NEAR 北東アジア地域自治体連合 NEAR | NEAR Leading the Era of Northeast Asia 2013. 11-12
News
Vol. 54 第1回NEAR青少年エッセイコンテスト
今月の動静
NEAR活動 I 事務局ニュース I 会員自治体動静 I 第1回NEAR青少年エッセイコンテスト
企画取材
各国の年末年始文化 I 会員自治体実務者からの年末年始の挨拶
NEAR 会員探訪
中国黒龍江省 I 韓国済州特別自治道
北東アジア地域自治体連合
The Association of North East Asia Regional Governments
NEAR News
「NEAR News」は会員自治体のニュースを伝え、情報を共有するNEARの公式なメッセンジャーとして創刊されました。NEARの活動状況、 会員自治体動静、関連国際動向、各種の寄稿、お知らせなどの内容で定期的に発刊しており、会員自治体及び関連機関に無料配布し、NEAR ホームページにも掲載されます。 「NEAR News」は会員自治体がともに作っていくニュースレターであり、NEARと北東アジア地域に関心 を持つ方はどなたでも参加できます。 「NEAR News」に掲載を希望する原稿や斬新なアイデアをお持ちの方はNEAR事務局までご連絡いただくようお願いします。
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フブスゴル湖の冬景色‐モンゴル国フブスゴル県
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北東アジア地域自治体連合は 北東アジア6カ国(日・中・韓・蒙・露・北朝鮮)76の広域自治体(71会員 自治体、5オブザーバー自治体)で構成される北東アジア地域におけ る代表的な地方外交協力体であると同時に、国際的な機構でもあり ます。 北東アジアの共同繁栄を基本理念とする連合憲章を採択し、経済・ 人文、教育文化交流、環境、防災、国境地区協力、科学技術、観 光、海洋漁業、鉱物資源開発・調整、エネルギー・気候変動、女性・ 児童、生命・医療産業、農業などの様々な分野で幅広い交流・協力 プログラムを展開してまいりました。 欧州最大の地方政府協力機構であるAER(欧州地域会議)、R-20 (気候変動行動機構)など国際的な機構との交流を活性化し、パート ナーシップの締結、共同事業の推進など、北東アジアを越えて、世 界中と繋がる国際協力ネットワーク構築の先頭に立っています。
NEARの門戸は開かれています。 北東アジア地域に位置し、連合の設立趣旨に賛同する広域自治体 は、連合の総会の承認を経て参加することができます。
北東アジア地域自治体連合 The Association of North East Asia Regional Governments
今月の動静
NEAR活動
NEAR活動 分科委員会活動報告
表者である王守信(ワン・ショウシン)山東省海洋漁業庁長は、「新 興海洋産業の発展とブルー経済構造の変化」をテーマに、現在山東省
第11回NEAR環境分科委員会
が推進している7つの海洋新興産業基地の建設など政策方向について
10月31日、第11回NEAR環境分科委員会がコーディネート自治体であ
発表を行った。
る富山県で開催された。今回の分科委員会には、4カ国8自治体が参加
また、会員自治体を代表として、林珉鎬(イム・ミンホ)韓国忠清南道
し、次期コーディネート自治体の選出をはじめ、分科委員会の個別プロ
海洋水産局水産課事務官が「住みやすい農漁村、農・漁民とともに造
ジェクトの実施状況と成果報告などが行われた。また、各会員自治体別
っていく三農革新」というテーマで、現在忠清南道が推進している政
に個別プロジェクトの実施状況について発表を行うなど活発な意見交換
策を紹介した。 その他にも、学界、漁業技術、金融、企業などの代表ら13人が海洋
も行われた。 一方、10月30日には分科委員会に先立ち、「北東アジア環境交流会
シリコンバレーについて様々な意見を提示した。特に、金鍾富(キム・
議」が開催され、自治体と環境団体の交流の場が設けられた。今回の
ジョンブ)韓国慶尚南道海洋水産課事務官は、海洋・漁業分野の発展の
分科委員会は、環境関連プロジェクトの共同進行など、充実した内容
ため、金融をはじめとする非海洋水産分野の専門家を招請し、多岐に
で参加自治体から好評を博し、富山県の環境団体と日本国環境省、国
渡る分析を行ったことが印象深かったと評価した。
際機関などの参加により環境分野での交流・協力における活動領域を 拡大するきっかけとなった。
海洋分科委員会開幕式の様子
環境分科委員会の記念撮影
第3回NEAR海洋漁業分科委員会会
第10回経済・人文交流分科委員会開催 韓国慶尚北道(12.11~12.13)
11月5日から7日まで3日間、「第3回海洋漁業分科委員会」が中国山
経済分野とともに人文分野にまで交流協力の国際的ネットワークを拡
東省青島市で開催された。行事名は「海洋新興産業及びブルー・シリ
大することを通じて、NEAR会員自治体間の北東アジア地域文化の振興
コンバレー建設にかかるフォーラム」で、「創造、協力、発展」をテ
と地域間の理解を増進するため、既存の経済通商分科委員会から経済・
ーマにNEAR会員自治体代表、在青島日本国総領事及び韓国総領事、
人文交流分科委員会に名称を変更し、12月11日~13日の日程で、同分
山東省沿岸都市の海洋漁業関係者など約160人が参加した。
科委員会が初めて韓国済州島で開催された。
開幕式では、趙潤田(ジャオ・ルンティエン)山東省副省長が開会
今回の分科委員会は、歴史・伝統村における持続可能な発展事例及び
の挨拶を行い、北東アジア地域の豊富な海洋資源を基に、各地域の相
マウル企業(コミュニティビジネス)の優秀事例、村協同組合の優秀管
互補完を通じて海洋経済を発展させることができると強調した。ま
理・発展事例をテーマに実施され、住民主導で地域資源を活用した安定
た、山東省はNEAR海洋漁業分科委員会のコーディネート自治体とし
的な所得・雇用を創出する村単位の企業の優秀事例にかかる慶尚北道の
て関連業務を実施し、会員自治体とともに北東アジア地域の海洋漁業
発表を皮切りに、各参加自治体のテーマと関連した発表・議論が行われ
経済の発展に向けて、引き続き貢献することを約束した。
た。なお、分科委員会にかかる活動報告の詳細は次号に掲載する予定。
なお、金在孝(キム・ジェヒョ)NEAR事務総長は祝辞で、「2009年に 海洋漁業分科委員会の創設会議が青島で成功裏に開催され、第3回の 会議もここ青島で開催されたことを嬉しく思うとともに、特に今回の
■ NEAR経済・人文交流分科委員会日程 日 程
12月 11日 (水)
局長及び国家海洋局弁公室副主任の祝辞が引き続き行われた。 開幕式後、姜清春(ジァン・チンチュン)山東省海洋漁業庁副庁長 の司会で、テーマ発表など本格的にフォーラムが開始され、最初の発
