経営者の配置、Facebook、Yahoo、Verizon Media、Clorox、 Couch Surfing 、 Burning Man 、 Tesla 、 Airbnb 、 PMI 、 The Center for the Edge @Deloitte 、シンギュラリティ大学、 The Institute for the Future 、 The Food Business School 、アメリカ調理大学、 SwissNex 、 General Mills 、 Quaker 、 Nestlé 、 Mars などのクライアントとの協働を行ってい る。 ​

STEPHEN RITZ

生徒がより良いコミュニティで生活し、学び、収入を得るために、自分 たちのコミュニティを離れる必要はないという考えを持つ、サウス・ブロ ンクスの教育者。ベストセラー「The Power Of A Plant」の著者、「Green Bronx Machine」の創設者でもあり、国際的に高く評価され、数々の賞を 受賞している。また「アメリカの人気教師」「子どもの達人」としても知 られており、世界で初めて「エディブルクラスルーム」の作成を担当し、 それをNational Health, Wellness and Learning Centerに発展させた。Ritz氏 は生徒とともにサウス・ブロンクスで 115,000 ポンド以上の野菜を栽培 し、その過程で学校の出席率を毎日40%から93%に引き上げ、ブロンクス で2,200人の若者に仕事を提供することに貢献した。 S

TODD PORTER

東京を拠点とする起業家。Prosperity Exchange、EDGEof、 the Planetary Insight Center 、 Cambridge Innovation Center 、 Venture Cafe 、 The Blue Economy、Future Food Networkを含む相互接続されたコミュニティ、ツ ール、プラットフォーム、ベンチャーのポートフォリオで同業者とコラ ボレーションしている。さらに、EDGEof Technology社の社長として、 すでに初期に利益をもたらしているテクノロジーが、信頼できるパート ナーを通じて新たな国に利益をもたらす支援をすることに力を注いでい る。

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イントロダクション // 国際的な講演者

PHILIPPE BIRKER

ヨーロッパのリジェネラティブ(環境再生型)農家を支援し、クライメ ート農家を通じて土壌を再生させるという重要な仕事を担っている。ま た、リジェネラティブカルチャーやリジェネラティブリーダーシップの 研究・実験も行っている。Birker氏は、リジェネレーションへの道を歩み 始める前、さまざまなスタートアップで5年間、ビジネスとコミュニティ 開発に携わっていた。シェアリングエコノミーのPeerby、エレクトロニ クスのFairphone、そして前職のRitual technologiesとソフトウェアに至 るまで、様々な分野での経験を持っている。2009年以来、一斉火吹きの 世界記録保持者であり、Ashoka's Changemaker のコミュニティ、Viva con Agua、そして2013年に共同設立した世界中に500人のメンバーを持 つNGO、Love Foundationの一員でもある。

CHRIS RICHMOND

の創設者。Mygrantsは、意識を高め、新たなスキルを身につけ、 信頼性を高めるのに必要な情報やトレーニングを提供するオンライン教育 プラットフォームの運営を行っている。同社のアプリケーションは、移 民・難民に3つの言語でテーマ別のクイズモジュールを提供し、庇護制度 のすべての手続き段階における基本的な情報、ガイダンス、法的支援を提 供している。 Mygrants

FERDA GELEGEN

国際連合工業開発機関 東京投資・技術移転促進事務所( UNIDO ITPO TOKYO)次長。様々なアクティビティ、技術移転、セミナーやイベント、 能力開発、海外での活動(ビジネスミッションやネットワーキング)を通 じて、日本からの海外直接投資(FDI)や技術移転を促進し、開発途上国や 新興国、経済移行国が包括的かつ持続可能な経済発展を達成するための支 援を行っている。

Future Food Institute

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イントロダクション // 国際的な講演者

KARIM EL-JISR

の最高サステナビリティ責任者。Diamond Developers は、ドバイで最初に不動産市場に参入した企業の一つとして「未来のある べき姿」について野心的なビジョンを持ってスタートし、未来型・持続可 能な都市づくりに特化した不動産の新時代を切り開いた。同社は2012年、 この地域初の完全持続可能なコミュニティ開発である「サステナブルシテ ィ」を建設した。このコミュニティは、自然環境の中で、地球や未来の世 代の人々のニーズを損なうことなく、持続可能で低炭素の生活を提供する もので、Gulf Real Estate Award(GREA)の「ベスト不動産デベロッパー – 持続可能なグリーン開発」賞など、数々の賞を受賞している。 Diamond Developers

STINE NORUM

私たちが知っている現在のフードシステムを打破する未来型食品企業、 Foodfulの創設者兼CEO。Foodfulはプラントベースフードや養殖魚介類を 生産している。同社は最初の製品(プラントベーススモークサーモン)を 発売したばかりで、現在メニューとグローバル展開の両方の拡大に向けて 邁進している。

Future Food Institute

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イントロダクション

Boot Camp

世話役

CHRISTIAN SCHMITZ

バイエル、BASF、ヘンケルという大手企業のキャリアを経て、2009年 以来アヴェンタを設立し、様々な外資系企業や日本企業の経営コンサル ティングを提供する。複数のスタートアップの経営や投資にも携わって きて、PDIEグローバルエコシステムの創業者として、世界中のイノベー ターのコミュニティーを構築し、日本と世界を価値創造イノベーション で繋ぐ。DCXというフードコモディティのブロックチェーンスタートア ップのCMOとしても活躍している。イノベーションによって、より良い 世界を作って行くのがパッションです。 A

NORIKO SHINDO

徳島生まれ、ロンドン育ちで2011年に外資系金融機関に入社。2017年に にてMBAを取得の後アマゾン・ジャパンに入社。本業の傍ら2018 年に無料ビーガンサイトveggino.jpを運営開始し、2020年からヘレンと Ekolokal株式会社を立ち上げる。

INSEAD

Future Food Institute

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キックオフ

の開催背景 デジタルブートキャンププログラム キックオフからの学び 要約 Boot Camp

Future Food Institute

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キックオフ

の開催背景

Boot Camp なぜ?から始めよう

意思を行動に移し、行動を課題解決に変 化させていく。この変化こそ、環境や経 済、人道の観点を含めた社会全体に対し て影響を与え、現代における課題解決に 必要とされるものである。 本ブートキャンプの狙いは、持続可能な 開発目標( SDGs )のすべてに共通する 「食」を起点として、複数の専門分野と の真のつながりを生み出すこと、複雑性 を受け入れ、各要素を点で結ぶこと、柔 軟性を鍛えること、そして体験的に学ぶ ことにある。

地球上の生命に食を通じて持続的でポジ ティブな変化をもたらすことを目的とす る。「FAO」は、世界の食糧生産と流通 の改善を通じた、飢餓撲滅を目的とした 国連の専門機関である。 デジタルブートキャンプは、 2021 年に 「最も革新的な新しいプログラム-海外留 学賞( Most Innovative New Program – Study Abroad Award in 2021 )」に認定 されている。最高のイノベーションは、 多様なアイデアや視点が混ざり合うこと により生まれる。そのため本ブートキャ ンプでは、若者、起業家、シェフ、政策 立案者、研究者、イノベーターといった 多様な「 Climate shaper (気候変動に対 して行動する者)」に対して、同プログ ラムを通じたトレーニングを実施してい る。 これまで世界中で合計6回のブートキャン プを開催し、2022年4月1日、デジタルブ ートキャンプ初の日本版として、日本の 言語、課題、開催時間に合わせて再構成 された。

Food & Climate Shapers Digital Boot Camp

日本版とは?

