Lapland Impressions in Japanese

ラップランドは、八つの季節、真夜中の太陽、 そして長い冬 が訪れる世界です。 ラップランドの人々の生活環境は、計り 知れないほど、 また息を呑むほど広大な自然に囲まれてい ます。 ラップランド人が忠実で繊細、 また信頼でき、 のんびり した気質であるのも不思議ではありません。 ラップランドはグリーンランドの中心部ほどはるか北方に 位置しています。 しかし、 ラップランドの気候は湾流の影響 でもっと温暖で、生活必需品も全て備わっています。進歩 的且つ安全で豊かな社会は、 最も人口が少ないこのヨーロ ッパの片隅で時間とともに発展してきました。 写真家でノンフィクション作家のケイジョー・タスキネン氏 は、 ラップランドのライフスタイルを写真と言葉でどう表現 すべきか知っています。 ラップランドの印象は、光から影へ、 海から山岳地帯へ、 そして日々の暮らしからお祭り事への 興味深い旅なのです。

ISBN 978-952-5969-54-2

www.kirjakaari.fi

9 789525 969542

ラップランドの印象

ラップランドの印象

Keijo Taskinen

ラップランドの印象

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八つの季節が巡る土地 オーケストラの指揮者のように、変わりゆく光 のリズムがフィンランドの最北地域に位置す る神話のようなラップランドの生活のテンポ を先導します。 また光は、人間の脳の活動に 直接的な影響を与えます。睡眠は、体内時計 あるいは 「闇のホルモン」 であるメラトニンが 制御します。 メラトニンは人体において夜と白 夜の間に最も作り出されます。真冬には、北 部地方の多くの人々が極度の疲れや白夜の 憂鬱を感じています。 しかしながら、1日1時間 のみの野外運動がそのような問題を解決して くれます。豊富な夏の光のおかげで睡眠時間 が短くて済むため、子供は夜中まで遊び、大 人は早朝まで庭仕事に励みます。我々が北極 近くに暮らしていることは明らかです。 ラップラ ンドの最も印象的な特徴は、八つの季節が 巡ってくること、 オーロラ、 白夜、 そして真夜中 の太陽です。生活とは、静寂、 自然の音、 そし て光と色彩の祝祭なのです。

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10月にはラップランドはパステルカラーで覆われます。秋 色のディスプレーを思い起こさせるアルペンクマコケモモ が、 あちこちで洋紅色に輝きます。 ヨーロッパで一番透き 通ったラップランドの空気を吸うと清々しい気分になりま す。手付かずの池の側で静けさの中に身を沈めると、氷の 鎖が対面の岸に向かって伸びていく音が聞こえます。全て が 「冬の王 の訪れに備えているのです。

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月がラップランドの冬のリズムを支配します。満月が白夜真っ只中の白い閃光を作り出すま では、 月が満ちていくにつれ光が日に日に強くなります。 サウナ風呂はフィンランド人の心に ブランド化されており、 ラップランドでは自動車よりもサウナの方が多く存在します。 月光の サウナは心と体を抱擁してくれます。真冬の青みかかった白夜は、常に人々を魅了してきま した。次頁では独特の雰囲気のある 「青の瞬間」 をお楽しみいただけます。

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北極光であるオーロラが、一晩おきにラップランドの空を舞 います。空に舞い上がる適切な花火には太陽からの粒子の 爆発が必要です。 その後、毎秒千キロの速さで粒子が地球 に向かう数日間を待ちます。 そして午後8時から午前0時の 間に暗い場所に出向き空を見上げます。上層大気圏に衝突 する粒子が作り出す、心に残る光のディスプレーをお楽しみ ください。

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晩冬と初春には人々の心と雪を温めながら太陽がさら に高く昇り、雪の表面は毎晩の寒さのせいで硬く凍り、 スキーで自然へと近寄ることができます。 ますます多くの 人々が、寒中水泳が及ぼす健康への影響を楽しみます。 寒中水泳は血圧を下げ、 ストレスを払拭し、士気を高め まてくれます。 また、 身体の耐寒性とエネルギーバランス の調節性を高めてくれます。