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NEAR NEWS Vol. 54
参加者登録及び歓迎晩餐会 • 慶尚北道国際化グランド·ニュープラン中長期計画紹介 • 村企業·協同組合政策の紹介 (韓国企画財政省)
フォーラムでは海洋漁業分野と科学、技術、金融などの産業融合にま で及び、その意味は大きい」と述べた。その後、中国農業部漁業局副
内 容
12月 12日 (木)
• 村地域の成功優秀事例(慶尚北道)
• 村企業、協同組合の発展事例(慶尚北道) • 参加自治体発表
• 会員自治体討論及び質疑応答
12月 13日 (金)
視察及び帰国
今月の動静
事務局ニュース
事務局ニュース 慶尚北道‐イルクーツク州議会懇談会への参加及び州政府訪問 宋必珏(ソン・ピルガク)慶尚北道議会議長など20人は、10月26日から 30日まで、慶尚北道‐イルクーツク州議会懇談会への参加及びイルク
行い、その後、イルクーツク国立言語大学を訪問し、韓国語の優秀性 をPRした。
ーツク州政府関係者との会談を目的に、ロシア連邦イルクーツク州を 訪問した。
また翌日には、イルクーツク州政府を訪問し、NEAR事務局との懸案 事項について協議を行い、12月に開催されるNEAR経済・人文交流分科
訪問初日の議会懇談会では、各国地域間における文化資源を活用した
委員会への積極的な参加を呼びかけた。
交流の活性化方法及び「2015世界水フォーラム」にかかる意見交換を
議会懇談会の集合写真
イルクーツク国立言語大学訪問の様子
北東アジア共同体研究財団の国際学術会議に出席 10月30日、金在孝NEAR事務総長は、ソウルプレスセンタ ーで(社)北東アジア共同体研究財団主催の「第6回国際学術会 議」に出席した。今回の国際学術会議では、「北東アジア覇 権競争・領土紛争と中心軸としての韓国の役割」をテーマ に、各国の専門家らが集い、北東アジア地域内での葛藤を分 析し、平和・協力の共同体へ転換させるため議論を行った。 一方、この日の会議では、張達重(ジャン・ダルジュン)ソ ウル大学名誉教授が基調講演を行い、国内外の専門家による テーマ発表及び国家別指定討論などのプログラムで行われた。 学術会議出席者の記念撮影
環境分科委員会出席及び日本会員自治体訪問 NEAR事務局一行は、日本富山県で開催された第11回環境分会員会に出席し、環境分科委 員会に対する積極的な支援と個別プロジェクト及び会員自治体の行事などのPRにかかる協 力を約束した。 それに前後して、富山県に隣接する新潟県と石川県を訪問し、今後のNEAR行事への積極的 な参加と協力を要請するとともに、NEARの発展にかかる意見を交わした。今回の訪問は、 NEAR事務局が日本側会員自治体とのネットワークを強化する機会となった。 石川県庁訪問の様子
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今月の動静
事務局ニュース
NEAR海洋・漁業分科委員会への参加及び中国山東省及び天津市訪問 金在孝NEAR事務総長をはじめとするNEAR事務局一行は、11月5日か ら9日まで、NEAR海洋・漁業分科委員会への参加及びオブザーバー自 治体訪問のため、中国山東省と天津市を訪問した。 金事務総長は山東省青島市で開催された「第3回NEAR海洋・漁業分科 委員会」に参加した後、11月8日に現在NEARオブザーバーである天津 市の王樹華(ワン・シュファ)外事弁公室主任と会談した。金事務総 長はNEARを紹介するとともに、天津市のNEARへの加入を要請し、王 主任は外事弁公室もNEAR事務局とともに天津市のNEAR加入に向けて 努力すると述べ、事務局が用意した加入申込書を黄興国(ファン・シ
趙潤田(右)山東省副省長との会見
王守信(左)海洋漁業庁長との記念撮影
王樹華(右)天津市外事弁公室主任との会見
楊龍(右)南海大学教授との記念撮影
ングオ)天津市長に伝えると約束した。 また、8日の午後には、天津市に所在する南海大学周恩来政府管理学 院の楊龍(ヤン・ロン)副学長の招請で同大学を訪問し、その後天津 市浜海新区の都市計画展示館などを視察した。 天津市は中国4つの直轄市の一つで、2007年に山東省で開催された NEAR実務委員会への参加を皮切りに、NEARとの交流を続けている。 なお、東アジア経済交流推進機構(OEAED)の会員都市であり、日中韓10 黄海沿岸都市との協力事業を実施するなど、自治体間交流にも積極的 に参加している。
「第15回日中韓3カ国地方政府交流会議」参加及び日本会員自治体訪問 11月10日から12日まで、「第15回日中韓3カ国地方政府交流会議」 が日本国富山県にて、日中韓3カ国から約310人が参加し、開催され た。今回の会議では宮本雄二 宮本アジア研究所代表による「地域の特 色を生かした取組みと北東アジアの相互発展」をテーマとした基調講
と国境を越えた環境協力」など、産業、観光、環境分野をサブテーマ としたパネルディスカッションが行われた。 一方、今回の会議に参加したNEAR事務局一行は、日中韓NEAR会員自 治体の参加者と意見を交換するなど活発な交流活動を行った。
演と石井隆一富山県知事、李仁善(イ・インソン)慶尚北道副知事な
また、会議後、会員自治体である京都府と山形県を訪問し、NEAR発
どが参加したパネルディスカッションをはじめ、「グローバル経済に
展方法などについて意見を交わしたほか、非会員自治体である宮城県
おける産業振興とビジネス交流・物流活性化」、「地域の個性を生か
を訪問して、NEARのPR活動を行い、加入への検討を依頼した。
した観光振興と国際観光・文化交流」、「次世代へつなぐ環境の保全
* 日中韓3カ国地方政府交流会議:3カ国の地方政府における優秀施策を 発掘して共有することで、地方政府間相互発展と友好増進を目的に3 カ国の持ち回りで毎年開催するもの
京都府訪問
メイン討論者の記念撮影
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NEAR NEWS Vol. 54
事務局ニュース
今月の動静
第6回韓露ビジネスダイアログ 11月13日、プーチンロシア大統領の訪韓に合わせ、韓国貿易協会と全国 経済人連合会は、韓露両国の財界人約350人が出席した中、韓国とロシア の経済協力拡大にかかる議論のための「第6回韓露ビジネス・ダイアログ」 を開催した。金在孝NEAR事務総長は今回の行事にロシア側の招請で参加 し、ロシアからはマガダン州知事、イルクーツク州知事、サハリン州知 事、トゥヴァ共和国大統領などNEAR会員自治体が多く参加した。 今回、朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領との首脳会談のために韓国を公式訪 問したプーチンロシア大統領は、韓露経済協力活性化をテーマに特別演説 を行った。金事務総長はプーチン大統領の特別演説後、イルクーツク州知 事、経済発展局長などイルクーツク州の要人と個別に会談し、双方の交流 協力について意見を交わした。 * 韓露ビジネスダイアログ:2008年、李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領 の訪露の際、韓国とロシアの経済協力課拡大に向けて両国の4つの経済 団体が開催したもの