Food & Climate Shapers Digital Boot Camp Future Food Institute FAO( )

は、「 」と 「 国際連合食糧農業機関 」が共同設 計した、革新的かつ体験型の学習方法論 である。「Future Food Institute」は、イ タリアを拠点とする国際的なエコシステ ムであり、 Future Food Institute

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キックオフ

デジタルブートキャンプ プログラム

オンラインとオフラインを交えた5週間の短期集中ワークで、再生を意味する「リジェネ ラティブ」をメインテーマとして「農場」「都市」「キッチン」「海」の4分野について 学んだ。日本全国から24名の参加者、世界中から集まった21名の刺激的なスピーカーと 専門家、そしてFuture Food Ecosystemの9名のメンターが参加した。 デジタルブートキャンプ日本版では、4月初旬のキックオフから始まり、リジェネラティ ブに関わる4つの異なる分野を探求し、ハッカソンで締めくくられる構成となっている。 各週は、3つの異なるトレーニング(Future Food Learning Approach)によって構成され ており、フードシステムの異なるセグメントから、課題、可能性、洞察、実際の事例、 ソリューションに触れる。

INSPIRATION:

学びとイノベーションを融合させ、 先見性のある専門家の視点から、未 来の展望を得る。 ASPIRATION:

自分の考えを認識し、自分の潜在能 力を引き出していく。 PERSPIRATION:

アイデアを行動に移し、地域社会を 変革する。

Future Food Institute

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キックオフ

キックオフからの学び 「食は生命であり、栄養であり、エネ ルギーであり、伝統とアイデンティテ ィの象徴です。食は、それを作る 人々、それを取り巻く環境、生物多様 性に関わっています。食べ物について 話すとき、言語を超えて私たちをつな いでくれます。食事を囲むテーブルで 喧嘩をする人はいません。」 “

食: 全ての物の結合子

食は、外交・経済・個人と社会の 幸福・文化など、すべてのSDGsを 含む、すべての人とすべてのもの をつなぐ

- Sara Roversi, Future Food Institute

今日、私たちが日々行っている食の 選択は、私たちの健康、地球の健 康、そして地域社会の健康から切り 離されている。このことは、飢餓で 亡くなる人がいる一方で、太り過ぎ や栄養不足による病気に苦しむ人が いる、といった現代のフードシステ ムのパラドックスにも現れている。 そして、世界の温室効果ガス排出の 3 分の 1 は食糧に由来している一方 で、食糧廃棄はいまだに深刻な懸念 事項となっている。 その一方で、食には素晴らしい魅力 がある。外交、経済、個人と社会の 幸福、文化など、すべての SDGs を 含むすべての人とものをつなぐこと ができることはその魅力の一つで ある。

Future Food Institute

創設者

より良い未来を築くため に新たなマインドセット を構築

より良い未来を築くためには、人間が 食と自然のシステム(エコシステム) の中の不可欠な一部であり、繁栄を包 括的に考えることが必要となる。これ が、繁栄思考(proserity thinking)が 目指すものである。

私たちは、社会、環境、経済、文化の 相互的な深い関わりから、そのバラン スを取り戻すことが必要とされる。そ れは、人間を頂点とする人間中心のイ ノベーション(エゴシステム)ではな く、人間を食と自然のエコシステムの 一部と捉えることを意味する。

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キックオフ // キックオフからの学び

グリーンゾーンのイノベーショ ン

HUMAN NEED

例:綺麗で便 利な飲み水へ のアクセス

PLANET MEANS

例:海からプラスチックの回収 Inspired by Doughnut economics by Kate Raworth

繁栄思考(prosperity thinking)は、地球 の生態資源の範囲内で、人類すべてのニ ーズを満たす世界をデザインするための 方法論的アプローチである。その目的 は、経済成長だけでなく、社会的、環境 的な幸福も含め、包括的な繁栄の考え方 を共有し、より良いフードシステムを設 計できるようにすることにある。 これは、2050年に100億人の人口をどう 支えるか、さらにその先の2100年に人口 が再び減少するという食の未来に関する 課題を解決する上で極めて重要である。

強固でレジリエンスのあるエコシステム を構築するためには、クリエイティビテ ィを評価し、イノベーティブな人々を結 びつけ、アイデア開発を支援する環境を 構築することが重要である。通常、初期 段階のアイディアや構想を持つイノベー ターに対する世間からの注目度は低い が、そのアイディアに耳を傾け、サポー トできるような環境を整えていくことが 必要となる。東京を拠点とする起業家 で、 EDGEof Technology Japan のチーフ エコシステムオフィサーである Todd Porter 氏も、社会起業家の概念を開拓し た際にグローバルコミュニティーにおい て、その重要さを実感していたそうだ。

ジャズから学ぶ、つなが りのある生態系の構築

「適切な環境に適切な人がいる。計画 性よりもジャズのようなものです。日 本は計画的になりがちですが、少しジ ャズを混ぜればいいんです。」

強固でレジリエンスのある生態系を構 築するためには、ジャズのように適切 な環境に適切な人材を投入することが 大切である。 Future Food Institute

- Todd Porter, EDGEof Technology

社長

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キックオフ

要約

食: 全ての物の結合子 食は、外交・経済・個人と社会の幸 福・文化など、すべてのSDGSを含 む、すべての人とすべてのものをつ なぐ FORGING A NEW MINDSET TO BUILD A BETTER FUTURE

より良い未来を築くためには、人間 が食と自然のシステム(エコシステ ム)の中の不可欠な一部であり、繁 栄を包括的に考えることが必要とな る。これが、繁栄思考(proserity thinking)が目指すものである。

ジャズから学ぶ、つながりの ある生態系の構築

強固でレジリエンスのある生態系を 構築するためには、ジャズのように 適切な環境に適切な人材を投入する ことが大切である。

参加者の声

何気ない出会いの最初の瞬間であるKick Offは、Boot Campの参加者が自己紹介を する機会でもありました。学生、食品ビ ジネスマン、そして起業家が一堂に会 し、野心と願望を共有しました。例え ば、食料から、また食料とともに生み出 される相互関係を見ることまた、食料部 門内でのアイデアの交換と協力関係の構 築することです。持続可能な未来のため の解決策を共同で設計することは、将来 の気候形成者(Climate Shapers)から直接 この学習過程の開始時に共有された期待 の一部でした。 Digital Boot Camp

