00
JP
はじめまして。松岡大雅です。
ME
東京の閑静な住宅街で生まれ育ちました。学際的な学びに興味を持 ち、慶應 SFC でビジネスから社会学、そしてデザインまで、広く勉 強していました。学部 3 年生のとき、偶然にも建築家と協働する機 会があり、空間を設計することの魅力と可能性に気づきました。そ こから建築設計を学びはじめ、現在に至ります。 建築の芸術的な側面や工学的な側面にも興味はありますが、社会的・ 人類学的な側面に最も関心があります。最近では、建築において廃 棄物を転用することの興味が強く、修士課程ではもっぱらこれに関 連する制作と研究をしていました。また、建築のみならず、社会学 や人類学を含めた広い関心があります。ポートフォリオの作品から も、その領域の広さを感じていただけたら幸いです。 来歴 1995 年 誕生 2014 年 桐朋高校卒業 2019 年 慶應義塾大学 環境情報学部卒業 2021 年 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科卒業 受賞歴 2015 年 GEIL Prologue 政策立案コンテスト:優勝 2016 年 サントリー学生アイデアコンペ:審査員賞(遠山正道) 2019 年 SFC 環境デザイン表彰:奨励賞
せんだいデザインリーグ:100 選
Gallery IHA ワークショップ:審査員賞(増田信吾)
EN
Hi, I am Taiga Matsuoka.
I was born and raised in a quiet residential area of Tokyo. I had widely studied business, sociology and design at Keio Univ. with
my interdisciplinary interest. When I was a third year undergraduate student, I had an opportunity to collaborate with architects. Through
this experience, I realized that designing space has a lot of attractions and possibilities. Since then, I have been studying architecture.
I am interested in architecture from art and engineering. However,
I have more interests from sociology and anthropology. Recently, I
am focusing on reusing waste from architecture and I completed my master thesis with that point of view.
Additionally, I am interested in various studies including architecture, sociology and anthropology. I hope my portfolio lets you know about my wide and deep interests. Career 1995 2014
Toho Highschool
Bachelor of Arts in Environment and Information Studies
2019 2021
Keio University Keio University
Master of Media and Governance
令和 3 年ポートフォリオ Portfolio 2021
01
HUMARIZINE
02
路上の建築から学ぶ建築設計の可能性
03
仮設住宅を転用した屋台
04
コンビニ廃棄食品でつくる土、それを中心に循環するまち
05
廃棄物の転用による、つくることの探究
06
スチューデントビルドキャンパス
07
川内ワインテイスティングパヴィリオン
08
積み重なるハコの道
09
海と町のあいだ
HUMARIZINE
Possibility of Architecture, Learning from Street House
Food Stall made of Temporally House Waste
Compost made of Convenience Store’s Food Waste, Soil Centered Cycle of Town
Exploration of Making, by Reuse of Waste
Student Build Campus
Kawauchi Wine Tasting Pavilion
The Path of Piled Up Boxes
In Between Sea and Town
Reference https://issuu.com/taigamatsuoka/docs/ portfolio2021
01
JP
HUMARIZINE No.00 嘘+ No.01 産地+ No.02 家族(ongoing) これは私と仲間たちとのライフワークで あ る。 自 ら の 制 作 や 研 究 を 対 外 的 に ま と め、複雑で変化の激しい社会に対して出版 す る こ と を 行 う。 編 集 に 先 立 ち、 考 え を 深 め た い テ ー マ を 定 め、 編 集 作 業 を 通 じ て、探究を行なっていく。その結実として、 HUMARIZINE を出版し、多くの議論を行う ことを目指している。このような出版行為 を通じて、様々なバックグラウンドを持っ た人間同士が、互いに関係し合うことで、 社会をサバイブする共同体をつくっていき たいと思っている。これまで、「嘘」と「産 地 Farming Habitable Land」と 2 冊を出版 してきた。徐々にではあるが、私たちが目
001
指している共同体の輪郭が見えてきた。そ して、出版自体も多くの人々の手に渡るよ うになってきた。3 年目に突入する今年、 テーマを「家族」として、この世界のなか で生き抜いていくための身近な共同体を、 多角的に考察していく。
EN
HUMARIZINE
-No.00 Lie + No.01 Farming Habitable Land + No.02 (ongoing)
This is the lifework for me and my crews. We are assembling our practices and
research to publish our annual magazine, toward the complexly changing society. We
002
always set the theme for a magazine that we want to research before editing. Through
our works for publication, we explore one topic deeply. After the publication, we aim
to involve someone in our discussion and to welcome as a member of our community. We have published two magazines “Lie” and
“Sanchi -Farming Habitable Land” already.
Gradually, I realize what our community
004
should be. And also, our magazine passes on to many more people as the time passes.
In this third year of HUMARIZINE, we set a
003
theme “Family” and decide to research the
nearest and the smallest community in the society.
005
006
01
HUMARIZINE
共同体をつくり、毎年 ZINE を出版する
No.00 Lie + No.01 Farming Habitable Land + No.02
Making Community and Publishing Annual Magazine Date:
2019.7 -
Type:
Magazine
Place:
(ongoing)
Tokyo, Japan + Online
Role:
図版脚注 Caption
Co-Founder, Editor, Editorial Designer (No.01)
001 クラウドファンディングページ Web Page of Crowdfunding 002 EC サイト E-commerce Site 003 007
012 HUMARIZINE No.01
004
005
産地 Farming Habitable Land
HUMARIZINE No.00 嘘 No.00 嘘 No.00 嘘 No.00 嘘 03
Goods sold at the E-commerce Site
はじめに 「産地 Farming Habitable Land」を考えるにあたって
002
松岡大雅
004
社会の中で実践する
準備中の新しい web サイト
コンビニのアルバイトから考える —廃棄食品と循環、土と都市
008
れいぽん
私的実験の場と学問的研究の場のあわいで
024
小梶直
ブランド Ay という実践の場で現地とともに「衣」を紡ぐ
030
村上采
災害都市と共に生きるための、未来の衣生活に関するデザインフィクション
038
佐野虎太郎
はじめに No.00 嘘 によせて れいぽん
EC サイトで販売しているアイテム
New Web Site
社会の中で構想する
PRACTICE IN OUR SOCIETY
インタビュー —アクティビズムから語る未来、そしてその可能性
052
08
路上生活者の家から建築、そして社会へ 松岡大雅
20
西欧人に見る自己責任と日本のコンビニの廃棄食品 れいぽん
058
CONSIDER FOR OUR SOCIETY
064 「感覚」をフィールドワークする
24
祝島誌 村松摩柊
アートとフェミニズムから考察するポリコレのその先 れいぽん
30
HUMARIZINE 創始によせて
No.02 の編集会議の様子
—アバシリから二風谷の森、そしてアイヌの物語世界へ
建築の美学と悪しき慣習 松岡大雅
26
005
藤原衣織
石井正樹
廃棄 / 分解 / 制作
070
Editorial Meeting of No.02
松岡大雅
CRITICISE OURSELVES
たのしいコンポスト
076
ー HUMARIZINE の目指す共同体、人間的であることを思索するー
れいぽん
連勇太朗 x れいぽん x 松岡大雅
40
HUMARIZINE 刊行によせて
自らを批評する
-判断を「ある程度」引き戻すこと-
村松摩柊
43
産地 Farming Habitable Land はいかにして可能か?
080
おわりに これからの時代をつなぎとめるには 松岡大雅
006
—制作、物、世界をめぐる思想 林大地
おわりに 「産地」とは何だったのか?
088
No.01 出版記念イベント
松岡大雅
008
013 コンビニのアルバイトから考える̶廃棄食品と循環、土と都市
008
No.01 Publication Memorial Event
009
Thinking From a Combini Part-timer Point of View: Food Waste and Circulation, then Soil and City
Self-responsibility Seen in Western People andand Discarded Food of Japanese Combini Self-responsibility Seen in Western People Discarded Food of Japanese Combini | 西欧人に見る自己責任と日本のコンビニの廃棄食品 | | 西欧人に見る自己責任と日本のコンビニの廃棄食品 |
れいぽん
しくはものすごいバッシングに見舞われるだろう行為だが、本当に
のように考えているのだろう。雇われた身で、機械的に企業の言い
誰も気にしないし、誰も文句を言わない。「誰かが要らなくて捨て
分に従っているだけか。それとも廃棄食品を持ち帰る行為はクソだ
たものだから誰のものでもないし、欲しい人が貰えばいい」「昨日
と思っているのだろうか。このようなルールを課す企業側も、経済
までの賞味期限なら、その数時間後に急に食べられなくなるわけで
的合理性を考え(それは多くの社員、そしてその周縁の人にも影響
はないし全然大丈夫」ということか。なぜ、このようなことがあり
する問題であるため)仕方なくこの立場を作り上げているだけでは
得るのかを考えた時に、それは作られているルールや常識の基礎が、
ないのか。先日真夜中のキャンパスでスケートボードに乗っていた
個人における責任によって託されていると認められているからでは
ら、(SFC は学校に泊まる残留という文化があり、夜ご飯のために
ないかということが考えられる。物乞いにお金を渡してその後何が
コンビニに向かう道中だった)駐在の警備員に怒られた。危ないの
起きても自己責任であるし、ホームレスと話してよくないことが起
で乗るのをやめてくれ、やめないとボードを没収するぞと凄んで言
きても自己責任だし、自分の捨てたものが他人に拾われても自己責
われた。誰もいない、街灯もあって明るいキャンパスの敷地内でス
任だし、期限が切れたものを食べるのも自己責任だ。自分の行動に
ケートボードに乗ることの何がいけないのか。警備員は本当に危な
2019 年の春休み、3 月 12 日から 4 月 12 日にかけて私は松岡とヨー
自分で責任を取る。自分の責任を理解して行動することは、とても
いと思っているのか。学校で怪我や事故を起こさないで欲しいから
ロッパの都市を旅してきた。1ヶ月間の旅行を通し、あらゆる都市
難しい行いだ。日本では些細な自分の不都合や不遇でさえも他人や
であろうが、自分でスケートボードに乗ることを選択して怪我をす
を見て一番に感じたのは、ヨーロッパの社会と人々は、日本(人)
社会の責任にしてしまう。コンビニの廃棄をアルバイトの人が持っ
ることの責任は自分にしかないはずなのだが。小学生ぶりにそのよ
よりも自己責任のありかがはっきりしているのではないかというこ
て帰れないのは、それに食あたりしてもコンビニ側は責任を取りた
うに怒られた私は疑問が消えない。この社会においてどこに責任が
とである。つまりそれは、自分自身と、他の境界線がはっきりして
くないからではないか。もちろん他にも構造的理由はある 2 と思う
あるのか。何が、誰が、悪いのか、悪く無いのか。どこまでが誰の、
いるということだ。自分で責任を取るべきことと、外的要因に責任
が、食べた人が食あたりになった場合、それをコンビニ側の責任に
何の、責任なのだろうか。
があるかを判断できているのだと考える。
| 社会の中で実践する | PRACTICE IN OUR SOCIETY
西欧人に見る自己責任と 日本のコンビニの廃棄食品
1/16
することも考えられる。 私はコンビニのアルバイトを始めることを決意した 3。実際にアル
私がそれを実感するには幾つかの驚いた経験があったからだ。訪れ バルセロナの街でゴミ捨て場を漁り、カートに乗せて持ち帰る人(2019 年 3 月撮影)
たイタリアのすべての都市には、物乞い(begger) やホームレスが いた。それは物乞いであれば多くの場合が女性であり、手に小さい
ローマで買った消費期限切れ半額のサンドウィッチ(2019 年 3 月撮影)
の領域における実践は何かということを模索している。 れいぽんの興味分野である芸術、都市、そしてそれを包 括する社会をどのような視点で見てどのように実践をし ていくのか。これから一年間をかけて実証する。今号で は春休みに 1 ヶ月間滞在したヨーロッパでの気づきを、
バイトとして働くことによってコンビニの廃棄食糧をめぐる実際の
差が生まれてしまったのだろうか。宗教的な理由なのか。ルネサン
状況を知ることができると考えたからだ。同時に、自分が従業員の
ス期の自然科学(法)の考え方はヨーロッパの現在の法律・ルール
一人として働き、少なからず責任を負うという立場になることで、
しわざ
はじめた。約 10 ヶ月のアルバイト及び各所のフィールドワークを通し、あらゆるステイクホルダー が複雑に絡み合った食品廃棄の実情と背景にある社会的構造を探っていった。仕事としてやらなけれ ばならないことと個人の意見の間にあるジレンマを考えながら、近代以降のシステムに生きる私たち はどうあるべきなのかを考えた。最終的には私自身ができる介入として、コンポストを用いたコンビ
コンビニのアルバイトから考える —廃棄食品と循環、土と都市
ニの新たな役割・ありうべき姿を提案した。
れいぽん(アーバンソイルデザイナー)
ほとんどのコンビニを牛耳っている -4。また大量廃
1. 都市、コンビニにおける食品廃棄
棄をまさに現在進行形で生み出している大きなファ
2019 年の春 -1、イタリアのスーパーで消費期限切れ
クターである。コンビニ店舗によっても違うが、1
のサンドイッチが売られているのを見た。5 割引に
日に数回ある廃棄チェックによって弾かれた大量の
なってレジ付近に並べられたそれは現地の人にとっ
食品はバックヤードへと運ばれもう 2 度と日の目を
1|
5|
昨年出版した
HUMARIZINE No.01 嘘 (2019)
1 日の食品廃棄を合算して数値化している。( 環
己責任と日本のコンビニの食品廃棄」というタイ
境省「スーパー及びコンビニエンスストアにお
トルで文章を書いた。前号も併せて読んでいただ
ける食品廃棄物の発生量、発生抑制等に関する
ければと思う。
公 表 情 報 の 概 要 」https://www.env.go.jp/council/ former2013/03haiki/y0314-05/ref01-4.pdf 参
浴びることはない。2013 年に環境省により発行さ
2|
んの問題もなく美味しく食べることができた。日本
れた調査によると全国のコンビニ店舗の廃棄量を合
米国には「ビル・エマーソン食糧寄附法」という
に置き換えると、期限がそこそこ近い食べ物が売っ
わせると 1 日で 21 万トンにも上るという -5。人は 1
ていることはあるものの、期限が過ぎた食べ物が
日の適正食事摂取量が 1500g ほどなので 21 万トン
売っている光景を見ることはない。法整備 -2 などの
で 14 万人の 1 日の食事をまかなえる。
話もあるが、現実に日本では人々の意識に消費(味)
たった 1 日でとんでもない量の廃棄が出ていて、こ
期限というものが深く刷り込まれていることは大き
れを長いスパンで見ると目も当てられない。現在は
いだろう。期限切れ=売ってはいけないもの、食べ
昔に比べて消費期限が延びたり、多少の割引をして
られないものという認識や規範が形成されており -3、 期限切れ間近を売っていたりもしているがそれでも
各コンビニチェーンが全国の店舗が出している
では、この実践の前段階である「西欧人に見る自
て違和感がない光景らしい。私も買ってみたが、な
照、
2020 年 7 月 27 日最終閲覧)
ものがある。これは提供した食品が元で事故が起
6|
こった際も、故意でない限り提供者は責任を問わ
重 労 働 が 続 く 中、 た っ た 1 日 の 休 業 を 宣 言 し
れないという法律である。
たあるコンビニ店舗が、本社により契約解除を
3|
テ ム へ の 懐 疑 を 露 呈 さ せ た。(Ben Dooley and
迫 ら れ た。24 時 間 365 日 営 業 と い う 現 行 シ ス
消費されているのだろうか。つまりこの既存のサイ
2. 虚構の循環
クルは廃棄が廃棄を呼ぶ負の連鎖であり、エコとい
実際にコンビニでのフィールドワークや、フードロ
今、地球ではあらゆるところで SDGs が叫ばれてい る。しかし企業理念としてそれを掲げているのにも
には以下のような構図がある。
かかわらず建前だけを整えて大量廃棄をしている現
コンビニチェーンは全国に数多くあるが、そのほと
実 -12。このギャップは一体なんなのだろうか。正
んどが大手に占められている。それら店舗のほとん
しいことを叫んでいるはずのその企業精神は、何を
どが、大手本社とフランチャイズ加盟の契約を交わ
救っているのだろうか。
したオーナーによって切り盛りされている -8。しか
本来ならば、食べられる廃棄は例えばホームレスな
Hisako Ueno「 日 本 の セ ブ ン イ レ ブ ン 店 舗 わ
し実情は、本社が
どの食べ物を必要としている人に渡るべきである。
期限が切れていた。半分以上食べてからパッケー
ずか 1 日の休業宣言が大問題に」『The New York
ジを見て気づいたが、交換して欲しい」という連
ロールをしている。店頭に品数が少ない店舗は他店
廃棄される豚の飼料に加工し直すのではなく、必要
Times』2019 年 12 月 31 日、https://www.nytimes.
