日本語の言語学 1 とくちょう
日本語の「特 徴 」 はつおん
おんせいがく
発 音 (音 声 学 ) こうてい
1. 高 低 アクセント おと
いっぱく
日本語のアクセントは「高低アクセント」です。一つの 音 ( 一 拍 ≒ひら も じ
ひく
がな一文字)は高い音か 低 い音になります。たとえば、 「すし」は、 すし
(低高) れい
です。「す」は低い音で、 「し」は高い音です。ほかの 例 をあげます。 にほん(低高低)
でんわ(低高高)
なごや(高低低) もんだい
日本語は、アクセントをまちがえても、あまり 問 題 じゃないです。たと い み
えば、「来年、にほんに行きたいです。」と言っても、意味はわかります。 か
たん
でも、同じ音でも、アクセントで意味が変わる 単 語もあります。たとえば、 はし →
橋
あめ
→
雨
きる
→
着る
はし →
箸
あめ
→
飴
きる
→
切る
ぜん ぶ
( 全 部、東京アクセント) ちょうおん
2. 長 音 ぼ いん
母 音 の音が長くなって、意味が変わる単語があります。たとえば、 おばさん vs おばあさん
きて(来て)vs きいて(聞いて)
いえ vs いいえ
ほし(星)vs ほうし(奉仕)
3. 小さい「つ」 じっさい
小さい「つ」の音があるかないかで( 実 際 、小さい「つ」には音があり
ませんが) 、意味が変わることもあります。たとえば、 い
うた
いた vs 行った
うった
き
歌 えます vs 訴 えます
き
着た vs 切った
問題 1 から 8 の文を聞いて、書きなさい。 ぶんぽう
文法 じょ し
1. 助 詞 「は」や「を」や「で」などの助詞は日本語の文法の特徴の一つです。助 詞が変わると、意味も変わります。たとえば、 いぬ
さる
犬 は 猿 を食べました。vs 犬を猿が食べました。 あら
手で 洗 ってください。vs 手を洗ってください。 おも
主 な助詞とその使い方
(トピック)は どう さ
( 動 作の場所)で どう し
もくてき ち
( 目 的 地)に しょゆうしゃ
( 所 有 者 )の
しょざい
ば しょ
( 所 在 の場 所 )に ちゅうもく
( 注 目 )が
(時間)に いんよう
( 引 用 )と
けいよう し
2. 動 詞と 形 容 詞 だん
動詞の文法のグループは三つあります。 「五 段 動詞(グループ 1)」、 「一段 ふ き そく
動詞(グループ 2)」、「不規 則 動詞(来ます、します) 」です。 形容詞の文法のグループは二つだけです。「い形容詞」と「な形容詞」で す。 問題
こ
ぶんせき
8個のみじかい文を見つけて、 「文法の 分 析 」をしなさい。
例: 「日本語はとてもおもしろいと思います。」⇒日本語(名詞)は(助詞、トピック) とても(形容動詞)おもしろい(い形容詞)と(助詞、引用)思います(五段動詞)
社会言語学 けい ご
1. 敬 語 ていねい
日本語には、とても 丁 寧 な敬語という言葉があります。敬語を使う時は、 きゃく
店の人がお 客 さんと話す時 先生やとても年上の人(家族はのぞく)と話す時 などです。よく使う敬語の例をあげます。 動詞:いただきます(もらいます)、なさいます(します)、ございます(あります) ぎ もん
疑 問 詞:どちら(どこ) 、いかがですか(どうですか) 、どちら様(だれ)
ほとんどの動詞の敬語はかんたんに作れます。「お~になります」です。 たとえば、 お読みになります
お食べになります
お書きになります
などです。 だんじょ さ
2. 男 女 差 らんぼう
日本語にも、とてもカジュアルな会話では、男女差があります。 乱 暴 な 「男言葉」とやさしい「女言葉」です。たとえば、 うまい(男)vs おいしい(男女) はら
なか
腹 (男)vs お 腹 (男女)
とう
まじ(男)vs 本 当 (男女)
行くぞ(男)vs 行くわよ(女) 問題
おれ(男)vs あたし(女)
行くな(男)vs 行かないで(男女)
ウェッブサイト、まんが、YouTube などから、敬語と男・女言葉の
例を見つけなさい。
ほうげん
3. 方 言
日本にはたくさんの方言があります。テレビなどのメディアで一番よく聞 おおさか
かんさい
ゆうめい
くのは東京方言ですが、 大 阪 や京都の 関 西 方言も 有 名 です。 方言には大きく分けて二つあります。一つは単語のちがいです。たとえば、 「とても」の意味で色々な方言の単語があります。 ほっかいどう
な ご や
すっげー(東京)、なまら( 北 海 道 )、めっちゃ(関西)、でら(名古屋) 方言のもう一つのちがいはアクセントです。たとえば、 「熱い」は、 あつい(東京)
あつい(京都)
あつい(九州)
とアクセントがちがいます。 げん ご
4. 日本語は「ハイコンテクスト」な 言 語 しょうりゃく
日本語での会話では、たくさんの単語を 省 略 します。たとえば、 「きのう、ナルトの新しいまんがが出たね。 」 「買ったよ。読む?」 二番目の文は、「私はそれを買ったよ。あなたはそれを読む?」という意 味ですが、「私」「それ」「あなた」と助詞を省略しています。これは「言 わなくてもわかる」からです。このように、コンテクストでわかることを よく省略するので、 「日本語はハイコンテクストな言語だ」と言います。 ぎょうかん
ひょうげん
英語に「 行 間 を読む」(read between the lines)という 表 現 があります くう き
が、日本語には「 空 気を読む」という表現があります。つまり、何も言わ なくても、コンクストからわからなければいけない、ということです。 問題
ほかの「ハイコンテクスト」の例を見つけなさい。