た! Future Food Institute

日本版が始まりまし 27


第1週

REGENERATIVE FARMS

第1週目の概要 今週の学び. 要約

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第1週

第1週目の概要 年4月4日〜4月8日にかけて、「FOOD & CLIMATE SHAPERS DIGITAL BOOT CAMP」 の第一週目、「再生農業(Regenerative Farms)」をテーマとしたセッションが実施さ れた。 各分野の専門家から、農業食糧システムに影響を及ぼす現在の課題を学び、環境再生農 業、カーボンマイナス農業、フィルム農業といった優れた事例に直接触れることができ た。 2022

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第1週

今週の学び 再生農業 – 土壌の生物多様性 を再生させながら、経済的に も持続する農業を実現する 再生農業の支援も、環境とその影響の 総合的な評価を通じて、金融機関を誘 致する。

リジェネラティブ農業(再生農業)と は、環境および社会への影響が少ない、 または差し引きでプラスの影響を与える (ネット・ポジティブ)可能性があると される、代替的な食糧生産手段を意味す る。 欧州で再生農業の拡大を目指す気候 変動対応型農家のネットワーク「Climate Farmers 」は、再生農業を実現している 例の一つである。 参加者は、再生農業への転換のための資 金援助、農業のためのコンサルティング システム、農家間のコミュニティサービ スの提供というClimate Farmersの試みに ついて学んだ。 しかし、最も重要なこと は、参加者がClimate Farmersから、再生 農業に関する知識の分析と収集の重要性 を学んだことだ。

特に、衛星画像などのデジタルツールを 使用した分析や気候予測の精度向上によ り、土壌の生物多様性、二酸化炭素、栄 養循環、水への影響など、環境に対する 総合的な評価が可能となり、農家は経営 予測を立てることができるようになっ た。 また、収集した分析結果を金融機関 に提示することで、目先の数年間の穀物 出荷量ではなく、気候変動の影響を加味 した 10-20 年のスパンにおける利益を評 価し、融資を受けられるようになった。 海外に比べて農薬の使用量が多い日本で は、こうした分析手法によって影響を適 切に評価することが変化のきっかけにな るかもしれない。

「ぜひ、食べることを改めて考えてみ てください。または、何か食べ物を育 ててみましょう。農家の方が素晴らし い仕事をしていることを実感できるで しょう。」 - Philippe Birker氏 Climate Farmers

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第1週 // 今週の学び

バイオ炭を用いた農業による 食糧生産のカーボン・マイナ ス化 バイオ炭の埋設は、土壌改良、気候変 動の緩和、カーボン・マイナスによる 食糧生産の実現に向けた技術の一つと なる。

世界的に見ても、温室効果ガス(GHG) の主な排出源は慣行農業とされている が、その中でもカーボン・マイナスと呼 ばれる農法が注目されている。 カーボ ン・マイナスとは、二酸化炭素および二 酸化炭素換算(CO2e)の温室効果ガスの 排出量がゼロ以下であることを意味す る。 炭素の回収、隔離、回避により、環 境に与える影響よりも多くの炭素を相殺 することが可能となる。バイオ炭の埋設 は、土壌を改良し、作物を生育させなが ら気候変動を緩和するための技術の一つ である。 社会イノベーション、農業、農 村政策の研究を行っている龍谷大学社会 科学研究所(京都)の大石尚子教授よ り、バイオ炭を使った農業とカーボンマ イナス食糧生産を実現するための可能性 について学んだ。 バイオ炭で育てられた 野菜は「クルベジ」としてブランド化さ れ、環境に優しい野菜として販売されて いる。

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また、エコブランドとしてクルベジシー ルを作成し、シールに企業の広告を掲載 することでCSRの役割も果たしている。 産官学民の連携が根付き、農村部では農 家がバイオ炭による二酸化炭素の削減を 行い、都市部の企業では再生農法に触れ る機会が増え刺激を受けているそうだ。 食品ごとのサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量

https://ourworldindata.org/food-choice-vseating-local

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第1週 // 今週の学び

土壌と水を守る:フィルム農 業の事例 フィルム農業は、水膜が土と水の役割 を果たすことから、大規模な食糧危機 や気候変動の解決策として、ますます 注目を集めています。

再生農業の優れた事例として、「 Imec (アイメック)」と呼ばれる土壌や水の 役割を果たすハイドロメンブレンフィル ム上で農作物を育てる技術、フィルム農 法について学んだ。 フィルム農法を開発 した、メビオール株式会社取締役の吉岡 洋氏がオンラインで登壇し、水不足や土

壌劣化、地球温暖化などによるリスクの 増大や大規模な食糧危機の解決策となり 得る同技術の可能性に触れた。同技術 は、水資源が乏しい中東( UAE を含 む)、中国、アフリカ、ヨーロッパで実 装が進んでおり、以下の効果が実証され ている。 適度に水分を調整して植物を育てる ことができる(乾燥していても、水 分が過剰な場合でも一定の水のみフ ィルムを透過するため)。 フィルムの網目は水分子が透過で き、細菌・ウイルスが通過できない サイズであるため、植物が感染症に かかりにくい。 フィルムの網目は水分子が透過で き、細菌・ウイルスが通過できない サイズであるため、植物が感染症に かかりにくい。

実際のフィルムを紹介する吉岡氏 また、現在は使い捨てとなっているフィルムを、 生分解性の素材で作ることも検討しており、今後 の発展が期待される。

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第1週 // 今週の学び

優れた事例とエコシステム思 考の融合: 完全な再生のための手引き 生態系の考え方は、システムのさまざ まな要素間の相互作用を特定し、長期 的な解決策を保証するもので、これを 等しく適用しなければ、最高の農法だ けでは意味がありません。

エコシステム思考という大きな括りの中 では、生態系もその一例である。 エコシ ステム思考をビジネスに導入し、全体的 な視野を持つことで、セクターや組織を 超えてリソースを活用することが可能と なる。同時に、すべては関係性の中にあ ることから、必然的に内部環境と外部環 境の両方に注目するようになり、周囲の 変化にも対応できるようになる。 The

best practices that Boot Camp participants have been exposed to represent clear examples of ecosystem thinking because no solution would have been achievable without multistakeholderism.

