ポートフォリオ(カールスルーエ造形大学) ── Portfolio (HfG Karlsruhe)

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Portfolio HfG Karlsruhe

Winter Semester 2016/17 Summer Semester 2017

Kazuhiro Ogata


2


ポートフォリオ カールスルーエ造形大学 2016 - 2017

Berlin

Germany Karlsruhe München

緒方 胤浩

3


4


◆ 目次

ページ

製品名称

授業名

8-13

Stool

Power of the Triangle

スツール

14-19

Lamp

Power of the Triangle

照明

20-29

CI design

Ebnat -Corporate Identity-

CI デザイン

30-33

Shoetree

LOGO!

シューキーパー

34-37

S&P Shaker

Umdeuten, Umnutzen, Umbauen

塩胡椒ケース

38-41

Helmet

SMC / BMC

ヘルメット

42-45

Bookmark, Memopad 付箋、メモパッド

46-59

Summary 留学まとめ

5

ZKM Merchandise


6


◆ 内容構成

◆ 見出し

授業名 LOGO!

◆ コンセプト アシックスのロゴを用いて、シューキーパーの形状を検討した。

◆ 概要

シューキーパーは男性

形状を保って保管するた

あって、スパイクに用いる

用紳士靴に使われること

めには重要であり、その

ためのシューキーパーを

が多く、木で作られる

形状もいくつか種類があ

知っていた。

製品は比較的高価なもの

る。前方と後方の木の部

スポーツシューズ用のも

になる。しかし綺麗な

分が前後に調整可能だっ

のはプラスチック製で、

たり、二つをつなぐ部分

カンガルー革などを使っ

がバネで曲がったりするこ

たスパイクの形を保つた

とで靴にフィットするよう

めに使われていた。

コンセプト の内容

になっている。私はラグ

よく知られている企業のロゴの形状に着目して、その企業に関係するモノ

ビーをしていたことも

写真:株式会社スピナ

を制作した。その企業の製品に関連したものや、企業の抱える問題などを 解決するようなものなど、自由度の高い想像力が求められた。 また同時に3D データの編集と出力の演習を含み、3次元での造形力を養

Anima Sana in Corpore Sano....

うことも目的とした。1年生が最初に受ける必須の授業であった。

この課題を考える上で、世界に知られている日本の企業 のロゴマークを使用したいと考えてアシックスを選ぶに

授業期間

至った。アシックスは、1949 年に創業者である鬼塚 喜八郎がバスケットボールシューズの製造販売を行う

17.Jan.2017

「鬼塚商会」を設立したことに始まる。その後に数度の合

18.May.2017

初回講義

併の末、1977 年に株式会社アシックスに社名を変更し、

最終プレゼン

現在に至る。アシックスといえばオリンピックなどで日本 代表選手団のユニホームを手掛けるなど、スポーツ用品

January

Febrary

March

April

コンセプト 立案における 細かい情報

としての印象が強いが、海外ではスニーカーの人気が高い。

May

それを逆輸入する形で 2015 年からアシックスタイガー というブランドラインが立ち上がり、80-90 年代のハイテクを現代風にアレンジした スニーカーが日本でも販売されるようになった。 アシックスという名称は、 「もし神に祈るならば、健全な身体に健全な精神があれかしと 祈るべきだ ("Anima Sana in Corpore Sano")」という帝政ローマ時代の風刺作家 ユベナリスの言葉に由来している。そしてこのロゴが使われるようになったのは 1992 年 からで、アシックス(asics)のイニシャルである "a" をモチーフに、スポーツが持つ 限りないスピード感や躍動感を表現し、同社の 21 世紀に拡がる無限の可能性を " 宇宙 " というイメージでシンボライズしていると共に、1つの基幹事業を軸に周辺事業も関連して 無数のロゴを調べるところから始まった。

発展する現象を表す経済用語「スパイラル(うず巻、らせん) 」を表現しているとされる。

最終プレゼンの様子。

2

1

キーワード

◆ 見出し

授業風景など

◆ 制作プロセス

◆ 最終提案

形を決めるにあたって、 シューキーパーの形状を元 にどのようにロゴを使える かを想像し、どちらを前 にするのか、伸び縮みさ せるのか、どこにテンショ ンを持ってくるのかなどを 検討した。その上でワイ ヤーや紙粘土を使って立 体的なイメージを作ってか ら、パソコン上で操作して いった。シューキーパーの 形状と照らし合わせなが ら、全体的な傾斜やフォ ルムを決定し、最後には 3D プリンターで出力した。 1度目の出力では、全 体が薄すぎてうまく成形 されなかったり、脆かっ たので厚みを 3mm に増 して再出力して最終形とし た。今回は自分自身の靴

メインビジュアル

の大きさを基準にして設

186x90x50mm

計したが、前後数センチ までは対応した。この後

シューキーパーの形状

に右足用をミラーでもう片

をロゴの上に立ち起こす

方を作成した。

ように設計し、スピード 感や躍動感を感じさせる ような流れる形状になる ように調整を行った。 a の書き始めの細くなっ た部分が弾力を保って いて、靴に入れたときに 位置が固定される役割を 持っている。

3

4

作品概説 作品サイズ ページ数

7

サブビジュアル


POWER OF TRIANGLE 1 ◆ 概要 三角形の特徴や利点を取り入れたプロダクトの制作を行った。またこのプロ ジェクトでは、工房での作業を基本として、プロトタイピングを含めて機械な どを使った制作の過程を経験することを目的とした。

October

15.Nov.2016

10.Jan.2017

8.Feb.2017

トラスの講義

中間発表

最終プレゼン

November

マシュマロとパスタを使って経験的に学んだ。

December

教員も生徒も一緒になって意見を出し合った。

8

January

Febrary

最終プレゼンの様子。


◆ コンセプト スカプラと呼ばれる3つの大きな三角形と4つの小さな三角形によってできる かたちを変形させることによって、2D から 3D へと変化する椅子を検討した。

3points

元になったのは、半分の

Make

三角形を中心に持った形状

A surface

トを設計したのは、ジョル

大きさの折りたたみできる の三角形。このオブジェク ジオ・スカルパで、鉄の チューブとナイロンの糸が 全てのパーツをつなぎとめ て、折りたたみができるよ うになっている。

9

SCARPA by Girgio Scarpa


◆ 最終提案

400x350x500mm

10


◆ 作品説明 家に人を招いた時、作業 のために場所を作りたい 時、花や置物を飾りたい 時、いつもは必要ないけ れど、いざという時にさっ と組み立てられる折りたた み椅子。 古くはエジプトの時代に も存在していたそれは、 1947 年に初めてアルミニ ウムを用いて作られ、 1957 年には大量生産され るようになった。また、 1969 年に作られた Plia は 多くの複製が製造されて現 在よく見られる形のモデル になったとされる。それか ら時を経て今回新しい折り たたみの形を検討した。ま るで折り紙や風呂敷を畳む ように、この椅子を片付け る。この動作は床に置いて 畳まなければいけない。 ドイツでデザインを学んで いるにも関わらず、自然と 自国の生活習慣に基づい たデザインをしていた。 目指したことは、椅子と して使われる時も、使われ ずにどこかに置かれている 時も、変わらずに存在感 を持ち続けられるような形 を探すことだった。正三角 形は昔から人を魅了してき た形で、縦と横の線で構 成される空間において、ア クセントを与える形をして いる。構造的な利点も含 めて、その形としての見え 方をもっと知り、うまくデ ザインに取り込んでいける ように、これからも三角形 と向き合っていきたい。

