green books vol 05 立ち読み

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グ リ ー ン ズ の 学 び の 場 の つ く り か た

グリー ンズ の 学 び の 場 の つくりか た

05

VOL

05


グリー ンズ の 学 び の 場 の つくりか た

VOL 05


はじめ に

これまでに「みんなのソーシャルデザイン宣言」 「グリーンズのつくりかた」 「グ リーンズのしごとのつくりかた」そして「編集学校の教科書」をお届けして きた greenBooks も、気付けば 5 冊目となりました。 今回お届けするのは「グリーンズの学びの場のつくりかた」。 2011 年からスタートした「green school Tokyo」は「グリーンズの学校」と いう形になり、クラスの数は増え、幅も広がってきています。近年は、企業 や学校でのワークショップの企画に協力する機会もとても多くなってきまし た。また、毎月開催している「greendrinks Tokyo」も、人との出会いや会 話から生まれる学びの場といえるでしょう。 こうしてグリーンズは、greenz.jp を運営するのみならず、リアルの場づくり のなかに「学び」の機会を多く見出してきました。 この本では、グリーンズのメンバーが学びの場づくりの先輩ともいえる方々に お話を聞きに行ったり、これまでの自分たちの場づくりで体得したものを振 り返ったりして、自分たちなりの学びの場づくりの現在地を探ってゆきます。 まだまだ終わることのない学びの途中ですが、一度、今いる場所を確かめて、 次へ向かえればと思っています。どうぞ一緒にお楽しみください!

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CONTENTS

はじめ に

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第 1 章   g r e e n zメン バ ー 対 談       NPO法人ミラツク 西村勇哉さん× YOSH(greenz.jp編集長)

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第 2 章   グリーンズ が 考える 学 び の 場 の 現 在 地

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第 3 章   g r e e n zメン バ ー 対 談       ソーヤー海さん×鈴木菜央(greenz.jp編集長)

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第 4 章   グリーンズ の 学 校 5 年 の 足 跡!

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第 5 章   g r e e n zメン バ ー 対 談       株式会社フューチャーセッションズ 野村恭彦さん×小野裕之(greenz.jp)

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グリーンズメン バ ー が オススメする参 考 文 献

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グリーンズ 会 計 報 告

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お わりに

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YOSH 今回、勇哉くんに登場してもらったのは、僕が学びの場づくりをすると

第1 章

gree nz メンバー対談

きに、ミラツクの場づくりからたくさんインスピレーションをもらっているからな んです。  ミラツクではそこまで 学び ということを打ち出していないけれど、まさに 学び合う大学のような場所になっているなあと感じていて。 西村 ありがとう。実は僕自身、学校っぽいなと思っているんです。 YOSH あ、やっぱり。 西村 ミラツクにはいろんな人が集まってくれていますが、みんなが誰もやって いない、新しすぎることに取り組んでいるんですよね。そうして分かったことを オープンにして、世の中に伝えたり、学べる場をつくるというのが基本的なスタ ンス。  小さくても、新しいもの、実 験的なものを学び合うような場をつくれば、世 の中を動かす原 動力になりうる。だから、大きさじゃなくて、世にまだない新 しい実験的な試みを学び合えるような環境をつくることが、本質かなあと。 YOSH いいですね。

NPO 法人ミラツク 西村勇哉 さん × YOSH(greenz.jp 編集長)

西村 そんな風に考えるのは、僕が教育学部出身だからかもしれません。そこ では、ずっと「人が成長するとはどういうことか」について、研究していたんです。  例えば、失恋や受験の失敗みたいに、辛い経験を糧に成長するっていうこと があるじゃない? それって実は、経 験の種類とか内容ではなく、どうそのこと を咀嚼するのかという、受け取り方の問題だったりする。そういうのを明らかに していました。