私たちの身の回りにあるもの、例えば自 然や人間関係、そして人体の機能は、実 は多くの要素が調和したシステムの仕組 みである。 普段私たちは、課題や事象の 一部分のみに焦点を当て、問題を分野別 に分類してしまう傾向があり、長期的な 解決策を考え出す妨げとなっている。 デジタルブートキャンプのこの最初の週 は、最善の方法とシステムおよびエコシ ステム思考を融合させることの重要性を 学ぶのに極めて重要な週となった。 Future Food Instituteのデザイン部門責任 者である Chhavi Jatwani のおかげで、参 加者は、システムの異なる要素(都市、 社会、セクターなど)間の相互作用を特 定し、個々の部分の合計よりも大きな利 益が得られるようにアプローチする、シ ステム思考の可能性を分析することが出 来た。

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第1週

要約 再生農業 – 土壌の生物多様性を 再生させながら、経済的にも 持続する農業を実現する 再生農業の支援も、環境とその影響 の総合的な評価を通じて、金融機関 を誘致する。

優れた事例とエコシステム思 考の融合:完全な再生のため の手引き

生態系の考え方は、システムのさま ざまな要素間の相互作用を特定し、 長期的な解決策を保証するもので、 これを等しく適用しなければ、最高 の農法だけでは意味がありません。

バイオ炭を用いた農業による 食糧生産のカーボン・マイナ ス化

バイオ炭の埋設は、土壌改良、気候 変動の緩和、カーボン・マイナスに よる食糧生産の実現に向けた技術の 一つとなる。

土壌と水を守る:フィルム農 業の事例 フィルム農業は、水膜が土と水の役割 を果たすことから、大規模な食糧危機 や気候変動の解決策として、ますます 注目を集めています。 Future Food Institute

デジタルブートキャンプ日本編の第2週目 では、参加者が再生型都市の軌跡を深く 掘り下げた。 34


第2週

REGENERATIVE CITIES

第2週目の概要 今週の学び 要約

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第2週

第2週目の概要 年 月 11 日〜 4 月 15 日にかけて、「 FOOD & CLIMATE SHAPERS DIGITAL BOOT 」の第二週目、「再生型都市(Regenerative City)」をテーマとしたセッションが 実施された。 参加者は、科学技術を詰め込んだドバイのサステナブルシティや、日本企業の海外技術 移転の事例から、科学技術の可能性について学んだ。また、未利用資源活用のケースス タディーや、子供向けの食農教育の事例からは、持続可能でレジリエンスなコミュニテ ィを作るためのツールとして、身の回りに眠っている資源の価値や周囲を巻き込み変化 を起こしていく力について学ぶことができた。 2022 4 CAMP

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第2週

今週の学び 科学技術を詰め込んだ サステナブルシティ

最先端技術と環境負荷の最小化により 持続的な環境とコミュニティ形成を実 現するドバイのサステイナブルシティ の設計プロセスに学ぶ。

一般的に都市は消費の中心地となってい るが、科学技術との融合で持続可能な開 発を加速させる存在にもなり得る。中東 地域初のサステナブルシティである 「The Sustainable City」は、最先端の技 術を応用することで環境負荷を最小限に 抑えている。今回は、サステナブルシテ ィ の 開 発 を 担 当 し た 、 Diamond Developers の最高サステナビリティ責任 者であるKarim El-Jisr氏が登壇し、2021 年にこの都市を作り上げた背景を紹介し た。 同社のチームは、日本の藤沢市を含めた 世界6カ国のサステナブルな都市を訪れ、 それらの知見を集約して中東地域初の完 全持続可能なコミュニティである「サス テナブルシティ」を建設した。現在も、 温室の耐久性やコンテナ栽培のコストと いった課題はあるが、エネルギー、水、 建築材料、モビリティ、廃棄物管理、食 の分野で持続的な技術を取り入れ、サス テナブルを体現する存在となっている。 その中でも食に関する取り組みを一部抜 粋して紹介する。 Future Food Institute

ビニールハウスに代わる耐久性に優 れたグリーンハウス内において、ト マトやバジルなどのマイクログリー ンを栽培 コンテナを活用した垂直・水平農業 による食料生産システムの導入 乾燥地域でも安定して生育するモリ ンガやマンゴー、デーツの栽培 スピルリナの培養と微生物由来のタ ンパク源を活用 住民を巻き込んだコミュニティガー デンにおける野菜の栽培 従来の野菜の栽培方法に加えて、多様な 農業技術を導入することで、「サステナ ブルシティ」を実現している。農業技術 に関しては、植物の栽培方法だけではな く、代替栄養素となる微生物の研究な ど、多角的なアプローチが必要とされ る。こうした実践事例を参考に、各地域 に適した農業技術導入により、持続可能 性を広げていくことが期待される。

The Sustainable City in Dubai

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第2週 // 今週の学び

持続的な技術移転を実現す るために 途上国における農業・食糧分野の持 続的な産業・経済発展は、優れた技 術だけではなく、コストや投資、現 地の規制、持続可能なビジネスモデ ルなどの要素が重要となる。

(国際連合工業開発機関) は、包摂的な産業開発を通じて、開 発途上国・新興国の持続的な経済発 展を支援する国連の専門機関であ る。今回は、UNIDO ITPO TOKYO副 長の Ferda Gelegen 氏より、食農分 野における日本企業の海外途上国へ の技術移転事例について、3つのケ ーススタディーを紹介していただい た。 講義の中では、過去に日本から途上 国へ技術移転が行われた、少量の水 で野菜を育てる技術や、冷凍冷蔵技 術、籾殻をリサイクルして固形燃料 にする技術が登場した。また、後半 では技術移転を考える企業が意識し ておくべきことについて触れられ た。特に、コスト、投資、現地の規 制の課題は、技術の応用やビジネス モデルの持続性の妨げになることが 多く、それらの障害を乗り越えるこ とが必要となる。 UNIDO

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それらの課題を乗り越えるために は、現地とのパートナーシップが重 要な要素であり、技術、コスト、 規制、ビジネスモデルの持続可能 性のバランスをとることが、技術移 転を持続可能にするポイントとなる そうだ。

眠っている未利用資源の 活用

眠っている未利用資源を掘り起こす には、多様なステークホルダー を巻き込み助け合うことがが重要と なる。

「最高の資源とは、見えているよう で見えていないものである。」 ボローニャ大学名誉教授の Gianni Lorenzoni 氏 と 、 Future Food Academy の デ ィ レ ク タ ー で あ る Sonia Massari 氏は、この言葉と共 に、眠っている未利用資源の発掘・ 活用の大切さを説いた。未利用資源 の活用事例ケーススタディとして、 コロンビアにおけるミノカサゴの活 用事例が登場した。ハリケーンの影 響でカリビア海に突如現れたミノカ サゴは、白身は美味だが、針に毒が あり周辺海域で

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第2週 // 今週の学び

天敵がおらず、漁業に大きなダメージを 与えた。この課題に対して、政府は多様 なステークホルダーを巻き込む解決方法 を選択した。以下にその一例を紹介す る。 漁師を巻き込んだミノカサゴの釣り 大会を実施し、ミノカサゴ捕獲のた めの漁具を開発 周辺地域の主婦を巻き込み、ミノカ サゴを活用したアクセサリーの製作 ワークショップを開催(写真2) シェフを対象に、SNSを活用しても らうため、ミノカサゴを使用したフ ードスタイリング・写真撮影のイベ ントを実施 ミノカサゴと伝統料理を融合させた 料理コンテストの開催 異なるステークホルダーが共同し、ただ 手伝うだけではなく、共に漁具や食品、 アクセサリーを発展させていく。眠って いる未利用資源を発掘・活用すること は、人々が自分自身のプロダクトとして 自信を持てるような製品を共に作ってい くことでもあるのです。