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春には氷が融け、 あらゆるところに水が溢れます！ラップランドの 大河が氷から解き放たれると、沿岸はたいてい容赦なく再形成さ れます。夜の霜が春の訪れを遅らせることもありますが、新しい命 の誕生やその成長を妨げることはできません。 裏頁：5月中旬、生まれたばかりの赤ちゃんトナカイとそのお母さん との感動的な遭遇は、雪から解放された後の典型的な光景です。

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渡り鳥の大群が初夏に到着し、 ラップランドをコンサートホール へと変えます。最初の群れは大白鳥で、3月後半にトランペットの ような鳴き声が聞かれます。 しかし、渡り鳥がラップランドにやっ て来るころには、 ノドジロシトドがすでに冬の間に巣を作ってい ます。 ラップランドの明るい夜は5月に始まります。次に暗くなるの は8月です。真夜中の太陽と部分的な日食－ラップランドは愛情 を持って夜の放浪者を魅了するのです。

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24時間夏の光が輝く下で、生活は熱心な速さで進んでいき ます。 ラップランドの夏は短く、温かく緑あふれる期間はほん の数ヶ月です。真夏の輝きは切なくもあります。 ゴゼンタチバ ナや他の植物が花開く時、渡り鳥はラップランドを飛び去り ます。

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8月には日中の時間が短くなり始 め、夜は寒くなります。短い生育シ ーズンの終わりが収穫の時期で す。湿原や森林地帯は、 あらゆる年 齢層のラップランド人が自然の中 に引き込まれてしまうほどビタミン 豊富なクラウドベリーで黄色に染 まります。 そしてベリーを摘む人々 は、芳醇な香りを放つ森と山脈の 財産であるビルベリーやヨーロピ アンブルーベリーを探し歩きます。

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短くなる秋の日々は、 ラップランドを色とりどりにドレスアッ プさせます。湿原、落葉樹林、 そして山岳地帯が赤や黄色に 光り輝くのです。紅葉は植物が冬支度をしている象徴です。 光の年間サイクルは常にほぼ同じなため、紅葉は9月の第2 週目に絶頂期を迎えます。 その後葉っぱが落ち、紅葉も見 納めとなります。冬がもうすぐそこまで来ています。

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仕事と祭事 ラップランドはポルトガルよりも広い地域で すが、 ポルトガルの人口が一千万人を超える 一方、 ラップランドの人口はわずか184,000 人です。 ラップランドはヨーロッパで最も人口 が少なく、 ほとんどの地域においてヨーロッパ の平均よりも200分の1ほど人口密集度が低 くなります。永続的なラップランド人が、 これ を理由に落胆することはありません。時間とと もにこの人里離れた地域で、多様性があり現 代的な生活源が増えてきたのですから。観光 のシーズンには、人口は3倍に膨らみ、小さな 山岳の村は活気あふれる街へと変わります。 ラップランドの暮らしは自然と観光シーズン 両方に追随します。辛い仕事を要する時期も ありますが、 そのような仕事も常にゆったりと した姿勢で取り組まれます。 ラップランドは、 自然や文化、 アウトドアスポーツに至るまで多 くの娯楽の機会を与えてくれます。 ラップラン ドの住人は自然と密接に暮らしています。 ドア から外へ出ると自然に出会い、 自然は窓から 見る景色も優雅にしてくれるのです。

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ラップランドでは、私生活と経済活動の両方においてス ノーモービルが日常生活の一部となっています。遠方の 地域では、 ほぼ全ての庭に最低一台のスノーモービル があります。多くのレクレーション行事提供者がスノー モービルサファリも提供しています。広大な土地では距 離が長くなります。 例えば、 キルピスジャルビからロヴァ ニエミにある最寄りの病院までは430kmも離れていま すが、少ない交通量と雄大な景色は長距離の移動を短 くさえ感じさせます。

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ラップランドには21の自治体があり、 そのうちケミ、 ケミジャルヴィ、 ロヴァニエミ、 そしてトル ニオは市として分類されています。 ラップランド人口の半分以上がこれらの都市に住み、残 りの人口は村や自治体センターに住んでいます。通常、集落は運河の側にあるため、美しい 橋のある景色が多く見られます。 ロヴァニエミの都心では、古くも新しい橋、 「ルンバージャ ックス・キャンドル・ブリッジ」 がラップランド人の建築ランドマークとなっています。

