Architecture Portfolio 2017

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大   ユ ウ ヒ 作 品 集



目次

制作

活動

プロフィール

2

Association Game

6

SHOP2.0

12

鬩ぐ筒

18

UNDER ONE ROOF

22

境界を和える

28

景の稜線

34

もので象るみせ

40

FSQUARE

44

グッドデザイン賞スタッフリーダー

46

建築デザイン学生サークル「結。」

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2

ユ ウ ヒ


経歴 1994.07.30

福井県越前市(旧武生市)生まれ

2013.03

福井県立武生工業高等学校            卒業

2013.04

福井工業大学工学部デザイン学科         入学

2017.03

同大学同学科                  卒業

2017.04

福井工業大学大学院

社会システム学専攻デザイン学コース       所属

受賞歴 2014 2 年 前 期    第3回北信越地区新人合同設計展 TAMAGO 展  優秀賞 2015 2 年 後 期    第 13 回主張するみせ              入賞 2015 3 年 前 期    第 4 回北信越地区新人合同設計展 TAMAGO 展  総合資格学院賞 2015 3 年 後 期    福井県合同講評会                最優秀賞 2016 4 年 後 期    第 22 回北陸の家づくり設計コンペティション   福井新聞社賞 2016 4 年 後 期    JIA 東海支部設計競技大会            銀賞 + ゲスト審査委員賞 2017 4 年 後 期    福井工業大学卒業制作展              F`sDesign 賞 ( グランプリ ) 2017 4 年 後 期    福井工業大学卒業式                理事長賞 2017 院1年前期

毎日 DAS 学生デザイン賞            入選

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制 作 大柳ユウヒ 作品集


¦ 制作 ¦ Association Game ¦

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Association Game

し り と り の 建 築

連想ゲームで建築を作る。それがこの作品のコンセプト である。建築を三つの要素(素材形色)に分解し、要素 がつながるもの同士で構成して行く。この連想ゲームで はしりとりのように、前後の文脈の見で構成されていく。 全く関係ないオブジェクト同士がつき合わされる。隣接 ¦ 制作 ¦ Association Game ¦

する部分は似通っていても、全体では多様な姿が立ち上 がる。今まで意図されなかったオブジェクト同士が新し い景色を生み出し、既存のオブジェクトに新しいプロパ ティが付与される。多様なパースペクティブが生まれる。 あらゆる情報が最適化され、みたい真実だけに囲まれが 現代。だからこそ、見たいものを辿るうちに全く別の何 かと出会うことができる建築を考える。それは事故のよ うかもしれない、けれどそれを経てこそ、得ることがで きる豊かさが建築にはあると考えている。

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家族的類似性について ウィトゲンシュタインが著書哲学探究の中で、家族的類似性と言 う概念を提案している。あるグループを想定する。そのグループ を構成するメンバー全員の共通点は特にない。しかしながら、メ ンバーを一人一人みると互いにそれぞれ異なった共通点がある。 そして、グループとしてなんとなくのまとまりが発生する。とい うような考え方である。世の中のグローバル化や資本主義の徹底 により、建築そのものがプレゼンテーションに覆われているので はないだろうか。翻ればプレゼンテーションによって建築が成り 立っている。プレゼンテーションによって成り立つ建築というの は基本的に明瞭なイデアを元に展開されたルールによって構成さ れる。一つのルールを元に首尾一貫する方が説明がつくからだ。 ¦ 制作 ¦ Association Game ¦

資本主義と言う原理の上では、建築はカタログ化し商品と化す。 そして商品の基本的な性質は差異である。建築そのものがカタロ グ化し、差異でしか語れなくなる現在において類似性を考える。 見えない壁によって分断される世界の中で、建築はどのように連 帯を作ることができるのだろうか。空間が丸ごと繋がれなくとも、 部分の連続性によって開かれていくことを狙う。

要素の連続性

空間の作り方

素材 形 棒状の形を作り

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曲げて、空間を分節する

それらを組み合わせる


¦ 制作 ¦ Association Game ¦

連想の方法

家型

木の家型

木のフレーム

鉄のフレーム

鉄の四角

鉄の不定形

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¦ 制作 ¦ Association Game ¦

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¦ 制作 ¦ Association Game ¦

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SHOP2.0 Prize 毎日 DAS 学生デザイン賞  入選 福井工業大学 ¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦

卒業制作展  F`sDesign 賞  (グランプリ )