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写真: ミノカサゴを用いたアクセサリー

Credit: Lionfish Fin Earrings w/ Seaglass

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第2週 // 今週の学び

コミュニティを育む: 都市部における食料安全保障 のために学校ができること N

健康な学生、健康なコミュニティ、健康な 都市は、相互に結びついている。学校は、 フードリテラシー(食生活教育)を通じ て、食糧安全保障、環境保全、健康的なラ イフスタイルを確保するためのきっかけを 提供することができる。

特に貧しい地域や社会から取り残された 都市部において、食料安全保障を確保す ることは、教育や食育と密接に関連して い る 。 こ う 話 す の は 、 Green Bronx Machine の創設者である Stephen Ritz 氏 である。Stephen氏はブロンクス(アメ リカ)のような食糧難にある地区の学校 に対して、料理やガーデニングプログラ ム、タワーガーデン設備を導入すること で、食糧不足、労働力開発、教育学の発 展に取り組み、健康的な生活と学習を促 進している。彼が始めた取り組みは2022 年5月時点でアメリカを含めた6カ国で合 計550回実施され、今後5年間の間に10倍 に成長させることを予定している。挑戦 を続けるStephen氏から、活動拡大の秘 訣を伺った。 「私は決して困難に焦点を当てません。 いつもチャンス(機会)に焦点を当てて いるのです。私たちは100年まえに馬を 使っていましたが、車になり、現在はテ スラもあります。チャレンジはチャンス になり得るのです。毎日の小さな進歩が コミュニティや周囲を変えていくことが できるのです。」 Future Food Institute

また、食料安全保障に関する課題に対し て個人レベルでどう向き合うべきか?と いう質問に対して、Stephen氏からブー トキャンプの参加者が日常生活で応用で きる考え方を紹介していただいた。 「誰もが小さな一歩から始めることがで きます。このブートキャンプはその始ま りになるでしょう。ここに集まっている 一人一人が、周りに貢献できるような何 かを持っているのです。私は自分にいつ もこう言い聞かせます。自分を無駄にし ないで、この瞬間を無駄にしないで、 と。」 Green Bronx Machine、Stephen Ritz氏

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第2週

要約 科学技術を詰め込んだ サステナブルシティ 最先端技術と環境負荷の最小化によ り持続的な環境とコミュニティ形成 を実現するドバイのサステイナブル シティの設計プロセスに学ぶ。

持続的な技術移転を実現する ために 途上国における農業・食糧分野の持 続的な産業・経済発展は、優れた技 術だけではなく、コストや投資、現 地の規制、持続可能なビジネスモデ ルなどの要素が重要となる。

コミュニティを育む: 都市部における食料安全保障 のために学校ができること N

健康な学生、健康なコミュニティ、 健康な都市は、相互に結びついてい る。学校は、フードリテラシー(食 生活教育)を通じて、食糧安全保 障、環境保全、健康的なライフスタ イルを確保するためのきっかけを提 供することができる。

ブートキャンプの第三週目では、「再生 型漁業」について深く掘り下げた。

眠っている未利用資源の活用 眠っている未利用資源を掘り起こす には、多様なステークホルダーを巻 き込み助け合うことがが重要とな る。 Future Food Institute

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第3週

REGENERATIVE OCEANS

第3週目の概要 今週の学び 要約

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第3週

第3週目の概要 年 4 月 18 日〜 4 月 22 日にかけて、「 FOOD & CLIMATE SHAPERS DIGITAL BOOT 」の第3週目、「再生型漁業」に焦点を当てたセッションが実施された。 参加者はこのセッションを通じて、漁業および海の再生を実行するための考え方に触れ た。また、漁業関連企業や起業家の方から、今日の漁業に関連する環境と社会問題につ いて直接学んだ。セッションを通じて、植物由来の魚介類や海産物のトレーサビリテ ィ・透明性が漁業の再生につながることを認識することができた。 T2022 CAMP

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第3週

今週の学び 繁栄思考(PROSPERITY THINKING) から始まる再生

繁栄思考では、人間と地球両方のニー ズを中心に据える。それはつまり、経 済的成長、社会的・環境的ウェルビー イングの全てが繁栄のために必要であ ることを意味する。

繁栄思考(prosperity thinking)は、地球 の環境が保護される範囲で、すべての人 間のニーズを満たす世界を設計するため のアプローチである。経済成長だけでな く、社会的、環境的な豊かさを含めた集 団的な「繁栄」の概念を共有し、より良 い食料システムの設計を可能にすること を目的としている。デザイン思考の進化 形として、このアプローチはユーザー中 心のデザインを超え、人間や地球を中心 とした成長を目指す。 当日は、Future Food Instituteのデザイン 部長Chhavi Jatwani 氏と、ボローニャ大 学の教授でAlmacubeのオープンイノベー ション・プログラムのディレクターを務 める Matteo Vignoli 氏が登壇した。セッ ションの中ではアイスバーグモデルを通 じて、課題の本質を見つけるアクティビ ティを実施した。普段私たちに見えてい る課題は実際には氷山の一角であり、出 来事という表面だけをみて行動する傾向 にあり、パターンや構造、メンタルモデ ルなどを忘れやすい。アイスバーグモデ ルに従い、深層にある課題を探ること で、本質的な課題解決が可能となる。 Future Food Institute

社会課題と持続可能性を 結びつける

海洋における持続可能性には、未来の 世代への安全で十分量の食料確保や、 沿岸地域社会の存続といった社会的価 値が内包されている。

海には多くの課題が山積している。氷河 が溶け、サンゴは白化し、海面の上昇が 起こり、人間の活動はこれらの課題に拍 車をかけている。持続不可能な漁業や養 殖により、魚の個体数が減少し、乱獲に よる生物多様性の減少と養殖による海洋 の汚染は、人間の生活に大きな影響を与 えている。その中で、私たち人類は2050 年までに98億人をいかにして養うか、と いうもうひとつの大きな課題に直面して いる。こうした漁業の現状に対して、持 続的な海産物を生産しているのがFoodful である。 44


第3週 // 今週の学び

「大企業において持続的な食材にシフ トしていくためには、持続的な魚介類 というトピックをもう少し大きく捉 え、実際の社会課題と結びつけていく ことが大切でしょう。今持続的に転換 することで、今後社会的にどのような インパクトを与えられるか?を考える ことも重要になります。」 - Foodful CEO Stine Norum

のStine Norum氏が登壇し、 海における課題に立ち向かう未来の食品 を紹介した。Foodfulの特徴は、費用と時 間がかかる培養魚肉の研究を進めると同 時に、培養魚肉に先駆けてプラントベー スの魚肉や養殖魚介類の生産を行ってい る点である。プラントベースの魚介類 は、パールペッパーや海藻をメインにし て作られているそうだ。 Stine Norum 氏 自身はダボス会議にも参加し、世界のリ ーダーたちにも呼びかけを行っている活 動家でもある。 Foodful CEO

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持続可能な再生型漁業実現の ための透明性とトレーサビリ ティ 日本の水産業をより透明で、トレーサ ビリティを担保し、持続可能なものに していくためには、ブロックチェーン 技術や適切な資源管理計画、多角的な 研究が重要となる。