絡が客から来たこともあった。
com/ja/2019/12/31/business/7-eleven-japan-work-
舗との競争に勝てないため、本社がオーナー店に大
な人のお腹を満たすために廃棄食品をそのまま循環
量に発注をさせている -9。特に東京の都心は目と鼻
できるような仕組み、食品廃棄の再分配が必要では
私が働いていたコンビニに、「買ったグミの賞味
translation.html 参照、2020 年 6 月 30 日最終閲覧)
けを得るために加盟店のコント
カップを持ってお金を乞うてくる。歩いている私たちに近づき、 「頂
に共通している部分があると考えられる。すべての大元を神の仕業
どのように廃棄食糧に対してアクションを取れるのかを体験したい
そのために店でも家庭でも大量廃棄が起こっている。 廃棄量は凄まじい。
だと考える(つまり合理的、論理的な根拠はない)ことによって、
と思ったからである。そうすればコンビニ廃棄における問題を構造
実際に食べられることができても、新しいものを買
また昨今では、コンビニ経営におけるトラブルも話
引にカップを近づけてくるので、 「そこまで言ってくるなら…」と
あらゆる現象を実験して確かめてきた。宗教観が衰退し、人間中心
的に理解することもできるし、自分自身の責任を持ってどのような
えばいい、新しくつくればいいと捨ててしまう。消
題になっている -6。以上のような理由により、食品
舗 数 の 多 さ は 順 に、 セ ブ ン イ レ ブ ン、 フ ァ ミ
食品ロス問題専門家 / ジャーナリストの井出留美
リ ー マ ー ト、 ロ ー ソ ン で あ る。( 不 破 雷 蔵「 コ
はコンビニなどの小売店を重点的に調査してお
をするので、売れなくなった店舗は淘汰されていっ
ン ビ ニ 店 舗 数 の 現 状 を さ ぐ る (2019 年 3 月
り、次のリンクに多くの記事を寄せている。私
てしまうのだ。破産に追い込まれる例も多数あると
4|
思ったりもするが、そういう人に限って綺麗な服をまとっているの
社会になった現代において、この神の領域はおのずから人間に置き
行動をとればいいかわかるはずである。私の現時点での立場は、コ
費(味)期限はある一点の時間を過ぎたものは売れ
廃棄のリアルな現場をみることによってその背景の
で財布に手が伸びなかった。私が見たホームレスはほとんどが男性
換わったとも言える。神の仕業は人間の責任になったことがうかが
ンビニの廃棄食品は捨てるのであればホームレスなどの食料に困っ
なくなる・食べられなくなるという、食品の本来的
社会的構図を探っていくためには、コンビニはうっ
であり、店のひさしの下やベンチとベンチの間など、都市の隙間を
えるのではないか。しかし、現代において自分の責任を自分で負う
ている人にあげたいと考えている。早速アルバイトの面接を申し込
な状態を無視した変な価値観なのだ。
てつけだと考えたのである。コンビニはあらゆるジ
使って自分なりの家を作っていた。中にはそこで物乞いをしている
のは簡単なことではない。自分と他の境界を理解していないと、ど
んだ。この行為によって見えてくるものは何があるだろうか。果た
昨今は実際に私たちの生活にも影響するような異常
レンマの巣窟だ。
人もいた。ホームレスは日本でも、特に首都圏においてよく見られ
こまでが自分の領域でどこからが他人の領域なのかを明確に判断す
してこれをやることによって、生まれるものがあるのかはわからな
るが、 煙たい存在として扱われている。自分も幼い頃に両親から 「何
ることはできなくなる。生まれた時から身についているはずの、身
い。しかし、現状を一番よく考えるためには、自らの身体性を持っ
をされるかわからないから、そういう人を見ても目を合わせちゃい
体性ともいうべきこれは、どのように消失するのか。日本人の身体
て取り組まねばならない。ここから始まるリサーチに、新しい知見
けません」と言われていたのを思い出す。何度か財布の中のコイン
性は消え、自己責任は失われた。何でもかんでも他に責任を問うこ
があることを信じてみる。自分の探求に納得がいくまで、向かい続
を取り出そうとしたが、無自覚に植え付けられた先入観と、少なか
の社会は正しいのだろうか。
けてみようと思う。
えることしかできない私を傍目に、ヨーロッパの人は、いかにも自 然にお金をカップに入れる。ホームレスと、道端で隣人同士のよう に話をしていたりもする。 何を話しているかは理解できなかったが、
1.2018 年に、英国の洋服ブランド・バーバリーは 42 億円相当の売れ残り商品を焼却処分
題を解釈をするため、フィールドに出ながら考えて
していたことが判明した。(https://www.bbc.com/japanese/44895854)
みることにした。
iderumi/20171013-00076697/)
れを安く販売することが一切許されていないらしい。ショーケース
廃棄され、ゴミと化す。余った服を焼却処分していたバーバリー 1
ナで見かけた、ゴミ収集場所のゴミを掘り出して、お金になりそう
のような状況が続いている。食糧難、エネルギー資源など環境を取
て、日本の都市のどこにでもあり、生活インフラと
VS.
1997 年生まれ。慶應義塾大学環境情報
化しているコンビニを選んだ。コンビニはお菓子や
学部在学中。大学では建築デザインを中
飲料、お弁当だけにとどまらず日用品や野菜なども
なものを次々とショッピングカートに乗せて集め回る人たちや、賞
り巻く課題は日本でも、今までずっと議論され続けてきたはずであ
自身の社会に対する問題意識と結びつけ、実践を試みる
味期限が前日に切れているサンドイッチの販売が普通に行われる
心に、都市やアートなど広義に渡って勉
る。しかしながら、それでも企業の正義と社会の正義は違うのだ。
販売している。他にもプリンターサービス、公共料
強中。卒業後はスペインの大学院に進学
前段階である現時点での考察を論じる。
ローマのスーパー。どれをとっても日本で行われていたら違法、も
では実際に、店舗の責任者である店長(オーナー)はこの事実をど
予定。(希望)
金の支払いや ATM 機能、配送サービスもある。現
①コンビニアルバイト(19 年 9 月 ~20 年 6 月) 実際にコンビニの食品廃棄における構図の、末端の
く、誰の腹を満たすこともなく契約を交わした業者
現場で内情を目にしようと考え、コンビニでアルバ
によって回収され、一般廃棄物として処分または廃
イトを始めた。実は 19 年 4 月当初、コンビニアル
棄食品加工工場に持って行かれる -10。そこではコン
バイト派遣に登録をして都内各所のローソンに勤務
ビニの廃棄食品を豚の飼料に加工し直している。豚
をしてみたのだが、毎回場所が違うと右往左往して
のノウハウを提供したり、店舗の統一感やコンセ
は人間と同じでほとんどの食品を食べられるらしい。 終わるために断念した。その後廃棄を配るためには
プトなどの水準を一定に保っている。
そしてコンビニの廃棄からできた飼料を食べた豚が
=同じもの=
的に続いている。利益は永続的にコンビニに回収さ れる。このサイクルは世の中的には「エコ」で「循
によっては勝手に発注をしてしまったり、ものす ごく圧をかけてくる人もいるらしい。
環している」らしく、「環境に良い」のでコンビニ で廃棄が大量に出るのは「問題がない」らしい。だ
つくられすぎているらしく、さらに余っていたりす るというのだ(そしてそれもまた廃棄されるのだろ う)。コンビニで廃棄が出てから飼料に加工され(ま た廃棄され)るまでに一体どれほどのエネルギーが
HUMARIZINE No.01 産地 Farming Habitable Land
私たちは実践することにより、多くの気づきを得る。 そしてそれは、私たちに新しい視座を与えてくれる。
それを元に批評することは社会の虚構を壊すことにつながる。
HUMARIZINE では毎号、あらゆる分野の実践における批評や提言を展開する。
私たちは自身の実践を通し、実際に感じたり目の当たりにした事実と対峙している。 ここでは、実践のリアリティから語ることのできる考察を、 その号のテーマという視点をもとに行う。
コンビニ店舗で働き始めた当初の写真。名札がオーナーの手書きだった。
014
社会の中で実践する / PRACTICE IN OUR SOCIETY
CONSIDER IN OUR SOCIETY
私たちは、実践と批評を繰り返し、
社会のためにするべきこと・できることを構想する。
実践することによって培った叡智は社会を反映しているとともに、
Rei Terauchi
社会の中で構想する 私たちは、止まることなく思考を巡らせ、あらゆる事象を構想することの重要性を唱える。 構想することは実践の強度を増すだけではなく、際限なく広がる社会の歪みに一石を投じることができる。 その手法は啓蒙やルポ、批評など様々であるが、 どれもフィールドに赴き、目的に対して手足を動かし、思考を続けた結果である。 HUMARIZINE では毎号、あらゆる分野の構想を展開する。 私たちが構想していることは、今後あらゆる形で発展していくはずだ。 それは新たな実践につながるかもしれないし、より深い構想につながるかもしれない。 私たちの構想によって浮かび上がることは、社会に新しい何かを示してくれるはずだ。
010
015 たまごの殻や魚の骨はめ
| HUMARIZINE 創始によせて | For the Procreation of HUMARIZINE
ー HUMARIZINE の目指す共同体、人間的であることを思索する ー
ちゃめちゃ時間かかる
さんは、れいぽんと松岡大雅が 2016 年 度から二年間参加していた SBC1 という プロジェクトの指導教員であった。連さ んはものづくり初心者の二人にデザイン とは何か、どのようにデザインするの かなどあらゆるスキル・思想を叩き込 んでくれたデザインの師匠。モクチン 企画 2 で建築という分野から社会にアプ ローチをし続ける実践の師匠。そして大 学時代は二人と同じく小林博人研究会に
を感じました。
圧迫を受けた人々が、自分の立場を守るため
が起こり、このままでは救いようのない問題
に嘘をついたり、また SNS の波及も相まっ
で溢れかえっています。そのような社会に対
た結果、より個人主義の方向に進んでいって
して私はどのようにアプローチしていけば良
しまったんですね。
いのか。それを考えた結果が HUMARIZINE
その先には、私たち日本人が一つの「国」と
です。「どうすれば人間的であるということ
いうものにいるけれども、お互いの幸せのた
を追求できるのか」をミッションに、私と大
めに行動できない、自分のことしか考えられ
ディア研究科卒業。現在は NPO 法人・モク
雅が核となって ZINE を通した共同体を作り
ない人ばかりになっちゃうんじゃないかなと
ました。
思います。つまり自分の家に閉じこもって、
また、構想段階ではありますが、私の卒業制
あるイデオロギーにすがっているような状態
@ カマタ共同代表、横浜国立大学、慶應大 学 SFC、法政大学で非常勤講師。 京急線高 架下でインキュベスペース KOCA を運営中。 学芸出版社より「モクチンメソッドー都市を
室が合同で行なっているプロジェクトで、学生・教職員・卒 業生が一丸となり新設キャンパスの設計から運営までをデザ インしていくことをコンセプトに掲げている。2014 年に当
作も HUMARIZINE で考えたことから始ま
です。しかし、もっと「人間としてのあるべ
る都市や社会への提案をつくろうという風に
き姿」とは、お互いのために行動できたり、
考えています。
自らの身体性を持って人と人が繋がり、新し
か。
代表理事の連勇太朗さんをお呼びしました。
このまま安倍政権が続いて社会が膠着してい
連さんは既に社会に対していろんなことを
く先に、いつかある瞬間に終わりが来ると思
やっている実践者であるし、私と大雅が実践 を始めるきっかけになったデザインの師匠、 実践の師匠、人生の師匠でもあります。
トで、2016 年に松岡と寺内が参画した。3 人の出会いのきっ