11


◆ 制作プロセス

で若干の高さ調節が可能 であることを見つけた。こ 最初のアイデアは、スカ

そこでスカルパを使って椅

れを最終的な形として、座

ルパで作られるダイヤのよ

子を作るというアイデアを

面の穴の形などを調整しな

うなフレームであった。こ

保持して、自立可能な形を

がら決定していった。 結

れをストローとゴム糸で変

探す方向に転換した。そ

果として少し煩雑な形状に

形できるモデルとしてアイ

の中で、木の棒材をゴム

なってしまったが、自分以

デアを提案したが、それに

ひもでつなぎとめる方法

外の人のアイデアをここま

対して他の学生が、「ゴム

や、折りたたんで片付ける

で取り入れたことはなかっ

を引っ張ると一瞬で組み立

仕組みを見つけていった。

たので、デザインの仕方・

つような仕組みだと面白

そして右上図の形が最も安

プロセスを学んだという意

い」と意見をくれた。それ

定する状態で、それを少し

味で、価値のある作品に

に対して先生も「その機構

絞ること

なったと思う。

を一回考えてみたら」とい うことで、それを試してみ ることになった。そして、 その機構を可能にする、 糸の通し方や、ジョイント 部分の形状などを試行錯 誤した。しかし元々のアイ デアを実現するには力のか かり方などの問題で自立が 不可能だった。

12


Po

we

ro

f Tr

ian

gle

13


POWER OF TRIANGLE 2 ◆ 概要 三角形の特徴や利点を取り入れたプロダクトの制作を行った。またこのプロ ジェクトでは、工房での作業を基本として、プロトタイピングを含めて機械な どを使った制作の過程を経験することを目的とした。

October

15.Nov.2016

10.Jan.2017

8.Feb.2017

トラスの講義

中間発表

最終プレゼン

November

マシュマロとパスタを使って経験的に学んだ。

December

教員も生徒も一緒になって意見を出し合った。

14

January

Febrary

最終プレゼンの様子。


◆ コンセプト 卓上に据え置いて使うだけでなく、多様な使い方ができるような照明。 また、素材にはプレキシグラスを使い、光の美しい見せ方についても検討した。

Examples

“LED 持ち運びできるあかり” 無印良品

“Phare portable lamp ”

“cloverʼ pilot light”

Stanislaw Czarnocki

Ionna Vautrin

◆ アイデア ペンダントライト、シーリングライト、デスクライト、、、様々に分類される照明器具がある 中で、自分の必要な場所に持ち運び、必要なところを照らすことは、元来人間が松明によって 辺りを照らしていた頃に始まり、ロウソクを使っていた時代では当たり前のことだった。 必要な場所に必要なだけ光を使う暮らしは、エコロジカルな生き方につながる方法の一つな のではないだろうか。今回は、授業の主題である三角形の形を生かした、持ち運べる照明の 制作を試みた。

portable is...... ecological 15


◆ 最終提案

160x180x130mm

16


◆ 作品説明

プレキシグラスを使い、三角錐のエッジを辿るようにしてかたどられた照明を制作した。 使用方法は、通常の卓上ランプのように台の上に置く、机の端にかけて机の下の空間を照らす、そして壁 などに掛ける、という3つに分けられる。三角形の角が机の端に引っかかったり、壁から出る突起やドアノ ブなどに掛けることができる。また、単に机に置いているだけでもインテリアとして空間を演出する。

Material プレキシグラスに傷や切 れ込みを入れることで、そ

事実を踏まえて、この留

ここで、マグマに見られる

学中に制作するには、とて

ような物体の温度と光の

も興味深いと思い、この

関係や、自然の照明であ

素材を採用した。

るロウソクの柔らかな光、

の部分だけを光らせる方法

Light

は、しばしば BMW などの 高級車のヘッドライトに使 われている。プレキシグラ

アクリルを用いた照明で

スは、ドイツのアクリルメー

よく見られるようなエッジ

カーであるエボニック・デ

をそのまま照らしたり、均

グサ社の製品であること、

等にラインを刻んで照らす

そして多くのドイツ製の自

以外の方法で制作したいと

動車がこの手法を採用して

思い、異なる方法を模索し

いるという

た。

17

癒しの効果もあるラバラン プなどのイメージを統合し て、大きな斑点のような傷 を入れることにした。 また、傷を入れる場所は、 机の角や壁の突起など、 設置の際に必要なポイント を照らしつつ、全体的にバ ランス良く光を放つように 配置した。


◆ 制作プロセス はじめは机に置いたり、角に引っ掛けたり、壁に掛けたり するという機能を設定して、それに合わせた形を考えた。 しかし形状が複雑すぎたので、教授がいっさいを取り払い 三角形の足から一本伸びた先に電球をつけた形を提案してく れた。この時点では、そこからどのように細いフレームと電 球をつなぎ合わせるか、光の方向をどう変えるかなどを検討 していた。 そんな時にプレキシグラスの情報を得て、その素材を使う ことになった。そこから熱してプレキシグラスを曲げたり、 ヤスリなどで傷をつける実験を繰り返して最終的な形状を決 めていった。それと同時にどこに模様をつけるのか、どんな 模様をつけるのかも考えた。 また LED ライトを使う上で、どの種類の光源を使うのか、 電源を何にするのかについても検討した。これに関しては電 気系の設計を担当する指導員の先生の多大な補助を得なが ら、作業を進めた。そして持ち運びできることをコンセプト に設定したので、電池式や充電式にしてコードレスにしたかっ たが、求める形の大きさと必要な電力の関係から今回はコ ンセントにつなぐ形式になった。 最終的な作品に関して、プレキシグラスを曲げた部分で想 像した以上に光が漏れ出てしまったのと、バーナーで熱を加 える時に気泡が入ってしまったのとで、想像していた通りの 光り方が得られなかったことは残念であった。 この学校での授業を通してわかったのは、生徒の最初のア イデア、コンセプトに対して否定することはなく、教員はそ れに対して付け加えたり減らしたりと、制作過程に多分に関 わるという働きかけ方をするということだ。それをだいぶ受 け入れて制作を行ったが、自分の考えとのバランスをうまく 取りながら次回は進めていきたいと感じた。

