KAZUMA
HIRAOKA
ACADEMIC WORK
01
Housing in Kyoto スタジオ課題
Guest critique
02
エルウィン ビライ 満田衛資
商店街を纏うスタジアム
信州大学卒業設計展 銀賞
卒業設計
審査委員 松永安光 寺内美紀子 土本俊和 佐倉弘祐
JIA 卒業設計コンクール長野支部 金賞 審査委員 中山英之
SESSION!! 新潟 最優秀賞 審査委員 中谷正人 佐武浩一 野中あつみ 三谷裕樹
デザインレビュー 66 選 審査委員 田中俊行 千葉雅也 手塚貴晴 金野千恵 矢作昌生
JIA 全国学生設計コンクール ファイナリスト (13 選) 審査委員 竹山聖 彦根アンドレア 平賀達也 中山英之 大野博史
03
たまりば オープンスペースを含む図書館
建築新人戦 2016 全国 8 選
建築設計製図Ⅲ 第 1 課題
審査委員 乾久美子 小川晋一 芦澤竜一 加藤耕一 武井誠 福岡孝則
04
平岡和磨 /KAZUMA HIRAOKA
知の森 学生と地域の人々のコミュニティセンター
第 4 回北信越新人合同エスキス TAMAGO 展 優秀賞
建築設計製図Ⅰ 1995 兵庫県生まれ
審査委員 手塚貴晴 岩月美穂 浜田修 前田圭介 ACADEMIC
05
住宅の終わり方
武井誠選出作品
修士 1 年 武井課題
2014-2018
信州大学
建築学科
寺内美紀子研究室
2018-
京都工芸繊維大学院
建築学専攻
木下昌大研究室
2018 09- 2018 12
Accademia di Architectura di Mendrisio Quintus Miller studio
- USI
Housing in KYOTO year
2018
where
karasuma Kyoto Japan
topic
resident layer permeability
私たちは地域に住み成長をしていく。地域による工法や素材の違いはその土地の風土や気候と共存しようとした先人の 努力を見ることができる。近代以降の機能化、合理化によって、都市部には高層オフィスやマンションが建ち、ガラス やコンクリートに代表される工業化された素材は、都市の均一化を産んだ。都市の均一化は、生活する空間であるべき 住空間を住むだけの形態へと変えていった。京都における住宅を緩やかに仕切ることによる層の重なりによるシークエ ンス、庭との関係性に着目し、現在の合理化された枠組みの中で京都に建つ集合住宅を考えた。敷地は京都市中央区。 北が御池通りに面しており、この通りを中心に京都の商業地区を形成しており、高層ビルやマンションが立ち並ぶ。一 方で、街区に一歩足を踏み入れれば京町屋や路地空間などの様々な要素が現存している。大通り沿いの大きなスケール と街区内の小さなスケールが混在する地域である。京都における建築は庭との関係性や襖で緩やかに仕切ることによっ て室内にいくつかの層を手にすることができ , さらにそれによるシークエンスが土着的な空間を形成していると考える。
Situation plan 1:500
N
situation plan
Kazuma Hiraoka , Marcela Lino - Atelier Miller, SA 2018 Accademia di architettura di Mendrsio - Kyoto Institute of Technology
ground floor plan 1/800
type plan 1/800
A Housing Building in Japan
Kyoto
Kazuma Hiraoka , Marcela Lino - Atelier Miller, SA 2018 Accademia di architettura di Mendrsio - Kyoto Institute of Technology
typology plan 1/200
A Housing Building in Japan
Kyoto
detail section 1/100
elevation 1/800
Kazuma Hiraoka , Marcela Lino - Atelier Miller, SA 2018 Accademia di architettura di Mendrsio - Kyoto Institute of Technology