金在孝NEAR事務総長(左)とイェロセンコ ロ シ ア 連邦イルクーツク州知事(右)
自治体国際化協会(CLAIR)ソウル事務所開設20周年記念レセプションに出席 金在孝NEAR事務総長は、11月20日、ソウルのレキシントンホテルで開催された「CLAIRソウル事務 所開設20周年記念レセプション」に出席した。 今回のレセプションは「地方自治と地域共同体の活性化」をテーマにしたCLAIRソウル事務所と韓国 地方行政研究院の日韓共同セミナーに引き続き開催されたもので、金事務総長をはじめ、別所浩郎駐大 韓民国日本国特命全権大使、木村陽子CLAIR理事長、李達坤(イ・ダルゴン)元韓国行政安全部長官、李 勝鍾(イ・スンジョン)韓国地方行政研究院院長など日韓両国の関係者らが参加し、開設20周年を記念した。 一方、金事務総長は乾杯の挨拶で、中央政府の補完的役割を行っている地方政府間交流・協力の持続 別所浩郎駐韓日本国大使(左)と金在孝NEAR事務総長(右)
と拡大を強調し、今後NEARとCLAIRソウル事務所との協力を通じて日韓両国の地方政府間交流協力の増 進に最善を尽くすことを約束した。
乾杯挨拶の様子
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今月の動静
会員自治体動静
会員自治体動静 寧夏回族自治区 ‐中国
河南省‐中国
「2013中国‐アラブ博覧会」寧夏で開催
「中国(河南)‐日韓経済貿易協力交流商談会」開催
9月15日から19日まで、「2013中国‐アラブ博覧会」が寧夏回族自
11月5日、「2013中国(河南)‐日韓経済貿易協力交流商談会」が中
治区銀川市で開催された。今回の博覧会は、中国とアラブ地域諸国を
国鄭州市で開催された。今回の商談会では、中原経済区域産業区クラ
はじめ、開発途上国間の高官レベルの対話を通じて、経済・貿易協力
スター、鄭州航空経済総合実験区説明会及び協力プロジェクトの協約
を推進し、文化交流を促進する国際的なイベントとなった。
締結式も含まれた。締結式では、日本、韓国商工会議所、河南省各地
李建華(リ・ジェンファ)寧夏回族自治区党書記は開幕式で、習近
域代表及び企業家約600人が参加し、締結された67プロジェクトの中
平国家主席の祝辞を代読したあと、参加者らに歓迎挨拶を行った。こ
で、42プロジェクトは投資額が24億ドルにのぼり、その中で、海外資
れに引き続き、モアンナ・カルアセル・カルロシル バヌアツ共和国
金契約の総額が18.5億ドルを占めた。また、25の貿易プロジェクトの
総理の祝辞が行われた。開幕式には、王正偉(ワン・ジェンウェイ)
契約総額が2.6億ドルとなるなど商談会は成功裏に終わった。
中国政治協商会議副主席をはじめ、アブドゥッラ2世ヨルダン国王、 ハマド バーレーン国王などが出席した。 今回の博覧会は、中国商務部、中国国際貿易促進会、寧夏回族自治 区人民政府が共同開催した行事で、バーレーン、ヨルダン、クウェー
今回の商談会には、IT、設備・製造、自動車・部品、衣類・紡織、食 品、家具、建築材、金属加工、観光など多岐な分野に渡って協約が成立 し、主要な協約としては、プロロジス社が鄭州航空経済総合実験区に日 本物流産業団地を建設する2.5億ドル規模のプロジェクトなどがある。
ト、マレーシア、オマーン、アラブ首長国連邦、バヌアツ、タイなど 67カ国と香港を含む中国各地域から公務員、企業家、バイヤーなど約 7300人が参加した。「中国‐アラブ、手を携え世界に前進」というテ ーマで農業、エネルギー、金融、教育、観光など、両地域における主 要関心分野にかかるフォーラム、展示、商談会など41項目の行事が行 われた。 「中国(河南)-日韓経済貿易協力交流商談会」協力プロジェクト締結協約式
京都府‐日本 「和食」無形文化遺産登録へ 「和食」は、日本の伝統的な食文化であ 兪正聲(ユ・ジェンシェン、右)中国政治協商会議主席とハマドバーレーン国王(左)の会見
る。京都府から国への提案を機に、 2012年3月にユネスコへの登録申請が 行われた。2013年10月に事前審査を 担うユネスコの補助機関から記載勧告があ り、12月の政府間委員会で正式に登録さ れる見込みとなっている。 京都府では、「和食」の中でも、特に「会席料理」を日本の美の象 徴として世界的に保全する価値を有する文化と捉え、本年3月には 「京料理・会席料理」を府無形文化財に登録するなど、価値発信の取 組を行っている。また、「和食」の価値を保護継承していく必要があ
博覧会期間中に開催された「中国‐アラブ諸国貿易紛争解決セミナー」
ることから、本年4月に「和食の無形文化遺産登録に向けた高等教育 機関のあり方検討委員会」を設置し、有識者から御意見をいただいて いる。
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NEAR NEWS Vol. 54
今月の動静
兵庫県‐日本 日本情緒あふれる有馬温泉
会員自治体動静
様々な文化行事が行われ、その後ユネスコ世界文化遺産である仏国寺 と石窟庵、良洞マウルを視察した。 金寛容(キム・クァンヨン) 慶尚北道知事は、「国際人文・文化祭は 21世紀の新たな文化シルクロードを創出する全地球的人文学の饗宴と なるはずだ」とし、「人文学、特に儒学を中心とする全国民が共有す る精神文化と道徳的価値を確立するために、慶尚北道が先頭に立つ」 と述べた
有馬温泉街と有馬の芸妓さん
兵庫県神戸市にある有馬温泉は、神戸や大阪から電車やバスで1時間 足らずで行ける温泉地。有馬温泉の歴史は古く、道後・白浜温泉と共 に「日本三古湯」と呼ばれている。 老舗旅館や土産物店、そしてお寺が建ち並ぶ温泉街は、しっとりと した情緒あふれるたたずまいを見せ、1400年の長きにわたってたくさ
開会式‐主要参加者の記念撮影
んの人々に愛されてきた。街には絶え間なく湯煙を吹き上げる源泉が あちこちに見られ、数種類の温泉が湧き出ている。赤褐色の湯は「金 泉」と呼ばれ、無色透明の湯は「銀泉」と呼ばれている。 北東アジア地域の皆さま、ぜひ兵庫県にお越しいただき、日本の伝 統あふれる温泉情緒を満喫していただきたい。 * 公式サイト: http://www.arima-onsen.com/
大田広域市‐韓国 「国際ナノ産業都市フォーラム」開催 11月5日から2日間、大田 広域市は大田コンベンショ
慶尚北道‐韓国 2013国際人文・文化祭開催 10月28日から30日まで、慶尚北道と韓国教育部が共催し、韓国研究
