佐藤素春 portfolio 2019

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PORTFOLIO 2019.02 Motoharu Sato


! 本ポートフォリオの構成

1 作品名・コンセプト

何を作ったかのか

2 作品背景

敷地や課題文で注目したポイント

3 思考と形態のプロセス

どのような過程で思想を建築に落とし込んだのか

4 建築の全体像とダイアグラム

実際に作ったものと適応したルール

5 図面と空間の説明

図面と空間とその詳細

6 作品に関する今の感想

作り終えて、現時点で感じる感想 (1P)


CONTENTS 2018.12 Housing

2017.12 Primary school

郊外境界自治

選ぶこと、創ること

- 変化する様相を 受け入れる緩衝帯 -

Autonomy of the boundary

1

in the suburbs

学部 4 年 卒業設計

4-15 学部 3 年 DS6

Graduation design

2017.06 Apartment

原宿教会図書館

佃集落

都市広場と1人になれる大空間

‐ 雑多と秩序‐

Harajuku Church Library

Tsukuda Village

-City square and

3

4

-Motley and Order-

Large space to get used to one person-

ハラジュク KAWAII ラ[イ]ブラリー

16-25

<コミュニティ・コア>としての学校を考える

2017.09 Library

学部 3 年 DS5

2

Selectivity and Creativity

26-37 学部 3 年 DS5 Tokyo Guest House

38-47


郊外境界自治 Autonomy of the boundary in the suburbs

変化する様相を受け入れる緩衝帯

CONCEPT

生活の風景、 家族の形、 人の境界とカタマリを再考する 4


家族はもう家族ではいられない

- 郊外住宅地の問題点 -

画一化した暮らしと価値観では 競争が全てを決める 分断された地域では 他者との触れ合いは排除され 家庭ごとの格差が生まれる 多様化したカタマリを 今の家族はもう内包できない

