PRAXIS2019

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環境デザイン

トークセッション2018

学科ニュース

鹿島建設株式会社の助成による今年度の「トークセッ

神戸芸術工科大学卒展[学部・大学院] カオス2019+FUSION

ション」は、 「これからの建築」 というテーマのもと、 以下

2019/2/08(金)〜10(日) 、 『神戸芸術工科大学卒展

の4名を講師として招いた。入場料無料で、学生だけ

[学部・大学院] カオス2019』が兵庫県立美術館と原田

でなくどなたでも参加可能。 本誌61頁にレポート掲載。

の森ギャラリーで行われた。環境デザイン学科は原

●2018/5/31(水)藤野高志

田の森ギャラリーにて展示。多くの方々に作品鑑賞や

●2018/6/19(火)橋本健史

卒業論文の閲覧をしてもらい、4年間の学業の成果を

●2018/7/03(火)福島加津也

広く発信することができた。

News 2018.04-2019.03 2018年度環境・建築デザイン公開講義

●2018/7/12(水)増田信吾 ナビゲーター:畑友洋准教授

2018年度は、下記の公開講義を行った。公開講義は 入場料無料で、学生だけでなくどなたでも参加可能。 ●2018/10/09(火)岸和郎 『Cultural Layers』 ●2018/11/01(木)西村幸夫 『都市の読み取り方』 ●2018/11/27(火)内田祥哉 『構法と造形』 ●2018/12/12(水) フィリックス クラウス 『アムステルダム 都市デザインに呼応する建築を創る』 ●2019/01/29(火)遠藤剛生 『集合住宅の計画ノートから』

環境デザイン学科教員が グッドデザイン賞を受賞 2018年度のグッドデザイン賞の選考結果が発表さ れ、下記の取り組みで本学科の教員が受賞した。 ●「リノベーション総合実習」実習課題の最優秀作品 を実現化したリノベーション賃貸物件2点

「ミキシル」2018開催

「石垣の上に建つ鉄骨の家」 (2016年度実習課題作品) 「光の粒子と暮らす箱」 (2017年度実習課題作品)

三木市の歴史的市街地を対象とした三木のことを

ディレクター・デザイナー:

もっと知るプロジェクト 「ミキシル」が2019/2/24(日)

「リノベーションの教科書」が 出版されました

花田佳明教授、川北健雄教授(その他と協働) ●KOBEパークレット

に開催された。本学科の学生たちが企画運営を行う、 この親子参加型イベントも今年で9回目。親子でまち

学芸出版社から、 リノベーションを学び、設計やプロ

ディレクター:小浦久子教授

を歩きながら、三木の歴史文化を楽しく学べる。

ジェクトに取り組むための入門教科書として、 「リノ

デザイナー:長濱伸貴教授

ベーションの教科書: 企画・デザイン・プロジェクト」が 出版された。6名の専門家による共著で、そのうち3 名は、本学科の教員(花田佳明教授、川北健雄教授、 山之内誠教授) である。

石垣の上に建つ鉄骨の家(撮影:山田圭司郎)

KOBEパークレット

編集後記

』をお届けします 。 PRAXIS 2019 今年も学生作品は力作が揃い、学科活

●『

動 もたくさん紹 介でき ました。ぜひお

楽しみください。

昨 年 度 初めて行った公 開 形 式での卒 業 制 作 選 抜 講 評 会を今 年も実 施しま

した。教員と学生、 あるいは教員どうし

盛り上がりました。

でさ ま ざ ま な 意 見 が 飛び交い、大いに

定 年 後 も 特 別 教 授 として本 学 科の 教 育に携わっていただいた遠 藤 剛 生 先

生が本 年 度で退 職されます 。これまで

築家としてのますますのご活躍をお祈

の御 貢 献に感 謝 申しげると同 時に、建

りする次第です。

展 開していく 予 定です 。その様 子は本

新 年 度からは新 しいスタッフも 加わ り 、教 育 と研 究 をよりいっそ う 活 発に

誌でいずれ紹 介しま す 。ご期 待 くださ

[花田佳明] い。 』 の編 集をしている ●『 PRAXIS 2019 時 、仙 台では「せんだいデザインリーグ

」が行われており、 ツイッターで審 2019 査の様 子 をのぞいていました 。審 査 委

員はとにか く 、 いろんなことを 言 う わ

様々な評価があるから。

けです。当然です。審査委員の数だけ、

私がもし審 査 するとしたら、何を評 価 すべきか。神 戸 芸 術工科 大 学の卒 業

制 作 選 抜 講 評 会でも、自 分に問いかけ

今 までは新しさを 探 求して、挑 戦して

ながら、 審査の行方を拝見しています。

いる案 を 密かに推 すことにしていたの

案 を 見て、ちょっと 認 識 が 変 わり ま し

です が …… 。今 年 、足 立 明日 香 さんの

た。社 会には多 くの問 題があって、それ

晴らしいなと。これから未来にも、建築

[石坂美樹]

を「 建 築 」で解 決しよう とする姿は素

れました。

には力がある。それを 思い出させてく

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環境デザイン学科 4年間の学び 私たちを取り巻く環境には、都市や公園のような大きな空間から住宅のような小さな空間まで、スケールも用途も様々な空間がある。それらは、人々のつ ながりや周辺の自然のあり方と相互に密接に関係しあい、私たちの生活空間を形成している。一方、それは人々の記憶を蓄積し、反映した歴史的空間でも ある。環境デザイン学科では、生活空間が成り立つ仕組みを理解し、時代が求める新しい空間をデザインする方法を学ぶことを目標としている。「まちづく り」 「ランドスケープ」 「建築」「リノベーション」の4つのコースがあり、全コースに共通する基本的な知識や技能を身につけた後、ひとりひとりの適性や 関心に応じて、コースごとのより高度な専門分野へと学習を深めていく。

基礎技能の学習

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環境デザインの基礎を しっかりと学ぶ

学科共通科目 環 境 デ ザ イ ン と は Ⅰ・Ⅱ | 建 築 構 造 入 門 | 近 代 建 築 の 歴史|環境デザイン基礎演習Ⅰ・Ⅱ| CAD基礎演習 特別科目 フレッシュマンセミナー|環境デザイン特別講義A

環境や建築のデザインをこれから学ぼうとする学生が知ってお

くべき基本的な考え方を、講義科目を通して学んでいく。演習 科目では、デザインを行うための基礎的な技術を修得する。今 後の履修に必要な基礎をしっかり固めていく。

共通専門領域の学習

2 年

すべてのコースに共通した 専門科目を学習する

学科共通科目 日本建築の歴史|西洋建築の歴史|力の流れと安全| 建築空間のデザイン|都市空間のデザイン|ランドス ケープデザインの歴史|ランドスケープ空間の歴史| 建築と熱・光・空気のデザイン|構造のデザイン| CAD 応 用 演 習 | 環 境 デ ザ イ ン 実 習 Ⅰ・Ⅱ | デ ザ イ ン プ ロ セ ス論|福祉住環境論|ワークショップ 特別科目 環境デザイン特別講義B

「まちづくり」「ランドスケープ」「建築」 「リノベーション」の 各専門分野に関係の深いバラエティに富んだ科目を編成。実習 科目はスタジオでの制作が中心になる。学科の専任教員だけで なく、講師として招いた各領域において優れた実績をもつ専門 家が指導する。

まちづくりコース

ランドスケープコース

後期からはコース別に分かれた学習が始まり、実習科目の課題

建築コース

より専門的な課題に取り組み 卒業研究に向けた準備を行う

リノベーションコース

3 年

内容もそれに対応して分かれる。それぞれの専門に特化したテー

学科共通科目 建築と法規|まちづくりのしくみ|住居・集落・街|ラ ンドスケープのプランニング|環境制御の技術|施工 の技術|コミュニティのデザイン|インテリア空間の デザイン|リノベーションの理論と実践|構造デザイ ン の 実 践 手 法 | 環 境 測 定 ワ ー ク シ ョ ッ プ | 構 造・材 料 ワークショップ|環境デザイン実習Ⅲ|照明デザイン コース科目 まちづくり総合実習|ランドスケープ総合実習|建築 総合実習|リノベーション総合実習 特別科目 環境デザイン特別講義C

マについて実習と演習課題をこなしていくことで、高度な知識 と技術を身につけていく。3 年修了時には、それぞれのゼミ配 属を決定する。

4 年

ゼミに所属し研究活動 4 年間の成果をまとめる

卒業研究 地域 都市 集落 コミュニティ

コース科目 環境デザインプロジェクトA・B・C 特別科目 環境デザイン特別講義D |卒業研究

団地 まちなみ 歴史 文化 街路 広場 公園 緑地 エコロジー 持続性 エネルギー 風景ウォーターフロント

ゼミに所属し、それぞれの研究テーマを専門とする教員からの 個別指導を受けながら、卒業研究(卒業論文と卒業制作の両方) に取り組む。卒業研究は、専門コースごとに分かれた学習内容 を再び統合化する役割も担っており、どのコースでもさまざま な職業・資格に結びつく教育を実践している。

公開空地 オフィス 店舗 福祉 教育 公共施設 保存 再生 改修 住宅 インテリアリ フォーム 照明 舞台

※インタラクションデザインコース対象者には別途専門科目が設置されています。

インスタレーション 家具 ディスプレイ パフォーマンス

環境デザイン学科 学科サイト

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長濱 伸貴

NAGAHAMA Nobutaka 環境デザイン学科教授

専門 ランドスケープデザイン 学歴 千葉大学園芸学部造園学科卒業 (1991)/神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了(2008) 職歴 E-DESIGN代表取締役 作品 堺自然ふれあいの森/錦綾幼稚 園/アートヴィレッジ大崎/なんばパークス2/三田市総合文化センター /クラウンプラザ神戸チャペル/阪神甲子園球場リニューアル/京染会館 屋上庭園/長浜市役所新庁舎 他 著書 ランドスケープ批評宣言(共著、 INAX出版2002)/マゾヒスティック・ランドスケープ(共著、学芸出版社 2006)/ランドスケープデザインの歴史(共著、学芸出版社2010)

▲大学キャンパスの中庭にて

山之内 誠

学部4年生/卒業論文タイトル 塩見晶恵/愛媛県今治市大三島の自然環境と土地利用に関する研究 冨嶋紘一/垂水商店街の歴史の経過と特徴に関する研究 長嶺裕哉/ファサードから読み取る福岡市の屋台に関する研究〜暖簾による分析 鍋谷麻子/坊勢島の漁業とそこに住まう住民との関係と実態について 西迫友輔/神戸の都心における観光地を繋ぐウォーターフロントの動線に関する研究 安原薫/神戸メリケンパーク内での撮影対象とその事情についての研究 山室美貴/ヴェルナー・パントン についての考察 ~パントン・チェアの曲線に類似する曲率について 芝本光宏/川瀬巴水から見た帝都東京の風景の魅力 土井香奈/オーストリア・グラーツの公共交通機関と自転車専用道路からみる都市の成り立ちについて 臼井将太 大学院生(修士課程) 小松克也・FA YINONG・井上雅也・岡田征篤・辰巳博康 研究生 屈銘涛・孫暁萌

学部4年生/卒業論文タイトル 木村由実/不動産情報サイトの検索項目からみる不動産のニーズの現在

YAMANOUCHI Makoto

石井優衣/藤森照信の茶室に関する研究

大学院芸術工学研究科教授

杉本望紗/マンションのモデルルームの戦略の研究 武田蓉子/文化的景観を守る集落の試み 〜滋賀県高島市針江及び霜降からの考察 中村あすか/石切剣箭神社を中心とした石切参道商店街を構成する要素の研究

専門 日本建築史、文化財保存論(博士(工学)) 学歴 東京大学工

西山昂輝/息を吹き返す限界集落丸山

学部建築学科卒業(1992)/東京大学大学院博士課程修了 2000)

増田凪/近代以降に描かれた未来都市構想の変換と実現に関する研究

職歴 建設省技官(1992-93) 著書・論文 三木の町並み(共著、三木

正司健太/淡河かやぶき屋根保存会「くさかんむり」の活動についての研究

市文化遺産活性化実行委員会2014)/近世讃岐国善通寺における伽

大学院生(修士課程) 蔡思琪

藍構成の変遷(仏教美術論集第7巻、竹林舎2015)/近世讃岐国善通寺 の開帳と臨時の設営について(建築の歴史・様式・社会、中央公論美術 出版2018)/リノベーションの教科書(共著、学芸出版社 2018)/図説 日本木造建築事典 構法の歴史(共著、朝倉書店 2018)他

▲大学キャンパスの中庭にて

萬田 隆

学部4年生/卒業論文タイトル 岩間彩里/SNSを通してカフェで撮られる写真についての研究

MANDA Takashi

岡本早苗/住民の意見と建築的側面による河内花園の色とイメージ

大学院芸術工学研究科准教授

西村洸希/インスタレーションとISSEY MIYAKEの服との相関性 野口陽平/喫煙所の椅子とポイ捨ての関係性 〜神戸芸術工科大学、喫煙所を調査して 福井達也/神戸市中央区における貸しギャラリーの利用実態に関する研究

専門 建築構造デザイン 学歴 京都大学工学部建築学科卒業(1997)

奥素輝/フランク・O・ゲーリー研究

/京都大学大学院修士課程修了(1999) 職歴 tmsd萬田隆構造設計

金藤蒼月斗/視覚情報を認識する際の評価基準と原理に関する研究

事務所代表/(株)オーク構造設計(1999-2005)/武庫川女子大学准教

前田真実/建築における 「カワイイ」要素についての研究

授(2006-2013)/大阪産業大学特任教授(2013-2016) 作品 桝屋本

川原将貴

店(平田晃久建築設計事務所,2006)/水都大阪 水辺の文化座(芦澤竜

大学院生(修士課程) 張皓暘

一建築設計事務所,2009)他 著書 スパッとわかる建築構造(共著、 2010)/構造デザインの歩み(共著、2010) 受賞 日本建築学会教育賞 (2016)/平成29年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞

▲卒論発表会の打ち上げ風景

畑 友洋

HATA Tomohiro 環境デザイン学科准教授

専門 建築設計、建築論 学歴 京都大学工学部建築学科卒業(2001) /京都大学大学院修士課程修了(2003) 職歴 高松伸建築設計事務 所(2003-04)/畑友洋建築設計事務所主宰(2005-) 作品 belly house (京都市)/complex house(名古屋市)/Atlas house(大阪市)/森の陰影 (六甲山)/ ガラスの木漏れ日 (長浜市)/ 元斜面の家(神戸市)/ Floating Hut(大津市)/ NCD丸の内(丸の内)他 受 賞 新建築住宅設計競技 2005 一等(2005)/JIA 第6回関西建築家新人賞(2011)/第3回京都建 築賞 優秀賞(2015)/第60回大阪建築コンクール 渡辺節賞(2016)

▲大地の家 撮影:矢野紀行

学部4年生/卒業論文タイトル 足立明日香/nendoのインスタレーション作品における空間の構築手法に関する研究 上野和輝/住空間に配置される家電製品におけるインタラクティブ性に関する研究 〜GOOD DESIGN AWARD 掲載作品について 岸本祐衣/日本の現代住宅における多様性をおびた階段に関する研究 〜新建築住宅特集掲載住宅を対象として 松井俊裕/Valerio Olgiatiの建築作品における空間形成手法に関する研究 井手翼/岡山西大寺五福通りの看板建築のファサードの研究 〜西大寺1200年の歴史 矢野直子/日本の現代住宅作品における外部性を備えた空間に関する研究 橘本侑弥/シェアハウスにおける空間及び物の専有と共有に関する研究 高橋海/二川幸夫の現代建築写真における視覚表現に関する研究 井上智貴/建築家の自邸における変遷に関する研究 〜1950年から2018年の日本建築学会賞受賞建築家を通して 大学院生(修士課程) 坂田知穂・中村文哉・松山昌太郎・丸岡龍平

松村 秀一

MATSUMURA Shuichi 環境デザイン学科客員教授

専門 建築構法、建築生産、建築再生(博士(工学)) 学歴 東京大学工 学部建築学科卒業(1980)/東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博 士課程修了(1985) 職歴 東京大学工学部建築学科講師(1986-)/同 助教授(1990-)/東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授(2006-) 著書 3D図解による建築構法 第二版(共著、市ヶ谷出版社 2016)/ひ らかれる建築「民主化」の作法(筑摩書房 2016)/リノベーションプラス 拡張する建築家の職能(監修・共著、ユウブックス 2016)/建築再生学 考 え方・進め方・実践例(共著、市ヶ谷出版社 2016)他

▲空き校舎をアートセンターにリノベーションした「3331 アート千代田」で 定期的に開催している HEAD 研究会の「リノベリング」型シンポジウム

▲︎空きオフィスビルを建替えずに 都市型集合住宅に変えるコンバージョン

吉良 森子

KIRA Moriko 環境デザイン学科客員教授

専門 建築設計、歴史的建造物修復、 リノベーション 学歴 早稲田大学 理工学部建築学科卒業(1987)/早稲田大学大学院理工学研究科建設工 学建築学専攻修了(1990)、デルフト工科大学建築学科留学(1988-1990) 職歴 moriko kira architect 主宰 作品 真鶴共生舎グループホー ム(神奈川)/オランダ首相官邸増改築(ハーグ)/シーボルト博物館(ラ イデン)/教会のリノベーション(フローニンゲン)/柿の木坂キャトル店 舗+住宅(東京)他 著書 Japan Towards Totalscape(NAi Publisher 2000)/これまでとこれから 建築をさがして (LIXIL出版 2013)他

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▲吉良森子ワークショップ最終講評会(2015年度)

▲墓地のパビリオン(アペルドールン)撮影:Jeroen Musch


教 員 ・ 研 究 室紹介 遠藤 剛生 ENDO Takao

環境デザイン学科特別教授 *2018年度まで本学教員

専門 都市、建築、インテリアのデザイン 学歴 大阪工業大学建築学 科卒業(1964) 職歴 神戸大学非常勤講師/大阪大学工学部非常勤 講師/神戸芸術工科大学客員教授 作品 苦楽園住宅/緑丘の家/ 大阪府営東大阪吉田住宅/杉並桃井団地/名塩ニュータウン集合住 宅/キーエンス/熊本県農業公園/りんくうタウン/長野今井ニュー タウンG工区(長野冬季オリンピック選手村)/NEXT21住戸改修/公益 社千里会館 他 著書 ヴィジュアル版建築入門5 参加と複合—メメ・ ファシスト (分担執筆、彰国社 2002)

▲ディリー&ジャパン カンツリークラブ 撮影:松村芳治

三上 晴久

▲公益社千里会館 撮影:松村芳治

学部4年生/卒業論文タイトル 厚見将舞/空き家改修に対して兵庫県が有している補助制度に関する研究

MIKAMI Haruhisa

平井佳奈/三宮から元町に至るカフェ喫茶店の差異に関する研究

環境デザイン学科教授

堀江里佳/りりぱっとはうすの竣工時と現況—開放型集合住宅の今 松岡倫多/人口動態から見た神戸市内の選択される居住地とされない居住地 武藤尚子/犬の散歩ルートの研究〜枚方市北山と八幡市欽明台をフィールドとして 福西郁香/移住者の実態調査に関する研究

専門 建築デザイン、建築設計 学歴 東京大学工学部建築学科卒

豊泉純/大阪市東住吉区のリノベーション事例調査と

業(1979)/東京大学大学院修士課程修了(1987) 職歴 内井昭蔵

「東住吉まちあるきツアー」の実態に関する研究

建築設計事務所(1979-85)/文化庁派遣芸術家在外研修員(マイケ

西建俊/「からほり新聞」から見る 「高齢者外出介助の会」の活動の研究

ル・グレイブス建築事務所にて研修 1987-88) 作品 苗場の週末住

大学院生(修士課程) 王宵

宅(1992)/森の里テクノプラザ、MKオフィス(1993)/茨城県立盲 学校小中学部棟(1997)/茨城県陶芸美術館(2000)/米子吉谷の家 (2003)/茨城県営見和アパート (1期〜6期) (2003) 著書 初めて の建築設計 ステップ・バイ・ステップ(共著、彰国社 2010)

▲飛田新地「鯛よし百番」にて

花田 佳明

学部4年生/卒業論文タイトル 石井香音/<居心地>を形成する要因の研究〜他人との空間的関係性に着目して

HANADA Yoshiaki

柴原良能/ツバメの巣とそれが造られる建築環境の関係についての研究

環境デザイン学科教授

高畑朋幸/長崎県における戦争遺跡の保存管理の判断と評価に関する研究 水田年音/鉄道廃線跡の有効利用に関する研究

情報図書館長

谷田直哉/建築における 「白」の意味についての研究 西口拓斗/ミラノファッションウィークにおけるショー空間の変容についての研究

専門 建築設計、建築設計理論、近代建築史(博士(工学))

森下真樹/建築家・谷口吉生論〜目地によるデザインコントロールという観点から

学歴 東京大学工学部建築学科卒業(1980)/東京大学大学院修士 課程修了(1982) 職歴 日建設計(1982-92)/神戸山手女子短期大 学 講師・助教授(1992-96) 作品 渦森台ハウス(神戸市2000)/テ ツノマチヤ(大阪市2002)/岡本のb(神戸市2005)/八幡浜市立日土 小学校保存再生(八幡浜市2009) 著書 植田実の編集現場(ラトル ズ 2005)/初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ(共著、彰国社 2010)/建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム(彰国社 2011)他

▲ゼミ旅行。内子町の宿にて

小浦 久子

学部4年生/卒業論文タイトル 鎌田一歩/八尾市のオープンスペースの再建による魅力化

KOURA Hisako

中村優嘉子/現代演劇における社会的メッセージを伝えるための舞台空間

環境デザイン学科教授

渡邊茜/鈴蘭台第五団地の空き住戸と少子高齢化問題に関する研究 構佑衣/スタジオジブリ作品における背景画の特徴

学科主任

北迫颯/神戸市三宮地区における経路選択と都市空間の関係に関する研究 坂本拓己/ゲームはスポーツになりえるか「eスポーツの可能性」

専門 都市計画・空間計画・景観(博士(工学)) 学歴 大阪大学

藤本寛人/三宮磯上地区の市街地変遷に見る空間構成の特徴

人間科学部人間科学科卒業(1981) 職歴 建設コンサルタント

吉本和真/見えない建築

(1981-1992)/大阪大学助手(1992-1997)/大阪大学大学院准教

大学院生(修士課程) 長峰秀和・本宮由紀子

授(1997-2015) 活動 ルール広域計画アイデアコンペ(2013)/ KYOTO FUSHIMI Planning Workshop(2017)/景観計画策定支援(芦 屋市・四万十市等)他 著書 まとまりの景観デザイン(学芸出版社 2008)/失われた風景を求めて(共著、大阪大学出版会 2008)/未来 の景をそだてる挑戦(編著、技報堂出版 2011)他

▲大学キャンパスの中庭にて

川北 健雄

学部4年生/卒業論文タイトル 梅元剛志/武庫川の魅力に関する研究

KAWAKITA Takeo

木村啓人/ジュエリーブランド”クロムハーツ”デザイナー論

環境デザイン学科教授

酒井裕樹/コンビニの商品棚のレイアウト等と利用者の関係に関する研究 伏木莉穂/カフェにおける座席の種類や配置と行為との関係 五十井みずほ/手作りを扱う神戸の家具屋に関する研究 嘉藤知里/倉敷市玉島町並み保存地区のまちづくりと今後の課題

専門 建築設計、まちづくり (博士(工学)) 学歴 京都工芸繊維大学

玉木篤人/神戸市におけるフィルムコミッションの存在意義についての考察

大学院修士課程修了(1987)/コロンビア大学大学院MSAAD課程修了

井本大貴/高砂市高瀬町における国登録有形文化財の利用実態調査を通した

(1992)/大阪大学大学院博士課程単位取得退学(1993) 職歴 オ

古民家再生活用の課題と可能性に関する考察

ブリスト建築事務所(St. Moritz 1988)/神戸芸術工科大学助手(1993-

中川新大/多聞台団地を取り巻く斜面緑地の利活用

96)/スイス連邦工科大学客員研究員(1996) 作品 稲美町都市計画

大学院生(修士課程) 馮潔・張文博

マスタープラン(2008)/鈴木文化シェアハウス(2013)/禅昌寺キオスク (2014)他著書 初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ(共著、彰 国社 2010)/リノベーションの教科書(共著、学芸出版社 2018)他

▲ゼミの様子。鈴木文化シェアハウスにて

藤山 哲朗

研究生 秦嘉川・李書陽・龍一飛

学部4年生/卒業論文タイトル 東井絵里帆/日本改良型ディズニー式テーマパークの計画構想と空間計画

FUJIYAMA Tetsuro

〜東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの比較から 大豊健矢/芸術空間の世界観~日本と西洋の比較

環境デザイン学科教授

小谷総介/コンピューターテクノロジーとファッション ~そのデザインプロセスと建築の応用 木村星也/海底トンネル人道の魅力

専門 建築設計、デザイン論 学歴 日本大学理工学部建築学科卒業

藤田千代人/Bリーグが発展するには~スマート・ベニュー地域活性化

(1987)/芝浦工業大学大学院修士課程修了(1989) 作品 加久藤ト

石原聖也/三分一博志の建築に見られる知覚の考察~聴覚と嗅覚について

ンネル換気所施設(熊本アートポリス 1991)/T2(ベニス・ビエンナーレ

進藤秀樹/ポケモンらしさとは何なのか

第5回国際建築展、ベニス・プライズ部門、特別賞 1991)/岡本の家(神

中尾梓乃/2.5次元ミュージカルの空間構成について

戸市 1996)/コペンハーゲン新王立劇場 コンペ案(2001)/神戸芸術

大学院生(修士課程) 張紹猷・鈴木啓史

工科大学クリエイティブセンター(2008)/西ノ浜の家(瀬戸内国際芸術 祭施設(2013)他 著書 古典主義建築ーオーダーの詩学(共訳、鹿島 出版会 1997/建築MAP大阪/神戸(共著、TOTO出版 1999)他

▲研究室にて

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商家住宅の再生活用を提案 STUDENTS TOPICS

丹波篠山 町家再生プロジェクト 平成30年度 商工会産学連携支援事業

周辺農地の見学

近年、地方の市街地や農村地域で

平成30年度には、篠山市黒田にお

は空き家が増加し、古民家が放置・

いて、本学科の学生も参加し、古民

取り壊しされることによって、先祖か

家の再生活用案を考えるプロジェク

ら大切に受け継いできた風景が失わ

トが行われた。対象にしたのは、築

れつつある。本学科では平成26年度

90年以上になる元煙草小売所で、以

から、篠山市内の若手工務店グルー

前は特定郵便局も設けられていた商

プ「住倶楽部(すくらむ)」、篠山市

家住宅である。県道に面して母屋と

商工会・兵庫県商工会連合会と連携

増築部が並び立ち、通り土間を抜け

し、古民家改修等を通して、地域活

た奥には蔵も付属している。現在は

性化や若手技術者の育成や「日本遺

篠山市が所有しており、西紀南まちづ

産のまち丹波篠山」にふさわしい町

くり協議会とともに、地域活性化に

並み景観の継承に取り組んでいる。

つながる有効活用の検討を行った。

地域住民からの聞き取り

実測調査

優秀作発表会後の授賞式。篠山商工会議所にて

実測時の野帳

提案 ① 丹波篠山の台所

提案 ② 回遊性のあるフレキシブルな空間の提案

土間を拡張してキッチンを複数分散配置することにより、料理教室や飲食業への

特定の用途を定めず、建築的に回遊性・視線の抜け・間取りの可変性を担保す

賃貸、あるいは農業体験に訪れた人々の交流の場や、地場産食材による商品開発

ることで、昼間は児童館、夜は大人の寄り合い所など、多目的に使用できるよ

ラボなどにも活用できるようにする提案。

うにする提案。

15E0007 石井優衣・15E0028 武田蓉子・15E0032 中村あすか

14E0078 木村由実・15E0005 石井香音・15E0046 堀江里佳

トイレと小さな

キッチン

テラスキッチン

壁を無くし、

窓を無くし、

レベル差は残す。

ガラス面の大きな

建具は無し。

引き戸に変更。

中庭

干竿

調 理

床脇の壁を無くす事により、

ラ ボ

子供だけの通路になる。

[ 建具の可変性を生かした多様な間取り方法 ( 畳の 4 室 )] [調理ラボ]

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[テラスキッチン]

Pattern1

Pattern2

Pattern3

4 部屋に分割

東西2部屋に

南西隅を独立

Pattern4

[干竿]

ここでは特産品を使っ

土間から続く西側の外

野菜や、果物、農作業

た商品の開発や、特殊

部空間にあるキッチン

で汚れた衣類などを干

な調理方法を用いる料

は、野外ならではのア

す。

理を行う。

ウトドア料理が可能。

4 室を 1 部屋に

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59 59


学生が企画・運営するアイディアコンペ

STUDENTS TOPICS

頁制作:山下哲平(三年生)