日本を含めた世界の漁業における課題の 多くは、漁業活動の透明性とトレーサビ リティが不十分であることが関係してい ると考えられる。 世界の漁獲量の約20-25%の水揚げが違法 に漁獲され、海の再生が追いつかず、地 域経済や海洋資源評価に大きな影響を与 えている。また、これらの違法漁業に は、東南アジア諸国における強制労働や 人権侵害の問題、偽装表示などの問題に も関連している。そして、これらの問題 は、海外から魚を輸入している日本も他 人事ではないのである。特に、日本にお いては前述のトレーサビリティの課題に 加えて、漁業就業者の高齢化と就業者数 減少の課題も挙げられる。 UMITO Partners は、水産エコラベル認証 コンサルティングや持続可能な漁業への 転換、DX化支援などを通じて、「100年 後も続く漁業と地域を目指した事業の創 出と伴走」を目指す。 45


第3週 // 今週の学び

本セッションでは、代表取締役社長であ る村上春二氏より、同社が提供するサー ビスの一部と、持続可能な仕組みを整え ることの重要性を学んだ。 同社はこれまでに日本国内で様々な地 域・海産物について、持続可能な漁業に 転換するプロセスをサポートしてきた。 扱ってきた海産物は、スズキ、ギンザ ケ、ビンチョウマグロ、ミズダコなど多 岐に渡り、以下に具体的な施策を一部紹 介する。 ブロックチェーン技術によるトレー サビリティの向上 資源管理計画の導入 養殖業のスマート化 餌をASC(エコラベル認証)対応型 に変換 混獲魚種の軽減 漁協・県・研究者らとの勉強会や協 議 販売戦略チームの構築 これらの取り組みを通じて、持続的な漁 業への転換を支援している同社だが、最 終的には自分たちの介入なしに循環す る、真の持続性を目指し、日々漁業のサ ポートを実施しているそうだ。 今週のテーマである再生型漁業の実現に は、繁栄思考が重要となる。経済成長だ けでなく、社会的、環境的な豊かさを含 めた集団的な「繁栄」を念頭に行動する ことは、地球環境に関する種々の課題解 決につながるのではないだろうか。

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「私たちは100年続く漁場と地域 を作 る必要がある。」 - UMITO Partners CEO 村上春二氏

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第3週

要約 繁栄思考(PROSPERITY THINKING) から始まる再生 繁栄思考では、人間と地球両方のニ ーズを中心に据える。それはつま り、経済的成長、社会的・環境的ウ ェルビーイングの全てが繁栄のため に必要であることを意味する。

社会課題と持続可能性を 結びつける 海洋における持続可能性には、未来 の世代への安全で十分量の食料確保 や、沿岸地域社会の存続といった社 会的価値が内包されている。

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持続可能な再生型漁業実現の ための透明性とトレーサビリ ティ 日本の水産業をより透明で、トレー サビリティを担保し、持続可能なも のにしていくためには、ブロックチ ェーン技術や適切な資源管理計画、 多角的な研究が重要となる。

ブートキャンプの第四週目では、「持続 的な食卓」についてインスピレーション を受けた。

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第4週

REGENERATIVE KITCHENS

第4週目の概要 今週の学び 要約

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第4週

第4週目の概要 年4月25日から28日にBOOT CAMPの第4週が開催され、「持続的な食卓」に焦点を 当てたセッションが行われた。 参加者は移民・難民支援の事例を通じて、持続的な食卓の基盤となる人々の権利確保に ついて学んだ。また、持続的な食卓に通じる具体的な事例として、以下3つの事例に触れ た。1つめはフードサービスにおける多様なステークホルダーを巻き込んだ仕組みづくり について。2つめは食品廃棄物を活用した持続可能でおいしい食品の研究・開発につい て。3つめは文化と持続可能性の架け橋となる伝統食の重要性についてである。 2022

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第4週

今週の学び 全ての人に平等の権利を: 持続的な食卓の基盤となる 人権の確保

食は緊張状態を緩和し、包括的に環境 と人権の両方を確保するためのツール となり得る。

包括的で持続的な食卓を考える時、環境 が持続的かを気にすることが多いが、同 時に人についても持続的かどうかを考え る必要がある。この関係は現在の労働力 不足に顕著に現れている。世界の54%の 企業が、深刻な人材不足に直面してい る。この状況に対して、日本のように技 術を発展させて対応する国もあれば、外 部から新しい労働力を受け入れていくと いう方法もある。本ブートキャンプでは 後者のアプローチについて、「経済の真 の目的」をテーマに学んだ。登壇したの は、移民・難民を対象としたオンライン 教育プラットフォームを提供する Mygrant の創設者である Chris Richmond 氏だ。学習アプリを通じて、移住時に課 題となる現地の法律や仕事のスキル、ま た、起業に関する情報を提供し、移民の 自立を可能にする。そして、企業との雇 用のマッチメイキングプラットフォーム により人材不足の課題を解決している。 Chris氏は、人材不足問題・移民問題に Future Food Institute

直面する現代で、全ての人に平等な人権 を保証するための人材の再教育と雇用機 会提供の可能性を紹介した。 また、移民問題のように困難な課題を賢 く解決していくには、適切なことを適切 なタイミングで、適切な人と共に適切な 方向に進んでいくことが重要だそう。 Chris氏は最終的な目標として、全ての人 に平等な権利を提供することを掲げてい る。 生産から消費まで幅広いシーンを包括し たフードシステムは、現代の消費だけに フォーカスしたシステムに対してインク ルージョンを達成し、生態系とコミュニ ティの再生を促すツールとなる。

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第4週 // 今週の学び

多様なチャレンジャーを巻き 込み、経済的危機にあるレス トランを救う 経済的危機にあるキッチンをコミュニ ティーのプラットフォームに集め、困 難なキッチンと食品起業家を結びつけ ることで、新しい消費者を引きつけ、 多様な付加価値を生み出す。

の流行により、フードサービス セクターでは経済的な危機に直面し、キ ッチンは閉鎖され、新たな消費習慣が生 まれた。同時に、デリバリーセクターで は、需要が急激に増大し、レストラン経 営者と配達者双方にとって持続的な仕組 みが必要とされている。イタリアの起業 家、投資家で You Can Group の共同創設 者兼 CEO の Andrea Magelli 氏は、これら の課題をチャンスに変えることを試み る。参加者は、Andrea氏が計画中のFood Theaterから、多様なステークホルダーを 巻き込むことの可能性について学んだ。 Food Theater では、課題を抱えるレスト ラン・キッチンを再設計し、多様な価値 を生み出すRainbow Kitchenに再構築して いく。具体的には、リソース、知識、コ ンセプト、コンテンツ、アプローチをコ ミュニティ内で共有することで、課題を 抱えるキッチンと食の起業家( FOOD CHARACTERS™ :食のブロガー、生産 者、クリエイター、シェフ、管理栄養士 など)をつなぐコミュニティプラット