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ラップランド地域の中心地であるロヴァニエミは、面積単位で ヨーロッパの最大の都市です。 ロヴァニエミはケミ川とオウナス 川の合流点に位置し、人口60,000人の伝統的な貿易・市場の 都市です。 ボスニア湾の沿岸に位置するケミ市とトルニオ市は、 ラップランドの最密集人口の中心に囲まれています。 トルニオは ラップランド最古の都市で1621年に建設されました。次頁で 伝統的工業都市であるケミをご紹介します。

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ラップランドの子供たちは、地元自治体の学校に通います。 ラップランドには、文系理系の 両分野において幅広い専門機関であるラップランド大学やラップランド応用科学大学とい う、質の高い高等教育機関や職業訓練所が存在するため、勉学を継続するために遠くまで 移動する必要もありません。国際的にも最先端の観光業および教養専門知識が、世界レベ ルの教育によってラップランド人に保証されるのです。

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サービス業はラップランド経済の基盤となっています。 ラップ ランドでは観光業には長い伝統があります。現在のスタイルの 山岳地帯観光業は、地元の家々にスキーヤーたちが宿泊した 1930年代に始まりました。徐々に観光業が重要になり、 コテー ジやホテルが建設されました。今日では、 ラップランドは観光業 の国際的先駆者で、年間を通して他とは異なる体験を提供し ています。 また、 いつでも最高のサービスを受けられます！

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ラップランドは、北方地方に興味のある人々にとって、聖地巡りのアトラクションです。上質 なサービスを提供してくれる、 エキゾチックで、清潔で、安全で、訪問可能な北極地方は、世 界中から訪れる観光客を魅了してくれます。 あらゆる種類の宿泊施設が利用可能です。例 えば、美しい雪と氷の彫刻付きの雪のホテルが多く存在します。豪華な雪の村を見れば、創 造性に富む狂気を持ち合わせたところがあると言われるラップランド人への評判も納得で きるでしょう。

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ラップランドはその住人に、現代の豊かな社会の一部として、個々に生活す る機会を与えてくれます。 ラップランド人の日々の暮らしには、 それ独特の考 え方が存在します。上手く機能する社会・保健サービスは、職業のための裏 支援を提供します。 ラップランド人は、上質で楽しい生活の重大さを大変よく 理解しており、彼らの日常生活は輸出製品にさえなってきました。40ヶ国以 上の全年齢層の人々が、 ラップランド製のスポーツ・運動器具を使用してい るのです。

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ラップランドは様々な娯楽の機会を提供してくれます。地元 のクラブでは、演劇、手工芸、音楽や歌、色々な運動、 ウィン タースポーツや球技を提供しています。 コースは心と体を育 てるよう準備されています。 スピードを好む人たちには、 ロヴ ァニエミの都市部でさえエキサイティングなトナカイレースが 用意されています。世界記録は1分13秒／kmです！

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ラップランド人は自然と密接な関係にあります。 そのような 密接な姿勢は、祭事や生活の主要部分で見られ、多くの 文化的行事が野外で催されます。最も印象的な自然の舞 台会場は、 フィハ山岳のアイッタクルです。 円形競技場の音 響効果は他とは比べものにならないほどです。 チラチラと光 る真夜中の太陽の下、 たき火とダンスで真夏の夜を祝い ます。

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ラップランド人は家族とともに静かにクリスマスを祝います。 「 クリスマス を意味するフィンランド語「ジョウル」 は、古代スカンジナビア 語で 「12日間の祝祭 を意味します。 サンタクロースは最も有名なラップランド人で す。 白髭を生やし、 プレゼントをくれる謎めいた人物は、東ラッ プランドのコルヴァ山岳に住んでいます。 55

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自然に取り囲まれて 最終氷河期の直後、約11,000年前にラップ ランドに人々が居住し始めました。何千年も の間、豊富な魚類が漁師たちを北の 「地球の 果て」 へと魅了しました。 サーミ時代の始まり です。 サーミ族は所有に興味を持ちませんで した。彼らは遊牧民で、荒れ地の家は、罠、猟 場、 そして礼拝の地へと続く道によって位置 付けられました。徐々にフィンランド人の居住 が南から広がり、 サーミ族は北上しました。時 間を経て、 ラップランドではアウトドア、狩猟、 魚釣り、 トナカイの放畜、沼地のマグサの収 穫、 そしてタールの蒸留が盛んになり、伝統 的な生活様式と生活手段は近代的なラップ ランドの生活へと変化してきました。北部の 生活には多くの段階があります。過去が現在 と出会い、人々は自然に出会います。生活の 特徴で1つだけ常に不変なことは、 ラップラン ド人のハートは自然のリズムに合わせて鼓動 しているということです。