section 1/800
A Housing Building in Japan
Kyoto
商店街を纏うスタジアム 本計画は、サッカースタジアムを商店街で囲むことによって、「新たなスタジアムのカタチ」「新たな地域活性化のカタチ」を提案する。「加古川駅前再開発計画」によって取り壊される寺家町 商店街。いまだに多くの商店が軒を連ねており、彼らの生活を壊してまで再開発を進めることに疑問を持った。スタジアムを設計する理由として、周辺にある商店でスタジアムを囲むような 形態にすると、既存の商店がコンコースにある飲食店の機能を果たす。商店街の 2 階以上の空き室をスタンドのナナメの関係で VIP 席とする。などがある。日本のスタジアムは現状、郊外に 均一的なで非日常的な空間として設計されることが大半である。木密地域特有の隙間や抜けを生かした、地域のスケールにあったスタジアムを設計することで新しいスタジアムの形態を目指す。
00_CONCEPT
敷地は、兵庫県加古川市加古川駅前に存在する寺家町商店街の一角であ
新たな地域活性化のカタチ
る。寺家町商店街は大型店舗の郊外進出による駅前空洞化の影響によっ
商店街でスタジアムを囲むことによって、スタジアムのコンコースにある売店の機能を補完
て最盛期ほどの賑わいは無くなった地域である。現在もおおよその商店
する。電光掲示板を野外映画館、ピッチを地域開放するなど試合のない日も積極的に利用す
は営業を行っているが経営者の高齢化によって今後シャッター街が増え
ることで新しいアクティビティが生まれる。
▶
新たなスタジアムのカタチ
て行くと予想されている地域である。
地域のストックを生かし設計に 取り込む
現在、この商店街は一歩路地に入ると貸し駐車場や空き家増加による中 心地の低密度化が進んでいる。さらに木密地域特有の防災面での問題点
日本のスタジアムは、近隣住民からの騒音問題やごみ問題によって地域住民のいない郊外に
も多く見受けられる。以上をふまえ、加古川市はこの商店街の一角を取
建設されることが多い。この場合上記の問題は解決できるが地域に根付かない。さらに多く
り壊し、高層マンションを建設する計画を打ち出した。
のスタジアムは陸上競技場を併設しておりスタジアムのカタチも均一である。中心地に地域 のスケールにあったスタジアムを設計することで新たな形のスタジアムを提案する。
01_SITE ▶ 再開発により取り壊される商店街
中心部の低密度化 既存店舗、住居 しかし、対象地域に含まれている店舗はほとんどが経営をしてお
空き家
JR 加古川駅
り、生活の営みが行われている中で取り壊すという行為が乱暴に 思えた。さらに周辺は 2 階建ての木造住宅が穏やかに広がる地域
対象敷地は街区の中心地に行くにつれ
である。この中に 20 階立ての建物を作るのはかなりスケールア
空き家や空き地が目立つ。
ウトしていると考えた。
中心部分の低密度が進行している。 そこで、上記の計画以外でこの地域に現存する施設をうまく活 用しながら、空洞化や防災面での問題に有効な一手を打てないか を考えた。
飲食店
02_SURVEY
▶ウラ空間
小売店 洋服店 映画館 住居 再開発により高層ビルへ 商店街部分はすべての店舗が営業し ている。
1、空き家 ピッチへ
2、空き地 ピッチへ
3、商店街の空き部屋 スタジアムの VIP 席へ
4、屋上の余剰空間 スタンドを増設し収益化
5、アーケードの余剰空間 スタジアムの動線へ
03_STUDIUM ▶
郊外や地域住民のコミュニティ外に建設される傾向にあるスタジアム
1) 新しいスタジアムの形態の提案 2) 商店街の活性化
背景 ▶ 日本のスタジアムの形態 c a
14teams 26 teams
豊田スタジアム capacity 45,000 人 ホームスタジアムがサッカー専用 スタジアム
日産スタジアム capacity 72,327 人
多くのクラブは依然陸上競技場を使用 日本におけるサッカー専用スタジアムは欧州と比べるとまだまだ少なく満足し
ホームスタジアムが陸上競技場
て観戦する環境にないと考える。サッカー専用スタジアムは選手との距離が近 いだけでなく、スタジアム全体で一体感や熱狂的な雰囲気を生み出す。 この一体感が街づくりへと広がっていくのではないだろうか?