うんですよ、気づかない間に。それってすご く恐ろしいことだと思います。
でありたいと思っていますが、個々の実践と
経緯を一度共有したいと思います。
同世代の実践に対する批評を繰り返すこと
2. モクチン企画は連勇太朗が代表理事を務める戦後大量に
きたい。
で、社会に対して自分の実践を位置付ける言
建てられた木賃アパートを社会の重要な資源と考え、再生を
各時代において、様々な人間像が設定され、
松岡大雅─「人間的」という言葉は、間違い
それによって社会や制度ができたわけで、人
なく大事なことではあると感じるけれどもな
間の概念自体を問い直すにあたってその問い
かなか定義しにくい言葉です。
自体をまずは相対化して考えないと、「家族
僕はヒッピー 5 の思想が好きです。彼らは脱
目指すためにあらゆる試みをしている NPO 法人。「モクチ
論空間、あるいは国家や家族とは違うオルタ
ルタナティブな共同体をつくるプロジェクト
ナティブスペースみたいなものが私たちの世
で公開することなどを通し、今までにない都市への介入を
です。
代のなかで必要なのではないか。
行っている。
私はもともと社会思想について関心が強く、
それを機に今回 HUMARIZINE という共同
高校生の時から批評家・東浩紀や社会学者・
体を作ろうと発案しました。
宮台真司の本を読んでおり、今もゲンロン
3
のカフェでアルバイトをしています。
HUMARIZINE は、 「人間的であるというこ
所属し、ちょうどれいぽんより 10 個上
また東日本大震災の際、Chim ↑ Pom4 の作
とを追求することを通して社会を拓く」こと
品を見てから、自分の領域で社会に対してア
をテーマにしています。
刊、発足にあたり、二人の師匠である連
プローチする芸術活動に憧れを抱いていまし
ここで言う「人間的」とは、 「今ここにある
は HUMARIZINE をどう見るのか──連
た。
自分が感じることから思考するというような
さんの思想や社会に対する視座をもとに
大学に入ってからすぐに、SFC の SBC のプ
身体性を持って、外部から偶発性を生み、行
HUMARIZINE をどのように捉えるのか。
ロジェクトに関わっていましたが、卒業に際
為する」という意味です。
三人での鼎談を通し、未知の領域である
して自分のプロジェクトをやるタイミングが
テクノロジーの発達によって便利になった社
HUMARIZINE の可能性を探っていく。
来たときに、自分の周りの実践者をみている
会に生きている私たちですが、時代の流れや
ンレシピ」という木賃アパート改修ためのレシピをウェブ上
3. ゲンロンは、作家・思想家の東浩紀が 2010 年に設立し
ういうことなのか、ということをもう少し聞
や仲間を大事にしようぜ」とか「自分自身で
た企業。現上田洋子代表。ゲンロンが運営するイベントスペー
問い直す存在が人間だ」とか、聞き覚えのあ
ス、ゲンロンカフェでは政治、思想、美術、ジャーナリズム、
る人間像ばかりが問題になってしまって、人
情報社会などを中心の話題とし毎週数回のイベントが開催さ れる。
間的であるということを追求すること自体が 保守的な行為になってしまう。
い作品を発表し、あらゆる方面で話題を呼ぶ。代表作は「明 日の神話」(2011)など。
5. 1960 年代にアメリカで既存の社会制度や価値観からの
人々の総称。松岡は高校時代からヒッピーカルチャーへの興 味があり、当時は憧れを抱いていた。
コンビニ廃棄でもらったパン 1 つ、 おにぎり 2 つ、サンドイッチ 1 つ、 庭で採れた枝豆の殻
土中コンポストをかき混ぜ、穴を掘る
このコンポスト堆肥を混ぜた土で野菜を育てよう!
15 センチくらいの深さ
植物によって合う合わないはあるみたいだけれど、 とりあえず野菜が採れています!
「人間的」な身体を問い直していけたらいい
油っぽいものは微生物が好むので
なと思っています。
コンポストが活性化される!
社会を思考して、より内面となる自己に向 かって行った例だと言えます。まさにドラッ グは彼らが人間の本質に近づこうとして使っ
虫がたからないよう、ニオイのも
ていたものですよね。
とにならないように注意は必要!
「人間を思考する」っていうのは非常に曖昧
れいぽん─今号の ZINE は「嘘」というテー
として「人間的である」ということは否定し
マを選んでいます。
にくいと思います。これはこの言葉の面白い
昨今の日本の政治の場では、自分の損得のた 離脱を掲げたカウンターカルチャーと、それに参加していた
土に還すもの
毎日混ぜたら毎日廃棄などを投入できます 分解の様子を見つつやろう!
場所と時期で臨機応変にやろう
な言葉だと思う一方で、本来そうあるべき姿
4. 2005 年に東京で結成した6人組のアートコレクティブ。 時代のリアルを追究し、現代社会に介入したメッセージの強
手をかければそれだけ成長します
式に! 最初 て土中 はダンボー ルだったけど土壌改良もかね
私たちはそれに対して「世直し」、つまり少
私は都市・芸術というフィールドでの実践者
す。まず、HUMARIZINE をつくるに至った
HUMARIZINE は、ZINE の出版を通してオ
コンポストはペットのようなもの!
る りてつくってい コンポスト。 庭を借 岡家の の松 狛江 東京
しずつでも人を巻き込んで共同体を作って、 連勇太朗─「人間的である」ということはど
れいぽん─では鼎談を始めさせていただきま
かけは SBC にある。
野菜の芯も結構かかる
い共同体を作ったりすることなんじゃない 今回、鼎談ゲストに NPO 法人モクチン企画
時博士課程在学中だった連が中心となり発足したプロジェク
の世代という人生の師匠でもある。創
30
バブル景気以降の経済破綻によって社会的な
ました。社会はあらゆるイデオロギーの対立
チン企画で代表理事を務めるほか、株式会社
1. Student Build Campus の略。慶応 SFC 内の複数の研究
と、私たちの世代に批評と共同体意識の不在
も嘘が多いと感じています。
第には人間的であるということさえも喪失し
1987 年生まれ。慶應義塾大学院・政策メ
編集:佐野虎太郎 撮影:永田右京
「人間的」の追求を通して 社会を拓く
また、政治においてのみならず、身の回りで
行動を起こすというような身体性を失い、次
連勇太朗
変える木賃アパート改修戦略」出版。
今回鼎談に参加していただいた連勇太朗
便利さと代替に、共同体意識や誰かのために
| 自らを批評する | CRITICISE OURSELVES
松岡大雅×れいぽん×連勇太朗
HUMARIZINE 創始によせて
No.01 Sanchi -Farming Habitable Land
はこのサービスも飽和状態で廃棄を加工した飼料が
が基本となっており、大手コンビニ 3 社が日本全国
CONSIDER FOR OUR SOCIETY 社会のために 構想する
012-016 No.01 産地
廃 G メンが見た 食品廃棄の裏側』-11 によると実情
食べ物に困る人
21
009
No.00 Lie
が、廃棄食品のリサーチをまとめた石渡正佳著の『産 廃棄食品加工工場
つくりたいサイクル
代の生活必需を凝縮した場だ。24 時間 365 日営業
20
007-011 No.00 嘘
再びコンビニのお弁当になり、そのサイクルが永続
9| 私 が 勤 め て い る コ ン ビ ニ チ ェ ー ン で は、OFC (Operation Field Counselor) と い う 本 社 社 員 が 毎
賞味期限前は 消費者
品廃棄に関わるあらゆるステイクホルダーをフィー
えをよくして経営を保っている。 ルドワークすることにした。
コンビニ店舗で出た廃棄は店員に配られることな
週各店舗を訪れ発注アドバイスをしている。OFC
廃棄が廃棄を生み出すサイクル
再分配の仕組みをつくるため、まずはコンビニの食
ことをやめない。競争に勝つため、オーナー店は大 そして案の定、毎日食品廃棄が出る。
に異なる。また本部は FC オーナーに対して経営
弁当加工工場
VS.
チを進めることにした。そして掘り下げる題材とし
れいぽん
3. 食品廃棄と人間、そしてそのリアリティ
いう。それでも本社は利益のために店舗数を増やす 量に発注をし、品
チャイズ加盟料などの条件は店舗やコンビニごと
品廃棄についてのフィールドワークを用いたリサー
medium.com/@reiterauchi)
えを重視して買い物
舗は企業や個人オーナーなどさまざであり、FC
数パーセントなどを支払っている。料率やフラン
コンビニ店舗
こうなってしまうと、客は品
に掲げて第三者が店舗を運営すること。FC の店
てコンビニ本部に売上の数パーセントや粗利益の
先の消費期限切れのサンドイッチをきっかけに、食
3. れ い ぽ ん の コ ン ビ ニ で の ア ル バ イ ト フ ィ ー ル ド ワ ー ク を 記 述 し て い る。( https://
に華々しく飾られていた、一つあたり数百円とするケーキは余れば
イト http://www.office311.jp/index.html) 8|
大量に発注させる
2. 食品ロス問題ジャーナリスト・井出留美の HP より。(https://news.yahoo.co.jp/byline/
ランドを維持するために従業員が余ったケーキを持ち帰ること、そ
参 照、2020 年
形態でのコンビニオーナーはロイヤリティーとし
きない。私(たち)はその問題に対してどのように
して疑問を抱いた。友人が働いているケーキ屋では、そのネームブ
は大々的に非難されたのにもかかわらず、日本では変わらずしてこ
も た く さ ん 参 考 に さ せ て も ら っ た。( 株 式 会 社 office 3.11 代表取締役井出留美 オフィシャルサ
fuwaraizo/20190412-00122018/
フランチャイズ(FC)はコンビニの名前を看板
当な理由を考えなければ課題を突き止めることもで
私はとりわけコンビニをはじめとする飲食販売業務の食料廃棄に対
えた。私にはこれが不思議な光景でならなかった。他にもバルセロ
時 点 )」 『YAHOO!JAPAN ニ ュ ー ス 』2019 年 4 月 12 日、https://news.yahoo.co.jp/byline/
コンビニ企業
しそれでも私たちは廃棄をしていて、そこにある正
向き合い振る舞うべきなのか。自分なりに現状の課
身の上話をしていたり、ホームレスの悩みを聞いているようにも見
の先に同系列・他系列関係なくコンビニ店舗がある。 ないかと考えた。
7|
6 月 26 日最終閲覧)
コンビニの実態と背景
な影響を与えているのはまぎれもない事実だ。しか
らず何が起こるかわからない外国にいるという恐怖心もあってコイ ン一度もをあげることさえできなかった。一回してしまったらキリ
記 事 に よ る と 2019 年 3 月 時 点 で コ ン ビ ニ 店
気象が起こるなど、環境問題は危急の状況に陥って いる。これまでの大量廃棄が地球規模の問題に大き
う仮面をかぶった虚偽の循環であろう。
ス研究者・井出留美 -7 の記事を読むなどのリサーチ を通してわかったコンビニの廃棄食品をめぐる現状
戴」と直接声をかけてくる人も少なくはなかった。この場合割と強
がないとも考えたからだ。しかし、そんな風に頭の中であれこれ考
れいぽんは HUMARIZINE という実践の中で、自分なり
どのようにしてヨーロッパと日本で責任を取るという行為に対する
都市の食品廃棄の現状に疑問を持った私は、フィールドワークとしてコンビニで実際にアルバイトを
01
めに立場を利用して、周りの人達を顧みない
点です。
土を再度かぶせてとりあえず完了
「自分だけがよければいい」とか「仲間たち
行動が多く見られます。私は、そこに「身体
だけがよければいい」「自分の家族だけがよ
性の欠如」を感じざるを得ませんでした。
ければいい」という閉じた世界観から卒業
31
011
投入した場所を毎日かき混ぜて空気を 細かくちぎったパン、おにぎりを入れる なんでも細いほうがいい
Reference
含ませるのが大事 暑いと1週間もせずに分解されるかも?
