RESEARCH STORE FUKUOKA 2012.4.20 - 5.13 REPORT
RAD - Research for Architectural Domain
RESEARCH STORE FUKUOKA
RESEARCH STORE FUKUOKA チラシ画像
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RESEARCH STORE FUKUOKA
RESEARCH STORE FUKUOKA 「RESEARCH STORE」は、全国の地域を移動して短期 滞在型のリサーチを行ない、そのためのストア(保管所、 商店)を期間限定で立ち上げるプロジェクトです。その 地域の人、物、場所、出来事と関わりながら、多種多様 なリサーチを行ないます。今回は「RESEARCH STORE FUKUOKA」として福岡市で開催します。 このプロジェクトにおいてなすべきことは、地元の人が 日常的に何気なく過ごしていることで見えにくくなって いる地域の問題(=Social Issue)を発見し、その地域の 人々とそれ以外の人々とが共有できるよう提示していく ことです。いわゆる学術的なリサーチだけではなく、ワー クショップや市民講座、展示やパーティなども一種のリ サーチとして捉え、専門性を問わず人が集えるところを 作り出します。これら一連のリサーチを通じて、地域に 対する見通しをよくしていきたいと考えています。 私たちが最終的な目的とするのは、福岡という地域の魅 力を伝えるガイドブックの作成や地域活性化ではありま せん。むしろ、また別の地域にも当てはまる現象、問題、 応答を、福岡という地域から見ていくことです。
RESEARCH STORE FUKUOKA 期間:2012 年 4 月 20 日(金)- 5 月 13 日(日) 拠点:FUCA(Fukuoka Urban Community of Art) (福岡市中央区平尾 3-17-13) -主催: RAD(Research for Architectural Domain) FUCA(Fukuoka Urban Community of Art) 協力: 福岡 R 不動産 マツダグミ 参加者: 川勝真一(ディレクター) 榊原充大(リサーチャー) 会田良(デザイナー) 木村慎弥(マネージャー) 爪丸登紀子(デザイン・サポート) 山崎康弘(リサーチ・サポート) 大泉愛子 入江美那子 森多恵子 松岡篤 後宮淳一 RAD - Research for Architectural Domain 3
具体的なプログラム
インタビュー RESEARCH STORE FUKUOKA で は 福 岡 を拠点にして活動を行われている研究者、実 践者、また福岡市の行政に携わられる方々に インタビューを行いました。食、文化、都市、 建築、医療等、分野を限定することなく「ど のような活動をなされているか?」「そこか ら見えてくる課題は何か?」といった地域を めぐる疑問について、率直におうかがいしま した。1 ヶ月の間に約 20 名の方(後述)へ とインタビューを行いました。
ミーティング RESEARCH STORE FUKUOKA の 拠 点 と なる FUCA のイベントスペースを行い、会 期中週に一二度のペースで公開対話の場を設 けました。こうした公開の研究会、ならびに シンポジウムの形式を通して、「福岡という 地域」をどうとらえているかを議論しました。 1 ヶ月の会期中におおよそ約 10 回 15 名ほ どの方々(後述)にご登壇いただきました。
アンケート 会期中会場にお越しいただいた参加者の方々 に、アンケートにお答えいただきました。「街 についての疑問」や「街のよいところ」を指 摘していただき(右左:アンケート)、それ を具体的な場所に結びつけていきました(右 右写真参照)。
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ピクニック RESEARCH STORE FUKUOKA で は、 街 を新たな目線で眺めるために、公共空間の中 でピクニックを行いました。建物の公開空地、 空港近くの公園、湾岸沿いの芝生等などなど、 普段腰を落ち着かせないところでランチマッ トを広げ、たくさんの方と一緒に食事をしま した。
パフォーマンス 今 回 RESEARCH STORE FUKUOKA の 拠 点となった FUCA のイベントスペースを利 用し、アーティストによる映像の上映会 & パフォーマンスイベントを行いました。
まちあるき 福岡のさまざまな地域を歩き、それぞれの地 域の違いについて見ていきました。右写真 は、それぞれ異なった地域を見て回った後に、 各々の報告を行っている風景です。