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YOSH 面白いね。

YOSH なるほど。ダイアログそのものが、成長するための方法というのは目か らウロコでした。

西村 それに関連して見えてきたのは、成長と主体性は意外と相関関係が弱い ということ。自分から動き出そうが、外からのきっかけだろうが、起こったこと

西村 きっと「先生が一方的に学生に教える」というのは、いちばん効率が低

の受け取り方によって、成長する、しないは、変わってくるんですね。

いやり方で、響くけれど、ほとんど伝わらない。学生同士で教え合い、学び合

「自分が起 点となっている」という感 覚よりも、むしろ、過去/未 来/現在

うのが、もっとも効率が高いのだけど、その状況にもっていくのは難しい。

のどこにフォーカスを置いているかが重要だと分かった。

ピーター・センゲが『学習する組織』という本で、「セルフマスタリー(個人 が自己の将 来 像と現 状との 落差を見すえ、積 極 的に学ぶようになる過 程のこ

YOSH へえ。

と)」について触れていますが、それを起こすためにはコミュニケーションが必 要で、そのためにはダイアログが有効である。だからこそ、学びの現場で、そ

西村 結論からいうと、過去はあまり関係なくて、現在と未 来を同時にフォー

の手法が注目されているんだと思います。

カスすることが大事なんだよね。今やっていることが未来につながっている、と いう感覚。

YOSH 一方で、対話の場と違って、学校って目的が明確だったりしますよね。 「教

そのためには、外で 起こっていることを 自分ごと として捉えるための、広

えてもらうこと」を当然だと思っている人も多いと思うんです。そういうときに

い視野や柔軟な考え方が必要になる。

気をつけるべきことってなんだと思う?

YOSH そこで、ミラツクがやっている対話の場づくりが関係してくるんだね。

西村 「教えてほしい」と「教えたい」がガチっとはまってしまうと、先生と学 生の関 係性しか生まれない。だから、「それじゃ学び 合いは起こらない」とい

西村 『U 理論』の基礎にもなった、デヴィッド・ボームの『ダイアローグ 対

う信念を持ってその関係を最初から崩していくことは、大事だと思う。

立から共生へ、議論から対話へ』という本があるんです。それを読んだときに、

やっぱり、知識の伝達というのは、学習の中ではもっともレベルが低いこと

「これって、話し合いの方法というよりは、成長の方法について語っているな」

だと思うんです。もちろん重要なんだけど、その先がある。だから、そこで終わっ

と感じました。

たらもったいない。満足感はうまれるんだけど、成長は起こらない。

心の成長は、ディスカッションとかプレゼンテーションでは起こらないけれど、 ダイアログでは起こる。お互い価値観が広がるので、共感しやすい状況になる。

YOSH 学校が提供できる価値でいうと、満足感は第一義ではないからね。

そんな 話し合いを通じた成長 が、僕の場づくりのベースにあるんですよね。 西村 もちろん、完全に不満足だと誰もいなくなっちゃうけど(笑)でも、読

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∼ はじめに ∼

第2章

❶ グリーンズが作ってきた学びの場

グリーンズが考える 学びの場の現 在 地

鈴 木菜 央

小 野裕 之

YO SH

グ リ ーン ズ は こ れ ま で に、た くさ ん の 学 び の 場 を つ くって き ま し た。 「greendrinks Tokyo」の 主 催 か ら ス タ ートし、全 国 各 地 で 行 わ れ て い る 「greendrinks」とも連携。 あなたの暮らしと世界を変えるグッドアイデアをカタ チにする場 というコンセプトで始まった「green school」や、グリーンズにこれ まで関わってくださった方をお招きしてお話を聞く「greenz talk !」などなど…… 時代のニーズに寄り添って、多種多様な場づくりを展開してきました。最近では、 企業が企画する学びの場づくりに協力させてもらう事例も増えてきています。  「学びの場は人を変え、社会を変える。もっと多くの人に、学びの場づくりを 体験してもらいたい」……そんな願いから、2015 年 6 月に開催した「green drinks Tokyo」ではグリーンズのコアメンバー 3 人が、学びの場づくりについて 語り合いました。次ページからはそこでのトーク内容をもとに、鈴木菜央・兼 松佳宏・小野裕之が学びの場づくりのノウハウをご紹介します。