J リーグ所属クラブのスタジアム
増加傾向にある観客動員数 1,000
9,844,351
2017
800
スタジアムの影響… 600
鹿島スタジアム capacity
地域のシンボルとなる
新しいスタジアム形態の提案を行う。日本
日本のスタジアム 提案するスタジアム
によって郊外に位置し、さらに陸上競技場を
コミュニティの形成
郊外
一様にピッチを取り囲むように設計され収容
グラウンドからの距離が遠く一体
人数もかなり多いものが一般的である。 その結果、アクセス面での不便さ、ピッチ
市民活動の活性化 1995
2000
2005
2010
との距離が離れていることによる臨場感のな さ、キャパシティの過剰な多さによって収容
J リーグ 100 年構想より
2015
コミュニティ形成○
提案するスタジアム 中心地
併用し、ピッチとの距離が遠い。スタンドが
200
0
アクセス○ アクセス ×
のサッカースタジアムは騒音問題やごみ問題
400
宮城スタジアム capacity 49,133 人
40,728 人
陸上競技場 併用
感に欠ける
一体感○
サッカー専用 スタジアムのアクティビ
率が低くなっているのが現状である。
スタジアム内だけで完結
日本のスタジアムは生活とは切り離された
均一空間
ティがあふれ出す
地域のスケール に合わせる
非日常空間となっている。
スタジアムを望むことができ
2 階部分のテラス席は商店街からのみアクセスできる
るカフェテリア
ように設計し、人々を取り込む
商店街の庇部分をスタジアムのメイン動線とする
商店街の裏側にも開口を設け商 ことができる
東立面図(S=1/100)
04_DIAGRAM
解体されることが決まっている寺家町商店街。しかし、対象地域の
対象地域の中心地を芝生のピッチとし、周辺の店舗で囲むことによって、
寺家町商店街は 1 階部分は店舗として使用されているが 2 階以上の
二階部分に大きく開口を開けスタンドとつなぐことに
RC 造の場合も 2 階部分が空き家となっている。この場合は縦に
店舗はほとんど営業をしており、それらを取り壊すことは、かなり
コンコースの機能を補完する。
部分は空き室として利用されている部分がほとんどである。
よってボックス席として利用する。さらにアーケードの
減築をし、2 階部分にオープンテラスを配置し、その上にスタン
屋上部分にオープンテラスを配置しスタジアムの動線と
ドを配置する。
暴力的に感じた。
商店からピッチを望む
)
する。
1 階部分の商店街の隙間からピッチを
店舗部分にテラスを設け、人々を取り込む
望むことができる スタンド部分にもテラスを設け変化をつける
2 階部分の美容院からピッチを望むことが できる
二階部分は居酒屋のテラス席とする
バンディオンセ加古川 / 加古川陸上競技場 関西サッカーリーグ所属 1976 年創設 このスタジアムを利用するクラブチームとしてバンディオンセ加古川という加古川市のバックアップのもと、J リーグ参入を目指している、現在関西リーグのチームを 想定する。現在のバンディオンセの本拠地は加古川中心市街地から 9 ㎞ほど離れた郊外にある加古川陸上競技場である。上記のように陸上トラックを併用した郊外型ス タジアムであり毎試合の平均観客数は 100 人にも満たない。 現状は郊外にあるスタジアムを中心市街地に持ってくることは地域の活性化に重要な要素であり、チーム作りが街づくりにつながると考える。
本拠地 本拠地
対象敷地
地域の人々とサッカーファンがまじりあう商店街。
2 階ボックス席からスタジアムが一望できる。
2016 年度 J21試合平均観客動員数 a
既存商店がコンコースの飲食店の機能を果たす
10000
スタンドのアクティビティ
6,000 人もの人々を取り込む
8000
① 周辺にある商店でスタジアムを囲むような形態にすると、既存の商店がコンコースにある飲食店の機能を果たしてくれ 6000
るのではないかと考えた。日本にあるプロリーグの J リーグは 2 部チームであっても 1 試合平均 6600 人が訪れる。(2016 年 度)。この地域に毎週末 6000 人以上の人が訪れることにより商店街は再び潤い地域は活性化するのではと考えた。
4000
2000
空き室問題の解決