18


- Power of Triangle -

19


EBNAT

CORPORATE IDENTITY ◆ 概要 Ebnat AG というスイスのブラシ会社のための CI デザインを、グループワー クを通して検討した。同社のためにロゴや商品パッケージ、ウェブサイト、見 本市での空間デザインにわたるデザインを依頼されて、5チームによるコンペ ティションを行った。 Staatliche Hoc hsc hule für Gestal tung Karlsruhe

October

3-5.Nov.2016

20.Dec.2016

9.Feb.2017

工場見学、初打ち合わせ

中間発表

最終プレゼン

November

自社工場にて全ての製造工程を行っていた。

December

2日にわたって担当者と方針や意向などの意見交換をした。

20

January

Febrary

企業の重役を招いて最終プレゼンを行った。


◆ コンセプト 今回、スイスへの企業訪問の際に私たちが感じたことや、企業のセールスポ イントであるスイスメイド 100%・高品質・持続可能性などから「Circle」を コンセプトを表現するシンボルとして設定した。 この円は自然や持続

企業のある町の景色か

可能性、完成度の高さ

ら抽出した2つの色を

などを表すと同時に、

用いて、全体に統一感

これからの変革を求め

を持たせるようにデザ

ている企業の未完成な

インを進めていった。

様を、禅の象徴として 描かれる不完全な円と 照らし合わせて表現し ている。 そしてスイスの伝統

メンバー

的なステッチに使われ

Giulia Toneguzzo

ていた模様を再構築し

Kazuhiro Ogata

十字と組み合わせたパ ターンと、スイスの

Takafumi Tomimori

11月の初旬に訪れた時には、緑鮮やかな草原がひろっがている景色もあったが、標高が上がると地平線一帯に連なる雪山の景色もあった。

21


◆ 最終提案

◆ ロゴ 現在のロゴを完全に変更することは、企業にとっても既存の取引先や顧客など にとっても大きなインパクトを与えることになるが、あえて全く異なるビジュア ルのロゴも検討した。その結果、1つに絞ることができなかったので今回は 3つのロゴを提案した

現行のロゴをモダンにア

EBNAT

レンジした案で、垂直な線 と switzerland の文字が、 ブラシの形を表し、元の ロゴでは分からなかったブ

switzerland

ラシ会社であることの示唆 をしている。

EB NA

EBNAT の文字とスイス 国旗の十字を組み合わせ た抽象的なロゴ。しかし初 見では、EB NA +と誤っ て読んでしまう可能性をは らんでいる。

スイスの国旗を、コンセ プトでもある円を使って、 表した。フラットデザイン に仕上がっているため、こ れから何十年と利用するに

Ebnat

は、すこし流行を感じさせ てしまうかもしれない。

22


◆ 最終提案

A

Ebnat 2A

EB NA

A

EBNAT

A

switzerland

A

A A

A

C0 M0 Y0 K 100

R 35 G 124 B 21

Akkurat Bold Akkurat

# 221814

A

A

C0 M0 Y0 K 100

R 35 G 124 B 21

Akkurat Bold 23

# 221814

A 2A

C0 M 100 Y 100 K0

R 230 G0 B 18

# e50011

C 34 M 100 Y 100 K2

R 176 G 30 B 35

# b01d23

C0 M0 Y0 K5

R 247 G 248 B 248

# f7f7f7

C0 M0 Y0 K 40

R 181 G 181 B 182

# b4b5b5

Akkurat Bold


◆ 最終提案

◆ パッケージ これまでに企業が用いていたブラシを覆うパッケージを刷新し、品質の高さ を目で見て、手で触って感じられるようなものを検討した。

一番上のページには穴 を設けて、そこから覗く パターンの密度によって、

ラベル様式で三つ 折りのパッケージを採 用した。黄色をプラス チック製のブラシに、

そのブラシの硬さ / 柔ら かさを表している。内側 には主な使用方法や特 徴、簡潔な製品図、会 社の理念や住所などが

青色を木製に使い、2

書かれている。基本的に

つのメインな製品ライ

は内容を少なく簡潔に整

ンに分類する。

理し、それ以外の素材な どの情報に関しては、 ウェブサイトで確認して もらうために QR コード などを載せている。 24


◆ 最終提案

◆ ウェブサイト ウェブサイトは商品パッケージとの関連性を持たせた構成を行った。 また現行のサイトにはないオンラインショップのページを追加した。さらに は必要最低限のメニューによって、簡単に知りたい情報に導けるようにした。 またパッケージと同様に2つの製品ラインによって2色に大別して、ブラシ の分類が分かりやすくなるようにした。

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◆ 最終提案

◆ 空間デザイン ドイツで毎年開かれる日用品のための見本市(アンビエンテ)で使用される ブースの空間デザインも行った。空間においては、6m×4m の床に壁の高さ は3m、キッチンスペースと商談のためのスペースを用意することが条件とされ た。

10分の1スケールでのモデルを制作した。

Repetition of Patterns Shadows from the roof Nature atmosphere Keywords of our Fair Pavillion

26


◆ 最終提案 私たちが計画した見本 市のパビリオンは、全体的 にパターンの繰り返しによ る建築的な構造を利用して いる。特に中心に置かれる タワーは持ち運びや、数 年繰り返して使えるように 組み方を考慮して設計し た。また屋根を設けること で、光をさえぎることなく、 内包的な雰囲気を作り出す ことを試みた。さらにパ

においては、完成した製品

まとめることで、スイスの

と、その素材になる木材

澄んだ自然の空気感を表

や毛の束などを一緒に展

現した。それによって青と

示し、実際に触ることがで

黄色がアクセントカラーと

きるようにし、製品がいか

して働くように期待した。

に加工されて、品質の高

また企業が第一にしてい

い製品になるかを感じても

る製品の品質の高さ、加

らえるようにしている。

工の技術を利用してパビリ

タワーとフレームにも製

オンに使う什器などを製作

品を展示可能でタワーには

することでスイスメイドを

垂直に立てかけられるよう

ここでも実現する。

なフックを取り付ける。ま

この空間デザインにおい

た収納ボックスには資料や

ての最も重要にしたこと

展示しきれない製品などを

は、コンセプトに設定した

収納しておいて、必要に応

パターンと円を効果的に用

じて取り出せるようにして

いて、印象的な空間にする

いる。さらに、小さい壁面

ことで、他社そして他グルー

には、企業の歴史や理念、

プとの差別化をはかること

空間の構成要素として

特出すべき情報などを示す

であった。結果としては、

は、メインとなる壁面の

ことで、(例えば国ごとの

他グループに比べて費用の

ショーケース、その下部に

1年間におけるブラシの平

かかる計画になってしまっ

置かれる収納ボックス、右

均交換回数など)、来場者

たが、最も印象的な空間

手に設けられた商談スペー

の興味を引き出すことを意

に仕上がり、企業の担当

ス、左手に置かれるキッチ

図している。屋根には格子

者たちにも大きなインパク

ンスペースに加え、屋根と

のレールを組み合わせるこ

トを与えられた。

それを支える中心のタ

とによって、合計で4つの

ワー、それを囲む円状のフ

パターンが作られ、それら

レーム、通路に面した壁に

をテラス照明によって床や

設けた円窓に分けられる。

壁に影としてのパターンが

円窓にも展示可能でそこか

散りばめられる。天気や時

ら覗く空間へと来場者を導

間によって違う顔をみせる

く効果を持たせている。そ

空間の演出を試みた。

してメインのショーケース

全体を木の色と白で

ターンと円を繰り返すこと によって、アイキャッチと しての役割を果たす要素を 多く用いることで、印象的 な空間の演出を計画した。

27


Attractive High Quality, Wood Manufacturing, Nature

Atmosphere

28


Ebnat AG に招待されて宿泊したホテル säntis にて、満天の星空が広がっていた。

29


LOGO!

