NEAR
News
一つの北東アジア、一つの共同体 NEAR | One Northeast Asia Region, One Community NEAR 2015. 1-2
Vol. 60 第10回NEAR総会の団体写真
特別寄稿 – 新年挨拶
NEAR 事務総長 I NEAR議長、ロシア連邦・イルクーツク州知事 I モンゴル国・フブスゴル県知事 大韓民国・慶尚北道知事 I 中華人民共和国・寧夏回族自治区首席 I 日本国・鳥取県知事
今月の動静
NEAR活動 I 事務局ニュース I 会員自治体の動静 I 第2回NEAR青少年エッセイコンテスト
企画取材
第10回NEAR総会
年末年始特集 NEAR行事の裏話
北東アジア地域自治体連合 The Association of Northeast Asia Regional Governments
NEAR News
「NEAR News」は会員自治体のニュースを伝え、情報を共有するNEARの公式なメッセンジャーとして創刊されました。NEARの活動状況、 会員自治体動静、関連国際動向、各種の寄稿、お知らせなどの内容で定期的に発刊しており、会員自治体及び関連機関に無料配布し、NEAR ホームページにも掲載されます。 「NEAR News」は会員自治体がともに作っていくニュースレターであり、NEARと北東アジア地域に関心 を持つ方はどなたでも参加できます。 「NEAR News」に掲載を希望する原稿や斬新なアイデアをお持ちの方はNEAR事務局までご連絡いただくようお願いします。
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ロシア連邦・サハ共和国
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北東アジア地域自治体連合とは 北東アジア6カ国(日・中・韓・蒙・露・北朝鮮)76の広域自治体(71会員 自治体、5オブザーバー自治体)で構成される北東アジア地域におけ る代表的な地方外交協力体であると同時に、国際的な機構でもあり ます。 北東アジアの共同繁栄を基本理念とする連合憲章を採択し、経済・ 人文、教育文化交流、環境、防災、国境地区協力、科学技術、観 光、海洋漁業、鉱物資源開発・調整、エネルギー・気候変動、女性・ 児童、生命・医療産業、農業などの様々な分野で幅広い交流・協力 プログラムを展開してまいりました。 欧州最大の地方政府協力機構であるAER(欧州地域会議)、R-20 (気候行動地域)など国際的な機構との交流を活性化し、パートナー シップの締結、共同事業の推進など、北東アジアを越えて、世界中 と繋がる国際協力ネットワーク構築の先頭に立っています。
NEARの門戸は開かれています。 北東アジア地域に位置し、連合の設立趣旨に賛同する広域自治体 は、連合の総会の承認を経て参加することができます。
北東アジア地域自治体連合 The Association of Northeast Asia Regional Governments
特別寄稿
NEAR 事務総長
特別寄稿 北東アジア地域に新しい変化を期待して 北東アジア地域はもちろんのこと、全世界的に葛藤と対立が最も激しかった2014年は去り、平和 と安定が期待される2015年「羊の年」を迎えた。 2008年以来、継続してきたグローバル経済危機は、去年、アメリカを中心に相当部分において回 復ぶりをみせたが、ヨーロッパと日本での困難は持続しており、また、中国とロシア等の新興経済 圏もその成長率の回復には至らなかった。今年は多少良くなるようだが、アメリカが既に終了した 「量的緩和(QE)」政策をヨーロッパと日本で引き続き拡大しているため、人為的に為替競争を触発 させ、世界経済の見通しに不安定な影響を及ぼすように見受けられる。 金在孝 NEAR 事務総長
また、去年は、政治や安保の側面でも、東ヨーロッパの「ウクライナ事態」と中東の「イスラム 国(IS)事態」により緊張が最高潮に達し、今年も特別な解決策無しに不安な状態が持続すると思われ る中、これに加えて西アフリカ地域で発病した「エボラ事態」も我々を脅している状況である。 幸いなことに、過去1992年から継続してきた気候変化に対する全世界的な努力が合意を得ずに漂 流していたが、これが、2014年末にペルー・リマで開催された「COP20会議」に引き続き、今年 12月にフランス・パリで開催される「国連世界気候変化首脳会議(COP 21)」で、アメリカと中国等 の主要国家間の大乗的なレベルでの合意を成し、地球の未来のための大妥協が行われ、具体的な気 候変化対応のための目標とアクションプランが導出されると希望的に予想されている。気候変化は もはや、単純な自然現象による脅威要素というレベルを超え、人類が直面する地政学的な不安要素 として浮かんでおり、これを解決できない場合には地域的な紛争等の安保危機にまで拡大する程の 至急課題である。 北東アジアでも、去年は、領土紛争と歴史修正主義による緊張と対立が深まってきたが、今年は 日中韓を中心に転換点となる兆しが見られ、国家間の和合的な雰囲気と共に地方自治体間でもより 活発な交流と協力が期待されている。日本と中国の量的緩和措置による人為的な為替競争という変 数はともかく、地域内での自由貿易協定(FTA)締結が活発に展開しているため、中長期的に肯定的な 効果が期待される。特に、文化と観光分野からの活性化を期待している。 人類が直面している課題である「気候変化、伝染病、貧困と食糧不足」問題を抱えており、北東 アジアも例外ではない。これらを解決するため北東アジア地域自治体連合(NEAR)の全会員地域の積 極的な共同対応努力が要求され、多様な分科委員会の活動においても共同の目標意識を持って遂行 する必要性が増加して来ている。何よりも地方政府が先導し、中央政府が参加するような上向式 (bottom-up)政策の遂行が必要となってきた。
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NEAR NEWS Vol. 60
特別寄稿
NEAR議長、ロシア連邦・イルクーツク州知事 / モンゴル国・フブスゴル県知事