あれば生ゴミや茶殻も還します
016
https://humarizine.com
02
路上の建築から学ぶ建築設計の可能性 路上生活者の生活思想から始まる建築実践を通じて
JP
建築と資本の強い関係性を再考することを テーマに、資本的価値のない廃棄物を用い て家を建設している路上生活者の生活を
001
フィールドワークした。とくに東京の河川 敷で生活する路上生活者の家のつくりかた をリサーチするために、どのように家の材 料を収集し、暮らしているのかをヒアリン グした。仲良くなることのできた路上生活 者の加藤さんに、多くのことを学ばせてい ただいた。その後に、自らも彼らの生活を 模倣し、都市空間から集めることのできる 廃棄物を収集し、河川敷に小さな自邸を建 てて生活をした。そのプロセスは web メディ アによってアーカイブし、最終的にリサー チブックとしてまとめ、出版した。
EN
Possibility of Architecture, Learning from Street House
-Through Architectural Practice Based on Life Thought of Street People-
I rethought the relationship between
architecture and capital. I focused on the
fact that homeless people were making their
002
house without money and capital. Then, I researched how to make the house like
homeless and how to live in urban space
like them. I had learned a lot from Mr. Kato
who lived by river side of Tama River. After learning a lot from him, I also started to live there, collecting wasted stuff for building my small house. The process was archived on
web media and I published it as a research book.
003
004
02
Possibility of Architecture, Learning from Street
都市空間の廃棄物を集めて建築をつくる
House
Building Small House by Waste in Urban Area Date:
2018.5 - 2019.1
Type:
Graduation Project
Place: Role:
Tokyo, Japan
Researcher, Designer
Through Architectural Practice Based on Life Thought of Street People
D
図版脚注
狛江市中和泉5丁目の新築建設現場
Caption
若くてイカついヒゲのお兄さんが 2 人で回している現 場に勇気を振り絞って突撃すると、なんとパレットを頂 けた。絶対元ヤンキーだが、偏見を吹き飛ばしてくれる
001
ような現場だった。とはいえ目つきとか恐ろしいけど。
河川敷の歩行者からみた自邸
細い角材は柱の一部として利用
My House Seen from Pedestrian
パレットはそのままリビ ングの基礎として並べて 一畳の空間を作った
002
005
手に入れたもの
家からの距離と運搬手段
パレット(900mm)× 2
2.4km 自転車+車
2 × 4 の端材×1
訪れた日
角材の端材(20mm × 30mm)×1
2019.1.14 1.17
玄関からみた自邸 My House Seen from Entrance
E
003
狛江市中和泉1丁目の新築建設現場
リビング
狛江駅から近くにあるこの建設現場は敷地が狭く、道路 から手を伸ばせば届くようなところに廃材置き場があ
Living Room
る。ちょうど内装の工事が進んでいた頃で、ボード類の 端材がたくさん捨てられていた。
細長いボードは壁に貼り
サッシはアルミの
004
付けてルーバーに
窓枠として使用
デスクからの眺め
大きいボードは
006
手に入れたもの
家からの距離と運搬手段
石膏ボードの端材 ( 細長)× 6
1.7km 自転車
石膏ボードの端材(大)×1
訪れた日
ブルーシート×1
2018.1.14 1.17
ブルーシートはリビングの屋根に
テーブルの天板
使えるように資材置き場に保管
として利用
View from My Desk 005 新宿駅西口の路上の建築
アルミサッシ×1
Street Houses at Shinjuku Station West
F
狛江市元和泉1丁目の新築建設現場
Exit
フェンスの外から現場を覗き込むと地面に釘が何本か落 ちいていたため、職人さんに声をかけたところ、なんと 新品の釘を両手にドバッとくださった。人の恩恵も受け
006
ながらプロジェクトが進んでいくことの象徴的な現場 だった。
川崎(多摩川)の路上の建築 Street Houses at Kawasaki Tama-river
狛江の家の接合部の多くにこの 現場でいただいた釘を使用
007
009 手に入れたもの
家からの距離と運搬手段
釘(50mm)× 94
1.2km 自転車
007 加藤さんの家(等々力・多摩川) Mr.Kato's House at Todoroki Tama-river
訪れた日 2019.1.10
008
73
狛江(多摩川)の路上の建築 Street House at Komae Tama-river 008
009 011 Research9
夫なものは外に野ざらしにされている。
加藤さんの家
に芽生えさせてくれる加藤さんの力は半端じゃな この写真で言えば右手の赤い椅子が置いてある
日時: 2018.12.2(日)
Analysis of My House Materials
加藤さんは完成したら見に行くから教えてね。と ぼくに言い、解散した。
い。 )
ところが玄関のような空間だ。そしてさらにその奥
15:00 - 16:30
にリビングルームがある。実測はしてないが、今回
場所: 多摩川河川敷(等々力)
のリサーチでだいたいの寸法感覚がわかった。
天気: 晴れ(14°C)
010
約2m が基本単位となって、空間を区切ってい る。残念ながら居室を拝見することはできなかった
うなぎは釣れていないものの、加藤さん
が、全貌は何となくわかってきた。
にしっかりと、模倣して制作したいとい
スケッチに方角を入れるのを忘れてしまったが、
う旨を伝えるのが今回の目的だ。
構法のスケッチ
右手前方向が北だと言う。北風を凌ぐことと、キッ
結果的に今までにないくらいにじっくり
9
る。ただの缶コーヒーでそのシステムをぼくとの間
自邸のマテリアルの分析
と話し込む結果となったが、純粋にとて
等々力駅から徒歩 20 分くらいの河川敷に加藤さ
チンを安全に使うために、北側のファサードには普
も楽しかったし、加藤さんとの距離が一
んの家はある。ご覧のようにものが多い加藤さんの
通のブルーシートよりも丈夫な防炎シートを用いて
気に縮まった気がする。
家なのだが、 本人的には宝の山なのだと言っていた。
いる。そして日当たりのいい南面は居室という、何
どこに何があるかはだいたい把握しているらしい。
とも環境に適合した間取りである。
でパトロールの人にはいい加減片付けろと注意を受 けたらしい。加藤さんは笑いながら片付けが苦手だ
加藤さんの人生 ぼくが訪れた時、加藤さんは大音量でラジオを聞
と言っていた。
Sketches of Construction Methods
堤防の階段に腰掛けて小一時間。加藤さんの人生
もうぼくは驚かないのだが、結構散らかっているの
の話をベースに、ぼくたちはたくさん話した。生ま れた山梨県の話、育った横浜の話、やんちゃをやっ た話、仕事の話、 、 、 (ここには書けない話も)
いていた。申し訳ないが、せっかく来たので入り口
たくさんの話を聞いたが、なぜホームレスになっ
で加藤さんの名前を3回くらい呼ぶと、ようやく返
たかは話さなかった。聞いたら答えてくれるだろう
事が返ってきた。
けど、ぼくも聞こうとも思わなかった。ぼくらは親
加藤さんはコーヒーでも飲みに行こうか、と言っ
子みたいな感じだった。父さんが昔の武勇伝とか、
た。こんなところにコーヒーがあるんですか?と驚
仕事の話とかを延々とするじゃない。加藤さんはま
くと、あるよ。と返す。
さにそういう父さんだった。
011-013
堤防の階段に腰掛けてて、とぼくに言い残し、加
前回まではなかったブルーシートの屋根がとて
藤さんは街の方へ向かった。まさか、とは思った
太陽が沈んでいき、徐々に河川敷に寒さがやって
が、加藤さんは当たり前のように両手に缶コーヒー
くる。コーヒーもとっくに冷めてしまって、この環
を持ってこっちに戻ってきた。
境の厳しさを肌身を持って体感する。
ぼくは今までにないくらいに奢ってもらってい
加藤さんはトイレに行きたくなったのだろう。そ
トの下はまるで土間だ。たくさんのものが散らかっ
いのか、 、 、と悩んだが、ここは潔くお礼をいい、コー
ろそろ戻ろう、と言ってきた。そして歩いていると
ているが、だいたいこの辺にあるのは生活に必要な
ヒーをいただくことにした。 (おそらく加藤さんに
茂みに入っていき、いつも通り堂々とおしっこをす
ものか、やや大切なものだ。濡れてしまっても大丈
とってこれは日常だ。贈与のシステムがここにはあ
も目立つ。 どうやら増築したようだ。 そのブルーシー
リサーチブック
る。
Research Book
制作について 最後に、加藤さんのように路上生活者の人たちの 手法を真似て家を建てたいと進言した。加藤さんは 面白そうに話を聞いてくれた。もちろんやってみる といいよ、と。だけど、狛江(ぼくの住んでいる場 所)でやりな、と言ってくれた。そっちの方が収集 が楽だし、面白いよとのこと。 ぼくのメンターは加藤さんだ。 この加藤さんの言葉を信じて、ぼくはもえないご みの日の朝に町を巡回して、建設現場では資材のは し切れをもらう。こうやって彼らは家をつくってい るのだ。ここの建築家は図面も模型もつくらない。 あるもので家を建てる。それが楽しみであり、生き 抜くことでもあるのだ。建築家や職人さんやゼネコ ンの人たちにとって、建てるという行為は楽しみで あって生き抜くことであるのと一緒だ。 31
30
Research28 日時: 2019.1.20(日) 9:00 - 15:00 場所: 狛江市多摩川河川敷 天気: 晴れ(4-12°C)
の代わり1月中に撤去してください。あと、これ以
モスバーガー
上の増築はやめてください。寝室さえあれば寝泊ま りには困らないでしょ?」
和泉多摩川駅前にあるモスバーガーは朝 7 時から
012 も、壁としても) ・寝室の作り方とリビングの作り方の違いが明確 だと面白い。 (張力を使ってみたら?)