ンセンター(DCC)で世界ナノ 融合産業先進国との協力と 情報交流を目的とする「国 際ナノ産業都市フォーラ ム」を開催した。今回のフ ォーラムは、ドイツ・ドレ
財団が主管する「2013国際人文・文化祭」が「シルクロード上の人文
スデン市、日本・筑波市、フランス・グルノブル市などの世界各都市
学、昨日と今日」というテーマで、韓国慶州で開催された。今回の行
からナノ科学を研究する研究機関と企業などが参加し、ナノ融合技術
事は世界的な研究者の基調講演が3回、サブテーマ別の特別講演と討
の交流とナノ産業ネットワークの構築などの成果を挙げた。
論が11回行われたほか、教育部と慶尚北道の主催機関セッションと様
行事の初日、徐相熙(ソ・サンヒ)韓国ナノ技術研究協議会会長の基調
々な文化行事で構成され、世界文化遺産の探訪、中国陝西省の大学生
講演と都市別ナノ融合産業育成政策、各研究機関のナノ融合新技術な
と韓国大邱広域市・慶尚北道の大学生を対象にした「中韓青年フォー
どについての発表が行われた。6日には、参加都市別にナノ融合産業
ラム」なども行われた。
ビジネスにおける発表が行われたほか、今後の運営計画が議論され、
特に、人文学の大衆化という大枠により企画された今回の行事は、 プログラムに対する大衆的なアクセスを向上させるため、講演では対
午後にはETRI(韓国電子通信研究院)と共同で、海外参加者を対象にし た大田市視察を実施し、全日程を終えた。
談形式を導入し、一方的な講演に留まらず、聴衆の理解を深め、対話
また、大田広域市は、今年7月、ドイツドレスデン市とフラウンホー
を試みる形式で行われた。この他にも、「シルクロード人文学の饗
ファー研究所、ライプニッツ固体・加工材料研究所などを訪問し、科
宴」をテーマとした写真展、黃秉冀(ファン・ビョンギ)の伽倻琴演奏
学技術での交流協力にかかる覚書を締結するなど、ナノ融合産業の中
会、ウズベキスタン・サマルカンド伝統服飾公演団の服飾ショーなど
心都市として成長にむけて努力している。
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今月の動静
会員自治体動静
仁川広域市‐韓国 GCF事務局及びWB韓国事務所同時スタート
「ヨーロッパ映画の日」ポスター
12月4日、グリーン気候基金(GCF)事務局と世界銀行韓国事務所が韓 国仁川広域市松島で公式に発足した。この日には、朴槿恵(パク・ク ネ)韓国大統領をはじめ、金墉(キム・ヨン)世界銀行総裁、玄旿錫(ヒョ ン・オソク)韓国副総理など、国内外から約400人の要人が参加した。
サハ共和国‐ロシア 「冬はヤクーチアから始まる」祭りの開催
グリーン気候基金は、気候変動に対応するため、既存の環境基金と
多くの人にとって、ロシアと言えば最初に思い出すのは、おそらく
は異なる新たな国際金融機構が必要となったため創設されたもので、
冬の寒さであろう。その寒いロシアでも最も寒い地域がサハ共和国(ヤ
先進国が途上国の温室ガス軽減を支援する際の窓口としての役割を担
クーチア)である。サハ共和国はシベリアの北東部に位置し,地域の半
うこととなる。
分が北極圏に属している。
また、先進国と途上国、金融と気候変動を繋ぐ架け橋となり、途上
同共和国では、毎年「冬はヤクーチアから始まる」祭りを開催して
国が気候変動条約の枠組みに中で成長できるよう協力する役割を果た
おり、3回目となる今年は、12月1日に開催された。ヤクーチア全市民
す見通しである。
と他地域からの観光客が心待ちにしていた祭りのハイライトは、ロシ アのサンタ村であるヴェリキイ・ウスチュグから来たサンタ及びチス カーン(Chyskhaan)と新たに披露された冬キャラクター「冬レディー」
ウランバートル市‐モンゴル
の出会い、並びにクリスマスツリーの点灯式であった。この他にも、
「ヨーロッパと日本映画の日」行事開催
祭りなど様々なプログラムが行われ、祭りは成功裏に幕を閉じた。同
11月17日から21日ま で、モンゴル所在のEU代 表部と「クラブインター ナショナル」センターが
魚市場、「冷凍魚」大会、「大物魚」大会、「銀の鱗」市場、氷彫刻 共和国は今年からこの祭りをブランド化し、毎年12月1日に開催する 予定である。 * チスカーン(Chyskhaan):サンタと似た人物。ヤクーチア神話の 「冬の牡牛」のイメージを現代風にキャラクター化した。
ブラックボックス映画館 で「第4回EU諸国映画の 「日本映画の日」ポスター
日」行事を行った。特
に、「映画の日」開幕式にはジョゼ・バローゾ欧州委員会委員長が出 席した。 今回の映画の日では、フランス、ギリシャ、ハンガリー、キプロ ス、ポーランド、チェコ、ドイツなどEU11カ国のコミック、メロド ラマ、ドキュメンタリーなど様々なジャンルの映画が上映された。 一方、11月18日から22日まで、「日本映画の日」行事が駐モンゴル 国日本国大使館、ウルガー映画館、日本財団の共催で行われた。今回 ウルガー映画館で無料で上映された映画のジャンルとしては、コミッ ク、アニメ、恋愛、スポーツ映画が多く、映画の日の開幕作として は、「神様のカルテ」が上映された。
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NEAR NEWS Vol. 54
「冬はヤクーチアから始まる」祭りの様子 (写真:アレクサンドル・チェバン)
今月の動静
第1回NEAR青少年エッセイコンテスト
第1回NEAR青少年エッセイコンテスト 第1回NEAR青少年エッセイコンテストの概要 NEAR事務局は、会員自治体間協力・交流の活性化に向けて会員自治体 の青少年(14~18歳)を対象に「第1回NEAR青少年エッセイコンテスト」 を行った。北東アジアと関連した自由テーマで、中国3作、日本3作、韓 国17作、モンゴル3作、ロシア7作で、合計33作が提出され、大賞1作、 国別に優秀賞を1作ずつを選び受賞した。 授賞式の記念写真
第1回NEAR青少年エッセイコンテスト Ι 大賞 - 韓国
一つになった北東アジアのための私達の役割は何なのか
ユ・ヨンジュ韓国慶尚北道浦項製鉄高等学校2年
北東アジアの未来について深く考えたことがあるか?私と同様に、こ
葛藤の緩和と未来の発展を進めることができるだろう。
の質問を受けたら、おそらく大体の生徒は「ない」と応えるはずだ。
それとともに、私は一つになった北東アジアを造るため、教育・文化
最初にこの公募展の知らせを見て、今まで私は狭い視野を持って生き
交流と若者層を通じた疎通が何より切実であると考える。ヨーロッパ
てきた気がした。以前はすべての考えが身の回りの事に限られていた
のエラスムスプログラムを知っているだろうか?このプログラムによ
私にとって、今回のコンテストはより広い視野が持てるきっかけとな
りEU会員国の大学生は自然に異文化についての理解の幅を広めること
った。一つの国家、もっと狭く言えば、一つの学校という垣根の中で