▼本プロジェクトの敷地である多摩田園都市美しが丘地区の風景

1. 画一と競争

2. 分断と排除

3. 価値観の多様化

郊外は皆がいい暮らしを目指し、 いい家庭を持つという

分断された地域では各家庭で起きた問題を家庭内だけで

情報社会の発展により、 一人一人が違う景色を見ている

高度経済成長時代のプロパガンダと言えるのではないだろう

処理しなければならず、 地域に問題を持ち込めばそれは排

現代、 経済成長を経て暮らしは成熟し多様化した。 様々な

か。 画一と競争を前提とした価値観では子供達は選択肢を

除される。 他者との触れ合いは個々の家庭によって隔離さ

価値観の変化から生ずる問題を今の核家族はもう内包する

持つことを許されず、 自分で選ぶ力を奪われる。

れ、 格差が生じる。

ことはできない。

競争から生まれる様々な問題は分断された地域の中では排除される 分断され多様化した価値観や問題は一つの核家族だけではもう内包できない

家族の境界を再定義し、 変化する様相を受け入れる緩衝空間が郊外には必要である

5


6


設計

クルドサック A 周りの住宅 8 棟とその間の緩衝空間の設計 ▼敷地情報

模型写真

◾️コンテクスト形成のプロセス

01. 個の空間の確立

02. 個の空間の集合

03. 浮き出る緩衝空間

クルドサックにおける 領域を広げ

多様なコモンが形成される

地域を自分のものとする

活動の発生

公的な空間の所有 プライベートなプライベート

私的な空間 パブリックなプライベート

境界を自治する それぞれに関係性が生まれる パブリックなプライベート

それぞれが違う景色を見ているが

多様なカタマリで活動が発生し

1 つの大きな家族を形成している

生活が豊かになっていく

◾️形態生成のプロセス

7


自転車 銭湯

縁側 革製品

工房

キッチン

盆栽

コモンリビング 菜園

はらっぱは色づき多様な使われ方をする

外で集まる 植物

音楽

出店

ガーデニング

アウトドア

裁縫

ガレージ

設計事務所 PC

学習

本を読む

静かになれる場所

8

コモンズの平面図

戸建住宅の敷地境界はそのままに、 総勢 26 名のメンバーシップによって コモンズに対応するように大小様々なカタマリが変化しながら存在することを意識して設計

朝の体操

筋トレ


コモンズでは人の振る舞いがあふれ出ることで数多くの活動が生まれ変化しながら存在している

袋小路を含めた住宅の隙間の空間は変化する様相を受け入れることのできる緩衝帯となる

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設計プロセス

空間の種類

空間の種類

10


GL

平面図

3600

7200

10800

2700

6300

9900

1800

5400

9000

900

4500

8100

空間は、 丘陵地帯に 900 レベル ごと立体的に配置され、 それぞれ の居場所や視線を操作すること で、 選択多様性のある様々なコモ ンを形成している


立面図

断面図

12


それぞれが自分の景色を持っている

プライベートの平面図

これらの住宅は元の敷地の境界はそのままに、 1 個人の空間は交換可能である空間で住宅を再構 築しているため、 メンバーシップは新しい家族形式を誘導し、 拡大した大きな家族となる

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様々な風景を内包しながら、 境界は常に変化する 多様な暮らしの形を受け入れることができたとき 郊外の生活はもっと豊かなものになる

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この、作品は自分が幼少期のから過ごしてきた郊外という地域での暮らし方に疑問を抱いて作ったものです。自分は幼稚園の時にベトナムに住んでい たため、小学校以降生活することになったこの地区では文化の違いや人との生活の違いに違和感を抱いて生活してきました。その疑問点と肌感で思う今 の自分の暮らしや時代や世代における考え方の違いがこの作品の出発点となりました。高度経済成長を経て暮らしは成熟し、多様になりました。郊外の 持ち家という暮らし方にも新しい風が必要なのではないでしょうか。

とはいえ自分自身、今の現状の実家での暮らしがこのようになったら理想かと言われるとそうでもありません。なぜなら今回の設計では暮らす人の倫 理観が問われ、プライバシーがさらされるからです。今の家族や常識、倫理観ではこの住宅は果たして成功するのでしょうか。今回はフィクションと割 り切って家族自体を解体することで新たな暮らしや共同体の概念を提案しましたが、個人的にはまだまだ覚悟が足りず中途半端ではないかと感じます。 これからはもっと概念に振り切るならもっと振り切って、リアリティーのある設計をするならもっと法規、温熱、構造なども勉強して繊細さと強引さを どちらも学んでいきたいと思います。

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選ぶこと、創ること

<コミュニティ・コア>としての学校を考える。 自分のの卒業した小学校(または中学校)をテーマに、学校の新しい社会的な役割を考える中で、 新しい学校のデザインを考えるという設定。

CONCEPT:自分たちで選び、創るコミュニティーコアと小学校

敷地である横浜市青葉区のあざみ野駅周辺にあるこの地区は、東急電鉄によって開発された郊外のベッドタウンである。 都市計画によって区画され、機能のある場がすでに与えつくされているこの地区で足りないのは 住人達自身の手で選び、何かを創り出すことのできる住人主体で創る自由な場なのではないだろうか?

多様な活動が自然発生し流動的につながる

それをコミュニティーコアと捉え、学校全体と一体となってつくることで、 地域や子供たち、先生たち全体の多様な活動が出てきて、自分の意思のあるところに行くことができる。 そんな、場所の選択多様性と地域の自発性を引き出すコミュニティーコアのある学校を提案する。

選択の多様性と自発性


作品背景

配置図兼屋根伏図1/2000 教育施設

公共施設

公園、神社、お寺

飲食、生活用品、商業施設

医療施設

学区

敷地 〈課題文〉 小学校、中学校は子どもたちの教育の場である。小中学校で受けた教育は人格形成にも大きな 影響を与えると言われている。ただし小中学校の教育に問題がないわけではない。「いじめ問題」 「中1ショック」のほか、教師が多忙すぎて授業準備に時間を割けないという社会構造的な問題も 指摘されている。 デザインでこういった問題をすべて解決できると考えるほど設計者は楽天的ではないが、教室が、 抑圧的な授業あるいは権威主義的な詰め込み教育の場でなく、子どもたち自身と仲間との積極的 な学びの場となるにはどうしたらよいかを検討するのは建築計画と建築設計の問題である。 地域社会と学校は深い関係がある。親たちは子どもを介して、学校経由で他の親と知り合うし、 学校が地域にとって重要なイベントの場となることも稀ではない。クラレンス・ペリーによる 「近隣住区論」(1929年)の中でも小学校は住宅地のコミュニティの中心に位置するように提案 されている。 人口減少と人口の高齢化が地域社会を苦しませている今日、学校が地域社会の中核(コミュニテ ィ・コア)となることで、この問題を緩和することはできないだろうか?その場合、学校はどの ような機能を新たに持つ必要があるだろうか?あるいは、すでに行われている「学校開放」では 何が不足しているのだろうか? 君の卒業した小学校(または中学校)をテーマに、学校の新しい社会的な役割を考える中で、新し い学校のデザインを考えてみよう。

