SAIEN PROJECT / Social through Product design

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SAIEN PROJECT | Hiroto Okuda

市設計の課題も存在している。例えば野

Tactical Urbanism やシチュアショニスト

て、私たちの都市生活にほんの小さな循環

原 , 釣 (2016) の論文 (*9) ではみち空間で

が行ってきた都市に個人レベルでの戦術的

が生まれその循環自体も増殖していくことに

のデザインマネジメントを行う上での課題と

利用を求める姿勢は言い換えれば市民に何

なる。公共におけるプロダクトデザインとし

して、 「地域主体の街路・沿道マネジメント

かを作ること、創作することを求める姿勢

て市民が関わる可能性、むしろ市民が関わ

に対する、地権者や地域住民の参画・意

でもある。なぜその様なことを求めるかと言

る必要性を保ったデザインによって確実に

見反映の契機作りと参加障壁除去の必要

えばそれがもっとも市民の主体性を発揮す

環境への好影響をもちえるような要素がな

性」や「より良い街並みを統合的に導く為

るにふさわしい状況だからである。背景で

ければそれは公共のデザインとして望ましく

の、地域ビジョン共有・モチベーションの維

も述べたが都市においてはあらゆる事柄が

ないものであろう。新しい公共物のデザイン

持向上」などの市民側への参加の導線や目

資本化されサービスとして書き換えられてい

とは市民の主体性を促し、彼ら自身の価値

的意識の共有などに関する部分が記述され

く。その様な状況に対して生活者はただ便

観を変えていくことができるモノであるべき

ている。また道路事業者や施工業者とのコ

利なものを受容するのではなく自分たちの

だということが今回のプロジェクトを通した

ミュニケーションも含めればマネージャーが

手で生活を作ることから主体性を取り戻さな

私の結論である。しかし重要な課題として

カバーすべき範囲が相当広くなっていると考

ければならない。この姿勢はライフスタイル

私の提案するこのプロジェクトは未だ私個人

えられる。一方で行政側においては 2020

などといったものではなく思想的なイデオロ

の手を離れていない。つまり社会に実装し、

年 2 月に道 路法 改 正案 が閣議決定され

ギーの問題なのである。先述したモノを通

実際に影響を出すということまでできていな

(*10)、これまでは道路の占有許可は 5 年

した社会のデザインと接続するならばモノの

い。デザインの実践として行政や官民と連

が目安だったものが 20 年まで延長され、さ

意味によって使い手の思想、イデオロギー

携をとるためにデザイナーが委託ではなく実

らに民間からの公募も受け付けるより市民

を変容させることが連鎖し社会のデザインと

装に主体性を発揮することがそのためには

の参加を促すような方向へ転換されている

なるのである。

必要となるが、行政と連携したまちづくりプ

ことがうかがえる。他にも国土交通省が主

最後に短くだが、このプロジェクトの背景

ロジェクトには多くの課題が報告されており

導となって水辺での敷地活用を促す『ミズ

に隠れているが、大きな要素であるスケール

その突破のために、Tactical Urbanism の

ベリング (*11)』という河川敷やその周辺に

メリットについても説明しておく、通常プロ

思想に倣い、短期的な活動から長期的な変

催しを行う Tactical urbanism 的な志向を

ダクトデザインが生産数を増やす場合その

化を目指すところから始めることでリスクを

持ったプロジェクトも存在するが一方で行政

利益は製造元や販売元に向かっていく。し

下げつつ活動を展開できると考え、まずは

側が意欲的であっても道路用いる以上警察

かしこのプランターとコンポストにはそのよう

初めの第一歩目を踏み出すことを今後最重

の許可なども必要となるためまだまだ参加の

な対象は存在しない。その代わりにプラン

要課題として書き残しておく。

障壁を下げ切れていないという部分がある。

ター・コンポストが増殖していくことによっ


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