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統計データの読み直し 福岡市やその他の団体が公開している福岡の データを洗い出し(右上写真参照)、数字の みが並んでいる読み難いでータをより見やす いものにつくり変えていきました(下図参 照)。いわゆる「インフォグラフィックス」 と呼ばれる情報の可視化を行いました。
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インタビュー
12.04.21_ 松岡恭子さん(スピングラス・アーキテクツ) 12.04.23_ 臼井智彦さん(福岡市総務企画局企画調整部) 12.04.23_ 小川玲子さん(九州大学) 12.04.24_ 岡優子さん(特定非営利活動法人再生可能エネルギー推進市民フォーラム西日本) 12.04.25_ 岩佐浩司さん(福岡市保健福祉局医療年金課) 12.04.25_ 柴田建さん(九州大学大学院人間環境学研究院) 12.04.26_ 佐々木喜美代さん(特定非営利活動法人アジアン・エイジング・ビジネスセンター) 12.04.26_ 出田光太郎さん、徳永昭夫さん(ビジネス創造センター) 12.04.26_ 川島光太郎さん(ブリッジ・コンサルティング合同会社) 12.04.27_ 佐藤恵一さん(IAF SHOP) 12.04.28_ 高橋梢さん(福岡市 NPO・ボランティア交流センターあすみん) 12.04.29_ 岩井眞實さん(福岡女学院大学) 12.05.08_ 山口吉則さん(福岡ユネスコ協会) 12.05.08_ サーズ・ニックさん(有限会社フクオカ・ナウ) 12.05.08_ 馬場健治さん(株式会社シーアール) 12.05.09_ 大矢理太郎さん(朝日新聞) 12.05.09_ 境田栄一郎さん(着ぐるみ応援団「るみすと -RUMIST-」) 12.05.09_ 鮎川透さん(株式会社環・設計工房) 12.05.09_ 福田忠昭さん(LOCAL&DESIGN 株式会社、We Love 天神協議会) 12.05.10_ 後藤太一さん(Fukuoka Urban Laboratory) 12.05.11_ 坪根千恵子さん _ 川越信一郎さん(アジアンビート)
ミーティング
12.04.20 _ 井手健一郎さん(リズムデザイン) _ 野田恒雄さん(no.d+a 代表) 12.04.22 _ 江上賢一郎さん(文化人類学) 12.04.27 _ 桑原あきらさん(PROTO HOUSE) 12.04.28 _ 平井康之さん(インクルーシブデザイン研究) 12.04.29 _ 島田陽さん(タトアーキテクツ) _ 清原昌洋さん(atelier cube) _ 井上聡さん(イノウエサトル建築設計事務所) 12.05.01 _ 濱砂圭子さん(株式会社フラウ代表取締役) 12.05.03 _ 山内泰さん(NPO 法人ドネルモ代表) _ 三好剛平さん(LOVE FM、まちなかアートギャラリー) _ 芳澤瞳さん(放射線技師、リノベ女王) 12.05.06 _ 正路佐知子さん(福岡市立美術館) _ 寺江圭一郎さん(アーティスト) _ 小山冴子さん(アートスペーステトラ、とんつーレコード) 12.05.10 _ 貞國秀幸さん(コヤマコンセプト/基地プロジェクト)
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RESEARCH STORE FUKUOKA 成果物「ISSUE MAP」の提案
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街の声
上部マップ上の吹き出しを選択することによって、それが持つ「タグ」 (上例では「アート」と「建 築」)を含むコメント、インタビュー、統計データなどが下部に羅列されていきます。 ISSUE MAP 約 1 ヶ月間の取材を終えて私たちが提案したいのは、RESEARCH STORE FUKUOKA のねらいでもあ る「日常生活のなかで見え難くなっている「ソーシャル・イシュー」を発見し、共有する」ために、都 市や地域へのちょっとした気づきや疑問に対して、他者の気づきや活動、またすでに行われている調査 から生まれた情報を結びつけることです。ここで私たちが提案する「ISSUE MAP」は、これを可能にす るひとつの都市認識の方法です。必要な情報をダイレクトに提供するのではなく、「情報の回り道」をつ くることによって、立場や分野を超えて共有される地域の課題(=ソーシャル・イシュー)を見ていく ための地図が ISSUE MAP です。
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タグによる分類 RESEARCH STORE プロジェクトでは取材したあらゆる情報に「タグ」をつけて分類しています。例えば「道路が狭い」という都市への 気づきに対して、これまでは「交通」という「カテゴリに」分類していたところを、「# 交通」「# 安全」「# 子育て」と「タグで」整理し ていきます。これによって、ある人の気づきに対し単に必要な情報のみならず、それに近い情報/遠いけど関係する情報等も与えられます。