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❷「学びの場づくりの民主化」を目指して

❸ グリーンズが 学びの場   つくり始めたキッカケ

グリーンズはウェブマガジン「greenz.jp」を運営するかたわら、これまで全

ウェブメディアを運営していた僕らが 学びの場 づくりを意識し始めたのは、

国各地でたくさんのイベントやワークショップなどの 学びの場 をつくってきま

2011 年 3 月に東日本大震災が起きた後からでした。あの頃僕は「グリーンズの

した。僕もいろいろな場を自分で企画し、また参加もしてきました。そこで感

読者の皆さんが社会のために動きたがっている」と確かに肌で感じたんです。

じたのは、 学びの場 は誰にでも作れるんだ、ということ。

グリーンズが立ち上がったのは 2006 年で、僕は 2009 年にジョインしました。

学びの場 をつくるのに資格なんていらないし、やりかた次第ではお金だっ

後から運営に入っている僕は、他のメンバーよりも少し引いた所からこの組織を

てそれほどかからない。にもかかわらず、 学びの場 はすごくパワフルで、そ

見ていくことが役目かなと感じていました。そんな視点でそれまでの活動を見

こに集まった人たちに大きな変化をもたらす可能性がある。誰にでも開かれて

ていて、少しモヤっとすることが出てきました。

いて、主催者も、参加者も、人生をも変えてしまうかもしれないなんて、本当

「greenz.jp」は確かにいい気づきを読者に提供できていて、取材先の人たち

に素晴らしいことだと思いませんか? そして、そのパワーは、あなたの中にも

からも「取材後からいろいろな良い変化が起こっています」とフィードバックを

あるはず。それを信じることが、まず第一歩です。

もらえる機 会も多く、充実したメディアになっていました。けれども、 気づき

今回は、 学びの場 をつくるという行為がもっと世の中に浸透して「学びの

の先 を提 供できていないなと思ったんです。「やってみたら?」とは言ってい

場づくりの民主化」が進めばいいなという思いから、この green Books をつく

るけど、実際にやることをサポートできてなかった。

ることにしました。YOSH、おのっち(小野)、僕という3 人が持っている 学びの場

そんな中で東日本大震災が起きて、周りの 20 代から 40 代の方々の 具体的

づくりのノウハウや考えを皆さんと共有して、 学びの場 がもたらすパワーをた

なアクションに対する飢餓感 みたいなものをすごく感じる機会が増えたんです。

くさんの人とシェアしていけたらいいなと思っています。

だから、グリーンズとして彼らの背中を押せるような、具体的な一歩を一 緒に 踏み出せるようなコンテンツをやっていこうと決めました。これが 学びの場 を積極的につくり始めた経緯です。

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菜 央 今回は、今までいろんな学びの場づくりをしてきた海くんに、どんなこ

第3 章

gree nz メンバー対談

とを大事にしてきたのかを聞きたいです。 海 いくつか大事なポイントがあると思うんだよね。  まずひとつは、場の意図が明確であること。僕の場合は、どうすればより多 くの人たちが本当の豊かさを感じることができるか、自分が生態系の一員であ るという認識を取り返すことができるか、どう人間を理 解したら心と心が通じ 合って活かし合う関係性がつくれるかを大事にしていて。それを世の中にどう広 めていくか、なんだよね。  そのためには人の心とつながることがとても重要。よく「自己共 感」とう話 をするんだけど、自分とつながって共感する、つまり今、自分の中で何が起こっ ているのかを明確にしていくと、周りの人と深くつながることができる。周りの 人との関係性をつくる前に手段に向かってしまうと、 やること にフォーカスが 行ってしまう。しっかりとした信頼関係、心が通じ合う関係性をつくれたら、あ とはもう可能性の世界しかない。 菜央 「やることにフォーカスが行く」ってどういうこと? 海 本当にお互いのニーズ(求めていること)とつながる前に手段に走っちゃう

ソーヤー海 さん × 鈴木菜央(greenz.jp 編集長)

と、その手段が適切じゃない場合が多いんだよね。   Being と Doing の 違いだけど、 Being から動くと、世の中に 結 構 深 いインパクトがある。でも Doing から動くと、やることがメインになっちゃって、 たいてい Being は追いつかない。  例えば「社会をよくするために起業する」という Doing から入ると、会社の 立ち上げや運営に全力を注いでしまって、元々の意図である、社会をポジティブに 変えたり、自分の健康も大事にするってところが置き去りになっちゃうことがある。

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人の話を聞くときもそうだけど、理論から話している人のお話と実践者の話

可能性の高いツアーを企画していて。ハプニングが起きて、どうやってみんなと

を聞くのとでは、内容が一 緒でも、自分に入ってくる深みと、魅かれる量が全

共にそれを解決するかが凄く楽しいんだよね。

然違う。やっぱりそこが大事だと思う。つくりたい世界をいまここで実践してい

先生は弱みや不安は伝えないというのが当たり前になってしまっているけれ

るかどうか。

ど、僕はむしろ伝えるのが大事だと思うんだよ。不安を抱えたりイライラしてい て、自分なりに処理しきれなかったら、みんなに言う。そうすると、一 緒にこ

菜央 うん。

の場をつくっているという意識になってくる。  ツアーとかで、僕が集合場所を間違えたりして、みんなバラバラで、自力で

海 今この瞬間に起きることにフォーカスし、ここでみんなで実践することが深

到着しないといけないシーンもあったでしょ?