尊敬するNEAR会員自治体の皆様!そして、尊敬するNEAR NEWS読者の皆様! 一年という月日が過ぎ新年を迎えるこの時期は、我々が成し遂げたことと残念ながらできなかっ たことについて振り返る機会となり、また、成功に至ったことは分析しまとめ、失敗したことは次 の跳躍の土台になります。 昨年、我がイルクーツク州では、少なからぬ大規模国際行事を含め、多様で注目すべき行事を行 いました。昔からイルクーツク州は、北東アジア国家とアジア-太平洋国家を対象に、投資誘致活 動に大きな関心を注いできました。 特に、イルクーツク州は、2016年「第11回NEAR総会」の開催に向けて準備しており、北東アジ ア国家との経済貿易及び人道的分野に至って積極的な協力発展を伴う機会を得ることができまし ゼルゲイ・イエロセンコ NEAR議長、ロシア連邦・ イルクーツク州知事
た。 これまで、国際行事を行ってきた経験とノウハウを基に皆様を歓迎する「イルクーツク州」は、 NEAR総会を開催するに適切な場所であります。また、イルクーツク州は、最高の水準で、総会開 催の準備に最善を尽くしたいと思います。 2015年も、目前に控える計画の繁栄と成功、そして皆様の御多幸をお祈り致します。
北東アジア地域自治体連合(NEAR)全会員自治体及び事務局関係者の皆様に、フブスゴル県を代表 して新年の挨拶をさせて頂きます。 フブスゴル県は、モンゴルの北部に位置しており、ロシアと国境を接しています。人口はモンゴ ルの首都であるウランバートル市に次ぐ多さです。「フブスゴル」という名は、モンゴルの青い真 珠として有名な「フブスゴル湖」から由来し、少数民族の文化、ムーダン(シャーマン)文化、歴史 遺跡及び自然景観地としてモンゴル観光の中心地となっています。 同じ北東アジア地域の構成員であるロシア・トゥヴァ共和国と韓国・大田市西区と姉妹提携を結 び交流してきました。2014年は、日本の新潟市と協力関係を締結し、それ以外にも、連合(NEAR) 事務局に職員を派遣するなど国際交流分野において成果のある年でした。
エルデン・バタール モンゴル国・フブスゴル県知事
北東アジア地域自治体連合(NEAR)は多様な行事を定期的に開催しており、自治体間の交流、相互 理解と協力を強化する架け橋の役割となっています。今後も連合の活動がより拡大し、会員自治体 が積極的に連合活動に参加し相互交流しながら「共同発展」という目標を成し遂げることを望みま す。 最後に、来る2015年、北東アジア地域自治体連合及び会員自治体の皆様の益々のご健勝を心より お祈り致します。
The Association of Northeast Asia Regional Governments
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特別寄稿
大韓民国・慶尚北道知事
2015年 希望に満ちた乙未年を迎え、北東アジア地域自治体連合(NEAR)会員自治体の皆様に新年の 挨拶をさせて頂きます。 7月1日、民選6期で再任され、慶尚北道の新しい門出の時代を迎えました。2015年度は、新しい ビジョン及び戦略をもって慶尚北道の国際化を一段階高め、新慶尚北道庁時代の開幕と同時に NEAR会員国を積極的に支持し共に歩むことを約束します。 昨年8月、極東ロシアの政治・経済・軍事の中心地であるロシア・ハバロフスク地方で開催した 「NEAR国際フォーラム」は、北方交流の活性化という点で意味のあることであり、また、慶尚北 道は、ハバロフスク地方と友好交流のための議定書を締結することにより、観光・医療・通商等多 様な分野にて交流のスタートを切る契機となりました。
金寛容 大韓民国・慶尚北道知事
また、10月、全羅南道で開催された「NEAR総会」では、中国・吉林省とロシア・ハカス共和国が NEAR会員として加入することになり、73会員自治体へと拡大しました。 NEARは、会員自治体間の相互国際交流協力及び姉妹地域の活性化、国際行事の参加及び広報等実 質的な利益をもたらす媒体としての役割を果たしています。今年は、73自治体が相互交流と地方外 交がより活発になるよう皆様の積極的な参加と関心をお願い申し上げます。 我が慶尚北道は、現政府が追求する「創造経済と文化隆盛」と先導するため、コリア・シルクロ ード・プロジェクト、慶州世界文化エキスポ、セマウル世界化等の事業を通じて、人文交流と創造 交流の融合発展のため絶えず努力することを約束します。また、来る2015年は、世界が注目する 「大邱-慶尚北道 世界水フォーラム」と「シルクロード文化大祝典」、「世界軍人体育大会」が開 催されます。これら国際行事が成功裏に開催されるよう皆様の積極的な関心と支援をお願い申し上 げます。 皆様の事業繁盛と御多福を祈ります。 新年明けましておめでとうございます。
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NEAR NEWS Vol. 60
特別寄稿
中華人民共和国・寧夏回族自治区首席
「馬の年」が過ぎ、「羊の年」となりました。新年、美しい始まりを意味します。人民政府と 654万人の寧夏地域民を代表して北東アジア地域自治体連合(NEAR)会員の皆様に新年のご挨拶をさ せて頂きます。 北東アジア地域自治体連合(NEAR)は、創立して以来、全会員間の相互ウィンウィン、交流協力、 開放競争等の関係を絶えず強固にしており、経済貿易、文化観光、農業発展、科学技術、基礎施設 等の分野で豊かな成果を果たしています。連合は、地方政府の主要関係者の戦略的な思考を表す効 果的な媒体であり、専門家をはじめとする学者には発展の方法を探求する斬新な舞台でもありま す。社会各界において理解を増進させる架け橋の役割を果たしています。 寧夏は、中国西部地域に位置する「塞上江南(辺境の長江南部地方)」という美しい別名を持つ地域 で、エネルギー・農業・観光等の分野において強みを持っています。また、国家の石油、ガスパイ 劉慧 中華人民共和国・寧夏回族自治区首席
プが通る寧夏は、古代シルクロードの主要区間でもありました。現在、中国で地方政府としては唯 一全地域が内陸開放型経済模範区として指定され、その発展潜在力は非常に高いと言えます。 NEAR 73会員自治体の一つとして、寧夏は会員としての責任を履行しており、連合の各種行事にも 積極的に参加し会員との交流協力にも力を注いでおります。2012年には、「第9回NEAR総会」を 誘致し、参加者と共に努力した結果、成功裏に開催することができました。 習近平中国国家首席は「シルクロード経済圏造成」と「21世紀海洋シルクロード戦略構想」を提 案し、北東アジアをはじめとする関連国家の幅広い支持と積極的な呼応を得ました。現在、寧夏は このような国家の戦略的政策を契機に、新しいシルクロードの主要通路として生まれ変わるため最 善を尽くしています。また、2015年に銀川市で「第2回中国-アラブ博覧会」を開催します。この盛 大な行事に皆様を招待いたします。会員自治体の皆様が寧夏を訪問し、発展の機会を共有し発展の 道へと共に歩む機会になることを望みます。我々は、連合の各会員自治体とエネルギー節約、環境 保護、文化観光、気候変化、砂漠化防止等の領域で協力を強化する事を希望します。寧夏は、皆様 と共に手を繋いで歩むことを望み、皆で力を合わせて北東アジア地域がより大きな範囲で、より深 い内容で、より高い水準の交流融合と開放発展に向けて努力し、北東アジア地域における和合と協 力、繁栄が満ちる美しい未来を作っていきましょう。 最後に、皆様の御多福を祈り致します。