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形態のプロセス

個々の生活を繋ぎ 様々な物や人、知識が交わる所 マʞケット、通りを中心に広がる

ピロティʞ

拡張する駄菓子屋

公園と学童保育

村や群、クラス、共同体

下から上、上から下へ

のどかな場所 第二の家

ガレージ

放課後の居場所 原風景

地域の貸しスペース

陣取りできる空間

内と外、人が集まる円の形

自分で作る

店先に挨拶する 下駄箱とガレʞジ

共通して不足しているもの

地域的な特徴

地元意識、サードプレイス、第2の家、自分達でつくる場所

ベッドタウン・・家の周りで生活が完結している

学区的な特徴 縦長で南北に伸びた中間地点に学校がある 文化施設や歴史施設が少なく塾が多い

コミュニティーコアとは

参加型のコミュニティーの形成と 大人にとっても子供にとっても

知らない人と遊ぶこと 小さい時に公園でたまたま同じ場にいただけで一緒に遊ぶ。

・クラスの半分が中学受験をする地域で児童にも競争意識がある

はじめましての人と遊ぶという体験は 大人になっても変わらない コミュニティーの原型なのではないだろうか?

思考のプロセス

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自分たちで選び創ることのできる 放課後の家やサードプレイスに

主観的に見て、 ・地元愛、母校愛というものが少ない

地域に愛着を持ってもらうためにも

なり得る学校が必要ではないか?

強化教室、教科教室 陣取り合戦 地域と学校が相互に影響しあう 授業を地域と作る


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20


建築の全体像とダイアグラム 選び、創ることを軸とした3つのカタマリ→Comunity

3つのカタマリと学校運営

断面ダイアグラム ĜÎ

ÏǾÕNŃÖǾ ʩØ

Garage、吹き抜け、階段で繋がる

室内の 吹き抜け

ĜÎ ĘÒÔÕÖÑǾQ ǦĿŌĿŅŃ ĜÎ

屋外の吹き抜け Ą 直径約8mの中庭)