◆ 概要 よく知られている企業のロゴの形状に着目して、その企業に関係するモノを 制作した。その企業の製品に関連したものや、企業の抱える問題などを解決 するようなものなど、自由度の高い想像力が求められた。 また同時に3D データの編集と出力の演習を含み、3次元での造形力を養う ことも目的とした。1年生が最初に受ける必須の授業であった。

January

17.Jan.2017

18.May.2017

初回講義

最終プレゼン

Febrary

March

無数のロゴを調べるところから始まった。

April

May

最終プレゼンの様子。

30


◆ コンセプト アシックスのロゴを用いて、シューキーパーの形状を検討した。

シューキーパーは男性

形状を保って保管するため

スパイクに用いるための

用紳士靴に使われること

には重要であり、その形

シューキーパーを知ってい

が多く、木で作られる

状もいくつか種類がある。

た。

製品は比較的高価なもの

前方と後方の木の部分が

スポーツシューズ用のもの

になる。しかし綺麗な

前後に調整可能だったり、

はプラスチック製で、カン

二つをつなぐ部分がバネ

ガルー革などを使ったス

で曲がったりすることで靴

パイクの形を保つために使

にフィットするようになっ

われていた。

ている。私はラグビーをし ていたこともあって、

写真:株式会社スピナ

Anima Sana in Corpore Sano.... この課題を考える上で、世界に知られている日本の企業の ロゴマークを使用したいと考えてアシックスを選ぶに至った。 アシックスは、1949 年に創業者である鬼塚 喜八郎がバスケットボールシューズの製造販売を行う 「鬼塚商会」を設立したことに始まる。その後に数度の合併 の末、1977 年に株式会社アシックスに社名を変更し、 現在に至る。アシックスといえばオリンピックなどで日本代 表選手団のユニホームを手掛けるなど、スポーツ用品 としての印象が強いが、海外ではスニーカーの人気が高い。 それを逆輸入する形で 2015 年からアシックスタイガー というブランドラインが立ち上がり、80-90 年代のハイテクを現代風にアレンジした スニーカーが日本でも販売されるようになった。 アシックスという名称は、「もし神に祈るならば、健全な身体に健全な精神があれかしと祈 るべきだ ("Anima Sana in Corpore Sano")」という帝政ローマ時代の風刺作家 ユベナリスの言葉に由来している。そしてこのロゴが使われるようになったのは 1992 年 からで、アシックス(asics)のイニシャルである "a" をモチーフに、スポーツが持つ 限りないスピード感や躍動感を表現し、同社の 21 世紀に拡がる無限の可能性を " 宇宙 " というイメージでシンボライズしていると共に、1つの基幹事業を軸に周辺事業も関連して発 展する現象を表す経済用語「スパイラル(うず巻、らせん)」を表現しているとされる。 31


◆ 最終提案

186x90x50mm シューキーパーの形状を ロゴの上に立ち起こすよう に設計し、スピード感や躍 動感を感じさせるような流 れる形状になるように調整 を行った。 a の書き始めの細くなっ た部分が弾力を保って いて、靴に入れたときに位 置が固定される役割を 持っている。

32


◆ 制作プロセス

形を決めるにあたって、 シューキーパーの形状を元 にどのようにロゴを使える かを想像し、どちらを前に するのか、伸び縮みさせ るのか、どこにテンション を持ってくるのかなどを検 討した。その上でワイヤー や紙粘土を使って立体的な イメージを作ってから、パ ソコン上で操作していった。 シューキーパーの形状と照 らし合わせながら、全体 的な傾斜やフォルムを決定 し、最後には 3D プリンター で出力した。 1度目の出力では、全体 が薄すぎてうまく成形され なかったり、脆かったので 厚みを 3mm に増して再出 力して最終形とした。今回 は自分自身の靴の大きさ を基準にして設計したが、 前後数センチまでは対応し た。この後に右足用をミ ラーでもう片方を作成し た。

33


UMDEUTEN, UMNUTZEN, UMBAUEN ◆ 概要 授業のタイトルを直訳すると、再思考・再使用・再構築。既存にある製品 や道具を用いて、その特性を置き換えたり他に利用することで、水平思考を高 めることを目的とした。1年生が最初に受ける必須の授業であった。

October

14.Oct.2016

10.Jan.2017

初回講義

最終プレゼン November

December

素材を探すために DIY ショップに足しげく通った。

January

Febrary

最終プレゼンの様子。

34


◆ コンセプト コンセントのソケットの穴を置き換えて、塩・胡椒入れを検討した。

一般的な塩・胡椒ケースは、それぞれで容器が分かれて いて2つを合わせて1セットになっている。 またドイツをはじめとしてヨーロッパの国では、丸い差し 込み部分を持った電源プラグになっている。さらに世界で は数種類の形状を持つプラグ/コンセントが存在している。 この2つのアイテムを組み合わせることで新しい製品の検 討を行った。

Type SE

Type A

Type O

Europe, Russia

USA, MEX, CAN

AUS, ARG, CHN

and JPN

and NZL

35


◆ 最終提案

50x50x80mm 2つの穴を利用して、1 つの容器にまとめたケース を作った。内部にあるフィ

Pepper

ルターが動くことで、片方 の出口をふさいで、一方 だけをかけることができ る。 また普段は目に見えな

Salt

い、電流の流れを塩・胡 椒によって視覚化すること で、無意識的な無駄使い を考えるきっかけを生み出

a Filter

そうと考えた。

36


◆ 制作プロセス

元々考えていた作品は、半径の異なるローラーを並べて、万年カレンダーだった。時間の 経過と一周にかかる時間の相関によって、小さい方から曜日、日付、月と振り分けた。しか し、なんとなく教授のリアクションがいまいちで、しっくり来なかったので別の案を考える ことにした。そのなかで日本とドイツで違うところを探しているときに思いついた。 そこから DIY ショップで、コンセント部分以外に特徴の ない簡素な造りのものを選び、その寸法をもとに容器部分 を 3D モデリングで制作した。形状に関しては、コンセン トである以外に特徴を持たせないように、直方体に 2mm のアールをつけただけの簡素なものに決めた。 また、外国の人との会話で共通なことと異なることを共 有することが話のネタになることがあり、このケースがそ れぞれの国ごとに共通の製品になったり、特有の製品にな ることで、ある種のコミュニケーションツールになるとも 考えた。 この授業では、2年次に受講した「ものそのもの」と似た部分があり、気づくという行為 が最重要であって、もちろん最終的な審美生は求められるけれど、コンセプトなどから決め ていく手法に慣れてしまった頭を柔らかくするのには、とてもいい機会であった。

37


SMC/BMC

◆ 概要 SMC/BMC Design Awards 2017 というコンペティションに作品を応募す ることを最終目標として、SMC/BMC という素材を利用した新製品開発につ いて検討しながら、素材特性や新事業エリア開拓のためのアイデア創出を学 ぶことを目的とした。 D R I V E

C O M P O S I T E

I N N O V A T I O N

http://smcbmc-europe.org/award.php

March

18.Apr.2017

27.Apr.2017

15.May.2017

30.Jun.2017

初回講義

工場見学

最終提出

結果発表

April

May

June

July

CHAPTER !"#"FGGHI#FJIKL!