と釘を刺しながら、ぼくの要求を飲んでくれた。
開店している。就寝時間にもよるが、7 時は河川敷
90 分間みっちりとフィードバックを受けながら、
の生活とマッチした時間帯かもしれない。今回は 9
家がなくて困っている人は、すぐに出て行けと言わ
時くらいに入店したが、朝からご飯を食べて暖をと
れても路頭に迷うだけだ。なんだか出て行かなきゃ
ぼくの家で小林さんが買ってきてくれたコンビニ弁
れるのはありがたい。
ならないのは悲しいことだが、本当に家がない人た
当を一緒に食べた。
ちを守るためのルールでもあるんだと思うと、従わ
今日は朝起きてから家には帰らず、街の
ざるを得ない。
どこかで朝食を食べてまた河川敷に戻っ てみようと思う。都市には色々な昨日が
帰り際にパトロールの人は
分散していて、それらを繋ぎ合わせれば
「ところでお名前は?」
大きな家のようである。 また、お昼の時間には研究会の教授が来
とはいえ気にせずずっと作業をしていると、14
てくれる。そこでエスキスを受けて最後
時すぎくらいに国土交通省のパトロールの人がぼく
の1週間に繋げたい。
の家にやってきた。初めての対面だ。
と聞いてきた。なんかに登録されるのかな、嫌だ なと思いながらも 「松岡と言います。 」 と答えたら、
夜に使ったスマホやパソコンの充電をしたいと 思っていたら、このようにコンセントがある座席を 発見した。特に注意書きとかはなかったので、遠慮 なく一つはスマホへ、 もう一つはパソコンへ繋いだ。
パトロールの人は思っていた以上に物腰が柔ら かい人で、ぼくを諭すような語り口だった。 「ここに造作物を無断で置くことは法律で禁止さ れているから、 撤去して欲しいんです。 あなたはホー ムレスですか?仕事はありますか?」
電気は欠かせない存在だ。河川敷で生活している 路上生活者でさえも、ソーラー発電やバッテリーを 駆使して何かを動かしたりしている。 加藤さんは昔、 発電機そのものを持っていたらしい。そのようなリ ソースが身近に手に入る例として、今朝のモスバー ガーは最適なものだった。
ぼくは卒業制作でやっているとは言わずに、 「身を寄せる家はあります。仕事はないです。こ こでは週の半分くらい泊まっています。 」
「私はタケウチです。よろしくお願いします。 」 と返してくれた。最後は登録されるのかもしれな いけど、その柔らかいコミュニケーションになんだ
張力で壁を立てる エスキスを生かして、そしてタケウチさんからの
か心が暖かくなった。 「君はまだ若そうだよね。30 歳にもなっていない
注意を生かして、リビングルームは張力を用いて建
んじゃないかな?まだ 20 代なら仕事もいっぱいあ
設し、即興的に展開できるものにしたいと考えた。
るよ。頑張ってね。 」
屋根も常にある必要はなく、必要な時にかけられる
そう言い残して、タケウチさんは去っていった。
ようなシステムを作れればいいと思う。
と嘘ではない範囲で答えると、パトロールの人は 色々と想像力を働かせてくれて、 「まぁ色々と事情はあるでしょうからね。でも早 く仕事を見つけて、ここに住むのをやめなさい。 」 と言ってくれた。親心に溢れた人だ。
多摩川の権利
ここで気になっていた疑問をぶつける。 「あの橋の向こうにも住んでいる人がいますよ ね。あの人は撤去しなくてもいいんですか?ぼくが
ストラクチャーのフェンスとコンクリートブ
ここでホームレスですと答えたらここにずっと住め るんですか?」 「ホームレスの人も本当はダメだし、生活保護と 施設の案内も出して、路上生活をしないように促し てるんだけどね。やっぱり生活保護とか施設とかを 嫌う人もいる。そういう人には、名前とか生年月日 とか出身地とか諸々の情報を書いてもらって、ホー ムレスとして登録している。 」 という回答だった。つまり、河川敷のホームレス モスバーガーから帰ると、国土交通省のパトロー
に関しては、オリジナルの住民票のようなものがあ
ルの人がぼくの家の前にいた。遠くからその様子を
り、そこで全部を管理しているのだ。やはりブラッ
観察してみると、家の写真をたくさん撮ったり、な
クの中のホワイト、グレーゾーンの施策がされてい
にやら情報を書き込んでいたり、警告のステッカー
るのだ。
を貼ったりなどしていた。12/31 に一回やられたの で、今回が 2 回目ということになる。
「でも、1月いっぱいはどうしてもここに住まな きゃならないんです。 」
相変わらず攻撃的なステッカーだ。
そう伝えると、案外あっさり 「わかりました。上司にそう伝えておくので、そ
010
60
ロックを用いて、ヒモの張力で壁を立てた。他にも
エスキス
柱を立てて、空間の全体像を浮かび上がらせること
お昼すぎに小林さん(ぼくが所属している研究会
ができた。
の教授)が来訪してくれた。研究会活動を通して 3 年間お世話になっていて、この路上生活者のリサー 恩師だ。 小林さんからのフィードバック ・ブリコラージュはひとつひとつの意思決定の積 み重ね。計画なしの建築だから、なぜそうなったか を説明できることが大事。 ・プライバシーについて考えること。
張力を用いるのはかなり実用的なアイデアだ。壁
・一般の人たちが通る道との関係性が大事。 (パ
を2箇所くらいに立てることができれば、それでも
ブリック→セミパブリック→セミプライベート→プ
うなんとなく空間として区切ることができそうだ。
ライベート)
これ以上の恒常的な増築はできないが、仮設的な
・ストラクチャーをもっと生かす。 (構造として
Collaborator Mr.Kato
チも 1 年間卒業プロジェクトとして見守ってくれた
増築は可能になりそうだ。なので、壁にボードなど
61
013
Reference https://issuu.com/taigamatsuoka/docs/ graduationproject_book
03
仮設住宅を転用した屋台 宮城県利府町みちづくり・まちづくり
001
JP
東京オリンピックの開催地のひとつとなっ ている宮城県利府町では、スタジアムから 主要駅までの道のりが閑散としているとい う課題を抱えている。この問題に対し、低 コストで仮設的に町を盛り上げるための
002
ツールとして、屋台を制作した。屋台にて 地域特有の食材や工芸品などを販売する狙 いがある。設計では、東日本大震災の復興 で用いられた仮設住宅が解体・廃棄されて いることに着目し、その廃部材を再利用し て躯体をつくった。また、町内にある木材 加工会社と協働し、ベニア板を加工してテー ブルなどを付加した。コロナウイルスの感
003
染拡大があったため、未だ実用化に踏み込 めていないものの、今後のまちづくりの新 しい資源循環のあり方を提示することがで きた。
EN
Food Stall made of Temporally House Waste
-Street and City Design of Rifu-cho, Miyagi
A stadium in Rifu-cho is one of the sites
for the 2020 Olympic games. However, the
street, near the station which is connected to the stadium, is not attractive. We
designed this food stall as a temporary tool for activating the local area. We had to
make it as cheap as possible due to the
limited budget. Therefore, we focused on using wasted parts of the temporary house,
that was used for Tohoku earthquake and
tsunami evacuation. The structure of this food stall is made by that wasted parts from
temporary house. We couldn’t launch it yet because of the pandemic of Covid-19.
Though, our food stall will be able to show
the new material cycle for revitalization of 004
post-disaster area.
03
廃棄された仮設住宅の部材を利用し、まちづくりのための屋台をつくる Making Food Stalls for Revitalization, by Reusing Wasted Parts of Temporally House Date:
2019.3 -
Type:
Architecture (Design-Build)
Place:
Food Stall made of Temporally House Waste Street and City Design of Rifu-cho, Miyagi
Miyagi, Japan
Role:
図版脚注 Caption
Project Leader, Architect
001
4085 68
50
143
1800 45
3600 4085
屋台(プロトタイプ)
417 1800
3600
1800
417
Food Stall (prototype)
1800
45
75 68
75 68 143
18
50 68 18
002
作業カウンター 作業カウンター
制作風景
立食用テーブル 立食用テーブル
1800
18002086
Making Process
スタッフスペース スタッフスペース
003 仮設住宅のマテリアル
3418
3418
2086
←延長可能 ←延長可能 断面写真の画角 → 断面写真の画角 →
Materials of Temporary House
18
1850
50
販売スペース 販売スペース
004 011
1332
1332
ベンチ ベンチ テーブル テーブル
仮設住宅のモデル Model of Temporary House 005 平面図
005
梁(利用) 梁(利用) : : 軽量鉄骨(梁)W75×D45×H1800mm 軽量鉄骨(梁)W75×D45×H1800mm
006
屋根(利用) : 屋根(利用) : ガルバリウム鋼板 ガルバリウム鋼板 裏面ペフ貼り t=4mmt=4mm 裏面ペフ貼り
ブレース(利用) : : ブレース(利用) ブレース M12 M12 ブレース
ルーバー: ルーバー: ベニア合板 t=18mm ベニア合板 t=18mm
断面写真 Section Image
販売カウンター: 販売カウンター: ベニア合板 t=18mm ベニア合板 t=18mm W718×D1737×H1000mm W718×D1737×H1000mm
012
007-010 ディテール
テーブル・イス(一部転用) : テーブル・イス(一部転用) : ベニア合板 t=18mm ベニア合板 t=18mm 軽量鉄骨(根太) W75×D45×H1800mm 軽量鉄骨(根太) W75×D45×H1800mm
カウンターテーブル(転用) : : カウンターテーブル(転用) 壁パネル W287×D1800×H42mm 壁パネル W287×D1800×H42mm 柱(転用): 柱(転用): 軽量鉄骨(梁) 軽量鉄骨(梁) W75×D45 W75×D45 ×H2700mm ×H2700mm
Plan
最高高さ 最高高さ 2973mm 2973mm
Details
壁: 壁: ベニア合板 t=18mm ベニア合板 t=18mm
011 休憩所としての発展
床(利用): 床(利用): 木製床パネル W900×D1800×H100mm 木製床パネル W900×D1800×H100mm
Developement as a Rest Space
ローテーブル(転用): ローテーブル(転用): 壁パネル W287×D1800×H42mm 壁パネル W287×D1800×H42mm
012
基礎: 基礎: t=18mm ベニア合板 ベニア合板 t=18mm
花壇付きベンチとしての発展 006
013
Developement as a Bench and Flower Bed 013 立食テーブルとしての発展 Developement as a High Table
007
008
Collaborator Ras Illham, Taiki Nagai, Ena Kajio Photo Credit 009
010
Taiki Nagai
04
コンビニ廃棄食品でつくる土、それを中心に循環するまち この作品のサブタイトルをここに書きます
土、
の生ゴミを土に還
コンビニ店員
循環する地域コミュニティと生活
循環のダイアグラム
コンビニが現在抱える問題を解決するのがこの循環だ。分業化による問題に対して、店員 が自らの手で廃棄を土に還すことによって、責任を全うする。利益最大化による問題に対
雇用関係
して、廃棄食品をコンポストとして利活用することによって、エネルギーの無駄をなくす。
コンビニ店舗
販売する
巨大資本の問題に対して、土を介してコンビニが地域コミュニティのバブとなることによっ て、豊かな地域社会がうまれる。
チェックする 農業を行う
廃棄食品
コンビニが抱える問題 分業化による問題
大量に供給される
コンビニ廃棄を土に還す
1.廃棄する
コンビニ店員は与えられた仕事をやるだけであり、 その結果起こる大量廃棄に対する責任を持てない
2.土に還す
利益最大化による問題 店舗は品
えが充実するほど売り上げが上がるため、
コンポスト
一定量の廃棄を想定して発注をするしかない
巨大資本による問題
4.販売/料理する
生ゴミを土に還す
コンビニチェーンによって地元商店などは淘汰され、
食品
食べものの循環
購入する
地域コミュニティの希薄化を引き起こしている 3.生産する
購入する
敷地住民
わけてもらう
野菜・果実
自宅で野菜や果実を育てる 畑を手伝う
畑や家庭菜園で 野菜や果実を育てる
地域住民
循環する環境と生活 土と密接に関わりながら生活を送り、生態系の循環の一部を人間が担えるように、住居を地面から浮かせる。また、こ のレベル差によって外部と内部の視線の交わりを抑えることで、大きな開口を設けて、自然の通風と採光を確保する。 電力の自給自足を目指し、全ての住居の 2 階ボリュームを回転させ、太陽光利用の効率的な配置とした。雨水は屋根を 流れ、庭や畑を経由しながら地中へと戻っていく。それぞれの住居は独立する形態をしているが、自然環境や生活を通 じて、密接に関わり合っている。
断面イメージ (1:200)
ハウス 6(2LDK)
JP
太陽光発電
方角に沿った 7 世帯程度の木造集合住宅の提案である。食品廃棄が社会問題とな 2 階ボリューム 屋上プチ庭園
ハウス 4(1LDK)
自然採光
ハウス 5(1LDK)
るなかで、日本のコンビニは多くの食品を廃棄し続けている。 一方で、 自然通風 コンビニは食品を買うだけでなく、さまざまな機能を持ったインフ 地面に太陽光を通す
グレーチングデッキで 寝室
ラとして、私たちの生活を支えている。このような生活のハブとなっ 1 階ボリューム 敷地に沿った
ているコンビニを中心に、新たな都市型の食品循環をつくるのがこ 土中の微生物の回復
リビング GL+700
の提案である。土を最大限活用し、微生物によって廃棄食品は堆肥
水資源を有効活用するために 共同のランドリーを設置する。 ハウス 4・5 の浴槽の残り湯等 生活排水の一部を再利用する。
外部 GL±0 シェアランドリー GL±0 浴室
ハウス 7(2LDK)
化され、住民によって畑が運営される。これからの都市における循
ハウス 3(3LDK)
いきいきとした土壌が育つ風の 通り道と、地域住民の賑わいが 生まれる人の通り道をつくる。
WC
環のモデルとなる、多様な人間・非人間によるサステナブルな集合 3. 生産する 4. 販売 / 料理する 住宅を目指した。
EN
EV
Compost made of Convenience Store’s Food Waste, Soil Centered Cycle of Town
コンポストの pH と植物
-New Modern Relationship between Urbanism and Soil
用いる廃棄食品によってコンポスト pH が変化
waste is a big social issue. However, our daily life can’t be separated
<酸性コンポスト◎>
Japanese convenience store is disposing a lot of food although food from convenience store especially in urban area. The proposal is to design new urban food cycle around convenience store. In this
proposal, soil is utilized effectively. Food waste is composted by
収穫した野菜はコンビニで販売する。買った野菜は店舗内のシェア microbes and field, and it is managed by neighborhood people. This
屋上でつくった堆肥を畑に運び、野菜や果実をつくる。畑仕事はコ
の酸性・アルカリ
ンビニ店員、敷地住民、地域住民のみんなで何を植えるかを話し合い、
くるコンポストだ。
苗や土、収穫したものを分け合いながら共に運営をしていく。
キッチンで料理して食べることができる。ここで出た生ゴミは再度
proposal is for the apartment, where not only human but non-human コンポストになり、敷地内で食を中心にした循環がつくられていく。
can coexist. It should be a new model of urban food cycle in Japan.