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木のぬくもりと暖かな光に包まれる空間。 Loop and Loop は、このストリートの始まりと終わりの空間だ。 木材特有の温かみのある空間で包まれるような感覚が利用者に は感じられる。 2×4 材によって構成されたフレームが2度ずつの傾きを持ちな がら、46 回にわたり連続し一つのユニットが出来上がる。出来 上がったユニットの間には、人の居場所が挟まっている。

M occs s

小さなリズムを生む空間。 Moccss は、自分だけの空間を作り出す。 心地いい距離を作り出してくれる装置としてのプランターが存 在する。リズムを刻みながら高さの変わるプランターを介して 伝わってくる心地の良い存在感が居心地を作り出す。他の空間 とは違う自分の時間を作り出す。

n a m i k i

自分だけの居方を見つける空間。 Namiki は、自分好みの拠り所を探し出す空間。 細い柱を組み木によって組み上げて作られているこの場所は、 まるで並木の中を歩いているような安心感と程よい包容感があ る。他の空間にはない移動できるスツールと正対した列柱によっ て自分なりの居方を見つける。

クレーンで釣り上げないと敷地に入らな

製作には効率の良さと精度が求められるため、プロダクト・インテリア

実際のスケールと同じモックアップを製作し、そこから情報を得てデザイ

いため、パーツや組み立て方もデザイン

デザイン学科のメンバーとともに試行錯誤を繰り返した。

ンを改良していく。

手作りの空間は、どこか暖かい。

する必要があった。

サンエフストリートは手作りでつくられている。 主に木材を使用しているため、切り出しからビス での固定、そして表面の塗装などの加工も行って いる。人が触れる部分には特に注意を払いながら、 なめらかな肌触りになるよう徹底して行った。 機械による製作と比べると、確かに制度は落ちる ことになるかもしれないが、それでもかなりのク オリティになっている。むしろ、機械では出せな いようなぬくもりを感じるだろう。プロダクトも 建築もどちらもものづくりであり、使い手のこと を常に考えている。それが空間にも現れている。

57


三 F ストリート 2016 - 2018

三宮センター街3階に賑わいの空間を STUDENTS TOPICS

世界は2つの「間」でできている。それは「時間」と「空間」だ。 2つの間をデザインすることで、いつもよりずっといい日になる。 「素敵な時間のあいだにも、素敵な時間を。」

SanF street 2017~2018 プロダクト・インテリアデザイン学科

環境デザイン学科

萬田 隆

ビジュアルデザイン学科

田頭 章徳

萩原 小麻紀

池内 宏行

新居 達成

櫻井 ノマド 喜多川颯馬 岩本優輝

河本奈津穂

木下侑希乃

白濱翔太

黒田茉佑

仙田彩葉

中路 涼

竹内智生

西岡大周

布谷健太郎

藤本はな

松本京華

濱野晃圭

鎌田一歩

森 美里

北迫 楓

坂田 玲央 上田 皓 能見梨沙

飯田愛莉

若木 健

栗山百華 篠田真愛実

朝倉拓実

堀川優花

多木翔夢 豊嶌力也 陰地智徳 瀬野雄介

山下哲平 酒井祐樹 酒井祐樹 松井俊裕 松井俊裕

た 時 間 を 創 出 し た 。

空 気 感 を 持 ち 、 ゆ

あ る 雰 囲 気 と は 違

た り と し

た 独 自 の

に 集 う 人 々 に 、 商 店 街 の 活 気

を も た ら す こ と で 神 戸 ・ 三 宮

に 作 デ ザ と て イ て い ン 、 る を 心 用 地 。 い よ 三 な い 宮 セ が ら ン 違 和 タ 空 間 感 街 を

を 活 か し 、 自 然 を 感 じ さ せ る

え 、 長 く 直 線 的 な 敷 地 の 特 徴

さ 、 面 白 さ も 重 要 な 要 素 と 考

つ く 提 案 し た 。 清 潔 感 、 新 鮮

を 基 調 と し た 休 憩 ス ペ

無 機 質 な 空 間 に 対 し て 、 ス 木 材 を

私 た ち は 、 こ の 薄 暗 く 陰 湿 で

商 店 街 の 違 和 感 を 生 む 。

ら 空 間 を 構 築 し た 。

こ と で 、 様 々 な も の の 見 方 か

あ ら ゆ る 分 野 の 学 生 が 関 わ る

年 の 2 期 に 渡 り 取 り 組 ん だ 。

1 7 年 、 2 0 1 7 2 0 1 8

生 ビ ト チ ジ ・ イ ム ア ン が ル テ 、 デ リ 2 ザ ア 0 イ デ 1 ン ザ 6 学 イ 科 ン 2 の 学 0 学 科 、

環 境 デ ザ イ ン 学 科 、 プ ロ ダ ク

生 ま れ て く る も の 。

他 学 科 と の 連 携 か ら

と を 目 指 し た 。

が 賑 わ う セ ン タ 街 に な る こ

イ ン す る こ と で 、 立 体 的 に 人

現 状 か ら 、 こ の 場 所 を 再 デ ザ

デ エ イ キ ツ 空 ビ 間 ル が 3 使 階 わ ジ れ て ン い ク な 堂 い 前

る 。 そ こ で 、 三 宮 セ ン タ

い の ス ペ

ス が 設 置 さ れ て 街 い

路 中 央 に ベ ン チ と い う 形 で 憩

タ 街 の ア ケ ド 直 下 ・ 通

ス が 始 動 し 、 現 在 で は セ ン

し い 情 報 を 提 供 す る 常 設 ス ペ

タ ジ た 。 街 ク そ に ト の 憩 ﹂ 中 い は の の 、 1 ひ 神 つ と 戸 ﹁ と 三 屋 き 宮 台 と セ プ 楽 ン ロ

様 々 な こ と に 取 り 組 ん で き

街 ﹂ の 姿 を 創 造 し て い く た め 、

代 に 向 け た ﹁ 神 戸 三 宮 ら し い

神 戸 三 宮 セ ン タ 街 は 、 次 世

サ ン エ フ ス ト リ

ぎ を 求 め て や て く る 。

ト の 役 割

い 空 間 で 、 多 く の 人 々 が 安 ら

木 材 を 基 調 と し た 居 心 地 の 良

ら 広 場 で も あ る よ う な 空 間 は 、

ト が 誕 生 し た 。 道 で あ り な が

神 戸 ・ 三 宮 の 新 た な ス ト リ

階 三 ジ 宮 セ ン ン ク タ 堂 前 街 デ エ イ キ ツ 空 ビ 間 ル に 3

﹁ 素 敵 な 時 間 の あ い だ に も 、 素 敵 な 時 間 を 。 ﹂

イベント時には、表情を変える 普段は、本を読んで休憩している人やランチ をしている人、友達と待ち合わせしている人 など多くの使われ方をしている。そんな空間 が、時にはサンエフストリートがカフェに変 わったり、時には手作り服やアクセサリーを 売る市場になったり、時には本と紅茶の大人 のおしゃれな空間に姿を変える。日常の雰囲 気とは違った空気感に変わるのイベントもサ ンエフストリートの魅力の1つである。 ヨルバル × 三Fストリート withCAFE英國屋 サンエフストリートがコーヒーの香る暖かい空間に生まれ変わった。 そこでは、大人のおしゃれな時間が流れた。

と も と 未 来 を 作 り た い な て 感 じ て い ま す 。

ア が 未 来 の 街 を 作 て い る し 、 そ う 考 え る と も

を売る市場。多くの若者が訪れ、賑わいのある空間が生まれた。

ロゴデザインや什器のデザイン、施工までも手がけた。紅茶と本と家具がアットホームな空間を生み出した。

岡 櫻 田 井

岡 田

櫻 井

岡 田

多 ま ク な や そ そ う の 協 リ い そ い チ 事 で す 学 か で ラ ぱ う ん の コ 力 ア る れ う を い る 生 ひ イ り た て い な は ラ し デ だ が の ム 考 な の の た と ア 。 し も う こ 必 ボ て ザ け 大 も を え が は う で 通 ン の と 要 で や イ で 変 難 ま た ら な ち 、 す り ト 勉 と も も な は る ン ま だ し と り 、 か に 。 や へ 強 も 含 あ こ 時 必 学 と さ め で こ な 、 こ の め り と に 要 科 ま た と た き う か 街 し う て プ た と て ま 。 衝 が と り し り る し で 中 突 あ ビ 辛 ︵ て 、 の て き に や み レ い 建 、 し し ジ い 笑 は グ は 社 る こ て ゼ 築 俺 た た た の ︶ て 、 ン て が は ね 。 あ ル 本 会 こ う り か ア に 街 改 か 思 も こ ︵ 当 と と い り し ら ル プ た ま プ に 実 じ う は め ら え の の 笑 た 、 デ ロ だ し で 貴 際 誰 て デ た づ プ ︶ 空 。 。 他 ザ ダ で た 考 重 に な 間 か 感 ザ 。 く ロ で の イ ク さ よ え な 繋 い を の じ イ 楽 り ジ も ジ ン ト え ね て 経 が 。 デ ア る ン し が 、 学 ・ 、 。 い 験 イ こ 、 い 好 ク 大 ザ そ ン 科 イ 人 デ と 施 よ き ト く 。 て 学 イ う ル と ン 数 が 工 や に を 物 生 ン と い と も テ が

ほ 実 際 と に す 、 る 完 し 成 、 し 発 て 見 人 も が あ 利 用 た し 、 て い る の を 見 る と

広 場 で も あ る よ う な 空 間 を つ く れ た と 思 い ま す 。

櫻 井 そ の 中 で 、 通 路 と し て 使 え る 道 で あ り な が ら

接 し て い る 。 な か ん か な ハ ド な 状 況 だ た 。

幅 も 細 く て 、 ジ ン ク 堂 と も ガ ラ ス を 通 し て 隣

岡 櫻 田 井 賑 や か な 1 階 か ら は 離 れ て い て 見 え な い し 、 道

覚 え て ま す ︵ 笑 ︶ 。

岡 田 こ 俺 の で 家 も に な 泊 い ま り て に 、 来 俺 て の 、 家 夜 で な 考 夜 え な て あ た よ で ね も 。 な い

の に な ら な い 。 く ら い 、 多 く の こ と を 考 え な く ち い け な く て

は そ こ な い う の ん ! し 辺 か よ に か か し ︵ て こ 笑 お い ︶ き い 。 ま ま 感 た す じ や か ︵ に ろ 笑 な う ︶ よ 。 た こ ん う で い 、 う そ の ろ 。 そ ろ

神戸芸術工科大学ファッションデザイン学科の学生が手作りの服やアクセサリー

神戸芸術工科大学の学生と博報堂によって、Kobe Tea festival の1つのスポットとして空間演出をした。

櫻 井

や こ る の プ て ロ こ ジ と で ク 、 ト 普 は 段 、 の 設 大 計 学 か の ら 課 施 題 工 と ま は で 比 学 べ 生 も が

刺 激 的 で 充 実 し て た 。

岡 田

本 当 だ よ ︵ 笑 ︶ 。 や て る 時 は 、 大 変 だ け ど 毎 日 が

う 間 で し た ね 。

岡 田 さ ん が 学 部 の 3 年 生 。 長 い よ う で あ

櫻 井   プ ロ ジ

学生の本音対談

2 人はプロジェクトを振り返って見て、何を思うのか。

岡田征篤

おかだまさと。広島県出身。

ク ト が 始 ま

た 時 は 、 僕 が 1 年 生 と で い 、

大学院芸術工学研究科 総合アート & デザイン専攻修士課程 1 年。 2016 2017 年プロジェクト代表。 twitter:@green_environ03 https://peraichi.com/landing_pages/view/okadamasato

×

櫻井ノマド

さくらいのまど。北海道出身。 芸術工学部環境デザイン学科 3 年 2016 2017 年プロジェクト副代表。 2017 2018 年プロジェクト代表。 twitter:@nomanomatti noma0123.wixsite.com/naninunenomado

56

頁制作:櫻井ノマド(三年生)

櫻 井

櫻 岡 井 田

F-marché

Tea festival × 三Fストリート with 博報堂


け に 誤 魔 化 せ ない気 が し たの は 疑 問 で し た 。コーティング し

い壁 が 本 当に純 粋 なのか、 ぼく

か るのだ け ど 、 つるっと し た 白

いく と 、左 右 の 壁 に 対 して 、 フ

ま し た 。奥 行 き 感 を 確 かめて

を一度 ずつず ら すスタディを し

足 立 課 題の設 計 時に、 コンピ ュータ上で、 フローリングの角 度

粋にしたい」という 気 持 ちはわ

です 。 て 操 作 し ま う こ とで 、純 粋 性 ローリングは

効いて く るのか 、シンプルな だ

合 実 習 」では、神 戸 市で不 動 産

花 田 佳 明 「 リノベーション総 花 田 ぼ く も 同 じよ う なこと を 感じました 。足 立さんのダイ とは 全 く 逆 方 向へ向 かっている

空 間の純 粋 性 とは?

業を営む大和船舶土地株式 アグラムは非 常にコンセプチュア

き 、実 際 に 作 る 前 提でプロジェ かと心 配でした 。

でもの足 りない感 じにならない

ル。理 屈 が 勝ってし まって、実 物 たことで 全てが 解 決 す る く ら

める 純 粋 性 は、回 転 壁 をつくっ

気がしたのです 。足 立 さんの求 花 田 感 覚 的 な 判 断 というこ とですか 。

感 じ ま した 。

度 が一番 良いと

会 社 に 物 件 を 提 供 していた だ

が 実 現 す るのは 本 作 品で四 件

ということも 気になり ました 。

を 明 解 に 分 けて し ま わ ないか いました 。

案 と して 強 度 が ないと 感 じて

実 は 周 りの環 境 を 整 え ない と 回 転 壁 が 成 立 しないなんて、 なかったんです 。

ので す が、そ れでは う ま くいか

いじゃないと。

非 常 勤 講 師 の 先 生 も 含 めて 、

どの 案 を 実 現 す る か につい ては、社 長で あ る 鈴 木 祐一氏や

絶 対に 白にし たかったので す 。

足 立 明 日 香 私 は 、回 転 壁 は

目になり ま す 。

皆で議 論 して決めていま す 。足

足 立 隅 と 隅 を 結 んだ り 、軸 線 を 導 き 出 そ う と も してみた

立 さんの案は特 殊 だから、決め

花 田 空 間の分 割の角 度 とし て も ちょう どいい。壁の角 度 か

と思いま す 。

ゃないか」と( 笑 )。

よ うにスムーズに決 ま らないじ

れ ど 、そ れ を あ え て 言 語 化 し

根 拠 が あ るのか も し れ ないけ

て、 3度 と

らフローリングの角 度 も 決 まっ

結 果 と し て よ かった と 思いま

ま 見 せるということにな り 、そ

今 津 足 立 さんが 自 分のイメ ージをかな り 主 張 したことは、

こか ら 回 転 壁 を 溶 融 亜 鉛メッ

す 。大 人 た ちの意 見 に 従 順 だ

旦 消 し 、ま ず 足 立 さ んの 意 見

た。 溶 融 亜 鉛メッキ 鋼 板にも 合って

度 が 空 間に効いて

理 由からです 。

な ものは消 していき たいという

いる 。これは、足 立 さんのセンス

満 場一致で決 ま り ました 。

ない。

った ら 、そ も そ も 議 論 が 生 ま

と 思 われるか も しれないけ ど、 キ 鋼 板 に し よ う という ア イデ

に我々が導かれた 結 果です 。

今 津 足 立 案では 既 存の壁 も モルタルを 塗 り 込 めて 、白 く 、

ィアが出てき ました 。足 立 さん

コストと 実 現 が 前 提 だから、 デ ザ インを 分 け て は 考 え てい

れず 、 この出 来にはなってなかっ 足 立 3度 、振 れていま す 。実 施 設 計でも 、壁の3度 と床の

いま す ね 。

を 肯 定 す る ところか らスター

ぼ く は 、教 えて き た 経 緯 を 強 みにして 、自 分の審 美 眼 は一

について 議 論 を して、仕 様の変

度は採 用 してもらいました 。

ト し よ う と 思っていま し た 。い

い意 味 で 現 場 を 知 ら ない足 立

を 取っぱらわざるを 得 ないこと

さんの意 見 によって、既 成 概 念

経 験になり ました 。

も 多々あ り 、自 分 としてもいい

津 さんの粘 り 腰 がよかった 。そ

選 択 が 重 要 な 案 だったから、今

うでないと、ちゃっちゃと 決 まっ

花 田 平 面の納 ま り を 詰めて いく だ けの案ではな く 、材 料の とはプロジェクトの進 め 方 に 変

てしまい、変 なものになっていた

んに 実 施 設 計 も お 願いし たこ

化があった 。

考 え 込 む 時 間 が 生 ま れたのは

か も しれない。結 果 論 だ け ど、

よかったです ね 。

今 津 さ ん は 設 計 のプロセス も 知っているし 、大 学の先 輩 と ャラ も あって 、学 生の応 援 を し

足 立 授 業のときから、 つま り アイディアが生 まれたところか のメンバーは 、 「 あ れ?いつもの

てく れま した 。 一方 、そ れ 以 外

いうことや 、御 本 人の優 しいキ

と 。そのことによって、 これ まで

花 田 例 年 と 違 うのは 、今 年 か ら 非 常 勤 講 師で あ る 今 津 さ

主 張 す る勇 気 、 変 更 す る勇 気

材の工 業 的 な 感 じ が 回 転 壁の

更に納 得いったと思いま す 。

足 立 あの床 も 滲 んでいるよ うで、気に入っていま す 。 ての座 り がいいんで す 。人 も ち

転 壁の合 わせる と 、 プランとし に、荒々し す ぎて愕 然 としたん

とって 心 地 よい角 度 だったんだ

ょう ど 通 れ る し 、このプランに

今 津 竣 工 し た 後 に 現 地で 思 ったのは 、床の目 地の方 向 に 回

です が … … 。

足 立 コテコテ に 塗 り 固 め ら れた ものは嫌 だと思いま した 。

だわっていた け れど、 「純粋性」

は 最 後 まで 回 転 壁 は 白 だ とこ

そ れに、今 津 さんが 見つけて くれた、節 を 黒 く 埋めている床

だ と 判 断 す る 。本 当 は 何 か

花 田 不 思 議 だね 。 度 と 度 と 比べて、足 立 さんの感 覚 が 36

そ も そ も 回 転 壁の角 度 も 振 れているよね?

純 粋 な 空 間 をつく りたい。むだ

予 算 のこ と も あ り 、既 存 の 壁 を ボ ー ドで 覆 わ ず に そ の ま

ま た、回 転 壁 が 白 色でした 。 そ れでは 、滲 む どころか 、空 間

クト を 進めていま す 。学 生の案

37

で も 、ボロボロの躯 体 を 見 た 時

37

るのが 難 し かったんじゃないか

37 37

抽 象 化 しよ う としていた 。 「純

光の分布状態の違いで空間を緩やかに分節し、様々な生活行為に対応することを設計テーマとした。 躯体の開口部から入る光を薄く白いカーテンで拡散し、斜めに置いた壁で 2 つの領域に滲み込ませ、回転扉で攪拌できるようにした。

ま せん 。し か し 、良い案 はコス ト 的 に も な ん と か な るこ と が 多い。お 金 がかかり 過 ぎるとい うことは、設 計 が ま ずいという ことですから 。 選 定の決 め 手 は 、最 上 階 角 部 屋 という 条 件に対 して、それ を 生 か し た 開 放 的 なプランを 採 用 していたこと 。光 が 滲んで

37

今 津 あ れ が かっこいいのに ( 笑 )。既 存の風 合いを 残 す と こそできることです 。

いうのは、リノベーションだから 足 立 最 終 的に回 転 壁が溶 融 亜 鉛メッキ 鋼 板になって、 エッジ が 消 えて、空 間 が 広 がった 感 じ がしました 。

いく こ と を 設 計 の 手 が か り に し、滲みぐ あいの差で空 間 を 分 け る という ア イディア も 評 価 で き ま した 。 今 津 修 平 ぼく も 割 とす ぐ に 、足 立 案 を 実 現 すべき だ と 思いました 。でも、同 時に「これ す という 物 理 的 なこと以 上に、

は 難 しいぞ 」と 感 じた 。壁 を 回

滲 み を 生 み 出 す しか け

ね?

花 田 足 立 さ ん はフロー リン グの角 度 にもこだ わっていたよ

ら 続 け て 見 ていた だ け る とい

も 良い結 果 になった と 思ってい

る 時 も 信 じ て み よ う と 。とて

じていま し た 。だ から 、変 更 す

足 立 今 津 さ ん が 、いつも 私 の 味 方 を して く れている と 感

ないか 。

ームで設 計 するということじゃ

思 わ ないといけ ない。そ れがチ

思った 。足 立 さんが「いける」と

覚 を 押 し 付 け るのはダメだ と

る 」と 思った け れ ど 、ぼ く の 感

き 。ぼ く は「 亜 鉛メッキ はいけ

鉛メッキ 鋼 板 しよう となった と

ったよね 。例 え ば 、壁 を 溶 融 亜

といけ ないフェイズが 何 回 か あ

今 津 でも、自 分の意 見 を 言い つつも 、変 え る 勇 気 を 持 た ない

ま した 。

考 え て 主 張 し よ う と 思ってい

た く ないものは 何 か 。ちゃんと

が 譲 れ ないも のは 何 か 。変 え

いていた んで す 。だ か ら 、自 分

て も 案 が 変 わって し ま う と 聞

す り 合 わ せ た と き に 、ど う し

この授 業で 作 品 を 実 現 させ て き た 先 輩 た ち か ら 、現 実 と

安 心 感 が あ り ま した 。

うのは 、学 生 と しては 、とて も

ます。

2018年6月29日 COCCAにて

回転扉による光の攪拌 壁の両端からの 光の滲み込み 壁を斜めにすることによる 不均質化 カーテンと壁による 光の拡散 躯体の開口部からの光

デ ザ インの「 手 数 」が 少 ないの が 実 現で き るのか 、光のグラデ

で 、本 当 に 狙いと している もの

微 妙 な 斜 めの壁 が 空 間の中で

55

ーションが 本 当 にで き るのか 、

【 光 の分布状態をコントロールす る 設 計 プ ロ セ ス 】


設計課題のデザインが実現!

光の粒子と暮らす箱

プロデューサー: 大和船舶土地株式会社 代表取締役 鈴木祐一 ディレクター・デザイナー: 神戸芸術工科大学プロジェクトチーム [足立明日香・花田佳明・川北健雄] 株式会社MuFF [今津修平・北川浩明]

*撮影:多田ユウコ

フリースペース 1

フリースペース 2

サンルーム

玄関

キッチンスペース

フリースペース 3 洗面

壁を回転させるには苦心をした。固定壁、回転壁ともに内部に 鉄の骨組みがある。回転部分は半球状の受金物による機構。

W.C

浴室

平面図 1/100

展開図1/100

54

STUDENTS TOPICS

2017年度リノベーション総合実習


Concept

公園特有のみどりのあり方をまちにも

3年生後期課題 まちづくり総合実習

公園のみどりを街に滲ませる 道路に沿った動線では無く自分が通りたい所を通る動線 磯上公園周辺を一日中色々な人に利用してもらう

imbue Diagram

16E0041 松本紗奈

◎緑

→ 公園

磯上公園

公園

0. 現在

1. 道路の使い方を変える

街区がはっきり別れている

車道を一つだけ残して残りは

公園とその周りの街区が馴染ん

歩行者のみにすることで

でいない

街区の境界をぼかす

Site

2. ビル・駐車場の使い方を変える 公園の緑を周りの街区に 滲ませるような広がり方

抜け道ができない

他にもカフェ・こども園など

◎動線

1/3000

対象敷地は各三宮駅から一番近くに位置する磯上公園を囲む 5個の街区である。この地区は戦後、イーストキャンプが

公園

公園

公園

置かれたりラグビーの発祥地となったり歴史の多い地区であ る。敷地だけでなく周辺一帯オフィス街となっており、

0. 現在

1. 木の枝が広がるような動線

2. ビルを通りぬけしたり

ベッドタウンとしても多く利用されている街である。

道路のある決められた場所しか

木の幹の部分となる主となる

1 階部分をピロティにする

また、センター街や神戸国際会館に近いため、

歩くことができない

動線を決めてビルとビルの間を

ビルの端をピロティにしたり

枝となる動線を通す

中を通りぬけできるようにする

立体駐車場を含めた駐車場がセンター街の西側に位置する 旧居留地よりも圧倒的に多い。

ことで動線の幅が広がる

1/2000

旧居留地よりも圧倒的に多い。

ことで動線の幅が広がる

冷 冷

冷 冷

冷 冷 冷冷

冷 冷

冷 冷

冷 冷

設計者 松本紗奈(まつもと・さな) 1997年 兵庫県姫路市生まれ 2016年 兵庫県立網干高校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

物販

住宅

宿泊施設

飲食

オフィス

駐車場

マスタープラン 1/2000

2018年度 ランドスケープ総合実習A(3年生後期課題)

53

いる。現在の開発動向を踏まえつつ、港湾機能が停滞

2. 対象地

((ランドスケープ総合実習と共同運用)

するなかで新しい都市の賑わいを創出する都心空間を

神戸都心:三宮駅南のフラワーロードを中心に、西は

「神戸・都心再生の未来:都市空間を再編する」

構想し、その空間を構成するオープンスペースと都市

旧居留地、東は磯上公園あたりまでの範囲

指導教員:専任/小浦久子・川北健雄

建築のかたちを計画提案する。

非常勤講師/吉良森子・松田安代

都市や地域の実態をリサーチし、その地域の特性と

3. 課題の概要

2017年9月20日〜12月20日

課題を発見する力を身につける。アーバンスケールで

2つの課題から構成されている。

都市・地域環境を理解するところから、都市空間を構

1)地域リサーチと分析(グループ課題)

1. 課題の位置付け

成する建築とオープンスペースをつなぐデザインを試

・現地調査および統計データ(国勢調査・事業所統計

神戸の玄関口である三宮の再生プロジェクトが動いて

みる。

など)、地図データ、文献資料などを用いて、計画対


ホテルの種類について

店舗利用者の目的

滞在には短期滞在や長期滞在などによってホテ

この商店街は短期滞在と長期滞在の人の2パ

ルの利用の日数が変わってくる。私の考える利用 の仕方として最短、一晩だけの利用から長いもの では数ヶ月の利用が考えられる。

ターンがあり、同じ店に対して求められている

店舗 × 滞在

ものが違う。  例えば、自転車屋は長期滞在の人に対し自転

神戸の玄関口 となる商店街

車を販売し、短期滞在の人に対しては自転車の レンタルをするといった、二面性が求められて

一晩だけ  →  カプセルホテル

いる。

1∼5日  →  一般的なホテル 6日以上  →  ウィークリーマンション

店舗 × 滞在

これらのことから店は短期滞在、長期滞在の

今回の提案では店舗と滞在をテーマに考えている。

2パターンに合わせたサービス、販売の仕方が

商店街に住居やホテルなどの要素を入れ、今までに

16E0007 岩見健吾

ない新しい商店街作る。

必要に感じた。 短期滞在エリア

3年生後期課題 まちづくり総合実習

長期滞在エリア

エリアに分けて商店街を考える。短期滞在エリアと長期

現状の間口

滞在エリアの二つに大きく分け、どのような店舗、施設が

現状の間口は通りに対し、向いている。

いるなど考えていく。

場所によっては幅 80m を大きな建物があ り、その建物は通りに対し閉鎖的になって いる。今回の対象敷地には 100m 近い大き さの街区があり。建物一つ一つが大きく、 間口の分設化などが考えられる。擁壁など で周りの建物より GL が一段上がっている 場所などもあり、間口の作り方変わってく る。  間口の向きや数が変わると商品の

1/1

000

また、見せ方が変わると思う。また今回の敷地で 50

m

を奥などといった利用の仕方が出てくると

道路の規制 規制なし

搬入のみ

歩行者のみ

思う。 クリーニング屋 コインランドリー

センター街と対象敷地の違い

Scale 1:1,500 0

50

100

200

500m

メインとなる通り

対象敷地 S=1/1000

対象敷地とセンター街は建物の並びに違いがあり、センター街は建物が道に対し ほとんどまっすぐに建ち並び、建物と道に余分なスペースがないが、対象敷地の方 は建物が道に対し、まっすぐ並ばずに配置されており、建物と道に余分なスペース があいている。また、一部建物は擁壁の上に建てられているなど、高低差がある部 分がある。  これらの余分なスペースや、高低差の特徴を生かし考えていく。

三宮センター街

幅のある建物の分設 ・段差の利用 幅のある建物の分設・段差の利用 飲食店

銭湯

飲食店

飲食店

飲食店

ホテル

飲食店

飲食店

飲食店 0

50

100

Scale 1:1,500

200

Scale 1:1,500 500m

神戸の玄関口となる商店街 オフィス

Scale 1:1,500 0

文具屋

50

100

200

500m

レンタルオフィス

オフィス

用途変更・大きな隙間の利用 敷地の特徴 ・駐車場の利用率が高く、ほとんどの駐車場が満車に近い状況 ・自転車を利用する人が多く見受けられ、駐輪場以外の場所に 止めている自転車もあった ・歩道の幅は狭く向かいから自転車などが来ると危ない印象を うけた