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特別寄稿
日本国・鳥取県知事
新年のお慶びを申し上げます。地域相互交流の増進及び共同発展、そして世界平和への寄与を目的 に創設された北東アジア地域自治体連合は、もうすぐ人間でいえば成人となる20年を迎えます。 北東アジアは、めざましい経済発展及び今後の成長ポテンシャルの期待の大きさに加え、2018年の 韓国・平昌冬季オリンピック、2020年の東京でのオリンピック・パラリンピックの開催という一大イ ベントを控えて、世界の目が集まる歴史的なクライマックスが迫ってきました。 鳥取県としても、北東アジア地域との結びつきが今後の発展にとって大きな鍵となると考え、多 分野での国際交流を積極的に進めています。その中でも韓国・江原道、中国・吉林省、ロシア・沿 海地方及びモンゴル・中央県の4地域とは、毎年首長が一堂に会して定期的に会合を持つなど、北 東アジア地域の地方政府間の連帯の五角形を形成してきました。各地域の共同発展、繁栄を話し合 う『北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミット』を1994年から各地域持ち回りで開催して 平井伸治 日本国・鳥取県知事
います。昨年は、2014年に交流20周年を迎えた韓国・江原道、中国・吉林省と今後の更なる交流 推進を誓う記念式典や青少年交流などを実施するとともに、私自身、北京で開催された日中知事・ 省長フォーラムに出席し、日中地方政府レベルでの交流の重要性を訴えました。 また、鳥取県では、対岸諸国に近いという地の利を活かし、「北東アジアゲートウェイ」構想を掲 げ、北東アジア地域と日本との交通の結節点を目指して交通インフラの整備を進めています。特に、 鳥取県は韓国江原道、ロシア沿海地方とともに日本と韓国を経てロシアを結ぶDBSクルーズフェリーの 運航に協力して、既に5年を超えて休みなく人と物を運ぶ大動脈としてのルートを確立しています。 2014年8月には、国際連合開発計画(UNDP)の一環である広域図們江開発計画(GTI)に向けた北東ア ジア地方政府協力委員会会議を鳥取県で開催し、海陸複合一貫輸送に係るロジスティックスの課題を専 門的に解決するためのプラットフォーム(ロジスティック委員会)の設置を提案したところです。 鳥取県内には2つの空港があります。米子鬼太郎空港は、国際ハブ空港である韓国仁川空港や羽田 空港と直接結ばれており、北東アジア地域との交流に欠かせない交通インフラとなっています。 2014年からは、沖縄、神戸、茨城など国内路線も拡充し、西日本のハブ空港としての利便性が飛 躍的に向上しました。また、鳥取空港については、県内随一の景勝地「鳥取砂丘」と世界的に有名 な「名探偵コナン」にちなみ、この春「鳥取砂丘コナン空港」に生まれ変わることとなりました。 ゲゲゲの鬼太郎の作者水木しげる先生も、名探偵コナンの作者青山剛昌先生も、生まれ故郷が鳥取 県であり、県内には鬼太郎やコナンの町があります。 さらに鳥取県には、世界ジオパークに認定されている山陰海岸や、10の温泉地、西日本随一のスキ ー場がある大山(だいせん)等、素晴らしい自然の恵みがあります。今が旬の松葉ガニなど特産品も 豊富で、四季を通じて食の魅力も満載です。また、近年はトライアスロンやウォーキング、サイクリ ングなどスポーツツーリズムのメッカとして注目されています。アウトドアスポーツを活かして自然 を楽しむ「ジャパン・エコ・トラック」(Japan Eco Track)の第1号ルートとして、鳥取県の西部地域が 選定されました。トレイル・ウォーキングの振興を目指した「ワールド・トレイルズ・カンファレン ス」(World Trails Conference)を鳥取県で開催することについては、この年初に韓国済州島で決定が 下されることとなっています。今年は「アジア・トレイルズ・カンファレンス」(Asia Trails Conference)が鳥取県で開かれ、韓国・中国をはじめ北東アジアの関係者でにぎわいます。 皆様、ぜひ鳥取県へお越しください。 最後に、皆様の御健勝と会員自治体の御発展を心からお祈り申し上げます。
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NEAR NEWS Vol. 60
今月の動静
NEAR活動 / 事務局ニュース
NEAR活動 第2回青少年エッセイコンテストの授賞 NEAR事務局は、会員自治体間における協力交流活性化のため、会員自治体の青少年(14~ 18歳)を対象に「第2回NEAR青少年エッセイコンテスト」を実施した。北東アジアと関連する 自由主題で、中国6点、日本4点、韓国9点、モンゴル5点、ロシア22点の合計46点が提出され た。最優秀賞は、韓国・慶尚北道浦項女子高校1年生の許善瑛(ホ・ソンヨン)さんがに授賞し た。その他にも、中国の張媛さん、日本の三島あおいさん、韓国の朴秀婉さん、モンゴルの パトゥチェチェクさん、ロシアのシクジャ・アレクサンドラさん、合計5人がそれぞれ優秀 賞を授賞した。 今月号には最優秀賞授賞作を掲載し、次号(3-4月号)に優秀賞授賞作を掲載する予定。
NEAR 事務局の代表団、中国・遼寧省と寧夏回族自治区を訪問 とする実務者は、一行を歓迎し、その場でNEAR代表 団は、NEARに関する紹介と共に遼寧省に新規会員加 入することを求めた。 これに対し、高副主任は、現在、オブザーバーとし てNEARに参加しており、今後NEARとより多い交流協 力を推進するよう努力すると述べた。 遼寧省外事弁公室職員と一緒に
張懐義(左)寧夏外事弁公室処長と李鍾煥(右)事務処長
また、事務局一行は、2012年に「第9回総会」を成功 裏に開催した寧夏回族自治区を訪問し、張懐義アジア
NEAR事務局の代表団は、新規会員誘致と地方政府間における交流効
処長をはじめとする寧夏回族自治区外事弁公室の実務者ミーティング
力を増進させるため、11月24日から28日まで、中国・遼寧省と寧夏回