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サーミ族は北欧国の中で唯一の先住民で す。 サーミ族はいくつかの方言を話し、 フィン ランドのラップランドだけでも3つの異なる言 語を話します。彼らの生活手段は大部分が自 然と密着しています。 トナカイ畜産、漁業と養 殖は未だに価値あるものとされています。愛 情に限界はなく、 ラップランドの人口集団は 年齢を超えて混在しています。 サーミ族の伝 統衣装は、 出身地を教えてくれます。

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ラップランドでは、運河が常に人口の中心を形成してきま した。 良い漁場は生活を保証してくれました。 川もまた重要 な移動と交易の手段でした。今日、 トルネ川とタノ川は鮭を 釣る釣り人の楽園となっています。 最初の道路が運河に続 き、 ケーブル船が川を渡りました。

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およそ5,000年前にスキー用行路がラップランドの荒野に登 場しました。今日では、深雪用の長く幅広い森林スキーから、 軽く表面の固まった雪用のスキー行路まであらゆるスキーが 存在します。 トナカイの家畜化はラップランドを完全に変えまし た。天気の良い日には、 トナカイは一日100km以上もソリを引 くことができ、物資輸送にも使われていました。

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何世紀もの間、狩猟はラップランドの最も重要な生活様式でし た。鳥類が、罠や弓、銃で仕留められました。罠の針金を作る一 つの方法は、馬の尻尾の毛を手のひらと太ももの間でクルクルと こすり合わせる方法でした。 カラフトライチョウを捕まえる伝統的 な罠は、 現在もラップランド北部で用いられています。 フィニッシ ュ・スピッツは、何年もの間北部地方の猟師たちのパートナーと なってきました。猟師は鳥類に加え、 ムース、野ウサギ、熊、 そして 水鳥を追跡します。

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何千年もの間、野生のトナカイがラップランドの最も重要な 狩猟動物でした。1800年代までには全ラップランド人が狩 猟からトナカイ畜産に切り替えました。 トナカイは、健全な肉、 脂肪、 ミルク、皮、骨、 そして枝角を作り出す価値ある家畜なの です。 この重要な冬のトナカイの駆り集めは、遠近からの訪問 者を楽しませます。昔はこの駆り集めは、一週間にわたる品評 会タイプの行事でした。

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漁業はかつてライフラインの一つでした。狩猟が不作の時や霜で作物が育たなかった時 は、人々はたびたび漁業に出かけることができました。最も重要とされた道具は網で、現在 もカワヒメマス、 マス、 コクチマス、 スズキ、 キタカワカマスの漁業に使用されています。鮭はタ ノ川近くの住人にとって常に最も需要な天然資源となってきました。 タノ川での漁業に関す る最古の文書記録は1500年代のものです。透き通った水が流れる見事なタノ川は今日も 多くの釣り好きの聖地巡りの呼び物となっています。

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田舎地方の農業文化は、鉄器時代にはすでにラップランド 南方の肥沃な川岸沿いに定着しており、1700年代に遠方地 域にも広がりました。都市化現象はラップランドの多くの村 々で沈静しましたが、 田舎地方では未だに活発です。 ロヴァ ニエミからラップランド遠方の場所では、人々は牛を家畜し 育てます。EU内最北農家は、 ウツジョキにあります。

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ラップランドでは1800年代後半に、林業の新しい時代が始 まりました。道路や店が建設され、1920年代には鉄道まで もが敷かれました。 グリーンゴールド社は何万人もの伐採 者を雇用し、時間とともに、 ラップランドの広大な荒地に数 えきれないほどの伐採者用の小屋が建てられました。素晴 らしい伝統は残存しており、現在もハイカー用に450棟以 上の小屋が利用可能となっています。

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イヴァロ川の金鉱地は、1870年代に世間の注目を浴びました。 ゴールドラッシュがラップラ ンドを混乱させたのです。富探しに期待をよせた人々がラップランド全体のあらゆる場所 を歩き回りました。金鉱探しは、現在も大変重要な第二の職業、 そして観光名所でもありま す。