レンタル オフィス

ホテル

・車道は一方通行の二車線で広い ・路上駐車が多く見受けられた ・LOFT と SOGO の間は搬入口があり、大型の車両が止まって いるので歩きづらい ・ポートライナーの路線を境に雰囲気が違った ・ポートライナー西側はホテルや服屋、飲食店などがあった ・ポートライナー東側の西寄りはホテルや飲食店があるが、東 の方は店など全くなかった

設計者

コンセプト 神戸の玄関口となる新しい商店街を作る。

岩見健吾(いわみ・けんご) 1998年 兵庫県生まれ 2016年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

店舗 × 滞在

店舗 × 滞在  今回の提案では店舗と滞在をテーマに考えている。 商店街に住居やホテルなどの要素を入れ、今までに ない新しい商店街作る。

象地の特性(歴史・機能・空間・ネットワーク等)と

・新しい都市生活(働く・学ぶ・遊ぶ・食べる・寝る

課題を調査分析する。

空間)が生まれる場を提案する。

・現地調査後リサーチテーマを抽出し、テーマごとに

*ランドスケープからのアプローチと共同で都市建築

グループで調査分析を進め、特性と課題をまとめる。

とオープンスペースの再生をつなぐ。デザインによる

2)計画・デザイン(個人課題)

アーバンデザイン提案を期待する。(共通のテーマで

・地域リサーチによって得られた地域特性と課題にも

複数の人が行うデザインを合わせる共同提案も可)

とづき、都心空間の未来を構想し、その実現にむけた 都市デザインのテーマ(都市建築・賑わい空間・都市 地図データ ©2018 Google, ZENRIN

居住・新しい機能など)を設定する。

52


mラインを保

こ の 歴 史 的 街 並 み を 継 承 す る た め、 道路からのセットバックを抑制し、近 代建築の高さとして m レベ ル に屋 上 や

mレベルに

m レベ ル の建 築 床を 新 た な大 地 m大地のデザインには課題

ぐ。 そ の デ ザ イ ン は 、 場 所 の 使 い こ な

多様なアクティビティをつなぐパブ リ ッ ク ス ペ ー ス は、 建 築 と 都 市 を つ な

る。

り方を変える力を持ちうることがわか

体パブリックスペースが、建築のつく

は 残 る が、 こ う し た 地 上 と つ な が る 立

案された

における路面フロアへと転換する。提

で、

るパブリックスペースを生み出すこと

大 地 を 構 想 す る。 そ こ に 地 上 と は 異 な

れらをネットワークすることで新たな

空いている屋上や隙間の位置を確認 し、地上からのアクセスを設定し、そ

をデザインするものである。

新たな大地となるパブリックスペース

た。 伊 藤 の 提 案 は 、 こ の

生み出される隙間が広がることになっ

高層棟がセットバックすることにより

と し て、 地 上 か ら

全するルールが生まれた。それが結果

20

し で あ り、 建 築 の つ く り 方 と 相 互 作 用

N

20

さ せ る デ ザ イ ン で あ り、 そ こ に ア ー バ

結婚式広場

20

ンスケールで考える取り組みがある。

51

江戸町プラザ

町プラザ

20

ベルェベル

専門学校

こども園

20

リーディングスポット

図書館

朝日プラザ

EV EV

播磨町プラザ

浪花町プラザ

設計者

伊藤元気(いとう・げんき) 1996年 兵庫県神戸市生まれ 2015年 兵庫県立伊川谷北高等学校卒業 2017年 神戸電子専門学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学編入学

高さ 20m:平面図 1/4000


立体的パブリックスペースが

都市建築の可能性を広げる

小浦久子

今、 神 戸 の 都 心 は 大 き く 変 わ ろ う と し

て い る。 三 宮 の 再 開 発 や 新 た な 交 通 拠

点の整備、東遊園地の再生など、様々

な動きがある。これらをつなぎ、近代

港都の都市基盤を再編し、新たなアク

ティビティを生み出す魅力ある空間が

求めら れ て い る 。

この三宮地区について、まずフィー ルドワークと文献資料で地域の歴史や

特性を調査するとともに都市空間の分

析 を 行 っ た。 こ う し た リ サ ー チ か ら 地

域の課題やテーマを見いだし、新たな

都市の魅力を生み出す空間デザインを

構想することを求めた。このとき、伊

藤 は、 う ま く 使 わ れ て い な い 屋 上 に 開

発ポテンシャルを見いだし、旧居留地

に着目 し た 。

明治の開港時に開発された神戸居留 地は、当時の中心地であった兵庫津か

ら遠く、計画された都市空間は周辺と

のつながりのない自律系であった。大

正から昭和初期に木造二階建の商館か

ら近代洋風建築に建て替わり、これが

現在の旧居留地の街並みを特徴づける。

問題定義 ∼貧困な屋上∼

3年生後期課題 まちづくり総合実習

リジットな 私たちへ 16E0201 伊藤元気

提案 ∼20m の大地の形成∼

都市における集合住宅やオフィスビルなど建物の屋上の使われ方は非常に貧困なものだ。 今日ではフラットルーフが一般化し、多くの建物に屋上が設置されている。その使われ 方の多くが室外機や貯水槽の設置場。人は整備の時にしか入らない。 都市空間を形成しているビルの一部なのにも関わらず、都市から除外されているような屋上。

使用されて来なかった屋上の空間を整理し、屋上にオープンスペースや隣接するビルのフロアの使わ れ方を再検討する。また、それらを繋ぎ 20m の高さの新たな生活空間となる大地を形成する。 新たな出会いやコミュ二ティ同士の混在、またビル自体の使用のされ方も変わってくる。車も自転車

も走らない 20m の大地を歩く人の中で流れる時間は地上を歩く人に比べてゆっくりになる。さらに、 屋上に人が集まってくることによりそのビル自体やビル周辺にも人が集まって賑わうようになる。 この大地は近代的なファサードをもつ低層部とは違った雰囲気になる。

神戸市三宮駅周辺の屋上の使われ方 ・屋上の整備

・フロアの機能と屋上の繋がりの検討

室外機が並ぶ屋上

・屋上同士の繋がり 駐車場として利用される屋上

商業施設

・人溜まりの作成

商業施設

室外機・貯水槽置き場

人が利用する整備された屋上 駐車場

屋根 ヘリポート

人が利用するため整備された屋上

50


3年生後期課題 ランドスケープ総合実習

EV EV

EV

EV EV

磯上再編 16E0070 藤本はな

EV

EV EV EV

EV

EV

EV EV

EV

現況 平面図 1/2000 裏路地 建物と建物はすべて塀やフェ

現況ではそれぞれの建物の塀やフェンス

ンスで仕切られており、建物

により敷地が分けられ、建物と建物の隙間

と建物の隙間に人が入ること

に実際にはスペースがあっても、塀により

は出来ない。

閉じられて、人が入って行くことは出来な いようになっている。  現在は建物の裏側と裏側が向かい合って いて、人が入ることは出来ない隙間を新た に裏路地として再編し、街区内を細かいス ケールで刻み、人が歩きやすい空間を作る

一部塀を操作して、建物の裏

とともに、 、街区が元々持っていたごちゃご

と裏が面していただけの隙間

ちゃ感を再度引き出す。

を、人の入ることが出来る裏 路地として再編する。

配置図 1/40000

街区を刻む壁

ガレージを居抜きで使用したカフェ 大きい道に面した街区の外周

街区内部にある広く空いたパーキング部

は既にマンションへの建て替

分は、街区内部の建物のリズムに合わせて

わりが進んでいるが、街区の

壁を立て、あえて空間を刻むことで細かく

内部には 2 階建て程度の小さ

小さな街並みの魅力を引き出す。

EV EV

EV

な建物が残っている。 内部の、かつて建物があった

エキスパンドメタルのフェンスが元あっ

のであろう箇所はパーキング

た街並みを再現するように、また馴染むよ

になっている。

うに配置され、街の雰囲気は変え過ぎない

ガレージを改修したコーヒースタンド

EV EV

ままに、潜在している魅力を引き出す。

店の前のテラス席 古民家を改修した古本屋 内部にある広く空いてしまっ

壁の素材には、いまの雑然とした街になじ

たパーキング部分(空地)を、

み、裏側は透けて見える、エキスパンドメ

内部の建物のリズムに合わせ

タルを仕切りとして使用する。

古本屋で買った本を読む

て、街区をもう一度刻むよう に壁をたてる。

立面 EV

EV EV

EV

EV

EV

EV EV

EV

古民家を改修したパン屋

ガレージを改修した体験型の彫金屋

改修後 平面図 1/1200

改修後 立面図 1/800

三ノ宮駅から南、 フラワーロードの東に位置する、磯上地区。駅か

設計者

らも繁華街からも近い便利な場所に思えるが、現状は事務所ビル

藤本はな(ふじもと・はな) 1997年 兵庫県尼崎市生まれ 2016年 西宮市立西宮東高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

2018年度 ランドスケープ総合実習A(3年生後期課題)

な、色のない雑然とした地区だ。 ここに、つい歩いて入ってみたく なるような裏路地、賑わいはあるけれど、三宮の喧騒からは外れ た、隠れ家的な小さな街を提案する。

するなかで新しい都市の賑わいを創出する都心空間を

2. 対象地

(まちづくり総合実習と共同運用)

構想し、その空間を構成するオープンスペースと都市

神戸都心:三宮駅南のフラワーロードを中心に、西は

「神戸・都心再生の未来:都市空間を再編する」

建築のかたちを計画提案する。

旧居留地、東は磯上公園あたりまでの範囲

指導教員:専任/長濱伸貴

都市や地域の実態をリサーチし、その地域の特性と

2017年9月20日〜12月20日

課題を発見する力を身につける。アーバンスケールで

3. 課題の概要

都市・地域環境を理解するところから、都市空間を構

2つの課題から構成されている。

1. 課題の位置付け

成する建築とオープンスペースをつなぐデザインを試

1)地域リサーチと分析(グループ課題)

神戸の玄関口である三宮の再生プロジェクトが動いて

みる。

・現地調査および統計データ(国勢調査・事業所統計

いる。現在の開発動向を踏まえつつ、港湾機能が停滞

49

やマンションばかりがたちならび、三ノ宮にいるとは思えないよう

など)、地図データ、文献資料などを用いて、計画対


ハイウェイによって 目視されない

高さによって視界を妨げ壁のような存在になる (3 次元的な境界線 ) 高さによって視界を妨げ壁のような存在になる

実際の距離+α 実際の距離+α

ハイウェイによって 目視されない

三宮の南に位置する阪神高速3号神戸線と浜

3年生後期課題 ランドスケープ総合実習

手バイパスにより三宮は北と南に分断されてし まっている。平面的(2次元的)に遮られている

(3 次元的な境界線 )

上に、高速の高さから向こう側の風景がシャット アウトされ、 あたかもそこに巨大な壁が出現した

実際の距離+α

実際の距離+α

歴史に立ち__

ようになっている。 これを3次元的な境界線と呼 ぶ。2本のハイウェイによる境界線で切り分けら

h h

れてしまっている南北をその境界線をくぐらせる

16E0055 吉川豪

かたちでつなげ直す。

「奥が見えない 「奥が見えない ...」 ...」

PROCESS A

① 京橋が橋として使われていた当時の 海の輪郭に合わせてくり抜く。

階段 EV

くり抜いた輪郭のオフセットにデッキと敷地西側の波止場に 続く通路と同じテクスチャの歩道を巻きつける。

③ 神戸タータンに用いられるタータンチェックを旧居留地と突堤側の それぞれの街区の軸に合わせて角度を付けガイドラインとし、 南側は貿易港として栄えた当時に使われていた鉄道のオフセットで タータンチェックに変化をつける。

A

③から引いたグリッドの中に中心となる広場と神戸タータンを 構成している神戸を象徴する4色のゾーンを配置する。 ・・・広場 神戸タータン

・・・海

マスタープラン S=1/700

マスタープラン 1/4000

・・・山 ・・・ポートタワー、神戸大橋  (ランドマーク) ・・・ビル群

グリッドに合わせて3種類のサイズのコンテナを配置する。

断面図 1/3000

なお、この配置は一例でありコンテナ自体はイベントや 使われ方に合わせてフォークリフトで改変することができる。 3つのサイズ・・・10ft、20ft、40ft

神戸タータン そもそも神戸タータンとは、2017 年に神戸開港 150 周年を記念して開発された正方形のグリッドが作り出す チェック柄で、タータンチェック自体もスコットランドの民族ごとに独自のカラーパターンを使っていること A-A  イメージ断面 S=1/500 から神戸タータンでもこの模様を一眼しただけで神戸だと分かるエッセンスが詰め込まれている。そんなター タンチェックを基盤に人とコンテナのベルトをつくる。正方形を元に構成されていることから収まりも良く、 都市的にもランドスケープ 的にも落とし込みやすい。

下地に敷いたタータンチェックのベルトとゾーンに 合わせて舗装で区切りをつくり透け感を与える。

広場での神戸タータンを構成する4色の変換 神戸タータンを構成する青・赤・緑・白の4色をそれぞれランドスケープ的に落とし込む事で神戸タータンの形だけでなく色も再現 され、より神戸タータンである明確さが生まれる。

神戸タータンにおいて青色は海を示している。ここでは満潮時にのみ姿を現す海面を配置

この色はポートタワーや神戸大橋と言った代表的なシンボルをイメージさせることからこの広場で

しており、2回目3回目と来た人に対して地形の変化に新鮮さを与えることと同時に、干

新たに第三の赤いシンボルを誕生させる。今回は京橋が橋として使われていた当初からこの地域に

潮時や水面が干上がった時に出る 400mm の堀のベンチとそれに囲まれた広場が出現する。

根深いコンテナのみで広場を提案することからコンテナを縦向きにおいた時計塔をこの広場のシン ボルタワーとする。

満潮時

干潮時

(北側の掘り直された海とは別で海を感じる) (広場と段が現れ溜まりの場に変化する)

設計者 吉川豪 (よしかわ・ごう) 1998年 兵庫県神戸市生まれ 2016年 伊川谷高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

緑は六甲山から由来されており神戸に欠かせない自然の要素の一つである。ここでは、そ

最後に、白色は神戸の街に多く見られる白色のビル群のイメージから選ばれたもので、あること

のまま山を持ってくることは不可能であることから、そのサイズをヒューマンスケールの

からこの広場での色のゾーンのみコンテナを重ねて高さをつけている。この高さから地面に隠さ

ものにまで縮小し広場でのくつろぎのかたちに寄り添う。

れたタータンチェックやまた違った人場の見え方も見つかるかもしれない。

タータンチェックのベルトには可動式の店舗が並ぶ

象地の特性(歴史・機能・空間・ネットワーク等)と

・新しい都市生活(働く・学ぶ・遊ぶ・食べる・寝る

課題を調査分析する。

空間)が生まれる場を提案する。

・現地調査後リサーチテーマを抽出し、テーマごとに

*ランドスケープからのアプローチと共同で都市建築

グループで調査分析を進め、特性と課題をまとめる。

とオープンスペースの再生をつなぐ。デザインによる

2)計画・デザイン(個人課題)

アーバンデザイン提案を期待する。(共通のテーマで

・地域リサーチによって得られた地域特性と課題にも

複数の人が行うデザインを合わせる共同提案も可)

とづき、都心空間の未来を構想し、その実現にむけた 都市デザインのテーマ(都市建築・賑わい空間・都市 地図データ ©2018 Google, ZENRIN

居住・新しい機能など)を設定する。

48


層マンションやオフィスビル、ホテル

GL-5000

GL-8000

ビルなどの散発的な建設および計画が

roundabout pedestrian bridge

数多く 見 ら れ る 。

stair structure

本 作 品 は、 山 と 海 の 間 に 立 ち 現 れ る )」 都市景観を「第3の景色( 3rd view お よ び「 垂 直 な ベ ク ト ル 」 と し て 位 置

plaza aura area glass house

付 け、 対 峙 す る 自 然 景 観 と の 調 和 の 新 eye stop GL-2000

しい試みを目指したものである。言い 換 え れ ば、 山 と 海 と い う 自 然 地 形 と 都 市という人工地形を一体的な地形とし

park aura area 1/1000

Park

て 捉 え る 視 点 で あ る。 そ の 視 点 に お い

GL±0

Park

て、 現 状 の 都 市 ( 人 工 地 形 ) に 発 生 し

GL-4000

Plaza

GL±0

roof

Plaza

ている「アーバンボイド」の分析を行っ entrance

City Hall II

ている。このことによって、三宮周辺  underground

sea view

の 街 の ボ リ ュ ー ム 分 布( 地 形 ) を 把 握  underground

Hanadokei

しつつ、空間改変の試みが有効な「アー バ ン ボ イ ド 」 を 特 定 し、 提 案 を 行 な っ たものである。自然界で言うと、樹冠 ギャップ(隙間)のような場所のリサー チ を 行 い、 そ の ギ ャ ッ プ の 遷 移 の あ り 方を提案する方法論と似ている。 具 体 的 に は、 対 象 エ リ ア の 最 も 大 き な「 ア ー バ ン ボ イ ド 」 で あ る 東 遊 園 地 を 対 象 敷 地 と し て、 周 囲 の 街 路 パ タ ー ンや建物ボリューム、存在感(オーラ) な ど を 受 け 止 め た り、 引 き 受 け た り す るような空間操作によるパーク・リノ

Green Park

Plaza

Plaza Park

Plaza Park Park

Park

ベーションを提案している。 AI技術の発達とともに、包括的な アーバンデザインのあり方にも新しい 可能性や変化が生じることが予測され る。 つ も り 、 あ る ひ と つ の 都 市 景 観 像 を固定化した静止画的な都市デザイン か ら、 適 正 な 新 陳 代 謝 を 促 す 流 動 的、 動画的な都市デザインに移行していく

47

の で は な い だ ろ う か。 こ の 意 味 に お い て、本作品の試みは興味深い。 mountain view

GL±0

parking entrance

entrance

GL-4000

景色となる輪郭を再デザインする

GL±0

mountain view

City Hall I

Park

Plaza

sea view

pond

1つの大きな公園から、広場と公園の混ざった都市空間に

glass pyramid

EV

GL±0

GL-4000

pond

GL±0

周辺構造物のボリュームを利用しながら空間を構成する

pedestrian bridge

マスタープラン 1/2500

設計者

櫻井ノマド(さくらい・のまど) 1996年 北海道札幌市生まれ 2014年 東海大学付属札幌高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

敷地である東遊園地


16E0072 櫻井ノマド

あ る。 近 年 、 ポ ー ト ア イ ラ ン ド 北 端 の

する市街地が発展してきた近代都市で

い て、 居 留 地 や 雑 居 地 な ど を は じ め と

(神戸港)に挟まれた狭隘な場所にお

明 治 以 降、 急 峻 な 六 甲 山 地 と 瀬 戸 内 海

~」という提案を行った。港町・神戸は、

~アーバ イ ン の 視 点 か ら、「 3rd view ンボイドから生まれる第3の街の景色

櫻 井 ノ マ ド は、 神 戸 三 宮 の 地 勢 を 踏 ま え た ア ー バ ン・ ラ ン ド ス ケ ー プ デ ザ

を探り 出 し て い っ た 。

ンセンティブとなると考えられる場所

的なリサーチを重ねながら、再編のイ

背 景 を 前 提 と し て、 対 象 エ リ ア の 多 角

なされている重点エリアである。この

ど市内で最も盛んに都市再生の推進が

新港地区のウォーターフロント開発な

画、 市 役 所 の 建 替、 東 遊 園 地 の 再 編、

ススクエアやバスターミナルビルの計

同 で 実 施 し た。 現 在、 駅 前 地 区 の ク ロ

サーチ作業をまちづくり総合実習と共

を神戸市中央区の三宮エリアとし、リ

ランドスケープ総合実習の対象エリア

長濱伸貴

アーバン・リノベーション

アーバンボイドから 生まれる第3の街の景色

地上地点と六甲山地稜線を結ぶ基準線

海と山という2つの景色の間に、第3の景色 (3rd View) を設けることで、

対立する2つの景色をネットワークし、街に垂直なベクトルが生まれる。

縦に長い敷地は、両サイドからのアイストップに位置する。

敷地は、居留地のグリッドと磯上のグリットに挟まれている。

sea view

sea view

Mountain view

project site

project site

三宮は海と山という2つの景色に挟まれている街である。

eye line

Isogami grid

3rd View

を景観ガイドラインとしながらも、高

mountain view mountain view

3年生後期課題 ランドスケープ総合実習

Mountain view

Sea View

Kyoryuchi grid

3rd View

Sea View

46


多くのメディアスペース

特定の場所へ足を運ぶ。端末機器のような手軽さがない。

作品を見に行く、調べ物をするなどの目的がある人以外は情報を得ることができない。

3年生後期課題 建築デザイン総合実習

都市に憑依する

提案するメディアスペース

街の処々にあるオープンスペースに散在させることで自然と目につく。 ちょっとした休憩や立ち読み感覚で足を留められる身近な空間。

2,700

16E0001 穐原雅人

7,000

JR三ノ宮駅と地下鉄新神戸駅を

既存の歩道橋の柱を手掛かりに、ショーウィンドウのように外部から視線が抜けるデザイン 樹木は極力残し、東をデッキ、西を芝生の空間にする

繋ぐ道の交差点。

交通量が多く、左折の車両のた

用途が定まっていないオープンスペースをメディアスペースに転用する

めに道路がつくられることで取 り残された敷地となった。

横断歩道はないため、交差点に 十文字に架かる歩道橋から屋根 (踊り場)へアクセス。 機能は貸しスタジオ。

料理、書道、造形などの教室系 に利用される。

設計者 穐原雅人(あきはら・まさと) 1997年 兵庫県加古川市生まれ 2016年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学 ⑨高速道路に挟まれたシアタースポット

①歩道橋下のワーキングスペース

屠場をリノベーションする

3年生後期課題 建築デザイン総合実習

使われなくなった廃屠場のリノベーションである。一階部分の内壁を取り除き、 新たに回遊通路を挿入する。機能としては、図書機能、レストラン機能、 特別展示機能を併せ持ち、浮遊するような展示空間を柱で支える。 屠殺場と人が近づけるしつらえを、それぞれのエリアごとに提案する。

解体屠場

既存建物内部の内部を整理、回遊通路を挿入

情報を解体し、巡るミュージアム

展示空間を上階に浮遊させ、それを柱で支える

16E0068 西岡大周

設計者 西岡大周(にしおか・たいしゅう) 1997年 兵庫県西宮市生まれ 2016年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

2018年度 建築総合デザイン実習A(3年生後期課題)

断面パース

不全に陥りつつある状況が目につきはじめた。

ン、偶発的な本との出会い、本に付随する集いや活動

例えば図書館。今日、私たちはどれほど図書館という

はこのまま行き場を失ってしまっても良いのだろうか。

指導教員:専任/畑友洋・萬田隆

ビルディングに足を運びその恩 恵をうけているだろう

このように私たちは、本や映像、音楽や美術といったメ

非常勤/今津康夫(ninkipen! 一級建築士事務所)

か? 今日、多くの人々が欲しい情報はインターネット

ディアを、どのような空間であれば現代においても人々

2018年9月20日〜2019年1月31日

を通じて自由に取り出せるものであると信じ切り、読書

に受け入れられ、またメディアを介して生れる生き生き

でさえタブレットを用いてデジタルに行うといった具合

とした人々の振る舞いを生み出し、結果都市を活性化し

1.課題と背景

である。このような状況の中、では図書館はもう不要な

うるかを考えなければならない時代である。本課題で

私たちを取り巻く社会環境は日増しに目まぐるしく変化

のだろうか?

は、図書館や美術館を含むメディアスペースを再考し、

しており、これまで有効であったビルディングが、機能

本というメディアを通じて生まれるコミュニケーショ

・どのような場所に計画されるべきか

「新しいメディアスペース〜これからの公共建築を考える」

45

1階既存部


3年生後期課題 建築デザイン総合実習

ケンチクの終生 16E0018 木下侑希乃

情報やメディアがいずれはカタチすらもない状態になるのではないか もし そうなると仮定すると、 これからのメディアスペースは建築の箱から飛び出 し、建築は機能を失うことが想定される。一方で、現在東京のシンボルである 東京タワーは本来の電波塔としての役目を終えた。その時、そこに新たな価 値や物語を生むことができる。 しかしそれは決してネガティブなことではな い。 これは東京タワーの解体と同時に変わりゆくメディアスペースを設計し、 美しく終わる建築の終生の提案である。

第1フェーズ

第2フェーズ

第3フェーズ

第4フェーズ

第5フェーズ

第6フェーズ

第7フェーズ

ここでは今現在でも十分機能ある

それぞれの機能は保ちつつ、

部材保管機能はなくなり、展

機能的に配置されていた空間

空間、メディアの解体に反す

メディアスペースは全て解体

躯体だけを残し解体は終了する

メディアスペースを設計する

似た機能を同じ空間で兼ねて

示も物体ではなく映像や写真

は外部にをまきこみ室内の割

るように緑や外部の割合が増

され、緑のアトリウム空間に

躯体がある限りこの周辺がメデ

5階、6階は解体の時に出た躯体た

いく

の小規模展示に変わる

合が減少する

える

なる

ィアスペースになる

ライブラリスペースもフロア

メディアスペースはフロア全

ごとに点在され室が消える

体に散りばめられていく

ちを展示、保管できるスペース

解体スペース

部材の保管・展示スペース

共有の部材の保管・展示スペース

ライブラリ・ワークスペース ギャラリー・カフェ・テラススペース

解体に合わせて広がっていくメディアスペースを サポートするスラブや構造梁

東京タワーとメディアスペース

最大限拡大をする空間と縮小するレイヤー

ストラクチャー

site 計画地は東京都港区に位置する集約電波塔とする

解体部材での再構成

周辺には、瑠璃光院や芝公園があり観光だけでは

解体部材は、初めは 5 階、6 階にある

なく通勤や通学、近隣の人の散歩コースになっている

歴史博物館・倉庫に展示、保管し

8 年に電波塔としての機能を終えた 東京タワーは 195 8 年に完成し、201

解体時の足場や空間の拡張、増築の時に

Warehouse

上から解体されてきた部材で空間を構築する

現在でも展望台などの観光名所、東京のシンボルで知られている

鉄骨

A

機能の終わり 2011

6F平面図

年に地上デジタル放送用の電波塔として

東京スカイツリーが設置され、東京タワーの

構造

電波塔としての役目が一旦終了した それからも一部の電波放送は東京タワーでになっていたが、

スラブはもともとレイヤー状にある骨組みの上に

201 8 年 9 月にテレビ放送の電波送信を終了した

設け、外側に取り付けるものは上階の骨組みから

それと同時に東京タワー水族館も閉館を迎え、 少しずつ機能がなくなっていく東京タワー

スラブ

建築物としては解体されてしうるべきものなのだが、

History date spase

EV EV

釣り構造にする

東京のシンボルである東京タワーはおそらくこの先もあり続けるであろう

A 解体による新たな可能性 既存を残す

技術の進歩によりこの先何度でも修復できる建築を 後世に残し続けることも必要なことではあるが、

5F平面図

解体時に一時的に仮設したり、新たに増築していくが

機能があっての建築であるとも言える

上下階への移動手段になるエレベーターや階段はなるべく

解体と聞くと、突如として姿を消してしまう印象にも思えるが

既存のものを使い、痕跡を残していく

この「いか終わっていくか」を考えることで、 そこに新たな価値や、物語を生むことができる この提案は建築としての生涯を全うし、美しく終わっていく建築の終生である

Library space

エレベーター

躯体とともに解体されるメディアスペース

100年後:配置図・1F平面図 1/750

アーチ 長い時間をかけて解体をしていくのですが、

メディアのカタチ、あり方が変わる時建築のカタチも変化していく

全ての部材を解体せず東京タワーの中でも

建築もメディアも同じようカタチを変え、いずれなくなっていく

かなり特徴的な部分でもあるアーチを残す

そこまでのプロセスを提案することで今まで建築内部だけにとどまっていた

このアーチは心象風景としてこの地に残り、

メディアの粒たちが新たな空間、居場所をつくっていく

カタチ無くしてなお東京タワーの存在を感じられる -

4F平面図

る -

Work space Date room W.C W.C

3F平面図

Free space Gallery EV EV

設計者

W.C

木下侑希乃(きのした・ゆきの) 1997年 岡山県津山市生まれ 2016年 岡山県立津山工業高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学 E&G Design 学生デザイン大賞 優秀賞(2017)受賞

Garden W.C

100年後:A-A'断面図 1/500

2F平面図 1/500

・どのような機能を併せ持つべきか

・概ね神戸市内が望ましい。

し市民が展示にも参画できる工夫が望ましい。)

・どのような空間、建築であるべきか

・空き地や現在建築物が立っている場所、建築物の屋

③管理スペース適宜(受付、事務室、倉庫、給湯室は必

という三つの問いを立てることによって、新しいメディア

上や既存建 築 物内に誘 致する、まちに散らばりネット

ず設けること。)

スペースのありかたを、ひいてはこれからの開かれた公

ワークを形成するなど自由な発想で取り組むこと。

④飲食、物販スペース適宜(厨房は必ず設けること。)