を通じて、会員地方政府の意見を聞き、今後の交流協力増進方案に対
族自治区を訪問した。24日、高愛華遼寧省外事弁公室副主任をはじめ
して意見を交わした。
事務局ニュース 第7回国際学術会議に出席
と韓中安保協力の調和戦略」を主題に発表と討論が行われ、第3セッ ションは「総合討議」が行われた。2部の記念式には「和田春樹の北
11月6日、ソウル・プレスセンターで、(社)北東アジア共同体研究
朝鮮現代史」、「北東アジア領土問題、どう解決するか」、「北東ア
財団が主管する「第7回国際学術会議」が「国際協力を通じた朝鮮半
ジア共同の家」等を著述しながら、北東アジア平和共同体建設のため
島統一経済推進戦略」というテーマで開催された。
努力してきた功労を和田春樹東京大学名誉教授に「第7回北東アジア
今回の学術会議では、(社)北東アジア共同体研究財団が創立7周年
国際協力賞」が授与された。この日、金在孝NEAR事務総長は、3人の
を迎え、国境を越えた経済協力を通じた南北経済共同体推進戦略と同時
NEAR事務局職員と共に学術会議に出席し、北東アジア国際協力と朝
に米韓及び軍事安保側面での調和戦略について論議され、朝鮮半島統一
鮮半島の平和統一に関する意見とビジョンを共有した。
に向け、生産的かつ持続可能な代案を模索するために設けられた。 全体行事は、1部の国際学術会議と2部の創立7周年記念式で構成さ れ、1部は、李承律(社)北東アジア共同体研究財団理事長の開会挨 拶と安忠榮同伴成長委員会委員長の基調演説に引き続き、3つのセッ ションで行われた。第1セッションでは「国際協力を通じた南北経済 共同体推進戦略」を、第2セッションは「統一に向かう韓米軍事同盟
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今月の動静 島根県環境生活部文化国際課長がNEAR事務局を訪問
事務局ニュース
11月12日、「北東アジア新外交秩序と韓国の外交政策セミナー」が 国会図書館の大講堂で開催された。 今回のセミナーは、韓国の各界関係者約250人が出席し、沈允肇国会 議員の司会を中心に、国立外交院の曺良鉉教授、世宗研究所の李泰桓 博士と21世紀軍事研究所の金鎭旭所長が「北東アジア新外交秩序と韓 国の外交政策」について討論した。 この日、金在孝NEAR事務総長は、セミナーに出席し北東アジア地域 においてNEARの役割を広報した。 今回のセミナーは、外交部、国防部が後援し、国立外交院、世宗研 究所、北東アジア共同体研究財団が協力した。
仁川国際交流財団が主催する「仁川ファムツアー」に出席 NEAR事務局の海外派遣公務員が、11月28日、仁川国際交流財団が主催 する「仁川ファムツアー(Familiariazatioin tour)」に参加した。今回のファ ムツアーは、韓国内の国際機構、外交公館、国際交流機関の関係者のた め「2014仁川の過去、現在、そして未来」という主題で、先端施設とし て設計した仁川経済自由区域の代表地域である松島(ソンド)と永宗(ヨン ジョン)一帯をツアーし、主要コンベンションセンターの視察と仁川歴 11月10日、島根県文化国際課の若槻真治課長がNEAR事務局を 訪問した。 若槻課長は、金在孝NEAR事務総長をはじめとする事務局の職員との 面談で、NEAR発展方向と日韓国際交流、特に慶尚北道と島根県との 交流活動などについて意見交換をし、共に努力を注ぐことを約束し た。 今回、若槻課長の韓国訪問は、11月7日に在釜山日本国総領事館で開 催された「日本語弁論大会」に出席し「島根県知事賞」を授与するた めで、それに合わせて事務局へ訪問された。 島根県は、「北東アジア地域自治体連合(NEAR)」の前身である「北 東アジア地域自治体会議」の第1回目の会議を開催し、NEARの教育・ 文化交流分科委員会のコーディネート自治体としてNEAR会員の青年 を対象にした国際交流プログラムを実施している。 現在、NEAR事務局の松尾周一郎氏は、島根県から派遣され今年の4 月から勤務している。
「北東アジア新外交秩序と韓国の外交政策セミナー」に出席
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史遺跡地の探訪、韓国伝統文化体験が行われた。 NEAR海外派遣公務員の戚洪征氏は、今回の行事に参加した後「国際交 流機関の関係者に会い、いろんな話ができた。また、韓国の伝統文化を 知る契機となって良かった」と述べた。
今月の動静
会員自治体の動静
会員自治体の動静 湖南省 - 中国
富山県 - 日本
「2014中国(長沙)国際彫塑文化芸術祭」の開催
富山湾が「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟
湖南彫塑院の雷宜锌院長が提案した「2014中国(長沙)彫塑文化芸術 祭」が、9月16日から10月30日まで、成功裏に開催された。
本年10月18日、韓国・麗水市で開かれた世界で最も美しい湾クラブ総 会で、富山湾(日本・富山県)の加盟が決まった。「世界で最も美しい
2012年初、雷宜锌院長の作品「マーティン・ルーサー・キング大型彫刻
湾クラブ(本部・フランス)」は、世界遺産であるフランス・モンサン
像」がアメリカ・ワシントン国家記念広場に建てられ、「中国・雷(レ
ミッシェル湾、ベトナム・ハロン湾、国際的観光地であるアメリカ・サ
イ)」は国際彫塑系で大きな反響を呼んだ。それ以来、雷宜锌には夢が一
ンフランシスコ湾をはじめ24カ国・1地域の38湾が加盟し、湾を活用し
つできた。それは、長沙で国際彫塑祭を開催し、都市の彫塑文化を発展さ
た観光振興と資源の保全を目的として活動する非政府組織(NGO)
せ、彫塑芸術と都市人文西晋が融合する美しさを表現しようとした。
で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が後援している。世界でも希な
今回の彫塑芸術祭は「都市精神・都市文化・都市創造」というテーマ
海越しに3,000m級の立山連峰の大パノラマが見える絶景や、蜃気楼や気
で。一ヶ月余りの期間間、17ヵ国21人の世界的に著名な彫塑家が長沙に
嵐など神秘的な自然現象、埋没林やホタルイカなど珍しい動植物の生
集まり、現場芸術の創作を行い、美しい芸術作品を残した。また、現場
息、県民参加による水と緑の森づくりなどが、国際的に高く評価され
を開放し、学校で芸術講座を開催するなど市民と疎通の場を設け、珍し
た。富山湾の加盟は37番目で、日本海側では初めて。
い芸術的な経験をすることができた。.