ができる。北東アジアには未だエラスムスプログラムのような若者層
生活している私達青少年にとって、北東アジアは大きすぎる概念かも
の交流制度がないのはとても残念なことである。そのため、私達は早
知れない。だが、現在の北東アジアはハラハラするような緊張した一
いうちに北東アジア版エラスムスプログラムが活性化されるよう、積
本の紐の上に乗っている。政治的な葛藤や領土紛争、そして歴史認識
極的かつ持続的な関心を持つべきだろう。
問題などが最高潮に達している北東アジアの緊張を緩和するため、未
また、文化交流も同様に持続的な関心が求められている。先に述べた
来の主役である私達ができる役割は非常に大きいと言える。そのよう
とおり、現在北東アジアは緊張の真っ只中に立っている。隣国の同世
な意味で、私達は狭い世界から抜け出し、世界を見る広い視野をも
代の友人と競争し、対立しているこの状況は悲しいので、文化交流の
ち、北東アジアの未来について考えるべきである。
側面からもヨーロッパにおける活発で友好的な雰囲気を本当に羨まし
私は、北東アジアの発展のために最も必要なことは、私達青少年にお
く感じる。具体的には、様々な国家が共同で行う音楽や映画、民俗伝
ける共同体意識であると考える。国境を接している一つの共同体とし
統遊戯などの文化・芸術的な公演を増やし、北東アジアを調和の空間
て、私達がお互いを一方的に非難し、排斥するならば、未来の協力と
にすることができれば良いと思う。
共同発展は有り得ないだろう。
今年2月、青少年国際交流プログラムに参加したくて申し込んだが、
約12年前、韓国人の李秀賢(イ・スヒョン)氏が線路に落ちた日本人を
面接審査で落ちてしまったことがある。今考えてみると、その時は国
助けようとして死亡した事故があった。日本が過去に韓国を植民地化
家間交流の必要性と重要性についてよく理解していなかった生徒が多
し、支配していた歴史的な事実に照らして見た際、その状況で自らを
かったと思う。私だけでなく、他の全ての青少年がこれから北東アジ
犠牲にしたその勇気ある行動は皆に衝撃を与え、両国国民にお互いに
アの未来と国家間の交流について感心を持ち、積極的に参加して行く
対する反感を和らげるきっかけとなった。この事件は非常に特別な例
とすれば、年齢は若いとしても、今の緊張と対立を緩和させる力が持
に過ぎないが、このようなことが即ち共同体意識ではないかと考えて
てると考える。
みた。もちろん、正しい歴史認識を持つことも重要であるが、現在大
私達はこれからも北東アジアの調和と友好的な発展を導いていく未来
多数の大人のように過去ばかりを重視する偏狭な視野に取られ、お互
の主役である。北東アジアが世界の中心に飛躍するためには、未来に
いを区分し、遠ざけることは正しくない。若年層もまた、インターネ
は旧世代となる私達の役割が非常に重要である。私達が北東アジア共
ットなどを通じて他国を非難し、貶すことが多いが、未来を背負って
同体意識と持続的な関心を持ち、お互いが活発に交流・協力を進め、
いく私達青少年が、故李秀賢氏のような利他的思考を見習い、国境に
緊張から脱け出すことで、皆が共同繁栄を成し遂げることができると
捕らわれない調和の姿勢と開かれた心を持てば、北東アジアにおける
思う。
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企画取材
各国の年末年始文化
各国の 年末年始文化 中国 中国では、クリスマス・イヴを「平安夜」と呼び、「りんご(苹果ping guo)」と発音が似ているため、お 互いの平安を祈念する意味でりんごを交換する。他の国と比べてクリスマスの意義は大きくないが、若者 層には「一天情侶(一日恋人)」、「クリスマスデート」などが流行っている。 新年の元日を元旦と呼ぶが、「元」は「始め」を意味し、「旦」は「日」を意味する。三日間休日となる が、特別な意味はないという。中国では旧暦の正月一日、つまり「春節」に、真の意味で新年を迎えると 考え、家族とともに年間で最も大きい節句を過ごす。
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また、大晦日を「除夕」と呼び、家族が集まって「年夜飯」を食べるほか、テレビの特番を見たり、麻雀 をしたり、餃子を作ったりしながら午前零時を待つ。 約4000年前の尭舜時代から伝わる祭祀を行うことで新年が始まる。現在は、祖先に祭祀を行い扉の前に 「春聯」を張り、爆竹を鳴らし、家族が集まって食事をしながら過ごす。お正月料理として、北部では半 月状の餃子を食べるが、南部では丸いボール状の「湯円」を食べる。 伝統飾りで、家中を飾ったり、幸運を祈る吉祥図を掛けたりし、新年の雰囲気を醸し出す。吉祥図の種類 には、菊、竹、りんご、牡丹、桂の花、ザクロ、瓢箪、蓮の花、カササギ、鴛鴦、魚などがある。
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❶ 南部地域の「湯円」 ❷ 北部地域の「餃子」 ❸ 吉祥図 ❹ 「春聯」:新年を迎えるために大晦日に書いて張るもの。
日本 日本は、12月28日に行政機関や企業は業務を終了し、1月3日まで休日になる。まず、12月29日か ら大晦日までは旧年を送り、新年を迎える準備で忙しい。生徒は学校でクラス別に、職場では部署 単位で忘年会を行うとともに、大掃除をして新年を迎える準備をする。これを「煤払い」と呼ぶ が、大掃除だけでなくその年の厄を払う重要な意味を持つ。大晦日に大掃除の後、新年を迎える準 備が整ってから年越しそばを食べる。この年越しそばを食べる風習は江戸時代中期から始まり、細 くて長い麺は長寿の意味合いを持っている。また、よく切れるということで病気や借金を切り落と すという意味もある。そばを食べて、午前零時を迎えると、近くにお寺があるところでは除夜の鐘
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を聞くことができる。鐘突きは、仏教で人間の煩悩の数を意味する108回行われる。この除夜の鐘 は旧年と新年を繋ぐ音でもある。 元日から三日間の朝には、お雑煮という野菜を入れた鶏のスープに焼いた餅を入れて煮た料理を食 べる。また、お正月の遊びには様々なものがあるが、羽根突きは主に女の子がする遊びである。 ❶ 年越しそば ❷ 羽根突き
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NEAR NEWS Vol. 54
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企画取材
各国の年末年始文化
韓国 韓国は、日本と同様に家族、友人、会社単位で忘年会をして、一年を締めくくる。新年を知らせる普信閣(ボシンガ ク:鐘楼)鐘突き行事は、大勢の市民が参加するだけでなく、地上波テレビ3社が生中継をする。この普信閣鐘突き行事 には、韓国の名士が参加し、33回鐘突きをする。元来は人間の煩悩の数を意味する108回の鐘突きをしたが、新年の始