い学びになる。  プランに執着したり、進め方のアジェンダをつくったり…。日本だと特に、何 が起こるのかを明確にして、それを忠実に遂行することがいわゆる成功の概念 だけど、そうではなく、いかに自分が素直にいて、自分と共 感して、まわりと も共感できるか。あり方の実践だけでも、自分の中にも、ほかの人にも凄い変

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ニーズ

非暴力コミュニケーションでの「ニーズ」とは、みなに共 通している、わたしたちが基 本的

に必要としていること。私たちの行動の奥には、感情があり、感情の奥にはニーズがあり、 すべての言動はニーズを満たすために行われると考える。

革が起きるんだよ。 菜央 あったね(笑)。昨年僕が参加したアメリカ西海岸パーマカルチャーツアー 菜央 自分と共感する、というのは?

で、海くんがホテルの場所を間違えて伝えてしまって、携帯電話もない 3 台の クルマがバラバラに夜の街を迷いまくった。

海 自分と共感するというのは、自分の気持とつながって、例えば 怒り、悲し みと言った感情に気づくこと。それを変えるのではなくて、その気持に寄り添う

海 僕はそれが好きなの(笑)。全部僕にお任せすると危ないということを知っ

こと。ありのままの自分の状態を受け止めて、その感情の奥にある、自分が求

てほしいんだよ。お任せすると、自分のパワーを手放しお客さんになって、思

めているもの。それは大事にされることであったり、休息であったり。配慮して

考停止になっちゃう。

もらうこと。人間の感情の奥にはニーズ※1 がある。そことつながること。それが、

けれど、僕が今までやってきたワークショップやツアーは、必ずみんなステッ

自己共感。

プアップするし、僕の企画そのものが社会実 験だから、常に自分としっかりつ

自分が何をどう感じているかという感情はまわりの人に影響するでしょ?

ながっていないと、いろんな人の不安をホールドできないんだよね。もし本当に

例えばワークショップやツアーで、僕がどういう心の状態でみんなと触れ合う

やばい状況になったら、しっかりとそこは踏み込むけど、ある程度の不安とか怒

かによって、全然 違う体験が起きてしまう。だから常に、ハプニングが起きる

りとか悲しみとかは、感じてほしい。それがより日常に近い人間の体験だから。

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第4章

グリーンズの学校 5年の足跡! 2011∼2015年 開講分

ほしい暮らしも、ほしい仕事も、 自分たちでつくろう。

グリーンズが 2011 年からスタートした学びの場『グリーンズの学校』は 「もっと、こうしたい!」という思いやアイデアを、みんなで形にしてい く研究と実践の場として、5 年間、さまざまなクラスを開いてきました。 生きる基 本としての「暮らし」、新しい価値を生み出す「仕事」、そして グリーンズのノウハウが詰まった「編集」。この 3 つのテーマを軸に、 「エ コハウス DIY クラス」から「コーヒー起業家クラス」、「グリーンズ編集 学校」まで、他にはないユニークな授業を展開しています。 講師となってくれたのは、greenz.jp の取材先の方々。2014 年からは授 業のコーディネーターとして greenz ライターが加わり、クラスを一緒に 作るケースも増えています。記事だけでは掴めない現場の体験を、内省 と発奮の機会を、読者のみなさまと分かち合うべく開かれてきた学びの 場をここで振り返ってみます!