その時々で選択し決めることのできる

学年や年度、授業に応じて、教え込みや自発性を引き出すものなどの 切り替えがあるはずなのでそういう部分も自分たちでどう選択するかを

教科教室型の学校運営

変更できるように様々な空間をつくることを意識した。 共同体としてのホームルーム

HR

HR

HRでは、クラス単位をなくさず 1つの共同体として運営

HR 関係性を創る家としてのHR

教科教室

İŃĿMŊŃŌ ʩØ ĘÒÔÕÖÑǾQ ǦĿŌĿŅŃ

教科教室

習熟度や内容、先生の方針などに合わせ 教科教室

それぞれの用途やポリシーに特化した 教科教室で授業を受ける

授業の形態や受け方を創る教科教室

機能

課外授業

機能

学校機能

機能

ĘÒÔÕÖÑǾQ ǦĿŌĿŅŃ

特別教室

特別教室 課外授業

より専門的なものや 地域の人を巻き込んだ授業は1 階で

学校機能に挟まれた空間を自分たちで選び、創るサードプレイス

全体構成

HR 教科教室 コミュニティーコアと特別教室 3 層の断面 8×8mのグリッド

1階の壁と柱が2階の空間構成に影響

21


音楽室

CG

CG 図書室

保健室 パソコン室 CG

CG 図工室

CG 放送

CG

視聴覚室 理科室 CG 美術室 職員室 CG 多目的室 CG CG 体育館 給食室

CG

家庭科室 CG

音楽室

1 階 ダイアグラム

2階 ダイアグラム

3階 ダイアグラム

教科教室の基本構成 生徒同士の関係性をつくるHR

低学年 壁× 1腰

壁× 2 壁3枚

道を中心に機能を配置

徐々に 空間の

中学年

自由度が

引き窓 ×1

上がっていく

壁2枚

それぞれの機能から影響を受ける

高学年

中間領域がフラットな関係になるように ピロティー空間をつくる

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で各教室を構成

壁1枚


生徒

断面ダイアグラム ĜÎ

ÏǾÕNŃÖǾ ʩØ

室内の 吹き抜け

ĜÎ ĘÒÔÕÖÑǾQ ǦĿŌĿŅŃ ĜÎ

屋外の吹き抜け Ą 直径約8mの中庭) 関係性を創る家としてのHR

Comunity Garage 吹き抜け 階段

先生

教科教室

İŃĿMŊŃŌ ʩØ ĘÒÔÕÖÑǾQ ǦĿŌĿŅŃ 授業の形態や受け方を創る教科教室

Comunity Garage 吹き抜け 階段

地域

学校機能

機能

ĘÒÔÕÖÑǾQ ǦĿŌĿŅŃ

機能

機能

学校機能に挟まれた空間を自分たちで選び、創るサードプレイス

断面図

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この課題は非常に社会性を問われた課題です。建築としては、社会という広いくくりに対して自分がどのような認識を持っているかを初めて計画やデ ザインに意識的に反映させなければならなかったので結構きつかった記憶があるのと、3年間課題を通していく中で同じような形態やデザインになって いきがちだとも感じはじめた作品で形態の操作があまりうまくいきませんでした。 コミュニティーや共同性の概念は、個人的に今の世の中で見直されつつあると考えていますが、建築という分野でどう対応するかを考えた時に、社会 のシステムや仕組みを知らなくてはいけないと思い始めたきっかけになったと同時に、建築のほかの分野にも目を向けなくてはいけないと強く思いまし た。 課題文に書いてあった通り建築のデザインや計画ですべてを解決できるとは自分も到底思いません。しかし、これからも建築の可能性はどこにあるの かを考え、デザインや設計の観点から何ができるかをこれからも考えていきたいと思います。

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原宿教会図書館

都市広場と一人になれる大空間

ハラジュクサブカルチャーに特化した図書館の計画案。 まちのパブリックスペースとしての図書館を構想し、 原宿のポテンシャルを読んだ新しい建築の提案を設計する。

CONCEPT:宗教建築のもつ空間の性質を用いて本を読む人と空間を魅せ、本と対話できる空間を創る。 原宿を利用する若者は自分を含め、本をあまり読まないと考える。 そんな町で本に触れてもらうためにはまず本を読む人と空間が人々を引き付ける必要があると考え、 宗教建築のもつ荘厳さなどのある種畏怖を抱くような空間の性質に注目した。 また、流れが速く雑然としている都市空間の中で「1人になれる」という性質を持つ空間はあまりない。 今の都市空間に足りないこれらの役割を「本と対話するための空間」と置き換え図書館の性質と定義することで、 みんなの拠り所となる新たな図書館を提案する。


作品背景

対象敷地

■敷地 住所 東京都渋谷区神宮前 3丁目 ム リu 用途地域等 ( 明治通より 30M 以内)商業地域,80/500%,防火地域 ( 明治通より 30M 以上)第 1 種住居地域,60/300%,準防火地域,第 3 種高度地区

N

01

02

03

0

40

50m

ハラジュク KAWAII ライブラリー:敷地図 S:1/800

【ハラジュク KAWAII ラ [ イ ] ブラリー】2017 _ DS5 _ Shimohigoshi Unit ハラジュクサブカルチャーに特化した図書館を計画します. 現在, KAWAII が世界中から注目されていることは周知の通りですが, 1970 年代から原宿は独自のカルチャ ーを発信し続けてきました. その若々しさに溢れた刺激的な都市文化は様々な本や写真, 映像などによって 残されていますが, そのアーカイブス機能は十分とは言えません. この課題ではハラジュクサブカルチャーをメインとした図書館をまちのパブリックスペースとして構想し ます. 原宿を訪れる多様な人々が自由に過ごせる, 生き生きとした空間を計画 して下さい. 都心部における地域図書館の役割などを学び, 場所の潜在的なポテンシャルを読むことで,既成概念に捉わ れない, ハラジュクにふさわしい新しい建築の提案に挑んで欲しいと思います. なぜ原宿は文化の発信拠点 として人々を惹きつけるのか, その本質に触れるような エネルギッシュな構想力を期待します.