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まりとして城門を開き国民を利するという意味で鐘突きの回数が33回に変わった。また、全国各地の日の出名所には、 初の日の出を見るため、大勢の人が集まり新年の願い事をする。また、元日の朝には、トックク(韓国風雑煮)を食べる 風習がある。トックを「チョムセビョン(添歳餅)」と呼び、年を取る象徴とみなし、トッククに入れるガレトック(細長 い餅)は、無病息災と長寿を祈願する意味を持つ。子供たちは、大人を尊敬する心でセベ(歳拝:新年の挨拶)をし、大人
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は返礼としてお年玉とともに、ドクダム(徳談:褒め言葉)を伝える。現在も、家族全員が集まり、新年の挨拶を交わす お正月の古き風習がそのまま残っている。 なお、お正月の韓国伝統的な遊戯もいくつがあるが、男女がともに楽しめるユンノリ(双六のようなゲーム)や、若い女 性たちがするノルティギ(板とび)、男性がする凧揚げなどがある。年初には板とびをすると水虫にならないという俗説 があり、小正月まで続く凧揚げは、厄を遠くに飛ばすという意味合いを持つ ❶ トックク ❷ ノルティギ(板とび)と凧揚げ ❸ 日の出の様子
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モンゴル モンゴルの年末年始文化は旧暦(モンゴル暦)か西暦かによって異なる。まず、旧暦12月31日は、朝から新年を 迎える準備をするために大掃除し、夕方には「ボツ」という肉餃子を食べるが、大晦日の餃子の中に羊のクル ❶
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ブシかコインを入れて占いをする風習がある。餃子を食べる際に羊のクルブシが出ると新年にすべてのことが うまく行くという意味があり、コインが出ると金銭運が良くなると信じられている。また、元日の朝、起きる
やいなや外に出かけ、自分の吉方まで行ってから帰ってくる。一回りしてから家に帰ってから、モンゴル人の新年挨拶が始まる。家内の最年長者は、「ハ ダグ」と呼ばれる青い錦を両手の上に広げて相手と挨拶する。これは「私の開かれた心を相手にささげる」という象徴的な意味を持つ。 また、遠く離れている子供が両親を訪ねて新年挨拶をする。そして、新年の挨拶に来た客の豊かな生活を祈るという意味を込めてプレゼントを贈る。一 方、西暦の年末年始の忘年会は、12月1日から始まるといっても過言ではない。年末になると各家庭には、新年ツリー(モンゴルではクリスマスツリーとは 呼ばない)を飾り、子供達は、両親と親戚、学校からプレゼントをもらう。 12月31日の夜12時になる前に、モンゴル大統領による年末祝辞が述べられ、やがて午前零時になると家族同士でシャンパンを飲みながら乾杯をし、シン
・アニ・メント(あけましておめでとう)」と叫ぶ。
❶ お正月の菓子 ❷ 新年挨拶
ロシア ロシアでは20世紀初から新年が最も華麗で盛大な国家の祭典とされてきた。1910年代のロシア帝国時代までは、 最も代表的な国家の祭典として、ロシア正教会のクリスマスが挙げられたが、徐々に新年に次ぐ二番目の行事とし て位置付けられるようになった。1699年、ピョートル大帝の改革の一環で1月1日を新年として受け入れ、翌年の 1700年、モスクワでは皇帝の命令により一週間新年のお祭りを楽しんだこともある。各家庭では家の前、或いは扉
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の前にツリーを飾り、毎夕木桶に火をつけて花火をし、クレムリン宮殿前の大砲200門を放ち、各家庭の庭では新年を知らすため、銃を撃ったりした。 1980年代後半からのロシア及び一部のヨーロッパ諸国における新たな流行は、干支と関連した動物キャラクターのプレゼントを交換することである。こ の他にも、ロシアには伝統的に新年と関連した多くの言い伝えが存在する。その一つが、元日の夜に良い服と新しい服を着ると一年間良い服を着ることが できると信じられていることである。 なお、元日の夜には寝ないことも古い習慣の一つで、そうしなければ陳腐な生活と面白くないことばかりつづくと信じられている。ロシア人は、大晦日に 割れた食器を捨て、窓と鏡を奇麗に掃除して新年を迎える。また、新年になる数分前(通常は12月31日23時55分)から、大統領が国民に向けて旧年の重要な出 来事に触れながら、国民の幸運を祈る演説を行う。 ❶❷ クレムリン宮殿前で新年を迎える様子
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企画取材
会員自治体実務者からの年末年始の挨拶
日本 会員自治体
会員自治体実務者からの
名久井紀世子 青森県国際戦略局国際経済課主幹
年末年始の挨拶
会員自治体の皆様へ、白銀の雪景色の青 森県から年末の挨拶を申し上げます。ど うぞ良いお年をお迎えください。
今月号のNEARニュースでは、各会員自治体の実務者からの年末年始
高橋哲也
のメッセージを通じて、今年を暖かく締めくくるため、特設コーナー
兵庫県国際交流課主査
NEAR会員自治体・事務局の皆様、 1年間お疲れ様でした。これからも北東 アジア交流活性化のため力を合わせまし ょう。2014年3月、防災分科委員会を開 催します。兵庫で会いましょう。
を設けた。
中国 会員自治体
王新国
廣部勝宏
黒龍江省外事弁公室朝韓処科長
福井県観光営業部観光振興課主任
新年にNEAR会員自治体の職員の方々が 健康で楽しい生活を送られるよう祈念い たします。
皆様、1年間お疲れさまでした。8月に 福井県では世界少年野球が行われました が、違う国の子どもたち同士が無邪気に じゃれあう様子が何とも微笑ましく印象 的でした。子どもたちのためにも、来年 も皆さん頑張りましょう。
陳璐 湖北省外事弁公室アジア処主任科員
新年もNEARの限りない発展を祈願する とともに、皆様の健康と全てが順調にな るようお祈りいたします。
韓国 会員自治体
イ・ミンジャ
易羽靑 湖南省外事弁公室対外友好協会副主任科員
慶尚北道投資誘致本部国際ビジネス課
NEAR会員自治体職員の皆様の平安と幸 運を祈念します。新年あけましておめで とうございます。
北東アジアの共同繁栄と調和に向けて、 今年一年大変お疲れ様でした。2013年も 残りわずかです。今年一年の締めくくり をされて、来年は祈願が成就することを お祈りします。
宋潔 寧夏回族自治区外事弁公室アジア処主任科員
キム・チソン
NEARファミリーの皆様、新年明けまし ておめでとうございます。皆様の平安と 健康を祈願し、午年の2014年は良いこと だけが起きることを祈念します。