吉林省 – 中国 2015中国・長白山(白頭山)雪祭りと2015長白山国際 氷雪カーニバル
現在、富山県では、富山湾の眺望を楽しめるサイクリングコースやサ イクルステーション・カフェの整備をはじめ、マリンスポーツの振興、 外航クルーズ客船の誘致、マリーナ施設の拡充や他港に停泊する船舶オ ーナーの誘致を進めるなど、世界で最も美しい湾の称号にふさわしい富 山湾の魅力のブラッシュアップに努めている。
天恵の観光資源を持つ長白山は、名実ともに中国の豪雪地である。 2014年11月1日から2015年4月30日まで開催する「2015中国・長白山国 際雪祭り」を通じて、長白山が持つ冬の魅力を披露する予定。 雪祭りの期間中、長白山の観光地区と名所を全面的に開放し、多様な 体験ができる旅行商品として出すことで、より多くの観光客が自然な雪 の中で冬のスポーツの楽しさを味わうことになる。その他にも、行事が 行われる間「長白山国際雪彫刻大会」、「火山温泉体験」、「美食週間 行事」、「中国-欧州の小都市市長フォーラム」、「氷雪文化青年フォ ーラム」、「第1回雪原ゴルフ招請競技」、「長白山国際氷雪写真フェ スティバル」等の関連行事が開催される予定。
海越しの立山連峰(氷見・灘浦海岸)
記念モニュメント(射水・海王丸パーク)
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今月の動静
会員自治体の動静
青森県 - 日本
粋と味を楽しんだ。
青森県・青森市と大連市の「友好経済・文化交流協定」 締結10周年
集中的に攻略し、河南省と吉林省、天津市等約10地域から誘致した老人
青森県・青森市と中国遼寧省大連市との友好経済・文化交流協定締結 10周年記念式典が10月28日に大連市内のホテルで開催された。 大連市との交流協定は、県が経済、青森市が文化の分野を中心とした 交流を行う内容で、2004年12月の協定締結以降、県は大連市内に ビジネスサポートセンターを開設したほか、商談会などを開催、急速な 経済発展を続ける大連市との関係強化を図ってきた。また、青森市は小 中学生による指定校同士の相互訪問などを実施してきた。
光州広域市は、2009年以降、中国老人団体誘致のため中国観光市場を 交流団2万2000人と光州地域老人約7000人が交流を続けている。 光州広域市の関係者は「韓中老人文化交流がより活性化できる多様な 交流プログラムを開発し、観光客誘致に最善を尽くす」と述べた。
忠清南道 - 韓国 2014 忠清南道 建築•公共デザイン文化祭の開催 2014忠清南道建築•公共デザイン文化祭が、11月6日から9日までの4日
式典には、両地域の行政・企業の関係者や同日開催された記念事業
間、世界的自然生態の都市である「舒川(ソチョン)」で開催された。
「友好囲碁大会」の出場者ら約120人が参加し、10年間の交流を振
「呼吸-自然に順応する建築、生命を大切に扱う公共デザイン」をテーマ
り返りながら今後の相互発展を誓った。また今後、ビジネス交流や青少
にした今回の文化祭は、自然と人、自然と建築、自然とデザインにおけ
年交流をさらに促進し、観光や農林水産業などの分野でも、具体的な交
る生命に対する哲学的な意味を付与するために開かれた。
流実現のために双方が協力していくことを確認した。
建築分野では、「忠清南道建築文化コンテスト」の優秀作品が展示さ れると同時に、「保育園の絵描き•ものづくり」優秀作品の展示会が開か れ、公共デザイン分野では、「2014公共デザイン展コンテスト」優秀作 品と「優秀公共施設物デザイン認定制」認証製品の展示会が行われた。 また、作品展としては、忠清南道建築士、大学教授、国際公共デザイ ナー招待展、忠清南道教育庁作品展、絵画展、舒川地域公共デザイン作 品展が行われ、国立生態院、ボム(春)の町、文化芸術創作空間を対象にし たテーマ紀行が開催された。 付帯行事として、6日に舒川の国立海洋生物資源館で開幕式とコンテス トの授賞式が行われ、7日は国立海洋生物資源館で「GREEN TOMORROW」
式典で大連と青森囲碁協会代表に記念品を授与する(右側から)鹿内青森市長、青山副知事
光州広域市 - 韓国 韓中老人文化・スポーツ交流を通じて一つになる 11月4日から5日までの2日間、光州広域市で「韓中老人文化・スポー ツ交流行事」が開催された。中国老人団体が光州を訪問し多彩な行事に 参加した。 訪問の初日である4日には、中国湖北省武漢市の老人文化スポーツ交 流チーム63人が「ビッゴウル(光の村という意味)老人健康タウン」所 属の約100人と文化交流と親善ゲートボール競技を行い友好を深めた。5 日には、光州伝統文化館ソソク堂(講堂)で、中国安徽省宣城市の民間 交流団約90人と光州東区、北区の老人福祉館の約70人が公演などを通じ て交流した。 この日、交流行事として、中国側は健康のために研磨した太極扇や太 極剣舞等を、光州側はスポーツダンス、国楽サムルノリ、韓国伝統踊り 等を披露し、互いの文化を理解し共感を得る時間となった。中国老人団 体は、行事前後に「国立光州博物館」と「忠壯路」等を訪問し、光州の
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NEAR NEWS Vol. 60
セミナーが開催された。9日には、小学校4~6年の学生を対象に、「ジョ おじさんの創意体験」が行われ、大勢の小学生が参加した。
今月の動静
ゴビ・アルタイ県 - モンゴル 第9回ラクダ祝祭の開催 11月16日から17日まで、ゴビ・アルタイ県のトゥグルク・ソム(郡)で 「第9回ラクダ祝祭」が開催された。 祝祭の開幕式は、ラクダに乗った遊牧民の行列から始まり、ラクダに荷 物を積む試演を行う等、ラクダと関連する伝統と文化公演を披露した。 祝祭期間には、ラクダ乳製品、ラクダ毛糸製品、ラクダ用品等の展示 会とラクダに乗った素敵なカップル選抜大会、ラクダ研究学者及びラク
会員自治体の動静