卒業制作

高度情報化がもたらす影響は様々に大 きく、とりわけ商空間への影響は大き い。インターネットの出現で消費の考 え方そのものが変わりつつある。この

提案ではただ消費するための空間を

SHOP1.0 と定義し、そこから制作や販 売、観光や見学などの要素を含めたも

のを SHOP2.0 と定義した。モノを売る だけではネット通販や巨大ショッピン

Published

別冊 近代建築 6 月号  卒業制作 2017

グセンターとの差別化ができず、吸収

されていってしまうため、固有性をキー

ワードに設計する。「そこにしかないも の」が生まれ、それが独自のサイクル で発展していくための場としての店を 提案する。

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¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦

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fig.1 作る場所や買う場所、見る場所など様々なプログラムが連続した空間で様々なモノ やコトに出会いながら、情報端末を利用して欲しいものやイベントなどを的確にピック アップする。図式的に使用する情報空間とカオティックな実空間が溶融する。 fig.2 全体のダイアグラム 線型を基本に、それらを組み合わせて 8 の字のループを作る。 動線そのものを全体化する。 fig.3 ループを周辺の敷地形状に合わせて変形、修正する。 fig.4 空間が連続する姿や、錯綜する形、透明による情報の複層性などを考えながら 200 ほどスタディモデルを作成した。 fig.5 fig.4 で作成した 200 のスタディモデルを各部に設定する。ループ形状の全体と、様々 な部分が両側から衝突し、場そのものがリバースエンジニアリングされて立ち上がる。偶 有性を孕んだ空間を目指す。

¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦ fig.1

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fig.2

¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦

fig.3

fig.5

fig.4

15


¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦

fig.1

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fig.3 fig.2


¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦

fig.1 模型全体の写真 単一で巨大なボリュームを設 定するのではなく、分節しながら連続する姿を考え る。 fig.2 構造体そのものが連続する中、床が飛び出たり ずれたり壁が立ち上がったりと一連の造作の中で違 う操作がからまり空い多様な場を作る。 fig.3 錯綜する線が複数の場所への意識をもたらす。 現代の情報社会の特徴である、図式が先に現れてか ら身体的な経験を得るように、空間への意識と身体 のずれが現れる。

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鬩ぐ筒 Prize JIA 東海支部 設計競技大会 「限界住居」 銀賞 ゲスト審査委員賞

コンペティション

「機能的」で非常に「便利」かつ「安心安全」な、現代の住居。 夜は照明が室内を照らし、昼と同じような環境を作った。 空調で整えられた夏、暖房が効く冬。 均された 季節は私たちに環境からの断絶を与え、

¦ 制作 ¦ 鬩ぐ筒 ¦

環境に左右されない効率的な社会を築き上げてきた。 しかしながら、全てが人工的機械的になりゆく現在、 私たちの動物的なヒトとしての身体は、 この自然の産物はどうなるのだろうか? あまりにも効率を優先する社会のシステム、機械化によってヒトは壊れ始めてはいな いだろうか? 多様性を叫ばれる現代はあくまでも人間中心的多様性、ヒューマニズムが前提となっ ている。 人間の秩序だけで成り上がった空間の至上主義的なるものから、 自然という他者、カオティックな秩序によって襲われる空間性、 それらと共存、あるいは鬩ぎ合う建築の姿を考える。

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¦ 制作 ¦ 鬩ぐ筒 ¦

fig.4

筒を通じて、雨が住居の中を流れる。

fig.6

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fig.5


fig.1

fig.1 水平に伸びた筒、内外の曖昧な領域がある。 fig.2 筒を折り曲げ、頂点を作る。空間がわずかに分 化される。 ¦ 制作 ¦ 鬩ぐ筒 ¦

fig.3 筒が起き上がり斜面を貫く。 頂点を境に、自然と人間の空間が鬩ぎ合う。 fig.4 枯葉がつもり、自然のクッションになる。 fig.5 筒を通じて、雨が住居の中を流れる。 fig.6 雪が断熱材となり、シェルターとして熱を留め る。 fig.2

fig.3

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UNDER ONE ROOF Prize 第 22 回 北陸の家づくり 設計コンペ 福井新聞社賞

¦ 制作 ¦ UNDER ONE ROOF ¦

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コンペティション


北陸における家を考えるコンペティションで、 テーマは「井戸端会議が花咲く家」自分は「軒 を借りる」ということわざから考えた。このこ とわざには、日本の都市、建築的な文化が現れ ている。 軒下空間によって、ひととひとが触れ会うよう なきっかけを作りそこから様々な活動が広がる ¦ 制作 ¦ UNDER ONE ROOF ¦