共空間の姿を模索することを目的とする。

上記①~④を必ず含みながら、その他自由に機能を組 3.求める提案内容

2.課題の対象地

①図書館1000㎡以上(内部のプログラムは自由。ただ

新しいメディアスペースを計画するにあたり、自らふさわ

し誰でも利用できる開かれたものであること。)

しいと考える場所を選択する。

②美術館1000㎡以上(内部のプログラムは自由。ただ

み合わせて考えること。

44


あっても楽しむことができるものであ る し、 仏 教 寺 院 に お い て 収 集 さ れ た 図 書はさながら図書館のような機能を生 み 出 す こ と さ え あ る。 こ の よ う に 考 え て み た 時、 作 者 が 着 眼 し た、 聖 域 に お けるメディアスペースとしてのポテン シャルが了解できるわけである。 つ ま り、 多 様 な 宗 教 空 間 か ら 導 か れ た あ る 共 通 性 を 持 っ た 方 法 論 で、 そ の 意味を見出せるものにとっては聖域で あ り、 そ の 意 味 を 見 出 す こ と の で き な い( そ の 宗 派 の 宗 教 心 を 持 た な い ) も の に は、 開 か れ た メ デ ィ ア ス ペ ー ス で あるという二面性を見事に建築を通し て 表 現 し て 見 せ た わ け で あ る。 よ っ て、 本作は新しいメディアスペースの方法 論として瑞々しい可能性を秘めた建築 の 提 案 で あ る と と も に、 今 日 の 宗 教 空

43

間における問いかけである点も見逃せ ないのである。

配置図・1F平面図 1/1200

設計者

喜多川颯馬(きたがわ・そうま) 1997年 香川県高松市生まれ 2016年 香川県立高松工芸高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学 建築合宿2016最優秀賞、E&G Design 学生 デザイン大賞 優秀賞(2017)受賞

断面図 1/1000


16E0017 喜多川颯馬

い る 側 面 も 持 っ て き た。 キ リ ス ト 教 会

でのメディアスペースとして機能して

一 方 で、 聖 域 内 に は 様 々 な 書 物、 書 画 な ど が ア ー カ イ ブ さ れ、 長 い レ ン ジ

わけである。

建築において行う手法の抽出を行った

る の か、 人 間 の 認 識 の コ ン ト ロ ー ル を

析 を 通 し て、 聖 域 が 如 何 に し て 生 ま れ

始 ま っ て い る。 作 者 は 様 々 な 聖 域 の 分

発見したことからこのプロジェクトは

かの共通する方法論が見られることを

ざ ま で あ る。 し か し、 そ こ に は い く つ

宗 教 や 地 域 性、 そ の 背 景 に よ っ て さ ま

象 徴 的 な 意 味 を 持 っ た 建 築 の 形 態 な ど、

る 包 含 の 形 式、 方 位 を 利 用 し た 配 置、

チ と い っ た ゲ ー ト 機 能、 回 廊 を 巡 ら せ

で 生 成、 洗 練 さ れ て き た。 鳥 居 や ア ー

形成するための方法論が長い年月の中

教 に ま つ わ る 聖 域 に は、 そ の「 域 」 を

い う 意 欲 作 で あ る。 そ も そ も 様 々 な 宗

ペースとして新たに解釈しなおそうと

世界中にある聖域を現代のメディアス

畑友洋

開かれたメディアスペ ー ス

認識によって生み出さ れ る 聖 域 と

聖域成ルモノ

に お け る 宗 教 画 や 彫 刻 は、 他 宗 教 者 で

聖域の要素(記号化)

建築の構成(聖域別)

3年生後期課題 建築デザイン総合実習

ダイアグラム

42


二つの部屋を仕切っている

継承した壁を中心に、新た

新旧の壁によって新しい断

壁を取り壊さず継承する。

に新しい壁を二つ挿入する。

片的に切り取られた空間が

3年生後期課題 リノベーション総合実習

できあがる。

残痕を縫う 既存のゆかレベルを継承する。

継承した壁を中心に、レベルの

レベルの下がった床を挿入することで

下がった床を挿入する。

断面的には三つの空間ができあがる。

16E0037 濱野晃圭

平面図 1/250

設計者 濱野晃圭(はまの・こうけい) 1998年 兵庫県神戸市生まれ 2016年 兵庫県立神戸鈴蘭台高校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

700

W-1 W-1

飾棚

W-1

W-2

W-1 W-1

W-1

玄関

TV 棚

W-1

3216

2800

W-1

W-2 W-4

W-1 900

W-1

3年生後期課題 リノベーション総合実習

W-2

W-1

W-1

W-1

キッチン

b

W-2

サニタリー

個室1

W-1

スペース

AMIDA

W-1 W-1

W-1

a

c

1200

DVD プレーヤー等 収納

W-1

3200

3700

144

144

3372

展開図 1/150

16E0043 松本雅也

床仕上表

設計者

W-1 W-2 W-3 W-4

既存コンクリート躯体補修の上再利用 ブルテンボード nutmeg spice 6mm 厚 有孔ボード 6mm 厚 完全耐水化粧合板 NO-1010 松柾

松本雅也(まつもと・まさや) 1997年 熊本県上天草市生まれ 2016年 大阪市立工芸高等学校 2016年 神戸芸術工科大学入学 第70回近畿地区卒業設計コンクール (2016) 入賞 受賞

X1

X2

X3

4500

3年生後期課題 リノベーション総合実習

7200

2578

2650

1584

B

2

1625 800

浴室

E

16E0046 三井大輝

+750 F-2

600

4374

+750 F-4

寝室

3357

1106

フリースペース 3 +500 F-3

1512

600

2 2

キッチンスペース +250 F-2

E

ズレて繋がる空間

C

2178

A

2104

Y3

2578 1616

778

3224

2

納戸

フリースペース 4 +750 F-3

D

2

+700

2

1621 1357

PS

フリースペース1 +250 F-2

C

3032

M

Y2

WC +750 F-2

770

2

フリースペース2

3028

1648

800

リビング +250 F-2

F-2

1824

F-2

F-2

2124

D

+750

こども部屋 +500

1625

6300

ダイニング +250 F-3

2

脱衣場

N

玄関 ±0

F-1

ゲスト動線

住み手の動線

PS

共通廊下 ±0

Y1

大小さまざまな空間をズレながら配置し、住み手によって空間の捉え方が自由で、フレキシブ

三井大輝(みつい・だいき) 1997年 大阪府和泉市生まれ 2016年 東大谷高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

B

A

設計者

床下収納

平面図 1/180

ルな空間構成を考えた。キッチンスペースが3つの空間に接することでダイニングのレイアウ トに選択肢ができ、さらにリビングや、書斎、などの他の空間のレイアウトが変わる。 黄色い空間がダイニングになりうる空間。住人がどこにダイニングにするかで周りの空間が変 わる。青の空間を個室と捉えるとグレーの空間を少し大きい廊下として扱うことができる。

大小さまざまな空間をズレながら配置し、住み手によって空間の捉え方が自由で、フレキシブルな空間構成を考えた。キッチ ンスペースが3つの空間に接することでダイニングのレイアウトに選択肢ができ、さらにリビングや、書斎、などの他の空間 のレイアウトが変わる。黄色い空間がダイニングになりうる空間。住人がどこにダイニングにするかで周りの空間が変わる。 青の空間を個室と捉えるとグレーの空間を少し大きい廊下として扱うことができる。

長谷川肇の案はシェアハウスで、ロフト付きの面白い空間だ。森美里の案は一住戸案で、ゆったりとした空間の分節が魅力的である。濵野晃圭の案は生活空間 を土間や風呂などで囲った不思議な平面構成で、独特の静けさが生まれている。松本雅也の案は寝泊まりも可能な事務所とする案で、間仕切りの家具を実に細 かく設計した。三井大輝の案は空間全体を小さな壁や段差で分節し、使い方によってその主従関係が交代する面白い平面構成だ。いずれも力作である。 (花田佳明)

41


大地をふむ 3人のシェアハウス

16E0036 長谷川肇

玄関扉を潜りまず踏むのは土 人の身長より少し高い壁は目線をさえぎり、光を通す ダイニングから個人スペースへ 個人スペースからロフトへ

F -1

200

フローリング

F -2

vp塗り

F -3

既存の土もしくは土下防湿対処

F -4

モルタル塗り

200

200

10,853

F -1

テラス

3,753

WC

洗面

+500       キッチン

200

F -1

浴室 F -4 F -2

F -2

F -2 +100 +100

+100

1,950

PS

土間

カーテンレール ペンダントライト モーガルソケット

W -2

スイッチ

1,800

1,700

モーガルソケット

W -3

500

250

コンセント

2016年 神戸芸術工科大学入学

3,350

ダウンライト

1,800

1,150

ライティングレール W -2

W -2

長谷川肇(はせがわ・はじめ) 1997年 兵庫県神戸市生まれ 2016年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業

平面図 1/180

±0

カーテンレール

ライティングレール

設計者

F -3

W -1 既存コンクリート壁+EP塗り W -2 ベニヤ合板 W - 3 プラスターボード

断面図 1/180

◎レイヤーからできる居場所

◎地域とのつながり 2 階のベランダが屋根となり軒下の縁側のよ

3年生後期課題 ◎段差によるアクティビティ リノベーション総合実習

うな空間ができる。そこから、フェンス越し に隣の教養廊下を通る人ととの交流が生まれ

既存の壁 コアボックス

る。将来、ネットフェンスではない違う境界 ができることを望む。

暮らして育つ

段差 家の中

16E0048 森美里 ねる プライベート

400

躯体

側溝

ネットフェンス

4 N

11970

1000 F-3

縁側テラス

375

A-3

室外機

4670

+500

500

3320

550

3600

+500

2475

1440

フリースペース

ロフト

F-3

5980

3695

+250

640

WC

寝室

+2000

F-3

3860

500

浴室 1600

1500

5500

3860

A-1 A-2

キッチン

800

ダイニング

5300

1200

F-4 +350

テラス

ロフト

F-1

F-1

F-2

8700

リビング

カウンター テーブル

2060

1600

洗面・脱衣 PS

2 階のベランダが屋根となり軒下の縁側のよ

る。将来、ネットフェンスではない違う境界

±0

F-2

玄関

給湯器

床仕上表 F-1

足場板35mm

F-2

土間コンクリート刷毛引き仕上げ

F-3

フロアタイル (サンゲツOT-711)

F-4

ステンレス

子育て家族(父母+子ども1人から2人)

平面図 1/180

「コミュニケーション」を育てる住宅をめざした

うな空間ができる。そこから、フェンス越し に隣の教養廊下を通る人ととの交流が生まれ

土間

1413

500 1413

◎地域とのつながり

378

500

室 外 機

想定する住み手:

◎段差によるアクティビティ

ができることを望む。

設計者 Z

ZZ

プライベート

ねる

∼ ∼ ∼

家の中 森美里 (もりテラス ・みさと) 1997年 大阪府箕面市市生まれ 2016年 大阪市立工芸高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

お風呂

Z

ZZ

料理

食べる

くつろぐ

1 人になる

話す パブリック

40

∼ ∼ ∼

テラス

A-4

ーからできる居場所

3年生後期課題 リノベーション総合実習

お風呂


チ し た 上 で、 居 住 者 像 と ラ イ フ ス タ

イ ル を 自 ら 想 定 し、 住 ま い 以 外 の 機

能 を 付 加 す る こ と も 認 め、 一 連 の プ

ロジェクトの中で新たな意味を持つ

場 所 と な る 提 案 を 求 め た。 ま た、 実

現 が 前 提 な の で、 対 象 住 戸 の 実 測、

大 和 船 舶 土 地 社 長・ 鈴 木 祐 一 氏 に よ

る レ ク チ ャ ー、 実 施 設 計 図 の 描 き 方

の 解 説 な ど も 行 い、 実 施 設 計 図 レ ベ

ルの図面提出を義務づけた。

最優秀作に選ばれたのは紺谷和弥 の案である。基本的には二住戸をゆっ

た り し た 一 住 戸 へ 変 更 す る 案 だ が、

最 大 の 特 徴 は、 ほ ぼ 元 の 一 住 戸 分 の

ス ペ ー ス を、 厨 房 を 中 心 に 大 き な コ

の字型カウンターが巡る場所にして

いることだ。作者はそこを、マンショ

ン 内 や 地 域 の 人 々 が 食 事、 雑 談、 あ

るいは簡単な仕事などをしに来る場

所 に し た い と 考 え た。 ま た、 道 路 →

マンションの玄関→階段→廊下→改

修対象住戸の玄関→前記のスペース

→住戸北側の外部空間→新設階段→

道路というU字型のルートを作るこ

と も 提 案 し た。 厨 房 ま わ り の ス ペ ー

スを空間的に地域につなげようとい

う発想だ。

これらを可能にするには様々な ハ ー ド ル が あ る だ ろ う。 し か し、 建

物の所在地名と食堂からの造語であ

る「 食 道 」 と を 組 み 合 わ せ た「 じ ん

む 食 道 」 と い う タ イ ト ル 通 り、 道 の

一部にある食堂のような住まいとす

る こ と で、 地 域 と の 連 続 的 な 関 係 を

作ろうとする姿勢を高く評価した。

0

50

このじんむ食堂では西側の元103号室をパブリックな空 間、東側の102号室をプライベートな空間と分けており、

.2

726

26

94 .2 + アイボリーブラック塗装 鉄鋼材

るようにしている。しかし、完全に分離されている空間の

400

留守にしている間の家族のプライベートもしっかりと守れ ゴムの集成材

ようにも見えるが、既存開口を広げ、キッチンカウンター

a.depeche  商品番号 020-PNS-CTC パニッシュ カウンター チェア PUNISH counter chair

900

を伸ばしたダイニングテーブルを二部屋をまたぐように配 置することで、一続きの空間のように感じられるようにし るだけ残し、カウンター越しの大きな鉛直面を作ってプロ

700

50

54

た。二部屋を分けていたコンクリートブロックの壁をでき

シナベニヤ

ジェクターで映像を投影できるようにしている。テレビを

.6

97

40

見たり、教室として開く際にDVD鑑賞用として利用する

a.depeche 商品番号 020-SCP-CTC-001 パニッシュ ウィング チェア PUNISH wing chair

ことを想定している。

300

400

靴脱ぎスペース

キッチンシンク 台所流し台 手作り オーバー シンク アンダーシンク ステンレス製 HM6545 400

隣地境界線 側溝

2178

378

1600

968

3800

500

600 82

26

.4

900

500

378

1600

テラス 550

1600

956

144

既存コンクリート 1678

785

2046

1961

±0

1128

894.7

1991.6

F-1

お風呂

洗面所

1809.2

キッチン -200

1600

1000

リビング

144

F-1

1665.2

682.5

3371.4

232

7506

プライベートな空間 (102号室側)

F-2 +300

ダイニング

726.2

1600

559.6

3437.4

1409.2 716.2 10

500

1745.9

15

F-2 +300

寝室

1696.3

±0

500

トイレ

PS

+200

押入

848 308

F-1

1206

500 ±0

53

紺谷和弥(こんたに・かずや) 1997年 兵庫県生まれ 2016年 兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

1217.3

1100

1678

設計者

500

1125

754

冷蔵庫

754

144

洗濯機

床仕上げ表 F-1

既存土の上、 モルタル金コテ

F-2

ナラフローリング

平面図 1/250

2018年度 リノベーション総合実習A(3年生後期課題)

2.対象建物

ハウス(「鈴木文化シェアハウス」「禅昌寺キオスク」)の

対象建物は、神戸市須 磨区に建つ賃貸マンションであ

オーナーであり、2014・2015・2016・2017年度の総合実習

指導教員:専任/花田佳明

る。山手の住宅地の中に建つ、鉄筋コンクリート造の地

においてリノベーション課題の題材を提供し、それぞれ優

非常勤/榊原節子(榊原節子建築研究所) ・

上3階建て中規模賃貸マンションだ。

秀作を実現していただいた。

今津修平(Muff)

敷地が前面道路からほぼ1階分下がっている。そのた

今年度も、優秀な案が提出されれば、大和船舶土地と

2018年9月20日〜12月20日

め、入り口は2階にあり、1、2階それぞれに5つの住戸、

教員、そして選ばれた学生が協働して実施設計を行い実

3階には3つの住戸とテラスがある。今回は、そのうちの

現させる予定なので、それを目標にして頑張ってほしい。

1.課題の位置付け

1階の2室(102号室と103号室)の改修案の策定が課題

3.課題内容

本実習では、実在する建物を対象とし、その新しい用途、

である。

1階の2室(102号室と103号室)を一体的に改修し、さ

利用者、入居テナントなどを具体的に想定した上で、対象

この建物は、神戸市で不動産業を営む大和船舶土地株

まざまな家族形態、生活形態、賃貸形式に対応できる構

建物や周辺環境の価値を高め、何らかの意味で社会に影

式会社が所有している。同社は、本学科の教員(川北、花

成の賃貸住戸へと改修する。

響をおよぼすリノベーションの設計手法について学ぶこと

田、他)と協同し、対象建物が建つエリアを中心に、同社

オーナーは、最終的にこの建物を、さまざまな家族構成

を目的とする。また、空間構成、仕上げ材料、ディテール、

が所有する物件のリノベーションや建て替えを通したまち

の人たちが混在して暮らす、これまでにないような集合住

家具などの詳細な設計を行うことにより、実践的デザイ

づくりを行なっており、今回のプロジェクトもその一環で

宅にしたいと考えている。その目標に向けて、空き住戸に

ンのために必要なさまざまな知識、技術、プレゼンテー

ある。

なったところからリノベーションを行う計画であり、すで

ション技法なども習得する。

同社は、本学科の教員でデザインをした2棟のシェア

に、大和船舶土地の多くの物件を担当している設計事務

「賃貸マンションの住戸リノベーション」

39


道の一部にある食堂のような 住まいをめざして

花田佳明

今 回 の 課 題 は、 神 戸 市 須 磨 区 に 実 在

す る 中 規 模 賃 貸 マ ン シ ョ ン 内 の、 隣

接する二住戸を一体的に改修するも

の で あ る。 二 〇 一 五 年 度 か ら、 対 象

物件の所有者である神戸の不動産会

社・ 大 和 船 舶 土 地 株 式 会 社 と の 協 同

に よ り、 優 秀 案 を 実 現 し て い た だ く

前 提 で や っ て き て お り、 今 年 度 は そ

の五回目だ。

敷地が前面道路からほぼ一階分下 が っ て い る た め、 マ ン シ ョ ン の 入 り

口 は 二 階 に あ る。 一 階 と 二 階 に は 五

住 戸 ず つ、 三 階 に は 三 住 戸 と 屋 上 テ

ラ ス が あ り、 一 階 の 二 住 戸 が 改 修 対

象 だ。 こ の 建 物 の 周 辺 地 域( 須 磨 区

禅 昌 寺 町・ 神 撫 町 周 辺 ) で は、 大 和

船舶土地株式会社と本学科教員とが

協同し、同社所有物件のリノベーショ

ンや建て替えを通したまちづくりを

行 な っ て お り、 今 回 の プ ロ ジ ェ ク ト

もその一環である。

そこで学生には、周辺地域をリサー

3年生後期課題 リノベーション総合実習

じんむ食道 16E0022 紺谷和弥

パブリックな空間 (103 号室側) サーベイによって分かった周辺の現状 ①高齢者の一人暮らしが多い ②十分ほど歩くと商店などがある ③変わった鳴き声の鳥や自然が多い ④周辺に特徴ある大和船舶の所有物件が数多く存在している ⑤坂が多く、入り組んだ道になっている ⑥北側には一軒家が立ち並び、住人と目線も合う ⑦西日が強く、夕方ごろには神々しいほどの光が部屋に入ってくる ⑧西側は崖になっており、家は建っているが目線が通り、気持ちが よい ⑨現在マンション自体の改修工事が進んでおり、外壁は白漆喰、駐 輪場から屋根が大きくエントランス部分にかかっていく予定 ⑩人通りは少ない落ち着いた雰囲気のあるエリア

所・ランドサット(代表:安田利宏、同社のサイト:ht tp://

そうなると、賃貸の空間単位そのものの再編成ができ

landsat.jp)によって、2階と3階の2室の改修設計が進ん

るとたいへんに便利であり、しかも「さまざまな家族構成

でいる。また、2階の道路沿いに小屋根を設けて自転車

の人たちが混在して暮らす、これまでにないような集合住

置き場とし、通り沿いの景観の改善も行う予定である。

宅」という目標へもつながっていく。こういった構想に応

今回の改修も、この構想の一部として位置付けられて

える斬新な空間の提案を期待している。

いる。したがって、この建物の周辺地域の状況を十分に

なお、実際に施工し賃貸物件にすることが前提なので、

リサーチした上で、居住者像とライフスタイルを自ら想定

設計密度と図面は実施設計レベルの内容が求められる。

し、それに相応しい空間デザインの詳細な提案が求めら

また、工事費用は700万円の予定である。その範囲に収ま

れていることを十分に意識してほしい。

る設計をしてほしい。法的な制約もあり、既存の構造体へ

たとえば、2住戸を使えるのだから、3~4人の人が暮

の大規模な改変は行わないこと。

らす賃貸のシェアハウスや、大家族用住戸などのプログラ

提案されるプログラムも、また提出される設計図も、と

ムなどはすぐに思いつくだろう。しかし、どのような入居

もに不動産事業としてのリアリティをもつことが必要で

希望者が来るかはわからないし、入居後の家族構成も時

ある。そのためには、現地の観察だけでなく、社会状況の

間とともに変化する可能性がある。あるいは、 「シェア」で

解読と実施設計に必要な知識の学習が求められる。そう

も「家族」でもない関係の単身者が加わることを考える

いった作業に興味をもち、かつそれをやり抜く意志のある

必要が発生するかもしれない。

学生の参加を希望する。

禅昌寺エリアの新たな「家たち」として 愛されるようになるには、 住人がこの家の街の良さを周囲に広める

開かれた空間

が必要だ

+ おとなりやマンション内の人と 「ただいま」や「お帰り」という挨拶が自然と出るような 関係性が住みよい家には不可欠だ ↓ 家開きの考え方で「食」という生活の一部を周囲に提供し、 空間を共有することでコミュニティ形成したい

1階平面図 (点線で囲った住戸が改修対象)

38


3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

中庭

ENCUENTRO

バルセロナの空間構成を持ち込む事で群ごとの関係性が強まり、 路地ができ、 そこに 「出会 い」 が生まれる。 角を曲がるたびに新しい人に出会い、 新しい景色に出会う。 そう言った人

バルセロナの空間構成は建築が集まってロの字になっていて、 中庭を共有している。 そのユニットが主動線を

16E0022 紺谷和弥 16E0050 森勇輔

同士の巡り合わせを路地が造り、 目線の先の親水風景へと人々を誘う。 中間領域は衣装的な

基準に振られたグリットにそって規則的に並ぶことで路地空間が発生し、 目線が一直線に通るようになっている。

水路とパーテーションなどで取っており、 住戸と路地の間の緩衝材となっている。

大阪湾への目線の抜け

A

街の動線 住人の動線

設計者 紺谷和弥(こんたに・かずや) 1997年 兵庫県生まれ 2016年 兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

配置図・1F 平面図 1/2000

設計者 森勇輔 (もり・ゆうすけ) 1997年 兵庫県三田市生まれ 2016年 兵庫県立三田祥雲館高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

A-A' 断面図 1/1200

3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン めるくめく景色

住人による集合住宅の形成

壁が立つ方向に垂直に見れば広い空間が広がっており、

住人の庭やバルコニーから溢れる住人の様々なライフスタイルが

住戸と住戸を壁でつなぐと、共有する庭が生まれる。

隣の庭の植物が陰を落とす。壁の通り道に芝生が広がっている。

並行に見れば入り組んだ路地のような空間が広がる。

融合することで場所ではなく人から様々な魅力が生まれる

住人同士で一緒に様々な庭を作ることができる。

壁と住戸の組み合わせで生まれる共有庭

壁が境界を作っても植物は緩やかに敷地を繋いでくれる。

住まいかたって、魅力

植物は境界を超える

16E0062 黒田茉佑 16E0072 櫻井ノマド

+600

歩いていると景色がめくるめくように変わる。

coffee +600

設計者

book

+600

+600

黒田茉佑(くろだ・まゆ) 1998年 兵庫県養父市生まれ 2016年 兵庫県立八鹿高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

+600 +600

bakery

+600

community space

+600

±0

flower shop

+600

+600

+400

+600

community space

+600

+600

設計者

+600

cafe

+600

櫻井ノマド(さくらい・のまど) 1996年 北海道札幌市生まれ 2016年 東海大学付属札幌校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

+600

House type B(98㎡)

2018年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- B(3年生前期課題)

House type C(90㎡)1/600

る魅力的な店舗計画を行う。

配置図・1F 平面図 1/2500

③計画敷地内における住戸と、店舗と住宅群全体の 構成について

「集合住宅のデザイン(住宅地のデザイン)」 指導教員:専任/遠藤剛生・三上晴久・小浦久子

3.具体的な検討事項

3)住宅と店舗に対する視点

非常勤/長瀬信博(NNAD 長瀬信博建築研究所)・

1)都市的視点

①光や風、水辺(親水空間)や眺望をどう活かした

岩崎隆久(遠藤剛生建築設計事務所)

①神戸市の特性を活かした自然の活用方法について

住戸計画を行うか

2018年6月5日〜7月26日

②神戸市における場所を活かした生活のあり方とは

②この場所でのどんなライフサイクル、ライフステー

③神戸市における空間アイデンティティのあり方

ジ、ライフスタイルを考えた住戸計画を行うか

1. テーマ

2)住棟、住戸に対する視点

③周辺空間を活かしたどんな住戸内空間、及び中間

運河沿いに建つ集合住宅(店舗等併設可)

①どの場所を使い、どんな親水空間を造り、自然と

領域計画を行うか

どう関われるのか

37

2. 課題の目標

②計画敷地内における集合住宅の生活の具体的なあ

4.計画敷地

水辺空間を活かした生活空間と、地域の活性化に資す

り方とは

所在地:兵庫県神戸市中央区東川崎町 1 丁目


A

3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

Global kobe 16E0003 井實遊星 16E0036 長谷川肇 CULMENEI

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

冷蔵庫

MOSAIC

冷蔵庫

umie

Warehouse

CULMENEI Warehouse

B

Harborland park

MOSAIC

umie

CULMENEI Warehouse

Harborland park UP 1 5 10 16 15 冷蔵庫

Harborland park

ダイアグラム 周辺敷地から、敷地線、境界線、道路軸 線等をすべて延長させ、敷地内を線形的 に分割。対称に敷地内に現状、存在して いた円形を基礎として軸取り円形的に分 割。二種類の異なる要素と要素を組み合 わせたプランを提案する。

B

配置図・1F 平面図 1/2000 A

B-B' 断面図

A-A' 断面図 1/1300

設計者 井實遊星(いじつ・ゆうせい) 1998年 大阪府大東市生まれ 2016年 大阪府立城東工科高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学 親水空間

設計者 長谷川肇(はせがわ・はじめ) 1997年 兵庫県神戸市生まれ 2016年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学 住人も外部の人も集える飲食店(バル)

用途地域:①商業地域、 ②第2種住居地域、 ③準工業地域

ないものとする) 。タウンハウス、準接地型タイプ、

建ぺい率:① 80%、② 60%、③ 60%

フラットタイプ積層型のいずれの集合形態も可と

容積率:① 400%、② 300%。③ 200%

する(独立戸建住宅は不可とする) 。

敷地面積:全体で約 37,000㎡(水面を除く)

駐車場は各住戸 1 台とすること。1 台の面積は 2.5m 5) × 5m とし、通路巾は 6m とする。

5.計画条件

6)店舗は、カフェ、レストラン等業種は自由とするが、

1)敷地の分割、選択は自由とする。

この場所にふさわしい業種とすること。

2)敷地内に親水空間を造ること。

7)住戸平均面積は、100㎡を基本とし、大・中・小の

3)街区、住棟、住戸、店舗計画のみならず、一体不

住戸の組み合わせも可とする (70㎡、100㎡、120㎡

可分なランドスケープについても計画を行うこと。

程度) 。

4)住戸数は 50 戸以上とすること(容積率 60%を前提 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

とし、広場、リバーウォーク等は、容積率に含ま

36


住民,ドミトリー利用者,一般利用者の全ての人が銭湯へとつながっている. 1

は、この地域に居住する世帯は、その

6

構成人数が少ないことに気づいたとい

1

UP

3 階住戸 16

1 6

う。単身の高齢者も多いそうだ。彼ら UP UP

は、 そ う し た こ と に 注 目 す る こ と に

冷蔵庫

脱衣所 脱衣所

よって、新しい住まいのかたちを描こ 銭湯 銭湯

うとした。 具体的には、住戸内のLDKスペー スと水回りを住戸の外に配すること に よ っ て、 住 戸 専 有 面 積 を 最 小 の も

DN UP

の と し、 住 棟 内 に お け る 住 戸 専 用 面 積 と 共 有 面 積 の 割 合 を、 一 般 的 な そ れ と は 大 き く 変 化 さ せ て い る。 具 体 的 に は、 生 活 空 間 と し て 多 様 で 豊 か な共用空間を創出しようとする姿勢 で あ り、 そ う し た 姿 勢 は、 住 棟 の 外 に も お よ び、 制 作 者 は、 外 部 も 内 部 も 含 め て、 こ の 集 合 住 宅 を 大 き な 一

設計者

軒家と見立てているに違いない。

岩本有平(いわもと・ゆうへい) 1997年 兵庫県三木市生まれ 2017年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学編入学

居住者の住空間を住戸の外に積極的 につくり、そこがコミュニケーション

設計者

の場となりうるような住まい方の提案

DN

1 階受付 16 1

DN 1

住戸 銭湯ロビー 住戸

6 1

洗濯機 洗濯機 洗濯機

平面図 1/400 6

1 UP

1

3 階住戸 16

住民の利用もドミトリーとの利用も銭湯のみの利用も可能.

