和文書体の制作 For
Font1000
©Masanobu Narusawa 2003.01改訂
001
和文書体の制作 ver.2 2003改訂
■和文書体の制作
イラストレーターで
欧文フォントは文字数が少ないのでイラストレー
データを作り、
ターで作ったものをフォントグラファーにコピー&
フォントグラファー
ペースト、調整して256文字を扱える1バイトフォ
文字のアウトライン
に貼り込む
ントにすればできあがりますが、文字数の多い 和文フォントはフォントグラファーの決められた 文字ボックスにコピー&ペーストし、区ごとに複 数の1バイトTrueTypeフォント（Slot）にしたあ と、漢字エディットキットで2バイトTrueYype和 文フォントに仕上げます。 TrueType1バイトの
●イラストレーターでの文字制作
フォントファイル ロールアップツールで
大きく分けて3つの方法があります。
ロールフォント生成
1. 筆やサインペンで描いたものをスキャンして 下絵にしてイラストレーターのオートトレース機 能を使い文字を作る方法。ファイルメニュー/環 バスパッカーで
境設定/キー入力・オートトレースのオートトレー スオプションの設定で精度を設定します。 ポイント数が多いとエラーを起こしますので注 意してください。 （1文字256ポイントまで）
和文フォントの完成
∼ 線幅、線端、結合の設定を変えてみる。
2.文字をデッサンして下絵に取り込み、線幅を 利用して描いていく方法。角ゴシック、丸ゴシッ ク等を描くのに適しています。文字による線幅 のコントロールをして濃度を揃えます。角ゴシッ クはオブジェクトメニュー/パス/パスのアウトライ
パスのアウトライン
ンをしてから先端部分の切れ口の角度などを調 整する必要があります。 又、同じ線幅だと横画が太く見えてしまう錯視 調整には、線幅のまま少し長体をかけ、パスの
横画を細くするには長体をかけてからパスのアウトラインをして
アウトラインをしてから元の大きさに平体をかけ
元のプロポーションに戻す。
て戻す方法があります。
3.明朝やそのほか線幅では表現できないエレメ ントを持つ文字は丁寧にデッサンしペンツール で書き起こしていきます。
和文書体の制作
002
データ作成の時の主な禁止事項です。以下は
一見なんでもないが二重ポイントの場合
書体にコンポーネントするとき変形したりエラー する可能性があるので気をつけます。 二重ポイントを作らないこと！ イラストレーターv.5.5以前で丸形線端や、ラウ
オープンパスの場合
ンド結合をした場合ポイントが二重になっていま す。v.8.0,v.9.0では解消されています。 オープンパスを作らないこと！ イラストレーターの場合ポイントが1つに見え塗 り込みもされているのにポイントが重なっている だけのオープンパスがあります。これは絶対避 けてください。フォントグラファーで発見、修正 できますが要注意です。 曲線の先端の鋭角作らない。 2点での無理な曲線は作らない。 仮想ボディからはみ出さないこと。
和文書体は縦、横に組まれる性格から、 正方形の仮想ボディに描いていていきます。仮 想ボディに対するレターフェイス（字面）の取り 方は文章に組まれたときのイメージに大きく影 響しますから充分検討してください。 新正楷書
仮想ボディ レターフェイス
一般にのびやかな書体は基本レターフェイスを 小さめにとり、払いなどを仮想ボディからはみ出 さない範囲で伸ばす方法が採られます。部分
880em
的にツメた方がよい文字の組み合わせも出て きますが、今のところ市販ソフトでは和文書体
120em
小さな字面
1000em
逆に新ゴシックのように仮想ボディいっぱいに ベースライン
新ゴM
のツメ情報まで持つことができません。
作られ、文字組みの際にあまりツメる必要のな い書体もあります。 他の和文書体に合わせ、全角1000emとして 下から120emの位置にベースラインを設定し ます。これは欧文のベースラインにもなります。 …がその位置が和欧文を混植をしたときに欧
大きな字面
文のベストな位置かは疑問です。※ ローマ字の制作.pdfを参照してください。
003
和文書体の制作
イラストレーターで個別の仮想ボディにアウトラ