フォームを形成している。 つまり、Food Theaterとの提携により、 経済的危機にあるキッチンは、 FOOD CHARACTERS™ と共に、ブランディング を実施したり、体験型料理ショーのホス トとしてバーチャルフードホールに変化 したりする。その中には、アートやデジ タルコンテンツなどとのコラボが含まれ ており、食とは直接的に関係のない分野 とのコラボにも挑戦している。

Covid-19

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未来のレシピの開発: 食品廃棄物の隠れた可能性

さまざまな調理技術を研究し、科学的 な文献を調査し、創造性を駆使して廃 棄物を見つめ直すことは、未来の新し いレシピを生み出す材料となる。

サステナブルで栄養価の高い未来のレシ ピを開発する、科学と料理が共生した施 設 Future Food Alchemist Lab ( イ タ リ ア・ボローニャ)。同施設のマネージャ ーを務める Francisco Alvarez Ron 氏が登 壇し、これまでに大企業とともに社会課 題の解決を目的として開発してきた未来 のレシピを紹介した。同施設では新たな 加工方法や既存の伝統食品の加工方法を 51


第4週 // 今週の学び

イタリアの食材にも応用することで、ク リエイティブなレシピを開発している。 参加者は食品廃棄物のアップサイクルか ら新たな代替タンパク質の開発、発酵に よる栄養価の向上など、未来のレシピの 可能性を学んだ。 廃棄されるビーツ × 麹菌による発酵 = チューイングキャンディー ビーツの表面を麹菌で発酵させること で、砂糖を添加することなくキャンディ のような味に仕上げることができる これらは、Alchemist Labにおいて、多様 な調理技術を探求し、科学的な文献を調 査し、創造性を駆使して廃棄物を見つめ 直す、というプロセスを実行した結果生 まれた未来のレシピの一部です。

ザクロの皮 × アルコール = マッシュルーム 通常廃棄されてしまうザクロの皮を1-2週 間ほどアルコールに浸し、洗い流した後 マリネやスープにして火を通すことでア ルコールが飛び、マッシュルームのよう な食感に仕上げることができる。 パイナップルの芯 × 熟成 = チョコレー ト・コーヒー・リコリスの味がミックス したキャンディ 通常廃棄されるパイナップルの軸を、黒 ニンニクと同じ要領で、高温高湿下で熟 成する(メイラード反応)ことで、柔ら かい食感と、複雑な味を作り出す。 Future Food Institute

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第4週 // 今週の学び

ソーシャルフードガストロノ ミー: 食を通じた社会課題解決 料理人はさまざまな分野で人々を幸す ることができる。今こそ、食と料理人 の役割を拡張する時である。

社会が誕生した時から、食は社会的結束 や社会活動と密接な関係にある。 つまり、食を通じて社会課題を解決する ことで、未来の社会を豊かにすることが できる。 そう話すのは、ONODERA GROUPエグゼ クティブシェフで、ヴィーガンプロジェ クトのメニュー監修・運営を行う杉浦 仁 志氏である。ブートキャンプの参加者 は、食について、彼が特に提唱している 「ソーシャルフードガストロノミー」の 重要性について学んだ。

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杉浦氏は「料理人はもっと様々な分野で 人を幸せにすることができる」と考え、 現在の活動を始めた。当日は、同氏が具 体的に実施しているプロジェクトを通じ て、食が関連する多様な領域や価値観を 参加者に共有した。 環境保護:ヴィーガン食を全国1000カ所 で提供するという活動で、日常食から健 康と環境問題に貢献できる機会を提供し ている。また、水耕栽培野菜の開発、ロ ボテック、コンポストから育てる果物の 研究など、料理人の枠を超えたテクノロ ジーを活用した取り組みにも積極的であ る。 地方創生: 地方創生を兼ねた佐賀県にお けるお茶の観光(tea tourism)の提供 Education: アレルギーに対するヴィーガ ン食育や学生を対象としたプラントベー ス食育 杉浦氏の活動は、社会課題への貢献だけ ではなく、今後の食・料理人の可能性を 広げるロールモデルとなる。

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第4週 // 今週の学び

伝統食の再発見: 食事文化と持続性の関係

秋田県男鹿半島の海藻料理をはじめ、 日本古来のレシピは環境保全と同時に 伝統文化を盛り上げる力を持ってい る。

和食はユネスコの無形文化遺産であり、 世界的にも注目されている食事である。 健康的、というイメージが強い和食だ が、地球環境に配慮されているか、とい う観点ではどうだろうか。 一般的な日本食については、健康面だけ ではなく、地球環境にも配慮された食事 であるというデータが報告されている。 しかし、生産・流通・輸送までを含めて 和食を捉え直すと、自給率が高い米の肥 料や、魚を漁獲する際の漁船燃料など、 持続的ではない部分が明らかになってく る。農林水産省 OECD 事務次官の米田立 子氏によると、日本における課題とし て、多くの日本人は、自分たちが食べて いる食事がどのように作られているかを 知らない人が多い点が挙げられた。 一方で、伝統料理の中でも秋田県の男鹿 半島における海藻を使用した伝統料理 (精進料理)は、環境保護の観点からも 大きな可能性を秘めている。そう話すの は、立命館大学食マネジメント学部の 石田雅芳氏である。 Future Food Institute

石田氏によると、男鹿半島の雲昌寺で は、地域で多様な海藻が採れることか ら、海藻を使用した精進料理が伝統的に 作られているそうだ。採った海藻は塩・ 味噌・醤油などで塩蔵されたり、ゼラチ ンを取り出して刺身の代わりとなったり する。石田氏は未来の食を考える際に、 食べ物はサステナブルであるだけでは不 十分であり、美味しく、心地よいもので なければならない、と話していた。 今週のブートキャンプでは、未来の食を 考える上で2つの視点があることを学ん だ。 1 つめは、未来の食を発明するこ と。2つめは、伝統を見つめ直し掘り起 こすことである。 技術と伝統を融合は、現代で求めらる 「持続的な食卓」に必要な、新たな未来 のレシピのヒントになるかもしれない。

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第4週

要約 全ての人に平等の権利を: 持続的な食卓の基盤となる 人権の確保

ソーシャルフードガストロノ ミー: 食を通じた社会課題解決

食は緊張状態を緩和し、包括的に環 境と人権の両方を確保するためのツ ールとなり得る。

料理人はさまざまな分野で人々を幸 することができる。今こそ、食と料 理人の役割を拡張する時である。

多様なチャレンジャーを巻き 込み、経済的危機にあるレス トランを救う 経済的危機にあるキッチンをコミュ ニティーのプラットフォームに集 め、困難なキッチンと食品起業家を 結びつけることで、新しい消費者を 引きつけ、多様な付加価値を生み出 す。

未来のレシピの開発: 食品廃棄物の隠れた可能性

伝統食の再発見: 食事文化と持続性の関係 秋田県男鹿半島の海藻料理をはじめ 日本古来のレシピは、環境保全と同 時に伝統文化を盛り上げる力を持っ ている。

ブートキャンプの最終週では、食の重要 課題に向き合い、これまで得たインスピ レーションを行動へと移していった。

さまざまな調理技術を研究し、科学 的な文献を調査し、創造性を駆使し て廃棄物を見つめ直すことは、未来 の新しいレシピを生み出す材料とな る。 Future Food Institute