B#,)+*)*+$ )*$345C;45 !"#$%&'()*+,$'*($,!-#,,#,.$/*$'$,011#,,20%$345$

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Structural analysis 3!-01!0-'%$'*'%8,),$1'*$!"#*$9#$:#-2&-7#(.$;8$ '(<0,!)*+$ -#2#-#*1#$ 1&*()!)&*,$ !"#$ )7:'1!$ &2$ (8*'7)1$'*($,!'!)1$2&-1#,$'*($#=1)!'!)&*,$1'*$ 9#$1'%10%'!#(.$>"#$,)70%'!)&*$9#%&?$,"&?,$!"#$ 7#1"'*)1'%$ 9#"'@)&0-$ &2$ !"#$ 907:#-$ 9#'7$ 0*(#-$ '$ ,)*+%#$ ,!'!)1$ %&'(.$ >"#$ (#2&-7'!)&*$ ),$ 1%#'-%8$ ,"&?*$ '*($ !"#$ 1&%&0-,$ )*()1'!#$ !"#$ -#,0%!)*+$ !#*,)&*$ ?)!")*$ !"#$ 7'!#-)'%.$ A&?$ !"#$ (#,)+*#-$1'*$(#1)(#$?"#!"#-$!"#$,!-#,,#,$'-#$

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moulded from CF SMC for high performance sportscar

Design for success - Chapter 3 - Design

19

Design for Success - Chapter 7 - Applications

55

素材に関する資料を読んで情報を得た。

中間検討会の様子。

38


◆ コンセプト 自然の中の形状から導かれる強さと美しさを兼ね備えたヘルメット。

Examples 箱に折り返しをつけるこ とで持ち手と複数で組み 合わせるための引っ掛かり になったり、脚部を S 字 に曲げることで強度を上げ たり、強化プラスチックを プレス成型する場合の素 材と製造法に関する特徴 Big Bin

Selene Chair

を知って、デザインとして

Stefan Diez

Vico Magistretti

活用する方法について考え

2003

1968

ることが求められた。

SMC(Sheet Moulding Compound) BMC(Bulk Moulding Compound) SMC は不飽和ポリエステル樹脂と炭酸カルシウムなどの充填剤を配合したコンパウンドをガ ラス繊維に含浸させてシート状に成型したもの。BMC は不飽和ポリエステル樹脂と炭酸カル シウムなどの充填剤にガラス繊維を混ぜてバルク状に成型したもの。共に FRP として代表的 な素材である。素材の特徴としては、1. 強度と剛性、2. 軽量化、3.寸法安定性、4. 耐熱性、 5. 耐火性、6. 電気的特性、7. 低排出などがあり、さらに混合する材料によっては再生可能な ものを用いたり、色も自由に変えられる上に、表面の加工精度が高く綺麗な仕上がりで製造さ れるから、着色や研磨などの工程を省くことができる。 このコンペティションを主催した団体 The European Alliance for SMC BMC は、ヨーロッパ においてこの素材の流通促進を図っていて、今回初めてコンペティションを開催した。自動車 やトラックのボディー部分やライトカバー、電車の座席などの工業的な利用に加えて、電気ポッ ドやアイロンといった家電製品にも一部利用されているが、さらなる市場拡大を目的に家具や ランプを中心にした新しい製品開発のためのアイデアが求められた。

39


◆ 最終提案

216x253x120mm

ワニをモチーフにして機 能的に強力で、ビジュアル 的にもインパクトのあるヘ ルメットを提案した。 凹凸の内側にポリウレタ ンフォームを詰めること で、衝撃吸収性能を高め られる。 また、見た目のユーモ アによる工事現場での緊 張緩和や、工事現場のイ メージアップとしての効果 を期待した。

40


◆ 制作プロセス 最初の段階では椅子もしくはベンチのデザインをしたいと 考えていた。最初のアプローチとしては強度があって軽量、 高い寸法精度で生産できるということから、パブリックな空 間において利用するモジュラーファニチャーのデザインをしよ うとした。しかし、この SMC/BMC という素材の特徴を生 かしている気がせず、この素材だからこそできるものでもな いし、自分の中であまり納得がいってなかった。そんな時に 授業の中で、あるランプの製造過程のビデオを見た。それは FRP のシートを筒状に巻いて長細い形を作り、シート状の素 材だからこそできるカタチで重なりの違いからぼんやりとし た光を見せるというものだった。それを見て、シートをテク スチャのように加工してプロダクトに利用したら面白いと考 えた。そこから動物の革をヒントに不規則な光を発するラン プができたら面白いかなと考えた。しかしそれこそ素材なら ではの特徴を活かせてないし、そもそも革のテクスチャなら 触れるようにすることで意味があるから、もっと手に触れら れるものだったり、革のテクスチャ自体にも思考を向けたほ うがいいという指摘を受けた。そこから革のテクスチャにす ることで凹凸が生まれてシートとしての強度が増すから、スー ツケースに使えるのではないかという話になったが、スーツ ケースには少なからず弾力があったほうが良く、この素材で は不向きということで却下になった。そのほかに革の中でも 主流なワニ皮を取り上げた時に、強さという視覚的なキー ワードが製品の特徴として利用できると考えて、強いもの→ 守るものということでヘルメットのデザインを検討すること にした。もちろん強い太陽光の下で長時間使っても熱によっ て変形しないとか、火事の時にも耐えられるとか、軽量であ るといった点においても素材特性を活かせていると判断でき た。 スタイリングに関してはワニの背中の部分のウロコ模様を 参考にしながら、幾何的に配列し直した。しかし1つ1つの 凹凸は不均一で少しずつ形を変えて設計した。サイド部分に おいてはプレス機で製造することを考慮して、ネガティブの 向きに表面を加工するようにした。また、全体的にリアルす ぎて強面にならないように、子ども用のヘルメットなどにも 展開していけることを念頭に、ポップな印象になるようにし た。さらに SMC/BMC について研究していて機会も所有して いる近隣の大学の研究員の方に協力してもらって、技術的な こととして、アラミド繊維を混合するかポリウレタンを内側 に配置することで強度を増したり、暑さは2mm で十分な強 度が保たれるなどのアドバイスをもらった。この時も学生の アイデアに対して積極的にアドバイスをくれたり、発展させ るために協力を惜しまない姿勢を強く感じた。 ちなみに結果として受賞することはできなかった。 41