ことを考えた。北陸にとって屋根は大切な要素 になる。それは雨風をしのぎ、雪から身を守る。 この屋根は傘となって人々の振る舞いを 覆う。大きなひとつの屋根はまち並みの ひとつ、風景となり、周囲へを溶け込み、様々 な活動のきっかけとなるシンボルに なる。

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fig.1 大きな屋根は、まちにとってひとつのシンボルとなり、周囲の人々を誘うように、 大きな庇がまちへと伸びていく。 fig.2 しつらえられた和室は静かに、けれども緩やかにまちへと広がりを見せる。 fig.3 天井まで伸びる大きなまど。ひとたび開けば内と外が家の中で溶け合い、ひととひ との距離も溶けてゆく。 fig.4 大きく庇がかかる軒下の空間から縁側の空間、 そしてリビングへと緩やかに連続していく。

¦ 制作 ¦ UNDER ONE ROOF ¦ fig.1

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fig.2


¦ 制作 ¦ UNDER ONE ROOF ¦

fig.4 fig.3

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「勾配屋根をかける」時、建築は保守性を帯 びる。1930 年頃、ブルーノタウトがジード

浴室

ルンク・ツェーレンドルフに陸屋根の建築 を提案した際、保守的な建築家は勾配屋根 ¦ 制作 ¦ UNDER ONE ROOF ¦

を支持した。勾配屋根の持つナショナルな 姿が 2010 年代になって強まっている。グ ローバリズムが進む中、反動としてナショ ナリズムも際立っている昨今。その様相と して日本人建築家もこぞって勾配屋根をか

バスコート

つての表層的脱構築建築の延長のような、 不安定な形で実現させていることが目立つ。 今回の提案で思索したのは、屋根すなわち 立面に保守性を持たせ、平面を周囲に開い た形で全体のバランスを保とうと考えた。 シンボライズされた屋根とフラットにつな がるプランによって保守でも革新でもない 中間体としての建築を目指した。

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土間

機械置場

縁側

脱衣 キッチン 洗面

和室 ¦ 制作 ¦ SHOP2.0 ¦

ダイニング WC

物置

駐車場

リビング

中庭

土間

p18


境界を和える

¦ 制作 ¦ 境界を和える ¦

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3年後期第 2 課題


配置図兼 一 階 平 面 図

保育園を設計する課題。屋外での遊びを 意識することが要件だった。自分の幼少 期を考えると外で遊ぶことも中で遊ぶこ とも意識が途切れることがなく、気づけ ば山の中にいたり田んぼのあぜ道を歩い ていたりした。そこには慣れ親しんだ自 然と、まだ見ぬ発見、未知が混在していた。 重要なのは建築そのものが未知な発見を 内在しているということだろうか。園児 たちの感覚を建築や空間をトリガーに引 き出していくこと。未知と既知の間、そ の境界線を和えることによって新しい感 ¦ 制作 ¦ 境界を和える ¦

覚が園児たちにもたらされるのではない だろうか。

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fig.1

様々なシーン fig.1 はしごを登る ¦ 制作 ¦ 境界を和える ¦

fig.2 上から見下ろす、下から見上げる fig.3 穴から下を見る fig.4 自然と対峙する / 触れる fig.5 座ってぼんやりする fig.6 隅っこに忍び込む  fig.7 丘に座る fig.2

fig.3

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¦ 制作 ¦ 境界を和える ¦

fig.4

fig.6

fig.5

fig.7

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直線的なグリッドと交錯するアモルフな形 態。その両者に挟まれたズレが顕在化した 空間に豊かさを見出す。 平面上はグリッドを基準にプランニングを 行い、それらにかぶさる皮膜としての構造 がランドスケープのスケール感で被さって アモルフな屋根 , 地形

ヴォリューム

敷地

いく。自分の意図された空間の先にある、 ごちゃまぜに和えられた空間で偶発的な空 間を、子供達の手によって新しい建築の姿 がかたどられていく。

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景の稜線 Prize 福井県 合同講評回 最優秀賞

建築を、デザインを学ばなければ、美術館に行くこ ともなかったのだろうか?何かきっかけがなければ 私は芸術などに触れることもなく人生を終えていた のだろうか。地方にいるとそれを強く感じる。美術 館はやはり文化的素養がある人がいくもの(もちろ んそれ自体は重要である)という認識が強い。建築 的な操作を用い、つい訪れてしまいたくなる美術館 の姿を考えた。