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海から山岳地帯へ 地球儀を見るとラップランドははるか北方に 位置しているおり、 アラスカの中心部とほぼ 同じ緯度になります。 しかしながらラップラン ドの自然は、 同じはるか北部に位置するどの 地域のそれよりも多様性に富んでいます。渓 谷には農地があり、広大な常緑樹林が広が り、 そして北極圏の植物が山脈高原に生育 しています。 この生物の多種多様性には、 ラッ プランドの平均気温を数度上げる湾流が影 響しています。 ラップランドの岩盤は大変古く 永続的に存在しています。 ほとんどの山岳地 帯は造山運動により18億年ほど前に作られ ました。 山岳地帯は時代とともに削られまし たが、 かつてはアルプスほど壮大だった山脈 の残物なのです。一方、 ラップランドの土地 は若く、 そのほとんどが最終氷河期後半の約 115,000～10,000前に作られました。氷床 が融けると植物が現在の形まで成長し始め たのです。

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バルト海の北部、 ボスニア湾はほぼ無塩水です。 その生物相 はほとんど淡水種のみで作り上げられています。 もう一つのボ スニア湾独特の特徴は、急激な土地の隆起です。 かつて1km にもなる厚さの氷床に押しつぶされた土地は、未だに毎年 1cmほど上昇し続けています。 これにより独創的で常に変形 する海岸線が作り出されるのです。漁業と船乗り業がこの地 域における伝統工業です。砕氷船がなければボスニア湾の港 は冬の間は閉ざされてしまいます。

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ラップランドには、多くの魚が泳ぐ透き通った川や湖に流れ込 む淡水源がたくさん存在します。 ラップランド最大の湖は荘厳 なイナリ湖で、 フィンランドでは3番目に大きな湖です。 イナリ湖 には300以上もの島々があり、最も有名な島は岩が多く、古代 サーミ族の礼拝地であるウコンキビ島です。

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ラップランドは流水の土地です。北極海に流れ入る最大 の川はタノ川で、 バルト海、 ケミ川、 そしてヨーロッパで最長 の自由流動川 （510km） であるトルネ川に合流します。 ラッ プランドの小規模の水域もまた美しく、無色透明の池や 豊富な湧水は容器に入った飲料水よりも透き通っていま す。 フィンランド最大の湧水は、 ウツジョキにあるスラオジ ャで、毎日35,000㎥の水が湧き出ています。

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常緑樹林には特有の香りと空気が漂っています。古い常緑 樹林の植物やキノコ類には湿り気のある微気候が必要な ため、空気の質は大変重要です。 ラップランドには、様々な 種類の森林が存在します。例えば、不毛な松の湿地帯、 ウィ スパリングトウヒ林、 そして古代松のヒースなどです。 山岳地 帯は世界最大の連続したカバ林地帯で、 ノルウェー南部か らコラ半島まで広がっています。

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ヨーロッパオオライチョウ、 またの名をウッ ドグルースは、雌鳥に勝とうと攻撃的で印 象的な求愛行動に死闘を演じます。巣で 成長するワシの子には、 その親鳥のように 空世界で勇敢者になる前に危険の多い 長旅が待っています。

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ノルウェーレミングは群生動物で はありません。 このカラフルで蛾を 食べる動物は、単独でも移動しま す。秋には熊1頭の3分の1の重さ にまで太ります。熊は、厚い脂肪の 層と生体機能を鈍化できる能力の おかげで冬眠することができます。

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湿地帯はラップランドの典型的な光景です。最も美しい湿地帯 は、 ラップランド中央部に切り込んでいるひと続きの湿地帯で す。青々とした湿地は、最も多様性に富む湿地帯です。木の存在 しない湿地の表面は白苔を湿らせ、 白苔が不足することはあり ません！世界のバイオマスの半分が生きた苔か腐朽苔で作られ た泥炭です。湧水溢れるひと続きの湿地帯は、鶴、 ガン、 そして渉 禽類が帰ってくるのを待っています。 これは真夜中の太陽の中で 輝くワタスゲです。