シェアダイニング
ハウス 1(1DK)
シェアキッチン GL+1400
する。植物によって土壌の pH の好みがあるため、
・じゃがいも <アルカリ性コンポスト◎>
・ブルーベリー
・きゅうり
・ズッキーニ
・キャベツ
<どちらでも◎>
・ほうれん草
・トマト
・にんじん
・ナス
・長ネギ
・パクチー
・ピーマン
・大葉
・ゴーヤ
・ブロッコリー
・枝豆
・かぼちゃ
ウォークイン冷蔵庫 コンビニの飲料はウォークイン と呼ばれる巨大な一つの冷蔵庫 で冷やされている。 ハウス 1・2 ではウォークイン の冷気を利活用し、エネルギー を効率化する。
以下の分類に注意しながら栽培する。
・パセリ
ハウス 2(1DK)
コンビニ店舗 GL±0
事務所
駐車場 (2 台)
002
04
人間中心ではない、都市空間の土によってつくられる新しい循環の提案 Proposal of New Cycle made by Urban Soil, not for Human Centered Date:
2019.4 - 2019.7
Type:
Architecture (Competition)
Place:
Compost made of Convenience Store’s Food Waste, Soil Centered Cycle of Town
New Modern Relationship between Urbanism and Soil
Japan
Role:
図版脚注 Caption
Architect
005
001 全体のイメージ Whole Image 002 1 階平面図(1:400) 1st Floor Plan (1:400) 003 住居の断面イメージ(1:300) House Section Image (1:300) 004 土を中心とした食べものの循環 Soil-centered Food Circulation 005
001
006
共有キッチン Common Kitchen 006 畑と居住スペース Field and Housing Space 007 屋上のコンポスト Rooftop Compost 008 コンビニと共有カフェ Convenience Store and Common Cafe
007
003 コンビニ店員
雇用関係
コンビニ店舗
販売する チェックする 農業を行う
廃棄食品
大量に供給される
コンビニ廃棄を土に還す
1.廃棄する
008
2.土に還す
コンポスト
4.販売/料理する
生ゴミを土に還す
購入する
敷地住民
食品
食べものの循環
3.生産する
自宅で野菜や果実を育てる 畑を手伝う
購入する
わけてもらう
野菜・果実
畑や家庭菜園で 野菜や果実を育てる
地域住民
004
Collaborator Rei Terauchi
05
JP
廃棄物の転用による、つくることの探究 意識・物質・他者性の相互作用としての建築制作プロセスの分析から 本論文は、建築制作のプロセスにて、素材として廃棄物を転用することの可能性を、2つのケー ススタディの分析から論じるものである。大量生産・大量消費が行われる現代社会において、 人間とものの関係性は益々希薄になり、大量の廃棄が問題となっている。このような時代背 景のもと、本論文は、人間とものの関係性に焦点を置き、より質的に豊かな物質社会をつく ることための制作のあり方を提示する。そのために、大量に生まれる廃棄物を素材として再 度転用する、建築制作のプロセスを分析し、このようなものづくりがもたらしうる価値や創 造性について論じる。 とりわけ、建設に関連する廃棄物に焦点を当て、1つめの制作では、主に都市空間に偏在す る建設現場にて廃棄される建材を、2 つめの制作では、主に不要となった仮設住宅の廃棄さ れた部材を転用することで、建築制作を行なった。廃棄物が具体的にどのような特徴を持ち、 制作者である私の意識に影響を与え、さらには私がどのように制作を行なったのかを細微に 分析した。分析においては、制作者と廃棄物が相互に関係し合うことで制作が進むという仮 説のもと、意識と物質と他者性という3つの要素の相互作用によって制作プロセスの整理を
002
行った。それによって、廃棄物を転用する制作の特徴として、以下の結論が得られた。 ・ある他者とある物質の関係性の現れとして、廃棄物を見ることができ、他者と物質の双方に 応答するように制作することで、廃棄物との強固な関係性をつくることができる。 ・部材同士の結びつきが強い建築制作において、ある廃棄物と制作者の応答が、他の廃棄物に も影響を与えることがある。これによって、制作全体として、より多くの関係性をつくるこ とができる。 ・他者と物質の相互作用に自らも参与することで、自らがのちの制作者にとっての他者となる ことができる。こうすることで、つくることは循環の一部を為すことだと理解できる。 これらより、廃棄物のような既存物との関係性によってものをつくることは、人間とものの 関係性を回復し、時間や行為の蓄積のある豊かな物質循環を形成するための、一つの方法で あると示される。そして、この制作によって構築される関係性は、人間とものだけでなく、 人間と人間の関係性も豊かにしうると言える。
EN
Exploration of Making, by Reuse of Waste
From the Analysis of Architectural Design Process as an Interaction Among Consciousness, Materials and Alterities
This thesis discusses the possibilities of reuse of waste as materials in the architectural design process, analyzing two case studies. In the modern society where mass production and mass
consumption occur, the relationship between humans and things become increasingly
weak, and massdisposal becomes a problem. Due to this historical background, this thesis points out the relationshipbetween humans and things and presents a making process that qualitatively makes the generousmaterial society. For that, this thesis discusses the values and creativeness brought from making, byanalyzing the architectural design process that reuses
003
the mass disposal waste as materials.
Especially focusing on waste that is related to architectural construction, for the first case it is
mainly focused on building material waste from city space construction, and for the second case it is mainly focused on unneeded temporary house materials to reuse for my architectural
design. I closely analyzed what kind of specific characters that each waste has, how that influences me as a maker, and furthermore how I did these two designs. For analysis,
based on a hypothesis that the making process will move on if a maker and waste are mutually related, I arranged the making process in an interaction of three elements which are consciousnesses, materials, and alterities. Through these analyses, there’s conclusions for characters of a making, by reuse of waste, as below.
-Waste can be seen as an expression of relationship between alterities and materials, and by
making as if responding to an alterity and a material, it can make a firm relationship with waste.
-In the making where there is a firm relationship between materials, sometimes a response of
a waste and a maker will give influences to other waste. By that, for a whole making, it can make more relationships.
-By participating in the correspondence of an alterity and a material, I can also be an alterity to the next maker. From that, it can be understood as making is a part of circulation.
From these conclusions, the making that uses relationship with existing things such as waste is able to restore the relationship between humans and things, and represent one of the
004
approaches that builds generous material circulation which has accumulation of time and
actions. Then it can enrich the relationship between not only humans and things, but also a human and a human.
001
05
Exploration of Making, by Reuse of Waste
廃棄物を用いて行う制作の過程を研究した修士論文
From the Analysis of Architectural Design Process as
One centence that represent the project Date:
2019.4 - 2021.2
Type:
Master Thesis
Place:
an Interaction Among Consciousness, Materials and Alterities
Tokyo, Japan
Role:
図版脚注 Caption
Researcher
001 論文要旨 An Abstract of Master Thesis 002 制作モデル(仮説) A Model of Making (hypothesis) 003 制作モデル(結論) A Model of Making (conclusion) 004 制作における他者性の役割 A Roll of Alterity at Making Process 005 アルミサッシの変化
他者性の流れ
意識の流れ
008
他者性の流れ
物質の流れ
ビニール傘の変化 意識の流れ
ブルーシートの変化
他者性の流れ
物質の流れ
意識の流れ
新宿の路上生活者 からの学び
ダンボールの変化 意識の流れ
他者性の流れ
物質の流れ
ベニア板の変化 意識の流れ
小さい木の板の変化
他者性の流れ
物質の流れ
意識の流れ
物質の流れ
007
サイディングの変化
他者性の流れ
意識の流れ
細い角材の変化
他者性の流れ
物質の流れ
意識の流れ
物質の流れ
木製パレットの変化
他者性の流れ
意識の流れ
005-007
釘の変化
他者性の流れ
物質の流れ
意識の流れ
新宿の路上生活者 からの学び
他者性の流れ
第5回
工事現場から材料を
コンパクトに収納できるもの /
調達することができる(5)
家をコンパクトにするにはダンボールがいい(1)
(wooden palette)
加藤さんからの学び
新宿の路上生活者 からの学び
第8回
ダンボールを用いた
家のつくり方(8)
新宿の路上生活者 からの学び
ダンボールをカバーするために 使われた傘(8)
新宿の路上生活者 からの学び
ダンボールをカバーしている ブルーシート(8)
4つに連結させられたダンボール(8)
同じサイズだと連結させられて
雨風の侵入を防ぐもの /
雨風の侵入を防ぐもの /
008
筒のようなものがつくれるもの
ダンボールが濡れないように
ダンボールが濡れないように
ダンボールを連ねることで、
ビニール系の材料でカバーするといい(8)
ビニール系の材料でカバーするといい(8)
人が入れる長細い空間をつくることができる(8)
制作へ
どこでも拾えるため、即興的に風を防いだり、 視線を遮ったりすることができるもの /
制作Ⅰ(都市空間の廃棄物による制作・ポー
冷たい床から身体の体温を保持してくれるもの(8)
飲食店で大量に廃棄されたダンボール(8)
トフォリオ 02)の記述
廃棄物からの コレスポンダンス たくさんのごみとして、
フェンスにかけて捨てられていた
第10 回
建設現場で廃棄されていた
毎日のように店舗前に捨てられていくもの
ビニール傘(10)
木材の端材(10)
ダンボールは商業エリアにたくさん捨てられている(8)
制作からの コレスポンダンス 植え込みに投棄されていた、
街中を移動すればすぐに見つかるもの(10)
ボロボロのアルミサッシ(11)
A Discription of Making Ⅰ (Making from
制作へ
廃棄物からの コレスポンダンス 土に刺したりして使えそうな長いもの(11)
路上生活者の
長い木材のつくり方(12)
多摩川の雨から守る(12)
第12 回
木材をつなぎ合わせるために使われていた釘(12)
家の壁のつくり方(12)
多摩川の路上生活者 からの学び
制作へ
多摩川の路上生活者 からの学び
物質の流れ
An Analysis Example for Each Materials
コンパクトな家の材料として
使われているダンボール(1)
簡単に持ち運べ、
雨で濡れるのを防いだり、
空間を広げているようなもの(1)
ダンボールなど、家を濡らさない(8)
意識の流れ
第1回
新宿の路上生活者 からの学び
天井にかけられたブルーシート(1)
ダンボールとの間に空間を作ることで、
傘を用いたカバーのやり方(8)
石膏ボードの変化
(木製パレット)
家のつくり方(1)
ダンボールの上から置かれた傘(1)
個別のマテリアルに関する分析の具体例
物質の流れ
ダンボールを用いた
上からの侵入を守る(1)
傘を用いた壁のつくり方(1)
006
他者性の流れ
物質の流れ
寝室にだけかぶせられた
多摩川の路上生活者 からの学び
解体屋の廃棄置き場に
ブルーシート(12)
捨てられていた木材(13)
廃棄物からの コレスポンダンス
寝る際の雨を防ぐために使用するもの /
繋いでいけば長い材料を作ることができるもの /
ちょっとしたところを塞ぐのに
全体が雨から防ぐことができなくても、
解体屋の廃棄置き場に捨てられていた、
家の壁として使われていた
木材に刺さったままになっていた釘(13)
木製パレット(12)
Waste in Urban Area / Portfolio 02) 第13 回
廃棄物からの コレスポンダンス
家を強固にする面材のようなもので、
工具なしでは抜けず、使いにくいもの(13)
簡単に組み立てることができそうなもの /
短い木材を継ぐことで長い柱などを
使えそうなもの(13)
寝室だけ濡れなければなんとかなる(12)
多摩川の路上生活者 からの学び
家の柱として継ぎながら
使われていた短い木材(12)
パレットで壁をつくれば強固になる(12)
つくることができる(12)
制作へ 制作へ 建設現場で廃棄されたサイディングの端材
木材に巻き付けられたブルーシート(16)
木材の端材(15)
廃棄物からの コレスポンダンス 落ちていたり、一般ごみとして
木材は軽くて持ち運びがしやすく、
重くて持ち運びにくく、雨風は防げそうだが、
捨てられていることはあまりない(17)
なにかと使いやすそうなもの(15)
扱いにくそうなもの(15)
制作へ
制作Ⅱ(仮設住宅の廃棄物による制作・ポー
制作へ
第16 回
内壁を立てる
屋根として使われている
(角材でつっかえをつくり、サイディングを立てかける)
八百屋に積み上げられていたダンボール(17)