0
J1 平均観客動員数(2016)
試合のない日にはお昼に OL がランチを食べたり本を読んだり、子供たちが遊びまわることができる
② この商店街は 1 階部分は店舗として利用しているが 2 階以上が空き家となっている。スタンドのナナメの関係性により 2 階部分を VIP 席とし、利用することができると考えた。
新しいスタジアムの形態 ③ 新しいスタジアム形態の提案である。日本のスタジアムは、土地の不足、騒音問題などで、郊外にある運動公園に建て られることがほとんどである。その結果アクセス面での不備が生じ集客が伸びなかったり、J リーグの理念である地域密着が 上手く定着していないという現状がある。加古川市も同様でバンディオンセ加古川という J リーグ参入を目指すクラブチーム が存在するが本拠地は、加古川中心市街地から 5 ㎞ほど離れた場所にある運動公園に位置し、観客数も一試合平均 500 人ほ どとなっているのが現状である。欧州のスタジアムのように地域のスケールがにじみ出るスタジアムを目指す。
ビジネスモデル 余剰空間としてのビルの屋上にビルのオーナーの権限によるセルフビルド方式でスタンドを作 ることによって入場料を収入として手に入れることができる。 スタンドまでの動線は各ビルのテナントを通るようになるのでテナントの収入を上昇させるこ とも可能と考える。 このようなビルがこの地域に広がっていくことでスタジアムは拡大していく。
05_ 試合のない日の活用方法 レストラン
サッカーの試合は 1 週間で多くとも 2 日ほどしか利用をしないため、
施設
それ以外の 5 日間の活用方法が求められる。試合のない日の利用方
商店街をスタジアムとして提供
法として主に 3 つを挙げることができる。1 つは施設として利用する。
バー 野外映画館 劇場 室内練習場
スタジアムに付属しているレストランを開放するとともに、スタン ド部分を劇場として利用したり、室内練習場をフットサルコート、 電光掲示板を野外映画館として利用することもできる。2 つ目とし
環境
て環境への配慮が挙げられる。駅前中心地であるこの空間に芝生に
芝生によるヒートアイランド 現象防止
よるグラウンドを設置することでヒートアイランド現象を防止する。 3 つ目として防災が挙げられる。グラウンドを災害時の避難所とし
駅前空洞化を防ぐ
て利用したり、この地区は木密住宅が密集する地区なので、火災時 には RC でできたスタンド部分が延焼を防ぐ防火壁の役割を果たす。
サッカーファン
商店街で買い物をすること
地域の人々
防災
災害時の避難所 火災時の防火壁
により地域を活性化させる
試合のある日
電光掲示板▶野外映画館
施設
施設
劇場▶スタジアムのスタンド
試合時は電光掲示板として利用されているが、
普段は、劇場として利用しているが試合時には大きく開けた
試合のないときは野外映画館として利用する。
開口によりスタジアムの客席の一部として利用する。
スタジアムの動線▶地域の人の散歩道
スタジアムの動線となるオープンデッキは普段は地域の人たちの散歩道、子供たちが走り回る遊び場となる。
試合のない日
グラウンド▶地域の運動会 お祭り ゲートゴルフ 施設
防災
環境
子供の遊び場 災害時の避難所
試合のない日は、グラウンドを地域開放する。年に一回のじけまち秋祭りやじけまち蚤の市をグラウンドで開催する。さらに地域の運動会や地域の人々 のレクリエーションの場となる。 グラウンドは選手にとってある意味神聖な場所ではあるが、地域の人たちと共に育てていくスタジアムということでグラウンドを開放する。
防災
観客席▶防火壁
施設
室内練習用▶地域の人のための運動場
スタジアムのピッチは木密地域における災害時の避難所となり、火災が
選手のための室内練習場。選手の練習風景を観察できたり、普段は地域
起きた際延焼
の人たちが利用できるフットサルコートとなる。
を防ぐ役割を持つ。さらにスタンドは RC 造のため防火壁としての役割 を持つ。
選手、スタジアム関係者の動線
大きなスタンドはあえて設けずに住宅から試合を観戦で きるエリア
グラウンドレベルで試合を観戦できるエリア。あえて、ただで観戦でき る場所を確保することでスタジアムを身近に感じてもらう
元々クラブハウスであった場