イラストレーターではフォントグラファーの貼り付ける文字 ボックス通りに書いておくと貼り間違えにくいですよ。
インデータの文字をセットしておきます。アウトラ Slot05
インデータは仮想ボディからはみ出さないように します。合体などはフォントグラファーで処理しま すから重なったままのデータにしておきます。修 正も容易になります。約物やかなの促音は縦 組み用も用意します。正方形の仮想ボディの
横組用促音の位置slot05
縦組用促音の位置slot89
大きさは任意ですが、100ptとか200ptの割り 切りやすい大きさの方がslot01JISローマ字のベー スライン移動の際に分かり易いでしょう。 slot01ローマ字については文字幅を自由に設 定できます。フォントグラファー上の仕上がりが 仮想ボディ1000em の下にはみ出せますが、 slot04の全角ローマ字は1000em正方形の仮 想ボディの中に納めなければいけません。
slot01の仮想ボディより下にはみ出す部分のコントロールは、 100ptの仮想ボディ作ったとすると120emは12ptの位置。 仮想ボディ1000emの中に納めるため20pt（200em）上に移 動する。仮想ボディの他にベースラインも引いておくと分かり 易い。フォントグラファーにペーストしてから文字とベースラ インを選択してベースラインの位置に戻す。 （slot01） 変形メニュー/移動/垂直-200emの数値制御も可能だ。
イラストレーターv.5.5とv.8.0では一文字づつ
20pt（200em）上に移動
仮想ボディごとコピーをして基本設定をしたフォ ントグラファーのslotごとに指定された文字ボッ クスにペーストをします。
イラストレーターver.7,9,10について
フォントグラファーに
このバージョンではイラストレーターからフォント
コピー＆ペースト
グラファーへのコピーペーストがクリップボードの 形式が異なってしまったのでできません。 以前は一文字づつ仮想ボディごとコピーをして イラストレーターの新規画面にペーストし、名前 を付け、IllustratorEPS/5.0,5.5互換で文字数 だけ保存し、フォントグラファーで「読み込/EPS」 で1 文字づつ割り付ける大変な作業でしたが、 この度「楕円設計」http://www.daen.co.jpが fg copyというプラグインを開発してくれました。 問い合わせて入手し、インストールしてください。 これでイラストレーターから直接フォントグラファー にコピー＆ペーストできるようになります。
fg copy
イラストレータであげた分 -200em下に移動 ベースラインを下げる。
和文書体の制作
フォントグラファーを開き基本設定をする
004
●フォントグラファーへ フォントグラファーを開き基本設定をします。 1.ファイルメニュー/ 新規フォントを選択し、フォ ントウィンドウを開きます。 2.エレメントメニュー/フォント情報を選びます。 フォント情報ダイアローグにスロットナンバー、アッ センダー880、ディセンダー120を入力し、 「アセ ンダー＋ディセンダーからemスクエアーを自動 計算する」をチェックします。 3.ファイルメニュー/環境設定/ポイント表示ダイ アローグで上から4、5番目の項目をチェックして、
オープンパスと二重ポイントの発見のためにチェック
オープンパスと二重ポイントがすぐに発見できる ようにしておきます。 4.それぞれの文字ボックスを1 度クリックして黒 くして選択し、イラストレーターで仮想ボディごと コピーしたアウトラインデータをペーストします。 （ver.5.5ではoption＋コピー、ver.7,9,10では fg.copyをクリックしてコピーします。）共通する 濁点のような部品をコピーする場合は文字ボッ
slot05 ひらがな
クスを開ける必要があります。
ひらがなスロットの slot05と、縦組み促音用 slot89のコード表です。(JIS slot)他のコードは 漢字エディットキットのスロット別コード表を見て 見てください。
また「楕円設計」http://www.daen.co.jp の「きちんと角丸」というイラストレータープラグ インを使用するとカーブが壊れず、内側の角丸 slot89 ひらがな縦組促音