スタン教育科学部次官、SCO事務局局長、SCO大学総長協議会会長で、 その他にもロシアと中央アジア国家25大学の総長等が参加した。 第8回教育週間行事の開幕式が行われた後に「『SCO大学』の役割と位 置」という主題で会議が行われた。当会議で「SCO大学」のシステム統 合に関する現実的な問題、大学院過程の長期発展的な学問教育と具体的 な活動の核心的プログラム、共同教育プログラムに対する論議が行わ れ、その結果、専門家と実務者で構成して教育分野協力活動の持続性に ついて強調した。10月8日には、第5回SCO教育部長官会議が開催され、 「SCO大学」卒業証の規定と様式を統一化させた。 また今回の行事では、SCO参加国と「SCO大学」間における協力のため
ダ住民が参加した「ラクダ繁殖環境とラクダ住民としての注意事項」を
の記念植樹式と記念碑除幕式も行われた。
論議する会議等、多様なプログラムが開催された。
※ 「 SCO大学」とは、SCO国家の大学間で、サイバーネットワークで構成された国際 教育プログラム大学を指す。現在、ロシア、中国、カザフスタン、キルギスタン、 タジキスタンの82大学が属している。
ラクダは、何日間に渡って水無しの環境でも生存することができるた め、遊牧生活に最も適切な動物であり、ラクダの保護と繁殖、経済的な 利益を向上させるため地域レベルで一生懸命努力を尽くしている。 現在、全世界でフタコブラクダの30%は、モンゴルにいる。
ア ル タ イ 地方 – ロ シ ア 「第8回上海協力機構(SCO)参加国教育週間行事」と 「第5回SCO教育部長官会議」開催
NEAR会員自治体のための国際行事の案内 「クラスノヤルスク経済フォーラム」 ロシアとアジア太平洋国家との発展戦略
2015年2月26日から28日まで、ロシア・クラスノヤルスクで「第12 回クラスノヤルスク経済フォーラム」が開催される予定だ。クラス ノヤルスク経済フォーラムは、ソチ・フォーラム、サンクトペテル ブルグ・フォーラムを含めロシアの三大フォーラムの中一つであ る。フォーラムの主題は、ロシア-アジア太平洋地域の国家間の関 係、ロシア-ブリックス国家間の関係発展と輸入代替における問題に ついて論議する。フォーラムの内容は、ロシア、ベラルーシ、カザ フスタンが2015年1月1日から始まるユーラシア経済連合(EEU)の統合 プロセス拡大の展望し、ロシア経済の競争力強化等を中心に論議さ れる。その他にも、クラスノヤルスク経済フォーラムで毎年論議さ れる地域問題、地域開発、住民福祉の向上等もフォーラムの主な争 点となる模様だ。フォーラムのプログラムで、農業分野における開 発の現実的な問題、投資インフラ、輸送、通信及びIT産業に関する ラウンドテーブルも用意された。クラスノヤルスク経済フォーラム
「第8回上海協力機構(SCO; Shanghai Cooperation Organization)参加国教
は、既に「クラスノヤルスク式」という名称が付くほど有名で、ロ
育週間行事」と「第5回SCO教育部長官会議」が、10月6日から7日までア
シア連邦政府の高位関係者と社会専門家の代表が出席し論議する場
ルタイ国立大学で開催された。SCO関連行事は開催されて以来初めて、
として知られている。討論と本会議の終了後、結果物としてフォー
首都圏の大学ではなくアルタイ国立大学で開催された。 今回の行事の主な出席者は、ロシア教育科学部次官、カザフスタン教 育科学部次官、中国教育部次官、キルギスタン教育科学部長官、タジキ
ラム会議場で、実質的な契約書を締結することになる。 ※ 参加条件等、このフォーラムに関する詳しい事項は、公式サイトhttp:// krasnoforum.ru/ を参照
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今月の動静
第2回NEAR青少年エッセイコンテスト
第2回NEAR青少年エッセイコンテスト 概要
NEAR事務局は、会員自治体間における協力・交流の活性化に向けて会員自治体の青少年(14~18歳)を対象に、「第2回NEAR青少年 エッセイコンテスト」を行った。 北東アジアに関連した自由テーマで、中国6点、日本4点、韓国9点、モンゴル5点、ロシア22点の 合計46点のエッセイが提出された。最優秀賞1点と国別優秀賞を1点ずつ選定し、授賞した。
第2回NEAR青少年エッセイ | 最優秀賞
北東アジア地域の情勢をみて感じたこと 最近、周囲を見ると、アジア、特に「北東アジア」の役割が徐々に増してきていることが分かる。世 界経済の秩序と安保等、世界で影響力のある二国(アメリカ、中国)ということで「G2」或いはアメリカ より大きな影響力を持つ国という意味で「BIG1」とも呼ばれる「中国」。これまで東洋の先進国として 東洋的な神秘感が漂い、経済的位置の高い「日本」。そして、豊かな人的資源を持つIT強大国として浮 上している「韓国」。この三カ国が北東アジアを主導している様相は、まさに素晴らしいと言えよう。 特に「韓国」は、この三カ国を繋ぐ重要な軸になると思う。まず、韓国は、中国と日本の間に位置す る「地政学的な位置」であるという点と、南北統一を前提に仮定した場合(近未来に実現すると思って いるため)、シベリア横断鉄道と中国横断鉄道の連結は韓中露を結ぶ重要な役割を果たすだろう。ま
浦項女子高校1年 許善瑛(ホ・ソンヨン)
た、韓国と日本の海底トンネル事業は、両国の通路役割をすると思う。韓中露を結ぶ二つの鉄道が韓国 を終着点にするだけではなく、日本との海底トンネルまでも繋がり、4カ国間における巨大な交通網を 成し遂げることになるだろう。これは、韓国が北東アジアを導くために、重要な経済交流の役割を果た