会議室
所はそのまま利用する。
事務室
室内練習場 クラブハウス 駐輪場
緩やかに伸びるテラス
+3000
劇場搬入口
+2000 +1000
スタジアムのデットスペースを用いて
室内練習場、劇場、北側スタ
元あった飲食店の機能を維持する。
ンドへの動線
資材置き場
二階部分のテラス席への動線を店内から
歩道まで伸びるテラスによって歩行者
選手と同じ目線で食事が楽しめ
のみに限ることによって人々を引き込む
も試合を観戦することができる
るカフェ 至 加古川駅
1 階平面図(S=1/300)
たまりば オープンスペースを含む図書館
善光寺の門前町として栄えた長野駅前にオープンスペースを含んだ図書館を設計する。歴史的に由緒ある水路 を敷地内に引き込み、周囲に腰を掛けることのできるテラスを配置する。内部空間が外部空間を取り囲むことに
Site
nagano city NAGANO,
より、小さいスケールながらも街を活性化することを目指した。
Use
library&park
Structure
RC
Date
2016
Area ▶長野駅前 至 善光寺 至 善光寺
オフィス街
長野駅 善光寺街道
長野駅
一方で、敷地周辺には様々なポジティブな要素が含まれている。 敷地は善光寺の門前町として栄えた長野県長野市、長野駅前。この町は、駅前に商業施設、ホテルなどのビル群が
敷地東側には江戸時代に京都や江戸と善光寺を結んでいた善光寺街道が通り、年間 800 万人訪れる善光寺の参拝道
立ち並ぶ一方で、地方都市によくみられる駅前の空洞化により、空き地が貸し駐車場として転用される場所が多くみら
の延長線上となっている。敷地北西はオフィス街であり、朝夕ともに多くの人々が長野駅との往来を行い人の流れが
れた。空き地の有効活用法として貸し駐車場は、解決法の一つではあるが一方で、あちらこちらに貸し駐車場があるこ
絶え間なく起こる場所である。
とにより、空間の過疎化、低密度化が進行しているように思えた。
このように、敷地周辺では、さまざまな人の往来があるが、現状では貸し駐車場となっており、ポテンシャルを生
対象敷地も、駅前から徒歩 2 分という立地ながら、貸し駐車場として利用されている。
かし切れていない。
Research ▶緑地 水路 善光寺
長野駅
敷地間を通り抜ける水路
暗渠となっている水路
道路に面している水路
水路はその多くが地域に住む人の生活と密接な関係にあり、空間を構成するためも重要な要素の一つであると 思う。 敷地周辺にも水路が張り巡らされている。敷地西側を流れる裾花川。ここから流れ出る善光寺用水路は、長野市 都市における緑地公園は空間の余白としての機能を持ち、人々が様々なふるまいを行うために重要な場所
市街地を通り、農業地帯へと抜ける全国でも珍し形態を持つ。この用水路の歴史は室町時代までさかのぼり、江戸
だと思う。しかし、長野駅から善光寺にかけての地域には、一般の人々に解放されている緑地公園が少なく
時代には防火用水路、生活用水路としての機能をはたしていた歴史のある用水路である。
窮屈に感じた。
長野市街地に迷路のように張り巡らされた水路は、現在「暗渠」や「建物間」といった空間のウラとなっている
さらに、長野駅から半径 300m の中に唯一存在する「ぽっぽ公園」は、ビル群に囲まれた裏路地に位置し
場所を通っている。
ているにも関われず、お昼時にはビジネスマンが昼食を食べるために利用し、賑わっており長野駅前で活動 する人々思い思いの活動ができる空間を欲していると感じた。
以上より、敷地内に水路を引き込みオモテの空間にすることにより、水辺空間を含むオープ
ンスペースを設計する。
よって、人々が留まり、思い思いの活動ができる空間を設計する。
Concept ▶ウラの空間をオモテへ
敷地南側から望む 水辺空間で思い思いの活動を行う
敷地北側から望む 段差に腰を掛ける人々
Diagram
水路、オープンスペースを GL よりも低い所に配置し、人々を
内部からオープンスペース、公共空間、図書館の順で配置し、人々
内部からにぎやかな空間を作ることによって、建物全体が活
空間に引き込む。
に様々なアクティビティを体験してもらう。
気あふれる施設を目指す。
地域の人々に開放する小ホール。
小ホール
