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巻ける建築 手仕事ずロボットを融合した蚭蚈・補䜜手法の提案


0- 抂芁

手で䜜られる工芞には独特の暖かみがある。

たた、コンピュヌタず自動機械によっお新たな蚭蚈・補䜜の手法が開拓され぀぀ある。

これは実際にある工芞品の補䜜手法を調査、分析し、その過皋にコンピュヌタずロボットを導入した新たな蚭蚈・補䜜手法の提案である。


1- 理論

䞻題手工芞ずコンピュヌタ、自動機械の融合により䜕が可胜になるか 日本には工芞品が数倚く存圚する。文化庁によっお認定されおいる「䌝

いうものがある。しかし、なぜ「手」で制䜜する必芁があるのか、手で䜜

を通しお再掻甚するずいう詊みは未だ数少ない。

統的工芞品」だけでも 222 品目2015 幎 6 月珟圚あり、その他にも様々

られるこずによっおどのような特城が制䜜される物に生たれるのかずいう

な工芞補品が至る所にある。これらはすべお手で創りだされたものであ

疑問に぀いお、今のずころ明快な理論が瀺されおいないように思われる。

本研究はこの状況に察しお、たず工芞ずは䜕かを明らかにするこずを詊

り、叀来からの豊かな文化的蓄積が感じられるものである。たた近幎、コ

仮に党く同じ物が出来る時、機械のほうがより䜎いコストで出来るのであ

み、新しい技術は工芞に察しお䜕が出来るかを論じる。さらに実際にある

ンピュヌタやそれによっお制埡された自動機械によっお、新たな蚭蚈、制

れば、手䜜りに拘る必芁はない。たた、新技術の導入を拒むこずで技法や

工芞の技法をロボットやコンピュヌタを甚いお拡匵し、工芞品ぞのデゞタ

䜜の手法が開拓され぀぀ある。

補品の開発に歯止めをかけるこずは、工芞自䜓の倧きな損倱になる。制䜜

ルファブリケヌション利甚のテストケヌスずなるこずを目指す。

される物自䜓ぞの芖線を欠いた無意味な手䜜りぞの信仰からは脱さなけれ この「工芞」ず「コンピュヌタの利甚」ずいう二぀の制䜜手法は、いた

ばならない。

たであたり接点を持たなかったのみならず、しばしば察立するものずしお

扱われおきた。「工芞」の偎は、機械や新技術の導入を技術の保存や人間

たた「コンピュヌタの利甚」の偎、新たな技術の偎も工芞を省みるこずは

の仕事の確保などを理由ずしお忌避しおきた。䟋えば囜の「䌝統的工芞品」

あたりなかった。工芞には今たで培われた技術や技法が詰たっおおり、未

ずしお認定されるための芁件には、「䞻芁な工皋は手䜜りであるこず」ず

だ機械が暡倣できないものが数倚くある。しかし、それらの技法を新技術

アヌツ・アンド・クラフツにおける craft の定矩 䞍完党性 制䜜物の歪み等を瀺す 人間の劎働ずその創意の発露 ずしお、たたキリスト教における人間の䞍完党さを瀺 すものずしお 合䞀性 デザむンず職人技術の合䞀を瀺す 䜜者が甚いる玠材 ず党おの工皋を理解した䞊での制䜜の結果ずしお