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■ マイメディア学 科 第 2 期 2012年度

2011年度

■ ソーシャル デ ザイン 学

■ コミュニティデ ザイン &まちづくり学 科 ■ マイプ ロジェクト&じぶんごと学 科 ■ コミュニティデ ザイン & 場 づくり学 科 第 2 期 ■ マイプ ロジェクト&じぶんごと学 科 第 2 期 ■ マイメディア&これ からの 編 集 学 科

これからの学校 としての形を探りつづけています。

■ ほしい 未 来 の つくりか た 基 礎 編 2013年度

■ グリーンズ 編 集 学 校

2011 年開催「マイプロジェクト&じぶんごと学科」co-lab 西麻布の様子 編集系のクラス以外にも様々なクラスが立ち上がりました。

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2014年度

■ グリーンズ 編 集 学 校 2 0 1 4 春 夏

■ 藤 野 電 力と一 緒 に 、暮らしの 発 明 家 に なろう。暮らしをつくるクラス

■ 高 坂 勝 さんと学 ぶ 、ダウンシフタークラス 第 2 期

■ 高 坂 勝さんと学 ぶ 、ダウンシフタークラス 第 2 期

■ グリーンズ 編 集 学 校 2 0 1 4 秋 冬

■ ソー ヤ ー 海 さんと一 緒 に 、アー バ ン パ ー マカル チャー を 学 ぶクラス

■ H . O . Wと学 ぶライフイベントクラス

■ 地 域 通 貨 藤 野よろづ 屋・西 国 分 寺 ぶんじと学 ぶ 、ロ ーカル 経 済と  コミュニティクラス

パパ・ママ向けクラスでは子どもたちも一緒に!

エコハウス DIY クラスでは皆で窓の断熱をしました!

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photo by 新井由己

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小野 グリーンズでは 2011 年から自分ごとのプロジェクトを作ろうといったス

第5 章

gree nz メンバー対談

クールをコツコツやってきました。今、学びの場のデザインは、社 会的にも注 目を浴びていると思っているんです。というのも既存の学びの場って、ただの キャリアパスとして通 過するだけになっていしまっていて、あらゆる職業に対し て専門性を高めたり、未来に直接繋がる仕事を生み出すとか、ユーモア

れる

活動をやってみるとか、そういう装置が必 要なんじゃないかと思っているんで す。そんな中で、野村さんの著書を読んで学びの場作りの参考にさせて頂いて いたので、改めてお話を伺いたいと思いました。 野村恭彦(以下野村) 僕がグリーンズに共感するのは、自分たちがリーダーシッ プをとることと、みんなも始められるように場を作ることのバランスがすごくい いところです。リーダーシップをとると、フォロワーはたくさんできる。でも本 当はリーダーを作らなければいけないんですよね。リーダーがリーダーシップを 発揮しながらも、他の人がリーダーシップをとる場を作っていく。こういう連鎖 を作っていくっていくことが一番大事だと思っています。僕らはイノベーション ファシリテーターという、一見矛盾してるようなことを並べた職種を確立しよう としているんですけど、やっぱりイノベーターであり、ファシリテーターでもあ るという、このバランスを持った人が増えていくっていうのは、ひいてはよい対 話の場ができることじゃないかなと思うんです。

株式会社フューチャーセッションズ 野村恭彦さん × 小野裕之(greenz.jp)

小野 野村さんがファシリテーションと出会ったのはいつですか? 野村 僕はもともと企業に対して組織の働き方を変えるコンサルティングをして いて、IDEO と一緒に仕事をしてたんですよね。その時、論理的なセッションの 構造を組みつつも、すごく楽しくみんなの力を発揮させるという彼らのファシリ テーションの巧みさを学んだんですよ。そのあと NPO ミラツク代表理事の西村

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いました。アートオブホ

野村 僕らの仕事はたいてい、ある企業の中にいる個人が社外でこういう場に

スティングといって、美しい自然の環境の中に行って、みんなで輪になって真ん

参加して、このやり方を自社にとり入れたいという強い思いを持つところから始

中に美しいものを置いて、心を静かにさせて短時間で深く対話するスタイルは

まるんです。その人が自分の権限の中で、こういうプロジェクトが出来るという

衝撃的でしたね。ですから僕は IDEO とアートオブホスティングの影響を強く受

チャンスが来た時に、僕らに声がかかります。そこで僕らは、その思いを持っ

けていて、これら二つの方法の良いところをハイブリッドさせた「フューチャー

た個人の上司や経営トップに対して、社外のステークホルダーと話すことでどん

セッション」という手法を確立しました。フューチャーセッションでは、前半は

な課題発見が出来るかというフューチャーセッションの価 値について、論理的

自分ごとで対話して、後半はデザイン思考でいくというリズムでセッションを行っ

に話をつけるんです。でも、対話っていつまでたっても結果が出なくて時間が

ています。

かかるっていうイメージがあるので、僕らは 3 時間のセッションを 3 回でビジネ

勇哉さんだったり、ボブ・スティルガーさんたちと出

スのアイデアにします、とコミットするんですよ。対話は時間がかかって結果が 小野 IDEO のように、アメリカ型のデザイン思考をベースとしたアイデア発想

出ないと思い込 んでいる人たちには、「対話の構 造をデザインする」という概

の良い部分は何ですか?