ZKMMerchandise ◆ 概要 大学に併設されている ZKM( メディア・アンド・アート センター ) のミュー ジアムショップグッズの提案を検討する中で、商品開発や消費者ニーズなどに ついて学ぶことを目的とした。博物館の運営側の判断によっては、実際に販売 されることになっていた。 ZKM Zentrum für Medien und Kunst

March

18.Apr.2017

5.Jul.2017

初回講義

最終プレゼン

April

May

現在の ZKM グッズの売り場。

June

July

最終プレゼンの様子。

42


◆ コンセプト 日常の中でよく使われているものに変化を加えることで、既成概念からの逸 脱と興味をリンクさせる商品として付箋とメモパッドを検討した。

まずは現在ミュージアムショップに何が売っているかを確 認した。定番のボールペン、ポストカード、トートバッグは もちろん、ポーチやマグカップ、トランプ、T シャツなどが 売られていた。

◆ アイデア 展開

自分の経験から考えた時に、いつも躊躇なく買えるのはポ ストカードか文具類だった。この心理を読み解いて、絶対的 な衝撃を受けた作品や、好きな作品に関する商品を除いた場 合に、特にこれといってほしいものはないけど記念として何 かは買いたい、どうせなら実用的ですぐに使えるものがいい、 ミュージアムショップだからこそおしゃれなものや少し機転 の効いたものがいい、1000円以内だと手が出しやすい、 などといった具合の思考が働いていると分析した。そこから キーワードとして「実用的、ミュージアムらしさ、価格」を 考慮して、やはり文具類やデスク周りのアイテムをターゲッ トにアイデアを練ることにした。

アイデアを考える時に基準として、自分も欲しくなるかを設定した。ではなぜその欲しくなる が実現するのか?それは使いたくなるから。なぜ使いたくなるか?使い方が明快ですぐに使える、 突飛過ぎないけれど少なからず普通とは違ってかっこいい。このような問いの繰り返しから、 少し違うことに意味があって、今まで通りに使えるけど素材が良かったり、見た目が良かったり、 ストーリーがあることに価値があると考えた。 ここで全く新しいプロダクトを生み出すよりも、既存のものにうまくミュージアムならではの ストーリーを組み合わせることが重要なのではないかと考えた。

43


◆ 最終提案

ZKM のロゴで特徴的な ////// のマークを用いた付箋と

S

M

メモパッド。新しい使い方などは特にないが、実際に本に 貼られている時には広告としての役割も果たす。3種類のサ イズと、4種類のカラー(灰、灰・黒、白、白・黒)の展

34

17

開を想定している。 また側面にはロゴの ZKM の部分を彫り込んで溝を作る。

L

それらの切り込みが1枚ずつのページにおいて、デジタル信 号のように見えることで、メディアアートの博物館であるこ とのアイデンティティを表現した。

68

84 76

17

17

Dimensions 44


◆ 制作プロセス

もともと LOGO! の授業の延長、オーバーラップとしてのプ ロジェクトであったから、ここでは ZKM のロゴに着目した。 /// このスラッシュがロゴの一部として使われていて、一度認 識したら忘れられない ZKM を想起させる印象的なカタチだ から、このスラッシュを使うことはすぐに決めた。また一般 的な付箋とカタチも近くて、使いやすいという点も良かった。 まずは市販されているメモパッドを購入して、ロゴからト レースしたラインで切り取って重ねた。それを授業の時にプ ロトタイプとして持っていった時に、製本の機械を持ってい る教員がいることを教えてもらい、その部屋を訪ねた。そこ で紙を斜めにカッティングするために治具になる木材などを 用意することと、使用する紙を用意するように言われた。後 日用意した材料を持っていったところで、機械でサイズを設 定して一気にカッティングを行い、本来は製本の際に背に糊 をつける器具にセットした上で特別な糊を塗って、3時間ほ ど圧力をかけて接着した。 この段階ではスラッシュの形になっただけの付箋とメモ パッドで、グッズとしてのアイデンティティーの追加が必要で あった。そこで担当教員の意見として、ロゴを上の面から下 の面まで突き抜けるように穴として開けたらどうかと言われ た。しかし書き込むスペースが減って本来の機能を果たせな いことを危惧して、側面で同じアイデアを利用しようと転換 した。それによって偶然にも1枚ごとに現れる切れ込みがデ ジタル信号のように見えることに気づいて、メディアアート の博物館としてのアイデンティティーとしておもしろい細工に なると思った。 そしてこの溝をプロトタイプとして制作しようとレーザー カッターを利用したが、ラインをなぞるようにしか刃を入れ ることができず思った通りにはできなかった。 最終的な評価としてはミュージアムショップとして面白い し、綺麗に仕上がりそうだけど製造するためには、ロゴの溝 を掘るために特別に機械から製造する必要がありそうで、す ぐに実現させるのは難しいだろうということだった。 個人的にはなかなかいいグッズを考えられたのではないか と思ったが、製造ラインを作るまでには至らないレベルのア イデアであることも同時に痛感した。実際に新製品を作る時 には売れるための可能性や価格設定なども含めて、リスクマ ネージメントをする難しさがあるのだろうなと考えた。

45


Exchange program at HfG Karlsruhe ◆ 概要 私は2016年10月から2017年7月までカールスルーエ造形大学にて交換 留学生としてプロダクトデザインコースに所属し、活動を行いました。学校で の活動や日々の生活などから学んだことや気づいたことを留学生活の総まとめ として綴ります。 HfG Hochschule

Staatliche Hoc hsc hule für Gestal tung Karlsruhe

für Gestaltung

October

17.Oct.2016

19.Feb.2017

18.Apr.2017

15.Jul.2017

冬学期開始

冬学期終了

夏学期開始

夏学期終了

November

December

January

Febrary

March

ZKM のエントランス

April

May

June

July

校舎

46


私は今回、九州大学芸術工学部工業設計学科で4年生前期までを履修して、交換留学生とし てドイツで1年間デザインを学んできました。このまとめでは、主に学部で教わったことや授業 の仕組みとドイツでのそれらを比較しながら、気づいたことや新しく感じたことを書き記して いきます。その中でも大きなトピックとして