している一つの事例である。微視的な見方では、4カ国の国境を越えた連結網であるが、巨視的には世界情勢に大きな影響を及ぼす北 東アジア地域間の和合を現しているとも言える。 数ヶ月前から、希望していた「獣医学科メンタリング」のためソウルに向かった。建国(ゴングク)大学メンタリング授業で解剖学実 習の時間があったが、初めてみたものが「犬骨」の標本であった。骨は、相互調和する骨で接しており、関節を成している。また、骨 には突き出ている部分と凹んでいる部分が存在するが、それには必然的な理由があることを知った。しかし、私は、この「結合」は、 まさに北東アジア三国間における和合の重要性を比喩しているものだと感じた。まず、北東アジア地域三国が相互平等な立場で、各国 における多様な意見と追求していることがバランスを取る必要がある。もし、片方の方向性が全く違う場合、それは長く持たずにズレ が生じるだろう。また、凸凹の存在の意味は、それぞれの機能と役割があるということだ。つまり、各国家間における「突き出ている 部分」と「凹んでいる部分」はそれぞれ機能と役割は異なるが相互関係しているため、最終的に志向する目標は「北東アジア地域の平 和と協力、安定」とし、そのためには「和合」が必要である。 そして、我々「青少年」は、身体において全神経の中枢である「脳」と同じだと思う。骨が持つ制度や政策は、全て脳の信号によっ て樹立する。つまり、未来を負う我ら青少年が他国について理解と関心を持つことは非常に重要だと思う。 北東アジア地域の青少年達は、いや私は、果たして北東アジアについて真面目に考えたことがあるだろうか。今、この時代の17歳の青 少年の一人として恥ずかしいが、中国・韓国・日本を代表する「北東アジア」に対する自負心はあったが、具体的な部分についてはあま り考えてみたことが無い。そして何よりも、私達(北東アジアの青少年達)が感情的な繋がりを持つべきであることを強調したい。人生で最 も美しい「高校1年生」は、夢を抱いて何でもできるという希望に満ちた時期だと言えよう。この美しい時期に、北東アジア地域全ての17 歳(高校1年生)の少女達は楽しい時間を過ごしており、皆、私と同様に幸せを感じているだろうか。慰安婦のためのブレスレットをクラス メイトの皆で買いながら「60年前、彼女達は幸せだっただろうか」、「その頃、中国と日本の少女達の生活はどうだったのか」等につい て考えていた。北東アジア地域を一つに結び、未来を共に歩むためには、過去北東アジア地域で起きた歴史的な問題における悩みと解決 が並行すべきであり、各国に対する理解を基に行動すべきだと思う。歴史を共有し討論でき、また文化的な交流ができるプログラムが形 成されることを期待する。過去、朝鮮と中国の少女達が流した涙を、今や日本の少女が拭き、互いに痛みを分かち合えることを望む。 そして、我が北東アジア地域が、過去を越え、一つの未来(同じ未来)に向かって行くことを期待する。私が自分の主張を堂々と述べ ながら夢に向かって一歩ずつ進んでいく時、「北朝鮮・中国・日本の17歳の少女はどうしているか」における考えを広め、各国で起き ている悩みと災難を、まるで自分の事であるかのように悩んで解決しようとする努力が生まれるだろう。それぞれが持つ葛藤は解い て、各国の子供達に出会い、色々と話をしたい。そして、共に幸せの歌を歌いたい。
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NEAR NEWS Vol. 60
企画取材
第10回NEAR総会
第10回 NEAR総会 第10回NEAR総会が、10月21日から24日までの4日間「新しい北東アジア共同協力時代 の創造」という主題で、大韓民国・全羅南道で開催された。今回の総会には、中国6 団体、日本4団体、韓国12団体、モンゴル6団体、ロシア6団体とオブザーバー自治体及び 関係機関から約120人が出席した。 開幕式には、李洛淵全羅南道知事の歓迎の挨拶、金在孝NEAR事務総長と明炫官全羅南 道議長の祝辞に引き続き、連合の各種主要活動報告、会員自治体の代表発表、総会議題 及び報告事項が行われた。そして、事務局の提案事項における発表とこれに対する会員 自治体の意見を基に宣言文を発表した。
会議を主宰している、金在孝NEAR事務総長
韓国・全羅南道から ロシア・イルクーツク州に、NEAR議長旗の伝達
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企画取材
第10回NEAR総会
連合主要活動報告 まず、全羅南道で「第9回実務委員会」の経過報告が行われた。その内容は、次期総 会の開催地の選定、NEAR連合憲章の改定、分科委員会の名称変更及び新設分科委員会 における審議、事務局の「新ビジョン研究報告」などについて論議した。その後、 NEAR事務局主要活動報告では、現在、NEAR事務局は会員自治体間における交流協力 事業支援に最善を尽くしており、R20との交流協力のためMOU(了解覚書)締結を結ぶな ど他国際機構との協力ネットワークを構築するよう努力を注いでいると述べた。
1. 歓迎の挨拶を朗読している、第10代NEAR議長の李洛淵全羅南道知事 2. ロシア・マガダン州の発表 3. 総会の議題発表及び討論 4. 光陽POSCOの視察 5. 順天湾国際庭園博覧会の視察 1
その後、過去2年間に渡って開催した8つの分科委員会における活動報告が行われ た。それぞれの内容は、まず、「海洋分科委員会(中国・山東省)」は海洋新興産業及 びブルー・シリコンバレー造成に関するフォーラムを開催したことを、「環境分科 委員会(日本・富山県)」は国際環境フォーラム「国境のない自然」とその他3つの個 別プログラムを実施した内容について、「防災分科委員会(日本・兵庫県)」は阪神・ 淡路大震災と東日本大震災の対応に関する講演及び会員自治体間の事例発表したこ とを述べた。また、「教育・文化交流分科委員会(日本・島根県)」は「北東アジア交 流の翼inしまね」と「北東アジア国際文化パレット」事業開催など北東アジア地域の 相互交流とネットワークを構築し、「生命医療分科委員会(韓国・忠清北道)」は生命
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産業における参加自治体の関心と多様な意見を交換し、「農業分科委員会(韓国・全 羅南道)」は気候変化による農作物の安定的な生産方案について論議し、「経済人文 交流分科委員会(韓国・慶尚北道)」では北東アジア地域経済と人文交流の出会いとい う主題で地元企業と協同組合に関する優秀事例発表が、「鉱物資源開発・調整分科 委員会(ロシア・マガダン州)」は会員自治体の経済発展戦略及び鉱山会社と投資会社 における天然資源に関する情報共有など、会員自治体間の共同資源開発可能性の模 索方案について討議し、発表を行った。
会員自治体の代表発表