¦ 制作 ¦ 景の稜線 ¦

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3年後期第 1 課題


¦ 制作 ¦ 景の稜線 ¦

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¦ 制作 ¦ 景の稜線 ¦

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設定された敷地は、公園として現在機能している。その 敷地に美術館を立てることを考えた際、連続性を意識し て内外や公園と美術館との境界線が曖昧になった姿を考 える。例えば、山には入山するという単語があるが、ど こからが山なのかという明確な境界は存在してはいない。 建築には扉があり、扉を開けて中に入るが山には扉はな い。連続的に山に入っていくということだ。公園の中に 美術館が立つ時、公園と美術館の関係が連続的であれば 調和をもたらすこともできるだろう。

¦ 制作 ¦ 景の稜線 ¦

37 A-A Section 1/400


fig.1 半屋外展示室を望む。屋根がかかった空間の先に 作品がある。室内でもなく屋外でもなく屋根がかかった 半屋外の 場

で作品と対峙する。

fig.2 建築の中身、コンテンツが主導となって作るのでは なく、様々な許容性を生み出すために屋根をかける。機 能主義的に作るのではなく、機能を超えた場を生み出す ことを考える。例えば土間、広間、縁側などの要素があ るがそれらは土の場所、広い間、端の部分などと状態が ¦ 制作 ¦ 景の稜線 ¦

名前になっている。用途を限定しない場ということは 様々な使い方ができる。多様性を許容し、そこから現代 美術との関連性が生まれることでこの場にしかない作品

fig.1

というものが存在し得る。 fig.3 エントランスから企画展示室、中庭を見る。 中庭を挟んで奥に様々なヴォリュームがあることを記し ている。また展示室左横の通路などから屋根のしたで空 間が連続的につながっていることを示唆する。 other 「軒を貸して母屋を取られる」という言葉がある。 転ずれば、屋根が伸び庇が生まれ軒下空間を周囲に解放 することにより、周辺の住民に対して 母屋 となるも のを与え、自分たちのものだと思うことを狙う。

fig.2

38


¦ 制作 ¦ 景の稜線 ¦

fig.3

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もので象るみせ Prize 主張するみせ 学生デザインコンペ 入賞

建築や空間というものは基本的には人間のスケール を基準としてできている。お店の主役である商品を 基準に空間を組み立て、人間がそこへ観光へ向かう 建築を考えた。商品ごとに適切な大きさのフレーム を設定する。それらのフレームを積み重ねて空間を 作ると言う単純なルールだ。ものそのものの大きさ によってフレームの大きさは変わる。つまり取り扱 う商品の大きさによって空間そのものの大きさも変 化する建築を考えた。

¦ 制作 ¦ もので象るみせ ¦

40

2 年生後期


¦ 制作 ¦ もので象るみせ ¦

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活 動 大柳ユウヒ 作品集


福井県大学連携センター

FSQUARE

¦ 活動 ¦ FSQUARE ¦

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インテリアデザイン


JR 福井駅前 AOSSA6 階に位置する大学連携 センター FSQUARE のためのインテリアデ ザインを担当。大きな曲線を描く机が特徴 的で、空間に流れを生み出し連続感を生み ¦ 活動 ¦ FSQUARE ¦

出すコトを目的とした。お互いが離れた席 に座っていても、一枚の大きな机を共にし ていることでアウェアネスが発生すること を考える。

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GOOD DESIGN AWARD

毎年行われるグッドデザイン賞における審 査のスタッフに参加した。ただ受動的に参 加するだけではなく、審査員の要求やチー ¦ 活動 ¦ GOOD DESIGN AWARD ¦

ムのマネジメントを行いながら能動的に活 動を行う。「グッドデザインとは何か」を問 い続けた期間でもあり、最前線のデザイン スタンダードにも触れることができる機会 だった。

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スタッフリーダー


¦ 活動 ¦ FSQUARE ¦

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建築デザインサークル 結。 福井工業大学の建築学科、デザイン学科学生 有志を募り、建築デザインサークル結。 (ゆい) ¦ 活動 ¦ 建築デザインサークル 結。¦

を立ち上げる。活動としてコンペティション への参加、相互批評や模型を制作してスキル の伝搬、建築見学旅行を敢行するなどを行っ ている。 fig.1 瀬戸内国際芸術祭に合わせて瀬戸内海 の建築ツアーを敢行した。二泊三日の間に直 島豊島などを周り、それぞれに建築について ディスカッションをした。 fig.2 毎年開催される JIA の卒業設計講評会 にメンバーで見学に行き実際の卒業設計や講

fig.1

評の雰囲気を体験した。

fig.2

40 48

立ち上げメンバー 二代目代表


¦ 活動 ¦ 建築デザインサークル 結。¦

49


Y

U

H

I

O H Y A N A G I

P O R T F O L I O


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