ぶんがく
日本の 文 学 2
おーいでてこーい ほししんいち
星新一 たいふう
そら
むら
台 風 の次の日、空 がとてもきれいだった。ある 村
では、台風で小さい神社がこわれてしまった。村の 人々がその神社を見て、話していた。 「すぐになおさなくてはいけないなあ。 」 とり い
ちょっ けい
あな
鳥 居 の近くに 直 径 1 メートルぐらいの 穴 ができ くら
ふか
ていた。その穴は 暗 くて、とても 深 そうだった。 「この穴は何だろう?」 「きつねの穴かな?」 「おーいでてこーい」 いし
な
おと
一人が小さい 石 を投げてみた。でも、音 はしなかった。 「この穴、どうしようか?」「う~ん…」 だれも、どうしたらいいかわからなかった。 き しゃ
次の日、たくさんの人が穴を見に来た。新聞記 者 けいさつ
けんきゅうしゃ
や 警 察 や大学の 研 究 者 も来た。でも、だれも、 穴がどれぐらい深いかはわからなかった。 すうじつ
数 日 後、黒いスーツを着た男が村に来て、村
のみんなに言った。 う
「穴を私にください。私が穴を埋めましょう。 そして、もっと村の近くに新しい神社を作ってあげましょう。 」