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ラップランド特有の自然は7つの国立公園と自然保護区、 そ して12の荒野区域で確実に保護されています。 レメンジョキ、 ウルホ、 ケッコネン、 そしてパラス－イラス山岳地帯国立公園 はフィンランド最大です。 フィンランド国立公園では、誰でもゆ っくりと一日散策を、 または一週間のハイキングを楽しむこと ができます。 自然保護区は、指定コースのみに散策が限られ た野外アトラクションなのです。

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ラップランドの中央部と北部には、 山岳地帯がそびえ立っ ています。何キロにも及ぶ高いフィンランドの山頂は、全てフ ェル・ラップランドの遠方区域であるキルピスジャルビに位 置しています。 山岳地帯は山ではありませんが、心の弦を鳴 らしてくれます。

まさにあなたの目の前で、 山岳地帯が空に触れま す。歩き続けてください。 すぐにあなた自身も雲に触 れることができるでしょう。 山岳地帯の頂を踏みしめ る一万歩。座ってください。 日常から解き放たれるの です。雲をまとい、足には自然を履かせましょう。 山 岳のブランケットで身を包みましょう。

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農業とトナカイ畜産は近代化されてきました。 もはや大鎌が 牧草地で使われることはなく、畜牛が未加工の牧草を食べ ることもなくなりました。 この変化は伝統的な光景やいくつか の生息種、地方の真珠を危険にさらしてきました。幸運にも、 最近では人々が伝統的な景観を保護しようと目を覚まし、 ラ ップランドのあらゆる場所で素晴らしい文化景観が再び見 られます。

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ラップランドは、真夜中の太陽、急流、果てしない荒野、短い夏、 そして長い冬の世界です。 ラップランドの人間の暮らしの背景に は、絶大で息を呑むほどの広大な自然があります。 ラップランド 人は寛容で、 のんびりとした姿勢で生活しています。 ラップランド を訪れた人たちがすぐに熱中してしまうのも不思議ではありませ ん。熱を下げる唯一の方法は、 この山岳地帯を再び訪れ、 そして また再び訪れることです。

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ラップランドの概要： 面積： 人口： 人口密度： 総括局： 最重要工業：

2 100,367 km（フ ィンランドの面積の30.5%） 183,000人 2 2.0/km（EU平均は116/km2） ロヴァニエミ （人口60,000人） サービス業（70 %）

史上最低気温記録：

-51.5 °C（キッティラ、 ポッカ、1999年1月28日） 史上最高積雪記録：

190 cm（エノンテキオ、 キルピスジャルヴィ 1997年4月19日） ラップランド市内ソダンキラの1月の平均気温（1981-2010年） ：

-13.5 °C ソダンキラの7月の平均気温（1981-2010年） ：

+14.5 °C

ソダンキラの25 °Cを上回った日の各年の平均日数（1981-2010年） ：

6日 ソダンキラの0 °Cを下回った日の各年の平均日数（1981-2010年） ：

219日 毎年平均210日間、地面が雪で覆われる。 地域を象徴する動物： 地域を象徴する植物： 地域を象徴する鳥：

トナカイ キンバイソウ オガワコマドリ 111

ラップランドの印象 © Kirjakaari, Jyväskylä 2014 写真

Keijo Taskinen Cover: Miika Sirkiä / AV-Lappi Miika Sirkiä / AV-Lappi p. 2 Timo Veijalainen / AV-Lappi p. 10, 43, 78-79 Harri Nurminen © Leuku p. 16, 59, 66 Petri Jauhiainen © Vastavalo p. 7 Mikko Karjalainen © Vastavalo p. 54 Keijo Penttinen p. 1, 8-9, 19, 21, 27, 28-29, 63, 65, 68, 76, 86, 89, 91, 100, 103, 104 Marko Junttila p. 41, 44-45, 48, 50-51, 62, 108-109 Paavo Hamunen p. 4, 25 (右側に （ある), 31, 34-35, 55, 69, 94-95 (背景に （ある), 102 Jouni Laaksomies p. 26, 32, 36-37, 42, 49, 67, 74-75, 85, 90, 101 Juha Kauppinen p. 58, 64 Lappset Group Oy / Antti Kurola p. 46-47

文字 Keijo Taskinen グラフィックデザインおよびレイアウト Kati Lähdemäki, Kirjakaari 印刷 Saarijärven Offset Oy, Saarijärvi 2014 発行元 Kirjakaari ISBN 978-952-5969-54-2 112