外観パース:干潮時は広場となり、カフェと繋がる

洗濯機 洗濯機

内観パース : 共用廊下の使われ方

である。建築計画的には、表出を誘発 する場を意図的に創出する試みである とも言えよう。 こ こ で の 生 活 は、 住 戸 の 中 に と ど まっていたのでは成立しない。居住者 は、さまざまな場面で、住戸の外に出 ることを余儀なくされるのだが、それ が、むしろ、豊かな毎日につながるこ とを、この集合住宅は示している。海

外観パース:東側 2 階バルコニー

伊藤元気(いとう・げんき) 1996年 兵庫県神戸市生まれ 2015年 伊川谷北高校卒業 2017年 神戸電子専門学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学編入学

辺のコレクティブハウスと呼びうるこ の住まいは、これからの高齢化社会に

35

おける道標たりうるものであるとも考 えられる。

A-A' 断面図

B-B' 断面図 1/900

16

冷蔵庫

ドミトリー

6

冷蔵庫

1

DN


海辺のコレクティブハウス 三上晴久

敷地対象エリアは、例年通り神戸ハー

バーランドの一画であり、学生たちは

それぞれに敷地を設定する。運河を中

心とするここの周辺環境は、北側は大

型店が並ぶ商業地、東側は低層の建物

が連続する「モザイク」と呼ばれる商

業施設、西側は住宅と小学校、運河を

挟んだ南側は老朽化したJR事務所ビ

ルであり、近くには船舶のドックもあ

る。 こ の 課 題 を 始 め て 一 〇 年 が 経 過

し、その間に高層集合住宅が新たに二

棟竣工したが、それらの扱いについて

は、制作者の意図に委ねている。二人

による共同設計である点も例年通りで

ある。

本計画の制作者が具体的な敷地とし て定めたところは、運河を挟んだ南側

である。ここは、このエリアにあって

裏側的な場所であると認識されている

と言ってよいが、ここを魅力ある場所

へと変容させることが、まずは強く意

識されている。

フィールドサーヴェイによって彼ら

3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

Entangled pixels 15E0206 岩本有平 16E0201 伊藤元気

住人も一般人も利用可能なバルコニー. DN スポーツ広場を観戦できるベランダ. 一般人も上がって来られる. ドミトリー

銭湯

銭湯

UP 公園からつながるバルコニー.

2F 平面図

脱衣所

主に子供が利用することを想定. 1 階で購入した古本の読書スペースとしても利用.

外部の床 N

ガラス材

銭湯ロビー C

敷地北側の商業施設,及び高層マンションより,集客を図る動線の確保.

メインエントランス広場.

天気の良い日はオープンテラスとして利用.

古本屋の本を保育所で読み聞かせ.

潮が引くと現れる広場. オープンテラスとして利用も可能.

主に外国人観光客の受け入れ.

子供を保育所に預けた後,カフェで雑談.

レストラン

B テラス

古本屋

ドミトリー受付 厨房 カフェ

カフェ 雑貨販売

スポーツ広場

スポーツ後に温泉で疲れを癒す.

B 便所

温泉受付

A

人気の少ないピロティ空間.

委託販売所

雨天でも雨に当たらず,読書などに利用. 住人のハンドメイド品販売 住人と来訪者のつながり.

ビストロ 貸キッチン

レストラン

道幅の大小を連続的につくり,人の行動を促すように設計.

カフェから飲料水の提供.

既存の小学校

海を眺めながらゆっくり過ごす.

レストラン 保育所

A

景色の良い,東向き海側にレストラン,カフェを計画.

1

ウッドデッキ

厨房 家族での来訪を想定し,ファミリー公園を計画.

保育所の母親に向けた料理教室の開催.

駐車場

駐輪所 自動車入口

自動車出口

自転車,バイク出入口

配置図・1F 平面図 1/1200

34


図書館

+7000

休憩室

+5000

+3000

3年生前期課題 認定こども園のデザイン

EVEV

+4000

+3000

子供畑 +4000

EV EV

+4000 カフェ 図書館 +7000

休憩室

3 歳教室

+3000 +5000

5 歳教室

4 歳教室 +6000

CHILD-TOWN +3000

16E0022 紺谷和弥 +3000

EV EV

+4000 カフェ

+3000

3 歳教室

5 歳教室

4 歳教室 +6000

2F平面図 外部者出入り口

応接室

事務室

倉庫

EVEV

園長室

ソーシャルルーム 遊戯室

調乳室

沐浴室

男子トイレ

0 歳保育室 女子トイレ 会議室①

1 歳保育室

会議室②

2 歳保育室 外部者出入り口

設計者

事務室

倉庫

応接室

EVEV

園長室 保育士室

EV EV

紺谷和弥(こんたに・かずや)

調理室

1997年 兵庫県生まれ 2016年 神戸鈴蘭台高等学校卒業

預かり保育室

屋根はほとんどがテラスになってい る。部屋は角が丸くなっていて、行き 止まりがなく流れていきつつ、子供の ために温かみがあるようなイメージ。 グランドレベルには多種多様な植裁が 植えられ、自然に溢れている。

ソーシャルルーム 児童用トイレ 遊戯室

子育て支援室

食事室 3歳保育室 調乳室

4歳保育室

5歳保育室

沐浴室

男子トイレ

0 歳保育室

2016年 神戸芸術工科大学入学

女子トイレ 会議室①

1 歳保育室

会議室②

1F平面図 1/1400

2 歳保育室

預かり保育室

EV EV

○ 調理室

保育士室

児童用トイレ 子育て支援室

×

食事室 3歳保育室

4歳保育室

年齢や身体能力によって

座ってお話ができる。

登れる高さが異なるため

×

3年生前期課題 認定こども園のデザイン

5歳保育室

地形がつなぐ まちとこども園

壁を作ることができる。

境界を作ることができる。

協力し合い、考えながら

16E0062 黒田茉佑

段を登ろうとする。また 登ったり降りたりするこ とで身体を作る。

段差がいすになる。

−200 −300

5歳児学び

−300

5歳児保育室

WC

4歳児学び

±0 4歳児保育室

WC

−600

黒田茉佑(くろだ・まゆ) 1998年 兵庫県養父市生まれ 2016年 兵庫県立八鹿高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

事務室

森のように不規則に並ぶ。

−600

会議スペース 会議室

応接室 倉庫・資料室

−900

−800

−600

子育て支援室 エントランス

運動会の日には棚田が観客席になる

預かり保育室 搬入口

太さの異なる柱が

−700

園長室

調理室

そこから樹木のように

設計者

WC

3・4・5歳 3歳児学び 3歳児保育室   WC −300

食事室

調乳スペース

教員室 保育士室

給湯スペース

−500

自然の建築を作る。

沐浴スペース 0歳児保育室

1・2歳

遊戯室

棚田

1歳児保育室

2歳児保育室

ウッドデッキ

抜け道

−500

−400

おむかえがくるまで遊ぶことができる小さな園庭

園庭 −900

屋根

−1000 −800

−1200

天気の良い日は外でご飯を食べる

屋根が層を作りながら ふわっとかかる

N 高低差0 搬入トラックが入れる

木が集まって林冠を作る。

1F平面図 1/1000

2017年度環境・建築デザイン実習Ⅲ-A(3年生前期課題) 「地域との連携を考慮したこども園の設計」

認定こども園の大切な役割は、大きくは二つである。 ひとつは、就学前の子どもに対して幼児教育と保育を

指導教員:専任/山之内誠・畑友洋・萬田隆

提供する機能であり、もうひとつは、地域における子

非常勤/赤松佳珠子 (CAt) ・西井洋介(一級建築士事務所

育て支援を行う機能である。

ROOTE) ・川上聡 (SATOSHI KAWAKAMI ARCHITECTS)

現在、学園都市ダイエーの西側に、学園幼稚園と

2017年4月11日〜6月1日

YMCA 保育園が隣接してそれぞれ開園しているが、両 者の敷地全体を使って新たに認定こども園を設計して

33

1. 目的

ほしい。就学前のこどもたちにとって魅力にあふれ、

教育施設である幼稚園と福祉施設である保育所は、そ

この地域における子育て支援に寄与する場となる認定

れぞれ文部科学省と厚生労働省の管轄下にあり、そも

こども園を提案してほしい。

そもは異なる施設として位置付けられてきた。しかし、

2. 設計内容

保育所不足が叫ばれる中、既存の幼稚園が保育所を新

1.対象敷地 神戸市西区学園西町 5-3 および 5-4

たに抱えることが推奨されるようになってきており、

用途地域 第 1 種中高層住居専用地域

幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持つ施設として、

(指定建ぺい率:60%、指定容積率:200%)

認定こども園が全国各地に開設され始めている。

2.建物規模 2 階建て、延べ面積 2,000㎡程度まで

地図データ ©2017Google,ZENRIN


境界線を境界面にする

境界をコントロールする ①オセロ的空間製法

境界線を境界面のように奥行きを持たせ、 「こども園」 「街」の間に新たなゾーンを作り出す。

街 街

A

こども園

②境の線を面にかえる屋根

こども園

こども園

こども園

こども園と街の中間領域

③境界の強弱を支える壁

街 B

A

B

壁をまたぐように壁を配置することで、境界自体に場を作りゾーンの中間領域が生まれる

こども園

こども園を 再発明する

高さや幅を操作することで、 境界に緩急をつけつつ一定の街まりをこども園に作り出す また、木々や屋根を使うことで境界を作用させる

園内の空間が街に挟まれることで、園内は街の空間を帯びる また、街の空間が園に挟まれることで、街は園の空間を帯びる 深く入れば入るほど、 その空間生は増していく

境界をコントロールすることによって、 中間領域がこども園になったり、 街になったり変化する

3年生前期課題 認定こども園のデザイン

C

境界を超えることで、空間をつなげる

周辺住宅のスケールをこども園に落とし込む

16E0072 櫻井ノマド

周辺住宅のスケールを敷地に落とし込むことで、 街にも人にもなじみ深い空間を演出する。

境界線を境界面にする

①オセロ的空間製法

街 境界線を境界面のように奥行きを持たせ、 「こども園」 「街」の間に新たなゾーンを作り出す。 街

➡街

こども園

こども園と街の中間領域

境界をコントロールすることによって、 こども園 こども園

中間領域がこども園になったり、 街になったり変化する こども園と街の中間領域

街 こども園

こども園

A

B

葉が境界を超える

③境界の強弱を支える壁

C

A

B

C

A 壁をまたぐように壁を配置することで、境界自体に場を作りゾーンの中間領域が生まれる

街になったり変化する

B ➡ A B 高さや幅を操作することで、 境界に緩急をつけつつ一定の街まりをこども園に作り出す 壁をまたぐように壁を配置することで、境界自体に場を作りゾーンの中間領域が生まれる また、木々や屋根を使うことで境界を作用させる 高さや幅を操作することで、 境界に緩急をつけつつ一定の街まりをこども園に作り出す また、木々や屋根を使うことで境界を作用させる

境界を超えることで、空間をつなげる 境界を超えることで、空間をつなげる

周辺住宅のスケールを敷地に落とし込むことで、 街にも人にもなじみ深い空間を演出する。

➡ ➡

周辺から住宅をピックアップ

②境の線を面にかえる屋根 街

こども園 園内の空間が街に挟まれることで、園内は街の空間を帯びる こども園 また、街の空間が園に挟まれることで、 街は園の空間を帯びる こども園 深く入れば入るほど、 その空間生は増していく 園内の空間が街に挟まれることで、園内は街の空間を帯びる 境界をコントロールすることによって、 また、街の空間が園に挟まれることで、街は園の空間を帯びる 中間領域がこども園になったり、 深く入れば入るほど、 その空間生は増していく

周辺住宅のスケールをこども園に落とし込む 周辺住宅のスケールをこども園に落とし込む 周辺住宅のスケールを敷地に落とし込むことで、 街にも人にもなじみ深い空間を演出する。

屋根を共有する

③境界の強弱を支える壁

①オセロ的空間製法 街

こども園

木の木漏れ日が境界を超える

境界をコントロールする ②境の線を面にかえる屋根

➡ こども園

街灯の光が境界を超える

こども園の重心を境界に持ってくる

境界をコントロールする

境界線を境界面にする

境界線を境界面のように奥行きを持たせ、 「こども園」 「街」の間に新たなゾーンを作り出す。

動植物が境界を超える

境界線をまたぐように部屋を配置する

輪郭を境界のデザインにする

並び替える

周辺から住宅をピックアップ

➡ 輪郭を境界のデザインにする

並び替える

周辺から住宅をピックアップ

並び替える

動植物が境界を超える

境界線をまたぐように部屋を配置する

こども園の重心を境界に持ってくる 輪郭を境界のデザインにする

街灯の光が境界を超える

木の木漏れ日が境界を超える

動植物が境界を超える

境界線をまたぐように部屋を配置する

屋根を共有する

街灯の光が境界を超える

葉が境界を超える

木の木漏れ日が境界を超える

屋根を共有する

葉が境界を超える

こども園の重心を境界に持ってくる

B

Nursery room 0-year-old and 1-year-old

A

Nursery room 2-year-old

Pocket Park Parenting Support Office

Cafe

Pocket Park

A

Dining Room Class Room

Warehouse

Nursery room short-term child care

Pocket Park Class Room Nursery room 3-year-old

Pocket Park Staff Room

Nursery room 2-year-old

Playroom

Class Room Nursery room 4-year-old

境界線をまたぐように部屋を配置することで、 こども園と街の要素を持った環境を作る。

Nursery room 4-year-old

Meeting Space

Entance

B

1F平面図 1/1000

設計者 櫻井ノマド(さくらい・のまど) 1996年 北海道札幌市生まれ 2014年 東海大学付属札幌高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学

Pocket Park

A-A' 断面図

平面詳細図 1/400

B-B' 断面図 1/1000

3.必要諸室

近接して確保する。

室・教員室・事務室:100㎡(保育士 12 名 / 日、幼稚

・保育室:計 230㎡程度(保育園児定員 96 人、保育室 6 室)

・幼稚園教室:計 150㎡程度(幼稚園児定員 80 人、教

園教諭 6 名 / 日、事務員 3 目人 / 日)・園長室:20㎡・

0 歳児保育室:0 歳児 6 人 (保育士 1 人以上 /0 園児 3 人)、

室 3 室)3 歳児教室:3 歳児 20 人(教員 1 人以上 / 園

応接室:20㎡・会議室:20㎡を 1 室、50㎡を 1 室・職

30㎡/ 1 歳児保育室:1 歳児 12 人(保育士 1 人以上 /1

児 20 人)、50㎡/ 4 歳児教室:4 歳児 30 人(教員 1 人

員用便所・その他:玄関ホール、廊下、階段、来客用

園児 6 人) 、40㎡/ 2 歳児保育室:2 歳児 18 人(保育

以上 / 園児 30 人) 、50㎡/ 5 歳児教室:5 歳児 30 人(教

便所等を適宜設置し、適切な大きさの園庭を確保する

士 1 人以上 /2 園児 6 人)、40㎡/ 3 歳児保育室:3 歳

員 1 人以上 / 園児 30 人)、50㎡※幼稚園教室は、園児

こと。

児 20 人(保育士 1 人以上 /3 園児 20 人) 、40㎡/ 4 歳

数 35 人以下 / 学級。教室床面積の目安は、設置基準は

3.設計上の留意事項

児保育室:4 歳児 20 人(保育士 1 人以上 /4 園児 30 人)、

無いが 50㎡程度 / 学級

認定こども園で展開される教育と保育のあり方を具体

40㎡/ 5 歳児保育室:5 歳児 20 人(保育士 1 人以上 /5

・預かり保育室:預かり保育園児数は 20 人とする。 (1 室、

的に想定した上で、設計を進めるように努めること。

園児 30 人)、40㎡※ 0 歳児〜 2 歳児の床面積は、保育

40㎡) ・子育て支援室:100㎡(独立した部屋として確

そのためには、園児たちが、ここでどのように一日を

所設置基準に基づいて確保する。保育所設置基準(い

保しなくても良い) ・遊戯室:200㎡・給湯室:適宜

過ごすことになるのか、具体的に想定してみると良い。

ずれも有効面積)0 歳児:人数× 4.95㎡、1 歳児:人数

・食事室:100㎡・調理室:100㎡※調理室用休憩室、

子育て支援室、遊戯室、食事室は、教育と保育のあり

× 3.3㎡、2 歳児:人数× 1.98㎡※ 3 歳児〜 5 歳児に関

調理室用便所を適宜設置する。・保育園児および幼稚園

方によっては、必ずしも個室として確保しなくても良

しては、幼稚園教室に準ずる。

児用便所:適宜・倉庫 / 資料室:50㎡(計画によって、

い。保育所部分と幼稚園部分を基本的に分けるのか否

・調乳室:適宜、沐浴室:適宜※これらは、0 歳児室と

まとめて確保しても分散して確保しても良い) ・保育士

かは、計画的には大きな差異になると考えられる。

32


らが交差するところにおいてアク ティビティを誘発することをコンセ プ ト に 据 え た 計 画 で あ る。 具 体 的 な 配 置 構 成 は、 敷 地 北 東 側 か ら 西 へ 向 かって順に、地域に開放されたコミュ ニ テ ィ・ テ ラ ス、 保 育 室 棟、 遊 戯 室 棟 を 並 べ、 そ れ ら を 東 西 に 結 ぶ よ う に 食 育・ キ ッ チ ン ス ペ ー ス を 交 差 さ せ て お り、 そ れ ぞ れ の 間 に で き た 空 間を園庭としている。 そ し て 放 課 後 に は、 遊 戯 室 棟 を 中 心とする空間を子供たちの遊び場に、 保育室棟を中心とするスペースを預 かり保育エリアとし、コミュニティ・ テ ラ ス 一 帯 を カ フ ェ・ レ ス ト ラ ン エ リアとして地域の利用に供す案と なっている。 このように、明瞭に設定されたゾー ニングが喜多川案の肝であり、各ゾー ンを繋ぐ食にまつわる機能の帯が大 動 脈 と し て 存 在 す る こ と に よ り、 全 体の躍動感を生みだすことに成功し ていると言えるだろう。 な お 一 方 で、 コ ン セ プ ト に 据 え た 「交点でのアクティビティの誘発」を 確 か な も の に す る た め に は、 も う 一 段階の上の空間的工夫が必要である こ と は 否 め な い。 む し ろ 本 提 案 は、 ゾーニングと動線の構成を巧みに解 い て い る 点 に お い て、 注 目・ 評 価 す べきものと考えられる。

31

A-A' 断面図

設計者

喜多川颯馬(きたがわ・そうま) 1997年 香川県高松市生まれ 2016年 香川県立高松工芸高等学校卒業 2016年 神戸芸術工科大学入学 建築合宿2016最優秀賞、E&G Design 学生 デザイン大賞 優秀賞(2017)受賞

北立面図 1/800


Crowd Square

16E0017 喜多川颯馬

建 築 ユ ニ ッ ト を 縦 横 に 配 置 し、 そ れ

喜 多 川 颯 馬 の 案 は、 保 育 室、 遊 戯 室、 食 堂 な ど の 機 能 を も っ た 帯 状 の

案を求めた。

とのかかわり方についても積極な提

出 す 工 夫 に 加 え、 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ

もたちの生き生きとした活動を引き

を 行 っ た。 設 計 に あ た っ て は、 子 ど

児までを受け入れるこども園の設計

所 を 更 地 と 仮 定 し、 〇 歳 児 か ら 五 歳

現 在、 同 敷 地 内 に は 幼 稚 園 と 保 育 園 が 建 っ て い る が、 こ こ で は こ の 場

た場所を敷地に設定した。

ル や 小 学 校、 住 宅 街 な ど に 囲 ま れ て

西 に 隣 接 し、 大 型 シ ョ ッ ピ ン グ モ ー

き 続 き、 本 課 題 で は 学 園 都 市 駅 の 北

る 新 興 住 宅 地 で も あ る。 前 年 度 に 引

等によりこどもの数が増加傾向にあ

り、 同 時 に、 近 年 の マ ン シ ョ ン 建 設

の大学や高専が集まる文教地区であ

分 ほ ど に 位 置 す る 学 園 都 市 は、 多 く

神戸の中心市街地から地下鉄で二〇

山之内誠

巧みなゾーニングにより 都市に開かれた 「こども園」

3年生前期課題 認定こども園のデザイン

1F平面図・配置図 1/600

30


2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 C

お気に入りの場所 17E0061 保野澪

テラス

姉部屋

フリースペース

子供部屋の前の通路には日当たりのいい大きな フリースペースがあり、サンルーム、友達を呼 んで勉強会など、様々な用途に使えます

弟部屋

4F平面図 WIC 主寝室 主寝室の南側には大きな窓があり、たくさん の光が入ってきます カフェが休みの時は、テラス全てを独り占め して、ゆっくり過ごすことができます

3階の南にはプライベートが守られたベ ランダがあり、お母さんはずっと向こう の海の景色を見ながら洗濯物を干せます

洗面所 カフェスペース 浴室

バルコニー DN

住まいとカフェを階で分け分離させるのではなく、それぞれを様々な階に散 らばせ、混ぜる。具体的には、敷地を2730mmのグリットに分け、住まいと カフェの機能を持つ2730×2730のキューブをそれぞれの階に散らばせる。 キューブが散らばることで、建物の四方の外観が全く違った複雑なものにな り、多様な場所が生まれる。 また、2つの空間が接する場所が自然に生まれる。その接する場所をフリー スペースとする。住人の子が友達を呼んできて遊んだり、ライブが開かれた り、小学生たちが小さな子の面倒を見てあげたり…幅広い世代の人々の間 で、様々な交流が起こるだろう。このフリースペースは、4階まで吹き抜け で、人々は知らぬ間に大きな窓から入り込む光や、空気を共有する。

3F平面図 狭い通路を抜けると、開放的なテラス席が あります 景色がとても良く、お客さんの中でも人気 の場所の1つです

共有空間では、ライブをしたり、子供達が遊んだり…住 まい、カフェ、どちらに居てもその様子がわかります 共有空間横のカフェの大きなテーブルは、用途や人数に 合わせて付け外しができます

カフェスペース

ダイニング フリースペース

リビング カフェが休みの時には、共有スペースとダイニ ングが近いので、2つの場所を使ってホーム パーティができます 南側には、大きな窓から暖かい光が差し込んで くる、気持ちの良いリビングがあります

3階への階段の横のスペースは、一人や少人 数で居たい人にはぴったりの場所です 一人席のテーブルの下の窓から、ぼんやりと 光が入ってきます

2F平面図 倉庫

A-A'断面図 1/300 カフェスペース

A

A 玄関

設計者 保野澪 (やすの・れい) 1998年 兵庫県神戸市生まれ 2017年 兵庫県立須磨東高等学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学

2018年度 環境・建築デザイン実習Ⅱ- A(2年生後期課題)

1F平面図 1/250

よりコンセプトやデザインを重視した提案を行なうこ

定して設計することとする。設計にあたっては、敷地

ととする。また、前半課題では、詳細な図面の描き方

の既存建物はないものとしてよい。

指導教員:専任/藤山哲朗・三上晴久・萬田隆・遠藤剛生

を学ぶ。

・敷地面積 約 560㎡

非常勤/竹下正高(エアーデザイン)・

3 つの敷地は、全く異なる周辺環境の中にあるので、

・第一種低層住居専用地域

吉井歳晴(WIZ ARCHITECTS)

敷地選択にあたっては、全ての敷地を訪れて決定する

・容積率 150%、建ぺい率 60%

2018年9月27日〜2019年1月24日

こと。なお、主体構造はいずれの課題においても自由

2)建物規模

とする。

延べ床面積:180 〜 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)

1. 目的

2. 課題概要

この課題では、さまざまな視点から住宅について考え

敷地A

「老夫婦とその子供世帯の

ること、詳細な図面を描けるようになることを重要な

1)敷地条件

2世帯住宅であり、子供世

目的とする。

阪急王子公園駅から徒歩8分程度の住宅地の一画であ

帯の家族構成は夫婦と子

予め設定されたA・B・Cの3つの敷地を調査・分

る。西郷川に隣接するこの敷地は、現在、資材置き場

供(1〜2人)」という条

析したうえで、前半課題では最終的に設計を行なう敷

だが、周囲にはマンションや一戸建住宅が建ち並んで

件の下で、さらに具体的な

地以外の 1 敷地を用い、短期間で住宅の提案を行なう。

おり、眼下には灘区の街が拡がっている。ここでは、

そして、後半課題では、前半の成果を踏まえた上で、

新たに敷地を購入し、2世帯住宅を建設することを想

「すまいのデザイン」

29

「おかえり」 「ただいま」住まいの玄関へはカフェを 通り抜けるので、カフェで働いているお母さんも、 子どもが帰ってくるとすぐにわかります 近所の人がおかえりなさいと言ってくれることも

「どんなところなのかな…」商店街側はカフェの 様子を見せながらも、壁を程よく配置すること で、商店街を歩く人の好奇心をくすぐります

3)家族構成

内容は各自が設定するこ 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

と。


2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 B

≒ Near 17E00197 黄裕貴

Structure しかし、それぞれの領域が重なり合う部分に、  互いの平面から持ってきた壁や段差を設けることで 完全に混じりあうことはなく、一定の区分が残る。

空間同士が一つにつながる平面構成をし、  それぞれの領域が互いに重なり合う。

ギャラリー

キッチンリビング

工房

祖父母

子供 父母

Plan Diagram

父母と子供の空間はほとんど繋がっているが、社交的な父母の空間は高く、内気な子供の空間は低くなっており、子供の空間への視線は少し届きにくくなっている。 しかし、声などは互いに届き合い、姿は見えにくくても存在を感じ合える。つまり、子供の空間は空間としての豊かさを残しつつ、少し閉ざしている。 キッチン部分は高さを最大限確保し、開放的な空間とする。

子供の空間はキッチンリビングとも繋がっており、  ここでも互いの声などを感じることが出来る。

これにより、両世帯の視線が飛び交い、食事、料理、会話を通して、

スケールを人が住める最低ラインまで抑えることによって、

第二の交流の場として機能する。

それぞれの空間同士に繋がりがうまれていく。

B-B'断面図 祖父母の空間は比較的低く、  落ち着いている。

Section Diagram

それぞれの場所によって、空間の高さを変化させることで、 空間の見え方が変わり、人々の視線を操作していく。

工房、ギャラリーは両世帯、友人、地域の人々の、交流の場として在り、高さ大きくしている。

A B キッチン +5000

キッチン

ギャラリー

+5000

+2000

子供

+5000

+7300 +4500

浴室

A-A'断面図 1/400

工房

−300 −300

±0

−150

脱衣所

ギャラリー

ギャラリー

+700

+5000 +5500

+4250

+2600

+5500

+1000

+6750

トイレ

祖父母

父母 +6000

+3500

設計者

±0

黄裕貴(こう・ゆうき) 1998年 兵庫県神戸市生まれ 2017年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学 修成建設専門学校 建築コンペ 佳作、日本 工業大学建築設計競技 奨励賞、日本大学 建築設計競技 奨励賞、デザイン甲子園 全 国高等学校インテリアデザイン展 九州産 業局長賞受賞

B`

2F平面図

A` 1F平面図 1/400

4)その他

延べ床面積:180 〜 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)

・敷地面積 約 81㎡

2台分の駐車スペースを用意すること。

3)家族構成

・商業地域

「老夫婦とその子供世帯の2世帯住宅であり、子供世帯

敷地B

3F平面図

・容積率 500%、建ぺい率 80%

1)敷地条件

の家族構成は夫婦と子供(1〜2人) 」という条件の下

2)建物規模

阪急王子公園駅から徒歩8分程度の宮本公園の西側に

で、さらに具体的な内容は各自が設定すること。

延べ床面積:220 〜 250㎡程度(駐車スペースはのぞく)