ブルーシート(16)
接合して使われた木材(16)
加工するのは難しい(16)
A Discription of Making Ⅱ (Making from
それ自体がとても冷たくなってしまい、寒さの原因になるもの(17)
ダンボール(17)
制作へ
第19 回
制作者によって内側にダンボールが貼られ、
足を入れるために使われたダンボール(19)
ブルーシート(19)
一般的な技術では角が出ないように
簡単に重ねられて、風を止めてくれる一方、
家のフローリングに敷き詰められる
テントのように使われている
しまうので、加工が必要なもの
サイディング(17)
制作からの コレスポンダンス
制作へ
制作からの コレスポンダンス
第17 回
木材はそのまま使うと角が出て
重ねられて、壁として使われた
制作へ
トフォリオ 03)の記述
制作からの コレスポンダンス
制作へ
床の断熱としてとても機能するもの(17)
制作へ
ブルーシートの屋根を支えるアルミサッシ(19)
ブルーシートを巻きつけるために
外壁を立てる
(ブルーシートの上から再びサイディングを立てかける)(15) 廃棄物からの コレスポンダンス
制作からの コレスポンダンス 水がたまると、
荷重で壊れたり穴が開いてしまいそうなもの(16)
外壁として使われる(17)
Waste of Temporary House / Portfolio 03)
廃棄物からの コレスポンダンス 解体屋の廃棄置き場に捨てられていた、
箱のようにすると体温によって
シートなどを支えるための柱になるもの(19)
端が斜めにカットされた木材(20)
こたつのような環境になるもの(19)
解体屋の廃棄置き場に捨てられていた、
壁と堤防の隙間に入れられたダンボール(20)
木材を斜めに用いる(20)
自分の身長よりちょっと長いベニア板(20)
制作からの コレスポンダンス
廃棄物からの コレスポンダンス
第 20 回
工事現場の地面にたくさん落ちている釘(20)
廃棄物からの コレスポンダンス
廃棄物からの コレスポンダンス
汚いが面として使用でき、
壁からの断熱になりつつ、
斜めに使うことで、
屋根の垂木のようなものとして使う(21)
寝室全体の剛性を高めてくれるもの(20)
いざというときに即興的に使えるもの(20)
第15 回
009
建設現場で廃棄されていた
制作者の自宅の資材置き場に移動(15)
廃棄物からの コレスポンダンス
制作からの コレスポンダンス ブルーシートは雨を防ぐために使いたいので、
穴を開けて、傷つけてしまうわけにはいかないもの(16)
第 21 回
現場にはたくさんあるもの(20)
家を構造的に強くしてくれるもの(20)
制作へ 廃棄物からの コレスポンダンス ブルーシートの屋根をサポート
寝室の屋根と壁として使われる(20)
建設現場の大工さんから
するものとして使える(21)
大量にもらった新品の釘(20)
廃棄物からの コレスポンダンス
建設現場で廃棄されていた
第 24 回
木材を接合するには最も適したもの(20)
木材の端材(24)
廃棄物からの コレスポンダンス
第 25 回
廃材置き場に捨てられていたボードの端材
建設現場で廃棄されていたパレット(25)
たくさん繋ぎ合わせたら柱になるもの(24)
表面がツルツルしたボードの端材(25)
制作へ 廃棄物からの コレスポンダンス
廃棄物からの コレスポンダンス 表面が綺麗で、
基礎になるもの(25)
テーブルの天板のようなもの(25) 制作へ
建設現場で廃棄された
第 26 回
テーブルの天板として使われた
リビングの土台として使われる(25)
床の板になるもの(26)
ブルーシート(26)
制作へ
表面加工されている石膏ボード(26)
制作へ 廃棄物からの コレスポンダンス 制作者によって床に敷かれ、
何かをカバーしたり、地面に敷いたりするもの(26)
制作からの コレスポンダンス
制作からの コレスポンダンス
第 27 回
PC で作業したりなどがしやすい(26)
制作からの コレスポンダンス
表側と裏側で印象が違い、
資源としてストックされる(26)
食べ物を食べたり、
継ぎ接ぎされ柱になった木材(27)
リビングの床として使われる(26)
制作へ
短い木材でも作り方次第で長く伸ばすことが
使い分けることで空間的に豊かになるようなもの(26)
第 28 回
先端だけ木材に刺さった釘(28)
可能であるということがわかる(27)
廃棄物からの コレスポンダンス 鍵などをかけておくのに適したもの(28)
窓枠として使われたアルミサッシ(29)
建設現場の周辺に落ちていた釘
たくさんの釘が刺さった面材(29)
等間隔に貼られた石膏ボードの端材(29)
制作からの コレスポンダンス
廃棄物からの コレスポンダンス
荷物をかける壁のようなもの(29)
第 29 回
柱と柱の間に、
構造用ボードに曲がって刺さっていた釘(29)
廃棄物からの コレスポンダンス
制作からの コレスポンダンス ピクチャーウインドウの窓枠のようなもの(29)
ルーバーのように目隠しになるもの(29)
そのままフックとして使えるもの(29) 制作へ
フック付きのリビングの壁(29)
他者性の流れ
折半屋根の変化
009
意識の流れ
軽量鉄骨+タイトフレーム 1800mm(梁)の変化
物質の流れ
他者性の流れ
意識の流れ
物質の流れ
他者性の流れ
床パネルの変化 意識の流れ
物質の流れ
軽量鉄骨 1800mm(根太)の変化 他者性の流れ
意識の流れ
軽量鉄骨 1800mm(梁)の変化
他者性の流れ
物質の流れ
意識の流れ
物質の流れ
軽量鉄骨 2700mm(梁)の変化
他者性の流れ
意識の流れ
他者性の流れ
物質の流れ
ブレースの変化 意識の流れ
物質の流れ
他者性の流れ
壁パネルの変化 意識の流れ
物質の流れ
軽量鉄骨 2700mm(柱)の変化
他者性の流れ
意識の流れ
物質の流れ
第0回
プロトタイプとして断面に合わせて カットしたベニア板を接合(0)
軽量鉄骨の変化
廃棄物+制作からの コレスポンダンス
C チャンネルの寸法に合わさるように 何かをつけられる(0)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
廃棄物からの コレスポンダンス
制作へ
防水や排水のために
ベニア板から切り出した接合部を用いて、
柱として使われる(2)
廃棄物からの コレスポンダンス
合理的に設計された(2)
廃棄物からの コレスポンダンス
制作へ 制作へ
床として使われる(2)
梁として使われる(2)
頑丈で根太は最小限で大丈夫(2)
もともとと同じ梁として使用できる(2)
制作へ
制作へ
制作へ
かなり強固な構造となる(2)
直交するのフレームとなる(2)
制作からの コレスポンダンス 柱として使うには長さが足りず、天井が低くなってしまう
できれば使わないほうが施工がしやすそうなもの(1)
使うことができそうなもの(1)
することができるのではないか(1)
制作へ
折半屋根がかかる方向の
屋根として使われる折半屋根(2)
廃棄物からの コレスポンダンス
非常に重く、扱いにくい。
軽くて頑丈であり、壁ではなくテーブルなどにも
柱同士をブレースでつなげる(2)
クロスさせて、三角形のフレームのように
第1回
廃棄物からの コレスポンダンス
廃棄物からの コレスポンダンス
構造体として用いることができそうなもの
主要な構造体となるもの(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
廃棄物からの コレスポンダンス 長さもあり重く、扱いにくいが、必要に合わせて
軽量鉄骨の中では扱いやすく、仮設の屋台をつくる際に
C 字の断面が扱いにくいが、赤く塗装されているため、 使ってみたいと思わせるもの(1)
制作へ
手に持ってみる / 実測してみる(1)
廃棄物からの コレスポンダンス
もともと梁だった部材に比べ、重く、先端が塞がっており
木箱のようになっている(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
廃棄物からの コレスポンダンス
廃棄物からの コレスポンダンス 重くて持ち運びにくいが、とても頑丈で使いやすい
折半屋根を受けることができるので、
屋根の部材との組み合わせで用いることができそうなもの(1)
先端が鋭利で危険(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
手に持ってみる / 実測してみる(1)
廃棄物からの コレスポンダンス 山が大きく、長くて扱いにくそうで、
壁の一部として使われる(2)
使われない(2)
第2回
制作からの コレスポンダンス 重いため、接合部に負荷が強くかかり、ベニア板では難しい(2)
制作へ
屋根として利用するといい(2)
天井の高さを出すことができる(2)
梁として使われる(2)
制作へ
柱として使われる(2)
柱や梁と接合するために
ボルトの穴が設計されている(2)
廃棄物+制作からの コレスポンダンス
あらかじめ空いている穴を用いて、 梁の取り付けも簡単にできる(2)
屋根として使われる(3)
ボルトで接合するために、
あらかじめモジュールに合わせた 穴が設計された(3)
ボルトで接合するために、
あらかじめモジュールに合わせた 穴が設計された(3)
廃棄物からの コレスポンダンス
第3回
既存の穴を有効活用してブレースを取り付けることもできる(3)
制作へ 屋根を受けるところに穴が空いており、
廃棄物からの コレスポンダンス
ボルトで屋根と梁を固定することができる(3)
制作へ
穴に合わせれば屋根をそのまま
屋根は固定された方がいいため、
使うことができ合理的(3)
寸法をこれに合わせる必要がある(3)
Reference
制作へ
制作へ 再度屋根として使われる(3)
折半屋根がかかる方向の梁として使われる(3)
飲食スペースのベンチやテーブルの
全体の寸法に合わせて床を配置する(4)
断面に合わせて、梁から何かを
構造として使用したい(4)
協働者からの 学び
制作へ
床として使われる(4)
道具を置いたりするための
作業スペースがあるといい(4)
制作へ
制作へ
柱として使われる(4)
建築の中と外の関係を緩やかにつくりたい(4)
協働者からの 学び
鉄骨の柱梁のため、構造的に
docs/________
外側にも飲食用のテーブル
ブレースを入れられるところに入れた方がいい
として出したい(4)
建物の 3 面はブレースを入れたら安心(4)
協働者からの 学び
第4回 https://issuu.com/taigamatsuoka/
背面の壁にはちょっとした調理や、
穴が足りない箇所にだけ追加で穴あけ(4)
吊り下げることができる(4)
協働者からの 学び
協働者からの 学び カウンターが入る面以外に使われる(4)
テーブル・ベンチの構造として使われる(6)
ルーバーの外壁が吊り下げられる 梁として使われる(6)
カウンターテーブルと飲食カウンターの 天板として使われる(6)
廃棄物からの コレスポンダンス コンパクトに扱えるので即席の天板として便利(6)
制作へ 根太でつくった椅子の
余った部分に載せて、
ローテーブルして使われる(6)
第6回
06
スチューデントビルドキャンパス 大学のキャンパスを自分たちでつくる
JP
慶応 SFC のキャンパスを、学生が主体とな りながらデザインしていくプロジェクトで ある。これからの学びのあり方を考え、そ
001
れらをハードウェアとしてのキャンパスと、 ソフトウェアとしてのシラバスを設計し、 実施している。多くのメンバーがいるなか で、私はグラフィックやプロダクトなどの デザインと、プロジェクト全体のマネジメ ントを2年間行なった。代表的な成果とし ては、展覧会の会場設計や、活動を報告す るイヤーブックを編集・デザイン、完成し た建物内部のサイン計画などが挙げられる。 現在、このプロジェクトは 5 棟の施設と、
002
003
004
005
006
007
008
009
4 つの授業が完成し、一旦のゴールを迎え ることができた。このプロジェクトを通じ て、自らの主体性をもって環境に介入する ことの大切さを学んだ。また、建築家と協 働したことがきっかけで、建築設計に興味 を抱くようになった。現在の自分を説明す る上で、最も重要な経験のひとつである。
EN
Student Build Campus
-Making University Campus by Students
This is the project that students of Keio SFC design the university by themselves.
We design both campus as hardware and syllabus as software. I, as a manager of this project, had been working on graphic
and product design for two years. Recently,
five buildings and four classes have been
completed. Through the project, I learned that it is important to design surroundings
with my own initiative. Additionally, I had become interested in architectural design
since I collaborated with architects in this project. It is one of the most important experiences that can explain about me.
06
学生が主体となり学びの場を設計・運営する Design and Management for the Place where Learning is made by Students Date:
Place:
Student Build Campus
Making University Campus by Students
2016.4 - 2018.3
Kanagawa, Japan
Type: Design Role:
図版脚注 Caption
Reseacher, Designer
001 滞在棟 1 House 1 002-003 学生による施工 Construction by Students 004 滞在棟 2 House 2 005 滞在棟 3 House 3 006 教育研究発表棟 Dome 007 研究実験棟 Studio 008 滞在棟 4 House4 009 SBC パビリオン Pavilion 010 これまでデザインした作品 Works I designed
Reference 010
https://sbc.sfc.keio.ac.jp/
07
JP
川内村ワインテイスティングパヴィリオン 復興を目指すワイナリーのためのベニアハウス 福島第一原子力発電所から 30km 圏内に位 置する川内村は、放射能の問題などに向き 合いながら復興に挑んでいる。その一環と して、この土地でブドウを育て、ワインを 生産することが行われている。本プロジェ クトは、そのワイナリーのワインを楽しむ ためのパヴィリオンの設計である。来客時 には観光資源としての価値を、平時にはブ ドウ農家さんたちの休憩小屋としての価値 が求められた。ボランティアの方々との連 携を強めるために、簡単なセルフビルドで 組み立てることのできるベニアハウスを採 用した。ブドウ畑がある山の麓にあった廃 工場を、CNC ルーターを稼働させる作業場 に転用し、設計施工の拠点とした。こうす ることで、村内でデザインビルドの工程が
001
完結し、村民と多くの方々に応援されなが らプロジェクトを進めることができた。静 かなブドウ畑の市松模様のキューブは、ア イコニックに川内村を照らしている。
002
EN
Kawauchi Wine Tasting Pavilion
-Veneer House for Vineyard in Disaster Area
Kawauchi Village is located in the range of 30km from Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. One company grows vines
for wine to revitalize the village. And this architecture is for enjoying wine at
vineyards. The pavilion is needed to be a
004
sightseeing resource when visitors come,
and also to be a rest house when farmers work. We choose veneer house system that is easy to assemble and to involve volunteer staff. We set our workshop near the site and placed a CNC router in it. Therefore, we could complete most of the design process
in the village. The cube of checks (Ichimatsu
Moyou) on the vineyard iconically illuminates the village.