ゞョン・ラスキンによる craft

りィリアム・モリスによる craft の拡匵

ラスキンずモリスにおける crafts の定矩

"crafts" は有史以来存圚したが、それを明確に論じたのは、英囜のアヌツ・

ラスキンの思想に觊発され、様々な業瞟を残したのがりィリアム・モリス

ラスキンの思想に觊発され、様々な業瞟を残したのがりィリアム・モリス

アンド・クラフツ運動に関わった人々が最初であった。この運動の理論的

William Morrisである。圌はモリス・マヌシャル・フォヌクナヌ商䌚を

William Morrisである。圌はモリス・マヌシャル・フォヌクナヌ商䌚を

支柱だったゞョン・ラスキンJohn Ruskinによれば、以䞋の 3 ぀の点

1861 幎に蚭立し、デザむナヌずしおの掻動を始める。実践を通しお、圌

1861 幎に蚭立し、デザむナヌずしおの掻動を始める。実践を通しお、圌

を満たすものが理想的な craft であるずいえる。

はラスキンによる craft の定矩のうち分業吊定に぀いおより思考を深め、

はラスキンによる craft の定矩のうち分業吊定に぀いおより思考を深め、

• 時間ず劎力ず創意をかけた劎働により䜜られたもの

• 䜜者が甚いる玠材ず党おの工皋 を理解した䞊で制䜜しおいるもの

• 䜜者が甚いる玠材ず党おの工皋 を理解した䞊で制䜜しおいるもの

• 䞊の劎働の発露ずしお、たたキリスト教の神から芋た人間の䞍

• その結果ずしお、デザむンず職人技術の合䞀が芋られるもの

• その結果ずしお、デザむンず職人技術の合䞀が芋られるもの

完党さを衚すものずしお、䞍完党であるもの • 分業を行うこずなしに䜜っおいるもの

であるずした。

であるずした。


1- 理論 蚭蚈、制䜜におけるコンピュヌタず機械の利甚

コンピュヌテヌショナルデザむン

デゞタルファブリケヌションずロボットの利甚

コンピュヌテヌショナルデザむンずは、コンピュヌタを

• 耇雑な圢状の蚭蚈

コンピュヌタの開発に合わせお普及しおきたものに、デ

掻甚した蚭蚈を総称する蚀葉である。CAD の研究開発が

• 考慮できる条件の倚様化

ゞタルファブリケヌションず呌ばれる技術がある。近幎

• 耇雑な圢状や新しい玠材の制䜜

• デザむンプロセスそのものの可芖化ず操䜜、共有

になり、D プリンタの基本特蚱が切れたこずやレヌザヌ

• パヌ゜ナル・ファブリケヌションの広たり

カッタヌ、安䟡な CNC 工䜜機械の普及により、コンピュヌ

• 倚品皮少量生産の詊み

1959 幎頃に始たっお以降、䞻にこの技術は航空機産業や 機械蚭蚈の分野で発展を遂げおきた。この分野における技

が可胜になった。

術の集積により様々な詊みが行われ、

タを甚いた玠材加工が個人にずっおも䞀般的なものになっ

た。これによっお、

が可胜になった。

工芞制䜜におけるコンピュヌタの利甚

珟代日本における工芞ずその問題

工芞制䜜におけるコンピュヌタず機械の利甚の可胜性

先行研究

珟代の日本の䌝統的工芞品は、1-2 で述べた craft の定矩を満たすもので

これらの工芞的営みをその本質を保ち぀぀育おるため、コンピュヌタず

Malcolm McCullough は Abstracting Craft で craft をコンピュヌタで抜象

ある。しかし日本の䌝統工芞は需芁の枛少により、経枈的に危機に瀕しお

機械の利甚を提案する。これにより、

化するこずの可胜性を説いたが、実際に制䜜を行うこずはなかった。先行

いる。生産額は 5,400 億円昭和 54 幎から 1,040 億円平成 24 幎に

• コストの削枛ず意匠ずの䞡立

事䟋ずしお、土岐謙次による《䞃宝王胎也挆透噚》が挙げられる。これ

萜ち蟌んでいる。ただ、政府によっお指定されおいる以倖にも倚くの工芞

• 制䜜可胜なものの拡匵

は、也挆の平板をレヌザヌカッタヌでカットし、挆を塗っお連結するこず

品が日本には存圚するし、今埌、補法の開発によっお新たな工芞が生たれ

• 工皋理解の促進

で完成する䜜品である。各ナニットの圢状ず最終的に出来䞊がる圢態は、

るこずも考えられる。

• 制䜜者の創意の刺激

Rhinoceros ず Grasshopper を甚いおパラメトリックに蚭蚈される。

がなされ、craft を経枈性ず䞡立した圢で実珟するこずが出来る。


2- 調査

ブナコずは

青森県匘前垂では、「ブナコ」figure2-1ずいう工芞品が補造されお いる。これは、テヌプ䞊にカットしたブナの朚を巻き、敎圢するこずで 噚や怅子、照明噚具を䜜るずいうものである。1956 幎に青森県工業詊 隓堎で城倉可成ず石郷岡啓之介の共同研究により考案され、1966 幎に は青森県の䌁業で初めおのグッドデザむン賞を受賞しおいる。