もコントロール可能です。簡単に丸ゴシックがつ くれます。部分にもストロークデータにも有効です。 イラストレーターの フィルターだと
「きちんと角丸」
005
和文書体の制作
5. 文字ボックスを開き仮想ボディのコーナーを
⑤仮想ボディの削除
ダブルクリックして選択し削除します。slot01では、 下にはみ出すローマ字と一緒にコピーしてきた てベースラインも選択し、削除します。 次の文字への移動はコマンド＋]、前の文 字への移動はコマンド＋[を使います。プレビュー
ダブルクリックで
の切り替えはコマンド＋Ｌです。
仮想ボディを 選択、削除。
6. 編集メニュー/すべてを選択を選び、エレメン トメニュー/選択情報で塗りつぶし100% がチェッ
⑥選択情報でペイントの設定を確認
クされていてストロークはチェックされていないこ とを確認します。 7. 表示形式を幅に変えて文字幅が全て1000 であるか確認します。1000ではないボックスに は直接1000と数値入力します。 次に編集メニュー/すべてを選択して、 8.エレメントメニュー/パスの方向修正
⑦文字幅が1000であることを確認
9.エレメントメニュー/パスの整理 10.エレメントメニュー/オーバーラップ削除の処 理をします。パスの整理/パスの単純化はオート トレースのような書体は向かないので避けます。 なめらかにかかれた書体ならレベル3ぐらいの単 純化で整理されます。複合パス、抜けなどがう まくいかない場合同じデータが重なっている可
⑨パスの整理
能性があります。一文字づつ確認しポイントに 二重丸（重なり合ったポイント）、丸（オープン パス）がついていないかも確認します。 11.ファイルメニュー/フォントファイルの作成を します。ファイルの作成ダイアローグでは自動、
⑪フォントファイルの作成
Macintosh、TrueTypeを選んで作成ボタンを 押します。できあがったTrueTypeスーツケース はまとめてフォルダーに入れておきます。この slot--.suit TrueTypeスーツケースはフォントグ ラファープログラムに重ねると開くことができ修 正可能です。 ファイルメニュー/保存をするとフォントグラファー 書類ができますが漢字エディットキットでは.fog 書類は使いません。
TrueTypeスーツケース
fog書類
和文書体の制作
ロールアップツール
006
●漢字エディットキット エディットキットのロールアップツールとバスパッ カーを使います。 1.ロールアップツールを立ち上げ、エンコーディ ング設定をクリックし、同じフォルダーに入って
ロールアップダイアローグ
いるJIS Encodingを選びます。 2.自動配置をクリックし、コンポフォルダー選ん で開きます。 3.フォント生成をクリックするとRolled Fontが 生成されます。 4.バスパッカーを開きます。 ファイルメニュー/MacOSフォントに変換を選び
バスパッカー フォント生成ダイアログ
ます。Rolled Fontを指定して開きます。 5.ダイアローグにフォント名等を入力します。
IDはそのままでかまいませんが、販売等を 予定するならアップルジャパンに申請すればID が交付されます。漢字エディットキットで作られ た日本語TrueTypeフォントはリゾバブルフォン ト形式で生成されており、フォントIDの重複に よるエラーを回避するようになっています。
6.生成ボタンをチェックすると和文TrueTypeフォ ントができあがります。 通常のフォントと同じようにシステムフォルダー のフォントフォルダーに入れてプログラムを立ち 上げれば使用することができます。 チェックして問題がある場合はフォントグラファー
日本語TrueType2バイトフォントの完成！
のslot--.suitまで戻って修正します。slotのスー ツケース書類をフォントグラファーのプログラム アイコンに重ねて開き修正します。 フォントグラファー
TrueType
それをフォント
に変換
グラファーで開くと
TureTypeはスプライン曲線できています がフォントグラファー上ではベジェ曲線で表現さ れます。フォントグラファーでTureTypeに変換 しているのでポイントが増えう訳です。
2003.01改訂 Narusawa Masanobu