003
005
07
Kawauchi Wine Tasting Pavilion
デジタルファブリケーションを用いた現地で完結する設計施工
Veneer House for Vineyard in Disaster Area
Design and Build Completed in Local Area with Digital Fablication Date:
2018.4 - 2018.10
Type:
Architecture (Design-Build)
Place:
Fukushima, Japan
Role:
図版脚注 Caption
Architect, Builder
001
Kawauchi Winely
ブドウ畑の上に建つパヴィリオン The Pavilion on top of the Vineyard 002 じ ろの
この
正面からみたベニアハウス
Ro
じ
Veneer House Seen from the Front
Ko
003-005 現場付近の廃工場を工房として利用して、 部材を生産
屋根 / Roof
009
じ
ろの
この
Ro
じ
ベニアの主構造(全体) Constitution of Veneer System (whole)
床 / Floor
②
③
④
⑤
Ko
⑥
⑦
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
①
Workshop 006
柱 / Pillar
006
Using Wasted Factory Near the Site as a
007 ベニアの主構造(フレーム) Constitution of Veneer System (frame) 008 角のディテール
屋根 / Roof
010
Details of the Edge 009 ランプのように畑を照らす Illuminating the Field as a Lampshade
柱 / Pillar
010
床 / Floor
②
③
④
⑤
⑥
⑦
内部のディテール(天井)
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
①
Details of the Ceiling 011
007
内部のディテール(壁と天井) 011
Details of the Wall and the Ceiling 012 中からはブドウ畑が見える The View from Inside 013 敷地のパノラマビュー Panorama of the Site
008
012 013
Collaborator Hiroto Kobayashi Laboratory Reference https://www.veneerhouse.com/kawauchiwine-tasting-pavilion-en
08
積み重なるハコの道 高低差をつなぐスポーツ施設
001
JP
慶應義塾大学日吉キャンパスに新しい体育 施設を提案するスタジオである。大学・ス ポーツ・地域を考慮に入れながらリサーチ をし、自ら敷地を選定し、設計を行うこと が求められた。まむし谷と呼ばれるキャン パス内の谷地に体育会の施設は不規則に散 在している。学業が行われている講堂や図 書館などがあるエリアとは高低差が 25m あ り、斜面によって分断が生まれている。こ の斜面を豊かに接続することで、学生同士 の新しい関係性を設計することを目指した。 また、この一帯が通過しやすくなることで、 地域住民と大学の関係性も期待することが できる。6つのヴォリュームを斜面の形や
002
植生に合わせて配置して、斜面を這うよう な建築を提案した。建物内部は体育施設に よって構成されており、屋上は多くの人々 に開かれたパブリックスペースとなり、ま むし谷の自然を楽しみながら谷を登り降り することができる。
EN
The Path of Piled Up Boxes
-Sports Facilities that Connect a Difference in Height
003
I proposed new sports facilities of Keio University in this design studio. I researched
about university, sports, and locals, to select the site. There were 25 meters gaps between the campus area and the
sports area. The gap separated university in two. I aimed to connect both to make a new relationship of students. I designed
the architecture like crawling the slope
by placing six volumes. There are sports facilities inside. On the other hand, there is
public space for students and locals outside.
They can go up and down while enjoying the nature of the site.
004
08
The Path of Piled Up Boxes
斜面を這うようにしてヴォリュームが配置される大学施設の提案
Sports Facilities that Connect a Difference in Height
Proposal of University Facility that Volumes Crawl a Slope Date:
2018.4 - 2018.7
Type:
Architecture (Studio)
Place: Role:
Kanagawa, Japan
図版脚注 Caption
Architect
2F アリーナ (柔道・空手・合気道・レスリング・日本拳法)
001 全体の模型 A Whole Model 002 斜面の頂上部分 The Top of Slope 003 斜面の中腹部分 The Middle of Slope 004
B1
斜面の底部分
コモンスペース(小) アリーナ
The Bottom of Slope
(フェンシング・ボクシング・剣道)
005
B2
ヴォリュームの配置ダイアグラム
コモンスペース(大)
A Diagram of Volume Layout
部室 6 個(記念館で活動する部活)
005
006 階の構成と関係性
B3 トレーニングジム(マシン)
Planning and Relationship of Each Floors
トイレ
007
コモンスペース
上層部分の断面イメージ
スポーツ施設
トレーニングジム
B4 トレーニングジム(マシン以外) 部室 6 個(まむし谷で活動する部活)
B5 ショップ コモンスペース(中) トイレ シャワールーム
Section Image of the Upper Half
部室
008
設備
下層部分の断面イメージ
エレベーター
Section Image of the Lower Half
階段(室内) 階段(屋外)
006
007
008
09
海と町のあいだ 生活を分断する防潮堤のリデザイン JP
神奈川県の大磯町を対象にしたリサーチス タジオである。町の環境や歴史に関する定 量的な調査と、人々の生活や風景に関する 定性的な調査を行いながら、大磯町の問題 と特徴を洗い出した。大磯町は歴史ある漁 師 町 で あ り、 海 を 中 心 に し た 生 活 が な り 立っていた。しかしながら、西湘バイパス と防潮堤によって、仕事をする海と生活を する町が大きく分断されてしまったことが わかった。提案では、海と町を点で繋いで いる 10 個のコネクター(防潮堤の通用口 や階段など)に焦点をあて、それぞれをよ り細微にリサーチしていった。各コネクター の周辺の生活スタイルや地域の特徴を参照 にしながら、ミニマムな提案を施すことを 目指した。最終的には 10 個のコネクター に対して、何もしないという提案から、橋 を架けるという大きな提案までを行なった。
EN
In Between Sea and Town
-Redesign Tide Embankments that Separate Local Life
I researched and made a proposal for Oiso-
cho in Kanagawa in this studio. Through both quantitative and qualitative research, I defined problems and features of Oiso.
The town is a historical fishing town and the people have spent their life with the
sea. However, Seisho-bypass and tide embankments separated the work area (=the sea) and the life area (=the town). In
my proposal, I focused on ten connecters that are gates and stairs of embankments. I
referred to the lifestyles near each connector and proposed minimum designs. Finally,
there was one connector that designed a new bridge, and another connector that designed nothing.
BETWEEN SEA AND CITY ,OISO コネクター 09 Now
Design Studio C_20180717_Final Presentation 3/3_Taiga Matsuoka
Operation ①
防潮堤沿いのスペースに駐輪されたバイク 本来は駐輪禁止のエリアだが、海に遊びに来る人 たちにが手頃に停められるために利用している。
①
バイクが置くことができる場所を、階段下の場所に 移すことで土地の有効活用+薄暗さの払拭を狙う。
② 10 個のコネクターのうち、唯一の両方向に階段がついているタイプ。
また、バイク置き場がより海に近くなり、使用より しやすくなる。
②
横断歩道に近い方の階段だけを残し、もう片側は撤
手前にほど近いところに横断歩道がある。
去する。これにより薄暗さがなくなり、最小限の行
奥にはコネクター 10(歩道橋)がすぐ近くにある。
為でこのコネクターの魅力を高めることを狙う。
階段下は薄暗く、怪しいグラフィティもある。
また、バイク置き場の場所を確保する。
Future
reference_activities
路上にはみ出すように 育てられている植物
バイクの駐輪場ができ、より多くのレジャー 客やツーリング客によって海側が楽しまれる。 防潮堤の上は住民が思い思いに使える空間と して、パブリック性を保つことができる。
日当たりの良さを求めて 路上脇にある物干し竿
004
09
In Between Sea and Town
引き裂かれた海と町のためのコネクターを設計する
Redesign Tide Embankments that Separate Local Life
Design Connectors for Separated Sea and Town Date:
2018.9 - 2019.1
Type:
Architecture (Studio)
Place: Role:
Kanagawa, Japan
図版脚注 Caption
Architect
001 中心部と海を結ぶ3つの道路の断面 Sections of Paths which Connect Center Area and the Sea. 002 大磯町の俯瞰 Looking Down at Oiso-town 003 海と町をつなぐ10個のコネクター Ten Connectors which link the Town to the Sea 004 コネクター 09 に関する調査と提案 Analyses and Proposals for Connector 09 005-008 現状のアクソメトリック(左) コネクターの特徴(中) 001
提案の概要(右) An Existing Axonometric Drawing (left) Characteristics of the Connector (center) A Summary of the Proposal (right) 005 コネクター 03 に関する調査と提案 Analyses and Proposals for Connector 03 006 コネクター 05 に関する調査と提案 Analyses and Proposals for Connector 05
002
003
コネクター 03
④
Analyses and Proposals for Connector 08
③
② ①
コネクター 03 への操作
①
_防潮堤の上に小さな歩道橋をかける
①東光院
②
②酒屋(芦川酒店)
__階段が防潮堤に垂直に突き刺さるよ
③
③駐車場(東光院の契約駐車場)
うに配置されているため、街側がえぐら
④
れているのが特徴的なのがコネクター
④神社 ⑤駐車場(かなり大きい) ⑥西湘バイパス
⑤
03 である。防潮堤に沿うようにして遊
⑤ ⑥
⑦国道1号線(西湘バイパス・大磯港に行
歩道が整備されているが、この階段に
⑧
⑦
くため) ⑧駐車場(かなり大きい)
よってその連続性が失われている。この
1:500
遊歩道のシークエンスを保つように、そ して縦方向の起伏を加えることによっ
西湘バイパスの下に位置する広大な漁港駐車場と住宅街
て、より豊かな眺めを作り出す。
を結ぶのが[コネクター 03]である。かなり綺麗に整 備され、新しく建設されたことがわかる。住宅街から直 接海に向かうことのできる道になるが、ここから漁港ま での距離は約 170m もある。
①防潮扉 ②神社(小さく、荒らされている) ③駐車場(東光院の契約駐車場) ④酒屋(芦川酒店) ⑤踊り場(防潮扉が乗る場所であるため、 広い平面が生まれた)
005 コネクター 05
コネクター 05 への操作 _道を青く塗る __スロープによって街と海をつないでいるコネクター 05 は、 大磯港に自転車で出るにはとても優れた設計がされている。基 本的に漁業関係者が使用しているこの道のは、存在感もあまり なく、またやや暗いため一般の人が使いにくい印象がある。道
②
を青く塗ることによって、海らしさはもとより、自転車道路で あることを示すことができる。
①
⑤
①
③ ①おけや
②
②駐車場
③
⑥ ⑦
④
③海の家用ゴミ置場 ④漁具倉庫 ⑧
⑤国道1号線(西湘バイパス・大磯港に行 くため) ⑥西湘バイパス ⑦コネクターの海側出口
1:500
⑧大磯港
住宅街の路地を地下にスロープとして伸ばし、防潮堤の 下をくぐり抜けるのが[コネクター 05]である。直線
④
距離で海とつながることができ、スロープのため自転車 の通行も可能である。くぐり抜けた先には漁港の船着場 がある。 ①防潮扉(地下型) ②防潮堤の下をくぐる歩行者・自転車専用 道路 ③手入れされていない茂み ④歩道
006 コネクター 08 ①
⑤
②
⑤
②
③
③
④
④
⑤
⑥
①浅間神社 ②鮮魚店(魚熊)
①
③酒屋(飯島酒店)
⑦
④国道 1 号線(西湘バイパス・大磯港に行 くため) ⑤西湘バイパス ⑥海の家(夏季のみ) ⑦砂浜
1:500
防潮堤の上の遊歩道と、下の歩道を滑らかにつなぐ角度 で存在するのが[コネクター 08]である。また、遊歩 道はこの地点まで車の侵入が認められている。土地を斜
⑥
①防潮扉
めに横断する階段があるため、それによって切り取られ
②車止め(鉄製ポール+チェーン)
た空間が生まれている。防潮堤下のそれは緑化が行われ
③車止め(ポリタンク) ④車止め(パイロン)
ており、人工的に整備された自然が多く見られる。
コネクター 08 への操作 _何もしない __コネクター 08 付近は、行政・住民・レジャー客の三者がせめぎ合っ ている地点である。その結果として、住民のアクティビティが垣間見れ
⑤物干し竿
たり、サーファーの休日が入り混じる不思議な地点になっている。レ
⑥防潮堤と国道1号線の間にできた緑地 /
ジャー地としての大磯と古くからの漁師町としての大磯の二つが自立し
管理がややされている
007 コネクター 08 に関する調査と提案
ている地点として、参考にするべきであると考えた。
007
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