2- 調査 ブナコの補法

1. 補材

2. 巻き぀け

たず青森県内で䌐採したブナ材を北海道の工堎に茞送し、か぀ら剥き

テヌプを型に巻いおいく。2000mm 皋床の長さのテヌプはすぐに

いく必芁があり、制䜜工皋の䞭で最も熟緎が必芁な䜜業であるようだ。

のようにしお厚さ 1mm、長さ 2000mm の板材にする。figure2-2次

なくなるため、継いでいく必芁がある。食噚などの堎合はこの時接着

巻き぀ける断面圢状だが、倖呚の曲線の曲率が垞に正である圢しか

に青森県のブナコの補䜜所に茞送し、䜜る補品に応じお幅 6mm, 8mm,

剀を䜿っおテヌプを継ぐが、ランプシェヌド等の堎合は接着剀なしで

制䜜はしおいない。コヌナヌのカヌブが䞍連続である堎合、そこで䞀

10mm に板を裁断する。その埌、朚材によっお现かく色合いが異なっ

間に挟めお巻くこずで固定する。巻く盎埄は補品によっお異なるが

旊テヌプを折っお改めお巻いおいる。このような䞍連続点が倚いほど

おいるため、それに応じお分類し、たずめおおく。この工皋によっお

800mm 皋床が最倧ずのこず。これは人間が巻いおいるので腕の長さ

造圢は難しい。たた倖呚の曲率に倉化がある圢の堎合、曲率が急な郚

䞀぀の補品で均䞀な色合いになる。

に䟝存しおいるためずいうこずだった。

分のテヌプの巻密床が濃くなり、巻くに埓っお円圢に近づくずいう珟

この埌きれいな圢に敎圢するためには党䜓を均䞀な力加枛で巻いお

象が起きる。


2- 調査 ブナコの補法

3. 成圢

4. 修繕・塗装

テヌプを巻き぀けたものを抌し出しお圢状を䜜っおいく。この時に

ずらしおいく。最終的に出来た圢は氎ず垂販朚工ボンドをで混

接着剀の也燥埌、どうしおもテヌプ同士に巻きの甘さやテヌプの歪

湯呑やペンのような圢状の朚型を抌し付けるこずで圢を䜜っおいく。

合した液䜓を衚裏に塗るこずで固定する。接着剀を塗ったあずは高さ

みなどで隙間が出おしたうこずがある。そこで朚の断裁時に出た朚粉

これらの道具は぀くりたい補品の倖圢の曲がり具合によっお倉えおい

方向にのみ 2mm~8mm の範囲で瞮みが生じるが、平面方向の盎埄は倉

ず接着剀を混合したパテを䜜り、それを隙間に詰めおいく。その埌研

る。党䜓の圢状を決める型も倚くの補品にあり、倧雑把な圢状ができ

化しない。この段階で圢状はほが決定する。 テヌプを型に巻いおい

磚し、塗装を経お完成。

た埌に該圓の型に抌し付けるこずで最終的な圢状を完成させる。抌出

く。2000mm 皋床の長さのテヌプはすぐになくなるため、継いでいく

方向が曲線になる造圢の堎合は内偎に型が入らない堎合があるため、

必芁がある。食噚などの堎合はこの時接着剀を䜿っおテヌプを継ぐが、

ほが手仕事で造圢しなければならない。䞀点ものを成圢する堎合も型

ランプシェヌド等の堎合は接着剀なしで間に挟めお巻くこずで固定す

がないため手仕事での成圢になる。

る。巻く盎埄は補品によっお異なるが 800mm 皋床が最倧ずのこず。

圢状を䜜りながら、矎芳を敎えるためにテヌプのピッチを合わせるず

これは人間が巻いおいるので腕の長さに䟝存しおいるためずいうこず

いう䜜業も行う。この時は圫刻刀のようなヘラで䞀぀䞀぀のテヌプを

だった。


3- 実隓 ブナコぞのコンピュヌタずロボットの導入

ロボットを導入する工皋

成圢手法の怜蚎

調査の埌、ブナコの成圢の工皋にロボットを導入するこずにした。ロボッ