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ハッカソン ハッカソンについて 参加者の声

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ハッカソン

ハッカソンについて ハッカソンチャレンジ

「ハック」と「マラソン」を組み合わせ た「ハッカソン」は、特定のトピックや 課題に対してインテンシブに斬新な方法 で解決していくことを指す。ハッカソン は難題を乗り越え、新しい物を生み出す 集団的な挑戦であり、システム的なアプ ローチに基づいている。 参加者は、4週間に渡って食と農の専門家 によるシステム思考と繁栄思考を基盤と して、良い実践事例や革新的なアイデ ア、起業家精神を学んだ。ブートキャン プのハッカソンは、それらを駆使して与 えられた課題に対するソリューションを 研究、考案、試作し、実際に行動を起こ すために用意された。 今回のハッカソンでは、4〜5人で1チー ムとなり、5つの食の課題について議論を 行い、アイディアの実現可能性も含めて 具体的なサービスやプロダクトを議論し た。最終日には1チーム5分間でアイディ アのピッチを行い他のチームメンバーと の意見交換を実施した。

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食の課題に向き合う

参加者はブートキャンプの基礎となる4つ のテーマを通じて、現在の食糧問題の複 雑さや、多面的な部分について理解を深 めた。その上で、ハッカソンでは現在の 需要や課題を、新たな食糧システムにお ける新たな可能性に変化させていくこと ができる。その仕組みは以下の3点であ る。 1. ハッキングとは、ただ受動的に何か を学ぶのではなく、何かを主体的に 行うことを意味する。つまり、参加 者は自らの学びに対して責任を持 ち、その可能性を社会全体の利益の ために活用していく瞬間となる。 2. グローバルな課題は一人で行動する だけでは解決できないため、ハッカ ソンでは、「協力」が必要となる。 実際にハッカソンはチャレンジベー スの学習であり、能動的、包括的、 協調的な教育戦略として認識されて いる。 3. ハッカソンでは、多様な分野、能 力、ビジョンを確実に結びつけ、異 なる解決策を発見する。これらの要 素は、バランスがとれた最終的な折 り合いを決めるために必要な柔軟性 と融合することで、最終的な解決策 のプロトタイプが一定期間持続し、 複数の利害関係者の需要を満たして いるかの確認を可能にする。.

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ハッカソン // ハッカソンについて

ハッカソンにおける心構え

ハッカソンのプロセスは、「参加する」 「リソースを探す」「新しい解決策を想 像する」という3つの瞬間で実質的に成り 立っており、同時に正しいマインドセッ トを設定することも重要重要になる。 Boot Camp の参加者は、スローフードの シェフから社会起業家、食の未来学者、 そして Food Hackathon の創設者である Tim West氏から、ハッカソンで重要とな る心構えを学んだ。 ポジティブでいること:時間的な制 約や困難があると、モチベーション が低下することがある。そんな時で も冷静かつポジティブでいること で、アイデアやイノベーションを生 み出すことができる。 成功に導く:問題を多角的な視点か ら分析することで、将来の他の問題 の発生を未然に防ぐことができる 周囲を巻き込む:外部からのフィー ドバック、印象、意見、考えを集 め、異なるアイディアも考慮するこ とで、優れたアイデアの基礎を作る ことができる。 楽しむ:ハッカソンの過程を楽し み、流れを感じる。

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食の再生(regeneration)の旅は、4月初 旬のインスピレーションとアスピレーシ ョンから始まり、最終的に実際に行動す ることで、各チームから興味深いアイデ ィアが生まれた。 Boot Camp の最終日、参加者は実際に City Lab Tokyoに集合し、チーム内のアイ デアをまとめ、ピッチを準備を行った。 最終的に、食に関わる主要なステークホ ルダーらに解決策を共有し、それは4週間 の間に吸収したインスピレーションや専 門知識の一部を還元し、新たなアイディ アを創造した瞬間であった。

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ハッカソン

参加者の声 視野 "を広げることができた。 様々なステークホルダーが参加 し、エコシステムという概念 (プレイヤーは企業や消費者だ けではない)、地域や行政な ど、様々な視点から全体を良く する方法を考える上で、一軸の アプローチではないアプローチ ができたことが良かったと思っ ています。 - マルハニチロ株式会社/ 事業企画部/諸橋亮一氏 "

世界各地の成功事例やケースス タディから、Win-Winのシステム が可能であることを実感した。 現地の人を巻き込むという点が 印象に残りました。これから は、バリューチェーン全体で考 えていこうと思います。企業と して消費者を巻き込み、消費者 と一緒にエシカルな取り組みが できるような仕組みを作りた い。 - ドール・ジャパン株式会社/パ ッケージングフーズ事業部マー ケティング部/井出真理子氏 Future Food Institute

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ハッカソン // 参加者の声

このブートキャンプは、素晴ら しい企画で、参加者は興味を持 ち、スタートアップ企業、大企 業、個人事業主が混在し、オン ラインとオフラインの方法論が うまくミックスされていまし た。私たちは、Food and Climate Shapersとして、日本にインパク トを与えるために、これから連 絡を取り合う素晴らしいコミュ ニティになるでしょう。 - 株式会社アラネア/代表取締役/ アレキサンダー・フェルナー氏

ブートキャンプに参加し、様々 なバックグラウンドを持つ人た ちと一つの課題に取り組むこと で、同じ食品を扱っていても 様々な考え方があることを知る ことができました。 - エスビー食品株式会社/食文化 未来研究所/湯浅彩子氏

ここでDigital Boot Camp 日本版のスナップショッ トを追体験できます。 Y

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終わりに 日本の食の生態系の再生 連絡方法

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終わりに

日本の食の生態系の再生 社会の真のつながりである「食料システム」は、深刻な変化に直面しており、システム 全体を可能にし、それを再生の積極的なエージェントにすることができるモデルを探し ています。 これは、環境再生型モデルへの移行と 2050 年までのカーボン ニュートラルの達成を発 表する大規模な多国籍食品企業の戦略計画によって実証されています。 日本全体が豊かな食と文化の歴史を持っています。Future Food Japanはこの歴史に光を 当ててサポートをするのと同時に、グローバルな展開とローカルな交流を通じて食の未 来を受け入れることも目指しています。

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終わりに

連絡方法

私達は、英語の知識にアクセスできない可能性のあるコミュニティを排除することな く、より影響力のある絆とコラボレーションを生み出すために継続的に取り組んでいま す。次回の日本語ブートキャンプに参加またはサポートしたい場合は、ご連絡ください! 気候変動はあなたの分岐点の終わりにあります。 世界は、食料を通してより良い世界の構築を手助けする人々を求めているのです。

より影響力がありまた多様な教育のための連絡先 kyobashi@futurefoodinstitute.org alessandro.fusco@futurefoodinstitute.org virginia.cepollina@futurefoodinstitute.org

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