位置する。

4)その他

ここでは、新たに敷地を購入し、2世帯住宅建設す

1台分の駐車スペースを用意すること。

ることを想定して設計す

敷地C

さらに具体的な内容は各

ることとする。

1)敷地条件

自が設定すること。

・敷地面積 約 115㎡

阪急王子公園駅から徒歩5分程度の水道筋商店街の角

4)その他

・第二種中高層住宅専

地に位置する。アーケードの出入り口であり、商店街

1 台分の駐車スペースを

用地域

の利用者たちが休憩によく立ち寄る街角カフェ(約

・容積率 200%、建ぺ

120㎡)を経営できる住宅とする。建築物の階高は 5 階

い率 60%

までとする。設計にあたっては、敷地の既存建物はな

2)建物規模

いものとしてよい。

地図データ ©2013 Google, ZENRIN

3)家族構成 「家族構成は夫婦と子供(2人)」という条件の下で、

用意すること。 (住宅用1台) 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

28


し か し 竹 内 案 の 場 合、 も う 少 し 概 念 的 な ア プ ロ ー チ に 思 え る。 そ れ は 整 地 と い う 人 工 物 の 拒 否、 建 築 的 構 造物の消去に向かっているのではな いかということだ。それを竹内は「竪 穴式住居」 「最小限」という言葉で語っ ているが、本質的には「アーキタイプ: 元 型 」 と 呼 ぶ べ き 概 念 だ ろ う。 強 い 構築的意思を拠り所にすることので き な い 現 代 に お い て、 一 枚 の 屋 根 を 置くという最小限の所作で空間をつ くろうとしている。さらにそれは「屋 根」という建築用語で呼ばれたくも な い。 だ か ら 北 側 の 地 面 か ら 続 く U 字型の「道」なのだ。 もう一つ特徴的なことはU字が北 に 向 か っ て 開 か れ て い る こ と だ。 定 石 で は 南 に 開 け ば 広 い 庭 を 望 み、 ふ んだんな日射を取り入れることがで き る。 た だ し 北 向 き の 庭 は 安 定 的 な 間 接 光 を 取 り 入 れ、 順 光 で 庭・ 樹 木 を 鑑 賞 で き る と い う 利 点 が あ る。 ま

A-A'断面図 1/300

た上部の視界は遮られ周囲の余計な

竹内智生(たけうち・ともき) 1998年 愛媛県新居浜市生まれ 2017年 愛媛県立新居浜東高等高校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学

建 物 は 目 に 入 ら な い。 し か し 今 回 の

設計者

場合逆向きではU字の底部にあるL D K が 片 面 開 口 に な る こ と、 何 よ り も行止りの道になることが忌避され た の だ ろ う。 住 宅 と し て の プ ラ イ バ シーの確保にはまだ配慮が足りない

27

と は 思 う が、 最 短 距 離 で コ ン セ プ ト に従った率直さがすがすがしい。

配置・1F平面図 1/300


U-nify 藤山哲朗

17E0032 竹内智生

㎡と恵まれた敷地。北側はバス道、

A は 阪 神 間 山 手 の 住 宅 地 域 に あ り、

者 が 各 自 選 択 す る。 こ の 作 品 の 敷 地

な っ た 三 つ の 敷 地 が 設 定 さ れ、 履 修

二 年 後 期 の 住 宅 課 題 で は、 性 格 の 異

遊歩道に住む家

2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 A mの高低差があるが現状

2.5

㎡強なの

250

とは一つの方法だろう。

ことで環境と建築との調和を図るこ

で は、 本 来 の 六 甲 山 系 の 地 形 に 戻 す

下 り、 川 辺 に 導 か れ て い る。 敷 地 A

を 招 き 入 れ、 坂 道 に 合 わ せ て 傾 斜 を

敷地は前面道路から遮るものなく人

い わ ば 公 園 の 中 に 住 む 住 宅 で あ る。

そこに竹内智生が提案したこの作 品 は、 ラ ン ド ス ケ ー プ を 意 識 し た、

要である。

設計に対する明快なコンセプトが必

一 方、 自 由 度 が 高 い 条 件 で あ る 分、

で、平屋としても十分な庭が取れる。

と、 求 め ら れ た 床 面 積 が

そこに二世帯七人の居住を想定する

は北側接道レベルで整地されている。

え南北で

西 側 は 小 さ な 川 が 流 れ る。 傾 斜 地 ゆ

560

日本の住宅の起源は竪穴式住居と言われている。構造体に屋根がかかり、半地下でワンルームの最低限

の住宅である。現代でも、最低限のしつらえで豊かに暮らせる住宅を提案する。

最低限の住宅を成立させるには、決められた敷地だけでなく、周辺環境から読み解く必要がある。そ

こで、交差点から人を呼び込むような建物の形状にし、公園のようなファサードをつくった。プライ

ベート空間は地中に入っており、外部から人が入ってきても守られるようになっている。そのほかの部

屋は地上に出ており、オープンなしつらえになっている。

ランドスケープと建築が共存し、傾斜を利用したこの敷地ならではの住宅になっている。

26


2年生前期課題 広場・公園のデザイン

connect 17E0032 竹内智生

マスタープラン 1/1200

設計者 竹内智生(たけうち・ともき) 1998年 愛媛県新居浜市生まれ 2017年 愛媛県立新居浜東高等高校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学

2017年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- B(2年生前期課題)

A-A' 断面図 1/1200

2. 課題概要

る。言い換えれば、都市の外部空間における既存の活

JR 元町駅や鯉川筋周辺には、多くの商業施設の集積が

動(散策、 休憩、 待合せ、 ストリートパフォーマンスなど)

指導教員:専任/長濱伸貴

あり、賑わいのあるストリートであるにもかかわらず、

を支援する広場のデザインを基本的な目標とし、より

非常勤/松下岳生(環境デザイン事務所 素地(soji))・

そのウォーターフロントに港を望む都市広場がない状

積極的な都市広場機能を提案、デザインすることによっ

幡和也 (現代ランドスケープ) ・マクリース美奈子(E-DESIGN)

況にある。神戸らしく再整備されたメリケンパーク、

て、多様な人々の交流が生まれることを期待している。

2018年6月7日〜7月24日

その大規模な公園に肩を並べるような都市広場が、と

この広場は、新しい神戸の海の顔となり、市民や来街

りわけ港周辺において設置されていないことから、地

者にとっての新たな「憩いの場」でもある。対象敷地は、

1. 目的

域住民や観光客などの来街者の憩いの場の提供という

波場町の「みなと公園」である。

1)神戸の中心市街地における都市広場の設計を通し

都市機能に欠ける面がある。世界の著名な街を見ても、

3.敷地

て、環境デザインについての基本的な考え方を理解する。

港湾部にその街の顔となる都市広場があり、さらに街

神戸市中央区波止場町・港公園

2)模型、スケッチ、図面等を用いたアーバンデザイ

路空間と一体となることによって、外部空間における

敷地面積 :2,400㎡

ン及びランドスケープデザインの基本的な素養を習得

回遊性と滞留性を実現している。

4. 実習課題の進め方

する。

「神戸まちなか広場」は、この現状の課題を解決する

「ランドスケープ設計方法を学ぶ—神戸まちなかプラザ」

ことを基本的な目的とし、これまでにはなかったよう な新しい都市広場のあり方を提案することを目標とす

25

● Step1: 外部空間の調査・分析[チーム作業] (現況と歴史を調べる) 1)地図情報の見方(都市計画図、住宅地図、Google マップ等)


2年生前期課題 広場・公園のデザイン

Ups and downs 17E0019 黄裕貴

+6000

コンセプト

+5500

今回の対象敷地を調査した結果、鯉川筋との繋がりが 2 号線によって分断され疎外感がある。歩道橋によって大

+5000

きな壁ができてしまっている。海際という立地が上手く活かせていないなどの問題点が見つかった。

このような現状を解決するために、まず、従来の歩道橋のデザインを取り払い、歩道橋を一つのランドスケープ

+4500 +4000

として考えた。桟橋は歩道橋と一体化させた上で、海に大きく飛び出したデザインにし、海と敷地の関係を強めた。

カフェ

+3500

また、敷地の半分を海の満ち引きによって変化するようにし、時間帯によって様々なアクティビティが表れるよう にした。

+3000 +2500 +2000

+2000

+1000

+1500

これにより、あまり人の気が無く、暗い雰囲気だった対象敷地が活性化し、人々が集う空間になるのではないか。

+500

+1500

ダイアグラム

+1000 +500 0

G.L

0

-400 -800 -1200

-1300

-500

+6000mm -1000

-1400 -1500

日が落ちると光り始める。

広場とベンチ -1500

-1500mm

+2500mm -1000

-1600 -500

デッキ

-1700

N

潮が完全に引いているときは

0

+0

ひとつの広場として使用する 潮が満ちるとデッキが一つの

マスタープラン 1/800

プライベート空間になる。

+500

-1800

A +500

G.L

さらに、潮が満ち始めると沈んでいない

+1500mm

壁の中で最も水に近い壁が光り始める。 日が落ち、潮が満ち始めると 浜に設けられた壁が光り出し、 どこまで潮がきているか遠くの

場所によって高さを変える ことで、様々な変化が起きる。

人まで伝えると同時にこれ以上 は進めないなどの警告にもなる。

+1000

歩道橋と桟橋を一つにすることで、敷地全体に強い一体感をもたらす。 また、桟橋は敷地の隅まで伸ばしている。これによって、メリケンパークから帰ってくる通行人は、興味を持ち、桟橋を渡り 敷地を通っていく。

桟橋においても、高低差が存在する。 砂浜では、高さを G.L と同じレベルまで下げており、砂浜から桟橋に行けるほか、時間によって、潮の満ち引きによる 浸水が起こる。南部では、高さを +1500mmまで上げ、海がより見えるようになっている。また、+1500mm上げたこ とにより、神戸市街や敷地全体を見渡すこともできる。

設計者

西立面図

歩道橋を一つの丘のようにし、歩道橋らしさを少なくする。

黄裕貴 (こう・ゆうき) 1998年 兵庫県神戸市生まれ 2017年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学 修成建設専門学校 建築コンペ 佳作、日本 工業大学建築設計競技 奨励賞、日本大学 建築設計競技 奨励賞、デザイン甲子園 全 国高等学校インテリアデザイン展 九州産 業局長賞受賞

また何本もの壁を建て、その間に緑をいれることで歩道橋 + 防波堤という 役割以外にも花壇としての役割を持たせる。 丘のようになった歩道橋は周りからの景観と周りにみえる景観が良くなる。 潮は一日に二回の頻度で満ち引きする。それを利用し、朝方の引きではデッキが海際のベンチとなりランニングの途中 などにリラックスして休憩できるようなスペースに、満ちではデッキに沿って散歩として使えるようにする。昼方にくる一日で最も大きな引きでは 大きな広場となり、子供が遊べるようなスペースになる。夜方にくる一日で最も大きな満ちではデッキが一つのプライベート空間のようになり、 平坦な場所にプロムナードを配置し、 メリケンパークから帰ってくる家族やカップルがゆったりとできるようになる。 人々が歩きやすくなるようにする。

A-A' 断面図 1/600

2)対象敷地周辺の調査(フィールドワーク:マップ

ルでの計画の検討およびプレゼンテーション作業を行

メモ、デジカメ撮影等)

い、発表する。

3)対象敷地周辺の分析(スタジオワーク:景観分析図、 動線分析図、用途分析図等) *対象敷地周辺の調査(フィールドワーク)と分析(ス

1)配置設計(マスタープラン、断立面図等)

タジオワーク)をチーム(1 チーム 3 名)で作業を行い、

2)詳細設計(平面詳細、ベンチ・遊具等のストリー

発表する。

トファニチャー、水景施設等)

● Step2: 外部空間の計画[個人作業]

3)植栽計画(高木、低木、地被等の植栽)

(活動と仕組みを考える/配置と形態を考える)

地図データ ©2015 GeoBasis-DE/BKG(©2009), Google

● Step3: 外部空間の設計[個人作業] (材料と表現を覚える/詳細と構成を考える)

外部空間の計画で設定した計画をもとに、広場スケー

1)ゾーン計画の検討(アクティビティのプログラム、

ル(1/100)での設計の検討およびプレゼンテーション

アクティビティのゾーニング等)

作業を行い、発表する。

2)動線計画の検討(人の動線、自転車の動線、車の

*外部空間の計画で設定した計画をもとに、広場スケー

動線等)

ルでの設計の検討およびプレゼンテーション作業を行

3)施設配置計画の検討(ラフプラン、 ラフ断立面図等)

い、発表する。

*外部空間の調査・分析での成果をもとに、都市スケー

24


居留地のオフィスワーカーたちの日

常的な居場所をつくることによって、

お 互 い の 交 流 や、 彼 ら と 地 元 市 民・

観 光 客・ ア ー テ ィ ス ト な ど が ふ れ あ

う場となることを期待したものであ

る。 そ し て、 そ れ ら の 人 々 の 風 景 が

港の新しいランドマークとなること

を目指した。

具体的には、様々なアクティビティ を 想 定 し、 そ れ ぞ れ の 領 域 性 を 平 面

的及び垂直的に分割することによっ

て、 立 体 パ ズ ル の よ う な 広 場 空 間 を

創 出 し て い る。 ピ ー ス( 活 動 の 空 間

領 域 ) を 街 側( 旧 居 留 地 側 ) か ら 海

側( 船 溜 り 側 ) に 向 け て、 開 放 性 の

変 化 を 意 図 し、 大 き な も の か ら グ ラ

デーション的に小さなものに分割を

行 な っ て い る。 ま た、 そ れ ら の 高 低

差についても海側へ段状に降ろして

い く こ と に よ っ て、 干 満 差 に も 対 応

する親水広場としての役割も実現し

て い る。 こ れ ら 一 連 の 操 作 に よ る 空

間 基 盤 を も と に、 各 ピ ー ス の 仕 上 げ

材 や 段 差 デ ザ イ ン、 植 栽 計 画、 照 明

計画などを行なっている。

本 作 品 は、 敷 地 の 後 背 地 で あ る 旧 居留地周辺の分析から広場プログラ

ム の 検 討、 広 場 の 空 間 コ ン ポ ジ シ ョ

ン の 立 案、 空 間 デ ィ テ ィ ー ル の 提 案

ま で に 至 る デ ザ イ ン・ プ ロ セ ス に お

け る 連 続 性 が 高 い 点 が 評 価 で き る。

街から海への動線が脆弱となってし

ま っ た 港 町・ 神 戸 に お い て、 現 状 の

都市構造を踏まえたウォーターフロ

ントの立地回復を期待させる作品と

いえる。 ■ コ ン セ プト

■プログラム Lexis

神戸の新しい ラ ン ド マ ー ク と し て 利 用 す る 。

多 角 形 の密 度 を 変 え る

旧居留地にた た ず む オ フ ィ ス で 働 く 人 に 焦 点を当てる。

大丸

パナマ総領事館

JA 兵庫

様々な段差で 生 み 出 さ れ る モ ノ が こ こ を 利 用する人にどのような影響を与えるのか。 オフィスの人 々 を 呼 び 込 み 、 さ ら に 観 光 客 やアーティストと関わっていく、

北 側 は オー プ ン に 南 側 は 様々 な ア クテ ィ ビ テ ィ が 行 わ れる の で 空間 を 細 か く 分ける

その光景が神 戸 の 新 し い 景 観 と な る よ う な 場所を提供する。

旧居 留 地 側 の ビ ル の 種 類 を分析

常盤ビル

大日明石町ビル

■ ダ イ ア グラム

ニッケ神戸ビル

si

THEFORTYFIFTH

te

KANJU

商船三井ビル 建 ビル

座る

activity

… 不動産会社 … 金融機関

違う 系 統 の 会 社 が お 昼 ご 飯 を こ の 場 に 食 べ に 来 る 顔を 見 合 わ せ る 度 に 「 他 人 」 か ら 「 顔 見 知 り 」 へ そこ で 行 動 す る 何 か が 繋 が り を う む

運動する

activity

activity

… 外交、国際系

<会社 × 会社> 本を読む 風を感 じ る

activity

… 商業系 … 歴史

( 株 ) さくらケーシーエス

チャータトビル 神戸市立博物館

ご飯を食べる

海岸ビル

他系 統 の 分 野 の 話 が 混 じ り 合 う こ と で 新 た な プ ログ ラ ム が生まれる 写真を 撮 る

<会 社 × 観 光 客 >

ア クティビティが衝突するとこ ろを      「面」から「線」へ

海を眺める

観光 客 に も 様 々 な 種 類 が あ る 。 例 え ば 小 学 生

...... ......

メリ ケ ン パ ー ク に あ る 震 災 の モ ニ ュ メ ン ト を

待ち合わせ

目的 に く る こ と を き っ か け に 立 ち 寄 り 会 社 の

カタチの創造へ

平面のアクティビティを立体 で捉える

ア ク テ ィビ テ ィ にヒ エ ラ ル キ ー を つ け る

人と 話 す 機 会 を 生 み 出 す 小学 生 は 実 際 に 働 く 様 々 な 人 と 話 す こ と が で き る

A 昼 は ca fe と し て 店内で

立ちながら

cafe

水 辺 を 近 く に感じる

& bar 夜 は ba r と し て

GL+500

concrete

take out して海辺で

会社の人と GL+200

glass - St.augustine chin glass

+200

GL+700

wood - cedar

GL+500

GL+400

下からのライトアップ

GL+1500

GL+1000 GL-200

wood deck - ipe GL+700 GL+500

GL+1000

B GL+400

GL+400

GL-100

段差で溜まる

GL-100

GL+1800

GL+300

旧神戸海外移住センター

GL+400 GL+500

B

GL+1200 GL+800

GL+500

鯉 川 筋

GL+400

マスタープラン 1/600

A

元町駅

…イペの木 かつて神戸移住センターとメリケン 波止場とを結ぶ鯉川筋は、多くのブ ラジル移住者が歩いていた道である

2008 年に「ブラジル移住 100 周年」

設計者 森本真衣(もりもと・まい) 1998年 兵庫県神戸市生まれ 2017年 兵庫県立西脇高校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学

23

を記念して植えられた歴史がある ライトアップ

ライトアップ 2

水を流す

ぼこぼこ

高い強度と耐久性があり今回使用した

site

イペの木 分布図


長濱伸貴

17E0059 森本真衣

あった。

水際広場のデザインが提案の与件で

い や 憩 い、 観 光 の 拠 点 と な る よ う な

ザ イ ン 都 市・ 神 戸 」 と し て の に ぎ わ

場が見当たらない。このことから、「デ

い て、 都 市 の 顔 と な る よ う な 都 市 広

ら港周辺にかけての中心市街地にお

に は 大 き な 公 園 は あ る も の の、 駅 か

の 提 案 を 求 め た。 現 在、 神 戸 港 周 辺

トの中核としてふさわしい都市広場

この公園をリノベーションするこ と に よ っ て、 都 心 ウ ォ ー タ ー フ ロ ン

整備)の一部でもある。

ト の 将 来 整 備 構 想( 旧 海 岸 緑 地 の 再

神戸市による都心ウォーターフロン

林のプロムナード)の西端に位置し、

で も あ る。 旧 居 留 地 の 海 岸 緑 地( 松

リケンパークへの町からの導入空間

川 筋 の 最 南 端 の 臨 港 部 に 位 置 し、 メ

メインストリートのひとつである鯉

水 際 公 園「 港 公 園 」 で あ る。 神 戸 の

象 敷 地 は、 神 戸 市 中 央 区 波 止 場 町 の

実 習 課 題「 神 戸 ま ち な か 広 場 」 の 対

アーバン・エッジ

溜まり

森 本 真 衣 の 作 品「 溜 ま り 」 は、 旧

並木道

植栽計画図 1/1200

海 風 を感 じ る

海 を 眺め る

寝 そ べる

B-B' 断面図

ス マ ホを 触 る

足を水につけながら読書

陰 で 休む

く つ ろぐ

ジョ ギ ン グ

オフィス街と敷地をつなぐ

叫ぶ

会議

待ち合わせ

ケヤキ

2年生前期課題 広場・公園のデザイン

→季節を感じる落葉高木。少ない本数で陰を大きく。

高速線のブラインドにも。

大きく育ち過ぎるので手入れが必要である。

… セ ン ト オ ー ガ ス チ ン グ ラ ス

段 差 によ っ て動 線 を 操 作

→塩害に強い。他の種類に比べて緑陽期間が長い。

葉幅が広く座り心地がよい。

省力管理ですむ。

GL

歌を歌う

GL

A-A' 断面図 1/400

22


「Frame」には2つの意味を込めた。 5,000

時間と季節が刻一刻と変化していく 「Frame」。都市と空間

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

の風景を切り取る風景としての「Frame」。

機械室

これらの「Frame」が合わさることで、 この建築を利用する 人々の生活がより豊かになることを目指した。 25,000

Frame Factory

20,000

パフォーマンスルーム

17E0201 加藤啓尚 パフォーマンス EV

倉庫

5,000

5,000

10,000 20,000

5,000

3F平面図

便所

メディアスペース

2,500 2,500

便所

多目的便所

25,000

5,000

セミナー室

10,000

時間と季節の「Frame」 スタジオ C スタジオ A

スタジオ B

EV

5,000

5,000

5,000

5,000

20,000

4 months

2F平面図

4 months

冬は樹木の葉が落ち、

夏は樹木と蔓生植物が葉っぱをつけ、

柱や小屋組みのようになる

落とす影が屋根として空間を広げる

落とす影が壁となる カフェ

調理スタジオ

都市・建築空間を風景とする「Frame」 20,000

展示スペース

建築物の利用者以外の人々も目にするだけで 行ってみたい気になる・豊かな気分になれる、

25,000

A

A

都市の中での風景になる。 額の中の絵のような空間。

アクソノメトリック 展示スペース    倉庫

大きな開口と、一部見える鉄骨のフレームは 5,000

スタッフルーム EV

建築物内部から見た様々な「ウチ」と「ソト」 を切り取り風景とする。 あいまいになった空間で、都市の中にいること

5,000

7,500

5,000

12,500

10,000 20,000

5,000 om

配置・1F平面図 1/800

Fr

g

RL

6,000

6,000

パフォーマンスルーム

便所

便所

14,000 4,000

多目的便所

2SL

5,000

5,000

5,000

展示スペース 1SL

1,000

2,000

1SL 2,000

5,000

4,000

展示スペース

倉庫

便所 2SL

4,000

展示スペース

パフォーマンスルーム 3SL

14,000

スタジオ C

4,000

3SL

加藤啓尚(かとう・よしなお) 1994年 大阪府茨木市生まれ 2013年 Ruamrudee International School (RIS)卒業 2018年 大阪工業技術専門学校建築設計学科卒業卒業 2018年 神戸芸術工科大学編入学

都市の中の建築物にいることを意識する。

Exhibition Room

din

il Bu

RL

設計者

d

3r

5,000

25,000 7,500

5,000

5,000 22,500

5,000

7,500

5,000 12,500

A-A'断面図 1/800

2018年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- A(2年生前期課題) 「設計方法を学ぶ1—神戸まちなかファクトリー」

スティックな行為等を通して相互交流を図ったり新た な情報を発信しようとしたとき、それにふさわしい場

指導教員:

を見つけることは、実は容易ではないのが現実である。

専任/花田佳明・三上晴久・川北健雄・萬田隆

「神戸まちなかファクトリー」は、 これまでにはなかっ

2018年4月10日〜6月5日

たような新たな公的施設であり、ここでは、コンサート、 演劇、作品展示、ワークショップ、趣味の教室などの

1. 目的

催し物が開かれたり、それらを通して様々な人たちの

1)少し複雑な機能の公共的施設の設計を通して、環

交流が生まれることが期待されている。ここは、市民

境デザインについての基本的な考え方を理解する。

にとっての新たな「ハレの場」でもある。

2)模型、スケッチ、図面などを用いた建築設計の基

3.敷地

本的な展開方法を学習する。

1)住所:神戸市中央区三宮町 1 丁目(三宮中央通に

2. 課題概要

面し現在は駐車場として利用されている。 )

兵庫県内や神戸市内には、多くの美術館や劇場がある

2)敷地面積:約 1,295㎡

が、それらは、いわゆるアーティストのための作品展

3)用途地域:商業地域(建ぺい率:80% 容積率:800%)

示や作品発表の場であり、一般市民にとって身近な存

4)三宮中央通り沿道地区地区計画

在とは言えない。一般市民が、創作や創造、アーティ

21

地図データ ©2013 Google, ZENRIN


建物が連なる神戸の町で、多くの 機能を備えるファクトリーを周りの

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

建物と同じように配置すると、密集 して息が詰まると感じた。そこで、 各階の部屋から外部空間のデッキ

いつもゼロから

までの距離をなるべく最短にし、気 軽に外の空気が吸うことができ、 滞在する人が気持ちをリセットさ せやすい設計を目指した。

17E0046 布谷健太郎

3F平面図

2F平面図

配置・1F平面図 1/800

B-B'断面図

A-A'断面図 1/800

設計者 布谷健太郎(ぬのたに・けんたろう) 1998年 奈良県天理市生まれ 2017年 奈良県立高円高等高校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学

4. 所要各室の概略床面積

5.構造・法規・設備

搬出入用の大型車両用駐車スペース1台分を確保する

アトリエ/ 200㎡(100㎡× 2 室)、アトリエ用倉庫/

構造は鉄筋コンクリート造または鉄骨造とする。部屋

こと。

50㎡(25㎡× 2 室) 、展示スペース/ 200㎡、展示用倉

ごとの個別冷暖房設備を設けるが、人工環境に頼りす

庫/ 25㎡、セミナー室/ 100㎡(講演会や研修に使用、

ぎないように注意する。建築に対する法的規制は必ず

『初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ』(彰国社)

可動間仕切りで分割できるようにする)、情報検索コー

しも遵守しなくても良いことにするが、周辺建築物や

川北健雄・花田佳明・三上晴久・倉知徹・水島あかね編著

ナー/ 50㎡、カフェ/ 75㎡(厨房を含む)、管理事務

周辺環境との調和について、良識に従った設計を行う

8.実習課題の進め方

室/ 50㎡(受付カウンターを含む)、便所/ 50 〜 75㎡(男

こと。また、安全性やユニバーサルデザインについて

課題はステップ方式で進行する。必要な知識や技術を

子、女子、身障者用を含む、数カ所に分割しても良い)、

も配慮すること。

基礎から身につけるため、各段階ごとに説明、スタジ

機械室/ 50㎡、上記床面積の合計/ 875 〜 900㎡

6.外部空間

オワーク、講評を行う。

これらの諸室の他、玄関、廊下などを加え、延べ床

1)外部空間については、単なる残余空間になってし

Step1: 敷地のフィールドサーヴェイと敷地模型

面積を 1,500㎡程度とする。

まわないよう、有効な活用方法を考えてデザインする

Step2: ヴォリュームを置いてみる

なお、以上は機能的な面積配分の目安であり、空間

こと。地面を覆う素材や植栽配置等についても明示す

Step3: 中身を考える

的にこれらをどのように分節し、関係づけるかについ

る。周辺の車道や歩道との関係についても留意するこ

Step4: 開く・閉じるを考える

ては、各自で使われ方と空間的な効果とを熟慮して、

と。

Step5: 細部を決める

独創的かつ魅力的な提案を行ってほしい。

2)駐車場:一般の利用者は周辺の公共駐車場を利用

Step6: プレゼンテーション

7.教科書

するものとして、来客用駐車場は設けなくとも良いが、

20


それらすべてを総合して表現するた めの模型とプレゼンテーション図面 が制作された。 このようなプロセスを通して生み 出されたこの作品の最も大きな特徴 は、 外 部 空 間 化 さ れ た 主 要 動 線 の 立 体 的 な 重 な り と、 そ れ ら に 巧 み に 関 係づけられた諸室の配置にある。 建 物 内 の す べ て の 公 的 空 間 へ は、 敷地の北側と南側の道路を斜めにつ なぐ通り抜け通路からアクセスする。 ここには二箇所のロビーへの入口が 面 し て い る が、 こ の 外 部 空 間 に 沿 っ たパフォーマンススペースのガラス

南立面図 1/700

A-A'断面図 1/700

面自体も全面開放することが可能で、 外部と内部を一体化した利用もでき る工夫がなされている。 ロビーから二階と三階に上がって 貸しスタジオやセミナー室に行くに は、 再 び 通 路 と テ ラ ス が 組 み 合 わ さ れた外部空間に出る必要があるのだ が、 こ の 外 部 動 線 は、 二 層 分 の 高 さ を有するパフォーマンススペースを ぐるりと囲むように立体的に配置さ れ て い る。 そ の 結 果、 空 へ と 広 が る 垂 直 方 向 の 外 部 空 間 を 媒 介 と し て、 地上部におけるさまざまなアクティ ビ テ ィ を、 上 層 階 を 利 用 す る 人 々 も 一緒に楽しむことができる仕掛けが 生み出されている。 模 型・ ス ケ ッ チ・ 図 面 と い う、 設 計のための思考ツールとの格闘を通 して、「流れ」と「賑わい」という抽