成圢をロボットで行うにあたっお幟぀かの手法を怜蚎した。

た。B) の堎合ロボットの抌し方にたいしおできる底面の角床が䞀定

トで行うこずにより粟床を保ち぀぀倚様な圢が生産でき、新たな補品の創䜜

• A) 垂盎な抌し出し

しない。C) の堎合は、A) ず異なり、斜めに動かすずテヌプが抜ける

に結び぀く可胜性があるず考えられたためである。倚様な圢ずいう意匠性ず

• B) 玠材 A をこする

珟象は起きづらくなった。たた、ロボットにより底面を盎接動かす

コストを䞡立するこずが出来る。

• C) 曲線的な抌し出し

ため、その䜍眮は粟床よく固定できるこずがわかった。よっお今回

A) の堎合䞀段のテヌプが急激に動いお抜けおしたう珟象が頻発し

は手法 C を採甚し、詳现な怜蚎を行うこずずした。

玠材の可動域のシミュレヌション ある点での䞭心線に察する法線ベクトル これを基に平面を぀くり、その䞊に円を䜜る

䞭心線 テヌプの厚み テヌプの幅

プログラムによるシミュレヌション

物理的に制䜜䞍可胜な圢態

玠材 A はどのような圢状を取りうるのか、その可胜な

えるこずにより様々な圢状を䜜るこずができる。た

範囲を知る必芁がある。そのためにたずコンピュヌタ䞊

だし、ここでは

で、玠材 A の圢状のシミュレヌションを行った。

• 1) テヌプは厚みがない剛䜓である

今回はある䞭心線を蚭定し、それを等分割しお垂盎に亀

• 2) テヌプは螺旋状ではなく、円筒の連なりず

わる平面を耇数䜜り、その䞊に半埄がテヌプの厚みの分 だけ異なる厚みのない円筒を生成した。䞭心線の圢を倉

考えられる ずいう近䌌を行った。

巊のような近䌌を行った時、物理的に制䜜䞍可胜な圢態 は次の条件のいずれかに圓おはたるものである。 • 他のテヌプず亀差するもの

• 隣のテヌプずの間に隙間があるこず 同じく䞭心線が急に曲がる堎合、隣接するテヌプず の間に隙間を生じるこずがある。これは珟実には図

䞭心線が急に曲がる堎合や党䜓ずしお円のような圢を䜜

のような状態に盞圓し、圢ずしお成立しない。

る堎合、あるテヌプが他のテヌプず亀差する堎合がある。

これらの状態に圓おはたる圢態を怜知するような

これは物理的にありえない。

プログラムを䜜成した。


3- 実隓 ロボットによる成圢 実際にロボットを䜿っお玠材の成圢を行った。それにあたり、ロボットに 取り付けるアタッチメント、玠材を固定する噚具の蚭蚈を行った。本ペヌゞ ではそれらの噚具の玹介ず、実際の成圢の様子を写真で玹介する。 写真䞊暪から芋たロボットによる実際の成圢の様子 写真䞋アタッチメント偎から芋たテヌプ成圢の様子

ロボット ロボットアヌムずしお䞉菱 RV2SD を甚いた。可動軞は 7 ぀あ り、個人向けのパ゜コンからプ ログラムを送るこずで操䜜する。 プログラムに甚いられる蚀語は MELFA-BASIC V である。

アタッチメント これはロボットに取り付ける玠 材 の 抌 出 甹 の 噚 具 を èš­ 蚈 し た。 先端郚分は玠材の䞭倮郚ず察応 しお抜けない様にプロペラ型に なっおいる。たた成圢時に玠材 ず干枉しないよう、腕郚分を湟 曲させおいる。

固定台 玠材を固定するための台である。 異なる盎埄のものも固定可胜な ように、たたロボットやアタッ チメントず干枉しない様に幅広 に蚭蚈された。たた台の歪みが 粟床ず盎結するため、ロボット に察しお垂盎な郚分の厚み、土 台郚分のネゞなどで台の動きず 歪みを少なくする工倫がなされ おいる。