地域の人々のためのギャラリー。図書館
駐輪場
へと向かうスペースから閲覧できる。
会議室
ギャラリー
図書空間について 市民工房
水路を望むカフェ。 図書空間 善光寺街道に面する東側は善光寺門 カフェ
前町をイメージした市民工房を配置 する。
図書空間には閉架図書という本を守るための空間がある。本を守るがゆえに閉鎖的になり、人々のアクセスできない 建物奥に配置されることがほとんどである。しかし、本の持つ膨大な情報量を視覚的に見せるために、見せる閉架図書 を提案する。閉架図書を柱とし、閉架図書のまわりに開架図書を配置し、1 つのユニットとする。さらに閉架図書の柱 はスラブを突き抜け、次の空間で腰を掛けるベンチのような存在となり空間に変化をもたらすことができる。 駅からの利用者のために開放的な空間とする。大庇によって人々を誘い込む。
知の森 大学構内に取り残された武道場。本来あるべき用途を失い、時間が経過していた。 この武道場を新たなコミュニケーションを生み出す施設へとコンバージョンする。既存小屋組 みを一部解体し、増幅した空間を取り込むことで地域にも学生にも開かれた施設を設計した。
Site Use Structure date
| | | |
nagano city NAGANO, community center wooden 2015
00 計画敷地
01 現状 対象となる武道場は、武道場と称しているが現状ではラグビー部のトレーニングルームとしてのみ利用さ れており、学生に聞き取り調査をしてみても武道場の存在すら知らない生徒も多く、利用率、認知度ともに低 い施設となっている。
至 長野駅
SITE
信州大学
02 歴史性 武道場は戦前に製紙工場の施設として建てられたものをこの地に移築したものである。この時代の長野の製 紙施設に多く見られる美しい小屋組みと無柱空間による大きなボリュームが特徴である歴史性のある施設をう まく学生に開かれた施設にできないかと考えた。
敷地は長野県長野市、信州大学工学部キャンパ ス。学生が行きかうキャンパスの中にひっそりと たたずむ武道場が今回の対象建物である。 ◀小屋組みを内観から見る。
対象建物は大学内を南北に縦断する道と大通り に面している。南北を横断する道は朝夕散歩やジョ ギングを楽しむ地域の人たちが多く見られる場所 だ。 しかし、敷地周辺は木々に囲まれており人々の 往来を遮っているように思えた。
▶長野県松本市に現在も現存 する製紙工場。
03 Program 地域の人々と学生のコミュニティ施設
大学構内に取り残された施設を地域に開くために、地域の人々と学生が交流をでき
地域の人々が大学がどのようなことを行っているか「知る場」
る施設を設計する。
学生と地域の人々がともに「学ぶ場」
聞き取り調査を行うと地域の人々は学生がどのようなことを学んでいるかあまり知
学生が地域の人々に「発信をする場」
らず、学生も地域とのかかわりをあまり持っていないことが分かった。しかし、両者
人々が思い思いに「休息できる場」
とも関わり合いを持ってみたいという結果がでた。
を設計する。 関わりあいたい
普段はあまり交わらない学生と地域の人
それらを建築的操作で解決する。
両者には関りを持ちたいという思いが判明した。
04 Diagram
敷地北と西には人通りの多い道に囲まれているが木々
5 つの学部を発信するサークル状の施設により、自
大屋根をかけることにより思い思いの営みが行わ
が生い茂りポテンシャルを生かせていない
由な行き来が可能になる。
れる。
小屋組みの美しさを生かし切れていない武道場。
小屋組みを一部増幅することにより半外部空間が
武道場内部をレベル差によって配置することで空
生まれ人々を取り込む。
間に変化を与える。
2F テラス
05 平面アクティビティパース
閲覧室兼ギャラリー
5 つの学科を地域の人々 に発信していくブース。 持ち寄り図書館 日陰になっていること で憩いの場となる。
小ホール
住宅の終わり方
傾斜地に腰掛けることにより地域の人々のたまり場となる 目線の先には叔母が利用していたリビングを臨むことができ、故人と対話する空間にもなる