19

象 的 な 概 念 を 見 事 に 具 現 化 し た、 誠 に秀逸な作品である。

3F平面図

2F平面図

配置・1F平面図 1/800

北立面図

設計者

吉田幸奈(よしだ・ゆきな) 1998年 広島県呉市生まれ 2017年 広島県立呉宮原高等学校卒業 2017年 神戸芸術工科大学入学


flow×activity 17E0087 吉田幸奈

間 構 成 が し だ い に 確 定 さ れ、 最 後 に

か れ る よ う に な り、 外 部 と 内 部 の 空

れ、 徐 々 に 建 築 図 面 ら し い も の が 描

数多くのスケッチや図面が描き直さ

型 に 何 度 も 変 形 が 施 さ れ、 対 応 す る

わ ち、 初 期 の ラ フ な ヴ ォ リ ュ ー ム 模

デ ザ イ ン の 作 業 が 進 め ら れ た。 す な

に お け る さ ま ざ ま な 検 討 を 通 し て、

ここに紹介する吉田幸奈の作品も、 上記のような設計プロセスの各段階

とにある。

築設計の基本的な方法を学習するこ

建 築 物 に ま と め あ げ る、 と い っ た 建

構造的にもきちんと成立するような

必 要 諸 室 を 満 足 す る プ ラ ン を 考 え、

の適切なヴォリューム配置を検討し、

状 況 分 析 に 始 ま っ て、 都 市 空 間 内 で

の 実 習 課 題 の 主 目 的 は、 敷 地 周 辺 の

ン の 実 習 が 始 ま る。 二 年 生 最 初 の こ

やランドスケープの具体的なデザイ

し た 後、 二 年 生 に な っ て か ら、 建 築

型 制 作、 C A D 等 の 基 本 技 術 を 習 得

本 学 科 で は、 一 年 生 で 製 図 技 法 や 模

川北健雄

「流れ」 と 「賑わい」 の具現化

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

アクソノメトリック

18


「モデル」で制作した住宅模型。各々がつくった建築が集合すると都市の風景に見える

1年生前期

環境デザイン基礎演習Ⅰ 藤山哲朗・川北健雄・山之内誠・穐山憲(非常勤講師)

建築や都市・ランドスケープを理解・デザインするための3 つの手段、 「ドローイング」「モデル」 「コンピュータモデリ ング」の基礎を学ぶことを目的とし、学生が2クラスに分か れて課題に取組む。 「ドローイング」では、本学内の建物の図面を利用し、建 物を体験した上で設計図をトレース(模写)して、配置図、 平面図、断面図、立面図を描き、それぞれに必要な室名・寸 法などを記入の作業を行う。製図ペン等、製図道具の使い方 も学ぶ。 「モデル」では、ブリッジやシェルターなどの簡単な構造 模型や住宅模型を制作し、実際にものをつくる楽しさを体験 すると共に、模型制作を通して、素材の力学的・構法的特性 とデザインの関係を考える時間を設ける。 「コンピュータモデリング」では、SketchUp を用いて 3 次元モデリングを体験する。 初回課題説明会。入学後はじめて取り組む演習課題であり、製図の基礎を学ぶためのレクチャーが行われる

18E0018 鈴木萌

18E0065 橋本如意

「コンピュータモデリング」授業風景と制作された作品

1年生後期

CAD 基礎演習 穐山憲(非常勤講師) コンピュータを用いた建築設計やインテリア デザインに必要な、製図・モデリング・プレ ゼンテーションといった基本的な諸技法を習 得すると同時に、CAD を活用する上で必要 な諸概念について理解することを目的として いる。 18E0037 松尾愛梨

18E0051 大和明日香 CAD 基礎演習における練習課題の例

17


環境デザインへの入門

1年生の主な授業

神戸市内1日ツアー: 『Fish in the Forest 〜 TOOTH TOOTH x そら植物園〜』

1年生前期

フレッシュマンセミナー 学科全教員 学外の施設等を利用し、新入生に大学での学習態度を身につけて、同期生や教員と互いに知り合うこと を目的とする。また、学外の施設を訪れることで、建築や環境を読み取るフィールドサーベイに関心を 持つきっかけになることも期待している。 2018年度「神戸近郊の建築・都市の見学会」日程、担当教員は以下の通り。 〔4月14日〕畑友洋:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)見学 〔4月20日〕藤山哲朗:阪神間(芦屋)のまちと建築見学

神戸市内1日ツアー:神戸港クルーズ

〔4月20日〕山之内誠:北野町・山本通地区の洋館と街並みの見学 〔4月21日〕花田佳明:本学科の教員と学生のデザインによるリノベーション事例の見学 〔4月21日〕三上晴久:兵庫県立美術館見学 〔4月21日〕長濱伸貴:天王寺・阿倍野界隈の見学 〔4月27日〕川北健雄:兵庫運河周辺の建築事務所・材木商・家具ショップ等の見学 〔4月27日〕小浦久子:神戸長田の下町まち歩き(野田北部〜駒ヶ林) 〔4月28日〕萬田隆:竹中大工道具館の見学 5月19日には、大型バスでの神戸市内1日ツアーを行った。山と海の両方から神戸の地勢を学ぶため、 「六甲枝垂れ」の空間と神戸港クルーズを体験したのち大学に戻り、グループ別見学会の発表をした。 神戸市内1日ツアー:六甲枝垂れ

グループ別見学会:(左)三上グループ「兵庫県立美術館」 (右)花田グループ「リノベーション事例の見学」

1年生後期

環境デザイン基礎演習Ⅱ 学科全教員

神戸市内1日ツアー:吉武ホールでの発表会

授業時間外の時間を使って、いくつかの建物や街並等の見学を実施する。履修者は、見学会のうち2つ のコースに参加。見学会レポートの提出に加え、学科のウェブサイト更新用の材料の提出も求められ、 そこで見学会の様子が報告されている(http://www.kobe-du.ac.jp/env/practice/class/)。 見学日程・担当教員 〔10月6日〕川北健雄・山之内誠:三木市、湯の山街道周辺のまち歩き、 〔 10月6日〕長濱伸貴:神戸市立須 磨離宮公園の見学、 〔10月11日〕三上晴久:原田の森ギャラリー見学、 〔10月24日〕藤山哲朗:日本三大 夜景「神戸の夜景」を眺める、 〔 10月27日〕畑友洋:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)見学、 〔10月27日〕花田佳明:本学科の教員と学生のデザインによるリノベーション事例の見学、 〔10月27日〕 小浦久子:船場のまちを歩く、 〔 11月24日〕萬田隆:竹中大工道具館の見学

川北・山之内グループ「三木市、湯の山街道周辺のまち歩き」

16


移住してよかったこと

移住者の実態調査に関する研究 15E0074 福西郁香

少子高齢化社会になっていく現代、移住に興味を持った。第二の人生を送る地とし て、なぜ子供や家族の住む場所から離れて暮らすのかを調査したいと考えた。対象 地はロイヤルシティ別府湾杵築リゾートである。移住者は主として田舎暮らしに憧 れて移住してきたことや、高齢になるほど不便さに不安を感じること等はあったとし ても、移住生活にはなお魅力を持ち続けていることがわかった。

三宮磯上地区の市街地変遷に見る 空間構成の特徴 15E0075 藤本寛人 三宮磯上地区を対象に、変容し続ける市街地の成り立ちをその歴史や土地利用の 変化から明らかにし、現在の空間構成が形成された過程を考察した。文献調査や地 形図・住宅地図の分析により市街地を変容させたいくつかの契機を抽出することが できた。その中でも戦後の土地接収による復興の遅れが磯上の特性を大きく変異 させ、現在の磯上に見られる仮設的土地利用が多いという特性を形成する一因と なったことがわかった。

日本の現代住宅作品における 外部性を備えた空間の研究 15E0078 矢野直子 現代の都市型住宅は道路や隣家に囲まれ、周辺環境と近接している。本研究では、 単純な外部空間や庭ではなく 「囲われた外部性」を開口率と距離÷高さ、壁面の組 みわせ、配置構成といった建築側の操作から、現代の囲われた住宅における開き方 と閉じ方の分析を行った。またこれらの分析をもとに、限られた床面積の中で空間 を拡張するための工夫や試行錯誤を類型化し、独自の定義である 「外部性を備えた 空間」についての研究を行った。

二川幸夫の現代建築写真における 視覚表現に関する研究 15E0081 高橋海 二川幸夫が撮影した現代建築写真から、対象写真に見られる 「歪み、奥行き、消失点 の位置」の3項目に絞り、二川が撮影した『GA JAPAN』の写真と他の建築雑誌に掲 載された同じ建物の建築写真との比較から、彼が写真を通して空間をどのように表 現していたかを分析した。研究の結果より、二川幸夫は対象の空間に対して過度な 演出的撮影を行わず、空間が持つ素顔をありのままにカメラに収めることを求めた 建築写真家であったということが明らかになった。

建築の自邸における変遷に関する研究 —1950年から2018年の日本建築学会受賞建築家を通して 15E0205 井上智貴 住宅作品を見たとき、東孝光「塔の家」や菊竹清訓「スカイハウス」など、建築家の 自邸が目にとまることが多かった。建築家の自邸は住み手自身が設計者であり、山 のように出てくる要望に対しても、最も自由に建てることができる。自邸を何のため に設計したのか、 どのような社会背景からどのようなメッセージ性を込めたのか。 設計者を含めた背景や物理的な条件などを取り扱うことで、その変遷を解き明か した。

15


2018年度卒業論文

奨励賞

nendoのインスタレーション作品における 空間の構築手法に関する研究 15E0002 足立明日香 nendoのオフィシャルサイトに掲載されているインスタレーション全31作品を研究 対象に、nendo独自の空間の構築手法を分析し、それは色の数値化や素材等の分 析により作品に共通する「擬似」「認識のコントロール」「反復」「ストーリー性」の4つ の方法論及び魅力のメカニズムであることを明らかにした。 さらにその結果を一般 化することで、他者がインスタレーションアートのみならず様々なデザインに援用で きるようにするものとした。

日本の現代住宅における 多様性をおびた階段に関する研究 —新建築 住宅特集掲載住宅を対象として 15E0017 岸本祐衣 住宅の階段には、昇降機能だけでなく、環境制御装置的 機能、螺旋階段や視線の抜 ける階段を用いた空間演出機能など、複合的な機能を併せ持ったものが多い。そこ で、本研究では日本における近年の多様性をおびた階段のふるまいにはどのよう な種類があるのか、構成要素や配置計画とともに分析、分類し、住宅における多様 性をおびた階段の現状と傾向を明らかにした。

文化的景観を守る集落の試み

—滋賀県高島市針江及び霜降からの考察 15E0028 武田蓉子 観光地化を目指すまちづくりには、地域の本質的な空間を損なわせる危険性が潜 んでいる。滋賀県高島市針江の集落(及び霜降)には生活文化カバタがあり、集落一 体が重要文化的景観保存の対象となっているが、 ドキュメンタリー番組で取り上げ られて以降、多くの見学者が小さな集落に押し寄せた。 このことをきっかけに住民 が景観と生活文化を守るために行ってきた活動を調べ、景観保存とカバタの今後 の使われ方について考察した。

現代演劇における社会的メッセージを 伝えるための舞台空間 15E0034 中村優嘉子

社会的メッセージを伝えるものは、映画や漫画・小説・音楽・絵画など多く存在し、 ど れも何らかのメッセージを世の中に伝えている。そのなかでも演劇は総合芸術、集 団芸術とも言われ、古くより社会性の強い表現形式といえる。演劇においてメッセー ジはどのように伝えられるのか、戯曲に込められたメッセージを舞台空間ではどの ように表現しているのか。それらを読み解くことで、舞台ならではのメッセージの伝 え方や表現方法を見出そうとした。

オーストリア・グラーツにおける 公共交通機関と自転車専用道路からみる 都市の成り立ちについて 15E0069 土井香奈 私は3年生後期から1年間(2017年9月-2018年6月)オーストリア・グラーツの大学に 留学した。そこでは自転車利用者が非常に多くみられた。また、道路には自転車の ための専用道路、パーキングが設置されており、公共交通機関も電車・トラム・バス と豊富で移動しやすく、コンパクトにまとまった街という印象を受けた。本研究は、 自転車専用道路、バス・トラムに着目し、 グラーツの街の成り立ちについて考察した ものである。

14


シェアハウスにおける空間及び物の専有と共有に関する研究 第 1 章 平面における空間的分析 SHARE yaraicho/篠原聡子

作品名

SHARE yaraicho

( 竣工年月 )

(2012.3)

コモンテラス

スペース1

専有部面積

12.69 14.11 ㎡

共用部面積

85.22 ㎡

1 人あたりの共用部面積

6.02 ㎡

平均専有部面積

13.40㎡

スペース2

スペース4

作業場2

個室 (7 戸 )

廊下

トイレ2

洗面所

共有部

58%

用途割合

広間

トイレ1

42%

建物における

スペース6

スペース3

作業場1

スペース5

スペース7

コモンキッチン

バス ルーム

2階

共有部 専有部

3階

1階

シェアハウスの軒数 ( 軒 )

20%

100%

8

専有部面積中央値

6

80%

11.095 ㎡

4

共有部割合が大きい…100%

2

同じあるいは専有部割合が大きい…80% 共有部割合が大きい      …20%

0

4.0

1

6.0

10

8

14

12

18

16

20

24

22

1人あたりの共有部面積及び平均専有部面積分布図

1 棟あたりの平均専有部面積 ( ㎡ )

シェアハウスの軒数 ( 軒 )

中央値 11.095 ㎡

高円寺下宿再生 53%

47%

龍宮城アパートメント 39%

平均専有部面積

平均専有部面積

24%

10.9㎡

11.29㎡

37%

共有部

専有部

平均専有部面積

8

20 ㎡

6

15 ㎡

4

10 ㎡

2

5㎡

0 10

12 14

8.0

その他

1 はじめに

16

18 20

22

24

26 28

30 32

34

平均専有部面積の中央値 (11.095 ㎡ )

1人あたりの共有部面積 ( ㎡ )

36

2 研究の対象と方法

日本においてシェアハウスは、 2000年あたりにゲストハウスを引継ぐ形で 第2章 専有及び共有される物に関する分析

シェアハウスは類似する事例が多く、本論では、モデルとしての新しさや

誕生した。誕生してから現在まで10数年しか経っておらず、極めて現代的

バリエーションを持った事例からシェアハウスの可能性を探るため、メ

コモンテラス な新しい集まって住むモデルと言える。その新しさからか、 シェアハウス関

作品名 SHARE yaraicho 広間 ディアでの正式な発表が行われており、かつ図面収集可能な事例を対象 ( 竣工年月 ) (2012.3) ローテーブル・座布団 (4)、TV 専有部面積 エアコン、ベンチ・座布団 (3) 12.69 14.11「新建 ㎡ としたいと考えた。そこで、 建築雑誌として一般的な、新建築社の

椅子

作業場 1 連の法律は未だ定まっておらず、 その位置付けは明確なものではない。法 大工道具、下駄箱

共有部面積

律上、 立ち位置が曖昧であるが故に、 脱法ハウスなどの社会問題となった 机・椅子 (2) コモンテラス

事例もある。これから更に変化していくであろうシェアハウスというモデ

研究方法については以下の通りである。専有空間・物

ルを今後、社会にどのように根付かせ、成長させるべきか考察することに スペース1

洗面所 意義があると考える。

スペース6

スペース3

作業場1 工具を使って 自作の家具や 作品づくりのスペース

85.22 ㎡

築」 「住宅特集」の二誌に掲載されているシェアハウスを対象とした。 1人あたりの共有部面積 6.02 ㎡ ⑴本研究が示すシェアハウスを定義付けした。 ハーブガーデン

⑵定義を元に上記の雑誌から事例を選定した。 広間

洗面台 (3)、洗濯機

ワ ン ル ー ム:ベッド、机・椅子

1F 作業場 1:大工道具、下駄箱         机・椅子 (2) 作業場 2:長机・椅子 (6) 洗面所:洗面台 (3)、洗濯機 トイレ:便器 浴室:シャワー、浴槽 コモンテラス:椅子 2F 廊下:本棚 トイレ:便器、洗面台 3F 広間:ローテーブル・座布団 (4)     TV、エアコン    ベンチ・座布団 (3) コモンキッチン:キッチン台、       冷蔵庫、電子レンジ       机・椅子 (2)           炊飯器、エアコン RF ルーフテラス、ガーデン:植物

本研究では18の事例から、 シェアハウスの専有及び共有関係や空間構 トイレ

⑶第1章では、専有部や共有部の面積や用途割合に関する分析を行った。

便器 成を明らかにすることで、 今後のシェアハウスの可能性を見出すことを目

⑷第2章では、専有部及び共有部における物と空間に関する分析を行っ

廊下

トイレ2

スペース2

トイレ1

浴室

ルーフテラス

た。ここでは図面を主とし、写真、文章から情報を読み取る。それらを比

的とする。 既往研究の多くは、現状のシェアハウスの使われ方に関する研 シャワー、浴槽 作業場2 打ち合わせや 語らいの スペース

洗面所

スペース4

スペース5

スペース7

較し分析を行った。

究であり、それに対し本論では、シェアハウスが計画段階で専有と共有の バス ルーム

⑸第3章では、シェアハウスにみられる、T(まち)、SC(ソーシャルコモンス

関係がどのように考えられているのかという視点で研究を行う。 廊下

比較的新しいビルディング

タイプであ る「シェアハウ

ス」 を 対 象 と し た 研 究 で

あ る。 空 間 構 成 に 関 す る

分析は客観的かつ明瞭であ

り、対象をいくつかの類型

と し て ま と め、 ま ち と の

関係を重ねた上でそれぞ

れに評価を行っている点が

ハーブガーデン

評 価 で き る。 冒 頭 に は 既

スペース6

往研究の紹介もあって丁寧

スペース3

にまとめられており、論文

スペース1 作業場1

としての形式もよく整って

コモンテラス

屋上階

いる。

た だ し、 分 析 対 象 で あ る雑誌掲載のシェアハウス

は、 世間一般のものに対し

て 特 殊 な も の が 多 く、 こ

の 研 究 が シェアハウ ス一般

う か は 疑 問 が 残 る。 現 地

コモンキッチン 3階 キッチン台、冷蔵庫 電子レンジ、机・椅子 (2) 炊飯器、エアコン

に対 し て 適 用 で き る か ど

ことだけでなく、実際にど

13

ワンルーム ベッド、机・椅子

に行かなくても調べられる

1996年 兵庫県揖保郡太子町生まれ 2015年 兵庫県立相生高等学校卒業 2015年 神戸芸術工科大学入学

どを調べて初めて「シェア」

第3章 空間構成及びまちに関する分析 橘本侑弥(きつもと・ゆうや)

のように使われているかな

便器

2階

という行為の本質が浮かび

トイレ

上がるのではないか。さら

なる研究を期待する。

筆者

コメント要約)

長机・椅子 (6)

1階

(教 員によ る 卒 業 論 文 査 読

作業場 2

本棚

共有空間・物

コモンキッチン


便器

長机・椅子 (6)

ベッド、机・椅子

ルーフテラス、ガーデン:植物

炊飯器、エアコン

第3章 空間構成及びまちに関する分析 2018年度卒業論文

環境デザイン賞 コモンテラス

スペース1

ハーブガーデン 広間

廊下

トイレ2

スペース2

トイレ1

15E0079 橘本侑弥

ルーフテラス

作業場2 打ち合わせや 語らいの スペース

洗面所

スペース6

スペース3

作業場1 工具を使って 自作の家具や 作品づくりのスペース

スペース4

スペース5

スペース7

コモンキッチン

バス ルーム

空間概念の境界面 2階

3階

屋上階

1階 T(まち)

PC

SC(ソーシャルコモンスペース)

P

SC

PC(プライベートコモンスペース)

T

P(プライベートスペース)

空間構成の類型 Ⅱ型

Ⅰ型

P

P

P

PC

SC

T

Ⅴ型

Ⅳ型

Ⅲ型

T

PC

PC

SC

T

P

PC T

T

PC SC

ヨコハマアパートメント

鎌倉のリノベーション

シェアフラット馬場川

SHARE yaraicho

不動前ハウス*

ユウトヴィレッジ南長崎 *

不動前ハウス *

LT城西2

コクリエ

SHARED HOUSE八十八夜

TRITON ONAGAWA

CASACO

高円寺下宿再生

北大路ハウス

ユウトヴィレッジ南長崎*

TRITON13

龍宮城アパートメント 庭路地の家

T-SC 境界:テント幕

T

LT城西

ユウトビレッジ品川宿

P

と 「ユウトヴィレッジ南長崎」 については、 まちから2階への接続が *「不動前ハウス」 外部階段のみであり、 1階と2階は内部で接続されないため、 1階と2階では空間の 構成のされ方が違うものとなっている。 よって、 この2つの事例については、2種類の 型を与えている。

SC-PC 境界 :ガラス戸

ペース)、PC(プライベートコモンスペース)、P(プライベートスペース)の4種

ではないかと考えた。共有される水回りについて、1人あたりの台数ある

の空間概念により空間の整理を行うことを手法として空間構成の分析を

いは室数を分析することで傾向を掴むことができ、また、配置の手法に

行った。

ついてもパターンを示せた。 第3章では、シェアハウスの空間構成は5つの型に類型化することがで

3 調査・分析の結果

きた。それぞれに一定の共通性があり、V型を例にいうと、全ての事例に

第1章では、本論で扱う事例の専有部及び共有部等の面積の中央値など

吹き抜けが設けられ、T-SCの境界についてはテント幕であったり、SC-PC

がわかった。また、図1で示している建物の用途割合についても視覚化す

の境界がガラス戸、二段の段差などと境界面が空間的に繋がっていた

ることで全体としての傾向が掴めた。第2章では、専有部における空間

り、透過性のある素材で構成されており、パブリックとプライベートを近

と物の基本形がワンルームにベッド、机、椅子であることがわかった。ま

いものとして扱っていることがわかった。

た、共有される水回りの数の統計をとることができ、また配置方法では3 種類のタイプがあることがわかった。

5 結論 本論で明らかとなった、専有部及び共有部の面積にまつわる考察や専有

4 考察

及び共有する物や空間の考察、空間構成やその類型化とそれを元にした

第1章では、最大定員数が多い事例を除いて、専有部が小さい事例では

各型の考察は、住まいとして未だ新しく、明確な位置付けがなされていな

共有部が大きくなり、専有部が大きい事例では共有部が小さくなるとい

いシェアハウスを計画するにあたり、有用な情報であるといえる。また、

う専有部と共有部の広さには一定の関係性があることがわかった。建物

新しい集まって住むモデルとして、現代における1人世帯の増加や建築ス

における用途割合の専有部と共有部の比率は、平均専有部面積の中央

トックの増加などの諸問題への対応や、居住者間にとどまらない地域を

値である11.095㎡を境に両者の大小が反転しており、11.095㎡がその臨

巻き込んだ人と人との新たな関係をつくる可能性を持ったシェアハウス

界点であることがわかった。

は、これまでのプライバシーやセキュリティーを求められ血縁者のみに開

第2章では、専有部の基本形がワンルームにベッド、机、椅子という構

かれてきた住宅とは明らかに異なり、非常に豊かな集まって住むモデルで

成であるが、特殊例より、専有部及び共有部の比重を偏らせることでシェ

あるといえる。このようなシェアハウスを考察することは大変意義のある

アハウスの居住者層の幅が増えたり生活のあり方に多様性が生まれるの

ことと考える。 12


2018年度卒業制作

奨励賞

隙間から住宅を考える

ハウスメーカー主導の 郊外分譲開発へのオルタナティブ

15E0205 井上智貴

私は大阪府和泉市の集落で 生まれ育った。泉北ニュータ

1階平面図兼配置図1:1000

2階平面図1:1000

ウンに続く第2のニュータウ ンとして、30年ほど前からト リヴェール和泉が開発され てきた。 しかし、30年前にで きた分譲地はすでに空き地 や空き家が目立ち始めてい る。そんな和泉市の開発の 最先端である、山と街の境 界を計画敷地とした。 画一的な街区割は合理的 であるが閉じていて温かみ がない。街区割りを建築と 建築の隙間から考え、 プロト タイプとして提案した。

卒業制作講評会 卒業制作講評会では、まず、学生たちがスタジオに図面・模型などを提出し、展示した。2018年 1月25日、教員全員は学生に設計意図を聞きながら、全ての作品について評価を行った。そこか ら優秀者(今年度は10名)を選抜し、彼らは1月31日に吉武ホールで開催される「選抜発表会・ 公開審査会」にのぞむ。公開審査会では、学生によるプレゼンテーション、教員たちの議論、投 票を経て最優秀者が決定された。 なお、本学科では、卒業論文と卒業制作の両方を必修として課している。最終的に卒業論文 と卒業制作の両方の秀作から 「学長賞」 「環境デザイン賞」が選ばれた。

スタジオでの講評(1月25日)

11

吉武ホールでの選抜発表会・公開審査会(1月29日) 撮影:井上雅也


2018年度卒業制作

奨励賞

共有街区

共有街区

- 濃度変化によるシェアの拡がり -

濃度変化による シェアの拡がり

15E0079 橘本侑弥

古い集落を起源とする街区 で、住宅の密度感や細く入 り組んだ路地を活かしなが ら、街のスケールで「大きな シェアハウスのような姿」を 目指した。 近 接 する住 宅 同 士でグ ループを作り、それぞれが 共有・連帯関係を持つこと が可能な暮らしの場とする

共有濃度

ため、シェアハウスにみられ

まち ソーシャルコモンスペース

た共有濃度というアイディア

プライベートコモンスペース プライベートスペース

を用いて屋外空間の計画を 行い、その延長として4つの 建築を計画した。小さな共

プライベート性

200 m

有関係を持つ粒同士が集ま り、混ざり合い、多様な空間 がアメーバ状に展開される 共有街区をつくった。

2018年度卒業制作

奨励賞

都市の断片を 切り取る十八の物語 15E0081 高橋海

幾度も書き換えられ、記憶 が何も残らない現代の都市 開発に対して、何か虚しさを 感じた。 異なる時代の都市開発で 生まれたそれぞれの風景に 「ファインダー」を向 ける。 その風景の「構図」を解体 し、道を構成することで、移 りゆく時代を定点観測的に 捉え続けるフレームと都市 の変遷を身体的体験として 辿ることができるアーカイ ブスペースを提案した。 「 都 市 の ア ー カ イブ ス ペース」。それは、それぞれ の立場で都市について記憶 し、都市について考えるた めの建築である。

10


2018年度卒業制作

奨励賞

寄り添うまち 15E0061 構佑衣

年 月が 経 つとともに 住 む 人々は変化し、 まちも変化す る。対象としたまちは、開発 が終了し少子高齢化が進む ニュータウンである。 この まち の 特 徴 で ある 「 分 散 型 の まち 」に 、3 つ の要素(ターミナル・たまり 場スポット・自動運転宅配 サービス)を取り入 れるこ とにより 「集約・ネットワー ク型のまち」へと変化させ、 人々にとって住みやすいま ちにしていった。そのことに より、人々がまちに寄り添う のではなく、 まちが人々に寄 り添うことを可能にした。

2018年度卒業制作

奨励賞

里山的建築と 土木のあり方

間伐

木の実樹木

段状護岸

15E0078 矢野直子

ドングリやクルミ

登山道

沼 水場

果樹 イチゴ類やビワ

山の環境では動物が生息し、間 伐をめぐる人の営みの介入によ

選別所

循環水路

り山が維持される。

営みと関わりながら街へと続く。

動植物が豊かに生息する山

加工場・工房 街山住宅

猪垣

擁壁や水路としての土木が人の

トロッコ

と、麓に広がる街との境界

猪垣を境に大型動物は止められ、

面には擁壁や柵が張り巡ら

を持ち始める。

緑化擁壁

また猪垣は人間の営みと関わり この街山を形成する間伐材を製材・ 加工するための建築が山の間伐材

され、お互いを隔てている。

から建てられる。

斜面地の敷地調査から街側と山の

里山における動物の営み、

両者に配慮した街山住宅。

人の生活への介入、土木形 態の変化などを発展させる ことで、山から街へグラデー ションのようにつなぐ街山 エリアを構想した。 これらの建築や土木は、

倉庫

六甲山の林業を通して採ら れた間伐材からつくられ 、

加工場

製材所

倉庫 柱

屋根

猪垣水路

猪垣土留め 壁

空間

資材を循環させた。 本当の意味での動物と人

立体

間の共生とは何かを考え、 共生を実現させることを目 指すプロジェクトである。

9

並べて結び、重ねな

間伐材以外の製材さ

がら強度を高める

れた材料と間伐材を 並べて交互に組む

平面

間伐材以外の材料と

地形に沿った基礎と

間伐材を交互に組む

間伐材を組む

数本をまとめて束に

細い間伐材を2重に

し、結ぶことで強度

重ねるなどとしその

を高める

連続が壁面となる

3方向に組み上げて いくことで立体的な 壁面となる

積み上げていくこと

3方向に組み上げ、

で壁面となる

それぞれの隙間が空 間となる


2018年度卒業制作

奨励賞

東京高架中核都市 15E0026 高畑朋幸

調査を行なってみると、 日本 のホームレス問題は深刻で あるにもかかわらず、景気 回復というイメージの中で、 陰に隠されているように思 う。 そこで、対象敷地をホー ムレスが特に集中していた 東京都日本橋にし、ホーム レスへ の 偏 見 や 差 別 的 意 識を減らし、市民と交流をし ながら社会復帰していくと いう施設を提案した。これ はホームレスへの支援を行 いながら、一時的な住居空 間を提供し、独自の金銭シ ステムを発生させ、 ある意味 「 国 」のような 独 立 体 を 形 成するものである。