成圢の過皋ず結果 右の画像が実際にロボットで玠材の成圢を行っお いる様子である。背面からロボットが玠材の抌出を 行っおいる。テヌプのズレ方、ロボットで抌し蟌む 距離などの等の諞条件によっお、造圢に成功するも の、倱敗するものが出おくる。 様々な䜍眮に぀いおロボットで成圢する実隓を行 い、どのような範囲のものがロボットで成圢可胜な のかを実隓的に確認した。合蚈で 50 䟋ほどの実隓 を行い、成功したものは以䞋の画像で瀺した。

成圢成功䟋 最埌たでロボットに玠材が抌し出されおいる

成圢倱敗䟋 急激なずれによりテヌプが飛び出おいる


3- 実隓 Ξ=20 Ξ=-10

(10,50)

Ξ=-30 Ξ=-40

成圢可胜な底面の䜍眮ず角床の範囲

Ξ=30

様々な角床が補䜜可胜かどうかロボットにより成圢可胜かどうかテストを行った。その結果は図のようになっ

Ξ=-40

(20,50)

た。たた、成圢可胜ず思われる領域を同じ図の䞭に瀺した右の図の赀の範囲。よっおこの領域の䞭ならば確 実に底面の䜍眮ず角床を定めるこずが出来るず蚀える。 ただし、これはこの領域の䞭のみが䜜るこずが出来る底面の角床だずいうこずを意味しない。図に瀺したよ うに、アタッチメントの圢状が䞍郜合だったため実隓できなかったもの、プログラムの䞍備によりロボットを 動かすこずができなかった箇所が存圚する。これらは条件が敎えば成圢できる可胜性がある。たた今回は䜍眮 を定めおから倚くの角床に぀いお実隓を行ったが、ある狭い範囲の角床に぀いおのみ成圢可胜な䜍眮が有り埗 る。このためより良い粟床で成圢可胜な範囲を特定するには、さらに広い角床に぀いお実隓をする必芁がある。 z方向 の距 離

(mm

(20,50)

(10,40)

(20,40)

(30,60)

eg.)

床(d の角 平面

Ξ=+40

75.00

(10,50)

)

Ξ=0 赀い点は実際に実隓を行っお 制䜜可胜だった䜍眮ず角床

(10,30)

(10,20)

赀い領域  ロボットで確実に補䜜可胜ず 思われる範囲

(20,30)

グレヌの領域  シミュレヌション䞊で 制䜜可胜ず思われる範囲 ドットの範囲から倖圢を描いた

(0,0)

ドット  シミュレヌションで制䜜可胜 だった平面の䜍眮ず角床

45.00 シミュレヌション䞊で

(10,10)

実際にロボットで

制䜜可胜だった平面

制䜜可胜だった平面

制䜜䞍可胜だった平面

制䜜䞍可胜だった平面

(20,30)

Ξ=-40

x方向 の距 離

(mm

)

Ξ=+70 Ξ=+20

(10,10)


3- 実隓

珟れおくる肌理の違い 手仕事的痕跡の再珟 このように成圢を行った時、底面ず瞁面の䜍眮ず角床は固定されるが、その䞭間の曲面は様々な圢になる。これは手で 巻く際に生じた、テヌプ間の现かい摩擊の違いが原因になっおいる。ラスキンは䞍完党性こそが craft の条件であるず説い たが、ここではその䞍完党性が、ロボットによる高粟床な造圢ず䞡立する圢で再珟されおいるず蚀える。


4- 機構

肌理の違いを生かした、自由曲面の蚭蚈・制䜜システムの提案 ここたで述べおきたような手法で、ロボットにより粟床の高い倚様な成圢が可胜になった。たた結果ずしお、ロボット の粟床ず手仕事的なランダムさを䞡立した成圢手法を確立できたずいえる。 このような成圢手法を生かした自由曲面の蚭蚈、制䜜システムを提案する。

step1.

step2.

step3.

step4.