忠清北道経済通商局国際交流課
NEAR会員自治体の皆様! 2013年の終わ りが近づいて来ます。今年一年が有意義 なものとなったことを期待するととも に、2014年には皆様の願いが全て叶うこ とを祈願します。
韓迎華 山東省外事弁公室アジア処主任科員
NEARが日々発展することを祈願し、午 年の新年には幸運と成功が溢れることを お祈りいたします。
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NEAR NEWS Vol. 54
ボク・ファギョン 忠清南道国際通商室国際通商課
新年にも健康かつ幸福な日々だけと一緒になることをお祈り いたします。
企画取材
会員自治体実務者からの年末年始の挨拶
ロシア会 員自治体 モンゴル 会員自治体
イム・ロザ イルクーツク州経済発展部
NEARファミリーの皆様! メリークリスマス&ハッピニューイヤ!皆様と皆 様の回りの全ての方々の健康と幸福、繁栄がとも になることを祈願します。新年には心の中で願っ てきたことや計画していること全てが叶うことを 祈念します。
ムンフザヤ ゴビアルタイ県行政局国際交流担当
尊敬する金在孝NEAR事務総長、そして NEAR事務局関係者及び会員自治体皆 様、ゴビアルタイ県住民を代表して新年 挨拶を申し上げます。 去る2013年は反省と教訓が込められた成 果が多い一年でした。新年も皆様の健勝 を祈念します。
イルギト・サヤナ トゥヴァ共和国対外経済庁首席専門委員
ウルレ ウムヌゴビ県行政局国際交流担当者
会員自治体の皆様!ウムヌゴビ県知事、 議会そして親切なゴビ砂漠地域の住民を 代表して新年の挨拶を申し上げます。新 年には志すことが全て叶うことと、豊か な一年になることを祈念します。
新年との出会いは神秘的で、興味深く、 いつも楽しいことです。皆様、魅力的な 新年をお祝いするとともに、健康と成 功、限りない幸せをお祈りします。友達 の皆様、新年明けましておめでとうござ います。
バレリ・マキシモプ サハ共和国連邦業務・対外関係長官
トヤンサイハン アルハンガイ県国際交流担当者
「成果と幸福を祈願する新年挨拶」 NEAR会員自治体会員自治体及び事務総 長、事務局関係者の皆様! アルハンガイ県から2014年の暖かい挨拶 を申し上げます。新年には会員自治体間 の交流関係がより一層拡大・強化され、実質的な交流が行わ れることを祈願し、草原の国アルハンガイ県への訪問を歓迎 します。新年明けましておめでとうございます。
親愛なるNEAR会員自治体の皆様! 心より新年のお祝いを申し上げます。明けましてお めでとうございます!私が覚えている2013年は、会 員自治体間の暖かくて友好的な関係の年でした。こ れからサハ共和国はNEAR事業への活発な参加はも ちろん、北東アジアにおける繁栄構築のために我々の関係がその一翼を 担えることを心より祈念しております。真心を込めて新年をお祝いする とともに、健康、仕事において輝く成功、家内の安寧を祈念します。
サビナ・ダニルロヴァ サハ共和国連邦業務・ 対外関係国際部首席専門委員
サロル オブス県国際交流担当者
北東アジア地域自治体連合6カ国71会員 自治体の担当者の皆様、ニュースレター を通じてモンゴル西部地域のオブス県か ら新年の挨拶を申し上げます。 北東アジア地域の発展に皆様の参加と努 力が必要です。去年一年に得られた成果に支えられ、一層活 気あふれる新年になることと、祈願の成就をお祈り申し上げ ます。
親愛なる同僚の皆様! 2013年を振り返って見るとNEAR実務者 ワークショップの際、浦項で皆さんとお 会いしたことが未だに私の心に暖かく残 っております。力、勤勉、繁栄を象徴する午年には、皆様が 計画していることと、希望していること全てが叶うことを祈 願します。最後に、2014年が会員自治体間の友好的で緊密な 関係への新たな飛躍の年になることを期待します。新年明け ましておめでとうございます!
アレグサンドロ・ジリン アルタイ地方国際・地域関係局長
Wishing you joy and prosperity for the new year.
尊敬する皆様! 新年明けましておめでとうございます。 私は北東アジア地域の経済と文化統合分 野で活動しているNEAR会員自治体の皆 様のご支援とご協力に心よりお礼を申し 上げたいと思います。新年も皆様に幸福と安定、繁栄が訪れ ることを祈願するとともに、事業が実現され、閃くアイデア が具体化されることをお祈りいたします。
慶尚北道慶州市文武大王陵の日の出 The Association of North East Asia Regional Governments
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NEAR会員探訪
中国黒龍江省
中国黒龍江省
世界4大雪祭り、
第30回中国・ハルビン国際氷雪祭 | 概要 |
中国東北部に位置している黒龍江省は、473,000㎢の面積で、全国土の4.9%を占めている。行政区域は13の「地級」行政区域で区別され、 12市と1地区からなる。省都はハルビン市であり、人口は38,312,224人(2010年)である。毎年冬には、「ハルビン国際氷雪祭」が開催され るが、これは世界で最も歴史のある大規模な氷雪祭りの一つとして挙げられる。
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NEAR NEWS Vol. 54
NEAR会員探訪
中国黒龍江省
ロシア
黒龍江省
モンゴル 中国
北朝鮮 韓国
■ ハルビン 日本
内モンゴル自治区
吉林省
遼寧省
世界4大雪祭り、「中国・ハルビン国際氷雪祭 」 「中国ハルビン国際氷雪祭」は中国歴史上初の雪と氷をテーマとする国際行事で、日本・ 札幌の雪祭りとカナダ・ケベックの「雪カーニバル」、ノルウェー・ホルメンコレンスキ フェスティバルとともに、世界4大冬祭として取り上げられている。毎年冬、ハルビン市 で伝統的に開かれていた氷の中に五色灯を点す氷灯祭に由来する氷雪祭は、公式的には 1985年1月5日に初開催され、天気や行事プログラムに合わせて約一ヶ月間行われる。 開催期間中は世界中の有名氷彫刻家が集まり、世界の有名建築物や動物・女神像、美術 品などの模型を作り展示する。氷点下20度以下の寒い天気によって凍り付いた松花江の硬 くて白い氷を利用する。また、午後4時以後は、氷彫刻の中の五色灯が点され、神秘的 で、美しい姿を演出し、建築、彫刻、絵画、舞踊、音楽などが調和する芸術の世界が繰り 広げられる。 また、松花江流域には、雪と氷で作られたテーマパーク「ハルビン氷雪大世界」、スタ ーリン公園の大型氷彫刻、サン・アイランドで開催される雪彫刻の展示、兆麟公園の氷灯 展示など多彩なプログラムが実施される。氷雪祭期間中には、冬水泳大会をはじめ、雪原 サッカー、アルペンスキー、氷・雪彫刻大会、スピードスケート大会、氷と雪をテーマと する詩・写真・図書展示と映画フェスティバル、氷上結婚式なども行われる。 