・グループワークでの気づき ・授業での学生と教員、学生同士の関わり方 ・学校のシステム の3つについて触れながらまとめていきます。 さて、本題に入る前になぜカールスルーエ造形大学を留学先として選んだのかについて言及し ておきます。1つ目の理由としては、デザインの歴史を知る中でバウハウスという学校の与え た影響の大きさを知り、その思想が生まれたドイツという国でデザインを学んでみたかったと いうことです。2つ目としては、ドイツにおける学部間協定校の選択肢の3校のうち唯一、過 去10年間で交換留学生が1人もいなかったということです。未知のことに挑戦したかったのと、 これからまた協定校として交流が復活すればいいなと考えました。3つ目は、この大学が毎年 ミラノサローネに学生の作品を出展していて、そこに自分も作品を出せたらいいなという思惑 があったからです。 留学当初の目標、モチベーションとしては「ミラノサローネ出展」を掲げて自分自身の士気を 高めつつ、カールスルーエではどのようにデザインが教えられているかを知りに行くんだとい う探究心を持って、留学生活をスタートしました。 カールスルーエ造形大学自体は ZKM( アート&メディアセンター ) に併設されていて、メディ アアートとコミュニケーションデザインのコースが大部分を占める中で、私はプロダクトデザイ ンコースの授業を受けていました。冬のセメスターではできるだけ多く授業を取ろうと意気込 んで、制作を行うプロジェクトを3つとグループワークを1つ、3D モデリングの講座を1つ受 けることにしました。授業のメインはドイツ語で行われましたが、私が発表するときや質問さ れるときは英語でコミュニケーションを取ってくれて、気になることがあれば隣の学生に聞いた りして、英語を使って授業に参加していました。 47


◆ グループワーク

冬のセメスターで受講したグループワークの授業は、スイ スの老舗ブラシ会社の CI デザインを考えるというもので、 2泊3日での見学旅行もあるということで参加しました。最 終的な目標としては5チームが競い合って、依頼主の会社に 選ばれたチームの案を採用して、見本市での空間デザインな どに実際に利用することになっていました。なので最後のプ レゼンまでは各チームは別々に教員とのミーティングを行い、 完全にシークレットの状態で作業は進んでいきました。この 授業に参加できる学生には定員があって、2年生以上と留学 生が優先的に参加できることになっていました。そういった 意味でもコンペに勝つというプライドから、他のチームとの 一切の交流なしに進められる授業のスタイルは新鮮でした。 授業はスイスでの工場見学から始まって、担当者の人の説 明などを聞いた上でグループに分かれて話し合いが始まりま した。現地の学生たちはあっという間に自分達だけでグルー プを作ってしまって、5人の留学生だけが取り残されてしま い、仕方なく話し合いが始まりました。その中でまずフラン ス人が「どんなことをイメージしてる?」と切り出してきまし た。 「スイスとか高品質とか、そういったイメージから木を使っ た空間にしたい、クリーンなイメージだから緑色を使いた い、、」などの自分のイメージを話し始めました。イタリア人 と中国人も同様にファーストインプレッションを共有していき ました。しかし私がこれまでに学んできた方法(工場見学で 得た情報をまとめて、CI デザインとして売り出していきたい ことや変化が必要とされている問題点を洗い出して、それら を擦り合わせながらテーマを設定してから、それらに合うデ ザインを展開していく方法)とは全く違っていて、まずは自 分のやりたいことを設定するんだなあという点に驚きました。 まずは主体性があって、そこに解決策を付随させていく考え 方に早速驚きながら、自分達のやり方を説明しつつ、お互い に刺激を与えあうことができました。 また、最終的にはイタリア人とチームになったのですが、 私たち日本人は一旦相手の発言を聞いてから自分の意見を言 うところが良いところだね、と言われたのを覚えています。 譲り合って最初に発言するのを避けがちだから意識してのこ とではなかったし、自己主張が少ないと言われがちだけれど も、ガツガツ発言しまくれば良いわけではなくて、相手の意 見を受け入れながら同時に自分の意見も言えるようにするこ とが大事なんだなと感じることができました。そしてそうい うふうにポジティブに解釈してもらえることにも驚きました。

48


◆ 学生と教員、学生同士

ドイツにおけるマイスターの歴史があるからなのかは定かではないですが、学生と教員はタッ グを組んで学生の作品を作ることに全面協力する姿勢であることが、この留学での大きな発見 であり感動したポイントでもありました。授業の課題に対してそれぞれの学生が最初に持ってく るアイデアを尊重し、そのアイデアを基本にして発展させていくために教員側からも「この素 材使えそうじゃない?こういう風にしたら面白くなりそう、ここはすっきりさせておきたいよね」 といった具合に積極的に意見をしてくれます。そのほとんどは建設的で前向きな意見が多かっ たです。やはり教員の方が知識が豊富だし、参考にできそうなアイデアをたくさん持っている から、そこで得られる情報はとても有益だなと感じました。 学部の時の教員の役割としては審査員、検閲といったもので、自分のアイデアを見せて良い か悪いかを判断してもらうといったような存在に感じていました。もちろん授業での学生数の 違いもあったり、卒業研究のためのゼミではもっと親身だったり、一概には言えないけれど、 ドイツでの学生と教員の関係性は、学生からするととてもありがたいなと思いました。

毎週の授業では、それぞれの学生 ( だいたい10人くらい ) が作品制作の経過を発表しあい ながら、教員からのアドバイスをもらったり、学生同士で意見交換を行うという形式でした。 もちろんしっかりと1週間のうちで成果があると質問や疑問が生まれて、その作品について語 り合う時間が増えて、より意義のある授業になります。その授業の中でどんどん意見し合うし、 疑問をぶつけるだけじゃなくて、自分だったらこうしてみる、この機構使えそう、などのアイデ アも惜しみなく言い合います。1人だけで1つの作品を作るのではなくて、10人なら10個の 見え方があってそれらを共有して統合することで全く幅の広い作品になる可能性があるという ことを身を以て体験しました。全然気を使うことなく意見しているからこそ、本当にその方向 性に進まなくても気にしないし、いい意味でフラットに発言し合えることはデザインをする上で 大切な関係性だなと思いました。 それ以前について、これもまた人数が多すぎたこともあっ て授業の中で意見を言い合うことはなかったり、授業以外で作品について語り合うことはして こなかったけれど、もっとクラスメイトの中でお互いに色々とアイデアを共有する関係性が築 けていればなあと少し後悔しました。

49


◆ システム

大学

学生

他分野の教員

他分野の学生 教員 外部の 専門家

学生 作品制作 専門指導員

工作工房

博物館

Fab Lab.