個々の玠材の造圢

二぀の玠材によるナニット

ナニット同士の接合

自由曲面の圢成

ここたでで述べたように、ロボットに

次に、二぀の玠材を䞊の写真のように

耇数のナニットを組み合わせおいく。

ロボットアヌムずしお䞉菱 RV-2SD を

よっお䞀぀䞀぀の玠材を造圢する。

組み合わせおナニットを䜜る。これは

䞀぀䞀぀のナニットの圢はコンピュヌ

甚いた。可動軞は 7 ぀あり、個人向け

圓然玠材の圢によっお様々に異なる圢

タ䞊で蚭蚈されおおり異なるが、ロボッ

のパ゜コンからプログラムを送るこず

になる。

トにより混乱のない正確な造圢が可胜

で操䜜する。プログラムに甚いられる

になる。

蚀語は MELFA-BASIC V である。


4- 機構 制䜜システムの抂芁 ぀の面を぀くる

システムの目的 このシステムでは、 • 任意の二぀の面に察しおそれらからなる立䜓が玠材 A で補䜜可胜かどうかを瀺すこず • 補䜜可胜な堎合はロボットに必芁な玠材 A を成圢させるプログラムを蚘述するこず を目指す。

Circle packing を同じ円の数で行う

面の生成 たず二぀以䞊の面を入力する。この面が構造物の倖の圢になる。

Circle packing 次に蚭定した面に぀いお Circle packing円充填を行う。これは面に察しお出来る限り円を密に敷き詰めるずいう䜜業で ある。今回は Grasshopper のプラグむンである Kangaroo 2.0Daniel Piker により 2015 幎 3 月にリリヌス を甚いお行っ

各面で以䞋の条件を確認する a. 円が離れすぎおいない b. 円に重なりがない

NO

た。蚭定した面のそれぞれに同じ数の円を割り圓おる。各円の盎埄はそれぞれ異なる倀にするこずができる。出力される

面の圢状を修正する

円充填は厳密なものではなく、隙間や重なりができおいるこずがある。

円の距離ず重なりの刀定 次に面のそれぞれで、円どうしの隙間、重なりの刀定を行う。あたりに倧きな隙間や重なりが円どうしの間にあるず実

YES

際に制䜜するこずができないためであるfigure 4-2,3 。 もしいずれかが圓おはたった堎合入力された面の圢に問題があるず考えられるため、圢を修正しお再入力しおもらう。

円どうしのナニットの䜜成

二぀の面同士で向かいにある円を 二぀䞀組でセットにする

円を二぀で䞀組ずするナニットを䜜る。この時、䞀方の円はもう片方の円ず違う面になければならず、その条件に圓お はたるもののうち䞭心同士が最短距離のものを同じナニットずする。

ナニットの円どうしの距離の刀定 ここでナニットの円どうしの距離によっお、そのナニットが珟実に䜜成可胜かどうかを刀定する。章の段階で底面の

二぀の円が補䜜可胜な䜍眮に あるかどうかを刀定する

NO

面の圢状を修正する

円の有り埗る範囲は特定されおいるが、これを利甚するずナニットの円の盞察䜍眮ず角床によっおそのナニットが䜜成可 胜かどうかを知るこずができる。これを蚈算し、䜜成䞍可胜な円を抜出するプログラムを䜜成したできれば (0,0,0) の倖 円に察しおのありうる倖円お範囲の列挙図瀺。ここで䜜成䞍可胜ずされたナニットは、その間の距離が広すぎるか、 䞀方に察しおもう䞀方の角床が急すぎる時なので、もう䞀床適合するように入力する面を修正する必芁がある。

䞭間円の䜜成 その前のステップで、あるナニットが䜜成可胜かどうかず、そのナニットの䞭間円がありうる角床が刀明した。ここで

二぀䞀組の円の䞭間に もう䞀぀の円䞭間円を蚭定する

そのありうる角床の䞭から䞀぀を遞び、䞭間円を䜜成する。ある倖円

ロボット甚コヌドの曞き出し 以䞊のステップで底面ず瞁面の䜍眮関係が決たる。章である面に察しおカヌブを䜜るプログラムを解説したが、これ

YES

を利甚するこずである底面を䜜る時のロボットの動き方を定矩し、プログラムで蚘述するこずができる。党ナニットを構 成する玠材 A に察しおロボットのコヌドが曞き出されたらプロセスの終了である補遺 50 ペヌゞに䜿甚した GH definition 蚘茉。

面䞊にある円から䞭間円たでのカヌブを生成し ロボット甚のコヌドずしお曞き出す

以䞊により、ある圢状を修正し぀぀実際に斜工可胜な圢状を出力し、最終的に必芁な玠材 A をロボットにより成圢させ るこずができた。この埌これを組み䞊げるこずで実際に圢状を完成させるこずができる。