念がないんですよ。例えば、最初の 20 分はわからないことを出し合い、次の 20 分でその中での優先順位を決め、1 位と 2 位だけ今みんなで答えを出そうと

野村 ブレストの仕方ですね。ホワイトボードに 1 から 100 までまず番号がふっ

か。そうやって対話の構造を決めていけば、非常に短い時間でクリエイティブ

てあって、ファシリテーターが「さあ、いくぞ!」と言って、意見が出ると、み

な対話も出来ますし、参加者からするともっと学びの多い場になると思うんで

んなそれに上乗せして意見を出していく。中には絵を描きだすやつがいたりと

す。そういうものが、学校でも行われてきていないし、会社に入ってからの会

か。そのみんなが共鳴して身体とか場全体で考えてる感じが途轍もなく魅力的

議でも行われていない。

でした。あとはオブザベーションの手法も、勉強になりました。誰を選ぶかが すごくクリエイティブなんです。たとえば高齢者の乗り物というテーマがあると、

小野 自分の役割だけ報告していることが多いですね。

高齢者の自転車クラブの人たちを見に行こうとか、いろんな人たちを探してくる んですね。目に見えないステークホルダーを見つけて来て、その人たちの言葉

野村 そう。行政でも対話の場を作ろうという話がすごく増えていますね。参

を引き出していって、そこから今までこの問題とこの問題は別の問題だって思わ

加した人全員が貢献できる対話の場を作るってこれからすごく発展する領域だ

れていたものを繋ぐきっかけみたいなものを見つけていくんです。

と思うんですよね。

小野 おもしろいですね。最近、企業向けの話題はスピーディさから内発的な

小野 野村さんが作っている場は、準備とか、セッションとセッションの間って

動機 や自分の核みたいなところに振り返ろうよとなってきましたが、社 会が変

どうデザインしていますか?あるいはそこでは何もせず、その場だけで考えても

わってきたから企業もだんだん変わってきたのでしょうか?

らえばいいという風にされているのでしょうか?

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お わりに

で、結局学びの場ってなんだろう? 「学びの場のつくりかた」、いかがでしたでしょうか? まだまとまっ

❶ 自発的であること。当たり前すぎることですが、自発的でない

ていなかったり、洗 練されていないところも多いですが、 Done

ことで、学びは生まれません。全てにおいて、「これはいったい、

is Better than Perfect. (マーク・ザッカーバーグの言 葉)とい

なんだ?」という好奇心が唯一の出発点だと思います。

うことで、まずはみなさんに晒してみました。

❷ 2 つの世界の境界線について。世界は多様な世界のつぎはぎ

さて、この本を編集し終えて感じたことは「で、結局学びの場っ

です。たとえば日本と他の国の文化が出会い、交じり合ったところ。

てなんだろう?」ということです。そこで、ふさわしいかどうかは

先 進 国と途 上国。日常と災害。その 領 域 では、これまで の常 識

わかりませんが、ここで少しその問いについて考えてみたいと思

は通用せず、新しい問いが生まれます。そして、ある種の答えを

います。

求められる場所です。そういう場所は、学びの宝庫です。

誰にとっても、人 生は学びの連続だったりするわけですが、し

❸ 対 話 的 であること。違 和 感 を 表 明し、学 びと仮 説を共 有し、

かし、その中でも、人生には何度かの「学びの大爆発」といえる

交 換する。対 話を重ねることで、自分の見 方、感じ方が立体的、

ような驚異的なジャンプがあるように思います。そしてそれには、

複雑、豊かにになっていきます。対話は深い学びにとって、極め

なにか共通点があるかもしれない、と思うのです。考えてみた結

て重要だと思います。

果、以下の 3 つが残りました。 この本がみなさんにとって、学びの場に参加したり、つくる上で ひとつでもヒントになればうれしいです!

❶ 自発的であること ❷ 2 つの世界の境界線

greenz.jp 編集長

❸ 対話的であること

鈴木菜央

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