「テーマの経済化、目標の国際化、経営の商業化、行事の大衆化」を原則に、氷灯展 示、大型花火大会、氷上結婚式、写真コンテスト、図書博覧会、経済技術協力商談会、物 資交易大会、特許技術新商品交易会など、多彩な行事プログラムで、百万人を超える観光 客を誘致し、関連経済貿易分野の取引額も毎年増加している。また、中国内外の観光客の 注目を集める以外にも、経済貿易分野の協力も展開しており、友好交流の架け橋としての 役割も行っている。 第30回中国ハルビン国際氷雪祭」、2014年1月開幕! 中国国家旅遊局、黒龍江省政府、ハルビン市政府が共同で主催する「第30回中国・ハル ビン国際氷雪祭」が、2014年1月に盛大に幕を開ける。「楽しい氷の世界、情熱の都市」 というテーマで、3ヶ月間観光、芸術、体育、経済貿易、文化など、様々な行事が実施さ れる予定である。 「氷雪大世界」、「兆麟公園」など、ハルビンの随所で雪と氷で作られた創造芸術品を 鑑賞することができる。美しく光る氷灯は、暗くなったハルビン市を燦然たる世界に変 え、氷滑り台とスノーバイク、氷上でのサーカスとダンスは、観光客に冬を満喫させるも う一つの楽しさとなる。
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NEAR会員探訪
韓国済州特別自治道
韓国済州特別自治道
城山日出峰の日の出
美しい島、 済州 済州道は韓国西南部にある島で、大陸
(ロシア・中国)と海洋(日本・東南アジ ア)を繋ぐ要衝の地である。面積は 1,849.2㎢で、香港の約1.7倍、シンガポ
ールの約2.7倍である。帰農、帰村など
によって2013年8月基準で、人口は60
万人を突破し、産業別の比重は、第1 次産業が17.9%、第2次産業はわずか 4.1%を占めるのみで、第3次産業の観
光産業は78%となっており、第1次産 業のミカンとともに、済州経済を支え ている。
豊かな資源と恵まれた自然 済州島の自然の特徴として、約7,800種の陸地・海洋生物、年間15億8,100万トンの地下水量と 良質の風力(高風速1等級風7~8㎧)を挙げることができる。火山と海、石と風、オルム(側火山) と野原が作り出す恵まれた自然で、済州は2002年に「生物圏保護区」、2007年に「世界自然遺 産」、2010年に「世界ジオパーク」に指定されたことでUNESCO3冠を達成し、2011年には世 界中の人々が投票で決める「世界7大自然景観」にも選ばれた。また、「癒しの道」済州オルレ は徒歩旅行の名所であり、韓国の代表的な観光地となっている。済州の山と海、村ごとに伝わっ てくる約1万8千の神話と伝説は済州のもう一つの魅力である。 先端グリーン成長産業構築を通じた世界環境の都、済州 2012年9月、済州道は恵まれた環境を保全するため、約170カ国の環境専門家、約1万600人が参加 する「世界自然保全総会」を開催し、2020年までに済州を「世界環境の都」にするための意欲的な 挑戦を始めている。また、済州は全国最大規模の海上風力団地を造成し、風力で済州の未来を導く 「済州エネルギー公社」を設立するとともに、世界最初・最大の先端スマートグリッド実証団地を構 築するほか、全国初の電気自動車レンタカーの商用サービスを実施した。 また、電気自動車モデル地区の造成を推進し、電気自動車160台を道民に普及させるとともに、加 波島を「世界初の炭素のない島」とする努力も行っている。 なお、済州島の水産業、バイオ・ビューティ産業など新たな先端グリーン成長産業は、韓国未来ビ ジョンの一翼を担っている。
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NEAR会員探訪
韓国済州特別自治道
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1, 2. 城山日出峰の景色 3. 電気自動車モデル地区の造成 4. スマートグリッドディ 5. 「済州青少年国際フォーラム」 6. 「済州フォーラム」
国際交流・協力及び談論の場
ークを構築し、平和の島・済州を世界中にPRするため、済州道教育庁
歴史的に済州は、1991年の韓ソ首脳会談を皮切りに、1996年の日
とともに、2010年から毎年「済州国際青少年フォーラム」を開催して
韓、米韓首脳会談、1995年と1998年における中国最高指導者の訪問、
いる。これは高校生を対象とした国際フォーラムで、年を重ねること
2009年の韓・ASEAN首脳会談、2010年の日中韓首脳会談など、北東ア
につれ、フォーラムの拡大はもちろん、参加青少年の討論も深化させ
ジアにおける平和への話し合いの場として位置づけられてきた。この
るなど、道内高校生のグローバル意識教育に大いに貢献しており、自
精神を継承しようと、2001年から「済州フォーラム」を開催し、2013
治体レベルにおける青少年を対象としたフォーラムの中で、最も優秀
年5月済州フォーラムには、歴代最多人員、最多国家の50カ国3,665人
な事例として評価され、今年は9カ国19都市125人が参加し、成功裏に
が参加し、アジア地域の繁栄と平和を模索する代表的なフォーラムと
開催された。
して定着している。様々な国際会議の開催実績を有する済州道は、観 光とレジャーを一つに束ねるリゾート型MICE産業育成政策を中心に観 光とレジャー産業人材養成にも注力している。
国際自由都市、済州 済州の未来像は様々である。韓国の代表的なミネラルウォーターであ
現在、済州道はアメリカ・ハワイ州、インドネシア・バリ州、ロシア
る「済州三多水」のグローバル市場拡大、グリーン産業団地の造成、
・サハリン州、中国海南省と姉妹締結し、友好協力都市としては台湾
地域資源を活用した新成長動力産業及び先端製造業の育成、済州の独
台北市、オーストラリア・タスマニア州、日本静岡県、中国大連市、
特な地域文化を育成に向けた文化コンテンツの産業化、済州の観光産
ベトナム・キエンザン省、中国上海市、日本青森県、中国黒龍江省な
業のブランド化など、済州道は道民の幸福のため、国際自由都市とし
どと国際都市間の交流増進を推進している。
て前進している。
グローバルリーダーの人的ネットワークの構築 済州道の未来リーダー及び次世代グローバルリーダーの人的ネットワ
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北東アジア地域自治体連合 The Association of North East Asia Regional Governments (790-834)慶尚北道浦項市南区芝谷路394(芝谷洞601番地) 浦項 テクノパーク本部棟3階 T. +82-54-223-2317 F. +82-54-223-2309 E-mail near@neargov.org Homepage www.neargov.org