タグ 具体的な「タグ」の付け方には様々な可能性があると思いますが、今回の RESEARCH STORE FUKUOKA では以下の 20 を選びました。 # 子育て # 広場路上 # 教育 # 観光 # 交通 # 産業 # 医療 # 安全 # アート # 住まい # 買い物 # 建築 # 湾岸 # 食 # 水 # 福祉 # エネルギー # 国際関係 # ネットワーク # コンパクト
具体的なアウトプット(ISSUE MAP)へ 今回 RESEARCH STORE FUKUOKA で得られた 1】福岡にまつわる、また福岡のための実践の情報 2】福岡に住む、また訪れた人々による疑問や気づき 3】福岡という地域の統計データ この三つの情報を蓄積し、上で述べたように「タグ」で分類していきました。 こうした情報の蓄積(データベース)はそのままでは利用が困難ですので、これを福岡の地理的な条件を通してその利用可能性を高める ことをねらいとした「地図(ISSUE MAP)」を提案しました。こうした方向性から、地域をめぐる情報提供の可能性を高めることによって、 地域の見方を提案したいと考えています。 RAD - Research for Architectural Domain 9
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地理的な条件 + 地域の情報群 ISSUE MAP では上部の地図と、下部の情報群(データベース)からなっています。 地理的な条件は、今回では地域の中で(他の地域に比べて)「ないもの」をマッ ピングしています。上部「文化的なスペースが少ない」は、アンケートで得ら れた発言であり、そこには「建築」「アート」というタグがつけられています。 このコメントをクリックすることによって、他の「建築」「アート」タグがつけ られた情報が下部に整列していきます。
右、左図:「アート」タグを持つ情報 右、右図:「建築」タグを持つ情報
情報の回り道 「文化的なスペースが少ない」という気づきに対し て「具体的にここにこうした場所があります」と伝 えるのではなく、ISSUE MAP は、その気づきの周 りにある福岡の地域情報を提示していきます。 気づきや疑問に対して、その答えを提示する「最短 距離」ではなく、「情報の回り道」を見せることに よって、福岡という地域をより深く知ってもらうこ と。これを ISSUE MAP のねらいとしています。
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データベースから具体的な記事へ 地理的条件とデータベースからなる ISSUE MAP に表示された 個別の記事をクリックすると、それぞれより詳しい情報を見る ことができます。 左下はミーティングでの対話内容 右下は先にも触れた統計データの視覚化
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主催者紹介
- RAD(Research for Architectural Domain) 「RAD」 は、2008 年 に 開 始 さ れ た「 建 築 の 居 場 所 (Architectural Domain)」を探るインディペンデン トなリサーチ・プロジェクトです。建築的なアイデア が「建てること」を超えてどこにあり、あるべきかを、 建築展覧会「rep - radlab. exhibition project」の企 画運営、レクチャーのコーディネートやドキュメン テーション、インタビュープログラムの実施と記録、 多様な主体による様々な建築的実践の記録と収集、イ ベントにおける空間構成や書籍その他の編集、翻訳な どを通して考えていきます。
- FUCA(Fukuoka Urban Community of Art) FUCA は、福岡から世界的に活躍するアーティスト やクリエイターを生み出すことを目的に設立された自 治コミュニティです。アーティストやクリエイターの 創作活動の場であり、イベントやメディアを通した表 現の舞台であり、地域内外とのコミュニケーションの 場であります。
お問い合わせ RAD - Research for Architectural Domain 〒 604-8005 京都市中京区恵比須町 531-13 3F tel:075-241-9126 mail:info@radlab.info 文責:榊原(RAD)
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