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形態のプロセス 光の入り方?

形式?

平面のダイアグラムスタディʞ

後光?拡散? 薄暗い ワンフロア

多面体

壁で囲われる 板が倒れこんでくるイメʞジ

御神体

荘厳な空間 全てを受け入れる都市広場

倒れてくる板をスラブで接続する 書架と全体の関係性

渋谷の若者は本を読まない

都市は移り変わりが激しい

→求心力が必要?

拠り所

(ハイブランド、象徴性、宗教)

宗教建築=1人になれる空間と定義

色々な対話の形 本を読むことが魅力的に見える ヒエラルキーで建築を作ってはいけない?

本と対話する空間は閉じている必要がある

本を布教するという発想 宗教建築× 図書館

宗教建築をどう表現するか

外の世界との断絶

本を読むことに重きを置く

(俗世との距離感)

=対話のための大空間

公共建築、教会の役割 閉じた空間との対比

思考のプロセス

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29


30


建築の全体像とダイアグラム 周りとは隔離された ホール空間 9 枚の壁と 5m×5m のスラブ 本と対話するための空間は 倒れこむ 9 枚の壁にスラブを 挟み込むことで中央の大空間 を中心に様々な場をつくりだす。

様々な人を受け入れる 都市広場

中のホール空間はイベントスペース

人々は思い思いの場所で 思考にふける

としても利用可能。 公共建築として様々な原宿の文化の 発信を後押しできるよう、都市広場 と共に使用できる。

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・中へのホール空間には竹下通りの出口から、そのまま都市広場を通り、地下から大空間へアプローチする ・ホール空間は基本的にラウンジとし、家具をどけることで他の用途にも使うことができる ・5×5の屋根のかかる空間は地下まで突き抜けたボイドとし空間に多様性を生む

32

平面図 B1F

N


・地下を含め、いくつか中庭空間を用意し空間に変化を持たせる ・5×5の空間はカフェやラウンジ、受付など、音の出てもいいようにガラスを挟んで空間を作る ・1階部分はイベントスペースとしてホール空間を活用する場合、観客席の役割も果たす

平面図 1F 1/300

N

1F

33


out in

in

34

in in

out

out

out

out

in

・スラブと壁の組み合わせにより、場に合わせ様々な内外部の空間を作る

平面図

・人々は思い思いの場所で思考にふける

2.3F

N


・地下から地上までの高さは 3m

断面図

・5×5のスラブは 3mと5 m の2種類を場所に合わせ配置 ・竹下通りの出口からそのまま地下へアプローチする導線を意識

35


36


これからは、 宗教の時代である。個人的にはそう考えています。ライフスタイルが多様化する中、若い世代に求められているのは求心力なのではないか? と感じてその当時の公共建築の在り方の回答を出したのがこの建築だったと思います。

我々の世代は、生態系が分化しています。個人の趣向や権利に対しても意識が高いはずです。そんな中で、我々は自分自身が何を選択し、どういう道 に進むかを常に考えたうえで、周りの人に対してどういう影響を与えていけるかを考えて生活することがこれからは今まで以上に大切になっていくので はないでしょうか。

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佃集落

‐雑多と秩序‐

佃島の運河沿いに民泊を共同経営するコーポラティブハウスの計画案。 世界中を旅した強者バックパッカーとその家族が共同でドミトリー形式のゲストハウスを経営するという設定。

CONCEPT:スラム街や水上集落の雑多性を佃に落とし込む ゲストに当たるバックパッカーはこの地域のどういう建築や文化や生活に魅力を感じるかを総合的に考えたときに 「他人の生活と自分の生活が互いに犯しあっている」という、ある種スラムの用な雑多性やいい加減さを佃に落とし込む建築を提案。 雑多なスラム感や集落のような共同性を佃という昔ながらの木造密集地域に持ち込みつつ全体性や秩序を保ち、 暖かみのある地域の新たなコミュニティーとなれるような建築を目指した。

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作品背景

敷地面積 728m2

敷地図 1/5000 <敷地> 東京都中央区佃 1 丁目 敷地面積:約 728m2(北西 2 面道路,高低差なし) 用途地域:第 2 種中高層住居専用地域,80/400%.