住宅の終わり方に疑問を感じた。棲み終えた住宅は解体して新築住宅として生まれ変わったり、貸し駐車場として利用されることが多い。その中でもともと住 んでいた人々の住みついたことでできた形(住むことでできた故人の手垢や周囲の人たちとの関係)は断絶されているように思えた。棲み終えた後、故人を思 い出すような空間へと変えていくことができないかを考えた。墓地と言われるとマイナスなイメージが一般的にはあるが言い換えると故人と対話する空間。こ の空間と共存する住宅の終わりかたを提案する。
Back ground 800 700 600 500 400 300 200 100 0 1963 年 1968 年 1973 年 1978 年 1983 年 1988 年 1993 年 2003 年 2008 年
墓までいくことは少ない
人口
空き家数 住んでいた場所とは異なる場所に安置されることが多い
1963 1968 1973 1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 空き家数
日本の住宅は年々空き家化が進行している。この地域も造成後 30 年以上経過して おり、空き家化や、住民の高齢化が進んでいる。この地域も、現在増えつつある 日本の空き家問題の典型的な地域と考える。
平成 27 年
国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、平成27年を 境に人口は、減少 すると予測されている。 すなわち、今後空き家がこれ以上に増加していく可能性 が高い。
故人を思い出す場所
住宅にも故人を思い出す空間としての要素があると考える
地域の人々
日本では亡くなったあと、家を一単位として墓地に入ることが大半である。この行為によって、いままで暮らしていた場所とは異なる場所で墓に入ることが寂しく 思えた。墓というものは故人と対話する場所であるので、それまで住んでいた住宅にも ` 使い続けること形成された空間 ` など故人を思い出し、対話する要素は兼 ね備えていると考える。さらに、散骨などの墓に対する考え方が多様化する中で、新しい墓に対する考え方になるのではないかと考えた。
Research
不織布 t=15
現在利用されていない 用途変更している
最高高さ▽GL+8,000 アクリル材 100x100
和室として使っていたが叔父が 亡くなった タイミングで叔母の足の具合が 悪くなり、 階段を昇ることが困難になり、 現在は 叔母の寝室として利用されてい る。
二階は叔父と叔母の寝室で構成される。 叔父が車が好きで、車いじりによ
現在は衣類などの物置として利用され
く使っていたガレージだが、叔母
ている。
が二輪免許しか持っていないため、 現在は使用されていない。
2,100
7,500
3,900
13,500
1,000
2,000
4,800
1,000 N
8,800 断面図 S=1/50
S=1/100 平面図 2F
material
SITE
所在地:兵庫県 高砂市 宝殿地区 加古川流域の氾濫原であった地区を 1980 年代に宅地化。 おおよその住宅は築後 30 年を経過している。 叔父叔母は 2002 年に新築の住宅を購入。 2015 年に叔父が他界。 現在は息子娘のいない 81 歳の叔母が一人で住んでいる。
叔母の死後は空き家になると想定される住宅である。
外力によりレイヤーが靡くことによってでき
光、風、雨の透過による内外の曖昧さ
光の濃淡による空間の変化
る空間の増減
Volume Diagram 00 住宅の最初
structure 01 住宅の最後
02 所有者の死後
☀
1 階が LDK、2 階が寝室となる対象住居。多くの戸建て
子供の独り立ち、パートナーとの死別などで使わ
空き空間解体しオープンスペースとする。家型
家型に開口を開けたり風により靡くことによって光に
100x100 のアクリル角材により、家型の
レイヤーによりフレームを覆うこ
住宅にも当てはまる形態といえる。
れない部屋が増え、虫食い状態となる。
を不織布によるレイヤーで囲うことにより、元
よる濃淡、空間の変化によりさまざまな居場所が生ま
フレームを作る
とにより曖昧な境界を形成する。
の家形をモニュメントとして残し、内外が曖昧
れる。
なオープンスペースとなる。
開口やレイヤーを伸ばすことによ り空間を変化させる。