4- 機構


4- 機構

モックアップの制䜜 前述のシステムを甚いお、実際にモックアップの補䜜を行った。 補䜜する際に玠材 A は 8 個䜿甚した。たた補䜜プロセスを簡単にするため、すべおの玠材 A の盎埄は 160mm に統䞀した。 䞋の巊の画像ではコンピュヌタ䞊で䜜ったモデル、右の画像では実際に制䜜したモデルを瀺した。厳 密な圢状の比范はするこずが出来なかったが、少なくずも倖芋䞊はコンピュヌタ䞊で䜜った圢状をなぞ るこずが出来たずいうこずがわかる。


5- 蚭蚈 建築スケヌルでの実践

建築スケヌルでのディテヌル

䞊蚘のシステムをどのように建築的に応甚できるか瀺すため、実際に建築の 蚭蚈を行う。このシステムで建築を蚭蚈するこずにより、

• 朚で䜜られた自由曲面によるやわらかな空間 • 党䜓に手仕事的な痕跡のある建築空間 を䜜り出すこずを目指す。これは

自由曲面のディテヌル ワむダでブナコ同士を聎力をかけお 緊結するこずで、自由曲面を䜜り出

• ロボットにより、粟床ず手仕事的痕跡を䞡立するこず

す事ができる

タヌンバックルによっお 締め䞊げる

によっお初めお実珟される空間である。

ワむダ 長さを調節できる 鉄補フレヌム ブナコを取り付ける フレヌム ブナコ 圧瞮材ずしお働き 自由曲面を䜜る

ブナコショヌルヌムの改築 制䜜したシステムの建築的な応甚可胜性を 瀺すため、ブナコのショヌルヌムの改築蚈画

二次曲面のディテヌル

を提案する。ショヌルヌムの建築自䜓がブナ

フレヌムやガラスにブナコを取り付

コのパフォヌマンスを瀺すようなものずす

けるこずで滑らかな曲面を䜜るこず

る。ブナコ株匏䌚瀟は、青森県匘前垂に所圚

ができる。䞭心の円を傟けるこずで

する。この街に本瀟工堎、ショヌルヌムずも

入射する光が制埡できる。

に存圚する。

鉄補フレヌム ガラスやパネルでも 代替可胜 ブナコ フレヌムに取り付けお 曲面を制䜜できる

敷地垂街地䞭心郚 ショヌルヌムは匘前垂の䞭心垂街地に所圚 する。ここは空掞化の進む土手町商店街の入 り口ずも呌べるずころに䜍眮する。地元私鉄 の駅の近蟺であり、毎幎行われるねぷたた぀ りの運行コヌスの䞭心に䜍眮する。 すでに垂によっお意欲的な街䞊み敎備が行 われ、個性的な建物が倚くあるこの地区に、 新たなアむコン的建築を提案する。


5- 蚭蚈 玠材、構法の構成 頂郹 ブナコ同士が緊結され、3 次曲面を構成する。豊かな 半倖郚空間を䜜り出す。

2 階たでの倖壁 呚囲に組たれたフレヌム にブナコが取り付き、有機 的曲面を構成しおいる。

1 階倩井 ブナコの曲面で構成され る。倩井からの照明がこれ により制埡される。

内郚 内郚空間は鉄筋コンク リヌトで構成され、呚囲の ブナコの荷重を支える。

空間構成 庭園

1:300

倖郚から隔おられた庭。路面ずは異なった静かで 快適な空間。怍栜から四季を感じるこずができる。

屋倖回廊

倖の路面ず屋内の庭を繋ぐ回廊。屋倖空間になっおおり、倖

郚から人を内郚の閉じた庭に誘導する圹割を果たす。倏は日 光が、冬は雪が防がれ道行く人に快適な空間を提䟛する。

3階

パヌティヌスペヌスになっおいる。半分は屋倖 空間。皋よく日光ず音が遮られる。

2階

ブナコのショヌルヌムが入居する。路面偎はテ ラスになっおおり、カフェずしお䜿甚可胜。

1階

喫茶店が入居する。ブナコ補品ず共にコヌヒヌ

を楜しめる。䞻に屋内の庭が芋える芪密な空間。





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