N

0

10

20

敷地図 1/500 30m

「Tokyo Guest House」DS5 下吹越ユニット 2017 <課題文> 佃島の運河沿いに民泊を共同経営するコーポラティブハウスを計画します.世界中を旅した 強者バックパッカーとその家族が共同でドミトリー形式のゲストハウスを経営するという設定 です. 宿泊客は日本人よりも多国籍な外国人が中心です.滞在日数も数日から数か月と多様な過ご し方が想定されます.宿泊者同士やオーナー達との交流を促し,世界を語り合い,文化を共有 する魅力的なコミュニティの場を構想して下さい.また,佃島は東京固有の濃密な都市空間が 現存する魅力的な地域環境が広がっています.この課題では,ゲストハウスを旅人達のワール ドワイドなコミュニティと地域コミュニティを結ぶ,新しい〈まちのラウンジ〉として構想し て下さい. ヴェンチューリが提唱する 「複雑な全体性(ディフィカルト・ホール)」 は単体の建築より現 実の都市空間をイメージした方が掴みやすいかもしれません.しかし,建築である以上,複雑 な事象や状況を捨象することなく包含したまま統合し全体性を獲得することが責務だと述べて います.プライベートからコモン,パブリックといった領域やスケールが重層的に絡み合い, 住処であると同時に都市そのものでもあるような,新しい建築の提案を期待しています.

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形態のプロセス 木のように上に行くにつれだんだんと繋がる形態 コアとそれに付随するもの 水上集落の形態と近代建築 自己増殖的な建築 雑多性のある建築や空間

プランの構成 切妻屋根の形態 5 つのグループに分ける

910 グリッド

路地的発想

群やチーム、組合、町などの共同性の概念 (スラムや不良文化からの連想+秩序の導入)

5人のオーナーがいる 佃の木密地域にスラム的な建築を建てたい (互いの生活が侵し合っている発想、雑多性)

階層やプライバシーレベルはどうするか? 地域コミュニティーと建築の関係性

5家族 オーナーとゲストの関係はどうするか?

プライバシーレベル 村社会の発想 個室の決定

思考のプロセス

40

建築を佃の街に落とし込む


41 41


42


建築の全体像とダイアグラム ・階ごとの役割 各階を1階がゲストハウス全体と地域の交流の場、

・コアを中心とする広がり オーナーを機能と構造の中心であるコアに設定し そこを中心としてゲストや公共の場が広がっていく

2階がホストファミリーとゲストの交流の場、 3階がゲスト同士の交流の場と設定し ゲストは必ず共有空間を通らなければ自室に行けないようになっている

ゲスト

オーナー

ゲスト同士の交流の場

ゲスト

ホストとゲストの交流の場

公共空間

公共空間

地域との交流の場

機能

・910 ピッチというグリッド ランダムな部屋の配置と建築全体を佃の街に合わせるために

・機能の配置

木密の在来工法であるこのピッチからヒントを得て

生活に必要な機能を5 つ設定し、導線を半屋外に設定

全体を 910 ピッチのグリッドの上に配置する

また、1 つの機能ごとにそこを中心としたまとまりと共同体をつくる。

食堂・バ ー

お風呂 プレイ ルーム

910 mm GRID

ワーク ショップ

ギャラリー

43


44


1,2階は広いピロティー空間。

3階ではゲスト同士の

各棟の機能とたまり場がゆるく繋がる。

井戸端会議が行われる。

45


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この建築は、私が村社会などの共同性や、人と人がどのように生活するのかを考え始め、建築以外の分野に興味を抱くきっかけになっ た作品です。 今、思うと建築の構想のスタートと作品の完成がイメージと全然違いますし、できた模型なども非常に拙いと感じますが、初めて設計課 題に本気で取り組んで自信のある作品ができたと思えるものでした。 この作品における共同性やコミュニティーの概念は、少し古く感じますし時代と逆行しているようにも感じますが、当時の自分なりの回 答を様々な経験から導き出していった記憶があります。 このテーマは今後も設計に深く関わっていくものだと思うのでこれからも様々な経験や勉強をしながら考えていきたいと思います。

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