2018年度卒業制作

奨励賞

【循環システム】

Ⅱ.新規就農者の参入

Ⅰ.都市と農村をつなぐ

農村 ( 篤農家 )

Ⅲ.6次産業の普及

Agri-Tecture

アーバンフリンジの景観変化 に対する農住一致型建築

15E0047 松井俊裕

Ⅲ.6 次産業化

Ⅰ. 都市と農村をつなぐ

e

農業の後継者不足が問題視 されている状況の中、都市 近郊における農業は可能性

【e.6次産業(マーケット)】

【a.インフォメーション】

に満ちている。本提案では、 農村集落に対して、新規就 農者の参入や環境整備を目 的とした農住一致型建築を 構想した。 小規模を利点として少量

Ⅱ. 集落コミュニティに参入

多種の作物栽培ができる。 田園風景は自然教育の場と

a

【b.ラーニングセンター】

して重要視され、多面的機 能を有することができる。生 b

産緑地法の改正により新規 就農者の急増が見込まれる など、 アーバンフリンジ特有

【d.新規就農者住宅】

d

c

の都市と田園の連なりが生 まれるのではないか。

【c,宿泊施設+稲作テント】 配置図 1/12000

8


対象地は、神戸・三宮から徒

暮らしの記憶を失った場所

15E0009 上野和輝

暮らしの記憶が継続される場所

人の暮らしと都市の地形

提案

うつろい

仮設的空間による都市の過程と

奨励賞

地形に応じた仮設的空間の組み方

2018年度卒業制作

歩圏内の二宮市場である。

2018年度卒業制作

奨励賞

都市の足がかり

第三突堤における パブリックスペースの計画

15E0017 岸本祐衣

現在、神戸の中心部は三宮 駅周辺である。港町の発展 を支えた湾岸部、突堤地区 のにぎわいや存在感はとて も薄くなっている。そこでこ の場所に、人々が集える空 間を提案したいと考えた。 第三突堤を都市公園へと 再生する。起伏した大地の ようなひとつなぎの空間で は、多様なアクティビティが 表出するであろう。ここは、 港の玄関口でありつつ、海 とまちを結ぶ、都市の拠点 となるのだ。

7

ボリュームを立ち上げる

海への抜けを通す

海に向けて大きく開く

街から迎える

表面を起伏を持たせる

都市の地形とは

これらは

ある瞬間に存在している

行った。

仮設的空間の組み方である

に、新たな「都市」の提案を

人が暮らし続ける限り

きない状況であるこの場所

すべては通過点

まった。半分を失い後戻りで

地面のことだけ で は な く

姿を消してしまった。市場は 「暮らし」の記憶を失ってし

建物と建物内の 構 成 を

がマンション建設のために

含め地形である 。

走る2本の通りのうちの1本

そして

しかし、2018年秋、東西に

都市の地形には

の台所として賑わいをみせ ていた。

人々の暮らしの 記 憶 が 宿 る

失したが復興し、周辺住人

日常と非日常の

場は、太平洋戦争で全て焼

瞬間に現れ消える

仮設的空間

大正時代に生まれたこの市


【まちでのみんなの役割】

【まちネットワーク】 本 の 部 屋

憩 い の 間

相 談 室

0歳∼2歳

本 の 部 屋

白川沿いに多様な「よりどころ」を 点在させ、まちを構成し小さなまち のネットワークを形成する。既存の 街と街を編み込み、縫合していくイ メージ。 またこのまちに留まらず他府県の農 家 や 大 学 、こ ど も の ま ち の 連 携 に よ っ てさらに大きなネットワークを形成 する。まちに関わる人全てに役割が あり、こどもたちを見守りながら、 生活と観光、生産と流通が持続的に 繋がっていく。

親子参加で離乳食についてや子育て相談 の場を設ける。自然と人との触れ合いを 大切にした環境で育つ。

3∼5歳 食べ物を収穫する作業や水やりを地域の 人と行う。親子での参加も可。自然とた くさんふれあい、発想力を伸ばす。それ だけでなく記憶が根付いていく大切な時 期の子どもたちだからこそ、たくさんの 人とものにふれあう。

テムを。遊んだり、勉強したり、ごはん を炊くお手伝いをし、ご飯をみんなで食

atelier

atelier

憩 い の 間

学 習 の 部 屋

11∼12歳、13∼15歳

夜、白川沿いを観 光するビジターた ちが訪れ、時に外 にはみ出し川沿い を彩るパーティー が行われる。

2F平面図

べる。 畑

レストラン

これまでの地域の 人の利用に加え、 ゲストハウスを利 用する観光客も利 用し、このまちの ポイントとなる。

こどものまち

とができるよう、児童保育のようなシス

温泉

テンシャルに加え、 このまちの人が豊か で活発になるために 必要な広場。普段は 公園として子どもた ちの遊び場。

温泉

まち広場

小学校からの帰りに立ち寄り利用するこ

restaurant

まち広場 このまちの素あるポ

6∼10歳

展 望 部 屋

自分の好きな時間に訪れ、本を読んだり 勉強もできる。この歳になると料理のお 手伝いを本格的に始める。お手伝いした キ

きる。

チ ン

食 堂

お み や げ

受 付

学 習 の 部

受 付

温泉

atelier

子はごはんを100円安く食べることがで

こどものまち

小さい子と触れ合いながら食に関わる。 収穫や料理を手伝う。受験勉強やテスト 勉強にも施設を利用することも。

guest house

atelier

まち広場

16∼18歳

大学生 運営や地域の人の交流の場の企画など行

cafe

gallery

ボランティアとして関わりをもつ。施設の う。また、アトリエの利用や作品の展示を 行える。そのほかにも勉強をしに来ること ができ、地域に対する興味・関心をもち子

カフェ

個展を開きたい学生が 主に利用する。学生に よって、このまちの伝 統工芸が広がり引き継 がれていく。

ゲストハウス 川沿いに 4 店舗建ち並 びそれぞれ違ったコン セプトをもったたのし いカフェ。観光客だけ でなく、地域の集う場 所にもなる。

cafe

gallery

ギャラリー

guest house

どもたちと徐々に関わっていく。

普段は他とは何も変わ らない京都のゲストハ ウス。こどもたちのお 泊まり体験をする場と なり、交流が盛んに行 われる。

利用者の中には様々な悩みをもつ親が多く いるため、定期的な親だけのごはん会など 食を通して様々な人と話す場を設ける。 cafe

gallery

atelier

atelier

atelier

授 乳 室

gallery

1F平面図 1/1200

赤 ち ん の 部 屋

独身者 サラリーマンなど働く大人たちにもご飯 (ランチ)が食べられる場を。子ども食堂

【まちネットワーク】

の開店数より多く、週2回通常の値段で カフェを開店し利益を出す。

老人 子供たちに何かを教える機会を与える。例 えば、食べものの育てかた。子供たちが知 恵を学ぶきっかけとなり、さらに子供と触 れ合うことで老人の活発化を計らう。

地域の人

白川沿いに多様な「よりどころ」を 点在させ、まちを構成し小さなまち のネットワークを形成する。既存の 街と街を編み込み、縫合していくイ メージ。 またこのまちに留まらず他府県の農 家 や 大 学 、こ ど も の ま ち の 連 携 に よ っ てさらに大きなネットワークを形成 する。まちに関わる人全てに役割が あり、こどもたちを見守りながら、 生活と観光、生産と流通が持続的に 繋がっていく。

〇少し大きなネットワーク 東山区に留まらず、京都市にある大学との連携によってよ り幅の広いネットワークを生む。様々な分野の大学生によ る 企 画、運 営。子 ど も た ち に と っ て 非 日 常 の 刺 激 に 加 え、 大 学 生 に と っ て も 他 大 学 と の 交 流 の 場 と も な る 。さ ら に ギ ャ ラリーやアトリエもあることから作品の展示や作業場とし ての提供も可能にするため、芸大生にとって作品作りの拠 点にもなり運営費の一部を得ることもできる。

ボランティアではあるが企画、運営の協 力をする。勉強に加え、伝統工芸品など 温泉

レストラン

これまでの地域の 人の利用に加え、 ゲストハウスを利 用する観光客も利 用し、このまちの ポイントとなる。

夜、白川沿いを観 光するビジターた ちが訪れ、時に外 にはみ出し川沿い を彩るパーティー が行われる。

こどものまち こどものまち

温泉

テンシャルに加え、 このまちの人が豊か で活発になるために 必要な広場。普段は 公園として子どもた ちの遊び場。

子どもたちにとって、地域の人にとってこのま ちの中心となる場所。たくさんの人が入り混じ り、交流し子どもたちが自分自身で居場所を見 つけ、様々なものに触れることができる経験の 場。川の向こう側を繋ぐ小さなまち。

cafe

まち広場 このまちの素あるポ まち広場

についての企画・運営協力も。

restaurant

のワークショップを行うなど地域の特産

restaurant

農家 食材の提供と販売。野菜の美味しい食べ

畑 cafe

方や育て方などをレクチャー。菜園の援

cafe

guest house

助を行う。

観光客 atelier

まち広場

作ったものを買って行ったり、もらった

温泉

を行うときにお土産として何か子供達が

まち広場

作物や伝統を学ぶ場で関わったり、物販

りすることで直接的にも間接的にも関わ

こどものまち

guest house

atelier

りをもつ。

ゲストハウス 川沿いに 4 店舗建ち並 びそれぞれ違ったコン セプトをもったたのし いカフェ。観光客だけ でなく、地域の集う場 所にもなる。

普段は他とは何も変わ らない京都のゲストハ ウス。こどもたちのお 泊まり体験をする場と なり、交流が盛んに行 われる。

まちの畑 畑

子ども食堂で利用す る食材の一部はここ でまちの人とこども たちで育て収穫する。 外に出てくるきっか けとなる場所。

伝統アトリエ

アトリエ atelier

カフェ

atelier

個展を開きたい学生が 主に利用する。学生に よって、このまちの伝 統工芸が広がり引き継 がれていく。

guest house

ギャラリー

cafe

足立明日香(あだち・あすか) 1997年 京都府京都市生まれ 2015年 京都市立紫野高等学校卒業 2015年 神戸芸術工科大学入学 建築新人戦2017 100選、グッドデザイ ン賞(2018)受賞

gallery

設計者

cafe

gallery

まち構成図

6


で 豊 か な も の と す る た め、 実 際 の リ

サ ー チ に 基 づ き、 他 の 地 域 の 類 似 施

設や農場などとネットワークを形成

する仕組みの提案を包含している点

も注目に値する。

そ れ は 一 見、 子 ど も に の み フ ォ ー カ ス さ れ た テ ー マ に 見 え る が、 実 際

はこの場所を維持するために地域の

様々な立場の人々がそれぞれにかか

われる仕組みを考えている点が興味

深 い。 ま た、 地 域 の 生 活 に の み 向 か

う の で は な く、 観 光 に 対 し て も 適 切

な 距 離 を 持 っ て 開 き、 つ な が っ て い

くための新しいアイディアであるこ

と が 作 品 か ら 読 み 取 れ る。 ま さ に 個

人 と 地 域、 生 活 と 観 光 な ど こ の 場 所

にあるものごとを丁寧に再編し編み

込 ん で い く よ う な、 縦 糸 と 横 糸 の よ

うな建築の提案なのである。

京 都 の 観 光 の 中 心 地 に あ り、 決 し て 観 光 に も 背 を 向 け る こ と な く、 生

活 と の 関 係 性 を 調 停 さ せ な が ら、 さ

さ や か な 疎 水 の あ る 風 景 の 中 で、 作

者によって描き出された地域に見守

ら れ な が ら、 い き い き と 育 っ て い く

子 ど も た ち の イ メ ー ジ が、 私 た ち に

改めて京都に表象される生活と観光

にまつわる問題の深さを認識させる。

そ し て 同 時 に、 そ れ を 建 築 的 に 乗 り

越えようとするたくましい提案に心

打たれるのである。

近年、子どもの貧困は子ども食堂をはじめとする様々な活動により世間に認識されつ

【東山区小・中学校中について】

つある。子どもたちのこのような問題の、本質的解決をするためには何が必要なの

京都市東山区の極度な少子高齢化に伴い、小学校5校

か。様々な問題が絡まりあっているが、そのなかで大切な問題のひとつは子どもたち

(白川小学校・東山小学校・清水小学校・新道小学校・六

の居場所の喪失にあるのではないだろうか。 なぜなら、子どもたちが成長する環境に起因する部分も大きく存在しており、子ど

原小学校)と中学校2校(弥栄中学校・洛東中学校)が合併

粟田

有済

され、六原元学区の京都市立開睛小中学校となった。そ

もたちは安心して遊んだり、だれかと一緒に食事したり、土に触れたり、生き物を育

の中でも白川小学校(粟田小学校・弥栄小学校の統合校)

てたり、そんな当たり前なことさえ難しい環境への変化が加速しているからである。

と東山小学校に通っていた有済・粟田・弥栄元学区に住 まう子どもたちは、現在祇園や八坂神社といった京都の

狭い世界の中で生きる子どもたちに様々な物や人に触れる機会を与え、自分の世界

なかで人気の観光地が通学路になっている現状がある。

弥栄

を、子どもたち自身で広げていくことのできる環境を。子どもたちの見ている世界は

有済・粟田・弥栄元学区に住む子どもたちにとっての

どこまでも広がり続け、子どもたちに光が 射し続ける居場所を提案する。

居場所はどこへ行ったのか。自分たちの地域に根付いた

敷地は京都市東山区の有済・粟田・弥栄元学区に流れる白川沿い。この場所は観光

自分たちの居場所をつくってあげたい。そして、見つけ

地としても賑わいをもつ裏で社会的問題を抱えた地域でもある。川を境に大きな黒い

てほしい。

新道

壁が立ちはだかっている。また子どもたちの人口は減少し、地元の小学校は廃校とな り観光地を越えて学校に通っている。これでは益々地域の活気は薄れ、子どもたちの

清水

居場所はさらに喪失していくことが予想される。この地域に住む子どもたちや住人の 居場所は一体どこにあるのか。川沿いに設計する子どものまちを拠点にこの地域には

通学路

六原

様々な「よりどころ」を点在させ、まちで持続サイクルをつくることで、再び地域一体 が居場所となり地域で子どもを育てる意識を取り戻せないだろうか。

学校

この居場所が与える効果は十年後二十年後に社会人になった子どもたちの活躍や次 の世代に対する接し方によって本当の意味で現れてくる。 このまちを囲む見えない大きな壁に光が差し込む窓を。

家と学校の間にある、家と学校とは違う場所。こども

あの時あの人とあの場所での出来事が子どもたちの記憶に刻まれるように。

たちにとって思い出の通学路になったり、道草する場所 になったり、友達との集合場所になったり、こどもたち

いつか心が豊かな子どもたちで賑わいが絶えないまちとなり、この建築が新たに生

の記憶にこの場所の風景が記憶に残っていく。

まれ変わる日がくることを願って。 観光ライン

【ビルディングタイプの分布比較】 1/2500

住宅

行こう。子どものまちへ。

5

1/2500

100 m

集合住宅

飲食店

子ども食堂が開かれている。

商店

宿泊施設

観光地

旧小学校

100 m

観光客利用施設

子どもと地域の人の憩いの場。

旧小中学校

旧中学校

1/2500

京都市立開睛小中学校

100 m

芸術関係 ( 古美術店・アトリエ・ギャラリー )

そこはまるで、森にいるようだ。

教育施設 ( 保育園・小学校・中学校 高等学校・大学・青少年科学センター )

旧小学校

神社・寺

塔を登ればみんなの畑。


街をあみこむ、 縦糸と横糸のような建築

学長賞

あの時あの人と あの場所で。

畑友洋

舞 台 は 京 都 市 東 山 区。 世 界 的 な 観 光

地京都にあって、八坂、知恩院といっ

た 名 所 に ほ ど 近 い 場 所 で あ る。 足 立

明日香はこの場所のリサーチを行う

中 で、 観 光 に よ っ て そ の 場 に あ っ た

生 活 が バ ラ バ ラ に な り、 も は や 機 能

不 全 に 陥 っ て い る こ と を 露 に す る。

特に犠牲となっている子どもたちは、

日々異なった顔の大量の観光客の流

入 に よ り、 校 区 内 に 安 心 し て 過 ご せ

るあそび場さえも確保できない状況

で あ る。 ま た、 こ の よ う な 環 境 下 で

子どもたちのみならずばらばらにさ

れ た 地 域 の 結 び つ き は、 も は や 風 前

の灯である。

そ ん な 中 に、 子 ど も た ち の 居 場 所 を計画するというのが本作の趣旨で

あ る。 子 ど も た ち の 居 場 所 は、 子 ど

も食堂や菜園による食育や学童保育

の 枠 に と ら わ れ な い、 子 ど も た ち を

地域で見守り育てる場所の提案であ

る。 ま た、 こ の 場 所 を よ り 持 続 可 能

2018年度卒業制作

15E0002 足立明日香

【建築計画ダイアグラム】  既存の動線計画と京都の直行グリッドを引き受ける空間構成を基にしながら、グリッドの結節点をほどいていくことで、空間の連続性を生み出し、さらにまちに挿し込むように伸ばされた壁と多様な屋根によって都市の様々な場所を編み込んでいく。このような編み込まれた屋 根の重なりによって、京都のまちとの新しい調和を目指した。こどもたちの手に触れるものはどれも新鮮。緑と水。そして人。このまちの人、このまちに訪れた人が混じり合ったり、離れたり。様々な壁によって空間が連続し、まちに柔らかに開き、閉じる。そして、ふわりと屋 根がかかる。こどもたちは建築に包まれる。

【壁の結節点をほどきまちに挿し込む】

【こどもと地域で観光を挟み込むゾーン計画】

壁の結節点を解いていく。閉じたり。開いたり。

このまちでは観光客と地域住人がうまく交わっていない。つまり は交わる場がない。この こどものまち では観光客との共存と交

こどもと地域

観光

こどもと地域

わりを作る。こどもと地域が主体となり、中心に向かってパブ

→ 空 間 の 連 続 性と軽 や か さ が 生 ま れ る 。 ま た 空 間 が よ り 自 由 度 を 増 し、建具の入れ方によってさらに多 様な空 間を生むことができる。

リックへと変動する。分断されることなく、ひとつのまとまりの

壁が既存の建物の間に滲み込んでいく。

ある小さなまちを創造する。

内部

半外部

【自然の介入】 陸を場所に合わせて削り、水との距離を縮ませていく。川沿いのデザ

【動線】

インに変化をもたらし豊かなまちへ。

こどもと地域の人の大きな動線と観光客を含めたみんなの大きな 動線2本を設定する。

【緑の空間】

【浸水空間】

緑のレイヤーを既存の建物との間に入れ込む

目の前に流れる白川から水を引き込み、水の溜ま

路地のような空間を作り、互いに接する場を

り空間を作る。手に届かなかった川の水が子ども

柔らかく繋ぎ合わせる。まとまりのある緑の

たちの手に触れる。自然が身近な存在となる。

空間は子どもたちの秘密基地となる。 【京都の直行グリッドによるボックス計画】 ・こどもと地域 壁とボリュームが密集するように計画する。 →こどもたちと包み込むように多様な空間を作り出す。またこど もたちの安全面から適度に閉じるためでもある。川や丘といった 自然に対しては積極的に開いた計画とする。 ・観光

【多様な屋根により都市を編み込む】

こどもと地域とは違い、ボリュームはバラバラに配置する。

単純な壁の並びに対してボリュームに捉われない、様々な形態の屋根

→開いた空間と通路ができる。まるで小さな街。アートな街めぐ

を構成させることによって都市を編み込んでいく。

りしているよう。

→ 多 様 な 空 間 の 創 造 、京 都 のまちとの 新 たな 調 和 の 実 現

子どものと地域

観光客などを含むみんな

まちとまち、人と人が繋がる架け橋

雨水が地面に溜まる。

屋根が川へ導く。

まちへ開かれた学習の部屋。

路地を進むと隠れ家カフェが。

塔の中から見上げる。希望の光を。

4


母が教えてくれた一点透視

と、建築系の学科も受けることにしました。

サークルは実習課題の合間の気分転換にも なったのですが、他学科の友達から学ぶこと

—大学に入ってどうでしたか?

も多かったです。例えば、プロダクトデザイン

足立 1年生の時に「吉良森子ワークショップ」

学科の友達は、素材感やテクスチャーに敏感

足立 京都の二条城近くで生まれ育ちました。

に参加しました。学年の枠を超えたグループ

でした。環境デザイン学科だと大きな枠組みを

今も同じ場所に住み続けています。高校時代

でリサーチや課題に取り組むのですが、私が

つくることに専念しがちだと思うのですが、細

は金閣寺の側を通学していました。

入ったチームは本当に優秀な先輩たちばかり

かいところにこだわっていて、とても刺激を受

父はリフォーム関係の会社、母はデザイン事

で! 建築のつくり方、考え方、がんばり方な

けました。将来は、彼らと一緒に仕事をしてみ

務所に勤めています。両親とも美大出身で絵

ど、色々なことを教えてもらいました。そして、

たいです。

が上手く、私も小さい頃から絵を描くことが好

設計をしている間、何度も「建築って楽しいな」

きでした。小学生の時には、自分の部屋のパー

と思いました。そんな先輩たちから、 「2年生

— 舞台美術に憧れて、プロダクトデザインか

スを描いたり。 母がそれを見て、 一点透視のパー

になったら、実習課題をがんばってね」と言わ

ら素材感を学んだという話を聞いて、足立さん

スの描き方を教えてくれました。今から考える

れたので、気合が入りました。

が「リノベーション総合実習」で実現させた作品

と、建物やインテリアに親しむ環境で育ったと

実際に実習が始まって、先生方は質問する

(本誌 54頁)について、なるほどと思いました。

思います。

と、答え以外に様々なことを教えてくださいま

自分の好みや目指す方向性は、きちんと作風と

した。先生の方から声をかけてくださるので、

して現れてくるんだなと。

舞台美術を志す

とてもやる気が出ました。設計はやればやるほ

足立 リノベの課題は自分らしいものが実現

—出身はどちらですか?

ど、どんどん楽しくなっていきましたね。あとは、

できたと思っています。とにかく、良い経験を

— 建築を勉強しようと思ったきっかけはあり

両親と恩師であるアトリエ(絵画教室)の先生

させてもらいました。実際に建築ができあがっ

ますか?

が背中を押してくれたことが、 良いプレッシャー

たことはもちろんなのですが、グッドデザイン

足立 高校生のころ、劇団四季の舞台を観て、

となって、向上心に繋がっています。

賞をもらったり、建築家に批評してもらったり、 多くの人と関わりを持つことができたことは、

内容はもちろんですが、舞台美術にとても感

多くの人と関わり、学ぶ

これから設計していく上での糧になりました。

たのです。

—建築以外で、大学時代にがんばったことは

今は、 「建築」を信じて進む

とある大学のオープンキャンパスに行って、

ありますか?

実際に舞台美術に携わっている方に話を聞き

足立 大学のアコースティックサークルに入っ

—一転して卒業制作は、正調の「建築」とい

ました。そうすると、建築出身の方が何人もい

ていました。月に何度か集まって練習して、学

う感じですね。

たのです。広い視点を持つことができそうだな

祭でライブもしました。

足 立 子どもの貧困が問題になっています。

動しました。将来は舞台美術の制作ができる よう、アートやデザインを大学で学ぼうと思っ

インタビュー:石坂美樹 撮影:花田佳明

3


子ども食堂などもメディアに取り上げられてい ますが、根本的な解決になっていないのでは なっているのは、子どもの居場所の喪失では ないか。 自分が子どもの時のことを思い出すと、遊び 場がぜんぜんありませんでした。京都は観光 地ばっかりで、意外にも、子どもが自由に遊ぶ 広い公園などがあまりないのです。観光と住人 の生活がうまく共存できていないという実感も あります。そういう社会問題の解決を「建築」 の力で実現したいと思ったのです。 —屋根の形態も敷地が京都ということを意識 していますか? 足立 そうです。周辺に建っている既存の建 物の屋根の形をリスペクトしました。そして、 京都のまちを変えていくために、まちの人たち を、軽く優しく包む屋根にしたいと考えました。

学長賞インタビュー

足立明日香

ないかと思ったのです。子どもの貧困の原因に

ASUKA ADACHI

—卒業後の進路は? 足立 アトリエ系の建築設計事務所で働く予 定です。将 来的には自分で事務所を構えて、 建築だけではなく、家具やプロダクトもデザイ ンしていきたいです。でも、そのためにも今は、 「建築」をやらなくちゃ。すぐにでも実務に携 わり、もっともっと「建築」を突き詰めていき たいです。

2


Contents [学長賞インタビュー]足立明日香

02

[卒業制作 学長賞]あの時あの人とあの場所で。

04

足立明日香

[卒業制作 奨励賞]上野和輝・岸本祐衣・高畑朋幸・松井俊裕・構佑衣・

07

矢野直子・橘本侑弥・高橋海・井上智貴 [卒業論文 環境デザイン賞]シェアハウスにおける空間及び物の専有と共有に関する研究 橘本侑弥

12

[卒業論文 奨励賞]足立明日香・岸本祐衣・武田蓉子・中村優嘉子・土井香奈・

14

福西郁香・藤本寛人・矢野直子・高橋海・井上智貴 [1年生の主な授業]

16

[小規模な公共建築のデザイン]flow × activity

吉田幸奈

18

[小規模な公共建築のデザイン]いつもゼロから

布谷健太郎

20

[小規模な公共建築のデザイン]Frame Factory

加藤啓尚

21

[広場・公園のデザイン]溜まり [

森本真衣

22

[広場・公園のデザイン]Ups and downs

黄裕貴

24

[広場・公園のデザイン]connect

竹内智生

25

[すまいのデザイン]U-nify

竹内智生

26

[すまいのデザイン]≒ Near

黄裕貴

28

[すまいのデザイン]お気に入りの場所

保野澪

29

[認定こども園のデザイン]Crowd Square

喜多川颯馬

30

[認定こども園のデザイン]こども園を再発明する

櫻井ノマド

32

[認定こども園のデザイン]CHILD-TOWN

紺谷和弥

33

[認定こども園のデザイン]地形がつなぐまちとこども園

黒田茉佑

33

[集合住宅・住宅地のデザイン]Entangled pixels 岩本有平・伊藤元気

34

[集合住宅・住宅地のデザイン]Global kobe

井實遊星・長谷川肇

36

[集合住宅・住宅地のデザイン]ENCUENTRO

紺谷和弥・森勇輔

37

[集合住宅・住宅地のデザイン]住まいかたって、魅力

黒田茉佑・櫻井ノマド

37

[リノベーション総合実習]じんむ食道

紺谷和弥

38

[リノベーション総合実習]大地をふむ

長谷川肇

40

[リノベーション総合実習]暮らして育つ

森美里

40

[リノベーション総合実習]残痕を縫う

濱野晃圭

41

[リノベーション総合実習]AMIDA

松本雅也

41

[リノベーション総合実習]ズレて繋がる空間

三井大輝

41

[建築デザイン総合実習]聖域成ルモノ

喜多川颯馬

42

[建築デザイン総合実習]ケンチクの終生

木下侑希乃

44

[建築デザイン総合実習]都市に憑依する

穐原雅人

45

[建築デザイン総合実習]情報を解体し、巡るミュージアム

西岡大周

45

[ランドスケープ総合実習]3rd View

櫻井ノマド

46

[ランドスケープ総合実習]歴史に立ち __

吉川豪

48

[ランドスケープ総合実習]磯上再編

藤本はな

49

[まちづくり総合実習]リジットな私たちへ

伊藤元気

50

[まちづくり総合実習]神戸の玄関口となる商店街

岩見健吾

52

[まちづくり総合実習]imbue

松本紗奈

53

[STUDENTS TOPICS]

54

2017年度リノベーション総合実習「光の粒子と暮らす箱」/三Fストリート2016-2018/ Workshop in kankyo lab '18: Reinvent/トークセッション2018レポート: これからの建築/ 丹波篠山 町家再生プロジェクト 教員・研究室紹介

62

環境デザイン学科 4年間の学び

64

学科ニュース+編集後記


プラクシスとは:自由人による公共的な事物のための討議や創造的実践を意味する

この作品集は、神戸芸術工科大学環境デザイン学科の2018年度の主な設計実習と卒業研究、学科活動の成果をまとめたものである。 PRAXIS 2019 環境デザイン学科 2019年4月1日 初版一刷発行 編集委員:花田佳明 編集:石坂美樹(miki ishisaka editorial office) 発行:神戸芸術工科大学 環境デザイン学科 〒651-2196 神戸市西区学園西町8-1-1 TEL 078-794-5031 FAX 078-794-5032 URL http://www.kobe-du.ac.jp/env/ 表紙:「あの時あの人とあの場所で。」足立明日香 目次:神戸芸術工科大学卒展[学部・大学院] カオス2019(2018年2月8日〜10日 原田の森ギャラリー) 撮影:花田佳明



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