図書館

学生の活動を中心した時に、それを取り巻く環境が大学の校舎にひとまと まりに集約されている。

ここでは学校のシステ

を学んでいることがよくわ

方についてのアドバイスを

ム、学生がどのように学校

かりました。私自身は何か

してくれます。この点につ

で活動をしていたかについ

を作ることが好きで、大橋

いては大橋キャンパスの工

て書きたいと思います。ま

キャンパスの工作工房にも

房スタッフの方達も同じ

ず、基本的にプロダクトデ

よく行っていたのですが、

で、いつも親身になって考

ザインのプロジェクト形式

基本は授業以外で制作して

えてくれるので、とてもあ

の授業においては、最終

いる学生は少なかったの

りがたい存在です。

的に作品を制作することを

で、そこは大きな違いだな

こうして毎週の授業の時

基本としていました。それ

と感じました。そしてそれ

にプロトタイプを作ったり

以外にも自主的な活動やコ

ぞれの学生が制作活動をし

して自分のアイデアを共有

ンペティションのために制

ている中で、「何作ってる

して、教員や学生同士で意

作活動をしている学生が多

の?」とか「その素材は

見交換を行います。その

くいました。またコミュニ

何?」などの会話が生まれ

中で教員側からも積極的

ケーションデザインの学生

て、自分の知っている知識

にアドバイスや、軌道修正

たちも、ポスターを刷った

を共有したり他人のアイデ

をしてもらいます。そこで

り、インスタレーションの

アを知ることで、自然と自

最適な素材のアドバイス

ために工房で何かしらを制

身のデザインに活かせるヒ

や、どこで手に入るかなど

作している姿をよく見かけ

ントが転がっているという

の情報も教えてもらったこ

ました。つまり学校という

環境ができていました。も

ともありました。さらには

施設において思考のプロセ

ちろん工房には専門のス

コミュニケーションデザイ

スだけで完結してしまうの

タッフがいて(常駐ではな

ンの学生に、製本を担当し

ではなく、自分の手を動

いですが)、機械を使った

ている教員がいて、綺麗

かすことも含めてデザイン

加工や特別な素材の扱い

に紙を裁断したり糊付けで

50


きる機械を持っているか

て1つの作品制作が進んで

オープンな空間の中で個人

ら、君のプロトタイプ作る

いるなと強く感じました。

として行動はしているけれ

のに使えそう、などの情報

さらに校舎の構造が吹

ど、その周りにはその行動

を教えてもらったこともあ

き抜けの展示スペースを中

を促進してくれる人や技術

りました。

心にして、それを取り囲む

があって、それらが一つの

その製本やスクリーンプ

ように教員の部屋や学生部

校舎に集約されていて、大

リントを専門にしている教

屋、工作室が配置されてい

学が全体として学生の作品

員がいる隣の部屋には、

て、作品を制作する学生

制作の上手な流れを形成し

電子工作の専門、その隣に

を展示空間の中心に置い

ているところがカールス

はデジタルファブリケー

た時に、まさに左の図のよ

ルーエ造形大学の特徴だっ

ションの専門、というよう

うな関連性が生まれて活動

たと考えました。

に専門の教員がいる部屋

できる環境が校舎の中に

は一つのまとまりになって

ひとまとまりになっていま

並んでいました。また、構

した。さらにその校舎の両

造の強度や特別な素材の

脇には博物館と図書館が

ことについては、隣の工業

併設されていて、アイデア

大学の専門の教員にアドバ

や知識を制作活動に持ち

イスをもらうこともありま

込む流れが上手く作られて

した。

いるように感じました。

このようにして1人の学

もちろん学生数や規模、

生が作品を制作することを

校舎の構造も関係してきま

中心にして、その周りにい

すが、誰がどこで何をして

る人たちが全員関わりあっ

いるかもすぐに見えるし、 51


そのほかにカールスルーエ造形大学での生活で特徴的だったこと は、メーリングリスト、ランチ、パーティー、学内展示会です。 まず大学内のすべての連絡網が1つのメーリングリストでつながっ ていて、授業の情報(時間や部屋の変更)や落し物の連絡、仕事 の案内、いらなくなった私物(パソコンやカメラ、机、自転車など) の売買、シェアハウスの空き室情報、教員からのデザインに関する 記事のシェア、、などなどすべてのメールが1日にうちに大量に送ら れてきたのは驚きでした。これも拡大解釈すると、大学に属する全 員が1つの集団として連携していることを感じさせていました。 次にランチに関して、大学自体に食堂はありませんでした。その 代わりミールクーポンが1枚 3.5 ユーロで買えて、そのチケットで カフェとピザレストラン、博物館のカフェ、中華レストランのランチ メニューを割安で食べることができました。他にもパン屋さんが営 業したりはしてましたが、選択肢が少ない分だけ休憩の時にはフラ ンクに教員と食事する機会もあったりと、関係性を築くためには悪 くないことなのかもしれないなと思いました。 そしてパーティー、これは毎週誰かが何かしらで開催していて、 基本的には大学の中で夜10時から、お酒を持ち寄って音楽を流し てただ話す、ということが多くかったです。でも一つの学期に2~ 3回くらいは酒屋に協力してもらってバーを作って、そこでお酒を買 えるようにした規模の大きいものもあって、そこには教員の人たち も顔を出すようなこともありました。これはまさにヨーロッパの人 たちの得意な分野で、語り合うことが好きで、そこからいろんな情 報収集ができるし学生同士の仲を深めるためにはいい機会でした。 最後に学内展示会について、これは夏学期の終わりに開かれて、 前年の冬学期と合わせて授業で制作したものを一斉に展示して外 部の人にも見てもらえるようにしたものでした。このようにいろん な人に自分の作品が公開される緊張感があるのはとても貴重で、 自分の作品により真剣に取り組みたくなる気がしました。

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それと最後に、ドイツといえばブラウン社を代表とするミ ニマルな製品づくりのイメージがあったのですが、これが本 当にその通りだったのも驚きました。要素はなるべく少なく、 たくさんの機能を集約させるよりは必要な機能を取捨選択し て、それに従うようになるべくシンプルにモデリングをする ように心がけることを教えられました。これまでの作品や教 員が例として紹介してくれる製品を見ていると、ごちゃごちゃ とせず、スッキリしたものを好む傾向にあるなと感じました。

このようにカールスルーエ造形大学でのことを振り返りな がら書き記してきましたが、1. グループでの日本人としての ポジショニング、2. 教員のあり方、3.学生のための良好なワー クフローを中心としてデザインとしてよりもデザインを学ぶこ とやデザインのプロセスについて感じたり、気付いたりする ことが多かったのかもしれません。この留学で得た経験をう まく活かしながら、いいデザインをするための最適な環境を 築いていけるようにしていきたいと改めて感じたということを まとめとして締めくくりたいと思います。

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あとがき この留学をするにあたって、トビタテ!留学 JAPAN 採用ま での準備を含めてお世話になった岡さんをはじめとした九州 大学留学課の方々、ドイツ留学担当の池田先生、担当教員 の森田先生、クラス担任の杉本先生、プロダクトデザインコー スで留学生担当の Stefan Legner 先生、度重なる留学を応 援してくれる両親、他多くの協力をしてくれた人たちへの感 謝は計り知れません。 しかし今回の留学で個人として大きな功績があったわけで はなく、優れたデザインが生まれたというよりむしろデザイ ンのプロセスやデザインをする環境について気づくことや感 じることが多かったです。このことを忘れないためにも作品 のコンセプトや制作プロセスだけでなく、自身の気づきや感 じたことについても書き加えた文章としてまとめました。 最後までお読みいただきありがとうございました。

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