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中国・河南省では「中牟県地域における事業」、日本・兵庫県は「モンゴルとの国 際協力及び兵庫県の環境技術」に関する発表をした。日本・島根県は「NEAR分科委員 会コーディネート自治体としての活動と今後の役割」について、モンゴル・アルハン ガイ県は「農業・牧畜業の開発政策」、モンゴル・ボルガン県は「全般的なボルガン 県の紹介」、ロシア・ブリヤート共和国は「地域発展事業」、ロシア・サハ共和国は スポーツ関連事業と「アジアの子供達」国際大会について、最後に慶尚北道は「慶州 世界文化エキスポ」の紹介と広報をした。
総会議題及び報告事項
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第10回総会の主な議題は、中華人民共和国・吉林省とロシア連邦・ハカス共和国の 連合新規会員の加入、連合憲章条文の改定(実務委員会の開催時期及び事務局の長期存 続関連)があった。それ以外にも、2016年総会誘致を申請した会員自治体の中で「ロシ ア連邦・イルクーツク州」にすることに満場一致で議決した。
NEAR事務局の提案事項 今回の総会で、事務局は「NEAR会費制の導入方案」と「分科委員会の効率的な運営 方案」について提案した。「NEAR会費制導入」については2015実務委員会で正式的な 議題として用いることに決議し、「分科委員会の効率的な運営方案」は事務局で会員 自治体の意見をとりまとめることにした。
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NEAR NEWS Vol. 60
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企画取材
第10回NEAR総会
全羅南道宣言文 2014年10月21日から24日まで、大韓民国全羅南道で開催された北東アジア地域自治体連合(NEAR)第10回総会には、中華人民共和 国、日本国、大韓民国、モンゴル国、ロシア連邦の5ヵ国33会員自治体とオブザーバー及び非会員自治体からの代表者が出席した。 総会は、「新しい北東アジア共同協力時代の創造」という主題で開催され、「21世紀はアジアの世紀」という時代的挑戦に添って、 直面する北東アジア地域の葛藤を解消するためには地域間、地方政府間の交流と協力がかつてのないほど必要であるという認識を共に し、「一つの北東アジア地域、一つの共同体」を志向し努力していくことを合意した。 また、1996年に創設されて以来、平和と共同繁栄という連合のビジョンと「地方の競争力がすなわち国家の競争力である」という目 標に、経済、環境、文化、防災、科学技術、スポーツ分野に至る14分科委員会の結成を通じて、実質的な交流協力事業を展開し目覚ま しい成果をなし遂げ、会員自治体の積極的な参加と関心を通じて連合の地位向上を図ることに認識を共にしてきた。 本総会で連合の発展のために上程された議題について真剣な論議を行い、次のような合意を得た。 1. 総会は、新規会員として中華人民共和国の吉林省とロシア連邦のハカス共和国の加入を満場一致で議決した。 2. 総会は、2016年に開催される「第11回総会」を2年任期の議長団体を引き受けるロシア連邦のイルクーツク州で開催することを 満場一致で議決した。 3. 総会は、連合の実務委員会を総会が開催される年の前年度に開催することに改定し、また、常設事務局の運営は大韓民国慶尚北道 で長期存続するよう前回の総会で議決されたことにより、それぞれ関連のある連合憲章を改定した。 4. 総会は、連合創設20周年となる2016年を目標に、「基本会費制導入」に関する事務局の提案について協議し、これを基に会費導 入の目的、運営方法等に関する透明で具体的な方案を準備し、2015年第10回実務委員会で正式的な議題として上程し審議する ことにした。 5. 総会は、事務局で提案した現行14分科委員会の効率的な運営方案について協議し、これを基に第10回実務委員会で審議することに した。 6. 総会は、事務局で主管している次世代のための「青年インターンシップ制度(PioNEAR)」の運営、「青少年エッセイコンテスト」プロ グラムと共に会員自治体が参加する「のど自慢大会」を会員自治体の意見を受け入れ開催するという意見も述べた。
2014年 10月 22日
大 韓 民 国
全 羅 南 道
総会出席者の団体記念写真 The Association of Northeast Asia Regional Governments
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年末年始特集
NEAR行事の裏話
年末年始特集
NEAR行事の
裏話
2014年の一年間、NEAR事務局で開催した行事が多かった。5月に 開催した「NEAR実務者ワークショップ」、8月に開催した「NEAR 国際フォーラム」、10月に開催した「NEAR総会」。そして、会員 自治体が運営する分科委員会も開催した。 今月号は、年末年始ということで、各国NEAR実務者の多彩な姿 を写真に収めた。
▼ 行事の後、代行社のピオディコミュニケーション職員と一緒に
▲ 第10回NEAR総会後、1ヶ月間苦楽を共にしたチームメンバーとワンカット
◀ 2014年防災分科委員会の参加者達
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NEAR NEWS Vol. 60
年末年始特集
NEAR行事の裏話
▲ 第10回全羅南道総会、 現地視察でモンゴル出席者の皆さんと一緒に
▲ NEAR国際フォーラムが終わった後、晩餐会の様子。(発表者、成源鏞教授)
▶ 唐の女性達と茶道を楽しむ 金在孝事務総長
▲ ワークショップで、モンゴルの友人と再び遭遇
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The Association of Northeast Asia Regional Governments
北東アジア地域自治体連合 The Association of Northeast Asia Regional Governments (790-834)慶尚北道浦項市南区芝谷路394 浦項 テクノパーク本部棟3階 T. +82-54-223-2317 F. +82-54-223-2309 E-mail near@neargov.org Homepage www.neargov.org